説明

位相誤差検出装置、波形整形装置及び光ディスク装置

【課題】安定して再生クロック信号を生成することができる位相誤差検出装置、波形整形装置及び光ディスク装置を提供する。
【解決手段】波形整形部108は、情報記録媒体101から再生されたアナログ再生信号から生成されたディジタル再生信号を受け取り、ディジタル再生信号の波形を整形し、最尤復号部111は、波形が整形されたディジタル再生信号を最尤復号し、最尤復号の結果を示す2値化信号を生成し、位相検出部112は、最尤復号において、ある状態から分岐した1組のパスが合流する複数の合流点の差メトリックのうち、ゼロクロス点が1つのみである状態遷移パターンを用いて位相誤差を抽出し、同期検出部115は、検出された位相誤差を用いて再生クロック信号を生成し、生成した再生クロック信号にディジタル再生信号を同期させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学的な分解能を超えて記録された信号を再生するための位相誤差検出装置、波形整形装置及び光ディスク装置に関し、特に、ビタビ復号等の最尤復号を用いて、再生信号に対して位相同期を行う位相誤差検出装置、波形整形装置及び光ディスク装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、光ディスクの高密度化により、記録の最短マーク長が光学的な分解能の限界に近づき、符号間干渉の増大及びSNR(Signal Noise Rate)の劣化がより顕著となり、信号処理方法として、PRML(Partial Response Maximum Likelihood)方式等を用いることが一般的になりつつある。PRML方式は、パーシャルレスポンス(PR)と最尤復号(ML)とを組み合わせた技術であり、既知の符号間干渉が起こることを前提に再生波形から最も確からしい信号系列を選択する方式のため、従来のレベル判定方式よりも性能が向上することが知られている。
【0003】
一方、信号処理方式が、レベル判定方式からPRML方式へ移行することで、再生信号の評価方法に課題が出てきた。従来から用いられてきた再生信号評価指標であるジッタは、レベル判定方式の信号処理を前提としている。そのため、ジッタは、レベル判定方式とは信号処理のアルゴリズムが異なるPRML方式の性能とに相関がない場合が出てきた。そこで、PRML方式の性能と相関のある新たな指標が各種提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、光ディスクの記録品質に非常に重要な、マークとスペースとの位置ずれ(エッジずれ)を検出することができる新たな指標も提案されている。この指標もPRML方式を用いる場合は、PRML方式の考え方に則し、PRMLの性能と相関のあるものであり、かつ、パターンごとのエッジのずれ方向と量とを定量的に表現できなければならない(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
また、光ディスクの高密度化がさらに進むと、さらに符号間干渉及びSNR劣化が増大する。この場合、高次のPRML方式を採用することにより、システムマージンを維持することが可能となる。例えば、直径が12cmであり、1層当たりの記録容量が25GBである光ディスクでは、PR1221ML方式を採用することで、システムマージンを維持することができたが、1層当たりの記録容量が33.3GBである光ディスクでは、PR12221ML方式を採用する必要がある。このように、高密度化に比例して、高次のPRML方式を採用する傾向は続くと予想される。
【特許文献1】特開2003−141823号公報
【特許文献2】特開2004−335079号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
記録線密度の向上に対応させて、符号間干渉に適切な高次のPRML方式を採用することは、再生波形の振幅レベルの識別分解能を上げ、符号間干渉の影響から再生信号を識別するために、より長い区間の波形のパターンを用いて、再生波形を認識する方式にすると言うことができる。例えば、PR12221ML方式が、PR1221ML方式よりも高次のPRML方式になる。よって、記録線密度を向上させることによる符号間干渉の影響に対して、伝送路に応じて適切なPRML方式を選択することで、再生性能を確保することができる。
【0007】
光ディスク記録再生装置は、再生時に再生信号に同期する再生クロック信号を生成して、その再生クロック信号に同期しながら、再生信号を2値のディジタル信号に復調する必要がある。一般的に、再生クロック信号に関する情報は、記録マークのエッジに含まれており、光ディスク記録再生装置は、エッジの進みまたは遅れに関する位相情報を検出して、再生クロック信号を生成していた。しかしながら、例えば、光学的な分解能を越えるような記録線密度で記録された信号を再生する場合、符号間干渉の影響により、エッジに含まれる位相情報を適切に検出できず、再生クロック信号を生成することができない場合があった。
【0008】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、安定して再生クロック信号を生成することができる位相誤差検出装置、波形整形装置及び光ディスク装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一局面に係る位相誤差検出装置は、情報記録媒体から再生されたアナログ再生信号から生成されたディジタル再生信号を受け取り、前記ディジタル再生信号の波形を整形する波形整形部と、前記波形整形部によって波形が整形された前記ディジタル再生信号を最尤復号し、前記最尤復号の結果を示す2値化信号を生成する最尤復号部と、前記波形整形部によって波形が整形された前記ディジタル再生信号と、前記最尤復号部によって生成された前記2値化信号とに基づいて位相誤差を検出する位相検出部と、前記位相検出部によって検出された前記位相誤差を用いて再生クロック信号を生成し、生成した前記再生クロック信号に前記ディジタル再生信号を同期させる同期検出部とを備え、前記位相検出部は、前記最尤復号において、ある状態から分岐した1組のパスが合流する複数の合流点の差メトリックのうち、ゼロクロス点が1つのみである状態遷移パターンを用いて前記位相誤差を抽出する。
【0010】
この構成によれば、波形整形部によって、情報記録媒体から再生されたアナログ再生信号から生成されたディジタル再生信号が受け取られ、ディジタル再生信号の波形が整形される。そして、最尤復号部によって、波形が整形されたディジタル再生信号が最尤復号され、最尤復号の結果を示す2値化信号が生成される。その後、位相検出部によって、波形が整形されたディジタル再生信号と、生成された2値化信号とに基づいて位相誤差が検出される。このとき、位相誤差は、最尤復号において、ある状態から分岐した1組のパスが合流する複数の合流点の差メトリックのうち、ゼロクロス点が1つのみである状態遷移パターンを用いて抽出される。そして、同期検出部によって、検出された位相誤差を用いて再生クロック信号が生成され、生成された再生クロック信号にディジタル再生信号が同期される。
【0011】
したがって、最尤復号において、ある状態から分岐した1組のパスが合流する複数の合流点の差メトリックのうち、ゼロクロス点が1つのみである状態遷移パターンを用いて位相誤差が抽出されるので、位相誤差を検出する精度が向上し、安定して再生クロック信号を生成することができる。
【0012】
また、上記の位相誤差検出装置において、空間周波数と信号振幅との関係は、光学伝達関数によって定義され、前記信号振幅は、前記空間周波数が高くになるに従ってほぼ直線的に低下し、前記信号振幅がゼロとなる再生の限界を前記光学伝達関数のカットオフ周波数と定義すると、前記情報記録媒体に記録された再生信号の最短マーク周波数は、前記光学伝達関数のカットオフ周波数の近傍であることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、空間周波数と信号振幅との関係は、光学伝達関数によって定義される。光学伝達関数において、信号振幅は、空間周波数が高くになるに従ってほぼ直線的に低下する。信号振幅がゼロとなる再生の限界を光学伝達関数のカットオフ周波数と定義すると、情報記録媒体に記録された再生信号の最短マーク周波数は、光学伝達関数のカットオフ周波数の近傍になる。
【0014】
したがって、最短マーク周波数が光学伝達関数のカットオフ周波数の近傍になるような記録線密度で記録された光ディスクを再生することができる。
【0015】
また、上記の位相誤差検出装置において、前記位相検出部は、前記最尤復号において、ある状態から分岐した1組のパスが合流する複数の合流点の差メトリックのうち、ゼロクロス点が1つのみである状態遷移パターンの中から、第1のサンプル時刻よりも入力信号の波形の歪みの影響を受けない第2のサンプル時刻におけるパーシャルレスポンス等化理想値を用いて前記位相誤差を抽出することが好ましい。
【0016】
この構成によれば、最尤復号において、ある状態から分岐した1組のパスが合流する複数の合流点の差メトリックのうち、ゼロクロス点が1つのみである状態遷移パターンの中から、第1のサンプル時刻よりも入力信号の波形の歪みの影響を受けない第2のサンプル時刻におけるパーシャルレスポンス等化理想値を用いて位相誤差が抽出される。
【0017】
したがって、第1のサンプル時刻よりも入力信号の波形の歪みの影響を受けない第2のサンプル時刻におけるパーシャルレスポンス等化理想値を用いて位相誤差を抽出することで、位相が大きくずれた場合でも、位相誤差を精度良く検出することができる。
【0018】
また、上記の位相誤差検出装置において、前記第1のサンプル時刻は、最初のサンプル時刻及び最後のサンプル時刻を含み、前記第2のサンプル時刻は、最初のサンプル時刻及び最後のサンプル時刻以外のサンプル時刻を含み、前記位相検出部は、前記最尤復号において、ある状態から分岐した1組のパスが合流する複数の合流点の差メトリックのうち、ゼロクロス点が1つのみである状態遷移パターンの中から、最初のサンプル時刻及び最後のサンプル時刻以外のサンプル時刻におけるパーシャルレスポンス等化理想値を用いて前記位相誤差を抽出することが好ましい。
【0019】
この構成によれば、最尤復号において、ある状態から分岐した1組のパスが合流する複数の合流点の差メトリックのうち、ゼロクロス点が1つのみである状態遷移パターンの中から、最初のサンプル時刻及び最後のサンプル時刻以外のサンプル時刻におけるパーシャルレスポンス等化理想値を用いて位相誤差が抽出される。
【0020】
最初のサンプル時刻及び最後のサンプル時刻におけるパーシャルレスポンス等化理想値は、入力信号の波形の歪みの影響を受け易い。そのため、最初のサンプル時刻及び最後のサンプル時刻以外のサンプル時刻におけるパーシャルレスポンス等化理想値を用いて位相誤差を検出することにより、位相誤差を精度良く検出することができる。
【0021】
また、上記の位相誤差検出装置において、前記位相検出部は、検出された前記位相誤差が所定の閾値より大きい場合、前記位相誤差を前記同期検出部へ出力しないことが好ましい。
【0022】
この構成によれば、検出された位相誤差が所定の閾値より大きい場合、位相誤差が同期検出部へ出力されないので、外乱の要因となる、所定の閾値より大きい位相誤差を削除することができ、安定して再生クロック信号を生成することができる。
【0023】
また、上記の位相誤差検出装置において、前記波形整形部は、前記ディジタル再生信号を等化するパーシャルレスポンス等化フィルタと、所望のパーシャルレスポンス特性となるように前記パーシャルレスポンス等化フィルタの係数を適応的に更新する適応型係数更新部とを備え、前記適応型係数更新部は、前記パーシャルレスポンス等化フィルタの係数を左右対称となるように更新することが好ましい。
【0024】
また、上記の位相誤差検出装置において、前記適応型係数更新部は、前記パーシャルレスポンス等化フィルタの前記係数を更新するための等化誤差信号を生成する誤差信号検出部を含み、前記誤差信号検出部は、最短マークに関わる前記等化誤差信号、または、所定値以上となる等化誤差信号を出力しないことが好ましい。
【0025】
また、上記の位相誤差検出装置において、前記適応型係数更新部は、前記同期検出部の状態に応じて、LMS(The Least−Mean Square)アルゴリズムと、周波数サンプリングアルゴリズムとを適応的に切り替え、前記LMSアルゴリズムと前記周波数サンプリングアルゴリズムとのうちのいずれかのアルゴリズムを用いて、前記パーシャルレスポンス等化フィルタの前記係数を更新することが好ましい。
【0026】
また、上記の位相誤差検出装置において、前記同期検出部の状態は、前記再生クロック信号に前記ディジタル再生信号を同期させる処理における、周波数引き込みを制御する状態と、位相引き込みを制御する状態とを含むことが好ましい。
【0027】
また、上記の位相誤差検出装置において、前記最尤復号は、ある状態から分岐した1組のパスが合流する複数の合流点の差メトリックのうち、差メトリックが最も小さい状態遷移パターンに、少なくとも2つ以上のエッジ情報を有する方式であることが好ましい。
【0028】
また、上記の位相誤差検出装置において、前記位相検出部は、最短マークを含む状態遷移パターンを除いて前記位相誤差を検出することが好ましい。
