説明

低カロリー成分を含有する粘着的非自由流動性甘味料組成物

液状食材、例えば飲料、に甘味を添加する上で有用な、例えば、甘味料キューブの粘着的非自由流動性甘味料組成物であって、従来のスクロースキューブと比較して低下したカロリー負荷を有する、甘味料組成物が提供されている。より具体的には、粘着的非自由流動性甘味料組成物は、高強度甘味料、および、低カロリー増量剤を含み、粘着的非自由流動性甘味料組成物から形成される甘味料キューブは、同一寸法を有する従来のスクロースキューブのカロリー負荷よりも低いカロリー負荷、および同等の甘味を有している。また、スクラロース、ポリデキストロース、トレハロース、エリトリトール、タガトース、および/または、ラクトースを含有する甘味料キューブが提供されており、甘味料キューブは、1キューブ当たり約0.2、約1、約2、約3、または約4キロカロリーのカロリー負荷を有し、かつ、茶さじ約一杯のスクロースと同等の甘味を有している。このような粘着的非自由流動性甘味料組成物を製造する方法も提供されている。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔発明の分野〕
本発明は、同様の寸法および甘味を有する従来のスクロースキューブと比較して低下したカロリー負荷(caloric burden)を備えた粘着的非自由流動性甘味料組成物であって、液状食材、例えば飲料、に甘味を供給するための、甘味料組成物に関するものである。より具体的には、本発明は、高強度甘味料、および、低カロリー増量剤を含有する粘着的非自由流動性甘味料組成物に関するものであり、ここで、固形の粘着的非自由流動性甘味料組成物から形成された甘味料キューブは、同様寸法のスクロースキューブと比べて、より低いカロリー負荷、および同等の甘味を有している。また、本発明は、上述のような粘着的非自由流動性甘味料組成物を製造し、かつ、使用する方法を提供するものである。
【0002】
〔発明の背景〕
多くの場合、人々は、食品および飲料に甘味料を添加する。例えば、甘味料は、コーヒーおよび茶等の飲料に添加される。食品または飲料の甘味化は、当該食品または飲料の香味を変え、かつ、通常、その魅力を向上させる。この行為は、すべての文化圏で見出されるが、特に、西洋文化圏において一般的である。
【0003】
個人的な味覚は、一人の人間が他の人間と比較して所定の食品または飲料において好む甘味の量に相当なバラツキを引き起こす。例えば、商業生産中に、食材中に組み込まれる甘味の量は、一部の消費者を満足させるのに適切でない場合があるが、他の消費者は、同じ量の甘味を過剰であると考えることがある。さらに、消費者は、多くの場合、健康上の理由またはライフスタイルの理由から、カロリー摂取量を低下させることを希望している。したがって、消費者が、その個人的な好みに一致し、かつ、追加のカロリー負荷を最小限にする、消費時に製品の甘味を高めるために使用できる甘味料製品の必要性が長い間、切実に感じられる状況が存在している。
【0004】
液状食材を甘味化するための方法は、既知である。例えば、甘味化されていないアイスティー飲料に甘味料を添加することは、通常、当該甘味化されていないアイスティー飲料に甘味料を添加することに続いて、撹拌して当該甘味料を分散させて、甘味化されたアイスティー飲料を作ることを含むはずである。このような甘味料は、通常、キューブ形態、タブレット形態、顆粒状形態、粉末形態、あるいは、液体形態になっている。
【0005】
個人の取り分け分の飲料(individual servings of a beverage)の甘味化には、多くの飲食物提供サービスの状況において、課題がある。しばしば、甘味料の個別包装物が、1人前の飲料の供給と共に提供されている。当該個別包装物は、スクロースを含むことがあり、あるいは、代わりに、スクラロース、アスパルテームまたはサッカリン等、高強度甘味料(high intensity sweeteners)と、スクロース、グルコースまたはマルトデキストリン等の標準的な増量剤とを含むことがあり、これらの全成分は、1グラム当たり4キロカロリーの標準的な発熱量を有している。使用者は、個別包装物を開け、その内容物を飲料中に出した後に、当該飲料を撹拌して、甘味料を溶解させ、液体中に完全に分散させる必要がある。包装物の残りの容器は、多くの状況において、処分問題を顕在化させ得る廃棄物を生む。あるいは、甘味料は、一つの粘着的非自由流動性甘味料組成物の形態で提供されることがあり、当該粘着的非自由流動性甘味料組成物は、茶さじ約一杯(または、それ以上)のスクロースと同等の甘味(茶さじ一杯相当のスクロースは、茶さじ当たり約4グラム〜約5グラムのスクロースである)を含む。このような甘味料キューブは、通常、個別包装を必要としないことから、飲料の甘味化に関係したステップおよび当該甘味料に関連した廃棄物を削減する。
【0006】
甘味料キューブは、増量剤を含有する粘着的非自由流動性甘味料組成物である。増量剤は、通常、スクロース等の結晶性炭水化物であり、高強度甘味料と組み合わせても、利用できる。最近になって、低カロリー負荷を有する多くの増量剤が市場に参入している。このような低カロリー負荷を有する増量剤の一部は、スクロースに類似した物理特性および知覚特性を有しており、低カロリー負荷を有する他の増量剤は、スクロースに類似した物理特性もしくは知覚特性をほんの僅かだけ有している、および/または、多少、望ましくない特性を有している。
【0007】
高強度甘味料の利用可能性は、液状食材の甘味化、例えば、個人の取り分け分の飲料(individual servings of beverages)に関係したカロリー負荷を低下させる能力を提供する。例えば、スクラロースは、スクロース(別名、砂糖および甘蔗糖)の約500倍〜約600倍の甘味を有している。約4グラム〜約5グラムのスクロースである茶さじ一杯のスクロースは、約6.7ミリグラム〜約10ミリグラムのスクラロースと差し替えることができる。個人の取り分け分の好適な甘味化を達成するために必要とされる微量の高強度甘味料は、個人の取り分け分を含む食材に甘味を供給する新規の技術を提供する機会を与える。
【0008】
上述の記述を考慮すると、低いカロリー負荷を有するが、標準的なスクロース甘味料キューブと同様の物理特性および知覚特性を有する粘着的非自由流動性甘味料組成物を提供する必要性がある。
【0009】
〔本発明の概要〕
本発明の一つの実施の形態は、粘着的非自由流動性甘味料組成物であり、当該粘着的非自由流動性甘味料組成物は、甘味化できる量の高強度甘味料、および、有効量の低カロリー増量剤を含む、当該各成分から成る、および/または、当該各成分から本質的に成るものであり、ここで、当該粘着的非自由流動性甘味料組成物から形成され、従来のスクロースキューブと同一の物理的寸法を有する甘味料キューブは、当該スクロースキューブのカロリー負荷より低いカロリー負荷、および同等の甘味を有している。
【0010】
本発明の他の実施の形態は、請求項1による粘着的非自由流動性甘味料組成物であり、当該粘着的非自由流動性甘味料組成物は、当該粘着的非自由流動性甘味料組成物の全重量に基づいて、約0.1重量%〜約0.6重量%のスクラロース、約0重量%〜約99.5重量%のポリデキストロース、約0重量%〜約99.5重量%のタガトース、約0重量%〜約99.5重量%のエリトリトール、約0重量%〜約50重量%のラクトース、約0重量%〜約50重量%のマルトース、および、約0重量%〜約50重量%のマルトデキストリンを含む、当該各成分から成る、および/または、当該各成分から本質的に成るものである。
【0011】
本発明の更に他の実施の形態は、粘着的非自由流動性甘味料組成物であり、当該粘着的非自由流動性甘味料組成物は、当該粘着的非自由流動性甘味料組成物の全重量に基づいて、約0.4重量%のスクラロース、および、約99.6重量%のエリトリトールを含む、当該各成分から成る、および/または、当該各成分から本質的に成るものであり、ここで、当該粘着的非自由流動性甘味料組成物は、約0.2キロカロリーのカロリー負荷、および茶さじ約一杯のスクロースと同等の甘味を有している。
【0012】
本発明の更なる実施の形態は、粘着的非自由流動性甘味料組成物であり、当該粘着的非自由流動性甘味料組成物は、当該粘着的非自由流動性甘味料組成物の全重量に基づいて、約0.4重量%のスクラロース、約75重量%のエリトリトール、約20重量%の結晶性ラクトース、および、約4.6重量%のトレハロースを含む、当該各成分から成る、および/または、当該各成分から本質的に成るものであり、ここで、当該粘着的非自由流動性甘味料組成物は、約1キロカロリーのカロリー負荷、および茶さじ約一杯のスクロースと同等の甘味を有している。
