説明

低温における機械的性質が向上した水膨張性硬質フォーム

a)イソシアネート、b)イソシアネートに対して反応性を有する基を備える化合物、c)水を含む発泡剤、d)触媒、及びe)必要により更なる添加剤、を混合して反応混合物を調製し、反応混合物を強化材に施して硬化させることにより得られる硬質ポリウレタンフォームであって、イソシアネート(a)は25℃で500mPas以下の粘度を有し、イソシアネートに対して反応性を有する基を備える化合物(b)は、官能基数が4以上且つ25℃での粘度が10000mPas以下のポリエーテルオール(b1)、官能基数が3.5以下且つ25℃での粘度が600mPas以下のポリエーテルオール(b2)、25℃での粘度が2000mPas以下のポリエステルオール(b3)、少なくとも30%の第2級OH基を含む鎖延長剤(b4)及び必要により架橋剤(b5)を含むことを特徴とする硬質ポリウレタンフォーム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、a)イソシアネート、b)イソシアネートに対して反応性を有する基を備える化合物、c)水を含む発泡剤、d)触媒、及びe)必要により更なる添加剤、を混合して反応混合物を調製し、前記反応混合物を強化材に施して、前記反応混合物を硬化させることにより得られる硬質ポリウレタンフォームであって、イソシアネート(a)は、25℃において500mPas以下の粘度を有し、イソシアネートに対して反応性を有する基を備える化合物(b)は、官能基数が4以上であり且つ25℃における粘度が10000mPas以下であるポリエーテルオール(b1)、官能基数が3.5以下であり且つ25℃における粘度が600mPas以下であるポリエーテルオール(b2)、25℃における粘度が2000mPas以下であるポリエステルオール(b3)、少なくとも30%の第2級OH基を含む鎖延長剤(b4)及び必要により架橋剤(b5)を含むことを特徴とする硬質ポリウレタンフォームに関する。本発明は更に、この硬質ポリウレタンフォームを製造する方法、及びこの硬質ポリウレタンフォームを液化天然ガスタンクの断熱に使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の更なる実施の形態は、特許請求の範囲、明細書及び実施例に記載されている。言うまでなく、本発明の主題の上記した特徴及び以下に説明される特徴は、本発明の範囲を超えない範囲において、それぞれの場合に示された組合せだけでなく、他の組合せにおいても用いることができる。
【0003】
石油は別として、天然ガスは最も重要な現代のエネルギー源の一つである。しかしながら、ガスをその産地から消費者まで届けるためには、通常は非常に長い距離にわたって輸送しなければならない。これは、例えばパイプラインを通して行われる。しかしながら、遠くの地域に或いは非常に長い距離にわたってパイプラインで天然ガスを輸送するには非常に費用がかかる。また、いくつかの国々においては、政治的状況によってその国々を通してパイプラインを設置することができない場合がある。このような場合、天然ガスタンカー(液化天然ガス(LNG)船として知られる)での海上輸送が代替策として頻繁に採用されている。このため、天然ガスは地上で液化され、船の巨大なタンクに入れられる。天然ガスは、約−160℃の非常に低い温度でしか液化することができず、また、この温度で貯蔵及び輸送されるので、液化ガスの蒸発による損失を低く保つために、タンク、特に船内のタンクを可能な限り断熱することが必要となる。
【0004】
断熱材としては主に硬質ポリウレタンフォームが使用されるが、その理由は、ポリスチレンやミネラルウール等の他の断熱材と比べて断熱性能が優れているからである。
【0005】
液化天然ガス船内の全体の断熱構造は極めて複雑である。そのため、タンクの断熱は、天然ガスの蒸発防止だけでなく、タンクが一定の安定性を有するようにする必要がある。これにより、硬質ポリウレタンフォームは別として、例えば、タンクを安定させるために、合板、繊維ガラス及びステンレス鋼の層が使用されている。
【0006】
実際のタンクは、主にステンレス鋼の非常に薄い障壁層を含んでいるので、その断熱構造によって必要とされる安定性の大部分が付与される。そのため、通常使用される硬質ポリウレタンフォームの密度は非常に高い。更に、強化材、通常はガラス繊維マット(CSM−連続ストランドマット)を含むことが好ましく、これにより必要となる機械的性質がもたらされる。最適な安定性を確保することができるようにするためには、これら連続ストランドマットが、フォームの厚さ全体にわたって均一に分布していることが重要なパラメーターである。
【0007】
このような断熱構造は、例えば、韓国の特許文献(特許文献1:KR2000010021及び特許文献2:KR2000010022)、日本の特許文献(特許文献3:JP2003240198及び特許文献4:JP2001150558)、米国の特許文献(特許文献5:US20050115248、特許文献6:US3319431及び特許文献7:US3341050)、欧州特許出願(特許文献8:EP1698649)及び国際特許出願(特許文献9:WO2008083996)に記載されている。
【0008】
大幅な温度相違及び温度変化に曝される硬質フォームにおいては、せん断力がフォーム体の内部で生じる。ポリウレタンフォームは断熱材であるため、温度勾配がフォーム体内部で生じ、その結果、フォーム体の内部で次々にせん断力を引き起こす収縮/膨張勾配が生じる。せん断強度もまた、例えば、液体の貨物を運搬する船で生じる横応力を受ける硬質フォームにとって重要な性質である。そのため、液化天然ガス用のタンクの断熱に使用される硬質ポリウレタンフォームは、圧縮強度や圧縮弾性率(ヤング率)等の良好な機械的特性だけでなく、特に高いせん断強度を有することが必要である。
