説明

低品位炭乾燥システム

【課題】低品位炭乾燥装置の排気口付近の微粉が後流部へ飛散するのを防止することができる。
【解決手段】
低品位炭乾燥システム200は、低品位炭乾燥装置210と、低品位炭乾燥装置の排気口211と、冷却器212と、循環ファン213と、加熱通路215と、回転装置300と、排気路Lと、排気路Lと、を含むものである。また、回転装置300は、回転棒と、傘と、フランジ303と、を含むものである。回転装置300は、傘と傘の回転軸中心に回転棒が連結したもので、回転棒が回転することで傘も一緒に回転することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低品位炭乾燥装置の排気口付近の微粉が後流部に飛散するのを防止する低品位炭乾燥システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、石炭ガス化複合発電システムは、石炭をガス化し、ガスタービンおよび蒸気タービンからなる石炭ガス化複合発電システムと組み合わせることにより、従来型の石炭火力発電に比べ、さらなる高効率化・高環境性を目指した発電システムである。この石炭ガス化複合発電システムは、資源量が豊富な石炭を利用可能であることも大きなメリットであり、適用炭種を拡大することでさらにメリットが大きくなることが知られている。ところが、褐炭や亜瀝青炭などの低品位炭は、持ち込まれる水分が多いため発電効率の低下を招く恐れがある。そのため、低品位炭は、十分に乾燥させて水分を除去する必要がある。
【0003】
従来の低品位炭乾燥システムでは、低品位炭に含まれる微粉がこの低品位炭から放出される蒸気に混在しており、コンプレッサなどの回転機械のブレードの摩耗を引き起こすおそれがある。そのため、例えば、特許文献1には、低品位炭を乾燥させると発生する蒸気を回転機械に導入する際に、回転機械のブレードの摩耗を集塵装置で抑制しつつ、集塵装置の目詰まりを防止することのできる低品位炭乾燥システムが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−086021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
低品位炭乾燥装置の排気口から排気される発生蒸気に含まれる微粉を集塵するために、個別にバグフィルタなどの集塵装置を設置する必要があり、低品位炭乾燥システムの大型化を招くことになる。また、個別に集塵装置を設置すると、低品位炭乾燥装置の排気口の後流部に飛散する微粉の粒径を調整することが難しく、セパレータが目詰まりしてしまう恐れがある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、低品位炭乾燥装置の排気口付近の微粉が後流部へ飛散するのを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る低品位炭乾燥システムは、循環蒸気に熱を加える加熱通路と、前記循環蒸気によって低品位炭を乾燥させる低品位炭乾燥装置と、前記低品位炭を乾燥させることで発生する発生蒸気を前記低品位炭乾燥装置の排気口から排気する排気路と、前記排気路と繋がる前記低品位炭乾燥装置の排気口に前記発生蒸気に含まれる微粉を粉砕する回転装置と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
上記構成により、本発明に係る低品位炭乾燥システムは、低品位炭乾燥装置の排気口に回転装置を備えたことで、低品位炭乾燥装置内に低品位炭乾燥装置の排気口付近の微粉を粉砕し、排気口付近の微粉を後流部に飛散することを防止することができる。また、低品位炭乾燥装置の排気口に回転装置を備えたことで、低品位炭乾燥システムのスリム化を実現することができる。
【0009】
本発明の好ましい態様としては、前記回転装置は、前記低品位炭乾燥装置の排気口から前記低品位炭乾燥装置内に向かって前記回転装置の先端の断面寸法を狭くすることを特徴とする。
【0010】
上記構成により、本発明に係る低品位炭乾燥システムは、回転装置の先端の断面寸法を狭くしたことで、低品位炭乾燥装置の排気口付近の微粉が回転装置の先端部に堆積してしまうのを防止することができる。
【0011】
本発明の好ましい態様としては、前記回転装置は、洗浄ノズル又はブラシを備えたことを特徴とする。
【0012】
上記構成により、本発明に係る低品位炭乾燥システムは、低品位炭乾燥装置の回転装置に洗浄ノズル又はブラシを備えたことで、回転装置に付着する微粉を取り除くことができる。そのため、回転装置の目詰まりも抑制することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、低品位炭乾燥装置の排気口付近の微粉が後流部に飛散するのを防止する効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、実施形態1の石炭ガス化複合化発電システムを模式的に示す説明図である。
【図2】図2は、実施形態1の低品位炭乾燥システムを模式的に示す説明図である。
【図3】図3は、実施形態1の低品位炭乾燥システムの回転装置を模式的に示す説明図である。
