説明

位置管理方法及び携帯端末

【課題】監視対象領域において携帯端末の位置情報を屋外と屋内とでシームレスに得られ、予め登録された携帯端末の移動先に基づき対象者の位置管理を可能とする位置管理方法を提供する。
【解決手段】屋外及び屋内の監視対象領域に入る対象者と携帯端末2との対応関係を記憶装置7に登録し、移動体通信網12及び屋内無線受信装置18に接続されて携帯端末2の位置を管理する管理サーバ15に監視対象領域内の移動先を登録する。管理サーバ15は、携帯端末2の位置が屋外である場合、携帯端末2からの測位情報を受信し、携帯端末2の位置が屋内である場合、携帯端末2からの屋内位置情報を受信する。管理サーバ15は、携帯端末2の位置が屋外である場合、測位情報及び移動先を比較判定し、携帯端末2の位置が屋内である場合、屋内位置情報及び移動先を比較判定し、判定結果が否定的である場合、警報を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は位置管理方法及び携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
個人が所持している端末と、屋内外に設置された送受信機とにより、施設のセキュリティ管理や個人の各種管理を行うシステムが知られている。
【0003】
例えばセキュリティシステムはゲート装置や管理サーバ等を設けており、侵入者(入場者又は入構者)が立入りを制限される区域に入ることを検知する。管理サーバは入構者の情報を予めデータベースに登録する。登録された入構者情報と、監視区域内での監視すべき対象の情報とをリアルタイムで管理サーバが照合し、侵入者の人数及び位置を検知するようにしている。区域は、敷地や歩行路、建物外など屋外区域と、地下や部屋、建物内部など屋内区域とを有する。これらの屋外区域及び屋内区域における監視対象の位置検出には、例えばGPS測位機能付きの端末が用いられる。
【0004】
端末位置を検出するためにGPS測位を使う従来例として、位置管理の対象としてのGPS端末装置と、このGPS端末装置とネットワークを介して通信可能な管理用端末装置とを備え、GPS端末装置の現在位置情報を把握するGPS端末位置管理システムが知られている(特許文献1参照)。
【0005】
また、電波が届かない場所において位置情報を提供する位置情報提供システムが提案されている(例えば特許文献2、3参照)。特許文献2に記載の位置情報提供システムは、屋内にそれぞれ測位信号を発信する複数の屋内送信機を設け、測位信号の受信機能を持つ携帯電話などの位置情報提供装置がいずれの測位信号が受信されたかを判断することによりこの位置情報提供装置の位置情報を出力する。
【0006】
また、対象者が自宅内等の屋内にいる場合でGPSによる位置情報を検知できない場合であっても位置情報を監視センタに送信可能とした非常通報システムが提案されている(特許文献4参照)。特許文献4は、対象者が外出中、在宅中のいずれのときでも、身体に異常が発生した場合や非常事態が発生した場合、その位置情報を監視センタに送信する点を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−128451号公報
【特許文献2】特開2009−85928号公報
【特許文献3】特開2009−133731号公報
【特許文献4】特開2005−284887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、GPS測位機能付きの携帯端末が出力する測位情報を利用してこの携帯端末の位置を管理するシステムを構築する場合、このシステムは監視対象である携帯端末の位置を屋外と屋内とでシームレスに測位することができない。その為、屋外と屋内とで別個の端末測位方式を用いて携帯端末の位置管理を行う必要がある。上述した従来技術では、屋外と屋内とで同じ端末を使って施設のセキュリティや個人の各種管理を行うシステムを構築することができない。
【0009】
そこで、本発明は、上記の課題に鑑み、監視対象領域において携帯端末の位置情報を屋外と屋内とでシームレスに得ることができ、予め登録された携帯端末の移動先に基づき対象者の位置管理を可能とした位置管理方法及び携帯端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような課題を解決するため、本発明の一態様によれば、(a)屋外及び屋内の監視対象領域に入る対象者と、航法衛星からの測位信号を受信して測位情報を出力し、屋内電波送信機が送信する前記測位信号の形式と同等の形式の屋内測位信号を受信して屋内位置情報を出力する測位部、前記測位情報を移動体通信網に接続された基地局へ送信する移動無線送信部、及び前記屋内位置情報を送信する屋内無線送信部を有する携帯端末との対応関係を記憶装置に登録し、(b)前記移動体通信網を含む通信網、及び