説明

低侵襲心臓弁処置のための方法及び装置

【課題】低侵襲性処置を開発して、弁形成を実行する。
【解決手段】
低侵襲措置を通じて、解剖構造上に外科機器を運び移植する装置及び方法が提供される。制御装置によって制御された配置ヘッド118に操作可能に接続された単位チューブ106を有する装置によって、当該方法は容易化される。配置ヘッドは、弁形成インプラントを心臓組織に接合し、補助外科機器を弁形成インプラントに接続する複数の縫合フック又は同様のクリップを配置する。装置は、装置に取り付けられている配置ヘッド及び外科機器の向きを調節し又は折り畳むことを容易にし、配置ヘッド及び外科機器が一般的に必要とされるより小さい切開部位を通ることを容易にする。配置ヘッドがある位置に取り付けられ、複数の縫合フックを使用する縫合サブ組立品によって弁形成インプラントが自動的に心臓弁輪に縫合されるように、配置ヘッドが切開部位を通った後、配置ヘッドの向きが再調節される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、米国を除くすべての指定国については、米国法人ジョージア テック リサーチ コーポレーションを出願人として、米国のみについては、米国市民ヨガナサン,アジト,ピー.及びインド市民パダラ,サイ,ムラリダールを出願人として、更に、2008年12月4日に出願された米国特許仮出願第61/119,869号を基礎とする優先権を主張して、2009年12月4日付PCT国際特許出願として、出願されたものである。
【0002】
本発明は、低侵襲技術を使用して房室心臓弁を治療する又は移植する機器及び方法に関する。本発明に記載されている機器及び方法は、医療画像ガイドを使用して移植部位に弁形成リングを効率的に移植する方法、血液損失を削減することによって身体空間に医療機器を挿入する手段、及び、所望の部位に所望の向きで体組織に対して弁形成リングを取り付ける技術を提供し、弁形成リング上に、人工心臓弁のような補助機器を最終的に配置する。
【背景技術】
【0003】
心臓は、4つのポンプ部屋、つまり、左心房、右心房、左心室、及び右心室を有する中空の筋性器官である。各部屋の間にある一方向弁により、心臓に出入りする血流を制御している。心房及び心室の間の血流を制御する弁は房室弁と呼ばれ、心室及び流出路の間の弁は、流出路弁/半月弁と呼ばれる。また、左房室弁は僧帽弁と呼ばれ、一方、左心室流出路弁は大動脈弁と呼ばれる。同様に、右房室弁は三尖弁と呼ばれ、一方、右心室流出路弁は肺動脈弁と呼ばれる。僧帽弁及び三尖弁である房室弁は、4種の主要な構成要素を有する。すなわち、線維筋性リングである弁輪、平面コラーゲン組織である弁尖(僧帽弁内に2つ、三尖弁内に3つ)、弁尖を乳頭筋に接続する数個の腱索である。僧帽弁は、左心房及び左心室の間の血流を調節し、三尖弁は、右心房及び右心室の間の血流を調節する。僧帽弁は、2つの弁尖が僧帽弁から出現し左心室へ伸びるD字形状の弁輪からなる。両者の弁尖は、コラーゲン腱索を介して、前外側かつ後内側の乳頭筋の先端に接続されている。
【0004】
図1に示されている三尖弁は、僧帽弁と同様に、卵形の環状形状を有し、右心房及び右心室の間の血流を調節する。三尖弁10は、3種の主要な構成要素を有する。すなわち、三尖弁輪12、3つの弁尖14、16及び18、並びに、3つの乳頭筋(図示せず)である。三尖弁輪12は、線維筋性リングである。三尖弁輪12から、3つの弁尖14、16及び18(前尖、中隔尖、後尖)が出ており、三尖弁輪12は、弁口を通る血流を調節する。弁尖14、16及び18は、弁の内側、すなわち三尖弁輪12によって区画される血流口の内側に向かって伸びている。3つの弁尖の間には3つの交連が存在する。すなわち、前−中隔交連22、後−中隔交連24及び前−後交連26である。3つの弁尖14、16及び18から、繊維性腱索が伸び、心筋から伸びる3つの乳頭筋の中に入り込んでいる。右心室に位置する乳頭筋は、弁尖を固定し、弁尖が右心房の中に入り込んで折り畳まれるのを制限している。三尖弁輪12は、卵形繊維性リングであって、あまり突出しておらず、僧帽弁と比較すると、円周領域はより大きく、形状は異なっている。
【0005】
心臓弁の機能障害に関する心不全とは、1又は複数の心臓弁が正しく機能しない広義の条件を意味する。弁の機能障害には、大きく分けて次の2つのタイプがある。
(a)弁狭窄−様々な理由に起因して、弁の有効血流領域が縮小し、弁を通って血液が順行するのを有意に妨げる。
(b)弁不全−弁が正しく閉じず、弁が閉じても過剰な血流が逆方向に漏れる。
両者の疾患は、心臓の能力を弱める効果を有し、鬱血性心不全を起こす可能性もある。
【0006】
損傷した弁を治療する外科処置は、現在の外科時代における弁移植とは別の選択である。外科治療技術は、再生、すなわち、移植可能な機器を使用して、自然の弁の形状を制御下に変更することを含む。房室弁逆流を治療するために現在外科医が使用する最も一般的な技術は、弁形成である。図2に示されるように、弁形成においては、弁輪12は、形状的に安定しており、弁形成インプラントリング30のような人工弁形成移植機器を弁輪12の周りに縫合することによってサイズが小さくなっている。図2に示されるように、弁形成リング30は、弁輪12の形状に大まかに一致し、充分な弁尖接合を維持し、順行方向への良好な血流を可能にするように設計されている。非生理的形状を有し、移植時に、房室弁輪の形状を自身の非生理的形状に一致させる弁形成リングの例もある。これらの弁形成リングは、異なる形状、異なるサイズ、異なる機械的特性で製造されていることが一般的である。全リング及び部分リングを2つの重要なサブカテゴリとする形状のなかでは、D字形状の弁形成リングが最も一般的である。自然の弁の運動を復元することができると主張するリングは、剛的で、半柔軟で、かつ、柔軟であるものとして製造される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これらのリングを移植するには、患者の胸部を切開し、有意な期間心肺バイパスを装着する外科手術が必要になる。胸骨切断、すなわち開胸を行い、心房壁を開き、弁を露出させる外科技術が、最大限に重要である。その侵襲性及び心肺バイパス装着時間故に、心臓弁の外科的移植は危険な処置であり、処置後も患者を注意深く監視しなければならない。したがって、低侵襲性処置を開発して、弁形成を実行する、すなわち、所望の患部に弁形成リングを移植することは、手術後の危険を減らし、患者死亡率を減少させ得る。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、具体的には、弁形成リングを低侵襲的に移植し得る機器及び他の機器を使用して機能障害を起こしている房室弁を治療することに関する。この実施形態において提案される機器及び技術は、右心房又は左心房の何れかにおいて、超音波、蛍光透視、磁気共鳴画像又は断層撮影の何れかによる画像ガイドを使用して、切開箇所が小さくてすむ僧帽弁形成を可能にすることを目的とする。この技術によれば、ジェネリック弁形成リングを複数内腔カテーテルシステムに装着して、弁形成リングを血管内に挿入し、弁形成リングを心臓弁輪の位置に合わせ、その後、患者の身体の外側から操作可能なマイクロ電子機械的モータのシステムを使用して、針、ニッケルチタン合金クリップ又は縫合糸で、弁形成リングを、周囲の組織に取り付けることができる。
【0009】
(要約)
患者の心臓に弁形成インプラントを移植する方法及び装置が提供される。装置は、単位チューブ、弁形成インプラントガイド組立品、及び、ガイド組立品制御部を少なくとも有する。弁形成インプラントガイド組立品は、単位チューブの遠端部に取り付けられている。単位チューブは、チューブ近端側部分、チューブ遠端側部分、及びそれらの間に配置される中間領域を有する。単位チューブは、単位チューブの外径を画定する外面、及び、単位チューブの内径を画定する内面をさらに有する。単位チューブのチューブ近端側部分は、ガイド組立品制御部を含む。ガイド組立品制御部は、制御機構によって、弁形成インプラントガイド組立品と操作可能に接続されている。制御機構は、ガイド組立品制御部から、弁形成インプラントガイド組立品まで、単位チューブの内側を通って伸びている。弁形成インプラントガイド組立品は、自動縫合サブ組立品システムを含む。自動縫合サブ組立品システムは、弁形成インプラントを心臓内の組織に接合する複数の縫合フック又は同様のクリップを配置する。単位チューブの遠端部は、向き調節部材を含む。向き調節部材は、ガイド組立品制御部の操作に応じて、弁形成インプラントガイド組立品及び弁形成インプラントの向きを調節すること、又は折りたたむこと、を容易にし、弁形成インプラントガイド組立品及び弁形成インプラントが回転されず折り畳まれないときに必要なサイズより小さいサイズを有する切開部位に、弁形成インプラントを通すことを容易にする。弁形成インプラントガイド組立品及び弁形成インプラントが切開部位を通過した後、制御部は、弁形成インプラントガイド組立品及び弁形成インプラントの向きを再調節するために使用され、自動縫合サブ組立品システムが起動するとき、弁形成インプラントが、心臓弁輪の位置で心臓弁輪に縫合され得るようにする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
