説明

位置信号サンプリング方法および装置

測位情報の供給に適したデータ信号を処理する方法は、対象の期間の開始時から、衛星放送のデータサンプルのブロックを連続して記録し、メモリに記憶させるステップを含む。メモリがフルになると、サンプルデータの平均量が減少するように、先に記憶されたデータサンプルのブロックが上書きされ、メモリ内容は、対象の期間の全てを実質的にカバーするデータサンプルのブロックを含む。この方法は、対象の期間(例えば行路)全体にわたって、データサンプルのブロックがメモリに維持されることを可能にするが、制限されたメモリ容量も可能にする。メモリの使用は、インテリジェントでダイナミックである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象のイベントの位置の決定で使用するための、または装置がたどった経路を決定するためのデータサンプル、例えばGPS等の衛星測位システムのデータサンプルの記憶に関する。
【背景技術】
【0002】
全地球測位システムは、6つの異なる軌道面にある、最大で32個の周回軌道衛星(宇宙機“SV”と呼ばれる)のネットワークから成る、衛星ベースのナビゲーションシステムである。24個の衛星がシステム設計によって要求されるが、より多くの衛星は、改善された範囲を提供する。衛星は常に移動しており、ほんの24時間以下で地球の周囲で2つの完全な軌道を作る。
【0003】
衛星によって送信されるGPS信号は、擬似ランダムコードを採用する直接シーケンス拡散スペクトル(Direct Sequence Spread Spectrum)として一般に知られる形態にあり、これは、規則的なやり方で連続して反復される。衛星は、公衆に自由に利用可能である、Coarse/AcquisitionすなわちC/Aコードと、通常は軍事利用のために確保されている、規制された精密コードすなわちPコードと、を含む異なる拡散コードを有するいくつかの信号を放送する。C/Aコードは、1.023MHzのチッピングレートで放送される1,023ビット長の擬似ランダムコードであり、ミリ秒ごとに反復する。各衛星は、別個のC/Aコードを送信し、これは、衛星が一意に識別されることを可能にする。
【0004】
データメッセージが、各衛星によって、C/Aコードの先頭に変調されており、送信している衛星の詳細な軌道パラメータ(エフェメリス(ephemeris)と呼ばれる)、衛星のクロックでの誤差に関する情報、衛星の状態(正常または不正常)、現在の日付および時刻などの、重要な情報を含む。信号のこの部分は、正確な位置を決定するGPSレシーバにとって必須である。各衛星は、自身のエフェメリスおよび詳細なクロック補正パラメータのみを送信し、よって、補助を受けないGPSレシーバは、位置計算において使用したい各衛星のデータメッセージの適切な部分を、処理しなければならない。
【0005】
データメッセージは、また、いわゆるアルマナック(almanac)を含み、アルマナックは、全ての他の衛星に関するより低精度の情報を含み、より少ない頻度で更新される。アルマナックデータにより、GPSレシーバが、各GPS衛星がどこにあるかを、一日中いつでも推定でき、これによりレシーバは、より高い効率のためには、どの衛星を検索するかを選択できる。各衛星は、システム内の衛星毎の軌道情報を示すアルマナックデータを送信する。
【0006】
従来のGPSレシーバは送信されたデータメッセージを読み、エフェメリス、アルマナックおよび他のデータを、連続して使用するために保存する。この情報は、GPSレシーバ内のクロックを設定(または修正)するためにも使用することができる。
【0007】
位置を決定するために、GPSレシーバは、信号が衛星によって送信された時刻を、信号がGPSレシーバによって受信された時刻と比較する。その時間差が、GPSレシーバに、この特定の衛星からどれだけ離れているかを知らせる。複数の衛星からの距離測定を組み合わせることにより、三辺測量によって位置を得ることができる。最少で3つの衛星により、GPSレシーバは緯度/経度位置(2D位置フィックス)を決定することができる。4つ以上の衛星により、GPSレシーバは、緯度、経度、および高度を含む3D位置を決定することができる。衛星から受信された情報を用いて、GPSレシーバ内のクロックを設定(または修正)することもできる。
【0008】
衛星からの信号の明らかなドップラー偏移を処理することにより、GPSレシーバは、移動の速度および方向(対地速度および地上航跡と称される)を、正確に提供することもできる。
【0009】
ほぼ全ての現在のGPSレシーバは、衛星から信号が到来すると、これらの信号を“リアルタイム”で処理することにより動作し、現在時刻での装置の位置を報告する。このような“従来の”GPSレシーバは、
−GPS信号の受信に適したアンテナと、
−所望の信号を中間周波数(IF)まで増幅、フィルタリング、およびミックスダウンするように設計され、通常は数MHz程度のサンプルレートで、信号を適切なアナログ−デジタル(A/D)コンバータに通せるようにした、アナログRF回路(多くの場合、GPSフロントエンドと呼ばれる)と、
−信号処理ハードウェアを制御し、所望の位置フィックスを計算するために必要な“より高レベル”の処理を実行する、何らかの形態のマイクロコントローラと通常は組み合わされたA/Dコンバータによって生成された、IFデータサンプルへの補正処理を実行するデジタル信号処理ハードウェアと、を常に備える。
【0010】
あまり知られてない概念“Capture and Process Later (キャプチャおよび後での処理)”も、調査された。これは、従来のアンテナおよびアナログRF回路によって収集された、IFデータサンプルを、いくらか(数秒、数分、数時間、またはさらに数日)後になって、多くの場合処理リソースがより多い他の場所で、処理する前に、何らかの形態のメモリに記憶させることを含む。
【0011】
