説明

低温液体用レベル検出器及びこれを持つ容器

容器(1)内にある低温液体用のレベル検出器は、超伝導体を持つセンサを使用する。丈夫で安価なレベル検出器を提供するため、センサ(11)が、プラスチック母材(21)中を平行に導かれる複数の導体から成る扁平導体(20)であり、そのうち
第1の導体(23)が、超伝導体であり、
第2の導体(24)が、第1の導体(23)への加熱電流の供給体であり、
第3の導体(25;25,26)が電圧測定に用いられ、
1つの対の導体(24,25,26)が、センサの長さ方向に互いに離れた点(27,28及び29,30)で、センサに接続されている。センサは容器内の案内片中に導かれている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器内にある低温液体用のレベル検出器であって、液体に没入するセンサ及び電子装置部分から成り、センサの長さにわたって超伝導の伝導区間及び加熱装置が延び、伝導区間における電圧降下が液体レベルの尺度として測定されるものに関する。
【背景技術】
【0002】
容器として、自動車により連行される、燃料として役立つ低沸点の液化ガス例えば水素用の容器が、それだけではないけれども特に考えられている。低沸点の液化ガスは、液相及び気相の状態量が少ししか相違しない条件(圧力及び温度)で蓄えられる。このことは、従来の方法による正確な測定を困難にする。
【0003】
しかし自動車における使用に対して、安全上の理由から、また容器充填物の動作範囲を完全に利用するため、まだ存在する燃料量の正確な検出が必要である。そのため走行作動に対して典型的なある種の困難さがある。例えば液体レベルの状態が車両の傾斜及び遠心力の影響を受ける。
【0004】
最初にあげた種類のレベル検出器は国際公開第WO91/08449号から公知である。そこではセンサは剛性棒であり、管状の機械的支持体、これに対して基板により分離されて全面が超伝導の層、及び管の内部に設けられる抵抗加熱素子から成り、この加熱素子が電気絶縁体により管の内壁に支持されている。加熱素子により、適当に選ばれた超伝導層が、冷たい液体蒸気の範囲では超伝導にならないけれども、液体に没入する範囲では多分超伝導であるようにされる。抵抗測定用の電気接続片が、外部から超伝導層へ導かれている。
【0005】
このセンサでは、著しい構造費及び電気接続片及び導体の露出状態が不利である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って本発明の課題は、大量生産に適しかつ異なる大きさ及び異なる形状の容器に対して使用可能で丈夫かつ安価なレベル検出器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によればこれは、センサが、プラスチック被覆中を平行に導かれる複数の導体から成る扁平導体であり、そのうち第1の導体が、適当に選ばれた転移温度を持つ超伝導体であり、少なくとも1対の第2の導体が、第1の導体への加熱電流の供給体であり、少なくとも1対の第3の導体が電圧測定に用いられ、1つの対の導体が、センサの長さ方向に互いに離れた点で、センサに接続されていることによって、達せられる。
【0008】
扁平導体は公知である(Firmel and T Innovation Technology AGの欧州特許)。それは1つの面内に並んでいる導電膜帯片から成り、これらの膜帯片は互いに絶縁されて母材一般に絶縁性プラスチックで成形被覆されている。扁平導体は安価な量産品であり、ロールから任意の長さに切断され、任意の個所に接続部、終端部及び開口を設けられ、そのために簡単かつ速やかな方法及び装置が公知である。低温の周囲及び個々の導体の本発明による処理及び役割分布との共同作用で、この技術の更に別の利点が現れる。更に扁平導体は、導体の数及び性質と母材の断面に関し種々の状態で製造可能である。
【0009】
本発明の局面として、扁平導体にある第1の導体は適当な超伝導材料から成り、母材の断面は、それが可撓的で特定の剛性を持っている更に2つの導体の対の接続は、超伝導体へ加熱電流を供給するため、垂直方向に互いに離れた点で行われる。こうして超伝導体は同時にその固有の加熱導体である。第2の導体の対の間の範囲は、液体レベルの可能な位置を含んでいる。扁平導体の長さにわたって、複数のこのような範囲が形成されている。その場合第2及び第3の導体の複数対も扁平導体に含まれている。
【0010】
(蒸発を高める)液体のできるだけ少ない加熱及びレベル変化に対する超伝導体の速やかな反応を行うため、扁平導体のプラスチック被覆が悪い熱伝導体であり、第1の導体の周囲にのみ所々に空き個所(中断部)を持ち、従って第1の導体がこれらの個所で液体に接触できる(請求項2)。
【0011】
レベル測定に加えて温度測定も行うため、扁平導体が温度測定用の別の導体を含んでいる(請求項3)。このように拡張される扁平導体は、上述したように最小の超過費用しか必要としない。特定の強度を設定し場合によっては間隔片としても用いるために、同様に少ない超過費用で、扁平導体のプラスチック被覆が、その長さ方向に延びる補強ひれを持っている(請求項4)ことも可能である。扁平導体の自由端が簡単な工程で絶縁して終らされること(請求項5)も、扁平導体の利点にあげられる。
