位置ずれ防止部材及びそれを用いた載置板構造
【課題】 本発明は、軽量で、嵩張らず、保管スペースが小さく輸送コストが低く、設置が容易で低コストであり、使用時に錆が発生することのないケーキ等のお菓子の位置ずれを防止しうる位置ずれ防止部材及びそれを用いた載置板構造を提供する。
【解決手段】 ケーキ等のお菓子の位置ずれを防止するシート状部材であって、重量平均分子量が10万〜50万のポリオレフィン系樹脂シートが延伸倍率5倍以上に延伸された形状保持性を有する延伸ポリオレフィン系樹脂シートからなることを特徴とする位置ずれ防止部材。
【解決手段】 ケーキ等のお菓子の位置ずれを防止するシート状部材であって、重量平均分子量が10万〜50万のポリオレフィン系樹脂シートが延伸倍率5倍以上に延伸された形状保持性を有する延伸ポリオレフィン系樹脂シートからなることを特徴とする位置ずれ防止部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーキ等のお菓子の位置ずれ防止部材及びそれを設置したケーキ等のお菓子の載置板構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ケーキは包装箱にいれて販売しているが、お客が運搬する際にケーキが変形したり壊れないようにするために、包装箱又は包装箱の底に設置されたケーキ載置板にケーキロックを設置し、ケーキロックをケーキに突き刺して固定している。
【0003】
例えば、包装箱の底部や挿入用トレイの底部に固定プレートの外周より放射状に複数本(3本)の爪が突出する薄肉金属板(ブリキ)製のロック爪を、斜め外方向上向きに曲げ起こし、載せるケーキの底面に爪が突き刺さる構造となったものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】実公平5−32423号公報
【0004】
しかし、上記金属製のケーキロックはケーキ載置時にその都度人手により爪を起こす必要があり、店頭やケーキ包装ライン等での急がれる作業には時間と複雑な作業を要するため不向きであるほか、金属製のケーキロックは高湿度環境では銹が発生し、この銹がケーキやトレイ等に付着して商品価値を低下させる等の欠点があった。
【0005】
これらの欠点を解消するために、ケーキを載置し底部に予めピン孔を設けたトレイと、基端部に上記ピン孔に差し込む差込支持部を形成し、先端が爪状の尖端部をなし上記差し込み固定状態でトレイの底面上に突出する合成樹脂材を成形してなるロック爪とからなり、トレイ上にケーキを載置した際に上記ロック爪の突出端がケーキ底面より突き刺さる構造としたケーキロック構造が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献2】特開平8−175583号公報
【0006】
しかしながら、上記ロック爪はいわば釘やビスであり、荷重がありコストも高かく、トレイにロック爪を差し込んだ後包装箱にトレイを挿入しなければならないが、その際にロック爪が脱落することがあり、設置が困難であった。又、上記ケーキロック構造は立体に成型されたものであり、保管や輸送の際に嵩張るという問題点があり、より軽量で、嵩張らず、保管スペースが小さく輸送コストが低く、容易に設置できる低コストのケーキ等のお菓子の位置ずれ防止部材が望まれていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、軽量で、嵩張らず、保管スペースが小さく輸送コストが低く、設置が容易で低コストであり、使用時に錆が発生することのないケーキ等のお菓子の位置ずれを防止しうる位置ずれ防止部材及びそれを用いた載置板構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明の位置ずれ防止部材は、ケーキ等のお菓子の位置ずれを防止するシート状部材であって、形状保持性を有する延伸ポリオレフィン系樹脂シートからなることを特徴とする。
【0009】
上記延伸ポリオレフィン系樹脂シートを構成するポリオレフィン系樹脂としては、フィルム形成能を有する任意のオレフィン系樹脂が使用でき、例えば、高密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、線状低密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−ペンテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合体、エチレン−オクテン−1共重合体、エチレン―酢酸ビニル共重合体、エチレン―(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン―塩化ビニル共重合体、エチレン―プロピレン―ブテン共重合体等が挙げられ、高密度ポリエチレン樹脂が好適に使用される。
【0010】
ポリオレフィン系樹脂の重量平均分子量は、重量平均分子量が10万未満の場合には、脆くなり、延伸性が悪くなったり、十分な強度又は耐クリープ性を有する延伸ポリオレフィン系樹脂シートを得ることができにくくなり、逆に、50万を超えると、溶融粘度が高くなり、熱溶融成形加工性が低下し、均一なシートが得られにくくなるので10万〜50万が好ましい。
【0011】
又、ポリオレフィン系樹脂のメルトインデックス(以下、MI)はフィルム成形性が優れている0.1〜20(g/10分)が好ましく、より好ましくは0.2〜10(g/10分)である。尚、MIとは、JIS K 7210に規定されている熱可塑性樹脂の溶融粘度を表す指標である。更に、高密度ポリエチレン樹脂の場合は、密度は小さくなると延伸しても機械的強度が向上しなくなるので、0.94g/cm3 以上が好ましい。
【0012】
ポリオレフィン系樹脂シートの厚みは特に限定されるものではないが、厚過ぎると、延伸が困難になるし、圧延工程において、ポリオレフィン系樹脂シートを圧延ロールで押しつぶすのに大きな加圧力や引取力が必要となり、圧延ロールの撓みなどにより幅方向に均一な圧延が困難となることがある、逆に、薄過ぎると、延伸後又は圧延後のポリオレフィン系樹脂シートの厚みが薄くなり過ぎ、均一な圧延が困難となるだけでなく、圧延ロール同士が接触して圧延ロールの寿命が短くなることがあるので、0.2〜15mmが望ましい。
【0013】
上記延伸ポリオレフィン系樹脂シートは形状保持性を有していればよく、上記重量平均分子量が10万〜50万のポリオレフィン系樹脂シートが延伸倍率5倍以上に延伸された形状保持性の延伸ポリオレフィン系樹脂シートが好ましい。
【0014】
延伸倍率は5倍以上であって、延伸された延伸ポリオレフィン系樹脂シートが形状保持性を有していればよいが、延伸倍率は10〜40倍が好ましい。又、延伸方法は、従来公知の任意の方法が採用されればよく、例えば、ロール一軸延伸法、ゾーン一軸延伸法等の一軸延伸法により、ヒータや熱風により加熱しながら延伸する方法が挙げられる。
【0015】
一軸延伸する際に10〜40倍と高度に延伸する場合は、一軸延伸を複数回繰り返す多段一軸延伸する方法が好ましい。多段一軸延伸を行う場合の延伸回数は2〜20回が好ましく、より好ましくは3〜15回、更に好ましくは4〜10回である。
【0016】
又、ロール一軸延伸法により多段延伸を行う場合には、繰出ピンチロール、引取ピンチロール及びこれらのロール間に一定速度で回転する少なくとも1つの、好ましくは複数の接触ロールを設置することが望ましい。このような接触ロールを設置することにより、均一延伸性が高められ、安定な延伸成形を行うことができる。
【0017】
上記接触ロールは、ピンチされることなく、ポリオレフィン系樹脂シートに摩擦力を与えることにより一軸延伸を行う。又、接触ロールは繰出ロール及び/又は引取ロールに対し、ギア、チェーン、プーリー、ベルト若しくはこれらの組み合わせからなる連結部材により連結されていてもよい。
【0018】
一軸延伸温度は、低くなると均一に延伸できず、高くなるとシートが溶融切断するので、延伸するポリオレフィン系樹脂シートのポリオレフィン系樹脂の「融点−60℃」〜融点の範囲が好ましく、より好ましくは、ポリオレフィン系樹脂の「融点−50℃」〜「融点−5℃」である。
【0019】
又、延伸倍率10〜40倍と高度に延伸する場合は、延伸に先立って圧延されるのが好ましい。圧延は圧延倍率が5倍以上になるように圧延されるのが好ましい。圧延は、ポリオレフィン系樹脂シートを一対の反対方向に回転するロールに供給し、押圧してシートの厚みを薄くすると共に伸長する方法であり、圧延されたシートは延伸シートとは異なり、オレフィン系樹脂が配向されることなく緻密になっているので、高度に延伸しやすくなっている。
【0020】
圧延温度は、低くなると均一に圧延できず、高くなると溶融切断するので、圧延する際のロール温度は、圧延するポリオレフィン系樹脂シートのオレフィン系樹脂の「融点−40℃」〜融点の範囲が好ましく、より好ましくは、オレフィン系樹脂の「融点−30℃」〜「融点−5℃」である。尚、本発明において、融点とは示差走査型熱量測定機(DSC)で熱分析を行った際に認められる、結晶の融解に伴う吸熱ピークの最大点をいう。
【0021】
圧延ロールによりポリオレフィン系樹脂シートに負荷される加圧力(線圧)が小さ過ぎると所定の圧延倍率を得ることが出来なくなることがあり、逆に大き過ぎると圧延ロールの撓みが生じるだけでなく、圧延ロールと原反シートとの間ですべりが生じ易くなり、均一な圧延が困難となることがあるので加圧力は、100MPa〜3000MPaが好ましく、より好ましくは、300MPa〜1000MPaである。
【0022】
上記圧延倍率は、圧延倍率が5倍未満の場合には、後で行われる一軸延伸時のネッキングを抑制する効果が得られなかったり、高倍率一軸延伸を行うことができなかったり、一軸延伸工程に負担がかかることになるので、5倍以上であり、好ましくは7倍以上である。圧延倍率に特に上限はないが、圧延倍率が高いほど圧延設備に負荷がかかるので10倍以下が好ましい。
【0023】
尚、圧延倍率は(ポリオレフィン系樹脂シートの断面積)/(圧延後ポリオレフィン系樹脂シートの断面積)で定義されるが、圧延の前後においてポリオレフィン系樹脂シートの幅は殆ど変化しないので、(ポリオレフィン系樹脂シートの厚み)/(圧延後のポリオレフィン系樹脂シートの厚み)であってもよい。
【0024】
圧延されたポリオレフィン系樹脂シートは、次に、総延伸倍率が10〜40倍に一軸延伸される。一軸延伸方法は、従来公知の任意の方法が採用されればよく、例えば、ロール一軸延伸法、ゾーン一軸延伸法により、ヒータや熱風により加熱しながら延伸する方法が挙げられる。
【0025】
