説明

位置合わせ装置、位置合わせ方法、及び実装方法

【課題】高精度での位置合わせが容易に行える位置合わせ装置、位置合わせ方法、及び実装方法を提供する。
【解決手段】位置合わせ装置10は、複数の位置合せ対象11,12の位置を合わる位置合せ装置であって、撮像機能を有するとともに互いに異なる方向を向く第1の撮像手段としての上カメラ21及び第2の撮像手段としての下カメラ22と、一方の前記位置合わせ対象11の基準位置11aと補正用のターゲット25の基準位置25aとがZ方向において同位置に配置されるように位置合わせ対象11とターゲット25を支持可能な支持ツール23と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置合わせ装置、位置合わせ方法、及び実装方法に係り、複数の位置合わせ対象を位置合わせするものに関する。
【背景技術】
【0002】
フリップチップボンダなどにおける位置合わせ方法として、2つの位置合わせ対象を、互いに異なる方向を向く2つのカメラを用いて撮像して位置合わせを行う方法が知られている。この種の位置合わせ方法では、予めターゲットを撮像して2つのカメラの相対位置関係に基づく補正情報を求めている。通常、補正情報を求める度にターゲットを搭載し、補正情報を求めた後にターゲットを回収している。また、例えば、互いに同軸上に配置され撮像視野を向き合わせて取り付け固定される2つのカメラと、これらカメラ間に取り出したチップを介在させるツールと、ツールからチップを受け取るボンディングツールを備え、チップを基板にボンディングさせるボンディングヘッドと、基板に対向して設けられ撮像範囲が変動自在な基板認識カメラと、補正用ターゲットと、を具備した位置合わせ装置が提供されている(例えば、特許文献1参照)。この方法では、2つのカメラでそれぞれターゲットを撮像してXY方向の補正情報を算出し、別のカメラでチップを認識しながら補正情報に基づいてチップのXY方向の位置合わせをした後、Z方向に沿ってチップを移動させて基板上へ実装を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−310480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上述の技術では以下の問題がある。すなわち、補正情報を求める毎にターゲットの供給や回収をする方法ではターゲットの回収や設置の際にターゲット位置に誤差が生じ、位置合わせ精度が低下する場合がある。一方、XY方向における位置合わせの後にZ方向に沿って対象を移動させて実装する方法では、Z方向の移動の際に装置の駆動軸等に依存する誤差が生じ、位置合わせ精度が低下する場合がある。
【0005】
そこで、本発明は、高精度での位置合わせが容易に行える位置合わせ装置、位置合わせ方法、及び実装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態に係る位置合わせ装置は、複数の位置合せ対象の位置を合わる位置合せ装置であって、撮像機能を有するとともに互いに異なる方向を向く第1の撮像手段及び第2の撮像手段と、一方の前記位置合わせ対象の基準位置と補正用のターゲットの基準位置とが所定の第1方向において同位置に配置されるように前記一方の位置合わせ対象と前記ターゲットを移動可能に支持する支持手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の一形態に係る位置合わせ方法は、複数の位置合せ対象の位置を合わる位置合せ方法であって、一方の前記位置合わせ対象の基準位置と補正用ターゲットの基準位置とを第1方向において同位置に支持可能な支持手段により前記ターゲットを支持して第1の撮像手段の対象位置にセットする工程と、前記第1の撮像手段で前記ターゲットを撮像する工程と、前記支持手段を移動して、前記第1の撮像手段と異なる方向を向く第2の撮像手段の対象位置に前記ターゲットをセットする工程と、前記第2の撮像手段で前記ターゲットを撮像する工程と、前記撮像情報、位置情報、及び前記移動に関する移動情報の、少なくともいずれかを含む情報に基づいて、第1撮像手段の対象位置と第2撮像手段の対象位置に関する補正情報を取得する工程と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明の一形態に係る実装方法は、前記一方または他方の位置合わせ対象を前記他方または一方の位置合わせ対象に実装する工程を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る位置合わせ装置、位置合わせ方法、及び実装方法によれば、高精度での位置合わせが容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1実施形態に係る位置合わせ装置の構成を示す説明図。
