低丈ワンウェイバルブ
医療装置のルーメンのために構成されたバルブが提供されている。当該バルブは、第1形態から第2形態へと弾性的に変形するバルブ本体を含む。当該バルブ本体には、閉鎖形態と開口形態を有するルーメンが含まれる。バルブ本体を第1形態から第2形態へと弾性的に変形することで、当該ルーメンを、閉鎖形態から開口形態へと作動する。当該バルブ本体は、医療装置のルーメンの内表面とともにシールを形成するよう構成される部分を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的に、医療装置に関し、特に、医療装置と共に使用するために構成された低丈ワンウェイバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
人体の内深にある病状および/または外傷のための従来の外科的処置によって、重篤な外傷が組織に侵入する可能性がある。切開外科処置は、長い切開、広範な筋肉除去、緩慢な組織の退縮、除神経及び手術部位にアクセスする為の組織の脈管切除を要する。これらの外科処置の殆どは、外科処置時に、通常の麻酔の使用と組織の破壊により、回復室に数時間、処置後の回復時間に数週間を要する。場合によっては、これらの侵襲的処置は、永続的な瘢痕化と苦痛につながることもある。
【0003】
内視鏡技術等の最小限の侵襲的措置は、痛み、処置後の回復時間、及び健全な組織の破壊を減らす。最小限の侵襲的処置では、病変の箇所は、大掛かりな切開よりはむしろ門脈を通じてアクセスされ、介在組織の一体化を防ぐ。これらの最小限の侵襲的技術は、また、局所麻酔のみを必要とすることが多い。全身麻酔を避けることで、処置後の回復時間や合併症のリスクを減らすことができる。
【0004】
それにもかかわらず、最小限の侵襲的処置技術を改善する装置や方法を開発する必要性がいまだに存在する。例えば、経口胆道鏡検査等の内視鏡処置の中には、現在利用可能な医療装置の限界のために処置上の不十分さがあるものがある。経口胆道鏡検査は、通常、「マザー/ベビー」スコープシステムを用いて2人の熟練の内視鏡検査員によって行われる。「マザー/ベビー」スコープシステムでは、細いファイバースコープが大きな治療用内視鏡(例えば、十二指腸内視鏡)のワーキングチャネルに差し込まれる。「マザー/ベビー」スコープ技術は、人件費や装置費が高価である。2人の内視鏡検査員に助手が加わり、2つのイメージプロセッサ(各カメラに1台ずつ)、及び結果的に起こる画質の劣化の通常の作業時に損傷することが多いベビースコープにある高価な光ファイバーを要する。光ファイバーのベビースコープの標準の1.2mmのワーキングチャネルは、診断上および治療上の選択肢に制限がある。それ故、肝管及び膵管を通じて蛇行可能に大きさを合わせることによって、胆道鏡として機能するように構成された内視鏡を提供することが望ましい。当該スコープは現在利用可能であるが、望ましい処置費用で高い品質の画像(例えば、光ファイバー画像より優れたもの)を提供するプロセスで、如何に患者の胆管に効率よく導入するかという問題に直面している。こうした問題には、マザースコープを通して患者の胆管への1.2mmよりも大きいワーキングチャネルを有する、大きな光ファイバーのベビースコープを操作するという困難が含まれる。第1スコープ(例えば、「マザースコープ」)なしで胆管やその他の患者の体内構造へと小さなスコープ(「ベビースコープ」の大きさ以下)を導入すると、あるタイプの「運航経路」を提供する必要がある。というのは、より小型のスコープは、食道、胃及び十二指腸を通じて、例えば、総胆管へと独立して直接的に向かう/進むために十分固く頑丈ではないからである。
【0005】
それ故、直接的経口胆道鏡検査(POC)を行う技術が開発されている。直接的経口胆道鏡検査は、単一のイメージプロセッサを操作する内視鏡検査員一人だけを要し、2mmの付属チャネルを提供し、既存のスコープ、イメージプロセッサ及びモニターと共に使用できる相補型MOS(CMOS)やCCSカメラを使用する。そのように改良された技術の一例が、「極細径上位内視鏡を用いたオーバーチューブバルーン支援の直接的経口胆道鏡検査」(Choi等、胃腸内視鏡検査、69(4):935−40、2009年4月)において開示されている。そこでは、2重バルーン腸管視鏡用に使用されるタイプのバルーンの付いたオーバーチューブがそのオーバーチューブのルーメン内で支えられた極細径スコープの付いたファーター膨大部に隣接する十二指腸へと導かれ、その後、当該スコープは、すでに膨張した胆管へと導かれていくものであった。
【0006】
より効果的で侵襲性が最小限である処置のための装置を提供するのは利点がある。特に、標準サイズの内視鏡(例えば、十二指腸内視鏡)の使用と組合わせて、胆道鏡検査及び膵臓鏡検査に相応しい極細径スコープの有効な導入のための装置を提供することは利点があり、これは、処置の有効性を大幅に失うことなく、装置及び/又は処置をマザーベビースコープ構造に限定せずに交換することができ、また、胆管その他の場所に、より容易で有効なナビゲーションを提供することになる。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、概して、医療装置のルーメンのために構成されたバルブを提供する。当該バルブは、膨張ルーメンの近位端に置き、当該ルーメンを密閉するために用いることができ、望み通りに液体或いは気体を導入したり開放できる。当該バルブは、例えば、内視鏡処置の際に、バルーンカテーテルと共に使用し、カテーテルシャフトで内視鏡の交換を容易にする。
【0008】
ある実施形態では、当該バルブは、第1セグメントと第2セグメントを有するバルブ本体を含む。第2セグメントは、第1形態から第2形態へと弾性的に変形可能である。第1セグメントは、第2セグメントと一体になっている。ルーメンがバルブ本体を貫通して伸びる。ルーメンは、第1セグメントを貫通して伸びる第1部分と第2セグメントを貫通して伸びる第2部分を含む。第2部分は、開口形態から閉鎖形態の間を作動可能である。第1形態から第2形態への第2セグメントの弾性的変形のために、第2部分は、閉鎖形態から開口形態へと作動することができる。
【0009】
また、別の実施形態では、当該バルブは、長手方向の軸に沿って、近位端から遠位端へと伸びる弾性的に変形可能な本体を含む。スリットが当該長手方向の軸に沿って近位端から遠位端へと本体を貫通して伸びる。本体は、当該スリットに対応した第1放射軸を含む。本体を第1放射軸に沿って圧縮することで、本体の弾性的変形が起こり、当該スリットが開き、近位端から遠位端へと本体を通っての流体連結の通路を提供する。又は、当該バルブが更に、本体の近位に本体と一体のシール部分を備える。シール部分は、そこを長手方向に伸びるルーメンを含み、好ましくは、スリットと一直線になり、スリットが開いているときは、流体連結の通路は、本体とシール部分を通って存在している。シール部分は、バルーンカテーテル等の細長い医療装置の膨張ルーメンの内表面と係合し、流体密閉シールを形成するように構成されている。
【0010】
別の態様では、バルーンカテーテルアセンブリが提供される。ある実施形態では、バルーンカテーテルアセンブリは、近位端、遠位端、及び近位端から遠位端へと伸びる膨張ルーメン、並びに遠位端に配置され膨張ルーメンと流体連結するバルーンを有するバルーンカテーテルを含む。バルーンカテーテルアセンブリは、さらに、そこを貫通して伸びる潰れたルーメンを有するバルブ本体を備えるバルブを含む。潰れたルーメンは、バルブ本体を第1形態から第2形態へとバルブ本体を弾性的に変形することによって開くことができる。バルーンカテーテルアセンブリは、更に、バルブ本体を弾性的に変形することが可能なシールを備える取り外し可能なハブを含む。又は、バルブは、更に、バルブ本体の近位にありバルブ本体と一体となったシール部分を備え、シール部分は、そこを貫通して伸びるルーメンを備える。当該シール部分のルーメンと潰れたルーメンは一直線に並び、シール部分は、バルーンカテーテルの膨張ルーメンの内表面に係合し流体密閉シールを形成するように構成されている。
【0011】