圧延されたポリオレフィン系樹脂シートを10〜40倍と高度に一軸延伸する場合は、一軸延伸を複数回繰り返す多段一軸延伸する方法が好ましい。多段一軸延伸を行う場合の延伸回数は2〜20回が好ましく、より好ましくは3〜15回、更に好ましくは4〜10回である。
【0026】
又、ロール一軸延伸法により多段延伸を行う場合には、繰出ピンチロール、引取ピンチロール及びこれらのロール間に一定速度で回転する少なくとも1つの、好ましくは複数の接触ロールを設置することが望ましい。このような接触ロールを設置することにより、均一延伸性が高められ、安定な延伸成形を行うことができる。
【0027】
上記接触ロールは、ピンチされることなく、ポリオレフィン系樹脂シートに摩擦力を与えることにより一軸延伸を行う。又、接触ロールは繰出ロール及び/又は引取ロールに対し、ギア、チェーン、プーリー、ベルト若しくはこれらの組み合わせからなる連結部材により連結されていてもよい。
【0028】
一軸延伸温度は、低くなると均一に延伸できず、高くなるとシートが溶融切断するので、延伸するポリオレフィン系樹脂シートのポリオレフィン系樹脂の「融点−60℃」〜融点の範囲が好ましく、より好ましくは、ポリオレフィン系樹脂の「融点−50℃」〜「融点−5℃」である。
【0029】
又、一軸延伸倍率は、総延伸倍率が10〜40倍であるから、圧延倍率を考慮し、総延伸倍率がこの範囲にはいるように決定すればよいが、一軸延伸が少ないと機械的強度が向上しないので、1.3倍以上が好ましく、より好ましくは1.5倍以上であり、更に好ましくは1.8倍以上である。又、上限は特に限定されるものではないが、4倍以下が好ましく、より好ましくは3.5倍以下である。尚、総延伸倍率は圧延倍率と一軸延伸倍率を乗じた数値である。
【0030】
延伸ポリオレフィン系樹脂シートの寸法安定性を向上させるために、延伸ポリオレフィン系樹脂シートはポリオレフィン系樹脂の「融点−60℃」〜融点であって、圧延温度以下の温度でアニールされてもよい。
【0031】
アニール温度は、低くなると寸法安定性が向上せず、長時間使用するとそりが発生し、高くなるとポリオレフィン系樹脂が溶解して配向が消滅し引張弾性率、引張強度等が低下するので、ポリオレフィン系樹脂の「融点−60℃」〜融点であって、圧延温度以下の温度でアニールされるのが好ましい。
【0032】
アニールとは生産ライン中で熱処理を行うことであり、アニールする際に、延伸ポリオレフィン系樹脂シートに大きな張力がかかっていると延伸され、張力がかかっていないか、非常に小さい状態では収縮するので、延伸ポリオレフィン系樹脂シートの延伸方向の長さが実質的に変化しないようにした状態で行われることが好ましく、延伸ポリオレフィン系樹脂シートに圧力もかかっていないのが好ましい。即ち、アニールされた延伸ポリオレフィン系樹脂シートの長さが、アニール前の延伸ポリオレフィン系樹脂シートの長さの1.0以下になるようにアニールされるのが好ましい。
【0033】
従って、延伸ポリオレフィン系樹脂シートをピンチロール等のロールで加熱室内を移動しながら連続的にアニールする場合は、入口側と出口側のポリオレフィン系樹脂シートの送り速度比を1.0以下になるように設定してアニールするのが好ましい。
【0034】
アニールする際の加熱方法は、特に限定されるものではなく、例えば、熱風、ヒーター、加熱板、温水等で加熱する方法があげられる。アニールする時間は、特に限定されず、延伸されたポリオレフィン系樹脂シートの厚さやアニール温度により異なるが、一般に10秒以上が好ましく、より好ましくは30秒〜60分であり、更に好ましくは1〜20分である。
【0035】
アニールされたポリオレフィン系樹脂シートは、更に、40℃〜ポリオレフィン系樹脂の融点の温度範囲でエージングされてもよい。エージングすることによりアニールされたポリオレフィン系樹脂シートの寸法安定性はより優れたものとなる。
【0036】
エージングとは、生産ライン中連続で処理するものではなく、延伸ポリオレフィン系樹脂シートをカット巻回等の一度加工した、枚葉物、巻物等の熱処理を、比較的長い時間(分、時間単位)じっくり寝かせて熱処理することを意味する。
【0037】
エージング温度は、低くなると常温で放置するのと同様になり、高くなると熱変形するので40℃〜ポリオレフィン系樹脂の融点の温度範囲であり、エージング時間は短時間では効果がなく、長時間しすぎても効果が増大することはないので12時間〜7日が好ましい。
【0038】
上記延伸ポリオレフィン系樹脂シートは、重量平均分子量が10万〜50万のポリオレフィン系樹脂シートが延伸倍率5倍以上に延伸されたシート、又は、圧延倍率5倍以上に圧延された後、総延伸倍率10〜40倍に一軸延伸されたシートであり、形状保持性を有しているが、形状保持性は、延伸ポリオレフィン系樹脂シートを180度及び90度に折曲げて1分間保持した後解放し、解放後5分経過した時の折曲げ戻り角度θが共に20度以下であるのが好ましく、より好ましくは180度折曲げ戻り角度θが20度以下で且つ90度折曲げ戻り角度θが20度未満、更に好ましくは180度折曲げ戻り角度θが20度以下で且つ90度折曲げ戻り角度θが15度以下である。180度及び90度折曲げ時の折曲げ戻り角度θのいずれか一方、特に180度折曲げ戻り角度θが20度を越えると、充分な形状保持性が得られないことがある。
【0039】
上記延伸ポリオレフィン系樹脂シートの厚さは特に限定されるものではないが、一般に、50〜1200μmである。
【0040】
上記シート状部材を上記延伸ポリオレフィン系樹脂シート1枚で形成する場合は、その厚さは一般に、200〜1200μmであり、好ましくは200〜1000μmである。一般に1枚の延伸ポリオレフィン系樹脂シートでは機械的強度が不足するので、複数の薄い延伸ポリオレフィン系樹脂シートが積層されているのが好ましい。積層する場合は、50〜600μmの延伸ポリオレフィン系樹脂シートを2〜10枚積層するのが好ましく、より好ましくは2〜5枚である。又、上記延伸ポリオレフィン系樹脂シートが積層されたシート状部材の厚さは特に限定されるものではないが、一般に、200〜1200μmであり、好ましくは200〜1000μmである。
【0041】
上記延伸ポリオレフィン系樹脂シートが積層されたシート状部材の形状保持性も、シート状部材を180度及び90度に折曲げて1分間保持した後解放し、解放後5分経過した時の折曲げ戻り角度θが共に20度以下であるのが好ましく、より好ましくは180度折曲げ戻り角度θが20度以下で且つ90度折曲げ戻り角度θが20度未満、更に好ましくは180度折曲げ戻り角度θが20度以下で且つ90度折曲げ戻り角度θが15度以下である。
【0042】
延伸ポリオレフィン系樹脂シートの一軸延伸方向を揃えて積層すると割れやすくなるので、割れにくくするには、少なくとも1枚の延伸ポリオレフィン系樹脂シートを他の延伸ポリオレフィン系樹脂シートの一軸延伸方向と交差するように積層するのが好ましく、交差角度は30〜90度が好ましい。特に、複数の延伸ポリオレフィン系樹脂シートを、隣合う延伸ポリオレフィン系樹脂シートの一軸延伸方向とそれぞれ30〜90度交差するように積層するのが好ましい。
【0043】
複数の延伸ポリオレフィン系樹脂シートの積層方法は、従来公知の任意の方法が採用されてよく、例えば、ポリエステル系、ポリオレフィン系、ウレタン系等のホットメルト型接着剤で接着する方法、反応性接着剤、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤、ゴム系接着剤等の接着剤で接着する方法等があげられる。
【0044】
本発明の位置ずれ防止部材は、上記形状保持性を有する延伸ポリオレフィン系樹脂シートからなるシート状部材であり、シート状部材は屈曲部を介して固定部と位置ずれ防止部よりなる。シート状部材は屈曲部において屈曲するとその形状に保持されるので、固定部を略水平に固定し位置ずれ防止部を略垂直に立設して使用する。
【0045】
次に、図面を参照して本発明を説明する。図1(イ)は本発明の位置ずれ防止部材の一例を示す平面図であり、(ロ)はその側面図である。位置ずれ防止部材は、厚さ約1.2mmのシート状部材よりなり、屈曲部3を介して略矩形の固定部1と略三角形の位置ずれ防止部2よりなる。シート状部材の平面形状は略長方形であり、長辺の略中央部に長さ方向と略直交する方向に穿設された凹溝により屈曲部3が形成されている。又、位置ずれ防止部2は屈曲部3から先端部方向に次第に幅狭になるように切断されて略三角形に形成されている。図1(ハ)は図1(イ)、(ロ)に示した位置ずれ防止部材の使用状態を示す側面図である。位置ずれ防止部2は屈曲部3に沿って固定部1に対し略垂直になるように屈曲され、保持されている。この位置ずれ防止部材を設置した上にケーキ等のお菓子を置くと位置ずれ防止部2がケーキ等のお菓子に突き刺さり、ケーキ等のお菓子は位置ずれが防止される。
【0046】
位置ずれ防止部2はケーキ等のお菓子に突き刺し、位置づれを防止するのであるから、先端部が屈曲部から先端部方向に次第に幅狭になるように尖っているのが好ましい。又、シート状部材は形状保持性を有する延伸ポリオレフィン系樹脂シートからなるので容易に屈曲することができるが、シート状部材を位置ずれ防止部が固定部に対し略垂直方向に所定位置で所定高さにより容易に屈曲するために、シート状部材の長辺に長さ方向と略直交する方向に凹溝を穿設して屈曲部を形成するのが好ましい。
【0047】
上記シート状部材の製造方法は以下の通りである。
重量平均分子量(Mw)33万、融点135℃の高密度ポリエチレン樹脂(日本ポリケム社製)を、同方向二軸混練押出機(プラスチック工学研究所製)に供給して樹脂温度200℃で溶融混練した後、溶融混練物をロール温度110℃に制御したカレンダー成形機にて幅330mm、厚さ3.1mmにシート成形してポリエチレン樹脂シートを得た。
【0048】
得られたポリエチレン樹脂シートを125℃に加熱した圧延成形機(積水工機製作所製)を用いて圧延倍率11.5倍に圧延し、幅330mm、厚み270μmの圧延ポリエチレン樹脂シートを得た。得られた圧延ポリエチレン樹脂シートを110℃に加熱された熱風加熱式の多段延伸装置(協和エンジニアリング製)にて1.8倍の多段延伸を行い、総延伸倍率20.7倍、幅260mm、厚さ190μmの延伸ポリエチレン樹脂シートを得た。
【0049】
得られた延伸ポリエチレン樹脂シートをピンチロールが設置され、125℃に設定されているライン長19.25mの熱風加熱槽に、入口速度2.75m/minで供給し、出口速度2.75m/minに設定して7分間1次アニールを行い、続いて同様にして2次アニールを行って、アニールされた延伸ポリエチレン樹脂シートを得、その後60℃の恒温槽に供給し、24時間エージングして、エージングされた延伸ポリエチレン樹脂シートを得た。
