説明

低屈折率層形成用硬化性組成物

【課題】屈折率が低く、優れた耐擦傷性、防汚性のみでなく、優れた耐摩耗性をも同時に有する硬化膜を与える硬化性組成物を提供する。
【解決手段】
(A)下記一般式(1)で示される化合物


[R11=炭素数1〜3のアルキル基、R12=置換基を有していてもよい2価の脂肪族基、脂環族基又は芳香族基、R13=単結合、メチレン基又はエチレン基、R14及びR15=フッ化メチレン基又は炭素数2〜4のパーフルオロアルキレン基、R17=(メタ)アクリロイル基を有する基、R18=ヘテロ原子を含んでいてもよいP+1価の有機基、m=10〜100、n=5〜50、P=1又は2]、及び、(B)エチレン性不飽和基を2個以上含有しフッ素含量が20質量%以上の、(A)以外の化合物を含有する低屈折率層形成用硬化性組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低屈折率層形成用硬化性組成物に関する。さらに詳しくは、特定の構造を有するスリップ剤を含有する低屈折率層形成用硬化性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プラスチック(ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリオレフィン、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、ノルボルネン系樹脂等)、金属、木材、紙、ガラス、スレート等の各種基材表面の傷付き(擦傷)防止や汚染防止のための保護コ−ティング材及び反射防止膜用コート材として、優れた塗工性を有し、かつ各種基材の表面に、硬度、耐擦傷性、防汚性、耐摩耗性、表面滑り性、低カール性、密着性、透明性、耐薬品性及び塗膜面の外観のいずれにも優れた硬化膜を形成し得る硬化性組成物が要請されている。
【0003】
このような要請を満たすため、種々の組成物が提案されているが、硬化性組成物として優れた塗工性を有し、硬化膜とした場合に、高硬度及び耐擦傷性を有し、透明性に優れ、さらに防汚性にも優れるという特性を備えたものはまだ得られていないのが現状である。
防汚性を付与する方法として、例えば、特許文献1に、(メタ)アクリロイル基を有するポリシロキサンを配合した硬化性組成物記載されているが、油性マーカーの拭き取り性の観点からはさらに改良の余地があった。
【0004】
特許文献2は、反射防止膜表面の滑り性を改善でき、かつ非フッ素系の汎用溶剤に可溶で、薄膜形成の容易な反射防止膜形成用組成物を開示している。この反射防止膜形成用組成物は、反応性表面改質剤(I)及び反射防止膜材料(II)からなる組成物であって、そのうち、反応性表面改質剤(I)が、(A)ジイソシアネートを3量体化させたトリイソシアネートと(B)少なくとも2種の活性水素含有化合物との反応生成物からなる反応性基含有組成物であり、成分(B)が、(B−1)少なくとも1つの活性水素を有するパーフルオロポリエーテル、及び(B−2)活性水素と自己架橋性官能基を有するモノマーを含んでなる組成物からなっている。このような反応性表面改質剤(I)を添加することにより、反射防止膜の表面性状、特に表面滑り性(低摩擦係数化)、表面硬度、耐磨耗性、耐薬品性、汚染拭き取り性、撥水性、撥油性、耐溶剤性等を改善し、本来の塗膜の表面に改質された表面性状を付与することができると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−36018号公報
【特許文献2】特開2006−37024号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の反射防止膜形成用組成物では、耐摩耗性が十分ではなく、さらに耐擦傷性、防汚性についてもさらなる改良が必要であった。
本発明は上述の問題に鑑みなされたものであり、屈折率が低く、優れた耐擦傷性、防汚性のみでなく、優れた耐摩耗性をも同時に有する硬化膜を与える硬化性組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため本発明者らは鋭意研究を行い、得られる硬化膜のマトリクスを形成する(メタ)アクリロイル基を有する化合物、滑り性を改善するための含フッ素化合物及び/又は硬度を改善するための中空シリカ粒子を含有する低屈折率層形成用硬化性組成物に、分子内にパーフルオロポリエーテル基及びジアルキルシロキサン基を有する化合物を配合することにより、上記目的を達成しうることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
即ち、本発明は下記の低屈折率層形成用硬化性組成物、硬化膜及び反射防止膜を提供する。
1.下記成分(A)及び(B)を含有する低屈折率層形成用硬化性組成物。(A)下記一般式(A−1)で示される化合物
【化1】

[式(1)中、R11はそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基であり、R12は置換基を有していてもよい2価の脂肪族基、脂環族基又は芳香族基であり、R13はそれぞれ独立に単結合、メチレン基又はエチレン基であり、R14及びR15はそれぞれ独立にフッ化メチレン基又は炭素数2〜4のパーフルオロアルキレン基であり、R17は(メタ)アクリロイル基を有する基であり、R18はヘテロ原子を含んでいてもよいp+1価の有機基であり、mは10〜100の整数であり、nは5〜50の整数であり、pは1又は2である。]
(B)エチレン性不飽和基を2個以上含有しフッ素含量が20質量%以上の、前記(A)以外の化合物
2.下記成分(A)と、成分(B)及び(C)からなる群から選ばれる少なくとも1種と、成分(D)とを含有する低屈折率層形成用硬化性組成物。(A)下記一般式(A−1)で示される化合物、
【化2】

[式(1)中、R11はそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基であり、R12は置換基を有していてもよい2価の脂肪族基、脂環族基又は芳香族基であり、R13はそれぞれ独立に単結合、メチレン基又はエチレン基であり、R14及びR15はそれぞれ独立にフッ化メチレン又は炭素数2〜4のパーフルオロアルキレン基であり、R17は(メタ)アクリロイル基を有する基であり、R18はヘテロ原子を含んでいてもよいp+1価の有機基であり、mは10〜100の整数であり、nは5〜50の整数であり、pは1又は2である。]
(B)エチレン性不飽和基を2個以上含有しフッ素含量が20質量%以上の、前記(A)以外の化合物
(C)エチレン性不飽和基を2個以上有しフッ素を含まない化合物
(D)空洞を有するシリカ粒子
3.前記(B)が、エチレン性不飽和基を2個以上含有し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した数平均分子量が5000以上であり、フッ素含量が30質量%以上の重合体を含有する上記1又は2に記載の低屈折率層形成用硬化性組成物。4.上記成分(A)の配合量が、溶剤を除く成分の合計を100質量%としたとき、1〜10質量%である上記1〜3のいずれかに記載の低屈折率層形成用硬化性組成物。5.上記1〜4のいずれかに記載の低屈折率層形成用硬化性組成物を硬化させてなる硬化膜。6.上記5に記載の硬化膜を低屈折率層として含む反射防止膜。
【発明の効果】
【0009】
本発明の低屈折率層形成用硬化性組成物は、屈折率が低く、優れた耐擦傷性、防汚性のみでなく、優れた耐摩耗性をも同時に有する硬化膜を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】化合物1のIRチャートである。
【図2】化合物1のH NMRチャートである。
【図3】化合物1の13C{H} NMRチャートである。
【図4】化合物2のIRチャートである。
【図5】化合物2のH NMRチャートである。
【図6】化合物2の13C{H} NMRチャートである。
【図7】化合物3のIRチャートである。
【図8】化合物3のH NMRチャートである。
【図9】化合物3の13C{H} NMRチャートである。
【図10】化合物4のIRチャートである。
【図11】化合物4のH NMRチャートである。
【図12】化合物4の13C{H} NMRチャートである。
【図13】化合物5のIRチャートである。
【図14】化合物5のH NMRチャートである。
【図15】化合物5の13C{H} NMRチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の低屈折率層形成用硬化性組成物及びそれを硬化してなる硬化膜について具体的に説明する。
【0012】
I.低屈折率層形成用硬化性組成物
本発明の低屈折率層形成用硬化性組成物(以下、本発明の組成物という)は、(A)パーフルオロポリエーテル基、ポリジアルキルシロキサン基及び2個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物を含有することを特徴とする。
低屈折率層を形成するための組成物として、空洞を有するシリカ粒子と硬化性成分、又は、フッ素を含有する硬化成分、或いはこれらの両方で形成することができる。
【0013】
従って、本発明の組成物は、具体的には次の構成(態様)を有する。
(1)成分(A)+(B)(実施例1〜9、11〜15に相当)(以下、態様(1)という)
(2)成分(A)+成分(B)及び(C)からなる群から選ばれる少なくとも1種+成分(D)(実施例1〜12に相当)(以下、態様(2)という)
各成分は、以下の通りである。
(A)パーフルオロポリエーテル基、ポリジアルキルシロキサン基及び2個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物
(B)エチレン性不飽和基を2個以上含有しフッ素含量が20質量%以上の、前記(A)以外の化合物
(C)(メタ)アクリロイル基を2個以上含有するフッ素を含有しない化合物
(D)空洞を有するシリカ粒子
【0014】
本発明の組成物は、上記成分(A)〜(D)の他、さらに目的に応じて下記成分(E)〜(H)を含み得る。
(E)ラジカル重合開始剤
(F)有機溶剤
(G)中実シリカ粒子
(H)添加剤
以下、各成分について説明するが、先ず本発明の特徴である成分(A)について説明した後、残りの成分を順次説明する。
【0015】
(A)パーフルオロポリエーテル基、ポリジアルキルシロキサン基及び2個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物
本発明の組成物における成分(A)は、パーフルオロポリエーテル基、ポリジアルキルシロキサン基及び2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物である。成分(A)を配合することにより、得られる硬化膜の耐擦傷性、防汚性、さらに耐摩耗性を改善することができる。
【0016】
成分(A)は、パーフルオロポリエーテル基、ポリジアルキルシロキサン基及び2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物であれば特に限定されないが、下記一般式(1)で示される構造を有するものであることが好ましい。
【化3】