【0009】
発泡剤としては、クロロフルオロカーボンやフッ素化炭化水素等のハロゲン化発泡剤を使用することが普通である。その理由は、特に低い熱伝導性を有するフォームが得られるからである。しかしながら、クロロフルオロカーボンはオゾン層の破壊の原因となり、クロロフルオロカーボンとフッ素化炭化水素はいずれも地球温暖化の原因となる気体である。その理由から代替手段が模索されている。
【0010】
炭化水素、例えばペンタン等の発泡剤は、その可燃性のため特に適していない。
【0011】
フッ素化炭化水素等の物理的発泡剤が水等の化学的発泡剤に置き換えられた場合には、得られるフォーム中のウレア基の形成が増加する。その結果、フォームは特に低温においてより脆くなり、せん断強度は低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】KR2000010021
【特許文献2】KR2000010022
【特許文献3】JP2003240198
【特許文献4】JP2001150558
【特許文献5】US20050115248
【特許文献6】US3319431
【特許文献7】US3341050
【特許文献8】EP1698649
【特許文献9】WO2008083996
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、船の液化天然ガスタンクの断熱に好適な硬質ポリウレタンフォームであって、発泡剤として使用されるクロロフルオロカーボン又はフッ素化炭化水素が全て又は部分的に代わりの発泡剤に置き換えられ、非常に良好な、圧縮強度、圧縮弾性率等の機械的性質及び低い熱伝導率を有する硬質ポリウレタンフォームを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本目的は、a)イソシアネート、b)イソシアネートに対して反応性を有する基を備える化合物、c)水を含む発泡剤、d)触媒、及びe)必要により更なる添加剤、を混合して反応混合物を調製し、前記反応混合物を強化材に施して(塗布して)、前記反応混合物を硬化させることにより得られる硬質ポリウレタンフォームであって、イソシアネート(a)は、25℃において500mPas以下の粘度を有し、イソシアネートに対して反応性を有する基を備える化合物(b)は、官能基数が4以上であり且つ25℃における粘度が10000mPas以下であるポリエーテルオール(b1)、官能基数が3.5以下であり且つ25℃における粘度が600mPas以下であるポリエーテルオール(b2)、25℃における粘度が2000mPas以下であるポリエステルオール(b3)、少なくとも30%の第2級OH基を含む鎖延長剤(b4)及び必要により架橋剤(b5)を含むことを特徴とする硬質ポリウレタンフォームにより達成される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
イソシアネート(a)として、25℃で測定した粘度が600mPas未満、好ましくは500mPas未満、特に好ましくは350mPas未満である、全ての脂肪族、脂環式、好ましくは芳香族のジイソシアネート及び/又はポリイソシアネートを使用することが可能である。イソシアネートとして特に好ましくは、トリレンジイソシアネート(TDI)及びジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、特にジフェニルメタンジイソシアネートとポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート(PMDI)との混合物である。これら特に好ましいイソシアネートは、全体的又は部分的に、ウレトジオン、カルバメート、イソシアヌレート、カルボジイミド、アロファネート及び好ましくはウレタン基で変性されていてもよい。
【0016】
更に、プレポリマー及び上述したイソシアネートとプレポリマーとの混合物をイソシアネート成分として使用することができる。これらのプレポリマーは、上述したイソシアネート及び後述するポリエーテル、ポリエステル又はその両方から製造され、14〜32質量%、好ましくは22〜30質量%のNCO含有量を有する。
【0017】
イソシアネートに対して反応性を有する基を備える化合物(b)として、イソシアネートに対して反応する少なくとも2個の基、例えば、OH−、SH−、NH−及びCH−酸性基、を有する全ての化合物を使用することができる。イソシアネートに対して反応する2〜8個の水素原子を有するポリエーテルオール及び/又はポリエステルオールを使用することが通常である。これらの化合物のOH価は、通常、30〜850mgKOH/g、好ましくは80〜600mgKOH/gの範囲内である。
【0018】
ポリエーテルオールは、公知の方法で、例えば、触媒の存在下で、2〜8個、好ましくは2〜6個の反応性水素原子を結合状態で含む少なくとも1種の開始分子を添加するアルキレンオキシドのアニオン重合により得られる。触媒として、水酸化ナトリウム若しくはカリウム等のアルカリ金属水酸化物、ナトリウムメトキシド、ナトリウム若しくはカリウムエトキシド又はカリウムイソプロポキシド等のアルカリ金属アルコキシドを使用することができ、また、カチオン重合の場合には、五塩化アンチモン、三フッ素化ホウ素エーテレート又は漂泊土(bleaching earth)等のルイス酸を触媒として使用することができる。更に、複合金属シアン化物(DMC触媒として知られている)も触媒として使用することができる。
