説明

低減されたホウ素含有量を有する高紫外線透過性ホウケイ酸ガラス

【課題】非常に良好な耐加水分解性と好適な熱膨張係数α20/300のほかに可能な限り高い紫外線透過率を有するガラスを提供すること。
【解決手段】以下のガラス組成を含有するかまたはそれらからなるホウケイ酸ガラスを提供する(組成は酸化物ベースの重量%で示されている):SiO 65〜72;B 15〜<20;Al 4〜6;NaO 0.5〜3.5;KO 1〜3.5;LiO 0.3〜1.5;CaO 0〜1.0;BaO 0.5〜4.0;LiO+NaO+KOの合計 3.8〜5.5;CaO+BaOの合計 1〜4;ならびに1または複数の非酸化性気泡除去剤 0.1〜2.0;および1または複数の還元剤 0.05〜0.5。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外域において高い透過率を有し、かつ従来技術に比べて低減されたホウ素含有量を有するホウケイ酸ガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス類は、従来技術においてかなり以前から知られている。性質を変化させかつ改善し、所望の適用に良好に適合させるために、常にガラス組成物を変化させかつ改良することに関心が寄せられてきた。しかしながら、これに関連して、一成分の割合の減少または増加がすでにガラスの性質に種々の影響を及ぼす多数の効果を誘発し得ることが常に問題である。ガラス組成物中の複数の成分の交換または改良における過程および影響はさらに複雑であり、かつしばしば困難であり、あるいはまったく予想すらできない。従って、特殊の適用に対して基準となるガラス組成物を提供することは比較的困難である。
【0003】
酸化ホウ素を含有するガラス類は従来技術から知られている。酸化ホウ素は、特に良好な耐加水分解性の獲得、粘度低下、膨張係数の低減のために、および紫外線透過率の増大のために使用される。従って、従来技術において、紫外域で透過性の、比較的高いホウ素含有量を有するガラス類が記載されている。以下、その幾つかを説明することにする。
【0004】
特許文献1は、紫外域において高い透過率と、良好な耐加水分解性とを有する還元溶融ホウケイ酸ガラスならびにそれらの使用を開示する。特に、ホウケイ酸ガラスは、254nmの波長および1mmの層厚で少なくとも85%の透過率と、ISO719によるガラス粉末1g当たりNaO 100μg未満の耐加水分解性と、5〜6×10−6−1の熱膨張係数α20/300と、
【表1】

の酸化物ベースで重量%の組成と、0.6〜1のAl対NaOのモル比とを特徴とする。
【0005】
ガラス類の高紫外線透過性は、特に高いホウ素含有量と、それに関連する構造効果(ボロキソールの増加)に帰せられる。ここで耐紫外線性がBの上記範囲外で明らかにより劣化し、とりわけ化学的耐性が減少することが記載されている。
【0006】
特許文献2は、紫外線透過ガラス、当該ガラスの製造方法およびその使用に関する。UV放射線に対して透過性の、1mmの厚さおよび253.7nmの波長で温度範囲20〜300℃において少なくとも75%の透過率、3.8×10−6−1〜4.5×10−6−1の線熱膨張係数およびDIN 12 111によるガラス粉末1g当たりNaO 120μg未満の耐加水分解性を有するガラスが記載されている。酸化物ベースで計算して重量%で以下の組成を含有する。
【表2】

【0007】
従って、20重量%およびそれ以上の高い酸化ホウ素含有量を有するガラス類が記載されている。約13重量%までの酸化ホウ素含有量のみが良好な耐加水分解性をもたらすが、約13重量%以上から再びその耐性が劣化する。さらに、製造時に高い酸化ホウ素含有量と、高い酸化ホウ素蒸発とに帰せられる蒸発由来のふし欠点(ノット)による問題が発生する。蒸発由来のふし欠点は、ホウ酸の部分蒸発によって基ガラスとは異なった組成と、それに伴う別の粘度とを有する溶融槽の表面ガラスから生じるガラスの欠陥である。このガラス組成物のもう1つの欠点は、ホウ素の高い蒸発によって生産時の収量が著しく低減されることである。酸化ホウ素は非常に高価であるので、所望のガラス組成物を得るために蒸発した酸化ホウ素は補充されなければならないために、これは明らかなコスト上昇をもたらす。
【0008】