【0017】
[式(1)中、R11はそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基であり、R12は置換基を有していてもよい2価の脂肪族基、脂環族基又は芳香族基であり、R13はそれぞれ独立に単結合、メチレン基又はエチレン基であり、R14及びR15はそれぞれ独立にフッ化メチレン基又は炭素数2〜4のパーフルオロアルキレン基であり、R17は(メタ)アクリロイル基を有する基であり、R18はヘテロ原子を含んでいてもよい3価の有機基であり、mは10〜100の整数であり、nは5〜50の整数である。]
【0018】
11はそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基であり、メチル基であることが好ましい。
mは10〜100の整数であり、好ましくは10〜80の整数である。mが10より小さいと、塗膜を形成した際に十分な耐擦傷性が得られないおそれがあり、100より大きいと、溶剤への溶解性が損なわれるおそれがある。
nは5〜50の整数であり、好ましくは10〜30の整数である。nが5より小さいと、十分な防汚性能が得られないおそれがあり、50より大きいと、溶剤への溶解性が損なわれるおそれがある。
13はそれぞれ独立に単結合、メチレン基又はエチレン基である。
14及びR15はそれぞれ独立にフッ化メチレン基又は炭素数2〜4のパーフルオロアルキレン基であり、好ましくは、パーフルオロエチレン基、パーフルオロプロピレン基である。
17は、(メタ)アクリロイル基を有する基であり、好ましくは、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する基であり、より具体的には、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート又はトリペンタエリスリトールヘプタアクリレート等から水酸基を除いた構造に由来する基である。
【0019】
pは1又は2である。R18はヘテロ原子を含んでいてもよいp+1価の有機基であり、具体的には、ジイソシアネート化合物又はトリイソシアネート化合物のイソシアネート基を除いた構造に由来する基である。
【0020】
成分(A)の化合物の質量平均分子量は、通常2,500〜10,000の範囲内であり、2,500〜9,000の範囲内であることが好ましい。ここで、分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフ法によって測定する。
【0021】
成分(A)の化合物は、例えば下記(a)〜(d)の製造工程を経ることで製造することができる。
(a)下記一般式(Aa)
【化4】