以下の図を参照しながら、本発明の様々な実施形態を説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定および網羅されるものではない。特に断らない限り、以下の図面全体において、同じ部分は同じ参照番号で呼ぶことにする。
【図1】心臓弁及び周辺組織の平面図である。
【図2】弁形成インプラントリングを含む心臓弁の平面図である。
【図3A】本発明の、弁形成インプラントを患者の心臓に移植する装置の実施形態の斜視図である。
【図3B】本発明の、切開部位カバーを含む弁形成インプラントを患者の心臓に移植する装置の実施形態の側面図である。
【図3C】本発明の、切開部位カバーを含む弁形成インプラントを患者の心臓に移植する装置の実施形態の側面図である。
【図4】切開部位カバーを示す、図3Bの部分図である。
【図5A】本発明の修正された弁形成インプラントガイド組立品の腕部組立品を示す、弁形成インプラントを患者の心臓に移植する装置の代替実施形態の部分側面図である。
【図5B】本発明の修正された弁形成インプラントガイド組立品の腕部組立品を示す、弁形成インプラントを患者の心臓に移植する装置の代替実施形態の部分側面図である。
【図5C】本発明の修正された弁形成インプラントガイド組立品の腕部組立品を示す、弁形成インプラントを患者の心臓に移植する装置の代替実施形態の部分側面図である。
【図6A】本発明の修正された弁形成インプラントガイド組立品の2部品構成腕部組立品を示す、弁形成インプラントを患者の心臓に移植する装置の他の代替実施形態の部分側面図である。
【図6B】本発明の修正された弁形成インプラントガイド組立品の2部品構成腕部組立品を示す、弁形成インプラントを患者の心臓に移植する装置の他の代替実施形態の部分側面図である。
【図6C】本発明の修正された弁形成インプラントガイド組立品の2部品構成腕部組立品を示す、弁形成インプラントを患者の心臓に移植する装置の他の代替実施形態の部分側面図である。
【図7】本発明の修正された弁形成インプラントガイド組立品の他の代替実施形態の側面図である。
【図8】図7に示されている弁形成インプラントガイド組立品の実施形態の一部の部分側面図である。
【図9】図7に示されている弁形成インプラントガイド組立品に使用されているMEMSモータ組立品の構成要素を示す図である。
【図10】本発明の縫合フックの一部の部分図である。
【図11A】本発明に係る縫合フックを配置する前に、弁形成インプラントリング組立品の縫合フックが弁形成インプラントリングと相互作用することを示す図である。
【図11B】本発明に係る縫合フックを配置している間に、弁形成インプラントリング組立品の縫合フックが弁形成インプラントリングと相互作用することを示す図である。
【図11C】縫合フックを配置した後に、弁形成インプラントリング組立品の縫合フックが弁形成インプラントリングと相互作用することを示す図である。
【図12】修正された弁形成インプラントガイド組立品を示す、弁形成インプラントを患者の心臓に移植する装置の他の代替実施形態の斜視図である。
【図13】本発明の固定システムを駆動する構成要素のブロック図である。
【図14A】本発明の固定組立品の図である。
【図14B】図14Aに示されている固定組立品の底面図である。
【図14C】図14Aに示されている固定組立品の一部の部分図である。
【図14D】図14Aに示されている固定組立品の固定天板の図である。
【図14E】図14Dの固定天板のピストン組立品の部分断面図である。
【図15A】本発明の縫合サブ組立品の斜視図である。
【図15B】図15Aに示されている縫合サブ組立品の部分図である。
【図15C】図15Aに示されている縫合サブ組立品の部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本明細書の一部をなし、本発明の具体的な実施形態を示す添付の図を参照しながら、様々な実施形態についてさらに詳細に説明する。しかし、全ての実施形態は、多数の様々な形態で実施することができるので、ここに記載した実施形態に限定されると解釈するべきではない。むしろ、本開示が完全かつ完成したものとなり、また当業者に本発明の範囲を十分に示すために、これらの実施形態を提供するものである。従って、以下の詳細な記載を、限定的な意味で解釈するべきではない。
【0012】
本発明は、低侵襲処置を通じて、心臓弁輪又は他の解剖学的開口部に、ジェネリック弁形成リング及び他の外科的機器を移植するシステム及び方法を記述する。より具体的には、本発明は、機能障害を起こしている心臓弁を治療する、弁形成システム及び弁形成方法を含む。心臓弁障害を患っている患者に対する現在の治療基準では、心臓切開手術が必要になる。この手術では、患者は心肺バイパスを装着する。この処置は、患者の健康に対するリスクを有し、死亡率を高めることに関連する。本発明は、小さな切開部位を通して心臓弁を治療するシステム及び方法を開示する。この切開部位を通して、弁形成インプラントガイド組立品が使用され、弁形成インプラントを、鼓動している心臓内に移植する。本発明の弁形成インプラントガイド組立品は、低侵襲外科処置において使用される4つのサブシステムを開示する。すなわち、(1)外部形状調節システム、(2)弁形成リング運搬システム、(3)自動縫合固定システム及び(4)一時的調節可能弁輪システムである。
【0013】
外部形状調節システムは、心房及び心室の間にある、心臓の環状領域の外周に圧力を及ぼすことによって、弁輪の形状を縮小させるために使用される套管針の集合からなる。弁輪を有意により小さなサイズに縮小させると同時に、弁形成インプラント運搬システムは、小さな切開部位を通して弁形成インプラントを運び、このインプラントは、生物医学的撮像手段からの画像ガイドによって、弁輪上に配置される。
【0014】
弁形成インプラント運搬システムは、中空単位チューブ、弁形成インプラントガイド組立品及びガイド組立品制御部からなる。弁形成インプラントガイド組立品は、自己配置機構によって、弁形成インプラントを心臓に接合する複数の縫合フックを配置するのを容易にする縫合サブ組立品システムを含む。弁形成インプラントガイド組立品は、単位チューブの遠端部に取り付けられている。単位チューブは、チューブ近端側部分、チューブ遠端側部分、及び、それらの間に配置される中間領域を有する。単位チューブのチューブ近端側部分は、ガイド組立品制御機構を含むべきである。ガイド組立品制御機構は、ある実施形態においては、単位チューブの内部を通って伸び、弁形成インプラントガイド組立品に繋がっている制御ワイヤを有する滑車システムを有する。弁形成インプラントガイド組立品の向きは、ガイド組立品制御板の回転を通じて制御ワイヤによって操作され得る。ガイド組立品制御板は、弁形成インプラントガイド組立品と一体になっており、単位チューブのチューブ近端側部分の一部となっている。
【0015】
ある実施形態においては、単位チューブの遠端部は、弁形成インプラントガイド組立品の最も長い側面が、切開される身体の平面に垂直になるように、弁形成インプラントガイド組立品を回転することを容易にする向き調節部材を含む。このようにすると、弁形成インプラントガイド組立品に対して取り外し可能に取り付けられている弁形成リングを横向きにして運ぶことができる。すると、弁形成リングの断面サイズを最小化することができる。この実施形態においては、弁形成インプラントガイド組立品は、環状の形状を有し、縫合サブ組立品を含む。縫合サブ組立品は、複数の縫合フックを含む。縫合フックは、縫合サブ組立品から分離して、弁形成リングを心臓弁の弁輪に接合する。他の実施形態においては、弁形成インプラントガイド組立品は、複数の腕部を有するインプラント運搬部材を含む。複数の腕部のそれぞれは、心臓まで運搬されつつある弁形成インプラントに取り付けられている。インプラント運搬部材は、柔軟な弁形成インプラントを折り畳むのを容易にし、弁形成インプラントが折り畳まれない場合に必要とされるサイズよりも小さいサイズの切開部位を弁形成インプラントが通るのを容易にする。