【0029】
また、上記の位相誤差検出装置において、前記位相検出部は、前記同期検出部の状態に応じて、前記位相誤差を検出するための状態遷移パターンを変更することが好ましい。
【0030】
また、上記の位相誤差検出装置において、前記同期検出部の状態は、前記再生クロック信号に前記ディジタル再生信号を同期させる処理における、周波数引き込みを制御する状態と、位相引き込みを制御する状態とを含むことが好ましい。
【0031】
また、上記の位相誤差検出装置において、前記同期検出部は、前記位相検出部によって検出される前記位相誤差に対して所定のゲインを付加する機能を有し、前記位相検出部における前記位相誤差を抽出する過程において、理想的な差メトリック距離で、前記位相誤差を正規化し、前記位相誤差の分散が大きい場合、前記ゲインを下げ、前記位相誤差の分散が小さい場合、前記ゲインを上げることにより、同期ループの前記ゲインをほぼ一定に保持することが好ましい。
【0032】
また、上記の位相誤差検出装置において、前記同期検出部は、前記位相検出部において前記位相誤差を検出するための状態遷移パターンを適応的に変更する機能を有し、前記位相検出部における前記位相情報を抽出する過程において、理想的な差メトリック距離で、前記位相誤差を正規化し、前記位相誤差の分散が大きい場合、短マークに関する状態遷移パターンから前記位相誤差を検出しないように変更し、前記位相誤差の分散が小さい場合、短マークに関する状態遷移パターンから前記位相誤差を検出するように変更することにより、同期ループのゲインをほぼ一定に保持することが好ましい。
【0033】
本発明の他の局面に係る位相誤差検出方法は、情報記録媒体から再生されたアナログ再生信号から生成されたディジタル再生信号を受け取り、前記ディジタル再生信号の波形を整形する整形ステップと、前記整形ステップにおいて波形が整形された前記ディジタル再生信号を最尤復号し、前記最尤復号の結果を示す2値化信号を生成する最尤復号ステップと、前記整形ステップにおいて波形が整形された前記ディジタル再生信号と、前記最尤復号ステップにおいて生成された前記2値化信号とに基づいて位相誤差を検出する位相検出ステップと、前記位相検出ステップにおいて検出された前記位相誤差を用いて、前記再生された信号に同期させる同期検出ステップとを含み、前記位相検出ステップは、前記最尤復号において、ある状態から分岐した1組のパスが合流する複数の合流点の差メトリックのうち、ゼロクロス点が1つのみである状態遷移パターンを用いて前記位相誤差を抽出する。
【0034】
本発明の他の局面に係る光ディスク装置は、光ヘッドと、上記の位相誤差検出装置とを備える。この構成によれば、上記の位相誤差検出装置を光ディスクに適用することができる。
【0035】
本発明の他の局面に係る光ディスク装置は、情報記録媒体から再生されたアナログ再生信号からディジタル再生信号を生成するA/D部と、前記A/D部の所定のDレンジ入るように振幅及びオフセットを制御するAGC/OFFSET制御部と、前記A/D部によって生成された前記ディジタル再生信号の波形を整形する波形整形部と、前記波形整形部によって波形が整形された前記ディジタル再生信号を最尤復号し、前記最尤復号の結果を示す2値化信号を生成する最尤復号部と、前記波形整形部によって波形が整形された前記ディジタル再生信号と、前記最尤復号部によって生成された前記2値化信号とに基づいて位相誤差を検出する位相検出部と、前記位相検出部によって検出された前記位相誤差を用いて再生クロック信号を生成し、生成した前記再生クロック信号に前記ディジタル再生信号を同期させる同期検出部とを備え、前記波形整形部は、前記ディジタル再生信号を等化するパーシャルレスポンス等化フィルタと、所望のパーシャルレスポンス特性となるように前記パーシャルレスポンス等化フィルタの係数を適応的に更新する適応型係数更新部とを含み、前記ディジタル再生信号に同期するための引き込み手順を制御する同期引き込み制御部を含み、前記同期引き込み制御部は、前記AGC/OFFSET制御部が所定以内に収束するまで、前記適応型係数更新部または前記位相検出部を動作させない。
【0036】
本発明の他の局面に係る波形整形装置は、情報記録媒体から再生されたアナログ再生信号から生成されたディジタル再生信号を受け取り、前記ディジタル再生信号の波形を整形する有限インパルス応答フィルタと、前記有限インパルス応答フィルタからの出力の所定の基準レベルからN番目の振幅レベルを検出する振幅レベル検出部と、前記振幅レベル検出部によって検出された振幅レベルと所定の目標振幅との差を検出する振幅誤差検出部と、前記振幅誤差検出部からの出力に基づいて前記有限インパルス応答フィルタの係数を算出する係数算出部とを備え、前記係数算出部は、前記振幅誤差検出部の出力が所定の目標振幅となるように前記有限インパルス応答フィルタの係数を算出し、算出した前記係数に前記有限インパルス応答フィルタの係数を更新する。
【0037】
この構成によれば、有限インパルス応答フィルタによって、情報記録媒体から再生されたアナログ再生信号から生成されたディジタル再生信号が受け取られ、ディジタル再生信号の波形が整形される。そして、振幅レベル検出部によって、有限インパルス応答フィルタからの出力の所定の基準レベルからN番目の振幅レベルが検出される。続いて、振幅誤差検出部によって、検出された振幅レベルと所定の目標振幅との差が検出され、係数算出部によって、振幅誤差検出部からの出力に基づいて有限インパルス応答フィルタの係数が算出される。このとき、係数算出部によって、振幅誤差検出部の出力が所定の目標振幅となるように有限インパルス応答フィルタの係数が算出され、算出された係数に有限インパルス応答フィルタの係数が更新される。
【0038】
したがって、情報記録媒体から再生されたアナログ再生信号から生成されたディジタル再生信号を最尤復号で好適に用いられる波形に整形することができるので、位相誤差を検出する精度が向上し、安定して再生クロック信号を生成することができる。
【0039】
また、上記の波形整形装置において、前記振幅レベル検出部は、前記有限インパルス応答フィルタからの出力の所定の基準レベルからN番目の振幅レベルを検出する第1の振幅レベル検出部と、前記有限インパルス応答フィルタからの出力の所定の基準レベルからM(MはNよりも大きい)番目の振幅レベルを検出する第2の振幅レベル検出部とを含み、前記振幅誤差検出部は、前記第1の振幅レベル検出部によって検出された振幅レベルと、第1の目標振幅との差を検出する第1の振幅誤差検出部と、前記第2の振幅レベル検出部によって検出された振幅レベルと、前記第1の目標振幅とは異なる第2の目標振幅との差を検出する第2の振幅誤差検出部とを含み、前記係数算出部は、前記第1の振幅誤差検出部及び前記第2の振幅誤差検出部からの出力に基づいて前記有限インパルス応答フィルタの係数を算出することが好ましい。
【0040】
この構成によれば、第1の振幅レベル検出部によって、有限インパルス応答フィルタからの出力の所定の基準レベルからN番目の振幅レベルが検出され、第2の振幅レベル検出部によって、有限インパルス応答フィルタからの出力の所定の基準レベルからM(MはNよりも大きい)番目の振幅レベルが検出される。そして、第1の振幅誤差検出部によって、第1の振幅レベル検出部により検出された振幅レベルと、第1の目標振幅との差が検出され、第2の振幅誤差検出部によって、第2の振幅レベル検出部により検出された振幅レベルと、第1の目標振幅とは異なる第2の目標振幅との差が検出される。係数算出部によって、第1の振幅誤差検出部及び第2の振幅誤差検出部からの出力に基づいて有限インパルス応答フィルタの係数が算出される。
【0041】
したがって、有限インパルス応答フィルタからの出力の所定の基準レベルからN番目の振幅レベルと、第1の目標振幅との差が検出されるとともに、有限インパルス応答フィルタからの出力の所定の基準レベルからM(MはNよりも大きい)番目の振幅レベルと、第2の目標振幅との差が検出され、検出されたこれらの振幅誤差に基づいて有限インパルス応答フィルタの係数が算出されるので、より確実に有限インパルス応答フィルタの係数を算出することができる。
【0042】
また、上記の波形整形装置において、前記係数算出手段は、周波数サンプリングアルゴリズムを用いて、前記有限インパルス応答フィルタの係数を更新することが好ましい。
【0043】
また、上記の波形整形装置において、前記有限インパルス応答フィルタは、9タップの係数を保持するディジタルフィルタであり、前記周波数サンプリングアルゴリズムを用いて、所定の周波数帯域において5つのゲインを制御し、最も低い帯域のゲインは、1倍とし、2番目に低い帯域のゲインは、前記第2の振幅誤差検出手段の出力が小さくなるように制御し、3番目に低い帯域のゲインは、前記第1の振幅誤差検出手段の出力が小さくなるように制御し、4番目に低い帯域のゲインは、前記第1の振幅誤差検出手段の出力が小さくなるように制御し、5番目に低い帯域のゲインは、1倍より小さいゲインに固定することが好ましい。
【0044】
また、上記の波形整形装置において、前記有限インパルス応答フィルタは、7タップの係数を保持するディジタルフィルタであり、前記周波数サンプリングアルゴリズムを用いて、所定の周波数帯域において4つのゲインを制御し、最も低い帯域のゲインは、1倍とし、2番目に低い帯域のゲインは、前記第2の振幅誤差検出手段の出力が小さくなるように制御し、3番目に低い帯域のゲインは、前記第1の振幅誤差検出手段の出力が小さくなるように制御し、4番目に低い帯域のゲインは、1倍より小さいゲインに固定することが好ましい。
【0045】
本発明の他の局面に係る波形整形方法は、情報記録媒体から再生されたアナログ再生信号から生成されたディジタル再生信号を受け取り、有限インパルス応答フィルタを通過させることにより、前記ディジタル再生信号の波形を整形する波形整形ステップと、前記有限インパルス応答フィルタからの出力の所定の基準レベルからN番目の振幅レベルを検出する振幅レベル検出ステップと、前記振幅レベル検出ステップにおいて検出された振幅レベルと所定の目標振幅との差を検出する振幅誤差検出ステップと、前記振幅誤差検出ステップにおける出力に基づいて前記有限インパルス応答フィルタの係数を算出する係数算出ステップとを含み、前記係数算出ステップは、前記振幅誤差検出ステップにおける出力が所定の目標振幅となるように前記有限インパルス応答フィルタの係数を算出し、算出した前記係数に前記有限インパルス応答フィルタの係数を更新する。
【0046】
本発明の他の局面に係る光ディスク装置は、光ヘッドと、上記の波形整形装置とを備える。この構成によれば、上記の波形整形装置を光ディスクに適用することができる。
【発明の効果】
【0047】
本発明によれば、最尤復号において、ある状態から分岐した1組のパスが合流する複数の合流点の差メトリックのうち、ゼロクロス点が1つのみである状態遷移パターンを用いて位相誤差が抽出されるので、位相誤差を検出する精度が向上し、安定して再生クロック信号を生成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。尚、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0049】
実施の形態の説明の前に、本発明のポイントであるPRML方式を用いた記録マークのエッジ位置ずれ検出方法について、以下に説明する。
【0050】
具体的な光ディスク装置において、再生系の信号処理にPR12221ML方式を採用し、記録符号にRLL(Run Length Limited)(1,7)符号等の符号を用いる。まず、図1及び図2を用いて、PR12221ML方式について簡単に説明する。
【0051】
PR12221ML方式では、RLL(1,7)との組み合わせにより復号部の状態数は10に制限される。PR12221ML方式における状態遷移のパス数は、16となり、再生レベルは、9レベルとなる。
【0052】
図1は、RLL(1,7)記録符号とPR12221ML方式とから定まる状態遷移則を示す状態遷移図である。なお、図1では、PRML説明時に一般的に用いられる状態遷移図を示している。ある時刻での状態S(0,0,0,0)をS0、状態S(0,0,0,1)をS1、状態S(0,0,1,1)をS2、状態S(0,1,1,1)をS3、状態S(1,1,1,1)をS4、状態S(1,1,1,0)をS5、状態S(1,1,0,0)をS6、状態S(1,0,0,0)をS7、状態S(1,0,0,1)をS8、状態S(0,1,1,0)をS9というように表記し、10状態を表現する。ここで、図1の括弧の中に記載されている“0”または“1”は、時間軸上の信号系列を示し、各状態から次の時刻の状態遷移の可能性がどの状態にあるのかを示している。また、図1の状態遷移図を時間軸に関して展開すると図2に示すトレリス図が得られる。
【0053】
図2は、図1に示す状態遷移図を時間軸に関して展開したトレリス図である。図2に示すようなPR12221ML方式の状態遷移において、ある時刻の所定の状態から別の時刻の所定の状態へ遷移するときに2つの状態遷移を取り得るような状態遷移パターン(状態の組み合わせ)が無数にある。ある時刻範囲に限定し、かつ、特にエラーの発生しやすい状態遷移パターンに着目すると、PR12221ML方式の場合、表1、表2及び表3に示すようにまとめることができる。
【0054】
【表1】