別の態様では、バルーンカテーテル上の装置を交換する方法が提供されている。ある実施形態では、当該方法は、第1医療装置を標的場所に進めていくことを含む。バルーンカテーテルは、第1医療装置を通じて、標的場所へと進む。バルーンカテーテルは、遠位に位置するバルーン、当該バルーンと流体連結する膨張ルーメン、及び当該膨張ルーメン内に配置されたバルブを含む。バルブは、第1セグメントと第2セグメントを有するバルブ本体を含み、第2セグメントは、第1形態から第2形態へと弾性的に変形可能である。第1セグメントは、第2セグメントと一体となっている。バルブルーメンは、バルブ本体を通じて伸びる。バルブルーメンは、第1セグメントを貫通して伸びる第1部分と第2セグメントを貫通して伸びる第2部分を含む。第2部分は、開口形態と閉鎖形態の間を作動することができる。第2セグメントが第1形態から第2形態へと弾性的に変形することで、第2部分が閉鎖形態から開口形態へと作動することができる。当該方法には、更に、バルブを開き、バルブルーメンと膨張ルーメンを通ってバルーンまで膨張媒介物を導入することで、バルーンカテーテルを標的領域にしっかり固定することが含まれ、それによって、バルーンを膨らます。その時、当該バルブは閉じる。又は、トーイボーストシール(Tuohy-Borst seal)を用いて、バルブを開閉することができる。バルーンカテーテルがもはや第1医療装置によって配置しなくなるまで、第1医療装置をバルーンカテーテル上の近位方向に進めることで、第1医療装置を標的領域から取り除く。第2医療装置は、バルーンカテーテル上を標的領域まで進む。
【0012】
以下の図面と詳細な説明の審査の際に、他の装置、システム、方法、特徴及び長所が当業者に明らかになるであろう。そのような付加的な装置、システム、方法、特徴及び長所は、本明細書に含まれ、以下の特許請求の範囲で保護されることを意図するものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本システムは、以下の図面と説明を参照することでよりよく理解することができる。図の構成要素は、必ずしも一定の縮尺で表されるものではなく、本開示の原理の説明ために強調的表現がされている。さらに、異なる図面において、同じ参照番号は、対応する部分を示す。
【図1】医療装置用に構成されたバルブの斜視図が描かれている。
【図2】図1のバルブの長手方向の垂直断面図が描かれている。
【図3】図1のバルブの長手方向の水平断面図が描かれている。
【図4】図1のバルブの端図が描かれている。
【図5】図1のバルブの端図が描かれている。
【図6】図1のバルブを有するカテーテルルーメンの断面図が描かれている。
【図7】図1のバルブを有するカテーテルルーメンの断面図が描かれている。
【図8】図1のバルブを有するカテーテルルーメンの断面図が描かれている。
【図9】図1のバルブと共に使用するために構成された取り外し可能なマニホールドが描かれている。
【図10A】図1のバルブと共に使用するために構成されたバルーンカテーテルが描かれている。
【図10B】図1のバルブと共に使用するために構成されたバルーンカテーテルが描かれている。
【図11】取り外し可能ハブを有する固定バルーンカテーテルを使用したスコープ交換を含む胆道鏡検査及び生体組織検査が描かれている。
【図12】取り外し可能ハブを有する固定バルーンカテーテルを使用したスコープ交換を含む胆道鏡検査及び生体組織検査が描かれている。
【図13】取り外し可能ハブを有する固定バルーンカテーテルを使用したスコープ交換を含む胆道鏡検査及び生体組織検査が描かれている。
【図14】取り外し可能ハブを有する固定バルーンカテーテルを使用したスコープ交換を含む胆道鏡検査及び生体組織検査が描かれている。
【図15】取り外し可能ハブを有する固定バルーンカテーテルを使用したスコープ交換を含む胆道鏡検査及び生体組織検査が描かれている。
【図16】取り外し可能ハブを有する固定バルーンカテーテルを使用したスコープ交換を含む胆道鏡検査及び生体組織検査が描かれている。
【図17】取り外し可能ハブを有する固定バルーンカテーテルを使用したスコープ交換を含む胆道鏡検査及び生体組織検査が描かれている。
【図18】取り外し可能ハブを有する固定バルーンカテーテルを使用したスコープ交換を含む胆道鏡検査及び生体組織検査が描かれている。
【図19】取り外し可能ハブを有する固定バルーンカテーテルを使用したスコープ交換を含む胆道鏡検査及び生体組織検査が描かれている。
【発明を実施するための形態】
【0014】
別に定義されるのでなければ、本明細書で使用される技術用語及び科学用語は、当業者が通常理解する意味と同じである。争いがある場合は、定義を含めて本明細書に従う。好ましい方法や材料が以下に述べられている。もっとも、本明細書で述べられているものに類似または等しい方法や材料が本発明の実施あるいはテストで使用することができる。本明細書で述べられる全ての刊行物、特許出願、特許その他の参考文献は、完全な形でその内容を引用したものとする。本明細書で開示された材料、方法、実施例は、例示のためだけであり、限定する意図はない。
【0015】
本明細書で使用される、「備える(comprise(s))」、「含む(include(s))」、「有している(having)」、「有する(has)」、「できる(can)」、「含んでいる(contain(s))」、及びその変形語は、付加的な作用あるいは構造の可能性を排除しないオープンエンドの移行句、用語あるいは言葉を意図する。明確に規定されていてもいなくても、本開示は、本明細書で示されている実施形態或いは構成要素を「備えている(comprising)」、「のみからなる(consisting of)」、そして「のみから実質的になる(consisting essentially of)」他の実施形態もまた考慮している。
【0016】
本明細書で使用される「近位の」という用語は、概ね、医療処置の際に、医師のほうへ向かう方向のことを言う。
【0017】
本明細書で使用される「遠位の」という用語は、概ね、医療処置の際に、患者の体内の標的場所へと向かう方向のことを言う。
【0018】
本明細書で使用される「ハブ」という用語は、膨張液体あるいは気体の源、カテーテル膨張ルーメン及びバルーンルーメンの間の流体連結の経路を提供するための有効な連結のために構成された連結構造を含むバルーンカテーテルの近位端構造を指しており、より複雑あるいは補助的な構造を有するマニホールド型ハブを含む。
【0019】
本明細書で使用される「トーイボーストシール(Touhy-Borst seal)」という用語は、その名の技術分野に関連する特別の構造を指しており、また、シールを通じて固体物を導入する際の流体開存性を維持するために構成されたあらゆる等価的なサンプルシールを指す。
【0020】
本明細書で使用される「超薄型内視鏡」という用語は、約6.0mm以下の外径を有する内視鏡を指す。
【0021】
本明細書で使用される「円錐台」という用語は、2つの平行な平面が固体と交差する間にある当該固体の部分を指す。
【0022】
図1は、閉鎖形態のバルブ100の斜視図を示す。当該バルブは、近位端102、遠位端104、及び近位端から遠位端へと伸びるルーメン120とを有するバルブ本体101を含む。バルブ本体は、第2セグメント110と一体の第1セグメント108を含む。第2セグメントは、第1の緩慢な形態から第2の変形した形態へと弾性的に変形可能である。ルーメン120は、第1セグメント108を貫通して伸びる第1部分122と第2セグメント110を貫通して伸びる第2部分124を含む。第2部分は、閉鎖形態と開口形態を有する。バルブ100が閉鎖形態にある時、第2セグメント110は第1形態にあり、第2部分124は、閉鎖形態(例えば、潰れた構造)にある。以下に詳細に述べるように、第2セグメント110が第2形態へと弾性的に変形したとき、第2部分124は開口し、ルーメン120を通って近位端102から遠位端104へと流体連結の経路を提供する。
【0023】
図2と図3は、それぞれ、バルブ100の長手方向の垂直断面図と水平断面図を示し、図4は、当該バルブの端面図を示す。描かれているように、第1セグメント108は、円錐台の形をした本体を有し、第2セグメント110は、楕円筒形の本体を有する。第1セグメント108は、近位端102において円形の断面を有し、第2セグメント110へ向かうにつれ、楕円形の断面へとテーパー状になるのが好ましい。第1セグメント108は、概ね、約1mmから約25mmの長さlを有し、第2セグメント110は、概ね、約0mmから約3mmの長さl’を有している。このように、バルブ本体101は、概ね、約1mmから約28mmの長さを有する。第1セグメント108は、近位端102において、円形の断面直径dを有し、概ね、約0.5mmから約3mmに及ぶ。第2セグメント110は、楕円形或いは長円形の断面を有し、横断直径tdと、共役直径cdによって形成される。横断直径は、概ね、約0.5mmから約3.5mmに及び、共役直径は、概ね、約0.25mmから約3.5mmに及ぶ。第1セグメント108と第2セグメント110の交差点(例えば、第2セグメント110の近位端付近にある第1セグメントの遠位端)では、第1セグメント108は、第2セグメント110のそれぞれの横断直径と共役直径と同じかほぼ同じ横断直径と共役直径との楕円形断面を有する。
【0024】