【0016】
弁形成インプラントガイド組立品の取り付けシステムは、配置ヘッドと、配置ヘッドから分離して弁形成インプラントを心臓に接合する複数の縫合フックと、を含む縫合サブ組立品システムからなる。取り付けシステムは、単位チューブの内面を通じて伸びている配置機構も含む。配置機構は、少なくとも1本の紐を含む。単位チューブの内側から紐を引き出したとき、弁形成インプラントを心臓内の組織に直接引っかける複数の縫合フックのそれぞれが、紐には嵌め込まれている。他の実施形態においては、配置機構は、自動的に動作し、インプラント運搬部材に含まれていてもよい。ある実施形態においては、複数の縫合フックは、配置メカニズムに解除可能に取り付けられており、第1のフック腕部及び第2のフック腕部からなる。第1のフック腕部及び第2のフック腕部の両者は、第1の端部において旋回ピンによって、旋回可能に接続されている。第1のフック腕部及び第2のフック腕部の第2の端部は、心臓弁内の弁輪壁の組織を通って容易に伸び、かつ、弁形成インプラントを通って容易に伸び、弁形成インプラントを弁輪に接合する。第1のフック腕部及び第2のフック腕部の第2の端部は、第2の端部同士が接続されたときに、第2の端部同士が実質的に連続した閉ループを形成するようなラッチ接続が容易に行われるように構成される。弁形成インプラントガイド組立品は、調節可能マウントシステムを含んでもよい。低侵襲外科処置が行われる間、形状及びサイズが異なる弁形成リングが、調節可能マウントシステムにマウントされ運搬されてもよい。
【0017】
他の実施形態においては、弁形成インプラントガイド組立品の縫合サブ組立品は、複数のポンプを含む。ポンプは、マイクロ水準でのポンプ動作を容易にする、マイクロ流体構造、マイクロ電子機械的構造、又は他のポンプ構造であり得る。この実施形態においては、複数のポンプのそれぞれは、複数の縫合フックのうちの少なくとも1つと操作可能に接続されており、縫合フックの配置を制御する。すると、弁形成インプラントは、弁形成インプラントが挿入されつつある心臓空間の内部組織に接続される。
【0018】
複数のマイクロ流体ポンプのそれぞれは、複数の縫合フックのうちの少なくとも1つと接続される。マイクロ流体ポンプは、縫合フックを弁形成リング上に配置するのを制御し、縫合フックが、患者の心臓内の位置に弁形成インプラントを取り付けるのを制御する。
【0019】
他の実施形態においては、弁形成インプラントガイド組立品は、切開部位カバー組立品を含む。切開部位カバー組立品は、単位チューブの外面に取り付けられており、傘状骨格を有する。傘状骨格は、切開部位カバー素材に覆われ、単位チューブの外面に接続されている。傘状骨格は、配置リング及び配置リングに取り付けられた配置腕部を少なくとも有する。単位チューブの外面に沿って配置リングを上下させると、切開部位カバーの開閉が容易になる。
【0020】
低侵襲手術の間、外科医が小さな切開部位に運搬システムを挿入した後、弁輪の向こう側に弁形成インプラントを配置するのを補助するために、3次元心エコー図が使用されてもよい。こうすると、患者の胸部を切開することなく機器を移植することができる。正しい位置に弁形成リングを運ぶときに、弁形成インプラントガイド組立品内の自動化された縫合/取り付けシステムは、弁輪の周囲の複数の位置に恒久的な縫合/取り付けフックを配置するために使用される。フックは、リング及び組織を直接貫通して配置される。ある実施形態においては、フックは、ニッケルチタン合金又はステンレススチールからなる。フックは、リング及び組織を直接貫通して配置されるのに十分な耐久性を有する任意の素材からなる。
【0021】
他の実施形態においては、弁形成インプラントガイド組立品は、弁輪のサイズを変更するのを容易にする固定組立品をさらに含む。固定組立品は、固定天板及び固定底板を含む。固定組立品は、固定天板及び固定底板の間を伸びて、固定天板及び固定底板の間の空間を縮小するのを容易にする。
【0022】
弁形成インプラントガイド組立品を使用して弁形成インプラントを据え付ける方法は、弁形成リングが接続される、少なくとも1つの弁形成インプラントコネクタを有する弁形成インプラントガイド組立品を提供する。ガイド組立品制御部を使用して、インプラントガイド組立品の向きが調節される。このようにして弁形成インプラントの向き調節すると、弁形成インプラントを通す患者の身体上の切開部位のサイズは、弁形成インプラントの向きが調節されない場合に必要なサイズよりも小さくなる。向きが調節されたガイド組立品及び弁形成リングを、切開部位に通した後、ガイド組立品の向き及び弁形成リングの向きが再調節され、弁形成リングは、心臓弁輪内に配置される。次に、自動縫合処置が始まる。複数の縫合フックのうちの少なくとも1つは、縫合フックの一端に、心臓弁輪及び弁形成リングを貫通させ、弁形成リングを心臓弁輪に接合させる。
【0023】
このシステム及び方法のある実施形態においては、まず、一時的に、調節可能な弁形成システムが弁輪に移植される。弁形成システムは、弁形成リング上に位置する取り付けフックに環状の縫合糸/アンカーを繋ぐのに使用される。最後に、弁輪が弁形成リングに留められた後、内部及び外部の運搬システムは患者の身体から引き抜かれ、プラグ閉鎖システムだけが切開部位に残り、気泡を消滅させ、ジッパーシステムが切開部位を閉じるのに使用される。
【0024】
添付図面に示され、ここに記述された本発明の実施形態は、具体的には、低侵襲技術を使用して房室心臓弁を治療し移植することに関する。しかしながら、本発明は、房室心臓弁の治療及び移植への適用に限定されない。実施形態の変形例が、他の心臓弁外科技術及び他の低侵襲外科技術に適用され得る。
【0025】
図3A、図3B及び図3Cを参照すると、示されている発明は、弁形成インプラントを移植するための調節可能な装置100を含む。装置100は、単位チューブ102、弁形成インプラントガイド組立品112、ガイド組立品制御部114及び向き調節部材118からなる。弁形成インプラントガイド組立品112は、単位チューブ102の遠端部に、向き調節部材118によって取り付けられている。単位チューブ102は、チューブ近端側部分104、中間領域106及びチューブ近端側部分108からなる。単位チューブ102は、単位チューブ102の外径を画定する外面110、及び、単位チューブ102の内径を画定する内面116を有する。単位チューブ102のチューブ近端側部分104は、ガイド組立品制御部114を含む。ガイド組立品制御部114は、制御機構によって、弁形成インプラントガイド組立品112と操作可能に接続されている。制御機構は、単位チューブ102の内側を通って、ガイド組立品制御部から、弁形成インプラントガイド組立品112まで伸びている。弁形成インプラントガイド組立品112は、弁形成インプラントを心臓内の組織に接合する複数の縫合フックを配置する、自動縫合サブ組立品システムを含む。
【0026】
向き調節部材118は、弁形成インプラントガイド組立品112の向きを調節する、すなわち、向きを変化させることを容易にし、取り付けられている弁形成インプラントの向きの調節を容易にする。図3A、図3B及び図3Cに示されているように、弁形成インプラントガイド組立品112の向きの調節、すなわち、向きの変化は、ガイド組立品制御部114の操作に応じて発生し、弁形成インプラントガイド組立品112及び取り付けられた弁形成インプラントに身体64上の切開部位を貫通させることを容易にするためになされる。切開部位のサイズは、インプラントガイド組立品が回転されない場合に必要なサイズより小さい。切開部位が直線状である状況では、弁形成インプラントガイド組立品112は、回転されて、断面サイズを最小化するように横向きに折り畳まれている。インプラントガイド組立品及び弁形成インプラントが切開部位を通った後、ガイド組立品制御部114は、弁形成インプラントガイド組立品112及び取り付けられている弁形成インプラントの向きを再調節するために使用される。その結果、自動縫合サブ組立品システムが起動すると、インプラントは、心臓弁輪の位置に配置され、心臓弁輪に縫合される。