[式(Aa)中、R及びmは式(1)で定義した通りである。]で示されるポリジアルキルシロキサンモノアルコールと、下記(Ab)で示されるジイソシアネート化合物
OCN−R12−NCO (Ab)
[式(Ab)中、R12は式(1)で定義した通りである。]
とを反応させる工程。
(b)上記(a)で得られた化合物と下記一般式(Ac)
HO−R13−R14−O−(R15O)−R14−R13−OH (Ac)
[式(Ac)中、R13、R14、R15及びnは式(1)で定義した通りである。]で示されるパーフルオロポリエーテルジオールを反応させる工程。
(c)上記(b)で得られた化合物とジイソシアネート化合物(Ad1)又はトリイソシアネート化合物(Ad2)を反応させる工程。
(d)上記(c)で反応させる化合物がジイソシアネート化合物(Ad1)の場合は、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の、水酸基及び2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物(De1)を、上記(c)で反応させる化合物がトリイソシアネート化合物(Ad2)である場合は、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の、水酸基及1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物(Ae2)を反応させる工程。
【0022】
より具体的には、ポリジメチルシロキサン基を有するアルコール化合物(Aa)をメチルエチルケトン等の溶剤で希釈し、又は無溶剤にて、ジイソシアネート化合物(Ab)と混合する。水浴にて10〜20℃に冷却したのち、ジラウリル酸ジブチル錫等のルイス酸触媒を添加し、15〜30℃で1〜3時間撹拌する。その後水浴にて10〜20℃に冷却し、パーフルオロポリエーテルを有するジオール化合物(Ac)のメチルエチルケトン溶液、又は無溶剤にて添加し、40〜65℃で1〜3時間撹拌する。反応器を水浴にて10〜20℃に冷却し、ジイソシアネート化合物(Ad1)又はトリイソシアネート化合物(Ad2)を添加し、15〜30℃で1〜3時間攪拌する。水浴にて10〜20℃に冷却し、(メタ)アクリロイル基と1つの水酸基を有する化合物(Ae1)又は(Ae2)を混合し、45〜65℃で3〜6時間反応させることで製造することができる。
【0023】
上記一般式(Aa)で示されるポリジアルキルシロキサンモノアルコールとしては、公知の化合物を使用することができ、市販品の例としては、サイラプレーンFM0411(m=10〜15)、FM0421(m=65〜75)(チッソ社製)等が挙げられる。
【0024】
上記一般式(Ab)又は(Ad1)で示されるジイソシアネート化合物としては、脂肪族ジイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられ、脂環族ジイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート等が挙げられ、芳香族ジイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート等が挙げられる。好ましくは、芳香族ジイソシアネートである。(Ab)と(Ad1)は同一の化合物を使用してもよいし、異なる化合物を使用してもよい。
【0025】
上記一般式(Ac)で示されるパーフルオロポリエーテルジオールとしては、パーフルオロポリアルキレンオキシドの両末端に水酸基を有する化合物であれば特に限定されないが、パーフルオロポリエチレンオキシドの末端ジオール化合物、パーフルオロポリプロピレンオキシドの末端ジオール化合物が好ましい。
また、上記一般式(Ac)で示されるパーフルオロポリエーテルジオールの市販品の例としては、Fluorolink D10H、Fluorolink D10H(ソルベイソレクシス社製)等が挙げられる。
【0026】
上記(Ad2)のトリイソシアネート化合物としては、リジンエステルトリイソシアネート、1,4,8−トリイソジアネートオクタン、1,6,11−トリイソシアネートウンデカン、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−トリイソシアネートへキサン、2,5,7−トリメチル−1,8−ジイソシアネート−5−イソシアネートメチルオクタン、1,3,5−トリイソシアネートシクロヘキサン、1,3,5−トリメチルイソシアネートシクロヘキサン、2−(3−イソシアネートプロピル)−2,5−ジ(イソシアネートメチル)−ビシクロ(2,2,1)ヘプタン、2−(3−イソシアネートプロピル)−2,6−ジ(イソシアネートメチル)−ビシクロ(2,2,1)ヘプタン、3−(3−イソシアネートプロピル)−2,5−ジ(イソシアネートメチル)−ビシクロ(2,2,1)ヘプタン、5−(2−イソシアネートエチル)−2−イソシアネートメチル−3−(3−イソシアネートプロピル)−ビシクロ(2,2,1)ヘプタン、6−(2−イソシアネートエチル)−2−イソシアネートメチル−3−(3−イソシアネートプロピル)−ビシクロ(2,2,1)ヘプタン、5−(2−イソシアネートエチル)−2−イソシアネートメチル−2−(3−イソシアネートプロピル)−ビシクロ(2,2,1)−ヘプタン、6−(2−イソシアネートエチル)−2−イソシアネートメチル−2−(3−イソシアネートプロピル)−ビシクロ(2,2,1)ヘプタン、トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアネートメチルベンゼン、トリス(イソシアネートアルキル)イソシアヌレート等が挙げられる。
【0027】
本発明の組成物中における成分(A)の配合量は、溶剤を除く成分の合計を100質量%としたときに、通常1〜10質量%の範囲内、好ましくは3〜7質量%の範囲内である。1質量%未満であると、耐擦傷性や防汚性が低下するおそれがあり、10質量%を超えると、耐摩耗性が低下するおそれがある。
尚、成分(D)空洞を有するシリカ粒子を配合しない場合(上記態様(1)に相当)には、成分(A)の配合量は少な目でよい。
【0028】
(B)エチレン性不飽和基を2個以上含有し、フッ素含量が20質量%以上の、前記(A)以外の化合物
本発明の組成物における成分(B)は、分子内にフッ素原子を有することにより、硬化膜を低屈折率にし、得られる硬化膜の防汚性を向上させることができる。
分子内にラジカル重合可能なエチレン性不飽和基を有していることにより、組成物中の他のラジカル重合性化合物と架橋することができ、より耐擦傷性に優れた硬化膜が得られる。
成分(B)中のフッ素含量が20質量%に満たないと得られる硬化膜の屈折率が高くなるおそれがある。なお、フッ素含量の上限は70質量%である。フッ素含量が70質量%を超えると溶剤に対する溶解性が低下し、組成物の塗布性が悪化するおそれがある。この様な理由で、フッ素含量の上限は60質量%以下であることが好ましい。
成分(B)としては、(B−1)フッ素含有(メタ)アクリルエステル類及び(B−2)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体が挙げられる。
【0029】
(B−1)フッ素含有(メタ)アクリルエステル類
フッ素含有(メタ)アクリルエステル類(B−1)の具体例としては、パーフルオロ−1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリロイルヘプタデカフルオロノネニルペンタエリスリトール、オクタフルオロオクタン−1,6−ジ(メタ)アクリレート、オクタフルオロオクタンジオールと2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルイソシアネート、1,1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートとの付加物等が挙げられる。これらは一種単独又は二種以上の組み合わせで使用することができる。
【0030】
(B−2)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体
エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体(B−2)は、フッ素系オレフィンの重合物である。成分(B−2)により本発明の組成物は反射防止膜用低屈折率材料としての基本性能を発現する。
成分(B−2)は、例えば、水酸基含有含フッ素重合体に、水酸基と反応可能な基及びエチレン性不飽和基を有する化合物を反応させることによって得ることができる。成分(B−2)の添加により、ラジカル重合性(メタ)アクリル化合物と共架橋化することができ、耐擦傷性が向上する。
【0031】
(1)水酸基と反応可能な基及びエチレン性不飽和基を含有する化合物
水酸基と反応可能な基及びエチレン性不飽和基を含有する化合物としては、分子内にエチレン性不飽和基を含有している化合物で、フッ素重合体の水酸基と反応しうる官能基を持っていれば特に制限されるものではない。
また、上記エチレン性不飽和基として、後述する硬化性組成物をより容易に硬化させることができることから、(メタ)アクリロイル基を有する化合物がより好ましい。
このような化合物としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロイルクロライド、無水(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルイソシアネート、1,1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートの一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
尚、イソシアネート基を有する(メタ)アクリレートの市販品としては、例えば昭和電工(株)製 商品名 カレンズMOI、AOI、BEI等が挙げられる。
【0032】
尚、このような化合物は、ジイソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させて合成することもできる。
ジイソシアネートの例としては、2,4−トリレンジイソシアネ−ト、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネア−ト)、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンが好ましい。
【0033】
水酸基含有(メタ)アクリレートの例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートが好ましい。
尚、水酸基含有多官能(メタ)アクリレートの市販品としては、例えば、大阪有機化学(株)製 商品名 HEA、日本化薬(株)製 商品名 KAYARAD DPHA、PET−30、東亞合成(株)製 商品名 アロニックス M−215、M−233、M−305、M−400等として入手することができる。
【0034】
(2)水酸基含有含フッ素重合体
水酸基含有含フッ素重合体は、好ましくは、下記構造単位(a)、(b)及び(c)を含んでなる。
(a)下記式(1)で表される構造単位。
(b)下記式(2)で表される構造単位。
(c)下記式(3)で表される構造単位。
【0035】
【化5】

[式(1)中、R1はフッ素原子、フルオロアルキル基又は−OR2で表される基(R2はアルキル基又はフルオロアルキル基を示す)を示す]
【0036】
【化6】

[式(2)中、R3は水素原子又はメチル基を、R4はアルキル基、−(CH2)x−OR5若しくは−OCOR5で表される基(R5はアルキル基又はグリシジル基を、xは0又は1の数を示す)、カルボキシル基又はアルコキシカルボニル基を示す]
【0037】
【化7】