屋内に設けられ前記屋内位置情報を受信する屋内無線受信装置に接続され、前記携帯端末の位置及び前記対応関係を管理する管理サーバに前記監視対象領域内の移動先を登録し、(c)前記管理サーバは、前記携帯端末の位置が屋外である場合、前記携帯端末からの前記測位情報を前記通信網経由で受信し、前記携帯端末の位置が屋内である場合、前記携帯端末からの前記屋内位置情報を受信し、(d)前記管理サーバは、前記携帯端末の位置が屋外である場合、前記測位情報及び前記移動先を比較判定し、前記携帯端末の位置が屋内である場合、前記屋内位置情報及び前記移動先を比較判定し、(e)前記管理サーバは、判定結果が否定的である場合、警報を出力することを特徴とする位置管理方法が提供される。
【0011】
また、本発明の別の一態様によれば、航法衛星からの測位信号を受信して測位情報を出力し、屋内電波送信機が送信する前記測位信号の形式と同等の形式の屋内測位信号を受信して屋内位置情報を出力する測位部と、この測位部が出力した前記測位情報を、移動体通信網に接続された無線基地局へ送信する移動無線送信部と、この移動無線送信部との間で切替え可能に設けられ、前記測位部が出力した前記屋内位置情報を送信する屋内無線送信部と、この屋内無線送信部及び前記移動無線送信部を切替え制御する制御部と、を備え、この制御部は、端末位置が屋外である場合、前記移動無線送信部に前記測位情報を送信させ、端末位置が屋内である場合、前記屋内無線送信部に前記屋内位置情報を送信させることを特徴とする携帯端末が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、監視対象領域において携帯端末の位置情報を屋外と屋内とでシームレスに得ることができ、予め登録された携帯端末の移動先に基づき対象者の位置管理ができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る位置管理方法が用いられるセキュリティシステムの構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る携帯端末の機能ブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る位置管理方法を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る携帯端末を主体にしたセキュリティシステムの機能ブロック図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る携帯端末と生体情報検出装置との配置関係を示す略図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る位置管理方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態に係る位置管理方法及び携帯端末について、図1乃至図6を参照しながら説明する。尚、各図において同一箇所については同一の符号を付すとともに、重複した説明は省略する。
【0015】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る位置管理方法は、通用口等に設けられたゲート装置を通過して入構する者に管理者側が端末を持たせ、このゲート装置を通過した端末を監視対象とし、立入り制限区域である屋外及び屋内にこの監視対象が入ることを、これらの屋外及び屋内の間でシームレスに検出するようにした端末位置の監視方法である。この方法は、IMES(Indoor Messaging System)を、人の入退場を管理する管理システムに適用している。
【0016】
本実施形態に係る携帯端末は、ゲート装置を通過する人に対して管理者から渡されるGPS測位機能付きの個人端末である。この個人端末は、GPS衛星からの航法メッセージにより変調して得られた無線信号(以下、GPS信号と呼ぶ)と、屋内電波送信機17から送信される位置情報を含みGPS衛星信号の形式とコンパチブルな形式の信号により変調して得られた無線信号(以下、屋内GPS信号と呼ぶ)とを受信復調する機能を有する。
【0017】
(1)構成
図1はセキュリティシステムの構成図である。セキュリティシステム1は、システムの監視対象としての個人端末2(携帯端末)と、この個人端末2の位置を監視し、立入りを制限される監視区域への侵入者の侵入を検知する管理システム3と、屋外での個人端末2の測位を行う屋外測位システム4と、屋内での個人端末2の測位を行う屋内測位システム5とを備えている。屋外とは屋根無しの敷地や歩行路などを指し、屋内とは地下や建物内、部屋などを指す。
【0018】
個人端末2は個人に装着される端末であり、GPS信号の受信機能を有する。個人端末2には携帯電話機あるいはPHS子機が用いられる。
【0019】
