説明

位置別受信感度のデータの収集及び処理装置及び方法

【課題】夜間走行などに活用される無人ロボットの経路計画時に通信可能性或いは自己位置追跡可能性に基づいて無人ロボットの位置別受信感度のデータを収集して処理する装置及び方法を提供する。
【解決手段】位置別受信感度のデータの収集/処理装置は、位置別受信感度のデータの収集及び処理装置であって、無人ロボットと、前記無人ロボットの位置別にGPSデータを無線通信より受信し、前記GPSデータの受信感度のデータを計算する無線基地局と、前記位置別GPSデータ及び無線通信受信の感度のデータを用いて前記無人ロボットの経路計画又はチャネルコーディングを行う遠隔制御部とを含む。本発明によれば、GPS受信座標に該当する無人ロボットの位置別に無線通信の受信感度のデータを格納し、これを用いて夜間走行などに活用される無人ロボットの経路計画を行うことができるので、無人ロボットの自律走行又はロボットの監視モニタリングが可能なようにすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は位置別受信感度のデータの収集/処理装置に関し、更に詳しくは、GPS受信座標に該当する位置別に無線通信の受信感度を格納し、格納された位置別受信感度のデータを用いて無人ロボットの経路計画又は通信チャネルコーディングを行う装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、WiBro(Wireless Broadband)又はWiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)のような技術を用いた遠距離通信装置を搭載した無人ロボットは主に軍事用として開発されており、これを用いて施設の監視、偵察、軽戦闘などの多様な分野に活用可能である。このような無人ロボットの運用において最も大きな問題はロボットが活動する地形の環境に応じて無人ロボットとの通信が頻繁に断絶したり、或いはネットワークの帯域幅が減少する現象により、円滑に無人ロボットを遠隔制御したり、モニタリングできないという点である。WiBro又はWiMAX技術を用いて無人ロボットを制御する技術は、国防関連分野において新たに試みられており、通信断絶とネットワーク帯域幅の減少に関する研究が十分に行われていない。WiBro通信システムの基地局は端末から発生した信号の受信感度を示すCINR(carrier-to-noise-ratio)又はRSSI(Received Signal Strength Indication)値を計算できる。CINR又はRSSI値は通信帯域幅を増大したり、縮小するのに活用でき、また、無人ロボットに装着されている複数台のカメラから優先順位に従ってカメラにより撮影された特定の映像を定められた解像度で持続的に受信できる。
【0003】
国防分野で活用されている無人ロボットの経路計画のために開始点と終了点との間で無人ロボットが移動する経路を、最短距離、敵からの危険度を反映させた距離、最高速度を反映させた距離のような方式で求めている。しかしながら、基本的に通信状況が良好でない場合、無人ロボットを特定地点に移動させることは多くの危険を甘受しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−199158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、無人ロボットの経路計画時に無線通信可能性或いは自己位置追跡可能性に基づいて無人ロボットの位置別に受信感度のデータを収集して処理する装置及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明の一側面によれば、位置別受信感度のデータの収集及び処理装置は、GPS受信座標値に該当する位置別GPSデータを無線通信より受信し、前記GPSデータの受信感度のデータを計算する無線基地局と、前記位置別GPSデータ及び無線通信受信の感度のデータを用いて経路計画又はチャネルコーディングを行う遠隔制御部とを含む。
【0007】
前記目的を達成するために、本発明の他の側面によれば、位置別受信感度のデータの収集及び処理方法は、GPS受信座標値に該当する位置別GPSデータを無線通信より受信し、前記無線通信の受信感度を計算する受信段階と、前記位置別GPSデータ及び受信感度のデータを用いて経路計画又はチャネルコーディングを行う実行段階ととを含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、GPS受信座標に該当する無人ロボットの位置別に無線通信の受信感度のデータを格納し、これを用いて夜間走行などに活用される無人ロボットの経路計画を行うことができるので、無人ロボットの自律走行が可能であるという効果を奏する。
【0009】