【0027】
本発明の単一チューブ102は、ここに記述される実施形態のある側面を実行するために、単一の構成を有してもよい。しかしながら、図3Aに示されている実施形態のように、単位チューブ102は、複数内腔カテーテルであってもよい。図3Aに示されている実施形態のように、単位チューブ102は、内側シリンダ131を含む。内側シリンダ131は、いくつかの実施形態においては、カテーテルであってもよい。単位チューブ102は、切開部位カバー組立品130も含む。図3Aに示されている装置100の実施形態においては、内側シリンダ131は、平行移動可能かつ回転可能な腕部である。腕部の一端は、ガイド組立品制御部114に接続されており、他端は、傘状骨格配置リング133に接続されている。傘状骨格配置リング133は、スパー135のフレームに接続されている。スパーは、単位チューブ102の内側を単位チューブ102に沿って伸び、傘状骨格130に接続している。
【0028】
図3B、図3C及び図4に、切開部位カバー組立品130の他の実施形態が示されている。この実施形態においては、切開部位カバー組立品130は、単位チューブ102の外側に取り付けられ、生体適合性切開部位カバー素材138に覆われている傘状骨格136を含む。傘状骨格136は、少なくとも、取り付けリング46、配置リング48及び配置腕部50、52を含む。配置リング48は、単位チューブ102の外面を上下にスライドし、切開部位カバー130の開閉を容易にする。
【0029】
再び図3Aを見ると、単位チューブ102の近端部119は、近端部上の開口部を含み、単位チューブ102を通って身体空間内に他の外科インプラント機器を導入することを可能にする。単位チューブ102の遠端部は、向き調節部材118によって、弁形成インプラントガイド組立品フレーム120に取り付けられている。向き調節部材118は、ガイド組立品制御部114及び弁形成インプラントガイド組立品112の間のリンクを提供し、少なくとも、回転軸受システム122を含む。回転軸受システム122は、形成インプラントガイド組立品フレーム120の中心に位置し、弁形成リングのような弁形成インプラント機器が、弁形成インプラントガイド組立品フレーム120に取り付けられる。弁形成インプラントガイド組立品フレーム120は、その周囲に沿って掘られた溝領域124を有する。溝領域124は、弁形成インプラントをガイド組立品フレーム120に配置するのを容易にする。
【0030】
装置100の機能は、図3B及び図3Cに示されるように、鋭利な切開端部126に援けられて、身体空間の外面をリアルタイムで切開し、切開部位62に装置100の一部を挿入するプロセスを容易にする。切開端部126は、弁形成インプラントガイド組立品フレーム120上にマウントされている。弁形成インプラントガイド組立品フレーム120は、その上にマウントされた弁形成リングのような医療インプラント機器を有する。身体空間上に特定の大きさの切開部位を設け、装置100を挿入することを容易にするために、切開端部126は、弁形成インプラントガイド組立品フレーム120の特定の位置にマウントされてもよい。弁形成インプラントガイド組立品112は、回転軸受システム122を中心にして回転可能である。このことは、弁形成インプラントガイド組立品112及び取り付けられた弁形成インプラントが、ガイド組立品制御部114の操作に応じて、図3A、図3B及び図3Cに示されるように、あらゆる向きを向くように自在に回転することを容易にする。弁形成インプラントガイド組立品112及び取り付けられた弁形成インプラントを、あらゆる向きを向くように自在に回転できるということは、最小限の切開部位を通して、弁形成インプラントガイド組立品112及び取り付けられた弁形成インプラントを身体内に挿入する最適な方法をユーザが決定できるということである。弁形成インプラントガイド組立品112を身体空間内に挿入する前であっても挿入した後であっても、回転は可能である。弁形成インプラントガイド組立品112を身体空間内に挿入する前に弁形成インプラントガイド組立品112を回転して、弁形成インプラントガイド組立品112が身体を貫通するのに必要な切開部位のサイズを小さくしてもよい。一般的に、弁形成インプラントガイド組立品112は、最も長い側面が切開される身体の平面に対して垂直となるように回転される。図3Cは、このような弁形成インプラントガイド組立品112の回転を示している。
【0031】
切開を行い、装置100の一部を身体64内に挿入してすぐに、切開部位62からの血液損失を回避するために、切開部位カバー組立品130を配置させる。図3Bは、部分的に配置された切開部位カバー組立品130を示している。図3Cは、完全に配置された切開部位カバー組立品130を示している。図示されているように、切開部位カバー組立品130が完全に配置されるとき、切開部位カバー組立品130は、切開部位62を身体空間から完全に覆い、血液損失を回避する。
【0032】
弁形成インプラントガイド組立品フレーム120は、その周囲に、複数の縫合フック開口を含む。縫合フック開口は、縫合サブ組立品システムが、縫合フック開口に沿って、複数のフック、針又はニッケルチタン合金スクリューを配置するのを容易にし、弁形成リングを心臓内の組織にマウントする。弁形成インプラントガイド組立品フレーム120は、弁形成インプラントガイド組立品フレーム120の縁に、縫合糸、クリップ及び針を直接マウントすることを容易にするように構成されてもよい。弁形成インプラントガイド組立品フレーム120は、複数の穴121も有する。穴121は、単位チューブ102に他の移植可能な機器を挿入した後、他の鞘、カテーテル又はバルーンカテーテルを単位チューブ102に挿入するのに使用されてもよい。弁形成インプラントガイド組立品フレーム120は、複数の形状を有していてもよい。弁形成インプラントガイド組立品112は、単位チューブ102に対して取り付け可能又は取り外し可能であってもよく、身体空間に運び込まれるべき所望のインプラント機器の形状に応じて交換可能であってもよい。
【0033】
図3A、図3B及び図3Cに示されている実施形態は、一般的に、硬い弁形成リングを挿入するために使用される。しかしながら、弁形成リングは、極端に硬いものから極端に柔軟なものまで、形状が様々であるので、柔軟なリングを使用するための実施形態も創設され、図5A、図5B及び図5Cに示されている。図5A、図5B及び図5Cの実施形態に示されているように、単位チューブ102のチューブ遠端側部分108は、修正された弁形成インプラントガイド組立品140を有する。修正された弁形成インプラントガイド組立品140は、複数の組立品腕部142からなり、それぞれの組立品腕部142は、弁形成リングに繋がるコネクタ144を有している。図5A、図5B及び図5Cに示されている弁形成インプラントガイド組立品140の実施形態は、図3A、図3B及び図3Cに示されている弁形成インプラントガイド組立品112の実施形態によって移植が実行されるときに必要な切開部位に比較して、はるかに小さい切開部位を通して弁形成リングを移植することを容易にする。なぜならば、弁形成リングが柔軟であるとき、図5A、図5B及び図5Cに示されているように、弁形成リングは、複数の組立品腕部142の遠端部上のコネクタ144にマウントされ、内側に折り畳まれ得るからである。弁形成インプラントガイド組立品140及び単位チューブ102のチューブ遠端側部分108が身体に挿入された後、ガイド組立品制御部114を操作して、すなわち回転させ、図5B及び図5Cに示されるように複数の組立品腕部142が開き、所望の位置まで伸びる。
【0034】
図6A、図6B及び図6Cに、柔軟な弁形成リングを挿入するために使用され得る本発明の他の実施形態が示されている。この実施形態においては、弁形成インプラントガイド組立品150は、複数の組立品腕部152からなる。組立品腕部152のそれぞれは、ヒンジピン158によって接続された、上腕部分154及び下腕部分156を含む。図6A、図6B及び図6Cに示されているように、ヒンジピン158は、それぞれの組立品腕部152を、ヒンジのように折り畳むことを容易にする。下腕部分156は、図6Aに示されているように上腕部分154に完全に重なって折り畳まれ、図6Bに示されているように部分的に折り畳まれあるいは折り曲げられ、又は、図6Cに示されているように完全に伸ばされる。この形状は、弁形成インプラントガイド組立品150が、弁形成インプラントを、図5A、図5B及び図5Cに示されている弁形成インプラントガイド組立品140によって実行されるサイズよりも小さいサイズに折り畳むことを可能にする。図6A、図6B及び図6Cに示されている、弁形成インプラントガイド組立品150を含む装置の実施形態によって移植が実行されているとき、弁形成リングは、複数の組立品腕部152のそれぞれの遠端部にコネクタ160によってマウントされ、内側に折り曲げられ得る。弁形成インプラントガイド組立品150及び単位チューブ102のチューブ遠端側部分108が身体に挿入された後、ガイド組立品制御部114が操作され、すなわち回転され、図6B及び図6Cに示されるように複数の組立品腕部152のそれぞれが開き、複数の組立品腕部152のそれぞれが、所望の位置まで伸ばされる。