【0055】
【表2】

【0056】
【表3】

【0057】
各表には、スタート状態から合流した状態の軌跡を示す状態遷移、その状態変移を経由した場合の可能性のある2つの記録系列、その状態変移を経由した場合の可能性のある2つの理想的な再生波形、及び2つの理想的な再生波形のユークリッド距離を示す。
【0058】
ユークリッド距離は、2つの理想的な再生波形の差の2乗加算を示す。2つの再生波形の可能性を判断するときに、ユークリッド距離の値が大きければ、より区別がつきやすくなるため、間違って判断される可能性が低くなる。一方、ユークリッド距離の値が小さければ、可能性ある2つの波形を区別することが困難となるため、間違って判断される可能性が高くなる。すなわち、ユークリッド距離が大きい状態遷移パターンは、エラーが発生しにくい状態遷移パターンであり、ユークリッド距離が小さい状態遷移パターンは、エラーが発生しやすい状態遷移パターンと言える。
【0059】
表1は、2つの状態遷移を取り得る状態遷移パターンを示しており、ユークリッド距離が14の場合である状態遷移パターンを示している。ユークリッド距離が14の場合である状態遷移パターンは18種類ある。表1に示す状態遷移パターンは、光ディスクの波形のエッジ(マークとスペースとの切り替わり)部分にあたる。言い換えると、表1に示す状態遷移パターンは、エッジの1ビットシフトエラーのパターンである。
【0060】
例として、図2で示す状態遷移則における状態S0(k−5)から状態S6(k)に遷移する場合の遷移パスについて説明する。この場合の1つの遷移パスは、記録系列が“0,0,0,0,1,1,1,0,0”と遷移して検出された場合である。再生データの“0”をスペース部分とし、“1”をマーク部分として当該遷移パスを記録状態に置いて考えると、記録状態は、4Tスペース以上の長さのスペース、3Tマーク、及び2Tスペース以上の長さのスペースとなる。上記の遷移パスにおけるサンプル時間と再生レベル(信号レベル)との関係をAパス波形として図3に示す。
【0061】
図3は、表1の遷移パスにおけるサンプル時間と再生レベル(信号レベル)との関係を示す図である。なお、図3〜図5において、横軸は、記録系列の1時刻ごとを示すサンプル時間を示し、縦軸は、再生レベルを示す。上記でも触れたが、PR12221ML方式の場合、理想的な再生レベルは、0レベルから8レベルまでの9レベルである。
【0062】
一方、もう一つの遷移パスは、記録系列が“0,0,0,0,0,1,1,0,0”と遷移して検出された場合である。再生データの“0”をスペース部分とし、“1”をマーク部分として当該遷移パスを記録状態に置いて考えると、記録状態は、5Tスペース以上の長さのスペース、2Tマーク、及び2Tスペース以上の長さのスペースとなる。上記の遷移パスにおけるサンプル時間と再生レベル(信号レベル)との関係をBパス波形として図3に示す。この表1のユークリッド距離が14である状態遷移パターンは、エッジ情報(ゼロクロス点)が必ず1つ含まれているパターンであることが特徴である。
【0063】
表2は、表1と同様に2つの状態遷移を取り得る状態遷移パターンを示しており、ユークリッド距離が12の場合である状態遷移パターンを示している。ユークリッド距離が12の場合である状態遷移パターンは18種類ある。表2に示す状態遷移パターンは、2Tマークまたは2Tスペースのシフトエラーであり、2ビットシフトエラーのパターンである。
【0064】
例として、図2で示す状態遷移則における状態S0(k−7)から状態S0(k)に遷移する場合の遷移パスについて説明する。但し、図2では、時刻k−5の状態までのみ図示している。この場合の1つの遷移パスは、記録系列が“0,0,0,0,1,1,0,0,0,0,0”と遷移して検出された場合である。再生データの“0”をスペース部分とし、“1”をマーク部分として当該遷移パスを記録状態に置いて考えると、記録状態は、4Tスペース以上の長さのスペース、2Tマーク、及び5Tスペース以上の長さのスペースとなる。上記の遷移パスにおけるサンプル時間と再生レベル(信号レベル)との関係をAパス波形として図4に示す。図4は、表2の遷移パスにおけるサンプル時間と再生レベル(信号レベル)との関係を示す図である。
【0065】
一方、もう一つの遷移パスは、記録系列が“0,0,0,0,0,1,1,0,0,0,0”と遷移して検出された場合である。再生データの“0”をスペース部分とし、“1”をマーク部分として当該遷移パスを記録状態に置いて考えると、記録状態は、5Tスペース以上の長さのスペース、2Tマーク、及び4Tスペース以上の長さのスペースとなる。上記の遷移パスにおけるサンプル時間と再生レベル(信号レベル)との関係をBパス波形として図4に示す。この表2のユークリッド距離が12である状態遷移パターンは、2Tの立ち上がり及び立ち下りのエッジ情報が必ず2つ含まれているパターンであることが特徴である。
【0066】
表3は、表1及び表2と同様に2つの状態遷移を取り得る状態遷移パターンを示しており、ユークリッド距離が12の場合である状態遷移パターンを示している。ユークリッド距離が12の場合である状態遷移パターンは18種類ある。表3に示す状態遷移パターンは、2Tマークと2Tスペースとが連続する箇所であり、3ビットシフトエラーのパターンである。
【0067】
例として、図2で示す状態遷移則における状態S0(k−9)から状態S6(k)に遷移する場合の遷移パスについて説明する。但し、図2では、時刻k−5の状態までのみ図示している。この場合の1つの遷移パスは、記録系列が“0,0,0,0,1,1,0,0,1,1,1,0,0”と遷移して検出された場合である。再生データの“0”をスペース部分とし、“1”をマーク部分として当該遷移パスを記録状態に置いて考えると、記録状態は、4Tスペース以上の長さのスペース、2Tマーク、2Tスペース、3Tマーク、及び2Tスペース以上の長さのスペースとなる。上記の遷移パスにおけるサンプル時間と再生レベル(信号レベル)との関係をAパス波形として図5に示す。図5は、表3の遷移パスにおけるサンプル時間と再生レベル(信号レベル)との関係を示す図である。
【0068】
一方、もう一つの遷移パスは、記録系列が“0,0,0,0,0,1,1,0,0,1,1,0,0”と遷移して検出された場合である。再生データの“0”をスペース部分とし、“1”をマーク部分として当該遷移パスを記録状態に置いて考えると、記録状態は、5Tスペース以上の長さのスペース、2Tマーク、2Tスペース、2Tマーク、及び2Tスペース以上の長さのスペースとなる。上記の遷移パスにおけるサンプル時間と再生レベル(信号レベル)との関係をBパス波形として図5に示す。この表3のユークリッド距離が12である状態遷移パターンは、エッジ情報が少なくとも3つ含まれているパターンであることが特徴である。
【0069】
再生される信号のマークの始端エッジまたは終端エッジの位置ずれ情報を用いて、再生信号の同期信号を生成する場合、位相ずれ方向が各マーク長の始端部及び終端部ごとに検出できる必要がある。PR12221ML方式を用いた場合、表1で説明したユークリッド距離が14の状態遷移パターンを用いて、再生信号に同期を取るために位相誤差を検出することができる。
【0070】
(第1の実施の形態)
まず、本発明の第1の実施の形態における光ディスク装置について説明する。図6は、本発明の第1の実施の形態における光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
【0071】
情報記録媒体101は、光学的に情報の記録再生を行うための情報記録媒体であり、例えば光ディスクである。
【0072】
図6に示す光ディスク装置100は、光ヘッド部102と、プリアンプ部103と、AGC(Automatic Gain Controller)/OFFSET部104と、波形等化部105と、A/D変換部106と、AGC/OFFSET制御部107と、波形整形部108と、最尤復号部111と、位相検出部112と、同期検出部115とを備える。さらに、波形整形部108は、PR(Partial Response)等化部109と、適応型係数更新部110とを備え、位相検出部112は、特定パターン検出部113と、差分メトリック検出部114とを備え、同期検出部115は、クロック制御部116と、同期引き込み制御部117とを備える。
【0073】
光ヘッド部102は、情報記録媒体101から読み出した情報を示すアナログ再生信号を生成する。プリアンプ部103は、光ヘッド部102によって生成されたアナログ再生信号を所定のゲインで増幅してAGC/OFFSET部104へ出力する。
【0074】
AGC/OFFSET部104は、プリアンプ部103からのアナログ再生信号が、所定の振幅となるようにAGC/OFFSET制御部107からの制御信号に基づいて、アナログ再生信号を増幅または、減衰させて波形等化部105へ出力する。
【0075】
波形等化部105は、アナログ再生信号の高域を増幅するフィルタ特性を有しており、再生波形の高域部分を増幅させてA/D変換部106へ出力する。
【0076】
AGC/OFFSET制御部107は、A/D変換部106から出力されるディジタル再生信号のレベルが、予め設定されたターゲットレベルとなるように、AGC/OFFSET部104へ制御信号を出力する。
【0077】
A/D変換部106は、同期検出部115から出力される再生クロックに同期してアナログ再生信号をサンプリングしてアナログ再生信号をディジタル再生信号へ変換し、波形整形部108へ出力する。
【0078】
波形整形部108は、情報記録媒体101から再生されたアナログ再生信号から生成されたディジタル再生信号を受け取り、ディジタル再生信号の波形を整形する。
【0079】
PR等化部109は、各種PR方式の特性へフィルタ特性を可変できる機能を有している。PR等化部109は、記録再生系の周波数特性が最尤復号部111の想定する特性(例えば、PR(1,2,2,2,1)等化特性など)になるように設定された周波数特性となるようにフィルタリングを施し、ディジタル再生信号に対して高域雑音の抑制及び意図的な符号間干渉の付加を行うPR等化処理を行って最尤復号部111へ出力する。PR等化部109は、例えば、FIR(有限インパルス応答)フィルタで構成される。
