説明

低減されたラクトース濃度を有するガラクト−オリゴ糖含有チーズ製品

【課題】本明細書に記載の方法は、ガラクト−オリゴ糖を含み、かつ相当に低減されたラクトース濃度を有するクリームチーズ製品を対象とする。
【解決手段】より具体的には、ラクトース含有乳基質を、該乳基質中のラクトースの少なくとも20%をガラクト−オリゴ糖に転化するのに有効な加水分解およびトランス−ガラクトシル化活性を有する1または複数のラクターゼ酵素と接触させる。酵素で処理された乳基質を、次いで、低減されたラクトース濃度を有するガラクト−オリゴ糖含有クリームチーズ製品に加工する。本明細書中で提供されるクリームチーズ製品は、優れた栄養および感覚刺激特性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の方法は、ガラクト−オリゴ糖を含有し、かつ相当に低減されたラクトース濃度を有するチーズ製品(例えば、クリームチーズ、カッテージチーズ、およびプロセスチーズ)を対象とする。より具体的には、ラクトース含有乳基質を、ラクトースをガラクト-オリゴ糖に転化するのに有効な加水分解およびトランス-ガラクトシル化活性を有する1または複数のラクターゼ酵素と接触させる。該チーズ製品は、優れた栄養および感覚刺激特性を有する。特に好ましいのは、本明細書に記載の方法によって調製されるクリームチーズである。
【背景技術】
【0002】
チーズ製品は、世代および文化にわたって広がる好物である。特に米国およびヨーロッパにおいて、人々は、どんな食事でも、およびその間の多くの時間にチーズ製品を楽しむ。したがって、得られるチーズ製品の感覚刺激特性に有意に影響を与えずに、チーズ製品の栄養学的価値および/または健康上の利益を増大させることは、極めて望ましい。
【0003】
カッテージチーズは、主として乳供給源から製造される、軟らかく、温和な酸で凝固された未熟成のチーズである。カッテージチーズは、クリーム状ドレッシング中に懸濁されたまたはクリーム状ドレッシングとブレンドされたカッテージチーズカードの比較的小さな細片または粒子から調製される。通常の製造方法では、乳供給源(すなわち、所望される脂肪濃度に応じて全脂、低脂、または脱脂乳)を、低温殺菌し、均質化する。冷却(通常、約32℃から約37℃)後、乳供給源に通常の乳酸産生培養物を接種する。凝固を促進するために、レンネットを使用することもできる。典型的には、混合物を、それが熟成して凝固物を形成するまで接種温度で保持する。凝固物の酸性度は、約0.7%から約1%である(等価乳酸%として計算して)。凝固物が形成され、かつ所望の酸性度が得られた後、カードを、撹拌して小片に切断する。切断されたカードを、約48℃度から約55℃に加熱し、その温度に約100分から約140分間保持する。次いで、カードを乳清から分離する。次いで、カードをクリーム状ドレッシング中に懸濁するか、あるいはブレンドして、カッテージチーズ製品を形成する。次いで、生じるカッテージチーズ製品を、通常は小売容器中に分配し、次いで冷蔵する。
【0004】
スライスしたおよびローフ形態で広範に利用できるプロセスチーズは、最も人気があり売れているチーズ製品の1つである。プロセスチーズ製品は、子供に特に人気がある。プロセスチーズは、通常、例えば、チェダーチーズ、コルビーチーズ、スイスチーズ、ブリックチーズ、ミュンスターチーズ、パスタフィラータチーズ、ウォッシュカード、および顆粒状カードチーズなどの乳脂肪含有ナチュラルチーズの1種または複数種を加熱しながらすり砕くことおよび/または混合することによって調製される。次いで、生じたチーズを、脱脂乾燥乳および固形乳清などの他の乳製品ならびにリン酸二ナトリウムなどの乳化用塩と、チーズを低温殺菌するために十分に高められた温度でブレンドして、板、スライス、またはその他所望の形態に形成できる、均質で、ポンプで輸送できる、流動性のあるチーズ材料を製造する。
【0005】
3種の通常型プロセスチーズ、すなわち、低温殺菌プロセスチーズ、低温殺菌プロセスチーズフード、および低温殺菌プロセスチーズスプレッドがある。プロセスチーズは、プロセスチーズ処方物中での脂肪の存在に帰すことのできる滑らかさ、クリーム状テクスチャーおよびわずかな堅さなどの、チーズ消費者にとって望ましいいくつかの特徴を有するが、無脂肪および低脂肪のプロセスチーズも、滑らかさおよびクリーム状テクスチャーをもたせて製造することできる。識別基準に基づけば、3種のプロセスチーズ間の主な相違は、それらの水分および脂肪含有量、ならびにそれらの製造における任意選択成分の使用である。これらのチーズは、典型的には、水平動クッカー(horizontal cooker)(横置きクッカー(laydown cooker)とも呼ばれる)を使用して大量に製造される。次いで、プロセスチーズは、気密カートン中に自動的に包装されることが多い。
【0006】
クリームチーズは、クリームと乳との混合物から典型的には調製される、軟らかく、温和な酸で凝固された未熟成のチーズである。クリームチーズは、冷蔵条件下で貯蔵され、滑らかでかつバター様粘稠度を有する。冷蔵温度でのクリームチーズのテクスチャーおよび生地は、該クリームチーズをスライスおよび/またはスプレッドできるようなものである。クリームチーズ様スプレッドは、クリームチーズに関するすべての識別基準を満たさない可能性があるが、クリームチーズの機能特性の多くを有する製品である。
【0007】
クリームチーズの伝統的な製造方法では、未培養の全乳および/または脱脂乳ならびにスイートクリームを、前以て選択された比率でブレンドしてクリームチーズミックスを形成する。クリームチーズミックスを、低温殺菌し、通常的には約16.7℃から43℃の温度まで冷却し、次いで、乳酸培養物を接種した後、均質化した。通常的には、クリームおよび乳混合物を、乳酸形成細菌と培養して、混合物中のラクトースを乳酸に転化する。カードを形成するため、pHが十分に低下するまで培養を継続する。カードを、乳清から分離し、クリームチーズを形成するように加工する。より新規な方法では、双方とも乾燥粉末形態または濃縮液体形態の乳タンパク質濃縮物、乳清タンパク質濃縮物、およびチーズ乳清などの乳成分を所望のpHまで培養し、次いで、乳脂肪(クリームおよび/または乳脂肪など)または非乳脂肪(ダイズまたはヒマワリ油)を添加し、混合物を、カード分離ステップなしにそれぞれクリームチーズスプレッドまたは模倣クリームチーズスプレッドを形成するように加工する。別法として、培養に代えて乳酸またはグルコノ−δ−ラクトンなどの酸味料の直接添加を利用できる。ハイブリッド法は、従来の方法に任意選択の乳成分(「ODI」)を組み込む。用語「任意選択の乳成分」は、21 C.F.R.§133.124(d)中で「クリーム、乳、脱脂乳、バターミルク、チーズ乳清、一部の水が除去された前記のいずれか、無水乳脂肪、脱水クリーム、製造用脱脂乳チーズ、およびチーズ乳清からのアルブミン」として規定される。すべてのこれらの方法では、塩および安定剤を含む付加的成分が典型的には添加される。
【0008】
一般に、乳酸形成細菌は、従来の加工中にラクトースを乳酸に転化するが、その転化は完全ではなく、したがって、従来のほとんどのクリームチーズ製品は、やはり、かなりの濃度(ラクトース消化障害を有する人々にとって)のラクトースを含む。ラクトースを含む食品は、ラクトース消化障害を有する消費者にとって極めて問題である場合がある。
【0009】
ラクターゼ酵素は、ラクトース不耐性でない人々の小腸中に様々な量で見出される。ラクターゼは、ラクトースを、そのあと血流中に容易に吸収されるグルコースとガとに加水分解する。ラクターゼは、一般に、乳を食餌の主要部分として消費する出生および初期幼児期に大量に産生される。初期幼児期の後には、の産生が低下することが多く、成人期には、低いままである。あまりに低いと、ラクトースの消化不足を引き起こす可能性がある。この状態は、ラクトース吸収不良またはラクトース消化不良と呼ばれることが多い。ラクトース吸収不良に臨床症状が付随する場合、その状態は、ラクトース不耐症と呼ばれる。
【0010】
貧弱なラクトース消化は、腸の損傷、手術または疾患に由来する場合もある。稀ではあるが、先天性ラクトース吸収不良は、常染色体性劣性欠損によって引き起こされるラクターゼの完全欠損であり、症状は、生後直ぐに発生する。身体によるラクターゼ酵素の合成が低下すると、ラクトース消化が低下し、ラクトース不耐症の症状が発生する場合がある。世界中で約70%を超える成人が、ある程度のラクトース不耐症を有することが報告されている(例えば、非特許文献1、非特許文献2参照)。
【0011】
ラクトース吸収不良である人々のほとんどは、症状なしに約0.5gから約7gのラクトースに耐えることができる(例えば、非特許文献1参照)。ラクトース不耐性の消費者は、この範囲の下端に属するチーズ製品に耐性がある可能性がある。例えば、チェダーまたはスイスなどの熟成チーズは、典型的には、約1%未満(すなわち、1オンスの一人前につき約0.5g未満)のラクトースを含み、一方、クリームチーズ、特にODIを用いて調製された製品は、約2%から約10%(すなわち、1オンスの一人前につき約3gを超える)のラクトースを含む可能性がある。
【0012】
チーズ製品からラクトースを除去することは、費用がかさむことがある。ラクトースは、乳タンパク質濃縮物および乳清タンパク質濃縮物を製造するための限外濾過などの物理的方法によって乳から除去できるが、この方法は、ラクトースによって与えられる嵩および栄養学的価値を低下させ、かつ製造費用を加える。低ラクトース乳は、市販されているが、その乳製品が、ラクトースのガおよびグルコースへの酵素的加水分解の結果として極めて甘いので、一般には、消費者に十分には受け入れられていない。したがって、低減されたラクトース濃度、および完全ラクトースチーズ製品に類似した風味を有するチーズ製品は、多くの消費者にとって極めて望ましい。
【0013】
ラクターゼは、ラクターゼ酵素が加水分解およびトランス−ガラクトシル化活性を有する場合、ガラクト−オリゴ糖(「GOS」)と呼ばれる化合物を産生できることも知られている。加水分解活性は、ラクトースを分解して、トランス−ガラクトシル化活性が作用できる基質を提供するためになくてはならない。トランス−ガラクトシル化は、ラクトース、ガ、または存在するガラクト−オリゴマーにガラクトシル単位を付加してオリゴマーを形成することである。GOSは、小腸を無傷で通過する非消化性炭水化物であることが知られているが、GOSは、大腸中でビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)によって発酵することが見出されている。GOSは、ビフィドバクテリア、およびL.アシドフィルス(L.acidophilus)、L.カゼイ(L.casei)およびL.ラムノーザ(L.rhamnous)などのその他の有益な腸内細菌叢の増殖を選択的に促進するプレバイオティクスとして確認されている。ビフィドバクテリアおよびその他の乳酸菌は、ヒト腸内の天然細菌叢中の嫌気性細菌である。有益な腸内微小細菌叢の増殖を促進するその他のプレバイオティクスには、イヌリン、マンノオリゴ糖、セロオリゴ糖、大麦および燕麦のβ−グルカン、難消化性デンプン、加水分解コンニャク、イソマルツロース、ポリデキストロースなどが含まれる。ビフィドバクテリアは、GOSを炭素供給源として利用する独特な能力を有し、そのため、ビフィドバクテリアが他の生物体を打ち負かすことを可能にすると考えられる。
【0014】
ビフィドバクテリアに付随する多くの健康上の利益が報告されている。文献で報告されているように(例えば、非特許文献3参照)、ビフィドバクテリアは、(1)正常な腸内バランスを維持すること、(2)ラクトース耐性および乳製品の消化を改善すること、(3)抗腫瘍活性を有すること、(4)血清コレステロール濃度を低減すること、(5)ビタミンB群を合成すること、および(6)食事性カルシウムの吸収を高めることにおいて役割を演じることが示されている。ビフィドバクテリアは、それらが乳酸、酢酸、およびギ酸を産生し、そのため、腸管内のpHを低下させ、そのことが病原性生物体の増殖を防止するのを助けることも見出されている。
【0015】