さらに、特許文献3は、EPROMチップ(erasable,programmable,read−only memory)における窓用の紫外線透過ガラスに係わり、このガラスは46〜52×10−7/℃の熱膨張係数、700℃以下の軟化点および1mmの厚さおよび254nmの波長で少なくとも80%の透過率を有し、かつ本質的にフッ素を含まない。酸化物ベースでモル%のガラス組成物は本質的に以下からなる。
【表3】

上記において、モル比RO対Rは0.3より大きく、但し0.5より小さい。
【0009】
従って、高い紫外線透過率を有する公知のガラス類を改良し、かつ特殊適用に良好に適合する需要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】独国特許第4335204(C1)号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第3801840(A1)号明細書
【特許文献3】米国特許第4,925,814号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、本発明の基礎におく課題は、従来技術の欠点を回避し、かつ紫外域において高い透過率を提供するが、従来技術からの上述のガラス組成物の欠点を回避するガラスを提供することである。特に、本発明により良好から非常に良好な耐加水分解性と好適な熱膨張係数α20/300のほかに可能な限り高い紫外線透過率を有するガラスが提供されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の課題は、本発明により以下のガラス組成(酸化物ベースで重量%)を含有するまたはそれらからなる高い紫外線透過率を有するホウケイ酸ガラスによって解決される:
【表4】

【0013】
従って、本発明の目的は、高い紫外線透過率を有するホウケイ酸ガラスである。「高い」紫外線透過率とは、本発明の枠組みの中では、1mmの層厚で254nmの波長で75%を超える、および200nmの波長で50%を超える紫外線透過率を意味する。特に好ましくは、透過率は1mmの層厚で254nmの紫外域において80%を超え、200nmで60%を超える。
【発明を実施するための形態】
【0014】
驚くべきことに、本発明に係るガラス組成物は、低減された酸化ホウ素含有量にもかかわらず、組成は同じであるがより高い酸化ホウ素含有量を有するガラスよりも高い紫外線透過率を有する。これは、当業者が酸化ホウ素含有量の低減で予期していることと全く逆である。酸化ホウ素含有量の低減は、通常は紫外線透過率の明らかな低下をもたらし得る。
【0015】
本発明に係るガラス組成物中のより低い酸化ホウ素含有量は、特に低い粘度のままで良好な耐加水分解性をもたらすが、これも同様に予期されていない。本発明に係るガラス類の耐加水分解性は、良好から非常に良好であり、かつ好ましくはガラス1g当たりNaO 80μg以下の範囲(ISO719)にある。本発明に係るガラス類の低い粘度は、ガラス類の製造時に長所を有する。
【0016】
さらに、ガラス組成物は、特に成分SiO、KO、LiOおよびBaOにとって有利となるようにより少ない酸化ホウ素を含有する場合に有益であることが、本発明により実証された。酸化ホウ素含有量の低減は、ガラス組成物において一連の欠点、特に紫外線透過率の劣化を生じ得る。しかしながら、ホウ素含有量の低減は、成分SiO、KO、LiOおよびBaOの含有量の同時増加によって補うことができるだけではなく、驚くべきことに本発明に係るガラス組成物の有利な性質を生ずることが、本発明により見出された。
【0017】
含有量の減少にもかかわらず、本発明に係るガラスの所望の低熱膨張が得られ、この熱膨張係数α20/300は特に好ましくは3.8〜4.5×10−6−1の範囲にある。
【0018】
当該ガラスの低減されたB含有量のもう1つの長所は、催奇形性物質(テラトゲン)(胎児に有害)として格付されている酸化ホウ素がより少ない量で使用されることである。催奇形性物質は、まだ生まれていない子供の発達障害および奇形を生じ得る物質である。酸化ホウ素の取り扱いにおいて、製品の製造コストを引き上げる費用のかかる作業保護措置が必要になるので、この事実は、ガラス製造プロセスにとって特に重要である。人間または動物とガラスとの直接接触でもホウ素成分が溶離して、かつあらゆる生物に有害な作用を生じ得る。
【0019】