Store and Process Later(記憶および後での処理)手法の、従来のGPSレシーバに対する重要な利点は、キャプチャの時点では、デジタル信号処理を行う必要がなく、キャプチャも非常に短く(例えば100ms)できるため、キャプチャ装置の費用および電力消費が、最少に保たれることである。関連する衛星データ(エフィメリス等)を、他の何らかの方法で得ることができる場合、その後に信号処理を行えば、この手法は、SVからの(非常に遅い)データメッセージを、キャプチャ装置で復号する必要もなくす。データメッセージは、多くの場合従来装置の起動に容認できない長い時間をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
GPSシステムの1つの問題は、時には、例えば屋内や高層ビルの間の“都市の谷間”で、GPS環境が困難なことがあり、よって、GPSを用いて位置フィックスを行うことが可能でない場合があることである。GPSの感度は改善することができ、これはこの問題の解決に役立つが、不十分な衛星信号がある状況が常にあるため、問題を完全には解決しない。増加させた感度は、行われる余分な計算および処理により、電力消費およびコストも増加させる。
【0013】
追跡解決策は、屋外で見つかった位置を困難な環境を通して追跡できるため、前進の道を提供する。これにより感度は大幅に改善されることができ、多くの場合、良好な性能をもたらす。“最後の既知の位置”も、報告することができる。しかし、追跡システムは、結果が実際には使用されない場合でも、後で必要になったときのために軌跡を維持しなければならないため、連続的に電力を消費する。
【0014】
代わりのアプローチは、キャプチャおよび後での処理のアプローチの使用が低電力であることを利用し、後での処理のために、サンプルを記憶することである。しかし、サンプルの記憶は、利用可能なメモリ容量を使用し、最後にはこれを満たす。所与の動作期間に対して、全ての所望のキャプチャを記憶するために十分なメモリを提供することは、可能でないか、または望まれないかもしれない。また、利用可能なメモリがフルになることを避けるために、キャプチャをどの程度の頻度で取得可能かを予測することも、動作の期間が不明の場合(例えば、測位システムが、正確な期間が不明の行路に用いられる場合)は、可能でないかもしれない。
【0015】
メモリがフルになると、データキャプチャの収集を止めることが可能だが、これは、最新のデータが得られないことを意味する。あるいは、メモリを、循環(FIFO)式で動作させることができ、これにより、直近のデータが維持される。これらのどちらのオプションも、制限された容量のメモリを動作させる最適なやり方を提供しない。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の態様によると、測位情報の供給に適したデータ信号を処理する方法が提供され、方法は、
対象の期間の開始時から、衛星放送のデータサンプルのブロックを連続して記録するとともに、メモリに記憶させるステップと、
メモリがシーケンス要素でフルになったことに応じて、データサンプルのブロックを連続して記録することを継続し、サンプルデータの平均数量が減少するように、先に記憶されたデータサンプルのブロックを上書きするステップと、を含み、メモリ内容は、対象の期間の全てを実質的にカバーするサンプルのブロックを含む。
【0017】
この方法は、対象の期間(例えば行路)全体にわたって、サンプルがメモリに維持されることを可能にするが、制限されたメモリ容量も可能にする。メモリの使用は、インテリジェントでダイナミックである。
【0018】
この方法は、対象の期間の長さを予測する必要性を回避する。よって、対象の期間が終了すると同時にメモリを満たすように構成する試みにおいて、サンプリングレートを計画する必要がない。
【0019】
方法は、メモリ情報が、所与のメモリリソースについて、可能な限り高い正確度を有する完全なルート情報を供給することを、可能にする。
【0020】
好ましくは、シーケンス要素ごと、より具体的には、最初にメモリを満たす間に定義されるようなシーケンス要素ごとの、サンプルデータの平均数量が減少する。これは、最初のシーケンスの要素の間、すなわち、最初にメモリが満たされた際のキャプチャの間の時間に対応した、期間内のデータ量を意味する。
【0021】
一例において、メモリを満たすために用いられたシーケンスは、周期的、すなわち固定された期間ごとのキャプチャとすることができる。この場合、各シーケンス要素は、同じ長さの期間と関連し、シーケンス要素ごとのサンプルデータの平均量は、単位時間ごとに割り当てられるメモリリソースの量と等しい。よって、平均は、時間に関係する。
【0022】
もう1つの装置においては、シーケンスは、シーケンス要素の間の可変時間を含むことができる。例えば、キャプチャの間に、一定の距離があってもよく、例えば、所与のホイールの回転数ごとに、キャプチャがある。この場合、各シーケンス要素は、キャプチャ間の異なる期間と関連付けられている。シーケンス要素ごとのサンプルデータの平均数量は、次いで、単位距離ごと、例えば所与のホイールの回転数ごとに割り当てられたメモリリソースの量に等しい。よって、平均は、距離に対するものだが、時間に対する密度の減少もあることに留意すべきである。
【0023】
よって、シーケンスは、メモリが満たされる間に、キャプチャ間の固定期間を有してもよく、または、可変期間を有してもよく、この可変期間は、単位距離ごとのキャプチャ以外の理由で、生じてもよい。
【0024】
このサンプルデータの平均数量は、2つの主なやり方で、経時的に減少することができる。
【0025】
最初のアプローチは、上書きステップを、隣接する時間的に連続して記憶されたデータサンプルのブロック間の平均期間が増加するように構成することである。例えば、時刻t、t+1およびt+2(単位時間ごとに1キャプチャ)のキャプチャがあったとしてもよい。時刻t+1のキャプチャを上書きすることにより、キャプチャtおよびt+2は、ここで、隣接する時間的に連続するキャプチャであり、間隔は、1から2に増える。同じアプローチを、一定時間によって離れていないシーケンス要素に適用することができる。
【0026】
