説明

低圧システム用装置

供給源から、高圧ガスのサンプリングに特に有用な低圧装置へのガスの流れを制御するための方法及び装置を示す。RGAの高圧供給の例を挙げると、一実施形態において、上記方法により、高圧のガス容量を分離し、それらの圧力を制限し、このガスを低圧で供給する。一実施形態において、前記装置は、弁と、制流装置と、逆流防止弁とを備えており、例えば、正確で繰り返し可能な量の不連続なガスを高圧部分から低圧部分へ供給するか、又は、連続したガスを高圧部分から低圧部分へ供給する。上記装置及び方法は、供給源の圧力に比較的影響されず、したがって供給源の圧力の範囲を超える復元可能な結果が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単一のガス又は複数種のガスの混合物を該ガスの分析が可能な機器へ投与し供給することを制御するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のガスを低圧で動作するガス分析又は処理装置へ供給する場合が多くある。したがって、例えば、残留ガス分析装置(RGA)又はガスクロマトグラフ質量分析装置(GC/MS)等の、ガスを検査又は評価する装置、及び半導体ウエハ製造工程等で用いられる低圧化学反応炉は、概して、大規模な又は固定されたガス供給源が必要である。一般にこれらの装置は、約100mPaから約100nPaの高真空(HV)又は約100nPaから約100pPaの超高真空(UHV)等の低圧で動作する。
【0003】
一般に、ガスは、開口部を通って分析チャンバーに流入することにより、分析装置に供給される。高品質な分析のためには、開口部を通るガスの流れが一定であることが好ましい。この一定の流れは、通常、上流のガスを実質的に一定の圧力である供給源から毛管を通って開口部へ供給すること、及び/又は差動ポンプを用いることによって得られる。したがって、例えば、大容量のガス供給源から供給することにより、上記ガスを実質的に一定の圧力で供給してもよい。差動ポンプに関しては、上記ガス供給源は、2つの開口部の間又は開口部と毛管の間に位置する中間容量を粗排気することによりガスを供給する差動ポンプを備えている。この方法の第一の問題点は、ガスが常にこのサンプル容量に供給されていなければ、粗引きポンプの基底圧に向かって圧力が連続的に減少することである。その結果、前記サンプルの状態を知ることや、それによる分析の量子化は、難しいか又は不可能となる。加えて、連続的に流れているガスではなく少量のガスのサンプルを検査したい場合、上流の圧力を一定に保つことは難しく、かつ/又は、検査ガスの供給と高真空(ターボ)ポンプのバックアップとに同じ作動ポンプを用いることが不可能である。さらに、供給源ガスが異なる圧力であり、かつ開口部が固定されている場合には、開口部を通る流量が異なるため、同じ条件でガスのサンプルを検査できない場合がある。
【0004】
よって、当業界では、低圧システムへの供給を向上させるための装置及び方法が必要とされている。そのような方法及び装置は、様々な実施形態において、既知の又は測定可能な状態の少量のガスを供給し、UHVシステムの過負荷を防ぎ、別々の供給源からの分析データの比較を容易にするように求められている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特定の実施形態において、装置は、同じモル数の複数のガスを工程又は分析機器へ供給できるよう構成されている。
【0006】
特定の実施形態において、装置は、広い範囲の圧力でガスを流入し、同じモル数の複数のガスを工程又は分析機器へ供給する。
【0007】
特定の実施形態において、装置は、1気圧よりも高い圧力でガスが流れ込むRGAシステムを備えている。
【0008】
特定の実施形態において、ドーズ装置は、供給源から、ガス分析装置又は工程である低圧装置へガスを供給するように構成されている。一実施形態において、前記ドーズ装置は、前記供給源からガスが流れ込む入口と、出口と、1又は複数の通路内のガスの圧力を第1の圧力よりも低くなるように制限する圧力解放装置と、前記入口と前記出口の間に設けられた少なくとも1つの制流装置とを接続する前記1又は複数の通路を有する。別の実施形態において、前記ドーズ装置は、前記供給源からガスが流れ込む入口と、出口と、前記入口からのガスが入る第1の容量と前記第1の容量からガスが入る第2の容量とを構成するように動作可能な1又は複数の弁と、前記第2の容量と前記出口の間に設けられた少なくとも1つの制流装置とを接続する1又は複数の通路を有する。一実施形態において、前記第1の容量は前記第2の容量よりも小さい。別の実施形態において、前記第1の容量は前記第2の容量以上である。前記ガス分析装置又は工程には、前記出口からのガスの少なくとも一部が供給される。
【0009】
特定の実施形態において、装置は、供給源から低圧装置へガスを供給するように構成される。前記装置は、ドーズ装置とガス分析装置又は工程とを備える。前記ドーズ装置は、前記供給源からガスが流れ込む入口と、出口と、1又は複数の通路内のガスの圧力を第1の圧力よりも低くなるように制限する圧力解放装置と、前記入口と前記出口の間に設けられた少なくとも1つの制流装置とを接続する前記1又は複数の通路を有する。前記ガス分析装置又は工程には、前記出口からのガスの少なくとも一部が供給される。
【0010】
特定の実施形態において、装置は、供給源から低圧装置へガスを供給するように構成され、一実施形態において、前記供給源は工程であり、別の実施形態において、前記供給源は分析機器である。
【0011】
特定の実施形態において、装置は、供給源から低圧装置へガスを供給するように構成され、一実施形態において、前記低圧装置は残留ガス分析装置であり、別の実施形態において、前記低圧装置は質量分析装置を有し、さらに別の実施形態において、前記低圧装置はガスクロマトグラフを有す。
【0012】
特定の実施形態において、装置は、供給源から低圧装置へガスを供給するように構成され、前記装置は連続したガスの流れを供給するドーズ装置を備えている。別の特定の実施形態において、前記ドーズ装置は不連続なガスを供給する。さらに別の特定の実施形態において、前記ドーズ装置は同じモル数の複数のガスを供給する。
【0013】
特定の実施形態において、装置は、供給源から低圧装置へガスを供給するように構成され、前記装置は、約0.001MPaから約50MPaの範囲の圧力よりも低くなるようにガスの圧力を制限する圧力解放装置を有するドーズ装置を備えている。
【0014】
特定の実施形態において、装置は、供給源から低圧装置へガスを供給するように構成され、前記装置は、入口と、入口において約10−7Torr(10−5Pa)から約500bar(50MPa)の範囲の圧力のガスが流れ込む出口とを有するドーズ装置を備えている。
【0015】