[式(3)中、R6は水素原子又はメチル基を、R7は水素原子又はヒドロキシアルキル基を、vは0又は1の数を示す]
【0038】
(i)構造単位(a)
上記式(1)において、R1及びR2のフルオロアルキル基としては、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロシクロヘキシル基等の炭素数1〜6のフルオロアルキル基が挙げられる。また、R2のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基が挙げられる。
【0039】
構造単位(a)は、含フッ素ビニル単量体を重合成分として用いることにより導入することができる。このような含フッ素ビニル単量体としては、少なくとも1個の重合性不飽和二重結合と、少なくとも1個のフッ素原子とを有する化合物であれば特に制限されるものではない。このような例としてはテトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、3,3,3−トリフルオロプロピレン等のフルオロレフィン類;アルキルパーフルオロビニルエーテル又はアルコキシアルキルパーフルオロビニルエーテル類;パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)、(プロピルビニルエーテル)、パーフルオロ(ブチルビニルエーテル)、パーフルオロ(イソブチルビニルエーテル)等のパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)類;パーフルオロ(プロポキシプロピルビニルエーテル)等のパーフルオロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)類の一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
これらの中でも、ヘキサフルオロプロピレンとパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)又はパーフルオロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)がより好ましく、これらを組み合わせて用いることがさらに好ましい。
【0040】
尚、構造単位(a)の含有率は、水酸基含有含フッ素重合体中の構造単位(a)〜(c)の合計量を100モル%としたときに、20〜70モル%である。この理由は、含有率が20モル%未満になると、本発明が意図するところの光学的にフッ素含有材料の特徴である、低屈折率の発現が困難となる場合があるためであり、一方、含有率が70モル%を超えると、水酸基含有含フッ素重合体の有機溶剤への溶解性、透明性、又は基材への密着性が低下する場合があるためである。
また、このような理由により、構造単位(a)の含有率を、水酸基含有含フッ素重合体の全体量に対して、25〜65モル%とするのがより好ましく、30〜60モル%とするのがさらに好ましい。
【0041】
(ii)構造単位(b)
式(2)において、R4又はR5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ラウリル基等の炭素数1〜12のアルキル基が挙げられ、アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等が挙げられる。
【0042】
構造単位(b)は、上述の置換基を有するビニル単量体を重合成分として用いることにより導入することができる。このようなビニル単量体の例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、n−ペンチルビニルエーテル、n−ヘキシルビニルエーテル、n−オクチルビニルエーテル、n−ドデシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテルもしくはシクロアルキルビニルエーテル類;エチルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル等のアリルエーテル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ステアリン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(n−プロポキシ)エチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸類等の一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
【0043】
尚、構造単位(b)の含有率は、水酸基含有含フッ素重合体中の構造単位(a)〜(c)の合計量を100モル%としたときに、10〜70モル%である。この理由は、含有率が10モル%未満になると、水酸基含有含フッ素重合体の有機溶剤への溶解性が低下する場合があるためであり、一方、含有率が70モル%を超えると、水酸基含有含フッ素重合体の透明性、及び低反射率性等の光学特性が低下する場合があるためである。
また、このような理由により、構造単位(b)の含有率を、水酸基含有含フッ素重合体の全体量に対して、20〜60モル%とするのがより好ましく、30〜60モル%とするのがさらに好ましい。
【0044】
(iii)構造単位(c)
式(3)において、R7のヒドロキシアルキル基としては、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、5−ヒドロキシペンチル基、6−ヒドロキシヘキシル基が挙げられる。
【0045】
構造単位(c)は、水酸基含有ビニル単量体を重合成分として用いることにより導入することができる。このような水酸基含有ビニル単量体の例としては、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、3−ヒドロキシブチルビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル等の水酸基含有ビニルエーテル類、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、4−ヒドロキシブチルアリルエーテル、グリセロールモノアリルエーテル等の水酸基含有アリルエーテル類、アリルアルコール等が挙げられる。
また、水酸基含有ビニル単量体としては、上記以外にも、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等を用いることができる。
【0046】
尚、構造単位(c)の含有率を、水酸基含有含フッ素重合体中の構造単位(a)〜(c)の合計量を100モル%としたときに、5〜70モル%とすることが好ましい。この理由は、含有率が5モル%未満になると、水酸基含有含フッ素重合体の有機溶剤への溶解性が低下する場合があるためであり、一方、含有率が70モル%を超えると、水酸基含有含フッ素重合体の透明性、及び低反射率性等の光学特性が低下する場合があるためである。
また、このような理由により、構造単位(c)の含有率を、水酸基含有含フッ素重合体の全体量に対して、5〜40モル%とするのがより好ましく、5〜30モル%とするのがさらに好ましい。
【0047】
(iv)その他の構造単位
水酸基含有含フッ素重合体は、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリシロキサン構造や、乳化作用を有するモノマーに由来する構造等を含んで構成することもできる。
【0048】
(vi)分子量
水酸基含有含フッ素重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで、テトラヒドロフランを溶剤として測定したポリスチレン換算数平均分子量が5,000〜500,000であることが好ましい。この理由は、数平均分子量が5,000未満になると、水酸基含有含フッ素重合体の機械的強度が低下する場合があるためであり、一方、数平均分子量が500,000を超えると、後述する硬化性組成物の粘度が高くなり、薄膜コーティングが困難となる場合があるためである。
また、このような理由により、水酸基含有含フッ素重合体のポリスチレン換算数平均分子量を10,000〜300,000とするのがより好ましく、10,000〜100,000とするのがさらに好ましい。
【0049】
上記態様(1)の本発明の組成物中における成分(B)の配合量は、溶剤を除く成分の合計を100質量%としたときに、5〜80質量%の範囲内であることが好ましく、10〜80質量%の範囲内であることがより好ましい。5質量%未満であると、屈折率が高いおそれがあり、80質量%を超えると、膜強度が下がるおそれがある。
【0050】
尚、上記態様(2)の本発明の組成物中において、成分(B)が配合される場合の成分(B)の配合量は、溶剤を除く成分の合計を100質量%としたときに、5〜80質量%の範囲内であることが好ましく、10〜80質量%の範囲内であることがより好ましい。5質量%未満であると、屈折率が高いおそれがあり、80質量%を超えると、膜強度が下がるおそれがある。
【0051】
(C)エチレン性不飽和基を2個以上有しフッ素を含まない化合物
本発明の組成物における成分(C)エチレン性不飽和基を2個以上有しフッ素を含まない化合物は、得られる硬化膜におけるマトリクスを構成する成分であり、成膜性を高め、優れた耐擦傷性、有機溶剤耐性を有する硬化膜を与える。成分(C)は、上記態様(1)の本発明の組成物では任意添加成分であり、上記態様(2)では成分(B)及び(C)からなる群から選択される成分のうちの一つである。
成分(C)は、エチレン性不飽和基を2個以上有しフッ素を含まない化合物であれば特に限定されないが、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する多官能(メタ)アクリルエステル類であることが好ましい。
【0052】
多官能(メタ)アクリルエステル類としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングルコールジ(メタ)アクリレート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、等の水酸基含有(メタ)アクリレート類、及びこれらの水酸基へのエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加物のポリ(メタ)アクリレート類、分子内に2以上の(メタ)アクリロイル基を有するオリゴエステル(メタ)アクリレート類、オリゴエーテル(メタ)アクリレート類、及びオリゴエポキシ(メタ)アクリレート類等を挙げることができる。この中では、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等が好ましい。
【0053】
このような多官能(メタ)アクリルエステル類の市販品としては、例えば、東亞合成(株)製アロニックスM−400、M−404、M−408、M−450、M−305、M−309、M−310、M−315、M−320、M−350、M−360、M−208、M−210、M−215、M−220、M−225、M−233、M−240、M−245、M−260、M−270、M−1100、M−1200、M−1210、M−1310、M−1600、M−221、M−203、TO−924、TO−1270、TO−1231、TO−595、TO−756、TO−1343、TO−902、TO−904、TO−905、TO−1330、日本化薬(株)製KAYARAD D−310、D−330、DPHA、DPCA−20、DPCA−30、DPCA−60、DPCA−120、DN−0075、DN−2475、SR−295、SR−355、SR−399E、SR−494、SR−9041、SR−368、SR−415、SR−444、SR−454、SR−492、SR−499、SR−502、SR−9020、SR−9035、SR−111、SR−212、SR−213、SR−230、SR−259、SR−268、SR−272、SR−344、SR−349、SR−601、SR−602、SR−610、SR−9003、PET−30、T−1420、GPO−303、TC−120S、HDDA、NPGDA、TPGDA、PEG400DA、MANDA、HX−220、HX−620、R−551、R−712、R−167、R−526、R−551、R−712、R−604、R−684、TMPTA、THE−330、TPA−320、TPA−330、KS−HDDA、KS−TPGDA、KS−TMPTA、共栄社化学(株)製ライトアクリレート PE−4A、DPE−6A、DTMP−4A等を挙げることができる。
【0054】
本発明の組成物中において成分(C)が配合される場合の配合量は、上記態様(1)及び(2)のいずれであっても、溶剤を除く成分の合計を100質量%としたときに、5〜70質量%の範囲内であることが好ましく、10〜60質量%の範囲内であることがより好ましい。5質量%未満であると、塗膜の硬化性が不十分になるおそれがあり、70質量%を超えると、屈折率が高くなる。
【0055】
(D)空洞を有するシリカ粒子
本発明の組成物における成分(D)は中空シリカ粒子及び多孔質シリカ粒子等の粒子内に空洞を有するシリカ粒子である。シリカ粒子が空洞を有することにより得られる硬化膜の屈折率を低く抑えることができる。耐擦傷性に優れることから成分(D)としては、中空シリカ粒子が好ましい。成分(D)は、上記態様(2)の本発明の組成物では必須成分であるが、上記態様(1)では任意添加成分である。
中空シリカ粒子の数平均粒径は、1〜100nmの範囲内であることが好ましく、5〜80nmの範囲内であることがより好ましい。粒径は、透過型電子顕微鏡により測定する。1nm未満では、屈折率が高くなるおそれがあり、100nmを超えると硬化膜の透明性が低下するおそれがある。
【0056】
中空シリカ粒子としては、公知のものを使用することができ、また、その形状も球状に限らず不定形であってもよい。また、固形分が5〜40質量%のコロイダルシリカが好ましい。分散媒は、水あるいは有機溶媒が好ましい。有機溶媒としては、メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、ブタノール、エチレングリコールモノプロピルエーテル等のアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン等のエステル類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエ−テル類等の有機溶剤を挙げることができ、これらの中で、アルコール類及びケトン類が好ましい。これら有機溶剤は、単独で、又は2種以上混合して分散媒として使用することができる。
【0057】
中空シリカ粒子の市販品としては、ELCOM JX−1009SIV、ELCOM JX−1012SIV(触媒化成製)等が挙げられる。
【0058】
また、中空シリカ粒子の表面に化学修飾等の表面処理を行ったものを使用することができ、例えば分子中に1以上のアルキル基を有する加水分解性ケイ素化合物又はその加水分解物を含有するもの等を反応させることができる。このような加水分解性ケイ素化合物としては、トリメチルメトキシシラン、トリブチルメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、1,1,1−トリメトキシ−2,2,2−トリメチル−ジシラン、ヘキサメチル−1,3−ジシロキサン、1,1,1−トリメトキシ−3,3,3−トリメチル−1,3−ジシロキサン、α−トリメチルシリル−ω−ジメチルメトキシシリル−ポリジメチルシロキサン、α−トリメチルシリル−ω−トリメトキシシリル−ポリジメチルシロキサンヘキサメチル−1,3−ジシラザン等を挙げることができる。また、分子中に1以上の反応性基を有する加水分解性ケイ素化合物を使用することもできる。分子中に1以上の反応性基を有する加水分解性ケイ素化合物は、例えば反応性基としてNH基を有するものとして、尿素プロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等、OH基を有するものとして、ビス(2−ヒドロキシエチル)−3アミノトリプロピルメトキシシラン等、イソシアネート基を有するものとして3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等、チオシアネート基を有するものとして3−チオシアネートプロピルトリメトキシシラン等、エポキシ基を有するものとして(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等、チオール基を有するものとして、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。好ましい化合物として、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランを挙げることができる。また、特開平9−100111号公報に記載の化合物で変性することも好ましい。
【0059】
本発明の組成物中において成分(D)が配合される場合(上記態様(1)及び(2)のいずれの場合においても)の配合量は、溶剤を除く成分の合計を100質量%としたときに、5〜80質量%の範囲内であることが好ましく、5〜70質量%の範囲内であることがより好ましい。5質量%未満であると、屈折率が高いおそれがあり、80質量%を超えると、膜が脆くなるおそれがある。尚、成分(D)の粒子の量は、固形分量を意味し、粒子が溶剤分散ゾルの形態で用いられるときは、その配合量には溶剤の量を含まない。
【0060】
(E)ラジカル重合開始剤
本発明に用いられるラジカル重合開始剤(E)としては、例えば、熱的に活性ラジカル種を発生させる化合物(熱重合開始剤)、及び放射線(光)照射により活性ラジカル種を発生させる化合物(放射線(光)重合開始剤)等の、汎用されているものを挙げることができ、放射線(光)重合開始剤が好ましい。
【0061】
放射線(光)重合開始剤としては、光照射により分解してラジカルを発生して重合を開始せしめるものであれば特に制限はなく、例えば、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オンアセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1,4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)等を挙げることができる。
【0062】
放射線(光)重合開始剤の市販品としては、例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製イルガキュア 127、184、369、651、500、819、907、784、2959、CGI1700、CGI1750、CGI1850、CG24−61、ダロキュア 1116、1173、BASF社製ルシリン TPO、8893UCB社製ユベクリル P36、フラテツリ・ランベルティ社製エザキュアーKIP150、KIP65LT、KIP100F、KT37、KT55、KTO46、KIP75/B等を挙げることができる。
【0063】
本発明の組成物中における成分(F)の配合量は、溶剤を除く成分の合計を100質量%としたときに、0.01〜20質量%の範囲内とすることが好ましく、0.1〜10質量%の範囲内とすることがさらに好ましい。0.01質量%未満であると、硬化物としたときの硬度が不十分となるおそれがあり、20質量%を超えると、塗膜の硬度が損なわれるおそれがある。
【0064】
(F)有機溶剤
本発明の組成物は、塗膜の厚さを調節するために、有機溶剤で希釈して用いることが通常である。例えば、反射防止膜や被覆材として用いる場合の粘度は、通常0.1〜50,000mPa・秒/25℃であり、好ましくは、0.5〜10,000mPa・秒/25℃である。
【0065】
有機溶剤(F)としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類等が挙げられる。これらの有機溶剤は1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0066】
本発明の組成物中における有機溶剤(F)の合計の配合量は、溶剤を除く成分の合計を100質量部としたときに、50〜10,000質量部の範囲内であることが好ましい。尚、前記空洞を有するシリカ粒子(D)及び後記する(G)中実シリカ粒子の分散液中の有機溶剤も本発明の組成物中に持ち込まれ得る。溶剤の配合量は、この成分(D)及び/又は(G)由来の有機溶剤も勘案の上、塗布膜厚、組成物の粘度等を考慮して適宜決定することができる。
【0067】
(G)中実シリカ粒子
本発明の組成物には、上記(D)空洞を有するシリカ粒子と共に(上記態様(1)及び(2)の場合)、又は単独で(態様(1)の場合)(G)中実シリカ粒子を配合してもよい。中実シリカ粒子は屈折率において中実シリカ粒子に劣るが、得られる硬化膜に耐擦傷性を付与することができる。
中実シリカ粒子は、公知のものを用いることができ、上記(D)空洞を有するシリカ粒子と同様の数平均粒径を有しているものが好ましく、また、その形状も球状に限らず不定形であってもよい。また、固形分が5〜40質量%のコロイダルシリカが好ましい。
【0068】
中実シリカ粒子の市販品の具体例としては、例えば、コロイダルシリカとして、日産化学工業(株)製 商品名:メタノールシリカゾル、IPA−ST、MEK−ST、MEK−ST−S、MEK−ST−L、IPA−ZL、NBA−ST、XBA−ST、DMAC−ST、ST−UP、ST−OUP、ST−20、ST−40、ST−C、ST−N、ST−O、ST−50、ST−OL等が挙げられる。
【0069】
(G)中実シリカ粒子は、(D)中空シリカ粒子と同様に、表面変性されていてもよい。
【0070】
本発明の組成物中における成分(G)の配合量は、溶剤を除く成分の合計を100質量%としたときに、5〜80質量%の範囲内であることが好ましく、5〜70質量%の範囲内であることがより好ましい。5質量%未満であると、膜硬度が低いおそれがあり、80質量%を超えると、膜が脆くなるおそれがある尚、成分(G)の粒子の量は、固形分を意味し、粒子が溶剤分散ゾルの形態で用いられるときは、その配合量には溶剤の量を含まない。
【0071】
(H)添加剤
本発明の組成物には、本発明の目的や効果を損なわない範囲において、シリカ粒子以外の無機粒子、光増感剤、熱重合開始剤、重合禁止剤、重合開始助剤、レベリング剤、濡れ性改良剤、界面活性剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、顔料、染料、スリップ剤等の添加剤をさらに含有させることも好ましい。
特に無機粒子は塗膜強度を改善するために有効であり、添加する場合は数平均粒径1〜100nmの範囲であることが好ましく、球形、数珠状、不定形粒子を用いることができ、かつ内部構造に空隙を有する多孔質、中空粒子も用いることができる。用いることができる無機粒子としては、無機酸化物又はフッ化物が好ましく、例えばアルミナ、チタニア、ジルコニア、フッ化マグネシウム等が挙げられる。また、これらの無機粒子の表面は任意の有機基で表面変性されていてもよく、(メタ)アクリル基で変性することにより、硬化性組成物との相溶性が向上し、かつ硬化時に他の硬化性組成物と共架橋することが可能となり、硬化膜の耐擦傷性を改良することが可能である。
【0072】
熱重合開始剤は、熱により活性種を発生する化合物であり、活性種としてラジカルを発生する熱ラジカル発生剤等が挙げられる。熱ラジカル発生剤の例としては、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチル−オキシベンゾエート、アゾビスイソブチロニトリル、アセチルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、tert−ブチルパーアセテート、クミルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等の一種単独又は二種以上の組み合わせを挙げることができる。
【0073】
本発明の組成物の硬化条件についても特に制限されるものではないが、例えば、活性エネルギー線を用いた場合、照射光量を0.01〜10J/cm2の範囲内の値とするのが好ましい。
この理由は、照射光量が0.01J/cm2未満となると、硬化不良が生じる場合があるためであり、一方、照射光量が10J/cm2を超えると、硬化時間が過度に長くなる場合があるためである。
【0074】
II.硬化膜及び反射防止膜
本発明の硬化膜は、上記本発明の組成物を硬化させてなることを特徴とする。
本発明の硬化膜は、屈折率が低く、耐擦傷性及び防汚性に優れると同時に耐摩耗性にも優れ、反射防止膜の最外層となる低屈折率層として有用である。
【0075】
本発明の硬化膜の屈折率は、通常1.44以下であり、好ましくは1.40以下であり、より好ましくは1.38以下である。
【0076】
本発明の硬化膜を反射防止膜の低屈折率層として用いる場合の、反射防止積層体の構成、即ち、基材、層構成、各層の材料、作製方法、膜厚等は公知の通りであるためここでは詳しい説明は省略する。
【実施例】
【0077】
以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって何ら限定されるものではない。
【0078】
合成例1:化合物1の合成
【化8】