【図2】同実施形態に係る補正情報取得の動作を示す説明図。
【図3】同実施形態に係る補正情報取得の工程を示す説明図。
【図4】同実施形態に係る位置合わせの動作を示す説明図。
【図5】同実施形態に係る位置合わせの工程を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態にかかる位置合わせ装置、位置合わせ方法、及び実装方法について、図1乃至図5を参照して説明する。なお、各図において説明のため、適宜、構成を拡大、縮小または省略して概略的に示している。図中矢印X,Y及びZはそれぞれ互いに直交する3方向を示す。
【0012】
図1に示すように、本実施形態に係る位置合わせ装置10は、例えば基板12上の所定位置12aに半導体チップなどの搭載部品11を位置合わせして実装する際に用いられる実装装置である。ここでは、一例として、一方の位置合わせ対象を半導体チップなどの搭載部品11とし、他方の位置合わせ対象を基板12とした。
【0013】
位置合わせ装置10は、第1の撮像手段としての上カメラ21と、第2の撮像手段としての下カメラ22と、一方の位置合わせ対象を支持する支持手段としての支持ツール23と、支持ツール23をXYZ軸方向において移動可能にする移動機構24と、支持ツール23に固定された補正用ターゲット25と、他方の位置合わせ対象がセットされるステージ26と、これらに接続され各部の動作を制御する制御部27と、を備えて構成される。
【0014】
上カメラ21は、Z軸(第1方向)の一方側である上方を向いて配置され、その焦点に配されたターゲット25や位置合わせ対象としての搭載部品11を下方から撮像し、対象物の撮像情報や、XY平面における位置情報等を取得する機能を有する。
【0015】
下カメラ22は、Z軸の他方側である下方を向いて配置され、その焦点に配されたターゲット25や位置合わせ対象としての基板12を上方から撮像し、対象物の撮像情報や、XY平面における位置情報等を取得する機能を有する。
【0016】
上下のカメラ21,22は互いに隣接して設置され、一体に固定されている。また、上下のカメラ21,22は一体に動作可能に構成されていてもよい。
【0017】
支持ツール23は、搭載部品11を吸着ノズル31aで吸着して支持する対象セット部31と、補正用のターゲットが固定されるターゲットセット部32と、を一体に備えるとともに、これらのセット部31,32を一体でX,Y,Z軸方向に移動可能とする移動機構24を備えている。すなわち、支持ツール23は、搭載部品11とターゲット25を支持するとともに、X,Y,Z軸方向に移動可能に構成されている。
【0018】
支持ツール23は、制御部27の制御により、一方の位置合わせ対象としての搭載部品11を吸着ノズル31aで吸着しながら、取得した補正情報に基づいて移動させることにより、他方の位置合わせ対象としての基板12等の搭載対象に搭載部品11を位置決めしてセットする機能を有する。
【0019】
ターゲット25は、例えば透明なパネルなどで構成され、下面の所定位置にアライメント用のマーク25aが付されている。ターゲット25は、支持ツール23のターゲットセット部32に固定され、対象セット部31と一体に動くようになっている。
【0020】
ターゲット25のマーク25aと、一方の位置合わせ対象としての搭載部品11の下面の基準位置11aとは、互いにZ方向において位置が揃うように設定されている。すなわち、支持ツール23は、搭載部品11の基準位置である下面と、ターゲット25の基準位置であるマーク25aとが、Z方向において同位置に配置されるように構成されている。
【0021】
制御部27は、移動機構24を駆動して上カメラ21と下カメラ22のそれぞれの焦点位置(対象位置)にターゲット25を移動させ、カメラ21,22でターゲット25を撮像させ、撮像情報及び位置情報を取得し、その撮像情報及び位置情報から2つのカメラ21,22の相対位置関係に関する補正情報を算出する。また、制御部27は、取得した補正情報に基づいて位置合わせ対象を移動させて位置合わせを行うように移動機構24の動作を制御する。
【0022】
以下、本実施形態にかかる位置合わせ装置10の動作、位置合わせ方法、及び実装方法について、図2乃至図5を参照して説明する。位置合わせ方法は、まず補正情報を取得する補正情報取得工程と、その補正情報に基づいて2つの位置合わせ対象を位置合わせする位置合わせ工程とで構成される。
