説明

位置決め繰出容器

【課題】容器の回転動作の際、容器の稜線を正確に一致させること
【解決手段】化粧料容器を収納するカップ筒3と、該カップ筒を摺嵌するドライブスリーブ5と、該ドライブスリーブを摺嵌するスパイラル管7と、該スパイラル管を嵌着する下部カバー9と、上記ドライブスリーブを嵌着する上部カバー11とからなる。容器1の外形状は回転対称体からなる。ドライブスリーブは下部7bにスリット51を設け、かつ該スリットの上方に位置決め突起6を設ける。カップ筒に設ける摺動突起31を上記スリットに摺嵌するとともに上記スパイラル管に設けるスパイラル溝71に摺嵌する。スパイラル管の内壁の対向位置に係止段部8a、8bを設け、上部カバーと下部カバーとの相対的な回転動作により化粧料容器の開閉をなし、この化粧料容器の開閉のとき係止段部を位置決め突起26に当接状態として下死点及び上死点における下部カバーと上部カバーの稜線を一致させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、香水等の化粧料を収納する化粧料容器をさらに収納する容器に関し、とくに化粧料容器を開閉させるための容器の回転動作の際容器の稜線を一致させる位置決め繰出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の位置決め繰出容器は、従来図9に示すように、化粧料容器(図示せず)を収納するカップ筒103と、該カップ筒103を摺嵌するドライブスリーブ105と、該ドライブスリーブ105を摺嵌するスパイラル管107と、該スパイラル管107を嵌着する下部カバー109と、上記ドライブスリーブ105を嵌着する上部カバー111とからなり、化粧料容器を収納するカップ筒103の摺動突起131は、ドライブスリーブ105のスリット151を介してスパイラル管107のスパイラル溝171に摺動自在に嵌合している。そして下部カバー109と上部カバー111との相対的な回転動作により、内部に収納されている化粧料容器を開閉し、開閉時の下死点及び上死点における下部カバー109と上部カバー111の稜線を一致させるものである。
なお、本願発明に関し、先行技術文献の調査をしたが、有効な特許文献を発見することができなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の場合、下部カバー109と上部カバー111の回転角度は図9(C)に示すように、摺動突起131が摺嵌されるスリット151の溝形状とスパイラル溝171のリード角αによって決定される。
【0004】
よって下部カバー109の稜線M1乃至M4と上部カバー111の稜線N1乃至N4とを図9(A)に示すように正確に一致させるには、摺動突起131のストロークエンドを図9(C)に実線で示すように設計上はもちろん加工精度上も正確に位置決めする必要がある。
【0005】
しかし、このようなことは実際上は困難であり、多少のクリアランス151a(図9(C)に一点鏡線で示す)をとることは常識となっている。
【0006】
しかしながら、このようなクリアランス151aがあると、回転動作の際強いトルクが矢印方向(図9(B)、(C)に示す)にかかった場合、スリット151と交差するスパイラル溝171の斜面171aによって摺動突起131がもち上げられてオーバーランし、クリアランス151aのエンドに至るまで余分に回転し、図9(B)に示すように、下部カバー109の稜線M1乃至M4と上部カバー111の稜線N1乃至N4とが不一致となり、容器外観がすっきりしなくなる不都合がある。
【0007】
また、強いトルクにより強制的に余分の回転をさせられる結果、クリアランス151aのエンドのエッジ部分に直接力がかけられるため撓みや変形の原因となる。
【0008】
とくに、スリット151が形成されているドライブスリーブ105はこの種の容器の性質上壁厚が薄く、強い力がかかると容易に撓んで変形するためオーバーランの量が大となり易い構造となっている。また経時的な摩耗により変形した場合もオーバーランの量が大となり易い。
【0009】
よって従来においては下部カバー109の稜線と上部カバー111の稜線とを正確に一致させることが困難であった。
【0010】
また別の不都合として、摺動突起131がオーバーランすると、カップ筒103に収納される化粧料容器(図示省略)のヘッド部(図示省略)が下死点時においては沈みすぎて凹んだ状態となり、上死点時においては浮上した状態となり、いずれにしても甚だ不体裁となっていた。