【0080】
適応型係数更新部110は、PR等化部109からの出力が所望のPR特性となるように、入力される再生信号の特性に応じて、PR等化部109のFIRフィルタの係数を変更及び更新する。
【0081】
最尤復号部111は、波形整形部108によって波形が整形されたディジタル再生信号を最尤復号し、最尤復号の結果を示す2値化信号を生成する。最尤復号部111は、例えば、ビタビ復号器であり、パーシャルレスポンス(PR)特性の型に応じて意図的に付加された符号的規則に基づいて尤も確からしい系列を推定する最尤復号方式により、PR等化部109によってPR等化された再生信号を復号して2値化データを出力する。最尤復号部111から出力された2値化データは、復調2値化信号として後段の回路(図示省略)へ出力され、所定の処理が実行されて情報記録媒体101に記録されている情報が再生される。
【0082】
位相検出部112は、波形整形部108によって波形が整形されたディジタル再生信号と、最尤復号部111によって生成された2値化信号とに基づいて位相誤差を検出する。また、位相検出部112は、最尤復号において、ある状態から分岐した1組のパスが合流する複数の合流点の差メトリックのうち、ゼロクロス点が1つのみである状態遷移パターンを用いて位相誤差を抽出する。
【0083】
位相検出部112の特定パターン検出部113は、最尤復号部111から出力された2値化データから特定の状態遷移パターンを検出する。具体例としては、表1に記載された36種類の記録符号系列(bk−i,・・・・,bk)の状態遷移パターンを検出する。特定の状態遷移パターンの検出は適応的に選択できる構成になっている。特定パターン検出部113は、同期検出部115における周波数引き込み時、位相引き込み時及び再生品質悪化時等、状況に応じて、位相誤差を算出するための状態遷移パターンを選択できる構成となっている。
【0084】
位相検出部112の差分メトリック検出部114は、特定パターン検出部113が検出したパターンのみで、差分メトリックを計算し、計算した差分メトリックをさらに位相誤差情報に変換する。
【0085】
同期検出部115は、位相検出部112によって検出された位相誤差を用いて再生クロック信号を生成し、生成した再生クロック信号にディジタル再生信号を同期させる。
【0086】
同期検出部115のクロック制御部116は、位相検出部112から入力された位相誤差情報に所定のフィルタを通過させることによって、位相検出部112からの出力を再生クロックの周波数に変換し、変換した再生クロックをA/D変換部106に出力する。なお、クロック制御部116は、位相誤差から再生クロックの周波数に変換するためにVCO(電圧制御発振器)を用いてもよい。
【0087】
同期検出部115の同期引き込み制御部117は、同期引き込み時に各ブロックを制御する信号を出力する。同期引き込み制御部117は、AGC/OFFSET制御部107と、適応型係数更新部110と、位相検出部112との動作を制御する。
【0088】
次に、図6に示す波形整形部108の詳細な構成について説明する。図7は、LMSアルゴリズムを用いる波形整形部の構成を示すブロック図である。本実施の形態1は、LMS(Least Mean Square)アルゴリズムを用いたフィルタ係数の更新を行う構成である。LMSアルゴリズムにおける等化係数の設定式は、下記の式(1)で示される。なお、LMSアルゴリズムについては、特開2003−85764号公報に開示されている。
【0089】
w(n(T+1))=w(nT)+A・e(nT)・x(nT)・・・(1)
(但し、T=0,1,2,3,・・・)
【0090】
w(nT)は現在の係数、w(n(T+1))は更新される係数、Aはタップゲイン、e(nT)は等化誤差、x(nT)はFIRフィルタ入力信号である。nは、係数の更新周期を選択するパラメータである。上述の式(1)により、FIR(Finite Impulse Response)フィルタの等化係数が更新される。
【0091】
なお、本実施の形態では、LMSアルゴリズムを用いてフィルタ係数を更新しているが、特に、フィルタ係数の更新制御アルゴリズムについて限定されるものではなく、他のアルゴリズムを用いてもよい。
【0092】
PR等化部109は、FIRフィルタ部201を備えている。適応型係数更新部110は、誤差信号検出部202と、相関検出部203と、ループゲイン設定部204と、係数演算部205とを備えている。波形整形部108には、A/D変換部106から出力されたディジタル再生信号と、不図示の所定の回路から出力されたPR等化教師信号とが入力される。また、波形整形部108からは、同期引き込み制御部117からの制御信号に従って、各種動作を行い所望のフィルタ処理されたディジタルフィルタ信号が出力される。
【0093】
誤差信号検出部202は、上記式(1)の等化誤差(e(nT))を算出する。誤差信号検出部202は、入力されたPR等化教師信号とFIRフィルタ部201からの出力(ディジタルフィルタ出力信号)との差を誤差信号として出力する。相関検出部203は、上記式(1)の等化誤差とディジタル再生信号との乗算値(e(nT)・x(nT))を算出する。ループゲイン設定部204は、相関検出部203からの出力に、上記式(1)のタップゲイン(A)を乗算することによって、FIRフィルタ部201の係数更新ループのループゲインを設定する。
【0094】
係数演算部205は、ループゲイン設定部204からの誤差信号からフィルタの係数を更新し、FIRフィルタ部201へ出力する。係数演算部205は、ループゲイン設定部204からの出力に、現在のフィルタの係数(w(nT))を加算することによって、更新後のフィルタの係数(w(n(T+1)))を算出する。
【0095】
本実施の形態における適応型係数更新部110は、再生信号に同期するためのPLL(Phase Locked Loop)ループ内に構成されるため、以下の2つのポイントを持つ。
【0096】
1つ目のポイントは、係数の更新制御方法である。係数演算部205は、FIRフィルタ部201が持つタップ係数(タップゲイン)の数だけ個別に制御する機能を持つことができるが、係数が左右対称となるように制御することに特徴がある。左右対称の制約条件を持たせた係数制御とは、FIRフィルタ部201へ入力されるディジタル再生信号と、FIRフィルタ部201から出力されるディジタルフィルタ出力信号との位相関係を変えることなく、所定の周波数のゲインのみを変更できるように制御することである。
【0097】
これは、波形整形部108がPLLループ内に配置されているため、FIRフィルタ部201の後段の位相検出部112で適切に位相誤差を検出できるように、FIRフィルタ部201で位相を補正しないためである。タップ係数を左右対称にする係数制御例として、FIRフィルタ部201の複数のタップ係数が算出された後に、左右のタップ係数の平均を計算し、その計算結果をタップ係数としてFIRフィルタ部201で用いる方法がある。なお、本実施の形態はこの係数制御例に限定されない。他の計算方法で、タップ係数を左右対称にする係数制御を行ってもよい。
【0098】
2つ目のポイントは、誤差信号検出部202で求められる等化誤差の検出方法である。等化誤差の検出では、FIRフィルタ部201の出力を所定の方法で2値化し、その2値化信号から理想的な波形を生成し、その理想的な波形とFIRフィルタ部201の出力波形との差を等化誤差とするのが一般的である。これに対し、本実施の形態では、2Tまたは3Tに関する信号波形と、所定の誤差以上となる信号波形とからは等化誤差を検出しないことに特徴がある。
【0099】
まず、FIRフィルタ部201の出力に対する2値化は、ビタビ復号等の最尤復号等を用いて復号することで、2値化精度を向上させることができるが、誤差信号検出部202は、PLLループ内部での処理という観点で、レイテンシー(遅延を最小限に抑えた構成にすべきである)を考慮した構成にする必要がある。よって、理想的な波形を生成するための2値化は、FIRフィルタ後の波形を用いて、例えば、レベル判別処理方法等で行う。そのため、2値化精度は期待できない。さらに、上記で説明したように、記録線密度を上げて記録された領域を再生した場合の再生波形ではさらに2値化精度は期待できない。
【0100】
よって、本実施の形態では、2Tまたは3Tに関する信号波形と、所定の誤差以上となる信号波形とからは等化誤差を検出しないようにすることで、適応等化ループを安定化させることができる。なお、2Tまたは3Tに関する信号波形から等化誤差を検出しない場合、所定のPR特性となるように係数を制御できないという副作用が考えられる。しかしながら、特に、最短マークが、OTFカットオフ周波数付近になる、または、OTFカットオフ周波数を超える周波数となるような2T信号の再生波形からは、位相情報は抽出できない。また、記録線密度によるが、3T信号も非常に振幅が小さくなるため、位相情報の抽出が困難となる場合がある。
【0101】
よって、後段の位相検出部112で、位相誤差を抽出しないパターンとすれば、2T信号及び3T信号に関して、精度よく所定のPR特性とする必要もない。また、タップ数を限定すれば、FIRフィルタで表現できる周波数特性は限定されるため、ある程度補正される。例えば、タップ数は、5タップ〜13タップ程度とする。よって、全く、2T信号及び3T信号のゲイン補正が考慮されないことはない。
【0102】
なお、本実施の形態における等化誤差の検出制御は、この検出制御例に限定されない。例えば、2T信号に関する信号波形のみの等化誤差を検出しない検出制御であってもよい。
【0103】
また、位相検出部112において、位相誤差が検出されるパターンも適応的に選択できる構成となっており、上記の例を限定する構成ではない。
【0104】
次に、上記のように構成された光ディスク装置の動作について説明する。
【0105】
同期検出部115の同期引き込み制御部117は、表4のように、AGC/OFFSET制御部107、波形整形部108の適応型係数更新部110、及び位相検出部112の特定パターン検出部113を制御する。
【0106】
【表4】

