説明

低温機器用真空計

【課題】耐振性や耐久性を改善した低温機器用真空計を提供する。
【解決手段】低温機器用真空計において、真空断熱容器内に配置される低温源1、受熱板2、低温源1の温度を測定する第1の温度センサ4、受熱板2の温度を測定する第2の温度センサ5、熱シールド板又は隔壁3の温度を測定する第3の温度センサ6とを具備し、低温源1と受熱板2との離隔、低温源1と受熱板2が対向する面の面積、受熱板2の比熱及び質量、熱シールド板又は隔壁3から受熱板2への熱侵入量と、低温源1及び受熱板2の平衡温度と熱シールド板又は隔壁3の温度に基づいて、低温源1と受熱板2の間の熱伝達率を求め、熱伝達率と圧力の関係を基に受熱板2の平衡温度を計算し、受熱板2の平衡温度と圧力の関係より、受熱板2の温度に基づいて真空断熱容器内の圧力を求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、極低温機器における断熱箇所など、真空を必要とする箇所の圧力を監視できる真空計に係り、特に、測定範囲が分子流領域以外の領域でも測定可能であり、かつ衝撃・振動のある環境下の使用に耐え、耐久性を向上させた低温機器用真空計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、1〔Pa〕程度以下の圧力域まで測定することができ、工業測定や自動制御に利用可能な真空計としては、ピラニ真空計、熱電対真空計など希薄ガスの熱伝導特性を利用したものがある。これらは、気体分子による熱伝導率が圧力に応じて変化するという特性を利用しており、フィラメントを加熱し、測定する雰囲気圧力を隔てた受熱板に奪われる熱量を、フィラメントの電流値または温度から測定することにより真空度(圧力)を求めている。しかし、これらの真空計は、測定感度を向上させるため細いフィラメントを使用しているためフィラメントが断線しやすく、また、測定対象の圧力が上昇し測定範囲より高い圧力で測定すると、フィラメントを焼損してしまうなどの問題があった。このため、衝撃や振動の加わる環境で使用される低温機器への利用や、故障などにより不用意に圧力が上昇してしまうような環境での真空度測定・監視などの用途には適していなかった。
【0003】
こうした中、細いフィラメントを利用しない方式の熱伝導真空計として、熱伝導真空計測定装置が提案されている(下記特許文献1参照)。この熱伝導真空計測定装置は、気体分子平均自由行程より小さな離隔の熱伝導率に基づいて圧力を測定することにより、直線性がよく、気体種の影響を受けず、煩雑な校正を不要としたものである。しかしながら、気体分子の平均自由行程が離隔以上となる低い圧力域(分子流領域)のみに限定され、また、加熱板をヒータにより熱する必要があった。
【0004】
また、伝熱特性を利用しない水晶摩擦方式の耐振性の高い真空計を、開発中であるという事例がある(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公平6−040046号公報
【特許文献2】特願2008−115173
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】栗原純一,村田功,佐藤薫,冨川喜弘,阿部琢美,「水晶気圧計の性能実証試験」, 宇宙航空研究開発機構 平成19年度大気球シンポジウム V.地球物理,4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記したように、従来の真空計は、耐震性や耐久性、また測定領域の面で解決すべき種々の問題があった。
【0008】