【0050】
4枚の厚さ60μmの線状低密度ポリエチレン樹脂シートと得られた5枚の延伸ポリエチレン樹脂シートを交互に積層し、140℃の加熱プレスで熱融着して厚さ約1.2mmの積層シートを得た。得られた積層シートを幅1cm、長さ15cmに切断し、180度及び90度に折曲げて1分間保持した後解放し、解放後5分経過時の折曲げ戻り角度θを測定したところ、それぞれ5度及び8度であった。
得られた積層シートを切断し、図1に示した形状のシート状部材を得た。
【0051】
図2は本発明の位置ずれ防止部材の異なる例を示す平面図であり、厚さ約1.2mmのシート状部材よりなり、略矩形の固定部1の両側に屈曲部3、3を介して略三角形の位置ずれ防止部2、2が形成されている。屈曲部3、3に沿って位置ずれ防止部2、2を固定部1に対し略垂直に立設することにより2つの位置ずれ防止部2、2が形成される。
【0052】
図3は本発明の位置ずれ防止部材の異なる例を示す平面図であり、厚さ約1.2mmのシート状部材よりなり、固定部1の3方向に屈曲部3、3、3を介して略三角形の位置ずれ防止部2、2、2が3枚形成されている。屈曲部3、3、3に沿って位置ずれ防止部2、2、2を固定部1に対し略垂直に立設することにより3つの位置ずれ防止部2、2、2が形成される。
【0053】
上述の通り、固定部の周囲に屈曲部を介して複数の位置ずれ防止部を形成してもよく、複数の位置ずれ防止部を形成することにより、載置したケーキ等のお菓子の位置ずれをより確実に防止することができる。又、位置ずれ防止部の形状は同一であってもよいし、異なる形状であってもよい。
【0054】
図4(イ)は本発明の位置ずれ防止部材の異なる例を示す平面図であり、厚さ約1.2mmのシート状部材よりなり、略矩形の固定部1の一側に屈曲部3を介して略三角形の位置ずれ防止部2が形成されている。又、屈曲部3は、シート状部材の一側面から内側方向にシート状部材の幅の約25%まで、屈曲部3に接するように切断され切断部4が形成されることにより、位置ずれ防止部2の一部が舌片5となされている。
【0055】
図4(ロ)は図4(イ)に示した位置ずれ防止部材の使用状態を示す正面図であり、(ハ)は右側面図である。位置ずれ防止部2は屈曲部3に沿って固定部1に対し略垂直になるように屈曲され、保持されている。又、舌片5は切断部4の内側端部において固定部1に長さ方向と略平行に(破線Aに沿って)、固定部1側に屈曲されている。このように舌片5を屈曲することにより、舌片5は位置ずれ防止部2を支持補強でき、立体形状を確実に保持することができ位置ずれ防止効果が高い。
【0056】
図5は本発明の位置ずれ防止部材の異なる例を示す平面図であり、厚さ約1.2mmのシート状部材よりなり、略矩形の固定部1の一側に屈曲部3を介して略三角形の位置ずれ防止部2が形成されている。又、屈曲部3は、シート状部材の両側面から内側方向にシート状部材の幅の約25%まで、屈曲部3に接するように切欠かれ切欠部41、41が形成されることにより、位置ずれ防止部2の両側部が舌片51、51となされている。
【0057】
図5(ロ)は図5(イ)に示した位置ずれ防止部材の使用状態を示す正面図であり、(ハ)は左側面図である。位置ずれ防止部2は屈曲部3に沿って固定部1に対し略垂直になるように屈曲され、保持されている。又、舌片5、5は切欠部41、41の内側端部において固定部1に長さ方向と略平行に(破線Bに沿って)、固定部1の反対側に屈曲されている。このように舌片51、51を屈曲することにより、舌片51、51は位置ずれ防止部2を支持補強でき、立体形状を確実に保持することができ位置ずれ防止効果が高い。
【0058】
図6は本発明の位置ずれ防止部材の異なる例を示す平面図であり、厚さ約1.2mmのシート状部材よりなり、略矩形の固定部1の一側に屈曲部3を介して略三角形の位置ずれ防止部2が形成されている。又、位置ずれ防止部2内から始まり屈曲部3に達し、屈曲部3に沿い、更に屈曲部3から位置ずれ防止部2内に到るまで切断されて略矩形の舌片52が形成されている。
【0059】
図6(ロ)は図6(イ)に示した位置ずれ防止部材の使用状態を示す正面図である。位置ずれ防止部2は屈曲部3に沿って固定部1に対し略垂直になるように屈曲されているが、屈曲部3に凹溝が形成されていないので、図に示したように屈曲部3は直角に屈曲されず曲線状に屈曲されている。又、舌片52は、位置ずれ防止部2を軸支するように、遊端部が立設されている。舌片52の長さが破線Cの高さより長い場合は、舌片52は破線Cに沿って屈曲されて高さが調節される。このように舌片52は位置ずれ防止部2を支持補強でき、立体形状を確実に保持することができ位置ずれ防止効果が高い。
【0060】
図7は本発明の位置ずれ防止部材の異なる例を示す平面図であり、厚さ約1.2mmのシート状部材よりなり、略矩形の固定部1の一側に屈曲部3を介して略三角形の位置ずれ防止部2が形成されている。又、位置ずれ防止部2内から始まり屈曲部3を越え固定部1内を経由し、該屈曲部3を越え該位置ずれ防止部2内に到り、且つ、固定部1内においてはシート状部材の幅方向であって、シート状部材の長さ方向と略直交するように切断されて略矩形の舌片53が形成されている。
【0061】
図7(ロ)は図7(イ)に示した位置ずれ防止部材の使用状態を示す正面図である。位置ずれ防止部2は屈曲部3に沿って固定部1に対し略垂直になるように屈曲され、保持されている。又、舌片53は遊端部が固定部1接するように、固定部1側に破線Dに沿って屈曲されている。このように舌片53を屈曲することにより、舌片53は位置ずれ防止部2を支持補強でき、立体形状を確実に保持することができ位置ずれ防止効果が高い。尚、舌片53を複数枚形成し、固定部1側とその反対側にそれぞれ1枚以上屈曲してもよい。又、舌片53は、位置ずれ防止部2を屈曲部3に沿って固定部1に対し略垂直に屈曲した際に、破線Dの高さより長くなされていればよく、その形状は特に限定されない。
【0062】
図8は本発明の位置ずれ防止部材の異なる例を示す平面図であり、厚さ約1.2mmのシート状部材よりなり、略矩形の固定部1の一側に屈曲部3を介して略三角形の位置ずれ防止部2が形成されている。又、位置ずれ防止部2の略中間部から始まり屈曲部3に到り、屈曲部3と沿うように切断されて略三角形の舌片54が形成されている
【0063】
図8(ロ)は図8(イ)に示した位置ずれ防止部材の使用状態を示す正面図であり、(ハ)は右側面図である。位置ずれ防止部2は屈曲部3に沿って固定部1に対し略垂直になるように屈曲され、保持されている。又、舌片54は切断部の内側端部において固定部1に長さ方向と略平行に(破線Eに沿って)、固定部1側に屈曲されている。このように舌片53を屈曲することにより、舌片54は位置ずれ防止部2を支持補強でき、立体形状を確実に保持することができ位置ずれ防止効果が高い。尚、上記図4〜8における舌片は固定部側に屈曲されてもよいし、その逆方向に屈曲されてもよい。
【0064】
図9は本発明の位置ずれ防止部材の異なる例を示す平面図であり、厚さ約0.6mmの長尺のシート状部材よりなり、シート状部材の両端部が固定部11、12であり、屈曲部31、32を介して固定部11、12より内側に位置ずれ防止部が形成されている。位置ずれ防止部は、位置ずれ防止部の略中央にシート状部材の幅方向に形成された第2の屈曲部33により、略線対称に第1の位置ずれ防止部21と第2の位置ずれ防止部22に分画されている。又、第1の位置ずれ防止部21と第2の位置ずれ防止部22は屈曲部31、32から第2の屈曲部33方向に次第に幅狭になされ、第2の屈曲部33において幅が最も狭くなされている。
【0065】
図9(ロ)は図9(イ)に示した位置ずれ防止部材の使用状態を示す正面図である。位置ずれ防止部は第1の位置ずれ防止部21と第2の位置ずれ防止部22が重なり合うように第2の屈曲部33に沿って屈曲されると共に、固定部11、12に対し略垂直になるように屈曲部21、21屈曲され、保持されている。このように第1の位置ずれ防止部21と第2の位置ずれ防止部22が重なり合うようにして位置ずれ防止部が形成されているので強度が大きく、シート状部材が薄くても立体形状を確実に保持することができ位置ずれ防止効果が高い。
【0066】
請求項14記載の載置板構造は、請求項5〜13のいずれか1項記載の位置ずれ防止部材とシート状又は板状の載置板が、位置ずれ防止部材の屈曲部を屈曲することにより位置ずれ防止部を載置板に略垂直に形成可能に積層されていることを特徴とする。
【0067】
上記載置板は、ケーキ等のお菓子を載置するためのシート状又は板状のものであり、例えば、紙;ポリエチレン樹脂シート、ポリプロピレン樹脂シート、ポリエステル樹脂シート、ポリスチレン樹脂シート等の合成樹脂シート;アルミニウムシート等が挙げられる。
【0068】
位置ずれ防止部材と載置板は単に積層されているだけでもよいが、位置ずれ防止部材が移動しないように固定部が載置板に固着されているのが好ましい。固着方法は、特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール系接着剤、セルロース系接着剤、酢酸ビニル系接着剤、シリコン系接着剤、ウレタン系接着剤等の接着剤;ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコン系粘着剤、ウレタン系粘着剤等の粘着剤;ホットメルト系粘接着剤等の粘接着剤で固着する方法、粘着テープで固着する方法、固定部を載置板に熱融着する方法等が挙げられる。
【0069】
図10(イ)は本発明の載置板構造の一例を示す正面図であり、(ロ)は使用状態を示す正面図である。図中20は載置板であり、屈曲部3を介して固定部1と位置ずれ防止部2よりなる位置ずれ防止部材10が載置板20の表面(ケーキ等のお菓子を載置する面)に積層されている。使用する際には、(ロ)に示したように、屈曲部3に沿って位置ずれ防止部2を載置板20に対して略垂直になるように屈曲する。
【0070】
位置ずれ防止部材10は形状保持性を有するので、図10(ロ)のように変形するとそのまま立体形状を保持する。その上にケーキ等のお菓子を載置すると、位置ずれ防止部2がケーキ等のお菓子に突き刺さり、ケーキ等のお菓子は位置ずれが防止される。従って、ケーキ等のお菓子を載置した載置板構造はケーキ等のお菓子が位置ずれすることなく、容易にケーキ箱等の容器に挿入することができ、輸送中にケーキ等のお菓子が位置ずれし壊れることがない。
【0071】