特定の実施形態において、装置は、供給源からガス分析装置へガスを供給するように構成されている。前記装置は、ドーズ装置とガス分析装置とを備える。前記ドーズ装置は、前記供給源からガスが流れ込む入口と、出口と、前記入口からのガスが入る第1の容量と前記第1の容量からガスが入る第2の容量とを構成するように動作可能な1又は複数の弁と、前記第2の容量と前記出口の間に設けられた少なくとも1つの制流装置とを接続する1又は複数の通路を有する。前記ガス分析装置又は工程には、出口からのガスの少なくとも一部が供給される。一実施形態において、第1の容量は第2の容量よりも小さい。別の実施形態において、第1の容量は第2の容量以上である。
【0016】
特定の実施形態において、固定のモル数を有するガスを供給する方法である。前記方法は、1気圧よりも高く第1の圧力よりも高い圧力の供給源から容量へガスを流す工程と、前記ガスが流れ込んだ容量を前記供給源から分離する工程と、前記分離した容量を排気し、前記容量の圧力を前記第1の圧力まで下げる工程と、上記工程の後、容量に残留しているガスを低圧装置へ供給する工程とを備える。
【0017】
以上の特徴は、様々な補助的な規定及び以下の詳細な説明から当業者には明らかな特徴とともに、本明細書で述べる装置、図を参照して示す好ましい実施形態によって、例示によってのみ実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図中の参照符号は図に示される構成要素、態様、特徴を示し、各図に共通の構成要素、態様、特徴には同一の参照符号で示す。
【0019】
以下に特定の好ましい実施形態と例を開示するが、当業者であれば、本発明の主題を、具体的に開示された実施形態だけでなく、他の変更例及び/又は発明の用途及び明らかな変更やそれと同等のものに適用できることが理解できる。したがって、本発明の範囲は以下に開示される特定の実施形態に限定されるものではない。例えば、開示されたいかなる方法や工程においても、該方法/工程を構成する行為又は動作は適切な順序で行われ、開示された特定の順序に限定される必要はない。様々な実施形態を先行技術と比較するため、これらの実施形態の特定の態様や効果を本明細書の適切な部分に記載する。もちろん、これらの全ての態様や効果が必ずしも特定の実施形態によって得られるわけではない。したがって、例えば、上記様々な実施形態は、本明細書中に教示又は示唆される別の態様又は効果と必ずしも両立せず、1又は複数の効果を得るか又は最適化するように実施される。
【0020】
本発明の範囲を理解する上で、「備える(comprising)」等の語句は、記載された特徴、要素、構成要素、及び/又は工程を示すオープンエンドの語句であり、記載されていない他の特徴、要素、構成要素、及び/又は工程の存在を排除するものではない。このことは、同じ意味である「有する(including)」、「含む(having)」、及びそれらから派生した語句等にも適用される。
【0021】
図1は、ドーズ装置110、低圧装置120及び操作システム130を備えた第1の実施形態によるシステム100の模式図である。システム100において、ガス2の供給源はドーズ装置110の入口101に設けられ、このドーズ装置は、供給源ガスを出口103から低圧装置120へ供給する。入口101及び出口103は、一般には通路であり、供給源2及び低圧装置120へ直接つながっていてもよいし、入口101又は出口103の片側又は両側にコネクタを備えていてもよい。一般に、供給源2はガスを圧力Pで入口101へ供給し、低圧装置120は、Pよりも低い圧力Pで動作する。一実施形態において、圧力Pは、これらに限定されるものではないが、HV又はUHVの圧力を含む大気圧よりも低く、圧力Pは、Pよりも高く、例えば、大気圧未満、大気圧、又は大気圧よりも高い圧力である。
【0022】
一実施形態において、ガスは、入口101からドーズ装置110へ約10−7Torr(10−5Pa)から約500bar(50MPa)の圧力Pで流れ込む。Pの値は、例えば、約10−7Torr(10−5Pa)、約10−6Torr(10−4Pa)、約10−5Torr(10−3Pa)、約10−4Torr(10−2Pa)、約10−3Torr(10−1Pa)、約10−2Torr(1Pa)、約10−1Torr(10Pa)、約1Torr(10Pa)、約10Torr(10Pa)、約0.1bar(10Pa)、約1bar(0.1MPa)、約10bar(1MPa)、約100bar(10MPa)、約200bar(20MPa)、約500bar(50MPa)を最低値とする範囲であるが、これにより本発明の範囲を制限するものではない。
【0023】
別の実施形態においては、ガスは、出口103から低圧装置120へ約10−4Torr(10−2Pa)から約10−10Torr(10−8Pa)の圧力Pで供給される。Pの値は、例えば、約10−10Torr(10−8Pa)、約10−9Torr(10−7Pa)、約10−8Torr(10−6Pa)、約10−7Torr(10−5Pa)、約10−6Torr(10−4Pa)、約10−5Torr(10−3Pa)、約10−4Torr(10−2Pa)、約10−3Torr(10−1Pa)、及び約10−2Torr(1Pa)を最大値とするが、これにより本発明の範囲を制限するものではなく、必ずしもこれらの値に限定されるものではない。
【0024】
供給源2は、これらに限定されるものではないが、ガスを流すための1若しくは複数のチューブ又は他の通路、1若しくは複数の弁、圧力解放装置、圧力制御装置、及び制流装置を備えていてもよい。また、これらに限定されるものではないが、材料処理装置又は主計測装置、圧力シリンダー、及び/又はポンプをさらに備えている。特定の実施形態において、供給源2は、ガス分析装置、ガス収着分析装置、高圧天然ガス改質工程、石油化学ガス生成工程、気相状態を含む化学合成工程、気相状態を含む化学反応工程、蒸着材料工程から供給するものであり、水素燃料電池検査装置、水素燃料電池動作、水素燃料電池燃料給油検査、水素吸着物質、二酸化炭素吸着物質、窒素吸着物質、一酸化炭素吸着物質、酸素吸着物質、水蒸気吸着物質、水蒸気吸着検査、蒸気、又は材料処理のための高純度ガスから供給する。主計測装置の一例として、これに限定されるものではないが、供給源2は、Hy−Energy、LLC(ニューアーク、カリフォルニア州)により製造されたPCTPro−2000である。また、供給源2は、ドーズ装置110と主計測装置の両方にガスを供給してもよい。
【0025】
一般に、ドーズ装置110は、入口101から出口103へガスを流すよう動作する互いに接続された流通装置を備えている。ドーズ装置110が入口101と出口102を介して供給源2と装置120とに接続されると、ドーズ装置110は供給源2と装置120間のガスの圧力及び/又は流量を制御することが可能になる。前記ガスは、様々な実施形態において、連続して流れるガス、又は、例えばドーズ装置110内の弁で制御される1又は複数の不連続なガスのサンプルとして供給されてもよい。ドーズ装置110の上記流通装置は、これらに限定されるものではないが、ガスを流すための1若しくは複数のチューブ若しくは他の通路、1若しくは複数の弁、圧力制御装置、圧力解放装置、制流装置、又はポンプを備えていてもよい。