図2は個人端末2の機能ブロック図である。個人端末2は、GPS信号及び屋内GPS信号を受信し現在位置情報を出力するGPS測位部2a(測位部)と、基地局11及び屋内無線送受信装置18(屋内無線受信装置)との間で無線通信を行う無線通信部2b(移動無線送信部、屋内無線送信部)と、ユーザ操作処理、音声信号の生成等の各機能を有する入力部2cと、音声の出力機能や情報表示機能を有する出力部2dと、後述する第2の実施形態で説明する近距離無線通信部2eと、これらの各部の動作を制御する制御部2fとを備えている。
【0020】
GPS測位部2aは、屋外においてGPS信号から緯度、経度の情報を測位出力し、屋内において屋内GPS信号から緯度、経度及び高さの情報、フロアの情報等を復調出力するGPS受信機及びアンテナである。屋外において、GPS測位部2aは、衛星ごとに異なる符号によって航法メッセージが拡散変調された変調波を受信復調し、各衛星との相対距離や受信位置情報を出力する。屋内では、GPS測位部2aは、衛星を補完する屋内用の電波送信機から、場所情報を含む屋内GPS信号を受信し、緯度、経度、高さの情報、フロアの情報及びID情報を復調するようになっている。
【0021】
無線通信部2bは移動無線送受信部21(移動無線送信部)と屋内無線送受信部22(屋内無線送信部)と、これらの移動無線送受信部21及び屋内無線送受信部22の動作切替えを行う図示しない切替え部とを有する。移動無線送受信部21は、移動通信事業者の基地局11との間で所与の変復調方式、アクセス方式及び多重方式によって無線信号を送受信するRF回路モジュールであり、高周波回路及びアンテナなどを有する。
【0022】
屋内無線送受信部22は、複数の屋内無線送受信装置18のうちのいずれかとの間で無線信号を送受信する高周波回路及びアンテナ等からなるRF回路モジュールである。この屋内無線送受信部22と屋内無線送受信装置18との間の無線インタフェースは例えばIEEE802.11x規格の無線LANである。あるいはこの無線インタフェースはPHSの自営モード(あるいはオフィスモード)での通信規格での通信を行う。
【0023】
ROMは個人端末2を識別するIDデータや、各種アプリケーションを記憶する。制御部2fは、無線通信部2bの移動体通信制御を行う。更に制御部2fは、GPS測位部2aが受信したGPS信号を用いて測位した位置情報と、GPS測位部2aが屋内電波送信機17から受信した屋内GPS信号に含まれる位置情報とをそれぞれ無線通信部2bに無線送信させる。制御部2fは、個人端末2の現在位置が屋内又は屋外を判別し、この現在位置に応じて無線通信部2bの切替え部に通信先の切替え信号を出力するようにしている。
【0024】
図1の管理システム3は、通用口等に設置されたゲート装置6と、入構者の情報を登録するデータベース7(記憶装置)と、屋内及び屋外に設置された防犯用の複数台の監視カメラ8と、データベース7に登録された入構者情報及び監視区域内の監視カメラ8の画像を表示する照合用サーバ9とを有する。ゲート装置6は例えば社員証や外来者の入構許可証に記録されているID情報を照合用サーバ9に送る。データベース7のデータ登録及び更新は、手動入力及びゲート装置6により行われる。監視カメラ8は主に目視確認用の画像生成装置である。照合用サーバ9は、ゲート装置6を通過した個人端末2の数及び各個人端末2の位置を収集し、常時入退場を管理する。照合用サーバ9は個人端末2の数や位置を表示するためのディスプレイを有する。
【0025】
屋外測位システム4は、端末位置のGPS測位機能を有する移動通信システムである。この屋外測位システム4は、それぞれ搬送波を情報データにより位相変調して得られる一次変調信号に相互に異なる符号系列を有する拡散変調信号を乗算して得られるスペクトラム拡散信号を送信する複数のGPS衛星10(航法衛星)と、個人端末2と無線通信を行う基地局11と、この基地局11と光回線などを介してフレームを送受信する移動体通信網12と、この移動体通信網12の回線上のフレーム及びTCP/IP形式のパケット間で情報データを載せ換える処理を行うゲートウェイ装置13と、このゲートウェイ装置13に接続されたインターネット14と、このインターネット14との間でパケットを送受信し屋内測位システム5との間ともデータ信号を収受可能な管理サーバ15とを備えている。
【0026】
個人端末2は、屋外では定められた周期でGPS測位した結果得られる現在位置を移動体通信網12経由で管理サーバ15へ送信しており、管理サーバ15側でこの個人端末2の位置及び送信時間等の履歴を一元的に管理するようになっている。管理サーバ15は、管理に必要な各種の情報を設定する管理端末15aと、各個人端末2の登録された行き先を表示するための例えば表示板15bとを有する。
【0027】
