説明

低下した吸水を有するプラスチゾル

本発明は、意外に少ない吸水を有するプラスチゾルを製造するための粉末状のコア/シェルポリマーに関する。さらに、本発明は同様に少ない吸水を有し、かつさらにまた良好な貯蔵安定性、良好な機械的性質及び良好な軟化剤相溶性を有するこれらのポリマーから製造されるプラスチゾルペーストに関する。前記コア/シェルポリマーは、少なくとも250nmの一次粒度を有するラテックス粒子からなり、その場合にコアはメチルメタクリラート、C2−〜C8−又は芳香族のアルコール基を有する(メタ)アクリルエステル及び場合により別のモノマーからなり、かつ(1つ又はそれ以上の)シェルはこれらの成分に加えてさらになお(メタ)アクリル酸のアミド及び/又は(メタ)アクリル酸のアミン置換アルキルエステルを含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、意外なことに少ない吸水を有するプラスチゾルを製造するための粉末状コア/シェルポリマーに関する。
さらに本発明は、同様に少ない吸水を有し、かつさらにまた良好な貯蔵安定性、良好な機械的性質及び良好な軟化剤相溶性を有し、これらのポリマーから製造されるプラスチゾルペーストに関する。
【0002】
軟化剤中の微粒状ポリマー粉末の分散体、いわゆるプラスチゾルは、別の成分、例えば充填剤、及び顔料をたいてい添加して、工業的に大規模に使用される。特にポリ塩化ビニル(PVC)をベースとするプラスチゾルはより大規模に、コーティングのために、例えば金属の防食、特に自動車の床裏面部保護(Unterbodenschutz)及び車体シーリングのために使用される;他の例は、壁紙又はカーペット裏地のコーティングである。
【0003】
より長期にわたって、ポリ塩化ビニル(PVC)からなるコーティング及びカバーリング(Belaege)はそれらの多方面にわたる使用可能性及びそれらの良好な使用特性に基づいて市場で重要な役割を果たしていた、なぜなら、特に、ポリマー粒子が、プラスチゾルペーストが貯蔵される間に、可塑剤により膨潤されないか又はその中に溶解されないからであり(貯蔵安定性)、かつ加熱によるプラスチゾルのゲル化後に、軟化剤が形成されたフィルムにより保持され、かつ時間が経過するうちに形成されたフィルムから放出されないからである(「汗かき」)。
【0004】
最近、PVCをその他の原料により代替する傾向がはっきりとした形となっている。その理由は、とりわけ環境面及び燃焼した場合のポリマーの挙動である。重大な損傷をまねきうるハロゲン含有の燃焼ガスの放出に加えて、特に、酸性雨及びダイオキシン形成の可能性に関する不利な作用を挙げることができる。
【0005】
しかしながら、そのようなあらゆる努力の場合に、実際は、PVCポリマーの代替製品の場合にPVC製品にとって当たり前であった品質の劇的な削減を甘受する用意ができていなかったことを重要視しなければならなかった。
【0006】
故に、PVCポリマーを代用するために、ポリウレタン、エポキシド、シリコーン等をベースとするポリマーを代替物質として使用することが提案されていた。しかしながらこれらは、ポリ塩化ビニルプラスチゾル用の現存の生産設備が使用されることができず、故にこれらのポリマーの使用の場合に少なからぬ投資コストが生じうるという欠点を有する。さらに、これらの代替ポリマーは、別の欠点、例えば不十分な貯蔵安定性、毒性又は高い生産コストを有する。故に、塩化ビニルポリマーの適した代用製品を見出すという課題が存在していた。
【0007】
こうして、例えば、塩化ビニルポリマーを少なくとも部分的にアクリルポリマーにより代替することが提案されていた(特開(JP-A)昭60-258241号公報、特開(JP-A)昭61-185518号公報及び特開(JP-A)昭61-207418号公報)。しかしながら、これにより、燃焼した場合の有毒ガスの放出を回避するという重大な欠点は回避されない。
【0008】
特開(JP-A)平5-255563号公報には、確かにハロゲン不含のアクリルポリマーが開示されているが、しかしながらこれを用いて製造されたプラスチゾルはそれらの性質において、貯蔵安定性及び軟化剤の保持能(Rueckhaltevermoegen)に関して極めて不満足である。
【0009】
故に、PVCのファンデルワールス凝集力にほぼ相当するファンデルワールス凝集力を有するアクリルポリマーを製造することが試みられた。しかしながらこの場合に、ポリマーと軟化剤との間の高い相溶性が、劣悪な貯蔵安定性を意味する増強されたゲル化もまねくことが確認された。しかしながらポリマーと軟化剤との間の相溶性の減少は、この軟化剤がもはや形成されるフィルム中で十分に保持されず、かつ時間が経過するうちに外へ移動することをまねく。
【0010】
特開(JP-A)平5-279539号公報並びに欧州特許出願公開(EP-A)第1 162 217号明細書には、カルボン酸基、無水カルボン酸基又はスルホン酸基を有する(メタ)アクリラートをベースとするコア/シェル−ポリマーが開示されている。しかしながらこれらの基により、軟化剤との相溶性並びに吸水は不利な影響を受ける。
【0011】
同じ欠点を、特開(JP-A)平6-322225号公報により製造されるコア/シェル−ポリマーが有しており、この場合にラテックス粒子の表面上のエステル基が少なくとも部分的に、ポリマー類似アルカリ加水分解においてカルボン酸基へ変換される。
【0012】
日本国出願の特開(JP-A)昭53-144950号公報、特開(JP-A)平7-233299号公報及び特開(JP-A)平8-295850号公報には、コア及びシェルが異なって構成されているポリマーを有しているコア/シェル−ポリマーが開示されており、その場合にこれらは特定の性質、例えば貯蔵安定性について、その都度最適化されている。しかしながらこれを用いて形成されたフィルムは、同様に不満足な性質を有するに過ぎない。
【0013】
プラスチゾルの場合の一般的な問題は、ポリマー粉末又はゲル化されていないプラスチゾルペーストの吸水にある。通常100℃を上回る温度でのプラスチゾルペーストのゲル化の際に、この水は蒸発し、かつ完成したフィルム中に望ましくない気泡形成をまねく。
【0014】
完成したプラスチゾルフィルムの受け入れることができる機械的性質及び軟化剤相溶性を達成するために、より長鎖のアルキル鎖を有するメタクリラート(例えばブチルメタクリラート)の高い含量が通例必要である。そしてまた他方では、受け入れることができる貯蔵安定性を達成するために、酸含有モノマーがシェル中で使用されなければならない。しかしながら後者は、高められた吸水を引き起こし、機械的負荷(例えばストーンチッピング)に対する耐性を劣悪にし、かつ低温たわみ性を低下させる。
【0015】
故に、少ない吸水と同時に良好な貯蔵安定性並びに良好な軟化剤−保持能を有し、コア/シェル構造を有し、(メタ)アクリラートをベースとするアクリルポリマーを提供するという課題が存在していた。さらに、ゲル化されたプラスチゾルは、ストーンチッピングに対する良好な摩耗安定性を示すべきであり、かつ良好な低温たわみ性を有するべきである。
【0016】
これらの並びに明示的に記載されていないが、しかしながら本明細書の導入部において論じられた関係から簡単に誘導可能であるか又は推論可能であるさらなる課題は、特許請求項1の全ての特徴を有するコア/シェルポリマーにより解決される。本発明によるコア/シェルポリマーの好都合な変更態様は、請求項1を引用する従属請求項において、本発明によるポリマーの使用下に製造されるプラスチゾルは、請求項11〜12において保護下に置かれる。製造方法並びに使用に関して、請求項13〜16は、この基礎となっている課題の解決手段を提供する。