【0013】
本発明の他の実施の形態は、粘着的非自由流動性甘味料組成物であり、当該粘着的非自由流動性甘味料組成物は、当該粘着的非自由流動性甘味料組成物の全重量に基づいて、約0.4重量%のスクラロース、約10重量%のポリデキストロース、約56.6重量%のエリトリトール、および、約25.5重量%〜約33重量%のトレハロースを含む、当該各成分から成る、および/または、当該各成分から本質的に成るものであり、ここで、当該粘着的非自由流動性甘味料組成物は、約2キロカロリーのカロリー負荷、および茶さじ約一杯のスクロースと同等の甘味を有している。
【0014】
本発明の更に他の実施の形態は、粘着的非自由流動性甘味料組成物であり、当該粘着的非自由流動性甘味料組成物は、当該粘着的非自由流動性甘味料組成物の全重量に基づいて、約0.4重量%のスクラロース、約10重量%のポリデキストロース、約37.5重量%のエリトリトール、および、約44.6重量%〜約52.1重量%のトレハロースを含む、当該各成分から成る、および/または、当該各成分から本質的に成るものであり、ここで、当該粘着的非自由流動性甘味料組成物は、約3キロカロリーのカロリー負荷、および茶さじ約一杯のスクロースと同等の甘味を有している。
【0015】
本発明の更なる実施の形態は、粘着的非自由流動性甘味料組成物であり、当該粘着的非自由流動性甘味料組成物は、当該粘着的非自由流動性甘味料組成物の全重量に基づいて、約0.4重量%のスクラロース、約10重量%のポリデキストロース、約29.5重量%のエリトリトール、および、約60.1重量%のトレハロースを含む、当該各成分から成る、および/または、当該各成分から本質的に成るものであり、ここで、当該粘着的非自由流動性甘味料組成物は、約4キロカロリーのカロリー負荷、および茶さじ約一杯のスクロースと同等の甘味を有している。
【0016】
低カロリーの粘着的非自由流動性甘味料組成物を製造するための方法は、混合物を形成するために、高強度甘味料を低カロリーの増量剤と混合することと、当該混合物に水を添加することと、当該混合物を形状物に形成することと、当該形状物を乾燥させることとを含む、これらから成る、および/または、これらから本質的に成るものである。
【0017】
〔本発明の詳細な記述〕
スクロースキューブのカロリー負荷を低下させるために、スクロース量が減らされ、この減量は、小さな寸法を有するキューブをもたらすことになる。キューブ中のスクロース量を減らすことに起因して失われる甘味は、アスパルテームまたはアセスルファムK等、高強度甘味料と差し替えられてもよい。このような処方は、キューブのカロリー負荷を低減するが、この低減は、製造され、かつ、消費者によって取り扱われることができるキューブの最小寸法によって制限される。現在、市場に出回っている製品の検討では、約1.4グラムの最小寸法のキューブを明らかにしたが、このキューブは、約5.6キロカロリーを有するスクロース含有の甘味料キューブをもたらす。
【0018】
したがって、利用可能な最も小さな甘味料キューブのカロリー負荷をさらに低下させるために、スクロースは、低カロリー成分によって、全体的に、あるいは、部分的に差し替えられる必要がある。しかし、スクロース以外の成分の使用には、甘味料キューブの製造、保存、および、消費者にとっての魅力および消費者の支持に関する問題がある。本発明において、低カロリー増量剤は、甘味料キューブ中のスクロースの一部または全部を差し替えるために使用される。
【0019】
この明細書で使用されているように、用語「従来のスクロースキューブ」とは、約5ミリメートル〜約20ミリメートルの高さ、幅および奥行を有する結晶性スクロースの矩形プリズムを意味する。通常、従来のスクロースキューブは、各辺が約15ミリメートルであり、約25キロカロリーのカロリー負荷を有している。上述したように、市販された製品のうち、最も小さく、かつ、消費者から許容される高強度甘味料/スクロースキューブは、約12ミリメートル×約12ミリメートルの二側面と、約9ミリメートル×約12ミリメートルの四側面とを有し、約5.6キロカロリーのカロリー負荷および約1.4グラムの重量を有している。
【0020】
この明細書で使用されているように、提示されたすべての数値の範囲については、範囲の端点間に収まる少なくともすべての数値を明確に含むことが意図されている。
【0021】
〔高強度甘味料〕
この明細書で使用されているように、用語「高強度甘味料」とは、スクロースと対比して単位質量当たりの高い甘味を与え、かつ、栄養価がほとんどないか、もしくはまったくない物質を意味している。多くの高強度甘味料は、この技術分野における当業者に既知である。本発明に使用される高強度甘味料の例は、アスパルテーム、アセスルファム、アリテーム(alitame)、ブラゼイン(brazzein)、シクラミン酸、ジヒドロカルコン類、ジオスコロフィルム・クミンシー(Dioscorophyllum cumminsii)の抽出物、西アフリカイチゴ(Pentadiplandra brazzeana)果実の抽出物、グリシルリジン、ヘルナンダルシン(hernandulcin)、モネリン、モグロシド(mogroside)、ネオテーム、ネオヘスペリジン、サッカリン、スクラロース、ステビア、タウマチン、これらの塩類、誘導体および組み合わせを含む。本発明によれば、好適な高強度甘味料は、スクラロースである。
【0022】
本発明の粘着的非自由流動性甘味料組成物は、約0.01(重量)%〜約3.5(重量)%の高強度甘味料を含有している。より好適には、本発明の粘着的非自由流動性甘味料組成物は、約0.05(重量)%〜約2(重量)%、より好ましくは、約0.1(重量)%〜約1(重量)%の高強度甘味料を含有している。仮に、高強度甘味料がスクラロースである場合、本発明の甘味料キューブは、好適には、約0.1(重量)%〜約0.6(重量)%のスクラロースを含有している。より好適には、本発明の当該甘味料キューブは、粘着的非自由流動性甘味料組成物の重量に基づいて、約0.2(重量)%〜約0.5(重量)%、さらに好ましくは、約0.4(重量)%〜約0.5(重量)%のスクラロースを含有している。
【0023】
〔増量剤〕
特定の低カロリー増量剤および栄養性増量剤(仮に使用される場合)は、スクロースキューブに類似した物理特性および知覚特性を有する粘着的非自由流動性甘味料組成物から甘味料キューブを製造するために、選択される。このような甘味料キューブは、スクロースに類似した物理特性および知覚特性を有する特定の増量剤を含有してもよく、あるいは、複数の増量剤の組み合わせを含有してもよく、当該複数の増量剤は、個別的に、スクロースに類似した特性を有しないが、混合された場合には、スクロースに類似した特性を有するものである。本発明に使用される低カロリー増量剤および栄養性増量剤を選択する際には、多くの要素が考慮される必要がある。
【0024】
第一に、増量剤は、概ね、スクロースの甘味強度を十分に下回る甘味強度を有していることから、消費者に許容される甘味レベルを有する甘味料キューブを製造するために、高強度甘味料を添加する必要がある。必要な高強度甘味料の量は、当該低カロリー増量剤の元来の甘味に反比例する。甘味料キューブ1つにつき茶さじ一杯のスクロースの甘味とほぼ等しい、消費者に期待される甘味を与えるために、成分のバランスを適切に保つように配慮される必要がある。
【0025】
この明細書で使用されているように、用語「茶さじ」とは、約5ミリリットルの容量を有する標準的な茶さじを指している。したがって、茶さじ一杯のスクロースは、約4グラム〜約5グラムの質量を有している。
【0026】
第二に、増量剤は、上述したように、消費者に許容されるように、選択される必要がある。消費者の許容は、概ね、五つの分野、すなわち、外観、味、副作用、用途およびコストに分類されてもよい。外観については、甘味料キューブは、できる限り、そのスクロース等価物に似ている(mirror)必要がある。当該甘味料キューブは、結晶質に見えなければならない。そして、当該甘味料キューブは、その形状を、保存および移送中に、維持する必要がある。例えば、蛋白質は、多くの場合、非結晶質の外観を有しており、一部の糖類は、黄色または土色を有している。増量剤として単独で使用する場合に、どちらも、許容される甘味化キューブを製造しないであろう。さらに、可能性のある一部の低カロリー増量剤は、あまりにも吸湿的に過ぎることから、単独で使用する場合に、どのような時間の長さでも、キューブの完全性および形状を維持できない。例えば、可溶性繊維は、甘味料キューブが溶解して、消費者にとって望ましくなく、また多くの場合消費者が使用できないシロップになり始める環境からの大量の水を吸収することがある。