屋内測位システム5は、建物内、部屋、地下などの屋内16の複数箇所から屋内GPS信号を送信するとともに、個人端末2から位置情報を含むメッセージを受信してこの個人端末2の現在位置を測位するシステムである。この屋内測位システム5は、それぞれ屋内位置情報を含む屋内GPS信号を送信する複数の屋内電波送信機17と、それぞれ個人端末2からの情報を受信すると共に管理サーバ15からの情報を含む無線信号をこの個人端末2に送信する複数の屋内無線送受信装置18とを備えている。屋内無線送受信装置18が管理サーバ15から送出する情報は、ビル名や場所名等、位置を表示するための情報と、個人端末2が許可されていない区域に居る場合に通知される立入り禁止を報知するアラームとを表す。
【0028】
各屋内電波送信機17はいずれも建物や部屋の天井に取付けられ、これらの屋内電波送信機17の設置場所の位置情報を含む屋内GPS信号を無線送信している。位置情報とは、緯度、経度、高さの情報、フロアの情報、ID情報である。屋内電波送信機17はIMES(出願中商標)送信機である。屋内電波送信機17は位置情報を個人端末2へ伝達し、個人端末2は直接位置情報を取得するようになっている。各屋内電波送信機17及び各屋内無線送受信装置18はいずれも個別の識別情報を付与されている。データベース7には、これらの識別情報が予め登録されており、管理サーバ15は識別情報を参照可能になっている。
【0029】
屋内無線送受信装置18は、個人端末2との間での無線送受信機能と、管理サーバ15との間でのメッセージ送受機能とを持つ。無線インタフェースはIEEE802.11x規格の無線LAN、あるいはPHSの通信規格である。屋内無線送受信装置18は管理サーバ15との間でデータを図示しない信号線を介して収受している。信号線は有線でも無線でもよい。
【0030】
屋内無線送受信装置18は、個人端末2から位置情報を受信し、この位置情報及び屋内無線送受信装置18自身の識別情報とを管理サーバ15に送信するようになっている。管理サーバ15は、個人端末2からの端末IDと、屋内無線送受信装置18の識別情報とを受信すると、これらの端末ID及び識別情報に基づきこの個人端末2の位置表示用のデータを生成する。また、屋内無線送受信装置18は、管理サーバ15側にて端末IDと、予めデータベース7に登録された識別情報との照合結果が不一致である場合、立入り禁止である旨のメッセージを個人端末2に通知するようにもなっている。
【0031】
これにより、管理サーバ15は、インターネット14側から取得した屋外での個人端末2の位置と、屋内16での個人端末2の位置とから、シームレスに個人端末2の位置を検知可能になっている。屋内測位システム5は、管理サーバ15を介して屋外測位システム4と連携して個人端末2の位置を管理できるようにされている。
【0032】
(2)動作・作用
図3は個人端末2を主体にしたセキュリティシステム1の機能ブロック図である。図4は本実施形態に係る位置管理方法を説明するためのフローチャートである。同図に示す符号のうち、上述した符号と同じ符号を有する要素はそれらと同じ要素を表す。
【0033】
このような構成のセキュリティシステム1では、ゲート装置6を通過する人は、警務員などから個人端末2が持たせられる。ステップA1において、警務員による操作あるいはゲート装置6の機能によって、セキュリティシステム1は、個人端末2を特定する端末情報と、個人端末2が入構を許可された領域情報とを、個人端末データとしてデータベース7に登録する。
【0034】
ステップA2において個人端末2は屋外測位又は屋内測位を行う。個人端末2がゲート装置6につらなる敷地、施設外や建物外といった屋外を移動しているとき、最寄りの基地局11が制御チャネルにて個人端末2と通信し、個人端末2はGPS測位情報を基地局11へと送る。管理サーバ15は移動体通信網12経由で、個人端末2からの緯度、経度といった測位データを取得する。
【0035】
また、屋内16では、通路の複数の位置に設けられた屋内電波送信機17がそれぞれ予め付与された位置ID等を含むGPS信号フォーマットと互換性のある屋内GPS信号を送出している。個人端末2は屋内GPS信号を受信復調し位置IDを含むメッセージを無線送信する。いずれかの屋内無線送受信装置18がこのメッセージを受信すると、位置IDを管理サーバ15へ送る。同じ個人端末2が施設内や建物内の部屋といった屋内16に入った場合、管理サーバ15は屋内測位システム5経由で個人端末2の位置情報を取得する。地下1階、地上1階など個人端末2の位置情報を管理端末15aが収集し、位置情報を例えばボード状の表示板15b上に点灯表示させる。
【0036】
ステップA3において管理サーバ15は、受信した位置情報と予めデータベース7に登録されている情報とを照合する。照合処理は一例として、屋外では、敷地、施設、建物の個別名情報や時間帯情報を警務員が管理端末15aに入力し、データベース7のレコードと一致するかどうかを判断する。敷地、施設外、建物外に設けられた監視カメラ8からの画像は、照合用サーバ9にてモニタ表示されている。