[式中、Meはメチル基を示し、PETAはペンタエリスリトールトリアクリレートに由来する基を示し、mは10〜15であり、nは10〜15である。]
【0079】
撹拌機、還流管及び乾燥空気導入管を備えた反応容器に、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(吉富ファインケミカル社製、ヨシノックスBHT)(0.024g、0.1mmol)、ポリジメチルシロキサンモノオール(チッソ株式会社製、サイラプレーンFM0411)(23.80g)、2,4−トリレンジイソシアナート(三井化学ポリウレタン社製、TOLDY−100)(4.14g、23.8mmol)及びメチルエチルケトン(丸善石油化学株式会社製)(27.94g)を加え、水浴にて冷却した。10℃±5℃にてジラウリル酸ジブチル錫(共同薬品社製、CASTIN−D)(0.080g、0.1mmol)を添加した後、室温にて1.5〜2.0時間攪拌した。次いで、反応混合物を水浴にて冷却し、ここに、メチルエチルケトン(35.70g)、パーフルオロポリエーテルジオール(ソルベイソレクシス製、Fluorolink D10H)(35.70g)を添加した後、60℃まで昇温し、同温度で2時間加熱する。反応混合物を水浴にて冷却し、ここに、メチルエチルケトンで固形分濃度50質量%に希釈したトリイソシアナ−ト(住化バイエルウレタン株式会社製、スミジュールN3300)(12.01g、23.8mmol)を添加し、室温で2時間攪拌した。次いで、反応混合物を水浴にて冷却し、ここに、メチルエチルケトンで固形分濃度50質量%に希釈したペンタエリスリトールトリアクリレート(新中村化学株式会社製)(24.35g)を添加し、60℃に昇温し、同温度で4時間加熱を行い、上記構造式で表される化合物1のメチルエチルケトン溶液を得た(200g)。
【0080】
得られた化合物1のIRチャート、H NMRチャート、13C{H} NMRチャートをそれぞれ図1〜3に示す。
【0081】
合成例2:化合物2の合成
【化9】

