説明

位置検出装置、表示装置および携帯機器

【課題】交番磁界には渦電流の影響を排除した磁路を形成し、直流磁界による磁束には、その方向を偏倚させることがないようにした電磁誘導方式の位置検出装置を提供する。
【解決手段】位置指示器と電磁結合するための交番磁界を生成するためのコイルが配置されたコイル基板23を備えた位置検出装置である。コイル基板23の、位置指示器が対向する第1の面23aに対向する第2の面23bの側に、磁路材24とシールド材25が、磁路材24が第2の面23bとシールド材25の間に配置された関係にて配置される。磁路材24は、直流磁界による直流磁束を乱すことのない透磁率を有し、コイルによって生成される交番磁界によって生じる渦電流を流れにくくするための所定の電気抵抗を有する材料で構成される。シールド材25は直流磁界による直流磁束を乱すことのない非磁性体であるとともに、交番磁界に対して渦電流を生じさせる導電性を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、位置指示器と共に使用され、位置指示器の指示位置を検出する位置検出装置に関する。また、この発明は、位置検出装置を備える表示装置、更に、位置検出装置を備える携帯機器に関する。
【背景技術】
【0002】
指やペンなどの位置指示器によって指示された位置を検出する位置検出装置が良く知られている。この位置検出装置で用いられる位置検出方式としては、抵抗膜方式、電磁誘導方式、静電容量方式など種々のものが提供されている。そのうちの電磁誘導方式の位置検出装置の例が、例えば特許文献1(特開2009−3796号公報)に記載されている。
【0003】
すなわち、この特許文献1に記載の位置検出装置は、図10に示すように、上側ケース1と下側ケース2との間に、センサ基板3と、磁路板4とが配置されている。センサ基板3は、X軸方向ループコイル群(図示せず)とY軸方向ループコイル群がセンサ基板3のそれぞれの面に配置されたコイル5を備える。
【0004】
この位置検出装置は、位置指示器6と共に使用される。位置指示器6は、コイル6Lとコンデンサ6Cとからなる共振回路を備える。
【0005】
この位置検出装置では、コイル5のX軸方向ループコイル群およびY軸方向ループコイル群の各ループコイルは選択回路(図示せず)により所定の手順で選択される。選択回路により選択されたループコイルに対しては、所定時間、所定の交番信号が供給される。そして、前記所定時間が経過すると、選択されたループコイルへの交番信号の供給は停止され、当該ループコイルは、信号受信状態に切り替えられる。
【0006】
交番信号がループコイルに供給されている所定時間においては、当該ループコイルから電磁波(交番磁界)が発生し、その交番磁界が位置指示器6の共振回路に供給されて、共振回路にエネルギーが蓄えられる。
【0007】
次に、選択されたループコイルへの交番磁界の供給が停止されて信号受信状態に切り替えられると、位置指示器6の共振回路に蓄えられたエネルギーにより、位置指示器6からコイル5に対して電磁波が送信される。したがって、位置検出装置では、コイル5のうちの選択されたループコイルからの信号を監視することで、位置指示器6からの電磁波の受信を検知することができる。
【0008】
以上のようにして、センサ基板3のコイル5と、位置指示器6との間で電磁波の送受が行われる。そして、選択回路でループコイルを所定の手順で選択し、位置指示器6との間での電磁波の送受を行うことで、位置指示器6が指示している位置が決定される。
【0009】
磁路板4は、以上のようにして送受される電磁波に関し、コイル5によって生成される交番信号に対する磁路を形成することで、発生した磁束の発散を防止し、これにより位置検出装置としての、位置指示器6に対する検出感度を向上させる。また、位置検出装置の外部に放射される交番信号を防止する機能を果たすと共に、位置検出装置の外部からの電磁波が、上記のようにして送受される電磁波に対してノイズとして混入しないようにするためのものである。
【0010】
すなわち、この磁路板4は、交番信号に対して磁路を効果的に形成するために設けられている。そのために、これまでは、アモルファス金属など、透磁率の高い材料が用いられてきた。
【0011】
図11は、磁路板4として、透磁率の高い材料としてアモルファス金属を用いた場合に形成される磁路について示す。図11では、磁路板4は、アモルファス金属など、高透磁率の磁性体で構成される。この磁路板4は、例えば透磁率が10000(H/m)というように非常に大きいアモルファス金属で構成されているために、コイル5に供給される交番信号により発生する磁束(交番磁束)は、この磁路板4に磁路4aを効果的に形成する。
【0012】
ところで、アモルファス金属は、電気抵抗が極めて低いために、磁路板4に印加された磁束に対応した渦電流が発生する。この渦電流は、印加された磁場を打ち消すように作用する。しかしながら、高透磁率を有するアモルファス金属は、渦電流の発生に起因するデメリットを勘案しても、全体として、磁路板としての高い性能を発揮するために、これまで、位置検出装置のための磁路板としてアモルファス金属が用いられてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2009−3796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上述した従前の位置検出装置は、家庭に設置し、家庭用電源で駆動される形式の座標入力装置として普及してきた。したがって、磁路板には、位置検出装置と位置指示器との間の電磁結合の度合いを高めるための機能が求められてきた。一方、近年では、携帯端末などの携帯機器に内蔵されて指示入力装置としても使用されている。ところで、最近の携帯電話端末などの携帯端末の中には、地磁気センサを内蔵し、方位を検出することができるものがある。地磁気センサは、例えば、携帯端末のディスプレイ画面に地図を表示して経路案内などを行う場合に、自端末の現在位置における方位を検出して、地図がディスプレイ画面に表示される向きを制御することで、地図案内を容易にするため等に用いられる。
【0015】
ところが、この種の地磁気センサを内蔵する携帯端末において、使用者による指示入力装置として、上述した従前の磁路板を使用した、電磁誘導方式の位置検出装置を採用すると、方位を正しく検出できないおそれがあることが判明した。
【0016】
すなわち、地磁気センサは、N極側からS極側に向かう地磁気による直流磁界の方向に応じた出力電圧を検出する素子、例えばホール素子で構成される。ところが、地磁気センサの近傍に、高透磁率の磁路板4が存在すると、地磁気の直流磁界による直流磁束は、その磁路板4を磁路として通過するようにその方向が偏倚してしまい、あるいは、磁路板4に引き寄せられるようにして通過するようにその方向が偏倚してしまうことがある。したがって、地磁気センサに対する地磁気の入射方向が変わり、地磁気センサが方位を正しく検出できなくなるというおそれがある。
【0017】
この不具合について、図12を用いて更に詳しく説明する。図12は、地磁気センサ8によって検出されるべき地磁気が磁路板4によって影響を受ける様子を示す。例えばホール素子からなる地磁気センサ8は、位置検出装置に収納された、コイル5を備えるセンサ基板3の、位置指示器6によって位置が指示される面の側とは対向する面の側に、高透磁率の磁路板4を介在させた状態で、配置されている。
【0018】
図12において、地磁気による直流磁束が左から右に向かう方向であった場合を想定する。この地磁気による直流磁束は、高透磁率を有する磁路板4がその近傍に存在しなければ、点線矢印9で示すように歪みなく地磁気センサ8に入射することで、磁気センサ8は地磁気の方向を正しく検出することができる。
【0019】
しかし、高透磁率の磁路板4がその近傍に存在すると、地磁気による磁束は、曲線9aのように、高透磁率の磁路板4側に吸引されるように、偏倚してしまう。このため、地磁気による直流磁束の地磁気センサ8への入射経路が、本来の射経路に対して偏倚してしまい、地磁気センサ8は、地磁気の方位を正しく検出できなくなってしまう。