【0107】
制御状態の例として、トラッキング制御OK前と、AGC/OFFSET収束OK前と、周波数引き込みOK前と、位相引き込みOK前と、位相引き込みOK後とに分類し、以下、各制御状態について詳細に説明する。
【0108】
情報記録媒体101における情報が記録されている領域に、光ヘッド部102が移動され、情報記録媒体101を回すためのモータが、情報記録媒体101が所定の回転数となるように制御され、フォーカス制御及びトラッキング制御が行われることによって、プリアンプ部103から所定の振幅の再生信号が得られる。
【0109】
トラッキング制御がON状態となると、AGC/OFFSET制御部107は、制御を開始させ、A/D変換部106から出力されるディジタルが信号のレベルが、予め設定されたターゲットレベルとなるように、AGC/OFFSET部104へ制御信号を出力する。
【0110】
AGC/OFFSET制御部107は、A/D変換部106から出力されるディジタル再生信号のレベルが、ターゲットレベルに対して所定以内となると、AGC/OFFSET部制御OK信号を同期検出部115へ出力する。
【0111】
同期検出部115の同期引き込み制御部117は、AGC/OFFSET部104の制御がOKとなるまでは、波形整形部108での適応型係数更新部110の制御と、位相検出部112での位相検出と、同期検出部115の周波数制御及び位相制御とを行わないように制御信号を出力する。
【0112】
AGC/OFFSET部104の制御がOKとなると、同期引き込み制御部117は、まず、周波数制御を開始させる。周波数制御に関する詳細な説明は、特表2006−504217号公報を参照することとし、ここでは詳細な説明を省略し、動作の概要のみ説明する。
【0113】
周波数制御を開始されると、適応型係数更新部110は、そのFIRの係数制御を開始し、所定のPR等化された波形を最尤復号部111に入力する。最尤復号部111は、入力された信号を2値化する。最尤復号部111から出力された2値化信号は、位相検出部112に入力される。位相検出部112は、同期マークを検出し、周波数誤差を検出する。同期マークについては図示しないが、BD(ブルーレイディスク)の場合、同期マークは、9T9Tパターンであり、データは、2Tから8Tの組み合わせパターンである。
【0114】
位相検出部112は、同期マークが挿入されている間隔の数倍の区間において、最大となる連続するパターン長を検出し、検出したパターン長と9T9Tパターン長とのパターン長誤差(周波数誤差)を同期検出部115に出力する。同期検出部115のクロック制御部116は、位相検出部112から入力された周波数誤差に応じて、VCOの発信周波数を変化させる。上記周波数誤差が所定以下となると、クロック制御部116は、周波数引き込みOKと判断し、次に、位相引き込みを開始させる。
【0115】
位相引き込みを開始させると、位相検出部112の特定パターン検出部113は、最尤復号部111から入力される2値化系列から、表1で示す全36種類の状態遷移パターンを検出する。次に、差分メトリック検出部114は、特定パターン検出部113によって検出された状態遷移パターンの差分メトリック誤差を算出し、算出した差分メトリック誤差を位相情報に変換し、位相情報を同期検出部115に出力する。同期検出部115のクロック制御部116は、位相検出部112から入力された位相情報(誤差)に応じて、VCOの発信周波数を変化させる。例えば、クロック制御部116は、同期マークが連続して所定回数検出された場合、位相引き込みOK(完了)と判断する。
【0116】
位相引き込みが完了すると、位相検出部112の特定パターン検出部113は、最尤復号部111から入力される2値化系列から、表1で示す全36種類の状態遷移パターンのうち、2Tパターンに関連する全10種類の状態遷移パターン以外の状態遷移パターンを検出する。次に、差分メトリック検出部114は、検出された状態遷移パターンの差分メトリック誤差を算出し、算出した差分メトリック誤差を位相情報に変換し、位相情報を同期検出部115に出力する。同期検出部115のクロック制御部116は、位相検出部112から入力された位相情報(誤差)に応じて、VCOの発信周波数を制御する。
【0117】
ここで、2Tパターンに関連する全10種類の状態遷移パターンとは、表1における記録符号(bk−i,・・・・,bk)において、(0,0,0,0,0,1,1,0,0)と、(0,0,1,1,0,0,0,0,0)と、(0,0,1,1,0,0,0,0,1)と、(0,0,1,1,0,0,0,1,1)と、(0,1,1,1,1,0,0,1,1)と、(1,0,0,0,0,1,1,0,0)と、(1,1,0,0,1,1,1,0,0)と、(1,1,0,0,1,1,1,1,0)と、(1,1,0,0,1,1,1,1,1)と、(1,1,1,1,1,0,0,1,1)とを示す。
【0118】
位相引き込み完了前において、差分メトリック検出部114は、表1に示す36種類の状態遷移パターンで位相誤差を検出する。これは、早く位相引き込みを完了させるために、PLLループのゲインを可能な限り上げる必要があるためである。一方、位相引き込み完了後において差分メトリック検出部114は、2Tパターンに関連する状態遷移パターンで位相誤差を検出することを止める。これは、2Tマークの周波数がOTFカットオフ周波数よりも高い記録密度では、2Tマークから位相情報を抽出することが非常に困難であるため、品質が悪い場合は、逆に外乱となる恐れがあるためである。2Tマークの始端または終端エッジ単独では、位相情報はないが、本実施の形態の位相誤差抽出方法では、前後のスペース長との符号干渉から得られる振幅方向の波形から位相情報が抽出できるため、位相引き込み時には有用な場合がある。
【0119】
本実施の形態は、上記の切り替え制御に限定されない。位相引き込み時間に余裕がある場合は、常に、2Tパターンに関連する状態遷移パターンを用いないで位相誤差を抽出してもよい。また、記録品質が良好と予め分かっている場合には、2Tパターンに関連する状態遷移パターンから常に位相情報を抽出してもよい。また、上記例では、表1の一部の状態遷移パターンのON/OFFについての制御を説明したが、表1における他の状態遷移パターンの組み合わせでもよい。
【0120】
また、上記では、データ中に含まれる同期パターンを用いた周波数制御の例を説明したが、BD−RE/Rのトラックウォブル周波数を利用した周波数制御であってもよい。
【0121】
次に、本実施の形態の位相誤差計算例と、PLLループゲインの一定化とについて説明する。
【0122】
表1の36種類の状態遷移パターンにおいて、具体的な波形の様子を図3に示し上記で説明した。
【0123】
位相誤差は、例えば、下記の式(2)を用いて算出することができる。
【0124】
【数1】

【0125】
式(2)において、PathA及びPathBは、表1の状態変化パターンの5サンプルのPR等化理想値であり、Sは、表3の所定の状態変化パターンに対応した5サンプルの再生波形である。表1の場合、理想的な2つの状態変化パターンの2乗距離は14であるため、その検出ウインドウは、14×2となる。表1の状態変化パターンごと、すなわち、始端及び終端ごとに符号を付加して位相誤差とすることができる。
【0126】
式(2)で示す位相誤差量は、分子の分散(ばらつき)を求め、検出ウインドウで正規化することで、再生信号の品質に相当する値を算出することができる。再生品質が悪い場合には、式(2)で検出される位相誤差量のばらつきは大きくなり、再生品質が良い場合には、式(2)で検出される位相誤差量のばらつきは小さくなる。PLLループゲインを再生品質にできるだけ依存しないようにするためには、再生品質が悪い場合には、同期検出部115に含まれる位相誤差を通過させるLPF(図示なし)のゲインを下げ、再生品質が良い場合には、同期検出部115に含まれる位相誤差を通過させるLPF(図示なし)のゲインを上げることで、常に同一のPLLループ特性を実現できる。
【0127】
また、式(2)で示す位相誤差量が所定以上となる場合、位相検出部112は、位相誤差を同期検出部115に出力しないという方法もある。すなわち、位相検出部112は、検出された位相誤差が所定の閾値より大きい場合、位相誤差を同期検出部115へ出力しない。これにより、所定以上となる位相誤差が間違って出力されている可能性の高いことが分かり、その位相誤差を削除することで、PLLの安定化が実現できる。
【0128】
図8は、式(2)で求めた位相誤差のばらつき(頻度分布)例を示す図である。式(2)のユークリッド距離の2乗が14となる状態遷移パターンを用いた位相検出では、0を中心として、検出幅が±14となる。この分布のばらつきσの大きさに応じて、上記PLLのループゲインを適切に変更する。例えば、変更方法は、ばらつきσの変化に応じて、直線的に変更してもよく、また、2次曲線的に変更してもよい。
【0129】
また、PLLロック状態後に検出される大きな位相誤差は、PLLループにとって外乱となる。そのため、位相誤差に所定の閾値±αを設け、その閾値±αよりも大きい場合は、位相誤差を出力しないとするのが望ましい。位相誤差を出力しないとは、例えば、0を出力することである。図8の横軸は、位相誤差量を表すので、所定の閾値±αよりも絶対値が大きい場合は、位相誤差を出力しないことが望ましい。例えば、所定の閾値±αは、検出幅±14の半分の±7であってもよい。
【0130】
また、式(2)で示す位相誤差量のばらつきに応じて、表1の検出パターンの内、部分的に選択して出力するように適応的に変更してもよい。例えば、位相検出部112は、再生品質が良い場合には、表1の全状態遷移パターンで位相検出するようにし、再生品質が悪い場合には、表1の2Tパターンに関連する状態遷移パターンのみ削除して位相を検出するようにする。これにより、PLLの安定化が実現できる。また、位相検出部112は、表1の状態遷移パターンにおいて、ばらつきが大きい状態遷移パターンを位相誤差として出力しないようにしてもよい。
【0131】
上記では、位相誤差を検出する方法として、表1の状態遷移パターンを用いたユークリッド距離の2乗の差分メトリック情報を使う方法について説明した。ここで、式(2)を用いた同期のための位相検出において、精度向上のためのさらなる工夫について説明する。
【0132】
高密度記録における符号間干渉及びSNR劣化を克服するために、式(2)では、5点のポイントから位相情報を検出する方法を説明した。この方法でも、非常に有効な手段ではあるが、入力波形が理想波形に対して大幅に歪んでいる場合など、常に適切に位相情報を検出できない場合がある。適切に位相情報を検出できない例として、入力波形が大幅に歪む記録マークとスペースとの非対称波形(アシンメトリ波形)などは顕著である。この非対称波形は、記録マークの最大振幅部、または、スペースの最大振幅部が、理想波形から大幅にずれた波形となる。その他の例として、その理想波形から大幅にずれた波形情報を位相情報として検出すると、適切に位相情報が検出されない場合がある。
【0133】
図9は、位相が大きくずれた場合の入力波形Sと、パスAの理想波形PAと、パスBの理想波形PBとの一例を示す図である。図9の例では、パスAが正解パスとして検出され、位相がパスAの理想点から約90度程度遅れて検出された場合の例である。また、下記の表5は、入力波形S、パスAの理想波形PA及びパスBの理想波形PBの具体的な数値の例を示している。
【0134】
【表5】

【0135】
表5に示す数値から、式(2)を用いて、位相誤差を計算すると、+3.4と算出される。式(2)では、5点のサンプル値から位相誤差を計算するために、サンプル時刻0とサンプル時刻4との波形の歪みが位相情報に大きく影響する場合がある。そこで本実施の形態では、5点のうち、波形の歪みの影響を受けやすいサンプル時刻0とサンプル時刻4とを位相誤差検出に用いない方法を提案する。
【0136】
すなわち、位相検出部112は、最尤復号において、ある状態から分岐した1組のパスが合流する複数の合流点の差メトリックのうち、ゼロクロス点が1つのみである状態遷移パターンの中から、最初のサンプル時刻及び最後のサンプル時刻以外のサンプル時刻におけるパーシャルレスポンス等化理想値を用いて位相誤差を抽出する。
【0137】
この場合、上記式(2)のうち、サンプル時刻1,2,3のみを使うため、位相誤差検出は、下記の式(3)のようになる。
【0138】
【数2】

【0139】
上記の式(3)を用いて、位相誤差を計算すると、+4.0と算出され、式(2)より位相ずれを精度良く検出することができる。式(3)を用いて、位相誤差を検出することで、位相が大きくずれた場合でも、位相誤差を精度良く検出することができ、位相ループのゲインを適切に上げることができる。その結果、PLLの位相引き込みの速度及び安定性の向上が期待できる。
【0140】
ここでは、PR12221ML方式における位相誤差が検出可能なパターンとして、表1のユークリッド距離の2乗が14である状態遷移パターンに着目した。さらに、波形歪みも考慮することで、5サンプルの理想波形すべてから位相情報(誤差情報)を検出するのではなく、波形歪みの影響を受けにくいサンプル値から位相誤差を検出することを提案した。本実施の形態の提案によって、高記録密度波形における符号間干渉と、SNR劣化と、波形歪みとの影響を受けた波形に対して、最適な位相検出部を提供することができる。
【0141】
本実施の形態の位相検出部では、PR12221ML方式を具体例として挙げて、ユークリッド距離の2乗が14である状態遷移パターンのうちのサンプル値の選択について提案した。しかしながら、PRML方式が異なれば、他のユークリッド距離の2乗に着目し、ユークリッド距離の2乗が他の値である状態遷移パターンにおける各ストレスの影響を受けにくいサンプル値から位相検出を行えばよい。なお、本実施の形態において、位相誤差を検出する際に使用するサンプル値の数は上記の3つに限定されない。位相誤差は、採用したPRMLにおける適切なサンプルポイントから検出すればよいので、位相誤差は下記の式(4)のように表せる。
【0142】
【数3】