【0017】
コア/シェルポリマーが、これらが本発明による組成を有する場合に、3%未満のそのように少ない吸水を有することは意外であった。
【0018】
特に、本発明によるポリマーは、良好な貯蔵安定性、良好な軟化剤相溶性、良好な機械的性質及び少ない吸水からなる有利な組合せを有する。
【0019】
発明の詳細な説明:
本出願明細書のコア/シェル−ポリマーは、少なくとも250nm、好ましくは少なくとも500nm及び特に好ましくは少なくとも700nmの一次粒度を有するラテックス粒子からなる。この場合に、一次粒度は、乳化重合の際の生成物として得られ、個々の、通例ほぼ球状の及び凝集されていないポリマー粒子の直径であると理解される。通常、この大きさについては、例えばレーザー回折により決定されることができる平均粒子直径が記載される。
【0020】
本出願明細書のラテックス粒子は、1つのコア及び少なくとも1つのシェルからなり、これらは少なくとも2つの別個の工程において連続して製造される。通例、コア及び(1つ又はそれ以上の)シェルはその都度異なる組成を有する。
【0021】
ここで「(1つ又はそれ以上の)シェル」という概念が使用される場合には、このことは、当該の表現が、1つのシェル又は場合により複数の存在しているシェルのいずれかに適用することができることを意味するべきである。
【0022】
コアの第一成分はメチルメタクリラートである。この成分は、少なくとも20mol%存在し、かつ最大85mol%である。メチルメタクリラートの割合はまた、30〜70mol%又は40〜60mol%であってもよい。
【0023】
別の成分として、ラテックス粒子のコアは、1つ又はそれ以上の(メタ)アクリルエステルを含有し、そのアルコール成分は炭素原子2〜8個又は芳香族基1個を含有する。
【0024】
(メタ)アクリルエステル又は(メタ)アクリラートという表現は、本出願明細書の範囲内で、メタクリルエステルもしくはメタクリラート、例えばメチルメタクリラート、エチルメタクリラート等、並びにアクリルエステルもしくはアクリラート、例えばメチルアクリラート、エチルアクリラート等又は場合により双方からなる混合物を意味してよい。
【0025】
そのようなエステルの例は、飽和アルコールから誘導される(メタ)アクリラート、例えばエチル(メタ)アクリラート、n−プロピル(メタ)アクリラート、イソプロピル(メタ)アクリラート、n−ブチル(メタ)アクリラート、イソブチル(メタ)アクリラート、t−ブチル(メタ)アクリラート、ペンチル(メタ)アクリラート、ヘキシル(メタ)アクリラート及びヘプチル(メタ)アクリラート;エチルヘキシル(メタ)アクリラート、オクチル(メタ)アクリラート、イソオクチル(メタ)アクリラート、シクロアルキル(メタ)アクリラート、例えばシクロペンチル(メタ)アクリラート及びシクロヘキシル(メタ)アクリラート;
不飽和アルコールから誘導される(メタ)アクリラート、例えば2−プロピニル(メタ)アクリラート及びアリル(メタ)アクリラート、ビニル(メタ)アクリラート;
アリール(メタ)アクリラート、例えばベンジルメタクリラート又はフェニルメタクリラート、ここで前記アリール基はその都度置換されていないか又は一ないし四置換されていてよい;である。
【0026】
特別な一実施態様において、ラテックス粒子のコアの成分b)は、n−ブチル(メタ)アクリラート、イソブチル(メタ)アクリラート又はt−ブチル(メタ)アクリラートのいずれか又はこれらからなる混合物である。
【0027】
これらのエステルは、15〜80mol%、30〜70mol%又は40〜60mol%存在していてよい。
【0028】
別の成分として、ラテックス粒子のコアは、1つ又はそれ以上の共重合可能なモノマー0〜30mol%、0〜20mol%、0〜10mol%、又は0〜5mol%を含有していてよい。これらのモノマーの存在は、場合によりラテックス粒子のコアの特定の性質を意図的に調節するために、特別な場合に好都合でありうる。N含有化合物は除かれる。意外にも、窒素含有化合物をコア中に含有しないラテックス粒子が、改善された低温たわみ性を有することが見出された。与えられた重合条件下でコアを形成するポリマー中へ導入されることができる全てのエチレン系不飽和化合物が考えられる。
【0029】
これらには、とりわけ次のものが属する:
グリコールジメタクリラート、例えば1,4−ブタンジオールメタクリラート、2−ブトキシエチルメタクリラート、
2−エトキシエトキシメチルメタクリラート、
2−エトキシエチルメタクリラート、
エーテルアルコールのメタクリラート、例えば
テトラヒドロフルフリルメタクリラート、
ビニルオキシエトキシエチルメタクリラート、
メトキシエトキシエチルメタクリラート、
1−ブトキシプロピルメタクリラート、
1−メチル−(2−ビニルオキシ)エチルメタクリラート、
シクロヘキシルオキシメチルメタクリラート、
メトキシメトキシエチルメタクリラート、
ベンジルオキシメチルメタクリラート、
フルフリルメタクリラート、
2−ブトキシエチルメタクリラート、
2−エトキシエトキシメチルメタクリラート、
2−エトキシエチルメタクリラート、
アリルオキシメチルメタクリラート、
1−エトキシブチルメタクリラート、
メトキシメチルメタクリラート、
1−エトキシエチルメタクリラート、
エトキシメチルメタクリラート;
オキシラニルメタクリラート、例えば
2,3−エポキシブチルメタクリラート、
3,4−エポキシブチルメタクリラート、
グリシジルメタクリラート;
リン、ホウ素及び/又はケイ素を含有しているメタクリラート、例えば
2−(ジメチルホスファト)プロピルメタクリラート、
2−(エチレンホスフィット)プロピルメタクリラート、
ジメチルホスフィノメチルメタクリラート、
ジメチルホスホノエチルメタクリラート、
ジエチルメタクリロイルホスホナート、
ジプロピルメタクリロイルホスファート;
硫黄を含有しているメタクリラート、例えば
エチルスルフィニルエチルメタクリラート、
4−チオシアナトブチルメタクリラート、
エチルスルホニルエチルメタクリラート、
チオシアナトメチルメタクリラート、
メチルスルフィニルメチルメタクリラート、
ビス(メタクリロイルオキシエチル)スルフィド;
トリメタクリラート、例えば
トリメチロイルプロパントリメタクリラート;
ビニルエステル、例えば酢酸ビニル;
スチレン、側鎖中にアルキル置換基を有する置換スチレン、例えばα−メチルスチレン及びα−エチルスチレン、環上にアルキル置換基を有する置換スチレン、例えばビニルトルエン及びp−メチルスチレン;
ヘテロ環式ビニル化合物、例えば9−ビニルカルバゾール、3−ビニルカルバゾール、4−ビニルカルバゾール、ビニルオキソラン、ビニルフラン、ビニルチオフェン、ビニルチオラン、ビニルチアゾール及び水素化ビニルチアゾール、ビニルオキサゾール及び水素化ビニルオキサゾール;
ビニルエーテル及びイソプレニルエーテル;
マレイン酸誘導体、例えばマレイン酸のジエステル、ここで前記アルコール基は炭素原子1〜9個を有する、無水マレイン酸、メチルマレイン酸無水物、
フマル酸誘導体、例えばフマル酸のジエステル、ここで前記アルコール基は炭素原子1〜9個を有する;
ジエン、例えばジビニルベンゼン。
α−オレフィン、例えばエテン、プロペン、n−ブテン、イソブテン、n−ペンテン、イソペンテン、n−ヘキセン、イソヘキセン。
シクロヘキセン。
【0030】