【0037】
ステップA3において異常が無ければ“OK”と付されたルートを通り、ステップA4にて管理サーバ15はアラーム出力不要と判定し、処理を終える。予めデータベース7に個人端末2の端末情報が登録されることにより、特定の個人端末2が入構を許可されている。警務員は、屋外測位によりこの端末情報がある建物に入ることを確認し、この個人端末2を持つ人がある建物に入ったことを映像や検知用信号により確認する。屋内でも同様である。
【0038】
また、ステップA3において異常が検知されると、“NG”と付されたルートを通り、ステップA5において、管理サーバ15は、屋内無線送受信装置18に対して、不許可領域に侵入した旨の個人端末2宛てアラームメッセージを送信させる。屋外において、入構を許可された人が映像から消えている場合、異常な動きを発見したとして警報を出力する。屋内でも屋外の例と同様な判断が行われる。
【0039】
また、ステップA3において異常が検知されると、“NG”と付されたルートを通り、ステップA6において、管理サーバ15は、警務室の照合用サーバ9や内線電話などに対して、不法侵入のアラームメッセージを通知する。屋外において、映像では人が通過しているが、屋外測位により得られた測位情報の結果を見ると、情報が登録されていないこと等が検知される。屋内でも屋外の例と同様な判断が行われる。
【0040】
従って、監視対象領域において個人端末2の位置情報を屋外と屋内とでシームレスに得ることができ、予め登録された個人端末2の移動先に基づき対象者の位置管理ができるようになる。
【0041】
このように、セキュリティシステム1は、個人端末2を従業員に持たせ、屋外ではGPS衛星10により測位し移動体通信網12経由で結果を送信させる。屋内16では屋内測位システム5により測位を行い、その結果を各個人端末2から送信させて、屋内無線送受信装置18で受信する。受信した位置情報と予め個人端末2に登録されている情報との照合を管理サーバ15が行い、許可されていない領域に人が居る場合には、屋内無線送受信装置18からアラーム等の信号を個人端末2に送信する等する。アラーム等、警告を出すことにより、入退室のセキュリティシステム1から逃れた共連れ防止が行える。
【0042】
また、警務室で監視している監視カメラ8の映像に映し出されている人物が個人端末2を所持しているかどうかを管理端末15aで確認して、端末未所持などの不審者への防犯管理が行える。このようにして企業の敷地内等におけるセキュリティ監視を行えるようになる。
【0043】
例えば、個人端末2が屋外から屋内に移動するに従って、管理サーバ15の表示板15bは、端末ID“A”を持つ個人端末2が屋内では会議室にいること、及び同じ個人端末2が屋外では“B町”にいることを屋内外で途切れさせずに画面表示させることができる。セキュリティシステム1は、屋外と屋内との間で監視対象の個人端末2の情報をシームレスに収集することができる。
【0044】
(変形例)
上記説明では、侵入者検知の例であったが、本発明の第1の実施形態の変形例に係る位置管理方法は、勤務管理システムに用いることができる。外勤が多い従業員に対して、屋内及び屋外ともに測位可能な機能を有する個人端末2を予め持たせておき、上記例と同様にシステムを運用するのである。
【0045】
図4のフローチャートを使って述べると、ステップA3において管理サーバ15は、従業員が携帯する個人端末2からの位置情報と、予めデータベース7に登録されているこの従業員の勤務予定情報とを照合する。ステップA7において端末位置が勤務予定に記述された屋外位置あるいは屋内位置と一致する場合、勤務管理システムに履歴が記録される。
【0046】
この変形例によれば、移動通信事業者の通信網である移動体通信網12を使用することで、勤怠管理を行うことができるようになる。タイムカードのように使える。
【0047】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る位置管理方法は、病院において管理者が患者に対し、個人端末2と、この個人端末2に対して患者の生体情報のデータを無線送信する生体情報検出装置とを持たせ、病棟内及び外出先の間でシームレスに患者の位置を検出するようにした端末位置の監視方法である。本実施形態に係る位置管理方法は、IMES(出願中商標)を、患者の位置の把握と、患者の安全とを管理する管理システムに適用した位置管理システムにおける方法である。生体情報を付加することにより患者から遠隔の場所でこの患者の状況を把握することを可能にされている。
【0048】
本実施形態に係る携帯端末は、患者に対して管理者から渡される個人端末2であり、この生体情報検出装置との間で近距離無線通信により生体情報を受信可能にされている。
【0049】