ルーメン120の長さは、第1セグメント108と第2セグメント110の加算長さ(即ちl+l’)によって決められる。ルーメン120の第1部分122は、近位端102にある約0.1mmから約2.5mmに及ぶ直径d’の円形の断面を有する。図2と図3に描かれているように、ルーメンが第2セグメント110へと動き狭くなるにつれ、第1部分122の直径は縮小する。潰れた形態において、第2部分124は、概ね、平らになり、(例えばスリットのように見える。)約0.4mmから約3.4mmに及ぶ横断直径tdに沿った横断長さl’を有する。特定の大きさが記載されているが、本明細書で提供される全ての大きさは、具体例に過ぎず、本開示のバルブは、意図した出願に相応しい異なる大きさと形のものを組み立てることができることを、当業者は理解するであろう。
【0025】
図5は、第2セグメント110が第2形態にあるときの開口形態のバルブ100の端図を示す。矢印150と151は、横断直径tdに沿った第2セグメント110の外表面にかかる2つの対抗力を示している。横断直径が縮小し、共役直径cdが拡張するとき、図5に描くように、第2部分124は、開口し、近位端102から遠位端104へとルーメン120を通じた流体連結の経路を提供する。バルブは、第2セグメント110が緩んで第1形態に戻ることで、閉鎖することができる。
【0026】
ある典型的な実施形態では、バルブは、バルーンカテーテルとともに使用するように構成することができる。バルブを適切な大きさで組み立て、その後、カテーテルシャフトの近位端でカテーテルルーメンに圧入連結する。バルブは、カテーテルルーメンの完全な近位端に配置するように構成するか、或いは、近位端より少し遠位の位置に配置するように構成する。図6から図8は、バルーンカテーテル400のカテーテルシャフト401の横断面図を描いている。そこでは、バルブ100は、膨張ルーメン402内に配置されている。好ましくは、近位端102は、ルーメンの内表面404と密接に接触し、それと共に、流体密封を形成している。当該シールは、バルブの外径あたりで近位方向と遠位方向における液体あるいは気体の流れを妨げる。図6は、閉鎖形態におけるバルブ100を示している。図7は、部分的な開口形態にあるバルブ100を示し、外部からの力がカテーテルシャフト401の外表面406にかかり、横断直径tdに沿った第2セグメントと同様、カテーテルの外径と内径の縮小の原因となる。図8は、開口形態におけるバルブ100を示し、外表面406にかかる外部からの力が第2セグメント110を変形し、横断直径tdと共役直径cdが同じになるかほぼ同じになる。バルブは、一部開口か開口形態にあり、望み通りに、液体や気体が遠位方向か近位方向のいずれかにルーメンを通じて導かれる。トーイボーストシールは、外部からの力を加えるために使用され、バルブ100を閉鎖形態から開口形態へと弾性的に変形する。例えば、トーイボーストシールは、図8で描かれているように(トーイボーストシールは示されていない)、バルブ100が望ましい開口形態になるまで、カテーテルシャフトの外表面406にきつく締められている。
【0027】
又は、当該バルブが閉鎖していても、流体を、バルブを通じて遠位方向に導入することができる。第1部分122を通じたルーメン120の形状は、十分な流体の圧力が第1部分122を通じてかかることができるように構成され、第2部分124が応答して開き、遠位方向の流体導入を可能にする。しかしながら、当該バルブが閉鎖しているとき(例えば、第2部分124が潰れているとき)、第2部分124を通じた流体の動きは、概ね妨げられ、実質的に邪魔され、特に、逆流すること(例えば、近位方向への流体の動き)が理解されよう。
【0028】
別の典型的な実施形態では、バルブ100は、取り外し可能なハブを有するバルーンカテーテルとともに使用する。バルーンカテーテルの中には、カテーテルシャフトに固定して移動できないように結合しているハブを有しているものがある。これらのハブの外径、および/又は、断面領域は、例えば、大口径カテーテルのルーメン、高分子の胆管ステント、内視鏡のワーキング/付属チャネル、その他の最小限の侵襲的画像キャプチャ装置などの細長い外科装置を通らないようにしている。従って、バルーン内での流体の開存性を失わずに、カテーテルの交換を行うために、先ず、カテーテルルーメンを結紮するか、そうでなければ、カテーテルルーメンを塞ぎ、流体の開存性を維持し、その後に、当該ハブをカテーテルシャフトから切断しなければならない。取り外し可能なハブを有するバルーンカテーテルと組合わせるバルブ100を用いることで、細長い外科装置(例えば、十二指腸内視鏡、超薄型内視鏡、その他カメラ、或いは画像キャプチャ装置、高分子ステント、大口径カテーテルなど)が、カテーテルの近位端で進行が妨げられたり、カテーテルシャフトからハブが外れて元に戻らなくなることもなく、カテーテルシャフトの全長を通りぬけることができる。さらに、バルブ100は、バルーンカテーテルのルーメン内に嵌合するので、バルブは、カテーテルシャフトの外径を大きくせず、内視鏡その他の装置は、滑らかに交換することができる。
【0029】
図9は、取り外し可能なハブを有するバルーンカテーテル400を示しているが、マニホールド500として具体化し、取り外しができるようにカテーテルシャフト401に連結している。マニホールドには、側枝504上のルアータイプのコネクター(Luer-type connector)502と、実質的にカテーテルシャフト401の長手方向軸と同心の直線分枝の別のコネクター506が含まれる。マニホールド500には、側枝504のルーメン512と流体連結するメインルーメン510が含まれる。マニホールド500は、トーイボーストシール520或いはその他のタイプの流体密封の圧力シールによって、カテーテルシャフトに取り外し可能に連結している。ルーメン402内にバルブ100を含むカテーテルシャフトの部分は、シール520と一直線になり、シールはカテーテルシャフト401の周りで締め付けられバルブ100と係合する。カテーテルのルーメンの内表面404が第2セグメント110に係合するまで、トーイボーストシールと共にカテーテルシャフトを圧迫することで、バルブを開くことができ、そのため、図7と図8に描かれているように、バルブは変形し、ルーメン120部分の第2部分124が開く。
【0030】
ある実施形態では、マニホールド500には、カテーテルシャフトに係合するように構成された複数のシールが含まれる。例えば、マニホールドには、図示された遠位位置にある時は、圧縮嵌合し、近位に後退するときは、カテーテルシャフトを解放するスライド部材532を含む流体密閉圧縮シール530が含まれる。トーイボーストシール520は、専らバルブ100の開閉を行う。このように、マニホールドは、圧縮密封シール530と共にカテーテル本体に連結しており、バルブ100は、トーイボーストシール520と共に必要に応じて開閉される。
【0031】
カテーテルシャフト401の近位端450が図10Aの側面図に示されている。カテーテルシャフトは、壁に埋め込まれている硬化ワイヤー650を有し、該硬化ワイヤーは完全な近位端からいくらか遠位にあり、好ましくは、バルブ100がルーメン402にあるシャフトに沿った位置からは遠位にある。カニューレ655は、好ましくはバルブ100がルーメン402にあるシャフトに沿った位置から遠位にあって、「ワイヤが張っている」カテーテル領域と「ワイヤーが張っていない」カテーテルの領域を橋渡しする。
【0032】
図10Bは、バルーンカテーテル400の遠位部分の側面図を示している。バルーン604は、カテーテルシャフト401の本体の遠位部分のあたりに示されている。略らせん状の金属コイル605は、この遠位部分にあるカテーテルに配置され、カテーテルを導く為の構造的な力を提供し、一つ以上の開口部(図示せず)がカテーテルルーメン402からバルーンルーメンへと流体連結する経路を提供するために含まれる領域においてカテーテル本体を補強する。先端のループ602は、硬化ワイヤ650に連結し、図示している実施形態では、略円錐形の一片の接着剤あるいは、カテーテル膨張ルーメン402の遠位端を密閉する高分子構造によって、カテーテルシャフト401と共に密閉される。先端のループ602は、好ましくは、概ね損傷を最小にした遠位端を提供し、本体ルーメンを通る進行を容易にし、ガイドワイヤに沿ったモノレール型の進行をも許容する。
【0033】
ある実施形態では、バルブは、バルーンカテーテルと共に使用し、胆道鏡検査の際の内視鏡交換を容易にする。最初は、図10Aで描かれているように、バルブは、カテーテルシャフト401の近位端450においてルーメン402内に配置する。次に、図11で描かれているように、カテーテルシャフト401がマニホールド500に挿入され固定される。カテーテルシャフトは、好ましくは、マニホールド内に配置され、トーイボーストシール520がバルブ100、特に第2セグメント110と整合される。次に、図12に示すように、十二指腸内視鏡として具体化された側視内視鏡は、オディ括約筋754あたりのファーター膨大部に隣接する患者の十二指腸へと導かれ、これは、(例えば、括約筋切開を通じて)カニューレが挿入されている。十二指腸内視鏡752のワーキングチャネルを通じて伸びるループが先端に付いたカテーテル400は、カニューレが挿入された括約筋754を通じて総胆管へと導かれる。