特別な一実施態様において、コアの別の共重合可能なモノマーは、少なくとも1つのカルボン酸基、スルホン酸基及び/又は少なくとも1つのホスホン酸基を有するエチレン系不飽和モノマーを含んでいてもよい。これらは、少なくとも1つのエチレン系二重結合並びに少なくとも1つのカルボン酸基、スルホン酸基及び/又は少なくとも1つのホスホン酸基を有する全ての有機化合物である。これらには例えば次のものが属する:
アクリル酸、
メタクリル酸、
1−[2−(イソプロペニルカルボニルオキシ)エチル]−マレアート(2−ヒドロキシエチルメタクリラート(HEMA)及びマレイン酸からなるモノエステル)、
1−[2−(ビニルカルボニルオキシ)エチル]−マレアート(2−ヒドロキシエチルアクリラート(HEA)及びマレイン酸からなるモノエステル)、
1−[2−(イソプロペニルカルボニルオキシ)エチル]−スクシナート(HEMA及びコハク酸からなるモノエステル)、
1−[2−(ビニルカルボニルオキシ)エチル]−スクシナート(HEA及びコハク酸からなるモノエステル)、
1−[2−(イソプロペニルカルボニルオキシ)エチル]−フタラート(HEMA及びフタル酸からなるモノエステル)、
1−[2−(ビニルカルボニルオキシ)エチル]−フタラート(HEA及びフタル酸からなるモノエステル)、
1−[2−(イソプロペニルカルボニルオキシ)エチル]−ヘキサヒドロフタラート(HEMA及びヘキサヒドロフタル酸からなるモノエステル)、
1−[2−(ビニルカルボニルオキシ)エチル]−ヘキサヒドロフタラート(HEA及びヘキサヒドロフタル酸からなるモノエステル)、
1−[2−(イソプロペニルカルボニルオキシ)ブチル]−マレアート(2−ヒドロキシブチルメタクリラート(HBMA)及びマレイン酸からなるモノエステル)、
1−[2−(ビニルカルボニルオキシ)ブチル]−マレアート(2−ヒドロキシブチルアクリラート(HBA)及びマレイン酸からなるモノエステル)、
1−[2−(イソプロペニルカルボニルオキシ)ブチル]−スクシナート(HBMA及びコハク酸からなるモノエステル)、
1−[2−(ビニルカルボニルオキシ)ブチル]−スクシナート(HBA及びコハク酸からなるモノエステル)、
1−[2−(イソプロペニルカルボニルオキシ)ブチル]−フタラート(HBMA及びフタル酸からなるモノエステル)、
1−[2−(ビニルカルボニルオキシ)ブチル]−フタラート(HBA及びフタル酸からなるモノエステル)、
1−[2−(イソプロペニルカルボニルオキシ)ブチル]−ヘキサヒドロフタラート(HBMA及びヘキサヒドロフタル酸からなるモノエステル)、
1−[2−(ビニルカルボニルオキシ)ブチル]−ヘキサヒドロフタラート(HBA及びヘキサヒドロフタル酸からなるモノエステル)、
フマル酸、
フマル酸のモノエステル、
マレイン酸、
マレイン酸のモノエステル、
クロトン酸、
イタコン酸、
アクリルアミドグリコール酸、
メタクリルアミド安息香酸、
ケイ皮酸、
ビニル酢酸、
トリクロロアクリル酸、
10−ヒドロキシ−2−デセン酸、
4−メタクリルオキシエチルトリメチル酸、
スチレンカルボン酸、
2−(イソプロペニルカルボニルオキシ)−エタンスルホン酸、
2−(ビニルカルボニルオキシ)−エタンスルホン酸、
2−(イソプロペニルカルボニルオキシ)−プロピルスルホン酸、
2−(ビニルカルボニルオキシ)−プロピルスルホン酸、
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、
アクリルアミドドデカンスルホン酸、
2−プロペン−1−スルホン酸、
メタリルスルホン酸、
スチレンスルホン酸、
スチレンジスルホン酸、
メタクリルアミドエタンホスホン酸、
ビニルホスホン酸。
【0031】
前記のエチレン系不飽和モノマーは、個々にか又は混合物として使用されることができる。
【0032】
ラテックス粒子のコアの前記の成分のモル割合は、挙げられた範囲内でその都度変えることができるが、しかしながらその場合に、成分a)、b)及びc)の選択された割合の総和が合わせて100mol%にならなければならないことが常に顧慮されなければならない。
【0033】
ラテックス粒子は、第二の又は場合によりさらなる反応段階においてコア上に形成される少なくとも1つのシェルを別の成分として含有する。コアとシェルとの、もしくはシェル同士の結合は、物理的な力のみによるか又はしかしグラフトにより生じている共有結合により、達成されることができる。
【0034】
前記の(1つ又はそれ以上の)シェルの第一成分はメチルメタクリラートである。この成分は常に少なくとも20mol%存在し、かつ最大94.9mol%である。メチルメタクリラートの割合はまた、40〜85mol%又は50〜79.5mol%であってもよい。
【0035】
別の成分として、ラテックス粒子の(1つ又はそれ以上の)シェルは1つ又はそれ以上の(メタ)アクリルエステルを含有し、そのアルコール成分は炭素原子2〜8個又は芳香族基1個を含有する。
【0036】
そのようなエステルの例は、飽和アルコールから誘導される(メタ)アクリラート、例えばエチル(メタ)アクリラート、n−プロピル(メタ)アクリラート、イソプロピル(メタ)アクリラート、n−ブチル(メタ)アクリラート、イソブチル(メタ)アクリラート、t−ブチル(メタ)アクリラート、ペンチル(メタ)アクリラート、ヘキシル(メタ)アクリラート及びヘプチル(メタ)アクリラート;エチルヘキシル(メタ)アクリラート、オクチル(メタ)アクリラート、イソオクチル(メタ)アクリラート、
シクロアルキル(メタ)アクリラート、例えばシクロペンチル(メタ)アクリラート及びシクロヘキシル(メタ)アクリラート;
不飽和アルコールから誘導される(メタ)アクリラート、例えば2−プロピニル(メタ)アクリラート及びアリル(メタ)アクリラート、ビニル(メタ)アクリラート
アリール(メタ)アクリラート、例えばベンジルメタクリラート又は
フェニルメタクリラート、ここで前記アリール基はその都度置換されていないか又は一ないし四置換されていてよい;である。
【0037】
これらのエステルは、5〜79.9mol%、10〜50mol%又は15〜40mol%存在していてよい。
【0038】
前記の(1つ又はそれ以上の)シェルの第三成分は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸のアミド、又はアクリル酸及び/又はメタクリル酸のアミン置換アルキルエステルのいずれか又は前記の化合物からなる混合物である。
【0039】
アミドは、単純なアミド、すなわちアクリルアミド又はメタクリルアミド又はアクリル酸及び/又はメタクリル酸のN−置換アミドであってよく、これらは次式の官能基を有する:
−C(O)−NR12
[式中、R1及びR2は互いに独立してH又は炭素原子1〜10個を有する線状又は分枝鎖状のアルキル基を表し、前記アルキル基は場合によりさらに付加的に式−NR34で示されるアミノ基も有していてよく、ここでR3及びR4は互いに独立してH又は炭素原子1〜10個を有する線状又は分枝鎖状のアルキル基を表すか、又は前記窒素が置換基R3及びR4と一緒になって五ないし七員環を形成してもよい]。前記環は、場合によりさらに1つ又はそれ以上の短鎖アルキル基、例えばメチル、エチル又はプロピルにより置換されていてよいか又はヘテロ原子、例えば窒素又は酸素を含んでいてよい。
【0040】