【0027】
この明細書で使用されているように、用語「低カロリー増量剤」とは、1グラム当たり4キロカロリー未満のカロリー負荷を有する食用物質を意味する。本発明に使用される低カロリー増量剤の例は、ポリデキストロース、イヌリン、可溶性繊維、ラフチリン(raftiline)およびラフチロース(raftilose)等のオリゴ糖類;タガトース等の低カロリー糖類;ラクチトール、イソマルト、マルチトール、キシリトール、エリトリトール、マンニトールおよびソルビトール等の糖アルコール類;通気型の糖類(aerated sugars);通気型の多価アルコール類;通気型の複合糖質類;クエン酸カルシウムおよび乳酸カルシウム等の有機塩類;ならびに、これらの組み合わせを含む。本発明による好適な低カロリー増量剤は、ポリデキストロース、エリトリトール、タガトース、および、これらの組み合わせである。
【0028】
この明細書で使用されているように、用語「食用」材料は、世界保健機関によって発行された国際食品規格集(1999年)に記述されたヒトが消費するのに安全と考えられる食品の基準に従う材料である。
【0029】
本発明の粘着的非自由流動性甘味料組成物は、約1(重量)%〜約99.5(重量)%の低カロリー増量剤を含有する。より好適には、本発明の粘着的非自由流動性甘味料組成物は、約10(重量)%〜約75(重量)%、より好ましくは約30(重量)%〜約60(重量)%の低カロリー増量剤を含む。
【0030】
低カロリー増量剤に加えて、本発明の粘着的非自由流動性甘味料組成物は、栄養性増量剤を含有してもよい。この明細書で使用されているように、「栄養性増量剤」とは、1グラム当たり4キロカロリー以上のカロリー負荷を有する食用物質を意味する。したがって、本発明において、使用される栄養性増量剤(仮に使用される場合)および低カロリー増量剤、および、これらの比率は、ほぼ同一寸法を有するスクロース含有の粘着的非自由流動性甘味料組成物のカロリー負荷より低いカロリー負荷を有する粘着的非自由流動性甘味料組成物を製造するために選択される必要がある。
【0031】
本発明に使用される栄養性増量剤の例は、グルコース、ラクトース、アロース、アルトロース、マンノース、イドース、ガラクトース、タロース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、セロビオース、ラクツロース、ラミンアラビノース(laminarabinose)、マルトース、アミロース、マンノビオース、キシロビオース、スクロース、トレハロースおよびフルクトース等の糖類;乳漿蛋白質および大豆蛋白質等の蛋白質類;ロイシンおよびプロリン等のアミノ酸類;ならびに、これらの組み合わせを含む。本発明による好適な栄養性増量剤は、トレハロース、マルトース、マルトデキストリン、ラクトース、および、これらの組み合わせである。
【0032】
好適には、本発明の粘着的非自由流動性甘味料組成物は、約1(重量)%〜約50(重量)%の栄養性増量剤を含有する。より好適には、本発明の粘着的非自由流動性甘味料組成物は、約10(重量)%〜約40(重量)%、さらに好ましくは約20(重量)%〜約30(重量)%の栄養性増量剤を含有する。
【0033】
〔粘着的非自由流動性甘味料組成物の製造〕
成形された粘着的非自由流動性甘味料組成物、例えば甘味料キューブは、概ね、次のようなステップ:(a)各成分を混合するステップ、(b)成形された組成物を形成するステップ、および、(c)当該組成物を乾燥させるステップ、を有する方法によって製造されている。明らかに、各ステップは、多くの変形例を有することができる。
【0034】
本発明の更なる実施の形態は、粘着的非自由流動性甘味料組成物を製造するための方法であって、混合物を形成するために、高強度甘味料を低カロリー増量剤と混合するステップと、当該混合物に水を添加するステップと、当該混合物を形状物に形成するステップと、当該形状物を乾燥させるステップとを含む、方法である。
【0035】
各成分が混合される手法は重要ではないが、過激な混合は、粒子サイズを小さくすることになり、望ましくない結果となる。しかし、混合物全体にわたって各成分を均一に分布させることは必須である。さもなければ、甘味もカロリー負荷もキューブによって異なるはずである。少量で使用される成分については、均一分布を確実にするために、予備混合物を製造することが必要となることがある。仮に成分が固体または塊になる傾向がある場合に、篩を通過させることが必要となることがある。最も一般的な混合装置は、成分の連続添加を可能にするものである。
【0036】
粘着的非自由流動性甘味料組成物の形状物を形成するステップは、概ね、二段階を有している。第一に、混合された成分は、通常、水または蒸気の導入によって、約0.3%〜約3%の含水率になるように水和される。第二に、水和された成分は、ダイ(dyes)またはモールド内に配置され、所望の形状物を形成するために圧縮される。また、水和された混合物は、大きな塊に形成された後に、「荒削り」の形状物に分割されてもよい。
【0037】
一旦、水和された混合物が所望の形状物に形成されたら、その形状物は乾燥される。乾燥ステップは、オーブンを用いて達成されてもよく、あるいは、仮に条件が許せば、大気に曝すことによって達成されてもよい。最も一般的な乾燥装置は、乾燥用トンネルを通過する連続的なベルトである。乾燥温度および乾燥時間は、大幅に変わる。例えば、大気中での乾燥時間は、約24時間であってもよい。対照的に、約60℃〜約75℃のオーブン中での乾燥は、僅かに約10分〜約20分でよい。また、調整ステップは、製品全体に水分を均衡させるために、約12時間〜約36時間のオーブン乾燥または空気乾燥後に、必要とされてもよい。
【0038】
粘着的非自由流動性甘味料組成物を形成するために選択されたモールドの形状は、粘着的非自由流動性甘味料組成物の全体形状を決定する。キューブ状、球状、ピラミッド状およびこれらの同等形状を含む任意の所望の形状が、使用されてもよい。さらに、粘着的非自由流動性甘味料組成物の表面は、特徴部分を導入するために変更されてもよい。表面特徴部(surface feature)は、粘着的非自由流動性甘味料組成物を形成するために使用されるモールドの表面によって付与されてもよく、あるいは、乾燥した粘着的非自由流動性甘味料組成物は、所望の表面特徴部を得るために、さらに加工されてもよい。さらに、粘着的非自由流動性甘味料組成物は、表面特徴部を導入するために、あるいは、新規の形状を生み出すために、まだ湿っているときに成形されてもよい。例えば、乾燥した粘着的非自由流動性甘味料組成物には、レーザーエッチング加工または機械的なエッチング加工が施されてもよく、あるいは、所望の特徴部分は、加熱した器具を用いて、粘着的非自由流動性甘味料組成物の表面に焼き付けられてもよい。一旦乾燥されたら、その後に、粘着的非自由流動性甘味料組成物は、消費者の使用前に、容器、箱、あるいは、食品に適した他の梱包体内に包装される。
【0039】
本発明の他の実施の形態は、この明細書に記述された複数の方法のうち、一つの方法に従って調製された粘着的非自由流動性甘味料組成物から成形された甘味料キューブである。
【0040】
本発明の粘着的非自由流動性甘味料組成物は、製造に便利で、かつ、消費者が使用するのに許容される任意の寸法であってもよい。粘着的非自由流動性甘味料組成物から形成されるキューブは、概ね、約20ミリメートル未満の高さ、約20ミリメートル未満の幅、および、約20ミリメートル未満の奥行である。他の有用な寸法は、約12ミリメートルの高さ、約12ミリメートルの幅、および、約9ミリメートルの奥行を含み、より好ましくは、約9ミリメートルの高さ、約9ミリメートルの幅、および、約9ミリメートルの奥行を含む。
【0041】
〔消費者の好み〕
従来のスクロースキューブは、他のすべての甘味料キューブ製品が比較される基準である。従来のスクロースキューブの物理特性および知覚特性から著しく逸脱する任意の甘味料キューブ製品は、消費者に許容されるようなものではない。表1は、従来のスクロースキューブの物理特性および知覚特性、ならびに他の甘味化キューブ製品に関する許容範囲を示している。
【表1】