周期的なシーケンスの場合、これは、単位時間ごとのキャプチャデータが、単位時間ごとに0.5のキャプチャまで落ちることに対応する。よって、対象の期間の全体をカバーするが、漸進的により広い間隔をあけられて保持されたキャプチャを有する、キャプチャのセットがある。
【0027】
第2のアプローチは、上書きステップを、所与のシーケンス記録(すなわちキャプチャ)のためのサンプルデータの平均数量が減少するように構成することである。例えば、データサンプルの200msブロックを、時刻t、t+1、t+2で記憶してもよい。キャプチャt+1によって占められるメモリの半分は、異なる時刻に関連するデータの100msにより上書きされ、よって、漸進的に全てのキャプチャが、100ms期間である。これは、シーケンス要素ごとのサンプルデータのボリュームを、半分にする。
【0028】
どちらの場合でも、完全な履歴軌跡が利用可能である(循環メモリのより簡素な使用と対比して)。
【0029】
データサンプルのブロックが周期的に記録される期間は、特に上に概説した第1のアプローチでは、時間とともに増加することができる。
【0030】
データキャプチャは、メモリ内のデータキャプチャが、相対的に古い時刻よりも、相対的に最近の時刻に、より密集して存在するようにして、上書きすることが可能である。
【0031】
このアプローチは、装置がポジションフィックス計算を行うことができる適用に、関係がある。この場合、不規則なキャプチャパターンが、位置フィックスがリクエストされた時刻に近いキャプチャをより多く有して、メモリに定義されている。よって、所望の位置フィックスの前に、最近の履歴に関してメモリ内により多くの情報がある。
【0032】
この場合、対象の期間の間の、特定時刻での位置決定のためのリクエストに応じ、位置フィックスを取得する試みにおいて、データサンプルの直近のブロックを処理することができる。
【0033】
位置フィックスを取得する試みが失敗した場合、方法は、さらに過去の時間にシーケンスで記録されたデータサンプルのブロックを処理し、位置フィックスが取得されるまで、位置フィックスの取得のさらなる試みを行うステップを、さらに備えることができる。
【0034】
これは、通常の衛星受信機能に加えて、測位方法を提供し、他の時刻でのサンプルのブロックのログのキャプチャおよび記憶を提供する。リクエストされた位置フィックスが、成功しなかった場合、サンプルの最近のブロックを用いて、最後の既知の位置が確立される。
【0035】
方法は、位置決定のリクエストに応じて、衛星放送のデータサンプルの追加ブロックを記録し、これにより、データサンプルの直近のブロックを形成するステップをさらに備えることができる。これは、サンプルのブロックが、所望のタイミングに可能な限り近く取られることを意味する。
【0036】
位置フィックスを取得した後に、成功した試みの追加情報を用いて、失敗した試みについての再度の試みを行うことができる。これは、前に取得が可能でなかった場所で、位置フィックスを取得することを可能にすることができる。
【0037】
取得された位置フィクスよりも前の時刻の位置フィックスを取得し、これにより、位置の軌跡を形成することができる。これは、対象の期間の全体をカバーすることができる。
【0038】
記録ステップおよび処理ステップは、携帯型のバッテリ駆動装置において発生することができる。例えば、これは、輸送の間に容器が設けられる追跡装置であってもよく、これにより、位置の履歴を得ることができ、現在位置のリクエストに解答することができる。
【0039】
より密集して存在している最近のキャプチャを有する代わりに、データキャプチャは、メモリ内のデータキャプチャが、対象の期間の全体にわたって、ほぼ均一に存在している(時間または距離に対して)傾向があるようにして上書きすることができる。これは、ログ装置に適していてもよく、ログ装置は、軌跡履歴を提供するが、リアルタイムの位置情報は提供しない。この場合、記録ステップは、携帯型のバッテリ駆動装置(ロガー)で発生し、処理ステップは、対象の期間の後に、携帯型装置からのデータがダウンロードされた別の装置で発生する。
【0040】
全ての場合で、サンプルは、中間周波数ダウンコンバートされたデータサンプルを含むことができる。
【0041】
本発明は、コンピュータプログラムとして実施することができる。
【0042】
本発明は、また、測位情報の供給に適したデータ信号を処理するための装置を提供し、装置は、
メモリと、
対象の期間の開始時から、衛星放送のデータサンプルのブロックを連続して記録するように構成された第1の受信手段と、
メモリへのデータサンプルのブロックの記憶を制御するためのプロセッサと、を備え、
プロセッサは、
メモリが、シーケンス要素でフルになったことに応じて、データサンプルのブロックを連続して記録することを継続し、サンプルデータの平均量が減少するように、先に記憶されたデータサンプルのブロックを上書きするように構成されており、
メモリ内容は、対象の期間の全てを実質的にカバーするデータサンプルのブロックを含む。
【0043】
装置は、対象の期間の間に、特定時刻での位置決定のリクエストに応じ、位置フィックスを取得する試みにおいて、データサンプルの直近のブロックを処理するための処理手段をさらに備えることができる。
【0044】
本発明を、これより、添付の図面を参照し、例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】図1は、Capture and Process Later(キャプチャおよび後での処理)動作に適しており、本発明の実施に用いることができる、GPSレシーバを示している。
【図2】図2は、本発明の方法の第1の例を示している。