このための例は、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ジメチルアミノエチル−(メタ)アクリルアミド、N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−イソブチル(メタ)アクリルアミド、N−デシル(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−[3−(ジメチルアミノ)−2,2−ジメチルプロピル]−メタクリルアミド、N−ドデシル(メタ)アクリルアミド、N−[3−ジメチルアミノプロピル](メタ)アクリルアミド、N−[2−ヒドロキシ−エチル](メタ)アクリルアミド、N−メタクリロイルモルホリン、N−メタクリロイル−2−ピロリジノンである。
【0041】
アクリルアミド及びメタクリルアミドが特に好ましい。
【0042】
アクリル酸及び/又はメタクリル酸の前記のアミドは、ラテックス粒子の1つのシェル又は場合により複数のシェルの0.1〜20mol%の成分である。好ましい割合は0.3〜10mol%又は1〜5mol%であり、その場合にこれらの記載はそれぞれのシェルに対するものであり、かつ前記割合は異なるシェル中で相違していてよい。
【0043】
アクリル酸及び/又はメタクリル酸のアミン置換アルキルエステルは、次の官能基を有する:
−C(O)−O−(CH2n−NR34
[式中、n=1〜6であり、
かつR3及びR4は互いに独立してH又は炭素原子1〜10個を有する線状又は分枝鎖状のアルキル基を表すか、又は前記窒素は置換基R3及びR4と一緒になって五ないし七員環を形成してもよい]。前記環は、場合によりさらに1つ又はそれ以上の短鎖アルキル基、例えばメチル、エチル又はプロピルにより置換されていてよいか又はヘテロ原子、例えば窒素又は酸素を含んでいてよい。
【0044】
このための例は次のものである:2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリラート、2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリラート、3−ジメチルアミノ−2,2−ジメチルプロピル−1−(メタ)アクリラート、3−ジエチルアミノ−2,2−ジメチルプロピル−1−(メタ)アクリラート、2−t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリラート、3−(ジメチル−アミノ)プロピル(メタ)アクリラート、2−(ジメチルアミノエトキシエチル)(メタ)アクリラート、2−モルホリノエチル(メタ)−アクリラート、N−(2−メタクリロイルオキシエチル)−2−ピロリジノン、N−(3−メタクリロイルオキシプロピル)−2−ピロリジノン、N−(2−メタクリロイルオキシペンタデシル)−2−ピロリジノン、N−(3−メタクリロイルオキシヘプタデシル)−2−ピロリジノン。
【0045】
アクリル酸及び/又はメタクリル酸の前記のアミン置換アルキルエステルは、ラテックス粒子の1つのシェル又は場合により複数のシェルの0.1〜20mol%の成分である。好ましい割合は0.5〜10mol%又は1〜5mol%であり、その場合にこれらの記載はそれぞれのシェルに基づくものであり、かつ前記割合は異なるシェル中で相違していてよい。
【0046】
アクリル酸及び/又はメタクリル酸の前記のアミド、又はアクリル酸及び/又はメタクリル酸の前記のアミン置換アルキルエステルは場合によりラテックス粒子の1つ又はそれ以上のシェル中に同時に存在していてもよい。この場合に前記化合物の共通した割合は0.1〜20mol%である。好ましい割合は0.5〜10mol%又は1〜5mol%であり、その場合にこれらの記載はそれぞれのシェルに基づくものであり、かつ前記割合は異なるシェル中で相違していてよい。
【0047】
別の成分として、ラテックス粒子のシェルは、1つ又はそれ以上の共重合可能なモノマー0〜30mol%、0〜20mol%、0〜10mol%又は0〜5mol%を含有していてよい。これらのモノマーの存在は、場合によりラテックス粒子のシェルの特定の性質を意図的に調節するために、特別な場合に好都合でありうる。与えられた重合条件下でそれぞれのシェルを形成するポリマー中へ導入されることができる全てのビニル系不飽和化合物が考えられる。
【0048】
これらには、とりわけ次のものが属する:
(メタ)アクリル酸のニトリル及びその他の窒素含有メタクリラート、例えば
メタクリロイルアミドアセトニトリル、
2−メタクリロイルオキシエチルメチルシアンアミド、
シアノメチルメタクリラート;
カルボニル含有メタクリラート、例えば
オキサゾリジニルエチルメタクリラート、
N−(メタクリロイルオキシ)ホルムアミド、
アセトニルメタクリラート、
N−メタクリロイルモルホリン、
N−メタクリロイル−2−ピロリジノン;
グリコールジメタクリラート、例えば1,4−ブタンジオールメタクリラート、2−ブトキシエチルメタクリラート、
2−エトキシエトキシメチルメタクリラート、
2−エトキシエチルメタクリラート、
エーテルアルコールのメタクリラート、例えば
テトラヒドロフルフリルメタクリラート、
ビニルオキシエトキシエチルメタクリラート、
メトキシエトキシエチルメタクリラート、
1−ブトキシプロピルメタクリラート、
1−メチル−(2−ビニルオキシ)エチルメタクリラート、
シクロヘキシルオキシメチルメタクリラート、
メトキシメトキシエチルメタクリラート、
ベンジルオキシメチルメタクリラート、
フルフリルメタクリラート、
2−ブトキシエチルメタクリラート、
2−エトキシエトキシメチルメタクリラート、
2−エトキシエチルメタクリラート、
アリルオキシメチルメタクリラート、
1−エトキシブチルメタクリラート、
メトキシメチルメタクリラート、
1−エトキシエチルメタクリラート、
エトキシメチルメタクリラート;
オキシラニルメタクリラート、例えば
2,3−エポキシブチルメタクリラート、
3,4−エポキシブチルメタクリラート、
グリシジルメタクリラート;
リン、ホウ素及び/又はケイ素を含有しているメタクリラート、例えば
2−(ジメチルホスファト)プロピルメタクリラート、
2−(エチレンホスフィット)プロピルメタクリラート、
ジメチルホスフィノメチルメタクリラート、
ジメチルホスホノエチルメタクリラート、
ジエチルメタクリロイルホスホナート、
ジプロピルメタクリロイルホスファート;
硫黄を含有しているメタクリラート、例えば
エチルスルフィニルエチルメタクリラート、
4−チオシアナトブチルメタクリラート、
エチルスルホニルエチルメタクリラート、
チオシアナトメチルメタクリラート、
メチルスルフィニルメチルメタクリラート、
ビス(メタクリロイルオキシエチル)スルフィド;
トリメタクリラート、例えば
トリメチロイルプロパントリメタクリラート;
ビニルエステル、例えば酢酸ビニル;
スチレン、側鎖中にアルキル置換基を有する置換スチレン、例えばα−メチルスチレン及びα−エチルスチレン、環上にアルキル置換基を有する置換スチレン、例えばビニルトルエン及びp−メチルスチレン;
ヘテロ環式ビニル化合物、例えば2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、3−エチル−4−ビニルピリジン、2,3−ジメチル−5−ビニルピリジン、ビニルピリミジン、ビニルピペリジン、9−ビニルカルバゾール、3−ビニルカルバゾール、4−ビニルカルバゾール、1−ビニルイミダゾール、2−メチル−1−ビニルイミダゾール、N−ビニルピロリドン、2−ビニルピロリドン、N−ビニルピロリジン、3−ビニルピロリジン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルブチロラクタム、ビニルオキソラン、ビニルフラン、ビニルチオフェン、ビニルチオラン、ビニルチアゾール及び水素化ビニルチアゾール、ビニルオキサゾール及び水素化ビニルオキサゾール;
