説明

位相誤差検出回路と位相同期ループ回路、それを利用した情報再生装置

【課題】 クロック再生PLL回路において、入力信号のDCレベル変動に影響を受けることなく、位相同期特性を安定化する位相誤差検出回路を提供する。
【解決手段】 光ピックアップ回路2により光ディスク媒体1から読み出され、前置等化回路20で等化された再生信号は、A/D変換器3によりデジタル化され、DC帰還回路6でDC成分が除去され、PR等化回路4で所定のPR信号に等化され、最尤復号回路5により復号される。位相誤差検出回路7は、DC帰還回路6の出力信号を受け、位相誤差検出信号とDC誤差検出信号を出力する。位相誤差検出信号は、ループフィルタ8、D/A変換器9を介して、VCO10に入力され、その出力信号であるクロックの位相を再生信号に同期させる。一方、DC誤差検出信号は、DC帰還回路6に入力され、その出力信号からDC成分を除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーシャルレスポンス最尤復号(Partial Response Maximum Likelihood:以後、「PRML」と略記する)方式を用いる情報再生システムに係り、特に、同期信号生成のための位相誤差検出回路、この位相誤差検出回路を用いた位相同期ループ(Phase Locked Loop:以後、「PLL」と略記する)回路、およびこのPLL回路を用いた情報再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、ハードディスク装置や光ディスク装置に代表される情報再生装置では、例えば、以下の特許文献1により知られるように、その記録媒体上にデジタル化された記録情報を読み出す際、アナログ信号として検出される検出信号を所定のクロックで入力し、A/D変換することにより読み出すが、読み出し信号の位相誤差をFDTS(Fixed Delay Tree Search)アルゴリズムに従って検出し、その位相誤差信号に基づいてVCO(Voltage Controlled Oscillator)の発振周波数を制御することにより、クロックの位相をデータと同期させるようにしている。
【0003】
【特許文献1】特開2002−25201号公報(第5頁、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来技術の装置では、上記VCOの発振を制御する位相誤差検出器は、サンプリングされた信号のサンプリングタイミングと、本来、期待される正しいサンプリングタイミングの位相誤差を検出するものではあるが、読み出し信号の中心レベル、言換えれば直流(DC)レベルの変動に対して配慮されていなかった。即ち、上記の従来技術になる装置では、理想のPR特性(DCレベルが零)しか考慮されていなかった。
【0005】
ところで、上述した情報再生装置である、例えば、光ディスク装置では、その記録媒体上にデジタル化された記録情報を読み出す際、LED等の発光源から射出された光を記録媒体の表面に照射し、その反射光を、フォトトランジスタなどの受光素子から構成されるピックアップで検出し、これをA/D変換することにより読み出すが、その際、光ディスク装置の経時変化やそれを駆動する電源レベルなどによって、ピックアップにより検出されるアナログ信号も、また、そのDCレベルが変動してしまう。そのため、この変動するDCレベルを原因として、その後、所定のサンプリングタイミング(再生クロック)で行われるA/D変換を含む信号処理において、位相誤差検出の結果により影響を受け、結果的に位相同期特性が劣化し、もって、クロックのジッタが増大するという問題があった。
【0006】
即ち、上記従来になる装置では、サンプリングタイミングの位相誤差を検出して、再生のためのタイミング(再生クロック)を正しく制御することは行われているが、しかしながら、DCレベルの変動については全く考慮されておらず(即ち、理想のPR特性(DCレベルが零)しか考慮されていない)、そのため、例えば、入力されるアナログ信号のDCレベルが変動した場合、信号処理のためのサンプリングタイミング(再生クロック)を正しく制御することが出来ないという問題があった。
【0007】
