説明

低溶出性エポキシ樹脂及びその部分エステル化エポキシ樹脂、その製造方法、並びにそれを含む硬化性樹脂組成物

【課題】液晶への溶解性が抑えられ、液晶の汚染を防止することができる、高品位のシール剤のオリゴマー成分として使用することができるエポキシ樹脂及び部分エステル化エポキシ樹脂を得ることである。
【解決手段】エポキシ樹脂の構造をある一定の構造で変性した、新規なエポキシ樹脂及びエポキシ樹脂を部分エステル化した部分エステル化エポキシ樹脂、並びにそれらの製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低溶出性エポキシ樹脂及びその部分エステル化エポキシ樹脂、その製造方法、並びにそれを含む硬化性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示素子の製造方法において、滴下工法は真空下でシール剤の閉ループ内に液晶を直接滴下、貼り合わせ、真空開放を行うことでパネルを作成することができる工法である。この滴下工法では、液晶の使用量の低減、液晶のパネルへの注入時間の短縮等のメリットが数多くあり、現在の大型基板を使った液晶パネルの製造方法として主流となっている。滴下工法を含む方法では、シール・液晶を塗布して、貼り合わせた後、ギャップだし、位置あわせを行い、シールの硬化を主に紫外線硬化によりおこなっている。
現在では、シール剤の描画位置は完全に光が当たる位置になっており、シールが未硬化の部分が生じにくく、液晶への汚染の問題はないのが現状であるが、近年狭額縁化の要望に伴い、シール位置がより表示画素に近くなる傾向にある。そのため、シール剤からの汚染により表示画素部の電気特性に影響を及ぼし表示不良を引き起こしやすい傾向にある。特に、小型パネルにおいては、表示部からのシール剤までの距離が狭く、より汚染性による表示不良の発生が顕著である。以上のことから、液晶に対して、汚染の少ないシール剤が求められている。
【0003】
これまでにも、液晶への汚染性を低減する手法として、種々の検討がなされている。
結晶性エポキシ樹脂を使用することで、液晶パネル作成時の熱硬化過程での樹脂の液晶への溶出を低減することが提案されている(特許文献1)。
エポキシ樹脂として、ビスフェノールS型、エーテル型、チオエーテル型、及びフルオレン型のエポキシ樹脂であり、かつアルキレンオキサイド単位を有する化合物において、液晶の汚染性を抑制したシール剤が提案されている(特許文献2)。
また、シール剤の原料として、部分エステル化エポキシ樹脂を使用することも検討されている。
3官能又は4官能のエポキシ樹脂を部分アクリル化することにより、アクリル化されていない化合物の割合を低減させて、熱硬化時の溶出を低減させることが提案されている(特許文献3)。
3官能又は4官能のフェノールノボラック型エポキシ樹脂を、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸誘導体で部分変性することにより、エポキシ樹脂及びアクリル樹脂との配合物で液安定性が向上させ、液晶の配向特性を改善することが提案されている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−23583号公報
【特許文献2】特許第4211942号公報
【特許文献3】特開2008−3260号公報
【特許文献4】特開2008−179796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたエポキシ樹脂は、結晶性であるために液状シール剤として使用するためには、液状樹脂との混合が必要になったり、相溶性により析出したりする可能性がある。
特許文献3及び4に記載された3官能及び4官能のエポキシ樹脂は、高粘度であるか、固形物の場合が多く、シール剤としての使用は限定的である。
また、シール剤においては、UV照射量が低い場合においては汚染性に関しては、現状では不十分であった。
本発明は、液晶への溶解性が抑えられ、液晶の汚染を防止することができる、高品位のシール剤のオリゴマー成分として使用することができるエポキシ樹脂及び部分エステル化エポキシ樹脂を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、液晶パネル用滴下シール材に要求される特性を向上させるために、シール材の主成分であるエポキシ樹脂の液晶への汚染性に着目し鋭意検討した結果、主成分であるエポキシ樹脂の構造をある一定の構造で変性することによりオリゴマーそのものの液晶に対する溶解性・溶出性を低減することができることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、一般式(1):
【化1】