【図3】図3は、本発明の方法の第2の例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明は、位置情報を提供するのに適したデータ信号を処理する方法を提供する。本発明では、限られた容量のメモリが、データサンプルのブロックを記録するために使用される。キャプチャあたりのサンプルデータ量の平均が減るよう、メモリは知的に上書きされるが、メモリの中身は実質的には対象の時間のフル期間をカバーするサンプルを含む。これにより、このメモリによって、フル持続時間、データの軌跡が再生されことができる。キャプチャが10分(任意の例)ごとに間隔を空けて終了する場合、工程の初めの10分間はキャプチャが存在しないかもしれない。しかしながら、それでも、実質的にはフル工程は、メモリのデータによって代表されると考えられる。そのため、好ましくは、最初のキャプチャは、最大でも、対象の時間周期の始まりの後の時間であり、その時間周期は、メモリ内の他のキャプチャの間の最大の時間と等しい。実質的には、フル時間周期はむしろ、対象の時間周期の少なくとも90%、より好ましくは95%であると考えられ得る。
【0047】
本発明は、フル機能のGPSレシーバ、またはキャプチャおよび後での処理の適用に、用いることができる。しかし、各場合において、データキャプチャが将来の位置フィックス取得での使用のためにメモリに記憶されるという点で、装置はキャプチャおよび後での処理の機能の形態を実施する。
【0048】
典型的なキャプチャおよび後での処理の適用では、IFデータサンプルの短い“キャプチャ”をメモリに記憶させる小さなキャプチャ装置が、そのIFデータキャプチャを、その後、共有される中央コンピュータにアップロードすることができる。このコンピュータは、必要な信号処理(補正等)を行うだけでなく、受信したGPSデータメッセージの重要部分を中央コンピュータに中継した1または複数の従来のGPSレシーバと接続されることにより、最近の衛星情報(エフェメリス等)のデータベースへもアクセスする。
【0049】
図1は、Capture and Process Later(キャプチャおよび後での処理)GPSシステムのシステム図である。GPS衛星からの信号はアンテナ10によって受信される。次いで、典型的には、基準発振器14(通常は温度補償クリスタル)によって駆動されるユニット12での増幅、フィルタリングおよびダウンミキシングの組み合わせを含む、従来のアナログ処理を施される。その後、ユニット16でのA/D変換が続く。これが、RFフロントエンドを形成する従来の無線レシーバ電子部品である。
【0050】
コントローラ18は関連するファームウェアを有するディスクリートロジックまたはマイクロプロセッサとして実施され、RFフロントエンドで生成された、サンプリングされたIFデータの部分を選択し、例えばフラッシュRAM、ハードディスク等の記憶装置20に記憶させる。これを行うやり方は、ユーザからの設定(GUI22によって入力される)および図示されるように発振器14によって駆動されるタイマ24の使用によって影響される。
【0051】
本発明は、期待される装置の使用のフル期間のキャプチャを記録するにはメモリ20の容量が不十分であり、メモリの上書きが必要なアプリケーションに特に関連する。
【0052】
タイマ24は発振器によって駆動されるカウンタのように簡略化でき、または、装置がオフにされても日付および時刻を保つ、リアルタイムクロック(RTC)とすることができる。タイマは、“オフ”エネルギーの使用を最小化する別の発振器を有してもよい。
【0053】
起動されると、装置は、RFフロントエンドからのIFデータの短いブロック(これらの短いブロックは、以下の説明では“キャプチャ”と呼ぶ)を、タイマ24からの関連するタイムスタンプとともに記録する。これらのキャプチャは、例えば長さが100msでもよく、規則的な間隔、例えば10sごとに一度、記録することができる。典型的には、RFフロントエンドは、サンプルのストリームを6MHzのレートで供給し、キャプチャは、このストリームの100ms(または例えば200ms)のデータ(すなわち、60万個または120万個のサンプル)を含む。用いられる正確な値は、ユーザによって、GUI22を介して明示的または暗示的に変化させることができる。別のアプリケーションにおいては、異なる長さのキャプチャが適切となるであろう。典型的には、各キャプチャは、6sのサブフレーム期間よりも短くなり、好ましくは500ms未満となる。
【0054】
好ましくは、キャプチャ間の期間におけるエネルギー消費は、GPSレシーバの構成要素をできるだけ多くオフにすることにより、最小化される。次のキャプチャの時間に、レシーバを“起動”するために、タイマ24を含む構成要素の最少セットがアクティブのままとなる。このように、装置はバッテリ駆動の携帯型装置として実現でき、よって、バッテリ寿命を延長することができる。
【0055】
純粋なキャプチャおよび処理のアプリケーションでは、装置をコンピュータに接続して記録されたデータサンプルをアップロードすることにより、任意の位置決定が得られる。装置にフルGPS機能が備えられているアプリケーションでは、システムは、また、記録されたサンプルまたはリアルタイムのサンプルのいずれかから、位置フィックスを取得するために必要とされる処理機能を含む。
【0056】
本発明は、キャプチャを後で使用して位置フィックスの推定に寄与する場合に、位置関連情報のキャプチャ(“キャプチャ”が意味するのは、GPS 記録されたIFサンプルのブロックである)のログが受信および記憶されるシステムに関する。よって、所望の位置フィックスの時刻に得られるキャプチャには、追加のキャプチャが用いられる。
【0057】
追加のキャプチャは、“対象の期間”の全期間にわたって拡散しており、対象の期間は、次に位置フィックスが望まれる可能性がある期間を意味する。対象の期間は、データロガー(data logger)またはトラッカー(tracker)の場合、行路(journey)となる。データの密度は、経時的に増加する。
【0058】
一例において、キャプチャは、規則的な間隔で受信し、記憶させることができるが、以下に述べるように、これは必須ではない。間隔は、アプリケーションに、特に装置が移動する予想速度と、要求される位置の精度とに依存する。例えば、長距離の行路を経る物品の配達を追跡するには、委託貨物がどこにあるかを知るために、5分ごとの周期的なサンプリングで十分であろう。コースを巡る自動二輪車がたどる経路を追跡するためには、秒ごとのキャプチャが、より適切となり得る。キャプチャは、キャプチャが受信された時刻の標示とともに記憶される。