【0020】
この発明は、以上の点にかんがみ、交番磁界に対しては好適に磁路を形成することで位置検出装置と位置指示器との間で好適な電磁結合関係を確保し、一方、直流磁界による直流磁束に対しては透過性を備えるとともにその磁束の偏倚を防止するようにすることで地磁気などの直流磁界を検出するために設けられた磁気センサへの影響を防止するようにした電磁誘導方式の位置検出装置を提供することを目的とする。
【0021】
なお、ここで透過性とは、直流磁界の中に磁路材を配置しても、直流磁界によって形成された直流磁束が磁路材によって乱されることがない性質を意味する。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記の課題を解決するために、この発明は、
位置指示器とともに使用され、前記位置指示器と電磁結合するための交番磁界を生成するためのコイルが配置されたコイル基板を備えた位置検出装置であって、
前記コイル基板の、前記位置指示器が対向する第1の面に対向する第2の面の側に、磁路材とシールド材が、前記磁路材が前記第2の面と前記シールド材の間に配置された関係にて、配置されており、
前記磁路材は、前記コイルによって生成される交番磁界のための磁路を形成するとともに、地磁気などの直流磁界による直流磁束に対しては影響を与えないような、所定の透磁率を備え、更には、前記直流磁界による直流磁束に影響を与えないように設定された前記所定の透磁率によって引き起こされる磁路としての性能劣化を補償するために、渦電流による損失を低減すべく、電流を通りにくくさせるための、所定の電気抵抗を有する材料で構成されており、
前記シールド材は前記磁路材と組み合わされて使用され、前記直流磁界による直流磁束に影響を与えない非磁性体であるとともに、前記交番磁界に対しては渦電流を生じさせるように、導電性を備えている
ことを特徴とする位置検出装置を提供する。
【0023】
従来の位置検出装置では、交番磁束のみに限らず、直流磁束に対しても作用する、高透磁率の磁路板が使用される。
【0024】
これに対し、この発明においては、コイル基板の、前記位置指示器が対向する第1の面に対向する第2の面の側に設けられる磁路材は、地磁気のような直流磁界による直流磁束に対しては影響を与えないような、所定の透磁率を有する材料で構成されている。換言すれば、この磁路材が備える透磁率は、その近傍に地磁気などの直流磁界を検出するための磁気センサが配置されたとしても、その検出誤差が許容しがたい値とならないように設定されている。
【0025】
したがって、地磁気などの直流磁界は、磁路材が存在していても、その磁束の方向の偏倚が防止されることとなり、位置検出装置を構成する磁路材の近傍に地磁気センサが配置されたとしても、地磁気センサは正しい方位を検出することができる。
【0026】
一方、地磁気のような直流磁界による直流磁束を実質的に歪ませないような透過性をする、すなわち地磁気のような直流磁界に対して悪影響を与えないように、その透磁率が設定された磁路材では、位置指示器と電磁結合するための交番磁界を生成するためのコイルにより生成される交番磁界に対して次のような問題が生じる。すなわち、磁路材の透磁率が、地磁気のような直流磁界による直流磁束に対し実質的に影響を与えないような程度に、設定される場合、この透磁率はアモルファス金属などの透磁率に比べて例えば2桁程度小さい値が採用される。このような小さな値の透磁率を有する磁路材の場合、磁路材の電気抵抗が小さいと交番磁界によって磁路材に発生する渦電流の影響が無視し得なくなる。
【0027】
すなわち、磁路材の電気抵抗が小さいと大きな渦電流が発生し、この渦電流によって交番磁界による磁束が磁路材を通り難くなる。このため、磁路材に形成された磁路を介して位置指示器と電磁結合する交番磁束が抑制されることになり、低透磁率の採用と相まって、位置検出装置と位置指示器との間の電磁結合関係が疎となり、位置検出装置としてのセンサ感度の低下をもたらすおそれがある。
【0028】
そこで、この発明では、磁路材に電流が流れにくくして、すなわち電気抵抗を高めることで渦電流の発生を抑制するようにして、位置指示器と電磁結合するための交番磁界を生成するためのコイルによって生成される交番磁界が、磁路材に形成された磁路を介して位置指示器と十分に電磁結合できるようにする。このように、交番磁界に起因して磁路材に発生する渦電流を抑制することで、低透磁率の磁路材を採用することによる位置検出装置としてのセンサ感度の劣化を補償し、これによって、地磁気などの直流磁界に対する透過性を確保すべく、低透磁率の磁路材を採用しても所望のセンサ感度が確保されるようにする。
【0029】
ところで、磁路材として、上述のように、位置指示器と電磁結合するための交番磁界を生成するためのコイルによって生成される交番磁界のための十分な磁路を確保しながら地磁気のような直流磁界による直流磁束には悪影響を与えないよう、所定の透磁率および所定の電気抵抗を有する材料を磁路材として用いると、位置指示器と電磁結合するための交番磁界を生成するためのコイルによって生成される交番磁界が位置検出装置の外部へ漏洩してしまう恐れがある。
【0030】
この問題を考慮して、この発明においては、地磁気のような直流磁界による直流磁束には影響を与えない、すなわち直流磁界による直流磁束に対し透過性を有する非磁性体であるとともに、交番磁界に対して渦電流を生じさせる導電性を備えたシールド材を上述の磁路材と組み合わせて配置する。すなわち、磁路材から外部に漏洩する交番磁界はシールド材において渦電流を生じさせ、発生した渦電流は磁路材から外部に漏洩する交番磁界を打ち消すように作用する。したがって、地磁気のような直流磁界による直流磁束に対しては透過性を確保しつつ、位置指示器と電磁結合するための交番磁界を生成するためのコイルにより生成される交番磁界の、位置検出装置から外部への漏洩は遮蔽される。また、位置検出装置の外部から進入しようとする、外部ノイズとしての交番磁界に対しても、外部ノイズの交番磁界によってシールド材に発生する渦電流によってその進入が阻止される。
【発明の効果】
【0031】
この発明によれば、地磁気のような直流磁界による直流磁束に対しては実質的に影響を与えない、すなわち透過性を確保しつつ、位置指示器と電磁結合するための交番磁界を生成するためのコイルにより生成される交番磁界に対しては磁路の電気抵抗を高めることで効果的な磁路を確保することができる。これにより、位置検出装置としての所望のセンサ感度を確保するとともに、たとえ地磁気などの直流磁界を検出するための磁気センサが近傍に配置されることがあっても、磁気センサによって検出されるべき直流磁束の方向が偏倚されることがない、電磁誘導方式の位置検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】この発明による位置検出装置の第1の実施形態を備える携帯機器の実施形態の構成例を説明するための分解構成図である。
【図2】図1の例の携帯機器の断面図である。
【図3】図1の例の携帯機器に用いる位置検出用のセンサの例を説明するための図である。
【図4】図1の例の携帯機器に用いる位置検出用のセンサの例を説明するための図である。
【図5】第1の実施形態の位置検出装置で用いる磁路材と、特許文献1の磁路板とを比較して説明するための図である。
【図6】第2の実施形態の位置検出装置を説明するための断面図である。
【図7】第3の実施形態の位置検出装置を説明するための断面図である。
【図8】第4の実施形態の位置検出装置を搭載する携帯機器の例を説明するための図である。
【図9】第4の実施形態の位置検出装置と共に使用する位置指示器の構成例を説明するための回路図である。
【図10】従来の位置検出装置の例を説明するための図である。
【図11】従来の位置検出装置の例を説明するための図である。
【図12】従来の位置検出装置の例を用いる場合の課題を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、この発明による位置検出装置、表示装置および携帯機器の実施形態を、図を参照しながら説明する。