【0011】
さらに、容器表面に種々の印刷を施すことがあり、かかる場合所定の位置に止めることが求められるが、従来においては上記理由から困難であった。
【0012】
本願発明は上記欠点を解消し、化粧料容器を開閉させるための容器の回転動作の際、容器の稜線を正確に一致させることを目的とする。
【0013】
また、容器の設計及び加工を容易にすることをも目的とする。
【0014】
さらに、容器表面に印刷を施す場合に位置ズレのおそれがないことをも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的達成のため、本願発明による位置決め繰出容器は、化粧料容器を収納する回転対称体からなる容器であって、該容器は上記化粧料容器を収納するカップ筒と、該カップ筒を摺嵌するドライブスリーブと、該ドライブスリーブを摺嵌するスパイラル管と、該スパイラル管を嵌着する下部カバーと、上記ドライブスリーブを嵌着する上部カバーとからなり、上記ドライブスリーブの下部にスリットを設け、かつ該スリットの上方に位置決め突起を設け、上記カップ筒に設ける摺動突起を上記スリットに摺嵌するとともに上記スパイラル管に設けるスパイラル溝に摺嵌し、上記スパイラル管の内壁の対向位置に係止段部を設け、上記上部カバーと上記下部カバーとの相対的な回転動作により上記化粧料容器の開閉をなし、この化粧料容器の開閉のとき上記係止段部を上記位置決め突起に当接状態として下死点及び上死点における上記下部カバーと上記上部カバーの稜線を一致させることを特徴とする。
また、請求項1記載の位置決め繰出容器において、上記回転対称体が断面多角形の柱状体であることを特徴とする。
また、請求項1記載の位置決め繰出容器において、該位置決め突起は上記スリットの垂直溝の延長線上に形成することを特徴とする。
また、請求項1記載の位置決め繰出容器において、上記係止段部はドライブスリーブの周面に沿うスパイラル管の内壁に帯状に連続して形成される突起体の両端部に形成され、かつ上記位置決め突起が当接するとき該位置決め突起の軸芯が上記ドライブスリーブを4等分する部位に相当する位置に設けられることを特徴とする。
また、請求項1記載の位置決め繰出容器において、上記係止段部はドライブスリーブの周面に沿うスパイラル管の内壁に帯状に連続して形成される突起体の両端部に形成され、かつ上記位置決め突起が当接するとき該位置決め突起の軸芯が上記ドライブスリーブを2等分する部位に相当する位置に設けることを特徴とする。
また、請求項1記載の位置決め繰出容器において、上記係止段部はドライブスリーブの周面に沿うスパイラル管に設けられる凹溝の両端部に形成される段差からなり、該段差の両端の部位は上記位置決め突起が当接するとき該位置決め突起の軸芯が上記ドライブスリーブを4等分する部位に相当する位置に設けることを特徴とする。
また、請求項1記載の位置決め繰出容器において、上記係止段部はドライブスリーブの周面に沿うスパイラル管に設けられる凹溝の両端部に形成される段差からなり、該段差の両端の部位は上記位置決め突起が当接するとき該位置決め突起の軸芯が上記ドライブスリーブを2等分する部位に相当する位置に設けることを特徴とする。
また、請求項6又は請求項7いずれか一記載の位置決め繰出容器において、上記位置決め突起の外側面に係合凹溝を設け、上記係止段部の直前に位置するスパイラル管の内壁に係合突起を突設し、上記係合凹溝に上記係合突起を着脱可能に嵌着することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
下部カバーと上部カバーとの相対的な回転動作により化粧料容器が閉状態となるとき、摺動突起はスリットとスパイラル溝の下方における交点D1に位置し、これが下死点となる。
【0017】
このとき位置決め突起は、スパイラル管の内壁に形成された係止段部に当接し、ここで止まる。スパイラル管の内壁は厚く形成されているため、ここに帯状に連続して形成される突起体の両端部に回転動作の際強いトルクがかかっても該係止段部は容易に変形せず、摺動突起のさらなる進行即ち回転動作の進行を阻止する。
【0018】
次に下部カバーと上部カバーとの相対的な回転動作により化粧料容器が開状態となるとき、摺動突起はスリットとスパイラル溝の上方における交点D2に位置し、これが上死点となる。
【0019】