【0012】
本発明の展開では、センサが容器の内部に少なくとも所々に取付けられる案内片の所で案内されている(請求項6)。こうして扁平導体は、車両が振動する際にもその場所に保たれる。案内片は、扁平導体の適当に選ばれた剛性において、直線に従う必要はない。
【0013】
案内片が内部にセンサを収容する管であり、容器の内容と連通する導管を形成しているのがよい(請求項7)。連通は特定の個所にある管の開口によって行われて、容器内の液体レベルの状態が管内の状態でもあるようにする。こうして液体レベルの変動を抑制することができる。それが測定の精度に寄与する。
【0014】
有利な実施形態では、管が端部範囲で容器壁を貫通して、それに漏れのないように結合(例えば溶接)され、管内にあるセンサの電子装置部分に近い端部範囲用の取外し可能なブッツシングを含んでいる(請求項8)。こうして一般に内側容器と外側容器から成りかつその間の空間を排気される容器の密閉が、センサと容器外に設けられる電子装置部分との接続個所においても行われる。ブッシングが取外し可能なので、センサを交換することができる。
【0015】
本発明は、自動車における使用に対して特に有利に、容器の水平方向に離れた2つの個所のレベルを、本発明によるただ1つのセンサで測定するのを可能にする。そのため案内片が、容器の内部で少なくとも2つの個所で液面を貫通し、それにより超伝導体が少なくとも2つの測定区間を形成している(請求項9)。
【0016】
本発明が図により以下に説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1において低温液体(ここでは水素)用の容器が、1で示されている。この容器は外側容器2と内側容器3から成り、これらの容器の間に排気されて熱絶縁する中間空間が形成されている。レベル検出器は5で示され、その電子制御装置部分6は容器1外にあり、フランジ7及び管として形成される案内片10に結合され、この案内片10はブッシング8を介して容器1の内部へ達している。図1には管10のみが見られ、その中を導かれるセンサ11は図2において初めて見られる。管10は上から内側容器3内へ達し、それから下方へ第1の測定区域12及び区間17を経て、水平方向に離れている第2の測定区域13へ延びている。この区域13で管は上方へその開放端部の所まで延びている。容器1内の液体レベルは14で示され、このレベルに下には液体があり、その上にはガス空間16がある。液相15と気相16は互いに平衡している。
【0018】
図2及び図3では、管10の一部及びこれに収容されるセンサ11の一部が拡大されている。センサ11は扁平導体20として構成され、プラスチック母材21とこの母材へ埋込まれた導体から成っている。プラスチック母材21は、扁平導体20を補強又は案内するため補強ひれ22(破線)を持つことができる。導体自体は扁平であり、成形被覆により母材21へ埋込まれている。第1の導体23は超伝導材料から成り、その転移温度が液状水素に合わされ、例えば2硼化マグネシウムである。1対の第2の導体24は超伝導体23へ加熱電流を供給するのに役立ち、1対の第3の導体25は電圧測定に役立ち、もっと詳細には第1の導体23の抵抗により生じる電圧降下の測定に役立つ。図示した実施例では更に別の1対の第2の導体26が設けられている。なぜならば、センサ11により、互いに離れた2つの測定区域12,13においてレベルを測定せねばならないからである。
【0019】
扁平導体の利点の1つは、個々の導体を接続しかつ締付けるための簡単な動作及び装置が与えられることである(例えば米国特許第6,936,788号明細書参照)。こうして第2の導体24は、2つの互いに離れた個所で第1の導体23に接続され、扁平導体20の長さ方向の接続部が、第1の測定区域12の高さに相当する距離を持っている。接続部は27及び28で示されている。第2の接続部29,30において、第3の導体25(1つは接続部29において、1つは接続部30において)、第1の導体23に接続されている。第2の測定区域13に対して、別の1対の第3の導体26が設けられている。
【0020】
第1の導体23への熱伝達を改善しかつ促進するため、扁平導体20の母材21は、等間隔に空き個所31を持ち、この空き個所を通して液体が超伝導体23に直接接触する。その場合扁平導体20は更に(図2では下方へ、ただし図1によれば水平に)第2の測定区域13へ延び、この第2の測定区域は、図2において図示を簡単にするため33の所で切り離されている。その場合扁平導体20に含まれるすべての導体が中断されている扁平導体20の端部だけ見られる。その代わりに、扁平導体20に対して簡単な装置がある。自由端34は、それが金属部分に支持されていない限り、そのほかの絶縁を必要としない。
【0021】
