説明

位相差板、その製造方法、及びそれを利用した円偏光板、1/2波長板並びに反射型液晶表示装置

【課題】簡易な工程により製造可能であり、且つ可視光全域の入射光に対して均一な位相差特性を与える広帯域の位相差板を提供する。
【解決手段】固有複屈折値が正である材料と固有複屈折値が負である材料とを含有してなり、前記固有複屈折値が負である材料がポリスチレンまたはポリスチレン系ポリマーであり、前記ポリスチレン系ポリマーがスチレン及び/又はスチレン誘導体と、アクリルニトリル、無水マレイン酸、メチルメタクリレートおよびブタジエンから選ばれる少なくとも1種との共重合体であり、波長450nm、550nmおよび650nmにおけるレターデーション値を各々Re(450)、Re(550)およびRe(650)としたとき、Re(450)<Re(550)<Re(650)であり、溶融押出によって製造されたことを特徴とする位相差板である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位相差板、その製造方法、及びそれを利用した円偏光板、1/2波長板並びに反射型液晶表示装置に関し、より詳細には、パソコン、AV機器、携帯型情報通信機器、ゲームやシミュレーション機器、及び車載用のナビゲーションシステム等、種々の分野の表示装置に利用可能な、位相差板、その製造方法、及びそれを利用した円偏光板、1/2波長板並びに反射型液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レターデーション(Re)が波長の1/4である1/4波長板は、反射型液晶表示装置、光ディスク用ピックアップおよび防眩フィルムに利用される等、種々の用途を有する。一方、Reが波長の1/2である1/2波長板も、液晶プロジェクターに利用される等、種々の用途を有する。前記1/4波長板および1/2波長板は、種々の用途において、可視光領域の全ての入射光に対して、その機能が充分に発揮されることが望まれる。可視光領域全域の入射光に対してその機能を充分に発揮し得る広帯域位相差板としては、例えば、特開平5−27118号公報、特開平5−100114号公報、特開平10−68816号公報、特開平10−90521号公報等、相互に異なる光学異方性を有する2枚のポリマーフィルムを積層して形成したものが挙げられる。
【0003】
しかし、従来の積層型位相差板では、その製造のために、一方向に延伸した延伸複屈折フィルムを延伸方向に対して相互に異なる角度を為す方向にカットした2種のチップを形成し、このチップを粘着材によって貼合し、積層する必要がある。また、2枚のチップを貼合させる際には、粘着材塗工、チップ化、貼合に伴うコストアップだけでなく、チップ貼合に伴う角度ズレによる性能低下など、性能上に及ぼす影響も無視できない。また、チップの貼合によって形成された積層型位相差板では、厚みの増大による性能低下も問題となることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、前記諸問題に鑑みなされたものであって、簡易な工程により製造可能であり、且つ可視光全域の入射光に対して均一な位相差特性を与える広帯域の位相差板、特に広帯域λ/2板および広帯域円偏光板、ならびに前記位相差板を利用した表示の明るさが改善された反射型液晶表示装置を提供することを課題とする。また、本発明は、可視光全域の入射光に対して均一な位相差特性を与える広帯域の位相差板を簡易な工程により製造し得る位相差板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。即ち、
<1> 固有複屈折値が正である材料と固有複屈折値が負である材料とを含有してなり、前記固有複屈折値が負である材料がポリスチレンまたはポリスチレン系ポリマーであり、前記ポリスチレン系ポリマーがスチレン及び/又はスチレン誘導体と、アクリルニトリル、無水マレイン酸、メチルメタクリレートおよびブタジエンから選ばれる少なくとも1種との共重合体であり、波長450nm、550nmおよび650nmにおけるレターデーション値を各々Re(450)、Re(550)およびRe(650)としたとき、Re(450)<Re(550)<Re(650)であり、溶融押出によって製造されたことを特徴とする位相差板である。
【0006】
<2> 前記固有複屈折値が正である材料がノルボルネン系ポリマーである<1>に記載の位相差板である。
<3> 前記ノルボルネン系ポリマーが、後述する構造式(III)で表される繰り返し単位を有する<2>に記載の位相差板である。
【0007】
<4> 波長450nmおよび波長550nmにおけるレターデーション(Re)の絶対値をそれぞれRe(450)およびRe(550)としたとき、前記固有複屈折値が正である材料の(Re(450)/Re(550))の値と、前記固有複屈折値が負である材料の(Re(450)/Re(550))の値との差が、0.03以上である<1>から<3>までのいずれかに記載の位相差板である。
<5> 波長450nm、波長550nmにおけるレターデーション(Re)値の絶対値をそれぞれRe(450)及びRe(550)としたとき、前記固有複屈折値が正である材料の(Re(450)/Re(550))の値と、前記固有複屈折値が負である材料の(Re(450)/Re(550))の値とが同一でなく、かつ前記固有複屈折値が正である材料の(Re(450)/Re(550))の値が、前記固有複屈折値が負である材料の(Re(450)/Re(550))の値よりも大きいときは、前記固有複屈折値が正である材料のRe(550)の値が前記固有複屈折値が負である材料のRe(550)の値よりも小さいこと、及び、前記固有複屈折値が正である材料の(Re(450)/Re(550))の値が、前記固有複屈折値が負である材料の(Re(450)/Re(550))の値よりも小さいときは、固有複屈折値が正である材料のRe(550)の値が固有複屈折値が負である材料のRe(550)の値よりも大きいこと、の一方を満たす<1>から<4>のいずれかに記載の位相差板である。
【0008】
<6> 光弾性が20ブルースター以下である<1>から<5>までのいずれかに記載の位相差板である。
<7> 波長λにおけるレターデーションRe(λ)と波長λとが、λ=450nm、550nm、650nmにおいて、各々、下記関係式を満たす<1>から<6>までのいずれかに記載の位相差板である。
0.2 ≦ Re(λ)/λ ≦ 0.3
<8> 波長λにおけるレターデーションRe(λ)と波長λとが、λ=450nm、550nm、650nmにおいて、各々、下記関係式を満たす<1>から<6>までのいずれかに記載の位相差板である。
0.4 ≦ Re(λ)/λ ≦ 0.6
【0009】
<9> 偏光板と、<8>に記載の位相差板とを積層してなり、前記偏光板の偏光板透過軸と前記位相差板の遅相軸とが交差してなることを特徴とする1/2波長板である。
<10> 偏光板と、<7>に記載の位相差板とを積層してなり、前記偏光板の偏光板透過軸と前記位相差板の遅相軸とが交差してなることを特徴とする円偏光板である。
<11> 前記偏光板透過軸と前記遅相軸とが30度以上60度以下の角度をなして交差している<9>に記載の1/2波長板である。
<12> 前記偏光板透過軸と前記遅相軸とが30度以上60度以下の角度をなして交差している<10>に記載の円偏光板である。
<13> 反射板、液晶セル及び偏光板をこの順に積層してなり、該反射板と該偏光板との間に<1>から<8>までのいずれかに記載の位相差板を有することを特徴とする反射型液晶表示装置である。
【0010】