天然細菌叢の適切なバランスは、腸の正常な機能を提供するために重要である。一般に、天然細菌叢は、病原性生物体に対して保護的である。天然細菌叢は、抗生物質の接種によって乱されるので、時には有益細菌を補給する必要がある。結果として、中でもB.ビフィダム(B.bifidum)、B.ロンガム(B.longum)などのビフィドバクテリアは、プロバイオティクスとして通常的に使用され、ヨーグルト、チーズ、発酵野菜などの発酵食品中に見出されることが多く、加えて乳幼児用調製乳中などの食品添加物として使用されている。食品をGOSで補助することは、製品中および消費者の腸内の双方でのビフィドバクテリアの増殖を選択的に高め、そのため、ビフィドバクテリアに付随する健康上の利益を提供することを可能にする。
【0016】
GOSは、ラクトース含有培地中でいくつかの微生物を培養することまたは微生物に由来する酵素を使用することによって産生できることが知られている。例えば、高いトランス−ガラクトシル化活性を有する酵素を使用して、ラクトースからわずか44%の収率でGOSを得たことが開示されている(例えば、特許文献1参照)。β−ガラクトシダーゼを使用してラクトースをガラクト−オリゴ糖に転化すること、および限外濾過膜を用いてガラクト−オリゴ糖を分離することを対象とする文献もある(例えば、特許文献2参照)。好ましくは、ラクトースを含む溶液を、固定化β−ガラクトシダーゼを有する限外濾過膜を通過させ、浸透液からガラクト−オリゴ糖を分離する。ラクトースまたはラクトース含有材料をロードトルラ(Rhodotorula)、ステリグマトミセス(Sterigmatomyces)、またはシロバシジウム(Sirobasidiumu)属の微生物で処理してガラクト−オリゴ糖を得ることを対象とする文献もある(例えば、特許文献3参照)。乳タンパク質加水分解物およびラクトースを含む培地中でストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)を培養することによってガラクト−オリゴ糖に富んだ発酵製品を調製することを対象とする文献もある(例えば、特許文献4参照)。さらに、培地にビフィドバクテリアを接種できる。濃縮乳をβ−ガラクトシダーゼと接触させてガラクト−オリゴ糖を含む脱脂粉乳を製造する方法を対象とする文献もある(例えば、特許文献5参照)。
【0017】
ほとんどのラクターゼ酵素は軽微なトランス−ガラクトシル化活性を有するので、GOSは、ラクトース含有食品を摂取した後のヒト消化管中に痕跡量で存在すると思われる。同様に、ヒトの乳が、若干のGOSを含むことが報告されている(例えば、非特許文献4参照)。しかし、最適なトランス−ガラクトシル化活性は、濃度依存性であり、消化管中に存在する典型的な条件とは異なり、ラクトースの濃縮溶液中で最高に作用する。
【0018】
当技術分野で周知の非栄養補給発酵乳飲料は、典型的には、約1%以下のGOSを含む。ヨーグルト型の食品は、ヤクルトなどによって市販されており、それらは低濃度のGOSを有する。市販製品「Oligomate55」は、精製濃縮物であり、約55%のGOSを含む(ヤクルト、東京、日本)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】米国特許第6555348号明細書
【特許文献2】特開平2−195894公報
【特許文献3】特開平2−072890公報
【特許文献4】EP0778885明細書
【特許文献5】EP0458358明細書
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】De Vrese et al.,Am.J.Clin.Nutr.,73(suppl):421S〜9S(2001)
【非特許文献2】Kretchmer,Gastroenterology,61:805〜813(1971)
【非特許文献3】Hughes et al.,Food Technol.,45:64〜83(1991)
【非特許文献4】Boehm et al.,J.Nutr.,137:847S〜849S(March 2007)
【非特許文献5】Nakao et al.,Applied Microbiology and Biotechnology,40(5):657〜663(January 1994)
【非特許文献6】Albayrak et al.,Biotechnol.Progress,18:240〜251(2002)
【非特許文献7】J.H.Miller,Experiments in Molecular Genetics,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY(1972)
【非特許文献8】S.Breidinger & J.Steffe,J.Food Sci.,66(3):453(2001)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本明細書に記載の方法は、上で考察した当技術分野での長年にわたる必要性を満たす。例えば、該方法は、低ラクトースチーズ製品、特にクリームチーズ製品を提供すること、およびGOSの健康上の利益を提供することに関する重要な必要性を満たす。さらに、該方法は、望ましくない甘い風味のない低ラクトースチーズ製品を提供する必要性を満たす。最後に、該方法は、最終製品中で望ましい感覚刺激特性を維持しながら、GOSを含み、かつ低濃度のラクトースを有するチーズ製品を提供する
【課題を解決するための手段】
【0022】
本明細書に記載のチーズ製品および該チーズ製品の調製方法は、相当に増強された濃度のガラクト−オリゴ糖(「GOS」)および相当に低減された濃度のラクトースを含む、クリームチーズ、カッテージチーズ、およびプロセスチーズからなる群から選択されるチーズ製品を対象とする。本明細書に記載の方法は、最終チーズ製品中のラクトース濃度を、少なくとも約25%、好ましくは少なくとも約50%、より好ましくは少なくとも約75%まで低減する。本明細書に記載の方法は、チーズ製品中のラクトースを、ほとんどのラクトース不耐性個体が耐えることのできる量である一人前につき約1g未満まで低減することができる。
【0023】
本明細書中で提供されるチーズ製品は、増大された可溶性繊維含有量、低減されたカロリー含有量、優れた感覚刺激特性、改善されたテクスチャー、および風味を有する、栄養強化チーズ製品である。さらに、本明細書に記載の方法は、GOSが、ラクトースまたはその加水分解生成物と比べてより徐々に吸収されるので、チーズ製品の血糖指数を低下させる。最後に、GOSは、驚くべきことにクリームチーズ製品に改善されたテクスチャーを提供し、そのため、安定剤の使用低減を許容し、離液なしに水分含有量の増加を可能にするので、これらの方法は、チーズ製品、特にクリームチーズ製品の製造コストを低減することができる。
【0024】
本明細書に記載の方法は、相当に増大された濃度のGOSおよび相当に低減された濃度のラクトースを有する、カッテージチーズ製品、クリームチーズ製品、またはプロセスチーズ製品を調製するのに使用できる。GOSは、約3から約10個の単糖単位(平均で約3から約5個の単糖単位)を含むオリゴマーから構成される可溶性繊維である。当技術分野で周知のチーズ製品は、GOSをほとんどまたはまったく含まない(すなわち、1オンスの一人前につき約0.1g未満のGOS)。本明細書に記載の方法は、一人前につき少なくとも約0.5gのGOS、好ましくは一人前につき少なくとも約0.7gのGOS、より好ましくは一人前につき少なくとも約1.0gのGOSを有するチーズ製品を提供する。本明細書中で定義するように、プロセスチーズおよびクリームチーズに関する一人前の量は、一人前につき1オンスであり、カッテージチーズに関する一人前の量は、一人前につき4オンスである。従来のクリームチーズ製品は、一般に、約4%から約10%のラクトース(例えば、1オンスの一人前につき約3gまで)を含む。本明細書中で提供されるチーズ製品は、1オンスの一人前につき約1g未満のラクトースを有する。従来のプロセスチーズ製品は、一般に、約1%から10%のラクトースを、最も好ましくは約7%から8%のラクトースを有する。従来のカッテージチーズ製品は、一般に、約2%から6%のラクトースを、最も好ましくは約4%から5%のラクトースを有する。本明細書中で提供されるチーズ製品は、一人前につき約1g未満のラクトースを有する。
【0025】
本明細書に記載の方法は、少なくとも7%のラクトースを有する乳基質を、トランス-ガラクトシル化活性を有するラクターゼ酵素と、乳基質中に存在するラクトースをGOSに転化するのに有効な時間および温度で、例えば、約20℃から約73℃の温度で約0.5時間から約24時間、好ましくは約40℃から約65℃で約0.5時間から約2時間処理することによって、相当に増大されたGOS含有量および低減された濃度のラクトースを含むチーズ製品の製造を提供する。ラクターゼ酵素または選択されたラクターゼ酵素の組合せは、トランス−ガラクトシル化および加水分解活性の双方を有するべきであり、GOS対加水分解生成物の比率として測定できる、約0.3から約1.0であるトランス−ガラクトシル化活性対加水分解活性の比率を、好ましくは約0.8の比率を有することが好ましい。
【0026】
一般に、ラクターゼ酵素のトランス−ガラクトシル化活性は、約7%未満のラクトースを有する乳基質中で効率が低いので、乳基質は、少なくとも約7%のラクトースを含むべきである。好ましくは、乳基質は、約20%から約50%のラクトースを含む。所望であれば、ラクトースがそのような増大した濃度で溶解したままである限り、50%を超えるラクトース濃度を有する乳基質を使用できる。しかし、ラクトースは、一般に、50%を超える濃度で低い溶解度を有する。
【0027】
重要な態様において、ラクターゼ酵素は、乳基質中に存在するラクトースの約25%から約100%を転化し、転化されたラクトースの約20%から約75%がGOSを形成し、好ましくは転化されたラクトースの約30%から約75%がGOSを形成し、より好ましくは転化されたラクトースの約50%から約75%がGOSを形成し、転化されたラクトースの残りは、グルコースおよびガなどの加水分解生成物を形成する。乳基質は、次いで、相当に増大されたGOS含有量および相当に低減されたラクトース濃度を含むチーズ製品を形成するように加工される。
【0028】
加水分解およびトランス−ガラクトシル化活性を有するラクターゼ酵素を、いくつかのチーズ加工に組み込んで、相当に増大されたGOS含有量および低減されたラクトース濃度を有するチーズ製品を提供できる。例えば、酵素処理ステップを、伝統的なカード型加工、無乳清法(すなわち、カードと乳清との分離を含まない方法)、および当技術分野で周知のハイブリッド法中に組み込むことができる。乳清分離ステップを含まないチーズ加工は、ラクターゼ酵素を最適ラクトース濃度で使用できるので、特に望ましく、形成されるすべてのGOSは、加工中に乳清または浸透液の除去がないので製品中に残存する。
【0029】
一態様において、相当に増大されたGOS含有量および相当に低減されたラクトース含有量を有するカッテージチーズ製品は、カードとドレッシング成分とを組み合わせて調製することができ、該両成分は、ラクトースをGOSに転化するためのトランス−ガラクトシル化および加水分解活性を有する1または複数のラクターゼ酵素を使用して調製される。カードまたはドレッシング成分の一方のみがラクターゼ酵素処理で調製されたカードおよびドレッシングを含むカッテージチーズ製品は、一般に、両方の成分がラクターゼ酵素処理で調製されたカッテージチーズ製品に比べて、より高いラクトース含有量およびより低いGOS含有量を有するカッテージチーズ製品をもたらす。カッテージチーズカードは、乳供給源を含む乳基質を、トランス−ガラクトシル化および加水分解活性を有する1または複数のラクターゼ酵素と、該乳基質中のラクトースの少なくとも約20%をGOSに転化するのに有効な時間および温度で保持して処理することによって調製される。次いで、生じたカードを乳清から分離する。1または複数のラクターゼ酵素で処理される予定の乳基質は、少なくとも約7%のラクトースを含むことが一般に好ましいが、カッテージチーズカードの調製には乳供給源として脱脂乳が一般的に使用され、脱脂乳は、ほんの約4%にすぎないラクトースを含む。乳基質を、酵素処置中またはその後に、乳酸産生培養物を用いてまたは食用酸を添加して酸性化し、約pH4.3から約pH5.2などの所望の酸性度まで酸性度を低下させ、凝固物を形成することができる。別法として、乳基質を、酵素処理の後に、食用酸を添加して酸性化し、約pH4.3からpH5.2などの所望の酸性度まで低下させ、凝固物を形成することができる。水性カッテージチーズドレッシングは、クリーム、および脱脂乾燥乳(「NFDM」)、乳タンパク質濃縮物、乳清タンパク質濃縮物などのその他の乳成分を含む。トランス−ガラクトシル化および加水分解活性を有する1または複数のラクターゼ酵素は、ドレッシングに添加され、該ドレッシング中のラクトースの少なくとも約20%をGOSに転化するのに有効な時間および温度で保持される。約50%から約70%のラクターゼ処理カード、好ましくは約60%のラクターゼ処理カードを、約30%から約50%のラクターゼ処理ドレッシング、好ましくは約40%のラクターゼ処理ドレッシングと組み合わせて、4オンスの一人前につき少なくとも約0.5gのGOSおよび約1g未満のラクトースを有するカッテージチーズ製品を提供する。