載置板に貫通孔が形成されており、固定部又は位置ずれ防止部が該貫通孔に挿通されて設置されていてもよい。即ち、載置板に形成された貫通孔に固定部又は位置ずれ防止部が、固定部が載置板の裏面(ケーキ等のお菓子を載置する面と反対の面)に接し、位置ずれ防止部が載置板の表面(ケーキ等のお菓子を載置する面)に接するように挿通されて積層されてもよい。
【0072】
図11は本発明の載置板構造の異なる実施例を示す正面図である。図中20は載置板であり、位置ずれ防止部材10は固定部1が載置板20の裏面(ケーキ等のお菓子を載置する面と反対の面)に積層され、位置ずれ防止部2が載置板20に形成された直線状の貫通孔6に挿通され載置板20に対して略垂直になるように設置されている。
【0073】
載置板20と位置ずれ防止部材10は、固定部1又は位置ずれ防止部2を載置板20に形成された貫通孔6に挿入し略平行に積層しておき、使用する際に位置ずれ防止部材10の屈曲部3を屈曲することにより位置ずれ防止部2を載置板に略垂直に形成すればよいが、位置ずれ防止部材10の屈曲部3を屈曲することにより位置ずれ防止部2を固定部1に略垂直に形成した後、固定部1又は位置ずれ防止部2を貫通孔6に挿通してもよい。
【0074】
更に、貫通孔が形成されている載置板の裏面(ケーキ等のお菓子を載置する面と反対の面)に位置ずれ防止部材が積層されていてもよい。即ち、使用する際に、載置板に形成された貫通孔に位置ずれ防止部材の位置ずれ防止部を挿通すると共に位置ずれ防止部材の屈曲部を屈曲することにより、図11に示したように位置ずれ防止部を載置板に対して略垂直になるように設置する。
【0075】
上記貫通孔の形状は、位置ずれ防止部材を挿通可能であれば特に限定されず、例えば。直線状、湾曲状、折れ線状等が挙げられる。位置ずれ防止部材が平面であって、貫通孔の形状が湾曲状、折れ線状等であれば、位置ずれ防止部材が抜け落ちにくくなる。貫通孔の幅も位置ずれ防止部材を挿通可能であればよく、貫通孔の中心部は切断のみにし、その両端部の幅を位置ずれ防止部材の厚みと同一又はそれ以上にしてもよい。こすることにより位置ずれ防止部材が抜け落ちにくくなる。
【0076】
尚、固定部と位置ずれ防止部の境で固定部又は位置ずれ防止部の幅を他方より大きく且つ貫通孔の長さより大きくしておき、幅の狭い側から貫通孔に位置ずれ防止部材を挿通すれば、固定部1と位置ずれ防止部2の境がストッパーとなり、位置ずれ防止部材が貫通孔に精度よく挿通固定することができる。
【0077】
又、位置ずれ防止部材が載置板から脱落しないように、ポリビニルアルコール系接着剤、セルロース系接着剤、酢酸ビニル系接着剤、シリコン系接着剤、ウレタン系接着剤等の接着剤;ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコン系粘着剤、ウレタン系粘着剤等の粘着剤;ホットメルト系粘接着剤等の粘接着剤で固着する方法、粘着テープで固着する方法、固定部を載置板に熱融着する方法等の固着方法で固定部を載置板に固着してもよい。
【0078】
図12(イ)は本発明の位置ずれ防止部材の異なる例を示す平面図であり、(ロ)は本発明の載置板の異なる例を示す平面図である。位置ずれ防止部材は、屈曲部3を介して略矩形の固定部1と略三角形の位置ずれ防止部2よりなり、位置ずれ防止部2には屈曲部3に接して略矩形の貫通孔7が穿設されている。
【0079】
20は載置板であり、位置ずれ防止部材の位置ずれ防止部2を挿通するための貫通孔61が穿設されている。貫通孔61は位置ずれ防止部2の幅及び厚みと略同一の長さ及び幅を有しており、その中央部付近に貫通孔7と略同一の幅を有し貫通孔61の幅以下の長さを有する舌片55が形成されている。従って、位置ずれ防止部材の位置ずれ防止部2を載置板20の貫通孔61に裏面から挿通すると、舌片55は貫通孔7に嵌入され、位置ずれ防止部材は載置板20の所定位置に確実に保持される。
【0080】
図13は位置ずれ防止部材の位置ずれ防止部を挿通するための貫通孔の異なる例を示す平面図である。図中62は略矩形の貫通孔であり、貫通孔62の両側から舌片56、56が貫通孔62の略中央部に遊離端が対抗するように形成されている。
【発明の効果】
【0081】
本発明の位置ずれ防止部材の構成は上述の通りであり、軽量で、嵩張らず、保管スペースが小さく輸送コストが低くい。又、位置ずれ防止部材の位置ずれ防止部を屈曲することによりワンタッチで容易に設置することができ、低コストであり、使用時に錆が発生することがなく、ケーキ等のお菓子の位置ずれを効果的に防止することができる。
【0082】
又、本発明の載置板構造の構成は上述の通りであり、ケーキ等のお菓子をその上に載置するとケーキ等のお菓子が位置ずれすることないので、容易にケーキ箱等の容器に挿入することができ、ケーキ等のお菓子を位置ずれし壊れることがないように輸送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】(イ)は本発明の位置ずれ防止部材の一例を示す平面図であり、(ロ)はその側面図であり、(ハ)は使用状態を示す側面図である。
【図2】本発明の位置ずれ防止部材の異なる例を示す平面図である。
【図3】本発明の位置ずれ防止部材の異なる例を示す平面図である。
【図4】(イ)は本発明の位置ずれ防止部材の異なる例を示す平面図であり、(ロ)は使用状態を示す正面図であり、(ハ)は右側面図である。
【図5】(イ)は本発明の位置ずれ防止部材の異なる例を示す平面図であり、(ロ)は使用状態を示す正面図であり、(ハ)は左側面図である。
【図6】(イ)は本発明の位置ずれ防止部材の異なる例を示す平面図であり、(ロ)は使用状態を示す正面図である。
【図7】(イ)は本発明の位置ずれ防止部材の異なる例を示す平面図であり、(ロ)は使用状態を示す正面図である。
【図8】(イ)は本発明の位置ずれ防止部材の異なる例を示す平面図であり、(ロ)は使用状態を示す正面図であり、(ハ)は右側面図である。
【図9】(イ)は本発明の位置ずれ防止部材の異なる例を示す平面図であり、(ロ)は使用状態を示す正面図である。
【図10】(イ)は本発明の載置板構造の一例を示す正面図であり、(ロ)は使用状態を示す正面図である。
【図11】本発明の載置板構造の異なる例を示す正面図である。
【図12】(イ)は本発明の位置ずれ防止部材の異なる例を示す平面図であり、(ロ)は本発明の載置板の異なる例を示す平面図である。
【図13】載置板に形成された貫通孔の異なる例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0084】
1 固定部
2 位置ずれ防止部
3 屈曲部
4 切断部
5 舌片
6 貫通孔
10 位置ずれ防止部材
20 載置板
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーキ等のお菓子の位置ずれ防止部材及びそれを設置したケーキ等のお菓子の載置板構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ケーキは包装箱にいれて販売しているが、お客が運搬する際にケーキが変形したり壊れないようにするために、包装箱又は包装箱の底に設置されたケーキ載置板にケーキロックを設置し、ケーキロックをケーキに突き刺して固定している。
【0003】
例えば、包装箱の底部や挿入用トレイの底部に固定プレートの外周より放射状に複数本(3本)の爪が突出する薄肉金属板(ブリキ)製のロック爪を、斜め外方向上向きに曲げ起こし、載せるケーキの底面に爪が突き刺さる構造となったものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】実公平5−32423号公報
【0004】
しかし、上記金属製のケーキロックはケーキ載置時にその都度人手により爪を起こす必要があり、店頭やケーキ包装ライン等での急がれる作業には時間と複雑な作業を要するため不向きであるほか、金属製のケーキロックは高湿度環境では銹が発生し、この銹がケーキやトレイ等に付着して商品価値を低下させる等の欠点があった。
【0005】
これらの欠点を解消するために、ケーキを載置し底部に予めピン孔を設けたトレイと、基端部に上記ピン孔に差し込む差込支持部を形成し、先端が爪状の尖端部をなし上記差し込み固定状態でトレイの底面上に突出する合成樹脂材を成形してなるロック爪とからなり、トレイ上にケーキを載置した際に上記ロック爪の突出端がケーキ底面より突き刺さる構造としたケーキロック構造が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献2】特開平8−175583号公報
【0006】
しかしながら、上記ロック爪はいわば釘やビスであり、荷重がありコストも高かく、トレイにロック爪を差し込んだ後包装箱にトレイを挿入しなければならないが、その際にロック爪が脱落することがあり、設置が困難であった。又、上記ケーキロック構造は立体に成型されたものであり、保管や輸送の際に嵩張るという問題点があり、より軽量で、嵩張らず、保管スペースが小さく輸送コストが低く、容易に設置できる低コストのケーキ等のお菓子の位置ずれ防止部材が望まれていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、軽量で、嵩張らず、保管スペースが小さく輸送コストが低く、設置が容易で低コストであり、使用時に錆が発生することのないケーキ等のお菓子の位置ずれを防止しうる位置ずれ防止部材及びそれを用いた載置板構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明の位置ずれ防止部材は、ケーキ等のお菓子の位置ずれを防止するシート状部材であって、形状保持性を有する延伸ポリオレフィン系樹脂シートからなることを特徴とする。
【0009】
上記延伸ポリオレフィン系樹脂シートを構成するポリオレフィン系樹脂としては、フィルム形成能を有する任意のオレフィン系樹脂が使用でき、例えば、高密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、線状低密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−ペンテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合体、エチレン−オクテン−1共重合体、エチレン―酢酸ビニル共重合体、エチレン―(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン―塩化ビニル共重合体、エチレン―プロピレン―ブテン共重合体等が挙げられ、高密度ポリエチレン樹脂が好適に使用される。
【0010】