【0023】
上下カメラ21,22の相対位置関係による補正情報を取得するまでの工程について図2の動作説明図と図3の工程説明図を参照して説明する。
【0024】
まず、支持ツール23にてターゲット25を支持した状態で、移動機構24を駆動し、図2(a)に示すように、ターゲット25を、上カメラ21の直上の焦点位置に移動させ、セットする(ST1)。
【0025】
上カメラ21で下方からターゲットを撮像させ、撮像情報からターゲット25のXY平面上の位置情報を取得する(ST2)。
【0026】
ついで、図2(b)に示すように移動機構24を駆動してターゲット25を移動させ、図2(c)に示すように、ターゲット25を下カメラ22の直下の焦点位置にセットする(ST3)。なお、ターゲット25を移動させる際には、ターゲットセット部32と対象セット部31とが一体となって移動する。
【0027】
ついで、下カメラ22で上方からターゲット25を撮像させ、撮像情報からターゲット25のXY平面上の位置情報を取得する(ST4)。
【0028】
そして、支持ツール23の移動情報及び取得した撮像情報、位置情報などの各種情報に基づき、上カメラ21と下カメラ22の相対位置関係を算出し、この相対位置関係から補正情報を求める(ST5)。
【0029】
なお、この補正量取得動作は、初期調整時のみに限らず、位置合わせ装置10が動作中の任意のタイミングで動作させることができる。
【0030】
以下、補正情報に基づいて2つの位置合わせ対象を位置合わせする位置合わせ工程について、図4の動作説明図と図5の工程説明図を参照して説明する。
【0031】
搭載部品11を基板12に搭載する際には、まず、図4(a)に示すように、支持ツール23の対象セット部31に搭載部品11をセットし(ST11)、搭載部品11を上カメラ21の直上の焦点位置に移動させる(ST12)。このとき、上カメラ21を用いて搭載部品11を撮像し、撮像情報から搭載部品11のXY平面上における位置情報を取得する(ST13)。
【0032】
また、図4(b)に示すように、ステージ26上に、他方の位置合わせ対象としての基板12をセットし(ST14)、ステージ26を移動させて基板12を下カメラ22の直下の焦点位置にセットする(ST15)。このとき、下カメラ22を用いて基板12を撮像し、撮像情報から基板12上の所定位置12aのXY平面上における位置情報を取得する(ST16)。
【0033】
ついで、搭載部品11及び基板12の位置情報と予め取得した補正情報に基づき、支持ツール23を移動させ、図4(c)に示すように、搭載部品11を基板12上の所定位置12aに位置決めする(ST17)。
【0034】
ST17の位置合わせが完了した後、支持ツール23に設けられたボンディング機能を用いて基板12上の所定位置12aに位置決めされた搭載部品11を接合することにより(ST18)、実装工程が完了する。
【0035】
本実施形態に係る位置合わせ装置、位置合わせ方法及び実装方法は、以下のような効果を奏する。すなわち、カメラ位置補正用のターゲット25を、支持ツール23の位置合わせ対象11と同位置に設置し、支持ツール23の移動により各カメラ21,22の焦点位置へ移動できるようにしたことにより、位置合わせ装置10の誤差が、位置合せ精度に影響することを防止できる。
【0036】
また、カメラ21,22によってXY平面上の位置情報を取得可能としたことに加えてZ軸方向においてターゲット25と搭載部品11の位置を揃えて同じ動作をするようにしたことにより、位置合わせ対象である搭載部品11の移動の始点と終点を3軸方向において定めることが出来る。したがって、XY平面上の位置合わせ後に装置の駆動によりZ方向に移動させる場合に比べ、位置合わせ装置10の移動軸のずれや環境による誤差が位置合せ精度に影響することがなく、3軸方向において高い精度を確保できる。
【0037】
また、位置合わせ動作のたびに吸着機構にターゲットを供給・回収して補正情報を取得する方法ではターゲットの位置ずれが位置合せ精度に影響するが、上記実施形態によれば搭載部品11とともにターゲットを固定しているので、補正情報の取得毎に供給・回収する必要がなく、高精度が確保されるとともに、ターゲットの供給・回収用の機構が不要となる。
【0038】
さらに、ターゲット25の認識と位置合わせ対象11,12の認識に、共通するカメラ21,22を用いるので、専用の光学系が不要であり、カメラ数の増大や必要なスペースやコストを削減できる。