【0030】
別の態様において、相当に増大されたGOS含有量および相当に低減された濃度のラクトースを有するプロセスチーズ製品を、ナチュラルチーズを乳化用塩類および本明細書に記載の方法で処理された乳基質とブレンドすることおよび蒸煮することによって調製できる。一般に、乳基質は、少なくとも7%のラクトースを有する乳混合物を、トランス−ガラクトシル化および加水分解活性を有する1または複数のラクターゼ酵素と、スラリー中のラクトースの少なくとも約20%をGOSに転化するための時間および温度で、例えば、約20℃から70℃で約0.25時間から約24時間、好ましくは約40℃から約65℃で約0.5時間から約2時間処理することによって調製されるが、正確な条件は、使用される個々のラクターゼ酵素または酵素の組合せにとって最適な条件を基にして選択すべきである。乳基質は、乳化用塩類などの任意の残り成分に添加され、ナチュラルチーズ(例えば、チェダーチーズ、コルビーチーズ、スイスチーズ、ブリックチーズ、ミュンスターチーズ、パスタフィラータチーズ、ウォッシュカード、および顆粒状カードチーズなど)とブレンドされ、蒸煮されてプロセスチーズが形成される。プロセスチーズ製品は、1オンスの一人前につき少なくとも約0.5gのガラクト−オリゴ糖および1オンスの一人前につき約1g未満のラクトースを有する。
【0031】
好ましくは、本明細書に記載の方法は、相当に増大されたGOS含有量および相当に低減された濃度のラクトースを有するクリームチーズ製品を調製するのに使用される。本明細書中で使用される場合、用語「クリームチーズ製品」は、伝統的な型のクリームチーズ製品(例えば、カードと乳清との分離を含むクリームチーズ加工)、カードと乳清との分離なしで調製されるクリームチーズ製品、模擬クリームチーズ製品(例えば、植物油などの非乳脂肪を含むクリームチーズ製品)などを指す。
【0032】
一態様において、無乳清法は、GOSおよび相当に低減されたラクトース濃度を有するクリームチーズ製品の製造のために提供され、該方法は、(1)少なくとも約7%のラクトース、好ましくは約20%から約50%のラクトースを含む乳基質を調製すること、(2)該乳基質を約60℃から約93℃に加熱すること、(3)加熱した該乳基質を均質化して乳ブレンドを形成すること、(4)該乳ブレンドを冷却するか、あるいは該乳ブレンドを約20℃から約70℃に放冷すること、(5)該乳ブレンドをトランス−ガラクトシル化活性および加水分解活性を有する1または複数のラクターゼ酵素と、均質化されたブレンド中のラクトースの少なくとも20%をGOSに転化するのに有効な時間および温度で処理すること、(6)酵素で処理された混合物のpHを約4.3から約5.2に調節すること、(7)pHを調節した混合物を約76℃から約93℃で約5分から約20分間加熱して蒸煮された混合物を形成すること、および(8)蒸煮された混合物を均質化して、約1%から約36%の脂肪、約5%から約15%のタンパク質および約45%から約75%の水分、1オンスの一人前につき少なくとも0.5gのガラクト−オリゴ糖、および1オンスの一人前につき約1g未満のラクトースを含む最終クリームチーズ製品を提供することを含む。
【0033】
付加的なクリームチーズ成分(脂肪(例えば、乳脂肪、クリーム、非乳脂肪など)、安定剤、塩、水など)を、酵素処理ステップの前または後に、最終クリームチーズ製品が、約1%から約36%の脂肪、約5%から約15%のタンパク質、および約45%から約75%の水分を含むように添加することができる。
【0034】
別の態様では、ハイブリッド法が、相当な濃度のGOSおよび相当に低減された濃度のラクトースを有するクリームチーズ製品を製造するために提供され、該方法は、
(1)
(a)乳、クリーム、乳脂肪、およびこれらの混合物からなる群から選択される乳混合物を調製すること、
(b)該乳混合物を約60℃から約93℃に加熱すること、
(c)加熱された該乳混合物を均質化して均質化されたブレンドを形成すること、
(d)均質化された該ブレンドを約18℃から約45℃に冷却すること、
(e)均質化された該ブレンドのpHを約4.3から約5.2に調整してカードおよび乳清を形成すること、および
(f)ステップ(e)で形成された乳清からカードを分離して乳カード成分を形成すること、
を含む方法によって乳カード成分を調製すること、
(2)
(a)少なくとも約7%のラクトース濃度を有する乳基質を調製すること、
(b)該乳基質を約20℃から約73℃に加熱すること、および
(c)該乳基質を、加水分解およびトランス−ガラクトシル化活性を有する1または複数のラクターゼ酵素と、該乳基質中に存在するラクトースの少なくとも約20%をGOSに転化するのに有効な時間および温度で処理して、酵素で処理された乳成分を形成すること、
を含む方法によって酵素で処理された乳成分を調製すること、
(3)約10%から約75%のステップ(2)の酵素処理乳成分を、約25%から約90%のステップ(1)の乳カード成分、ならびに任意選択で約0.5%から約1%の塩および約0.1%から約1%の安定剤とブレンドしてクリームチーズブレンドを提供すること、
(4)該クリームチーズブレンドを約77℃から約93℃で約5分から約20分間加熱すること、ならびに、
(5)該クリームチーズブレンド物を、約1%から約36%の脂肪、約5%から約15%のタンパク質、および約45%から約75%の水分、1オンスの一人前につき少なくとも0.5gのガラクト−オリゴ糖、および1オンスの一人前につき約1g未満のラクトースを含むクリームチーズ製品を形成するように均質化することを含む。若干のラクトースは、乳清中に取り残されると思われる。
【0035】
別の態様では、カードと乳清との分離を含み、分離された乳清からのGOS回収を伴う方法が、相当の濃度のGOSおよび相当に低減された濃度のラクトースを有するクリームチーズ製品の製造のために提供され、該方法は、
(1)少なくとも約7%のラクトース濃度、好ましくは約20%から約50%のラクトースを有する乳基質を調製すること、
(2)該乳基質を約60℃から約93℃に加熱すること、
(3)加熱された該乳基質を均質化して乳ブレンドを形成すること、
(4)該乳ブレンドを約20℃から約70℃に冷却すること、
(5)該乳ブレンド物を、トランス−ガラクトシル化活性および加水分解活性を有する1または複数のラクターゼ酵素と、該乳ブレンド中に存在するラクトースの少なくとも約20%をGOSに転化するのに有効な温度および時間で処理して、酵素で処理された乳ブレンド物を提供すること、
(6)酵素で処理された乳ブレンド物のpHを、約4.3から約5.2に調節してカードおよび乳清を形成すること、
(7)乳清からカードを、分離された乳清からGOSを回収し、かつその後の加工用に該カードと組み合わせるように分離すること、
(8)約0.5%から約1%の塩および約0.1%から約1%の安定剤を任意選択で添加すること、
(9)分離されたカードを均質化して均質化されたクリームチーズブレンドを形成すること。
(10)該クリームチーズブレンドを、もし添加されたのなら乳タンパク質および安定剤を機能化するのに有効な温度および時間で加熱すること、ならびに
(11)加熱された該クリームチーズブレンドを、約1%から約36%の脂肪、約5%から約15%のタンパク質、および約45%から約75%の水分、1オンスの一人前につき少なくとも0.5gのガラクト−オリゴ糖、および1オンスの一人前につき約1g未満のラクトースを有する最終クリームチーズ製品を生み出すように均質化することを含む。
【0036】
当業者に理解されるように、本明細書に記載の方法におけるステップの順序は、変更することができ、それでも満足できるクリームチーズ製品を得ることができる。所望なら、付加的ステップも利用できる。例えば、所望される場合には、付加的な均質化ステップを実施できる。また、最終クリームチーズ製品に所望される脂肪、タンパク質、および水分含有量を提供するために必要とされる場合、付加的なクリームチーズ成分(脂肪供給源(例えば、乳脂肪、クリーム、非乳脂肪など)、タンパク質供給源、水など)を、酵素処理ステップの前または後に添加することができる。
【0037】
本明細書に記載の方法によって提供されるチーズ製品は、一人前につき少なくとも約0.5gのGOS、好ましくは一人前につき少なくとも約0.7gのGOS、より好ましくは一人前につき少なくとも約1.0gのGOS、および一人前につき1g以下のラクトースを含む。この濃度のラクトースは、ラクトース不耐症を有するほとんどの消費者が耐えるのに十分低い。
【0038】
製造コストは、前以て製造されたGOS濃縮物、またはイヌリンなどの他のプレバイオティクス成分をチーズ製品に添加することと比較して著しく低下する。
【0039】
特に、クリームチーズ製品に対して、本明細書に記載の方法は、GOSが、驚くべきことに、クリームチーズ製品に対してテクスチャー付与および安定化効果を有し、そのため、安定剤の使用低減を可能にし、かつ離液なしに最終クリームチーズ製品における増大された水分含有量を提供するので、製造コストを低減するのに効果的である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】相当に増大されたGOS含有量および相当に低減された濃度のラクトースを有する、本明細書に記載のカッテージチーズの調製方法に関する一実施形態を示す流れ図である。
【図2】相当に増大されたGOS含有量および相当に低減された濃度のラクトースを有する、本明細書に記載のプロセスチーズの調製方法に関する一実施形態を示す流れ図である。
【図3】相当に増大されたGOS含有量および相当に低減された濃度のラクトースを有する、本明細書に記載のクリームチーズの調製方法に関する一実施形態を示す流れ図である。
【図4】相当に増大されたGOS含有量および相当に低減された濃度のラクトースを有する、本明細書に記載のクリームチーズの調製方法に関する別の実施形態を示す流れ図である。
【図5】相当に増大されたGOS含有量および相当に低減された濃度のラクトースを有する、本明細書に記載のクリームチーズの調製方法に関するもう1つの実施形態を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本明細書に記載の方法は、チーズ製品、特にカッテージチーズ、クリームチーズ、およびプロセスチーズ製品中に、相当に増大されたガラクト−オリゴ糖(GOS)含有量および相当に低減されたラクトース濃度を提供する。本明細書中で提供されるチーズ製品は、また、増大された可溶性繊維含有量、低減されたカロリー含有量、優れた感覚刺激特性、改善されたテクスチャー、および風味を有する。特に、本明細書に記載のクリームチーズは、チーズケーキなどの蒸煮製品中で使用された場合に、低減された褐変を有する。さらに、本明細書に記載の方法は、GOSが、ラクトースまたはその加水分解生成物と比べてより徐々に吸収されるので、チーズ製品の血糖指数を低減する。驚くべきことに、相当に増大されたGOS含有量が、増大された水分含有量を可能にし、かつGOSが安定化機能を提供するので安定剤添加の必要性を低減することが見出された。当業者は、本明細書に記載の方法が、チーズ製品を調製する多くの従来法に適用できることを認識するであろう。