[式中、Meはメチル基を示し、DPPAはジペンタエリスリトールペンタアクリレートに由来する基を示し、mは10〜15であり、nは10〜15である。]
【0082】
撹拌機、還流管及び乾燥空気導入管を備えた反応容器に、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(吉富ファインケミカル社製、ヨシノックスBHT)(0.024g、0.1mmol)、ポリジメチルシロキサンモノオール(チッソ株式会社製、サイラプレーンFM0411)(18.57g)、2,4−トリレンジイソシアナート(三井化学ポリウレタン社製、TOLDY−100)(3.23g、18.6mmol)及びメチルエチルケトン(丸善石油化学株式会社製)(21.80g)を加え、水浴にて冷却した。10℃±5℃にてジラウリル酸ジブチル錫(共同薬品社製、CASTIN−D)(0.080g、0.1mmol)を添加した後、室温にて1.5〜2.0時間攪拌した。次いで、反応混合物を水浴にて冷却し、ここに、メチルエチルケトン(27.86g)、パーフルオロポリエーテルジオール(ソルベイソレクシス製、Fluorolink D10H)(27.86g)を添加した後、60℃まで昇温し、同温度で2時間加熱した。反応混合物を水浴にて冷却し、ここに、メチルエチルケトンで固形分濃度50質量%に希釈したトリイソシアナ−ト(住化バイエルウレタン株式会社製、スミジュールN3300)(9.37g、18.6mmol)を添加し、室温で2時間攪拌した。次いで、反応混合物を水浴にて冷却し、ここに、メチルエチルケトンで固形分濃度50質量%に希釈したジペンタエリスリトールペンタ/ヘキサアクリレート(東亜合成株式会社製:アロニックスM403)(40.97g)を添加し、60℃に昇温し、同温度で4時間加熱を行い、上記構造式で表される化合物2のメチルエチルケトン溶液を得た(200g)。
【0083】
得られた化合物2のIRチャート、H NMRチャート、13C{H} NMRチャートをそれぞれ図4〜6に示す。
【0084】
合成例3:化合物3の合成
【化10】

[式中、Meはメチル基を示し、PETAはペンタエリスリトールトリアクリレートに由来する基を示し、mは65〜75であり、nは10〜15である。]
【0085】
撹拌機、還流管及び乾燥空気導入管を備えた反応容器に、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(吉富ファインケミカル社製、ヨシノックスBHT)(0.024g、0.1mmol)、ポリジメチルシロキサンモノオール(チッソ株式会社製、サイラプレーンFM0421)(60.96g)、2,4−トリレンジイソシアナート(三井化学ポリウレタン社製、TOLDY−100)(2.12g、11.9mmol)及びメチルエチルケトン(丸善石油化学株式会社製)(63.08g)を加え、水浴にて冷却した。10℃±5℃にてジラウリル酸ジブチル錫(共同薬品社製、CASTIN−D)(0.080g、0.1mmol)を添加した後、室温にて1.5〜2.0時間攪拌した。次いで、反応混合物を水浴にて冷却し、ここに、メチルエチルケトン(18.29g)、パーフルオロポリエーテルジオール(ソルベイソレクシス製、Fluorolink D10H)(18.29g)を添加した後、60℃まで昇温し、同温度で2時間加熱した。反応混合物を水浴にて冷却し、ここに、メチルエチルケトンで固形分濃度50質量%に希釈したトリイソシアナ−ト(住化バイエルウレタン株式会社製、スミジュールN3300)(6.15g、12.2mmol)を添加し、室温で2時間攪拌した。次いで、反応混合物を水浴にて冷却し、ここに、メチルエチルケトンで固形分濃度50質量%に希釈したペンタエリスリトールトリアクリレート(新中村化学株式会社製)(12.47g)を添加し、60℃に昇温し、同温度で4時間加熱を行い、上記構造式で表される化合物3のメチルエチルケトン溶液を得た(200g)。
【0086】
得られた化合物2のIRチャート、H NMRチャート、13C{H} NMRチャートをそれぞれ図7〜9に示す。
【0087】
合成例4:化合物4の合成
【化11】

[式中、Meはメチル基を示し、DPPAはジペンタエリスリトールペンタアクリレートに由来する基を示し、mは65〜75であり、nは10〜15である。]
【0088】
撹拌機、還流管及び乾燥空気導入管を備えた反応容器に、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(吉富ファインケミカル社製、ヨシノックスBHT)(0.024g、0.1mmol)、ポリジメチルシロキサンモノオール(チッソ株式会社製、サイラプレーンFM0421)(53.28g)、2,4−トリレンジイソシアナート(三井化学ポリウレタン社製、TOLDY−100)(1.85g、10.6mmol)及びメチルエチルケトン(丸善石油化学株式会社製)(55.13g)を加え、水浴にて冷却した。10℃±5℃にてジラウリル酸ジブチル錫(共同薬品社製、CASTIN−D)(0.080g、0.1mmol)を添加した後、室温にて1.5〜2.0時間攪拌した。次いで、反応混合物を水浴にて冷却し、ここに、メチルエチルケトン(15.98g)、パーフルオロポリエーテルジオール(ソルベイソレクシス製、Fluorolink D10H)(15.98g)を添加した後、60℃まで昇温し、同温度で2時間加熱した。反応混合物を水浴にて冷却し、ここに、メチルエチルケトンで固形分濃度50質量%に希釈したトリイソシアナ−ト(住化バイエルウレタン株式会社製、スミジュールN3300)(5.38g、10.7mmol)を添加し、室温で2時間攪拌した。次いで、反応混合物を水浴にて冷却し、ここに、メチルエチルケトンで固形分濃度50質量%に希釈したジペンタエリスリトールペンタ/ヘキサアクリレート(東亜合成株式会社製:アロニックスM403)(23.51g)を添加し、60℃に昇温し、同温度で4時間加熱を行い、上記構造式で表される化合物4のメチルエチルケトン溶液を得た(200g)。
【0089】
得られた化合物4のIRチャート、H NMRチャート、13C{H} NMRチャートをそれぞれ図10〜12に示す。
【0090】
合成例5:化合物5の合成
【化12】