【0034】
図13は、ガイドワイヤ758を用いて、カニューレが挿入された括約筋754を通じて総胆管へとループが先端についたカテーテル400を導入する別の方法を示している。この実施形態では、ガイドワイヤ758は、最初に、総胆管756へと導かれる。それから、カテーテル400のループ602がガイドワイヤ758のあたりでループを形成し、それに沿って、総胆管へとモノレール様式で導かれる。
【0035】
カテーテル400を総胆管へと導く為にいずれの方法を利用するかに関わらず、カテーテル400は、総胆管756の肝枝側(或いは膵管側)へと更に導かれる。それから、図14に示すように、バルーン604は、好ましくは、従属的バルーンであり、膨張して、肝枝757内で、カテーテルの遠位端をしっかりと固定する。図6から図9を参照すると、バルーンを膨張するために、トーイボーストシール520を操作して、ルーメンの内表面404が第2セグメント110でバルブ100に係合するまで、カテーテルシャフト401に係合して圧縮し、それによって、その弾性的変形とバルブの開口がルーメン120を通じた流体連結を許容することになる。望むようにバルブが一旦開いたら、選択された膨張媒体は、バルブを通り、その後は膨張ルーメン402を通って導入され、バルーン604を膨張する。バルーン604は、十分膨張し、カテーテル400をしっかり固定するが、膨張したバルーンの外表面に接触する管状の表面をあまり膨張させないのが好ましい。従属バルーンは、ラテックスその他の望ましい弾性力を有する生体適合性材料からなる。いくつかの実施形態では、バルーンは、外科処置の際の望ましい操作と合致した非柔軟性のものである。
【0036】
図15は、バルーンカテーテル400の近位端を示しており、マニホールド500は、そこから外れている。マニホールド500を取り外す前に、バルブ100は、トーイボーストシール520の係合を解くことで密閉され、それによって、バルーンカテーテル400の近位端を密閉し、バルーン604内の流体圧力を維持している。図16を参照して分かるように、近位のマニホールド500の取り外しによって、ユーザは、カテーテルシャフト401上の十二指腸内視鏡752を引き抜くことができ、カテーテル400は、バルーンによってしっかり固定され(図14参照)、そのままの場所に留まる。
【0037】
次に、超薄型内視鏡760がカテーテルシャフト401に沿って遠位方向に導かれている。特に、カテーテルの近位端450は、超薄型内視鏡760の付属/ワーキングチャネルの遠位端に挿入される。図17に示すように、カテーテルシャフト401は、ガイドとして作用し、超薄型内視鏡760の遠位端が総胆管に導かれる。その後、図18に示すように、バルーン604は、バルブ100を開き、膨張媒体を脱出させることで収縮し、陰圧を提供して注射器または真空源を利用してその媒体を引き抜くこともできる。それから、カテーテル400は引き抜かれ、超薄型内視鏡760の付属チャネルを解放する。それから、ユーザーは、例えば、図19に示すように、生検鉗子762などの超薄型内視鏡760の付属チャネルを通じて診断器具や、治療器具を導入する。
【0038】
バルブ100は、当技術分野で知られる従来の技術で製造される。1つの典型的な実施形態では、当該バルブは、射出成形などの第1工程によって製造できる。第2工程は、ルーメン120の第2部分124を形成するのに利用される。射出成形過程には、モールド・キャビティを選択された材料で充填し、熱と圧力を加え、溶融温度未満に製造物を冷やすことが含まれる。例えばこれを取り出し、第2部分124は、望ましい大きさの潰れたルーメン(例えば、スリット)を作るのに適した刃で第2セグメント110を切り込むことで製造される。
【0039】
好ましくは、バルブは、弾性的に変形可能な材料からなる。適した材料には、シリコーンゴム、ラテックスゴム、ポリウレタン、アクリル高分子、熱可塑性エラストマーもしくは、これらと構造や機能が類似するその他の材料あるいはその組合わせが含まれるが、それらに限定されない。但し、当該材料は、適切な密閉に影響を及ぼし、上記の状況で、弾性的に変形する。
【0040】
本開示のバルブの多様な実施形態を記載しているが、本開示の範囲内で、更に多くの実施形態や実施が可能であることは、当業者にも明らかである。それ故、本開示は、添付した特許請求の範囲やその等価物に照らすことを除いて、これに限定されない。
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的に、医療装置に関し、特に、医療装置と共に使用するために構成された低丈ワンウェイバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
人体の内深にある病状および/または外傷のための従来の外科的処置によって、重篤な外傷が組織に侵入する可能性がある。切開外科処置は、長い切開、広範な筋肉除去、緩慢な組織の退縮、除神経及び手術部位にアクセスする為の組織の脈管切除を要する。これらの外科処置の殆どは、外科処置時に、通常の麻酔の使用と組織の破壊により、回復室に数時間、処置後の回復時間に数週間を要する。場合によっては、これらの侵襲的処置は、永続的な瘢痕化と苦痛につながることもある。
【0003】
内視鏡技術等の最小限の侵襲的措置は、痛み、処置後の回復時間、及び健全な組織の破壊を減らす。最小限の侵襲的処置では、病変の箇所は、大掛かりな切開よりはむしろ門脈を通じてアクセスされ、介在組織の一体化を防ぐ。これらの最小限の侵襲的技術は、また、局所麻酔のみを必要とすることが多い。全身麻酔を避けることで、処置後の回復時間や合併症のリスクを減らすことができる。
【0004】
それにもかかわらず、最小限の侵襲的処置技術を改善する装置や方法を開発する必要性がいまだに存在する。例えば、経口胆道鏡検査等の内視鏡処置の中には、現在利用可能な医療装置の限界のために処置上の不十分さがあるものがある。経口胆道鏡検査は、通常、「マザー/ベビー」スコープシステムを用いて2人の熟練の内視鏡検査員によって行われる。「マザー/ベビー」スコープシステムでは、細いファイバースコープが大きな治療用内視鏡(例えば、十二指腸内視鏡)のワーキングチャネルに差し込まれる。「マザー/ベビー」スコープ技術は、人件費や装置費が高価である。2人の内視鏡検査員に助手が加わり、2つのイメージプロセッサ(各カメラに1台ずつ)、及び結果的に起こる画質の劣化の通常の作業時に損傷することが多いベビースコープにある高価な光ファイバーを要する。光ファイバーのベビースコープの標準の1.2mmのワーキングチャネルは、診断上および治療上の選択肢に制限がある。それ故、肝管及び膵管を通じて蛇行可能に大きさを合わせることによって、胆道鏡として機能するように構成された内視鏡を提供することが望ましい。当該スコープは現在利用可能であるが、望ましい処置費用で高い品質の画像(例えば、光ファイバー画像より優れたもの)を提供するプロセスで、如何に患者の胆管に効率よく導入するかという問題に直面している。こうした問題には、マザースコープを通して患者の胆管への1.2mmよりも大きいワーキングチャネルを有する、大きな光ファイバーのベビースコープを操作するという困難が含まれる。第1スコープ(例えば、「マザースコープ」)なしで胆管やその他の患者の体内構造へと小さなスコープ(「ベビースコープ」の大きさ以下)を導入すると、あるタイプの「運航経路」を提供する必要がある。というのは、より小型のスコープは、食道、胃及び十二指腸を通じて、例えば、総胆管へと独立して直接的に向かう/進むために十分固く頑丈ではないからである。
【0005】
それ故、直接的経口胆道鏡検査(POC)を行う技術が開発されている。直接的経口胆道鏡検査は、単一のイメージプロセッサを操作する内視鏡検査員一人だけを要し、2mmの付属チャネルを提供し、既存のスコープ、イメージプロセッサ及びモニターと共に使用できる相補型MOS(CMOS)やCCSカメラを使用する。そのように改良された技術の一例が、「極細径上位内視鏡を用いたオーバーチューブバルーン支援の直接的経口胆道鏡検査」(Choi等、胃腸内視鏡検査、69(4):935−40、2009年4月)において開示されている。そこでは、2重バルーン腸管視鏡用に使用されるタイプのバルーンの付いたオーバーチューブがそのオーバーチューブのルーメン内で支えられた極細径スコープの付いたファーター膨大部に隣接する十二指腸へと導かれ、その後、当該スコープは、すでに膨張した胆管へと導かれていくものであった。