<14> <1>から<8>までのいずれかに記載の位相差板を製造する方法であって、前記固有複屈折値が正である材料と前記固有複屈折値が負である材料とを含む配合物を作製する工程と、作製された配合物を溶融押出する工程と、を有する位相差板の製造方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、前記従来における諸問題を解決することができ、簡易な工程により製造可能であり、且つ可視光全域の入射光に対して均一な位相差特性を与える広帯域の位相差板、特に広帯域λ/2板および広帯域円偏光板、ならびに前記位相差板を利用した表示の明るさが改善された反射型液晶表示装置を提供することができる。また、本発明によると、可視光全域の入射光に対して均一な位相差特性を与える広帯域の位相差板を簡易な工程により製造し得る位相差板の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の位相差板の一実施形態の概略断面図である。
【図2】製造した位相差板の可視光域におけるRe値の波長分散特性の測定結果を示すグラフである。
【図3】製造した円偏光板の可視光域における(Re/波長)値の波長依存性の測定結果を示すグラフである。
【図4】実施例で用いた押出し装置の概略図である。
【図5】実施例で用いた押出し装置のダイスの断面図である。
【図6】参考例1で作製した19%延伸フィルムおよび39%延伸フィルムのレターデーションの波長分散を示すグラフである。
【図7】参考例2で作製した延伸フィルムの概略断面図である。
【図8】参考例2で作製した延伸フィルムのレターデーションの波長分散を示すグラフである。
【図9】比較例7および8で作製した延伸フィルムのレターデーションの波長分散を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(位相差板)
本発明の位相差板は、固有複屈折値が正である材料(以下、単に「正の材料」という場合がある)と負である材料(以下、単に「負の材料」という場合がある)とをそれぞれ少なくとも1種含有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の成分を含有してなる。本発明の位相差板には、前記固有複屈折値が正である材料と負である材料とが同一の層に含有される形態が含まれる。本発明の位相差板では、入射光は、固有複屈折値が正と負の材料を含有する1層によって、位相差特性を与えられる。固有複屈折値が正の材料および負の材料は、延伸操作等により分子配向方向が等しくなったとき、その遅相軸が直交するため、発現するレターデーションは各々が有する特性が相殺された結果の複合体としてのレターデーションとなる。本発明では、前記正の材料と負の材料とを種々組合せることによって、及び/又は、延伸条件等の作製条件を調整することにより、発現するレターデーションの波長分散性を制御し、可視光全域の入射光に対して、Re/λがほぼ均一な位相差特性を与える位相差板を提供することを可能としている。
【0014】
まず、本発明の位相差板に使用される固有複屈折値が正である材料と負である材料について説明する。
【0015】
−固有複屈折値が正である材料−
本発明において、「固有複屈折値が正である材料」とは、分子が一軸性の秩序をもって配向したときに、光学的に正の一軸性を示す特性を有する材料をいう。例えば、前記正の材料が樹脂である場合では、分子が一軸性の配向をとって形成された層に光が入射したとき、前記配向方向の光の屈折率が前記配向方向に直交する方向の光の屈折率より大きくなる樹脂をいう。前記正の材料としては、樹脂、棒状液晶、棒状液晶ポリマーなど種々のものが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。本発明においては、これらの中でも樹脂が好ましい。
【0016】
前記樹脂としては、オレフィン系ポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン系ポリマー、シクロオレフィン系ポリマーなど)、ポリエステル系ポリマー(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなど)、ポリアリーレンサルファイド系ポリマー(例えば、ポリフェニレンサルファイドなど)、ポリビニルアルコール系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、ポリアリレート系ポリマー、セルロースエステル系ポリマー(前記固有複屈折値が負であるものもある)、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリスルホン系ポリマー、ポリアリルサルホン系ポリマー、ポリ塩化ビニル系ポリマー、あるいはこれらの多元(二元、三元等)共重合ポリマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明においては、これらの中でも、オレフィン系ポリマーが好ましく、オレフィン系ポリマーの中でも、光透過率特性、耐熱性、寸度安定性、光弾性特性等の観点から、ノルボルネン系ポリマーが特に好ましい。前記オレフィン系ポリマーとしては、日本合成ゴム製の「アートソー」、日本ゼオン製の「ゼオネックス」および「ゼオノア」、三井石油化学製の「APO」等が好適に利用される。
【0017】
前記ノルボルネン系ポリマーは、ノルボルネン骨格を繰り返し単位として有してなり、その具体例としては、特開昭62−252406号公報、特開昭62−252407号公報、特開平2−133413号公報、特開昭63−145324号公報、特開昭63−264626号公報、特開平1−240517号公報、特公昭57−8815号公報、特開平5−39403号公報、特開平5−43663号公報、特開平5−43834号公報、特開平5−70655号公報、特開平5−279554号公報、特開平6−206985号公報、特開平7−62028号公報、特開平8−176411号公報、特開平9−241484号公報等に記載されたものが好適に利用できるが、これらに限定されるものではない。また、これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0018】
本発明においては、前記ノルボルネン系ポリマーの中でも、下記構造式(I)〜(IV)のいずれかで表される繰り返し単位を有するものが好ましい。
【0019】
【化1】



【0020】
前記構造式(I)〜(IV)中、A、B、C及びDは、各々独立して、水素原子又は1価の有機基を表す。
【0021】
また、前記ノルボルネン系ポリマーの中でも、下記構造式(V)または(VI)で表される化合物の少なくとも1種と、これと共重合可能な不飽和環状化合物とをメタセシス重合して得られる重合体を水素添加して得られる水添重合体も好ましい。
【0022】
【化2】



【0023】
前記構造式中、A、B、C及びDは、各々独立して、水素原子又は1価の有機基を表す。
【0024】
前記ノルボルネン系ポリマーの重量平均分子量としては、5,000〜1,000,000程度であり、8,000〜200,000が好ましい。
【0025】
−固有複屈折値が負である材料−
本発明において、「固有複屈折値が負である材料」とは、分子が一軸性の秩序をもって配向したときに、光学的に負の一軸性を示す特性を有する材料をいう。例えば、前記負の材料が樹脂である場合、分子が一軸性の配向をとって形成された層に光が入射したとき、前記配向方向の光の屈折率が前記配向方向に直交する方向の光の屈折率より小さくなる樹脂をいう。前記負の材料としては、樹脂、ディスコティック液晶、ディスコティック液晶ポリマー等種々のものが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。本発明においては、これらの中でもポリマーが好ましい。
