低ノイズケーブルおよびそれを使用した装置
【課題】電磁障害(EMI)を低減させるための方法および装置を提供する。
【解決手段】本発明は、遮蔽ケーブルの組合せによって作製されるケーブルのシールドの外表面を流れる電流の低減を目指している。一実施形態において、ケーブルシールドはケーブルシールドを流れる電流を低減させるためにケーブルに沿った単数または複数の位置で互いに電気的に接続されており、EMIフィルタを接続するために被覆の外側に導電接続が設けられている。別の実施形態では、すべてのシールドと外部EMIフィルタとの間に電気接続を設けるために、ケーブル被覆が部分的に除去されている。別の実施形態では、ケーブルは、いくつかの特定周波数でシールドコモンモード電流を低減するためにλ/4スリーブチョークから成る。
【解決手段】本発明は、遮蔽ケーブルの組合せによって作製されるケーブルのシールドの外表面を流れる電流の低減を目指している。一実施形態において、ケーブルシールドはケーブルシールドを流れる電流を低減させるためにケーブルに沿った単数または複数の位置で互いに電気的に接続されており、EMIフィルタを接続するために被覆の外側に導電接続が設けられている。別の実施形態では、すべてのシールドと外部EMIフィルタとの間に電気接続を設けるために、ケーブル被覆が部分的に除去されている。別の実施形態では、ケーブルは、いくつかの特定周波数でシールドコモンモード電流を低減するためにλ/4スリーブチョークから成る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放出、被影響性および情報漏れを含む広い意味での電磁障害(EMI)の低減、特に単一遮蔽ケーブルおよび多重遮蔽ケーブルのシールドの非意図的電流の低減、そしてこれを使用した電気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子装置内の電磁障害は、意図的または非意図的な有害電磁界の存在から生じる。意図的電磁界、例えば無線通信アンテナまたは放送アンテナによって生成される磁界は、いくつかの特殊な目的のために故意に生成される。時間可変電流が電磁界を生成するので、非意図的電磁界はどんな電子装置からでも生じる可能性がある。ディジタル回路は非意図的電磁放射の広帯域源であり、いくつかの特定周波数の波長に匹敵する寸法の導体と接触しているかその近傍にあることが多い。このような導体は効果的源または受信アンテナとして作動することがある。
【0003】
導電ケーブルは、特にケーブル長に沿った横断面の不連続性、例えば屈曲や終端を理由とする、効果的放射アンテナの一例である。ケーブルは非意図的電磁導波管として働いたり、伝導されるEMIを増やす一因となったり、ソースとアンテナとの間の経路になったりする。高周波電磁波は単一導体ケーブルまたは多導体ケーブルによって導かれることがある。導体が2つの場合、任意の非零周波数で2つの基本伝搬モードが可能であり、これは時には、図8と図9に示したように電流極性18に応じてディファレンシャルモード(DM)、コモンモード(CM)と称される。
【0004】
導体の数が2つを超える場合、基本モードの数は例えば非特許文献1に示されたように増加するが、この文献ではCMが考慮されていない。任意数の導体の場合、すべての導体の電流について同じ極性で伝搬モードを定義することが可能であり、これは以下でCMまたはユニバーサルコモンモード(UCM)と呼ぶ。UCMによって運ばれる総電流はすべての導体を流れる電流すべての代数的合計である。残りの基本モードは本特許においてディファレンシャルモード(DM)と呼ぶ。
【0005】
同様に、電磁波は多重遮蔽ケーブルの単数または複数のシールドの外表面上を導くことができる。遮蔽有効性が十分に高い(良遮蔽ケーブルの)場合、ケーブル内外の磁界は結合されていないと見なすことができ、UCM定義ではシールドの内部部品を含む内部導体は考慮すべきでない。例えば、同軸ケーブル等の単一の良遮蔽ケーブルの場合、ケーブルの外側を流れる電流はCM電流またはUCM電流と呼ぶ。磁界が結合されていないと見なすのに必要な遮蔽有効性の値は、重大性の程度やケーブル内外の磁界の相対強度に依存しており、例えば磁界の1%低減は遮蔽有効性の約40dBを必要とするであろう。シールドの内部では、シールドは基準導体と考えることができ、シールドの内部部分の帰電流を有するコモンモード(LCM)のローカル定義は二軸(ツイナックス)ケーブルのような多導体ケーブルについて使用することができる。
【0006】
シールドの外側部分ではDM電流が一種のノイズであり、シールドディファレンシャルモード(SDM)という用語は、最終的に存在する他の無遮蔽ケーブルの意図的信号電流用に選択されたDMと区別するために使用される。SDMは、遮蔽ケーブルのシールドの電流と無遮蔽ケーブルの電流とを組み合わせて形成されるモードを含む。便宜上、シールドコモンモード(SCM)という用語は、遮蔽ケーブルのみが存在する場合にUCMについて使用し、そしてすべての遮蔽ケーブルで同じ電流極性を有するが少なくとも1つの無遮蔽ケーブルでは異なる極性を有するこれらのSDMについて使用する。
【0007】
HDMIケーブルのように2つ以上の遮蔽レベルを有するケーブルの場合、あるいは最終的に高い遮蔽レベルを有する構成でこれらのケーブルを組み合わせる場合、先に定義したモードのローカル定義は良遮蔽ケーブルについて可能である。これは、ローカルSDMおよびSCMを有する全シールドの外側の最も高い遮蔽レベルにも、内側の中間遮蔽レベルにも、上記定義を適用できることを意味する。
【0008】
本発明は、ケーブルシールドを流れる非意図的電流、すなわちSCM電流およびSDM電流の低減に関するものである。図3と図6の実施形態では最も外側のシールドのみ考慮される。図7の実施形態では任意の遮蔽レベルのシールドが考慮される。
【0009】
EMIに関する上記諸問題は普通、伝導・放射された放出物の問題として示される。明らかに同じ理由から、ケーブルシールドの電流は、EMIや、静電気放電、EMP(電磁パルス)および雷による不活性性という関連する問題の影響を電子装置が受けるという相互の問題でも役割を果たしている。別の重要な問題は、必ずしも放射電子装置に装着されていない、環境中に存在する遮蔽ケーブルとの直接的または間接的な結合を通した情報漏れの防止という問題である。ケーブルシールドを流れる電流の低減を目指すことで、本発明は少なくともこれらすべての分野に関係する。
【0010】
シールド電流の低減ではEMIフィルタがしばしば使用され、類似した原理に基づく多くの事例において、例えば特許文献1:米国特許第4506235号明細書ではCM電流用にこれが使用される。特許文献2:米国特許第6867362号明細書、特許文献3:米国特許第6335483号明細書等の多くの特許ではフェライトチョークが提案されている。異なる周波数でフェライトチョークを組み合わせることは、例えば特許文献4:米国特許第5287074号明細書で提案されている。例えば特許文献5:米国特許第5990417号明細書では、吸収材料のシートが提案されている。
【0011】
この種のフィルタの1つの利点として、それらは遮蔽ケーブルと無遮蔽ケーブルの両方に適用することができる。普通、それらはケーブルに電気接続される必要がなく、製造されたケーブルに対して何ら特別な努力なしに適用することができる。同様に、それらは広帯域フィルタである。他方で、最大周波数は使用する材料の磁気特性によって限定されており、標準的には1GHz未満である。CM電流の低減は必ずしも十分でなく、標準的には10dB未満である。実験的証拠が入手可能でないとしても、多重遮蔽ケーブル内のSDM電流の低減は、ケーブル横断面の電磁界の空間分布が異なるため、SCM電流の低減よりもさらに少なくなる可能性が高い。なぜならば、SDM電流ではエネルギーが主としてシールド間の空間内に集中するからである。
【0012】
フィルタがケーブルシールドへの外部接続、例えば接地接続を必要とする場合、外部絶縁体を除去しなければならない。絶縁体の開口部によってシールドと内部導体との間を内部接続することは、例えば特許文献6:米国特許第3469016号明細書で考慮されている。ケーブルシールドへの外部接続は、例えば特許文献7:米国特許第4257658号明細書に示されている。この種の接続は、標準的には、例えば特許文献8:米国特許第5597314号明細書で明確に述べられているようにケーブル接地用に使用される。接地用の遮蔽ケーブル束の接続は、例えば特許文献9:米国特許第6485335号明細書で考慮されている。
【0013】
この種の接続は、比較的大型で抵抗力のある同軸ケーブルに向いている。微小同軸ケーブル束の接地は、特許文献10:米国特許第6413103号明細書で提案されている。この特許文献では、同軸ケーブルの外部絶縁体(被覆)の除去後、当初分離されていた同軸ケーブルが、2つの導電板によってケーブル長に沿った単数または複数の位置で、頂部と底部により、横方向で電気的に互いに接触している。特許文献10の目的は、ポータブルコンピュータのシャシなどの大型導体に代表される単数または複数の接地接続によってEMIを低減させることにある。一般に接地は、ケーブルと接地表面との距離が波長よりもはるかに小さいときに効果的である。
【0014】
今日、高周波シリアルインタフェースケーブルは、1GHz超のクロック周波数を有する。そのことから、インタフェースクロック周波数に関して、GHz範囲内のいくつかの周波数でEMI放出ピークが強まる。この大きくて比較的絶縁されたノイズ周波数は、狭帯域フィルタによって、または狭帯域フィルタと広帯域フィルタとの組合せによって、一層効果的に低減させることができる。狭帯域フィルタの1つの欠点は、それらを正しい周波数に調整するために一層正確な設計を必要とすることにある。第2の欠点として、フィルタを最適化するためにノイズスペクトルの情報が必要である。それゆえに、状況に応じて、このフィルタは普通、例えば周知の特定インタフェースクロック周波数用に製造されたケーブルを除き、ケーブルと一緒に設計することができない。
【0015】
これらのフィルタの1つはλ/4CM抑制スリーブであり、例えば非特許文献2で論じられている。この種のフィルタは周知のスリーブまたはバズーカ均衡不均衡変成器の延長部であり、例えば非特許文献3で論議されている。基本的には、一端を短くされたλ/4長の導波管が理想的には反対側末端に開回路として現れるという考えである。これらのスリーブCMチョークを設計する際の1つの問題点として、CM電流伝送を最小にする共振が起こる周波数は、実際には、スリーブがλ/4長となる周波数に厳密には一致しないことがあげられる。最適スリーブ長は実際にはスリーブの直径にも依存している。
【0016】
均衡不均衡変成器は、各伝搬モードの間の伝送を改良する目的で平衡ケーブルと不平衡ケーブルとの間の伝送に使用される。CM電流の低減は、主たる目的ではないが有益かつ必要な効果である。他方で、λ/4スリーブチョークの目的は単一ケーブルのCM電流を低減することであり、それゆえに実装時にいくつかの違いが存在することがある。例えば、CM電流源は平衡線と不平衡線との間の伝送に必要とされない。さらにスリーブの位置は、CM源の近傍が好ましいとはいえ厳密に末端である必要はない。この理由から、例えば非特許文献4で論議されかつスリーブチョークに同様に適用することもできる二重周波数スリーブ均衡不均衡変成器などの一層複雑な拡張を使用する代わりに、異なる周波数でスリーブチョークを縦続接続することも可能である。
【0017】
λ/4スリーブCMサプレッサに関する1特許が特許文献11:米国特許第6284971号明細書である。この発明は磁気共鳴イメージング用ケーブルであるので、この発明の分野は若干異なる。この場合、ケーブルは単一周波数の大きな電力信号を運び、CM電流はケーブル温度を高め、患者にとっての安全リスクを生じることがある。アンテナを有するEMI等の別の分野への適用がこの特許で考慮されている。この特許は、動作周波数で約λ/4に一致した長さの多数のスリーブチョークを有するケーブルを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】米国特許第4506235号明細書
【特許文献2】米国特許第6867362号明細書
【特許文献3】米国特許第6335483号明細書
【特許文献4】米国特許第5287074号明細書
【特許文献5】米国特許第5990417号明細書
【特許文献6】米国特許第3469016号明細書
【特許文献7】米国特許第4257658号明細書
【特許文献8】米国特許第5597314号明細書
【特許文献9】米国特許第6485335号明細書
【特許文献10】米国特許第6413103号明細書
【特許文献11】米国特許第6284971号明細書
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】C.R.Paul:“Analysis of Multiconductor Transmission Lines”,2nd edition,Wiley−IEEE Press,2007.