一般式(2):
【化2】


又は、一般式(3):
【化3】


〔式中、
Xは、−O−、炭素原子数1〜4のアルキレン、又は炭素原子数2〜4のアルキリデンであり、
Yは、炭素原子数1〜4のアルキレン−炭素原子数6〜20のアリーレン−炭素原子数1〜4のアルキレン、炭素原子数1〜4のアルキレン−炭素原子数6〜20のアリーレン、又は基:−R−(O−R−(式中、Rは、炭素原子数1〜4のアルキレンであり、nは、0又は1〜6の整数である)であり、
、R、R、R、R及びRは、互いに独立に、水素、グリシジル、又はメチルグリシジルであり、
各R21は、それぞれ互いに独立に、水素又はメチルであり、
、R、R、R、R及びRの、少なくとも2つは、グリシジル又はメチルグリシジルである〕
で示される、エポキシ樹脂に関する。
本発明は、一般式(4):
【化4】


一般式(5):
【化5】


又は、一般式(6):
【化6】


〔式中、
X、Y及びR21は、前記に定義されたとおりであり、
11、R12、R13、R14、R15及びR16は、水素、グリシジル、メチルグリシジル又は
基:−Z−R
(式中、
Zは、2−ヒドロキシプロピレン又は2−メチル−2−ヒドロキシプロピレンであり、
は、アクリロイル又はメタクリロイルである)
であり、
11、R12、R13、R14、R15及びR16の少なくとも2つは、グリシジル、メチルグリシジル、又は基:−Z−Rであり、
グリシジル及びメチルグリシジルとアクリロイル及びメタクリロイルとの割合が、10:90〜90:10である〕
で示される、部分エステル化エポキシ樹脂に関する。
本発明は、エポキシ樹脂の製造方法であって、工程(1A)〜(1B):
(1A)分子中に2以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物を、金属触媒の存在下、分子中に2以上のヒドロキシ基を有するポリヒドロキシ化合物と反応させて、多官能エポキシ化合物のエポキシ開環体を得る工程と、
(1B)工程(1A)で得られた多官能エポキシ化合物のエポキシ開環体のヒドロキシ基をエポキシ化する工程と
を含む、エポキシ樹脂の製造方法に関する。
本発明は、前記に記載の一般式(1)〜一般式(3)で示されるエポキシ樹脂を製造するための、前記に記載のエポキシ樹脂の製造方法であって、下記工程(2A)〜(2B):
(2A)一般式(7a):
【化7】


一般式(8a):
【化8】


又は、一般式(9a):
【化9】


〔式中、
X及びR21は、前記に定義されたとおりである〕
で示されるエポキシ化合物を、金属触媒の存在下、下記一般式(10):
HO−Y−OH (10)
(式中、Yは、前記に定義されたとおりである)
で示されるジヒドロキシ化合物と反応させて、一般式(7b):
【化10】


一般式(8b):
【化11】


又は、一般式(9b):
【化12】


〔式中、X、Y及びR21は、前記に定義されたとおりである〕
で示されるエポキシ開環体を得る工程と、
(2B)工程(2A)で得られた一般式(7b)〜一般式(9b)で示されるエポキシ開環体のヒドロキシ基をエポキシ化して、一般式(1)〜一般式(3)で示されるエポキシ樹脂を得る工程とを含む、エポキシ樹脂の製造方法に関する。
本発明は、部分エステル化エポキシ樹脂の製造方法であって、工程(1C):
(1C)前記に記載の製造方法により得られるエポキシ樹脂を、塩基性触媒の存在下で、(メタ)アクリル酸と反応させる工程を含む、部分エステル化エポキシ樹脂の製造方法に関する。
本発明は、前記に記載の一般式(4)〜一般式(6)で示される部分エステル化エポキシ樹脂を製造するための、前記に記載の部分エステル化エポキシ樹脂の製造方法であって、工程(2C):
(2C)前記に記載の製造方法により得られる、一般式(1):
【化13】