ポリオレフィン系樹脂の重量平均分子量は、重量平均分子量が10万未満の場合には、脆くなり、延伸性が悪くなったり、十分な強度又は耐クリープ性を有する延伸ポリオレフィン系樹脂シートを得ることができにくくなり、逆に、50万を超えると、溶融粘度が高くなり、熱溶融成形加工性が低下し、均一なシートが得られにくくなるので10万〜50万が好ましい。
【0011】
又、ポリオレフィン系樹脂のメルトインデックス(以下、MI)はフィルム成形性が優れている0.1〜20(g/10分)が好ましく、より好ましくは0.2〜10(g/10分)である。尚、MIとは、JIS K 7210に規定されている熱可塑性樹脂の溶融粘度を表す指標である。更に、高密度ポリエチレン樹脂の場合は、密度は小さくなると延伸しても機械的強度が向上しなくなるので、0.94g/cm3 以上が好ましい。
【0012】
ポリオレフィン系樹脂シートの厚みは特に限定されるものではないが、厚過ぎると、延伸が困難になるし、圧延工程において、ポリオレフィン系樹脂シートを圧延ロールで押しつぶすのに大きな加圧力や引取力が必要となり、圧延ロールの撓みなどにより幅方向に均一な圧延が困難となることがある、逆に、薄過ぎると、延伸後又は圧延後のポリオレフィン系樹脂シートの厚みが薄くなり過ぎ、均一な圧延が困難となるだけでなく、圧延ロール同士が接触して圧延ロールの寿命が短くなることがあるので、0.2〜15mmが望ましい。
【0013】
上記延伸ポリオレフィン系樹脂シートは形状保持性を有していればよく、上記重量平均分子量が10万〜50万のポリオレフィン系樹脂シートが延伸倍率5倍以上に延伸された形状保持性の延伸ポリオレフィン系樹脂シートが好ましい。
【0014】
延伸倍率は5倍以上であって、延伸された延伸ポリオレフィン系樹脂シートが形状保持性を有していればよいが、延伸倍率は10〜40倍が好ましい。又、延伸方法は、従来公知の任意の方法が採用されればよく、例えば、ロール一軸延伸法、ゾーン一軸延伸法等の一軸延伸法により、ヒータや熱風により加熱しながら延伸する方法が挙げられる。
【0015】
一軸延伸する際に10〜40倍と高度に延伸する場合は、一軸延伸を複数回繰り返す多段一軸延伸する方法が好ましい。多段一軸延伸を行う場合の延伸回数は2〜20回が好ましく、より好ましくは3〜15回、更に好ましくは4〜10回である。
【0016】
又、ロール一軸延伸法により多段延伸を行う場合には、繰出ピンチロール、引取ピンチロール及びこれらのロール間に一定速度で回転する少なくとも1つの、好ましくは複数の接触ロールを設置することが望ましい。このような接触ロールを設置することにより、均一延伸性が高められ、安定な延伸成形を行うことができる。
【0017】
上記接触ロールは、ピンチされることなく、ポリオレフィン系樹脂シートに摩擦力を与えることにより一軸延伸を行う。又、接触ロールは繰出ロール及び/又は引取ロールに対し、ギア、チェーン、プーリー、ベルト若しくはこれらの組み合わせからなる連結部材により連結されていてもよい。
【0018】
一軸延伸温度は、低くなると均一に延伸できず、高くなるとシートが溶融切断するので、延伸するポリオレフィン系樹脂シートのポリオレフィン系樹脂の「融点−60℃」〜融点の範囲が好ましく、より好ましくは、ポリオレフィン系樹脂の「融点−50℃」〜「融点−5℃」である。
【0019】
又、延伸倍率10〜40倍と高度に延伸する場合は、延伸に先立って圧延されるのが好ましい。圧延は圧延倍率が5倍以上になるように圧延されるのが好ましい。圧延は、ポリオレフィン系樹脂シートを一対の反対方向に回転するロールに供給し、押圧してシートの厚みを薄くすると共に伸長する方法であり、圧延されたシートは延伸シートとは異なり、オレフィン系樹脂が配向されることなく緻密になっているので、高度に延伸しやすくなっている。
【0020】
圧延温度は、低くなると均一に圧延できず、高くなると溶融切断するので、圧延する際のロール温度は、圧延するポリオレフィン系樹脂シートのオレフィン系樹脂の「融点−40℃」〜融点の範囲が好ましく、より好ましくは、オレフィン系樹脂の「融点−30℃」〜「融点−5℃」である。尚、本発明において、融点とは示差走査型熱量測定機(DSC)で熱分析を行った際に認められる、結晶の融解に伴う吸熱ピークの最大点をいう。
【0021】
圧延ロールによりポリオレフィン系樹脂シートに負荷される加圧力(線圧)が小さ過ぎると所定の圧延倍率を得ることが出来なくなることがあり、逆に大き過ぎると圧延ロールの撓みが生じるだけでなく、圧延ロールと原反シートとの間ですべりが生じ易くなり、均一な圧延が困難となることがあるので加圧力は、100MPa〜3000MPaが好ましく、より好ましくは、300MPa〜1000MPaである。
【0022】
上記圧延倍率は、圧延倍率が5倍未満の場合には、後で行われる一軸延伸時のネッキングを抑制する効果が得られなかったり、高倍率一軸延伸を行うことができなかったり、一軸延伸工程に負担がかかることになるので、5倍以上であり、好ましくは7倍以上である。圧延倍率に特に上限はないが、圧延倍率が高いほど圧延設備に負荷がかかるので10倍以下が好ましい。
【0023】
尚、圧延倍率は(ポリオレフィン系樹脂シートの断面積)/(圧延後ポリオレフィン系樹脂シートの断面積)で定義されるが、圧延の前後においてポリオレフィン系樹脂シートの幅は殆ど変化しないので、(ポリオレフィン系樹脂シートの厚み)/(圧延後のポリオレフィン系樹脂シートの厚み)であってもよい。
【0024】
圧延されたポリオレフィン系樹脂シートは、次に、総延伸倍率が10〜40倍に一軸延伸される。一軸延伸方法は、従来公知の任意の方法が採用されればよく、例えば、ロール一軸延伸法、ゾーン一軸延伸法により、ヒータや熱風により加熱しながら延伸する方法が挙げられる。
【0025】
圧延されたポリオレフィン系樹脂シートを10〜40倍と高度に一軸延伸する場合は、一軸延伸を複数回繰り返す多段一軸延伸する方法が好ましい。多段一軸延伸を行う場合の延伸回数は2〜20回が好ましく、より好ましくは3〜15回、更に好ましくは4〜10回である。
【0026】
又、ロール一軸延伸法により多段延伸を行う場合には、繰出ピンチロール、引取ピンチロール及びこれらのロール間に一定速度で回転する少なくとも1つの、好ましくは複数の接触ロールを設置することが望ましい。このような接触ロールを設置することにより、均一延伸性が高められ、安定な延伸成形を行うことができる。
【0027】
上記接触ロールは、ピンチされることなく、ポリオレフィン系樹脂シートに摩擦力を与えることにより一軸延伸を行う。又、接触ロールは繰出ロール及び/又は引取ロールに対し、ギア、チェーン、プーリー、ベルト若しくはこれらの組み合わせからなる連結部材により連結されていてもよい。
【0028】
一軸延伸温度は、低くなると均一に延伸できず、高くなるとシートが溶融切断するので、延伸するポリオレフィン系樹脂シートのポリオレフィン系樹脂の「融点−60℃」〜融点の範囲が好ましく、より好ましくは、ポリオレフィン系樹脂の「融点−50℃」〜「融点−5℃」である。
【0029】
又、一軸延伸倍率は、総延伸倍率が10〜40倍であるから、圧延倍率を考慮し、総延伸倍率がこの範囲にはいるように決定すればよいが、一軸延伸が少ないと機械的強度が向上しないので、1.3倍以上が好ましく、より好ましくは1.5倍以上であり、更に好ましくは1.8倍以上である。又、上限は特に限定されるものではないが、4倍以下が好ましく、より好ましくは3.5倍以下である。尚、総延伸倍率は圧延倍率と一軸延伸倍率を乗じた数値である。
【0030】
延伸ポリオレフィン系樹脂シートの寸法安定性を向上させるために、延伸ポリオレフィン系樹脂シートはポリオレフィン系樹脂の「融点−60℃」〜融点であって、圧延温度以下の温度でアニールされてもよい。
【0031】
アニール温度は、低くなると寸法安定性が向上せず、長時間使用するとそりが発生し、高くなるとポリオレフィン系樹脂が溶解して配向が消滅し引張弾性率、引張強度等が低下するので、ポリオレフィン系樹脂の「融点−60℃」〜融点であって、圧延温度以下の温度でアニールされるのが好ましい。
【0032】
アニールとは生産ライン中で熱処理を行うことであり、アニールする際に、延伸ポリオレフィン系樹脂シートに大きな張力がかかっていると延伸され、張力がかかっていないか、非常に小さい状態では収縮するので、延伸ポリオレフィン系樹脂シートの延伸方向の長さが実質的に変化しないようにした状態で行われることが好ましく、延伸ポリオレフィン系樹脂シートに圧力もかかっていないのが好ましい。即ち、アニールされた延伸ポリオレフィン系樹脂シートの長さが、アニール前の延伸ポリオレフィン系樹脂シートの長さの1.0以下になるようにアニールされるのが好ましい。
【0033】
従って、延伸ポリオレフィン系樹脂シートをピンチロール等のロールで加熱室内を移動しながら連続的にアニールする場合は、入口側と出口側のポリオレフィン系樹脂シートの送り速度比を1.0以下になるように設定してアニールするのが好ましい。
【0034】
アニールする際の加熱方法は、特に限定されるものではなく、例えば、熱風、ヒーター、加熱板、温水等で加熱する方法があげられる。アニールする時間は、特に限定されず、延伸されたポリオレフィン系樹脂シートの厚さやアニール温度により異なるが、一般に10秒以上が好ましく、より好ましくは30秒〜60分であり、更に好ましくは1〜20分である。
【0035】
アニールされたポリオレフィン系樹脂シートは、更に、40℃〜ポリオレフィン系樹脂の融点の温度範囲でエージングされてもよい。エージングすることによりアニールされたポリオレフィン系樹脂シートの寸法安定性はより優れたものとなる。
【0036】
エージングとは、生産ライン中連続で処理するものではなく、延伸ポリオレフィン系樹脂シートをカット巻回等の一度加工した、枚葉物、巻物等の熱処理を、比較的長い時間(分、時間単位)じっくり寝かせて熱処理することを意味する。
【0037】
エージング温度は、低くなると常温で放置するのと同様になり、高くなると熱変形するので40℃〜ポリオレフィン系樹脂の融点の温度範囲であり、エージング時間は短時間では効果がなく、長時間しすぎても効果が増大することはないので12時間〜7日が好ましい。
【0038】
上記延伸ポリオレフィン系樹脂シートは、重量平均分子量が10万〜50万のポリオレフィン系樹脂シートが延伸倍率5倍以上に延伸されたシート、又は、圧延倍率5倍以上に圧延された後、総延伸倍率10〜40倍に一軸延伸されたシートであり、形状保持性を有しているが、形状保持性は、延伸ポリオレフィン系樹脂シートを180度及び90度に折曲げて1分間保持した後解放し、解放後5分経過した時の折曲げ戻り角度θが共に20度以下であるのが好ましく、より好ましくは180度折曲げ戻り角度θが20度以下で且つ90度折曲げ戻り角度θが20度未満、更に好ましくは180度折曲げ戻り角度θが20度以下で且つ90度折曲げ戻り角度θが15度以下である。180度及び90度折曲げ時の折曲げ戻り角度θのいずれか一方、特に180度折曲げ戻り角度θが20度を越えると、充分な形状保持性が得られないことがある。