【非特許文献2】S.A.Saario,J.W.Lu,and D.V.Thiel:“Fullwave analysis of the choking characteristics of a sleeve balun on coaxial cables”,Electronics Letters, vol.38,no.7,pp.304−305,March 2002.
【非特許文献3】J.D.Kraus:“Antennas”,2nd edition,McGrawHill,1988.
【非特許文献4】C.Ichelnand,and P.Vainikainen:“Dual−frequency balun to decrease influence of RF feed cables in small−antenna measurements”,Electronic Letters, vol.36,no.21,pp.1760−1761,Oct.2000.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
特徴。本発明の主要な対象は単数または複数の遮蔽ケーブル、例えば同軸ケーブル、ツイナックスケーブル、シリアルインタフェースケーブルその他の遮蔽ケーブルを組み合わせることによって作製される低ノイズケーブルである。ケーブルはケーブル末端にコネクタを含むことができるが、必ずしもコネクタを含む必要はない。本発明の異なる実施形態は、フィルタによって、またはケーブルシールドに対するフィルタの接続を簡素化する特徴によって、SCM電流およびSDM電流を低減するための解決策を提供する。
【0021】
構成。このケーブルには、SDM電流用反射末端を備えており、SCM電流の低減を目指してケーブルシールドとEMIフィルタとの間の接続を簡素化するいくつかの支持体が含まれている。一実施形態のケーブルでは、導電部品はケーブルシールドに接続され、EMIフィルタに接続されるよう外部誘電絶縁体の外側へと突き出している。別の実施形態では、ケーブル被覆はフィルタの逐次接続を可能とするいくつかの開口部を有する。別の実施形態において導電支持体と開口部は除去可能な絶縁体で覆われている。
【0022】
λ/4スリーブチョークを有するシリアルインタフェースケーブルに主に適用されるが、本発明は、同軸遮蔽ケーブルまたは多導体遮蔽ケーブルおよび別の種類の遮蔽ケーブル、またはEMIフィルタの組合せのような任意の遮蔽ケーブルと併用することができる。本発明によりユーザはEMIフィルタをケーブルシールドに接続し、従ってユーザの必要に応じてフィルタを最適化することができる。ケーブル製造業者がこの適用を事前に知っていれば、フィルタをケーブルと一緒に設計することが可能である。それゆえにある実施形態は、異なる周波数に調整されたλ/4スリーブチョークの組合せも含む、ケーブルとEMIフィルタとの組合せにも及んでいる。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は上記先行技術の問題を解決し、導電性ケーブルシールド(6)が巻き付けられ、ケーブルシールド(6)の外面がケーブル絶縁体(7)で覆われている、絶縁体(21、22)で覆われた1つの内部導体(19、20)を有する遮蔽ケーブル(100、110)と、導電フィルタ支持体(5)と、電磁障害を低減させるフィルタ(4、11)とから成り、導電フィルタ支持体(5)がケーブルシールド(6)に接続されかつケーブル絶縁体(7)の外側へと延びているケーブルを提供する。
【0024】
本発明は、絶縁体(21、22)で覆われた複数の内部導体(19、20)を有し、導電性ケーブルシールド(6)が巻き付けられ、導電性ケーブルシールド(6)の外面がケーブル絶縁体(7)で覆われている遮蔽ケーブル(120)と、導電フィルタ支持体(5)と、電磁障害を低減させるフィルタ(4、11)とから成り、導電フィルタ支持体(5)がケーブルシールド(6)の少なくとも1つに接続されかつケーブル絶縁体(7)の外側へと延びているケーブルも提供する。
【0025】
本発明はさらに、絶縁体(21、22)でそれぞれ覆われた複数の内部導体(19、20)を有する遮蔽ケーブル(130、140)と、導電フィルタ支持体(5)と、電磁障害を低減させるフィルタ(4、11)とから成り、前記複数の内部導体(19、20)を覆う前記絶縁体(21、22)に導電性ケーブルシールド(6、60)が巻き付けられ、前記導電性ケーブルシールドがケーブル絶縁体(7、70)で覆われ、導電フィルタ支持体(5)が前記導電性ケーブルシールド(6、60)に接続されかつケーブル絶縁体(7、70)の外側へと延びているケーブルを提供する。
【0026】
本発明はさらに、第1電気装置と第2電気装置とから成り、前記第1電気装置と前記第2電気装置が上記ケーブルによって接続されている電気装置を提供する。
【発明の効果】
【0027】
本発明の主要な目的と効果は、SCM電流およびSDM電流とそれらの電磁放射の低減である。いくつかの実施形態の第2効果は、SCMフィルタの準備が簡素化されることである。いくつかの実施形態の第3効果は、ケーブルシールドを接地導体または別の導体、例えば別の遮蔽ケーブルに接続する方策を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の略線図である。
【図2】シールド接続要素の略図である。
【図3】ストラップまたはワイヤを有する多重遮蔽ケーブルを示す。
【図4】シールド接続要素の実際的な実現状態を示す。
【図5】シールド接続要素の最適な実現状態を示す。
【図6】空隙を有する多重遮蔽ケーブルを示す。
【図7A】複数のスリーブチョークを備えた本発明のワイヤの側面図である。
【図7B】図7Aに示したケーブルのA‐A断面図である。
【図7C】図7Aに示したケーブルのB‐B断面図である。
【図7D】図7Aに示したケーブルのC‐C断面図である。
【図7E】図7Aに示したケーブルのD‐D断面図である。
【図8】2つのケーブルシールドのディファレンシャルモード電流の極性を示す。
【図9】2つのケーブルシールドのコモンモード電流の極性を示す。
【図10】同軸ケーブルの断面の略図である。
【図11】ツイナックスケーブルの断面の略図である。
【図12】SATAケーブルの1レーンの断面の略図である。
【図13】USB3.0ケーブルの断面の略図である。
【図14】HDMIケーブルの断面の略図である。
【図15】遮蔽ケーブルの組合せの略線図である。
【図16】ケーブルを有する電子装置の実施例を示す。
【図17】ケーブルを有する電子装置の組合せの実施例を示す。
【図18】ケーブルを有する電子装置の実施例を示す。
【図19】ケーブルを有する電子装置の実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下の図のいずれでも、相対寸法と形状は実際の割合および形状を表すものではない。これらの図は説明を目的とした略図にすぎない。例えば或る図で円形断面を有する導体は、明確に述べられていない限り実際に円形であると理解する必要がなく、任意の形状とすることができる。
【0030】
本発明の略図が図1に示してある。符号1としたケーブルは複数の遮蔽ケーブル2で形成されたケーブルを示している。遮蔽ケーブル2はそれぞれフィルタ支持部3に接続されている。導電支持体はEMIフィルタ4に接続されている。
【0031】
図1のケーブル1は一群の相互絶縁導体を示しており、少なくとも1つの導体は残りの導体のすべてまたはいくつかまたは1つに対して、または残る1つの導体に対して電磁シールドとして働く。シールドは普通、図2に示すケーブル絶縁体7のようなケーブル絶縁体(被覆)によって個別に、または同じものを分担して、覆われている。
【0032】
図2は2つの遮蔽ケーブル2を含むケーブル1の断面形状を示す。遮蔽ケーブル2はそれぞれケーブルシールド6で遮蔽されており、このケーブルシールドはケーブル絶縁体7で覆われている。そしてケーブルシールド6は導電部品5によって互いに接続されている。
【0033】
この定義は遮蔽ケーブル2の組合せであるケーブル1を含むが、図示しない単数または複数の遮蔽ケーブルと単数または複数の無遮蔽導体との組合せであるケーブル1も含む。本発明は遮蔽ケーブル2のシールドに適用されるので、以下では遮蔽ケーブルのみが考慮される。しかしながら、別の無遮蔽導体を設け、結合してケーブル1を形成できることも明確に理解しなければならない。
【0034】
遮蔽ケーブル2は機械的に互いに接合して、例えば図2の事例におけるように遮蔽ケーブルを取り囲むケーブル被覆7を有するケーブル1を形成することができ、または例えば多レーンSATAまたはSASケーブルのレーンのようにコネクタのみで互いに緩く束ねることができ、特許文献10:米国特許第6413103号明細書で開示された同軸ケーブルのようにいくつかの他の位置で束ねることも可能だが、必要というわけではない。
【0035】