このとき位置決め突起は、スパイラル管の内壁に形成された係止段部に当接し、ここで止まる。スパイラル管の内壁は厚く形成されているため、ここに帯状に連続して形成される突起体の両端部に回転動作の際強いトルクがかかっても係止段部は容易に変形せず、摺動突起のさらなる進行即ち回転動作の進行を阻止する。
【0020】
スパイラル管の内壁は上記の通り頑丈に構成されているため、経時的な摩耗による変形がし難い。
【0021】
よって、下部カバーと上部カバーとの稜線M、Nを正確に一致させることができる。
【0022】
これにより容器の外観をすっきりと美麗に見せることができ、例えば化粧料容器のカバーとして最適となる。
【0023】
また上記理由により容器の稜線の正確な一致が確実となるので、容器の設計及び加工を容易にすることができる。また、容器表面に印刷を施す場合に位置ズレのおそれがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
次に、実施の形態を示す図面に基づき本願発明による位置決め繰出容器をさらに詳しく説明する。なお、便宜上同一の機能を奏する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0025】
図1乃至図3は本願発明による位置決め繰出容器の第1の実施の形態を示す。1は細長の直方体からなる容器である。この容器1は、内側から順次、化粧料容器19を収納するカップ筒3と、該カップ筒3を摺嵌するドライブスリーブ5と、該ドライブスリーブ5の下部5bを摺嵌するスパイラル管7と、該スパイラル管7を嵌着する下部カバー9と、上記ドライブスリーブ5の上部5aに嵌着される上部カバー11とからなる。
【0026】
上記カップ筒3は略円筒状に形成され、下面を有し上面が貫通されている。そして外周壁の対向部位に摺動突起31が突設されている。また下部32にスプリング13が弾設され、カップ筒3に収納される上記化粧料容器19との嵌合強度を一定の範囲内に保持する。
【0027】
上記ドライブスリーブ5は上部5aが断面略正方形の枠状に形成されるとともに、下部5bが略円筒状に形成され、上下の面が貫通されている。上記下部5bにはスリット51を設ける。該スリット51は軸の長手方向に沿って設ける垂直溝52と、該垂直溝52の上部及び下部に該垂直溝に直交して設ける水平溝53,54を有する。上記スリット51の上方には一対の位置決め突起6を対向して設ける。
【0028】
上記スパイラル管7は略円筒状に形成され、上下の面が貫通されている。該スパイラル管7の下部7bの内壁にはスパイラル溝71を設け、上部7aの内壁の対向位置に係止段部8a、8bを形成した係止体8を設ける。該係止体8はドライブスリーブ5の周面に沿うスパイラル管7の内壁に帯状に連続して形成される突起体からなり、その両端部に上記係止段部8a、8bを形成する。具体的には、上記位置決め突起6が当接するとき該位置決め突起6の軸芯が上記ドライブスリーブ5を4等分する部位に相当する位置に上記係止段部8a、8bを対向して設ける。スパイラル管7の外周面には上記下部カバー9の4隅に当接する4本の補強リブ7c(図1に示す)が放射状に設けられる。
【0029】
上記下部カバー9は断面正方形に形成された枠状の直方体からなり、下面9aのみ有し上面が貫通されている。また上部カバー11は断面正方形に形成された枠状の直方体からなり、上面及び下面が貫通されている。15は上記上部カバー11とドライブスリーブ5の上部5aとの固着を確実にするためのストップリング、17は下部カバー9とスパイラル管7との固着を確実にするためのストップリングである。上記下部カバー9及び上記上部カバー11の4周面は図1に示すように突弧状に膨出しているが、図2及び図3では便宜上上記膨出を省略してある。
【0030】
図中20は化粧料容器19のヘッド部、20aはその上面、20bは化粧料としての香水を噴出するスプレー孔である。またM1乃至M4(「M」と総称する)は上部カバー11の稜線を、N1乃至N4(「N」と総称する)は下部カバー9の稜線を各表わす。
【0031】
下部カバー9と上部カバー11との相対的な回転動作(図2(B)に反時計回りの例として矢示する)により化粧料容器19が閉状態となるとき、摺動突起31はスリット51とスパイラル溝71の下方における交点D1に位置し、これが下死点となる(図2(A))。
【0032】