【0026】
いくつかの実施形態において、図1に示すように、ドーズ装置110は、一部のガスを入口101から随意の通気口へそらすことで出口103の圧力を保つ。一実施形態において、上記通気口は大気圧である。別の実施形態において、ドーズ装置110は、真空ポンプ又は管を備えており、上記通気口は大気圧よりも低く設定されている。一実施形態において、ドーズ装置110は、排気を制御するための1若しくは複数の逆流防止弁又はポンプを備えている。排気によって、出口103のガスがある所定の圧力を超えることを防ぐ。圧力を制限することで、システム100に多くの効果がもたらされる。したがって、例えば、圧力が高すぎる場合には計測をしない、又は、圧力が変化するときには容易に定量化できない、質量分析計等の感度の高い分析機器を備えた低圧装置もある。
【0027】
他のいくつかの実施形態において、ドーズ装置110は、2個以上の容量を入口101と出口103の間に備えており、前記容量は、これらに限定されないが、開閉弁、逆流防止弁、及び/又は制流器を備えた流通装置により分離されている。一実施形態において、ドーズ装置110は不連続な量を出口103へ供給する。また、一実施形態において、ドーズ装置110が2個以上の容量を通してガスを連続して流すよう動作してもよい。さらに別の実施形態において、ドーズ装置110は2個以上の容量と1つの通気口とを備え、出口103は既知の容量及び圧力でガスを排出するように構成されている。さらにある実施形態では、ドーズ装置110の温度がほぼ一定のとき、該ドーズ装置はドーズ量あたりほぼ一定のモル数のガスを供給する。
【0028】
ドーズ装置110、低圧装置120、及び操作システム130間には、一又は二方向の連絡路が設けられている。したがって、例えば、ドーズ装置110は一般に、手動又はコンピュータ制御の運転システム130から配線131を介して制御される駆動部を備えている。一実施形態において、ドーズ装置110は、電気制御される1又は複数の弁を備えており、配線131は電気制御用配線を有している。別の実施形態では、ドーズ装置110は、空気圧により制御される1又は複数の弁を備えており、配線131は、圧力及び/又は真空管を有している。操作システム130、ドーズ装置110、配線131間の連絡路に加え、ドーズ装置から操作装置130に戻る連絡路をさらに備えてもよい。したがって、例えば、駆動部の電気的指示が設けられていてもよいし、圧力変換器又は他の計測装置からの信号が設けられていてもよい。
【0029】
別の実施形態では、操作システム130は、低圧装置120と連絡するための配線133を備えている。したがって、例えば、低圧装置120は配線131を介して、前のガスを分析、処理した操作システム130へ信号を出してもよく、その後、適切な信号が配線131を介して送られ、次のガスが供給される。
【0030】
低圧装置120は一般には低圧装置又は工程であり、ガス分析装置、蒸着材料工程、水素燃料電池又は水素燃料電池検査装置、水素燃料電池動作、水素燃料電池燃料給油検査、二酸化炭素吸着物質、窒素吸着物質、一酸化炭素吸着物質、酸素吸着物質、水蒸気吸着物質、水蒸気吸着検査、蒸気、及び材料処理のための高純度ガスを備えている。ただし、必ずしもこれらに限定されるものではない。ガス分析装置としては、これらに限定されるものではないが、残留ガス分析装置、ガスクロマトグラフ質量分析装置、質量分析装置(Hiden Analytical Ltd(ウォリントン、英国)、RUBOTHERM Prazisionsmesstechnik(ボーフム、ドイツ連邦共和国)、VTI Corporation(ハイアリーア、フロリダ州)製のものを含む。ただし、必ずしもこれらに限定されるものではない)、容量分析装置(Hiden Analytical Ltd、Couter、Advanced Materials Corporation(ピッツバーグ、ペンシルヴァニア州)、Micromeritics Instrument Corporation(ノークロス、ジョージア州)製、Quantachrome Instruments(ボイトンビーチ、フロリダ州)製のものを含む。ただし、必ずしもこれらに限定されるものではない)、Quantachrome Instruments製の昇温脱離(TPD)装置、Flow TPD、又はFlow TPRが挙げられる。また、低圧装置120は、等しい又はほぼ等しいモル数のガスを必要とする工程又は処理であってもよい。
【0031】
システム100において、それぞれの構成要素は図1に示すものと異なっていても本発明の範囲内である。したがって、例えば、一実施形態において、低圧装置120は、ドーズ装置110と直接連絡するコンピュータ化された操作システム130を備えていてもよい。別の実施形態では、ドーズ装置110は低圧装置120と一体化して設計されている。
【0032】
図2は、第2の実施形態による低圧装置220を備えたシステム100を示す模式図である。システム100は図1に示す実施形態と概して似ており、低圧装置220は以下に詳細に説明する部分を除いて低圧装置120と概して似ている。ここで、図1及び図2に示す各実施形態の記載において、可能な場合は、同様の要素は同一の参照番号で示す。
【0033】
図2に示すドーズ装置110では、供給源2から入口101へ第1の圧力Pでガスが供給され、該ガスの一部又は全てが第1の圧力Pよりも低い第2の圧力Pで排出され、その後、該ガスを低圧装置220へ供給する。一実施形態において、低圧装置220は、RGA221、ターボポンプ223、及び粗引きポンプ225を備えたガス分析システムである。ガス管201はRGA221とターボポンプ223とを接続し、ガス管203はターボポンプ223と粗引きポンプ225とを接続する。RGA221は、一般には、半導体産業において工程の制御や異物の混入を監視するために用いられる質量分析装置である。一実施形態において、RGA221は、Stanford Research Systems,Inc.(サニーベール、カリフォルニア州)製のStanford Research Systems RGAであり、ターボポンプ223は、Pfeiffer Vacuum GmbH(アスラー、ドイツ連邦共和国)製のハイブリッドターボ分子ポンプであり、粗引きポンプ225は、Pfeiffer Vacuum GmbH(アスラー、ドイツ連邦共和国)製のダイヤフラムポンプである。
【0034】
一実施形態において、システム100には約10−8Torr(10−6Pa)から約200bar(20MPa)の圧力Pでガスが流れ込み、約10−4Torr(10−2Pa)から約10−10Torr(10−8Pa)の圧力Pでガスを供給する。一実施形態では、圧力Pは、低圧装置の動作範囲内である。したがって、例えば、Pは前記RGAの動作範囲内である。