本発明において遮蔽ケーブル2のケーブルシールド6は、単数または複数のEMIフィルタ4を接続するためにいくつかの導電フィルタ支持部3によってケーブル1に沿った単数または複数の位置で互いに接続されている。これらのフィルタ接続は、ケーブル1が2つの遮蔽ケーブル2で作製された事例について図2に導電部品5で図解的に示してある。遮蔽ケーブル2の内部は本発明に無関係なのでこの図に示してはない。導電部品5はすべての外部シールドを直接的または間接的に接続する。これらの接続の実現は後に説明する。導電部品5で表されたこれらフィルタ支持体は、SCMを低減させるためにまたはSDMをさらに低減させるために図1のEMIフィルタ4に接続することができる。導電フィルタ支持部3は接地用に使用することもできる。
【0036】
本発明の一実施形態が図3に示してある。この実施形態において図1のフィルタ支持部3は導電ストラップ8で実現されている。選択的実現は導電ワイヤ、または編組または別の可撓導体による。柔軟性が異なる種類のフィルタへの接続を一層容易とする。この実施形態ではEMIフィルタ4が設けられておらず、最終的な接続用にフィルタ支持部3(導電ストラップ8)のみが設けられている。導電ストラップ8は導電部品5に相当し、ケーブル1の内部で遮蔽ケーブル2のケーブルシールド6に接続されている。いずれの図でもフィルタストラップの寸法は図解を目的に若干誇張してある。
【0037】
フィルタ支持部3(導電ストラップ8)は図4に示すようにケーブルシールド6に接続されている。導電ストラップ8はケーブルシールド6に巻き付けられて、すべてのシールドに接続されている。導電ストラップ8の巻数は関係なく、機械的強度をもたらしかつケーブルシールド6との電気接触を向上させるために巻き数を増やすことができる。導電ストラップ8の材料は任意の導電性材料とすることができるが、例えば銅のように半田付可能な導電性材料が好ましい。導電ストラップ8はケーブルシールド6に半田付することができるが、必ずしも半田付する必要はない。それらが半田付されない場合、導電ストラップ8をケーブルシールド6に固定する別の方法、例えば導電ストラップ8の末端のピン止めまたは結束によっても可能である。
【0038】
一変形例において導電ストラップ8は除去可能な絶縁体、例えば絶縁テープで覆われている。別の変形例では、除去可能なカバー式絶縁体が同様に導電ストラップ8をケーブル被覆7に取付けている。
【0039】
同様に、内部シールド(ケーブルシールド6)のいずれにも外部から手が届く限り、第一実施形態の異なる変形例が可能である。内部シールド(ケーブルシールド6)間の接続はケーブル1の外側で実現することができるが、いくつかの伝搬モードではケーブルシールド6の間でエネルギーが集中するのでSDM電流の低減にとってあまり効果的でない。別の実施形態において、導電ストラップ8は特許文献10:米国特許第6413103号明細書に開示された板のように剛性とすることができ、または任意の形状とすることができる。一例が図5に示してあり、そこでは図4の導電ストラップ8がケーブル被覆7の向こうまで延びる完全導電表面9に取り替えられている。この構成では、SDM電流の低減が最良となる。
【0040】
特許文献10の特定実施形態のいくつかの観点は、本特許の実施形態のいくつかときわめて類似しているとしても、多くの重要な違いがある。特許文献10は、同軸ケーブルのシールドの電流を接地表面に排流させてEMIを低減することを目指している。本発明では、一般に接地接続を必要としない他のEMIフィルタ4によってケーブルシールド6の電流が低減されている。ここで論議する遮蔽ケーブル2は、同軸ケーブルだけではないがそれを含む任意種類の遮蔽ケーブルである。導電フィルタ支持体または導電部品5はフィルタ接続に備えて作られているが、それらは、EMIフィルタ4が使用されない場合もケーブル1に残ると見なされている。この理由から、いくつかの実施形態においてそれらは除去可能な(図示しない)ケーブル絶縁体で覆われている。
【0041】
この実施形態の別の変形例が図6に示してある。この実施形態では図3で説明されている導電ストラップ8が設けられていない。ケーブル1’に沿ったいくつかの位置においてケーブル被覆7’が除去されていくつかの空隙10を形成し、それにより、EMIフィルタ4をケーブルシールド6に接続するために各遮蔽ケーブル2のシールドの少なくとも一部が露出したままとされる。遮蔽ケーブル2の露出部分は除去可能な絶縁体、例えば絶縁テーブで覆うことができるが、しかし必ずしも覆っておく必要はない。
【0042】
EMIフィルタに関する実施形態の1つを、図7A〜図7Eを参考に説明する。図7Aでは、フィルタとして働きかつスリーブチョーク絶縁体16とスリーブチョークシールド17とを含む単数または複数のスリーブチョーク11がケーブル1と一緒に設けられている。ケーブル1が特定機能用に作製され、例えば高周波シリアルインタフェースケーブルの事例のように、強いEMI放出ピークが1つまたはいくつかの周波数で予想されるときには好都合である。この図には4つの異なる断面が示してある。
【0043】
図7Bの断面12は、スリーブチョーク11が設けられていないケーブル1のA‐A断面に対応している。これは、2つの遮蔽ケーブル2から成るケーブルの一例にすぎない。図7Dの断面14はスリーブチョーク11の主要部分のC‐C断面に対応しており、スリーブチョークの長さはスリーブチョーク11が機能のため必要とする周波数で約λ/4である。スリーブチョーク11の厳密な最適長さはケーブル太さとスリーブ太さとによるが、現在それは知られていない。波長はケーブル絶縁体7およびスリーブチョーク絶縁体16の誘電率を考慮して計算しなければならない。スリーブチョーク絶縁体16とケーブル絶縁体7は同質である必要がなく、多数の異なる絶縁体で構成して、例えば異なる誘電特性および/または磁気特性を有する複数の層を形成することができる。
【0044】
スリーブチョーク絶縁体16は普通、スリーブチョーク11の長さを短縮するためにケーブル絶縁体7よりも大きな誘電率を有するが、同じ誘電率またはそれより低い誘電率を有することもできる。スリーブチョーク絶縁体16は、電磁波を後方にのみ反射する代わりに散逸エネルギーによってもシールド電流をさらに低減させるために、誘電損失および/または磁気損失が大きい損失物質とすることができる。標準的構成の複雑さのゆえに普通、波長を計算するのに二次元数値シミュレーションが必要である。ケーブル1が同軸ケーブルである場合、絶縁体7、16はどちらも、円筒対称性と、得ることのできる波長について閉形状方程式とを有する。
【0045】
図7Eの断面15は、スリーブチョーク11の末端のD‐D断面に一致している。この領域には図2の導電部品5が設けられ、スリーブチョーク11のスリーブチョークシールド17に接続されている。ケーブルシールド6の間の接続がSDM電流の広帯域反射を受け持つのに対して、スリーブチョークシールド17およびケーブルシールド6自体に対する接続はSCMの狭帯域反射を受け持つ。
【0046】
図7Cの断面13は、スリーブチョークシールド17が存在しないスリーブチョーク11の他端の近傍領域にあるB‐B断面に一致している。この領域では、スリーブチョーク11の応答周波数を低減させる可能性を維持するために、チョーク絶縁体16はスリーブチョークシールド17の向こうまで延ばすことができる。これは、例えば何らかの銅テープによって、露出したチョーク絶縁体16の一部がシールドの長さを越えて延長させることで可能となる。この実施形態の別の重要な利点として、ケーブルを取り囲む空間内での電磁エネルギーはケーブル近傍よりも一層集中しており、SCMの大幅な低減が期待される。別の実施形態では、チョーク絶縁体はシールドと同じ長さを有する。
【0047】
スリーブチョークは同一である必要がなく、実施形態に応じて同じ周波数または異なる周波数に調整することができる。
【0048】
スリーブチョーク11の開口部を2つのケーブル末端のいずれかに向けることができるように、任意の数および向きのスリーブチョーク11を使用することができる。スリーブチョーク11は、スリーブチョークの内側または外側で別の種類のEMIフィルタ、例えば広帯域フェライトビーズまたは損失磁性体の薄層と組み合わせて使用することができる。
【0049】
別の実施形態では、λ/4型のスリーブだけでなく、異なる種類のスリーブチョークを使用することができる。これらのチョークは、スリーブ均衡不均衡変成器から得られたスリーブチョークと同様の仕方で、例えば非特許文献3で既知の均衡不均衡変成器から得ることができる。
【0050】
別の実施形態ではスリーブチョークは追加の絶縁体で覆うことができ、別の実施形態ではこの絶縁体をケーブルも覆うことができる。
【0051】
提案された実施形態のいくつかは特許文献11:米国特許第6284971号明細書で提案された実施形態のいくつかに類似しているが、いくつか重要な違いがある。特許文献11に述べられた発明は同じ動作周波数に調整された多数のλ/4スリーブチョークを使用しており、このスリーブチョークは多くとも1つのシールドと少なくとも1つの内部導体とを有するケーブルを取り囲んでいる。単一遮蔽ケーブルも含むこの発明は、多数の遮蔽ケーブルから成るケーブルである多重遮蔽ケーブルに的を絞っている。これは、すべてのシールドを電気的に接続してSDM電流を低減するために、導電フィルタ支持体によって表される付加的特徴を必要とする。この発明は1つの周波数に限定されず、スリーブチョークを別のEMIフィルタと組み合わせる可能性を含んでいる。