【0026】
前記ポリマーとしては、ポリスチレン、ポリスチレン系ポリマー(スチレン及び/又はスチレン誘導体と他のモノマーとの共重合体)、ポリアクリロニトリル系ポリマー、ポリメチルメタクリレート系ポリマー、セルロースエステル系ポリマー(前記固有複屈折値が正であるものもある)、あるいはこれらの多元(二元、三元等)共重合ポリマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記ポリスチレン系ポリマーとしては、スチレン及び/又はスチレン誘導体と、アクリルニトリル、無水マレイン酸、メチルメタクリレートおよびブタジエンから選ばれる少なくとも1種との共重合体が好ましい。本発明においては、これらの中でも、ポリスチレン、ポリスチレン系ポリマー、ポリアクリロニトリル系ポリマー及びポリメチルメタクリレート系ポリマーの中から選択される少なくとも1種が好ましく、これらの中でも、複屈折発現性が高いという観点から、ポリスチレン及びポリスチレン系ポリマーがより好ましく、耐熱性が高い点で、スチレン及び/又はスチレン誘導体と無水マレイン酸との共重合体が特に好ましい。
尚、本発明の位相差板を光学用途(表示素子等)に利用する場合は、ガラス転移点が110℃以上(より好ましくは120℃以上)のポリマーを使用するのが好ましい。
【0027】
−正の材料と負の材料との好ましい組合せ−
本発明において、前記固有複屈折値が正である材料と負である材料とは、以下に示す条件を満たすことを指標として組合せるのが好ましい。
波長450nm及び波長550nmにおけるレターデーション(Re)値の絶対値をそれぞれRe(450)及びRe(550)としたとき、前記正の材料の(Re(450)/Re(550))の値と、前記負の材料の(Re(450)/Re(550))の値とが等しくならない(即ち、一方が他方よりも小さいか又は大きい)組合せが好ましいものとして挙げられる。より具体的には、両値の差が、0.03以上となる組合せが好ましく、0.05以上である組合せがより好ましい。
【0028】
更に、前記正の材料の(Re(450)/Re(550))の値が、前記負の材料の(Re(450)/Re(550))の値よりも大きいときは、前記正の材料のRe(550)の値が前記負の材料のRe(550)の値よりも小さいこと、及び、前記正の材料の(Re(450)/Re(550))の値が、前記負の材料の(Re(450)/Re(550))の値よりも小さいときは、前記正の材料のRe(550)の値が前記負の材料のRe(550)の値よりも大きいこと、の一方を満たす組合せが好ましい。
【0029】
次に、前記正の材料および負の材料が各々樹脂である場合の好ましい組合せについて説明する。
固有屈折値(Δn)の波長分散性が大きい樹脂を負の材料として使用する場合は、正の材料としてはΔnの波長分散性が小さい樹脂を使用するのが好ましい。また、固有屈折値(Δn)の波長分散性が小さい樹脂を負の材料として使用する場合は、正の材料としてはΔnの波長分散性が大きい樹脂を使用するのが好ましい。例えば、前記正の材料としてノルボルネン系ポリマーを使用する場合は、前記負の材料としては、その固有複屈折値の波長分散が大きいものが好ましく、具体的には、波長450nmおよび波長550nmの固有複屈折値(Δn)を、各々、Δn(450)およびΔn(550)としたとき、下記関係式を満たす樹脂から選ばれるのが好ましい。
|Δn(450)/Δn(550)| ≧ 1.02
さらに、下記関係式を満たす樹脂から選ばれるのがより好ましい。
|Δn(450)/Δn(550)| ≧ 1.05
尚、|Δn(450)/Δn(550)|の値は大きいほうが好ましいが、樹脂の場合一般的には2.0以下である。
【0030】
より具体的には、前記負の材料が、前記(Re(450)/Re(550))の値が小さいポリメチルメタクリレート等の場合、これと組合せる前記正の材料としては、ポリエチレンテレフタレート系ポリマー、ポリフェニレンサルファイド系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、ポリアリレート系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリスルホン系ポリマー、ポリアリルサルホン系ポリマー、ポリ塩化ビニル系ポリマー、などが好ましい。
また、前記負の材料が、前記(Re(450)/Re(550))の値が大きいポリスチレン及びポリスチレン系ポリマー等の場合、これと組合せる前記正の材料としては、オレフィン系ポリマー及びシクロオレフィン系ポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン系ポリマー等)、セルロースエステル系ポリマー、などが好ましい。中でも、負の材料としてポリスチレン及び/またはポリスチレン系ポリマーと、正の材料としてオレフィン系ポリマーの中でもノルボルネン系ポリマーとの組合せが特に好ましい。
【0031】
−その他の成分−
前記その他の成分としては、本発明の効果を害しない限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば相溶化剤などが好適に挙げられる。前記相溶化剤は、前記正の材料と負の材料との混合物を含有する層を有する位相差板において、前記混合物が相分離を生じてしまう場合等に好適に使用することができ、該相溶化剤を使用することによって、前記固有複屈折値が正である材料と負である材料との混合状態を良好にすることができる。
【0032】
以下、本発明の位相差板の実施の形態を説明する。
本発明の位相差板の一実施の形態としては、固有複屈折値が正の樹脂と負の樹脂とのポリマーブレンドからなるフィルムまたはシートが挙げられる。前記フィルムまたはシートの波長450nm、550nmおよび650nmにおけるレターデーション値を各々Re(450)、Re(550)およびRe(650)としたとき、Re(450)<Re(550)<Re(650)の関係が成立している。
【0033】
本実施形態の位相差板は、種々の方法で製造することができる。例えば、前記指標に従って、正の材料と負の材料とを適宜選択し、配合比を決定し、必要に応じて前記相溶化剤等を添加し、これらを配合する。そして、その後、この配合物を、任意の有機溶媒に溶解して塗布液を調製し、該塗布液を支持体(または仮支持体)上に塗布し乾燥することにより成膜化して製造することができる(溶液製膜法)。あるいは、前記配合物をペレット化して溶融押出し、成膜化して製造することもできる(押出成形法)。
【0034】
前記方法により作製されたフィルム等に、延伸処理を施すことにより、Re(450)<Re(550)<Re(650)の関係を満足する位相差板とすることができる。前記延伸としては、機械的流れ方向に延伸する縦一軸延伸、機械的流れ方向に直交する方向に延伸する横一軸延伸(例えば、テンター延伸など)などが好適に挙げられるが、若干であれば二軸延伸であってもよい。延伸によるレターデーションの調整の詳細については、後述する積層構造の位相差板におけるレターデーションの調整方法と同様である。尚、前述の方法で作製したフィルム状乃至シート状の位相差板が既に、所望の範囲のレターデーションを示す場合は、延伸処理を施すことなくそのまま使用することができる。