【0035】
図3は、第3の実施形態による低圧装置320を備えたシステム100の模式図である。システム100は概して図1及び2に示す実施形態に似ており、低圧装置320は、以下に詳細に説明する部分を除いて概して低圧装置120及び220に似ている。ここで、図1、図2及び図3に示す各実施形態の記載において、可能な場合は、同様の要素は同一の参照番号で示す。
【0036】
低圧装置320は、ターボポンプ223と粗引きポンプ225の間に設けられたガス管203における弁301を有する。弁301は、配線131を介して操作システム130により制御されてもよく、閉じることで、システム300が大気圧又はそれよりも高い圧力へ排気される際に、ガスが粗引きポンプ225からターボポンプ223及びRGA221へ流れるのを防ぐ。
【0037】
図4は、ある実施形態によるドーズ装置410を備えたシステム100の模式図である。システム100は概して図1〜3に示す実施形態に似ており、ドーズ装置410は、以下に詳細に述べる部分を除いては概してドーズ装置110に似ている。ここで、図1〜4に示す各実施形態の記載において、可能な場合、同様の要素は同一の参照番号で示す。
【0038】
一般に、ドーズ装置410は、入口101と出口130との間の部分は、容量V10のドーズ容量10である第1の容量と、容量V20のサンプル容量20である第2の容量とを構成しているが、必ずしもこれらに限定されるものでない。図4は、ドーズ容量10とサンプル容量20とを設けた一実施形態を示す。
【0039】
ドーズ装置410は、第1の弁411と、第2の弁413と、第1と第2の弁を結ぶ通路412と、流量圧力解放装置又は逆流防止弁415と、これに限定されるものではないが開口部417である制流部と、第2の弁と逆流防止弁と開口部とを接続し低圧装置220又は320へつながる通路414とを備えている。
【0040】
逆流防止弁415は、通路のガス圧が所定の値を超えた場合に通路414からガスを放出する。ドーズ装置410は、低圧装置120等にガスを供給してもよい。低圧装置120は、例えば低圧装置220又は320であってもよいが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0041】
ドーズ容量10は、通路412及び弁411、413の内部容量以下であるドーズ装置410の容量である。サンプル容量20は、第2の弁413、逆流防止弁415及び開口部417から延びる通路414の内部容量の容量以下であるドーズ装置の容量である。後に説明するように、弁411及び413は、供給源2から低圧装置120へガスが供給される、又は流れるよう動作してもよい。
【0042】
一実施形態において、容量比V20:V10は1よりも大きい。別の実施形態では、比V20:V10は1よりも大きい。様々な他の実施形態では、比V20:V10は100:1から1:100の範囲であり、100:1、50:1、10:1、5:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:5、1:10、1:50、又は1:100であってもよいが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0043】
特定の実施形態では、容量V10及びV20は、マイクロリットルから数十ミリリットルの範囲である。特定の実施形態では、V10及びV20は0.1mlから1.0mlの範囲である。
【0044】
特定の実施形態において、開口部417の直径は、1000μm未満、100μm未満、50μm未満、10μm未満、5μm未満、2μm未満、1μm未満、0.1μm未満、又は0.01μm未満である。
【0045】
別の特定の実施形態において、逆流防止弁415は、サンプル容量20内の圧力を50MPa以下、10MPa以下、4MPa以下、1MPa以下、0.1MPa以下、0.01MPa以下、又は0.001MPa以下に制限する。
【0046】
ポンプ223及び225、開口部417、逆流防止弁415並びに弁411及び413の全ては、供給源からの高圧のガスが流れ込み、RGAへ少量のガスを低圧で供給するように、大きさと規格が定められている。したがって、例えば、Pは、0.1MPa、0.2MPa、0.5MPa、1.0MPa、2.0MPa、5.0MPa、10.0MPa、又は20MPaよりも大きくてもよい。また、例えば、Pは、低圧又は、これに限定されるものではないが10Pa未満の圧力を含む超高電圧(UHV)であってもよく、一方、RGAは10−5Paのオーダーの超高電圧で動作してもよい。一実施形態では、弁411及び413は、Valco空気圧開閉弁(VICI Valco Instruments(ヒューストン、テキサス州)製)等の、無駄なスペースが小さい高圧弁であり、逆流防止弁415は、Swagelok Company(ソロン、オハイオ州)製の調節可能逆流防止弁SS−4CA−VCR−50等の、スプリング式又は別の種類の調節可能な逆流防止弁である。
【0047】
一実施形態において、開口部417の直径は3μmであり、Pは約10−4Paから約20MPaの範囲であり、逆流防止弁415は0.3MPaの圧力で開くよう設定され、粗引きポンプ225は10Paの圧力へ排出可能であり、ターボポンプ223は10−8Paの圧力まで排出可能であり、弁411及び413は上限が70MPaまで動作可能であり、V10は0.25mlであり、V20は0.7mlである。
【0048】
低圧装置120の供給は、高圧、すなわち低圧装置120の圧力よりも高い圧力の第1の供給ガスによって行われる。したがって、例えば、まず第1の弁411が開き、第2の弁413が閉じる。次に、第1の弁411が閉じ、第2の弁413が開き、ドーズ容量10からサンプル容量20へガスが放出される。サンプル容量20内のガスは、開口部417を通り、低圧装置120へ流れる。逆流防止弁415は圧力差ΔPのときに開くよう設定され、圧力がこれを超えると、サンプル容量20からガスが放出される。サンプリングガスの圧力が高すぎると、つまり、逆流防止弁415におけるΔPよりも高ければ、該ガスは通気口又は大気中へ放出され、一定の圧力に保たれているサンプル容量20からのガスが開口部417を通って低圧装置120へ流れる。別の実施形態では、弁411及び413は開いており、圧力が逆流防止弁により設定された値に制限された状態で、供給源2から低圧装置120へガスが常に流れる。
【0049】
図5は、第2の実施形態によるドーズ装置510を備えたシステム100のある実施形態を示す模式図である。システム100は、概して図1〜4に示す実施形態に似ており、ドーズ装置510は、以下に詳細に説明する部分を除いて概してドーズ装置110及び410に似ている。ここで、図1〜5に示す各実施形態の記載において、可能な場合は、同様の要素は同一の参照番号で示す。