また、位置管理システムが有する屋内外での端末位置測位機能及び端末位置管理機能とは、第1の実施形態のセキュリティシステム1が有する個人端末2の位置測位機能及び個人端末2の位置管理機能と実質同じである。この位置管理システムは、複数の患者のそれぞれに取付けられた生体情報検出装置からの生体情報をこれらの患者の携帯端末が受信し、各生体情報を、管理システム側へ通知し、全患者の容体を一括して把握することを可能にされている。
【0050】
図1のセキュリティシステム1の例と同様に、位置管理システム19は、システムの監視対象としての個人端末2と、同図では図示しない生体情報検出装置20と、個人端末2の位置を監視し、この生体情報検出装置20を装着した患者の生体情報の異常を検知する管理システム3Aと、屋外測位を行う屋外測位システム4と、屋内測位を行う屋内測位システム5とを備えている。
【0051】
図5は個人端末2と生体情報検出装置20との配置関係を示す略図である。同図中、既出の符号はそれらと同じ要素を表す。生体情報検出装置20は、例えば患者の脈拍、血流、血圧等の量を検出しこの量を電気信号である生体情報データ信号に変換して出力する生体センサ20aと、この生体センサ20aからの生体情報データを近距離無線通信により個人端末2の近距離無線通信部2e(図2)へ無線送信するインタフェース部20bとを備えている。近距離無線通信にはBluetooth(登録商標)や、赤外線通信を用いることができる。
【0052】
このような構成の位置管理システム19の管理システム3Aは、病院内のナースセンタに設けられる。
【0053】
図6は本実施形態に係る位置管理方法を説明するためのフローチャートである。ステップB1において、管理者による操作によって、位置管理システム19は、個人端末2を特定する端末情報と、個人端末2が通過する予定の領域情報とを、個人端末データとしてデータベース7に登録する。このステップB1においては更に管理者は、患者毎に脈拍、血流、血圧等の量の閾値や範囲値をデータベース7に設定する。ステップB2において個人端末2は屋外測位又は屋内測位を行う。
【0054】
ステップB3において管理サーバ15は、受信した位置情報と予めデータベース7に登録されている情報とを照合する。生体情報検出装置20を装着した患者の生体情報が異常時に個人端末2から送信された場合、この生体情報を管理サーバ15は収集する。あるいは異常発生時に生体情報検出装置20が異常信号を発信するようにしてもよい。例えば病院外の屋外を散歩する患者について、GPS測位部2aが測位した屋外位置情報と、生体情報検出装置20が計測した患者の生体情報とが屋外測位システム4によって収集され、移動体通信網12、インターネット14経由で管理サーバ15に集められる。
【0055】
例えば病院の中庭を散歩する患者について、中庭の高所に設けられた屋内電波送信機17は屋内GPS信号を送信する。GPS測位部2aが測位した屋内位置情報と、生体情報検出装置20が計測した患者の生体情報とが屋内測位システム5によって収集され、病棟内に配線された信号線やケーブル類を介して管理サーバ15に集められる。
【0056】
ステップB3において異常が無ければ“OK”と付されたルートを通り、ステップB4にて管理サーバ15はアラーム出力不要と判定し、処理を終える。一方、ステップB3において管理サーバ15が受信生体情報データの値が異常であると判定すると、“NG”と付されたルートを通り、ステップB5において、この管理サーバ15は、ナースセンタの管理者等に対して、生命の異常を示すアラームメッセージを通知する。これにより、安全管理を行える。
【0057】
従って、各個人に装着された一体型の生体センサによって脈拍など生体情報を測定することができ、生体情報のデータ値が取得されるため、屋内及び屋外の間でシームレスに患者の位置管理を行うことができるとともに、各患者の安全管理を行える。
【0058】
このようにして生体センサ20aを設けた位置管理システム19を病院で使用することで、患者の位置把握と安全管理とを行うことができる。ナースセンタにおいて患者の状態と居場所とを集中管理することで患者の容態が急変したり、外出不許可の患者が病院外に出たり、不測な事態に対して即座に対応できる。
【0059】
上記説明は個人端末2を患者に所持させた例だが、位置管理システム19は個人端末2を病院の職員らに持たせてもよい。医者や看護師など職員が所持しているPHS子機に、衛星からのGPS信号と屋内GPS信号とをともに受信する機能を有するハードウェア回路を付加することによって、病院内における職員の位置を把握したり、緊急時の呼び出しに使用したりすることもできる。
【0060】
(変形例)
また、危険作業を行う従業員に対して、管理者側が、脈拍などを測定可能な生体センサ20a内蔵の生体情報検出装置20を装着させ、その生体情報を個人端末2が中継して、屋内無線送受信装置18に送信させるようにしてもよい。これにより、万が一の事故発生に対しても生命と位置の確認とが行えるなど、従業員への安全管理が行えるようになる。