【0039】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。例えば、ターゲット25として、透明板状のパネルにパターンを形成したものを用いたが、ピンホールを用いたものであっても適用可能である。また、位置合わせ対象は上記例に限られるものではなく、適宜変更して実施可能である。
【0040】
上記第1実施形態では、上側の位置合わせ対象である搭載部品11を移動させた場合を例示したがこれに限られるものではない。例えば下側の位置合わせ対象を移動させることも可能である。この場合には下側の部品にターゲットを一体に取付け、下側の部品を移動させることにより位置合わせを行う。また、焦点位置にセットする際には一対のカメラを一体で移動させても良い。これらの場合にあっても上記第1実施形態と同様の効果を得られる。
【0041】
位置情報、移動情報、補正情報などの各種情報の取得方法や取得手順は上記実施形態に限られるものではなく、適宜変更して実施可能である。例えば、図3において、上下カメラの撮像順を逆にしてもよい。
【0042】
また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0043】
10…位置合わせ装置、11…搭載部品(一方の位置合わせ対象)、11a…基準位置、
12…基板(他方の位置合わせ対象)、12a…所定位置(基準位置)、
21…上カメラ(第1の撮像手段)、22…下カメラ(第2の撮像手段)、
23…支持ツール(支持手段)、24…移動機構、25…ターゲット、
25a…マーク(基準位置)、26…ステージ、27…制御部、31a…吸着ノズル、
31…対象セット部、32…ターゲットセット部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の位置合せ対象の位置を合わる位置合せ装置であって、
撮像機能を有するとともに互いに異なる方向を向く第1の撮像手段及び第2の撮像手段と、
一方の前記位置合わせ対象の基準位置と補正用のターゲットの基準位置とが所定の第1方向において同位置に配置されるように前記一方の位置合わせ対象と前記ターゲットとを移動可能に支持する支持手段と、
を備えることを特徴とする、位置合わせ装置。
【請求項2】
2つの位置合せ対象の位置を合わる位置合せ装置であって、
撮像機能を有するとともに、所定の第1方向において互いに逆方向を向き、前記第1方向と交差する面内の位置情報を取得する、第1の撮像手段及び第2の撮像手段と、
一方の前記位置合わせ対象及び補正用のターゲットを支持可能な支持手段と、
前記支持手段を互いに交差する3軸方向において移動可能とする移動手段と、
を備え、
前記ターゲットの基準位置と前記一方の位置合わせ対象の基準位置とは、前記第1方向において同位置に設定されることを特徴とする位置合わせ装置。
【請求項3】
複数の位置合せ対象の位置を合わる位置合せ方法であって、
一方の前記位置合わせ対象の基準位置と補正用のターゲットの基準位置とを第1方向において同位置に支持可能な支持手段により前記ターゲットを支持して第1の撮像手段の対象位置にセットする工程と、
前記第1の撮像手段で前記ターゲットを撮像する工程と、
前記支持手段を移動して、前記第1の撮像手段と異なる方向を向く第2の撮像手段の対象位置に前記ターゲットをセットする工程と、
前記第2の撮像手段で前記ターゲットを撮像する工程と、
前記撮像情報、位置情報、及び前記移動に関する移動情報の、少なくともいずれかを含む情報に基づいて、第1撮像手段の対象位置と第2撮像手段の対象位置に関する補正情報を取得する工程と、
を備えたことを特徴とする位置合わせ方法。
【請求項4】
一方の前記位置合わせ対象を、前記支持手段で支持して、第1の撮像手段の対象位置にセットする工程と、
他方の前記位置合わせ対象を、第2の撮像手段の対象位置にセットする工程と、
前記補正情報に基づいて前記一方の位置合わせ対象を移動させ、前記一方の位置合わせ対象と前記他方の位置合わせ対象との位置決めを行う工程と、
を備えたことを特徴とする請求項3記載の位置合わせ方法。
【請求項5】
請求項4に記載の位置合わせ方法における前記位置決めを行う工程の後に、前記一方または他方の位置合わせ対象を前記他方または一方の位置合わせ対象に実装する工程を備えることを特徴とする実装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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