【0143】
式(4)におけるnとmとは、位相誤差を検出することができるパターンのうち、任意のサンプルで検出可能ということを意味し、Lは、nとmとで決定したサンプルから求まるパスAの理想波形PAとパスBの理想波形PBとのユークリッド距離の2乗を示す。
【0144】
すなわち、位相検出部112は、最尤復号において、ある状態から分岐した1組のパスが合流する複数の合流点の差メトリックのうち、ゼロクロス点が1つのみである状態遷移パターンの中から、第1のサンプル時刻よりも入力信号の波形の歪みの影響を受けない第2のサンプル時刻におけるPR(パーシャルレスポンス)等化理想値を用いて位相誤差を抽出する。なお、第1のサンプル時刻は、最初のサンプル時刻及び最後のサンプル時刻を含み、第2のサンプル時刻は、最初のサンプル時刻及び最後のサンプル時刻以外のサンプル時刻を含む。
【0145】
次に、図7に示す波形整形部108とは異なる波形整形部の構成について説明する。図10は、周波数サンプリングアルゴリズムを用いる波形整形部の構成を示すブロック図である。図7ではLMSアルゴリズムを用いる場合の構成例を示しているが、図10では、周波数サンプリングアルゴリズムを用いて、適応的にフィルタ係数の更新を行う構成例について説明する。
【0146】
図10において、波形整形部108は、PR等化部109及び適応型係数更新部110を備える。PR等化部109は、FIRフィルタ部201を備える。図10のFIRフィルタ部201は、図7のFIRフィルタ部201と同一の構成である。適応型係数更新部110は、振幅検出部301と、LPF(Low Pass Filter)202と、係数演算部303とから構成されている。
【0147】
振幅検出部301は、2値化部220、立ち上がりエッジ検出部221、立ち下がりエッジ検出部222、第1の振幅レベル抽出部223、第2の振幅レベル抽出部224、第3の振幅レベル抽出部225及び第4の振幅レベル抽出部226を備える。LPF302は、第1のLPF227、第2のLPF228、第3のLPF229及び第4のLPF230を備える。係数演算部303は、第1の振幅レベル算出部231、第2の振幅レベル算出部232、第1の振幅誤差検出部233、第2の振幅誤差検出部234、IDFT(逆離散フーリエ変換)部235及び係数計算部236を備える。
【0148】
なお、第1の振幅レベル検出部211は、立ち上がりエッジ検出部221、立ち下がりエッジ検出部222、第1の振幅レベル抽出部223、第2の振幅レベル抽出部224、第1のLPF227、第2のLPF228及び第1の振幅レベル算出部231を備える。第2の振幅レベル検出部212は、立ち上がりエッジ検出部221、立ち下がりエッジ検出部222、第3の振幅レベル抽出部225、第4の振幅レベル抽出部226、第3のLPF229、第4のLPF230及び第2の振幅レベル算出部232を備える。係数算出部215は、IDFT部235及び係数計算部236を備える。
【0149】
第1の振幅レベル検出部211は、FIRフィルタ部201からの出力の所定の基準レベルからN番目の振幅レベルを検出する。第2の振幅レベル検出部212は、FIRフィルタ部201からの出力の所定の基準レベルからM(MはNよりも大きい)番目の振幅レベルを検出する。
【0150】
2値化部220は、FIRフィルタ部201から出力されたディジタルフィルタ出力信号を2値化する。2値化されたディジタルフィルタ出力信号は、立ち上がりエッジ検出部221及び立ち下がりエッジ検出部222に出力される。
【0151】
立ち上がりエッジ検出部221は、FIRフィルタ部201から出力されたディジタルフィルタ出力信号から立ち上がりエッジ(ゼロクロス点)を検出する。立ち下がりエッジ検出部222は、FIRフィルタ部201から出力されたディジタルフィルタ出力信号から立ち下がりエッジ(ゼロクロス点)を検出する。
【0152】
第1の振幅レベル抽出部223は、立ち上がりエッジ検出部221によって検出された立ち上がりエッジ(ゼロクロス点)からN番目の振幅レベルを抽出する。なお、本実施の形態では、第1の振幅レベル抽出部223は、立ち上がりエッジ検出部221によって検出された立ち上がりエッジの次の振幅レベルを抽出する。
【0153】
第2の振幅レベル抽出部224は、立ち下がりエッジ検出部222によって検出された立ち下がりエッジ(ゼロクロス点)からN番目の振幅レベルを抽出する。なお、本実施の形態では、第2の振幅レベル抽出部224は、立ち下がりエッジ検出部222によって検出された立ち下がりエッジの次の振幅レベルを抽出する。
【0154】
第3の振幅レベル抽出部225は、立ち上がりエッジ検出部221によって検出された立ち上がりエッジ(ゼロクロス点)からM(MはNより大きい)番目の振幅レベルを抽出する。なお、本実施の形態では、第3の振幅レベル抽出部225は、立ち上がりエッジ検出部221によって検出された立ち上がりエッジ(ゼロクロス点)の次の振幅レベルの次の振幅レベルであり、かつゼロクロス点の次の振幅レベルから単調増加している振幅レベルを抽出する。
【0155】
第4の振幅レベル抽出部226は、立ち下がりエッジ検出部222によって検出された立ち下がりエッジ(ゼロクロス点)からM(MはNより大きい)番目の振幅レベルを抽出する。なお、本実施の形態では、第4の振幅レベル抽出部226は、立ち下がりエッジ検出部222によって検出された立ち上がりエッジ(ゼロクロス点)の次の振幅レベルの次の振幅レベルであり、かつゼロクロス点の次の振幅レベルから単調減少している振幅レベルを抽出する。
【0156】
第1のLPF227は、第1の振幅レベル抽出部223によって抽出されたN番目の振幅レベルを通過させる。第2のLPF228は、第2の振幅レベル抽出部224によって抽出されたN番目の振幅レベルを通過させる。
【0157】
第3のLPF229は、第3の振幅レベル抽出部225によって抽出されたM番目の振幅レベルを通過させる。第4のLPF230は、第4の振幅レベル抽出部226によって抽出されたM番目の振幅レベルを通過させる。
【0158】
第1の振幅レベル算出部231は、第1の振幅レベル抽出部223によって抽出されたN番目の振幅レベルと、第2の振幅レベル抽出部224によって抽出されたN番目の振幅レベルとの差(振幅La)を算出する。
【0159】
第2の振幅レベル算出部232は、第3の振幅レベル抽出部225によって抽出されたM番目の振幅レベルと、第4の振幅レベル抽出部226によって抽出されたM番目の振幅レベルとの差(振幅Lb)を算出する。
【0160】
第1の振幅誤差検出部233は、第1の振幅レベル検出部211によって検出された振幅レベルと、第1の目標振幅との差を検出する。具体的に、第1の振幅誤差検出部233は、第1の振幅レベル算出部231によって算出された振幅Laと、第1の目標振幅Taとに基づいて振幅誤差Aerrを算出する。
【0161】
第2の振幅誤差検出部234は、第2の振幅レベル検出部212によって検出された振幅レベルと、第1の目標振幅とは異なる第2の目標振幅との差を検出する。具体的に、第2の振幅誤差検出部234は、第2の振幅レベル算出部232によって算出された振幅Lbと、第2の目標振幅Tbとに基づいて振幅誤差Berrを算出する。
【0162】
係数算出部215は、第1の振幅誤差検出部233及び第2の振幅誤差検出部234からの出力に基づいてFIRフィルタ部201の係数を算出する。
【0163】
IDFT部235は、第1の振幅誤差検出部233及び第2の振幅誤差検出部234からの出力に対して逆離散フーリエ変換を行う。係数計算部236は、FIRフィルタ部201の係数(タップ係数C0〜C4)を計算する。なお、係数の算出方法については、後述する。
【0164】
以下、図10に示す波形整形部108の具体的な動作を説明する。
【0165】
周波数サンプリングアルゴリズムは、−ωs/2からωs/2の間の周波数応答をNポイント(周波数幅はωs/N)でサンプリングし、サンプル値に対して逆離散フーリエ変換(IDFT)を適用することでインパルス応答h[n](フィルタ係数)を求める、FIRフィルタ係数の設計方法である。本実施の形態では、フィルタ係数を適応的に求めるために、帯域の振幅が目標振幅になるように各帯域ゲインをフィードバックし、フィードバックした各帯域ゲインから周波数サンプリングアルゴリズムを用いてFIRフィルタ係数を制御することを特徴とする。インパルス応答h[n]は、一般的に、下記の式(5)及び式(6)で表現される。
【0166】
【数4】

【0167】
【数5】

【0168】
次に、図11、図12及び図13を用いて、9タップのFIRフィルタ(ディジタルイコライザ)の係数の求め方の例を説明する。図11は、9タップのFIRフィルタ(ディジタルイコライザ)の各周波数におけるゲイン特性目標値を示す図である。図12は、ゲイン特性目標値から周波数サンプリングアルゴリズムにより式(5)を用いて求めたディジタルイコライザのタップ係数(C0〜C4)を示す図である。図13は、タップ係数から算出されるディジタルイコライザの周波数特性を示す図である。
【0169】
振幅検出部301は、図11、図12及び図13に示す特性を持つディジタルイコライザを通過させた波形の振幅を検出し、その検出結果が各周波数帯域における目標振幅となるように9タップの係数にフィードバックする。BDの1倍速再生を例に説明すると、ゲインを制御する周波数サンプリング間隔は、66MHz÷(9タップ+1)=6.6MHzとなる。図11に示すように、約6.6MHz間隔でゲイン特性目標値を設定すると、点A0〜A5を定義することが出来る。点A0はDC(0MHz)ゲイン、点A1は5T(6.6MHz)ゲイン、点A2は2.5T(13.2MHz)ゲイン、点A3は1.67T(19.8MHz)ゲイン、点A4は1.25T(26.4MHz)ゲイン、点A5は1T(33.0MHz)ゲインとなる。
【0170】
上記の式(5)より、ディジタルイコライザのタップ係数C0〜C4は、下記の式(7)〜式(11)により求めることができる。
【0171】
【数6】