【図4】図4は、実施形態1の低品位炭乾燥システムの回転装置の洗浄ノズルを模式的に示す説明図である。
【図5】図5は、実施形態1の低品位炭乾燥システムの回転装置のブラシを模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
【0016】
図1は、実施形態1の石炭ガス化複合化発電システムを模式的に示す説明図である。以下に、実施形態1の低品位炭乾燥システム100について説明する。低品位炭乾燥システム100は、ミル110と、石炭ガス化炉111と、サイクロン112と、ガス精製装置113と、燃焼器114と、ガスタービン115と、圧縮機116と、蒸気タービン117と、発電機118と、復水器119と、排熱回収ボイラ120(HRSG)と、ガス浄化装置121と、煙突122と、空気分離装置(ASU)123と、低品位炭乾燥システム200と、を含むものである。尚、低品位炭乾燥システム100は、実施形態1に限定されるものではない。
【0017】
低品位炭乾燥システム100は、最初に、低品位炭乾燥システム200で得られた製品炭205をミル110で粉砕して微粉炭101を生成する。その後、石炭ガス炉110でガス化して生成ガスであるガス化ガス102を得る。このガス化ガス102は、サイクロン112で除塵され、ガス精製装置113でガス精製された後に、ガスタービン115の燃焼器114に供給される。この燃焼器114で燃焼して、高温・高圧の燃焼ガス103を生成する。そして、ガスタービン115は、この燃焼ガス103をもとに駆動する。ガスタービン115は、発電機118と連結しており発電機118を駆動する。電力は、発電機118が駆動することで発生する。ガスタービン115を駆動させた後の排ガス104は、まだ約500℃〜600℃の温度を保持しているため、排熱回収ボイラ120へ送られて熱エネルギーが回収される。この排熱回収ボイラ120は、排ガス104の熱エネルギーによって蒸気105を生成する。この蒸気105により、蒸気タービン117が駆動される。排熱回収ボイラ120で熱エネルギーが回収された排ガス106は、ガス浄化装置121で排ガス106中のNOおよびSOが除去された後に、煙突122を介して大気中へ放出される。
【0018】
図2は、実施形態1の低品位炭乾燥システムを模式的に示す説明図である。低品位炭乾燥システム200は、低品位炭乾燥装置210と、低品位炭乾燥装置の排気口211と、冷却器212と、循環ファン213と、加熱通路215と、回転装置300と、排気路Lと、排気路Lと、を含むものである。尚、低品位炭乾燥システム200は、実施形態1に限定されるものではない。
【0019】
低品位炭乾燥システム200は、水分含量の高い低品位炭201を十分に乾燥させて製品炭205を生成するものである。低品位炭201は、例えば、褐炭である。また、水分含量の高い亜瀝青炭やスラッジなどであっても良い。また、低品位炭乾燥装置210は、低品位炭乾燥装置210内に加熱通路215を配設する。加熱通路215は、例えば、150℃程度の過熱蒸気Aが供給されるものである。低品位炭201は、加熱通路215との接触による熱伝達によって乾燥させられる。その後、乾燥に使用された過熱蒸気Aは、低品位炭乾燥装置210の外部に排出される。尚、過熱蒸気Aの代わりに、例えば、飽和蒸気や温水等を用いても良い。
【0020】
低品位炭乾燥装置210は、低品位炭201を低品位炭乾燥システム200内に投入すると、別途、低品位炭乾燥システム200内に導入される循環蒸気203により、低品位炭201が流動して流動層214を形成する。尚、加熱通路215は、この形成された流動層214の位置に配設される。低品位炭乾燥装置210内の温度は、例えば、流動層214が蒸気である場合、100℃〜200℃である。
【0021】
低品位炭乾燥装置210の流動層214で十分に乾燥した低品位炭201は、乾燥炭204として低品位炭乾燥装置210から排出される。尚、低品位炭乾燥装置210は、低品位炭210を流動層214よりも上部から投入し、流動層214で低品位炭210を十分に循環した後に、低品位炭乾燥装置210の下部から乾燥炭204として排出するものである。低品位炭乾燥装置210は、別途異なる構造のものであっても良い。
【0022】
低品位炭乾燥装置210で処理された乾燥炭204は、冷却器212で冷やされて製品炭209となる。その後、製品炭209は、低品位炭乾燥システム100のミル110で粉砕されて微粉炭101となり、タービンを動かす動力となる。
【0023】
また、発生蒸気202は、低品位炭乾燥装置210内で低品位炭201を乾燥する時に発生する。この発生蒸気202には、低品位炭201が乾燥して微細化した微粉が含まれる。発生蒸気202は、低品位炭乾燥装置の排気口211に配設された回転装置300を通じて排気路Lに排気される。その後、発生蒸気202の一部は、別途配設された熱回収システムで熱回収をして水処理を施した後、外部に排出される。また、発生蒸気202の一部は、排気路Lの循環ファン213により再び低品位炭乾燥装置210に戻されて再利用される。尚、低品位炭乾燥装置210は、発生蒸気202の一部を再利用するが、これに限定されず、例えば窒素、二酸化炭素またはこれらのガスを含む低酸素濃度の空気を別途用いても良い。
【0024】