が比較的高価であるので、ガラス中の成分Bの含有量の減少によって、コストの低減が生じ、これが実規模技術でのガラスの製造時には累積し、それによって相当なコスト軽減をもたらす。
【0020】
製造時に、20重量%を超える特に高い酸化ホウ素含有量と、それに伴う高い酸化ホウ素蒸発とに帰せられる蒸発由来のふし欠点による問題は発生しない。本発明に係るガラス類のもう1つの長所は、少ない蒸発によって生産時の収量が著しく向上することである。本発明に係るガラスは、より低い酸化ホウ素含有量も、より少ない酸化ホウ素蒸発も有するので、特にガラス原料コストを節約できる。
【0021】
本発明によりホウケイ酸ガラスが使用される。このガラスは主成分としてSiO、その他の成分としてBおよびAlならびにアルカリ酸化物およびアルカリ土類酸化物を含む。
【0022】
基ガラスは、通常好ましくは少なくとも65重量%、好ましくは少なくとも67重量%、特に好ましくは少なくとも68重量%のSiOを含有する。SiOの最大量は、SiO72重量%になる。SiO含有量の好ましい範囲は、67〜71.5重量%である。
【0023】
は、本発明により、従来技術に比べて低減された量で15〜20重量%未満、好ましくは15.5〜19.5重量%、全く特に好ましくは15.5〜19重量%、特に16〜18.7重量%の範囲でガラス中に存在する。Bの最大量は好ましくは19.99重量%になる。ガラスの高い紫外線透過率および増大した化学的耐性が高いホウ素含有量から生じる独国特許第4335204(C1)号および独国特許第3801840(C1)号のような従来技術と異なり、本発明によれば、このような高いB含有量は不要である。本発明によれば、所望の強度のUV放射線を透過するガラスを提供するために、すでに15〜20重量%未満の範囲で十分である。20重量%を超えるB含有量は、すでに説明したように、溶融ガラスでより高い割合の、特に酸化ホウ素が蒸発し、かつ妨害して排出ガス領域に沈着するという大きい欠点を有する。15重量%を下回るB含有量は、加工温度が非常に上昇し、かつ溶融挙動が悪化する欠点を有する。
【0024】
Alの量は、少なくとも4重量%、特に好ましくは4.25重量%以上、特にまた4.5重量%以上になる。Alの最大量は、6重量%になる。全く特に好ましくは、4.5〜5重量%の範囲である。この含有量は使用目的に応じて変化させることができる。6重量%を超えるAl含有量は、高い材料コストと悪化する溶融性の欠点を有する。4重量%を下回るAl含有量は、ガラスの化学的耐性が悪化し、かつ結晶化への傾向が増大する欠点を有する。
【0025】
リチウム、ナトリウムおよびカリウムのアルカリ酸化物のうち、好ましくはナトリウムおよびカリウムがリチウムよりも高い量で存在する。NaOは、本発明によれば、0.5〜3.5重量%の量で、好ましくは0.5〜2重量%の量で、特に0.5〜1.5重量%の量で含有されている。KOの含有量は、1〜3.5重量%、好ましくは1.5〜3重量%、特に1.5〜2.5重量%になる。LiOの含有量は、0.3〜1.5重量%、好ましくは0.5〜1.3重量%になる。1.0重量%未満のLiOの含有量は、同様に有利である可能性がある。各々表示されたアルカリ酸化物含有量を超過すると、ガラス接触材料の腐食および耐加水分解性が悪化するという欠点が生じる。各アルカリ酸化物含有量を下回ると、溶融性が劣化するという欠点を有する。
【0026】
LiO+NaO+KOの合計は、本発明に係るガラスにおいて3.8〜5.5重量%になる。
【0027】
アルカリ土類酸化物として、特にカルシウムおよびバリウムが使用される。CaOは、0〜1.0重量%、好ましくは0.2〜1.0重量%、特に0.2〜0.75重量%の範囲で使用される。BaOは、0.5〜4重量%、好ましくは0.75〜3.8重量%、好ましくは1.5〜3.6重量%、特に1.5〜3.0重量%の範囲で使用される。
【0028】
CaO+BaOの合計は、本発明に係るガラスにおいて1〜4重量%になる。
【0029】
その他の、通例の量で存在するZnO、ZrO、SrO、MgOおよび/またはCsOのような成分がガラス中に含有されていてもよい。しかしながら、これは好適ではない。なぜなら、ガラス成分の表示範囲が問題となり、大きすぎるガラス組成の改良では獲得される特別の性質が失われ得るからである。
【0030】