そこで、本発明では、上記に詳述した従来技術における問題点に鑑み、検出したアナログ信号を所定のサンプリングタイミング(再生クロック)でアナログ信号に変換して処理を行う情報再生装置において、単に、サンプリングタイミングの位相誤差だけではなく、さらには、DCレベルの変動をも考慮し、もって、より好適な位相同期特性を得ることが可能な位相誤差検出回路、そして、この位相誤差検出回路を用いた位相同期ループ回路を提供し、更には、このPLL回路を用いた情報再生装置を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
なお、上記の目的を達成するため、本発明によれば、まず、アナログ入力信号に、所定のクロックでサンプリングを行ってアナログ/デジタル変換したデジタル信号を受け、当該クロックの位相誤差を検出する回路であって、当該デジタル入力信号に基づいて、前記アナログ入力信号に対するサンプリングの位相誤差を検出する手段と、当該デジタル入力信号に基づいて、前記アナログ入力信号の直流成分の変動を検出する手段とを備えた位相誤差検出回路が提供されている。
【0009】
また、本発明によれば、より具体的には、所定のクロックでアナログ/デジタル変換された入力信号を受け、該クロックの位相誤差を検出する回路であって、該入力信号と、該入力信号を1サンプル時間だけ遅延させた信号とを加算する手段と、該入力信号と該遅延信号との符号変化を検出する手段と、該符号変化検出手段の結果に基づいて、該加算手段の結果を出力する第1の手段と、該第1の手段の出力信号の符号を反転させる手段と、該入力信号の符号に応じて、該第1の手段あるいは該反転手段の出力信号を選択し、出力する第2の手段とを備えた位相誤差検出回路が提供されている。
【0010】
さらに、本発明によれば、入力信号を所定のクロックでアナログ/デジタル変換する手段と、該アナログ/デジタル変換手段の出力信号の直流レベルを制御する手段と、該直流レベル制御手段の出力信号を受け、該クロックの位相誤差を検出する手段と、該位相誤差検出手段の出力信号により制御され、該クロックを出力する発振手段と、該直流レベル制御手段の出力信号を受け、その直流レベルを検出する手段とを備え、該直流レベル制御手段は、該直流レベル検出手段の出力信号により制御され、該位相誤差検出手段および該直流レベル検出手段に、前記の位相誤差検出回路を用いた位相同期ループ回路が提供されている。
【0011】
加えて、本発明によれば、記録媒体に記録されたデジタル情報を読み出す手段と、該読出し手段の出力信号を所定のクロックでアナログ/デジタル変換する手段と、該アナログ/デジタル変換手段の出力信号の直流レベルを制御する手段と、該直流レベル制御手段の出力信号を等化する手段と、該等化手段の出力信号を最尤復号する手段と、該直流レベル制御手段または該等化手段の出力信号を受け、該クロックの位相誤差を検出する手段と、該位相誤差検出手段の出力信号により制御され、該クロックを出力する発振手段と、該直流レベル制御手段または該等化手段の出力信号を受け、その直流レベルを検出する手段とを備え、該直流レベル制御手段は、該直流レベル検出手段の出力信号により制御され、該位相誤差検出手段および該直流レベル検出手段に、前記の位相誤差検出回路を用いた情報再生装置が提供されている。
【0012】
そして、本発明によれば、記録媒体に記録されたデジタル情報を読み出す手段と、該読出し手段の出力信号を所定のクロックでアナログ/デジタル変換する手段と、該アナログ/デジタル変換手段の出力信号を等化する手段と、該等化手段の出力信号を最尤復号する手段とを備え、該アナログ/デジタル変換手段に、前記の位相同期ループ回路を用いた情報再生装置が提供されている。
【0013】
即ち、本発明による位相誤差検出回路は、デジタル化された読み出し信号の1サンプル前後の平均値を演算し、符号変化点でのみその演算結果を出力するDC誤差検出手段と、DC誤差信号と読み出し信号の符号から位相誤差を演算する位相誤差検出手段とを備えたことを特徴とする。
【0014】
さらに、本発明によるPLL回路は、上記位相誤差信号に基づいてVCOを制御するとともに、上記DC誤差信号を積分して読み出し信号から減算することによりDCレベルの変動を打ち消すように構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