一般式(2):
【化14】


又は、一般式(3):
【化15】


〔式中、
X、Y、R、R、R、R、R、R、R21は、前記に定義されたとおりであり、
、R、R、R、R及びRの少なくとも2つは、グリシジル又はメチルグリシジルである〕
で示されるエポキシ樹脂を、塩基性触媒の存在下、(メタ)アクリル酸と反応させて、一般式(4)〜一般式(6)で示される部分エステル化エポキシ樹脂を得る工程を含む、製造方法に関する。
本発明は、(a)前記に記載の一般式(1)、一般式(2)及び一般式(3)で示されるエポキシ樹脂、(b)前記に記載の一般式(4)、一般式(5)及び一般式(6)で示される部分エステル化エポキシ樹脂、(c)前記に記載の製造方法により得られるエポキシ樹脂、並びに(d)前記に記載の製造方法により得られる部分エステル化エポキシ樹脂からなる群より選択される1種以上の樹脂を含む、硬化性組成物に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、液晶への溶解性が抑えられ、液晶の汚染を防止することができる、高品位のシール剤のオリゴマー成分として使用することができるエポキシ樹脂及び部分エステル化エポキシ樹脂が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】照度1000mJにおける、液晶のコーナー部の配向性を示す顕微鏡図である。
【図2】照度1000mJにおける、液晶の直線部の配向性を示す顕微鏡図である。
【図3】照度50mJにおける、液晶のコーナー部の配向性を示す顕微鏡図である。
【図4】照度50mJにおける、液晶の直線部の配向性を示す顕微鏡図である。
【図5】照度0mJにおける、液晶のコーナー部の配向性を示す顕微鏡図である。
【図6】照度0mJにおける、液晶の直線部の配向性を示す顕微鏡図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
【0011】
本発明のエポキシ樹脂は、一般式(1)、一般式(2)及び一般式(3)で示される化合物である。
炭素原子数1〜4のアルキレンは、メチレン、エチレン、トリメチレン、及びテトラメチレンが挙げられ、好ましくは、メチレン及びエチレンである。
炭素原子数2〜4のアルキリデンは、エチリデン、プロピリデン、イソプロピリデン、メチルプロピリデン、及びブチリデンが挙げられ、好ましくはエチリデン及びイソプロピリデンである。
炭素原子数6〜20のアリーレンは、単環又は多環の芳香族基であり、フェニレン、ナフチレン、及びアントラセニレンが挙げられ、好ましくはフェニレンである。
【0012】
炭素原子数1〜4のアルキレン−炭素原子数6〜20のアリーレンにおける炭素原子数1〜4のアルキレン及び炭素原子数6〜20のアリーレンの例示は、上記に定義されたとおりである。炭素原子数1〜4のアルキレン−炭素原子数6〜20のアリーレンとして好ましくは、メチレン−フェニレン基が挙げられる。本発明において、炭素原子数1〜4のアルキレン−炭素原子数6〜20のアリーレンにおける各基への結合の順序はいずれであってもよい。例えば、R〜Rに結合する酸素原子には、炭素原子数1〜4のアルキレン−炭素原子数6〜20のアリーレンにおける、炭素原子数1〜4のアルキレンが結合してもよく、また炭素原子数6〜20のアリーレンが結合してもよい。
【0013】
炭素原子数1〜4のアルキレン−炭素原子数6〜20のアリーレン−炭素原子数1〜4のアルキレンにおける炭素原子数1〜4のアルキレン及び炭素原子数6〜20のアリーレンの例示は、上記に定義されたとおりである。炭素原子数1〜4のアルキレン−炭素原子数6〜20のアリーレン−炭素原子数1〜4のアルキレンとして、好ましくは、フェニレンビス(メチレン)が挙げられる。
【0014】