本発明によるガラスの製造のための原料、気泡除去剤および還元剤の選択において、これらがUV吸収化合物を全くもしくは殆ど含まないことに留意することが有意義である。さらに、本発明に係るガラスが硝酸塩、または酸化作用がある気泡除去剤、特にAsまたはSbのような酸化剤を含有しない場合は、好適である。
【0031】
本発明により、通例の非酸化性気泡除去剤が本発明に係るガラス組成物の化学的および物理的性質に不利に影響しない限り、これらの気泡除去剤が使用される。例えば、塩化物、例えばNaCl、フッ化物および/または硫酸塩を含む気泡除去剤が可能である。これらの気泡除去剤の有効成分は、好ましくはガラス中に最大2.0重量%の量で含有されており、最小含有量は0.1重量%、特に0.5重量%になる。
【0032】
鉄、希土類金属および重金属も特に効果的な紫外線吸収体であり、その結果、これらはガラスから可能な限り除外されていなければならない。この理由から、本発明に係るガラスは、好ましくは鉄、希土類金属および重金属が少なくまたはそれらを含まない。調査では、高い紫外線透過率を達成するために、好ましくは非常に鉄の少ない原料を使用するべきであることが実証されており、その結果、Feはガラス中に10ppm以下しか、さらに好ましくは5ppm以下しか含有されていてはならない。さらに、あらゆる公知のFe3+をFe2+に還元する作用物質によって200〜300nmの紫外域における透過率を明らかに改善できることが判明している。Fe3+をFe2+に還元する作用物質は、例えば炭素および/または金属ケイ素である。
【0033】
従って、本発明により0.05〜0.5重量%の量で存在する1または複数の還元剤が使用される。好適な還元剤は、例えば糖類、アルミニウム粉末、炭素および/または金属ケイ素から選択される。
【0034】
ホウケイ酸ガラスの製造方法が知られている。好適な原材料、ならびに溶融炉内の雰囲気、溶融時間および溶融温度のようなガラス製造時の方法条件は、当業者が従来技術において容易に選択かつ調整することができる。
【0035】
ガラス成分とそれらの量の選択のほかに、本製造方法によって、紫外線透過率を上昇させることに成功する。例えば、特に高い、例えば1450℃〜1590℃の範囲の溶融温度の調整によるガラス製造の方法パラメータの改良によって、レドックス比Fe2+/Fe3+をより強くFe2+側へシフトさせることができ、それによってこれが紫外域において増大する透過率に寄与する。
【0036】
本製造方法によって紫外線透過率を増加するもう1つの可能性は、溶融槽内で化学量論を下回る燃焼が実施されることであり、その際に理論的に燃焼に必要であるよりも少ない酸素が存在しなければならず、その結果、安定した還元作用の高炉雰囲気が存在する。このようにしてより高い紫外線透過率値を達成するために、多少の過圧で作業し、かつ全開口部の密閉によって外気の流入を阻止する場合に、還元炉雰囲気は、安定して調整することができる。
【0037】
また本発明の目的は、紫外線透過材料としての本発明に係るガラスの使用である。本発明に係るガラスは、好ましくは管形状または棒形状で、両者とも楕円形または平坦に、例えば容器類、窓等々への継続処理のために製造される。しかしながら、本発明に係るガラスから幾つかのその他の形状、例えば板ガラスまたはガラスブロック等々のものも製造することができる。板ガラスは、例えばフロート法によって製造することができる。棒類は、例えば丸形、楕円形、平形または後からの成形によって引抜工程中でも種々の形状に製造することができる。丸棒は、例えば約4〜17mm、好ましくは約4〜12mm、特に好ましくは約5〜10mmの直径を有する。管ガラス類は、ダンナー法によってまたはヴェロ法もしくはA引抜法によっても製造することができる。ガラス管類は、例えば少なくとも3mm、特に少なくとも5mmの直径および最大35mm、特に最大31mmの上限で製造される。特に好ましい管径は、約10mm〜29mmである。この種の管類が少なくとも0.4mm、特に少なくとも0.5mmの肉厚を有することが実証されており、少なくとも0.6mmが特に好ましい。最大肉厚は、最大1.1mmになり、最大0.9mmもしくは0.8mmの肉厚が好適である。
【0038】
本発明に係るガラス類の特に好ましい使用は、容器類、紫外線透過ランプ、好ましくは特に高い割合のUV放射線を放出するランプ、特に保護管付きおよび保護管無しの紫外線ランプであり、ガラス類は、紫外線ランプ用の保護管としても、紫外線酸化反応器、紫外線火炎検出器、UV光電池、太陽反応器、スペクトル分析器、光電子増倍管用および窓、特にEPROM窓用の紫外線透過材料として使用することができる。