【0019】
アルキレンオキシドとして、アルキレン基に2〜4個の炭素原子を有する1種以上の化合物を使用することが好ましく、例えば、テトラヒドロフラン、1,3−プロピレンオキシド、1,2−又は2,3−ブチレンオキシドをそれぞれ単独で又は混合物として、好ましくはエチレンオキシド及び/又は1,2−プロピレンオキシドを使用する。
【0020】
使用可能な開始分子は、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、糖誘導体、例えば、スクロース、ヘキシトール誘導体、例えばソルビトール、メチルアミン、エチルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、ベンジルアミン、アニリン、トルイジン、トルエンジアミン、ナフチルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、4,4’−メチレンジアニリン、1,3−プロパンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン及び他の二価又は多価アルコール又は単官能又は多官能のアミンである。
【0021】
使用するポリエステルアルコールは、通常、2〜12個の炭素原子を有する多官能アルコール、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、トリメチロールプロパン、グリセロール又はペンタエリスリトールと、2〜12個の炭素原子を有する多官能カルボン酸、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸の異性体混合物又は上述した酸の無水物とを、縮合することによって得られる。
【0022】
ポリエステルの製造における更なる出発材料として、疎水性物質を付随的に使用することも可能である。疎水性物質は、非極性の有機基を含み、ヒドロキシル、カルボン酸及びこれらの組み合わせから選択される少なくとも1種の反応性基を有する水に不溶の物質である。疎水性物質の当量は、好ましくは130〜1000g/molである。例えば、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ラウリン酸又はリノール酸等の脂肪酸並びにヒマシ油、コーン油、ヒマワリ油、大豆油、ココナッツ油、オリーブ油及びトール油等の油脂を使用することができる。ポリエステルが疎水性物質を含んでいる場合には、ポリエステルアルコールのモノマー全含量に対する疎水性物質の割合は、1〜30mol%、特に好ましくは4〜15mol%である。
【0023】
使用するポリエステルオールは好ましくは1.5〜5、特に好ましくは1.8〜3.5、特に1.9〜2.2の官能基数を有する。
【0024】
イソシアネートに対して反応性を有する基を備える化合物(b)は、更に、鎖延長剤及び/又は架橋剤を含んでいる。鎖延長剤及び/又は架橋剤として、特に、それぞれ分子量が350未満、好ましくは60〜300、特に60〜250である、2官能又は3官能のアミン及びアルコール、特にジオール、トリオール又はその両方を使用する。ここで、2官能の化合物は鎖延長剤のことをいい、3官能以上の化合物は架橋剤のことをいう。例えば、2〜14個、好ましくは2〜10個の炭素原子を有する脂肪族、脂環式及び/又は芳香族ジオール、例えば、エチレングリコール、1,2−、1,3−プロパンジオール、1,2−、1,3−ペンタンジオール、1,10−デカンジオール、1,2−、1,3−、1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコール、ジプロピレングリコール及びトリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール及びビス(2−ヒドロキシエチル)ヒドロキノン、トリオール、例えば1,2,4−、1,3,5−トリヒドロキシシクロヘキサン、グリセロール及びトリメチロールプロパン、及び、エチレンオキシド及び/又は1,2−プロピレンオキシドと開始分子としての上記ジオール及び/又はトリオールとを基礎とする低分子量のヒドロキシル基含有ポリアルキレンオキシドを使用することができる。
【0025】
本発明においては、イソシアネート基に対して反応性を有する基を備える化合物(b)は、官能基数が4以上であり、25℃における粘度が10000mPas以下であるポリエーテルオール(b1)、官能基数が3.5以下、好ましくは3以下であり、25℃における粘度が600mPas以下、好ましくは500mPas以下であるポリエーテルオール(b2)、25℃における粘度が2000mPas以下であるポリエステルオール(b4)、鎖延長剤(b4)及び任意に架橋剤(b5)を含んでいることが重要である。成分(b1)〜(b5)として、それぞれ、(b1)〜(b5)の定義に入る各化合物を単独化合物で又は混合物として使用することができる。
【0026】
鎖延長剤(b4)は、平均で少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、特に好ましくは少なくとも50%、特に少なくとも60%の、第2級OH基を有している。鎖延長剤(b4)は、個別の化合物でも混合物でもよい。鎖延長剤(b4)は、好ましくは、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール及び/又は2,3−ブタンジオールを、単独で又は互いの混合物若しくは他の鎖延長剤との混合物として含む。そのため、特に好ましい実施の形態では、鎖延長剤(b4)として、ジプロピレングリコールを第二の鎖延長剤、例えば2,3−ブタンジオール、モノプロピレングリコール又はジエチレングリコールと一緒に使用する。