以上の本発明になる位相誤差検出回路によれば、入力信号のDCレベルと位相誤差とを、それぞれ、独立に検出することが可能となり、それぞれ独立した帰還ループを構成することが可能な位相同期ループ回路を提供することが出来、更には、これを利用することによれば、DCレベル変動に関係なく、位相同期特性の安定な情報再生装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明になる実施の形態について、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
まず、図1は本発明による情報再生装置の一実施例を示す構成図である。この図1において、符号1は光ディスク媒体を、2は光ピックアップ回路を、3はA/D変換器を、4はPR等化回路を、5は最尤復号回路を、6はDC帰還回路を、7は位相誤差検出回路を、8はループフィルタを、9はD/A変換器を、10は電圧制御発振器(VCO)を、11は前置等化回路を、20はサーボ回路を、30はシステム制御回路を、それぞれ、示している。
【0018】
なお、上記にその構成を示した情報再生装置では、光ピックアップ回路2は、光ディスク媒体1に記録された情報を、レーザー光を集光して媒体上に照射し、その反射光量あるいは偏向を検出し再生する。このとき、サーボ回路20はフォーカス方向とトラック方向に正確に追従させる。光ピックアップ回路2により読み出された再生信号は、前置等化回路11で等化された後、A/D変換器3によりデジタル化される。そして、DC帰還回路6においてDC成分が除去され、PR等化回路4で所定のPR信号に等化され、その後、最尤復号回路5により復号される。そして、システム制御回路30はこれら一連の動作を制御するが、このことは従来と同様である。なお、上述したA/D変換器3、PR等化回路4、最尤復号回路5は、それぞれ、以下に示す電圧制御発振器(VCO)10により発生される再生クロックの位相に同期させてデータを処理する。
【0019】
そして、本発明では、上記の図1からも明らかなように、位相誤差検出回路7は、以下にその詳細を説明するDC帰還回路6からの出力信号を受け、位相誤差検出信号とDC誤差検出信号とを出力する。更に、これら出力信号のうち、位相誤差検出信号は、ループフィルタ8、D/A変換器9を介して、上記VCO10に入力されており、これにより、その出力信号であるクロックの位相を再生信号に同期させる。一方、DC誤差検出信号は、DC帰還回路6に入力されており、このDC帰還回路6からの出力信号からDC成分を除去するのに用いられる。
【0020】
図2は、上記に説明した本発明によるDC帰還回路6の一例の詳細な回路構成を示す構成図である。この図2において、符号601は減算器を、602、611、621はレジスタを、603、612、622は加算器を、613、623は減衰器を、614は振幅制限器を、それぞれ、示している。なお、図の回路構成からも明らかなように、上記レジスタ611と加算器は612、およびレジスタ621と加算器622は、それぞれ、積分回路を構成している。
【0021】
即ち、このDC帰還回路6の特徴は、図示した通り、帰還ループを二つ備えているという点にある。具体的には、第1のループは、上記DC帰還回路6からのメイン信号を受け、その信号を振幅制限器614で振幅制限した後、更に、減衰器613、加算器612、レジスタ611を介して、DCレベルとして帰還させるループである。また、第2のループは、上記位相誤差検出回路7からのDC誤差信号を受け、これを、減衰器623、加算器は622、レジスタ621を介して、DCレベルとして帰還させるループである。なお、これら第1のループ及び第2のループからの出力は、上記加算器603において加算された後、減算器601の「−」入力端子に入力され、もって、減算器601の「+」入力端子に入力される入力信号から減算する。
【0022】
尚、上記にその構成を説明したDC帰還回路6は、ここでは図示しないが、上記システム制御回路30(上記図1を参照)からのDC帰還制御信号を受け、これにより、その構成要素である減衰器613の係数「ND」や減衰器623の係数「NJ」が、更には、振幅制限器614の振幅制限値が設定される。
【0023】
また、上述したレジスタ611と加算器612からなる積分回路や、レジスタ621と加算器622からなる積分回路の動作を制御することによれば、DC帰還ループを開閉することが可能である。例えば、サーボ動作の途中やサーボが外れた場合、あるいは、トラックジャンプした場合には、DC帰還回路6は、システム制御回路30からのDC帰還制御信号を受け、DC帰還ループを開放する。即ち、これによれば、異常信号入力での内部DCレベルの暴れを防止することができる。