【0042】
従来のスクロースキューブの許容可能な代替品として消費者に許容されるために、本発明の粘着的非自由流動性甘味料組成物は、表1に示された許容範囲内で十分な知覚特性および物理特性を有する必要がある。粘着的非自由流動性甘味料組成物から形成された甘味料キューブの各特性は、消費者に許容されるように粘着的非自由流動性甘味料組成物から形成された甘味料キューブに関する表1中の範囲内に入らなくてもよい。例えば、本発明の粘着的非自由流動性甘味料組成物から形成された、ブラウンシュガーキューブに取って代わることを目的とした、甘味料キューブは、茶色を有することになることから、当該甘味料は、表1中の「外観」に関する許容範囲内に入らないが、この場合でも、消費者に許容されることになるはずである。
【0043】
味に関して、本発明の粘着的非自由流動性甘味料組成物から形成された甘味料キューブは、同様のサイズのスクロースキューブと同等の甘味レベルを与え、かつ、スクロースと同等の甘味プロファイルを供給するはずである。副作用に関して、増量剤は、消費者にとって望ましくない、あるいは期待していない副作用を生じてはいけない。例えば、一部の糖アルコール類は、消費者に対する下剤作用を有することがある。この下剤作用が望ましい作用でない限り、当該糖アルコール類を用いる粘着的非自由流動性甘味料組成物は、消費者が許容するものではない。
【0044】
また、粘着的非自由流動性甘味料組成物は、消費者によって期待されるように機能し、かつ、急速に溶解して、食材中に所望の甘味を生じさせる必要がある。例えば、増量剤は、水中で難溶性を有することがあることから、粘着的非自由流動性甘味料組成物は、溶解するのが消費者にとって遅すぎるか、あるいは、完全には溶解できない。上述したように、消費者にとって望ましい特性を有する粘着的非自由流動性甘味料組成物の製造は、当該望ましい特性を有する一つの増量剤の使用、あるいは、当該望ましい特性を生み出す増量剤の組み合わせの使用のいずれかによって達成されてもよい。
【0045】
コストに関して、粘着的非自由流動性甘味料組成物は、タブレット、スクロースキューブ、スクロース、高強度甘味料および顆粒状甘味料等、他の甘味料構成と比較したときに、消費者に許容されるコストでなければならない。例えば、エリトリトールは、スクロースと類似の良好な微粒子サイズの白色結晶質の構成で商業的に供給されるが、比較的高価となり得ることから、当該エリトリトールは、マルトース等の比較的安価な増量剤と組み合わせてもよく、その場合でも、必要な全特性を与えるものである。
【0046】
粘着的非自由流動性甘味料組成物の製造ならびに/または保存および移送に影響を与える種々の増量剤の特性は、上述の検討事項と重複している。これらの特性は、カロリー負荷、脆弱性、溶解、溶解熱、硬度、剛性、吸湿性、湿度の影響、および、温度の影響を含む。加工の検討事項は、原料の保存および加工の容易性、ならびに、キューブのモールドを不変かつ精確に充填するための混合物の流動容易性を含む。表2は、本発明の粘着的非自由流動性甘味料組成物に有用である増量剤をスクリーニングする上で考慮される必要がある種々の成分および要素を挙げている。
【表2】