【0042】
本明細書の目的の場合、「相当に低減されたラクトース濃度」または同義句は、チーズ製品が、一人前につき約1g未満のラクトースを含むことを意味すると解釈される。本明細書の目的の場合、「相当に増大されたGOS含有量」または同義句は、チーズ製品が、一人前につき少なくとも約0.5gのGOS、好ましくは一人前につき少なくとも約0.7gのGOS、より好ましくは一人前につき少なくとも約1gのGOSを含むことを意味すると解釈される。本明細書中で規定される場合、クリームチーズおよびプロセスチーズの一人前の大きさは、一人前につき1オンスであり、カッテージチーズ製品の一人前の大きさは、一人前につき4オンスである。従来法で製造されるクリームチーズ製品は、GOSをほとんどまたはまったく含まず(すなわち、1オンスの一人前につき約0.1g未満のGOS)、約4%から約10%のラクトース、あるいは1オンスの一人前につき最大で3g未満のラクトースを含む。従来のプロセスチーズ製品は、一般に、約1%から約10%のラクトースを有し、最も一般的には約7%から8%のラクトースを有する。従来のカッテージチーズ製品は、一般に、約2%から6%のラクトースを有し、より一般的には約4%から約5%のラクトースを有する。本明細書中で提供されるプロセスおよびクリームチーズ製品は、一人前につき約1g未満のラクトースを有する。
【0043】
本明細書に記載の方法は、乳基質中に存在するラクトースをGOSに転化するための、加水分解およびトランス−ガラクトシル化活性を有する1または複数のラクターゼ酵素を使用する。本明細書中で提供されるチーズ製品は、また、従来のチーズ製品によっては提供されない健康上の利益を提供する。GOSは、ビフィドバクテリア、ラクトバクテリア、およびその他のヒト腸内微小細菌叢の増殖を選択的に促進することを含む、ヒトに対する高い栄養価値を有する。
【0044】
本明細書に記載の方法の範囲を限定することを意図するものではないが、加水分解およびトランス−ガラクトシル化活性を有する1または複数のラクターゼ酵素を、以下に一般的に記載するような各種のチーズ加工に組み込むことができる。好ましくは、該チーズ加工は、GOSが、比較的低分子量(すなわち、約1000ダルトン未満)を有し、乳清または浸透液などの流体相中に実質上逃げてしまうので、カード分離段階を含まない。もちろん、所望なら、付加的加工段階を採用して流体相からGOSを回収できるが、このような付加的段階は、製造時間およびコストを増加する。
【0045】
本明細書に記載の方法は、相当に増大されたガラクト−オリゴ糖(GOS)含有量および相当に低減されたラクトース濃度を有する、カッテージチーズ、クリームチーズ、およびプロセスチーズ製品を調製するのに使用される。好ましくは、本明細書に記載の方法は、クリームチーズ製品を調製するのに使用される。
【0046】
図1は、相当に増大されたGOS含有量および相当に低減された濃度のラクトースを有するカッテージチーズの調製方法に関する一実施形態を示す。相当に増大されたGOS含有量および相当に低減された濃度のラクトースを有するカッテージチーズ製品は、その両成分とも、該成分中に存在するラクトースをGOSに転化するためのトランス−ガラクトシル化および加水分解活性を有する1または複数のラクターゼ酵素を使用して調製されたカードおよびドレッシング成分を組み合わせて調製することができる。そのカードまたはドレッシング成分の一方のみがラクターゼ酵素処理で調製されたカードおよびドレッシングを含むカッテージチーズ製品は、一般に、その両成分ともラクターゼ酵素処理で調製されたカッテージチーズ製品と比べて、より高いラクトース含有量およびより低いGOS含有量を有するカッテージチーズ製品をもたらす。ラクトース濃度が4オンスの一人前につき約1gを超えることが許容される応用の場合には、ドレッシング成分のみがラクターゼ処理ステップで調製される方法を実施することが好ましい。ラクターゼ処理ドレッシングおよびラクターゼ処理カードの双方を含むカッテージチーズ製品は、4オンスの一人前につき少なくとも約0.5gのGOS、および4オンスの一人前につき約1g未満のラクトースを有する。
【0047】
ラクターゼ処理カッテージチーズカード成分は、乳供給源、好ましくは脱脂乳を含む乳基質を乳酸産生培養物と培養することによって、または凝固物を形成するために食用酸を添加してpHを約pH4.3から約pH5.2などの所望の酸性度へ低下させることによって調製される。1または複数のラクターゼ酵素で処理される予定の乳基質は、少なくとも約7%のラクトースを含むことが一般には好ましいが、カッテージチーズカードの調製には脱脂乳が一般に使用され、脱脂乳は、ほんの4%にすぎないラクトースを含む。トランス−ガラクトシル化および加水分解活性を有する1または複数のラクターゼ酵素は、乳酸培養物との培養の前または培養後に乳基質に添加される。乳基質をラクターゼ酵素および乳酸培養物と同時に処理するなら、1または複数のラクターゼ酵素および乳酸培養物は、たとえその条件がラクターゼ酵素にとって最適でなくとも、類似の操作変数条件、例えば、pH、温度、および反応時間を有するべきである。混合物を、乳基質中に存在するラクトースの少なくとも約20%をGOSに転化するのに有効的な時間および温度で、例えば、約20℃から約40℃で約0.25時間から約24時間、好ましくは約30℃から約40℃で約0.5時間から約16時間保持するが、正確な条件は、使用する個々のラクターゼ酵素または酵素の組合せにとって最適な条件に基づいて選択すべきである。混合物を、それが熟成し、凝固物が形成されるまで保持する。乳酸産生培養物の代わりに食用酸を使用して乳基質を酸性化するなら、酸の添加に先立って、トランス−ガラクトシル化および加水分解活性を有する1または複数のラクターゼ酵素を添加し、該乳基質を、混合物中に存在するラクトースの少なくとも20%をGOSに転化するのに有効な時間および温度で保持し、次いで、酸を添加し、混合物が凝固物を形成するのを可能にする。カードを、切断し、次いで、例えば約48℃から約60℃の温度で蒸煮する。蒸煮後、カードを、排液し、冷却する。GOSおよび未転化ラクトースのほとんどは、GOSの分子量が小さいため、カード分離ステップ中に乳清中に逃げてしまうが、小さな割合のGOSがカード中に保持される。所望なら、付加的段階を採用して、乳清からGOSを回収し、そのGOSを分離されたカードと再混合することができる。例えば、逆浸透、ナノフィルトレーション、サイズ排除クロマトグラフィー、またはアフィニティークロマトグラフィーを使用して、乳清からGOSを回収できる。しかし、このようなステップは、製造過程に相当の時間およびコストを付加する。冷却され、排液されたカードを、直ちに使用することができ、あるいは必要となるまで約0℃から約5℃で維持できる。
【0048】
ラクターゼ処理カッテージチーズドレッシング成分は、クリーム、および脱脂乾燥乳(「NFDM」)、乳タンパク質濃縮物、乳清タンパク質濃縮物などの他の乳成分を含む乳基質をまず提供することによって調製される。1または複数のラクターゼ酵素と処理される予定の乳基質は、少なくとも約7%のラクトースを含むべきである。トランス−ガラクトシル化および加水分解活性を有する1または複数のラクターゼ酵素は、乳基質に添加され、該ドレッシング中のラクトースの少なくとも約20%をGOSに転化するのに有効な温度でおよび時間、例えば、約20℃から約70℃で約0.25時間から約24時間、好ましくは約40℃から約65℃で約0.5時間から約2時間維持されるが、正確な条件は、使用する個々のラクターゼ酵素または酵素の組合せにとって最適な条件に基づいて選択すべきである。ラクターゼ処理ドレッシングを、次いで、例えば、約66℃から約93℃で約1秒から約30分間低温殺菌し、冷却する。冷却されたドレッシングは、直ちに使用することができ、あるいは必要となるまで約0℃から約5℃で維持できる。
【0049】
カッテージチーズ製品は、4オンスの一人前につき少なくとも約0.5gのGOSおよび4オンスの一人前につき約1g未満のラクトースを有するカッテージチーズ製品を提供するために、約50%から約70%のラクターゼ処理カードおよび約50%から約30%のラクターゼ処理ドレッシングを、好ましくは約60%のラクターゼ処理カードおよび約40%のラクターゼ処理ドレッシングを含む。ラクトース濃度が4オンスの一人前につき約1gを超えることが許容される応用の場合には、ドレッシング成分のみがラクターゼ処理ステップで調製される方法を実施することが好ましい。このようなカッテージチーズ製品は、4オンスの一人前につき少なくとも約0.5gのGOSを有するカッテージチーズ製品を提供するために、約50%から約70%のカードおよび約50%から約30%のラクターゼ処理ドレッシングを、好ましくは約60%のカードおよび約40%のラクターゼ処理ドレッシングを含む。
【0050】
図2は、相当に増大されたGOS含有量および相当に低減された濃度のラクトースを有するプロセスチーズの調製方法に関する一実施形態を示す。相当に増大されたGOS含有量および相当に低減された濃度のラクトースを有するプロセスチーズは、ナチュラルチーズを、乳化用塩類および相当に増大されたGOS含有量および相当に低減された濃度のラクトースを含む乳基質とブレンドすることおよび蒸煮することによって調製することができる。一般に、該乳基質は、少なくとも7%のラクトースを有する乳混合物を、トランス−ガラクトシル化および加水分解活性を有する1または複数のラクターゼ酵素と処理することによって調製される。乳混合物に適した成分には、乳脂肪、固形乳清、NFDM、乳タンパク質濃縮物、乳清タンパク質濃縮物、乳清などが含まれる。該乳成分は、乾燥粉末または液状濃縮物でよく、典型的には水和されてスラリーまたは「湿り混合物」となる。該スラリーは、少なくとも約7%のラクトースを含むべきである。次いで、スラリーを、トランス−ガラクトシル化および加水分解活性を有する1または複数のラクターゼ酵素と、該スラリー中のラクトースの少なくとも約20%をGOSに転化するための時間および温度で、例えば、約20℃から約70℃で約0.25時間から約24時間、好ましくは約40℃から約65℃で約0.5時間から約2時間処理するが、正確な条件は、使用する個々のラクターゼ酵素または酵素の組合せにとって最適な条件に基づいて選択すべきである。乳基質を、乳化用塩類などの任意の残り成分に添加し、チーズ(例えば、チェダーチーズ、コルビーチーズ、スイスチーズ、ブリックチーズ、ミュンスターチーズ、パスタフィラータチーズ、ウォッシュカード、および顆粒状カードチーズなど)とブレンドし、蒸煮してプロセスチーズを形成する。プロセスチーズ製品は、1オンスの一人前につき少なくとも約0.5gのGOSおよび1オンスの一人前につき約1g未満のラクトースを有する。
【0051】
無脂肪、低脂肪、または全脂肪クリームチーズ製品は、本明細書に記載の方法を使用して製造できる。例えば、クリームチーズを調製するための伝統的なカード−タイプの加工では、乳とクリームとの混合物を、乳酸形成細菌と培養してラクトースを乳酸に転化する。培養は、pHが十分に低下してカードを形成するまで継続し、次いで、カードを乳清から機械的に分離し、カードを加工して最終クリームチーズ製品を調製する。伝統的なカード−タイプの加工で使用される培養ステップに対する代替として、該方法は、食品級酸味料の直接添加を含むことができる。食品級酸味料は、クエン酸、酢酸、乳酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、塩酸、硫酸、リン酸、グルコノ−δ−ラクトンなどの食用酸、またはそれらの組合せである。より新規な無カード/無乳清−タイプの加工では、乳タンパク質濃縮物(MPC)、乳清タンパク質濃縮物(WPC)、およびチーズ乳清などの乳成分を、所望のpHまで培養し、次いで、乳清からカードを分離するためのステップを含めないで加工して最終クリームチーズ製品を調製する。既知法のさらなる変形形態には、MPC、WPC、およびチーズ乳清などの乳成分を、別な方法で伝統的なカード−タイプの加工中に組み込む方法が含まれる。クリーム、乳、脱脂乳、バターミルク、チーズ乳清、一部の水が除去された任意の前記物、無水乳脂肪、脱水クリーム、製造用脱脂乳チーズ、チーズ乳清からのアルブミンなどの任意選択の乳成分を、伝統的に製造されたカード、または無乳清法で液状培養した、もしくは酸性化して限外濾過した保持物(retentate)に添加することができる。別の態様では、クリームチーズを、無乳清法で再水和された粉末成分から調製できる。所望なら、非乳脂肪(例えば、植物油)を使用することもできる。