【0035】
図7は、弁形成インプラントガイド組立品212の他の実施形態を示している。弁形成インプラントガイド組立品212は、単位チューブ202のチューブ遠端側部分208に取り付けられている。弁形成インプラントガイド組立品212は、弁形成インプラントガイド組立品212の当該実施形態の回転を容易にする回転軸受システム222、及び、図3A、図3B及び図3Cに示されている弁形成インプラントガイド組立品112と同様に、あらゆる向きを向くように自在に回転できるように取り付けられた弁形成インプラントリング210を含む。弁形成インプラントガイド組立品212の回転は、単位チューブ202の端部に構成されているガイド組立品制御部の操作に応じて発生する。弁形成インプラントガイド組立品212は、弁形成インプラントガイド組立品フレーム220、及び、モータ固定腕部234によってモータ固定リング226に取り付けられたMEMSモータ230もさらに含む。この実施形態においては、弁形成インプラントガイド組立品フレーム220は、剛性を有し、組立品腕部210をある位置に保つ。モータ230は、複数の縫合フック又は針の配置を容易にする縫合フック配置腕部232にも取り付けられている。縫合フック又は針のそれぞれは、縫合フック配置腕部232に接続されており、複数の縫合フック開口224のうちの1つと位置が揃っており、弁形成インプラント210内に部分的に伸びている。複数の縫合フック開口224のうちの1つを通って縫合フックを配置することによって、縫合フックが、弁形成インプラントリング210を通って心臓内の組織にまで伸び、弁形成インプラントリング210に戻ってくる。縫合フックの一部に一時的に取り付けられているバネを解除することによって、縫合フックの配置が実行される。複数の縫合フックを配置した後、弁形成インプラントガイド組立品212は、心臓内の組織に接合された弁形成インプラントリング210を解除し、切開部位から離れる。
【0036】
図8は、縫合フック配置腕部232、MEMSモータ230、モータ固定腕部234、縫合フック238、及び、縫合フック238が貫通して伸びる弁形成インプラントリング210を示す、弁形成インプラントガイド組立品212の一部の断面図である。図示されているように、弁形成インプラントリング210は、ガイド組立品フレーム220上に位置しており、縫合フック238は、バネで付勢されている。バネ246は、移動可能線形体240に取り付けられた第1の端部242を有する。移動可能線形体240は、縫合フック接合腕部236に沿って直線的に移動する。バネ246の第2の端部246は、縫合フック238上に位置するコネクタ244に繋がっている。ネジが切られている縫合フック接合腕部236をモータが回転させると、移動可能線形体240は、モータの軸に沿って直線的に移動する。移動可能線形体240の内側もネジが切られており、縫合フック接合腕部236のネジと噛み合う。すると、移動可能線形体240は、モータ230の軸に沿って直線的に移動する。移動可能線形体240のこのような直線移動で、バネ246の張力が決まり、縫合フック238の位置及び回転角度を決定する。図9は、図7及び図8に示されている実施形態において使用されるMEMSモータ270の図である。電源276は、MEMSモータ270に電力を供給する。MEMSモータ270は、ネジが切られた回転可能シャフト272を回転させる。すると、ネジが切られた回転可能シャフト272の回転方向に基づいて移動可能線形体の直線移動が始まる。
【0037】
図10を参照すると、縫合フック238は、シャフト248によって縫合フック接合腕部236に接続されている。シャフト248は、ピン開口に沿って直線的にスライドするのではなく、下向きにスライドする。すると、縫合フックは、シャフト248上をすべり落ち自動的にシャフト248から外れ、複数の縫合フック238の自動配置が完了する。縫合フック238が配置した後、シャフト248が下向きにスライドすると、縫合フック238が縫合フック接合腕部236から自動的に外れることが容易になり、縫合フック238が装置100の縫合サブ組立品システムから自動的に外れることが容易になる。
【0038】
図11A、図11B及び図11Cは、縫合フック238が弁形成インプラントリング210を心臓内の組織に接合するようにして、縫合フック238が、弁形成インプラントリング210及び組織を通って配置していく様子を示している。図11Aは、バネ246が張力を受けているときの縫合フック238の位置を示している。この位置では、縫合フック238は配置されていない。張力の解除については、図11Bに示されているように、モータ固定腕部234が弁形成インプラントガイド組立品フレーム220に向かって直線的に移動するとき、バネの張力が解除される。すると、縫合フック238は、弁形成インプラントリング210及び組織を通って配置され、縫合フック238の形状に起因して、シャフト248の周囲を回転するようにして弁形成インプラントリングに戻る。図11Cは、縫合フック238が縫合フック接合腕部236から外れた後、縫合フック238を弁形成インプラントリング210の中に完全に配置した様子を示している。示されている実施形態においては、縫合フック238の曲率は、縫合フック238が元に戻らず、組織及び弁形成インプラントリング210を相互に固定できる水準である。
【0039】
図12は、弁形成インプラントリング290が縫合フック294によって心臓弁輪に移植された後、他の外科的インプラント機器を心臓弁292まで運ぶことを容易にするような、本発明の他の実施形態を示している。図示されているように、単位チューブ280を通して治療する必要がある場合、心臓弁286のような他の外科的機器が、心臓弁まで運ばれてもよい。他の実施形態においては、単位チューブ280は、弁形成インプラントリング290に接続されたカテーテルであってもよい。図示されているように、弁形成インプラントガイド組立品フレーム296は、弁形成インプラントリング290を心臓弁輪に接合する縫合フック294を配置した後、所定位置に留まる。部分的に拡大されて図示されている心臓弁286が、装置の単位チューブ280を通って、部分的に拡大されて図示されているガイドワイヤ288によって運搬されている。ガイドワイヤ288は、部分的に拡大されて図示されている心臓弁286を、単位チューブ280を通して、身体空間内まで押下げ、弁形成インプラントリング290が移植される心臓弁292まで運ぶ。次に、バルーンカテーテルが使用されて心臓弁286をある位置に運び、心臓弁286を拡げ、弁腕部を使用して心臓弁286を、すでに移植されている弁形成インプラントリング290に接合してもよい。すでに移植されている弁形成インプラントリング290は、心臓弁286のような二次的機器を心臓弁輪に移植するのを援ける支持台となる。
【0040】
図3Aに示されているように、弁形成インプラントガイド組立品フレームは、環状かつテーパ形状の機器からなる。代替的な実施形態においては、弁形成インプラントガイド組立品フレームは、弁輪を固定し縫合するサブ組立品を含んでもよい。単位チューブ202をカテーテルに代用できる、図3Aに示されている機器の場合がそうであったように、弁輪を固定し縫合するサブ組立品を含む弁形成インプラントガイド組立品フレームの実施形態は、現在市販されている内視鏡カテーテル、及び、機器を操作する圧力パルスを送信する蠕動ポンプと組み合わせて使用されるべきである。
【0041】