【0039】
上記延伸ポリオレフィン系樹脂シートの厚さは特に限定されるものではないが、一般に、50〜1200μmである。
【0040】
上記シート状部材を上記延伸ポリオレフィン系樹脂シート1枚で形成する場合は、その厚さは一般に、200〜1200μmであり、好ましくは200〜1000μmである。一般に1枚の延伸ポリオレフィン系樹脂シートでは機械的強度が不足するので、複数の薄い延伸ポリオレフィン系樹脂シートが積層されているのが好ましい。積層する場合は、50〜600μmの延伸ポリオレフィン系樹脂シートを2〜10枚積層するのが好ましく、より好ましくは2〜5枚である。又、上記延伸ポリオレフィン系樹脂シートが積層されたシート状部材の厚さは特に限定されるものではないが、一般に、200〜1200μmであり、好ましくは200〜1000μmである。
【0041】
上記延伸ポリオレフィン系樹脂シートが積層されたシート状部材の形状保持性も、シート状部材を180度及び90度に折曲げて1分間保持した後解放し、解放後5分経過した時の折曲げ戻り角度θが共に20度以下であるのが好ましく、より好ましくは180度折曲げ戻り角度θが20度以下で且つ90度折曲げ戻り角度θが20度未満、更に好ましくは180度折曲げ戻り角度θが20度以下で且つ90度折曲げ戻り角度θが15度以下である。
【0042】
延伸ポリオレフィン系樹脂シートの一軸延伸方向を揃えて積層すると割れやすくなるので、割れにくくするには、少なくとも1枚の延伸ポリオレフィン系樹脂シートを他の延伸ポリオレフィン系樹脂シートの一軸延伸方向と交差するように積層するのが好ましく、交差角度は30〜90度が好ましい。特に、複数の延伸ポリオレフィン系樹脂シートを、隣合う延伸ポリオレフィン系樹脂シートの一軸延伸方向とそれぞれ30〜90度交差するように積層するのが好ましい。
【0043】
複数の延伸ポリオレフィン系樹脂シートの積層方法は、従来公知の任意の方法が採用されてよく、例えば、ポリエステル系、ポリオレフィン系、ウレタン系等のホットメルト型接着剤で接着する方法、反応性接着剤、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤、ゴム系接着剤等の接着剤で接着する方法等があげられる。
【0044】
本発明の位置ずれ防止部材は、上記形状保持性を有する延伸ポリオレフィン系樹脂シートからなるシート状部材であり、シート状部材は屈曲部を介して固定部と位置ずれ防止部よりなる。シート状部材は屈曲部において屈曲するとその形状に保持されるので、固定部を略水平に固定し位置ずれ防止部を略垂直に立設して使用する。
【0045】
次に、図面を参照して本発明を説明する。図1(イ)は本発明の位置ずれ防止部材の一例を示す平面図であり、(ロ)はその側面図である。位置ずれ防止部材は、厚さ約1.2mmのシート状部材よりなり、屈曲部3を介して略矩形の固定部1と略三角形の位置ずれ防止部2よりなる。シート状部材の平面形状は略長方形であり、長辺の略中央部に長さ方向と略直交する方向に穿設された凹溝により屈曲部3が形成されている。又、位置ずれ防止部2は屈曲部3から先端部方向に次第に幅狭になるように切断されて略三角形に形成されている。図1(ハ)は図1(イ)、(ロ)に示した位置ずれ防止部材の使用状態を示す側面図である。位置ずれ防止部2は屈曲部3に沿って固定部1に対し略垂直になるように屈曲され、保持されている。この位置ずれ防止部材を設置した上にケーキ等のお菓子を置くと位置ずれ防止部2がケーキ等のお菓子に突き刺さり、ケーキ等のお菓子は位置ずれが防止される。
【0046】
位置ずれ防止部2はケーキ等のお菓子に突き刺し、位置づれを防止するのであるから、先端部が屈曲部から先端部方向に次第に幅狭になるように尖っているのが好ましい。又、シート状部材は形状保持性を有する延伸ポリオレフィン系樹脂シートからなるので容易に屈曲することができるが、シート状部材を位置ずれ防止部が固定部に対し略垂直方向に所定位置で所定高さにより容易に屈曲するために、シート状部材の長辺に長さ方向と略直交する方向に凹溝を穿設して屈曲部を形成するのが好ましい。
【0047】
上記シート状部材の製造方法は以下の通りである。
重量平均分子量(Mw)33万、融点135℃の高密度ポリエチレン樹脂(日本ポリケム社製)を、同方向二軸混練押出機(プラスチック工学研究所製)に供給して樹脂温度200℃で溶融混練した後、溶融混練物をロール温度110℃に制御したカレンダー成形機にて幅330mm、厚さ3.1mmにシート成形してポリエチレン樹脂シートを得た。
【0048】
得られたポリエチレン樹脂シートを125℃に加熱した圧延成形機(積水工機製作所製)を用いて圧延倍率11.5倍に圧延し、幅330mm、厚み270μmの圧延ポリエチレン樹脂シートを得た。得られた圧延ポリエチレン樹脂シートを110℃に加熱された熱風加熱式の多段延伸装置(協和エンジニアリング製)にて1.8倍の多段延伸を行い、総延伸倍率20.7倍、幅260mm、厚さ190μmの延伸ポリエチレン樹脂シートを得た。
【0049】
得られた延伸ポリエチレン樹脂シートをピンチロールが設置され、125℃に設定されているライン長19.25mの熱風加熱槽に、入口速度2.75m/minで供給し、出口速度2.75m/minに設定して7分間1次アニールを行い、続いて同様にして2次アニールを行って、アニールされた延伸ポリエチレン樹脂シートを得、その後60℃の恒温槽に供給し、24時間エージングして、エージングされた延伸ポリエチレン樹脂シートを得た。
【0050】
4枚の厚さ60μmの線状低密度ポリエチレン樹脂シートと得られた5枚の延伸ポリエチレン樹脂シートを交互に積層し、140℃の加熱プレスで熱融着して厚さ約1.2mmの積層シートを得た。得られた積層シートを幅1cm、長さ15cmに切断し、180度及び90度に折曲げて1分間保持した後解放し、解放後5分経過時の折曲げ戻り角度θを測定したところ、それぞれ5度及び8度であった。
得られた積層シートを切断し、図1に示した形状のシート状部材を得た。
【0051】
図2は本発明の位置ずれ防止部材の異なる例を示す平面図であり、厚さ約1.2mmのシート状部材よりなり、略矩形の固定部1の両側に屈曲部3、3を介して略三角形の位置ずれ防止部2、2が形成されている。屈曲部3、3に沿って位置ずれ防止部2、2を固定部1に対し略垂直に立設することにより2つの位置ずれ防止部2、2が形成される。
【0052】
図3は本発明の位置ずれ防止部材の異なる例を示す平面図であり、厚さ約1.2mmのシート状部材よりなり、固定部1の3方向に屈曲部3、3、3を介して略三角形の位置ずれ防止部2、2、2が3枚形成されている。屈曲部3、3、3に沿って位置ずれ防止部2、2、2を固定部1に対し略垂直に立設することにより3つの位置ずれ防止部2、2、2が形成される。
【0053】
上述の通り、固定部の周囲に屈曲部を介して複数の位置ずれ防止部を形成してもよく、複数の位置ずれ防止部を形成することにより、載置したケーキ等のお菓子の位置ずれをより確実に防止することができる。又、位置ずれ防止部の形状は同一であってもよいし、異なる形状であってもよい。
【0054】
図4(イ)は本発明の位置ずれ防止部材の異なる例を示す平面図であり、厚さ約1.2mmのシート状部材よりなり、略矩形の固定部1の一側に屈曲部3を介して略三角形の位置ずれ防止部2が形成されている。又、屈曲部3は、シート状部材の一側面から内側方向にシート状部材の幅の約25%まで、屈曲部3に接するように切断され切断部4が形成されることにより、位置ずれ防止部2の一部が舌片5となされている。
【0055】
図4(ロ)は図4(イ)に示した位置ずれ防止部材の使用状態を示す正面図であり、(ハ)は右側面図である。位置ずれ防止部2は屈曲部3に沿って固定部1に対し略垂直になるように屈曲され、保持されている。又、舌片5は切断部4の内側端部において固定部1に長さ方向と略平行に(破線Aに沿って)、固定部1側に屈曲されている。このように舌片5を屈曲することにより、舌片5は位置ずれ防止部2を支持補強でき、立体形状を確実に保持することができ位置ずれ防止効果が高い。
【0056】
図5は本発明の位置ずれ防止部材の異なる例を示す平面図であり、厚さ約1.2mmのシート状部材よりなり、略矩形の固定部1の一側に屈曲部3を介して略三角形の位置ずれ防止部2が形成されている。又、屈曲部3は、シート状部材の両側面から内側方向にシート状部材の幅の約25%まで、屈曲部3に接するように切欠かれ切欠部41、41が形成されることにより、位置ずれ防止部2の両側部が舌片51、51となされている。
【0057】
図5(ロ)は図5(イ)に示した位置ずれ防止部材の使用状態を示す正面図であり、(ハ)は左側面図である。位置ずれ防止部2は屈曲部3に沿って固定部1に対し略垂直になるように屈曲され、保持されている。又、舌片5、5は切欠部41、41の内側端部において固定部1に長さ方向と略平行に(破線Bに沿って)、固定部1の反対側に屈曲されている。このように舌片51、51を屈曲することにより、舌片51、51は位置ずれ防止部2を支持補強でき、立体形状を確実に保持することができ位置ずれ防止効果が高い。
【0058】
図6は本発明の位置ずれ防止部材の異なる例を示す平面図であり、厚さ約1.2mmのシート状部材よりなり、略矩形の固定部1の一側に屈曲部3を介して略三角形の位置ずれ防止部2が形成されている。又、位置ずれ防止部2内から始まり屈曲部3に達し、屈曲部3に沿い、更に屈曲部3から位置ずれ防止部2内に到るまで切断されて略矩形の舌片52が形成されている。
【0059】
図6(ロ)は図6(イ)に示した位置ずれ防止部材の使用状態を示す正面図である。位置ずれ防止部2は屈曲部3に沿って固定部1に対し略垂直になるように屈曲されているが、屈曲部3に凹溝が形成されていないので、図に示したように屈曲部3は直角に屈曲されず曲線状に屈曲されている。又、舌片52は、位置ずれ防止部2を軸支するように、遊端部が立設されている。舌片52の長さが破線Cの高さより長い場合は、舌片52は破線Cに沿って屈曲されて高さが調節される。このように舌片52は位置ずれ防止部2を支持補強でき、立体形状を確実に保持することができ位置ずれ防止効果が高い。
【0060】