【0052】
図3〜5に示す方法は、加水分解およびトランス−ガラクトシル化活性を有する1または複数のラクターゼ酵素の各種のクリームチーズ加工に組み込むことの単なる例示であり、限定することを意図したものではない。
【0053】
例えば、図3は、GOSを含みかつ低減された濃度のラクトースを有するクリームチーズを調製するための無乳清法に関する1つの実施形態を示す。少なくとも約7%、好ましくは約20%から約50%のラクトース濃度を有する乳基質を調製する。好ましくは、該乳基質は、乳清タンパク質濃縮物、乳タンパク質濃縮物、脱脂乾燥乳などの再水和成分、および/または乳清、脱脂乳、全乳、液状乳清タンパク質濃縮物、液状乳タンパク質濃縮物などの流体乳濃縮物を含む。任意選択で、該乳基質は、さらに、クリームおよび/または乳脂肪などの付加的クリームチーズ成分を含むことができるが、含めるなら、これらの成分は、乳基質のラクトース濃度を希釈するので、酵素処理の後にこれらの成分を添加することが好ましい。次いで、該乳基質を、低温殺菌(例えば、約66℃から約93℃で約1秒から約30分間)し、均質化(例えば、約2000psiから約10,000psiで)して、均質な乳ブレンドを製造する。次いで、該乳ブレンドを、従来からの方法を使用して約20℃から約70℃に冷却する。冷却された乳ブレンドを、加水分解およびトランス−ガラクトシル化活性を有する1または複数のラクターゼ酵素と、ラクトースの約20%をGOSに転化するのに有効な時間および温度で、例えば、約20℃から約70℃で約0.25時間から約24時間、好ましくは約40℃から約65℃で約0.5時間から約2時間処理するが、正確な条件は、使用する個々のラクターゼ酵素または酵素の組合せにとって最適な条件に基づいて選択すべきである。図3に点線で示すように、任意選択で、クリームおよび/または乳脂肪などの脂肪に富むクリームチーズ成分を、最初の乳基質にではなく、酵素処理ステップ後の酵素処理乳ブレンドに添加して、クリームチーズ混合物を形成することができ、この場合、該混合物を約40℃から約70℃に加熱してエマルジョンの形成を助け、次いで均質化してクリームチーズブレンドを形成する。次いで、ブレンドを冷却するか、あるいは約18℃から約45℃に放冷し、約4.3から約5.2のpHとなるように処理する。pHは、食用の無機または有機酸を添加することによって、あるいは乳酸産生培養物と処理して約4.3から約5.2のpHとなるように、例えば、約18℃から約45℃で約2時間から約24時間培養することによって調節できる。酸性化された乳ブレンドを、次いで、約76℃から約93℃で約5分から約20分間加熱して培養物を不活化し(酸性化のために使用されるなら)、および/または乳タンパク質を機能化する。付加的クリームチーズ成分(脂肪(例えば、乳脂肪、クリーム、非乳脂肪など)、安定剤、塩、水など)を、酵素処理ステップの前または後に添加できる。好ましくは、約0.1%から約1.0%の安定剤、および約0.5%から約1.5%の塩が添加される。甘味料(天然および/または人工の)、着色料、風味料などのその他の添加剤も、所望なら、添加することができる。加熱された混合物を、次いで、約2000psiから約10,000psiなどで均質化し、相当に増大されたGOS含有量を含みかつ相当に低減されたラクトース濃度を有する乳化されテクスチャーを付与された最終クリームチーズ製品を提供する。最終クリームチーズ製品は、約1%から約36%の脂肪、約5%から約15%のタンパク質、約45%から約75%の水分、1オンスの一人前につき少なくとも約0.5gのGOSを含み、相当に低減されたラクトース濃度を有する。
【0054】
例えば、図4は、相当に増大されたGOS含有量および相当に低減された濃度のラクトースを有するクリームチーズの調製方法に関するもう1つの実施形態を示す。第1乳基質を、例えば約66℃から約93℃で約1秒から約30分間低温殺菌し、例えば約2000psiから約10,000psiで均質化する。次いで、混合物を約18℃から約45℃に冷却し、該混合物を約4.3から約5.2のpHとなるように処理する。pHを、当技術分野で周知の方法によって、例えば、食用の無機または有機酸を添加することによって、あるいは乳酸産生培養物と例えば約18℃から約45℃で約2時間から約24時間処理することによって調節して、カードを形成することができる。次いで、カードを、乳清または浸透液流から、遠心分離または膜濾過などの当技術分野で周知の任意手段で分離する。少なくとも約7%、好ましくは約20%から約50%までのラクトース濃度を有する第2乳基質を、約40℃から約73℃の温度に加熱し、加水分解およびトランス−ガラクトシル化活性を有する1または複数のラクターゼ酵素と、の少なくとも約20%をGOSに転化するのに有効な温度および時間で、例えば、約20℃から約70℃で約0.25時間から約24時間、好ましくは約40℃から約65℃で約0.5時間から約2時間処理する。酵素で処理された材料を、次いで、第1乳基質から調製された分離カードとブレンドし、クリームチーズ混合物を形成する。一般に、酵素で処理された材料の約10%から約75%を、カードの約25%から約90%とブレンドする。カードと酵素で処理された材料との相対的量は、一般に、酵素で処理された材料のラクトース含有量および最終クリームチーズ製品に所望されるGOS含有量によって決まる。例えば、最終クリームチーズ製品におけるGOS目標が、一人前につき0.75gであり、かつ、酵素で処理された材料が7%のラクトースを含むなら、約24%のカードを、約76%の酵素で処理された材料と組み合わせるべきである。また、例えば、酵素で処理されたスラリーが約50%のラクトースを含み、かつ最終クリームチーズ中のGOS目標が一人前につき0.75gであるなら、約89%のカードを、酵素で処理された約11%の材料と組み合わせるべきである。GOS目標が、一人前につき0.75gを超えるなら、カードの比率を低下させる。当業者は、最終クリームチーズ製品のための特定のGOS含有量に導くために、カードおよび酵素で処理された材料の必要量を容易に計算できる。任意選択で、安定剤および塩を、それぞれ好ましく約0.1%から約0.5%および約0.5%から約1%で添加できる。乳タンパク質および安定剤を機能化し、クリームチーズ混合物を低温殺菌するために、クリームチーズ混合物を、約76℃から約93℃に加熱して約5分から20分間蒸煮する。次いで、熱いクリームチーズ混合物を、例えば、約2000psiから約10,000psiで均質化して、相当に増大されたGOS含有量および相当に低減されたラクトース濃度を有する最終クリームチーズ製品を形成する。最終クリームチーズ製品は、約1%から約36%の脂肪、約5%から約15%のタンパク質、約45%から約75%の水分、1オンスの一人前につき少なくとも約0.5gのGOSを含み、かつ相当に低減されたラクトース濃度を有する。
【0055】
例えば、図5は、相当に増大されたGOS含有量および相当に低減された濃度のラクトースを有するクリームチーズの調製方法に関するもう1つの実施形態を示す。この態様では、乳およびクリームなどの伝統的な乳成分を、液状濃縮物または脱水形態のMPC、WPC、WPI、脱脂乳、無水乳脂肪、非乳脂肪などの代替成分と組み合わせて使用することができる。乳成分をブレンドして、少なくとも約7%のラクトースを有する乳基質を準備する。該乳基質を、約60℃から約93℃に加熱し、均質化する。均質化された乳基質を、次いで、加水分解およびトランス−ガラクトシル化活性を有する1または複数のラクターゼ酵素と、乳ブレンド中のラクトースの少なくとも約20%をGOSに転化するのに有効な時間および温度で、例えば、約20℃から約70℃で約0.25時間から約24時間、好ましくは約40℃から約65℃で約0.5時間から約2時間処理する。酵素で処理された乳基質を、約18℃から約45℃にし、約4.3から約5.2のpHとなるように処理する。次いで、酸性化された混合物を、乳清流からGOSを回収するのに有効な操作を使用してカードと乳清とに分離する。例えば、逆浸透、ナノフィルトレーション、サイズ排除クロマトグラフィー、またはアフィニティークロマトグラフィーを使用して乳清からGOSを回収することができる。遠心分離または限外濾過などのカードと乳清の典型的な分離法は、GOSが1500Da未満の分子量を有し、ほとんどがこのような操作で分離された乳清中に取り残されるので、適していない。回収されたGOSを、分離されたカードと組み合わせ、次いで、約76℃から約93℃に加熱する。所望なら、熱い混合物に、撹拌しながら任意選択で付加的なクリームチーズ成分を添加することができる。好ましくは、約0.5%から約1.5%の塩および約0.1%から約1.0%の安定剤を添加する。混合物を、約66℃から約93℃に約1秒から約30分間維持し、酵素および培養物を不活化し(使用したなら)、乳タンパク質および安定剤(使用したなら)を機能化して、最終の低温殺菌を提供する。次いで、混合物を、例えば約2000psiから約10,000psiで均質化し、1オンスの一人前につき少なくとも約0.5gのGOSを含み、かつ相当に低減されたラクトース濃度を有するクリームチーズを乳化し、テクスチャーを付与する。
【0056】
さらに別の態様では、少なくとも約7%のラクトースを有する乳基質を、加水分解およびトランス−ガラクトシル化活性を有する1または複数のラクターゼ酵素と、該乳基質中に存在するラクトースの少なくとも約20%をGOSに転化するのに有効な時間および温度で処理することができる。処理された乳基質を、次いで、例えば、凍結または脱水などによって処理し、後のクリームチーズ加工で使用するために貯蔵することができる。
【0057】
当業者は、本明細書に記載の各種加工ステップの順序は、修正され得るが、総合的なチーズ収量の低下をもたらさず、GOS含有量を低減せず、あるいはラクトース濃度を増大させないように選択すべきであることを認識するであろう。換言すれば、チーズ加工に対する修正は、なお、1オンスの一人前につき少なくとも約0.5gのGOSおよび1オンスの一人前につき約1g未満のラクトースを有するチーズ製品をもたらすべきである。
【0058】
一般に、乳基質は、ラクターゼ酵素のトランス−ガラクトシル化活性が、約7%未満のラクトースを有する乳基質では効率が低いので、少なくとも約7%のラクトースを含むべきである。好ましくは、該乳基質は、約20%から約50%のラクトースを含む。所望なら、ラクトースがそのような増大した濃度でも溶けたままである限り、50%を超えるラクトース濃度を有する乳基質を使用できる。しかし、ラクトースは、一般に、50%を超える濃度で溶解しない。
【0059】