【0006】
より効果的で侵襲性が最小限である処置のための装置を提供するのは利点がある。特に、標準サイズの内視鏡(例えば、十二指腸内視鏡)の使用と組合わせて、胆道鏡検査及び膵臓鏡検査に相応しい極細径スコープの有効な導入のための装置を提供することは利点があり、これは、処置の有効性を大幅に失うことなく、装置及び/又は処置をマザーベビースコープ構造に限定せずに交換することができ、また、胆管その他の場所に、より容易で有効なナビゲーションを提供することになる。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、概して、医療装置のルーメンのために構成されたバルブを提供する。当該バルブは、膨張ルーメンの近位端に置き、当該ルーメンを密閉するために用いることができ、望み通りに液体或いは気体を導入したり開放できる。当該バルブは、例えば、内視鏡処置の際に、バルーンカテーテルと共に使用し、カテーテルシャフトで内視鏡の交換を容易にする。
【0008】
ある実施形態では、当該バルブは、第1セグメントと第2セグメントを有するバルブ本体を含む。第2セグメントは、第1形態から第2形態へと弾性的に変形可能である。第1セグメントは、第2セグメントと一体になっている。ルーメンがバルブ本体を貫通して伸びる。ルーメンは、第1セグメントを貫通して伸びる第1部分と第2セグメントを貫通して伸びる第2部分を含む。第2部分は、開口形態から閉鎖形態の間を作動可能である。第1形態から第2形態への第2セグメントの弾性的変形のために、第2部分は、閉鎖形態から開口形態へと作動することができる。
【0009】
また、別の実施形態では、当該バルブは、長手方向の軸に沿って、近位端から遠位端へと伸びる弾性的に変形可能な本体を含む。スリットが当該長手方向の軸に沿って近位端から遠位端へと本体を貫通して伸びる。本体は、当該スリットに対応した第1放射軸を含む。本体を第1放射軸に沿って圧縮することで、本体の弾性的変形が起こり、当該スリットが開き、近位端から遠位端へと本体を通っての流体連結の通路を提供する。又は、当該バルブが更に、本体の近位に本体と一体のシール部分を備える。シール部分は、そこを長手方向に伸びるルーメンを含み、好ましくは、スリットと一直線になり、スリットが開いているときは、流体連結の通路は、本体とシール部分を通って存在している。シール部分は、バルーンカテーテル等の細長い医療装置の膨張ルーメンの内表面と係合し、流体密閉シールを形成するように構成されている。
【0010】
別の態様では、バルーンカテーテルアセンブリが提供される。ある実施形態では、バルーンカテーテルアセンブリは、近位端、遠位端、及び近位端から遠位端へと伸びる膨張ルーメン、並びに遠位端に配置され膨張ルーメンと流体連結するバルーンを有するバルーンカテーテルを含む。バルーンカテーテルアセンブリは、さらに、そこを貫通して伸びる潰れたルーメンを有するバルブ本体を備えるバルブを含む。潰れたルーメンは、バルブ本体を第1形態から第2形態へとバルブ本体を弾性的に変形することによって開くことができる。バルーンカテーテルアセンブリは、更に、バルブ本体を弾性的に変形することが可能なシールを備える取り外し可能なハブを含む。又は、バルブは、更に、バルブ本体の近位にありバルブ本体と一体となったシール部分を備え、シール部分は、そこを貫通して伸びるルーメンを備える。当該シール部分のルーメンと潰れたルーメンは一直線に並び、シール部分は、バルーンカテーテルの膨張ルーメンの内表面に係合し流体密閉シールを形成するように構成されている。
【0011】
別の態様では、バルーンカテーテル上の装置を交換する方法が提供されている。ある実施形態では、当該方法は、第1医療装置を標的場所に進めていくことを含む。バルーンカテーテルは、第1医療装置を通じて、標的場所へと進む。バルーンカテーテルは、遠位に位置するバルーン、当該バルーンと流体連結する膨張ルーメン、及び当該膨張ルーメン内に配置されたバルブを含む。バルブは、第1セグメントと第2セグメントを有するバルブ本体を含み、第2セグメントは、第1形態から第2形態へと弾性的に変形可能である。第1セグメントは、第2セグメントと一体となっている。バルブルーメンは、バルブ本体を通じて伸びる。バルブルーメンは、第1セグメントを貫通して伸びる第1部分と第2セグメントを貫通して伸びる第2部分を含む。第2部分は、開口形態と閉鎖形態の間を作動することができる。第2セグメントが第1形態から第2形態へと弾性的に変形することで、第2部分が閉鎖形態から開口形態へと作動することができる。当該方法には、更に、バルブを開き、バルブルーメンと膨張ルーメンを通ってバルーンまで膨張媒介物を導入することで、バルーンカテーテルを標的領域にしっかり固定することが含まれ、それによって、バルーンを膨らます。その時、当該バルブは閉じる。又は、トーイボーストシール(Tuohy-Borst seal)を用いて、バルブを開閉することができる。バルーンカテーテルがもはや第1医療装置によって配置しなくなるまで、第1医療装置をバルーンカテーテル上の近位方向に進めることで、第1医療装置を標的領域から取り除く。第2医療装置は、バルーンカテーテル上を標的領域まで進む。
【0012】
以下の図面と詳細な説明の審査の際に、他の装置、システム、方法、特徴及び長所が当業者に明らかになるであろう。そのような付加的な装置、システム、方法、特徴及び長所は、本明細書に含まれ、以下の特許請求の範囲で保護されることを意図するものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本システムは、以下の図面と説明を参照することでよりよく理解することができる。図の構成要素は、必ずしも一定の縮尺で表されるものではなく、本開示の原理の説明ために強調的表現がされている。さらに、異なる図面において、同じ参照番号は、対応する部分を示す。
【図1】医療装置用に構成されたバルブの斜視図が描かれている。
【図2】図1のバルブの長手方向の垂直断面図が描かれている。
【図3】図1のバルブの長手方向の水平断面図が描かれている。
【図4】図1のバルブの端図が描かれている。
【図5】図1のバルブの端図が描かれている。
【図6】図1のバルブを有するカテーテルルーメンの断面図が描かれている。
【図7】図1のバルブを有するカテーテルルーメンの断面図が描かれている。
【図8】図1のバルブを有するカテーテルルーメンの断面図が描かれている。
【図9】図1のバルブと共に使用するために構成された取り外し可能なマニホールドが描かれている。
【図10A】図1のバルブと共に使用するために構成されたバルーンカテーテルが描かれている。
【図10B】図1のバルブと共に使用するために構成されたバルーンカテーテルが描かれている。
【図11】取り外し可能ハブを有する固定バルーンカテーテルを使用したスコープ交換を含む胆道鏡検査及び生体組織検査が描かれている。
【図12】取り外し可能ハブを有する固定バルーンカテーテルを使用したスコープ交換を含む胆道鏡検査及び生体組織検査が描かれている。
【図13】取り外し可能ハブを有する固定バルーンカテーテルを使用したスコープ交換を含む胆道鏡検査及び生体組織検査が描かれている。
【図14】取り外し可能ハブを有する固定バルーンカテーテルを使用したスコープ交換を含む胆道鏡検査及び生体組織検査が描かれている。
【図15】取り外し可能ハブを有する固定バルーンカテーテルを使用したスコープ交換を含む胆道鏡検査及び生体組織検査が描かれている。
【図16】取り外し可能ハブを有する固定バルーンカテーテルを使用したスコープ交換を含む胆道鏡検査及び生体組織検査が描かれている。
【図17】取り外し可能ハブを有する固定バルーンカテーテルを使用したスコープ交換を含む胆道鏡検査及び生体組織検査が描かれている。
【図18】取り外し可能ハブを有する固定バルーンカテーテルを使用したスコープ交換を含む胆道鏡検査及び生体組織検査が描かれている。
【図19】取り外し可能ハブを有する固定バルーンカテーテルを使用したスコープ交換を含む胆道鏡検査及び生体組織検査が描かれている。
【発明を実施するための形態】
【0014】
別に定義されるのでなければ、本明細書で使用される技術用語及び科学用語は、当業者が通常理解する意味と同じである。争いがある場合は、定義を含めて本明細書に従う。好ましい方法や材料が以下に述べられている。もっとも、本明細書で述べられているものに類似または等しい方法や材料が本発明の実施あるいはテストで使用することができる。本明細書で述べられる全ての刊行物、特許出願、特許その他の参考文献は、完全な形でその内容を引用したものとする。本明細書で開示された材料、方法、実施例は、例示のためだけであり、限定する意図はない。