【0035】
本実施形態の位相差板を円偏光板(λ/4板)の用途に供する場合は、波長450nm〜650nmまでの広い範囲で、少なくとも波長450nm、550nm及び650nmにおいて、(レターデーション(Re)/波長)の値が0.2〜0.3であること、換言すれば、波長550nmにおけるレターデーション(Re)の値が、110nm〜165nmであり、波長の長さと正の相関を有することが必要である。より好ましくは、少なくとも波長450nm、550nm及び650nmにおいて、(レターデーション(Re)/波長)の値が0.23〜0.27であり、さらに好ましくは、0.24〜0.26である。
【0036】
また、本実施形態の位相差板をλ/2板の用途に供する場合は、波長450nm〜650nmまでの広い範囲で、少なくとも波長450nm、550nm及び650nmにおいて、(レターデーション(Re)/波長)の値が0.40〜0.60であること、換言すれば、波長550nmにおけるレターデーション(Re)の値が、220nm〜330nmであり、波長の長さと正の相関を有することが必要である。より好ましくは、少なくとも波長450nm、550nm及び650nmにおいて、(レターデーション(Re)/波長)の値が0.46〜0.54であり、さらに好ましくは0.48〜0.52である。
【0037】
本実施形態の位相差板では、前記正の材料と前記負の材料との混合物(材料が樹脂である場合はポリマーブレンド)からなる層は、各々の材料の分子配向が同一方向となっている。前記正の材料と負の材料の分子配向を一致させると、遅相軸は自ずと直交し、各々の材料が単独で示すレターデーションの波長分散は互いに軽減し、可視光全域の入射光に対して、ほぼ均一な位相差特性を与える位相差板を提供することができる。従って、本発明の位相差板は、広帯域(可視光域)の光に対して均一な位相差特性を与えることができるとともに、作製に際して、積層工程が不要であり、単一素材で低コストに形成可能である。
【0038】
位相差板の参考形態を図1に示す。
位相差板10は、固有複屈折値が正の樹脂からなる層12と固有複屈折値が負の樹脂からなる層14とが積層された構成である。層12、14は複屈折を有し、その遅相軸を互いに直交させて積層されている。即ち、層12に含有される前記正の樹脂の分子の配向方向と、層14に含有される前記負の樹脂の配向方向とは一致している。位相差板10のレターデーションは層12と層14の各レターデーションの和となるので、層12と層14とを遅相軸を互いに直交させて積層することによって、位相差板10の短波長側のレターデーションは小さく、且つ長波長側のレターデーションを大きくすることができる。その結果、位相差板10の波長λにおけるレターデーションRe(λ)と波長との比Re(λ)/λを、可視光全域においてほぼ一定にすることができる。
【0039】
本参考形態の位相差板は、波長450nm、550nm、650nmにおけるレターデーション(Re)の値を、各々、Re(450)、Re(550)、Re(650)としたとき、これらが下記式を満たすのが好ましい。
Re(450) < Re(550) <Re(650)
前記関係式を満たすには、固有複屈折値が正の樹脂として、その固有屈折値の波長分散が小さい材料を選択し、且つ固有複屈折値が負の樹脂として、その固有複屈折値の波長分散が大きい材料を選択して組合せる、および固有複屈折値が正の樹脂として、その固有複屈折値の波長分散が大きい材料を選択し、且つ固有複屈折値が負の樹脂として、その固有複屈折値の波長分散が小さい材料を選択して組合せるのが好ましい。材料の好ましい組合せの具体例については、前述した通りである。
【0040】
本参考形態の位相差板を円偏光板(λ/4板)の用途に供する場合は、波長450nm〜650nmまでの広い範囲で、少なくとも波長450nm、550nm及び650nmにおいて、(レターデーション(Re)/波長)の値が0.2〜0.3であることが好ましい。より好ましくは、少なくとも波長450nm、550nm及び650nmにおいて、(レターデーション(Re)/波長)の値が0.23〜0.27であり、さらに好ましくは、0.24〜0.26である。また、本実施形態の位相差板をλ/2板の用途に供する場合は、波長450nm〜650nmまでの広い範囲で、少なくとも波長450nm、550nm及び650nmにおいて、(レターデーション(Re)/波長)の値が0.40〜0.60であるのが好ましい。より好ましくは、少なくとも波長450nm、550nm及び650nmにおいて、(レターデーション(Re)/波長)の値が0.46〜0.54であり、さらに好ましくは0.48〜0.52である。
本参考形態において、前記波長分散は、延伸温度、延伸率等の延伸条件等によって調整することができる。
【0041】
本参考形態では、固有複屈折値が正または負の樹脂からなる層を各々1層有する構造の位相差板を示したが、第三および第四の層を有する構造であってもよい。第三および第四の層を形成することにより、位相差板の物理的特性が改良されるので好ましい。特に、位相差板の断面が対称性を有するように、複屈折を有する第三の層を有しているのが好ましい。前記第三の層が、固有複屈折値が正の樹脂からなる場合、固有複屈折値が正、負、および正の樹脂からなる層を順次積層した態様が好ましい。前記第三の層が、固有複屈折値が負の樹脂からなる場合、固有複屈折値が負、正、および負の樹脂からなる層を順次積層した態様が好ましい。また、3層構造の態様では、固有複屈折値の符号が一致した樹脂からなる層については、互いの遅相軸を一致させて積層されているのが好ましい。さらに、固有複屈折値の符号が一致した樹脂は、同一の材料であるのが好ましい。
【0042】
また、前記固有複屈折値が正の樹脂からなる層と固有複屈折値が負の樹脂からなる層との間に、双方の層の接着性を向上させる層(以下、「接着層」という場合がある)を配置してもよい。該層には、前記固有複屈折値が正の樹脂および負の樹脂の双方と親和性がある材料が使用され得る。例えば、前記固有複屈折値が正の樹脂としてノルボルネン系ポリマーを使用し、且つ負の樹脂としてポリスチレン(またはポリスチレン系ポリマー)を使用した場合、前記接着層は、オレフィン系ポリマー及びポリスチレン(またはスチレン系ポリマー)のいずれかの成分を有する層であり、ガラス転移点が前記正の樹脂および負の樹脂のガラス転移点と比較して5℃以下(より好ましくは10℃以下)低いポリマーからなる層であるのが好ましい。但し、これに限定されるものではない。尚、前記接着層の複屈折と厚みとの積は小さいほうが好ましい。
【0043】
本参考形態の位相差板は、種々の方法で製造することができる。例えば、前記正の樹脂および前記負の樹脂をそれぞれ溶媒に溶解した塗布液を各々調製し、該塗布液を支持体(または仮支持体)上に順次塗布(または同時に重畳塗布)し、その後乾燥することによって製膜化して作製することができる。また、共押出しを利用して作製することもできる。中でも、以下に説明する共押出しを利用した本参考形態の製造方法により製造すると、製造工程が簡略化できるとともに、製造コストを軽減できるので好ましい。
【0044】
参考の位相差板の製造方法は、固有複屈折値が正の樹脂(以下、単に「正に樹脂」という場合がある)と固有複屈折値が負の樹脂(以下、単に「負の樹脂」という場合がある)とを共押出しし、前記固有複屈折値が正の樹脂からなる第1の層と前記固有複屈折値が負の樹脂からなる第2の層とを積層して積層体を作製する工程を有する。この積層体が、前述した所望のレターデーション等を示す場合は、前記積層体をそのまま位相差板として使用することができる。前記積層体が所望のレターデーションを示さない場合は、さらに、前記積層体を延伸し、レターデーションを調整する工程を付すことができる。