【0052】
特許文献11に述べられた発明は、ケーブル被覆とチョーク絶縁体との間を区別しておらず、スリーブチョークのシールドからケーブルシールドへと延びる単一の低損失絶縁体を規定している。それに対して本発明では、絶縁体の数は1よりも大きくすることができる。そのことから製造プロセスに重要な違いが生じる。なぜならば、本発明ではスリーブチョークはケーブル被覆とは異なる生産段階で加えることができるからである。
【0053】
図8と図9には2つのシールドの事例におけるSDM電流およびSCM電流の電流極性18が示してある。
【0054】
図10、図11、図12、図13、図14は、本発明を適用することのできる遮蔽ケーブルの実施例である。既に説明したように、別のケーブルも可能である。
【0055】
図10は同軸ケーブル100の断面の略図である。この同軸ケーブル100は、ケーブル絶縁体で覆われた1つの内部導体19、またはケーブルシールド61を巻き付けられた被覆21を有するだけであるので、本発明で考慮された最も単純な遮蔽ケーブルである。そしてケーブルシールド6の外側はケーブル絶縁体71で覆われている。ケーブルシールド61からケーブル絶縁体71の外側へと延びる導電部品5は図7Aに示すスリーブチョーク11のスリーブチョークシールド17に接続されており、このスリーブチョークがケーブル絶縁体71の外面を覆う。
【0056】
2つの内部導体19、20を有する遮蔽ケーブルの例はツイナックスケーブル110であり、図11に略示したものである。
【0057】
内部導体19を覆う絶縁体21と、内部導体20を覆う絶縁体22と、絶縁体21、22を覆う絶縁体23は、ケーブルシールド62から内部導体を電気的に絶縁している。ドレンワイヤ24は、シールドから絶縁されていないので内部導体と見なされていない。いくつかのツイナックス構成では2つのドレンワイヤがあり、時にはそれらはケーブル110の外側にある。このような事例においてそれらはシールドの一部と見なすことができる。ケーブルシールド6からケーブル絶縁体7の外側へと延びる導電部品5は、図7に示す、ケーブル絶縁体7の外面を覆うスリーブチョーク11のスリーブチョークシールド17に接続することができる。
【0058】
図12に略示したSATAケーブルレーン120は、同じケーブル絶縁体(被覆)73を共有する2つのツイナックスケーブル110の組合せと見なすことができる。そしてSATAケーブル120の構造は、導電部品5を有する図2に示したケーブル1の構造に類似している。図2の遮蔽ケーブル2は2つのツイナックスケーブル110に一致させることができる。高周波シリアルインタフェースケーブル(例えばSATAまたはSAS)では、SATAケーブルレーン120に類似したいくつかのレーンが組み合わせて使用されている。このようなレーンは普通、2つのケーブル末端のコネクタのみで互いに接続されている。
【0059】
実際には、図13、図14のUSB3.0およびHDMI構成130、140と同様に、いくつかの遮蔽レベルを有するケーブルはそれぞれ、追加の外部シールドがあるためEMI放出に関連した問題を殆ど引き起こさないと見込まれるが、そのことはSCM電流源になり得るコネクタにも依存している。その場合、本発明は単一ケーブルまたはこのようなケーブル100、110の組合せの最も外側のケーブルシールド6のみならず、ツイナックスケーブル110の内部シールドにも、適用することができる。特に、図7を参照して説明したスリーブチョークや別の種類のフィルタを既に含んでいる実施形態では、製造後にはシールドに手が届くことは必要とされないので、内部シールドにも適用することができる。
【0060】
図10では、導電部品5がケーブルシールド61から両側へと延るように図示されているが、両側に延ばす必要はなく、片側だけでも使用可能である。図11〜図14でも同様である。
【0061】
図15では図2に一致した複数のケーブル1が、図2に図示したように導電部品5によって接続されている。複数のケーブル1を導電部品5と接続し、外部導電部品5を最適フィルタ(図15には図示せず)に接続すると、電磁障害は容易に消去することができる。
【0062】
本発明は上記ケーブルを含む電気装置にも及ぶ。一例が図16に示してあり、そこではEMIフィルタ25を有するケーブルが、制御および/または処理ユニット27と記憶装置28との間で、および/またはユニット27と入出力(I/О)インタフェース26との間で使用されている。本発明は、図17に符号29と30で略示した2つ以上の電子装置を接続する外部インタフェースにも及ぶ。本発明は電子装置のサブシステム、例えば図18に示すようにインタフェース制御部32と中央処理装置31と記憶装置28とから成る記憶媒体に対する内部インタフェース、または図19に示したような入出力インタフェース26に対するインタフェースにも及ぶ。より一般的には、本発明はEMI低減を目的に発明されたケーブルを使用する任意の電子装置に及ぶ。
【0063】
本発明によれば、ケーブルの外側、または導電性ケーブルシールドを外部から接触可能とする空隙(10)を有するケーブル絶縁体の外側に導電フィルタ支持体(5、8)が延びているので、異なる特徴を有する任意種類のフィルタを容易に接続することができる。また特定電力を使用する際にケーブルを適合させるフィルタを容易に変更することができる。これは、フィルタを周波数で変更できるので、ケーブルに適用される電気周波数範囲が限定されていないことを意味する。
【符号の説明】
【0064】
1…ケーブル 2…遮蔽ケーブル 3…フィルタ支持部
4…EMIフィルタ 5…導電部品 6…ケーブルシールド
7…ケーブル絶縁体(被覆) 8…導電ストラップまたはワイヤ
9…導電表面 11…スリーブチョーク 24…ドレンワイヤ
25…EMIフィルタを有するケーブル 26…入出力インタフェース
27…制御および/または処理ユニット 28…記憶装置
29…装置1 30…装置2 31…中央処理装置
32…インタフェース制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、放出、被影響性および情報漏れを含む広い意味での電磁障害(EMI)の低減、特に単一遮蔽ケーブルおよび多重遮蔽ケーブルのシールドの非意図的電流の低減、そしてこれを使用した電気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子装置内の電磁障害は、意図的または非意図的な有害電磁界の存在から生じる。意図的電磁界、例えば無線通信アンテナまたは放送アンテナによって生成される磁界は、いくつかの特殊な目的のために故意に生成される。時間可変電流が電磁界を生成するので、非意図的電磁界はどんな電子装置からでも生じる可能性がある。ディジタル回路は非意図的電磁放射の広帯域源であり、いくつかの特定周波数の波長に匹敵する寸法の導体と接触しているかその近傍にあることが多い。このような導体は効果的源または受信アンテナとして作動することがある。
【0003】
導電ケーブルは、特にケーブル長に沿った横断面の不連続性、例えば屈曲や終端を理由とする、効果的放射アンテナの一例である。ケーブルは非意図的電磁導波管として働いたり、伝導されるEMIを増やす一因となったり、ソースとアンテナとの間の経路になったりする。高周波電磁波は単一導体ケーブルまたは多導体ケーブルによって導かれることがある。導体が2つの場合、任意の非零周波数で2つの基本伝搬モードが可能であり、これは時には、図8と図9に示したように電流極性18に応じてディファレンシャルモード(DM)、コモンモード(CM)と称される。
【0004】
導体の数が2つを超える場合、基本モードの数は例えば非特許文献1に示されたように増加するが、この文献ではCMが考慮されていない。任意数の導体の場合、すべての導体の電流について同じ極性で伝搬モードを定義することが可能であり、これは以下でCMまたはユニバーサルコモンモード(UCM)と呼ぶ。UCMによって運ばれる総電流はすべての導体を流れる電流すべての代数的合計である。残りの基本モードは本特許においてディファレンシャルモード(DM)と呼ぶ。
【0005】
同様に、電磁波は多重遮蔽ケーブルの単数または複数のシールドの外表面上を導くことができる。遮蔽有効性が十分に高い(良遮蔽ケーブルの)場合、ケーブル内外の磁界は結合されていないと見なすことができ、UCM定義ではシールドの内部部品を含む内部導体は考慮すべきでない。例えば、同軸ケーブル等の単一の良遮蔽ケーブルの場合、ケーブルの外側を流れる電流はCM電流またはUCM電流と呼ぶ。磁界が結合されていないと見なすのに必要な遮蔽有効性の値は、重大性の程度やケーブル内外の磁界の相対強度に依存しており、例えば磁界の1%低減は遮蔽有効性の約40dBを必要とするであろう。シールドの内部では、シールドは基準導体と考えることができ、シールドの内部部分の帰電流を有するコモンモード(LCM)のローカル定義は二軸(ツイナックス)ケーブルのような多導体ケーブルについて使用することができる。
【0006】