【0061】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る位置管理方法は、船舶において船員に管理者が個人端末2と、無線装置を介して生体状態をこの個人端末2に対して送出する生体情報検出装置20とを持たせ、船舶の事故等の際、船舶内の全エリアのうち、浸水したエリア及び浸水していないエリアの間でシームレスに船員の位置を検出するようにした端末位置の監視方法である。本実施形態に係る携帯端末は、乗船した者に対して管理者から渡される個人端末2であり、この生体情報検出装置20との間で近距離無線通信により生体情報を受信可能である。
【0062】
このような構成の船舶でのシステムにおいて、生体センサ付きの個人端末2を船舶内で使用することで、人員の位置把握と安全管理とを行うことができる。
【0063】
事故等に遭遇した場合、浸水を防ぐために浸水エリアを封鎖するが、そこに生存している人員が残されているかどうかを確認でき、必要に応じて救出することができる。また、避難の場合の集合人数確認が迅速に行える。
【0064】
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態に係る位置管理方法は、災害に被災した地域において住人に装着させておく個人端末2と、各個人端末2に対してこれら住人の生体情報のデータを無線送信する生体情報検出装置20とを有し、災害等により社会設備に支障が生じた状況下で、通信可能なエリアと、通信不能なエリアとの間でシームレスに人の位置を検出するようにした端末位置の監視方法である。本実施形態に係る携帯端末は、住人が予め有する個人端末2であり、生体情報検出装置20との間で近距離無線通信により生体情報を受信可能である。
【0065】
また、屋内無線送受信装置18の設置位置を、状況に応じて変更できるようにしておく。一例として、屋内無線送受信装置18の筐体を、ビル等の構造物の壁体に取付け可能、及び壁体から取外し可能に構成し、更にこの屋内無線送受信装置18を持ち運びでき、信号線やケーブル類と結線可能にしておく。屋内無線送受信装置18を壁体に設置後、この屋内無線送受信装置18のメモリに位置情報を読み込ませるようにしておく。本実施形態に係る位置管理方法では、屋内無線送受信装置18の位置を変えることによって、監視対象領域の範囲を変えられるようにする。
【0066】
このような構成により、災害発生後の瓦礫等により救助や捜索が行えない状況が発生した場合、捜索を行う者は、屋内電波送信機17及び屋内無線送受信装置18を複数のエリアに設置し、各位置での位置情報を設定する。複数の屋内電波送信機17は予め設けられたものを用いて、屋内無線送受信装置18の設置場所を変えることによって、電波が届きにくかった領域に位置する個人端末2からの電波を拾えるようになる。
【0067】
これにより、入り口が塞がれた地下道や地階において、救助活動を支援することができるようになる。
【0068】
(まとめ)
本発明の各実施形態に係る位置管理方法及び携帯端末が実行する機能を、既存のセキュリティシステム又は位置管理システムに適用することによって、施設のセキュリティ管理や個人の位置管理、安全管理など各種管理を行うシステムを構築できるようになる。従って既存のセキュリティシステムをそのまま活用して、共連れ防止や防犯管理などセキュリティの強化を行うことができる。セュリティ以外にも勤怠管理、安全管理、それから必要に応じて電話としての機能も活用できるので、少ない設備投資で多機能システムとして活用できる。
【0069】
また、本発明の各実施形態に係る位置管理方法及び携帯端末によれば、第1に既存のセキュリティシステムを活用し、脅威に対応でき、第2に新たな脅威に対して拡張性を持たせることができ、そして第3に多機能性で設備投資に対するコストパフォーマンスを持たせることができるようになる。
【0070】
尚、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。衛星測位システムはアメリカのGPS衛星に限らず、ロシアのGLONASSやヨーロッパのGALILEO等の航法衛星からの電波を用いてもよく、アメリカのWAASや日本のMSAS、ヨーロッパのEGNOS等の静止衛星からの電波や、日本のQZSS等の準静止衛星等からの電波を利用してもよい。
【0071】
携帯端末2が測位信号を受信し位置情報を演算生成する代わりに、測位信号データを移動体通信網12側の演算装置が演算し、位置情報を管理サーバ15側へ送るようにしてもよい。
【0072】