【0059】
メモリ20が有する容量は、装置の使用の全ての可能な期間にわたって、最適なレートでキャプチャを記録するには、不十分であり、本発明は、様々なメモリ上書きスキームを提供する。
【0060】
図2を用いて、本発明の方法を説明する。
【0061】
ステップ30は、対象の期間、例えば行路の開始を表す。ステップ32において、レシーバは、対象の期間の開始時から、衛星放送のデータサンプルのブロックを記録し、キャプチャのシーケンスとしてメモリに記憶させる。記録が、規則的な時間間隔で発生する場合、キャプチャは、均一な時間量で間隔があけられる(すなわち、各キャプチャは、固定の時間量に関係する)が、記録は、他のやり方で、例えば距離移動の固定単位で発生する(すなわち、各シーケンス要素は、固定長の距離に関係する)ことができる。
【0062】
メモリがフルになると、上書きステップ34は、データサンプルのブロックの連続した記録を継続するが、先に記録されたデータサンプルのブロックを上書きする。
【0063】
この上書きは、循環バッファのやり方ではなく、代わりに、対象の期間の全体をカバーするキャプチャを維持する。しかし、対象の期間のシーケンス要素ごとのサンプルデータの平均数量は、減少する。対象の期間の終わりは、ステップ36として示されている。
【0064】
上書きは、時間的に隣接する記憶されたデータサンプルのブロックの間の平均期間が増加するように、または所与のキャプチャについての、サンプルデータの平均数量が減少するように構成することができる。“時間的に隣接するデータサンプルのブロック”は、2つの時点間の時刻に関して、メモリに他のキャプチャがない場合に、これら2つの時点で取られたデータサンプル(すなわちキャプチャ)のブロックを意味する。データサンプルのブロックが記録された、シーケンス要素の間の間隔は、経時的に増加してもよい。なぜなら、期間が長くなるに連れ、キャプチャが漸進的に、さらに時間(または距離)的に離れるからである。
【0065】
一装置において、キャプチャは、経時的にほぼ均一に分布されたままとなる(すなわち、メモリは、t秒ごとにキャプチャを含む)。勿論、上書きは、いくらかの不規則性を生じさせるが、上書きスキームは、この均一性に向かう傾向があるように設計される。しかし、代替案として、不規則なパターンのキャプチャ、例えば頻繁に最近のキャプチャを保持してもよいが、古いキャプチャのほとんどは、メモリ容量を開放するために廃棄され、一方、信頼度の低い、より粗い履歴移動の画像を与えるために、いくつかの古いキャプチャを保持する。
【0066】
キャプチャはしかし、それぞれのケースで、記憶されたキャプチャを漸進的に間引きしつつ、装置がアクティブである期間にわたって拡散する。よって、例えば、数日の期間中での追跡のために、時間周期的な記録を用いて、
1日目は、5分ごとに1キャプチャを記憶してもよく、
次いで2日目は、偶数キャプチャを上書きし、これにより、2日目の終わりには、メモリは10分ごとに1キャプチャを含み、
次いで3日目および4日目は、1日目および2日目に記憶されたキャプチャの半分を、上書きし、よって、4日目の終わりには、メモリは、20分ごとに1キャプチャを含む、などとなる。
【0067】
その結果、どの特定時刻でも、これまで記憶された、保持されたキャプチャの間の間隔は、軌跡を通して変化する。後の時刻で、軌跡がより長いと、間隔と変化は異なってくる。
【0068】
メモリ内のキャプチャは、GPSフィックスのために用いられる。これは、位置の計算のリクエスト(衛星エフェメリス補助情報などとともに)にしたがって、リアルタイム装置内にあってもよい。あるいは、キャプチャおよび後での処理の装置において、位置フィックスは、接続されたPCで位置フィックスを処理するための装置から、データがアップロードされた後であってもよい。
【0069】
このようなシステムの可能な使用の2つの例を、以下に述べる。
【0070】
(i)セルラー追跡装置
装置は、5分ごとにGPS信号を受信し、キャプチャを(処理することなく)記憶する。ひとたびメモリがフルになると、キャプチャは、インテリジェントなやり方で、連続して上書きされる。装置は、セルラー電話機能を有しており、よって、位置フィックスの遠隔リクエストを受信することができる。セルラーネットワークは、追跡装置に、要求される現在および履歴衛星情報を供給し、位置フィックスをリクエストする。
【0071】
装置は、次いで、新しいGPSキャプチャを(任意に)取ることができ、これにより、所望の位置フィックスのタイミングに可能な限り近いデータがある。次いで、現在および最近の位置フィックスを用いて、位置を計算する試みが行われる。そして、装置の移動の軌跡を得るために、前の履歴位置フィックスも算出できる。軌跡は、セルラーネットワークに報告される。
【0072】
この例では、均一に正確な履歴軌跡よりも、正確な個別位置を提供することが、より重要なこともある。よって、メモリの上書きは、可能な位置リクエストを除き、最近のキャプチャを優先する(favor)ように選択することができる。
【0073】
よって、メモリに保持されたキャプチャは、現時点につながる所望のパターンを追うことができる。例として、キャプチャのセットを、現時点から過去へと間隔をあけて、例えば、
最後の2時間では5分ごと、
前日では1時間ごと、
前週では6時間ごと等で、維持してもよい。
【0074】
GPSフィックスリクエストが受信されない場合、上書きは、時間に対するデータ密度の漸進的な間引きとともに(上述した)デフォルトのやり方で進行する。
【0075】
この例では、保持されるキャプチャは、相対的に古い時刻よりも、相対的に最近の時刻に、より密集して存在することが分かる。よって、キャプチャの密度が高い1つの期間があり、残りの時間は、同一のより低い密度の周期的なキャプチャを有するような、わずか2つの異なるルールがあればよく、これは、メモリが漸進的にさらに上書きされるに連れて、減少する。
【0076】
(ii)ロガー
