説明

位置データの入力装置

【課題】何らかの原因により、アナログ電圧が異常なデジタルデータに変換された場合でも、常に正常な位置情報を検出することができる位置データの入力装置を提供する。
【解決手段】位置情報を表すアナログ電圧1をスイッチングするキースイッチ2を含む位置センサー3と、位置センサー3の出力をA/D変換するA/Dコンバータ4と、A/Dコンバータ4の出力データを記憶手段(5),(6)に転送するためのデータ転送回路9と、A/Dコンバータ4を制御するキースイッチ2の押下時間計測手段7と、データ転送回路9を制御するキースイッチ2の開放状態検出手段8を備え、押下時間計測手段7はキースイッチ2の押下を検出した時点でA/Dコンバータ4およびデータ転送回路9をスタート制御し、開放状態検出手段8はキースイッチ2の開放を検出した時点でデータ転送回路9のデータ転送を中止制御するようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は位置データの入力装置、特に、コンピュータや携帯電話のようなグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を多用する装置において、絵や図形で表示された指令を選択するためのポインティングデバイスと総称される位置データの入力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
以下、図面を参照しながら従来の位置データの入力装置について説明する。図2は従来の位置データの入力装置の回路例を示すブロック図である。
【0003】
図2において、11は位置情報を表すアナログ電圧、12はキースイッチ、13は位置センサー、14はA/Dコンバータ、15はレジスタ、16はマイクロプロセッサであり、位置情報を表すアナログ電圧11をスイッチングするキースイッチ12で構成される位置センサー13に対して、A/Dコンバータ14の入力と押下時間計測手段17の入力が接続された構成になっている。
【0004】
その動作としては、押下時間計測手段17がキースイッチ12の押下時間を所定時間と比較し、所定時間を超えて押下されている場合はA/Dコンバータ14にスタート信号を送出する。その信号を受けてA/Dコンバータ14は位置情報である前記アナログ電圧11をデジタル電圧に変換し始め、変換が終了するとそのデータをレジスタ15に転送する。その後マイクロプロセッサ16がレジスタ15のデータを読み込むことにより位置データの一連の処理は完了する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような構成では、押下時間計測手段17の指令を受け、A/Dコンバータ14が位置情報を表すアナログ電圧11をデジタル電圧に変換しているときに常にキースイッチ12が押下されている場合は、正常にアナログ電圧11がデジタル電圧に変換されるが、A/Dコンバータ14の変換動作時間(以下セトリング・タイムという)内にキースイッチ12が短時間でも開放された場合は、アナログ電圧11とA/Dコンバータ14の入力が開放状態となるため、位置情報を表すアナログ電圧11とは異なる不安定なアナログ電圧がA/Dコンバータ14によりデジタルデータに変換されて最終的にレジスタ15に転送されてしまうという問題点があった。
【0006】
本発明は上記従来の問題点を解決するものであり、何らかの原因により、アナログ電圧が異常なデジタルデータに変換された場合でも、常に正常な位置情報を検出することができる位置データの入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の位置データの入力装置は、位置情報を表すアナログ電圧をスイッチングするキースイッチを含む位置センサーと、前記位置センサーの出力をアナログ/デジタル(A/D)変換するA/Dコンバータと、前記A/Dコンバータの出力データを記憶手段に転送するためのデータ転送回路と、前記A/Dコンバータを制御する前記キースイッチの押下時間計測手段と、前記データ転送回路を制御する前記キースイッチの開放状態検出手段を備え、前記押下時間計測手段は前記キースイッチの押下を検出した時点で前記A/Dコンバータおよびデータ転送回路をスタート制御し、前記開放状態検出手段は前記キースイッチの開放を検出した時点で前記データ転送回路のデータ転送を中止制御するようにしたものである。
【0008】
本発明によれば、キースイッチが短時間開放され、アナログ電圧が異常なデジタルデータに変換された場合であっても、レジスタに対してデータの転送を中止する機能を有しているため、常に正常な位置情報を検出することができる。
【発明の効果】
【0009】
以上のように本発明によれば、アナログ電圧が異常なデジタルデータに変換された場合であっても、データ記憶手段に対してデータの転送を中止する機能を有しているため、常に正常な位置情報を検出することができ、マイクロプロセッサは常に正常な値を読み込むことができるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の位置データの入力装置の一実施の形態における回路構成を示すブロック図
【図2】従来の位置データの入力装置の回路例を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の位置データの入力装置の一実施の形態における回路構成を示すブロック図である。
【0012】
図1において、1はアナログ電圧、2はキースイッチ、3は位置センサー、4はA/Dコンバータ、5はレジスタ、6はマイクロプロセッサであり、前記レジスタ5と共にデータ記憶手段を構成している。7はキースイッチ2の押下時間計測手段、8はキースイッチ2の開放状態検出手段、9はデータ転送回路である。
【0013】