本発明において、R〜Rの少なくとも2つは、グリシジル又はメチルグリシジルである。本発明において、エポキシ基とは、グリシジル基及びメチルグリシジル基の両方を含む。ここで、グリシジル基は2,3−エポキシプロピル基であり、メチルグリシジル基は2,3−エポキシ−2−メチルプロピル基である。本発明において、R〜Rのうち、3以上がグリシジル又はメチルグリシジルであることが好ましく、R〜Rのうち、いずれもがグリシジル又はメチルグリシジルであることがより好ましい。また、本発明において、R、R及びR、つまり第一級炭素原子に結合する酸素原子にグリシジル及びメチルグリシジルが存在していることが好ましく、R〜R、つまり第一級級炭素原子に結合する酸素原子、及び第二級級炭素原子に結合する酸素原子にグリシジル及びメチルグリシジルが存在していることがより好ましい。
【0015】
本発明において、一般式(1)〜一般式(3)で示されるエポキシ樹脂における、グリシジル及びメチルグリシジルの数は、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)によって計算することができる。具体的には、HPLCによりグリシジル及びメチルグリシジルの個数に対応したピークが得られ、それぞれのピーク面積からグリシジル及びメチルグリシジルの個数の存在割合を算出することができる。これにより、化合物に含まれるグリシジル及びメチルグリシジルの個数を算出することができる。また、一般式(1)〜(3)で示されるエポキシ樹脂が混合物である場合は、グリシジル及びメチルグリシジルの数は混合物の平均値として算出される。すなわち、エポキシ基の数はHPLCの各ピークにおける質量分析(LC−MS)を行うことにより分子量が判断でき、混合物中の各成分の存在比から混合物におけるエポキシ基の平均数が算出できる。例えば、一般式(1)及び一般式(2)で示されるエポキシ樹脂の混合物には、エポキシ基が3個及び4個の化合物、並びにその多量体が含まれ、一般式(3)で示されるエポキシ樹脂は、エポキシ基が3個、4個、5個及び6個の化合物、並びにその多量体が含まれる場合がある。
【0016】
一般式(1)で示される化合物のXの結合位置は、好ましくは、4,4’−位であり、つまりビスフェノール型エポキシ樹脂骨格を有するものであるである。また、一般式(2)で示される化合物におけるナフタレン環の結合位置は、好ましくは、1,6−結合である。
【0017】
本発明において、一般式(1)〜一般式(3)で示される化合物の数平均分子量は、200〜5,000であるのが好ましい。このような範囲であれば、接着性が良好であり、かつ液晶への汚染性が更に抑えられる。本発明において、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算で算出した数平均分子量である。
【0018】
本発明において、一般式(1)〜一般式(3)で示されるエポキシ化合物のエポキシ当量は、100〜3,000g/eq.であるのが好ましく、200〜1,000g/eq.であるのがより好ましい。このような範囲であれば、接着性が良好であり、かつ液晶への汚染性が更に抑えられる。本発明においてエポキシ当量は、エポキシ樹脂が混合物である場合、混合物の平均値として求められる。本発明において、エポキシ当量は、JISK7236:2001(ISO3001:1999に対応)に準拠して求められる。
【0019】
本発明において、部分エステル化エポキシ樹脂は、一般式(4)、一般式(5)及び一般式(6)で示される。一般式(4)〜一般式(6)で示される部分エステル化エポキシ樹脂において、R11、R12、R13、R14、R15及びR16の少なくとも2つは、グリシジル、メチルグリシジル、又は(メタ)アクリロイル基を含む−Z−Rで示される基である。すなわち、本発明の一般式(4)〜一般式(6)で示される部分エステル化エポキシ樹脂は、一般式(1)〜一般式(3)で示されるエポキシ樹脂のグリシジル及びメチルグリシジルの一部が、(メタ)アクリロイル化されているエポキシ樹脂である。