【0027】
更なる実施の形態では、イソシアネートに対して反応性を有する基を備える化合物(b)は、ポリエーテルオール(b1)、ポリエーテルオール(b2)、ポリエステルオール(b3)及び鎖延長剤(b4)に加えて、架橋剤(b5)を含んでいる。架橋剤として、1,2,4−、1,3,5−トリヒドロキシシクロヘキサン、グリセロール及び/又はトリメチロールプロパンを使用することが好ましい。架橋剤としてグリセロールを使用することが好ましい。
【0028】
成分(b1)の割合は、好ましくは、成分(b)の全質量に対して、好ましくは25〜70質量%、特に好ましくは25〜55質量%、特に30〜50質量%である。
【0029】
成分(b2)の割合は、好ましくは、成分(b)の全質量に対して、10〜40質量%、特に好ましくは15〜35質量%である。
【0030】
成分(b3)の割合は、好ましくは、成分(b)の全質量に対して、15〜50質量%、特に好ましくは20〜40質量%である。
【0031】
鎖延長剤(b4)の割合は、好ましくは、成分(b)の全質量に対して、1〜30質量%、特に好ましくは5〜20質量%である。
【0032】
成分(b5)の割合は、好ましくは、成分(b)の全質量に対して、0〜10質量%、特に好ましくは1〜5質量%である。
【0033】
イソシアネートに対して反応性を有する基を備える化合物(b)中のポリエーテルオール(b1)、(b2)、(b3)、(b4)及び任意の(b5)の割合は、イソシアネートに対して反応性を有する基を備える化合物(b)の全質量に対して、好ましくは少なくとも80質量%、特に好ましくは少なくとも90質量%、特に100質量%である。
【0034】
成分(b)の総官能基数は、2.5超、特に好ましくは2.6超、特に2.75超であることが好ましい。成分(b)の平均OH価は、好ましくは300mgKOH/g、特に好ましくは320〜1000mgKOH/g、特に340〜600mgKOH/gである。
【0035】
イソシアネートプレポリマーをイソシアネート(a)として使用する場合、イソシアネートに対して反応性を有する基を備える化合物(b)の含有量は、イソシアネートプレポリマーを調製するのに使用する、イソシアネートに対して反応性を有する基を備える化合物(b)を含めて計算する。
【0036】
発泡剤(c)としては水を含む発泡剤を使用する。ここで、水は単独でも、他の発泡剤と組み合わせても使用することができる。発泡剤(c)の水含有量は、発泡剤(c)の全質量に対して、好ましくは40質量%超、特に好ましくは60質量%超、極めて特に好ましくは80質量%超である。特に、水を唯一の発泡剤として使用する。他の発泡剤を水に加えて使用する場合には、例えば、クロロフルオロカーボン、フッ素化炭化水素、炭化水素、酸及び液体の又は溶解した二酸化炭素を使用することができる。発泡剤(c)は、発泡剤(c)の全質量に対して、50質量%未満、より好ましくは20質量%未満、特に好ましくは10質量%未満、特に0質量%のクロロフルオロカーボン、フッ素化炭化水素及び/又は炭化水素を含むことが好ましい。更なる実施の形態では、水並びにギ酸及び/又は二酸化炭素の混合物を発泡剤(c)として使用することができる。ポリオール成分中に発泡剤をより容易に分散させるために、発泡剤(c)は、ジプロピレングリコール等の極性化合物と混合しても良い。
【0037】
発泡剤(c)は、成分(a)〜(e)の反応により形成される硬質ポリウレタンフォームの密度が、強化材を計算に含めずに、50〜200g/l、好ましくは80〜120g/lとなる量で使用する。
【0038】
触媒(d)として、イソシアネート−水反応又はイソシアネート−ポリオール反応を加速させる全ての化合物を使用することができる。このような化合物は公知であり、例えば、「"Kunststoffhandbuch, volume 7, Polyurethane", Carl Hanser Verlag, 3rd edition 1993, chapter 3.4.1」に記載されている。これらには、アミンを基礎とする触媒及び有機金属化合物を基礎とする触媒が含まれる。
【0039】
有機金属化合物を基礎とする触媒として、例えば、有機カルボン酸のスズ(II)塩、例えば酢酸スズ(II)、オクチル酸スズ(II)、エチルヘキサン酸スズ(II)及びラウリン酸スズ(II)並びに有機カルボン酸のジアルキルスズ(IV)塩、例えばジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート及びジオクチルスズジアセテート等の有機スズ化合物、更に、カルボン酸ビスマス、例えばビスマス(III)ネオデカノエート、ビスマス2−エチルヘキサノエート及びビスマスオクタノエート、あるいはカルボン酸のアルカリ金属塩、例えば酢酸カリウム又はギ酸カリウムである。
【0040】