【0015】
本明細書で使用される、「備える(comprise(s))」、「含む(include(s))」、「有している(having)」、「有する(has)」、「できる(can)」、「含んでいる(contain(s))」、及びその変形語は、付加的な作用あるいは構造の可能性を排除しないオープンエンドの移行句、用語あるいは言葉を意図する。明確に規定されていてもいなくても、本開示は、本明細書で示されている実施形態或いは構成要素を「備えている(comprising)」、「のみからなる(consisting of)」、そして「のみから実質的になる(consisting essentially of)」他の実施形態もまた考慮している。
【0016】
本明細書で使用される「近位の」という用語は、概ね、医療処置の際に、医師のほうへ向かう方向のことを言う。
【0017】
本明細書で使用される「遠位の」という用語は、概ね、医療処置の際に、患者の体内の標的場所へと向かう方向のことを言う。
【0018】
本明細書で使用される「ハブ」という用語は、膨張液体あるいは気体の源、カテーテル膨張ルーメン及びバルーンルーメンの間の流体連結の経路を提供するための有効な連結のために構成された連結構造を含むバルーンカテーテルの近位端構造を指しており、より複雑あるいは補助的な構造を有するマニホールド型ハブを含む。
【0019】
本明細書で使用される「トーイボーストシール(Touhy-Borst seal)」という用語は、その名の技術分野に関連する特別の構造を指しており、また、シールを通じて固体物を導入する際の流体開存性を維持するために構成されたあらゆる等価的なサンプルシールを指す。
【0020】
本明細書で使用される「超薄型内視鏡」という用語は、約6.0mm以下の外径を有する内視鏡を指す。
【0021】
本明細書で使用される「円錐台」という用語は、2つの平行な平面が固体と交差する間にある当該固体の部分を指す。
【0022】
図1は、閉鎖形態のバルブ100の斜視図を示す。当該バルブは、近位端102、遠位端104、及び近位端から遠位端へと伸びるルーメン120とを有するバルブ本体101を含む。バルブ本体は、第2セグメント110と一体の第1セグメント108を含む。第2セグメントは、第1の緩慢な形態から第2の変形した形態へと弾性的に変形可能である。ルーメン120は、第1セグメント108を貫通して伸びる第1部分122と第2セグメント110を貫通して伸びる第2部分124を含む。第2部分は、閉鎖形態と開口形態を有する。バルブ100が閉鎖形態にある時、第2セグメント110は第1形態にあり、第2部分124は、閉鎖形態(例えば、潰れた構造)にある。以下に詳細に述べるように、第2セグメント110が第2形態へと弾性的に変形したとき、第2部分124は開口し、ルーメン120を通って近位端102から遠位端104へと流体連結の経路を提供する。
【0023】
図2と図3は、それぞれ、バルブ100の長手方向の垂直断面図と水平断面図を示し、図4は、当該バルブの端面図を示す。描かれているように、第1セグメント108は、円錐台の形をした本体を有し、第2セグメント110は、楕円筒形の本体を有する。第1セグメント108は、近位端102において円形の断面を有し、第2セグメント110へ向かうにつれ、楕円形の断面へとテーパー状になるのが好ましい。第1セグメント108は、概ね、約1mmから約25mmの長さlを有し、第2セグメント110は、概ね、約0mmから約3mmの長さl’を有している。このように、バルブ本体101は、概ね、約1mmから約28mmの長さを有する。第1セグメント108は、近位端102において、円形の断面直径dを有し、概ね、約0.5mmから約3mmに及ぶ。第2セグメント110は、楕円形或いは長円形の断面を有し、横断直径tdと、共役直径cdによって形成される。横断直径は、概ね、約0.5mmから約3.5mmに及び、共役直径は、概ね、約0.25mmから約3.5mmに及ぶ。第1セグメント108と第2セグメント110の交差点(例えば、第2セグメント110の近位端付近にある第1セグメントの遠位端)では、第1セグメント108は、第2セグメント110のそれぞれの横断直径と共役直径と同じかほぼ同じ横断直径と共役直径との楕円形断面を有する。
【0024】
ルーメン120の長さは、第1セグメント108と第2セグメント110の加算長さ(即ちl+l’)によって決められる。ルーメン120の第1部分122は、近位端102にある約0.1mmから約2.5mmに及ぶ直径d’の円形の断面を有する。図2と図3に描かれているように、ルーメンが第2セグメント110へと動き狭くなるにつれ、第1部分122の直径は縮小する。潰れた形態において、第2部分124は、概ね、平らになり、(例えばスリットのように見える。)約0.4mmから約3.4mmに及ぶ横断直径tdに沿った横断長さl’を有する。特定の大きさが記載されているが、本明細書で提供される全ての大きさは、具体例に過ぎず、本開示のバルブは、意図した出願に相応しい異なる大きさと形のものを組み立てることができることを、当業者は理解するであろう。
【0025】
図5は、第2セグメント110が第2形態にあるときの開口形態のバルブ100の端図を示す。矢印150と151は、横断直径tdに沿った第2セグメント110の外表面にかかる2つの対抗力を示している。横断直径が縮小し、共役直径cdが拡張するとき、図5に描くように、第2部分124は、開口し、近位端102から遠位端104へとルーメン120を通じた流体連結の経路を提供する。バルブは、第2セグメント110が緩んで第1形態に戻ることで、閉鎖することができる。
【0026】
ある典型的な実施形態では、バルブは、バルーンカテーテルとともに使用するように構成することができる。バルブを適切な大きさで組み立て、その後、カテーテルシャフトの近位端でカテーテルルーメンに圧入連結する。バルブは、カテーテルルーメンの完全な近位端に配置するように構成するか、或いは、近位端より少し遠位の位置に配置するように構成する。図6から図8は、バルーンカテーテル400のカテーテルシャフト401の横断面図を描いている。そこでは、バルブ100は、膨張ルーメン402内に配置されている。好ましくは、近位端102は、ルーメンの内表面404と密接に接触し、それと共に、流体密封を形成している。当該シールは、バルブの外径あたりで近位方向と遠位方向における液体あるいは気体の流れを妨げる。図6は、閉鎖形態におけるバルブ100を示している。図7は、部分的な開口形態にあるバルブ100を示し、外部からの力がカテーテルシャフト401の外表面406にかかり、横断直径tdに沿った第2セグメントと同様、カテーテルの外径と内径の縮小の原因となる。図8は、開口形態におけるバルブ100を示し、外表面406にかかる外部からの力が第2セグメント110を変形し、横断直径tdと共役直径cdが同じになるかほぼ同じになる。バルブは、一部開口か開口形態にあり、望み通りに、液体や気体が遠位方向か近位方向のいずれかにルーメンを通じて導かれる。トーイボーストシールは、外部からの力を加えるために使用され、バルブ100を閉鎖形態から開口形態へと弾性的に変形する。例えば、トーイボーストシールは、図8で描かれているように(トーイボーストシールは示されていない)、バルブ100が望ましい開口形態になるまで、カテーテルシャフトの外表面406にきつく締められている。
【0027】
又は、当該バルブが閉鎖していても、流体を、バルブを通じて遠位方向に導入することができる。第1部分122を通じたルーメン120の形状は、十分な流体の圧力が第1部分122を通じてかかることができるように構成され、第2部分124が応答して開き、遠位方向の流体導入を可能にする。しかしながら、当該バルブが閉鎖しているとき(例えば、第2部分124が潰れているとき)、第2部分124を通じた流体の動きは、概ね妨げられ、実質的に邪魔され、特に、逆流すること(例えば、近位方向への流体の動き)が理解されよう。
【0028】
別の典型的な実施形態では、バルブ100は、取り外し可能なハブを有するバルーンカテーテルとともに使用する。バルーンカテーテルの中には、カテーテルシャフトに固定して移動できないように結合しているハブを有しているものがある。これらのハブの外径、および/又は、断面領域は、例えば、大口径カテーテルのルーメン、高分子の胆管ステント、内視鏡のワーキング/付属チャネル、その他の最小限の侵襲的画像キャプチャ装置などの細長い外科装置を通らないようにしている。従って、バルーン内での流体の開存性を失わずに、カテーテルの交換を行うために、先ず、カテーテルルーメンを結紮するか、そうでなければ、カテーテルルーメンを塞ぎ、流体の開存性を維持し、その後に、当該ハブをカテーテルシャフトから切断しなければならない。取り外し可能なハブを有するバルーンカテーテルと組合わせるバルブ100を用いることで、細長い外科装置(例えば、十二指腸内視鏡、超薄型内視鏡、その他カメラ、或いは画像キャプチャ装置、高分子ステント、大口径カテーテルなど)が、カテーテルの近位端で進行が妨げられたり、カテーテルシャフトからハブが外れて元に戻らなくなることもなく、カテーテルシャフトの全長を通りぬけることができる。さらに、バルブ100は、バルーンカテーテルのルーメン内に嵌合するので、バルブは、カテーテルシャフトの外径を大きくせず、内視鏡その他の装置は、滑らかに交換することができる。