本発明は、上記状況に鑑みて、測定範囲が分子流領域以外の領域でも測定可能であり、耐振性や耐久性を改善し、かつ衝撃や振動の加わる低温機器の真空度測定や監視などに利用でき、故障の際など測定対象の圧力が上昇しても故障し難く、測定範囲の広い低温機器用真空計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕低温機器用真空計において、真空断熱容器内に配置される低温源と、この低温源から離隔されて対向するように配置される受熱板と、前記低温源の温度を測定する第1の温度センサと、前記受熱板の温度を測定する第2の温度センサと、熱シールド板又は隔壁の温度を測定する第3の温度センサとを具備し、前記低温源と前記受熱板との離隔、前記低温源と前記受熱板が対向する面の面積、前記受熱板の比熱及び質量、前記真空断熱容器の前記熱シールド板又は隔壁から前記真空断熱容器内の前記受熱板への熱侵入量と、測定した前記低温源及び前記受熱板の平衡温度と前記熱シールド板又は隔壁の温度に基づいて、前記低温源と前記受熱板の間の熱伝達率を求め、この熱伝達率と圧力の関係を基に前記受熱板の平衡温度を計算し、この受熱板の平衡温度と圧力の関係とを求めておき、前記第1の温度センサで測定した低温源の温度と前記第3の温度センサで測定した熱シールド板又は隔壁の温度が条件通りの温度と一致している場合には、前記第2の温度センサで測定した受熱板の温度に基づいて前記真空断熱容器内の圧力を求めることを特徴とする。
【0010】
〔2〕上記〔1〕記載の低温機器用真空計において、前記第1の温度センサで測定した低温源の温度と前記第3の温度センサで測定した熱シールド板又は隔壁の温度と前記第2の温度センサで測定した受熱板の温度に基づいて、前記低温源と前記受熱板の間の伝熱量または熱伝達率を求め、この低温源と受熱板の間の伝熱量または熱伝達率から前記真空断熱容器内の圧力を求めることを特徴とする。
【0011】
〔3〕上記〔1〕記載の低温機器用真空計において、前記低温源と受熱板との離隔を調整することにより、使用温度域や測定する圧力域を適合させることを特徴とする。
【0012】
〔4〕上記〔1〕記載の低温機器用真空計において、前記低温源は温度が既知の値に固定されている液体ヘリウム(4K)や液体窒素系(77K) を用いることを特徴とする。
【0013】
すなわち、低温機器への適用を前提として低温機器の持つ低温源を熱源とし、従来技術で断線し易かったフィラメントを使用せずに圧力を測定する。低温源は温度が固定されている液体ヘリウム系、冷凍機コールドヘッドなどを利用する。低温源に対して受熱板を間隔をあけ対向させて配置することにより、受熱板から低温源への熱伝達率は圧力に応じて変化する。この受熱板の温度を測定することにより圧力を換算して求める。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、低温源を持つ低温機器に対し、測定範囲が分子流領域以外の領域でも測定可能であり、耐久性・耐振性を向上させた、測定範囲外の圧力でも破損し難い真空計を提供することができ、かつ衝撃や振動を受ける低温機器の真空度測定、監視、制御を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の原理を示す低温機器用真空計の模式図である。
【図2】本発明の原理を示す圧力と熱伝達率の関係を示す図である。
【図3】本発明の実施例を示す低温機器用真空計の模式図である。
【図4】本発明の実施例を示す圧力と熱伝達率の関係を示す図である。
【図5】本発明の実施例を示す熱伝達率から圧力への換算を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の低温機器用真空計は、真空断熱容器内に配置される低温源と、この低温源から離隔されて対向するように配置される受熱板と、前記低温源の温度を測定する第1の温度センサと、前記受熱板の温度を測定する第2の温度センサと、熱シールド板又は隔壁の温度を測定する第3の温度センサとを具備し、前記低温源と前記受熱板との離隔、前記低温源と前記受熱板が対向する面の面積、前記受熱板の比熱及び質量、前記真空断熱容器の前記熱シールド板又は隔壁から前記真空断熱容器内の前記受熱板への熱侵入量と、測定した前記低温源及び前記受熱板の平衡温度と前記熱シールド板又は隔壁の温度に基づいて、前記低温源と前記受熱板の間の熱伝達率を求め、この熱伝達率と圧力の関係を基に前記受熱板の平衡温度を計算し、この受熱板の平衡温度と圧力の関係とを求めておき、前記第1の温度センサで測定した低温源の温度と前記第3の温度センサで測定した熱シールド板又は隔壁の温度が条件通りの温度と一致している場合には、前記第2の温度センサで測定した受熱板の温度に基づいて前記真空断熱容器内の圧力を求める。