【0039】
本発明の長所は非常に多面的である。本発明に係るガラス組成物は高い紫外線透過率を有し、好ましい一実施形態にしたがって1mmの層厚で254nmの波長において紫外線透過率が80%を超え、200nmで60%を超える。
【0040】
含有量の減少にもかかわらず、本発明に係るガラスの所望の低い熱膨張が得られ、熱膨張係数α20/300は特に、好ましくは3.8〜4.5×10−6−6の範囲にある。これは、本発明に係るガラス類が、例えばAlケーシングに、例えばEPROM窓として押圧式ガラス取付法の形態で組み込むことができるという長所を有する。EPROMは、消去可能プログラマブル読出専用メモリ(erasable programmable read only memory)である。すなわち、記憶されたプログラムがUV放射線によって消去できる「読出専用」半導体メモリである。その際に半導体の保持体は、通常、紫外線透過ガラスからなる窓を有する酸化アルミニウム・セラミックから構成されたケーシングである。この窓が気密にケーシングの中に組み込まれなければならないことは自明である。従って、使用する酸化アルミニウム・セラミックよりも小さい熱膨張を有するガラスが窓材料として使用される場合が好適である。特に、高い空気湿度を有する国々において、とりわけ十分な耐加水分解性のガラス材料が提供されなければならない。この前提条件は、本発明に係るガラスが高い程度で満たしており、そのため上記適用に対して特に好適である。
【0041】
より小さい熱膨張に基づき、本発明に係るガラス類は、さらに容易にランプ、特に紫外線ランプ用に使用されるタングステン、モリブデンのような電極材料またはNi−Co−Feのような特殊合金とより良好に適合可能である。
【0042】
紫外線ランプは、例えば治療処置に、または、例えば廃水処理時の殺菌、特に水の消毒に使用される。
【0043】
従って、小さい熱膨張は、本発明のガラス類の可変の使用性を可能にする。
【0044】
含有量の減少は、さらに毒性成分を低減できることを意味する。
【0045】
本発明のガラス組成物中の少ないBの量は、ガラス製造時の高価なBの少ない使用量と少ない蒸発とに基づき、増大する収量を生じ、それとともにコストの低減を生じ、それによってガラスの実規模技術の製造時に相当な経済的長所が生じる。
【0046】
とりわけ、ガラス中の成分Bの低下によってISO 719によるガラスの良好から非常に良好な耐加水分解性が得られる。以下、本発明は、本発明に係る教示内容を具示する実施例を利用して説明するが、これらは制限するものではない。
【実施例】
【0047】
本発明に係る5つのガラス組成物を選択し、それから5つのガラスを製造した。溶融のために石英ガラス製の1リットル坩堝を使用し、溶融物を撹拌した。ガラスの気泡除去は塩化物で実施した。さらに、このガラスにフッ化物を添加した。さらに、この溶融物に還元作用物質として炭素を添加した。電気加熱式炉内の溶融温度は1550℃とし、溶融時間は7時間であった。この溶融物を、従来の方法で空気雰囲気で通し、型に流し込み、かつ無応力で冷却した。
【0048】
下表に、本発明に係るガラス類の組成と性質をまとめた。
【0049】
比較のために、参照として可能な限り類似の組成を有するガラスを選択したが、このガラスは多少高いB含有量を有し、そのため本発明に係るものではない。この参照ガラスからも下表に組成と性質を表示した。
【表5】

........処理温度(℃)は、ガラス粘度10dPa・sにおける温度である。
τ(254nm)..254nmにおける透過率
WD........肉厚
【0050】
上表における直接比較は、本発明に係るガラス類の紫外域における透過率が驚くべきほどに改善されることを示している。従って、B含有量の低下によって、本発明により、全く予想できないほどにガラスの紫外線透過率を改善することに成功する。
【0051】
このように、本発明によりB含有量の低減にもかかわらず高い紫外線透過率を達成するガラス組成物が初めて記載されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のガラス組成(酸化物ベースで重量%)を含有するかまたはそれらからなる高い紫外線透過率を有するホウケイ酸ガラス。