【0050】
ドーズ装置510は、サンプル容量20が大気圧よりも低く排気されるよう構成されている。図5に示す実施形態において、ドーズ装置510は、第2の粗引きポンプ527と圧力解放装置又は逆流防止弁515とを備えている。この実施形態において、逆流防止弁515の上流の圧力は、粗引きポンプ527によって1気圧よりも低く保たれている。したがって、この実施形態では、サンプル容量20の圧力は、図4に示す実施形態における圧力よりもはるかに低い圧力で、ほぼ一定に保たれている。図5に示す実施形態の別の実施形態では、図示しないが、低圧装置120は低圧装置220であり、粗引きポンプ537と粗引きポンプ225は同じポンプである。
【0051】
図6は、第3の実施形態によるドーズ装置610を備えたシステム100のある実施形態を示す模式図である。システム100は、概して図1〜5に示す実施形態に似ており、ドーズ装置610は、以下に詳細に説明する部分を除いて概してドーズ装置110、410及び510に似ている。ここで、図1〜6に示す各実施形態の記載において、可能な場合は、同様の要素は同一の参照番号で示す。
【0052】
図6は、開口部417付近のドーズ装置610の詳細を示し、開口部を備えた実施形態のいずれとも組み合わせてもよい。ドーズ装置610は、開口部417の周囲にバイパス管601を備え、前記バイパス管は弁603を有する。弁603は、例えば操作システム130によって動作し、ガスがサンプル容量20から低圧装置220又は320に向けて分岐するように制御する。弁603は、好ましくは開閉バルブであり、サンプル容量20の浄化、つまり汲み出しにより背景スペクトルを得るか、又は前のガスを除くことを可能にする。
【0053】
図7は、第4の実施形態によるドーズ装置710を備えたシステム100のある実施形態を示す模式図である。システム100は、概して図1〜6に示す実施形態に似ており、ドーズ装置710は、以下に詳細に説明する部分を除いて概してドーズ装置110、410、510及び610に似ている。ここで、図1〜7に示す各実施形態の記載において、可能な場合は、同様の要素は同一の参照番号で示す。
【0054】
図7は、逆流防止弁515付近のドーズ装置710の詳細を示し、逆流防止弁を備えた実施形態のいずれとも組み合わせてもよい。ドーズ装置710は逆流防止弁415の周囲にバイパス管701を備え、前記バイパス管は弁703を有する。弁703は、例えば操作システム130によって動作し、逆流防止弁415付近でガスの分流を制御するように動作する。弁415により、粗引きポンプ537を用いてサンプル容量20を低真空圧まで排気することが可能になる。
【0055】
図8は、低圧装置320に接続した第5の実施形態のドーズ装置810を備えたシステム800のある実施形態を示す模式図である。システム800は、概してシステム100に似ており、ドーズ装置810は、以下に詳細に説明する部分を除いて概してドーズ装置110、410、510、610及び710に似ている。ここで、図1〜8に示す各実施形態の記載において、可能な場合は、同様の要素は同一の参照番号で示す。
【0056】
ドーズ装置810は逆流防止弁801を備えており、サンプル容量20の最大圧力の選択を可能にする。一実施形態において、逆流防止弁801はスウェージロックCAシリーズ逆流防止弁であり、約0.01MPaから約4MPaの圧力に設定してもよい。
【0057】
一実施形態において、サンプル容量20の容量は、ドーズ容量10の容量の3倍よりも大きい。ドーズ装置810をガスが流れる際に容量がこのように増加すると、ドーズ装置がガス供給モードで動作するときの圧力は低下する。
【0058】
図9A〜9Fは、それぞれシステム800−A、800−B、800−C、800−D、800−E、及び800−Fとして示すドーズ装置810の弁構成を備えたシステム800を示す模式図である。図9A〜9Fは、弁411、413及び618の異なる設定をそれぞれ示す。弁411、413及び618は、各々の両端の通路を接続し、該通路を流体的に接続する「開」と、該通路を流体的に分離する「閉」との2つの状態をとる。図9Aは第1の弁構成、図9Bは第2の弁構成、図9Cは第3の弁構成、図9Dは第4の弁構成、図9Eは第5の弁構成、図9Fは第6の弁構成を示し、図9Aは第1の弁構成、図9Bは第2の弁構成、図9Cは第3の弁構成、図9Dは第4の弁構成、図9Eは第5の弁構成、図9Fは第6の弁構成を示す。開状態の弁は、直線が貫通しており、411−O、413−O、又は618−Oのように、接尾語“−O”を参照番号に追加して示される。閉状態の弁は、“X”で示され、411−C、413−C、又は618−Cのように、接尾語“−C”を参照番号に追加して示される。
【0059】
図9Aに示す第1の弁構成において、システム800は構成800−Aとして示され、弁411は開、弁413は閉、弁618は閉の状態にある。システム800−Aにおいて、供給源2とドーズ容量10の間及びサンプル容量20と低圧装置320の間は、開口部417を介して流体的に連通している。
【0060】
図9Bに示す第2の弁構成において、システム800は構成800−Bとして示され、弁411は閉、弁413は開、弁618は閉の状態にある。弁設定のこのような構成により、ドーズ容量10、サンプル容量20及び低圧装置320間が開口部417を通じて流体的に連通される。
【0061】
図9Cに示す第3の弁構成において、システム800は構成800−Cとして示され、弁411は閉、弁413は閉、弁618は開の状態にある。弁設定のこのような構成により、ドーズ容量10は分離され、サンプル容量20と低圧装置320が開口部417を通じて流体的に連通される。
【0062】
図9Dに示す第4の弁構成において、システム800は構成800−Dとして示され、弁411は閉、弁413は開、弁618は開の状態にある。弁設定のこのような構成により、ドーズ容量10、サンプル容量20及び低圧装置320間が開口部417を通じて流体的に連通される。
【0063】
図9Eに示す第5の弁構成において、システム800は構成800−Eとして示され、弁411は開、弁413は開、弁618は開の状態にある。弁設定のこのような構成により、供給源2、ドーズ容量10、サンプル容量20及び低圧装置320間が開口部417を通じて流体的に連通される。
【0064】
図9Fに示す第6の弁構成において、システム800は構成800−Fとして示され、弁411は開、弁413は開、弁618は閉の状態にある。弁設定のこのような構成により、供給源2、ドーズ容量10、サンプル容量20及び低圧装置320間が開口部417を通じて流体的に連通される。
【0065】