【0029】
図9は、取り外し可能なハブを有するバルーンカテーテル400を示しているが、マニホールド500として具体化し、取り外しができるようにカテーテルシャフト401に連結している。マニホールドには、側枝504上のルアータイプのコネクター(Luer-type connector)502と、実質的にカテーテルシャフト401の長手方向軸と同心の直線分枝の別のコネクター506が含まれる。マニホールド500には、側枝504のルーメン512と流体連結するメインルーメン510が含まれる。マニホールド500は、トーイボーストシール520或いはその他のタイプの流体密封の圧力シールによって、カテーテルシャフトに取り外し可能に連結している。ルーメン402内にバルブ100を含むカテーテルシャフトの部分は、シール520と一直線になり、シールはカテーテルシャフト401の周りで締め付けられバルブ100と係合する。カテーテルのルーメンの内表面404が第2セグメント110に係合するまで、トーイボーストシールと共にカテーテルシャフトを圧迫することで、バルブを開くことができ、そのため、図7と図8に描かれているように、バルブは変形し、ルーメン120部分の第2部分124が開く。
【0030】
ある実施形態では、マニホールド500には、カテーテルシャフトに係合するように構成された複数のシールが含まれる。例えば、マニホールドには、図示された遠位位置にある時は、圧縮嵌合し、近位に後退するときは、カテーテルシャフトを解放するスライド部材532を含む流体密閉圧縮シール530が含まれる。トーイボーストシール520は、専らバルブ100の開閉を行う。このように、マニホールドは、圧縮密封シール530と共にカテーテル本体に連結しており、バルブ100は、トーイボーストシール520と共に必要に応じて開閉される。
【0031】
カテーテルシャフト401の近位端450が図10Aの側面図に示されている。カテーテルシャフトは、壁に埋め込まれている硬化ワイヤー650を有し、該硬化ワイヤーは完全な近位端からいくらか遠位にあり、好ましくは、バルブ100がルーメン402にあるシャフトに沿った位置からは遠位にある。カニューレ655は、好ましくはバルブ100がルーメン402にあるシャフトに沿った位置から遠位にあって、「ワイヤが張っている」カテーテル領域と「ワイヤーが張っていない」カテーテルの領域を橋渡しする。
【0032】
図10Bは、バルーンカテーテル400の遠位部分の側面図を示している。バルーン604は、カテーテルシャフト401の本体の遠位部分のあたりに示されている。略らせん状の金属コイル605は、この遠位部分にあるカテーテルに配置され、カテーテルを導く為の構造的な力を提供し、一つ以上の開口部(図示せず)がカテーテルルーメン402からバルーンルーメンへと流体連結する経路を提供するために含まれる領域においてカテーテル本体を補強する。先端のループ602は、硬化ワイヤ650に連結し、図示している実施形態では、略円錐形の一片の接着剤あるいは、カテーテル膨張ルーメン402の遠位端を密閉する高分子構造によって、カテーテルシャフト401と共に密閉される。先端のループ602は、好ましくは、概ね損傷を最小にした遠位端を提供し、本体ルーメンを通る進行を容易にし、ガイドワイヤに沿ったモノレール型の進行をも許容する。
【0033】
ある実施形態では、バルブは、バルーンカテーテルと共に使用し、胆道鏡検査の際の内視鏡交換を容易にする。最初は、図10Aで描かれているように、バルブは、カテーテルシャフト401の近位端450においてルーメン402内に配置する。次に、図11で描かれているように、カテーテルシャフト401がマニホールド500に挿入され固定される。カテーテルシャフトは、好ましくは、マニホールド内に配置され、トーイボーストシール520がバルブ100、特に第2セグメント110と整合される。次に、図12に示すように、十二指腸内視鏡として具体化された側視内視鏡は、オディ括約筋754あたりのファーター膨大部に隣接する患者の十二指腸へと導かれ、これは、(例えば、括約筋切開を通じて)カニューレが挿入されている。十二指腸内視鏡752のワーキングチャネルを通じて伸びるループが先端に付いたカテーテル400は、カニューレが挿入された括約筋754を通じて総胆管へと導かれる。
【0034】
図13は、ガイドワイヤ758を用いて、カニューレが挿入された括約筋754を通じて総胆管へとループが先端についたカテーテル400を導入する別の方法を示している。この実施形態では、ガイドワイヤ758は、最初に、総胆管756へと導かれる。それから、カテーテル400のループ602がガイドワイヤ758のあたりでループを形成し、それに沿って、総胆管へとモノレール様式で導かれる。
【0035】
カテーテル400を総胆管へと導く為にいずれの方法を利用するかに関わらず、カテーテル400は、総胆管756の肝枝側(或いは膵管側)へと更に導かれる。それから、図14に示すように、バルーン604は、好ましくは、従属的バルーンであり、膨張して、肝枝757内で、カテーテルの遠位端をしっかりと固定する。図6から図9を参照すると、バルーンを膨張するために、トーイボーストシール520を操作して、ルーメンの内表面404が第2セグメント110でバルブ100に係合するまで、カテーテルシャフト401に係合して圧縮し、それによって、その弾性的変形とバルブの開口がルーメン120を通じた流体連結を許容することになる。望むようにバルブが一旦開いたら、選択された膨張媒体は、バルブを通り、その後は膨張ルーメン402を通って導入され、バルーン604を膨張する。バルーン604は、十分膨張し、カテーテル400をしっかり固定するが、膨張したバルーンの外表面に接触する管状の表面をあまり膨張させないのが好ましい。従属バルーンは、ラテックスその他の望ましい弾性力を有する生体適合性材料からなる。いくつかの実施形態では、バルーンは、外科処置の際の望ましい操作と合致した非柔軟性のものである。
【0036】
図15は、バルーンカテーテル400の近位端を示しており、マニホールド500は、そこから外れている。マニホールド500を取り外す前に、バルブ100は、トーイボーストシール520の係合を解くことで密閉され、それによって、バルーンカテーテル400の近位端を密閉し、バルーン604内の流体圧力を維持している。図16を参照して分かるように、近位のマニホールド500の取り外しによって、ユーザは、カテーテルシャフト401上の十二指腸内視鏡752を引き抜くことができ、カテーテル400は、バルーンによってしっかり固定され(図14参照)、そのままの場所に留まる。
【0037】
次に、超薄型内視鏡760がカテーテルシャフト401に沿って遠位方向に導かれている。特に、カテーテルの近位端450は、超薄型内視鏡760の付属/ワーキングチャネルの遠位端に挿入される。図17に示すように、カテーテルシャフト401は、ガイドとして作用し、超薄型内視鏡760の遠位端が総胆管に導かれる。その後、図18に示すように、バルーン604は、バルブ100を開き、膨張媒体を脱出させることで収縮し、陰圧を提供して注射器または真空源を利用してその媒体を引き抜くこともできる。それから、カテーテル400は引き抜かれ、超薄型内視鏡760の付属チャネルを解放する。それから、ユーザーは、例えば、図19に示すように、生検鉗子762などの超薄型内視鏡760の付属チャネルを通じて診断器具や、治療器具を導入する。
【0038】
バルブ100は、当技術分野で知られる従来の技術で製造される。1つの典型的な実施形態では、当該バルブは、射出成形などの第1工程によって製造できる。第2工程は、ルーメン120の第2部分124を形成するのに利用される。射出成形過程には、モールド・キャビティを選択された材料で充填し、熱と圧力を加え、溶融温度未満に製造物を冷やすことが含まれる。例えばこれを取り出し、第2部分124は、望ましい大きさの潰れたルーメン(例えば、スリット)を作るのに適した刃で第2セグメント110を切り込むことで製造される。
【0039】
好ましくは、バルブは、弾性的に変形可能な材料からなる。適した材料には、シリコーンゴム、ラテックスゴム、ポリウレタン、アクリル高分子、熱可塑性エラストマーもしくは、これらと構造や機能が類似するその他の材料あるいはその組合わせが含まれるが、それらに限定されない。但し、当該材料は、適切な密閉に影響を及ぼし、上記の状況で、弾性的に変形する。