【0017】
また、前記低熱源を液体ヘリウム系または液体窒素系とすることにより、低熱源の温度センサを省略した構成とすることも可能である。
【実施例】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0019】
図1は本発明の原理を示す低温機器用真空計の模式図である。
【0020】
この図に示すように、低温源1に対し受熱板2を間隔をあけて対向させて設置し、低温源1,受熱板2,受熱板2を受熱板固定部材7を介して固定している隔壁または熱シールド板3の温度をそれぞれ温度センサ4,5,6により測定する。あらかじめ把握している低温源1と受熱板2との離隔、低温源1と受熱板2の対向する面の面積、受熱板2の比熱および質量、隔壁または熱シールド板3から受熱板2への熱侵入量及び圧力に応じて変化する受熱板2と低温源1の間の熱伝達率から、低温源1,受熱板2、および隔壁または熱シールド板3の平衡温度が決定される。このため、低温源1,受熱板2,および隔壁または熱シールド板3の平衡温度を測定することにより、これらの関係から測定対象の圧力に換算することができる。
【0021】
希薄ガス雰囲気中の圧力と熱伝達率の関係を解析すると以下のようになる。熱伝達には輻射と気体分子伝導、対流の形態があり、実際の伝熱量はこれらの総和となっている。
【0022】
輻射による伝熱量は下記式(1)で表される。
R =σ・A・{(T24−T14)/〔(1/ε1 )+(1/ε2 )−1〕}・F…(1)
ここで、σ:シュテファンボルツマン定数(5.68×10-8〔W/(m2 ・K4 )〕),A:面積〔m2 〕,T1 :高温側温度〔K〕、T2 :低温側温度〔K〕、ε1 :高温側輻射率,ε2 :低温側輻射率,F:形態係数、である。
【0023】
上記式(1)に圧力の因子は含まれてはおらず、輻射による熱量は圧力によらず一定となる。
【0024】
気体分子伝導による熱伝達率は、圧力の低い分子流領域と圧力の高い粘性流領域、これらの中間の中間流領域において異なる。
【0025】
圧力の低い分子流領域(気体分子の平均自由行程が伝熱距離より大きい場合)における、気体分子伝導による伝熱量は下記式(2)のようになる。
C1=αΛ0 p・〔√(273.2/T)〕・(T2 −T1 )A …(2)
ここで、α:適応係数,Λ0 :273.2[K]における自由電子熱伝導度,p:圧力、である。
【0026】
上記式(2)において、熱伝達率は圧力の因子を含んでおり、圧力に比例して増加する。
【0027】
中間流領域(気体分子の平均自由行程が伝熱距離とほぼ一致する場合) における、気体分子伝導による伝熱量は下記式(3)のようになる。
C2=κA〔(T2 −T1 )/(d+2g) …(3)
ただし、熱伝導度κは次の通りである。
κ=〔(9・γ−5)/4〕・(η・cv
=〔(9・γ−5)/4〕・(0.5・ρ・va ・L・cv
g=(1/α)・{〔2・(9・γ−5)/4〕/(γ+1)}・L
ここで、γ:比熱比,η:粘性係数,cv :定積比熱,ρ:気体の密度,va :分子平均速度,L:平均自由行程,d:伝熱距離である。
【0028】
上記式(3)において、圧力の因子は気体の密度ρに含まれており、熱伝達率は圧力に比例して増加する。
【0029】
圧力の高い粘性流領域(気体分子の平均自由行程が伝熱距離より大きい場合) における、気体分子伝導による伝熱量は下記(4)のようになる。
C3=κA〔(T2 −T1 )/d〕 …(4)
上記式(4)に圧力の因子は含まれておらず、粘性流領域における気体分子伝導による熱量は圧力によらず一定となる。
【0030】
また、図1において低温源1と受熱板2は垂直に配置されており、垂直平板まわりに発生する対流による伝熱量は下記(5)で表すことができる。
CV=hA(Tw −T) …(5)
ここで、h:対流熱伝達率 h=(Nu・κ)/l,Tw :受熱板の温度[K],T:受熱板から十分離れた位置の気体温度[K],Nu:ヌセルト数,l:代表長さ(低温源および受熱板の高さ)[m]