【0020】
本発明において、R11〜R16のうち、3以上がグリシジル、メチルグリシジル、又は(メタ)アクリロイル基を含む−Z−Rで示される基であることが好ましく、R11〜R16のうち、いずれもがグリシジル、メチルグリシジル、又は(メタ)アクリロイル基を含む−Z−Rで示される基であることがより好ましい。また、本発明において、R14、R15及びR16、つまり第一級炭素原子に結合する酸素原子に、グリシジル、メチルグリシジル及び(メタ)アクリロイル基が存在していることが好ましく、R11〜R16、つまり第一級級炭素原子に結合する酸素原子、及び第二級炭素原子に結合する酸素原子にグリシジル、メチルグリシジル及び(メタ)アクリロイル基が存在していることがより好ましい。
【0021】
一般式(4)〜一般式(6)で示される部分エステル化エポキシ樹脂における、グリシジル及びメチルグリシジルの数、並びに(メタ)アクリロイル基の数は、HPLCによって計算することができる。具体的には、HPLCにより、各エポキシ基の数及び各(メタ)アクリロイルの数に対応したピークが得られ、それぞれのピーク面積から各個数の存在割合を算出することができる。これにより、一般式(4)〜一般式(6)で示される部分エステル化エポキシ樹脂における、グリシジル、メチルグリシジル、(メタ)アクリロイル基を含む−Z−Rで示される基の個数が求められる。また、一般式(4)〜(6)で示される部分エステル化エポキシ樹脂が混合物である場合は、グリシジル及びメチルグリシジルの数、並びに(メタ)アクリロイル基の数は混合物の平均値として算出される。例えば、一般式(4)及び一般式(5)で示される部分エステル化エポキシ樹脂の混合物には、一般式(1)及び一般式(2)で示されるエポキシ樹脂の混合物及びそれらのエポキシ基の一部が(メタ)アクリロイル基になった樹脂が含まれ、一般式(6)で示される部分エステル化エポキシ樹脂は、一般式(3)で示されるエポキシ樹脂の混合物及びそれらのエポキシ基の一部が(メタ)アクリロイル基になった樹脂が含まれる場合がある。
【0022】
一般式(4)〜一般式(6)で示される部分エステル化エポキシ樹脂において、グリシジル基及びメチルグリシジル基とアクリロイル基及びメタクリロイル基との割合、すなわちエポキシ基と(メタ)クリロイル基との割合は、10:90〜90:10である。ここで、エポキシ基と(メタ)アクリル基との割合は、HPLC及びエポキシ当量より求めることができる。具体的には、原料であるエポキシ樹脂のエポキシ当量が部分エステル化された分だけ減少することから、部分エステル化エポキシ樹脂のエポキシ当量を測定することにより、どの程度エステル化されたかが算出できる。また、HPLCの各ピークにおける質量分析(LC−MS)を行うことにより各成分の分子量及び存在割合が求められ、成分ごとのエポキシ基及びアクリル基の割合を求めることが出来る。
【0023】
本発明において、一般式(4)〜一般式(6)で示される部分エステル化エポキシ樹脂の数平均分子量は、500〜10,000であるのが好ましく、800〜5,000であるのがより好ましい。また、一般式(4)〜一般式(6)で示される部分エステル化エポキシ樹脂の20℃における粘度は、1,000〜1,000,000mP・sであるのが好ましく、40,000〜600,000mP・sであるのがより好ましい。このような範囲であれば、液晶に塗布した際に流動が生じにくく、液晶への汚染を抑えることができる。なお、本発明において粘度は、E型粘度計を用いて、コーンロータの回転速度2.5rpmで測定した値である。
【0024】