シールドの外側部分ではDM電流が一種のノイズであり、シールドディファレンシャルモード(SDM)という用語は、最終的に存在する他の無遮蔽ケーブルの意図的信号電流用に選択されたDMと区別するために使用される。SDMは、遮蔽ケーブルのシールドの電流と無遮蔽ケーブルの電流とを組み合わせて形成されるモードを含む。便宜上、シールドコモンモード(SCM)という用語は、遮蔽ケーブルのみが存在する場合にUCMについて使用し、そしてすべての遮蔽ケーブルで同じ電流極性を有するが少なくとも1つの無遮蔽ケーブルでは異なる極性を有するこれらのSDMについて使用する。
【0007】
HDMIケーブルのように2つ以上の遮蔽レベルを有するケーブルの場合、あるいは最終的に高い遮蔽レベルを有する構成でこれらのケーブルを組み合わせる場合、先に定義したモードのローカル定義は良遮蔽ケーブルについて可能である。これは、ローカルSDMおよびSCMを有する全シールドの外側の最も高い遮蔽レベルにも、内側の中間遮蔽レベルにも、上記定義を適用できることを意味する。
【0008】
本発明は、ケーブルシールドを流れる非意図的電流、すなわちSCM電流およびSDM電流の低減に関するものである。図3と図6の実施形態では最も外側のシールドのみ考慮される。図7の実施形態では任意の遮蔽レベルのシールドが考慮される。
【0009】
EMIに関する上記諸問題は普通、伝導・放射された放出物の問題として示される。明らかに同じ理由から、ケーブルシールドの電流は、EMIや、静電気放電、EMP(電磁パルス)および雷による不活性性という関連する問題の影響を電子装置が受けるという相互の問題でも役割を果たしている。別の重要な問題は、必ずしも放射電子装置に装着されていない、環境中に存在する遮蔽ケーブルとの直接的または間接的な結合を通した情報漏れの防止という問題である。ケーブルシールドを流れる電流の低減を目指すことで、本発明は少なくともこれらすべての分野に関係する。
【0010】
シールド電流の低減ではEMIフィルタがしばしば使用され、類似した原理に基づく多くの事例において、例えば特許文献1:米国特許第4506235号明細書ではCM電流用にこれが使用される。特許文献2:米国特許第6867362号明細書、特許文献3:米国特許第6335483号明細書等の多くの特許ではフェライトチョークが提案されている。異なる周波数でフェライトチョークを組み合わせることは、例えば特許文献4:米国特許第5287074号明細書で提案されている。例えば特許文献5:米国特許第5990417号明細書では、吸収材料のシートが提案されている。
【0011】
この種のフィルタの1つの利点として、それらは遮蔽ケーブルと無遮蔽ケーブルの両方に適用することができる。普通、それらはケーブルに電気接続される必要がなく、製造されたケーブルに対して何ら特別な努力なしに適用することができる。同様に、それらは広帯域フィルタである。他方で、最大周波数は使用する材料の磁気特性によって限定されており、標準的には1GHz未満である。CM電流の低減は必ずしも十分でなく、標準的には10dB未満である。実験的証拠が入手可能でないとしても、多重遮蔽ケーブル内のSDM電流の低減は、ケーブル横断面の電磁界の空間分布が異なるため、SCM電流の低減よりもさらに少なくなる可能性が高い。なぜならば、SDM電流ではエネルギーが主としてシールド間の空間内に集中するからである。
【0012】
フィルタがケーブルシールドへの外部接続、例えば接地接続を必要とする場合、外部絶縁体を除去しなければならない。絶縁体の開口部によってシールドと内部導体との間を内部接続することは、例えば特許文献6:米国特許第3469016号明細書で考慮されている。ケーブルシールドへの外部接続は、例えば特許文献7:米国特許第4257658号明細書に示されている。この種の接続は、標準的には、例えば特許文献8:米国特許第5597314号明細書で明確に述べられているようにケーブル接地用に使用される。接地用の遮蔽ケーブル束の接続は、例えば特許文献9:米国特許第6485335号明細書で考慮されている。
【0013】
この種の接続は、比較的大型で抵抗力のある同軸ケーブルに向いている。微小同軸ケーブル束の接地は、特許文献10:米国特許第6413103号明細書で提案されている。この特許文献では、同軸ケーブルの外部絶縁体(被覆)の除去後、当初分離されていた同軸ケーブルが、2つの導電板によってケーブル長に沿った単数または複数の位置で、頂部と底部により、横方向で電気的に互いに接触している。特許文献10の目的は、ポータブルコンピュータのシャシなどの大型導体に代表される単数または複数の接地接続によってEMIを低減させることにある。一般に接地は、ケーブルと接地表面との距離が波長よりもはるかに小さいときに効果的である。
【0014】
今日、高周波シリアルインタフェースケーブルは、1GHz超のクロック周波数を有する。そのことから、インタフェースクロック周波数に関して、GHz範囲内のいくつかの周波数でEMI放出ピークが強まる。この大きくて比較的絶縁されたノイズ周波数は、狭帯域フィルタによって、または狭帯域フィルタと広帯域フィルタとの組合せによって、一層効果的に低減させることができる。狭帯域フィルタの1つの欠点は、それらを正しい周波数に調整するために一層正確な設計を必要とすることにある。第2の欠点として、フィルタを最適化するためにノイズスペクトルの情報が必要である。それゆえに、状況に応じて、このフィルタは普通、例えば周知の特定インタフェースクロック周波数用に製造されたケーブルを除き、ケーブルと一緒に設計することができない。
【0015】
これらのフィルタの1つはλ/4CM抑制スリーブであり、例えば非特許文献2で論じられている。この種のフィルタは周知のスリーブまたはバズーカ均衡不均衡変成器の延長部であり、例えば非特許文献3で論議されている。基本的には、一端を短くされたλ/4長の導波管が理想的には反対側末端に開回路として現れるという考えである。これらのスリーブCMチョークを設計する際の1つの問題点として、CM電流伝送を最小にする共振が起こる周波数は、実際には、スリーブがλ/4長となる周波数に厳密には一致しないことがあげられる。最適スリーブ長は実際にはスリーブの直径にも依存している。
【0016】
均衡不均衡変成器は、各伝搬モードの間の伝送を改良する目的で平衡ケーブルと不平衡ケーブルとの間の伝送に使用される。CM電流の低減は、主たる目的ではないが有益かつ必要な効果である。他方で、λ/4スリーブチョークの目的は単一ケーブルのCM電流を低減することであり、それゆえに実装時にいくつかの違いが存在することがある。例えば、CM電流源は平衡線と不平衡線との間の伝送に必要とされない。さらにスリーブの位置は、CM源の近傍が好ましいとはいえ厳密に末端である必要はない。この理由から、例えば非特許文献4で論議されかつスリーブチョークに同様に適用することもできる二重周波数スリーブ均衡不均衡変成器などの一層複雑な拡張を使用する代わりに、異なる周波数でスリーブチョークを縦続接続することも可能である。
【0017】
λ/4スリーブCMサプレッサに関する1特許が特許文献11:米国特許第6284971号明細書である。この発明は磁気共鳴イメージング用ケーブルであるので、この発明の分野は若干異なる。この場合、ケーブルは単一周波数の大きな電力信号を運び、CM電流はケーブル温度を高め、患者にとっての安全リスクを生じることがある。アンテナを有するEMI等の別の分野への適用がこの特許で考慮されている。この特許は、動作周波数で約λ/4に一致した長さの多数のスリーブチョークを有するケーブルを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】米国特許第4506235号明細書
【特許文献2】米国特許第6867362号明細書
【特許文献3】米国特許第6335483号明細書
【特許文献4】米国特許第5287074号明細書
【特許文献5】米国特許第5990417号明細書
【特許文献6】米国特許第3469016号明細書
【特許文献7】米国特許第4257658号明細書
【特許文献8】米国特許第5597314号明細書
【特許文献9】米国特許第6485335号明細書
【特許文献10】米国特許第6413103号明細書
【特許文献11】米国特許第6284971号明細書
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】C.R.Paul:“Analysis of Multiconductor Transmission Lines”,2nd edition,Wiley−IEEE Press,2007.
【非特許文献2】S.A.Saario,J.W.Lu,and D.V.Thiel:“Fullwave analysis of the choking characteristics of a sleeve balun on coaxial cables”,Electronics Letters, vol.38,no.7,pp.304−305,March 2002.
【非特許文献3】J.D.Kraus:“Antennas”,2nd edition,McGrawHill,1988.