また、新しい地域に対しては持続的にデータを蓄積し、予め調査した地域に対しては既に保有している情報を用いて該当地域に入る前に通信帯域幅を予め特定チャネルに割り当てるか、優先順位が低いチャネルの通信帯域幅を収集してモニタリングが必要な映像チャネルなどに割り当てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明による無人ロボットを用いた位置別受信感度のデータの収集/処理装置を示す図である。
【図2】図1の遠隔制御車両104の詳細ブロック図である。
【図3】本発明による位置別受信感度のデータの格納方法を説明するフローチャートである。
【図4】本発明による位置別受信感度のデータの処理方法を説明するフローチャートである。
【図5】本発明によるGPSデータの検索領域の設定を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付する図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明による無人ロボットを用いた位置別受信感度のデータの収集/処理装置を示す図である。本発明の位置別受信感度のデータ収集/処理装置は、無人ロボット101と遠隔制御車両104とを含む。
【0013】
無人ロボット101は、複数のカメラ(図示せず)を装着した無人車両形態の室外ロボットであって、無線通信端末102及びGPSアンテナ103を搭載し、遠距離に位置する遠隔制御車両104と通信する。ここで、無線通信端末102はWiBro及びWiMAX端末を含む。
【0014】
遠隔制御車両104は、無人ロボット101から送られた無線通信信号を受信して処理する無線基地局105及び遠隔制御装置106を搭載している。無線基地局105と遠隔制御装置106は、有線又は無線で連結されてもよい。ここで、無線基地局105はWiBro信号またはWiMAX信号を受信して処理するWiBro基地局またはWiMAX基地局で実現することができる。
【0015】
遠隔制御装置106は、無人ロボット101から受信した各種無線通信信号をディスプレイしたり、無人ロボット101のカメラにより撮影された映像を受信して遠隔でユーザが無人ロボット101を操作するようにする。また、遠隔制御装置106は無人ロボット101が進むべき進行経路又は行うべき任務を与えて無人ロボット101に伝送する。遠隔制御装置106が無人ロボット101を遠隔で制御するとき、通信状況が悪化すれば、遠隔制御が不可能であり、自律で任務を転換させなければならないか、通信帯域幅を下げて映像圧縮率などを調節しなければならない。
【0016】
図2は、図1の遠隔制御車両104の詳細ブロック図である。図2に示すように、遠隔制御車両104は、無線基地局105と遠隔制御装置106を含み、遠隔制御装置106はデータ受信部202、データ格納部203、データベース204、データ処理部205及びアプリケーション206を含む。
【0017】
無線基地局105は無人ロボット101から無線通信より受信した現在のGPSデータと無線通信信号の受信感度を現在の時間と共に、データ受信部202に伝達する。上記GPSデータは無人ロボット101の位置を示し、前記受信感度は無線基地局105で計算される。データ受信部202は受信されたデータをデータ格納部203に送信してデータベース204に情報を格納する。
【0018】
アプリケーション206は、無人ロボット101のGPSデータに対する受信感度をデータ処理部205に要請し、この要請に応じてデータ処理部205は無人ロボットの位置別受信感度をデータベース204から検索してアプリケーション206に伝送する。このとき、アプリケーション206は無人ロボット101の経路計画又は通信チャネルのコーディング自動変更を行う。
【0019】
このように、図2の遠隔制御車両104を通じて、現在の通信状況を無人ロボット101が位置する地点のGPSデータと共にデータベース204に格納し、その後、無人ロボットが再び同じ経路を通過する場合、既に格納されたGPSデータを用いて同一経路上の各地点の受信感度又は受信感度の平均を求めることで、経路計画に用いたり、通信環境を予め予測して適切な通信帯域幅を事前に割り当てることができる。
【0020】
図3は、本発明による無人ロボットの位置別受信感度の格納方法を説明するフローチャートである。まず、データ受信部202は、無線基地局105を介して無人ロボット101から受信したGPSデータとその受信感度を現在の時間と共に受信する(301段階)。その後、データ受信部202は受信したGPSデータと受信感度のデータが正常か否かを検査する(302段階)。検査の結果、GPSデータと受信感度のデータがいずれも正常で、有効である場合、データベース204に現在の時間、GPSデータ及び受信感度のデータを格納する(303段階)。また、格納した現在の時間、GPSデータ及び受信感度をデータ格納部203に一時的に格納して通信異常やGPS受信不可地域の検索に活用する。もし、データの格納作業が頻繁に行われてシステム全体の性能に影響を与える場合、既に設定された時間だけ待機した後に301段階から303段階を繰り返す。