【0047】
仮に成分が増量剤としての使用に適しているとしても、甘味料キューブに使用された当該成分の比率は、当該キューブの特性に対する顕著な影響を有することがある。例えば、図1は、可能性のある種々の低密度増量剤に関する成分含有率の関数としてカロリー負荷を示している。参照用混合物と比較してマルトースまたはマルトデキストリンの増加は、カロリー負荷を高める。対照的に、他の成分の比率の増加は、カロリー負荷の低下をもたらす。
【0048】
図2は、参照用混合物と比較した際の、可能性のある種々の低密度増量剤およびポリデキストロースの比率を変化させることの、ある範囲の相対湿度にわたる、脆弱率への影響を示している。
【0049】
当該参照用混合物は、構成成分のうちの一つの比率が変更されたときに、粘着的非自由流動性甘味料組成物の物理特性の変化を測定するための始点としてのみ使用される組成物である。表3には、図1および図2に関する参照用混合物の組成、ならびに当該構成成分の変更が示されている。
【表3】

【0050】
同様に、他の成分の特性は、評価されてもよく、また、その処方は、非常に高い商業的実行可能性および消費者の許容性を有する甘味料キューブを製造するために、最適化されてもよい。
【0051】
本発明の他の実施の形態は、この明細書で記述された方法の一つに従って調製された低カロリーの甘味料キューブである。
【0052】
以下の実施例は、本発明の粘着的非自由流動性甘味料組成物および方法をさらに説明するために、提供されている。これらの実施例は、例示にすぎず、かつ、本発明の範囲を決して限定しようとするものではない。
【0053】
〔実施例〕
〔実施例1〕
本発明の粘着的非自由流動性甘味料組成物は、この技術分野において既知の任意の方法で調製されてもよい。以下の記述は、本発明の甘味料キューブを製造するための二つの方法:A)研究室規模の調製方法、および、B)大規模生産用の調製方法である。
【0054】
〔A.研究室規模の調製方法〕
全成分は秤量されている。秤量された成分は、ガラス瓶内に配され、かつ、筒状の混合装置内で、5分間、混合される。混合された成分は、その後、平坦な表面に沿って可能な限り薄く拡げられて、できるだけ1粒子分の厚さに近づくような薄膜を形成する。
【0055】
短時間に大量の水(short burst of water)が、その後、混合された成分の薄膜全域に対して、エアゾールポンプを用いて噴射される。水の所望量は、エアゾールポンプ内に加えられる前に測定されてもよい。(例えば、グラニュー糖であれば、添加される水は、通常、砂糖100グラム当たり約3.5ミリリットルである。)混合された成分は、その後、パレットナイフで混ぜられる。
【0056】
十分な水が添加されたか否かを確認するために、混合された成分の一部は、キューブモールド内に配される。適切なスタンプ器具を用いて、当該モールド内に、当該混合された成分を可能な限り密集させ、両側に圧縮力を印加して圧力を高める。一旦、当該モールドが満たされると、当該スタンプ器具は、混合された成分を押し出すために、使用される。
【0057】
仮に粘着的非自由流動性甘味料組成物がすぐに壊れて、その顆粒が分散した場合には、十分な湿度がない。混合された成分は、その後、拡げられ、追加の水で噴射されて、再度、パレットナイフで混ぜられる。混合された成分は、その後、含水率に関して再評価される。
【0058】
一方、仮に塊が存在し、かつ、モールド内に粘着的非自由流動性甘味料組成物の一部が残っている場合には、過剰な湿度が、混合された成分に添加されている。この場合に、混合された成分は廃棄される必要があり、処理は最初から再開される。
【0059】
一旦、適量の水が添加されたら、混合された成分は、モールド内で圧縮される。成型された粘着的非自由流動性甘味料組成物は、その後、トレイ上に配され、70℃のオーブン中で乾燥させられる。一つの成型された粘着的非自由流動性甘味料組成物は、10分ごとに、半分に崩壊して、含水率に起因する壊れやすさが評価される。一旦、成型された粘着的非自由流動性甘味料組成物から水分が除去されたら、当該成型された粘着的非自由流動性甘味料組成物は全体的に硬くなるはずである。乾燥処理は、約10分〜約30分かける必要がある。仮に、更なる乾燥処理が望ましい場合に、成型された粘着的非自由流動性甘味料組成物は、一晩中、30℃の室内に配されてもよい。
【0060】
〔生産規模の調製方法〕
全成分は秤量され、かつ、均一に混合される。混合された成分は、その後、キューブ装置(トルコ共和国アンカラ市のテクニケラー(Teknikeller)社のキューブ装置C型)上の粉体用ホッパーに移される。混合された成分は、キューブ装置の混合チャンバーに添加されて、水と一緒に混合される。この水分量は、混合された成分全体への水の良好な分布を確保できるように、調節される。不十分な水分は、キューブをオーブンに移送する上で使用される抽出ベルト上での粉体の堆積を生じ、結果的に脆弱なキューブをもたらすことになる。混合された成分を過剰に湿らせることは、湿気を帯びているように見えるキューブを生じ、当該キューブは、硬くなるはずであるが、従来のスクロースキューブ中の各結晶体のガラス状表面に関連した輝きを失うことになる。目標の混合物含水率は、約0.5%〜約1.0%であり、キューブの外観によって決まる。
【0061】
湿気を帯びた、混合された成分は、その後、抽出ベルトから回転中のモールドへ、重力によって落下する。ピストンは、要求された寸法になるように、キューブを圧縮する。キューブの質量は、圧縮用プレートを動かないようにすることによって、あるいは、ピストンの移動距離を変更することによって、調節されてもよい。ピストンは、形成されたキューブを抽出ベルト上に押し出し、かつ、押出しアームは、乾燥用オーブン内にキューブを入れるために鎖コンベア上に向けて当該キューブを押す。
【0062】
成型された粘着的非自由流動性甘味料組成物を形成するために選択されたモールドの形状は、成型された粘着的非自由流動性甘味料組成物の全体形状を決定する。
【0063】
キューブは、その後、固定式のオーブンで、または、搬送式(トンネル型)オーブンを用いて、乾燥させられてもよい。温度は、10分〜30分間、70℃を超えてはならない。キューブは、包装前に「調整(tempered)」される必要がある場合があり、包装内部に凝縮体の蓄積を避けるために、包装前に乾燥温度から室温まで冷却することになる。
【0064】
上述したように、キューブは、その表面上に表面特徴部を導入するために、さらに処理されてもよい。
【0065】
以下の実施例の粘着的非自由流動性甘味料組成物は、上述した二つの方法のいずれかの方法を用いて形成されてもよい。
【0066】
〔実施例2〕
0.2キロカロリーのカロリー負荷を有する本発明の甘味料キューブは、以下の成分を含有して、研究室規模の調製方法を用いて製造されている:
1(重量)%のアスパルテーム、および、
99(重量)%のエリトリトール。
【0067】
この実施例では、味および外観が3人〜4人の評者の委員団によって評価されている。当該キューブは、外観について評価されている。当該キューブは、水中に溶解され、その溶液は、味について評価されている。表4は、当該製造された甘味料キューブとスクロースキューブとの比較を示している。
【表4】