この装置は、位置キャプチャを、例えば5分ごとまたは20メートルごとに受信および記憶する。ロガーは、位置のリアルタイムリクエストを受信することができず、単に履歴追跡のために用いられる。この場合、データ密度(単位時間または距離あたり)は、対象の期間の全体にわたり、均一に保つことができる。
【0077】
行路の終わりに、キャプチャは、サービスに接続されたPCにアップロードされ、PCは、キャプチャを処理し、位置軌跡を生成する。複数の軌跡を記憶するために用いられるログ装置については、現在の軌跡のみに対し、メモリ再使用システムを適用してもよい。
【0078】
簡素なアルゴリズムの例を、これより説明する。アルゴリズムは、説明の目的で、単に9つのメモリスロットを使用する。この例は、所与のサンプリング時点でのデータ量を間引くのではなく、固定長(例えば100msまたは200ms)のキャプチャを用いたデータ上書きに基づいており、かつ、規則的な時間間隔でのキャプチャに基づいている。
【0079】
方法は、ラウンドでのデータの書き込みを提供する。第1のラウンドでは、データは、第1のデフォルトキャプチャ期間で、メモリを満たすために書きこまれる。説明を簡単にするために、1sのキャプチャ期間が用いられる(しかし、他の任意の値を採用することができる)。その結果、第1ラウンドの終わりで、9つのキャプチャが1sの間隔で生成される。
【0080】
全てのその後のラウンドで、メモリスロットの半分が上書きされる。この場合、半分とは4つのスロットを意味する(端数を切り捨てた場合、4は9の半分である)。しかし、各ラウンドにおいて、キャプチャ期間は、それぞれの時間で2倍にされる(よって、第2のラウンドでは2s、第3のラウンドでは4s、第5のラウンドでは8s等)。上書きされるスロットは、このラウンドのキャプチャ期間の倍数ではない時間からのキャプチャを含むものである。
【0081】
プロセスは以下に例示されており、この中で、データブロックZnは、時間t=n秒において、ラウンド名Zで書かれたデータを示す。
【0082】
第1のラウンドA:
1秒キャプチャ期間、全てのスロットが満たされる。
【0083】
スロット:0 1 2 3 4 5 6 7 8
A0 A1 A2 A3 A4 A5 A6 A7 A8
【0084】
第2のラウンドB:
2秒キャプチャ期間、半分のスロットが満たされる。
【0085】
スロット:0 1 2 3 4 5 6 7 8
A0 B10 A2 B12 A4 B14 A6 B16 A8
キャプチャB10、B12、B14、B16が書かれ、A1、A3、A5およびA7を上書きする(1、3、5、および7は、2の倍数ではないため)。
【0086】
第3のラウンドC:
4秒キャプチャ期間、半分のスロットが満たされる。
【0087】
スロット:0 1 2 3 4 5 6 7 8
A0 C20 C24 B12 A4 C28 C32 B16 A8
キャプチャC20、C24、C28、C32が書かれ、B10、A2、B14およびA6を上書きする(10、2、14および6は、4の倍数ではないため)。
【0088】
第4のラウンドD:
8秒キャプチャ期間、半分のスロットが満たされる。
【0089】
スロット:0 1 2 3 4 5 6 7 8
A0 D40 C24 D48 D56 D64 C32 B15 A8
キャプチャD40、D48、D56、D64が書かれ、C20、B12、A4およびC28を上書きする(20、12、4および28は、8の倍数ではないため)。
【0090】
第5のラウンドE:
16秒キャプチャ期間、半分のスロットが満たされる。
【0091】
スロット:0 1 2 3 4 5 6 7 8
A0 E80 E96 D48 E112 C32 E96 B16 E80
キャプチャE80、E96、E112、E128が書かれ、D40、C24、D56およびA8を上書きする(40、24、56および8は、16の倍数ではないため)。
【0092】
この例は、メモリ上書き機能が、簡素なやり方で自動化できることを簡潔に示している。
【0093】
キャプチャは、好ましくは、タイムスタンプによって注釈が付けられるが、IFデータキャプチャとともに、
(i)日付および時刻(既知の時間システムで)
(ii)RFフロントエンド特性(サンプルレート、中心周波数、発振器種類/属性等)の識別子または値
(iii)データフォーマット(データのエンディアンネス(endianess)、1サンプルにつき1ビットよりも多いビットがある場合のビットの順序、複素/実数表記)
(iv)装置モデルの識別子(または一意の装置ID)
を含む、様々な他の属性を記録することができる。
【0094】
上の例は、外部装置からの何の入力もなしに、メモリ割り当てを行うものであり、ロガーアプリケーションに適している。メモリ割り当てを拡張して、リアルタイムの位置リクエストを可能にし、得られる位置フィックスを改善することができる。
【0095】
図3は、上に挙げた追跡の例などの、装置がフルGPS機能を有する、本発明の一例において、どのようにこのアプローチを用いて、位置フィックスを取得するかを示すフローチャートである。これは、上に詳述したような単位時間あたりのデータの密度の減少を、メモリ機能の不規則な割り当てと組み合わせることにより、位置フィックスの所望の時刻の近くで、相対的により多くのデータを利用可能にする。
【0096】
ステップ40において、IF GPSサンプルのブロックの周期的なサンプリング(任にの例として、例えば200ms期間および1s間隔)がある。メモリ容量は、所与の動作期間にわたって全てのキャプチャを記憶するには不十分なので、ステップ42において説明されるデータの上書きがある。
【0097】
ステップ44において、位置のリクエストがある。これは、ステップ46に示されるさらなるGPSサンプリングを任意に発生させることができ、これにより、1つのGPSキャプチャが、正しい時刻にあるようにする。あるいは、直近のキャプチャを、代わりに使用することができる。
【0098】