ビニルエーテル及びイソプレニルエーテル;
マレイン酸誘導体、例えばマレイン酸のジエステル、ここで前記アルコール基は炭素原子1〜9個を有する、無水マレイン酸、メチルマレイン酸無水物、マレインイミド、メチルマレインイミド;
フマル酸誘導体、例えばフマル酸のジエステル、ここで前記アルコール基は炭素原子1〜9個を有する;
ジエン、例えばジビニルベンゼン。
α−オレフィン、例えばエテン、プロペン、n−ブテン、イソブテン、n−ペンテン、イソペンテン、n−ヘキセン、イソヘキセン。
シクロヘキセン。
【0049】
前記のエチレン系不飽和モノマーは、個々にか又は混合物として使用されることができる。
【0050】
特別な一実施態様において、(1つ又はそれ以上の)シェルの別の共重合可能なモノマーは、少なくとも1つのカルボン酸基、スルホン酸基及び/又は少なくとも1つのホスホン酸基を有するエチレン系不飽和モノマーを含んでいてもよい。これらは、少なくとも1つのエチレン系二重結合並びに少なくとも1つのカルボン酸基、スルホン酸基及び/又は少なくとも1つのホスホン酸基を有する全ての有機化合物である。これらには例えば次のものが属する:
アクリル酸、
メタクリル酸、
1−[2−(イソプロペニルカルボニルオキシ)エチル]−マレアート(2−ヒドロキシエチルメタクリラート(HEMA)及びマレイン酸からなるモノエステル)、
1−[2−(ビニルカルボニルオキシ)エチル]−マレアート(2−ヒドロキシエチルアクリラート(HEA)及びマレイン酸からなるモノエステル)、
1−[2−(イソプロペニルカルボニルオキシ)エチル]−スクシナート(HEMA及びコハク酸からなるモノエステル)、
1−[2−(ビニルカルボニルオキシ)エチル]−スクシナート(HEA及びコハク酸からなるモノエステル)、
1−[2−(イソプロペニルカルボニルオキシ)エチル]−フタラート(HEMA及びフタル酸からなるモノエステル)、
1−[2−(ビニルカルボニルオキシ)エチル]−フタラート(HEA及びフタル酸からなるモノエステル)、
1−[2−(イソプロペニルカルボニルオキシ)エチル]−ヘキサヒドロフタラート(HEMA及びヘキサヒドロフタル酸からなるモノエステル)、
1−[2−(ビニルカルボニルオキシ)エチル]−ヘキサヒドロフタラート(HEA及びヘキサヒドロフタル酸からなるモノエステル)、
1−[2−(イソプロペニルカルボニルオキシ)ブチル]−マレアート(2−ヒドロキシブチルメタクリラート(HBMA)及びマレイン酸からなるモノエステル)、
1−[2−(ビニルカルボニルオキシ)ブチル]−マレアート(2−ヒドロキシブチルアクリラート(HBA)及びマレイン酸からなるモノエステル)、
1−[2−(イソプロペニルカルボニルオキシ)ブチル]−スクシナート(HBMA及びコハク酸からなるモノエステル)、
1−[2−(ビニルカルボニルオキシ)ブチル]−スクシナート(HBA及びコハク酸からなるモノエステル)、
1−[2−(イソプロペニルカルボニルオキシ)ブチル]−フタラート(HBMA及びフタル酸からなるモノエステル)、
1−[2−(ビニルカルボニルオキシ)ブチル]−フタラート(HBA及びフタル酸からなるモノエステル)、
1−[2−(イソプロペニルカルボニルオキシ)ブチル]−ヘキサヒドロフタラート(HBMA及びヘキサヒドロフタル酸からなるモノエステル)、
1−[2−(ビニルカルボニルオキシ)ブチル]−ヘキサヒドロフタラート(HBA及びヘキサヒドロフタル酸からなるモノエステル)、
フマル酸、
フマル酸のモノエステル、
マレイン酸、
マレイン酸のモノエステル、
クロトン酸、
イタコン酸、
アクリルアミドグリコール酸、
メタクリルアミド安息香酸、
ケイ皮酸、
ビニル酢酸、
トリクロロアクリル酸、
10−ヒドロキシ−2−デセン酸、
4−メタクリルオキシエチルトリメチル酸、
スチレンカルボン酸、
2−(イソプロペニルカルボニルオキシ)−エタンスルホン酸、
2−(ビニルカルボニルオキシ)−エタンスルホン酸、
2−(イソプロペニルカルボニルオキシ)−プロピルスルホン酸、
2−(ビニルカルボニルオキシ)−プロピルスルホン酸、
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、
アクリルアミドドデカンスルホン酸、
2−プロペン−1−スルホン酸、
メタリルスルホン酸、
スチレンスルホン酸、
スチレンジスルホン酸、
メタクリルアミドエタンホスホン酸、
ビニルホスホン酸。
【0051】
しかしながら、少なくとも1つのカルボン酸基、スルホン酸基及び/又は少なくとも1つのホスホン酸基を有するこれらのエチレン系不飽和モノマーは、0.5mol%未満、好ましくは0.4mol%未満及び特に好ましくは0.3mol%未満で含まれている。前記モノマーのより高い割合は、これらの官能基の高い極性に基づいて本発明による低い吸水に有害であり、故に回避される。
【0052】
ラテックス粒子のそれぞれの(1つ又はそれ以上の)シェルの前記の成分のモル割合は、挙げられた範囲内でその都度変えることができるが、しかしながらその場合に、シェル内の成分a’)、b’)、c’)及びd’)の選択された割合の総和が合わせて100mol%にならなければならないことが常に顧慮されなければならない。
【0053】
特別な一実施態様において、コア/シェルポリマーは1つのコア及び1つのシェルからなる。コア対シェルの質量比は、幅広い範囲内で変えることができ、かつ10:90〜90:10である。この質量比は、モノマーの秤量分からもたらされる。
【0054】
さらなる実施態様は、1つのコア及び2つ又はそれ以上のシェルからなるコア/シェルポリマーであってよい。シェルの数はたいていの場合に2又は3であるが、しかしながらそれを上回っていてもよい。個々の又は全てのシェルの化学組成は同じであってよく、又はしかし場合により異なるモノマー組成を有していてよい。
【0055】
さらなる好ましい一実施態様は、コアの成分b)並びに少なくとも1つのシェルの成分b’)がn−ブチル(メタ)アクリラート、イソブチル(メタ)アクリラート又はt−ブチル(メタ)アクリラート又はこれらからなる混合物であることにより特徴付けられている。
【0056】
さらなる有利な一実施態様において、コア/シェルポリマーは、少なくとも1つのシェル中にカルボキシル基又はスルホン酸基又はホスホン酸基を有するモノマー0.5mol%未満、好ましくは0.4mol%未満及び特に好ましくは0.3mol%未満を含有する。
【0057】
前記モノマーのより高い割合は、これらの官能基の高い極性に基づいて本発明による低い吸水に有害であり、故に回避される。しかしながら前記の(1つ又はそれ以上の)シェルは、場合によりさらに別の共重合可能なモノマーを、既に挙げられた上限に達するまで含有していてよい。
【0058】
本発明によるポリマーからは、コア/シェルポリマー及び少なくとも1つの軟化剤を含有するプラスチゾルが製造されることができる。軟化剤(Weichmacher)はしばしば可塑剤(Plastifizierungsmittel)とも呼ばれる。多くの場合に、唯一の軟化剤の使用で十分であるが、しかしまた、2つ又はそれ以上の異なる軟化剤の混合物を使用することも有利でありうる。
【0059】
軟化剤として、フタラート、例えばジイソデシルフタラート、ジエチルヘキシルフタラート、ジイソノニルフタラート、ジ−C7〜C11−n−アルキルフタラート、ジオクチルフタラート、トリクレジルホスファート、ジベンジルトルエン、及びベンジルオクチルフタラートを特に挙げることができる。