図13を参照すると、蠕動ポンプ302は、機器内の機械的部品を操作するために使用されることになる圧力を生成する。動作に応じて、負圧及び正圧の両者が、弁輪の縫合及び固定を操作するために要求される。図13に示されているように、カテーテル306を通って伸びているチューブ304は、固定機器310に圧力を伝える。固定機器310は、複数の圧力チャンネルからなり、機器内の小型ソレノイド水圧ピストンによる圧力変化に反応する。ピストンは、高い圧力に耐えなければならない。サン−ゴバン(登録商標)コーポレーションが製造するTygon(登録商標)2275、又は、好ましくは、シリコン細管であれば、機器に伝えられる圧力に耐え、無菌目的に適うように製造されている。チューブ304は、手術道具を確実に滅菌する一般的な方法である、放射線、エチレンオキシドのような化学品、又は、蒸気によって消毒され得る。
【0042】
図14A、図14B及び図14Cに示されている固定機構は、2つのサブ組立品からなる。すなわち、天井クランプ402及び底クランプ404である。クランプは、縫合機器が縫合中安定するように、患者の自然の弁輪を“挟む”ために使用される。より重要なことには、クランプは、外科医が心エコー図を使用して機器を正しくかつ安全に心臓内に置くのを誘導する。この誘導は、“視覚”誘導でしかない。なぜならば、高密度材料特性を有する機器と高密度繊維からできている弁輪とが対比され、画像を介して視認され得るからである。固定機構400の斜視図が図14Aに示されている。固定機構400の底面図が図14Bに示されている。
【0043】
図14Dに示されているように、天井クランプ組立品402は、丸められた縁410を有するキノコ状の板、この実施形態においては長さが約4mmであるピストン408を含むピストン組立品412、並びに、ピストン408に取り付けられたバネ418及び座金420を含む。図14Eに示されているように、ピストン408は、2つの部品からなる。すなわち、天井ピストン部分414及び底ピストン部分416である。底ピストン部分416は、より大きな円形底を有し、ピストン408の上部から約3.5mmの位置で始まっている。図14Dでは、下げられた位置にあるピストン組立品が示されている。
【0044】
図14Eに示されているように、固定機構は、ピストン内腔422の流体圧力が変化するときに作動する。タンク424内の圧力が上がると、内腔注入口426を通ってピストン内腔422に水が流入する。この実施形態においては、内腔注入口426は、タンク424のシリンダ面430上にあけられた0.5mmの孔である。内腔の圧力が上がると、ピストン408が下がり、固定天板410が3mmだけ移動して、縫合組立品の曲線状かつ丸められた端部から1mm以内の位置に達する。座金420は、ピストン408に恒久的に固定されており、ピストン408が圧力で外れるのを防ぐ。
【0045】
逆に、タンク424内の流体圧力が下がるとき、流体は、内腔422から逃げ、ねじりバネ418が緩み、その後、固定天板410が上昇する。すなわち、固定機構400が、非固定位置に戻る。ピストン内腔422の容積は、ねじりバネ418が伸びてピストン内腔樽422の最大高さ3.5mmに達するとき最大となり、32mmである。ねじりバネ418が緩んだ結果、ピストン408がねじりバネ418によって引き上げられたとき、ピストン内腔422の容積は、最小の12.00mmとなる。ねじりバネ418は緩むと、3mmだけ変位する。ねじりバネの特性は、(式)k=1/fによって決定される。fは、ねじりバネ418の柔軟度であり、力対変位比率によって与えられる。kの値が34.0K/mであるねじりバネ418が、本実施形態の固定天板410のために要求される。
【0046】
天井クランプ組立品402とは異なり、本実施形態において示されている底クランプ組立品404は、6つの同じサブ組立品430からなる。それぞれのサブ組立品430は、縫合サブ組立品の下側3mmに位置する。心臓内の右心房の内側は、一般的にテーパ形状を有しているので、弁輪を正しい縫合位置に固定させる最も効率的な方法は、自然の弁輪の直下の位置で底クランプ404を心臓の壁面に水平に押し付けることによって、機器400全体の底部を安定させることであることが分かっている。こうすれば、機器400の何らかの動きによって三尖弁尖の一部を毀損してしまうことを回避できる。弁尖が脱出している患者については、弁尖を打撲する可能性は、弁尖が心房内に突き出ているので高い。底クランプ404は、ソレノイドのように、機器400の内側から水平に移動する。固定を緩めるために、底クランプ404は、機器400内に戻る。
【0047】
図14Bに示されているように、それぞれのクランプの大きい方の組織固定端部の幅は、6.5mmである。そしてこれらのクランプは、機器及び心臓の一般的形状に倣って、楕円形状に配置されている。クランプが3.7mmだけ伸長すると、機器の底部分の直径は、(短径、長径とも)約7mmだけ拡大する。この伸長は、機器がある位置に固定された後に始まり、心房内で機器400を安定させ、縫合サブ組立品に対して自然の弁輪が露出するのを援ける。
【0048】
図14Bに示されている実施形態において、L字形状のクランプ440は、外側442の幅が比較的広く(6.5mm)、内側444の幅が比較的狭い(2.5mm)。狭い部分444は、タンク424からの流体圧力が上がることによって押し付けられる、クランプのピストン部分である。クランプ440は、バネで付勢されている。タンク424内で増加した流体がクランプを支持する内腔に入ると、クランプ440が伸びる。バネ418の目的は、クランプが滑らかに伸びるようにすること、及び、クランプが必ずもとに戻るようにすることであり、後者がより重要である。
【0049】
図15A、図15B及び図15Cに、縫合サブ組立品460が示されている。縫合サブ組立品460は、針462、シリコンベッド464及び流体チャンネル466を含む。流体チャンネル466は、流体タンク422及び主タンク468に接続されている。縫合サブ組立品460を操作している間に、ポンプからの流体は、チューブ470を通って、縫合サブ組立品460の主タンク468に入る。主タンク468内のポンプ圧力は、流体チャンネル466を通して静水圧を伝える。C字形状の針462は、押し出されて弁輪を通ってカーブし、シリコンベッド464に達する。シリコンベッド464において、針は、緩い結び目の中を通った後、動かなくなる。その後、クランプが解除され、機器400は撤去される。
【0050】
縫合機構は、複数の針からなるべきである。ある実施形態は、6つのサブ組立品内の12本の針からなるべきである。針462が曲がって隣接するサブ組立品に入り込まないように、針462を幾何学的に設計する。代替的な実施形態においては、縫合サブ組立品ごとに、個別の針が供給されてもよい。
【0051】
ある実施形態においては、主タンク468は、およそ531.06mmの容積を含み、直径1.5mmの細管470を有する注入口に接続されるべきである。細管470は、外部ポンプ及び直径0.5mmの6つのチャンネルに接続され、6つのチャンネルは、縫合ユニットのそれぞれに接続されるべきである。縫合ユニット内で、それぞれのチャンネルはさらに2つに再分割され、直径0.5mmの12の終端チャンネルとなる。
【0052】
ある実施形態においては、弁形成インプラントリングを弁輪に取り付けるために、結び目のある縫合糸が使用される。縫合点は、自然の弁輪上の点であり、針縫合サブ組立品が弁輪上で動作して人工リングを縫い付ける。針縫合サブ組立品内で使用される結びつけ技術の背後にある一般原理を理解し易くするために、身近な例で説明する。結びつけ機構が動作する方法は、スネアを操作する手段と同じである。スネアは、単一部品のロープからなる。単純な緩い結び目を使用して、一端がループになっている。所望の対象物がスネアにかかると、対象物を囲んでループを効果的に閉じられる方向にロープを引くことによって、ループが対象物を取り囲む。結びつけ機構は、同じ原理で作動する。捕捉される対象物は、針が取り付けられているロープの他端である。この設計の最も重要な点は、第一に、針がループ通ることであり、第二に、針が直前の進行方向へ移動し終わったと同時に、閉じてしまえるだけのサイズをループが有しているということである。出発位置から最終目的位置へ針が移動するべき長さに、ループの円周長を正確に一致させることによって、この点は達成される。
【0053】