【0068】
〔実施例3〕
1キロカロリーのカロリー負荷を有する本発明の甘味料キューブは、以下の成分を含有して、研究室規模の調製方法を用いて製造されている:
0.4(重量)%のスクラロース、
20(重量)%のラクトース、
75(重量)%のエリトリトール、および、
4.6(重量)%のトレハロース。
【0069】
この実施例では、味および外観が3人〜4人の評者の委員団によって評価されている。当該キューブは、外観について評価されている。当該キューブは、水中に溶解され、その溶液は、味について評価されている。表5は、当該製造された甘味料キューブとスクロースキューブとの比較を示している。
【表5】

【0070】
〔実施例4〕
2キロカロリーのカロリー負荷を有する本発明の甘味料キューブは、以下の成分を含有して、研究室規模の調製方法を用いて製造されている:
0.4(重量)%のスクラロース、
10(重量)%のポリデキストロース、
56.6(重量)%のエリトリトール、および、
33(重量)%のトレハロース。
【0071】
この実施例では、味および外観が3人〜4人の評者の委員団によって評価されている。当該キューブは、外観について評価されている。当該キューブは、水中に溶解され、その溶液は、味について評価されている。表6は、当該製造された甘味料キューブとスクロースキューブとの比較を示している。
【表6】

【0072】
〔実施例5〕
3キロカロリーのカロリー負荷を有する本発明の甘味料キューブは、以下の成分を含有して、研究室規模の調製方法を用いて製造されている:
0.4(重量)%のスクラロース、
10(重量)%のポリデキストロース、
37.5(重量)%のエリトリトール、および、
52.1(重量)%のトレハロース。
【0073】
この実施例では、味および外観が3人〜4人の評者の委員団によって評価されている。当該キューブは、外観について評価されている。当該キューブは、水中に溶解され、その溶液は、味について評価されている。表7は、当該製造された甘味料キューブとスクロースキューブとの比較を示している。
【表7】

【0074】
〔実施例6〕
3キロカロリーのカロリー負荷を有する本発明の甘味料キューブは、以下の成分を含有して、研究室規模の調製方法を用いて製造されている:
0.4(重量)%のスクラロース、および、
99.6(重量)%のタガトース。
【0075】
この実施例では、味および外観が3人〜4人の評者の委員団によって評価されている。当該キューブは、外観について評価されている。当該キューブは、水中に溶解され、その溶液は、味について評価されている。表8は、当該製造された甘味料キューブとスクロースキューブとの比較を示している。
【表8】

【0076】
〔実施例7〕
3キロカロリーのカロリー負荷を有する本発明の甘味料キューブは、以下の成分を含有して、研究室規模の調製方法を用いて製造されている:
0.4(重量)%のスクラロース、
10(重量)%のポリデキストロース、
29.5(重量)%のエリトリトール、および、
60.1(重量)%のトレハロース。
【0077】
この実施例では、味および外観が3人〜4人の評者の委員団によって評価されている。当該キューブは、外観について評価されている。当該キューブは、水中に溶解され、その溶液は、味について評価されている。表9は、当該製造された甘味料キューブとスクロースキューブとの比較を示している。
【表9】

【0078】
表4に示された成分を有する本発明の粘着的非自由流動性甘味料組成物は、実施例1のAの研究室規模の方法を用いて製造されている。
【表10】

【0079】
上述した、製造された粘着的非自由流動性甘味料組成物は、種々の特性に関して検査されている。
【0080】
スクロースは、白色で、高結晶質の外観を有している。甘味料キューブは、可能な限り、従来のスクロースキューブに類似した外観を有することが望ましい。各甘味料キューブの結晶質の外観は、約1.4グラムのスクロースを含有する市販のTUTTI FREE(商標)(フランス国パリ市のサン・ルイ・スクレ(Saint Louis Sucre)社)キューブと対比して、評価された。実験対象のキューブの結晶質の外観は、TUTTI FREE(商標)製品に馴染んでいる3人〜4人の委員団によって、等級1〜等級5にランク付けして評価された。等級5は、TUTTI FREE(商標)製品の外観と事実上識別できない結晶質の外観を有する甘味料キューブを示しており、等級1は、いかなる結晶質の外観も事実上示さない甘味料キューブを示している。
【0081】
表11は、相対湿度0%、50%および75%における、種々の処方のキューブの結晶質の外観を示している。これらの相対湿度は、対照の相対湿度(0%)、消費者の家庭で見られる通常の相対湿度(50%)、および、通常の条件下で予想される最大の相対湿度(75%)を示している。
【表11】

【0082】
およそ等級4より低い結晶質の外観は、従来のスクロースキューブの代替品として、消費者に許容されないはずである。
【0083】
従来のスクロースキューブは、約5%未満の脆弱性を有している。実験対象の甘味料キューブの脆弱性を確認するために、各キューブは、1ミリメートルの網上に配される。当該キューブは、その後、2インチ(約5.08センチメートル)のブラシで、そっと擦られて、あらゆる粗い粉体を除去する。キューブは、少数第4位まで秤量される。キューブは、カレバ脆弱性試験装置(Caleva friability tester)(連合王国ドーセット市のカレバ・プロセス・ソリューションズ・リミテッド(Caleva Process Solutions Ltd.))のドラム内に配されて、10回、回転させられる。当該キューブは、再度、網上に配されて、ブラシで、そっと擦られて、あらゆる粗い粉体を除去する。当該キューブは、その後、少数第4位まで再秤量される。質量の変化は、10回転で失われた重量%として示されている。
【0084】
表12は、相対湿度0%、50%および75%における、10回転された種々の処方のキューブの脆弱率を示している。
【表12】