【0034】
[第1の実施形態]
図1は、この発明による位置検出装置の第1の実施形態を備える携帯機器の実施形態であって、例えば携帯端末に適用した場合の分解構成図を示すものである。この実施形態の携帯端末は、この発明の表示装置の実施形態をも構成するものである。また、図2は、この実施形態の携帯機器を組み立てたときの断面図である。
【0035】
この実施形態の携帯端末10は、図1に示すように、モジュール化あるいはユニット化されている位置検出装置20と、プリント配線基板(マザーボード)30と、筐体40とで構成されている。
【0036】
位置検出装置20は、第1のセンサ基板21と、表示デバイスの例としてのLCD(Liquid Crystal Display)基板22と、第2のセンサ基板23と、磁路材24と、シールド材25とで構成されている。
【0037】
第1のセンサ基板21は、この例では、静電容量方式のセンサの構成とされており、図2に示すように、位置検出装置20の保護板を兼ねる透明基板211の裏面に、例えばITO(Indium Tin Oxide)膜からなる透明電極群212が設けられて構成される。透明基板211は、例えばガラス基板からなる。
【0038】
図3に、第1のセンサ基板21がクロスポイント静電結合方式のセンサ部の構成とされた場合の透明電極群の概略構成を示す。すなわち、この例の第1のセンサ基板21においては、透明電極群212は、図3に示すように、複数個の上部透明電極Exと、複数個の下部透明電極Eyとを、指示入力面を構成する透明基板(図3では図示は省略)の裏面において、例えばX軸方向(横方向)およびY軸方向(縦方向)に配置され、互いに直交するとともに、上部透明電極Exと下部透明電極Eyとのクロスポイントの領域においては、上部透明電極Exと下部透明電極Eyとの間に絶縁材が配置されることで互いが電気的に絶縁されている。この構成によれば、上部透明電極Exと下部透明電極Eyとの間の重なり部分(クロスポイント)には所定の静電容量Co(固定容量)が形成される。
【0039】
そして、図3に示すように、使用者が把持した位置指示のためのペンや使用者の指などの、位置指示器50が、指示入力面に近接しあるいは接触した位置においては、その位置の透明電極Ex,Eyと位置指示器50との間に静電容量Cfが形成される。そして、位置指示器50は人体を通じてグラウンドと、所定の静電容量Cgを通じて接続されている。この結果、その静電容量CfおよびCgのために、位置指示器50が指示する位置の上部透明電極Exと下部透明電極Eyとの間の電荷の移動量が変化する。クロスポイント静電結合方式の位置検出装置では、この電荷の移動量の変化をそれぞれのクロスポイントにて検出することで、指示入力面において位置指示器50により指示された複数の位置を同時に特定することができる。また、図示せずも、第1のセンサ基板21とプリント配線基板30とは電気的に接続されている。
【0040】
なお、図1に示すように、指示入力のための検出領域となる、透明電極群212が設けられる領域は、透明基板211の全面積よりも狭い領域とされている。したがって、透明基板211には、透明電極群212が設けられる領域の周囲に枠部213を備えるが、この枠部213は、後述するように、筐体40に対して位置検出装置20が収納されるときの接着用のフランジ部となる。
【0041】
LCD基板22は、第1のセンサ基板21を構成する透明基板211の裏面側(下側)に設けられる。LCD基板22は、図示は省略するがLCD部と表示ドライブ回路部とを備える。そして、LCD基板22には、図1に示すように、表示ドライブ回路部と外部回路(プリント配線基板30)とを接続するためのリード部22Lが形成されている。
【0042】
第2のセンサ基板23は、LCD基板22の下側に設けられる。この例の第2のセンサ基板23は、電磁誘導方式のセンサの構成である。この第2のセンサ基板23の構成について、図4を参照して説明する。なお、この第2のセンサ基板23を構成する電磁誘導式のセンサ部と共に使用する位置指示器としてのペン51は、図4に示すように、コイル51Lと、このコイル51Lに並列に接続されるコンデンサ51Cとから構成される共振回路を内蔵している。
【0043】
この第2のセンサ基板23においては、配線基板231上に、図4に示すように、X軸方向ループコイル群23Xと、Y軸方向ループコイル群23Yとが配線基板231のそれぞれの面に配置されるとともに、各ループコイルは互いに重畳されて配置されている。したがって、第2のセンサ基板23は、コイル基板を構成している。なお、各ループコイル群23X,23Yは、それぞれ複数本の矩形のループコイルからなっている。この例では、X軸方向にn本、Y軸方向にm本のループコイルが配置されている。
【0044】
コイルループ群23Xを構成する各ループコイルは、ペン51を検出するための検出領域の横方向(X軸方向)に、等間隔に並んで順次重なり合うように配置されている。また、ループコイル群23Yを構成する各ループコイルもまた、検出領域の縦方向(Y軸方向)に、等間隔に並んで順次重なり合うように配置されている。
【0045】
また、第2のセンサ基板23には、センサ回路部が設けられている。このセンサ回路部は、選択回路101、発振器102、電流ドライバ103、送受信切り替え回路104、受信アンプ105、検波回路106、ローパスフィルタ107、サンプルホールド回路108、A/D(Analog to Digital)変換回路109および処理制御部110を備えている。
【0046】
X軸方向ループコイル群23X及びY軸方向ループコイル群23Yは、選択回路101に接続される。この選択回路101は、2つのループコイル群23X,23Yのうちの一のループコイルを、処理制御部110からの制御指示に従って順次選択する。
【0047】
発振器102は、周波数f0の交流信号を発生する。この交流信号は、電流ドライバ103に供給されて電流に変換された後に、送受信切り替え回路104へ送出される。送受信切り替え回路104は、処理制御部110の制御により、選択回路101によって選択されたループコイルが接続される接続先(送信側端子T、受信側端子R)を、所定時間毎に切り替える。送信側端子Tには電流ドライバ103が、受信側端子Rには受信アンプ105が、それぞれ接続されている。
【0048】
したがって、送信時には、送受信切り替え回路104の送信側端子Tを介して、電流ドライバ103からの交流信号が、選択回路101で選択されているループコイルに供給される。また、受信時には、選択回路101で選択されたループコイルに発生する誘導電圧は、選択回路101及び送受信切り替え回路104の受信側端子Rを介して受信アンプ105に供給されて増幅され、検波回路106へ送出される。
【0049】
検波回路106によって検波された信号は、低域フィルタ107およびサンプルホールド回路108を介してA/D変換回路109に供給される。A/D変換回路109では、アナログ信号をディジタル信号に変換し、処理制御部110に供給する。
【0050】
処理制御部110は、位置検出のため制御を行う。すなわち、処理制御部110は、選択回路101におけるループコイルの選択、送受信切り替え回路104での信号切り替え制御、サンプルホールド回路108のタイミングなどを制御する。
【0051】
処理制御部110は、送受信切り替え回路104を送信側端子Tに接続するように切り替えることにより、X軸方向ループコイル群23XあるいはY軸方向ループコイル群23Yのうち、選択回路101で選択されているループコイルを通電制御して電磁波を送出させる。位置指示器としてのペン51の共振回路は、このループコイルから送出された電磁波を受けて、エネルギーを蓄える。
【0052】
次に、処理制御部110は、送受信切り替え回路104を受信側端子Rに接続するように切り替える。すると、X軸方向ループコイル群123X及びY軸方向ループコイル群123Yの各ループコイルには、位置指示器であるペン51から送信される電磁波によって誘導電圧が発生する。処理制御部110は、この各ループコイルに発生した誘導電圧の電圧値のレベルに基づいて、第2のセンサ基板23のペン操作検出領域におけるX軸方向及びY軸方向の指示位置の座標値を算出する。