このとき位置決め突起6は、図2(B)に示すように、スパイラル管7の内壁に形成された係止段部8aに当接し、ここで止まる。スパイラル管7の内壁は、図2(B)に示すように、厚くかつ4隅に張り出して形成されているため、ここに帯状に連続して形成されている係止体8の両端部(係止段部8a)に回転動作の際強いトルクがかかっても該係止体8乃至係止段部8aは容易に撓んだり変形せず、摺動突起31のさらなる進行即ち回転動作の進行を阻止する。このとき化粧料容器19のヘッド部20上面20aは、当初の設計通りに上部カバー11の頂上部11aと面一に保たれている。
【0033】
次に下部カバー9と上部カバー11との相対的な回転動作(図3(B)に時計回りの例として矢示する)により化粧料容器19が開状態となるとき、摺動突起31はスリット51とスパイラル溝71の上方における交点D2に位置し、これが上死点となる(図3(A))。この状態でヘッド部20を押してスプレー孔20bより化粧料を噴出させて使用する。
【0034】
このとき位置決め突起6は、図3(B)に示すように、スパイラル管7の内壁に形成された係止段部8bに当接し、ここで止まる。スパイラル管7の内壁は、図3(B)に示すように、厚くかつ4隅に張り出して形成されているため、ここに帯状に連続して形成される係止体8の両端部(係止段部8b)に回転動作の際強いトルクがかかっても該係止体8乃至係止段部8bは容易に撓んだり変形せず、摺動突起31のさらなる進行即ち回転動作の進行を阻止する。
【0035】
上記のように、開閉動作のための位置決め突起6の移動時における係止段部8a、8bへの当接の際強いトルクがかかっても、該係止体8乃至係止段部8a、8bは容易に撓んだり変形せず、摺動突起31のさらなる進行即ち回転動作の進行が阻止される。
【0036】
またスパイラル管7の内壁は上記の通りであるため、経時的な摩耗による変形がし難い。
【0037】
よって、下部カバー9と上部カバー11との稜線M、Nを正確に一致させることができる。
【0038】
これにより容器の外観をすっきりと美麗に見せることができ、例えば化粧料容器のカバーとして最適となる。
【0039】
上記理由により容器の稜線M、Nの正確な一致が確実となるので、容器の設計及び加工を容易にすることができる。また、容器表面に印刷を施す場合に位置ズレのおそれがない。
【0040】
図4及び図5は本願発明による位置決め繰出容器の第2の実施の形態を示す。この実施の形態は、図2及び図3の場合とは反対に、スパイラル管7の上部7aに凹溝21を設け、該凹溝21の両端部に係止段部28a、28bを形成する場合である。7bはスパイラル管7の下部である。図4(B)及び図5(B)に示すように、係止段部28a、28bは、ドライブスリーブ5の円周面に沿うスパイラル管7の内壁に設けられた円弧状の凹溝21の両端部に対向して形成される段差からなり、位置決め突起26が当接するとき該位置決め突起26の軸芯が上記ドライブスリーブ5を4等分する部位に相当する位置に設ける。この場合、上記位置決め突起26の外側面に係合凹溝26aを設け、上記係止段部28a、28bの直前に位置するスパイラル管7の上部内壁7aに係合突起25a、25bを対向して設ける。そして位置決め突起26が上記係止段部28a、28bに当接するとき上記係合凹溝26aに上記係合突起25a、25bを着脱可能に嵌着する。その余の構造は前記第1の実施の形態と同様である。
【0041】
前記と同様、下部カバー9と上部カバー11との相対的な回転動作(図4(B)に反時計回りの例として矢示する)により化粧料容器19が閉状態となるとき、摺動突起31はスリット51とスパイラル溝71の下方における交点D1に位置し、これが下死点となる(図4(A))。
【0042】
このとき位置決め突起6は、図4(B)に示すように、スパイラル管7の内壁に形成された係止段部28aに当接し、ここで止まる。スパイラル管7の内壁は、図4(B)に示すように、厚くかつ4隅に張り出して形成されているため、ここに円弧状に形成される凹溝21の両端部(係止段部28a)に回転動作の際強いトルクがかかっても該係止段部28aは容易に撓んだり変形せず、摺動突起31のさらなる進行即ち回転動作の進行を阻止する。
【0043】
次に下部カバー9と上部カバー11との相対的な回転動作(図5(B)に時計回りの例として矢示する)により化粧料容器19が開状態となるとき、摺動突起31はスリット51とスパイラル溝71の上方における交点D2に位置し、これが上死点となる(図5(A))。この状態でヘッド部20を押してスプレー孔20bより化粧料を噴出させて使用する。
【0044】