本明細書中で提供される方法は、加水分解およびトランス−ガラクトシル化活性(後者の活性が所望のGOSを産生する)を有するラクターゼ酵素またはラクターゼ酵素の組合せを利用する。ラクトースを分解してグルコースとガを作らなければならないので、加水分解が、GOS産生の第1ステップである。ラクトース濃度が高いほど(例えば、約7%を超えるラクトース濃度)、トランス-ガラクトシル化が優勢であり、ラクトース分子から分解されたガは、ラクトースまたはオリゴマーに付加される。トランスガラクトシル化に不利である条件下(例えば、7%未満のラクトース濃度)で、ガは、加水分解生成物として蓄積する。トランス−ガラクトシル化は、反応が、少なくとも約7%のラクトースなどの比較的高められたラクトース濃度を有する乳基質中で行われる場合に、加水分解を超えて優勢である。本明細書に記載の方法は、流動性の乳を含む乳基質を使用して行うことができるが、少なくとも約7%のラクトース、好ましくは少なくとも約20%から約50%のラクトースを含む乳基質を調製することが好ましい。流動性の乳は、約3.5%から約4%のラクトースを含む。乾燥および濃縮された成分などのいくつかの乳成分は、より高いラクトース濃度を含む、例えば、乾燥乳清は、約78%から約80%のラクトースを含み、脱脂乾燥乳(NFDM)は約52%のラクトースを含む。乾燥乳清タンパク質濃縮物(WPC)は、約48.5%までのラクトースを含み、一方、流動性の乳清濃縮物は約37.5%のラクトースを含む。その他の乳成分は低いラクトース濃度を含む。例えば、クリームは約2%のラクトースを含み、一方、無水乳脂肪は、ラクトースをほとんどまたはまったく含まない。本明細書に記載の方法で使用するのに好ましい乳基質には、流動性の乳とクリームとの混合物などの従来からの出発原料の一部またはすべてに取って代わる、乳清タンパク質濃縮物(WPC)、乳タンパク質濃縮物(MPC)、チーズ乳清、脱脂乳、(乳および乳清の限外濾過膜分離の副産物である)乳浸透物および乳清浸透物などの粉末乳成分または濃縮液状乳成分が含まれる。トランス−ガラクトシル化反応は、高濃度のラクトースで優れた反応速度を有し、かつこのような高濃度は、再水和された粉末乳成分および/または濃縮液状乳成分を含む乳基質を使用することによって容易に達成されるので、好ましい乳基質には、粉末乳成分および濃縮液状乳成分が含まれる。再水和された粉末乳成分および/または濃縮液状乳成分は、これらの成分を使用して所望のラクトース濃度を有する乳基質を容易に調製することができるので、ラクトースをラクターゼ酵素でGOSに転化するための好ましい乳基質である。粉末乳成分および/または濃縮液状乳成分を含む乳基質は、また、好都合なことに、最終クリームチーズ製品中にタンパク質などのその他の成分を提供できる。別法として、より新規な「無乳清」クリームチーズ加工(すなわち、乳清除去ステップを含まないクリームチーズ加工)では、粉末乳成分を水で再構成し、出来上がったクリームチーズ製品中に見出されるのと同様の水分含有量を提供することができ、その結果、乳清の分離ステップが必要でない。
【0060】
一般には、ラクトース含有乳基質を、加水分解およびトランス−ガラクトシル化活性を有する1または複数のラクターゼ酵素と、該乳基質中のラクトースの少なくとも約20%をGOSに転化するのに有効な時間および温度で接触させる。好ましくは乳基質中に存在するラクトースの少なくとも約30%がGOSに転化される。典型的には、平衡の問題のため、GOSまたは加水分解生成物(例えば、主要な自由加水分解生成物は、典型的にはグルコースであり、副次的な自由加水分解生成物は、典型的にはガである)に転化される乳基質中のラクトースは80%を超えない。GOSまたは加水分解生成物に転化されるラクトースの中の最大で約75%を、GOSに転化することができ、残りは、化学量論によって制約されながら加水分解生成物に転化される。
【0061】
重要な一態様において、1または複数のラクタマーゼ酵素は、乳基質中に存在するラクトースの約25%から約70%をGOSおよび加水分解生成物に転化し、転化されたラクトースの少なくとも20%、好ましくは少なくとも約30%、より好ましくは少なくとも約50%、さらにより好ましくは少なくとも約70%は、GOSであり、転化されたGOSの残りは、グルコースおよびガなどの加水分解生成物である。
【0062】
当業者が認識するように、ラクトースの酵素的転化で産生されるGOS対加水分解生成物の比率は、選択した1または複数のラクターゼ酵素の活性、および温度、pH、ラクトース濃度、酵素濃度、およびイオン強度などの操作条件によって決まる。例えば、反応は、7%未満のラクトース濃度で実施することができるが、このような条件下では、転化されたラクトース中のより少ない部分(一般には、約20%から約50%)がGOSを形成し、残りは加水分解生成物を形成する。また、例えば、反応は、より低い温度で(例えば、約15℃から約30℃)実施できるが、GOSへの所望の転化を達成するためには、約2時間から約24時間などのより長い反応時間が必要とされる可能性がある。
【0063】
本明細書に記載の方法で有用な酵素には、精製酵素、あるいは加水分解およびトランス−ガラクトシル化活性を有するラクターゼ酵素を産生する培養物の完全細胞または破砕細胞中に提供される酵素などの、当技術分野で周知の酵素調製品が含まれる(例えば、ビフィドバクテリウム・インファンタス(Bifidobacterium infantus)、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)、ペニシリウム・シンプリシスム(Penicillium simplicissum)、ブレラ・シングラリス(Bullera singularis)など)。加水分解およびトランス−ガラクトシル化活性の双方を有するラクターゼ酵素を使用できる。所望なら、ラクターゼ酵素の組合せを使用して、加水分解およびトランス−ガラクトシル化活性を有する酵素の混合物を提供できる。所望なら、加水分解およびトランス−ガラクトシル化活性を有するラクターゼ酵素を含む活性または不活性培養物を使用できる。
【0064】
本明細書に記載の方法に好ましい酵素は、約0.3より大きい、好ましくは約0.5より大きい、より好ましくは約0.8より大きい、トランス−ガラクトシル化活性対加水分解活性の比率を有する。トランス−ガラクトシル化活性は、ラクターゼ酵素をラクトースと反応させること、およびGOSの形成を、参照によりその全体で本明細書に組み込まれる文献に記載されているように、HPLCで測定することによって評価できる(例えば、非特許文献5、非特許文献6参照)。好ましいラクターゼ酵素には、Biolacta(Amano Enzymes)およびMaxilact LX(Novazyme)が含まれる。加水分解活性は、参照によりその全体で本明細書に組み込まれる文献に記載されているように、ONPG(o−ニトロフェニル−β−D−ガラクトピラノシド)をラクターゼ酵素とpH7および37℃で処理すること、および420nmでの吸光度増加を追跡して加水分解を測定することによって計算できる(例えば、非特許文献7参照)。
【0065】
好ましい態様において、酵素処理は、約40℃から約65℃で約0.5時間から約2時間実施される。一般に、トランス−ガラクトシル化活性を有する1または複数のラクターゼ酵素を、100gの乳基質につき約125から約5000のβ−ガラクトシダーゼ酵素単位で、100gの乳基質につき好ましくは約500から約1500のβ−ガラクトシダーゼ酵素単位で使用される。もちろん、所望なら、より少量またはより多量の酵素を使用することができ、反応時間は、当業者によって容易に確かめられるように、ラクトースのGOSへの所望の転化を達成するように調節されるであろう。好ましくは、混合物に添加される1または複数のラクターゼ酵素の量は、酵素のコストと延長される酵素処理期間の出費とを均衡させる量として選択される。
【0066】
当技術分野で周知の任意の方法を使用して、処理された乳基質を酸性化することができる。一態様では、乳基質を、クエン酸、酢酸、乳酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、塩酸、硫酸、リン酸、グルコン酸、グルコノ−δ−ラクトンなど、またはこれらの組合せの、1種または複数の食品級酸を用いて直接的に酸性化することができる。一般に、乳基質のpHは、約4.3から約5.2、好ましくは4.6から約4.8のレベルに下げられる。別法として、処理された乳基質を、乳酸産生クリームチーズ培養物と、約4.3から約5.2のpHに到達するのに有効な時間および温度で、例えば、約15℃から約45℃の温度で約2時間から約24時間、好ましくは約18℃から約22℃で約12時間から約16時間処理することによって酸性化することができる。適切なクリームチーズ培養物の例には、限定はされないが、L.ラクチス(L.lactis)、L.アシドフィルス(L.acidophilus)、L.ラクチス亜種クレモリス(L.lactis subsp.cremoris)、L.ブルガリカス(L.bulgaricus)、S.サーモフィルス(S.thermophilus)、L.カゼイ(L.casei)、L.ラクチス(L.lactis)、L.ヘルベチカス(L.helveticus)、またはその他の乳酸培養系が含まれる。本明細書に記載の方法で使用するのに好ましいクリームチーズ培養物には、乳酸菌の混合物を含むD11SおよびDX−37B(Chr.Hansen、Milwaukee、ウィスコンシン州)が含まれる。
【0067】
当技術分野で周知のように、乳酸産生培養物をスターター培養物として添加できる。スターター培養物は、典型的には、乳酸産生細菌をクリームチーズの製造工程で使用すべき量に比較して比較的少量の乳基質に接種することによって確立される。培養物は、クリームチーズ製造のバッチのために乳基質の全量に接種するのに使用される前に、細菌の増殖を支援する温度でインキュベートされる。別法として、クリームチーズミックスに直接的に添加される凍結または乾燥培養濃縮物を含む、ダイレクトバットセット(「DVS」)培養物を使用できる。
【0068】
1または複数のラクターゼ酵素および乳酸発酵培養物を培養容器にほぼ同時点で添加することによって、酵素処理および培養ステップを併合して、単一のステップとすることができる(培養ステップを酸性化のために使用する方で)ことを認識すべきである。このような併合ステップを可能にするためは、1または複数の酵素および培養物が、pH、温度、および反応時間などの類似した操作条件を有するべきである。別法として、発酵によって乳酸を産生し、かつまた加水分解およびトランス−ガラクトシル化活性を有する酵素を産生する1種または複数の微生物を含む多機能性培養物を使用できる。
【0069】
一態様では、乳基質を、培養ステップを含む工程で培養するのに先立って、従来技術を使用して低温殺菌する。好ましくは、低温殺菌は、プレ−トアンドフレーム式熱交換器中などで約66℃から約93℃の温度で約1秒から約30分間実施される。一般に、低温殺菌工程は、1または複数のラクターゼ酵素を不活化するのに有効である。したがって、1または複数のラクターゼ酵素は、一般に、加工助剤として機能し、最終クリームチーズ製品中に活性な酵素は残存しない。
【0070】
1または複数のラクターゼ酵素によって消費されるラクトースに加え、酸性化ステップでラクトース発酵培養物を使用するなら、若干のラクトースは、ラクトース発酵培養物の作用によって消費され、乳酸に転化される。残留(すなわち、未転化または未反応の)ラクトースは、工程に乳清分離ステップが含まれていないなら、最終クリームチーズ製品中に残ったままである。一般に、若干の未転化ラクトースは、乳清分離ステップで乳清と共に除去される。最終クリームチーズ製品中のラクトース量を、もし使用するなら、例えば、水、クリーム、および乳脂肪などの、ラクトースをほとんどまたはまったく含まない乳成分を含めることによってさらに低減することができる。このような成分を含めることは、最初の乳基質中のラクトース濃度を希釈するので、これらの低ラクトース成分、特に水の全部または一部を、酵素処理の後に添加することが有利である。
【0071】
直接酸性化による、または培養による酸性化に続いて、混合物を、好ましくは約76℃から約93℃で約5分から約20分間の加熱ステップにかけ、乳タンパク質の機能化を促進する。次いで、加熱された混合物を、乳化および/または安定化用塩、食塩、ガムなどの親水コロイド、デンプン、マルトデキストリンなど、またはこれらの組合せのような付加的クリームチーズ成分、ならびにその他の一般的なクリームチーズ添加剤とブレンドすることができる。約0.5%から約1.5%の塩、および約0.1%から約1.0%のガム類などの食品級親水コロイド、デンプン、マルトデキストリンなどの1種または複数の選択された安定剤を添加することが好ましい。適切なガムの例には、カロブ(carob)、グアール、キサンタン、カラゲナン、ゼラチンなど、またはこれらの混合物が含まれる。例えば、カロブとキサンタンガムとの混合物が好ましい。デンプンは、修飾コーンスターチ、馬鈴薯デンプン、タピオカデンプンなど、またはこれらの混合物のような任意の食品用デンプンでよい。修飾マルトデキストリン(「C*delight」MD01970、Cargill,Minneapolis、ミネソタ州)などのマルトデキストリンを使用できる。好ましくは、デンプンは、Maxigel 700(Tate & Lyle、Decatur、イリノイ州)などの修飾されたワックス状トウモロコシである。