【0024】
更に、図3は本発明による位相誤差検出回路7の一例の詳細な回路構成を示す構成図である。この図3において、符号720はレジスタを、711、721は2値化回路を、712は加算器を、713はモデュロ2の加算器を、714、716はスイッチ回路を、715は極性反転回路を、それぞれ、示している。
【0025】
即ち、本発明による位相誤差検出回路7では、上述した構成において、レジスタ720は入力信号X(δ,τ)を1ビット(1クロック期間)だけ遅延させ、遅延信号Xn−1(δ,τ)を出力する。2値化回路711、721は、それぞれ、入力信号X(δ,τ)及び遅延信号Xn−1(δ,τ)を極性符号「0(+)」と「1(−)」の2値化信号Y、Yn−1に変換する。尚、実際の2値化回路711、721では、入力信号X(δ,τ)及び遅延信号Xn−1(δ,τ)が2’sコンプリメンタリ形式の場合には、その最上位ビット(MSB)がそのまま2値化信号Y、Yn−1となるため、回路構成の簡略化を図ることができる。
【0026】
続いて、加算器712は入力信号X(δ,τ)とXn−1(δ,τ)とを加算する。一方、モデュロ2の加算器713は、2値化信号YnとYn−1とを、2を法として加算し、もって、選択制御信号Zを出力する。即ち、入力信号X(δ,τ)の極性変化点(2値化信号Yの符号変化点)を検出し、尚、実際のモデュロ2の加算器731は、2値化信号Xn(τ)が符号「0」、「1」に対応しているので、排他的論理和(Ex−OR)回路で構成される。
【0027】
そして、スイッチ回路714は、上記の選択制御信号Zを受け、以下の(数1)に示す式で表されるDC誤差信号S(δ)を出力する。
【0028】
【数1】

【0029】
そして、スイッチ回路716は、2値化信号Yを受け、以下の(数2)に示す式で表される位相誤差信号E(τ)を出力する。
【0030】
【数2】

【0031】
尚、上記図3の例では、上記(数1)における「2」で除算する処理を省略しているが、しかしながら、「2」による除算処理を省略した場合、利得が2倍となるだけであり、基本動作は変わらない。
【0032】
続いて、添付の図4、図5及び図6は、上記にその詳細な回路構成を説明した本発明になる位相誤差検出回路7の動作を説明するためのアナログ入力信号X(δ,τ)の波形を示している。なお、これらの図において、黒丸(●)は実際のサンプリング点を、そして、白丸(○)は、その場合に、上記に説明した位相誤差検出回路7により得られたDC誤差信号S(δ)の検出点を示す。なお、上述したように、例えば、情報記録媒体である光ディスクの表面からの反射光又は透過光を受光する光ピックアップ回路2では、受光素子を構成するフォトトランジスタの経時変化やその駆動電源の変動などによって、その検出信号である上記入力信号X(δ,τ)が、そのDCレベルにおいて変動される。
【0033】
まず、図4はDCオフセットδ=0、位相オフセットτ=0の場合を示している。図から分かるように、この場合、DC誤差信号S(δ)は、位相誤差信号E(τ)と共に、0(零)となる。
【0034】
次に、図5はDCオフセットδ>0、位相オフセットτ=0の場合を示している。この場合、DC誤差信号S(δ)は、図からわかるように、S(δ)=δとなり、上記の位相誤差検出回路7からは、このDCオフセットδに比例した誤差信号が出力される。一方、この時、位相誤差信号E(τ)としては、入力信号X(δ,τ)の傾きに応じた振幅を有し、交互に極性が反転する信号、E(τ)=±δが出力される。従って、その平均値は0(零)となる。なお、以上では、DCオフセットδ>0の場合についてのみ説明したが、しかしながら、DCオフセットδ<0の場合も同様であり、この場合、S(δ)=δ<0となるが、位相誤差信号は、やはり、E(τ)=0となる。
【0035】
更に、図6はDCオフセットδ=0、位相オフセットτ>0の場合を示している。この場合、DC誤差信号S(δ)は、入力信号X(δ,τ)の傾きに応じた振幅を有し、交互に極性が反転する信号、S(δ)=±εが出力され、上述したように、その平均値は0(零)となる。一方、位相誤差信号E(τ)は、入力信号X(δ,τ)の傾きに関係なく、E(τ)=εが出力されることとなる。なお、以上では、位相オフセットτ>0の場合を説明したが、位相オフセットτ<0の場合も同様であり、なお、この場合には、S(δ)=0、E(τ)=ε<0となる。