このとき位置決め突起26は、図5(B)に示すように、スパイラル管7の内壁に形成された係止段部28bに当接し、ここで止まる。スパイラル管7の内壁は、図5(B)に示すように、厚くかつ4隅に張り出して形成されているため、ここに円弧状に形成される凹溝21の両端部(係止段部28b)に回転動作の際強いトルクがかかっても係止段部28bは容易に撓んだり変形せず、摺動突起31のさらなる進行即ち回転動作の進行を阻止する。
【0045】
よって、前記第1の実施の形態で述べたのと同様の効果を奏する。
【0046】
またこの第2の実施の形態の場合は、ドライブスリーブ5の位置決め突起26の係合凹溝26aに嵌合する係止突起25a、25bを設けてあるから係止を一層確実とし、下死点時及び上死点時のオーバーランを一層確実に阻止する。これにより振動等による不測の回転動作を防止する。
【0047】
本願発明は上記した実施の形態に限定されるものではない。例えば、容器1の外形状は断面三角形の柱状体、断面五角形以上の柱状体であってもよい。さらに、断面楕円形の柱状体や断面が花弁の如き異形の柱状体のように、断面形状がn回の回転対称性を有しかつ線対称である柱状体にも適用可能である。後者の場合は「稜線」が屈曲せず弯曲となるが、本願発明における「稜線」にはかかる場合をも含む。例えば容器が回転楕円体からなる場合、下部カバーと上部カバーの長軸と短軸は夫々弯曲しているが、本願発明はかかる容器の「稜線」の一致をも実現することができる。
【0048】
また位置決め突起6,26は、図8に示すように、スリット51の垂直溝52の延長線上に形成することができ、このように形成すると、量産化し易い利点があるので望ましい。
【0049】
また、スパイラル管7の上部7aと下部7bとは必ずしも一体成形でなくともよく、別体に製作した部材を一体に結合せしめる場合でもよい。
【0050】
また、上ストップリング15及び下ストップリング17は、夫々上部カバー11、下部カバー9の嵌合強度が大のときは不要としてもよい。
【0051】
また、係止段部6,26の個数は任意である。例えば図6(A)(B)に示すように、位置決め突起6を単一設置とし、係止段部8a,8bの突設位置は位置決め突起6が当接するとき該位置決め突起6の軸芯がドライブスリーブ5を2等分する部位に相当する位置に設けることができる。また図7(A)(B)に示すように、位置決め突起26を単一設置とし、係止段部28a,28bの突設位置は位置決め突起26が当接するとき該位置決め突起26の軸芯がドライブスリーブ5を2等分する部位に相当する位置に設けることができる。
【0052】
さらに、適用される化粧料は香水に限らず、例えば口紅の如きであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本願発明は、化粧料容器を開閉させるための容器の回転動作の際容器の稜線を正確に一致させることが求められる容器に活用することができ、特に美的観点が重視される化粧料容器のカバーとして最適である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本願発明による位置決め繰出容器の第1の実施の形態を示す分解斜視図である。
【図2】(A)は本願発明による位置決め繰出容器の第1の実施の形態を示し、下死点状態の中央縦断面図であり、(B)は(A)のB−B断面図である。
【図3】(A)は本願発明による位置決め繰出容器の第1の実施の形態を示し、上死点状態の中央縦断面図であり、(B)は(A)のB−B断面図である。
【図4】(A)は本願発明による位置決め繰出容器の第2の実施の形態を示し、下死点状態の中央縦断面図であり、(B)は(A)のB−B拡大断面図である。
【図5】(A)は本願発明による位置決め繰出容器の第2の実施の形態を示し、上死点状態の中央縦断面図であり、(B)は(A)のB−B拡大断面図である。
【図6】本願発明による第1の実施の形態の他の実施例であり、(A)は下死点状態のB−B拡大断面図、(B)は上死点状態のB−B拡大断面図である。
【図7】本願発明による第2の実施の形態の他の実施例であり、(A)は下死点状態のB−B拡大断面図、(B)は上死点状態のB−B拡大断面図である。
【図8】本願発明による他の実施例であり、下死点状態の断面図である。
【図9】(A)は従来の位置決め繰出容器一例を示す位置決め時の平面断面図、(B)はオーバランした状態の平面断面図、(C)は(B)の展開図である。