【0045】
前記積層体を形成する工程では、例えば、押出し機中に、正の樹脂と負の樹脂を各々格納し、加熱および加圧して、各々流動状態とし、それをダイから各々連続的に押出して、積層体にする。引き続き、該積層体をニップロールのニップ部に連続的に挿通させて、圧着してもよい。
尚、前記第三の層を有する態様の位相差板を作製する場合は、前記積層体を形成する工程において、押出し機中に前記第三の層を構成する正または負の樹脂を格納し、共押出しにより3層構造の積層体を形成する。例えば、正の樹脂からなる層と負の樹脂からなる層の間に、前記双方の層の接着性を向上するための層を有する態様の位相差板を作製する場合は、前記積層体を形成する工程において、接着性を向上させるための樹脂を押出し機中に別途格納し、共押出しにより、正の樹脂からなる層と負の樹脂からなる層との間に、前記接着性を向上させるための層を配置した構成の積層体を形成する。また、押し出し機中の樹脂を格納するところから押し出しのダイまでの間に流路を複数設け、例えば、正の樹脂/第三の層用樹脂/負の樹脂/第三の層用樹脂/正の樹脂の構成の3種の樹脂からなる5層構造の積層体を形成することができる。
【0046】
所望により付加される、前記積層体を延伸してレターデーションを調整する工程は、種々の延伸機を用いて実施することができる。例えば、機械的流れ方向に延伸する縦一軸延伸、機械的流れ方向に直交する方向に延伸するテンター延伸などが好適に利用できる他、厚み方向制御のため、ニ軸性を付与することも可能である。ここで、延伸温度は、層を構成する基本材料(正の樹脂および負の樹脂)の最低ガラス転移温度をTgminとしたとき、(Tgmin−20)℃〜(Tgmin)℃に設定するのが好ましい。
【0047】
Re(450)<Re(550)<Re(650)の特性を満たすには、固有複屈折値が負の樹脂と正の樹脂について、重量比、延伸温度および延伸倍率等を調整することで制御できる。
例えば、固有複屈折値が正の樹脂としてノルボルネン系ポリマーを、固有複屈折値が負の樹脂としてポリスチレンを使用する場合の調整方法の例を示す。ポリスチレンおよびノルボルネン系ポリマーの溶融軟化温度を各々TsおよびTnとする。Ts<Tnであるので、Tnに近い温度で、ノルボルネン系ポリマーからなる層とポリスチレンからなる層との積層体を延伸すると、ポリスチレン分子の配向緩和が速く、ポリスチレンからなる層の分子は殆ど配向せず、ポリスチレンからなる層は複屈折を有しない。その結果、ノルボルネン系ポリマーからなる層とポリスチレンからなる層とを積層した積層フィルムは、ノルボルネン系ポリマーからなる層が示す波長分散にほぼ等しくなる。延伸温度を低くするにしたがって、ポリスチレン分子は配向するようになり、ポリスチレンからなる層は複屈折を有するようになる。ポリスチレンからなる層のレターデーションは負であるので、ノルボルネン系ポリマーからなる層が有する正のレターデーションは減少する。レターデーションの減少割合は、ポリスチレンの波長分散のため、短波長側が大きくレターデーション減少し、結果として、Re(450)<Re(550)<Re(650)の特性が得られる。延伸温度を制御することで、可視光波長全域にわたって、Re(λ)/λを一定とし、広帯域にわたって、均一な位相差特性を示す位相差板とすることができる。また、延伸倍率調整で、広帯域1/4波長、1/2波長の特性を得ることができる。
【0048】
正の樹脂からなる層と負の樹脂からなる層との間に前記接着層を有する位相差板を形成する際には、前記接着層を構成している樹脂として、前記延伸温度より低温の溶融軟化温度を有する樹脂を使用するのが好ましい。具体的には、ガラス転移点が低い樹脂を使用するのが好ましく、前記固有複屈折値が正の樹脂及び前記固有複屈折値が負の樹脂に対して、5℃以上低いガラス転移温度を有する樹脂を使用するのがより好ましく、更に好ましくは。20℃以上である。
【0049】
本参考形態では、固有複屈折値が正と負の樹脂からなる2つの層を、遅相軸を直交させて積層することにより、各層が単独で示すレターデーションの波長分散を互いに軽減し、可視光全域の入射光に対して、ほぼ均一な位相差特性を与える位相差板を提供することを可能としている。また、固有複屈折値が正と負の樹脂からなる2つの層について、遅相軸を直交させて積層するには、各層の延伸方向を一致させればよく、あえて一致させるためにチップを切り出す等の工程を省くことができる。即ち、本参考形態の位相差板は、固有複屈折値が異符号である2種の樹脂を各々用いた層の積層体であるので、2層の延伸方向を一致させれば、2層の遅相軸を必然的に直交させることができ、例えば、前述した共押出しを利用することにより、従来の積層型位相差板の作製に必要であった延伸フィルムのチップ切り取り時やチップ貼合時の微妙且つ煩雑な角度合わせ等の操作を経ることなく、簡易な工程による製造が可能となる。即ち、本参考形態の位相差板は、広帯域(可視光域)の光に対して均一な位相差特性を与えることができるとともに、作製に際して、共押出し等を利用することにより積層体であるにもかかわらず、簡易な工程により、低コストに形成可能である。また、本参考の形態は、材料を選択する際に材料の相溶性を考慮する必要がなく、材料の選択の幅が広がる点で好ましい。例えば、ガラス転移点を考慮しての材料の選択が可能となる。また、押し出し装置のコストが安い等の点でも有利であり、最適な態様である。
【0050】
本発明の位相差板(単層構造および積層構造の双方を含む。以下、同様である)は、Re(λ)/λを調整することにより、広帯域1/4波長板とすることができ、パソコン、AV機器、携帯型情報通信機器、ゲームやシミュレーション機器、車載用のナビゲーションシステム等、種々の分野の表示装置として用いられ反射型液晶表示装置に利用可能である。また、本発明の位相差板は、Re(λ)/λを調整することにより、広帯域1/2波長板とすることができ、プロジェクター用PBS等に利用可能である。
【0051】
本発明の位相差板は、その光弾性率が20ブルースター以下であるのが好ましく、10ブルースター以下であるのがより好ましく、5ブルースター以下であるのがさらに好ましい。一般的に、位相差板は表示素子の部材等に用いられる際に他の部材(例えば、偏光板)と貼合される。貼合の際にかかる応力には偏りがあり、中央部と比較して端部においてより大きな応力がかかる。その結果、レターデーションに違いが生じ、端部は白っぽく光抜けし、表示素子においては表示特性を低下させる場合がある。位相差板の光弾性率が前記範囲内にあると、貼合の際に応力の偏りがある場合も、部分的にレターデーションに差が生じるのを抑制でき、表示素子等の部材としてより有益である。
【0052】
次に、本発明の位相差板を利用した円偏光板及びλ/2板について説明する。
尚、以下の用途に供される本発明の位相差板には、単層構造および積層構造の双方の実施形態の位相差板を含む。
(円偏光板およびλ/2板)
本発明の円偏光板は、偏光板と、前記本発明の位相差板とを積層してなる。前記位相差板は、波長450nm〜650nmまでの広い範囲で、少なくとも波長450nm、550nm及び650nmにおいて、(レターデーション(Re)/波長)の値が0.2〜0.3であるのが好ましく、より好ましくは少なくとも前記3波長において0.23〜0.27であり、さらに好ましくは少なくとも前記3波長において0.24〜0.26である。また、本発明のλ/2板は、偏光板と、前記本発明の位相差板とを積層してなる。前記位相差板は、波長450nm〜650nmまでの広い範囲で、少なくとも波長450nm、550nm及び650nmにおいて、(レターデーション(Re)/波長)の値が0.40〜0.60であるのが好ましく、より好ましくは少なくとも前記3波長において0.46〜0.54であり、さらに好ましくは少なくとも前記3波長において0.48〜0.52である。