ステップ48において、直近のキャプチャに基づき、装置によって位置フィックスが試みられる。システムによって、A−GPS情報(衛星“エフェメリス”)を供給し、履歴GPSサンプルに基づく位置フィックスの試みを、可能にしてもよい。この最初の試みが成功した場合、方法は終了する(そして周期的サンプリングおよび上書きに戻る)。この最初の試みが成功しなかった場合、前のデータを使用し、時間的に過去向きにシーケンスを追う、さらなる試みが行われる。各さらなる試みは、ブロック50により表され、位置フィックスが取得されるまで、反復プロセスにしたがう。これは、衛星が発見された際に、例えばユーザがその時点で屋外にいたことにより、ひとたびある時点が到達されていると、可能となる。
【0099】
用いられるキャプチャの不規則なタイミングは、成功する見込みが無い場合、反復される試みが行われないことを意味する。例えば、現在、5s前、または10s前に、位置フィックスが可能でない場合、15s前に位置フィックスが可能であった見込みはない。代わりに、次のキャプチャは、1m前、2m前等であるかもしれない。
【0100】
次いで、成功した位置フィックスから利用可能となった、追加の情報(すなわち、例えば視界上の衛星の決定を可能にすることができる、おおよその位置および時間の知識)を用いて、前に失敗した位置フィックスを再び試みる、任意のステップ52がある。これは、前に失敗した、現在のリクエストされたGPSフィックスキャプチャの位置フィックスさえも、もたらし得る。
【0101】
処理が完了した後、プロセスは終了し、周期的サンプリングに戻る。
【0102】
上に概説したアプリケーションにおいて、リクエストの時刻での位置に加えて、移動の履歴も望まれる。よって、位置リクエストの前に、さらに前のキャプチャを処理して、位置の履歴の軌跡を示す。
【0103】
上の原理は、専用のGPS/GSM追跡装置、GPS電話、カメラ、ビデオカメラを含む、任意のGPS装置にも適用することができる。
【0104】
GPSサンプルに基づく位置フィックスを取得するために必要とされる処理は、従来通りである。これは基本的に、可能な限り多くのSVの信号についてのIFサンプルの検索を行い、その後、これらの信号の飛行時間の推定、および位置を得るための三辺測量が続く。この段階では、ダウンロードされたエフェメリスデータを用いて、検索を導くことができる。例えば、各SVのリクエスト時刻および経時的な位置を知っているため、特定のSVのみが、所与の位置でのレシーバに対して可視となる。よって、ひとたびSVの1つに対応する信号が発見されると、同時に可視になることがない多数の他のSVを、検索から除くことができる。
【0105】
上述のように、記録されたキャプチャのシーケンスは、最初に時間または距離を均一にあけることができる。よって、“シーケンス要素”は、特定のキャプチャに割り当てられたシーケンスの一部であり、これは、一定の長さの時間とすることができ(例えば、最初の10sが、最初の“シーケンス要素”に対応する)、あるいは一定の距離とすることができる(例えば、最初の10メートルが、最初の“シーケンス要素”に対応する)。データの間引きは、両方のシナリオに対して同様に適用され、例えば、
−シーケンス要素の間の間隔を増加させる(よって例えば、記憶されたキャプチャの間に20sまたは20メートルがある)、または
−シーケンス要素ごとのデータを減少させる(例えば、最初の10sに対して、200msではなく100msデータがあるか、または、最初の10メートルに対して、200msではなく100msがある)。
【0106】
より概略的には、キャプチャのシーケンスは、任意の適切なトリガによって制御することができる。上の2つの例は、クロックまたは距離測定装置の形態でのトリガに関するが、他の外部トリガ、例えば、ユーザが異なる位置ゾーンに入るたびにキャプチャを提供する(よってキャプチャは、ゾーンの中の移動ではなく、ゾーンの間の移動を記録する)ことも可能である。キャプチャが位置フィックスを得る最良のチャンスを提供するように、信号強度測定に基づきキャプチャを制御してもよい。よって、最初にメモリをシーケンスの要素で満たす多くの可能なやり方があり、本発明は、メモリ内容を上書きする際に、これらの全てに適用することができる。
【0107】
キャプチャされたGPS測定を、位置フィックスを取得する処理の一部として、セルラー情報(基地局、周波数測定、タイミング前進)と組み合わせる、追加の可能性がある。
【0108】
追加の入力を用いて、メモリを割り当てるやり方を制御することができる。例えば、バッテリレベルの標示を用いてサンプリング期間を制御し、バッテリ電力が必要なときに、バッテリ電力を節約してもよい。
【0109】
フル機能GPS(エフェメリスアシスタンスを有する)、または、キャプチャおよびプロセス実施(処理のためのIFデータがアップロードされている)の2つの例を述べてきたが、これら2つの極端な例の間での実施も可能である。一例は、いわゆるAssisted-GPS解決策であり、この解決策は、擬似距離である限りそれらを処理し、次いで、エフェメリスを有し位置フィックスを行うことができるサーバにアップロードする。
【0110】
上に概説した全ての異なる形態において、方法は、GPS信号サンプルのみがキャプチャされ、通常、これらは処理されないので、非常に少ない電力消費を必要とする。GPS無線は、GPS信号を受信するためにオンする必要があるが、これは、GPS信号自体をリカバーおよび測定するために信号処理を実行し、位置フィックスを計算するのに必要とされるエネルギーよりも、ずっと少ない。重要なことに、処理エネルギーは、位置フィックスがリクエストされた場合にのみ消費される。
【0111】
本発明は、(単一周波数)GPSと関連して述べてきたが、他のGNSSシステム(GLONASS、Galileo等)も、同様である。実際に、技術は、多重周波数システムにも適用することができる。
【0112】
システム構成の1つのみの概略的なアウトラインを与えた。当業者には、本発明を、単純に、メモリに維持されるデータの変更(メモリ上書きバージョンの場合)として、または処理されるべきデータの選択における変更として、実施できることが理解される。機能におけるこれらの変更のそれぞれは、完全に標準的なハードウェアと、およびルーチンとなるソフトウェアの変更とにより、実施することができる。よって、システム構成は、詳細には説明されておらず、多くの異なるバージョンが可能である。