【符号の説明】
【0055】
1 容器
3 カップ筒
31 摺動突起
32 下部
5 ドライブスリーブ
5a 上部
5b 下部
51 スリット
52 垂直溝
53 水平溝
54 水平溝
6 位置決め突起
7 スパイラル管
7a 上部
7b 下部
7c 補強リブ
71 スパイラル溝
8 係止体
8a、8b 係止段部
9 下部カバー
11 上部カバー
11a 頂上部
13 スプリング
15 上ストップリング
17 下ストップリング
19 化粧料容器
20 ヘッド部
20a 上面
20b スプレー孔
21 凹溝
25 係合突起
26 位置決め突起
26a 係合凹溝
28a、28b 係止段部
101 容器
103 カップ筒
131 摺動突起
105 ドライブスリーブ
151 スリット
107 スパイラル管
171 スパイラル溝
109 下部カバー
111 上部カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧料容器を収納する回転対称体からなる容器であって、該容器は上記化粧料容器を収納するカップ筒と、該カップ筒を摺嵌するドライブスリーブと、該ドライブスリーブを摺嵌するスパイラル管と、該スパイラル管を嵌着する下部カバーと、上記ドライブスリーブを嵌着する上部カバーとからなり、上記ドライブスリーブの下部にスリットを設け、かつ該スリットの上方に位置決め突起を設け、上記カップ筒に設ける摺動突起を上記スリットに摺嵌するとともに上記スパイラル管に設けるスパイラル溝に摺嵌し、上記スパイラル管の内壁の対向位置に係止段部を設け、上記上部カバーと上記下部カバーとの相対的な回転動作により上記化粧料容器の開閉をなし、この化粧料容器の開閉のとき上記係止段部を上記位置決め突起に当接状態として下死点及び上死点における上記下部カバーと上記上部カバーの稜線を一致させることを特徴とする位置決め繰出容器。
【請求項2】
請求項1記載の位置決め繰出容器において、上記回転対称体が断面多角形の柱状体であることを特徴とする位置決め繰出容器。
【請求項3】
請求項1記載の位置決め繰出容器において、該位置決め突起は上記スリットの垂直溝の延長線上に形成すること特徴とする位置決め繰出容器。
【請求項4】
請求項1記載の位置決め繰出容器において、上記係止段部はドライブスリーブの周面に沿うスパイラル管の内壁に帯状に連続して形成される突起体の両端部に形成され、かつ上記位置決め突起が当接するとき該位置決め突起の軸芯が上記ドライブスリーブを4等分する部位に相当する位置に設けられることを特徴とする位置決め繰出容器。
【請求項5】
請求項1記載の位置決め繰出容器において、上記係止段部はドライブスリーブの周面に沿うスパイラル管の内壁に帯状に連続して形成される突起体の両端部に形成され、かつ上記位置決め突起が当接するとき該位置決め突起の軸芯が上記ドライブスリーブを2等分する部位に相当する位置に設けることを特徴とする位置決め繰出容器。
【請求項6】
請求項1記載の位置決め繰出容器において、上記係止段部はドライブスリーブの周面に沿うスパイラル管に設けられる凹溝の両端部に形成される段差からなり、該段差の両端の部位は上記位置決め突起が当接するとき該位置決め突起の軸芯が上記ドライブスリーブを4等分する部位に相当する位置に設けることを特徴とする位置決め繰出容器。
【請求項7】
請求項1記載の位置決め繰出容器において、上記係止段部はドライブスリーブの周面に沿うスパイラル管に設けられる凹溝の両端部に形成される段差からなり、該段差の両端の部位は上記位置決め突起が当接するとき該位置決め突起の軸芯が上記ドライブスリーブを2等分する部位に相当する位置に設けることを特徴とする位置決め繰出容器。
【請求項8】
請求項6又は請求項7いずれか一記載の位置決め繰出容器において、上記位置決め突起の外側面に係合凹溝を設け、上記係止段部の直前に位置するスパイラル管の内壁に係合突起を突設し、上記係合凹溝に上記係合突起を着脱可能に嵌着することを特徴とする位置決め繰出容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−11931(P2008−11931A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−183828(P2006−183828)
【出願日】平成18年7月3日(2006.7.3)
【出願人】(000153926)株式会社ヒダン (16)
【Fターム(参考)】