【0036】
以上に詳細に述べたように、本発明になる位相誤差検出回路7によれば、DCオフセットδと位相オフセットτとが混在する入力信号X(δ,τ)から、それぞれ独立に、DC誤差信号S(δ)と位相誤差信号E(τ)を検出することができる。その結果、本発明による位相同期ループ回路では、その中に独立したDC帰還ループを形成することによりDCオフセットを抑制することができ、位相オフセットも低く抑えることができる。
【0037】
また、上述した本発明になる位相誤差検出回路では、極性変化前後のサンプル値のみからDCおよび位相誤差を検出するので、これを利用した位相同期ループ回路では、入力信号の上下(正負)が非対称であっても、DCオフセット、位相オフセットを低く抑えることができる。
【0038】
尚、上述の実施例では、D、C帰還用メイン信号としてDC帰還回路6自身の出力信号、即ち、PR等化回路4の入力信号を用いたが、その出力信号を用いても良い。また、上記の実施例では、前置等化回路20を、A/D変換器3の前段に配する例を示したが、本発明ではかかる構成に限定されることなく、例えば、この前置等化回路20を、A/D変換器3の後段に配置しても良い。なお、以下には、かかる構成を採用した他の実施例について述べる。
【0039】
図7は、本発明による情報再生装置の他の実施例を示す構成図である。本実施例が図1の実施例と異なる点は、図からわかるように、前置等化回路20を削除し、メイン信号及び位相誤差検出回路7の入力信号をPR等化回路4の出力信号とした点にあり、位相誤差検出及びDC帰還動作は同じである。これにより、前置等化回路20というアナログ処理回路が不要となり、回路構成が簡略化できる効果がある。
【0040】
図8は、本発明による情報再生装置の更に他の実施例を示す構成図である。図8において、12はスイッチ回路を示し、その他、図1、図7と同一符号は同一物を示す。本実施例の特徴は、スイッチ回路12がシステム制御回路30により制御され、位相誤差検出回路7の入力信号を切換えられるようにした点にある。
【0041】
なお、上記の更に他の実施例によれば、例えば、初期の引込み動作時、或いは、サーボが外れた場合、トラックジャンプした場合などの再引込み動作時においては、位相誤差検出回路7の入力信号をPR等化回路4の入力信号として、同期確立や同期回復までの時間を短縮する。その後、位相誤差検出回路7の入力信号をPR等化回路4の出力信号に切換え、位相同期性能の安定化を図ることが出来る。このように、位相誤差検出回路7の入力信号を切換えることにより、同期時間の短縮と同期性能の安定の両立が可能となる。
【0042】
以上に詳述したように、本発明になる位相誤差検出回路と位相同期ループ回路、更には、それを利用した情報再生装置によれば、アナログ入力信号のDCレベル変動や非対称性による影響を受けることなく、安定した位相同期特性が得られ、特に、光ディスクの再生装置に好適に適用することが出来る。
【0043】
なお、上述した本発明の各実施の形態は、本発明の説明のための例示であり、従って、本発明の範囲を実施形態にのみ限定する趣旨ではない。また、当業者は、本発明の要旨を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明による情報再生装置の一実施例を示す構成図である。(実施例1)
【図2】本発明によるDC帰還回路の一実施例を示す構成図である。
【図3】本発明による位相誤差検出回路の一実施例を示す構成図である。
【図4】本発明による位相誤差検出回路の動作を示す波形図である。
【図5】本発明による位相誤差検出回路のDCオフセット時の動作を示す波形図である。
【図6】本発明による位相誤差検出回路の位相オフセット時の動作を示す波形図である。
【図7】本発明による情報再生装置の他の実施例を示す構成図である。(実施例2)
【図8】本発明による情報再生装置のさらに他の実施例を示す構成図である。(実施例3)
【符号の説明】
【0045】
1…光ディスク媒体、2…光ピックアップ回路、3…A/D変換器、4…PR等化回路、5…最尤復号回路(ビタビ復号回路)、6…DC帰還回路、601……減算器、602、611、621…レジスタ、603、612、622…加算器、613、623…減衰器、614…振幅制限器、7…位相誤差検出回路、711、721…2値化回路、712…加算器、713…モデュロ2の加算器、排他的論理和(Ex−OR)回路、714、716…スイッチ回路、715…極性反転回路、720…レジスタ、8……ループフィルタ、