図7は本発明の位置ずれ防止部材の異なる例を示す平面図であり、厚さ約1.2mmのシート状部材よりなり、略矩形の固定部1の一側に屈曲部3を介して略三角形の位置ずれ防止部2が形成されている。又、位置ずれ防止部2内から始まり屈曲部3を越え固定部1内を経由し、該屈曲部3を越え該位置ずれ防止部2内に到り、且つ、固定部1内においてはシート状部材の幅方向であって、シート状部材の長さ方向と略直交するように切断されて略矩形の舌片53が形成されている。
【0061】
図7(ロ)は図7(イ)に示した位置ずれ防止部材の使用状態を示す正面図である。位置ずれ防止部2は屈曲部3に沿って固定部1に対し略垂直になるように屈曲され、保持されている。又、舌片53は遊端部が固定部1接するように、固定部1側に破線Dに沿って屈曲されている。このように舌片53を屈曲することにより、舌片53は位置ずれ防止部2を支持補強でき、立体形状を確実に保持することができ位置ずれ防止効果が高い。尚、舌片53を複数枚形成し、固定部1側とその反対側にそれぞれ1枚以上屈曲してもよい。又、舌片53は、位置ずれ防止部2を屈曲部3に沿って固定部1に対し略垂直に屈曲した際に、破線Dの高さより長くなされていればよく、その形状は特に限定されない。
【0062】
図8は本発明の位置ずれ防止部材の異なる例を示す平面図であり、厚さ約1.2mmのシート状部材よりなり、略矩形の固定部1の一側に屈曲部3を介して略三角形の位置ずれ防止部2が形成されている。又、位置ずれ防止部2の略中間部から始まり屈曲部3に到り、屈曲部3と沿うように切断されて略三角形の舌片54が形成されている
【0063】
図8(ロ)は図8(イ)に示した位置ずれ防止部材の使用状態を示す正面図であり、(ハ)は右側面図である。位置ずれ防止部2は屈曲部3に沿って固定部1に対し略垂直になるように屈曲され、保持されている。又、舌片54は切断部の内側端部において固定部1に長さ方向と略平行に(破線Eに沿って)、固定部1側に屈曲されている。このように舌片53を屈曲することにより、舌片54は位置ずれ防止部2を支持補強でき、立体形状を確実に保持することができ位置ずれ防止効果が高い。尚、上記図4〜8における舌片は固定部側に屈曲されてもよいし、その逆方向に屈曲されてもよい。
【0064】
図9は本発明の位置ずれ防止部材の異なる例を示す平面図であり、厚さ約0.6mmの長尺のシート状部材よりなり、シート状部材の両端部が固定部11、12であり、屈曲部31、32を介して固定部11、12より内側に位置ずれ防止部が形成されている。位置ずれ防止部は、位置ずれ防止部の略中央にシート状部材の幅方向に形成された第2の屈曲部33により、略線対称に第1の位置ずれ防止部21と第2の位置ずれ防止部22に分画されている。又、第1の位置ずれ防止部21と第2の位置ずれ防止部22は屈曲部31、32から第2の屈曲部33方向に次第に幅狭になされ、第2の屈曲部33において幅が最も狭くなされている。
【0065】
図9(ロ)は図9(イ)に示した位置ずれ防止部材の使用状態を示す正面図である。位置ずれ防止部は第1の位置ずれ防止部21と第2の位置ずれ防止部22が重なり合うように第2の屈曲部33に沿って屈曲されると共に、固定部11、12に対し略垂直になるように屈曲部21、21屈曲され、保持されている。このように第1の位置ずれ防止部21と第2の位置ずれ防止部22が重なり合うようにして位置ずれ防止部が形成されているので強度が大きく、シート状部材が薄くても立体形状を確実に保持することができ位置ずれ防止効果が高い。
【0066】
請求項14記載の載置板構造は、請求項5〜13のいずれか1項記載の位置ずれ防止部材とシート状又は板状の載置板が、位置ずれ防止部材の屈曲部を屈曲することにより位置ずれ防止部を載置板に略垂直に形成可能に積層されていることを特徴とする。
【0067】
上記載置板は、ケーキ等のお菓子を載置するためのシート状又は板状のものであり、例えば、紙;ポリエチレン樹脂シート、ポリプロピレン樹脂シート、ポリエステル樹脂シート、ポリスチレン樹脂シート等の合成樹脂シート;アルミニウムシート等が挙げられる。
【0068】
位置ずれ防止部材と載置板は単に積層されているだけでもよいが、位置ずれ防止部材が移動しないように固定部が載置板に固着されているのが好ましい。固着方法は、特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール系接着剤、セルロース系接着剤、酢酸ビニル系接着剤、シリコン系接着剤、ウレタン系接着剤等の接着剤;ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコン系粘着剤、ウレタン系粘着剤等の粘着剤;ホットメルト系粘接着剤等の粘接着剤で固着する方法、粘着テープで固着する方法、固定部を載置板に熱融着する方法等が挙げられる。
【0069】
図10(イ)は本発明の載置板構造の一例を示す正面図であり、(ロ)は使用状態を示す正面図である。図中20は載置板であり、屈曲部3を介して固定部1と位置ずれ防止部2よりなる位置ずれ防止部材10が載置板20の表面(ケーキ等のお菓子を載置する面)に積層されている。使用する際には、(ロ)に示したように、屈曲部3に沿って位置ずれ防止部2を載置板20に対して略垂直になるように屈曲する。
【0070】
位置ずれ防止部材10は形状保持性を有するので、図10(ロ)のように変形するとそのまま立体形状を保持する。その上にケーキ等のお菓子を載置すると、位置ずれ防止部2がケーキ等のお菓子に突き刺さり、ケーキ等のお菓子は位置ずれが防止される。従って、ケーキ等のお菓子を載置した載置板構造はケーキ等のお菓子が位置ずれすることなく、容易にケーキ箱等の容器に挿入することができ、輸送中にケーキ等のお菓子が位置ずれし壊れることがない。
【0071】
載置板に貫通孔が形成されており、固定部又は位置ずれ防止部が該貫通孔に挿通されて設置されていてもよい。即ち、載置板に形成された貫通孔に固定部又は位置ずれ防止部が、固定部が載置板の裏面(ケーキ等のお菓子を載置する面と反対の面)に接し、位置ずれ防止部が載置板の表面(ケーキ等のお菓子を載置する面)に接するように挿通されて積層されてもよい。
【0072】
図11は本発明の載置板構造の異なる実施例を示す正面図である。図中20は載置板であり、位置ずれ防止部材10は固定部1が載置板20の裏面(ケーキ等のお菓子を載置する面と反対の面)に積層され、位置ずれ防止部2が載置板20に形成された直線状の貫通孔6に挿通され載置板20に対して略垂直になるように設置されている。
【0073】
載置板20と位置ずれ防止部材10は、固定部1又は位置ずれ防止部2を載置板20に形成された貫通孔6に挿入し略平行に積層しておき、使用する際に位置ずれ防止部材10の屈曲部3を屈曲することにより位置ずれ防止部2を載置板に略垂直に形成すればよいが、位置ずれ防止部材10の屈曲部3を屈曲することにより位置ずれ防止部2を固定部1に略垂直に形成した後、固定部1又は位置ずれ防止部2を貫通孔6に挿通してもよい。
【0074】
更に、貫通孔が形成されている載置板の裏面(ケーキ等のお菓子を載置する面と反対の面)に位置ずれ防止部材が積層されていてもよい。即ち、使用する際に、載置板に形成された貫通孔に位置ずれ防止部材の位置ずれ防止部を挿通すると共に位置ずれ防止部材の屈曲部を屈曲することにより、図11に示したように位置ずれ防止部を載置板に対して略垂直になるように設置する。
【0075】
上記貫通孔の形状は、位置ずれ防止部材を挿通可能であれば特に限定されず、例えば。直線状、湾曲状、折れ線状等が挙げられる。位置ずれ防止部材が平面であって、貫通孔の形状が湾曲状、折れ線状等であれば、位置ずれ防止部材が抜け落ちにくくなる。貫通孔の幅も位置ずれ防止部材を挿通可能であればよく、貫通孔の中心部は切断のみにし、その両端部の幅を位置ずれ防止部材の厚みと同一又はそれ以上にしてもよい。こすることにより位置ずれ防止部材が抜け落ちにくくなる。
【0076】
尚、固定部と位置ずれ防止部の境で固定部又は位置ずれ防止部の幅を他方より大きく且つ貫通孔の長さより大きくしておき、幅の狭い側から貫通孔に位置ずれ防止部材を挿通すれば、固定部1と位置ずれ防止部2の境がストッパーとなり、位置ずれ防止部材が貫通孔に精度よく挿通固定することができる。
【0077】
又、位置ずれ防止部材が載置板から脱落しないように、ポリビニルアルコール系接着剤、セルロース系接着剤、酢酸ビニル系接着剤、シリコン系接着剤、ウレタン系接着剤等の接着剤;ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコン系粘着剤、ウレタン系粘着剤等の粘着剤;ホットメルト系粘接着剤等の粘接着剤で固着する方法、粘着テープで固着する方法、固定部を載置板に熱融着する方法等の固着方法で固定部を載置板に固着してもよい。
【0078】
図12(イ)は本発明の位置ずれ防止部材の異なる例を示す平面図であり、(ロ)は本発明の載置板の異なる例を示す平面図である。位置ずれ防止部材は、屈曲部3を介して略矩形の固定部1と略三角形の位置ずれ防止部2よりなり、位置ずれ防止部2には屈曲部3に接して略矩形の貫通孔7が穿設されている。
【0079】
20は載置板であり、位置ずれ防止部材の位置ずれ防止部2を挿通するための貫通孔61が穿設されている。貫通孔61は位置ずれ防止部2の幅及び厚みと略同一の長さ及び幅を有しており、その中央部付近に貫通孔7と略同一の幅を有し貫通孔61の幅以下の長さを有する舌片55が形成されている。従って、位置ずれ防止部材の位置ずれ防止部2を載置板20の貫通孔61に裏面から挿通すると、舌片55は貫通孔7に嵌入され、位置ずれ防止部材は載置板20の所定位置に確実に保持される。
【0080】
図13は位置ずれ防止部材の位置ずれ防止部を挿通するための貫通孔の異なる例を示す平面図である。図中62は略矩形の貫通孔であり、貫通孔62の両側から舌片56、56が貫通孔62の略中央部に遊離端が対抗するように形成されている。
【発明の効果】
【0081】
本発明の位置ずれ防止部材の構成は上述の通りであり、軽量で、嵩張らず、保管スペースが小さく輸送コストが低くい。又、位置ずれ防止部材の位置ずれ防止部を屈曲することによりワンタッチで容易に設置することができ、低コストであり、使用時に錆が発生することがなく、ケーキ等のお菓子の位置ずれを効果的に防止することができる。
【0082】
又、本発明の載置板構造の構成は上述の通りであり、ケーキ等のお菓子をその上に載置するとケーキ等のお菓子が位置ずれすることないので、容易にケーキ箱等の容器に挿入することができ、ケーキ等のお菓子を位置ずれし壊れることがないように輸送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】(イ)は本発明の位置ずれ防止部材の一例を示す平面図であり、(ロ)はその側面図であり、(ハ)は使用状態を示す側面図である。