[式中、m=65〜75、n=10〜15である。]
【0091】
撹拌機、還流管及び乾燥空気導入管を備えた反応容器に、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(吉富ファインケミカル、ヨシノックスBHT)(0.024g、0.1mmol)、パーフルオロポリエーテルジオール(ソルベイソレクシス社製、Fluorolink D10H)(18.87g)、2,4−トリレンジイソシアナート(三井化学ポリウレタン社製、TOLDY−100)(4.38g、25.2mmol)及びメチルエチルケトン(丸善石油化学株式会社製)(23.25g)を加え、水浴にて冷却した。10℃±5℃にてジラウリル酸ジブチル錫(共同薬品社製、CASTIN−D)(0.080g、0.1mmol)を添加した後、60℃まで昇温し、1.5時間加熱した。次いで、反応混合物を水浴にて冷却し、ここに、メチルエチルケトンで固形分濃度50質量%に希釈したポリジメチルシロキサンモノアルコール(チッソ株式会社、サイラプレーンFM0421)(62.88g)を滴下漏斗を用いて添加した。これを60℃まで昇温し、2時間加熱した。次いで、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(東亞合成株式会社製、アロトニックスM403)(13.87g)を滴下漏斗を用いて添加した。これを60℃まで昇温し、4時間加熱した。このようにして上記化学構造式で示される化合物2のメチルエチルケトン溶液(200g)を得た。
【0092】
得られた化合物2のIRチャート、H NMRチャート、13C{H} NMRチャートをそれぞれ図13〜15に示す。
【0093】
製造例1:エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体の製造
水酸基含有含フッ素重合体の合成
内容積1.0リットルの電磁攪拌機付きステンレス製オートクレーブを窒素ガスで十分置換した後、酢酸エチル600g、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)138.5g、エチルビニルエーテル37.5g、ヒドロキシエチルビニルエーテル45.9g、過酸化ラウロイル1.5g、アゾ基含有ポリジメチルシロキサン(VPS1001(商品名)、和光純薬工業(株)製)9.0g及びノニオン性反応性乳化剤(ER−30(商品名)、旭電化工業(株)製)45gを仕込み、ドライアイス−メタノールで−50℃まで冷却した後、再度窒素ガスで系内の酸素を除去した。
【0094】
次いでヘキサフルオロプロピレン85.9gを仕込み、昇温を開始した。オートクレーブ内の温度が55℃に達した時点での圧力は4.1×105Paを示した。その後、70℃で20時間攪拌下に反応を継続し、圧力が2.0×105Paに低下した時点でオートクレーブを水冷し、反応を停止させた。室温に達した後、未反応モノマーを放出してオートクレーブを開放し、固形分濃度30.0%のポリマー溶液を得た。得られたポリマー溶液をメタノールに投入しポリマーを析出させた後、メタノールにて洗浄し、50℃にて真空乾燥を行い250gの水酸基含有含フッ素重合体を得た。これを水酸基含有含フッ素重合体とする。
【0095】
電磁攪拌機、ガラス製冷却管及び温度計を備えた容量1リットルのセパラブルフラスコに、上記で得られた水酸基含有含フッ素重合体を50.0g、重合禁止剤として2,6−ジ−t−ブチルメチルフェノール0.01g及びメチルイソブチルケトン(MIBK)359gを仕込み、20℃で水酸基含有含フッ素重合体1がMIBKに溶解して、溶液が透明、均一になるまで攪拌を行った。
次いで、この系に、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート13.4gを添加し、溶液が均一になるまで攪拌した後、ジブチルチンジラウレート0.1gを添加して反応を開始し、系の温度を55〜65℃に保持し5時間攪拌を継続することにより、エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体のMIBK溶液を得た。
この溶液をアルミ皿に2g秤量後、150℃のホットプレート上で5分間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、15.0質量%であった。
【0096】
製造例2:
特定有機化合物(S1)(シリカ粒子の表面変性剤)の製造
乾燥空気中、メルカプトプロピルトリメトキシシラン23.0部、ジブチルスズジラウレート0.5部からなる溶液に対し、イソホロンジイソシアネート60.0部を攪拌しながら50℃で1時間かけて滴下後、70℃で3時間攪拌した。これに新中村化学製NKエステルA−TMM−3LM−N(ペンタエリスリトールトリアクリレート60質量%とペンタエリスリトールテトラアクリレート40質量%とからなる。このうち、反応に関与するのは、水酸基を有するペンタエリスリトールトリアクリレートのみである。)202.0部を30℃で1時間かけて滴下後、60℃で3時間加熱攪拌することで特定有機化合物(S1)を得た。
生成物の赤外吸収スペクトルは原料中のメルカプト基に特徴的な2550cm−1の吸収ピーク及びイソシアネート基に特徴的な2260cm−1の吸収ピークが消失し、新たに、[−O−C(=O)−NH−]基及び[−S−C(=O)−NH−]基中のカルボニルに特徴的な1660cm−1のピーク及びアクリロイル基に特徴的な1720cm−1のピ−クが観察され、重合性不飽和基としてのアクリロイル基と[−S−C(=O)−NH−]基、[−O−C(=O)−NH−]基を共に有する特定有機化合物が生成していることを示した。
【0097】
製造例3:
アクリル変性中空シリカ粒子の製造
製造例2で合成した特定有機化合物(S1)3.0部、中空シリカ粒子(JX1009SIV、メチルイソブチルケトンゾル、触媒化成工業製)137部(固形分30.1部)、イオン交換水0.1部、0.05mol/Lの希硫酸0.01部の混合液を、80℃、3時間攪拌後、オルト蟻酸メチルエステル1.4部を用いて粒子分散液D−1を得た。D−1の固形分含量を求めたところ、25質量%であった。
このシリカ系粒子の平均粒子径は、50nmであった。ここで、平均粒子径は透過型電子顕微鏡により測定した。
【0098】
<硬化性組成物の製造>
実施例1
製造例1で製造したエチレン性不飽和基含有含フッ素重合体のMIBK溶液を100g(成分(B−2)の固形分として15g)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PET−30、日本化薬製)(成分(C))を7g、中空シリカ粒子のMIBKゾル(ELCOM JX1009SIV、触媒化成製)を200g(成分(D)の固形分として50g)、トリアクリロイルヘプタデカフルオロノネニルペンタエリスリトール(LINC−3A、共栄社化学製)((成分(B−1))20g、光重合開始剤として、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(イルガキュア127、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)(成分(E))3g、合成例1で合成した化合物1(成分(A))を3g及びMIBK2117gを、攪拌機をつけたガラス製セパラブルフラスコに仕込み、室温にて1時間攪拌し均一な硬化性組成物を得た。また、製造例1の方法により固形分濃度を求めたところ4.0質量%であった。
【0099】
実施例2〜16及び比較例1〜7
下記表1−1〜1−3に示す組成とした以外は実施例1と同様にして各硬化性組成物を得た。
【0100】
<硬化膜の作製>
(1)硬化性組成物塗工用基材の作製
TACフィルム(厚さ50μm)に、調製したハードコート層用組成物をワイヤーバーコータで膜厚6μmとなるように塗工し、オーブン中、80℃で1分間乾燥し、塗膜を形成した。次いで、空気下、高圧水銀ランプを用いて、300mJ/cm2の光照射条件で紫外線を照射し、硬化性組成物塗工用基材を作製した。
【0101】
(2)低屈折率材の作製
上記実施例及び比較例で得られた各硬化性組成物を、ワイヤーバーコータを用いて上記で得られた硬化性組成物塗工用基材のハードコート上に膜厚0.1μmとなるように塗工し、80℃で1分間乾燥し、塗膜を形成した。次いで、窒素気流下、高圧水銀ランプを用いて、600mJ/cmの光照射条件で紫外線を照射し、反射防止膜を作製した。
【0102】
<硬化膜の物性評価>
上記で得られた各硬化膜について、屈折率、耐擦傷性、耐摩耗性及び防汚性を測定又は評価した。結果を表1−1〜1−3に示す。
【0103】
(1)屈折率
反射防止膜の裏面を黒色スプレーで塗装し、分光反射率測定装置(大型試料室積分球付属装置150−09090を組み込んだ自記分光光度計U−3410、日立製作所(株)製)により、波長340〜700nmの範囲で反射率を基材側から測定して評価した。具体的には、アルミの蒸着膜における反射率を基準(100%)として、各波長における反射防止用積層体(反射防止膜)の反射率を測定し、そのうち波長550nmにおける光の反射率から、屈折率を算出した。
【0104】
(2)耐擦傷性(耐スチールウール性)
得られた硬化膜を、スチールウール(ボンスターNo.0000、日本スチールウール(株)製)を学振型摩擦堅牢度試験機(AB-301、テスター産業(株)製)に取りつけ、硬化膜の表面を荷重200gの条件で10回繰り返し擦過し、当該硬化膜の表面における傷の発生の有無を目視で確認し、下記評価基準に従って評価した。結果を表1−1〜1−3に示す。
◎:硬化膜に傷が発生しない。
○:硬化膜の剥離や傷の発生がほとんど認められないか、あるいは硬化膜にわずかな細い傷が認められる。
△:硬化膜全面に筋状の傷が認められる。
×:硬化膜の剥離が生じる。
【0105】
(3)耐摩耗性(布)
得られた硬化膜を、ベンコットM−3(旭化成製)を学振型摩擦堅牢度試験機(AB-301、テスター産業(株)製)に取りつけ、硬化膜の表面を荷重500gの条件で50回繰り返し擦過し、当該硬化膜の表面における傷の発生の有無を、目視で確認し、下記評価基準に従って評価した。結果を表1−1〜1−3に示す。
◎:硬化膜に傷が発生しない。
○:硬化膜にわずかな色目変化が認められる。
△:硬化膜に強い色目変化が認められる。
×:硬化膜に傷、剥離が生じる。
【0106】
(4)耐摩耗性(イソプロパノール+布)
得られた硬化膜を、イソプロパノールを染込ませたベンコットM−3(旭化成製)を学振型摩擦堅牢度試験機(AB-301、テスター産業(株)製)に取りつけ、硬化膜の表面を荷重500gの条件で50回繰り返し擦過し、当該硬化膜の表面における傷の発生の有無を目視で確認し、下記評価基準に従って評価した。結果を表1−1〜1−3に示す。
◎:硬化膜に傷が発生しない。
○:硬化膜にわずかな色目変化が認められる。
△:硬化膜に強い色目変化が認められる。
×:硬化膜に傷、剥離が生じる。
【0107】
(5)防汚性(油性マーカー拭き取り性)
得られた反射防止膜表面の約0.25cm(0.5cm×0.5cm)を油性染料インキタイプのマーキングペン(ゼブラ(株)製、商品名:マッキー)で隙間なく塗りこむ。30秒間自然乾燥させた後、マーカーで塗りこんだ箇所を不織布(ベンコット)で拭き取る。さらに同じ箇所を油性マーカーで塗り込み、同様に拭き取りを繰り返し行い、油性インキが拭き取れなくなるまで行った。油性インキを拭き取ることができた繰り返し回数を数え、下記評価基準に従って評価した。結果を表1−1〜1−3に示す。
◎:5回以上繰返し拭取れる
○:3〜4回拭取れる
△:1〜2回拭取れる
×:1回も拭取れない
【0108】
【表1−1】