緩い結び目は、所定のタスクを達成するために使用されてきた。設計上の目的からは、縫合糸として適当な素材は絹である。絹は、現在の外科治療を実行するために使用される縫合糸のうち最も一般的なタイプである。絹糸の直径は、約0.35mmである。端部に取り付けられる針は、僅かに曲がっており、曲線の半径は、3.43mmである。この具体的な曲率は、機構が移植されたとき、より容易に針が弁輪を貫通し得ることを考慮して決定された。針の曲率が、針の最終目的位置への所望の曲線経路を維持しやすくすることに加えて、針は、製造業的プロセスの手段によって、絹糸に取り付けられる。針は、絹糸の周りに形成され、又は、絹糸に押し付けられ、効率的に絹糸に取り付けられる。このことによって、使用中に針が絹糸からほどけなくなり、絹糸を針から外すことなく針の端部に比較的高い圧力を及ぼすことができる。針を絹に取り付ける詳細、又は、いかにして絹を形成するか、又は、いかにして絹をより合わせて糸にするかは、製造業者、この場合では、ジョンソンアンドジョンソン社の一部局であるエチコン(Ethicon)を通じて知り得る。設計上選択された素材は、生体適合性がある素材でなければならない。さもなければ、身体は素材を直ちに拒絶する、又は、感染確率が大きく増加する。
【0054】
余分な縫合糸端部は、機器から切り落とされなければならない。その必要があるか否かは、縫合糸引張機構如何に主として左右される。予備スライド板が選択されてきた。板は、孔があけられたスライド板からなる。孔から、縫合糸端部がはみ出る。スライド板の孔は鋭利な縁を有し、縫合糸端部が一旦固定板にスライドされると、縁は縫合糸端部を切り落とす。機器の固定を解除した後にこの処置は実行されるので、固定に使用された、図15Aに示されているのと同じ水圧アクチュエータが、移動可能な板をスライドするのに必要な圧力を発生するのにも使用されることもある。
【0055】
なお、この明細書全体を通して、具体的に特性、構造または特徴を説明する「一実施形態」、「ある実施形態」、「いくつかの実施形態」、「ある態様」、または「いくつかの態様」について記載した引用は、本発明の少なくとも1つの実施形態に含めることができる。従って、上記用語を用いることで、1つの実施形態または1つの態様以上を引用することができる。また、上記の特性、構造または特徴は、1つ以上の実施形態または態様中で、好適に組み合わせてもよい。また、単一の項目についての引用は、単一の項目または複数の項目を意味するものでよく、複数の項目についての引用が、単一の項目を意味してもよいのと同様である。また、一覧の項目に組み入れた「および」の用語は、この一覧中の項目全て、単一の項目、またはこれら項目を組み合わせたものが含まれると解釈してよい。
【0056】
一方、当業者によって理解されるように、本発明は、1つ以上の具体的に詳述した記載がなくても実施することができる。または、本発明は、その他の方法、用例、または材料などを用いて実施することができる。また、その他の例では、本発明の態様が単に不明瞭にならないように、よく知られた構造、用例、または操作方法について、その詳細を図示または記載しなかった。
【0057】
以上、本発明の実施形態例および応用例を図示して説明してきたが、本発明は、上記構成および用例に厳密に限定されるものではないことが、理解されるべきである。また、請求した発明の範囲から逸脱することなく、この明細書中で開示した本発明の方法およびシステムに関わる配置、操作、および詳細な例について、当業者にとって明かな、様々な変更および変形を実施することができる。
【0058】
上記明細書、実施例およびデータによって、本発明の製造および用途を記載する。本発明の範囲から逸脱することなく、本発明に関わる多数の実施形態を実施することができるので、本発明は、以下に添付した請求の範囲に記載されるものである。
【符号の説明】
【0059】
10 (三尖)弁
12 (三尖)弁輪
14、16、18 弁尖
30、210 弁形成インプラントリング
64 身体
100 装置
102 単位チューブ
104 チューブ近端側部分
108 チューブ遠端側部分
112、140、150 弁形成インプラントガイド組立品
114 ガイド組立品制御部
118 向き調節部材
120 弁形成インプラントガイド組立品フレーム
122 回転軸受システム
124 溝領域
126 切開端部
130 切開部位カバー組立品
142、152 組立品腕部
144 コネクタ
238 縫合フック
460 縫合サブ組立品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁形成インプラントを患者の心臓に移植する装置であって、
前記装置は、
単位チューブ、弁形成インプラントガイド組立品及びガイド組立品制御部を有し、
前記弁形成インプラントガイド組立品は、
前記単位チューブの遠端部に取り付けられており、
前記単位チューブは、
チューブ近端側部分と、
チューブ遠端側部分と、
前記チューブ遠端側部分及び前記チューブ近端側部分の間に位置する中間領域と、
前記単位チューブの外径を画定する外面と、
前記単位チューブの内径を画定する内面と、
を有し、
前記チューブ近端側部分は、
前記ガイド組立品制御部を含み、
前記ガイド組立品制御部は、
制御機構によって、前記弁形成インプラントガイド組立品と操作可能に接続されており、
前記制御機構は、
前記ガイド組立品制御部から、前記単位チューブの内側を通って、前記弁形成インプラントガイド組立品まで伸びており、
前記弁形成インプラントガイド組立品は、
縫合サブ組立品システムを含み、
前記縫合サブ組立品システムは、
前記弁形成インプラントを前記心臓内の組織に接合する複数の縫合フックを配置すること、
を特徴とする装置。
【請求項2】
前記複数の縫合フックのそれぞれは、
前記縫合サブ組立品システムに解除可能に取り付けられており、
第1のフック腕部及び第2のフック腕部を有し、
前記第1のフック腕部及び第2のフック腕部は、
第1の端部において回転ピンによって回転可能に相互に接続されており、
前記第1のフック腕部及び第2のフック腕部の第2の端部は、
心臓弁内の弁輪壁の組織を通って伸び、
前記弁形成インプラントを通って伸び、
前記弁形成インプラントを前記心臓弁の弁輪に接合し、
前記第1のフック腕部及び第2のフック腕部の第2の端部同士を係止させることによって、実質的に連続した閉ループを形成すること、
を特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記単位チューブの前記遠端部は、
向き調節部材を含み、
前記向き調節部材は、
前記ガイド組立品制御部の操作に応じて、前記弁形成インプラントガイド組立品及び前記弁形成インプラントが、あらゆる向きを向くように自在に回転することを容易にすること、
を特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
切開部位カバー組立品が、
前記単位チューブの前記外面に取り付けられており、
前記切開部位カバー組立品は、
生体適合性を有する切開部位カバー素材によって覆われた傘状骨格を有し、
前記傘状骨格は、
配置リングによって、前記単位チューブの前記外面に接続されており、
前記配置リングは、
前記単位チューブの前記外面の周りに位置し、
前記単位チューブの前記外面に沿って上下にスライドし、
前記傘状骨格及び前記切開部位カバー組立品を配置しかつ引っ込めること、
を特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記弁形成インプラントガイド組立品は、
環状の形状を有し、
縫合サブ組立品を含み、
前記縫合サブ組立品は、
複数の縫合フックを含み、
前記縫合フックは、
前記縫合サブ組立品から外れて、前記弁形成インプラントを、前記装置が挿入される前記心臓内の組織に接合すること、
を特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記弁形成インプラントガイド組立品は、
弁輪のサイズを変更することを容易にする固定組立品を有し、
前記固定組立品は、
固定天板及び固定底板を有し、
前記固定天板及び固定底板の間に位置する前記固定組立品は、
前記固定天板及び固定底板の間の空間を縮小することを容易にすること、
を特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記縫合サブ組立品は、
前記単位チューブの前記内面を通って伸びる配置機構を含み、
前記配置機構は、
前記複数の縫合フックのそれぞれを配置し、前記弁形成インプラントを、前記弁形成インプラントが挿入される前記心臓内の組織に接合すること、
を特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項8】
前記単位チューブの遠端部は、