【非特許文献4】C.Ichelnand,and P.Vainikainen:“Dual−frequency balun to decrease influence of RF feed cables in small−antenna measurements”,Electronic Letters, vol.36,no.21,pp.1760−1761,Oct.2000.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
特徴。本発明の主要な対象は単数または複数の遮蔽ケーブル、例えば同軸ケーブル、ツイナックスケーブル、シリアルインタフェースケーブルその他の遮蔽ケーブルを組み合わせることによって作製される低ノイズケーブルである。ケーブルはケーブル末端にコネクタを含むことができるが、必ずしもコネクタを含む必要はない。本発明の異なる実施形態は、フィルタによって、またはケーブルシールドに対するフィルタの接続を簡素化する特徴によって、SCM電流およびSDM電流を低減するための解決策を提供する。
【0021】
構成。このケーブルには、SDM電流用反射末端を備えており、SCM電流の低減を目指してケーブルシールドとEMIフィルタとの間の接続を簡素化するいくつかの支持体が含まれている。一実施形態のケーブルでは、導電部品はケーブルシールドに接続され、EMIフィルタに接続されるよう外部誘電絶縁体の外側へと突き出している。別の実施形態では、ケーブル被覆はフィルタの逐次接続を可能とするいくつかの開口部を有する。別の実施形態において導電支持体と開口部は除去可能な絶縁体で覆われている。
【0022】
λ/4スリーブチョークを有するシリアルインタフェースケーブルに主に適用されるが、本発明は、同軸遮蔽ケーブルまたは多導体遮蔽ケーブルおよび別の種類の遮蔽ケーブル、またはEMIフィルタの組合せのような任意の遮蔽ケーブルと併用することができる。本発明によりユーザはEMIフィルタをケーブルシールドに接続し、従ってユーザの必要に応じてフィルタを最適化することができる。ケーブル製造業者がこの適用を事前に知っていれば、フィルタをケーブルと一緒に設計することが可能である。それゆえにある実施形態は、異なる周波数に調整されたλ/4スリーブチョークの組合せも含む、ケーブルとEMIフィルタとの組合せにも及んでいる。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は上記先行技術の問題を解決し、導電性ケーブルシールド(6)が巻き付けられ、ケーブルシールド(6)の外面がケーブル絶縁体(7)で覆われている、絶縁体(21、22)で覆われた1つの内部導体(19、20)を有する遮蔽ケーブル(100、110)と、導電フィルタ支持体(5)と、電磁障害を低減させるフィルタ(4、11)とから成り、導電フィルタ支持体(5)がケーブルシールド(6)に接続されかつケーブル絶縁体(7)の外側へと延びているケーブルを提供する。
【0024】
本発明は、絶縁体(21、22)で覆われた複数の内部導体(19、20)を有し、導電性ケーブルシールド(6)が巻き付けられ、導電性ケーブルシールド(6)の外面がケーブル絶縁体(7)で覆われている遮蔽ケーブル(120)と、導電フィルタ支持体(5)と、電磁障害を低減させるフィルタ(4、11)とから成り、導電フィルタ支持体(5)がケーブルシールド(6)の少なくとも1つに接続されかつケーブル絶縁体(7)の外側へと延びているケーブルも提供する。
【0025】
本発明はさらに、絶縁体(21、22)でそれぞれ覆われた複数の内部導体(19、20)を有する遮蔽ケーブル(130、140)と、導電フィルタ支持体(5)と、電磁障害を低減させるフィルタ(4、11)とから成り、前記複数の内部導体(19、20)を覆う前記絶縁体(21、22)に導電性ケーブルシールド(6、60)が巻き付けられ、前記導電性ケーブルシールドがケーブル絶縁体(7、70)で覆われ、導電フィルタ支持体(5)が前記導電性ケーブルシールド(6、60)に接続されかつケーブル絶縁体(7、70)の外側へと延びているケーブルを提供する。
【0026】
本発明はさらに、第1電気装置と第2電気装置とから成り、前記第1電気装置と前記第2電気装置が上記ケーブルによって接続されている電気装置を提供する。
【発明の効果】
【0027】
本発明の主要な目的と効果は、SCM電流およびSDM電流とそれらの電磁放射の低減である。いくつかの実施形態の第2効果は、SCMフィルタの準備が簡素化されることである。いくつかの実施形態の第3効果は、ケーブルシールドを接地導体または別の導体、例えば別の遮蔽ケーブルに接続する方策を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の略線図である。
【図2】シールド接続要素の略図である。
【図3】ストラップまたはワイヤを有する多重遮蔽ケーブルを示す。
【図4】シールド接続要素の実際的な実現状態を示す。
【図5】シールド接続要素の最適な実現状態を示す。
【図6】空隙を有する多重遮蔽ケーブルを示す。
【図7A】複数のスリーブチョークを備えた本発明のワイヤの側面図である。
【図7B】図7Aに示したケーブルのA‐A断面図である。
【図7C】図7Aに示したケーブルのB‐B断面図である。
【図7D】図7Aに示したケーブルのC‐C断面図である。
【図7E】図7Aに示したケーブルのD‐D断面図である。
【図8】2つのケーブルシールドのディファレンシャルモード電流の極性を示す。
【図9】2つのケーブルシールドのコモンモード電流の極性を示す。
【図10】同軸ケーブルの断面の略図である。
【図11】ツイナックスケーブルの断面の略図である。
【図12】SATAケーブルの1レーンの断面の略図である。
【図13】USB3.0ケーブルの断面の略図である。
【図14】HDMIケーブルの断面の略図である。
【図15】遮蔽ケーブルの組合せの略線図である。
【図16】ケーブルを有する電子装置の実施例を示す。
【図17】ケーブルを有する電子装置の組合せの実施例を示す。
【図18】ケーブルを有する電子装置の実施例を示す。
【図19】ケーブルを有する電子装置の実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下の図のいずれでも、相対寸法と形状は実際の割合および形状を表すものではない。これらの図は説明を目的とした略図にすぎない。例えば或る図で円形断面を有する導体は、明確に述べられていない限り実際に円形であると理解する必要がなく、任意の形状とすることができる。
【0030】
本発明の略図が図1に示してある。符号1としたケーブルは複数の遮蔽ケーブル2で形成されたケーブルを示している。遮蔽ケーブル2はそれぞれフィルタ支持部3に接続されている。導電支持体はEMIフィルタ4に接続されている。
【0031】
図1のケーブル1は一群の相互絶縁導体を示しており、少なくとも1つの導体は残りの導体のすべてまたはいくつかまたは1つに対して、または残る1つの導体に対して電磁シールドとして働く。シールドは普通、図2に示すケーブル絶縁体7のようなケーブル絶縁体(被覆)によって個別に、または同じものを分担して、覆われている。
【0032】
図2は2つの遮蔽ケーブル2を含むケーブル1の断面形状を示す。遮蔽ケーブル2はそれぞれケーブルシールド6で遮蔽されており、このケーブルシールドはケーブル絶縁体7で覆われている。そしてケーブルシールド6は導電部品5によって互いに接続されている。
【0033】
この定義は遮蔽ケーブル2の組合せであるケーブル1を含むが、図示しない単数または複数の遮蔽ケーブルと単数または複数の無遮蔽導体との組合せであるケーブル1も含む。本発明は遮蔽ケーブル2のシールドに適用されるので、以下では遮蔽ケーブルのみが考慮される。しかしながら、別の無遮蔽導体を設け、結合してケーブル1を形成できることも明確に理解しなければならない。
【0034】
遮蔽ケーブル2は機械的に互いに接合して、例えば図2の事例におけるように遮蔽ケーブルを取り囲むケーブル被覆7を有するケーブル1を形成することができ、または例えば多レーンSATAまたはSASケーブルのレーンのようにコネクタのみで互いに緩く束ねることができ、特許文献10:米国特許第6413103号明細書で開示された同軸ケーブルのようにいくつかの他の位置で束ねることも可能だが、必要というわけではない。
【0035】
本発明において遮蔽ケーブル2のケーブルシールド6は、単数または複数のEMIフィルタ4を接続するためにいくつかの導電フィルタ支持部3によってケーブル1に沿った単数または複数の位置で互いに接続されている。これらのフィルタ接続は、ケーブル1が2つの遮蔽ケーブル2で作製された事例について図2に導電部品5で図解的に示してある。遮蔽ケーブル2の内部は本発明に無関係なのでこの図に示してはない。導電部品5はすべての外部シールドを直接的または間接的に接続する。これらの接続の実現は後に説明する。導電部品5で表されたこれらフィルタ支持体は、SCMを低減させるためにまたはSDMをさらに低減させるために図1のEMIフィルタ4に接続することができる。導電フィルタ支持部3は接地用に使用することもできる。
【0036】
本発明の一実施形態が図3に示してある。この実施形態において図1のフィルタ支持部3は導電ストラップ8で実現されている。選択的実現は導電ワイヤ、または編組または別の可撓導体による。柔軟性が異なる種類のフィルタへの接続を一層容易とする。この実施形態ではEMIフィルタ4が設けられておらず、最終的な接続用にフィルタ支持部3(導電ストラップ8)のみが設けられている。導電ストラップ8は導電部品5に相当し、ケーブル1の内部で遮蔽ケーブル2のケーブルシールド6に接続されている。いずれの図でもフィルタストラップの寸法は図解を目的に若干誇張してある。
【0037】
フィルタ支持部3(導電ストラップ8)は図4に示すようにケーブルシールド6に接続されている。導電ストラップ8はケーブルシールド6に巻き付けられて、すべてのシールドに接続されている。導電ストラップ8の巻数は関係なく、機械的強度をもたらしかつケーブルシールド6との電気接触を向上させるために巻き数を増やすことができる。導電ストラップ8の材料は任意の導電性材料とすることができるが、例えば銅のように半田付可能な導電性材料が好ましい。導電ストラップ8はケーブルシールド6に半田付することができるが、必ずしも半田付する必要はない。それらが半田付されない場合、導電ストラップ8をケーブルシールド6に固定する別の方法、例えば導電ストラップ8の末端のピン止めまたは結束によっても可能である。