【0053】
第2のセンサ基板23には、図1に示すように、上述したセンサ回路部と外部回路(プリント配線基板30)とを接続するためのリード部23Lが形成されている。
【0054】
なお、図1では、図示を省略したが、第1のセンサ基板21にも、センサ回路部が設けられており、既述したように、そのセンサ回路部と外部回路(プリント配線基板30)とを接続するためのリード部が形成されている。
【0055】
第2のセンサ基板23の下側には、磁路材24が配設される。この磁路材24は、地磁気のような直流磁界による直流磁束に対しては影響を与えない、すなわち直流磁界による直流磁束に対しては透過性を有するための、所定の透磁率を有しており、また、第2のセンサ基板23のコイルによって生成される交番磁界のための磁路を形成する。更には、磁路としての性能が交番磁界によって発生する渦電流によって劣化しないようにするために、換言すれば、磁路としての性能を向上させるために、磁路内に電流が流れにくくなるよう、所定の値の電気抵抗を有する材料で構成されている。この例では、この磁路材24は、高透磁率のアモルファス金属の粉末を、非磁性および非導電性の高分子材料、この例では樹脂と混合して固めた材料で構成される。
【0056】
なお、磁路材24を構成する材料としては、アモルファス金属の粉末の代わりに、パーマロイやフェライト(酸化鉄)の粉末を用いることもできる。また、高分子材料としては、樹脂に限られるものではなく、有機高分子材料、無機高分子材料のいずれであっても良い。例えば、有機高分子材料としては、タンパク質、核酸、多糖類(セルロース、デンプンなど)や天然ゴムなどの天然高分子材料、また、合成樹脂、シリコン樹脂、合成繊維、合成ゴムなどの合成高分子材料を用いることができる。また、無機高分子材料としては、二酸化ケイ素(水晶、石英)、雲母、長石、石綿などの天然高分子材料、また、ガラスや合成ルビーなどの合成高分子材料を用いることができる。
【0057】
以上のようにして構成される磁路材24は、例えばアモルファス金属などの高透磁率の材料の粉末に、非磁性および非導電性の高分子材料が混合されるため、アモルファス金属などの高透磁率の材料のみからなるものに比較して、低透磁率であると共に、高い電気抵抗を有している。なお、アモルファス金属などの高透磁率の材料の粉末と、高分子材料との混合比を調整することにより、地磁気などの直流磁界による直流磁束に対して実質的に影響を与えないような所望の透磁率と、地磁気などの直流磁界による直流磁束に対して実質的に影響を与えないような所望の透磁率を確保する代わりに劣化した磁路としての性能を補償するために磁路材24に電流が流れにくくするための所望の電気抵抗を備えた磁路材24を、比較的容易に作製することができる。
【0058】
図5に、冒頭で述べた特許文献1の磁路板4と、この実施形態の磁路材24との特性を比較して示す。この図5に示すように、特許文献1の磁路板4の透磁率は、10000[H/m]と非常に高く、交流磁界に対する磁路としての性能が高く、このために、直流磁界による直流磁束に対しても偏倚させてしまう恐れがあることが判明した。
【0059】
これに対して、実施形態の磁路材24の透磁率は、100[H/m]程度であり、低透磁率であるために、地磁気などの直流磁界による直流磁束は、この磁路材24の影響を実質的には受けることはないため、その磁束の偏倚は気にする必要がなくなる。したがって、地磁気センサが位置検出装置20の外部の近傍に位置していても、地磁気の磁束が本来の正しい方向から地磁気センサに入射するため、地磁気センサは地磁気の方位を正しく検出することができる。
【0060】
そして、この実施形態の磁路材24は、電気抵抗が、アモルファス金属の抵抗(0.1Ω程度)よりも著しく大きく、例えば100kΩの値を有しているために、交番磁界によって発生する渦電流が大きく抑制される。このため、交番磁束は渦電流に起因する影響を回避できる。このために、磁路材24は、その透磁率が低い値であっても、良好な磁路を形成することが可能となる。したがって、磁路材24は、第2のセンサ基板23のコイル23X,23Yで発生する交番磁界や、位置指示器51から受信した交番磁界に対する磁束路として十分な性能を有し、これによって、位置検出装置20のセンサ感度を良好に維持することができる。
【0061】
しかし、この実施形態の磁路材24は、低透磁率の材料を使用しているため、第2のセンサ基板23のコイル23X,23Yで発生する交番磁界や、位置指示器51から受信した交番磁界のうち、磁路材24を透過(貫通)して、第2のセンサ基板23側とは反対の側に漏洩する恐れがある。この実施形態では、この交番磁束の漏洩は、磁路材24の、第2のセンサ基板23側とは反対側(磁路材24の下側)にシールド材25を配置し、磁路材24と組み合わせることで遮蔽する。
【0062】
シールド材25は、地磁気のような直流磁界による直流磁束に対しては透過性を有する、すなわち直流磁界による直流磁束を通過させる非磁性体であるとともに、交番磁界に対しては渦電流を生じさせるために、電気抵抗がほぼゼロであるような、高い導電性を備えている材料、この例では、アルミニウムで構成されている。
【0063】
すなわち、磁路材24から漏洩する交番磁束は許容し得るものとし、漏洩した交番磁界は導電性を有するシールド材25に渦電流を発生させることで、シールド材25から外部に漏洩しないようにする。この構成によって、たとえ磁路材24を介して漏洩した交番磁界があっても、シールド材25の、磁路材24とは反対の側への漏洩は防止される。よって、第2のセンサ基板23のコイル23X,23Yで発生する交番磁界や、位置指示器51から受信した交番磁界による交番磁束は、この発明における磁路材24とシールド材25が組み合わされた構成により位置検出装置の外部への漏洩が防止される。
【0064】
また、位置検出装置20の外部からの電磁ノイズの進入は、このシールド材25に発生する渦電流によって防止されることとなる。なお、シールド材25の材料は、アルミニウムに限られるものではなく、例えば、マグネシウム合金、ステンレス(SUS)、銅およびその合金(黄銅など)をも用いることができる。
【0065】
次に、シールド材25は、この実施形態では、位置検出装置20の上記の各部材の収納容器としての機能をも併せ持つものとして構成される。このため、シールド材25は、磁路材24の下側の部分を底部25aとして、この底部25aの周端縁から、例えば垂直に植立された壁部(側壁部)25bを有する箱型容器形状に形成されている。
【0066】
そして、シールド材25の壁部25bで囲まれた凹部空間25c内に、図2に示すように、第1のセンサ基板21を構成する透明基板211の裏面に設けられた透明電極群212、LCD基板22、第2のセンサ基板23および磁路材24が重なり合った状態で収納される。すなわち、コイル基板である第2のセンサ基板23の、位置指示器51が対向する第1の面23aに対向する第2の面23bの側に、磁路材24とシールド材25が、磁路材24が第2のセンサ基板23の第2の面23bとシールド材25の間に配置された関係にて、配置されている。
【0067】
また、シールド材25の壁部25bの、底部25aとは反対側の端部には、第2のセンサ基板23の第1の面23aに沿って外方に突出する突出部25dが形成されている。この突出部25dは、第1のセンサ基板21を構成する透明基板211の前述した枠部213に対向するように形成されている。また、突出部25dは、必要に応じ、内方に突出するように形成しても良い。更には、第1のセンサ基板21の周辺部に搭載された電子回路が収納されるように、突出部25dには必要に応じて所定数の切り欠き部25fが設けられている。
【0068】
シールド材25の凹部空間25c内に、第1のセンサ基板21の透明電極群212、LCD基板22、第2のセンサ基板23および磁路材24が収納された状態においては、第1のセンサ基板21を構成する透明基板211の枠部213と、シールド材25の突出部25dとが当接する状態となる。そして、この実施形態では、第1のセンサ基板21を構成する透明基板211の枠部213と、シールド材25の突出部25dとは接着材26を介して接合される。これにより、シールド材25の開口部が、第1のセンサ基板21を構成する透明基板211により閉塞される。