上記式(5)において、圧力の因子は対流熱伝達率hの因子である動粘度に含まれており、動粘度は圧力が上昇するにしたがって増加するので、熱伝達率は圧力に従い増加する。
【0031】
圧力と熱伝達率の関係は、上記式(1)から上記式(5)の組み合わせにより成り立っている。これらの特性を組み合わせた圧力と熱伝達率の関係は例えば図2に示すような関係となり、このような特性を圧力換算に用いることができる。
【0032】
図3は本発明の実施例を示す低温機器用真空計の模式図、図4はこの実施例における圧力と熱伝達率の関係を示す図である。
【0033】
図3において、11は低温源、12は受熱板、13は熱シールド板、14は真空断熱容器、15は熱シールド板13の断熱材、16は冷凍機であり、この冷凍機16によって低温源11を冷却する。17は低温源11の温度を測定する温度センサ、18は受熱板12の温度を測定する温度センサ、19は熱シールド板13の温度を測定する温度センサ、20は受熱板固定部材である。
【0034】
低温機器の真空断熱容器14内の真空度を測定・監視する、本発明に基づく真空計の構成例が図3に示されている。40[K]程度の低温源11を持った低温機器において、真空断熱容器14内は希薄ヘリウムガスの雰囲気となっており、1[Pa]程度の圧力を測定・監視する。この条件において、質量0.88[kg]の受熱板12を低温源11に6.6[mm]の離隔を持って対向させて設置する。この受熱板12の面積は0.147[m2 ]としている。また、受熱板12は強度及び剛性を高めた構造とし、77[K]の熱シールド板13に受熱板固定部材20を介して固定されている。
【0035】
この条件における圧力と熱伝達率の関係は、実験によると図4のような特性となっている(上記特許文献2参照)。なお、この特性を確認した実験の際の測定条件は表1の通りである。
【0036】
【表1】

この実験結果を直線近似すると、各圧力領域における熱伝達率ηと圧力pの関係はそれぞれ次のようになっていた。また、得られた伝熱特性の近似式をグラフに示すと図5のようになる。
(1)分子流領域(p<0.15[Pa])
ηm =4.0×10-4p+0.023
(2)中間流領域(0.15[Pa]≦p<10[Pa])
ηi =1.8p−0.31
(3)粘性流領域(p≦10[Pa])
ηc =3.0×10-4p+7.1
図5の熱伝達率と圧力の関係を基に、図3の構成の実施例において受熱板12の平衡温度を解析的に求めると以下のようになる。
【0037】
受熱板12から低温源11への伝熱量は下記式(6)となる。
【0038】
1 =ηA(T−40) …(6)
(T:受熱板の温度)
熱シールド板13から受熱板12への伝熱量は下記式(7)となる。
【0039】
2 =〔(κ0 0 )/l〕(77−T) …(7)
(κ0 :受熱板固定部材熱伝導率,A0 :受熱板固定部材断面積,l:受熱板固定部材長さ)
受熱板12の温度変化に必要な熱量は下記式(8)で表される。
【0040】
Q=Cm(dT/dt) …(8)
(C:受熱板比熱,m=受熱板質量,T:受熱板の温度)
受熱板12における短時間の熱の授受は下記式(9)で表される。
【0041】
dQ=dQ2 −dQ1 …(9)
上記式(6)〜(9)より受熱板12の短時間での温度変化は下記式(10)で表される。
【0042】
【数1】

この式(10)を解くことにより、本実施例の条件における受熱板の平衡温度を計算することができ、圧力に応じて熱伝達率ηが変化するため、圧力に応じた平衡温度を算出することができる。
【0043】
実施例の諸条件のうち、表1で示した以外については表2に示す。
【0044】
【表2】

表1、表2の条件から圧力と受熱板の平衡温度の関係を求めると表3のとおりとなる。
【0045】
【表3】

本発明では、低温源11、熱シールド板13の温度を測定し、条件通りの温度になっていることが確認されれば、測定した受熱板12の平衡温度をこの表3のようなデータに照合することにより、圧力を換算することが可能である。