触媒(d)として少なくとも1種の第三級アミンを含む混合物を使用することが好ましい。この第3級アミンは通常、イソシアネートに対して反応する基、例えばOH、NH又はNH基をも有する化合物である。最もよく使用される触媒は、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N,N,N−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N−トリエチルアミノエトキシエタノール、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジメチルベンジルアミン、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ペンタメチルジプロピレントリアミン、ジメチルエタノールアミン、N−メチルイミダゾール、N−エチルイミダゾール、テトラメチルヘキサメチレンジアミン、トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロトリアジン、ジメチルアミノプロピルアミン、N−エチルモルホリン、ジアザビシクロウンデセン及びジアザビイシクロノネンである。少なくとも2種の異なる第三級アミンを含む混合物を触媒(d)として使用することが好ましい。触媒混合物(d)は、ジメチルシクロヘキシルアミン(d1)と二環式アミン(d2)又はジメチルシクロヘキシルアミン(d1)と単環式アミン(d3)を含むことが特に好ましい。ジメチルシクロヘキシルアミン(d1)と二環式アミン(d2)又はジメチルシクロヘキシルアミン(d1)と単環式アミン(d3)の比は、好ましくは0.2〜4:1、特に好ましくは0.5〜1.5:1である。環状アミンd2)及びd3)は、好ましくは上記単環アミン類の中から選択することが好ましい。
【0041】
触媒混合物(d)におけるジメチルシクロヘキシルアミン(d1)、二環式アミン(d2)及び単環式アミン(d3)の割合は、触媒(d)の全質量に対して、少なくとも80質量%、特に好ましくは少なくとも90質量%、特に100質量%であることが好ましい。
【0042】
強化材としては、より一層高い機械的安定性を硬質ポリウレタンフォームに付与する全ての材料を使用することができる。このような強化材は、例えば、ガラス繊維、ガラス繊維マット又は炭素繊維マット、好ましくはガラス繊維マット(mat)、例えばOwens Coming Vetrotex製Unifilio(登録商標)U801又はU809である。強化材の割合は、強化材を含む硬質ポリウレタフォームの全質量に対して、5〜15質量%であることが好ましい。
【0043】
更なる添加剤(e)として、難燃剤、可塑剤、整泡剤、更なる充填剤及び酸化防止剤などの他の添加剤を使用することができる。少なくとも難燃剤又は可塑剤を使用することが好ましい。
【0044】
難燃剤としては、従来技術で知られている難燃剤を使用することができる。好適な難燃剤は、例えば、臭素化エーテル(UxolB251)、ジブロモネオペンチルアルコール、トリブロモネオペンチルアルコール及びPHT−4−ジオール等の臭素化アルコール、更に、トリス(2−クロロエチル)ホスフェート、トリス(2−クロロイソプロピル)ホスフェート(TCPP)、トリス(1,3−ジクロロイソプロピル)ホスフェート、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート及びテトラキス(2−クロロエチル)エチレンジホスフェート等の塩素化ホスフェート、又はこれらの混合物である。
【0045】
これらのハロゲンで置換されたホスフェートとは別に、赤リン、赤リン、膨張性グラファイト、酸化アルミニウム水和物、三酸化アンチモン、酸化ヒ素、アンモニウムポリホスフェート及び硫酸カルシウムを含む調製物又はメラミン等のシアヌル酸、あるいはアンモニウムポリホスフェート及びメラミン等の難燃剤の少なくとも2種の混合物等の、無機難燃剤、更に必要により本発明に従って製造される硬質ポリウレタンフォームを難燃性とするためのデンプンを使用することもできる。
【0046】
更なるハロゲンを含まない液体難燃剤として、ジエチルエタンホスホネート(DEEP)、トリエチルホスフェート(TEP)、ジメチルプロピルホスホネート(DMPP)、ジフェニルクレシルホスフェート(DPC)等を使用することができる。
【0047】
本発明において、難燃剤は、成分(b)〜(e)の全質量に対して0〜25%の量で使用することが好ましい。
【0048】
可塑剤としては、例えば、多塩基性、好ましくは二塩基性のカルボン酸と一価のアルコールとのエステルが挙げられる。このようなエステルの酸成分は、例えば、コハク酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリト酸、クエン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸及び/又はヘキサヒドロフタル酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、フマル酸並びに/又は二量体及び/若しくは三量体脂肪酸、例えばオレイン酸から、任意に単量体脂肪酸と混合して、得ることができる。上記エステルのアルコール成分は、例えば、1〜20個の炭素原子を有する分枝の又は非分枝の脂肪族アルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、ペンチルアルコールの、ヘキシルアルコールの、オクチルアルコール(例えば2−エチルヘキサノール)の、ノニルアルコールの、デシルアルコールの、ラウリルアルコールの、ミリスチルアルコールの、セチルアルコールの、ステアリルアルコールの及び/又は天然由来の若しくは天然由来カルボン酸の水素化により得られる脂肪及びワックスアルコールの各種異性体から得られる。使用可能なアルコール成分としては更に、例えば、脂環式及び/又は芳香族ヒドロキシ化合物、例えばシクロヘキサノール及びその同族体、フェノール、クレゾール、チモール、カルバクロール、ベンジルアルコール及び/又はフェニルエタノールである。一塩基性カルボン酸と二価アルコールとのエステル、例えば、テキサノール(Texanol)エステルアルコール、例えば2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート(TXIB)又は2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジベンゾエート;オリゴアルキレングリコールとアルキルカルボン酸のジエステル、例えばトリエチレングリコールジヘキサノーエート又はテトラエチレングリコールジヘプタノエート及びその類似体化合物も、可塑剤として使用することができる。