【0085】
仮に相対湿度50%における甘味料キューブの脆弱率が約10%を超える場合に、当該キューブは、消費者への移送時および消費者による使用時に、かなりぼろぼろに砕けるはずである。消費者は、約10%を超える脆弱率を有する甘味料キューブによる、その形崩れおよび質量の低下を許容しないはずである。
【0086】
各甘味料キューブの含水率は、水分計(MX‐50またはMD‐50、米国カリフォルニア州ミルピタスのエー・アンド・ディー・エンジニアリング・インコーポレイティッド(A&D Engineering, Inc.))を用いて確認される。水分計は、甘味料キューブの全重量を基準にして、完全乾燥時に甘味料キューブにより失われた重量%を測定する。表13は、相対湿度0%、50%および75%における、種々の処方のキューブの含水率を示している。
【表13】

【0087】
仮にキューブの含水率が約3%を超える場合に、キューブは、軟らかく、かつ、脆くなることがあり、また、互いに接着することがある。消費者は、約5%を超える含水率を有する甘味料キューブがその消費時に取扱うには軟らかく、ザクザク感(crunch)に欠けることから、当該甘味料キューブを許容しないはずであり、かつ、消費者に馴染みのあるスクロースキューブとは比べものにならないはずである。
【0088】
従来のスクロースキューブは、約30,000グラムの硬度および約30,000グラム/秒(g/s)の剛性を有している。各実験対象の甘味料キューブの硬度および剛性は、TA−XT2iテクスチャー分析装置(イングランドのサレイ市のステーブル・マイクロ・システムズ・リミテッド(Stable Micro Systems, Ltd.))を用いて確認される。検査用のキューブは、直径1インチ(約2.54センチメートル)のプローブで直接、当該分析装置の検査用プラットフォーム上に水平に配される。プローブの寸法により、圧縮を平坦な縁上で発生させて、甘味料キューブの実際の硬度の値を得ることを確実にすることができる。分析装置の設定は、以下のとおりである:
検査速度:1ミリメートル/秒
破壊試験距離:4ミリメートル
距離:1ミリメートル
力:100グラム
時間:5秒
ロードセル(Load Cell):50キログラム。
【0089】
表14は、相対湿度0%、50%および75%における、種々の処方のキューブの硬度を示している。
【表14】

【0090】
仮にキューブの硬度が約5,000グラム未満である場合に、当該キューブは、脆くなり、手の圧力で破壊され得る。消費者は、約30000グラムを超える硬度を有する甘味料キューブが茶またはコーヒー等の飲料中にあまりにも遅く溶解する、すなわち、スクロースキューブよりも非常に遅く溶解することから、当該甘味料キューブを許容しないはずである。
【0091】
表15は、相対湿度0%、50%および75%における、種々の処方のキューブの剛性を示している。
【表15】

【0092】
仮にキューブの剛性が約10,000グラム/秒(g/s)を超える場合に、当該キューブは、液体中へ溶解させる、あるいは、食物に使用するために砕くのが困難になるはずである。消費者は、約30,000グラム/秒(g/s)を超える剛性を示す甘味料キューブの上述のような低速溶解性を許容しないはずである。
【0093】
TUTTI FREE(商標)(すなわち、参照用キューブ)製品に馴染んだ3人〜5人の評者は、各甘味料キューブの粘性を確認した。評者は、集団討論によって、表16の等級0〜等級5を用いて、実験対象の甘味料キューブの粘性に関する評価に達した。この等級では、TUTTI FREE(商標)製品は、等級5の粘性を有している。
【表16】

【0094】
表17は、相対湿度0%、50%および75%における、種々の処方のキューブの粘性を示している。
【表17】

【0095】
相対湿度50%における約3.5未満の粘性を有する粘着的非自由流動性甘味料組成物は、互いに、また、接触しりあらゆる表面に、接着するはずである。このような粘着的非自由流動性甘味料組成物は、消費者にとって便利ではなく、あるいは、消費者によって使用できないものになる。
【0096】
従来のスクロースキューブは、キューブ寸法および水温によって決まるが、約5秒〜20秒間の、水中への溶解時間を有している。実験対象の各甘味料キューブの溶解時間を確認するために、2リットル容量のフラスコが、約1リットルの水で満たされ、かつ、加熱プレートを備えた磁気式撹拌プレート上に配される。フラスコ内には、400ミリメートルの撹拌棒が配されている。水は、所望温度まで加熱され、かつ、毎分約150回転〜180回転で撹拌される。1ミリメートルまたは1.18ミリメートルの網を備えた篩が、配されて網にかけられ(placed mesh up)、撹拌プレート上のフラスコ内の水中に沈められている。網には、キューブを精確に据えるために、消えないマーカーで目印が付けられている。ピンセットを用いて、検査用の甘味料キューブは、精確に置くための消えない目印を用いて篩上に配される。甘味料キューブの沈水から完全溶解までの時間は測定されている。同一の組成を有する五つの甘味料キューブについての溶解時間は記録されている。溶解時間は、五つの個別の溶解時間の平均値である。
【0097】
表18は、21℃、55℃および85℃における、種々の処方のキューブの溶解時間を示している。これらの温度は、熱い飲料(85℃または55℃)の温度および室温(21℃)を示している。
【表18】

【0098】
熱い飲料(85℃)における約60秒を超える溶解時間を有する粘着的非自由流動性甘味料組成物は、消費者を満足させるほど十分に速く溶解しないはずである。
【0099】
〔実施例8〕
1.4グラムの質量を有する本発明の甘味料キューブの追加の実施例は、表19に示された成分を有している。
【表19】