【0069】
なお、第1のセンサ基板21を構成する透明基板211の枠部213およびシールド材25の突出部25dの面積は、接着材26によって位置固定するために十分な、所定の当接面積を有するように構成されている。
【0070】
以上のようにして、シールド材25の凹部空間25c内に、第1のセンサ基板21を構成する透明電極群212、LCD基板22、第2のセンサ基板23および磁路材24が収納され、第1のセンサ基板21を構成する透明基板211により、シールド材25の凹部空間25cに蓋をされた構造として、位置検出装置20が形成される。つまり、位置検出装置20は、この例では、モジュール化された構造を備えている。
【0071】
そして、この実施形態では、図1および図2に示すシールド材25の底部25aには、LCD基板22と第2のセンサ基板23のそれぞれを電気的に接続するためのフラットケーブルを通すための複数個の開口部(スリット:図示せず)が設けられている。
【0072】
図1および図2に示した例では、コネクタ27aは後述するプリント配線基板30に設けられたコネクタ31aに接続されるとともに、LCD基板22のリード部22Lとはシールド材25の底部25aに設けられたスリットを貫通したフラットケーブルを介して接続される構成とされる。同様に、コネクタ27bはプリント配線基板30に設けられたコネクタ31bに接続されるとともに、第2のセンサ基板23のリード部23Lとはシールド材25の底部25aに設けられた他のスリットを貫通したフラットケーブルを介して接続される構成とされる。更には、図示は省略したが、第1のセンサ基板21にもプリント配線基板30に設けられた所定のコネクタと、上述の電気的接続形態と同様に、電気的に接続するためのリード部が形成されている。
【0073】
プリント配線基板30には、上述の複数個のコネクタ31a,31b,・・・に加えて、携帯端末用のIC(Integrated Circuit;集積回路)32、地磁気センサ33、その他の電子部品と、銅箔配線パターンが施されている。
【0074】
筐体40は、例えば合成樹脂により構成されている。この筐体40には、位置検出装置20およびプリント配線基板30を収納するための凹部41および段部42が形成されている。凹部41は、図2に示すように、プリント配線基板30をその底部25aに収納すると共に、位置検出装置20のシールド材25の凹部空間25cに対応する部分を収納する深さおよび形状とされる。
【0075】
段部42は、位置検出装置20において、接着材26により接着された、第1のセンサ基板21の枠部213とシールド材25の突部25dによって形成される鍔部(フランジ部)を収納するための深さおよび形状とされている。
【0076】
携帯端末10の組立に際しては、筐体40の凹部41内に、プリント配線基板30が、そのコネクタ31a,31b,・・・が形成されている側を露呈する側として収納され、筐体40の凹部41の底部に接着あるいはねじ止めなどにより、固定される。
【0077】
次に、シールド材25の底部25a側がプリント配線基板30に対向する状態で、ユニット化された位置検出装置20を筐体40の凹部41内に収納し、プリント配線基板30に設けられたコネクタ31a,31b,・・・と位置検出装置20に設けられたコネクタ27a,27b,・・・をそれぞれ接続する。このとき、シールド材25の突出部25dと、筐体40の段部42の底部のそれぞれの領域は、例えば接着材28によって互いが接着されることで、位置検出装置20が筐体40に固定される。
【0078】
図2に示すように、筐体40に、位置検出装置20およびプリント配線基板30が収納された状態では、位置検出装置20の最上面と、筐体40の上面43とは、略面一となる。このとき、プリント配線基板30の上に配設されているIC32の上面は、図2に示すように、シールド材25の底部25aの表面に接触するように構成される。この実施形態のシールド材25を構成するアルミニウムは、熱伝導性が良好である。したがって、この実施形態では、シールド材25は、IC32の放熱材としても機能する。また、シールド材25の表面とIC32の上面とが接触するようにさせるために、シールド材25の底面の底部25aの表面の、IC32との対向部分を凸状に形成することもできる。また、シールド材25の底面25aの表面に、IC32の形状に対応した凹部を形成することで互いが良好に接触させるようにすることもできる。
【0079】
以上のようにして構成された携帯端末10においては、アモルファス金属に比較して低透磁率の材料であってしかも渦電流の発生を抑制するために電気抵抗の高い材料を採用することで、交流磁界に対する磁路として所望の性能を確保するとともに、地磁気のような直流磁界による直流磁束に対しては影響を与えない、すなわち直流磁界による直流磁束に対する透過性を確保した磁路材24と、地磁気のような直流磁界による直流磁束に対する透過性を確保するとともに渦電流の発生に効果的な高導電性の材料から成るシールド材25を組み合わせて採用した位置検出装置が収納される。したがって、地磁気などの直流磁界による直流磁束は、磁路材24が存在していても、その磁束の方向の偏倚が防止されることとなり、携帯端末10のプリント配線基板30に設けられた地磁気センサ33に隣接して、磁路材24を有する位置検出装置が収納されたとしても、地磁気センサは正しい方位を検出することができる。
【0080】
更に、第2のセンサ基板23のコイルにより発生する交番磁界および第2のセンサ基板23のコイルで受信する位置指示器51からの交番磁界は、上述したように、位置検出装置20の外部に洩れないように、磁路材24とシールド材25との組み合わせ構造によって遮蔽される。
【0081】
また、プリント配線基板30で発生する電磁波ノイズ、あるいは携帯端末の外部から進入する電磁波ノイズに対しても、位置検出装置20の構成によればその内部への進入が防止される。
【0082】
また、上述の実施形態では、シールド材25は、位置検出装置20の各構成要素を収納するための収納容器としての機能をも果たしているため、位置検出装置20の構成を簡略化することができる。更には、上述したように、シールド材25の熱伝導性を利用して、プリント配線基板に配されているICなどの電子部品の放熱部材として、シールド材25を兼用することができ、携帯機器など、高密度実装された機器における熱放熱効果も奏する。
【0083】
[第2の実施形態]
上述した第1の実施形態の位置検出装置20では、第2のセンサ基板23により構成される電磁誘導式のセンサは、各ループコイルに対して、送信時(励磁時)と、受信時(位置指示器51からの誘導磁界の検出時)とを時分割で切り替えることで、位置指示器51の指示位置を検出するようにした。
【0084】
これに対して、この第2の実施形態では、位置指示器51への磁界送信用(励磁用)コイルと、位置指示器51からの誘導磁界の検出用(受信用)コイルとを、互いに分離して構成する。
【0085】
図6は、第2の実施形態の位置検出装置60の構成を説明するための図であり、図2に示した第1の実施形態の位置検出装置20の断面図に対応する。この図6において、第1の実施形態の位置検出装置20と同一構成部分には、同一番号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0086】
すなわち、この第2の実施形態においては、静電容量方式の位置検出センサの構成である第1のセンサ基板21に代えて、電磁誘導方式において位置指示器から送信された信号を受信するための受信用コイル基板23Rが設けられる。この受信用コイル基板23Rには、透明基板232上にITO膜などによる受信用ループコイル群234がマトリックス状に形成されると共に、その周部には受信用回路部が設けられる。
【0087】