【0172】
【数7】

【0173】
【数8】

【0174】
【数9】

【0175】
【数10】

【0176】
次に、振幅検出方法と、帯域ゲインのフィードバック制御とについて説明する。図14(A)は、周波数サンプリングアルゴリズムを用いた係数算出における振幅検出について説明するための図であり、図14(B)は、図14(A)に示す各振幅レベルA〜DのLPFによる処理結果を示す図である。
【0177】
振幅検出部301は、ディジタルイコライザ出力のゼロクロス点を基準に、ゼロクロス点の次のサンプル点と、ゼロクロス点の次のサンプル点の次のサンプル点であり、かつゼロクロス点の次のサンプル点から単調増加または単調減少しているサンプル点とを検出する。
【0178】
図14(A)に示す振幅レベルAまたは振幅レベルCの場合、ゼロクロス点の次のサンプル点は、2Tと3Tとの平均的な振幅として検出され、図14(A)の振幅レベルBまたは振幅レベルDの場合、ゼロクロス点の次のサンプル点の次のサンプル点であり、かつゼロクロス点の次のサンプル点から単調増加または単調減少しているサンプル点は、3Tと4Tとの平均的な振幅として検出される。各サンプル点は、図10における振幅検出部301において検出される。
【0179】
図14(A)の振幅レベルA〜Dそれぞれ検出された振幅を所定の特性のLPFを通過させた様子を図14(B)に示す。振幅レベルAと振幅レベルCとをLPFに通過させた後の振幅差は、おおよそ2.5T帯域の振幅Laとして検出することができる。同様に、振幅レベルBと振幅レベルDとをLPFに通過させた後の振幅差は、おおよそ3.5T帯域の振幅Lbとして検出することができる。
【0180】
係数演算部303は、2.5T帯域及び3.5T帯域の振幅La及び振幅Lbと、目標振幅Ta及び目標振幅Tbとに基づいて振幅誤差を算出する。すなわち、係数演算部303は、2.5T帯域に対応する振幅誤差Aerr=Ta−Laと、3.5T帯域に対応する振幅誤差Berr=Tb−Lbとを算出する。
【0181】
次に、係数演算部303は、振幅誤差Aerr及び振幅誤差Berrをそれぞれ積算し、各帯域ゲインに加算することによって、A0〜A4を求める。例えば、係数演算部303は、A0=1倍で固定とし、A1=1倍+Berrとし、A2=1倍+Aerrとし、A3=1倍+Aerrとし、A4=1倍以下で固定とすることによって、A0〜A4を求めることができる。これらA0〜A4が求まれば、係数演算部303は、式(7)〜式(11)を用いて、タップ係数C0〜C4を算出する。そして、係数演算部303は、FIRフィルタ部201の現在のタップ係数を、算出したタップ係数C0〜C4に更新する。
【0182】
このように、入力波形の振幅に応じて適応的にディジタルイコライザのタップ係数を更新することができる。上記の振幅誤差及びタップ係数は、図10におけるLPF302及び係数演算部303において算出される。
【0183】
PLLのループ内に挿入される波形整形部108は、適応型係数更新フィルタである必要がある。そのため、周波数サンプリングアルゴリズムを用いて算出された係数は、左右対称となるように制御される。左右対称の制約条件を持たせた係数制御とは、FIRフィルタ部201へ入力されるディジタル再生信号と、出力されるディジタルフィルタ出力信号との位相関係を変えることなく、所定の周波数のゲインのみを変更する制御である。
【0184】
図14では、基準よりも上側の振幅レベルA及び振幅レベルBと、基準よりも下側の振幅レベルC及び振幅レベルDとを検出し、振幅レベルAと振幅レベルCとの差を2.5T帯域振幅とし、振幅レベルBと振幅レベルDとの差を3.5T帯域振幅としたが、本発明はこれに限定されない。基準よりも上側の振幅レベルAと下側の振幅レベルCとがほぼ同等であることと、上側の振幅レベルBと下側の振幅レベルDとがほぼ同等であるとすれば、振幅検出は2つでも構わない。
【0185】
なお、図11を用いた実施の形態では、複数の振幅を検出する構成であったが、本発明は、この構成に限定されない。特定の周波数の振幅だけを検出してもよい。マーク及びスペースの振幅が同等であること、またはマーク及びスペースの振幅が同等であることを前提として、検出する振幅が一つであっても、適切な係数を算出することができる。例えば、上記A0〜A5のうち、A3のみの振幅を検出して、残りのA0、A1,A2,A4、A5をA3から推定してもよい。A0〜A5すべての振幅値を検出する場合に比べて、所望のフィルタ特性からずれる場合はあるが、回路規模と、性能との選択で判断すればよい。この手法は、タップ数が少ないフィルタを用いる場合より有効である。
【0186】
本実施の形態のPLLのループ内には、適応型係数更新フィルタが挿入される。この目的は、最尤復号部111が、ビタビ復号処理の実行中に位相誤差を抽出するため、最尤復号部111に入力される波形は、ビタビ復号が期待する波形に整形して入力する必要があるためである。ビタビ復号が期待する波形に整形して入力することで、位相誤差を検出する精度が向上し、PLL制御がより安定化する。
【0187】
周波数サンプリングアルゴリズムを用いる適応型係数更新フィルタは、LMSアルゴリズムにおける教師信号(期待値レベル)を生成するために必要な2値化精度を必要としない。そのため、周波数サンプリングアルゴリズムを用いる適応型係数更新フィルタは、品質の悪い波形に対して適切なフィルタ係数を安定に算出することができ、また、PLL引き込み中(非同期状態)においても安定した適応制御を実現することができる。
【0188】
LMSアルゴリズムを用いる適応型係数更新フィルタは、入力される波形との相関から各タップ係数を求める。そのため、LMSアルゴリズムを用いる適応型係数更新フィルタは、周波数サンプリングアルゴリズムと比べて、各タップ係数を制御できる自由度が高く、より期待されるPR特性に近い特性にフィルタリングすることができる。
【0189】
また、図6では図示していないが、A/D変換部106と波形整形部108との間に、波形のDCレベルを適切に制御するブロックを挿入してもよい。A/D変換部106に入力される波形は、Dレンジを最大限使うことができるように、AGC/OFFSET制御部107によって、振幅中心となるように制御される。DCレベルを適切に制御するブロックは、エネルギー中心となるようにDCレベルを制御して、波形整形部108に入力する。特に、DCレベルの制御は、アシンメトリの波形に対して、より適切にフィルタリング処理をするためである。もちろん、DCレベルを適切に制御するブロックが挿入された場合でも、AGC/OFFSET制御部107は、A/D変換部106から波形が入力される必要がある。
【0190】
なお、本実施の形態の周波数サンプリングアルゴリズムを用いた適応型係数更新波形整形方法は、従来の光ディスクよりも記録線密度が高い光ディスクを再生する場合の再生波形にのみ対応する方法ではなく、記録容量が25GBである従来のBDの再生波形に対しても適用でき、DVD又はCDの再生波形に対しても適用できる。所望の特性となるように、イコライザゲインを設定すればよい。
【0191】
なお、上記の実施の形態では、タップ数が9タップである場合の周波数サンプリングアルゴリズムを用いた適応型係数更新方法について説明したが、他のタップ数においても同様に適応的にタップ係数を更新できる。例えば、FIRフィルタ部201のタップ数は、7タップ又は11タップでもよい。
【0192】
(第2の実施の形態)
まず、本発明の第2の実施の形態における光ディスク装置について説明する。図15は、本発明の第2の実施の形態における光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
【0193】
図15の光ディスク装置は、図6の光ディスク装置とほぼ同じ構成及び動作である。そのため、ここでは、図6の光ディスク装置と異なった構成及び動作についてのみ説明する。
【0194】
図15に示す光ディスク装置200において、波形整形部108は、第1の適応型係数更新部110Aと、第2の適応型係数更新部110Bとを備えている。第1の適応型係数更新部110Aは、LMSアルゴリズムによって、PR等化部109のFIRフィルタのタップ係数を更新する。第2の適応型係数更新部110Bは、周波数サンプリングアルゴリズムによって、PR等化部109のFIRフィルタのタップ係数を更新する。
【0195】
周波数サンプリングアルゴリズムを用いる適応型係数更新フィルタは、LMSアルゴリズムにおける教師信号(期待値レベル)を生成するために必要な2値化精度を必要としない。そのため、周波数サンプリングアルゴリズムを用いる適応型係数更新フィルタは、品質の悪い波形に対して適切なフィルタ係数を安定に算出することができ、また、PLL引き込み中(非同期状態)においても安定した適応制御を実現することができる。
【0196】
LMSアルゴリズムを用いる適応型係数更新フィルタは、入力される波形との相関から各タップ係数を求める。そのため、LMSアルゴリズムを用いる適応型係数更新フィルタは、周波数サンプリングアルゴリズムと比べて、各タップ係数を制御できる自由度が高く、より期待されるPR特性に近い特性にフィルタリングすることができる。
【0197】
本実施の形態では、これら周波数サンプリングアルゴリズム及びLMSアルゴリズムの2つの適応等化方式の特性を活かし、光ディスク装置の状態に応じて、2つの適応型係数更新部を切り替える。2つの適応型係数更新部を適時切り替えて使うことで、光ディスク装置は、状況に応じたて最適な適応方式を選択することによって、入力波形に対して最適なゲイン補正を行うことができる。したがって、PLL制御を安定させることができ、かつPLL制御の収束性(引き込み時間短縮)を向上させることができる。なお、それぞれの適応型係数更新部の構成は、上記第1の実施の形態で説明しているので、ここでは省略する。
【0198】
次に、上記のように構成された光ディスク装置の動作について説明する。
【0199】
同期検出部115の同期引き込み制御部117は、表6のように、AGC/OFFSET制御部107、波形整形部108の第1の適応型係数更新部110A、波形整形部108の第2の適応型係数更新部110B、及び位相検出部112の特定パターン検出部113を制御する。
【0200】
【表6】