【0053】
−偏光板−
前記偏光板としては、特に制限はなく、従来公知のものを好適に使用することができ、例えば、ヨウ素系偏光板、二色性染料を用いる染料系偏光板、ポリエン系偏光板などが好適に挙げられる。
これらの偏光板の内、前記ヨウ素系偏光板及び前記染料系偏光板は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを延伸し、これにヨウ素あるいは二色性染料を吸着することによって製造できる。この場合、該偏光板の偏光軸は、フィルムの延伸方向に垂直な方向となる。
【0054】
前記偏光板は、保護層を有していてもよい。
前記保護層は、光学的等方性が高い材料からなるのが好ましく、そのような材料としては、例えば、セルロースエスエル、特にトリアセチルセルロースが好ましい。
【0055】
−積層−
前記偏光板と前記位相差板とは、該偏光板の偏光透過軸と、該位相差板の遅相軸(最大屈折率方向)とが交差するようにして積層され、該交差の角度としては、30〜60°が好ましく、40〜50°がより好ましく、43〜47°が特に好ましい。
【0056】
−用途−
本発明の円偏光板は、構造が簡単で製造が容易であり、広帯域λ/4板として機能し各種分野において利用可能であり、後述する本発明の反射型液晶表示装置に特に好適に使用することができる。また、本発明のλ/2板は広帯域λ/2板として機能し、各種分野において利用可能であり、プロジェクター用PBS等に好適である。
【0057】
(反射型液晶表示装置)
本発明の反射型液晶表示装置は、反射板、液晶セル及び偏光板をこの順に積層してなり、該反射板と該偏光板との間に前記本発明の位相差板を有している。前記反射型液晶表示装置の好ましい例としては、反射板と、液晶セルと、前記本発明の位相差板と、偏光板とをこの順に積層してなる構造、あるいは、反射板と、前記本発明の位相差板と、液晶セルと、偏光板とをこの順に積層してなる構造、が挙げられる。前記位相差板としては、λ/4特性を有する位相差板を使用することができ、そのRe/λの好ましい範囲としては、前述した円偏光板に使用される位相差板における好ましい範囲と同様である。また、本発明の反射型液晶表示装置は、更に必要に応じてその他の部材等を有していてもよい。
尚、前記反射型液晶表示装置において、前記位相差板と前記偏光板とが積層されている場合、この積層物が前記本発明の円偏光板に相当する。
【0058】
−反射板−
前記反射板としては、特に制限はなく、従来公知のものを好適に使用することができる。
前記反射板は、一般に後述する液晶セルの裏側透明基板の外側に配置される。
【0059】
−液晶セル−
前記液晶セルとしては、特に制限はなく、従来公知のものを好適に使用することができ、例えば、表側透明基板と裏側透明基板との間に、TN型液晶層が充填されて構成されているものが好適に挙げられる。この場合、前記表側透明基板の内側と、前記裏側透明基板の内側とには、ITO(インジウム錫酸化物)の導電膜からなる電極層が形成されている。なお、本発明においては、液晶層として前記TN型液晶層のみならず、STN型液晶層を採用してもよい。
【0060】
前記液晶セルの駆動は、マトリックス駆動であっても、セグメント駆動であってもよく、前記マトリックス駆動の場合、単純マトリックス駆動方式であってもよいし、アクティブマトリックス駆動方式であってもよい。
【0061】
−偏光板−
前記偏光板としては、特に制限はなく、従来公知のものを好適に使用することができ、上述したものが挙げられる。
前記偏光板は、一般に、前記本発明の位相差板と共に、前記液晶セルの表側透明基板の外側に配置される。
【0062】
以上の反射型液晶表示装置は、白黒表示用のものであるが、本発明においては更に、前記表側透明基板と前記本発明の位相差板との間にカラーフィルター層を配置し、前記表側透明基板上にカラーフィルター層を形成することにより、カラー表示用のものとしてもよい。
【0063】
以下、本発明の反射型液晶表示装置の白黒表示機能について説明する。
前記電極層に電圧を印加しない状態(白表示)において、前記偏光板に光が入射されると、この入射光は、該偏光板によって偏光軸方向の直線偏光となる。この直線偏光は、前記本発明の位相差板によって円偏光に変換され、前記液晶セルに入射する。この円偏光は、前記液晶層の液晶性分子により、偏光軸と平行の直線偏光として前記反射板に到達し、前記反射板で反射されて再び液晶セルに入射する。入射した直線偏光は、再び前記液晶層により、円偏光となり、前記位相差板を経て、再び偏光軸と平行の直線偏光に変換され、前記偏光板を透過して、白表示となる。
【0064】
次に、前記電極層に液晶飽和電圧より高い電圧を印加した状態(黒表示)においては、前記偏光板を透過した直線偏光は、前記本発明の位相差板により円偏光に変換される。そして、この円偏光はそのまま前記反射板によって反射され、前記液晶セルをそのまま透過し、前記本発明の位相差板を透過する。即ち、前記偏光板に再び到達するまでに、直線偏光は前記反射板を挟んで、前記本発明の位相差板を2回透過するので、直線偏光の位相差が90°ずれ、該反射板からの反射光は前記偏光板を透過せず、黒表示となる。
【0065】
本発明の反射型液晶表示装置においては、広帯域の前記本発明の位相差板によって、可視光領域ほぼ全域の直線偏光が円偏光に変換される。その結果、前記液晶セルに入射する光の波長分散性に起因する着色及びコントラストの低下が軽減され、高コントラストな表示が可能となる。
【実施例】
【0066】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0067】
(実施例1)
前記固有複屈折値が負である材料として、ポリスチレン(新日鉄化学製、HRM2211L)を用い、前記固有複屈折値が正である材料として、ノルボルネン樹脂(ジェイエスアール社製、アートン)を用い、両者を重量比で23:77(ポリスチレン:ノルボルネン樹脂)でブレンドし、これを塩化メチレン溶液に溶解して塗布溶液を調製した。
【0068】
尚、波長450nm、波長550nmにおけるレターデーション(Re)の絶対値をそれぞれRe(450)、Re(550)としたとき、ノルボルネン樹脂の(Re(450)/Re(550))の値は1.01であり、ポリスチレンの(Re(450)/Re(550))の値は1.05であり、両値は同一ではなく、その差は0.04である。
【0069】
前記塗布溶液の粘度を9.8Pa・s(98ポイズ)とし、この塗布溶液をガラス板上にドクターブレードを用いて流延し、乾燥して、厚みが107μmである透明フィルムを形成した。この透明フィルムを150℃で13%一軸延伸して複屈折フィルムを得た。この複屈折フィルムについて、レターデーション測定器(王子計測社製、KOBRA21DH)を用いて、そのRe値の波長分散を計測した。その結果を図2に示した。
図2に示すように、該複屈折フィルムは、そのRe値が可視光全域において(Re/波長)値がほぼ0.25であり、広帯域で1/4波長板特性を示す位相差板であった。また、この位相差板の光弾性率を日本分光製「M−150」を用いて測定したところ、13ブルースターであった。
【0070】
(比較例1)