【0109】
【表1−2】

【0110】
【表1−3】

【0111】
上記表1−1〜1−3中における各成分は下記のものを表す。
ペンタエリスリトールトリアクリレート:PET−30、日本化薬(株)
エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体:製造例1で製造
フッ素アクリレート:トリアクリロイルヘプタデカフルオロノネニルペンタエリスリトール、製品名:LINC−3A、共栄社化学(株)
中空シリカ粒子:ELCOM JX−1009SIV、触媒化成工業(株)、平均粒子径50nm、製造例3でアクリル変性させたもの
中実シリカ粒子:MEK−ST−L、日産化学(株)、平均粒子径40nm
化合物1:合成例1で合成
化合物2:合成例2で合成
化合物3:合成例3で合成
化合物4:合成例4で合成
イルガキュア127:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製
【化13】

サイラプレーンFM0421:チッソ株式会社製、ポリジメチルシロキサンモノオール
サイラプレーンFM0721:チッソ株式会社製、メタクリロキシ基含有ポリジメチルシロキサン
TEGO Rad2500:Tego社製、ポリエーテルアルキル基含有シリコーンアクリレート
オプツールDAC:ダイキン株式会社製、パーフルオロポリエーテル基含有ウレタンアクリレート
【0112】
表1−1〜1−3の結果から、パーフルオロポリエーテル基及びジアルキルシロキサン基を有する化合物を含有する実施例の硬化性組成物からは、耐擦傷性、耐摩耗性、防汚性のいずれにも優れた硬化膜が得られることがわかる。
これに対し、従来のスリップ剤化合物を含有する比較例では、屈折率は実施例と同等であるが、耐擦傷性、耐摩耗性、防汚性のいずれにも劣っている。また、比較例5では、シロキサン基を有さずパーフルオロポリエーテル基を有する化合物(オプツールDAC)と、ポリジメチルシロキサンモノオールである化合物(サイラプレーンFM0421)とを配合したが、耐擦傷性、耐摩耗性、防汚性共に実施例より劣っていることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明によれば、屈折率が低く、耐擦傷性(耐スチールウール性)、防汚性(油性マーカー拭き取り性)に優れ、さらに耐摩耗性にも優れた硬化膜を製造することができる。
本発明で得られる硬化膜は、反射防止膜の低屈折率層として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)及び(B)を含有する低屈折率層形成用硬化性組成物。
(A)下記一般式(1)で示される化合物
【化14】

[式(1)中、R11はそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基であり、R12は置換基を有していてもよい2価の脂肪族基、脂環族基又は芳香族基であり、R13はそれぞれ独立に単結合、メチレン基又はエチレン基であり、R14及びR15はそれぞれ独立にフッ化メチレン基又は炭素数2〜4のパーフルオロアルキレン基であり、R17は(メタ)アクリロイル基を有する基であり、R18はヘテロ原子を含んでいてもよいp+1価の有機基であり、mは10〜100の整数であり、nは5〜50の整数であり、pは1又は2である。]
(B)エチレン性不飽和基を2個以上含有しフッ素含量が20質量%以上の、前記(A)以外の化合物
【請求項2】
下記成分(A)と、成分(B)及び(C)からなる群から選ばれる少なくとも1種と、成分(D)とを含有する低屈折率層形成用硬化性組成物。
(A)下記一般式(1)で示される化合物、
【化15】

[式(1)中、R11はそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基であり、R12は置換基を有していてもよい2価の脂肪族基、脂環族基又は芳香族基であり、R13はそれぞれ独立に単結合、メチレン基又はエチレン基であり、R14及びR15はそれぞれ独立にフッ化メチレン又は炭素数2〜4のパーフルオロアルキレン基であり、R17は(メタ)アクリロイル基を有する基であり、R18はヘテロ原子を含んでいてもよいp+1価の有機基であり、mは10〜100の整数であり、nは5〜50の整数であり、pは1又は2である。]
(B)エチレン性不飽和基を2個以上含有しフッ素含量が20質量%以上の、前記(A)以外の化合物
(C)エチレン性不飽和基を2個以上有しフッ素を含まない化合物
(D)空洞を有するシリカ粒子
【請求項3】
前記(B)が、エチレン性不飽和基を2個以上含有し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した数平均分子量が5000以上であり、フッ素含量が30質量%以上の重合体を含有する請求項1又は2に記載の低屈折率層形成用硬化性組成物。
【請求項4】
上記成分(A)の配合量が、溶剤を除く成分の合計を100質量%としたとき、1〜10質量%である請求項1〜3のいずれか1項に記載の低屈折率層形成用硬化性組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の低屈折率層形成用硬化性組成物を硬化させてなる硬化膜。
【請求項6】
請求項5に記載の硬化膜を低屈折率層として含む反射防止膜。


【図1】
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【図4】
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【図7】
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【図10】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−95695(P2010−95695A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−28290(P2009−28290)
【出願日】平成21年2月10日(2009.2.10)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】