さらにまた、他の化合物、例えばシトラート、ホスファート及びベンゾアートが使用されることもできる。
挙げられた軟化剤は、混合物としても使用されることができる。
【0060】
プラスチゾルペースト中の量比は、幅広い範囲内で変えることができる。典型的な配合物中に、軟化剤はコア/シェルポリマー100質量部に対して、50〜300質量部の割合で含まれている。レオロジー要件−特にプラスチゾルの加工の場合−に適合させるために、そのうえ、溶剤(例えば炭化水素)が希釈剤として使用されることができる。
さらに、前記プラスチゾルは通常、さらに無機充填剤を0〜300質量部の量で含有する。レオロジー上効果的な添加剤として例えば炭酸カルシウム(白亜)、二酸化チタン、酸化カルシウム、沈降及び被覆された白亜を、さらに場合によりチキソトロープ剤、例えば熱分解法ケイ酸を挙げることができる。
しばしば、前記プラスチゾルにそのうえ、接着促進剤(Haftvermittler)が40〜120質量部の量で添加される;例えばポリアミノアミド又はブロックイソシアナートが使用される。
ポリ(メタ)アクリラート−プラスチゾルの分野での使用において特に有効な接着促進剤としての自己架橋性ブロックイソシアナートは、例えば欧州特許(EP)第1371674号明細書に記載されている。
【0061】
前記プラスチゾルは、適用に制約されてさらにプラスチゾルに常用の別の成分(助剤)、例えば湿潤剤、安定剤、レベリング剤(Verlaufsmittel)、顔料、噴射剤を含有していてよい。
レベリング剤として例えばステアリン酸カルシウムを挙げることができる。
【0062】
原則的に、本発明によるプラスチゾル用の成分の混合は、多様なミキサーを用いて行われることができる。しかしながらPVC−及びポリ(メタ)アクリラート−プラスチゾルの場合の経験と一致して、低速運転プラネタリ形撹拌機、高速ミキサーもしくはディソルバー、水平ターボミキサー及びスリーロールミルが好ましい;その場合に前記選択は製造されるプラスチゾルの粘度により影響を受ける。
【0063】
前記プラスチゾル材料は、典型的には0.05〜5mmの層厚で100〜220℃(好ましくは120〜160℃)の温度で30分未満以内にゲル化されることができる。
【0064】
金属部材のコーティングのための塗布方式として目下のところ、噴霧法、例えばペースト噴霧法が好ましい。その場合に、プラスチゾルは通常、高い圧力(約300〜400bar)でエアレス−スプレーガンを通して加工される。
特に重要な使用分野である自動車製造/床裏面部保護において、通常、プラスチゾルが車体の電着塗装及び行われる乾燥後に塗布されるようにして行われる。熱硬化は通常、加熱炉(例えば循環空気乾燥器)中で−温度に依存して−10〜30分の範囲内の常用の滞留時間及び100〜200℃、好ましくは120〜160℃の温度で行われる。
金属基体の電気泳動によるコーティングはいろいろと記載されている(独国特許出願公開(DE-A)第27 51 498号明細書、独国特許出願公開(DE-A)第27 53 861号明細書、独国特許出願公開(DE-A)第27 32 736号明細書、独国特許出願公開(DE-A)第27 33 188号明細書、独国特許出願公開(DE-A)第28 33 786号明細書参照)。
【0065】
当該のコア/シェルポリマーは、それらの吸水が3.0%未満であることにより特徴付けられている。特別な実施態様において、前記コア/シェルポリマーはまた、2.0%未満、1.5%未満又は1.0%未満の吸水を有していてもよい。特に好ましい一実施態様において、前記コア/シェルポリマーの吸水は0.8%未満又は0.5%未満である。
吸水の測定は、当該の開示の範囲内で記載された方法により行われ、その場合に相応するポリマー試料が乾燥され、かつ定義された標準雰囲気で貯蔵される。吸水の測定は、記載された方法で示差秤量により行われる。
【0066】
本発明によるコア/シェルポリマーの使用下に製造されたプラスチゾルペーストは、同様に少ない吸水を有する。
【0067】
ポリマー粉末もしくはプラスチゾルペーストの少ない吸水はかなりの加工利点である、それというのも、粉末又はペーストが、例えば貯蔵又は加工の際に湿った空気に曝されている場合に、気泡形成によるフィルム品質の妨害が起こらないからである。
【0068】
コア/シェルポリマーをベースとするプラスチゾルの製造方法は、
a)コア/シェルポリマーを、場合により多段階である乳化重合により、製造し、
b)生じた分散液を乾燥させ、かつ
c)引き続いて少なくとも1つの軟化剤と及び場合により接着促進剤及び/又は充填剤及び場合によりプラスチゾルに常用の別の成分と混合することにより、特徴付けられている。
【0069】
適している混合比は、軟化剤50〜300モル部、接着促進剤40〜120モル部及び/又は充填剤0〜300モル部を有するコア/シェルポリマー100モル部である。
【0070】
前記コア/シェルポリマーの製造は、乳化重合により行われることができる。この方法は、当業者に公知であり、かつ標準的な著書に詳細に記載されている。
【0071】
前記コア/シェルポリマーの製造は、本来公知の方法で、好ましくは場合により多段階で実施されることができる乳化重合により行われることができる。
乳化重合の使用の場合に、有利には乳濁液−又はモノマー供給法に従い操作されることができ、その場合に水の一部並びに開始剤及び乳化剤の全量又は一部が装入される。粒度は、これらの方法の場合に装入される乳化剤の量により有利には制御されることができる。乳化剤として、とりわけアニオン性及び非イオン性の界面活性剤が使用可能である。一般的に、使用される乳化剤量は−前記ポリマーに対して−、2.5質量%を上回らない。
開始剤として、乳化重合において常用の化合物、例えば過化合物(Perverbindungen)、例えば過酸化水素、ペルオキシ二硫酸アンモニウム(APS)に加えて、またレドックス系、例えば二亜硫酸ナトリウム−APS−鉄並びに水溶性アゾスターターが使用されることができる。開始剤量は前記ポリマーに対して、一般的に0.005〜0.5質量%である。
【0072】
重合温度は特定の範囲内で開始剤に依存する。例えば、APSの使用の場合に有利には60〜90℃の範囲内で操作される。レドックス系の使用の場合には、より低い温度、例えば30℃で重合されることもできる。供給重合に加えて、バッチ重合の方法に従っても操作されることができる。その場合に、モノマーの全量もしくは一部が全ての助剤と共に装入され、かつ重合が開始される。モノマー−水−比はその場合に、放出される反応熱に適合されなければならない。まず最初にモノマー及び助剤の半分が水の全量中に乳化され、ついで室温で重合が開始され、かつ反応を行った後にバッチが冷却され、かつモノマーの残っている半分が助剤と一緒に添加されるようにして50%乳濁液が製造される場合には、通例、困難は生じない。
【0073】
この方法から得られる一次粒子は、典型的には、例えばレーザー回折により決定されることができる250〜1000nmの平均粒度を有する。
【0074】
固体の形での結合剤の取得は、凍結乾燥、沈殿又は好ましくは噴霧乾燥により常用の方法で行われることができる。
【0075】