【0038】
一変形例において導電ストラップ8は除去可能な絶縁体、例えば絶縁テープで覆われている。別の変形例では、除去可能なカバー式絶縁体が同様に導電ストラップ8をケーブル被覆7に取付けている。
【0039】
同様に、内部シールド(ケーブルシールド6)のいずれにも外部から手が届く限り、第一実施形態の異なる変形例が可能である。内部シールド(ケーブルシールド6)間の接続はケーブル1の外側で実現することができるが、いくつかの伝搬モードではケーブルシールド6の間でエネルギーが集中するのでSDM電流の低減にとってあまり効果的でない。別の実施形態において、導電ストラップ8は特許文献10:米国特許第6413103号明細書に開示された板のように剛性とすることができ、または任意の形状とすることができる。一例が図5に示してあり、そこでは図4の導電ストラップ8がケーブル被覆7の向こうまで延びる完全導電表面9に取り替えられている。この構成では、SDM電流の低減が最良となる。
【0040】
特許文献10の特定実施形態のいくつかの観点は、本特許の実施形態のいくつかときわめて類似しているとしても、多くの重要な違いがある。特許文献10は、同軸ケーブルのシールドの電流を接地表面に排流させてEMIを低減することを目指している。本発明では、一般に接地接続を必要としない他のEMIフィルタ4によってケーブルシールド6の電流が低減されている。ここで論議する遮蔽ケーブル2は、同軸ケーブルだけではないがそれを含む任意種類の遮蔽ケーブルである。導電フィルタ支持体または導電部品5はフィルタ接続に備えて作られているが、それらは、EMIフィルタ4が使用されない場合もケーブル1に残ると見なされている。この理由から、いくつかの実施形態においてそれらは除去可能な(図示しない)ケーブル絶縁体で覆われている。
【0041】
この実施形態の別の変形例が図6に示してある。この実施形態では図3で説明されている導電ストラップ8が設けられていない。ケーブル1’に沿ったいくつかの位置においてケーブル被覆7’が除去されていくつかの空隙10を形成し、それにより、EMIフィルタ4をケーブルシールド6に接続するために各遮蔽ケーブル2のシールドの少なくとも一部が露出したままとされる。遮蔽ケーブル2の露出部分は除去可能な絶縁体、例えば絶縁テーブで覆うことができるが、しかし必ずしも覆っておく必要はない。
【0042】
EMIフィルタに関する実施形態の1つを、図7A〜図7Eを参考に説明する。図7Aでは、フィルタとして働きかつスリーブチョーク絶縁体16とスリーブチョークシールド17とを含む単数または複数のスリーブチョーク11がケーブル1と一緒に設けられている。ケーブル1が特定機能用に作製され、例えば高周波シリアルインタフェースケーブルの事例のように、強いEMI放出ピークが1つまたはいくつかの周波数で予想されるときには好都合である。この図には4つの異なる断面が示してある。
【0043】
図7Bの断面12は、スリーブチョーク11が設けられていないケーブル1のA‐A断面に対応している。これは、2つの遮蔽ケーブル2から成るケーブルの一例にすぎない。図7Dの断面14はスリーブチョーク11の主要部分のC‐C断面に対応しており、スリーブチョークの長さはスリーブチョーク11が機能のため必要とする周波数で約λ/4である。スリーブチョーク11の厳密な最適長さはケーブル太さとスリーブ太さとによるが、現在それは知られていない。波長はケーブル絶縁体7およびスリーブチョーク絶縁体16の誘電率を考慮して計算しなければならない。スリーブチョーク絶縁体16とケーブル絶縁体7は同質である必要がなく、多数の異なる絶縁体で構成して、例えば異なる誘電特性および/または磁気特性を有する複数の層を形成することができる。
【0044】
スリーブチョーク絶縁体16は普通、スリーブチョーク11の長さを短縮するためにケーブル絶縁体7よりも大きな誘電率を有するが、同じ誘電率またはそれより低い誘電率を有することもできる。スリーブチョーク絶縁体16は、電磁波を後方にのみ反射する代わりに散逸エネルギーによってもシールド電流をさらに低減させるために、誘電損失および/または磁気損失が大きい損失物質とすることができる。標準的構成の複雑さのゆえに普通、波長を計算するのに二次元数値シミュレーションが必要である。ケーブル1が同軸ケーブルである場合、絶縁体7、16はどちらも、円筒対称性と、得ることのできる波長について閉形状方程式とを有する。
【0045】
図7Eの断面15は、スリーブチョーク11の末端のD‐D断面に一致している。この領域には図2の導電部品5が設けられ、スリーブチョーク11のスリーブチョークシールド17に接続されている。ケーブルシールド6の間の接続がSDM電流の広帯域反射を受け持つのに対して、スリーブチョークシールド17およびケーブルシールド6自体に対する接続はSCMの狭帯域反射を受け持つ。
【0046】
図7Cの断面13は、スリーブチョークシールド17が存在しないスリーブチョーク11の他端の近傍領域にあるB‐B断面に一致している。この領域では、スリーブチョーク11の応答周波数を低減させる可能性を維持するために、チョーク絶縁体16はスリーブチョークシールド17の向こうまで延ばすことができる。これは、例えば何らかの銅テープによって、露出したチョーク絶縁体16の一部がシールドの長さを越えて延長させることで可能となる。この実施形態の別の重要な利点として、ケーブルを取り囲む空間内での電磁エネルギーはケーブル近傍よりも一層集中しており、SCMの大幅な低減が期待される。別の実施形態では、チョーク絶縁体はシールドと同じ長さを有する。
【0047】
スリーブチョークは同一である必要がなく、実施形態に応じて同じ周波数または異なる周波数に調整することができる。
【0048】
スリーブチョーク11の開口部を2つのケーブル末端のいずれかに向けることができるように、任意の数および向きのスリーブチョーク11を使用することができる。スリーブチョーク11は、スリーブチョークの内側または外側で別の種類のEMIフィルタ、例えば広帯域フェライトビーズまたは損失磁性体の薄層と組み合わせて使用することができる。
【0049】
別の実施形態では、λ/4型のスリーブだけでなく、異なる種類のスリーブチョークを使用することができる。これらのチョークは、スリーブ均衡不均衡変成器から得られたスリーブチョークと同様の仕方で、例えば非特許文献3で既知の均衡不均衡変成器から得ることができる。
【0050】
別の実施形態ではスリーブチョークは追加の絶縁体で覆うことができ、別の実施形態ではこの絶縁体をケーブルも覆うことができる。
【0051】
提案された実施形態のいくつかは特許文献11:米国特許第6284971号明細書で提案された実施形態のいくつかに類似しているが、いくつか重要な違いがある。特許文献11に述べられた発明は同じ動作周波数に調整された多数のλ/4スリーブチョークを使用しており、このスリーブチョークは多くとも1つのシールドと少なくとも1つの内部導体とを有するケーブルを取り囲んでいる。単一遮蔽ケーブルも含むこの発明は、多数の遮蔽ケーブルから成るケーブルである多重遮蔽ケーブルに的を絞っている。これは、すべてのシールドを電気的に接続してSDM電流を低減するために、導電フィルタ支持体によって表される付加的特徴を必要とする。この発明は1つの周波数に限定されず、スリーブチョークを別のEMIフィルタと組み合わせる可能性を含んでいる。
【0052】
特許文献11に述べられた発明は、ケーブル被覆とチョーク絶縁体との間を区別しておらず、スリーブチョークのシールドからケーブルシールドへと延びる単一の低損失絶縁体を規定している。それに対して本発明では、絶縁体の数は1よりも大きくすることができる。そのことから製造プロセスに重要な違いが生じる。なぜならば、本発明ではスリーブチョークはケーブル被覆とは異なる生産段階で加えることができるからである。
【0053】
図8と図9には2つのシールドの事例におけるSDM電流およびSCM電流の電流極性18が示してある。
【0054】
図10、図11、図12、図13、図14は、本発明を適用することのできる遮蔽ケーブルの実施例である。既に説明したように、別のケーブルも可能である。
【0055】
図10は同軸ケーブル100の断面の略図である。この同軸ケーブル100は、ケーブル絶縁体で覆われた1つの内部導体19、またはケーブルシールド61を巻き付けられた被覆21を有するだけであるので、本発明で考慮された最も単純な遮蔽ケーブルである。そしてケーブルシールド6の外側はケーブル絶縁体71で覆われている。ケーブルシールド61からケーブル絶縁体71の外側へと延びる導電部品5は図7Aに示すスリーブチョーク11のスリーブチョークシールド17に接続されており、このスリーブチョークがケーブル絶縁体71の外面を覆う。
【0056】
2つの内部導体19、20を有する遮蔽ケーブルの例はツイナックスケーブル110であり、図11に略示したものである。
【0057】
内部導体19を覆う絶縁体21と、内部導体20を覆う絶縁体22と、絶縁体21、22を覆う絶縁体23は、ケーブルシールド62から内部導体を電気的に絶縁している。ドレンワイヤ24は、シールドから絶縁されていないので内部導体と見なされていない。いくつかのツイナックス構成では2つのドレンワイヤがあり、時にはそれらはケーブル110の外側にある。このような事例においてそれらはシールドの一部と見なすことができる。ケーブルシールド6からケーブル絶縁体7の外側へと延びる導電部品5は、図7に示す、ケーブル絶縁体7の外面を覆うスリーブチョーク11のスリーブチョークシールド17に接続することができる。
【0058】
図12に略示したSATAケーブルレーン120は、同じケーブル絶縁体(被覆)73を共有する2つのツイナックスケーブル110の組合せと見なすことができる。そしてSATAケーブル120の構造は、導電部品5を有する図2に示したケーブル1の構造に類似している。図2の遮蔽ケーブル2は2つのツイナックスケーブル110に一致させることができる。高周波シリアルインタフェースケーブル(例えばSATAまたはSAS)では、SATAケーブルレーン120に類似したいくつかのレーンが組み合わせて使用されている。このようなレーンは普通、2つのケーブル末端のコネクタのみで互いに接続されている。