【0049】
更に使用可能な可塑剤は、上述したアルコールとリン酸とのエステルである。ハロゲン化アルコールのリン酸エステル、例えばトリクロロエチルホスフェートも任意に使用することができる。この場合、難燃化効果が可塑化効果と共に得られる。当然ながら、上述したアルコールとカルボン酸の混合エステルを使用することも可能である。
【0050】
可塑剤は高分子可塑剤、例えばアジピン酸、セバシン酸及び/又はフタル酸のポリエステルであってよい。
【0051】
また、フェノールのアルキルスルホン酸エステル、例えばフェニルパラフィンスルホネート、及び芳香族スルホンアミド、例えばエチルトルエンスルホンアミドも可塑剤として使用することができる。ポリエーテル、例えばトリエチレングリコールジメチルエーテルも可塑剤として使用することもできる。
【0052】
可塑剤は、成分b)〜e)の全質量に対して、0.1〜15質量%、特に好ましくは0.5〜10質量%の量で使用することが好ましい。可塑剤を添加することにより、硬質ポリウレタンフォームの機械的特性、特に低温における機械的特性を更に改善することができる。
【0053】
整泡剤(foam stabilizer)とは、フォーム形成中の規則的なセル構造の形成を促進する物質のことをいう。例えば:シロキサン−オキシアルキレン共重合体及び他のオルガノポリシロキサン等の、シリコーンを含む整泡剤を挙げることができる。脂肪アルコール、オキソアルコール、脂肪アミン、アルキルフェノール、ジアルキルフェノール、アルキルクレゾール、アルキルレゾルシノール、ナフトール、アルキルナフトール、ナフチルアミン、アニリン、アルキルアニリン、トルイジン、ビスフェノールA、アルキル化ビスフェノールA、ポリビニルアルコール、更にホルムアルデヒドとアルキルフェノールの、ホルムアルデヒドとジアルキルフェノールの、ホルムアルデヒドとアルキルクレゾールの、ホルムアルデヒドとアルキルレゾルシノールの、ホルムアルデヒドとアニリンの、ホルムアルデヒドとトルイジンの、ホルムアルデヒドとナフトールの、ホルムアルデヒドとアルキルナフトールの、及びホルムアルデヒドとビスフェノールAの縮合生成物のアルコキシル化生成物、又はこれらの整泡剤の2種以上の混合物である。
【0054】
整泡剤は、成分(b)〜(e)の全質量に対して0.5〜4質量%、特に好ましくは1〜3質量%の量で使用することが好ましい。
【0055】
更なる充填剤、特に強化充填剤は公知で慣用の有機及び無機充填剤、強化材等である。具体的な例は:無機充填剤は、シリカ鉱物、例えばアンチゴライト、蛇紋石、ホルンブレンド、角閃石、クリソタイル、タルク等の層状ケイ酸塩;カオリン、アルミニウム酸化物、チタン酸化物及び鉄酸化物等の金属酸化物、チョーク、バライト等の金属塩、並びに硫化カドミウム、硫化亜鉛等の無機顔料、更にガラス等である。カオリン(チャイナクレー)、アルミニウムケイ酸塩及び硫酸バリウムとアルミニウムケイ酸塩の共沈物、更に天然及び合成繊維鉱物、例えばウラストナイト、金属繊維、特にサイズで被覆されていてもよい種々の長さのガラス繊維である。中空ガラスマイクロスフィアを使用することも可能である。使用可能な有機充填剤は、例えば:カーボン、メラミン、ロジン、シクロペンタジエニル樹脂及びグラフトポリマー、更にセルロール繊維、芳香族及び/又は脂肪族ジカルボン酸エステルを基礎とする、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン及びポリエステル繊維、及び特に炭素繊維である。
【0056】
無機及び有機充填剤は単独でも混合物としても使用することができ、成分(a)〜(e)の質量に対して、0.5〜30質量%、好ましくは1〜15質量%の量で、反応混合物に導入することが有利である。
【0057】
本発明は更に、本発明に係る硬質ポリウレタンフォームを含む、液化天然ガスタンク用の、特に船の液化天然ガスタンク用の断熱材を提供する。
【0058】
本発明の硬質ポリウレタンフォームは、ベルト上で連続的に製造することが好ましい。そのため、成分(b)〜(d)及び適宜(e)を混合してポリオール成分を調製することが好ましい。次に、これを、好ましくは低圧混合装置、高圧混合装置で、100バール未満の減圧下において、又は、高圧機器で、イソシアネート成分(a)と混合する。別の方法として、成分(a)〜(d)及び適宜(e)を、それぞれ個別に混合装置に導入することもできる。次に、このように得られた反応混合物を、好ましくは複数のドラム(例えば4〜10個、好ましくは5、6又は7個)からベルト上に連続的にロールオフされる強化材、好ましくはガラス繊維マットに施し(塗布し)、そこで適当な数の層を形成する。次いで得られたフォームを、損傷させずに複数のピースに切断できる程度に、ベルト上で硬化する。これは、高温で、例えばオーブンに通している間に行うことができる。十分な機械的強度を得るために、得られたフォームのピースを次いで貯蔵することが好ましい。
【0059】