9……D/A変換器、10…電圧制御発振器(VCO)、11…前置等化回路、12…スイッチ回路、20…サーボ回路、30…システム制御回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アナログ入力信号に所定のクロックでサンプリングを行って、アナログ/デジタル変換したデジタル信号を受け、当該クロックの位相誤差を検出する回路であって、
当該デジタル入力信号に基づいて、前記アナログ入力信号に対するサンプリングの位相誤差を検出する手段と、
当該デジタル入力信号に基づいて、前記アナログ入力信号の直流成分の変動を検出する手段とを備えたことを特徴とする位相誤差検出回路。
【請求項2】
所定のクロックでアナログ/デジタル変換された入力信号を受け、該クロックの位相誤差を検出する回路であって、
該入力信号と、該入力信号を1サンプル時間だけ遅延させた信号とを加算する手段と、
該入力信号と該遅延信号との符号変化を検出する手段と、
該符号変化検出手段の結果に基づいて、該加算手段の結果を出力する第1の手段と、
該第1の手段の出力信号の符号を反転させる手段と、
該入力信号の符号に応じて、該第1の手段あるいは該反転手段の出力信号を選択し、出力する第2の手段とを備えたことを特徴とする位相誤差検出回路。
【請求項3】
入力信号を所定のクロックでアナログ/デジタル変換する手段と、
該アナログ/デジタル変換手段の出力信号の直流レベルを制御する手段と、
該直流レベル制御手段の出力信号を受け、該クロックの位相誤差を検出する手段と、
該位相誤差検出手段の出力信号により制御され、該クロックを出力する発振手段と、
該直流レベル制御手段の出力信号を受け、その直流レベルを検出する手段とを備え、
該直流レベル制御手段は、該直流レベル検出手段の出力信号により制御され、
該位相誤差検出手段および該直流レベル検出手段に請求項1に記載の位相誤差検出回路を用いたことを特徴とする位相同期ループ回路。
【請求項4】
入力信号を所定のクロックでアナログ/デジタル変換する手段と、
該アナログ/デジタル変換手段の出力信号の直流レベルを制御する手段と、
該直流レベル制御手段の出力信号を受け、該クロックの位相誤差を検出する手段と、
該位相誤差検出手段の出力信号により制御され、該クロックを出力する発振手段と、
該直流レベル制御手段の出力信号を受け、その直流レベルを検出する手段とを備え、
該直流レベル制御手段は、該直流レベル検出手段の出力信号により制御され、
該位相誤差検出手段および該直流レベル検出手段に請求項2に記載の位相誤差検出回路を用いたことを特徴とする位相同期ループ回路。
【請求項5】
記録媒体に記録されたデジタル情報を読み出す手段と、
該読出し手段の出力信号を所定のクロックでアナログ/デジタル変換する手段と、
該アナログ/デジタル変換手段の出力信号の直流レベルを制御する手段と、
該直流レベル制御手段の出力信号を等化する手段と、
該等化手段の出力信号を最尤復号する手段と、
該直流レベル制御手段または該等化手段の出力信号を受け、該クロックの位相誤差を検出する手段と、
該位相誤差検出手段の出力信号により制御され、該クロックを出力する発振手段と、
該直流レベル制御手段または該等化手段の出力信号を受け、その直流レベルを検出する手段とを備え、
該直流レベル制御手段は、該直流レベル検出手段の出力信号により制御され、
該位相誤差検出手段および該直流レベル検出手段に請求項1又は2に記載の位相誤差検出回路を用いたことを特徴とする情報再生装置。
【請求項6】
記録媒体に記録されたデジタル情報を読み出す手段と、
該読出し手段の出力信号を所定のクロックでアナログ/デジタル変換する手段と、
該アナログ/デジタル変換手段の出力信号を等化する手段と、
該等化手段の出力信号を最尤復号する手段とを備え、
該アナログ/デジタル変換手段に請求項3又は4に記載の位相同期ループ回路を用いたことを特徴とする情報再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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