上記実施形態では、GPS信号と屋内GPS信号との両方を受信した場合、デコード出力したほうを用いたり、又は屋内GPS信号の位置情報を、衛星からのGPS信号の位置情報よりも優先させて出力する機能を個人端末2に付加して切替え制御を行うことができる。この場合、個人端末2の位置が屋内であるか、あるいは屋外であるかに応じて制御部2fが制御して切替える。
【0073】
また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0074】
1…セキュリティシステム、2…個人端末(携帯端末)、2a…GPS測位部(測位部)、2b…無線通信部、2c…入力部、2d…出力部、2e…近距離無線通信部、2f…制御部2f、3,3A…管理システム、4…屋外測位システム、5…屋内測位システム、6…ゲート装置、7…データベース(記憶装置)、8…監視カメラ、9…照合用サーバ、10…GPS衛星(航法衛星)、11…基地局、12…移動体通信網、13…ゲートウェイ装置、14…インターネット、15…管理サーバ、15a…管理端末、15b…表示板、16…屋内、17…屋内電波送信機、18…屋内無線送受信装置(屋内無線受信装置)、19…位置管理システム、20…生体情報検出装置、20a…生体センサ、20b…インタフェース部、21…移動無線送受信部(移動無線送信部)、22…屋内無線送受信部(屋内無線送信部)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外及び屋内の監視対象領域に入る対象者と、航法衛星からの測位信号を受信して測位情報を出力し、屋内電波送信機が送信する前記測位信号の形式と同等の形式の屋内測位信号を受信して屋内位置情報を出力する測位部、前記測位情報を移動体通信網に接続された基地局へ送信する移動無線送信部、及び前記屋内位置情報を送信する屋内無線送信部を有する携帯端末との対応関係を記憶装置に登録し、
前記移動体通信網を含む通信網、及び屋内に設けられ前記屋内位置情報を受信する屋内無線受信装置に接続され、前記携帯端末の位置及び前記対応関係を管理する管理サーバに前記監視対象領域内の移動先を登録し、
前記管理サーバは、前記携帯端末の位置が屋外である場合、前記携帯端末からの前記測位情報を前記通信網経由で受信し、前記携帯端末の位置が屋内である場合、前記携帯端末からの前記屋内位置情報を受信し、
前記管理サーバは、前記携帯端末の位置が屋外である場合、前記測位情報及び前記移動先を比較判定し、前記携帯端末の位置が屋内である場合、前記屋内位置情報及び前記移動先を比較判定し、
前記管理サーバは、判定結果が否定的である場合、警報を出力することを特徴とする位置管理方法。
【請求項2】
前記対応関係を前記記憶装置に登録するに先立って、この対象者の生体情報を検出して生体情報データを近距離無線通信により前記携帯端末へ送信する生体情報検出装置を前記対象者に動作状態で設け、
前記管理サーバは、前記携帯端末から送信された前記生体情報データに基づいて前記対象者の容体の状況を監視することを特徴とする請求項1記載の位置管理方法。
【請求項3】
前記対応関係を前記記憶装置に登録するに先立って、前記屋内電波送信機が設置される位置を変更し、前記監視対象領域の範囲を可変にすることを特徴とする請求項1記載の位置管理方法。
【請求項4】
航法衛星からの測位信号を受信して測位情報を出力し、屋内電波送信機が送信する前記測位信号の形式と同等の形式の屋内測位信号を受信して屋内位置情報を出力する測位部と、
この測位部が出力した前記測位情報を、移動体通信網に接続された無線基地局へ送信する移動無線送信部と、
この移動無線送信部との間で切替え可能に設けられ、前記測位部が出力した前記屋内位置情報を送信する屋内無線送信部と、
この屋内無線送信部及び前記移動無線送信部を切替え制御する制御部とを備え、
この制御部は、端末位置が屋外である場合、前記移動無線送信部に前記測位情報を送信させ、端末位置が屋内である場合、前記屋内無線送信部に前記屋内位置情報を送信させることを特徴とする携帯端末。
【請求項5】
前記対象者の生体情報を検出して生体情報データを近距離無線送信する生体情報検出装置から、この生体情報データを受信する近距離無線受信部を更に備え、
前記制御部は、この近距離無線受信部からの前記生体情報データを前記移動無線送信部又は前記屋内無線送信部に送信させることを特徴とする請求項4記載の携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−145873(P2011−145873A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−5892(P2010−5892)
【出願日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(593115769)東京エレクトロニツクシステムズ株式会社 (9)
【出願人】(507395692)ライトハウステクノロジー・アンド・コンサルティング株式会社 (6)
【Fターム(参考)】