【0059】
実際には、図13、図14のUSB3.0およびHDMI構成130、140と同様に、いくつかの遮蔽レベルを有するケーブルはそれぞれ、追加の外部シールドがあるためEMI放出に関連した問題を殆ど引き起こさないと見込まれるが、そのことはSCM電流源になり得るコネクタにも依存している。その場合、本発明は単一ケーブルまたはこのようなケーブル100、110の組合せの最も外側のケーブルシールド6のみならず、ツイナックスケーブル110の内部シールドにも、適用することができる。特に、図7を参照して説明したスリーブチョークや別の種類のフィルタを既に含んでいる実施形態では、製造後にはシールドに手が届くことは必要とされないので、内部シールドにも適用することができる。
【0060】
図10では、導電部品5がケーブルシールド61から両側へと延るように図示されているが、両側に延ばす必要はなく、片側だけでも使用可能である。図11〜図14でも同様である。
【0061】
図15では図2に一致した複数のケーブル1が、図2に図示したように導電部品5によって接続されている。複数のケーブル1を導電部品5と接続し、外部導電部品5を最適フィルタ(図15には図示せず)に接続すると、電磁障害は容易に消去することができる。
【0062】
本発明は上記ケーブルを含む電気装置にも及ぶ。一例が図16に示してあり、そこではEMIフィルタ25を有するケーブルが、制御および/または処理ユニット27と記憶装置28との間で、および/またはユニット27と入出力(I/О)インタフェース26との間で使用されている。本発明は、図17に符号29と30で略示した2つ以上の電子装置を接続する外部インタフェースにも及ぶ。本発明は電子装置のサブシステム、例えば図18に示すようにインタフェース制御部32と中央処理装置31と記憶装置28とから成る記憶媒体に対する内部インタフェース、または図19に示したような入出力インタフェース26に対するインタフェースにも及ぶ。より一般的には、本発明はEMI低減を目的に発明されたケーブルを使用する任意の電子装置に及ぶ。
【0063】
本発明によれば、ケーブルの外側、または導電性ケーブルシールドを外部から接触可能とする空隙(10)を有するケーブル絶縁体の外側に導電フィルタ支持体(5、8)が延びているので、異なる特徴を有する任意種類のフィルタを容易に接続することができる。また特定電力を使用する際にケーブルを適合させるフィルタを容易に変更することができる。これは、フィルタを周波数で変更できるので、ケーブルに適用される電気周波数範囲が限定されていないことを意味する。
【符号の説明】
【0064】
1…ケーブル 2…遮蔽ケーブル 3…フィルタ支持部
4…EMIフィルタ 5…導電部品 6…ケーブルシールド
7…ケーブル絶縁体(被覆) 8…導電ストラップまたはワイヤ
9…導電表面 11…スリーブチョーク 24…ドレンワイヤ
25…EMIフィルタを有するケーブル 26…入出力インタフェース
27…制御および/または処理ユニット 28…記憶装置
29…装置1 30…装置2 31…中央処理装置
32…インタフェース制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性ケーブルシールドが巻き付けられ、前記ケーブルシールドの外面がケーブル絶縁体で覆われている、絶縁体で覆われた1つの内部導体を有する遮蔽ケーブルと、導電フィルタ支持体とを備えた低ノイズケーブルであって、前記導電フィルタ支持体が前記ケーブルシールドに接続されかつ前記ケーブル絶縁体の外側へと延びていることを特徴とする低ノイズケーブル。
【請求項2】
絶縁体で覆われた複数の内部導体を有し、前記絶縁体に導電性ケーブルシールドが巻き付けられ、前記導電性ケーブルシールドの外面がケーブル絶縁体で覆われている遮蔽ケーブルと、導電フィルタ支持体とを備えた低ノイズケーブルであって、前記導電フィルタ支持体が前記ケーブルシールドの少なくとも1つに接続されかつ前記ケーブル絶縁体の外側へと延びていることを特徴とする低ノイズケーブル。
【請求項3】
それぞれ絶縁体で覆われた複数の内部導体を有する遮蔽ケーブルと、導電フィルタ支持体とを備えた低ノイズケーブルであって、前記複数の内部導体を覆う前記絶縁体に導電性ケーブルシールドが巻き付けられ、前記導電性ケーブルシールドがケーブル絶縁体で覆われ、前記導電フィルタ支持体が前記導電性ケーブルシールドに接続されかつ前記ケーブル絶縁体の外側へと延びていることを特徴とする低ノイズケーブル。
【請求項4】
それぞれ前記絶縁体で覆われた前記複数の内部導体のいくつかに内部導電性シールドが巻き付けられていることを特徴とする請求項3記載の低ノイズケーブル。
【請求項5】
さらに、電磁障害を低減するフィルタを備えた低ノイズケーブルであって、前記フィルタが前記遮蔽ケーブルを覆うλ/4スリーブチョークであり、前記λ/4スリーブチョークが、前記ケーブル絶縁体に巻き付けられるスリーブチョーク絶縁体と、前記スリーブチョーク絶縁体を覆う導電性スリーブチョークシールドとを含むことを特徴とする請求項2または3記載の低ノイズケーブル。
【請求項6】
約λ/4波長の長さを有する前記導電性スリーブチョークが前記内部導体に適用されることを特徴とする請求項5記載の低ノイズケーブル。
【請求項7】
前記スリーブチョーク絶縁体が前記ケーブル絶縁体よりも大きな誘電率を有することを特徴とする請求項5記載の低ノイズケーブル。
【請求項8】
前記スリーブチョーク絶縁体が前記導電性スリーブチョークシールドよりも長いことを特徴とする請求項5記載の低ノイズケーブル。
【請求項9】
第1電気装置と第2電気装置とを備えた電気装置であって、前記第1電気装置と前記第2電気装置が請求項1または2または3の何れかで規定された低ノイズケーブルによって接続されていることを特徴とする電気装置。
【請求項10】
前記第1電気装置が制御および/または処理ユニットであり、前記第2電気装置が入出力インタフェース制御部であることを特徴とする請求項9記載の電気装置。
【請求項11】
前記第1電気装置が記憶装置であり、前記第2電気装置が入出力インタフェースおよび/またはインタフェース制御部であることを特徴とする請求項9記載の電気装置。
【請求項1】
導電性ケーブルシールドが巻き付けられ、前記ケーブルシールドの外面がケーブル絶縁体で覆われている、絶縁体で覆われた1つの内部導体を有する遮蔽ケーブルと、導電フィルタ支持体とを備えた低ノイズケーブルであって、前記導電フィルタ支持体が前記ケーブルシールドに接続されかつ前記ケーブル絶縁体の外側へと延びていることを特徴とする低ノイズケーブル。
【請求項2】
絶縁体で覆われた複数の内部導体を有し、前記絶縁体に導電性ケーブルシールドが巻き付けられ、前記導電性ケーブルシールドの外面がケーブル絶縁体で覆われている遮蔽ケーブルと、導電フィルタ支持体とを備えた低ノイズケーブルであって、前記導電フィルタ支持体が前記ケーブルシールドの少なくとも1つに接続されかつ前記ケーブル絶縁体の外側へと延びていることを特徴とする低ノイズケーブル。
【請求項3】
それぞれ絶縁体で覆われた複数の内部導体を有する遮蔽ケーブルと、導電フィルタ支持体とを備えた低ノイズケーブルであって、前記複数の内部導体を覆う前記絶縁体に導電性ケーブルシールドが巻き付けられ、前記導電性ケーブルシールドがケーブル絶縁体で覆われ、前記導電フィルタ支持体が前記導電性ケーブルシールドに接続されかつ前記ケーブル絶縁体の外側へと延びていることを特徴とする低ノイズケーブル。
【請求項4】
それぞれ前記絶縁体で覆われた前記複数の内部導体のいくつかに内部導電性シールドが巻き付けられていることを特徴とする請求項3記載の低ノイズケーブル。
【請求項5】
さらに、電磁障害を低減するフィルタを備えた低ノイズケーブルであって、前記フィルタが前記遮蔽ケーブルを覆うλ/4スリーブチョークであり、前記λ/4スリーブチョークが、前記ケーブル絶縁体に巻き付けられるスリーブチョーク絶縁体と、前記スリーブチョーク絶縁体を覆う導電性スリーブチョークシールドとを含むことを特徴とする請求項2または3記載の低ノイズケーブル。
【請求項6】
約λ/4波長の長さを有する前記導電性スリーブチョークが前記内部導体に適用されることを特徴とする請求項5記載の低ノイズケーブル。
【請求項7】
前記スリーブチョーク絶縁体が前記ケーブル絶縁体よりも大きな誘電率を有することを特徴とする請求項5記載の低ノイズケーブル。
【請求項8】
前記スリーブチョーク絶縁体が前記導電性スリーブチョークシールドよりも長いことを特徴とする請求項5記載の低ノイズケーブル。
【請求項9】
第1電気装置と第2電気装置とを備えた電気装置であって、前記第1電気装置と前記第2電気装置が請求項1または2または3の何れかで規定された低ノイズケーブルによって接続されていることを特徴とする電気装置。
【請求項10】
前記第1電気装置が制御および/または処理ユニットであり、前記第2電気装置が入出力インタフェース制御部であることを特徴とする請求項9記載の電気装置。
【請求項11】
前記第1電気装置が記憶装置であり、前記第2電気装置が入出力インタフェースおよび/またはインタフェース制御部であることを特徴とする請求項9記載の電気装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2011−222155(P2011−222155A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−87006(P2010−87006)
【出願日】平成22年4月5日(2010.4.5)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−87006(P2010−87006)
【出願日】平成22年4月5日(2010.4.5)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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