【0021】
検査の結果、無線通信は正常であるが、GPSデータは受信されない陰影地域が存在し得る。又は、GPSデータは受信したが、無線通信が不可能であり、遠隔制御装置106にこのGPSデータを伝達できない場合が発生し得る。このような場合、アプリケーション206では該当データを分析して陰影地域を迂回したり、又は通信可能な地域に無人ロボット101を移動させることができる。
【0022】
一方、302段階の検査の結果、無線通信の受信感度又はGPSデータが異常である場合、まず無線通信の異常有無を判断する(304段階)。304段階で検査した結果、無線通信の異常に基づいて受信感度のデータが受信されない場合であれば、データ格納部203に格納されている直前のGPSデータを抽出して、抽出した上記GPSデータの受信時間、抽出したGPSデータ及び通信異常を示す情報をデータベース204に格納する(306段階)。既に設定されたデータ処理期間の間、持続的に無線通信が異常である場合、データベース204には時間のみ異なり、GPSデータと通信異常を示す情報を含む多数のデータが格納されることだろう。しかしながら、304段階で検査した結果、無線通信には異常がないが、GPSデータが異常であると判断されれば、該時間、直前のGPSデータ及びGPS受信不可を示す情報をデータベース204に格納する(305段階)。GPS受信可否の判断において、無人ロボット101が一定範囲の地域から既に設定された時間内に急に逸脱することはできないので、302段階で既に設定された時間内に一定変動幅以上の変動されたGPSデータが受信される場合、該当GPSデータは誤情報であり、GPS受信不可と判断する。
【0023】
図4は、本発明による位置別受信感度のデータの処理方法を示す図である。まず、アプリケーション206は、データ処理部205にGPSデータの値に該当する受信感度を要請する(400段階)。例えば、図5に示すように、無人ロボット101の移動領域の範囲が東側(E)と北側(N)を基準にX及びYとしたとき、ユーザにより設定される領域変数X及びYの値に応じてGPSデータ検索領域が設定され、このように設定されたGPSデータ検索領域に含まれたデータの情報が要請される。これにより、データ処理部205はユーザが入力したGPS検索領域変数X及びY値に応じて設定されたGPSデータ検索領域に含まれるGPSデータの情報がデータベース204から抽出する(410段階)。このように抽出された情報のうち、無線通信不可能又はGPSデータ受信不可能地域を示す情報が含まれているかを判断する(420段階)。判断の結果、無線通信不可能又はGPSデータ受信不可能地域を示す情報が含まれていれば、図3の305段落で説明したようにデータ格納部203に格納されていたGPS値を連続的に有しているデータが抽出される。従って、このような情報がリスト形態で伝達され得る(430段階)。また、該当検索領域内に正常な値が存在しない場合、検索領域を更に拡大させて検査する。また、この場合は既に無人ロボット101が移動していなかった地域であるので、該当地域に移動しながら、図3に示すデータ収集及び格納段階を繰り返すことができる。
【0024】
もし、420段階の検査の結果、正常なデータが出力される場合、収集されたデータの受信感度平均値を計算して受信感度を算出する(440段階)。
【0025】
本実施形態のモジュール、機能ブロック又は手段は、電子回路、集積回路、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)など公知となった多様な素子で実現されることができ、それぞれ別個に実現されてもよく、2つ以上が1つに統合されて実現され得る。
【0026】
以上のように、本発明の理解のためにその実施形態を記述したが、当業者であれば分かるように、本発明は本明細書で記述された特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範疇から逸脱しない範囲内で多様に変形、変更及び代替され得る。従って、本発明の真の思想及び範疇に属するあらゆる変形及び変更を特許請求の範囲によって全て包括したい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置別受信感度のデータの収集及び処理装置であって、
GPS受信座標値に該当する位置別GPSデータを無線通信より受信し、前記GPSデータの受信感度のデータを計算する無線基地局と、
前記位置別GPSデータ及び無線通信受信の感度のデータを用いて経路計画又はチャネルコーディングを行う遠隔制御部と
を含むことを特徴とする位置別受信感度のデータの収集及び処理装置。
【請求項2】