システム800を用いて供給源2から低圧装置320へガスを供給するためのガス供給・保持動作には、いくつかの方法がある。例えば、これらに限定するものではないが、主ガス等に含まれる、又は、サンプルからの脱着や、燃料電池、化学反応、システムの燃焼、又は処理材料等の利用により単独で発生する、供給源2からの残留ガスを測定するためにシステム800を用いる例として、いくつかの方法について説明する。以下の方法は、低圧装置の動作の限界に対応する連続的な弁の開閉を含む。
【0066】
(管洗浄)
一実施形態において、ドーズ装置810は、ドーズ容量10とサンプル容量20とを背景圧力レベルまで排気することによりガス管を洗浄するために用いられる。この動作モードは、一般にはサンプルガスを低圧装置320へ供給する前に行うことが好ましい。管洗浄は、弁411を閉じ、弁413及び618を開いた状態(構成800−D)で行われ、低圧装置320におけるポンプを用いて所望の圧力を得る。
【0067】
(低圧ガスサンプリング)
別の実施形態において、ドーズ装置810は、低圧ガスサンプリングに用いられる。低圧装置320の構成要素を損傷する程度まで供給源2の圧力が高くならないことがシステム800の使用者に明らかな場合は、供給源から低圧装置へ直接サンプルを供給するためにドーズ装置810を用いることができる。この動作モードでは、弁413及び618は閉じ、弁411は開き(構成800−A)、次に弁413が開き(構成800−F)、その後開口部417を迂回して弁618が開く(構成800−E)。供給源2の圧力は、低圧装置320へ供給された圧力と同じである。
【0068】
(高圧ガスサンプリング)
一実施形態において、ドーズ装置810は、低圧装置320へ供給するガスの圧力を制限するように動作する。したがって、例えば、供給源2の圧力が高すぎて低圧装置320を安全に駆動できない、又は、そうでなければ低圧装置へ供給されている最中のガスの圧力を制限することが有用な場合は、サンプル容量20の最大圧力は逆流防止弁815により設定される。
【0069】
高圧でサンプリングする方法の一例として、逆流防止弁815は3×10Paで開くよう設定され、開口部417の直径は3.0μmであり、容量比V20:V10は3:1である。まず、図8に示すように、システム800は、弁411、413、及び618が閉じているよう構成される。次いで、弁411が数秒間開き(構成800−A)、高圧のサンプルがドーズ容量10に供給され、次に、弁411は再び閉じ、サンプルを遮断する。ドーズ容量10の容量が実質的に供給源2の容量よりも小さければ、供給ガスは、供給源内のガスの圧力を実質的に変更することなくサンプリングされる。供給源の圧力の変化を小さく保つことは、固形物質のサンプルから脱着したガスの定量的容量測定において実質的に有用である。
【0070】
次に、弁413が開き(構成800−B)、ドーズ容量10からサンプル容量20までガスが行き渡り、開口部417を通って低圧装置320へも流れ込む。サンプル容量20の圧力が逆流防止弁の設定圧力を超えた場合は、一部のガスが排出される。残りのガスは、サンプル容量20から開口部417を通ってRGA221に流れ込む。一実施形態において、RGA221は、システム800が構成800−Bに設定された後、数秒間サンプルを走査する。
【0071】
逆流防止弁815が開く値よりも高い圧力でかつ同じ温度でRGA221へ供給されたガスは、同じモル量のガスを含む。この特徴は、サンプル毎の組成を比較することによる分析に用いられる。
【0072】
1よりも大きい容量比V20:V10で、ドーズ容量10からサンプル容量20へ供給されたガスは膨張し、圧力は低下する。別の実施形態において、容量V20はV10よりも小さく(比V20:V10は1よりも小さい)、逆流防止弁815は、供給源2の動作圧力内で常に排気する圧力で開くよう設定される。したがって、例えば、水素を生じる改質工程又は石油化学ガス工程等の工程では、圧力は大きく変化するか又は増減する。この装置は、供給源の圧力とは関係なく、常に同じモル数のガスサンプルをRGAへ供給することができ、増減する連続した工程においてに比較により組成分析を良好に行うことが可能になる。
【0073】
(サンプル減圧)
さらに別の実施形態において、ドーズ装置810は入口101を真空状態にするために用いられる。サンプルを真空状態にする方法としては、まず、弁411、413及び618を閉じ、弁411を開き(構成800−A)、次に弁413を開き(構成800−F)、続いて弁618を開く(構成800−E)。これによって、圧力の低下や制限なく、RGA221を用いて供給源2からのガスを直接分析することができる。
【0074】
(連続的高圧ガスサンプリング)
一実施形態において、ドーズ装置810は、ガスのサンプルを連続して低圧装置320へ供給するために用いられる。ガスを連続的にサンプリングする方法としては、例えば、弁411及び413を開き、弁618を閉じる(構成800−F)。ガスは、供給源2から開口部417を通って低圧装置320へ流れる。サンプル容量20の圧力が高すぎる場合は、逆流防止弁815により制限される。
【0075】
供給源2に接続し、熱によりガスを脱着する物質を加熱すると、構成800―Fにおいて、昇温脱離測定が可能になる。供給源2から発生したそれぞれのガスの濃度の変化は、時間関数及び/又は供給源の温度としてRGA221で測定される。
【0076】
(例)
システム800は、昇温脱離中、ガスの変化のRGA質量スペクトルを得るために用いられた。供給源2は、13.2mlの容量に封入された、0.185グラムのLiH、0.537グラムのMg、0.592グラムのAl、1.033グラムのLiNH2、及び0.12グラムのTiF3のサンプルを有していた。供給源2は、108分間、96℃から300℃まで加熱された。逆流防止弁815は、サンプル容量20の圧力を3.71×10Paへ制限した。システム800は、比較的一定の圧力のサンプル容量圧力を保持しつつ、比較的大きいサンプルのガス脱着を測定するために用いられた。
【0077】
図10A、10B及び10Cは上記昇温脱離の結果を示し、図10Aは1回目のスペクトルを示し、図10Bは2回目のスペクトルを示し、図10Cは3回目のスペクトルを示す。具体的には、図10Aは時間0の時点の、供給源2の圧力が1.3×10Paで、温度が96℃の場合のスペクトルを示す。図10Bは時間44分の時点の、供給源2の圧力が3.71×10Paで、温度が250℃の場合のスペクトルを示す。図10Cは時間108分の時点の、供給源の圧力が3.60×10Paで、温度が300℃の場合のスペクトルを示す。
【0078】
図10A〜10Cにより、サンプルから脱着した水素及びアンモニアの量と、14AMU(原子質量単位)にピークが見られる、水があるときの上記アンモニアの増加量と、15、16、17AMUにおけるピーク強度の変化と、18AMUでのピーク強度の低下とが分かる。サンプルを取り囲み、開口部まで満たされたガスの圧力を同時に測定することにより、サンプルが水素や他のガスを脱着するとき、圧力は温度に伴って増加することが分かった。44分の時点で(図10B)、圧力は弁815の半固定リリーフ圧力である3.71×10Paに達する。ガスがサンプルから連続して脱着する際、プレッシャー解放弁815を通って解放することにより、サンプル2の圧力は約3.71×10Paの一定の値に保たれた。これによって、新しく脱着したガスが開口部に到達し、RGAで測定されることが可能になり、また、サンプル2の圧力がドーズ装置810により調節されることも可能になる。