回路構成としては、位置情報を表すアナログ電圧1をスイッチングするキースイッチ2で構成される位置センサー3に対して、A/Dコンバータ4の入力と押下時間計測手段7の入力及び開放状態検出手段8の入力が接続されている。また、押下時間計測手段7によりA/Dコンバータ4と開放状態検出手段8が制御され、押下時間計測手段7がキースイッチ2の押下を検出した時点でA/Dコンバータ4と開放状態検出手段8をそれぞれスタートさせるようこれらをスタート制御する。開放状態検出手段8はスタート信号を受けキースイッチ2の開放状態を監視し始め、キースイッチ2が開放した場合にデータ転送回路9に開放検出信号を送出し、A/Dコンバータ4の出力をレジスタ5に転送していたデータ転送回路9を中止制御する。なお、マイクロプロセッサ6はレジスタ5のデータを任意のタイミングで読込み処理を行うものである。
【0014】
以上のように構成された位置データの入力回路について、その動作を説明する。
【0015】
最初に押下時間計測手段7は検出状態に入り位置センサー3のキースイッチ2の押下状態を監視し始める。そしてキースイッチ2が押下されると押下時間計測手段7は押下時間を計測し始め、設定された押下検出時間を超えた時点でA/Dコンバータ4にスタート信号を送出する。同時に開放状態検出手段8に対してもスタート信号を送出する。従ってキースイッチ2の押下が検出された時点でA/Dコンバータ4がアナログ電圧1をデジタル信号に変換し始めると同時に、開放状態検出手段8がキースイッチ2の開放状態を監視し始める。このときA/Dコンバータ4のセトリング・タイム内にキースイッチ2が開放されなければ、開放状態検出手段8はデータ転送回路9に開放検出信号を送出しないので、データ転送回路9はA/Dコンバータ4の変換が完了した時点で直ぐにレジスタ5にデジタルデータを転送する。
【0016】
ここで、A/Dコンバータ4のセトリング・タイム内にキースイッチ2が開放された場合は、アナログ電圧1とA/Dコンバータ4の入力が開放状態になるため、A/Dコンバータ4によりアナログ電圧1とは異なる不安定なアナログ電圧がデジタルデータに変換されてしまう可能性が生じる。しかしこの場合開放状態検出手段8が、A/Dコンバータ4のセトリング・タイムと等しい時間か、あるいはそれ以上の時間でキースイッチ2の開放状態を監視することにより、開放状態検出手段8はデータ転送回路9に対して開放検出信号を送出することになる。この開放検出信号を受けてデータ転送回路9はA/Dコンバータ4により変換された異常なデジタルデータ出力をレジスタ5に転送するのを中止する。従ってキースイッチ2がA/Dコンバータ4のセトリング・タイム内に開放された場合はレジスタ5のデータは更新されることなく以前にA/Dコンバータ4により変換されたデータが記憶されている。
【0017】
A/Dコンバータ4の変換動作が完了すると、次の位置データ入力が始まり、再び押下時間計測手段7は検出状態に入りセンサー3のキースイッチ2の押下状態を監視し始める。そしてキースイッチ2が押下されると押下時間計測手段7は押下時間を計測し始め、設定された押下検出時間を超えた時点でA/Dコンバータ4にスタート信号を送出すると同時に開放状態検出手段8に対してもスタート信号を送出する。従って押下が検出された時点でA/Dコンバータ4がアナログ電圧1をデジタル信号に変換し始めると同時に、開放状態検出手段8がキースイッチ2の開放状態を監視し始める。A/Dコンバータ4のセトリング・タイム内にキースイッチ2が開放されなければ、開放状態検出手段8はデータ転送回路9に検出信号を送出しないので、データ転送回路9はA/Dコンバータ4の変換が完了した時点で直ぐにレジスタ5にデジタルデータを転送する。
【0018】
このような一連の動作を繰り返すことによって、キースイッチ2の押下状態が検出された後、A/Dコンバータ4のセトリング・タイム時間内にキースイッチ2が開放された場合は、レジスタ5にはA/Dコンバータ4からデータが転送されないためデータの更新は行われない。そしてA/Dコンバータ4のセトリング・タイム内にキースイッチ2が継続して押下されている場合だけ、レジスタ5に対しデータが転送されるため、マイクロプロセッサ6は常に正常なデータを読み込み続けることが可能となる。
【0019】
以上のように、本実施の形態によれば、アナログ電圧が異常なデジタルデータに変換された場合であっても、データ記憶手段に対してデータの転送を中止する機能を有しているため、常に正常な位置情報を検出することができ、マイクロプロセッサは常に正常な値を読み込むことが可能となる。
【符号の説明】
【0020】
1,11 位置情報のアナログ電圧
2,12 キースイッチ
3,13 センサー
4,14 A/Dコンバータ
5,15 レジスタ
6,16 マイクロプロセッサ
7,17 押下時間計測手段
8 開放状態検出手段
9 データ転送回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置情報を表すアナログ電圧をスイッチングするキースイッチを含む位置センサーと、前記位置センサーの出力をアナログ/デジタル(A/D)変換するA/Dコンバータと、前記A/Dコンバータの出力データを記憶手段に転送するためのデータ転送回路と、前記A/Dコンバータを制御する前記キースイッチの押下時間計測手段と、前記データ転送回路を制御する前記キースイッチの開放状態検出手段を備え、前記押下時間計測手段は前記キースイッチの押下を検出した時点で前記A/Dコンバータおよびデータ転送回路をスタート制御し、前記開放状態検出手段は前記キースイッチの開放を検出した時点で前記データ転送回路のデータ転送を中止制御することを特徴とする位置データの入力装置。
【請求項2】
開放状態検出手段は、前記A/DコンバータのA/D変換動作時間内の一定時間あるいはA/D変換動作時間以上の時間動作するものであることを特徴とする請求項1記載の位置データの入力装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−187578(P2009−187578A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−110748(P2009−110748)
【出願日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【分割の表示】特願2002−109186(P2002−109186)の分割
【原出願日】平成14年4月11日(2002.4.11)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】