この受信用コイル基板23Rの下側には、LCD基板22が設けられる。そして、このLCD基板22の下側に、電磁誘導方式における位置指示器に対し電磁結合による給電を行うための励磁用コイル基板23Tが設けられる。この励磁用コイル基板23Tは、基板233上に、金属の細い線状導体からなる励磁用ループコイル群(図示せず)が形成されると共に、励磁用回路部が設けられる。また、この例では、励磁用コイル基板23Tには、受信用回路部と励磁用回路部とを制御して、位置指示器51が指示する位置の検出動作を制御する制御回路部も設けられる。なお、この制御回路部は、受信用コイル基板23R上に設けることもできる。
【0088】
この第2の実施形態では、磁路材24は、励磁用コイル基板23Tの下側に設けられる。そして、第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様にして、収納容器を兼ねるシールド材25の収納空間25c内に、図6に示すように、透明基板232の裏面に電磁誘導方式における位置検出のための受信用ループコイル群234を備える受信用コイル基板23R、LCD基板22、位置指示器に給電するための励磁用コイル基板23Tおよび磁路材24が、順次に積み重ねられた状態で収納される。
【0089】
そして、第1の実施形態と全く同様にして、受信用コイル基板23Rを構成する透明基板232の枠部213´と、シールド材25の突出部25dとが、接着材26により接着されて、シールド材25の開口部が、受信用コイル基板23Rを構成する透明基板232により閉塞される。これにより、モジュール化された第2の実施形態の位置検出装置60が形成される。なお、上述したように、シールド材25の突出部25dには、受信用コイル基板23Rの周辺に配置された電子回路を収納するための所定数の切り欠き部25fが必要に応じ設けられている。
【0090】
なお、図6において、シールド材25の底部25aから外部に突出するように設けられているコネクタ27aは、第1の実施形態で説明したように、LCD基板22のリード部22Lと接続されている。また、コネクタ27b´は、励磁用コイル基板23Tのリード部と同様な接続形態にて接続されている。更に、コネクタ部27cもまた同様にして、受信用コイル基板23Rのリード部に接続されている。
【0091】
この第2の実施形態においても、第1の実施形態と全く同様に、磁路材24およびシールド材25は地磁気などの直流磁界による直流磁束に対して影響を与えず、よって地磁気センサによる方位測定を妨げない。
【0092】
また、この第2の実施形態においても、第1の実施形態と全く同様の効果が得られる。
【0093】
[第3の実施形態]
上述の第1の実施形態および第2の実施形態では、収納容器を兼用しているシールド材25の底部25aのみを覆うように磁路材24を設けた。しかし、シールド材25の壁部25bにも、磁路材24を設けることにより、第2のセンサ基板23あるいは励磁用コイル基板23Tから発生する交番磁界および位置指示器51から第2のセンサ基板23あるいは受信用コイル基板23Rで受信する交番磁界に対する磁路を、より効果的に確保することができる。第3の実施形態は、磁路としての特性を一層向上させるための構成を備える。
【0094】
上述の実施形態では、磁路材24は、アモルファス金属やパーマロイなどの、高透磁率の磁性体の粉末に樹脂を加えた固めたものを使用した。しかし、磁路材24としては、このように固化したものの他に、前記高透磁率の粉末に高分子材料を混合し塗料のような形態で使用することもできる。
【0095】
この第3の実施形態では、磁路材は、固化したものを用いるのではなく、塗料のような形態で使用する。
【0096】
図7は、第3の実施形態の位置検出装置70の構成を説明するための図であり、図2に示した第1の実施形態の位置検出装置20の断面図に対応する。この図7において、第1の実施形態の位置検出装置20と同一構成部分には、同一番号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0097】
先ず、この第3の実施形態における磁路材28は、例えばアモルファス金属やパーアロイなどの粉末に樹脂粉末などの高分子材料を混合し、塗料のような形態とすることで、塗布可能とする。
【0098】
そして、塗料のような形態に生成された磁路材28を、図7に示すように、シールド材25の底部25aのみならず、内壁部を含む内面全体に渡って塗布する。その他は、第1の実施形態の位置検出装置20と同様に構成する。
【0099】
この第3の実施形態によれば、磁路材28を、塗料のような形態にして、シールド材25の内面全体に渡って塗布することで、すなわち、シールド材25の壁部25bに対しても塗布することで、磁路材としての一層の性能を得ることができる。
【0100】
[第4の実施形態]
上述の第1〜第3の実施形態では、電磁誘導方式の位置検出装置が使用される。すなわち、電磁結合によって位置指示器に給電するとともに、位置指示器が指示する位置を、電磁結合を使用して求める方式である。
【0101】
しかし、この発明は、位置指示器からの信号が電磁結合を介して送信される方式に制限されるものではなく、所定のコイル、あるいはこのコイルを含む所定の共振回路に対し、電磁結合によって給電することができる電子機器に適用できる。第4の実施形態は、そのような位置検出装置に、この発明を適用した場合である。
【0102】
図8は、この第4の実施形態の位置検出装置を備える携帯機器90と、これと共に使用する位置指示器500との構成の概要を説明するための図である。この第4の実施形態の携帯機器90が内蔵する位置検出装置のセンサ基板92と位置指示器500とは、静電容量方式によって指示位置の検出を行う。
【0103】
すなわち、携帯機器90の、位置指示器500によって位置が指示される表面部の裏面には、例えば図3に示したように、その中央領域にはX方向およびY方向に互いに直交するように複数の線状の透明電極91X,91Yが配置されると共に、その周辺領域には電力供給用コイル95が本発明のコイル基板に相当するものとして配置されたセンサ基板92を備える。また、センサ基板92の下方には、LCD基板22を備える。更には、LCD基板22の下方には、磁路材22とシールド材25が電力供給用コイル95のための磁路としておよび電磁シールドのために設けられている。位置指示器500との間の静電結合に基づく信号を検出するためのセンサ基板92を備える位置検出装置93は、携帯機器90の筐体94内に収納される。
【0104】
上述の実施形態と同様に、磁路材24およびシールド材25が組み合わされた構成を備えている。磁路材24は、LCD基板22と共に、収納容器を兼用するシールド材25内に、収納されている。なお、図8において、マトリックス状に配置された透明電極を備えるセンサ基板92は、LCD基板22に備えられたLCDの表示画面93D上に配置されることは、上述の実施形態と同様である。
【0105】
位置指示器500は、後述する信号発生手段を備えると共に、ケース501の先端から突出する導体芯502と、この導体芯502とは電気的に絶縁されている先端部導体503とを備える。そして、位置指示器500においては、後述する信号発生手段から、導体芯502と先端部導体503との間に不平衡信号電圧が印加される。
【0106】
位置指示器500の導体芯502を、携帯機器90の位置検出装置93の入力面に接近または接触させると、センサ基板92の電極91X,91Yと導体芯502とは静電容量Csを介して静電結合する。静電容量Csは、電極91Xと91Yとの間の静電容量に変化を引き起こすために、電極91Xと91Yとの間には電位差が生じる。したがって、このセンサ基板92の複数の電極91X,91Yと間に生じる電位差に基づいて、位置指示器500の導体芯502によって指示される位置を検出することができる。
【0107】
以上のように、この第4の実施形態の位置検出装置93と共に用いる位置指示器500は、信号発生手段からの信号を送信する機能を有し、そのための電源が必要になる。この電源としては、一般的には、バッテリーを位置指示器500に駆動電源として備えるようにする。しかし、その場合には、バッテリーが消耗した場合には、交換しなければならず面倒である。また、バッテリーを内蔵すると、位置指示器の重量が増してしまい、操作性が損なわれるおそれがある。