【0079】
本明細書を通して、「特定の実施形態(certain embodiments)」、「一実施形態(one embodiment)」、「ある実施形態(an embodiment)」は、実施形態と関連付けて述べた個々の特徴、構成、特色が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれていることを意味する。したがって、本明細書の様々な場所で用いられる「特定の実施形態において(in a certain embodiment)」、「一実施形態において(in one embodiment)」、「ある実施形態において(in an embodiment)」は、必ずしも全てが同一の実施形態に言及するわけではない。さらに、個々の特徴、構成、特色は、1又は複数の実施形態において、当業者には明らかな適切な方法で組み合わせてもよい。
【0080】
同様に、上記の例としての発明の実施形態の説明において、本発明の様々な特徴は、開示を簡潔にしたり、1つ又は複数の様々な発明の態様を理解しやすくする目的で、単一の実施形態、図、又はその説明にまとめられる場合もある。しかし、この開示の方法により、請求された発明が各請求項に明確に記載するものよりも多くの特徴を有するという意図を反映しているわけではない。むしろ、請求項が示すように、発明の態様は、開示された単一の実施形態における全ての特徴の範囲内である。
【0081】
したがって、発明の好ましい実施形態として記載されているが、当業者であれば、本発明の精神から逸脱することなく他の更なる変更が可能であることが理解でき、そのような修正や変更は全て発明の範囲内に包含されるよう請求される。例えば、上述の組成は、単に使用される方法の典型的な例である。ブロック図において機能が追加又は削除されてもよいし、各機能ブロック間で動作が交換されてもよい。本発明の範囲内で、開示された方法に工程を追加してもよいし、削除してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】図1は、ドーズ装置を備えた第1の実施形態によるシステムの概略図である。
【図2】図2は、ドーズ装置を備えた第2の実施形態によるシステムの概略図である。
【図3】図3は、図2のシステムの別の実施形態を示す概略図である。
【図4】図4は、第1の実施形態によるドーズ装置を示す図である。
【図5】図5は、第2の実施形態によるドーズ装置を示す図である。
【図6】図6は、第3の実施形態によるドーズ装置を示す図である。
【図7】図7は、第4の実施形態によるドーズ装置を示す図である。
【図8】図8は、第5の実施形態によるドーズ装置を示す図である。
【図9A】図9Aは、図8のシステムにおける異なるドーズ装置の弁構成を示す概略図であり、第1の弁構成を示す。
【図9B】図9Bは、図8のシステムにおける異なるドーズ装置の弁構成を示す概略図であり、第2の弁構成を示す。
【図9C】図9Cは、図8のシステムにおける異なるドーズ装置の弁構成を示す概略図であり、第3の弁構成を示す。
【図9D】図9Dは、図8のシステムにおける異なるドーズ装置の弁構成を示す概略図であり、第4の弁構成を示す。
【図9E】図9Eは、図8のシステムにおける異なるドーズ装置の弁構成を示す概略図であり、第5の弁構成を示す。
【図9F】図9Fは、図8のシステムにおける異なるドーズ装置の弁構成を示す概略図であり、第6の弁構成を示す。
【図10A】図10Aは、昇温脱離中に得られるRGAスペクトラムを示す図であり、1回目のスペクトラムを示す。
【図10B】図10Bは、昇温脱離中に得られるRGAスペクトラムを示す図であり、2回目のスペクトラムを示す。
【図10C】図10Cは、昇温脱離中に得られるRGAスペクトラムを示す図であり、3回目のスペクトラムを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給源から低圧装置へガスを供給する装置であって、
前記供給源からガスが流れ込む入口と、出口と、1又は複数の通路内のガスの圧力を第1の圧力よりも低くなるように制限する圧力解放装置と、前記入口と前記出口の間に設けられた少なくとも1つの制流装置とを接続する、前記1又は複数の通路を有するドーズ装置と、
前記出口からのガスの少なくとも一部が流れ込む、ガス分析装置又は工程とを備える、ことを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、
前記第1の圧力は約0.001MPaから約50MPaの範囲である、ことを特徴とする装置。
【請求項3】
上記請求項のいずれかに記載の装置において、
前記入口には約10−7Torr(10−5Pa)から約500bar(50MPa)の圧力のガスが流れ込む、ことを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置において、
前記出口の圧力は約10−4Torr(10−2Pa)から約10−10Torr(10−8Pa)である、ことを特徴とする装置。
【請求項5】
上記請求項のいずれかに記載の装置において、
前記ドーズ装置は、前記入口からのガスが入る第1の容量と、前記出口へガスを供給する第2の容量とを有し、前記圧力解放装置は前記第2の容量の圧力を制限する、ことを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置において、
前記第2の容量における第1の圧力は約0.001MPaから約50MPaの範囲である、ことを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項5に記載の装置において、
前記制流装置は前記第2の容量と前記出口の間に設けられている、ことを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項7に記載の装置において、
前記制流装置は直径が約0.1μmから約10μmの開口部を有する、ことを特徴とする装置。
【請求項9】
上記請求項のいずれかに記載の装置において、
前記ガス分析装置又は工程は残留ガス分析装置を有する、ことを特徴とする装置。
【請求項10】
上記請求項のいずれかに記載の装置において、
前記ガス分析装置又は工程は質量分析装置を有する、ことを特徴とする装置。
【請求項11】
上記請求項のいずれかに記載の装置において、
前記ガス分析装置又は工程はガスクロマトグラフを有する、ことを特徴とする装置。
【請求項12】
上記請求項のいずれかに記載の装置において、