【0040】
本開示のバルブの多様な実施形態を記載しているが、本開示の範囲内で、更に多くの実施形態や実施が可能であることは、当業者にも明らかである。それ故、本開示は、添付した特許請求の範囲やその等価物に照らすことを除いて、これに限定されない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療装置とともに使用するために構成されたバルブであって、
第1セグメントと第2セグメントを有するバルブ本体と、
前記バルブ本体を貫通して伸びるルーメンと、
を備え、
前記第1セグメントは前記第2セグメントと一体になっており、前記第2セグメントは、第1形態から第2形態へと弾性的に変形可能であり、
前記ルーメンは、前記第1セグメントを貫通して伸びる第1部分と前記第2セグメントを貫通して伸びる第2部分とを有し、前記第2部分は、閉鎖形態と開口形態の間を可動であり、(第2セグメントの)前記第1形態から前記第2形態への弾性的な変形によって、前記第2部分が前記閉鎖形態から前記開口形態となることになる、
バルブ。
【請求項2】
前記第2セグメントが第1形態で楕円形の横断面を有し、第2形態で略円形の横断面を有する請求項1に記載のバルブ。
【請求項3】
前記第1セグメントは、円形の横断面を有する近位端と楕円形の横断面を有する遠位端とを有する請求項2に記載のバルブ。
【請求項4】
前記バルブ本体は細長い医療装置のルーメン内に配置するように構成され、第1セグメントは、前記細長い医療装置のルーメンの内表面とともに、シールを形成するように構成される請求項1に記載のバルブ。
【請求項5】
前記バルブ本体は、シリコーンゴム、ラテックスゴム、ポリウレタン、アクリルポリマー、熱可塑性エラストマーからなるグループから選択された少なくとも1つの材料からなる請求項1に記載のバルブ。
【請求項6】
バルブ本体がバルーンカテーテルの膨張ルーメン内に嵌合するように構成された請求項1に記載のバルブ。
【請求項7】
第1形態での第2セグメントは、約0.5mmから約3.5mmに及ぶ横断径と約0.25mmから約3.5mmに及ぶ共役直径を有する請求項1に記載のバルブ。
【請求項8】
閉鎖形態の時には、前記ルーメンの第2部分はスリットとなり、第2セグメントの第1形態から第2形態への弾性的変形によって前記スリットが前記開口状態へとなる、請求項1に記載のバルブ。
【請求項9】
前記第2セグメントが前記第1形態では、楕円筒形をした本体を有する請求項1に記載のバルブ。
【請求項10】
前記第1セグメントが円錐台筒形をした本体を有する請求項1に記載のバルブ。
【請求項11】
バルーンカテーテルアセンブリであって、
近位端と、遠位端と、前記近位端から前記遠位端まで伸びる第1ルーメンと、前記遠位端に配置され、前記第1ルーメンと流体連結するバルーンを有するバルーンカテーテルと、
バルブ本体を備えるバルブであって、前記バルブ本体を通って延びる潰れた第2ルーメンを有し、該第2ルーメンは第1形態から第2形態へと前記バルブ本体を弾性的に変形することで開口するバルブと
前記バルブ本体を弾性的に変形することが可能なシールを備える取り外し可能なハブと、
を備えるバルーンカテーテルアセンブリ。
【請求項12】
前記シールが、トーイボースト(Tuohy-Borst)シールである、請求項11に記載のバルーンカテーテルアセンブリ。
【請求項13】
前記バルブは、前記バルブ本体より近位にあって前記バルブ本体と一体となっているシール部分を備え、前記シール部分はそこを貫通する第3ルーメンを有し、前記第2ルーメンと前記第3ルーメンは一列に並び、前記シール部分は、第1ルーメンの内表面と係合し、流体密封シールを形成する、請求項11に記載のバルーンカテーテルアセンブリ。
【請求項1】
医療装置とともに使用するために構成されたバルブであって、
第1セグメントと第2セグメントを有するバルブ本体と、
前記バルブ本体を貫通して伸びるルーメンと、
を備え、
前記第1セグメントは前記第2セグメントと一体になっており、前記第2セグメントは、第1形態から第2形態へと弾性的に変形可能であり、
前記ルーメンは、前記第1セグメントを貫通して伸びる第1部分と前記第2セグメントを貫通して伸びる第2部分とを有し、前記第2部分は、閉鎖形態と開口形態の間を可動であり、(第2セグメントの)前記第1形態から前記第2形態への弾性的な変形によって、前記第2部分が前記閉鎖形態から前記開口形態となることになる、
バルブ。
【請求項2】
前記第2セグメントが第1形態で楕円形の横断面を有し、第2形態で略円形の横断面を有する請求項1に記載のバルブ。
【請求項3】
前記第1セグメントは、円形の横断面を有する近位端と楕円形の横断面を有する遠位端とを有する請求項2に記載のバルブ。
【請求項4】
前記バルブ本体は細長い医療装置のルーメン内に配置するように構成され、第1セグメントは、前記細長い医療装置のルーメンの内表面とともに、シールを形成するように構成される請求項1に記載のバルブ。
【請求項5】
前記バルブ本体は、シリコーンゴム、ラテックスゴム、ポリウレタン、アクリルポリマー、熱可塑性エラストマーからなるグループから選択された少なくとも1つの材料からなる請求項1に記載のバルブ。
【請求項6】
バルブ本体がバルーンカテーテルの膨張ルーメン内に嵌合するように構成された請求項1に記載のバルブ。
【請求項7】
第1形態での第2セグメントは、約0.5mmから約3.5mmに及ぶ横断径と約0.25mmから約3.5mmに及ぶ共役直径を有する請求項1に記載のバルブ。
【請求項8】
閉鎖形態の時には、前記ルーメンの第2部分はスリットとなり、第2セグメントの第1形態から第2形態への弾性的変形によって前記スリットが前記開口状態へとなる、請求項1に記載のバルブ。
【請求項9】
前記第2セグメントが前記第1形態では、楕円筒形をした本体を有する請求項1に記載のバルブ。
【請求項10】
前記第1セグメントが円錐台筒形をした本体を有する請求項1に記載のバルブ。
【請求項11】
バルーンカテーテルアセンブリであって、
近位端と、遠位端と、前記近位端から前記遠位端まで伸びる第1ルーメンと、前記遠位端に配置され、前記第1ルーメンと流体連結するバルーンを有するバルーンカテーテルと、
バルブ本体を備えるバルブであって、前記バルブ本体を通って延びる潰れた第2ルーメンを有し、該第2ルーメンは第1形態から第2形態へと前記バルブ本体を弾性的に変形することで開口するバルブと
前記バルブ本体を弾性的に変形することが可能なシールを備える取り外し可能なハブと、
を備えるバルーンカテーテルアセンブリ。
【請求項12】
前記シールが、トーイボースト(Tuohy-Borst)シールである、請求項11に記載のバルーンカテーテルアセンブリ。
【請求項13】
前記バルブは、前記バルブ本体より近位にあって前記バルブ本体と一体となっているシール部分を備え、前記シール部分はそこを貫通する第3ルーメンを有し、前記第2ルーメンと前記第3ルーメンは一列に並び、前記シール部分は、第1ルーメンの内表面と係合し、流体密封シールを形成する、請求項11に記載のバルーンカテーテルアセンブリ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公表番号】特表2013−513461(P2013−513461A)
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−544685(P2012−544685)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【国際出願番号】PCT/US2010/060097
【国際公開番号】WO2011/081886
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(511152957)クック メディカル テクノロジーズ エルエルシー (76)
【氏名又は名称原語表記】COOK MEDICAL TECHNOLOGIES LLC
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【国際出願番号】PCT/US2010/060097
【国際公開番号】WO2011/081886
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(511152957)クック メディカル テクノロジーズ エルエルシー (76)
【氏名又は名称原語表記】COOK MEDICAL TECHNOLOGIES LLC
【Fターム(参考)】
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