案内片として役立つ管10は、個々には示してない種々の個所で容器の内部空間に接続されているので、液体レベル14は管10の内部にも現れ、従って管の内部は容器内部に連通する導管を形成している。扁平導体が可撓的であるけれども充分硬いと、組込み又は交換の際外部からフランジ7を通って湾曲部を持つ管10の中へ導入することができる。
【0022】
図4において、見やすくするため、個々の導体が扁平導体20の長さに対して直角に引き離されている。超伝導体23は、接続点40と41の間で第1の測定区域12を形成し、接続点42と43の間で第2の測定区域13を形成し、その間に、裂き開かれて、図1において水平な区間17がある。加熱電流用導体24は、点40及び43で超伝導体23に接触し、従って超伝導体23の全体を通って加熱電流が流れる。第1の測定区域12にある電圧降下の測定用導体25は、点40及び41で接続され、第2の測定区域13用の導体26は点42及び43で接続される。
【0023】
図2に示す導体に加えて、更に1つの温度測定部を設けることができる。そのため測定素子45,46(例えば温度に関係する抵抗)が点41及び42に接続されている。測定素子45,46を流れる電流は、付加的な導線47,48により測定される。圧力センサも同じように設けることができ、そのため扁平導体に別の導体が設けられる。種々の導体の配置及び接続はここでは例示的に記載されており、多様に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明によるセンサを持つ容器の縦断面を示す。
【図2】図1の細部II即ちセンサを示す。
【図3】図2のIII−III線による断面図を示す。
【図4】導体の伝記接続部を概略的に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器(1)内にある低温液体用のレベル検出器であって、液体に没入するセンサ(11)及び電子装置部分(6)から成り、センサ(11)の長さにわたって超伝導の伝導区間及び加熱装置が延び、伝導区間における電圧降下が液体レベルの尺度として測定されるものにおいて、センサ(11)が、プラスチック母材(21)中を平行に導かれる複数の導体から成る扁平導体(20)であり、そのうち
第1の導体(23)が、適当に選ばれた転移温度を持つ超伝導体であり、
少なくとも1対の第2の導体(24)が、第1の導体(23)への加熱電流の供給体であり、
少なくとも1対の第3の導体(25;25,26)が電圧測定に用いられ、
1つの対の導体(24,25,26)が、センサの長さ方向に互いに離れた点(27,28及び29,30)で、センサに接続されている
ことを特徴とする、レベル検出器。
【請求項2】
扁平導体(20)のプラスチック母材(21)が悪い熱伝導体であり、第1の導体(23)の周囲にのみ所々に空き個所(31)を持ち、従って第1の導体(23)がこれらの個所で液体(15)に接触できることを特徴とする、請求項1に記載のレベル検出器。
【請求項3】
扁平導体(20)が温度測定用の別の導体を含んでいることを特徴とする、請求項1に記載のレベル検出器。
【請求項4】
扁平導体(20)のプラスチック母材(21)が、その長さ方向に延びる補強ひれ(22)を持っていることを特徴とする、請求項1に記載のレベル検出器。
【請求項5】
扁平導体(20)の自由端(34)が絶縁物(32)を持っていることを特徴とする、請求項1に記載のレベル検出器。
【請求項6】
センサ(11)が容器(1;2;3)の内部に少なくとも所々に取付けられる案内片(10)の所で案内されていることを特徴とする、請求項1に記載のレベル検出器。
【請求項7】
案内片(10)が内部にセンサ(11)を収容する管であり、容器の内容(15)と連通する導管を形成していることを特徴とする、請求項1に記載のレベル検出器。
【請求項8】
管(10)が容器壁(2,3)を貫通して、それに漏れのないように結合され、管(10)内にあるセンサ(11)の電子装置部分(6)に近い端部範囲用の取外し可能なブッツシング(8)を含んでいることを特徴とする、請求項7に記載のレベル検出器。
【請求項9】
案内片(10)が、容器の内部で少なくとも2つの個所(12,13)で液面(14)を貫通し、それにより超伝導体(23)が少なくとも2つの測定区間を形成していることを特徴とする、請求項6に記載のレベル検出器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2009−529142(P2009−529142A)
【公表日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−503365(P2009−503365)
【出願日】平成19年3月6日(2007.3.6)
【国際出願番号】PCT/AT2007/000113
【国際公開番号】WO2007/101286
【国際公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(503211264)マグナ・シユタイル・フアールツオイクテヒニク・アクチエンゲゼルシヤフト・ウント・コンパニー・コマンデイトゲゼルシヤフト (18)
【Fターム(参考)】