向き調節部材を含み、
前記向き調節部材は、
弁形成インプラント運搬部材の最も長い側面が、切開される身体の平面に対して垂直になるように、前記インプラント運搬部材を回転することを容易にすること、
を特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記弁形成インプラント運搬部材は、
複数の腕部を有し、
前記複数の腕部のそれぞれは、
前記心臓に運搬されつつある前記弁形成インプラントに取り付けられていること、
を特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記弁形成インプラント運搬部材は、
前記弁形成インプラントを折り畳み、前記弁形成インプラントが折り畳まれていないときに必要なサイズよりも小さいサイズを有する切開部位に前記弁形成インプラントを通すことを容易にすること、
を特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記縫合サブ組立品システムは、
複数のポンプを含み、
前記複数のポンプは、
マイクロ流体ポンプ及びマイクロ電子機械的ポンプのうちの少なくとも1つを有し、
前記複数のポンプのそれぞれは、
前記複数の縫合フックの少なくとも1つに接続されており、
前記複数のポンプは、
前記弁形成インプラントを、前記弁形成インプラントが挿入される前記心臓内の組織に接合するように、前記縫合フックの配置を制御すること、
を特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記縫合サブ組立品システムは、
ユーザによって設計された任意の方法で、前記ユーザが前記複数の縫合フックの配置を制御することを可能にし、
前記複数の縫合フックのそれぞれを個別に配置し、
前記複数の縫合フックのそれぞれを群単位で配置し、
前記複数の縫合フックのそれぞれを一度に配置すること、
を特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記弁形成インプラントガイド組立品は、
形状、剛性及びサイズがそれぞれ異なる複数の弁形成リングがマウントされ得る調節可能なマウントシステムを含むこと、
を特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記弁形成インプラントガイド組立品の位置の決定、及び、前記縫合サブ組立品による前記縫合フックの配置は、
前記弁形成インプラントガイド組立品にマウントされた少なくとも1つの赤外線カメラを血液を通して使用する、医療用撮像手段及び直接視覚化手段を含む複数の手段のうちの少なくとも1つによって誘導されること、
を特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記弁形成インプラントガイド組立品の移動、及び、前記縫合サブ組立品の制御は、
ソフトウエアモジュールによって制御され、
前記ソフトウエアモジュールは、
ユーザが前記装置の構成要素を発停することを可能にし、
前記装置は、
前記弁形成インプラントガイド組立品を有する前記構成要素、及び、前記縫合サブ組立品を含む前記構成要素を少なくとも含むこと、
を特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記装置は、
手術用ロボットと一体となっており
前記手術用ロボットは、
ユーザが、前記手術用ロボットにより前記装置を制御することを可能にすること、
を特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項17】
人工心臓弁及び組織工学心臓弁のうちの少なくとも1つを含む補助機器が、
前記弁形成インプラントが前記心臓に移植された後、前記単位チューブを通って前記弁形成インプラントの位置に運ばれ、
前記補助機器は、
前記弁形成インプラントが移植された位置にある前記弁形成インプラントガイド組立品を使用して、前記直前に移植された弁形成インプラントに配置されること、
を特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項18】
縫合装置本体、複数の縫合コネクタ及び少なくとも1つの自動解除機構を有する自動縫合装置であって、
前記少なくとも1つの自動解除機構は、
前記縫合装置本体と、前記複数の縫合コネクタのうちの少なくとも1つとに接続されており、
前記少なくとも1つの自動解除機構が接続されている前記複数の縫合コネクタのうちの少なくとも1つを、前記縫合装置本体から解除し、
前記複数の縫合コネクタのそれぞれは、
前記縫合装置本体に解除可能に取り付けられており、
第1のフック腕部及び第2のフック腕部を有し、
前記第1のフック腕部及び第2のフック腕部は、
第1の端部において、回転ピンによって回転可能に相互に接続されており、
前記第1のフック腕部及び第2のフック腕部の第2の端部は、
心臓弁内の弁輪壁の組織を通って伸び、
弁形成インプラントリングを通って伸び、
前記弁形成インプラントリングを前記弁輪に接合し、
前記第1のフック腕部及び第2のフック腕部を繋ぎ合わせ、
実質的に連続する閉ループを形成すること、
を特徴とする自動縫合装置。
【請求項19】
前記第1のフック腕部及び第2のフック腕部の第2の端部は、
鋭利であること、
を特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項20】
前記少なくとも1つの自動解除機構は、
マイクロ流体ポンプ及びマイクロ電子機械的ポンプのうちの少なくとも1つを含むこと、
を特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項21】
弁形成インプラントを移植する方法であって、
前記方法は、
少なくとも1つの弁形成インプラントコネクタを有する弁形成インプラントガイド組立品を含む装置であって、前記弁形成インプラントを移植する装置を提供し、
前記弁形成インプラントガイド組立品の前記少なくとも1つの弁形成インプラントコネクタに、前記弁形成リングを接続し、
前記弁形成インプラントガイド組立品の向きを調節することによって、前記弁形成インプラントの向きを調節し、
前記弁形成インプラントの前記調節された向きは、
前記弁形成インプラントの向きが調節されていないときに必要なサイズより小さいサイズを有する患者の身体上の切開部位に前記弁形成インプラントを通すことを容易にし、
前記方法は、
前記向きが調節された前記弁形成インプラントガイド組立品及び前記弁形成リングを、前記切開部位を通して伸ばし、
前記向きが調節された前記弁形成インプラントガイド組立品が記切開部位を通して伸びた後に、前記弁形成インプラントガイド組立品の向きを再調節することによって、前記弁形成リングの向きを再調節し、
前記弁形成リングを心臓弁輪内に置き、
自動縫合処置を開始し、
複数の縫合接合リングのうちの少なくとも1つは、
前記心臓弁輪の組織及び前記弁形成リングを通って伸び、
前記弁形成リングを前記心臓弁輪に接合すること、
を特徴とする方法。
【請求項22】
前記弁形成リングを心臓弁輪内に置くことは、
前記心臓弁輪を再形成することであり、
前記再形成することは、
前記心臓弁の形状を変えること、及び、前記心臓のサイズを変えることのうちの少なくとも1つを含むこと、
を特徴とする請求項21に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図14D】
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【図14E】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【公表番号】特表2012−510879(P2012−510879A)
【公表日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539759(P2011−539759)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【国際出願番号】PCT/US2009/066849
【国際公開番号】WO2010/065912
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(511135721)ジョージア テック リサーチ コーポレーション (1)
【Fターム(参考)】