【0201】
制御状態の例として、トラッキング制御OK前と、AGC/OFFSET収束OK前と、周波数引き込みOK前と、位相引き込みOK前と、位相引き込みOK後とに分類し、以下、各制御状態について説明する。
【0202】
表6は、上記第1の実施の形態の表4で説明した光ディスク装置の動作とほぼ同等の内容である。表4とは異なる波形整形部108における適応型係数更新部の切り替え制御動作の部分についてのみ説明する。
【0203】
トラッキング制御OK前の状態では、同期検出部115の同期引き込み制御部117は、波形整形部108の第1の適応型係数更新部110A及び第2の適応型係数更新部110Bの制御をOFF状態にしておく。
【0204】
トラッキング制御OK後の状態では、同期検出部115の同期引き込み制御部117は、波形整形部108の第2の適応型係数更新部110Bの動作を開始させ、その後、位相引き込みが完了するまで動作させる。この間、PR等化部109は、第2の適応型係数更新部110Bから常に更新されるタップ係数を受け取る。
【0205】
位相引き込みOK後の状態では、同期検出部115の同期引き込み制御部117は、波形整形部108の第2の適応型係数更新部110Bから第1の適応型係数更新部110Aへ動作制御を変更させる。PR等化部109は、第1の適応型係数更新部110Aから常に更新されるタップ係数を受け取る。このとき、第1の適応型係数更新部110Aへ制御が移るとき、第1の適応型係数更新部110Aのタップ係数の初期値は、第2の適応型係数更新部110Bで算出された係数とする。
【0206】
表6では、トラッキング制御OK後、AGC/OFFSET制御部107と波形整形部108の第2の適応型係数更新部110Bとを同時に動作させる例を示しているが、本発明は特にこれに限定されない。トラッキング制御OK後、AGC/OFFSET制御部107のみをまず動作させ、AGC/OFFSET部104の動作が所定の目標値に近くなってから、波形整形部108の第2の適応型係数更新部110Bを動作させてもよい。
【0207】
これは、波形整形部108の第1の適応型係数更新部110A及び第2の適応型係数更新部110Bも、波形のオフセット及び振幅が所定値内にあることを前提として安定に動作するように設計しているためである。また、適応型係数更新制御は、波形の振幅を補正する機能としても動作するため、波形の振幅を補正するAGCとの連動で、不安定になる場合があるからである。
【0208】
そのため、機能及び帯域を明確に分けた制御を行うことが望ましい。よって、同期引き込み制御部117は、AGC/OFFSET部104の動作が所定値以内に収束するまで、第2の適応型係数更新部110Bまたは位相検出部112を動作させない方がなお望ましい。なお、所定値以内とは、AGC制御またはOFFSET制御が目標値に対して、約90%以内にまで収束した場合である。例えば、AGC制御であれば、800mVの目標AC振幅に対して、720mV以上になればよい。OFFSET制御も同様である。所定値の設定は、システムが安定する値に設定すればよい。
【0209】
なお、本実施の形態は、表6の制御状態例に限定されない。その他の制御状態及び表6の項目の制御状態において、システムが安定化されるように制御を最適化すればよい。
【0210】
上記実施の形態では、光ディスクの記録線密度を向上させた場合の再生信号の同期方法についての位相検出装置、光ディスク装置及び位相検出方法について説明した。ここで、記録線密度の向上に対する波形への影響について、BDの場合を具体例として挙げながら図16及び図17を用いて説明する。
【0211】
図16は、光ディスクのトラック上に記録されたマーク列と光ビーム径との相対的な関係を示す図である。BDにおいても、DVDと同様に、記録データは光ディスク上に物理変化のマーク列として記録される。マーク列の中で最も長さの短いものを最短マークといい、記録容量が25GBであるBDの場合、最短マーク402の物理的長さは0.149μmとなっている。BDの最短マーク長は、DVDの最短マーク長の約1/2.7に相当し、光学系の波長パラメータ(405nm)とNAパラメータ(0.85)とを変えることで、レーザーの分解能を上げたとしても、光ビームが記録マークを識別できる光学的な分解能の限界に近づいている。
【0212】
図16では、トラック401上に記録されたマーク列に光ビーム403を照射させている。BDでは、上記光学系パラメータにより光スポットの径は、約0.39μm程度となる。光学系の構造は変えないで記録線密度を向上させる場合、光スポット径に対する記録マークが相対的に小さくなるため、再生の分解能は悪くなる。
【0213】
光ビームで記録マークを再生した際の再生信号振幅は記録マークが短くなるに従って低下し、光学的な分解能の限界でゼロとなる。この記録マークの周期の逆数を空間周波数といい、空間周波数と信号振幅との関係をOTF(Optical Transfer Function:光学伝達関数)という。信号振幅は、空間周波数が高くになるに従ってほぼ直線的に低下し、信号振幅がゼロとなる再生の限界をOTFカットオフ(cutoff)という。
【0214】
図17は、記録容量が25GBであるBDのOTFを示す図である。BDの最短マークの空間周波数は、OTFカットオフに対して80%であり、OTFカットオフに近づいている。また、最短マークの再生振幅も、約10%と非常に小さくなっていることが分かる。BDの場合、記録容量が約31GB相当になると、最短マークが、OTFカットオフとなり、再生振幅がほとんど検出されなくなる。最短マークが、OTFカットオフ周波数付近になる、または、OTFカットオフ周波数を超える周波数となると、レーザーの分解能の限界、もしくは超えていることもあり、再生信号の再生振幅が小さくなり、SNRが急激に劣化する。
【0215】
このように、空間周波数と信号振幅との関係は、OTFによって定義され、信号振幅は、空間周波数が高くになるに従ってほぼ直線的に低下し、信号振幅がゼロとなる再生の限界がOTFのカットオフ周波数と定義される。情報記録媒体に記録された再生信号の最短マーク周波数は、OTFのカットオフ周波数の近傍である。
【0216】
本実施の形態において、OTFカットオフ周波数の近傍とは、BDの1層当たりの記録容量が30GBとなる2T周波数からOTFカットオフ周波数までの間を示す。なお、この場合の、2Tの物理的長さは約0.124μmとなる。すなわち、最短マークが、OTFカットオフ周波数の近傍になる、または、OTFカットオフ周波数を超える周波数とは、2Tの物理的長さである約0.124μm以下の記録を行う密度という意味である。
【0217】
本実施の形態は、このような、光ディスクに記録された再生信号の最短マーク周波数が、OTFカットオフ周波数付近になる、または、OTFカットオフ周波数を超える周波数となるような記録線密度で記録された領域を再生する場合の同期検出方法を提案するものである。
【0218】
なお、より詳細に、2値化処理及び信号評価処理を行うためには、例えば、図6及び図15における波形整形部108の後段に、本実施の形態の同期検出のためのPRML処理とは別に、PRML処理用の波形整形部及び最尤復号部を設けてもよい。
【0219】
なお、本実施の形態の光ディスク装置の構成要素は集積回路であるLSI(Large Scale Integration)として実現され得る。光ディスク装置が備える構成要素は個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。
【0220】
なお、ここでは、集積回路をLSIと呼んだが、集積度の違いにより、IC(Integrated Circuit)、LSI、スーパーLSI又はウルトラLSIと呼称されることもある。
【0221】
また、本実施の形態の集積回路はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。また、LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0222】
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適応等が可能性としてあり得る。
【産業上の利用可能性】
【0223】
本発明に係る位相誤差検出装置、波形整形装置及び光ディスク装置は、安定して再生クロック信号を生成することができ、最尤復号法を用いて信号処理を行う位相誤差検出装置、波形整形装置及び光ディスク装置に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0224】
【図1】RLL(1,7)記録符号と等化方式PR12221ML方式とから定まる状態遷移則を示す状態遷移図である。
【図2】図1に示す状態遷移図を時間軸に関して展開したトレリス図である。
【図3】表1の遷移パスにおけるサンプル時間と再生レベル(信号レベル)との関係を示す図である。
【図4】表2の遷移パスにおけるサンプル時間と再生レベル(信号レベル)との関係を示す図である。
【図5】表3の遷移パスにおけるサンプル時間と再生レベル(信号レベル)との関係を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態における光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
【図7】LMSアルゴリズムを用いる波形整形部の構成を示すブロック図である。
【図8】式(2)で求めた位相誤差のばらつき(頻度分布)例を示す図である。
【図9】位相が大きくずれた場合の入力波形と、パスAの理想波形と、パスBの理想波形との一例を示す図である。
【図10】周波数サンプリングアルゴリズムを用いる波形整形部の構成を示すブロック図である。
【図11】9タップのFIRフィルタ(ディジタルイコライザ)の各周波数におけるゲイン特性目標値を示す図である。
【図12】ゲイン特性目標値から周波数サンプリングアルゴリズムにより式(5)を用いて求めたディジタルイコライザのタップ係数を示す図である。
【図13】タップ係数から算出されるディジタルイコライザの周波数特性を示す図である。
【図14】(A)は、周波数サンプリングアルゴリズムを用いた係数算出のための振幅検出を説明するための図であり、(B)は、図14(A)に示す各振幅レベルのLPFによる処理結果を示す図である。
【図15】本発明の実施の形態2における光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
【図16】光ディスクのトラック上に記録されたマーク列と光ビーム径との相対的な関係を示す図である。
【図17】記録容量が25GBであるBDのOTFを示す図である。
【符号の説明】
【0225】
100,200 光ディスク装置
101 情報記録媒体
102 光ヘッド部
103 プリアンプ部
104 AGC/OFFSET部
105 波形等化部
106 A/D変換部
107 AGC/OFFSET制御部
108 波形整形部
109 PR等化部
110 適応型係数更新部
110A 第1の適応型係数更新部
110B 第2の適応型係数更新部
111 最尤復号部
112 位相検出部
113 特定パターン検出部
114 差分メトリック検出部
115 同期検出部
116 クロック制御部
117 同期引き込み制御部
201 FIRフィルタ部
202 誤差信号検出部
203 相関検出部
204 ループゲイン設定部
205 係数演算部
211 第1の振幅レベル検出部
212 第2の振幅レベル検出部
215 係数算出部
220 2値化部
221 立ち上がりエッジ検出部
222 立ち下がりエッジ検出部
223 第1の振幅レベル抽出部
224 第2の振幅レベル抽出部
225 第3の振幅レベル抽出部
226 第4の振幅レベル抽出部
227 第1のLPF
228 第2のLPF
229 第3のLPF
230 第4のLPF
231 第1の振幅レベル算出部
232 第2の振幅レベル算出部
233 第1の振幅誤差検出部
234 第2の振幅誤差検出部
235 IDFT部
236 係数計算部
301 振幅検出部
302 LPF
303 係数演算部
401 トラック
402 最短マーク
403 光ビーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報記録媒体から再生されたアナログ再生信号から生成されたディジタル再生信号を受け取り、前記ディジタル再生信号の波形を整形する波形整形部と、
前記波形整形部によって波形が整形された前記ディジタル再生信号を最尤復号し、前記最尤復号の結果を示す2値化信号を生成する最尤復号部と、
前記波形整形部によって波形が整形された前記ディジタル再生信号と、前記最尤復号部によって生成された前記2値化信号とに基づいて位相誤差を検出する位相検出部と、
前記位相検出部によって検出された前記位相誤差を用いて再生クロック信号を生成し、生成した前記再生クロック信号に前記ディジタル再生信号を同期させる同期検出部とを備え、
前記位相検出部は、前記最尤復号において、ある状態から分岐した1組のパスが合流する複数の合流点の差メトリックのうち、ゼロクロス点が1つのみである状態遷移パターンを用いて前記位相誤差を抽出することを特徴とする位相誤差検出装置。
【請求項2】
空間周波数と信号振幅との関係は、光学伝達関数によって定義され、前記信号振幅は、前記空間周波数が高くになるに従ってほぼ直線的に低下し、前記信号振幅がゼロとなる再生の限界を前記光学伝達関数のカットオフ周波数と定義すると、
前記情報記録媒体に記録された再生信号の最短マーク周波数は、前記光学伝達関数のカットオフ周波数の近傍であることを特徴とする請求項1記載の位相誤差検出装置。
【請求項3】
前記位相検出部は、前記最尤復号において、ある状態から分岐した1組のパスが合流する複数の合流点の差メトリックのうち、ゼロクロス点が1つのみである状態遷移パターンの中から、入力信号の波形の歪みの影響を受けにくいサンプル時刻におけるパーシャルレスポンス等化理想値を用いて前記位相誤差を抽出することを特徴とする請求項1又は2記載の位相誤差検出装置。
【請求項4】
前記位相検出部は、前記最尤復号において、ある状態から分岐した1組のパスが合流する複数の合流点の差メトリックのうち、ゼロクロス点が1つのみである状態遷移パターンの中から、最初のサンプル時刻及び最後のサンプル時刻以外のサンプル時刻におけるパーシャルレスポンス等化理想値を用いて前記位相誤差を抽出することを特徴とする請求項3記載の位相誤差検出装置。
【請求項5】
前記位相検出部は、検出された前記位相誤差が所定の閾値より大きい場合、前記位相誤差を前記同期検出部へ出力しないことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の位相誤差検出装置。
【請求項6】
光ヘッドと、
請求項1〜5のいずれかに記載の位相誤差検出装置とを備えることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項7】
情報記録媒体から再生されたアナログ再生信号から生成されたディジタル再生信号を受け取り、前記ディジタル再生信号の波形を整形する有限インパルス応答フィルタと、
前記有限インパルス応答フィルタからの出力の所定の基準レベルからN番目の振幅レベルを検出する振幅レベル検出部と、
前記振幅レベル検出部によって検出された振幅レベルと所定の目標振幅との差を検出する振幅誤差検出部と、
前記振幅誤差検出部からの出力に基づいて前記有限インパルス応答フィルタの係数を算出する係数算出部とを備え、
前記係数算出部は、前記振幅誤差検出部の出力が所定の目標振幅となるように前記有限インパルス応答フィルタの係数を算出し、算出した前記係数に前記有限インパルス応答フィルタの係数を更新することを特徴とする波形整形装置。
【請求項8】
前記振幅レベル検出部は、前記有限インパルス応答フィルタからの出力の所定の基準レベルからN番目の振幅レベルを検出する第1の振幅レベル検出部と、前記有限インパルス応答フィルタからの出力の所定の基準レベルからM(MはNよりも大きい)番目の振幅レベルを検出する第2の振幅レベル検出部とを含み、
前記振幅誤差検出部は、前記第1の振幅レベル検出部によって検出された振幅レベルと、第1の目標振幅との差を検出する第1の振幅誤差検出部と、前記第2の振幅レベル検出部によって検出された振幅レベルと、前記第1の目標振幅とは異なる第2の目標振幅との差を検出する第2の振幅誤差検出部とを含み、
前記係数算出部は、前記第1の振幅誤差検出部及び前記第2の振幅誤差検出部からの出力に基づいて前記有限インパルス応答フィルタの係数を算出することを特徴とする請求項7記載の波形整形装置。
【請求項9】
光ヘッドと、
請求項7又は8記載の波形整形装置とを備えることを特徴とする光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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