【0100】
本発明の範囲は、上述の記述、実施例によって限定されるものではなく、この明細書で示唆された用途および変更は、本発明の精神から逸脱することなく、行われ得る。したがって、本発明の変更および修正が添付の請求項およびその等価部分の範囲内に入るのであれば、本発明が当該変更および修正を包含することが意図されている。特に別に規定されない限り、この明細書で使用された、すべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者の一人によって一般的に理解されるものと同一の意味を有している。この明細書で述べられた、すべての刊行物、特許出願、特許、および、他の参考文献の内容は、参照によって、そっくりそのまま、この明細書に組み込まれる。矛盾する場合に、この明細書が、定義を含めて、管理することになる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】参照用の混合物から調製された甘味料キューブと比較した際の、栄養性増量剤(表2に示されているように)および可能性のある種々の低カロリー増量剤(表2に示されているように)の比率を変化させることによる、甘味料キューブのカロリー負荷への影響を示している。
【図2】参照用の混合物から調製された甘味料キューブと比較した際の、甘味料キューブにおける栄養性増量剤(表2に示されているように)および可能性のある種々の低カロリー増量剤(表2に示されているように)の比率を変化させることの、ある範囲の相対湿度にわたる脆弱率への影響を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着的非自由流動性甘味料組成物において、
甘味化量の高強度甘味料と、
有効量の低カロリー増量剤と、
を含み、
前記粘着的非自由流動性甘味料組成物から調製され、かつ、従来のスクロースキューブと同一の物理的寸法を有する甘味料キューブは、前記従来のスクロースキューブのカロリー負荷より低いカロリー負荷、および同等の甘味を有している、粘着的非自由流動性甘味料組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の粘着的非自由流動性甘味料組成物において、
前記高強度甘味料は、アスパルテーム、アセスルファム、アリテーム、ブラゼイン、シクラミン酸、ジヒドロカルコン類、ジオスコロフィルム・クミンシーの抽出物、西アフリカイチゴ果実の抽出物、グリシルリジン、ヘルナンダルシン、モネリン、モグロシド、ネオテーム、ネオヘスペリジン、サッカリン、スクラロース、ステビア、タウマチン、および、これらの塩類、誘導体、および、組み合わせからなる群より選択される、粘着的非自由流動性甘味料組成物。
【請求項3】
請求項2に記載の粘着的非自由流動性甘味料組成物において、
前記高強度甘味料は、スクラロースである、粘着的非自由流動性甘味料組成物。
【請求項4】
請求項1に記載の粘着的非自由流動性甘味料組成物において、
前記低カロリー増量剤は、ポリデキストロース、イヌリン、可溶性繊維、ラフチリン、ラフチロース、タガトース、ラクチトール、イソマルト、マルチトール、キシリトール、エリトリトール、マンニトール、ソルビトール、通気型の糖類、通気型の多価アルコール類、通気型の複合糖質類、クエン酸カルシウム、乳酸カルシウム、および、これらの組み合わせからなる群より選択される、粘着的非自由流動性甘味料組成物。
【請求項5】
請求項4に記載の粘着的非自由流動性甘味料組成物において、
前記低カロリー増量剤は、ポリデキストロース、タガトース、エリトリトール、および、これらの組み合わせからなる群より選択される、粘着的非自由流動性甘味料組成物。
【請求項6】
請求項1に記載の粘着的非自由流動性甘味料組成物において、
前記粘着的非自由流動性甘味料組成物の全重量に基づいて、
約0.1重量%〜約0.6重量%のスクラロース;
約0重量%〜約99.5重量%のポリデキストロース;
約0重量%〜約99.5重量%のタガトース;
約0重量%〜約99.5重量%のエリトリトール;
約0重量%〜約50重量%のラクトース;
約0重量%〜約50重量%のマルトース;および、
約0重量%〜約50重量%のマルトデキストリン、
を含む、粘着的非自由流動性甘味料組成物。
【請求項7】
請求項6に記載の粘着的非自由流動性甘味料組成物において、
前記粘着的非自由流動性甘味料組成物の全重量に基づいて、
約0.4重量%〜約0.6重量%のスクラロース;
約0重量%〜約1重量%のポリデキストロース;
約0重量%〜約37.5重量%のタガトース;
約0重量%〜約37.5重量%のエリトリトール;
約0重量%〜約25重量%のラクトース;
約0重量%〜約25重量%のマルトース;および、
約0重量%〜約25重量%のマルトデキストリン、
を含む、粘着的非自由流動性甘味料組成物。
【請求項8】
粘着的非自由流動性甘味料組成物において、
前記粘着的非自由流動性甘味料組成物の全重量に基づいて、約0.4重量%のスクラロース、および、約99.6重量%のエリトリトール、
を含み、
前記粘着的非自由流動性甘味料組成物は、約0.2キロカロリーのカロリー負荷、および茶さじ約一杯のスクロースと同等の甘味を有している、粘着的非自由流動性甘味料組成物。
【請求項9】
粘着的非自由流動性甘味料組成物において、
前記粘着的非自由流動性甘味料組成物の全重量に基づいて、約0.4重量%のスクラロース、約75重量%のエリトリトール、および、約20重量%の結晶性ラクトース、
を含み、
前記粘着的非自由流動性甘味料組成物は、約1キロカロリーのカロリー負荷、および茶さじ約一杯のスクロースと同等の甘味を有している、粘着的非自由流動性甘味料組成物。
【請求項10】
粘着的非自由流動性甘味料組成物において、
前記粘着的非自由流動性甘味料組成物の全重量に基づいて、約0.4重量%のスクラロース、約10重量%のポリデキストロース、約56.6重量%のエリトリトール、および、約22.5重量%〜約33重量%のトレハロース、
を含み、
前記粘着的非自由流動性甘味料組成物は、約2キロカロリーのカロリー負荷、および茶さじ約一杯のスクロースと同等の甘味を有している、粘着的非自由流動性甘味料組成物。
【請求項11】
粘着的非自由流動性甘味料組成物において、
前記粘着的非自由流動性甘味料組成物の全重量に基づいて、約0.4重量%のスクラロース、約10重量%のポリデキストロース、約37.5重量%のエリトリトール、および、約44.6重量%〜約52.1重量%のトレハロース、
を含み、
前記粘着的非自由流動性甘味料組成物は、約3キロカロリーのカロリー負荷、および茶さじ約一杯のスクロースと同等の甘味を有している、粘着的非自由流動性甘味料組成物。
【請求項12】
粘着的非自由流動性甘味料組成物において、
前記粘着的非自由流動性甘味料組成物の全重量に基づいて、約0.4重量%のスクラロース、約10重量%のポリデキストロース、約29.5重量%のエリトリトール、および、約60.1重量%のトレハロース、
を含み、
前記粘着的非自由流動性甘味料組成物は、約4キロカロリーのカロリー負荷、および茶さじ約一杯のスクロースと同等の甘味を有している、粘着的非自由流動性甘味料組成物。
【請求項13】
低カロリーの粘着的非自由流動性甘味料組成物を製造するための方法において、
(a)混合物を形成するために、高強度甘味料を低カロリー増量剤と混合することと、
(b)前記混合物に水を添加することと、
(c)前記(b)の前記混合物を形状物に形成することと、
(d)前記形状物を乾燥させることと、
を含む、方法。
【請求項14】
低カロリーの甘味料キューブにおいて、
請求項13に記載の方法によって調製された、低カロリーの甘味料キューブ。

【公表番号】特表2010−503405(P2010−503405A)
【公表日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−528339(P2009−528339)
【出願日】平成19年9月17日(2007.9.17)
【国際出願番号】PCT/US2007/020220
【国際公開番号】WO2008/036270
【国際公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(505161460)マクニール ニュートリショナルズ,エル エル シー (11)
【Fターム(参考)】