次に、得られた硬質ポリウレタンフォームを更に加工して断熱パネルを製造する。そのため、得られた本発明の硬質ポリウレタンフォームの複数のピースをサイズにカットし、好ましくは合板シート及び樹脂を含浸させたガラス繊維マットに接着結合する。次いで、液化天然ガスタンクの断熱障壁の製造に直接使用する完成した断熱材を製造するために、これらのポリウレタンフォーム素材に、鉄板、スクリュー及びスレッド等の更なる補助材を設ける。このような断熱パネルの製造についての詳細な説明は、例えば、Finetec and Kangrim(韓国)のホームページに記載されている。
【0060】
イソシアネート(a)並びにイソシアネートに対して反応性を有する基を備える化合物(b)、水を含む発泡剤(c)、触媒(d)及び適宜更なる添加剤(e)を、イソシアネートインデックスが100〜400、好ましくは100〜200、特に好ましくは100〜150となる量で反応させることが好ましい。
【0061】
ここで、本発明において、イソシアネートインデックスは、イソシアネートに対して反応する基に対するイソシアネート基の化学量論比を100倍したものである。イソシアネートに対して反応する基は、この場合、反応混合物に含まれる全てのイソシアネート反応性基であり、化学的発泡剤を含みイソシアネート基それ自体は含まない。
【0062】
本発明に係る反応混合物は、直ちに強化材に浸透させることにより、得られ硬質ポリウレタンフォーム内で強化材の均一な分布を促すことが特に有利である。短い反応時間と相まって、本発明に係る反応混合物の長いクリームタイムは同様に有利である。
【0063】
本発明に係る硬質ポリウレタンフォームは、断熱目的で使用することが好ましい。本発明に係る硬質ポリウレタンオフォームは、液化天然ガスタンク、特に船(LNG船)の液化天然ガスタンクの断熱に特に好ましく使用される。これらは、機械的に安定であり、熱伝導性が低く、穴やクラックがない等の優れたフォーム性質を示し、低温であっても、せん断強度、圧縮強度等の良好な機械的特性及び優れたヤング率を有し、強化材の層の均一分布を有する。本発明に係る鎖延長剤(b4)の混合物によれば、特に、せん断強度が著しく向上する。圧縮強度とヤング率は、DIN53421/DIN EN ISO604に従って、発泡方向(x/y及びz軸方向)に対して垂直及び平行の両方で測定される。せん断強度は、DIN53427に従って、25℃又は−80℃において、発泡方向(x/y方向)に対して垂直に1mm/分の伸長速度で、170mm×35mm×17mmの寸法を有する試験試料について測定される。
【0064】
本発明の利点を以下の実施例により説明する。
【実施例】
【0065】
実施例1〜6の本発明に係る硬質ポリウレタンフォーム及び比較例C1〜C4のフォームを製造するため、表1に示すように、使用したポリオールを触媒、安定剤及び発泡剤と撹拌し、次いでイソシアネートと混合して発泡させて、硬質ポリウレタンフフォームを得た。ファイバータイムはそれぞれ触媒の量を調整することにより540秒に設定した。100g/lの一定のフォーム密度を発泡剤により設定した。イソシアネートインデックスはそれぞれ120であった。実施例は、フォームの性質についての本発明に係るポリオール混合物の効果を実証するためのものであり、実施上の都合からフォームは強化材を使用せずに製造した。
【0066】
225mm×225mm×225mmの寸法を有する硬質ポリウレタンフォームをモールド内で製造した。硬化後、せん断強度、圧縮強度及びヤング率を示した規格に従って測定するために、試験試料をこのキューブから切断した。
【0067】
圧縮強度とヤング率は、DIN53421/DIN EN ISO 604に従って、3寸法について平均して測定した。せん断強度は、DIN53427に従って、25℃又は−80℃において、発泡方向(x/y方向)に対して垂直方向に1mm/分の伸長速度で、170mm×35mm×17mmの寸法を有する試験試料について測定した。
【0068】
実施例1〜6及び比較例C1〜C4による硬質ポリウレタンフォーム製造用反応混合物の組成及びその機械的性質を表1に示す。
【0069】
【表1】

【0070】
以下の出発材料を使用した:
ポリオール1:糖を基礎とし、共開始剤とするポリエーテルポリオール、官能基数=4.4、OH価=500mgKOH/g、粘度=8000mPas
ポリオール2:プロピレングリコールを基礎とするポリエーテルオール、官能基数=2、OH価=100mgKOH/g、粘度=150mPas
ポリオール3:無水フタル酸/ジエチレングリコールを基礎とするポリエステルオール、官能基数=2、OHN=300mgKOH/g、粘度=1000mPas
イソシアネート:ポリメリックメチレンジ(フェニルジイソシアネート、(PMDI)、粘度=200mPas(Lupranat M 20S BASF AG製))
(上記それぞれの粘度の数値は、25℃における粘度である)
安定化剤:シリコーン含有整泡剤
触媒:ポリオール2中、10質量%濃度のジメチルシクロヘキシルアミン溶液、
発泡剤:水
可塑剤:カルボン酸ジアルキル
【0071】
本発明に係る硬質ポリウレタンフォームは、高いせん断強度、高い圧縮強度及び高いヤング率を有していることが表1に示されている。可塑剤を追加的に使用することにより、各フォームの性質が更に向上した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)イソシアネート、
b)イソシアネートに対して反応性を有する基を備える化合物、
c)水を含む発泡剤、
d)触媒、及び
e)必要により更なる添加剤、