前記ドーズ装置は、ガスの連続したサンプルを前記ガス分析装置又は工程に供給する、ことを特徴とする装置。
【請求項13】
上記請求項のいずれかに記載の装置において、
不連続なガスのサンプルを前記ガス分析装置又は工程に供給するように動作可能な、1又は複数の弁をさらに備える、ことを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項13に記載の装置において、
供給源ガスの圧力が前記圧力解放圧力よりも高い場合、それぞれの不連続なサンプルはほぼ同じモル数のガスを有する、ことを特徴とする装置。
【請求項15】
請求項13に記載の装置において、
連続したガスのサンプルを前記ガス分析装置又は工程に供給するように動作可能な、1又は複数の弁をさらに備える、ことを特徴とする装置。
【請求項16】
上記請求項のいずれかに記載の装置において、
前記供給源は工程である、ことを特徴とする装置。
【請求項17】
上記請求項のいずれかに記載の装置において、
前記供給源は分析機器である、ことを特徴とする装置。
【請求項18】
供給源から低圧装置へガスを供給する装置であって、
前記供給源からのガスが流れ込む入口と、出口と、前記供給源からガスが入る第1の容量と前記第1の容量からガスが入る第2の容量とを構成するように動作する1又は複数の弁と、前記第2の容量と前記出口の間に設けられた少なくとも1つの制流装置とを接続する1又は複数の通路を有するドーズ装置と、
前記出口からのガスの少なくとも一部が供給されるガス分析装置又は工程とを備える、ことを特徴とする装置。
【請求項19】
請求項18に記載の装置において、
前記第1の容量は前記第2の容量よりも小さい、ことを特徴とする装置。
【請求項20】
請求項18に記載の装置において、
前記第1の容量は前記第2の容量以上である、ことを特徴とする装置。
【請求項21】
請求項18〜20のうちのいずれか1項に記載の装置において、
前記入口には、約10−7Torr(10−5Pa)から約500bar(50MPa)の圧力のガスが流れ込む、ことを特徴とする装置。
【請求項22】
請求項21に記載の装置において、
前記出口の圧力は約10−4Torr(10−2Pa)から約10−10Torr(10−8Pa)である、ことを特徴とする装置。
【請求項23】
請求項18〜22のうちのいずれか1項に記載の装置において、
前記ドーズ装置は、前記第2の容量内のガスの圧力を最大圧力に制限する圧力解放装置を有する、ことを特徴とする装置。
【請求項24】
請求項23に記載の装置において、
前記圧力解放装置は、前記第2の容量内の圧力を約0.001MPaから約50MPaの範囲の圧力よりも低くなるように制限する、ことを特徴とする装置。
【請求項25】
請求項18〜24のうちのいずれか1項に記載の装置において、
前記制流装置は直径が約0.1μmから約10μmの開口部を有する、ことを特徴とする装置。
【請求項26】
請求項18〜25のうちのいずれか1項に記載の装置において、
前記ガス分析装置又は工程は残留ガス分析装置を有する、ことを特徴とする装置。
【請求項27】
請求項18〜26のうちのいずれか1項に記載の装置において、
前記ガス分析装置又は工程は質量分析装置を有する、ことを特徴とする装置。
【請求項28】
請求項18〜27のうちのいずれか1項に記載の装置において、
前記ガス分析装置又は工程はガスクロマトグラフを有する、ことを特徴とする装置。
【請求項29】
請求項18〜28のうちのいずれか1項に記載の装置において、
前記ドーズ装置は、ガスの連続したサンプルを前記ガス分析装置又は工程に供給する、ことを特徴とする装置。
【請求項30】
請求項18〜29のうちのいずれか1項に記載の装置において、
前記ドーズ装置は、不連続なガスのサンプルを前記ガス分析装置又は工程に供給する、ことを特徴とする装置。
【請求項31】
請求項18〜30のうちのいずれか1項に記載の装置において、
供給源ガスの圧力が前記圧力解放圧力よりも高い場合、それぞれの不連続なサンプルはほぼ同じモル数のガスを有する、ことを特徴とする装置。
【請求項32】
請求項18〜31のうちのいずれか1項に記載の装置において、
前記供給源は工程である、ことを特徴とする装置。
【請求項33】
請求項18〜32のうちのいずれか1項に記載の装置において、
前記供給源は分析機器である、ことを特徴とする装置。
【請求項34】
実質的に図示され、説明された装置。
【請求項35】
固定のモル数を有するドーズ量のガスを供給する方法であり、
1気圧よりも高い第1の圧力よりも高い圧力の供給源から容量へガスを流す工程と、
前記ガスが流れ込んだ容量を、前記供給源から分離する工程と、
前記分離した容量を排気し、前記容量の圧力を前記第1の圧力まで下げる工程と、
上記工程の後、容量に残留しているガスを低圧装置へ供給する工程と、を備える、ことを特徴とする方法。
【請求項36】
請求項35に記載の装置において、
前記第1の圧力は1気圧よりも高い、ことを特徴とする装置。
【請求項37】
請求項35に記載の装置において、
前記第1の圧力は1気圧以下である、ことを特徴とする装置。
【請求項38】
請求項35に記載の装置において、
前記供給源ガスは工程によって供給される、ことを特徴とする装置。
【請求項39】
請求項35に記載の装置において、
前記供給源ガスは分析機器によって供給される、ことを特徴とする装置。
【請求項40】
請求項35に記載の装置において、
前記低圧装置は分析機器を有する、ことを特徴とする装置。
【請求項41】
請求項35に記載の装置において、
前記低圧装置は工程を有する、ことを特徴とする装置。
【請求項42】
実質的に図示され、説明された方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図9E】
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【図9F】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【公表番号】特表2009−524022(P2009−524022A)
【公表日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−550517(P2008−550517)
【出願日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際出願番号】PCT/US2007/060384
【国際公開番号】WO2007/082265
【国際公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(508108604)ハイ−エナジー エルエルシー (5)
【氏名又は名称原語表記】HY−ENERGY LLC
【住所又は居所原語表記】8440 Central Avenue,Suite 2B Newark,CA 94560 USA
【Fターム(参考)】