【0072】
好ましくは、付加的クリームチーズ成分は、熱い乳混合物に添加され、該混合物を、安定剤の可溶化および機能化を促進するため、および混合物を低温殺菌するために、約76℃から約93℃でさらに約5分から約20分間保持する。最後に、熱い混合物を均質化して、クリームチーズ製品を乳化しテクスチャーを付与する。好ましくは均質化の前に、任意選択で、カルシウム、ビタミン、風味料、着色料、およびその他ミネラルなどのその他の添加物を添加することができる。天然の乳風味料またはその他の風味料を、任意選択で、本明細書に記載の方法の範囲内で添加することができる。クリームチーズに風味料を付加するためのいくつかの方法は、当業者に周知であり、本明細書に記載の方法に容易に組み込むことができる。加工ステップ中での損失を回避するために、最終の均質化ステップの前など、工程の末期に風味料を添加することが好ましい。低温殺菌された果実または果実片、およびナッツなどの顆粒状薬味は、最後の均質化ステップの後に添加すべきである。無菌果実ピューレなどを、包装直前に、部分的に冷却され均質化されたクリームチーズとかき混ぜるかブレンドすることができる。
【0073】
均質化は、工程中の多くの異なるステップで実施することができる。典型的には、乳基質は、実質上均質な混合物を形成するために、次のステップに進む前に混合される。一般に、均質化は、従来からの技術およびGaulin社製2段式ホモジナイザー(APV、Lake Mills、ウィスコンシン州)などの装置を使用して実施できる。均質化は、典型的には、高められた圧力で実施されるが、乳基質を均質化するのに有効である任意の方法を使用できる。好ましくは、混合物を、その第1段が約2000psiから約10,000psi(好ましくは、約3000psiから約5000psi)の圧力であり、第2段が約200psiから約1000psi(好ましくは約500psiから約1000psi)の圧力である、2段階の均質化工程にかける。別法として、所望なら、1段階の均質化ステップを使用できる。好ましくは、均質化ステップは、クリームチーズの所望されるテクスチャーを得るため、工程の最終ステップとして実施される。最終クリームチーズ製品を、当技術分野で周知の任意の方法によって包装することができる。好ましくは、均質化された最終製品を約68℃で熱時包装するが、所望なら、包装に先立って冷却してもよい。
【0074】
一般に、本明細書中に記載されるような、相当に増大されたGOS含有量および相当に低減されたラクトース濃度を有するクリームチーズ製品は、GOSを含まないクリームチーズ製品に比べてわずかに高い、50℃で約500cpsから約1000cpsの粘度を有する。もちろん、最終クリームチーズの粘度は、所望の通りに調節できる。クリームチーズの粘度(応力をもたらす)は、典型的には、参照によりその全体で本明細書に組み込まれる文献に記載されているように、Haake VT550粘度計(Haake、Paramus、ニュージャージー州)を使用して測定される(例えば、非特許文献8参照)。必要なら、粘度調節剤を添加して粘度を調節することができる。例えば、所望なら、水を添加して、または加工中に添加される安定化および増粘用親水コロイドの量を低減して、粘度を下げ得る可能性がある。所望なら、増粘剤(例えば、天然または修飾デンプン、ガム、親水コロイドなど)を添加して粘度を増大させることができる。一般に、このような粘度調節剤は、使用するなら、約1%未満の濃度で添加される。
【0075】
本明細書中で提供されるクリームチーズ製品は、心地よいマイルドな乳風味を伴った、堅く、滑らかで、かつ伸びのあるテクスチャーを有する。驚くべきことに、GOSは、安定剤として作用し、そのため、安定剤の使用低減を可能にし、あるいは離液なしに水分増加を可能にすることが見出された。
【0076】
さらに、該方法は、甘味風味料の望ましくない増量なしで、ラクトースの低減されたクリームチーズ製品を提供する。グルコースは、ラクトースに比べてわずかにより甘い風味を有するが、加水分解によって形成されるグルコース量は、最初のラクトース量の甘味に比べてより少ない甘味を提供し、その結果、加水分解生成物によって提供される最終クリームチーズ製品に対する甘味風味の望ましくない増加はない。本明細書に記載のトランス−ガラクトシル活性対加水分解活性の望ましい比率は、ラクトース加水分解対GOS形成の適切な均衡を提供し、最終チーズクリーム製品の総合的風味に寄与する。
【0077】
以下の実施例により、本明細書に記載の方法および製品を説明し例示する。これらの実施例は、本明細書に記載の方法の単なる実例となるものであって、範囲または精神に関してそれを制約するものではないと解釈される。当業者は、これらの実施例中に記載の材料、条件、および方法の変形形態を使用できることを、容易に理解するであろう。本明細書中で引用されるすべての参照文献は、参照によりその全体で組み込まれる。別途記載しない限り、すべてのパーセンテージおよび比率は、重量による。
【実施例1】
【0078】
この実施例は、図3に示す本発明の方法を例示する。クリームチーズ製品を、次の工程、すなわち(1)25.1kgのクリーム、36.95kgの水、1.45kgの乾燥乳清(Associated Milk Producers,Inc.、Blair、ウィスコンシン州)、および9.23kgのWPC50(Associated Milk Producers,Inc.、Blair、ウィスコンシン州からの50%乳清タンパク質濃縮物)を混合して乳基質を形成する工程、(2)該乳基質を60℃まで予備加熱し、Gaulin社製2段式ホモジナイザー(APV、Lake Mills、ウィスコンシン州)を使用して5000/500psiでその乳基質を均質化する工程、および(3)均質化された乳基質を、プレート式熱交換器中、81.1℃で約22秒間低温殺菌し、次いで、プレート中の均質化された乳基質を22℃まで冷却する工程、を使用して調製した。次いで、冷却された乳基質を、分割して、以下で説明するように、本発明の方法および酵素を添加しない対照法の双方を利用してクリームチーズ製品を調製するのに使用した。
【0079】
本発明のサンプルは、次のように調製した、すなわち、100gの乳基質を、0.025%のBiolacta酵素(Amano、Elgin、イリノイ州)(約0.6であるトランス−ガラクトシル化対加水分解の比率を有する)と60℃で1時間処理した。酵素処理に続いて、88%乳酸を用いて混合物をpH4.8まで直接的に酸性化した。生じたクリームチーズを、10分間で93.3℃まで加熱して、乳タンパク質を機能化し、酵素を不活化した。
【0080】
比較のため、酵素処理ステップを使用しないことを除けば上記方法と同一の方法を使用して、対照用クリームチーズを調製した。
【0081】
対照および本発明によるクリームチーズ試料の粘度を、Viscoanalyzer RVA(Newport Scientific)を使用して50℃で測定した。対照および本発明によるサンプル中のラクトースおよびGOS含有量を、Aminex HPX−87Cカラム(300×7.8mm、Biorad、Hercules、カリフォルニア州)、0.03N硝酸の移動相、およびWaters410 RI検出器(Waters、Milford、マサチューセッツ州)を使用するHPLC(Waters、Waltham、マサチューセッツ州)によって測定した。
【0082】
対照クリームチーズ試料は、7.5%のラクトースを含み、検出可能なGOSを含まず、634cpの粘度を有した。本発明のクリームチーズ試料は、4.0%のラクトース、2.5%のGOSを含み、934cpの粘度を有した。加水分解およびトランス−ガラクトシル化活性を有するラクターゼ酵素での処理は、本発明試料のGOSおよびラクトース濃度の双方に相当の効果を有した。
【実施例2】
【0083】
この実施例は、図3によるもう1つの実施形態を例示し、実施例1に類似しているが、酵素的酸性化の後にクリームを添加し、酸性化のためにクリームチーズ培養物を使用する。9.93kgの水、8.57kgのWPC50、および1.36kgの乾燥乳清を含むスラリーを、27℃で22秒間加熱し、そしてGaulin社製2段式ホモジナイザー(APV、Lake Mills、ウィスコンシン州)を使用して5000/500psiで均質化した。均質化されたスラリーを、0.05%のBiolacta酵素とブレンドし、60℃で1時間インキュベートした。次いで、このスラリーの一部(18.36kg)を20.88kgのクリームおよび23.8kgの水と混合した。比較の目的のため、各成分の最終比率は実施例1とほぼ同様とする。混合物を、60℃に予備加熱し、Gaulin社製2段式ホモジナイザーを使用し5000/500psiで均質化し、81.1℃で約22秒間低温殺菌し、22℃まで冷却し、クリームチーズ培養物(DVS DX−37B、Chr.Hansen、MiIwaukee、ウィスコンシン州)を接種し、20℃で一夜培養した。培養された混合物を、次いで、93.3℃まで加熱し10分間保持した。加熱処理に続いて、43.4kgの熱いカードを、22.7gのソルビン酸、450gの塩、172.5gのカロブガム、31.8gのキサンタンガム、408.6gのリン酸三カルシウム、および957.9gの修飾マルトデキストリン(C−delight MD1970;Cargil、Minneapolis、ミネソタ州)と合わせた。次いで、安定剤を機能化するために、混合物を79℃でさらに10分間保持した。加熱された混合物を、次いで、5000/500psiで均質化し、73.9℃で充填し、10℃まで一夜放冷した。
【0084】
最終製品中に存在するGOS量は、出発原料中のラクトース量を測定すること、最終製品中に存在するラクトースおよび加水分解生成物(グルコースおよびガ)の量を測定すること、そして差を求めることによって推算される。生じたクリームチーズは、1.5%の計算によるGOS含有量および2.9%のラクトース濃度を有した。培養された対照試料は、5.35%のラクトースを有し、GOSを含まないと推算された。クリームチーズの堅さは、TAXT Textureアナライザー(SMS、Algonquin、イリノイ州、直径1cmの円筒プローブ)を使用して測定され、酵素処理なしで調製された対照試料で142gであるのに対比して、本発明によるクリームチーズでは167gであることが見出された。
【0085】
図4および5に記載の方法を実施することによっても、同様の結果が予想される。
【0086】
前述の詳細な説明を考察することによって、本明細書に記載の方法の実施に関して、多くの修正形態および変形形態が当業者に思い浮かぶと予想される。したがって、このような修正形態および変形形態は、以下の特許請求の範囲内に含まれると解釈される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相当に低減されたラクトース濃度を有するガラクト−オリゴ糖含有チーズ製品の製造方法であって、
a)ラクトース含有乳基質を、トランス−ガラクトシル化活性および加水分解活性を有する1または複数のラクターゼ酵素と、該乳基質中に存在するラクトースの少なくとも20%をガラクト−オリゴ糖に転化するのに有効な時間および温度で処理するステップ、および
b)処理された該乳基質を、一人前につき少なくとも約0.5gのガラクト−オリゴ糖、および一人前につき約1g未満のラクトースを有するチーズ製品を提供するように加工するステップ、を含み、
該チーズ製品は、カッテージチーズ、プロセスチーズ、およびクリームチーズからなる群から選択され、該ラクトース含有乳基質は、プロセスチーズおよびクリームチーズ用には少なくとも約7%のラクトースを、カッテージチーズ用には少なくとも約4%のラクトースを有し、かつプロセスチーズおよびクリームチーズに関する一人前の大きさは1オンスであり、カッテージチーズに関する一人前の大きさは4オンスであることを特徴とする製造方法。
【請求項2】