エポキシ樹脂の製造方法
本発明のエポキシ樹脂の製造方法について説明する。本発明のエポキシ樹脂の製造方法において、原料となる多官能エポキシ化合物と、ポリヒドロキシ化合物との反応による多官能エポキシ化合物のエポキシ基の開環工程と、エポキシ基の開環により生成されるエポキシ開環体のヒドロキシ基及びポリヒドロキシ化合物に由来するヒドロキシ基のエポキシ化工程を含む。本発明において、エポキシ化には、グリシジル化及びメチルグリシジル化の両方が含まれる。
【0025】
本発明のエポキシ樹脂の製造方法は、下記工程(1A)〜(1B):
(1A)分子中に2以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物を、金属触媒の存在下、分子中に2以上のヒドロキシ基を有するポリヒドロキシ化合物と反応させて、多官能エポキシ化合物のエポキシ開環体を得る工程と、
(1B)工程(1A)で得られた多官能エポキシ化合物のエポキシ開環体のヒドロキシ基をエポキシ化する工程と
を含む。
【0026】
工程(1A)
工程(1A)において、原料化合物である分子中に2以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物には、エポキシ基の開環によりヒドロキシ基が形成されると共に、ポリヒドロキシ化合物に由来するヒドロキシ基が形成される。ここで、多官能エポキシ化合物の開環体とは、多官能エポキシ化合物のエポキシ基が全て開環した化合物をいう。
【0027】
多官能エポキシ化合物は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物であれば特に限定されない。多官能エポキシ化合物として以下の化合物が挙げられる。
多官能エポキシ化合物として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類、ジメチロールプロパン、トリメチルロールプロパン、スピログリコール、グリセリン等の多価アルコール類とエピクロルヒドリンとを反応させて得られる脂肪族多価グリシジルエーテル化合物が挙げられる。
【0028】
多官能エポキシ化合物として、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールF、ビスフェノールAD等の芳香族ジオール類及びそれらをエチレングリコール、プロピレングリコール、アルキレングリコール変性したジオール類とエピクロルヒドリンとを反応させて得られる芳香族多価グリシジルエーテル化合物が挙げられる。
【0029】
多官能エポキシ化合物として、アジピン酸、イタコン酸等の芳香族ジカルボン酸とエピクロルヒドリンとを反応させて得られた脂肪族多価グリシジルエステル化合物、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等の芳香族ジカルボン酸とエピクロルヒドリンとを反応させて得られた芳香族多価グリシジルエステル化合物が挙げられる。
【0030】
多官能エポキシ化合物として、ジアミノジフェニルメタン、アニリン、メタキシリレンジアミン等の芳香族アミンとエピクロルヒドリンとを反応させて得られる芳香族多価グリシジルアミン化合物が挙げられる。
【0031】
多官能エポキシ化合物として、ヒダントイン及びその誘導体とエピクロルヒドリンとを反応させて得られるヒンダトイン型多価グリシジル化合物が挙げられる。
【0032】
多官能エポキシ化合物として、フェノール又はクレゾールとホルムアルデヒドから誘導されたフェノール樹脂、ノボラック樹脂とエピクロルヒドリンとを反応させて得られたフェノール、ノボラック型多価グリシジルエーテル化合物が挙げられる。
【0033】
本発明において、多官能エポキシ化合物として、下記一般式(7a):
【化16】