【0046】
この実施例では、圧力は0.1[Pa]〜3[Pa]の範囲で測定可能であり、それ以外の範囲は分解能が低下するが、低温源11と受熱板12の離隔距離、受熱板12の面積、受熱板固定部材20の熱伝導率を調整することにより、用途に応じた圧力範囲の測定が可能となる。
【0047】
また、本実施例の構成により、受熱板12の平衡温度が規定以上に達した時点で圧力が規定値以上に上昇したことを判断する、希薄ガス領域の圧力スイッチとしての機能も実現可能である。例えば、本実施例では、受熱板の温度が41.1[K]より上昇した場合、内部の圧力が1[Pa]以上に上昇したことを検出することができる。この方式では、圧力と熱伝達率の関係照合をより簡素にすることができ、警告や制御への利用が可能となる。
【0048】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の低温機器用真空計は、測定範囲が分子流領域以外の領域でも測定可能であり、かつ衝撃・振動が加わる環境下でも低温機器の真空度を測定することのできる真空計として利用可能である。
【符号の説明】
【0050】
1,11 低温源
2,12 受熱板
3 隔壁または熱シールド板
4,17 低温源の温度を測定する温度センサ
5,18 受熱板の温度を測定する温度センサ
6 隔壁または熱シールド板の温度を測定する温度センサ
7,20 受熱板固定部材
13 熱シールド板
14 真空断熱容器
15 熱シールド板の断熱材
16 低温源を冷却する冷凍機
19 熱シールド板の温度を測定する温度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空断熱容器内に配置される低温源と、該低温源から離隔されて対向するように配置される受熱板と、前記低温源の温度を測定する第1の温度センサと、前記受熱板の温度を測定する第2の温度センサと、熱シールド板又は隔壁の温度を測定する第3の温度センサとを具備し、前記低温源と前記受熱板との離隔、前記低温源と前記受熱板が対向する面の面積、前記受熱板の比熱及び質量、前記真空断熱容器の前記熱シールド板又は隔壁から前記真空断熱容器内の前記受熱板への熱侵入量と、測定した前記低温源及び前記受熱板の平衡温度と前記熱シールド板又は隔壁の温度に基づいて、前記低温源と前記受熱板の間の熱伝達率を求め、該熱伝達率と圧力の関係を基に前記受熱板の平衡温度を計算し、該受熱板の平衡温度と圧力の関係とを求めておき、前記第1の温度センサで測定した低温源の温度と前記第3の温度センサで測定した熱シールド板又は隔壁の温度が条件通りの温度と一致している場合には、前記第2の温度センサで測定した受熱板の温度に基づいて前記真空断熱容器内の圧力を求めることを特徴とする低温機器用真空計。
【請求項2】
請求項1記載の低温機器用真空計において、前記第1の温度センサで測定した低温源の温度と前記第3の温度センサで測定した熱シールド板又は隔壁の温度と前記第2の温度センサで測定した受熱板の温度に基づいて、前記低温源と前記受熱板の間の伝熱量または熱伝達率を求め、該低温源と受熱板の間の伝熱量または熱伝達率から前記真空断熱容器内の圧力を求めることを特徴とする低温機器用真空計。
【請求項3】
請求項1記載の低温機器用真空計において、前記低温源と受熱板との離隔を調整することにより、使用温度域や測定する圧力域を適合させることを特徴とする低温機器用真空計。
【請求項4】
請求項1記載の低温機器用真空計において、前記低温源としては温度が既知の値に固定されている液体ヘリウム(4K)や液体窒素系(77K) を用いることを特徴とする低温機器用真空計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−210301(P2010−210301A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−54450(P2009−54450)
【出願日】平成21年3月9日(2009.3.9)
【出願人】(000173784)財団法人鉄道総合技術研究所 (1,666)
【Fターム(参考)】