前記位置別GPSデータ及び受信感度のデータを格納するデータベースをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の受信感度のデータの収集及び処理装置。
【請求項3】
前記無線基地局は、遠隔の無人ロボットから前記GPSデータを受信することを特徴とする請求項1に記載の受信感度データの収集及び処理装置。
【請求項4】
前記無線通信は、WiBro通信であることを特徴とする請求項1に記載の受信感度のデータの収集及び処理装置。
【請求項5】
前記受信感度のデータは、前記無線通信のCINR又はRSSIの値であることを特徴とする請求項4に記載の受信感度のデータの収集及び処理装置。
【請求項6】
前記無人ロボットは、WiBro端末とGPSアンテナを搭載したことを特徴とする請求項4に記載の受信感度のデータの収集及び処理装置。
【請求項7】
前記遠隔制御部は、前記無線基地局を介して前記無人ロボットに進行経路又は行うべき任務を伝送することを特徴とする請求項3に記載の受信感度のデータの収集及び処理装置。
【請求項8】
前記無人ロボットから受信した前記受信感度のデータが異常である場合、直前のGPSデータを抽出して前記抽出されたGPSデータの受信した時間、前記抽出されたGPSデータ及び前記受信感度の異常を表す通信異常情報を前記データベースに格納することを特徴とする請求項4に記載の受信感度のデータの収集及び処理装置。
【請求項9】
前記無人ロボットから受信した前記GPSデータが異常である場合、直前のGPSデータを抽出して前記抽出されたGPSデータの受信した時間、前記抽出したGPSデータ及びGPSデータの異常を表す受信不可情報を前記データベースに格納することを特徴とする請求項4に記載の受信感度のデータの収集及び処理装置。
【請求項10】
位置別受信感度のデータの収集及び処理方法であって、
GPS受信座標値に該当する位置別GPSデータを無線通信より受信し、前記無線通信の受信感度を計算する受信段階と、
前記位置別GPSデータ及び受信感度のデータを用いて経路計画又はチャネルコーディングを行う実行段階と
を含むことを特徴とする位置別受信感度のデータの収集及び処理方法。
【請求項11】
前記受信段階の後、前記位置別GPSデータ及び前記無線通信の受信感度データをデータベースに格納する段階を更に含むことを特徴とする請求項10に記載の受信感度データの収集及び処理方法。
【請求項12】
前記受信段階は、遠隔の無人ロボットから前記GPSデータを受信することを特徴とする請求項10に記載の受信感度データの収集及び処理方法。
【請求項13】
前記無線通信は、WiBro通信であることを特徴とする請求項12に記載の受信感度のデータの収集及び処理方法。
【請求項14】
前記受信感度のデータは、前記無線通信のCINR又はRSSI値であることを特徴とする請求項10に記載の受信感度のデータの収集及び処理方法。
【請求項15】
前記無人ロボットは、WiBro端末とGPSアンテナを搭載したことを特徴とする請求項12に記載の受信感度データの収集及び処理方法。
【請求項16】
前記実行段階の後、前記無線基地局を介して前記無人ロボットに進行経路又は行うべき任務を伝送する段階をさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の受信感度のデータの収集及び処理方法。
【請求項17】
前記無人ロボットから受信した 前記受信感度のデータが異常である場合、直前のGPSデータを抽出して前記抽出されたGPSデータの受信した時間、前記抽出されたGPSデータ及び前記受信感度の異常を表す通信異常情報を前記データベースに格納することを特徴とする請求項11に記載の受信感度のデータの収集及び処理方法。
【請求項18】
前記無人ロボットから受信した前記GPSデータが異常である場合、直前のGPSデータを抽出して前記抽出されたGPSデータの受信した時間、前記抽出したGPSデータ及びGPSデータの異常を表す受信不可情報を前記データベースに格納することを特徴とする請求項11に記載の受信感度のデータの収集及び処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−148085(P2010−148085A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−146590(P2009−146590)
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【出願人】(596180076)韓國電子通信研究院 (733)
【氏名又は名称原語表記】Electronics and Telecommunications Research Institute
【住所又は居所原語表記】161 Kajong−dong, Yusong−gu, Taejon korea
【Fターム(参考)】