図3は、実施形態1の回転装置を模式的に示す説明図である。低品位炭乾燥装置210に配設された回転装置300について詳細に説明する。回転装置300は、回転棒301と、傘302と、フランジ303と、を含むものである。回転装置300は、例えば、
ロータリーセパレータである。また、回転装置300は、実施形態1に限定されるものではなく、発生蒸気202に含まれる微粉を取り除くことができるものであれば良い。
【0025】
回転装置300は、傘302と傘302の回転軸中心に回転棒301とが連結したもので、回転棒301が回転することで傘302も一緒に回転することができる。また、回転装置300は、低品位炭乾燥装置210の排気口211に配設される。低品位炭乾燥装置210の排気口211に向かう発生蒸気202に含まる微粉は、回転装置300の回転する傘302により粉砕されて、低品位炭乾燥装置210内の流動層214に再び戻ることになる。そのため、発生蒸気202は、微粉を含まずに、低品位炭乾燥装置210の排気口211から排気路Lに排気されることになる。このように、低品位炭乾燥装置210の排気口211に回転装置300を配設することで、発生蒸気202に含まれる微粉が後流部に飛散してしまうのを防止できる。尚、傘302は、傘302の表面に空気を通す微細な孔を有するものである。
【0026】
傘302は、低品位炭乾燥装置210の排気口211から低品位炭乾燥装置210内に向かって、先端の断面寸法を狭くしたものである。このような形状とすることで、傘302内に微粉が紛れ込んだとしても、傘302の先端に溜まる微粉を低減することができる。そのため、回転装置300のメンテナンスも容易になる。
【0027】
フランジ303は、傘302の上部から発生蒸気202に含まれる微粉が入り込むのを防ぐためのカバーである。フランジ303は、排気路L内に連結するように配設されている。そのため、発生蒸気202は、低品位炭乾燥装置210の排気口211に配設された回転装置300のみを通って排気路Lに排気されることになる。尚、回転装置300は、フランジ303を配設しない構造のものであっても良い。
【0028】
図4は、実施形態1の回転装置の洗浄ノズルを模式的に示す説明図である。回転装置300は、発生蒸気202に含まれる微粉が傘302の外周面に付着して、傘302の目詰まりを引き起こす可能性がある。そのため、回転装置300には、傘302の内周面に沿って、傘302の上部から先端方向に向かうようにノズル304を配設する。このノズル304は、傘302の内周面と接するように配設しても良く、又傘302の内周面とある程度の距離を保って配設しても良い。
【0029】
ノズル304は、例えば、配設したノズル304の軸方向に沿って、ノズル304の表面に複数の穴304aを備える。そのため、ノズル304は、傘302の内周面に向かって、複数の穴304aから水などの液体305を噴射する構造になる。傘302の外周面に付着した微粉は、ノズル304の複数の穴304aから水などの液体305が噴射されて、傘302の外周面から取り除かれる。尚、ノズル304の複数の穴304aから噴射される水などの液体305は、傘302の内周面に向かって一方方向のみに噴射するが、回転体300の傘302が回転棒301を軸に回転するため、必然的に、傘302の内周面全体に噴射することができる。
【0030】
図5は、実施形態1の回転装置のブラシを模式的に示す説明図である。ノズル304は、例えば、ノズル304の軸方向に沿って、傘304の内周面に接するようにブラシ304bをノズル304の表面に設ける。そのため、ブラシ304bが傘304の内周面と接することで、傘302の外周面に付着した微粉を除去することができる。尚、本実施例では、傘302内にノズル304を固定しているが、これに限定されるものではない。例えば、回転体300のように、ノズル304を傘302内で回転させても良い。
【符号の説明】
【0031】
100 石炭ガス化複合発電システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
循環蒸気に熱を加える加熱通路と
前記循環蒸気によって低品位炭を乾燥させる低品位炭乾燥装置と、
前記低品位炭を乾燥させることで発生する発生蒸気を前記低品位炭乾燥装置の排気口から排気する排気路と、
前記排気路と繋がる前記低品位炭乾燥装置の排気口に前記発生蒸気に含まれる微粉を粉砕する回転装置と、
を備えたことを特徴とする低品位炭乾燥システム。
【請求項2】
前記回転装置は、前記低品位炭乾燥装置の排気口から前記低品位炭乾燥装置内に向かって前記回転装置の先端の断面寸法を狭くすることを特徴とする低品位炭乾燥システム。
【請求項3】
前記回転装置は、洗浄ノズル又はブラシを備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の低品位炭乾燥システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−241995(P2012−241995A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113334(P2011−113334)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】