【表1】

【請求項2】
前記ホウケイ酸ガラスが68〜72重量%のSiO含有量を有することを特徴とする、請求項1に記載のホウケイ酸ガラス。
【請求項3】
前記ホウケイ酸ガラスが、15〜19.5重量%、好ましくは15.5〜19重量%、全く特に好ましくは16〜18.7重量%のB含有量を有することを特徴とする、請求項1または2に記載のホウケイ酸ガラス。
【請求項4】
前記ホウケイ酸ガラスが、4.25重量%〜6重量%、特に好ましくは4.5重量%〜6重量%、特に4.5〜5重量%の範囲のAl含有量を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のホウケイ酸ガラス。
【請求項5】
前記ホウケイ酸ガラスが1.5〜3重量%、好ましくは1.5〜2.5重量%の範囲のKO含有量を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のホウケイ酸ガラス。
【請求項6】
前記ホウケイ酸ガラスが0.5〜2重量%、好ましくは0.5〜1.5重量%の範囲のNaO含有量を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のホウケイ酸ガラス。
【請求項7】
前記ホウケイ酸ガラスが0.5〜1.3重量%の範囲のLiO含有量を含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のホウケイ酸ガラス。
【請求項8】
前記ホウケイ酸ガラスが0.2〜1.0重量%、好ましくは0.2〜0.75重量%の範囲のCaO含有量を有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のホウケイ酸ガラス。
【請求項9】
前記ホウケイ酸ガラスが0.75〜3.8重量%、好ましくは1.5〜3.6重量%の範囲のBaO含有量を有することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載のホウケイ酸ガラス。
【請求項10】
前記1または複数の非酸化性気泡除去剤が塩化物、例えばNaCl、フッ化物および/または硫酸塩から選択されていることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載のホウケイ酸ガラス。
【請求項11】
前記還元剤が糖類、アルミニウム粉末、炭素または金属ケイ素から選択されていることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載のホウケイ酸ガラス。
【請求項12】
前記ホウケイ酸ガラスの透過率が1mmの層厚で254nmの紫外域で75%を超え、200nmで50%を超え、特に好ましくは透過率が1mmの層厚で254nmの紫外域で80%を超え、200nmで60%を超えることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載のホウケイ酸ガラス。
【請求項13】
UV透過性材料としての請求項1〜12のいずれか一項に記載のホウケイ酸ガラスの使用。
【請求項14】
管形状または棒形状における、両者とも楕円形または平坦な、板ガラスまたはその他の規定された形状としての請求項13記載のホウケイ酸ガラスの使用。
【請求項15】
容器類、紫外線透過ランプ、好ましくは特に高い割合のUV放射線を放出するランプ、特に保護管付きおよび保護管無しの紫外線ランプとして、紫外線ランプ用の保護管として、紫外線酸化反応器、紫外線火炎検出器、UV光電池、太陽反応器、スペクトル分析器、光電子増倍管用および窓、特にEPROM窓用のUV透過性材料としての請求項13記載のホウケイ酸ガラスの使用。

【公開番号】特開2011−32162(P2011−32162A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−169506(P2010−169506)
【出願日】平成22年7月28日(2010.7.28)
【出願人】(504299782)ショット アクチエンゲゼルシャフト (346)
【氏名又は名称原語表記】Schott AG
【住所又は居所原語表記】Hattenbergstr.10,D−55122 Mainz,Germany
【Fターム(参考)】