【図2】本発明の位置ずれ防止部材の異なる例を示す平面図である。
【図3】本発明の位置ずれ防止部材の異なる例を示す平面図である。
【図4】(イ)は本発明の位置ずれ防止部材の異なる例を示す平面図であり、(ロ)は使用状態を示す正面図であり、(ハ)は右側面図である。
【図5】(イ)は本発明の位置ずれ防止部材の異なる例を示す平面図であり、(ロ)は使用状態を示す正面図であり、(ハ)は左側面図である。
【図6】(イ)は本発明の位置ずれ防止部材の異なる例を示す平面図であり、(ロ)は使用状態を示す正面図である。
【図7】(イ)は本発明の位置ずれ防止部材の異なる例を示す平面図であり、(ロ)は使用状態を示す正面図である。
【図8】(イ)は本発明の位置ずれ防止部材の異なる例を示す平面図であり、(ロ)は使用状態を示す正面図であり、(ハ)は右側面図である。
【図9】(イ)は本発明の位置ずれ防止部材の異なる例を示す平面図であり、(ロ)は使用状態を示す正面図である。
【図10】(イ)は本発明の載置板構造の一例を示す正面図であり、(ロ)は使用状態を示す正面図である。
【図11】本発明の載置板構造の異なる例を示す正面図である。
【図12】(イ)は本発明の位置ずれ防止部材の異なる例を示す平面図であり、(ロ)は本発明の載置板の異なる例を示す平面図である。
【図13】載置板に形成された貫通孔の異なる例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0084】
1 固定部
2 位置ずれ防止部
3 屈曲部
4 切断部
5 舌片
6 貫通孔
10 位置ずれ防止部材
20 載置板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーキ等のお菓子の位置ずれを防止するシート状部材であって、形状保持性を有する延伸ポリオレフィン系樹脂シートからなることを特徴とする位置ずれ防止部材。
【請求項2】
形状保持性を有する延伸ポリオレフィン系樹脂シートが、重量平均分子量が10万〜50万のポリオレフィン系樹脂シートが延伸倍率5倍以上に延伸された形状保持性を有する延伸ポリオレフィン系樹脂シートであることを特徴とする請求項1記載の位置ずれ防止部材。
【請求項3】
延伸ポリオレフィン系樹脂シートが、重量平均分子量が10万〜50万のポリオレフィン系樹脂シートが圧延倍率5倍以上に圧延された後、総延伸倍率が10〜40倍に一軸延伸された延伸ポリオレフィン系樹脂シートであることを特徴とする請求項1又は2記載の位置ずれ防止部材。
【請求項4】
シート状部材が、180度及び90度に折曲げて1分間保持した後解放し、解放後5分経過した時の折曲げ戻り角度θが共に20度以下であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の位置ずれ防止部材。
【請求項5】
シート状部材が、屈曲部を介して固定部と位置ずれ防止部よりなり、固定部と位置ずれ防止部の角度が略垂直になるように屈曲部で屈曲、保持されうることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の位置ずれ防止部材。
【請求項6】
屈曲部が、シート状部材の表面に幅方向であって、シート状部材の長さ方向と略直交する方向に設けられた凹溝であることを特徴とする請求項5項記載の位置ずれ防止部材。
【請求項7】
位置ずれ防止部の先端部が、屈曲部から先端方向に次第に幅狭になされていることを特徴とする請求項5又は6項記載の位置ずれ防止部材。
【請求項8】
固定部の周囲に屈曲部を介して複数の位置ずれ防止部が形成されていることを特徴とする請求項5、6又は7項記載の位置ずれ防止部材。
【請求項9】
シート状部材の少なくとも一側面から内側方向に屈曲部に接するように切欠部又は切断部が形成されていることを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項記載の位置ずれ防止部材。
【請求項10】
位置ずれ防止部内から始まり屈曲部に至り、該屈曲部に沿い、更に位置ずれ防止部内に到るまで連続して切断されて略矩形の舌片が形成されていることを特徴とする請求項5〜9のいずれか1項記載の位置ずれ防止部材。
【請求項11】
位置ずれ防止部内から始まり屈曲部を越え固定部内を経由し、該屈曲部を越え該位置ずれ防止部内に到り、且つ、固定部内においてはシート状部材の幅方向であって、シート状部材の長さ方向と略直交するように切断されて略矩形の舌片が形成されていることを特徴とする請求項5〜9のいずれか1項記載の位置ずれ防止部材。
【請求項12】
位置ずれ防止部の略中間部から始まり屈曲部に到り、屈曲部と沿うように切断されて略三角形の舌片が形成されていることを特徴とする請求項5〜9のいずれか1項記載の位置ずれ防止部材。
【請求項13】
シート状部材の両端部が固定部であり、屈曲部を介して固定部より内側に位置ずれ防止部が形成されており、位置ずれ防止部は、位置ずれ防止部の略中央にシート状部材の幅方向に形成された第2の屈曲部により、略線対称に第1の位置ずれ防止部と第2の位置ずれ防止部に分画されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の位置ずれ防止部材。
【請求項14】
請求項5〜13のいずれか1項記載の位置ずれ防止部材とシート状又は板状の載置板が、位置ずれ防止部材の屈曲部を屈曲することにより位置ずれ防止部を載置板に略垂直に形成可能に積層されていることを特徴とする載置板構造。
【請求項15】
載置板に貫通孔が形成されており、固定部又は位置ずれ防止部が該貫通孔に挿通されて設置されていることを特徴とする請求項14記載の載置板構造。
【請求項1】
ケーキ等のお菓子の位置ずれを防止するシート状部材であって、形状保持性を有する延伸ポリオレフィン系樹脂シートからなることを特徴とする位置ずれ防止部材。
【請求項2】
形状保持性を有する延伸ポリオレフィン系樹脂シートが、重量平均分子量が10万〜50万のポリオレフィン系樹脂シートが延伸倍率5倍以上に延伸された形状保持性を有する延伸ポリオレフィン系樹脂シートであることを特徴とする請求項1記載の位置ずれ防止部材。
【請求項3】
延伸ポリオレフィン系樹脂シートが、重量平均分子量が10万〜50万のポリオレフィン系樹脂シートが圧延倍率5倍以上に圧延された後、総延伸倍率が10〜40倍に一軸延伸された延伸ポリオレフィン系樹脂シートであることを特徴とする請求項1又は2記載の位置ずれ防止部材。
【請求項4】
シート状部材が、180度及び90度に折曲げて1分間保持した後解放し、解放後5分経過した時の折曲げ戻り角度θが共に20度以下であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の位置ずれ防止部材。
【請求項5】
シート状部材が、屈曲部を介して固定部と位置ずれ防止部よりなり、固定部と位置ずれ防止部の角度が略垂直になるように屈曲部で屈曲、保持されうることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の位置ずれ防止部材。
【請求項6】
屈曲部が、シート状部材の表面に幅方向であって、シート状部材の長さ方向と略直交する方向に設けられた凹溝であることを特徴とする請求項5項記載の位置ずれ防止部材。
【請求項7】
位置ずれ防止部の先端部が、屈曲部から先端方向に次第に幅狭になされていることを特徴とする請求項5又は6項記載の位置ずれ防止部材。
【請求項8】
固定部の周囲に屈曲部を介して複数の位置ずれ防止部が形成されていることを特徴とする請求項5、6又は7項記載の位置ずれ防止部材。
【請求項9】
シート状部材の少なくとも一側面から内側方向に屈曲部に接するように切欠部又は切断部が形成されていることを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項記載の位置ずれ防止部材。
【請求項10】
位置ずれ防止部内から始まり屈曲部に至り、該屈曲部に沿い、更に位置ずれ防止部内に到るまで連続して切断されて略矩形の舌片が形成されていることを特徴とする請求項5〜9のいずれか1項記載の位置ずれ防止部材。
【請求項11】
位置ずれ防止部内から始まり屈曲部を越え固定部内を経由し、該屈曲部を越え該位置ずれ防止部内に到り、且つ、固定部内においてはシート状部材の幅方向であって、シート状部材の長さ方向と略直交するように切断されて略矩形の舌片が形成されていることを特徴とする請求項5〜9のいずれか1項記載の位置ずれ防止部材。
【請求項12】
位置ずれ防止部の略中間部から始まり屈曲部に到り、屈曲部と沿うように切断されて略三角形の舌片が形成されていることを特徴とする請求項5〜9のいずれか1項記載の位置ずれ防止部材。
【請求項13】
シート状部材の両端部が固定部であり、屈曲部を介して固定部より内側に位置ずれ防止部が形成されており、位置ずれ防止部は、位置ずれ防止部の略中央にシート状部材の幅方向に形成された第2の屈曲部により、略線対称に第1の位置ずれ防止部と第2の位置ずれ防止部に分画されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の位置ずれ防止部材。
【請求項14】
請求項5〜13のいずれか1項記載の位置ずれ防止部材とシート状又は板状の載置板が、位置ずれ防止部材の屈曲部を屈曲することにより位置ずれ防止部を載置板に略垂直に形成可能に積層されていることを特徴とする載置板構造。
【請求項15】
載置板に貫通孔が形成されており、固定部又は位置ずれ防止部が該貫通孔に挿通されて設置されていることを特徴とする請求項14記載の載置板構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−308175(P2008−308175A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−155619(P2007−155619)
【出願日】平成19年6月12日(2007.6.12)
【出願人】(000198802)積水成型工業株式会社 (66)
【出願人】(591039469)株式会社和気 (10)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月12日(2007.6.12)
【出願人】(000198802)積水成型工業株式会社 (66)
【出願人】(591039469)株式会社和気 (10)
【Fターム(参考)】
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