実施例1において、ノルボルネン樹脂を使用せず、塗布溶液の粘度を8.9Pa・sとし、透明フィルムを140℃で5%一軸延伸した以外は、実施例1と同様にして複屈折フィルムを作製し、実施例1と同様にRe値の波長分散を計測した。その結果を図2に示した。
図2に示すように、該複屈折フィルムは、(Re/波長)値が0.2〜0.3の範囲から外れていた。
【0071】
(比較例2)
実施例1において、ポリスチレンを使用せず、塗布溶液の粘度を13.2Pa・sとし、透明フィルムを155℃で25%一軸延伸した以外は、実施例1と同様にして複屈折フィルムを作製し、実施例1と同様にRe値の波長分散を計測した。その結果を図2に示した。
図2に示すように、該複屈折フィルムは、(Re/波長)値が0.2〜0.3の範囲から外れていた。
【0072】
(実施例2)
実施例1で得た位相差板と、偏光板とを、該位相差板の遅相軸と、該偏光板の透過軸とが45°の交差角で交差するようにして貼合させた。この貼合体について、レターデーション測定器(王子計測社製、KOBRA21DH)を用いて、そのRe値の波長分散を計測した。その結果を図3に示した。
図3に示すように、該貼合体は、そのRe値が可視光全域において(Re/波長)値がほぼ0.25であり、広帯域で1/4波長特性を示す円偏光板であった。また、貼合体は、中央部および端部においてほぼ均一なRe値を示し、端部における白色化等は生じていなかった。
【0073】
(比較例3)
実施例2において、前記位相差板を、比較例1で作製した複屈折フィルムに代えた以外は、実施例2と同様にした。
図3に示すように、該複屈折フィルムは、(Re/波長)値が0.2〜0.3の範囲から外れていた。
【0074】
(比較例4)
実施例2において、前記位相差板を、比較例2で作製した複屈折フィルムに代えた以外は、実施例2と同様にした。
図3に示すように、該複屈折フィルムは、(Re/波長)値が0.2〜0.3の範囲から外れていた。
【0075】
(実施例3)
任天堂(株)製「ゲームボーイカラー」を分解し、観察者側の偏光板及び位相差板を取外し、これに代えて実施例2の円偏光板を装着させて、反射型液晶表示装置を作製した。その結果、この反射型液晶表示装置においては、白表示の鮮明な表示が得られた。また、白表示は、端部から中央部の全領域にかけて、均一で鮮明な表示であった。
【0076】
(比較例5)
実施例3において、前記位相差板を、比較例2で作製した複屈折フィルムに代えた以外は、実施例3と同様にした。その結果、この反射型液晶表示装置では、白表示が黄味がかり黒表示も光漏れが多く、コントラスト、色味共に表示状態が良好でなかった。
【0077】
(比較例6)
実施例3において、前記位相差板を、比較例3で作製した複屈折フィルムに代えた以外は、実施例3と同様にした。その結果、この反射型液晶表示装置では、白表示が黄味がかり黒表示も光漏れが多く、コントラスト、色味共に表示状態が良好でなかった。
【0078】
(参考例1)
固有複屈折値が正の樹脂として、シクロオレフィン系ノルボルネン樹脂(商品名「ゼオノア1420R」;日本ゼオン社製)、固有複屈折値が負の樹脂として、ポリスチレン(商品名「HF−77」;エーアンドエムスチレン社製)を使用した。これらの樹脂については、予め窒素パージ下で乾燥させ、水分量を低下させたものを使用した。
尚、波長450nm、波長550nmにおけるレターデーション(Re)の絶対値をそれぞれRe(450)、Re(550)としたとき、前記シクロオレフィン系ノルボルネン樹脂の(Re(450)/Re(550))の値は1.005であり、前記ポリスチレンの(Re(450)/Re(550))の値は1.080であり、両値は同一ではなく、その差は0.075である。
【0079】
図4に示す構成の装置20を用いた。該装置は、東洋精機製の「LABO PLASTOMILI」であり、ダイス22は幅250mmであった。ダイス22には押出し機24、26の2台が取り付けられ、押出し機24および押出し機26に格納された樹脂ホッパーが、ダイス22内部で合流する構造となっている。押出し機26には2つの開口部があり、ダイス22内部では、押出し機24から押出された樹脂ホッパー1を中心として、押出し機26の2つの開口部から押出された樹脂ホッパー2が樹脂ホッパー1の両側から合流する構造となっている。ダイス22の内部構造を図5に示した。また、ダイス22の下部には、ロール28、30、32が配置され、ダイス22から押出された3層構造のフィルム34の厚みを調整可能に構成されている。
【0080】
押出し機24に前記ポリスチレンのホッパーを、押出し機26に前記ノルボルネン樹脂のホッパーを格納し、ノルボルネン樹脂/ポリスチレン/ノルボルネン樹脂からなる3層構造の溶融成形フィルム34を作製した。積層フィルム34の厚みに関しては、ロール28、30、32の周速制御により調整を試みた。最終厚みが100μmを目標としてロール18、20、22の周速を決定したところ、実際の102μmの厚みの積層フィルムが得られた。
成形条件を下記表1に示す。尚、下記表1中の記号の意味を以下に示す。
C1〜C3 : 押出し機のシリンダ温度(C1ホッパ下)
D : ダイ(リップ)温度
【0081】
【表1】

【0082】
得られた積層フィルムを95℃の雰囲気で、19%および39%の延伸処理を施し、延伸フィルムを各々得た。得られた19%延伸フィルムおよび39%延伸フィルムについて、Reの波長依存性を王子計測製「KOBRA 21DH」にて各々測定した。その結果を図6に示した。図6に示す結果から、19%延伸フィルムは、可視光全域にわたってReが波長の1/4を示す広帯域1/4波長板特性を有していることがわかった。また、図6に示す結果から、39%延伸フィルムは、可視光全域にわたってReが波長の1/2を示す広帯域1/2波長板特性を有していることがわかった。また、得られた各々の積層フィルムについて光弾性率を日本分光製「M−150」を用いて測定したところ、どちらも8ブルースターであった。
【0083】
(参考例2)
固有複屈折値が正の樹脂として、シクロオレフィン系ノルボルネン樹脂(商品名「ゼオノア1420R」;日本ゼオン社製)、固有複屈折値が負の樹脂として、スチレン系無水マレイン酸共重合樹脂(ノバケミカル製、「ダイラークD332」)を使用した。これらの樹脂については、予め窒素パージ下で乾燥させ、水分量を低下させたものを使用した。
尚、波長450nm、波長550nmにおけるレターデーション(Re)の絶対値をそれぞれRe(450)、Re(550)としたとき、前記シクロオレフィン系ノルボルネン樹脂の(Re(450)/Re(550))の値は1.005であり、前記スチレン無水マレイン酸共重合樹脂の(Re(450)/Re(550))の値は1.069であり、両値は同一ではなく、その差は0.064である。
【0084】
図4に示す構成の装置20を用いた。該装置は、東洋精機製の「LABO PLASTOMILI」であり、ダイス22は幅250mmであった。ダイス22には押出し機24、26の2台が取り付けられ、押出し機24および押出し機26に格納された樹脂ホッパーが、ダイス22内部で合流する構造となっている。押出し機26には2つの開口部があり、ダイス22内部では、押出し機24から押出された樹脂ホッパー1を中心として、押出し機26の2つの開口部から押出された樹脂ホッパー2が樹脂ホッパー1の両側から合流する構造となっている。ダイス22の内部構造を図5に示した。また、ダイス22の下部には、ロール28、30、32が配置され、ダイス22から押出された3層構造のフィルム34の厚みを調整可能に構成されている。
【0085】