【0108】
第4の実施形態では、携帯機器90の位置検出装置93から位置指示器500に電磁誘導結合によって電力を供給することにより、電源に関する上記の問題を解決するようにする。
【0109】
この第4の実施形態においては、携帯機器90に備えられた位置検出装置93のセンサ基板92には、図8に示すように、例えばセンサ基板のセンサエリアの周辺部に、電力供給用コイル95が、本発明のコイル基板として、形成されている。この電力供給用コイル95は、携帯機器90の表示画面93Dと平行な面に沿って巻回されたループコイルであり、例えば、複数層を有するプリント配線基板等により実装される。この電力供給用コイル95には、図示を省略するが、交流信号が供給されて、表示画面93Dと平行な面に垂直な方向に交番磁界を生じる。そのための回路部は、センサ基板92に、センサ回路部と共に形成されている。
【0110】
一方、位置指示器500には、後述するように、電力供給用コイル95からの交番磁界のエネルギーを受け取る電磁結合回路504を設けると共に、キャパシターを備える蓄電回路を設ける。
【0111】
したがって、電力供給用コイル95に交流信号が供給されている状態において、携帯機器90の表示画面93Dに位置指示器500を近づけると、電力供給用コイル95により発生する交番磁界により、位置指示器500の電磁結合回路504に誘導電流が励起される。そして、この誘導電流により、後述するように、蓄電回路のキャパシターに充電がなされて蓄電される。位置指示器500は、この蓄電した電力を、駆動電源として使用する。
【0112】
図9は、この第4の実施形態の位置指示器500の内部処理回路510の例を示す。
【0113】
この内部処理回路510は、前述した電磁結合回路504と、蓄電回路511と、安定化電源回路512と、コントローラ513とからなる。コントローラ513は、例えばマイクロプロセッサからなるもので、電圧制御機能を有すると共に、水晶発振子514によって生成されるクロックに基づく送信信号の生成および送出機能を有する。
【0114】
電磁結合回路504は、コイル5041とコンデンサ5042とからなる共振回路により構成される。この電磁結合回路504の共振周波数は、携帯機器90の位置検出装置93の電力供給用コイル95に供給される交流信号の周波数に等しい周波数とされている。そして、位置指示器500における電磁結合回路504の位置は、図8に示すように、この位置指示器500が携帯機器90に近づけられたときに、電力供給用コイル95からの交番磁界を受けることが可能な位置とされている。
【0115】
蓄電回路511は、整流用ダイオード5111と、例えば電気二重層コンデンサからなるキャパシター5112とで構成される。
【0116】
安定化電源回路512は、PWM(Pulse Width Modulation)制御用のFET(電界効果トランジスタ)からなるスイッチ5121と、安定化用コンデンサ5122と、電圧検出回路5123と、コントローラ513とで構成される。
【0117】
電磁結合回路504は、電力供給用コイル95からの交番磁界を受けて共振して、誘導電流を生じる。その誘導電流は、蓄電回路511のダイオード5111により整流され、その整流信号によりキャパシター5112が充電される。
【0118】
以上のようにして、この第4の実施形態においては、位置指示器500が携帯機器90に近接すると、キャパシター5112への充電がなされ、蓄電回路511に蓄電される。そして、このキャパシター5112によって保持される電圧が、安定化電源回路512に供給される。
【0119】
安定化電源回路512においては、蓄電回路511のキャパシター5112によって保持される電圧は、スイッチ5121のオン・オフに応じて電圧安定化用コンデンサ5122に転送される。コントローラ513は、スイッチ5121に、そのデューティ比が後述するように制御される一定周期の矩形波信号SCをスイッチング信号として供給する。スイッチ5121は、この矩形波信号SCによりオン・オフされて、キャパシター5112によって保持される電圧をPWM制御することによって、そのPWM制御結果としての電圧が電圧安定化用コンデンサ5122に保持される。そして、この安定化用コンデンサ5122よって保持される電圧が、コントローラ513にその駆動電源電圧として供給される。
【0120】
電圧検出回路5123は、電圧安定化用コンデンサ5122によって保持される電圧の値を検出し、その検出結果をコントローラ513に供給する。コントローラ513は、この電圧検出回路5123の検出結果に対応して、予め設定されている電源電圧+Vccとなるように、スイッチ5121に供給する矩形波信号SCのデューティ比を制御する。
【0121】
以上のようにして、コントローラ513には、安定化電源回路512により安定化された電源電圧+Vccが供給される。そして、コントローラ513は、水晶振動子514に基づくクロックが用いられて生成された所定の周波数の送信信号Soを、コンデンサ515を介して、位置指示器500の導体芯502に供給する。これにより、位置指示器500の導体芯502と先端部導体503との間供給された不平衡信号電圧は、位置検出装置90のセンサ基板92の電極91Xと91Yとの間に作用することになる。
【0122】
位置検出装置90では、前述したように、印加された不平衡信号電圧に基づいてセンサ基板92の複数の電極91Xと91Yとの間に生じる電位差に基づいて、位置指示器500の導体芯502により指示された位置を検出する。
【0123】
この第4の実施形態の位置検出装置93においては、位置指示器500に設けられた電磁結合回路504と電磁結合することで位置指示器500に電力を供給するための電力供給用コイル95からの交番磁界に対する磁路を磁路材24によって効果的に形成する。また、シールド部材25によって、その交番磁界が、携帯機器90に収納された位置検出装置93の外部に漏洩することを防止する。
【0124】
そして、この第4の実施形態の位置検出装置93によれば、携帯機器90に設けられた地磁気センサで検出されるべき地磁気の方向が磁路材24によって偏倚されることを防止できるために、地磁気センサにより方位を正しく検出することができる。
【0125】
[他の実施形態または変形例]
以上説明した位置検出装置のセンサ部の構成は一例であって、上述の構成に限られるものではないことは言うまでもない。
【0126】
また、上述の実施形態では、表示デバイスはLCDを用いるようにしたが、平面型ディスプレイデバイスであれば、LCDに限られるものではなく、例えば有機ELディスプレイデバイスなどを用いることもできる。
【0127】
更には、上述の実施形態では、携帯機器が備える位置検出装置は、全て表示デバイスを有する構成としたが、表示デバイスは必須ではなく、表示デバイスを備えない位置検出装置であっても、この発明は適用可能である。
【0128】
また、上述の実施形態では、シールド材は、コイル基板などを収納する収納容器を兼用するようにしたが、これは、必須ではなく、シールド材は、平板状として、別途、コイル基板などと共に、収納容器に収められる構成であっても良い。
【0129】
また、携帯機器は、携帯端末に限られるものではなく、位置検出装置に電磁結合のための磁束を生成する機能を備えると共に、例えば地磁気を検出するための磁気センサを備える電子機器であれば、この発明が適用可能である。
【符号の説明】
【0130】
10…携帯端末、20…位置検出装置、22…LCD基板、23…コイルを備えるセンサ基板、24…磁路材、25…シールド材、30…プリント配線基板、40…筐体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置指示器とともに使用され、前記位置指示器と電磁結合するための交番磁界を生成するためのコイルが配置されたコイル基板を備えた位置検出装置であって、
前記コイル基板の、前記位置指示器が対向する第1の面に対向する第2の面の側に、磁路材とシールド材が、前記磁路材が前記第2の面と前記シールド材の間に配置された関係にて、配置されており、