を混合して反応混合物を調製し、前記反応混合物を強化材に施して、前記反応混合物を硬化させることにより得られる硬質ポリウレタンフォームであって、
イソシアネート(a)は、25℃において500mPas以下の粘度を有し、
イソシアネートに対して反応性を有する基を備える化合物(b)は、官能基数が4以上であり且つ25℃における粘度が10000mPas以下であるポリエーテルオール(b1)、官能基数が3.5以下であり且つ25℃における粘度が600mPas以下であるポリエーテルオール(b2)、25℃における粘度が2000mPas以下であるポリエステルオール(b3)、少なくとも30%の第2級OH基を含む鎖延長剤(b4)及び必要により架橋剤(b5)を含むことを特徴とする硬質ポリウレタンフォーム。
【請求項2】
鎖延長剤(b4)は、2,3−ブタンジオール、モノプロピレングリコール、ジプロピレングリコール及び/又はトリプロピレングリコールを含むことを特徴とする請求項1に記載の硬質ポリウレタンフォーム。
【請求項3】
鎖延長剤(b4)は、ジプロピレングリコールと共に、第二の鎖延長剤として、2,3−ブタンジオール又はジエチレングリコールを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の硬質ポリウレタンフォーム。
【請求項4】
ポリオール混合物b)の全質量に対してそれぞれ、ポリエーテルオール(b1)の割合が30〜60質量%であり、鎖延長剤(b4)の割合が2〜30質量%であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の硬質ポリウレタンフォーム。
【請求項5】
イソシアネートに対して反応性を有する基を備える化合物(b)における、ポリエーテルオール(b1)、(b2)、(b3)、(b4)及び適宜(b5)の割合が、イソシアネートに対して反応性を有する基を備える化合物(b)の全質量に対して100質量%であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の硬質ポリウレタンフォーム。
【請求項6】
強化材を除くポリウレタンフォームの平均密度が、50〜200g/lであることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の硬質ポリウレタンフォーム。
【請求項7】
強化材を除くポリウレタンフォームの平均密度が、80〜120g/lであることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の硬質ポリウレタンフォーム。
【請求項8】
水が唯一の発泡剤であることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の硬質ポリウレタンフォーム。
【請求項9】
触媒d)として、第3級アミンを含む触媒混合物を使用することを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の硬質ポリウレタンフォーム。
【請求項10】
強化材がガラス繊維マットであり、その強化材を、強化材を含む硬質ポリウレタンフォームの全質量に対して、5〜15質量%の量で使用することを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の硬質ポリウレタンフォーム。
【請求項11】
更なる添加剤e)が可塑剤を含むこと特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の硬質ポリウレタンフォーム。
【請求項12】
a)イソシアネート、
b)イソシアネートに対して反応性を有する基を備える化合物、
c)水を含む発泡剤、
d)第3級アミンを含む触媒混合物、及び
e)必要により更なる添加剤、
を混合して反応混合物を調製する工程、前記反応混合物を強化材に施す工程、及び前記反応混合物を硬化させて硬質ポリウレタンフォームを形成する工程を含む硬質ポリウレタンフォームの製造方法であって、
イソシアネート(a)は、25℃において500mPas以下の粘度を有し、
イソシアネートに対して反応性を有する基を備える化合物(b)は、官能基数が4以上であり且つ25℃における粘度が10000mPas以下であるポリエーテルオール(b1)、官能基数が3.5以下であり且つ25℃における粘度が600mPas以下であるポリエーテルオール(b2)、25℃における粘度が2000mPas以下であるポリエステルオール(b3)、少なくとも30%の第2級OH基を含む鎖延長剤(b4)及び必要により架橋剤(b5)を含むことを特徴とする硬質ポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項13】
請求項1〜10の何れか1項に記載の硬質ポリウレタンフォームを含むことを特徴とする液化天然ガスタンク用断熱材
【請求項14】
請求項1〜10の何れか1項に記載の硬質ポリウレタンオフォームを、液化天然ガスタンク、特に船の液化天然ガスタンクの断熱に使用する方法。

【公表番号】特表2012−511600(P2012−511600A)
【公表日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−540026(P2011−540026)
【出願日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際出願番号】PCT/EP2009/066330
【国際公開番号】WO2010/066635
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】