前記分散液の噴霧乾燥は公知方法で行われることができる。大工業的には、通常、噴霧される分散液と並流で上から下へ熱風と共に貫流される、いわゆるスプレー塔が使用される。前記分散液は、1つの又は多数のノズルを介して噴霧されるか又は好ましくは高速回転する穴あきディスクを用いて噴霧される。投入する熱風は、100〜250℃、好ましくは150〜250℃の温度を有する。噴霧乾燥されるエマルションポリマーの性質のためには、空気の出口温度、すなわち乾燥される粉末粒子がスプレー塔の脚部で又はサイクロン分離器中で空気流から分離される温度が決定的である。この温度は、エマルションポリマーが焼結されるか又は溶融される温度をできるだけ下回るべきである。多くの場合に50〜90℃の出口温度が好適である。
出口温度は、一定の空気流の場合に連続的に単位時間あたりの噴霧される分散液量の変更により制御されることができる。
【0076】
その場合に、たいてい、凝集された一次粒子からなる二次粒子の形成となる。事情によっては、乾燥の際に個々のラテックス粒子が互いに付着してより大きな単位となることは有利でありうる(部分的なガラス化)。凝集した単位の平均粒度(例えばレーザー回折の方法を用いて測定)の近似値として、5〜250μmが採用されることができる。
【0077】
本発明により製造されるプラスチゾルは、特に、床裏面部保護としての使用及びとりわけ自動車組立における継目シーリングに適している。
本発明による生成物のさらなる有利な使用分野は、音響学的な消音(akustischen Schalldaempfung)のための構造部材(例えば車体構成要素)のコーティングである。
【0078】
さらに、多数のその他の用途、とりわけ既にこれまでPVCベースのプラスチゾルが使用されていたそのような用途が可能である。
【0079】
実施例
測定方法:
ポリマー粉末の吸水の測定:
吸水の評価を、吸水の測定のためのDIN EN ISO 62規格に基づいて実施した。
このためには、ポリマー粉末を、乾燥損失(Mettler-ハロゲン乾燥器HR73を用いて測定)が0.1%未満になるまで60℃で真空乾燥器中で乾燥させた。
ついで、ポリマー粉末約25gの試料を正確に時計ざら(直径Φ=120mm)上へはかり取った(秤量不精確度 多くとも0.1mg)。これらの試料を、標準雰囲気23/50(DIN EN ISO 291)中で7日間貯蔵した。
この貯蔵後に、ポリマーの質量増加をポリマーの秤量により決定し、かつ以下の式
【数1】

に従って算出した。
【0080】
プラスチゾルペーストの吸水の測定:
吸水の評価のためのプラスチゾルペーストの製造を、ディソルバー中でDIN 11468においてポリ塩化ビニルペーストについて規定された方法に類似して行う。
次の成分を使用した:
・ 結合剤(コア/シェルポリマー) 100質量部
・ 軟化剤(ジイソノニルフタラート) 100質量部
プラスチゾルペーストを、ナイフを用いて、2mmの厚さで80mm×80mmの面積に薄い金属プレート(厚さ約1mm)上へ塗布した。
この金属プレートを、相対大気湿度80%を有する雰囲気中で30℃で10日間貯蔵した。引き続いて、前記プラスチゾルを150℃の加熱炉中で60分間ゲル化させた。
吸水の評価を、フィルム表面の光学的評価に基づいて定量的に行った;高い吸水は、むら及び気泡が現れるのに対し、良好な試料は、滑らかで欠陥のない表面を有する。
【0081】
低温たわみ性の測定
低温たわみ性の評価を、DIN 53152に従って行う("Dornbiegeversuch an Anstrichen und aehnlichen Beschichtungen";塗料及び類似のコーティング上でのマンドレル曲げ試験)。
まず最初に、(DIN 11468においてポリ塩化ビニルペーストについて規定された方法に類似して)ディソルバー中で、結合剤及び軟化剤(ジイソノニルフタラート)の同じ質量部からなるプラスチゾルペーストを製造する。
これを、2mmの厚さでテフロンスプレーで処理した金属プレート上へ塗布し、電気炉中で150℃で60分間ゲル化させる。
冷却後にフィルムを基体からはがし取り、−25℃で少なくとも12時間貯蔵する。
引き続いてフィルムを12mmの厚さのマンドレル上で曲げる。
極めて良好な低温たわみ性を有するプラスチゾルフィルムは、目に見える損傷なしにこの処理に耐える。
幾分劣悪な低温たわみ性を有するフィルムの場合に、依然として可逆的でありうる白化(Weissbruch)を示す。
劣悪な低温たわみ性を有するプラスチゾルフィルムの場合に、微細な割れ又はそれどころか材料の破壊を示す。
【0082】
耐摩耗性の測定
耐摩耗性は、プラスチゾルの卓越した品質基準である。しばしば使用される測定法は、欧州特許(EP)第1371674号明細書に記載されている。そこに記載されているチッピング−耐性−試験は、試験すべきコーティングを定義された層厚で担体(たいてい薄板)上へ塗布することによる方法に基づいている。ついで定義された角度のもとで、定義された高さからナットをコーティング上へ落とす。コーティングがその下にある材料が現れる前の持ち堪えるナットの量を、耐摩耗性の測定値として採用する。
高い値は良好な耐摩耗性に相当する。
【0083】
貯蔵安定性の測定
貯蔵安定性の尺度として、定義された貯蔵の場合の定義された期間にわたるプラスチゾルペーストの粘度の上昇を採用する。
DIN 11468に記載された方法に類似して、軟化剤及び結合剤の同じ部からプラスチゾルペーストを製造する。新しく製造されるプラスチゾルの粘度VIを測定する;引き続いて前記ペーストを密閉容器中で35℃で7日間貯蔵する。
ついで、貯蔵されたペーストの粘度VEを測定する。
粘度の上昇[%]を次の式に従い算出する:
(VE−VI)/(VI)×100。
【0084】
例1
撹拌機、還流冷却器、温度計及びフィードポンプを備え、水浴を用いて温度調節可能な5 l反応器中に、窒素雰囲気下に水1100gを装入する。撹拌しながら74℃〜76℃に予熱する。
開始するために、5%のペルオキソ二硫酸ナトリウム水溶液30ml及び5%の亜硫酸水素ナトリウム水溶液30mlを添加する。
引き続いて、1時間の間に、メチルメタクリラート500g、イソブチルメタクリラート250g及びn−ブチルメタクリラート250g、並びにスルホコハク酸−ビス−2−エチルヘキシルエステル8g(ナトリウム塩)及び脱イオン水450mlからなるモノマー乳濁液を滴加する。
計量供給が終了した後に、30min撹拌し、引き続いて5%のペルオキソ二硫酸ナトリウム水溶液さらに15ml及び5%の亜硫酸水素ナトリウム水溶液15mlを添加する。
メチルメタクリラート700g、イソブチルメタクリラート130g、n−ブチルメタクリラート130g、メタクリルアミド40g及びスルホコハク酸−ビス−2−エチルヘキシルエステル(ナトリウム塩)8g及び脱イオン水450mlからなる第二のモノマー乳濁液を1時間かけて計量供給する。80℃を上回る反応温度の上昇を、水浴冷却を用いて回避する。
前記乳濁液の添加後に、生じた分散液を室温に冷却する前に、30minの後反応時間の間に温度を75℃〜80℃に保持する。
遠心噴霧器を備えた乾燥塔中で前記ポリマー分散液を粉末へ変換する。その場合に塔出口温度は80℃であり;アトマイザーディスクの回転速度は20000min-1である。
【0085】
比較例2
手順は例1に類似しているが、メタクリルアミド40gの代わりにメチルメタクリラートをさらに40g使用する点で相違する。
【0086】
比較例3
手順は例1に類似しているが、メタクリルアミド40gの代わりにメタクリル酸40gを使用する点で相違する。
【0087】
貯蔵安定性の評価
例1及び比較例3による結合剤からのペーストは、良好な貯蔵安定性を有する。試験期間における粘度の上昇は10%未満である。
比較例2による結合剤は、極めて劣悪な貯蔵安定性を有する。粘度は、7日以内に2倍を上回る値に上昇する。