前記磁路材は、直流磁界による直流磁束を乱すことのない透磁率を有し、前記コイルによって生成される交番磁界に対しては前記透磁率に応じた磁路を形成するとともに前記磁路としての特性を向上させるために前記コイルによって生成される交番磁界によって生じる渦電流を流れにくくするための所定の電気抵抗を有する材料で構成されており、
前記シールド材は前記直流磁界による直流磁束を乱すことのない非磁性体であるとともに、前記交番磁界に対しては渦電流を生じさせるための導電性を備えている
ことを特徴とする位置検出装置。
【請求項2】
前記磁路材は、高透磁率を有する材料に、前記高透磁率を所定の値にするための高分子材料が混合された混合材料である
ことを特徴とする請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項3】
前記高分子材料は、樹脂、ゴム、または、繊維である
ことを特徴とする請求項2に記載の位置検出装置。
【請求項4】
前記磁路材は、前記シールド材に塗布されている
ことを特徴とする請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項5】
前記高透磁率を有する材料は、アモルファス金属である
ことを特徴とする請求項2に記載の位置指示器。
【請求項6】
前記シールド材には前記コイル基板と前記磁路材を収納するための壁部が形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項7】
前記シールド材の壁部にも前記磁路材が配置されている
ことを特徴とする請求項6に記載の位置検出装置。
【請求項8】
前記コイル基板の前記第1の面の側には、表示デバイスが配置されているとともに、前記表示装置は前記壁部が形成された前記シールド材に収納されている
ことを特徴とする請求項6に記載の位置検出装置。
【請求項9】
前記位置指示器は、前記コイル基板との間で電磁結合を行うためのコイルを備えており、
前記コイル基板には、前記位置指示器に備えられた前記コイルから放出された信号を受信するためのコイルが配置されていることを特徴とする請求項1の位置検出装置。
【請求項10】
前記コイル基板に配置されたコイルは、前記交番磁界の生成と、前記位置指示器に備えられた前記コイルから放出された信号の受信のために、時分割処理によって、共用される
ことを特徴とする請求項9に記載の位置検出装置。
【請求項11】
前記位置指示器は、前記コイル基板との間で電磁結合を行うためのコイルを備えており、
前記表示デバイスの表示面の側には、前記位置指示器に備えられた前記コイルから放出された信号を受信するための、透明性を有するセンサ電極を備えた、センサーパターンが配置されている
ことを特徴とする請求項8に記載の位置検出装置。
【請求項12】
前記表示デバイスの表示面の側には、位置指示体が指示する位置を静電容量の変化として検出するための、透明性を有するセンサ電極を備えた、センサーパターンが配置されている
ことを特徴とする請求項8に記載の位置検出装置。
【請求項13】
前記位置指示体はペン形状を有しており、所定の電圧で駆動され前記静電容量の変化を引き起こすための信号を生成するための信号生成回路と、前記コイル基板との間で電磁結合を行うためのコイルと、前記コイル基板との間で電磁結合を行うための前記コイルに誘起した電圧に基づいて前記信号生成回路を駆動するための駆動電圧を生成するための電源回路を備えている
ことを特徴とする請求項12に記載の位置検出装置。
【請求項14】
前記シールド材に形成された前記壁部の端部には、前記コイル基板と前記磁路材が収納された前記シールド材を所定の位置に取り付けるための突出部が設けられている
ことを特徴とする請求項6に記載の位置検出装置。
【請求項15】
前記シールド材に設けられた前記突出部は、前記位置指示器が対向する前記コイル基板の第1の面に沿った方向に、接着材によって位置固定するための所定の面積を有している
ことを特徴とする請求項14に記載の位置検出装置。
【請求項16】
位置指示器とともに使用され、前記位置指示器と電磁結合するための交番磁界を生成するためのコイルが配置されたコイル基板を備えた表示装置であって、
前記コイル基板の、前記位置指示器が対向する第1の面に対向する第2の面の側に、磁路材とシールド材が、前記磁路材が前記第2の面と前記シールド材の間に配置された関係にて、配置されており、
前記コイル基板の前記第1の面の側には表示デバイスが配置されており、
前記磁路材は、直流磁界による直流磁束を乱すことのない透磁率を有し、前記コイルによって生成される交番磁界に対しては前記透磁率に応じた磁路を形成するとともに前記磁路としての特性を向上させるために前記コイルによって生成される交番磁界によって生じる渦電流を流れにくくするための所定の電気抵抗を有する材料で構成されており、
前記シールド材は前記直流磁界による直流磁束を乱すことのない非磁性体であるとともに、前記交番磁界に対しては渦電流を生じさせるための導電性を備えており、更には、前記シールド材には前記コイル基板、前記磁路材、及び前記表示デバイスを収納するための壁部が設けられている
ことを特徴とする表示装置。
【請求項17】
前記磁路材は、前記コイル基板と前記シールド材の間に板状に配置され、あるいは、前記シールド材に固着されている
ことを特徴とする請求項16に記載の表示装置。
【請求項18】
前記磁路材は、高透磁率を有する材料に前記高透磁率を所定の値にするための高分子材料が混合された混合材料である
ことを特徴とする請求項16に記載の表示装置。
【請求項19】
前記シールド材に設けられた壁部には、前記シールド材を所定の位置に取り付けるための突出部が設けられている
ことを特徴とする請求項16に記載の表示装置。
【請求項20】
位置指示器とともに使用され、地磁気センサと、前記位置指示器と電磁結合するための交番磁界を生成するためのコイルが配置されたコイル基板とを備えた携帯機器であって、
前記コイル基板の、前記位置指示器が対向する第1の面に対向する第2の面の側に、磁路材とシールド材が、前記磁路材が前記第2の面と前記シールド材の間に配置された関係にて、配置されており、
前記コイル基板の前記第1の面側には表示デバイスが配置されており、
前記磁路材は、前記地磁気センサによって検出されるべき直流磁界による直流磁束を乱すことのない透磁率を有し、前記コイルによって生成される交番磁界に対しては前記透磁率に応じた磁路を形成するとともに前記磁路としての特性を向上させるために前記コイルによって生成される交番磁界によって生じる渦電流を流れにくくするための所定の電気抵抗を有する材料で構成されており、
前記シールド材は前記地磁気センサによって検出されるべき前記直流磁界による直流磁束を乱すことのない非磁性体であるとともに、前記交番磁界に対しては渦電流を生じさせるための導電性を備えており、更には、前記シールド材には前記コイル基板、前記磁路材、及び前記表示デバイスを収納するための壁部が設けられている
ことを特徴とする携帯機器。
【請求項21】
前記携帯機器には、所定の信号処理を行うための信号処理用半導体が配置された回路基板が前記シールド材に対向して配置されており、
前記シールド材は、更には熱伝導性の高い材料であるとともに、前記シールド材が前記信号処理用半導体に熱的結合されることで、前記シールド材が前記信号処理用半導体の放熱も行うようにした
ことを特徴とする請求項20に記載の携帯機器。
【請求項22】
前記壁部の端部には、前記表示デバイス、前記コイル基板、及び前記磁路材が収納された前記シールド材を、前記携帯機器の筐体に取り付けるたるめの突出部が設けられているとともに、前記突出部には、前記位置指示器が対向する前記コイル基板の第1の面に沿った方向に、前記携帯機器の筐体に接着材によって位置固定するための所定の面積を有している
ことを特徴とする請求項20に記載の携帯機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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