ラクトース含有乳基質は、乳、クリーム、乳タンパク質濃縮物、乳清タンパク質濃縮物、チーズ乳清、脱脂乳、非乳脂肪、乳脂肪、およびこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
チーズ製品は、クリームチーズであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ラクターゼ酵素は、約0.3から約1.0であるトランス−ガラクトシル化活性対加水分解活性の比率を有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ラクターゼ酵素は、約0.7から約1.0であるトランス−ガラクトシル化活性対加水分解活性の比率を有することを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
チーズ製品は、一人前につき少なくとも約0.7gのガラクト−オリゴ糖を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
相当に低減されたラクトース濃度を有するガラクト−オリゴ糖含有クリームチーズ製品であって、
a)少なくとも約7%のラクトースを有するラクトース含有乳基質を、約0.3から約1.0であるトランス−ガラクトシル化活性対加水分解活性の比率を有する1または複数のラクターゼ酵素と、該乳基質中に存在するラクトースの少なくとも20%をガラクト−オリゴ糖に転化するのに有効な時間および温度で処理するステップ、
b)処理された該乳基質を、約1%から約36%の脂肪、約5%から約15%のタンパク質、約45%から約75%の水分、1オンスの一人前につき少なくとも約0.5gのガラクト−オリゴ糖、および1オンスの一人前につき約1g未満のラクトースを有するクリームチーズ製品を提供するように加工するステップ、
を含む方法によって調製されることを特徴とするクリームチーズ製品。
【請求項8】
ラクトース含有乳基質は、乳、クリーム、乳タンパク質濃縮物、乳清タンパク質濃縮物、チーズ乳清、脱脂乳、乳脂肪、非乳脂肪、およびこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項7に記載のクリームチーズ製品。
【請求項9】
ラクトース含有乳基質は、約7%から約50%のラクトースを含むことを特徴とする、請求項7に記載のクリームチーズ製品。
【請求項10】
ラクターゼ酵素は、約0.3から約1.0であるトランス−ガラクトシル化活性対加水分解活性の比率を有することを特徴とする、請求項7に記載のクリームチーズ製品。
【請求項11】
ラクターゼ酵素は、約0.6から約1.0であるトランス−ガラクトシル化対加水分解の比率を有することを特徴とする、請求項10に記載のクリームチーズ製品。
【請求項12】
クリームチーズ製品は、一人前につき少なくとも約0.7gのガラクト−オリゴ糖を含むことを特徴とする、請求項7に記載のクリームチーズ製品。
【請求項13】
相当に低減されたラクトース濃度を有するガラクト−オリゴ糖含有クリームチーズ製品の製造方法であって、
(1)少なくとも約7%のラクトースを含む乳基質を調製するステップ、
(2)該乳基質を約60℃から約93℃に加熱するステップ、
(3)加熱された該乳基質を均質化して乳ブレンドを形成するステップ、
(4)該乳ブレンドを冷却するか、あるいは該乳ブレンドを約20℃から約70℃に放冷するステップ、
(5)該乳ブレンドを、トランス−ガラクトシル化および加水分解活性を有する1または複数のラクターゼ酵素と、該乳ブレンド中に存在するラクトースの少なくとも約20%をガラクト−オリゴ糖に転化するのに有効な温度および時間で処理するステップ、
(6)酵素で処理された該乳ブレンドのpHを約4.3から約5.2に調節するステップ、
(7)pHを調節された該乳ブレンドを約76℃から約93℃で約5分から約20分間加熱するステップ、
(8)加熱された該乳ブレンドを、約1%から約36%の脂肪、約5%から約15%のタンパク質、約45%から約75%の水分、1オンスの一人前につき少なくとも約0.5gのガラクト−オリゴ糖、および1オンスの一人前につき約1g未満のラクトースを有するクリームチーズ製品を提供するように均質化するステップ、
を含むことを特徴とする製造方法。
【請求項14】
pHは、処理された乳ブレンドに食用酸を添加することによって調節されることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
pHは、酵素で処理された乳ブレンドを乳酸産生培養物と処理することによって調節されることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
乳基質は、乳、クリーム、乳脂肪、乳タンパク質濃縮物、乳清タンパク質濃縮物、チーズ乳清、脱脂乳、非乳脂肪、およびこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
乳基質は、約7%から約50%のラクトースを含むことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
ラクターゼ酵素は、約0.3から約1.0であるトランス−ガラクトシル化活性対加水分解活性の比率を有することを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
ラクターゼ酵素は、約0.7から約1.0であるトランス−ガラクトシル化対加水分解の比率を有することを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
相当に低減されたラクトース濃度を有するガラクト−オリゴ糖含有クリームチーズ製品の製造方法であって、
(1)
(a)乳、クリーム、乳脂肪、およびこれらの混合物からなる群から選択される乳混合物を調製するステップ、
(b)該乳混合物を約60℃から約93℃に加熱するステップ、
(c)加熱された該乳混合物を均質化して均質化されたブレンドを形成するステップ、
(d)均質化された該ブレンドを約18℃から約45℃に冷却するステップ、
(e)均質化された該ブレンドのpHを約4.3から約5.2に調節して、カードおよび乳清を形成するステップ、および
(f)ステップ(e)で形成された乳清からカードを分離して乳カード成分を形成するステップ、
を含む方法によって乳カード成分を調製するステップ、
(2)
(a)少なくとも約7%のラクトース濃度を有する乳基質を調製するステップ、
(b)該乳基質を約20℃から約70℃に加熱するステップ、
(c)該乳基質を、トランス−ガラクトシル化および加水分解活性を有する1または複数のラクターゼ酵素と、該乳基質中に存在するラクトースの少なくとも約20%をガラクト−オリゴ糖に転化するのに有効な温度および時間で処理して、酵素で処理された乳成分を形成するステップ、
を含む方法によって酵素で処理された乳成分を調製するステップ、
(3)酵素で処理された約10%から約75%のステップ(2)の乳成分を、約25%から約90%のステップ(1)の乳カード成分とブレンドして、クリームチーズブレンドを提供するステップ、
(4)該クリームチーズブレンドを約77℃から約93℃で約5分から約20分間加熱するステップ、および、
(5)該クリームチーズブレンドを、約1%から約36%の脂肪、約5%から約15%のタンパク質、約45%から約75%の水分、1オンスの一人前につき少なくとも約0.5gのガラクト−オリゴ糖、および1オンスの一人前につき約1g未満のラクトースを有することを含む最終クリームチーズ製品を形成するように均質化するステップ、
を含むことを特徴とする製造方法。
【請求項21】
pHは、冷却された乳ブレンドに食用酸を添加することによって調節されることを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
pHは、冷却された乳ブレンドを乳酸産生培養物と処理することによって調節されることを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
乳基質は、乳、クリーム、乳タンパク質濃縮物、乳清タンパク質濃縮物、チーズ乳清、脱脂乳、非乳脂肪、乳脂肪、およびこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
乳基質は、約7重量%から約50重量%のラクトースを含むことを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
ラクターゼ酵素は、約0.3から約1.0であるトランス−ガラクトシル化活性対加水分解活性の比率を有することを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
ラクターゼ酵素は、約0.7から約1.0であるトランス−ガラクトシル化対加水分解の比率を有することを特徴とする、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
相当に低減されたラクトース濃度を有するガラクト−オリゴ糖含有クリームチーズ製品の製造方法であって、
(1)少なくとも約7%のラクトース濃度を有する乳基質を調製するステップ、
(2)該乳基質を約60℃から約93℃に加熱するステップ、
(3)加熱された該乳基質を均質化して乳ブレンドを形成するステップ、
(4)該乳ブレンドを冷却するか、あるいは該乳ブレンドを約20℃から約70℃に放冷するステップ、
(5)該乳ブレンドを、トランス−ガラクトシル化および加水分解活性を有する1または複数のラクターゼ酵素と、該乳ブレンド中に存在するラクトースの少なくとも約20%をガラクト−オリゴ糖に転化するのに有効な温度および時間で処理し、酵素で処理された乳ブレンドを提供するステップ、
(6)酵素で処理された該乳ブレンドのpHを約4.3から約5.2に調節して、カードおよび乳清を形成するステップ、
(7)該乳清から該カードを、ガラクト−オリゴ糖が該乳清から回収され、かつその後の加工のために、該ガラクト−オリゴ糖が分離されたカードと組み合わされるように分離するステップ、
(8)分離されたカードおよびガラクト−オリゴ糖を均質化して、均質化されたクリームチーズブレンドを形成するステップ、
(9)該クリームチーズブレンドを約77℃から約93℃に加熱するステップ、および
(10)加熱された該クリームチーズブレンドを、約1%から約36%の脂肪、約5%から約15%のタンパク質、約45%から約75%の水分、1オンスの一人前につき少なくとも約0.5gのガラクト−オリゴ糖、および1オンスの一人前につき約1g未満のラクトースを有する最終クリームチーズ製品を作り出すように均質化するステップ、
を含むことを特徴とする、製造方法。
【請求項28】
加熱されたクリームチーズブレンドに約0.5%から約1%の塩および約0.1%から約1%の安定剤を添加することをさらに含むことを特徴とする、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
pHは、冷却された乳ブレンドに食用酸を添加することによって調節されることを特徴とする、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
pHは、冷却された乳ブレンドを乳酸産生培養物と処理することによって調節されることを特徴とする、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
乳基質は、約7重量%から約50重量%のラクトースを含むことを特徴とする、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
ラクターゼ酵素は、約0.3から約1.0であるトランス−ガラクトシル化活性対加水分解活性の比率を有することを特徴とする、請求項27に記載の方法。
【請求項33】
ラクターゼ酵素は、約0.7から約1.0であるトランス−ガラクトシル化対加水分解の比率を有することを特徴とする、請求項32に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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