【0113】
様々な他の変形が、当業者には明らかとなるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測位情報の供給に適したデータ信号を処理する方法であって、
対象の期間の開始時から、衛星放送のデータサンプルのブロックを連続して記録するとともに、メモリに記憶させるステップと、
前記メモリがフルになったことに応じて、前記データサンプルのブロックを連続して記録することを継続し、サンプルデータの平均量が減少するように、先に記憶されたデータサンプルのブロックを上書きするステップと、を含み、
前記メモリの内容は、前記対象の期間の全てを実質的にカバーするサンプルのブロックを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記上書きステップは、時間的に連続して記憶された、データサンプルのブロック間の平均期間が増加するようになっていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記上書きステップは、所与のシーケンス記録のための前記サンプルデータの平均量が減少するようになっていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
データサンプルのブロックが連続して記録される、シーケンス記録の間の間隔は、経時的に増加することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記データサンプルのブロックは、サンプルデータの平均量が、相対的に古い時刻よりも、相対的に最近の時刻の方が多くなるようにして上書きされることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記対象の期間の間の、特定時刻での位置決定のためのリクエストに応じ、位置フィックスを取得する試みにおいて、データサンプルの直近のブロックを処理するステップをさらに備えることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
位置フィックスを取得する前記試みが失敗した場合、さらに過去の時間にシーケンスで記録されたデータサンプルのブロックを処理し、位置フィックスが取得されるまで、位置フィックスの取得のさらなる試みを行うステップを、さらに備えることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
位置決定の前記リクエストに応じて、前記衛星放送のデータサンプルの追加ブロックを記録し、これにより、データサンプルの前記直近のブロックを形成するステップをさらに備えることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
位置フィックスを取得した後に、成功した前記試みの追加情報を用いて、失敗した前記試みについての再度の試みを行うことを特徴とする請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
取得された位置フィクスよりも前の時刻の位置フィックスを取得し、これにより、位置の軌跡を形成するステップをさらに備えることを特徴とする請求項7乃至9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記記録ステップおよび前記処理ステップは、携帯型のバッテリ駆動装置において発生することを特徴とする請求項6乃至10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記データサンプルのブロックは、メモリ内の前記データサンプルのブロックが、前記対象の期間の全体にわたって、均一なサンプルデータ量を有する傾向があるように、上書きされることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記記録ステップは、携帯型のバッテリ駆動装置で発生し、前記処理ステップは、前記対象の期間の後に、前記携帯型装置からのデータがダウンロードされた別の装置で発生することを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記サンプルは、中間周波数のダウンコンバートされたデータサンプルを含むことを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
測位情報の供給に適したデータ信号を処理するための装置であって、
メモリと、
対象の期間の開始時から、衛星放送のデータサンプルのブロックを連続して記録するように構成された第1の受信手段と、
前記メモリへの前記データサンプルのブロックの格納を制御するためのプロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、
前記メモリがシーケンス要素でフルになったことに応じて、前記データサンプルのブロックを連続して記録することを継続し、サンプルデータの平均量が減少するように、先に記憶されたデータサンプルのブロックを上書きするように構成されており、
前記メモリの内容は、前記対象の期間の全てを実質的にカバーするデータサンプルのブロックを含むことを特徴とする装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−513585(P2012−513585A)
【公表日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−541591(P2011−541591)
【出願日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際出願番号】PCT/GB2009/051649
【国際公開番号】WO2010/073025
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(510112671)ユー‐ブロックス、アクチエンゲゼルシャフト (15)
【氏名又は名称原語表記】U−BLOX A.G.
【Fターム(参考)】