【0088】
吸水の評価
例1による結合剤粉末は、前記の方法によれば、0.92%の吸水を有する。
ペーストは、ゲル化後に、気泡のない滑らかで欠陥のないフィルムをもたらす。
メタクリル酸を用いる比較例3の吸水は、明らかにより高い。
【0089】
低温たわみ性の評価
安定化モノマーをシェル中に含有しない比較例2が最良の低温たわみ性を有する;このフィルムは、マンドレル曲げ試験で識別可能な損傷を示さない。
例1による結合剤を用いる本発明によるプラスチゾルの低温たわみ性は、より劣悪であるが、しかし十分に受け入れることができる低温たわみ性を有する:単に僅かな、可逆的な白化が確認されうるに過ぎない。
比較例3による結合剤からのプラスチゾルは、劣悪な低温たわみ性を有する:曲げ試験で明らかな割れの発生を示す。
【0090】
耐摩耗性の評価
例1及び比較例3による結合剤から製造されたプラスチゾルを比較して、本発明によるプラスチゾルフィルムは、12%のより高い耐摩耗性を示す。
【0091】
実施例の要約
貯蔵安定性については、安定化モノマーがシェル中に存在していなければならないことがわかる;この機能をメタクリル酸並びにメタクリルアミドが満たす。比較例2による結合剤はこの要件を満たさない。
しかしながらメタクリル酸が吸水、摩耗安定性及び低温たわみ性に劣悪な影響を及ぼす一方で、メタクリルアミドの場合にこの影響はかなりより弱く現れている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも250nmの一次粒度を有するラテックス粒子からなるコア/シェルポリマーにおいて、コアが、
a)メチルメタクリラート20〜85mol%
b)アルコール成分が炭素原子2〜8個又は芳香族基1個を有する(メタ)アクリルエステル15〜80mol%、
c)別の共重合可能なモノマー0〜30mol%
ただしN含有化合物を除く、からなり、
ここでa)、b)及びc)は合わせて100mol%になり、
かつ少なくとも1つのシェルが、その都度
a’)メチルメタクリラート20〜94.9mol%
b’)アルコール成分が炭素原子2〜8個又は芳香族基1個を含有する(メタ)アクリルエステル5〜79.9mol%、
c’)(メタ)アクリル酸のアミド、及び/又は(メタ)アクリル酸のアミン置換アルキルエステル0.1〜20mol%
d’)別の共重合可能なモノマー0〜30mol%
からなり、
ここでシェルのa’)、b’)、c’)及びd’)はその都度合わせて100mol%になることを特徴とする、コア/シェルポリマー。
【請求項2】
ラテックス粒子が10:90〜90:10のコア対シェルの質量比で1つのコア及び1つのシェルからなる、請求項1記載のコア/シェルポリマー。
【請求項3】
コアが、場合により異なるモノマー組成を有する、2つのシェルを有する、請求項1記載のコア/シェルポリマー。
【請求項4】
コアの成分b)がn−ブチル(メタ)アクリラート、イソブチル(メタ)アクリラート又はt−ブチル(メタ)アクリラートのいずれか又はこれらからなる混合物である、請求項1から3までのいずれか1項記載のコア/シェルポリマー。
【請求項5】
コアの成分b)並びに少なくとも1つのシェルの成分b’)が、n−ブチル(メタ)アクリラート、イソブチル(メタ)アクリラート又はt−ブチル(メタ)アクリラートのいずれか又はこれらからなる混合物である、請求項1から4までのいずれか1項記載のコア/シェルポリマー。
【請求項6】
少なくとも1つのシェルの成分c’)が、次の基:
−C(O)−NR12
[式中、R1及びR2は互いに独立してH又は炭素原子1〜10個を有する線状又は分枝鎖状のアルキル基を有し、前記アルキル基は場合によりさらに付加的に式−NR34のアミノ基を有していてもよく、ここでR3及びR4は互いに独立してH又は炭素原子1〜10個を有する線状又は分枝鎖状のアルキル基を表すか又は前記窒素は置換基R3及びR4と一緒になって五ないし七員環を形成してもよい]を有する(メタ)アクリル化合物である、請求項1から5までのいずれか1項記載のコア/シェルポリマー。
【請求項7】
少なくとも1つのシェルの成分c’)が、次の基:
−C(O)−O−(CH2n−NR23
[式中、n=1〜6であり、
かつR2及びR3は互いに独立してH又は炭素原子1〜10個を有する線状又は分枝鎖状のアルキル基を表すか又は前記窒素は置換基R2及びR3と一緒に五ないし七員の、場合によりアルキル置換されている環を形成してもよい]を有する(メタ)アクリル化合物である、請求項1から5までのいずれか1項記載のコア/シェルポリマー。
【請求項8】
シェルの成分c’)がアクリルアミド、メタクリルアミド又は双方からなる混合物である、請求項1から5までのいずれか1項記載のコア/シェルポリマー。
【請求項9】
少なくとも1つのシェルの成分d’)が、
・ カルボキシル基又はスルホン酸基又はホスホン酸基を有するモノマー0.5mol%未満及び
・ 場合により別の共重合可能なモノマーからなる、請求項1から8までのいずれか1項記載のコア/シェルポリマー。
【請求項10】
ポリマーの吸水が3.0%未満である、請求項1から9までのいずれか1項記載のコア/シェルポリマー。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか1項記載のコア/シェルポリマー及び少なくとも1つの軟化剤を含有している、プラスチゾル。
【請求項12】
軟化剤の少なくとも1つがジアルキルフタラートである、請求項11記載のプラスチゾル。
【請求項13】
a)コア/シェルポリマーを、場合により多段階である乳化重合により、製造し、
b)生じた分散液を乾燥させ、かつ
c)引き続いて少なくとも1つの軟化剤と及び場合により接着促進剤(Haftvermittlern)及び/又は充填剤及び場合によりプラスチゾルに常用の別の成分と混合することを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載のコア/シェルポリマーをベースとするプラスチゾルの製造方法。
【請求項14】
コア/シェルポリマー100質量部を軟化剤50〜300質量部、接着促進剤40〜120質量部及び/又は充填剤0〜300質量部と混合する、請求項13記載のプラスチゾルの製造方法。
【請求項15】
分散液を、噴霧乾燥を用いて乾燥させる、請求項13又は14記載のプラスチゾルの製造方法。
【請求項16】
床裏面部保護として、継目シーリングのため又は音響学的な消音のための、請求項9から11までのいずれか1項記載のプラスチゾルの使用。

【公表番号】特表2008−507601(P2008−507601A)
【公表日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−521852(P2007−521852)
【出願日】平成17年7月12日(2005.7.12)
【国際出願番号】PCT/EP2005/007513
【国際公開番号】WO2006/010465
【国際公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(390009128)エボニック レーム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (293)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Roehm GmbH
【住所又は居所原語表記】Kirschenallee,D−64293 Darmstadt,Germany
【Fターム(参考)】