押出し機24に前記スチレン無水マレイン酸共重合樹脂のホッパーを、押出し機26に前記ノルボルネン樹脂のホッパーを格納し、ノルボルネン樹脂/スチレン無水マレイン酸共重合樹脂/ノルボルネン樹脂からなる3層構造の溶融成形フィルム34を作製した。積層フィルム34の厚みに関しては、ロール28、30、32の周速制御により調整を試みた。最終厚みが150μmを目標としてロール18、20、22の周速を決定したところ、実際の102μmの厚みの積層フィルムが得られた。
【0086】
得られた積層フィルムを120℃の雰囲気で、65%の延伸処理を施し、3層構成の延伸フィルムを得た。得られた延伸フィルムの概略断面図を図7に示す。得られた延伸フィルム50は、スチレン無水マレイン酸共重合体からなる層54が、2つのノルボルネン樹脂からなる層52に挟持された構造であった。厚みは、ノルボルネン樹脂の層52/スチレン無水マレイン酸共重合樹脂の層54/ノルボルネン樹脂の層52が36μm/39μm/38μmであった。得られた延伸フィルムについて、Reの波長依存性を王子計測製「KOBRA 21DH」にて各々測定した。その結果を図8に示した。図8に示す結果から、可視光全域にわたってReが波長の1/4を示す広帯域1/4波長板特性を有していることがわかった。また、得られた各々の積層フィルムについて光弾性率を日本分光製「M−150」を用いて測定したところ、3ブルースターであった。
【0087】
(比較例7)
上記表1に示した成形条件で、参考例1で用いたシクロオレフィン系ノルボルネンを使用して、参考例1と同様にして単層フィルムを作製した。得られたフィルムの厚みは103μmであった。
得られた単層フィルムを130℃の条件で28%延伸し、延伸フィルムを得た。実施例4と同様にして、Reの波長依存性を測定したところ、延伸フィルムは広帯域1/4波長板の特性を示さなかった。結果を図9に示す。
(比較例8)
上記表1に示した成形条件で、参考例1で用いたポリスチレンを使用し、参考例1と同様にして、単層フィルムを作製した。得られたフィルムの厚みは101μmであった。
得られた単層フィルムを100℃の条件で18%延伸し、延伸フィルムを得た。実施例4と同様にして、Reの波長依存性を測定したところ、延伸フィルムは広帯域1/4波長板の特性を示さなかった。結果を図9に示す。
【符号の説明】
【0088】
10 位相差板
12 固有複屈折値が正の樹脂からなる層
14 固有複屈折値が負の樹脂からなる層
20 押出し装置
22 ダイス
24、26 押出し機
28、30、32 ロール
34 3層積層フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固有複屈折値が正である材料と固有複屈折値が負である材料とを含有してなり、
前記固有複屈折値が負である材料がポリスチレンまたはポリスチレン系ポリマーであり、
前記ポリスチレン系ポリマーがスチレン及び/又はスチレン誘導体と、アクリルニトリル、無水マレイン酸、メチルメタクリレートおよびブタジエンから選ばれる少なくとも1種との共重合体であり、
波長450nm、550nmおよび650nmにおけるレターデーション値を各々Re(450)、Re(550)およびRe(650)としたとき、Re(450)<Re(550)<Re(650)であり、
溶融押出によって製造されたことを特徴とする位相差板。
【請求項2】
前記固有複屈折値が正である材料がノルボルネン系ポリマーである請求項1に記載の位相差板。
【請求項3】
前記ノルボルネン系ポリマーが、下記構造式(III)で表される繰り返し単位を有する請求項2に記載の位相差板。
【化1】


〔構造式(III)中、A、B、C及びDは、各々独立して、水素原子又は1価の有機基を表す。〕
【請求項4】
波長450nmおよび波長550nmにおけるレターデーション(Re)の絶対値をそれぞれRe(450)およびRe(550)としたとき、前記固有複屈折値が正である材料の(Re(450)/Re(550))の値と、前記固有複屈折値が負である材料の(Re(450)/Re(550))の値との差が、0.03以上である請求項1から3までのいずれかに記載の位相差板。
【請求項5】
波長450nm、波長550nmにおけるレターデーション(Re)値の絶対値をそれぞれRe(450)及びRe(550)としたとき、前記固有複屈折値が正である材料の(Re(450)/Re(550))の値と、前記固有複屈折値が負である材料の(Re(450)/Re(550))の値とが同一でなく、かつ
前記固有複屈折値が正である材料の(Re(450)/Re(550))の値が、前記固有複屈折値が負である材料の(Re(450)/Re(550))の値よりも大きいときは、前記固有複屈折値が正である材料のRe(550)の値が前記固有複屈折値が負である材料のRe(550)の値よりも小さいこと、及び、
前記固有複屈折値が正である材料の(Re(450)/Re(550))の値が、前記固有複屈折値が負である材料の(Re(450)/Re(550))の値よりも小さいときは、固有複屈折値が正である材料のRe(550)の値が固有複屈折値が負である材料のRe(550)の値よりも大きいこと、
の一方を満たす請求項1から4までのいずれかに記載の位相差板。
【請求項6】
光弾性が20ブルースター以下である請求項1から5までのいずれかに記載の位相差板。
【請求項7】
波長λにおけるレターデーションRe(λ)と波長λとが、λ=450nm、550nm、650nmにおいて、各々、下記関係式を満たす請求項1から6までのいずれかに記載の位相差板。
0.2 ≦ Re(λ)/λ ≦ 0.3
【請求項8】
波長λにおけるレターデーションRe(λ)と波長λとが、λ=450nm、550nm、650nmにおいて、各々、下記関係式を満たす請求項1から6までのいずれかに記載の位相差板。
0.4 ≦ Re(λ)/λ ≦ 0.6
【請求項9】
偏光板と、請求項8に記載の位相差板とを積層してなり、前記偏光板の偏光板透過軸と前記位相差板の遅相軸とが交差してなることを特徴とする1/2波長板。
【請求項10】
偏光板と、請求項7に記載の位相差板とを積層してなり、前記偏光板の偏光板透過軸と前記位相差板の遅相軸とが交差してなることを特徴とする円偏光板。
【請求項11】
前記偏光板透過軸と前記遅相軸とが30度以上60度以下の角度をなして交差している請求項9に記載の1/2波長板。
【請求項12】
前記偏光板透過軸と前記遅相軸とが30度以上60度以下の角度をなして交差している請求項10に記載の円偏光板。
【請求項13】
反射板、液晶セル及び偏光板をこの順に積層してなり、該反射板と該偏光板との間に請求項1から8までのいずれかに記載の位相差板を有することを特徴とする反射型液晶表示装置。
【請求項14】
請求項1から8までのいずれかに記載の位相差板を製造する方法であって、
前記固有複屈折値が正である材料と前記固有複屈折値が負である材料とを含む配合物を作製する工程と、
作製された配合物を溶融押出する工程と、
を有する位相差板の製造方法。

【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−208502(P2012−208502A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−121392(P2012−121392)
【出願日】平成24年5月28日(2012.5.28)
【分割の表示】特願2009−137747(P2009−137747)の分割
【原出願日】平成12年8月7日(2000.8.7)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】