一般式(8a):
【化17】


及び、一般式(9a):
【化18】


〔式中、
X及びR21は、一般式(1)で定義されたとおりである〕
で示されるエポキシ化合物が好ましい。
【0034】
本発明の好ましい多官能エポキシ化合物である、一般式(7a)〜一般式(9a)で示されるエポキシ化合物は、市販品として、例えば、エピクロン850(大日本インキ社製)、エピコート828EL、エピコート1004(いずれもジャパンエポキシレジン社製)等のビスフェノールA型エポキシ樹脂、エピコート806、エピコート4004(いずれもジャパンエポキシレジン社製)等のビスフェノールF型エポキシ樹脂、エピクロンHP4032、エピクロンEXA−4700(いずれも大日本インキ社製)等のナフタレン型エポキシ樹脂、VG−3101(三井石油化学社製)等の3官能エポキシ樹脂が挙げられる。
【0035】
本発明において、分子中に2以上のヒドロキシ基を有するポリヒドロキシ化合物は、分子中に2個以上のヒドロキシ基を含む化合物であれば特に限定されない。ポリヒドロキシ化合物の具体例として、以下の化合物が挙げられる。
【0036】
分子中に2個のヒドロキシ基を有する化合物として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、及び1,6−ヘキサンジオール等のモノアルキレングリコール及びポリアルキレングリコール;カテコール、1,2−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、1,2−ジヒドロキシアントラキノン、及び2,3−ジヒドロキシキノキサリン等の2価の芳香族ヒドロキシ化合物;ベンゼン−1,4−ジメタノール、ベンゼン−1,3−ジメタノール、ベンゼン−1,4−ジエタノール等の芳香族アルコール;4−ヒドロキシメチルフェノール、3−ヒドロキシメチルフェノール、4−ヒドロキシエチルフェノール、及び3−ヒドロキシエチルフェノール等のヒドロキシアルキルフェノールが挙げられる。
【0037】
分子中に3個のヒドロキシ基を有する化合物として、グリセリン、トリメチロールプロパン、2−メチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジヒドロキシ−3−ヒドロキシメチルペンタン、1,2,6−ヘキサントリオール、及び1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)プロパン等の3価アルコール;ピロガロール、3,4,5−トリヒドロキシトルエン、1,2,4−トリヒドロキシアントラキノン、没食子酸、並びに没食子酸メチル、没食子酸プロピル及び没食子酸オクチル等の没食子酸エステル化合物等の3価の芳香族ポリヒドロキシ化合物が挙げられる。
【0038】
分子中に4個以上のヒドロキシ基を有する化合物として、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、テトラメチロールメタン、アルキレングリコシド(メチルグリコシド、エチルグリコシド等)が挙げられる。また、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、エラグ酸、ヘキサヒドロキシベンゼン、タンニン酸及びカテコールもしくはピロガロールのカリックスアレーン化合物等の4価以上の芳香族ポリヒドロキシ化合物が挙げられる。
【0039】
本発明において、ポリヒドロキシ化合物は、分子中に2〜6個のヒドロキシ基を有するものが好ましく、分子中に2〜4個のヒドロキシ基を有するものがより好ましく、下記一般式(10):
HO−Y−OH (10)
〔式中、Yは、一般式(1)で定義されたとおりである〕
で示されるジヒドロキシ化合物であるのが特に好ましい。
【0040】
一般式(10)で示されるジヒドロキシ化合物として、好ましくは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタン−1,4−ジオールジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のモノアルキレングリコール及びポリアルキレングリコール;ベンゼン−1,4−ジメタノール、ベンゼン−1,3−ジメタノール、ベンゼン−1,4−ジエタノール等の芳香族アルコール;(2−ヒドロキシフェニル)メタノール、(2−ヒドロキシフェニル)−2−エタノール等のヒドロキシアルキレンフェノールが挙げられる。
【0041】
金属触媒は、エポキシ基の開環反応に用いられる触媒であればいずれも使用することができ、例えば、銅、亜鉛、鉄、マグネシウム、銀、カルシウム、錫等の金属と、BF、SiF2−またはPF、CFSO2−等のアニオンからなる金属触媒が挙げられる。好ましくは、ホウフッ化錫(Sn(BF)である。
【0042】
本発明において、ポリヒドロキシ化合物の使用量は、多官能エポキシ化合物におけるエポキシ基1当量に対して、1当量〜10当量であり、好ましくは4当量〜8当量である。本発明において、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて、原料の多官能エポキシ化合物さらには片末端反応物のピークの消失により、すべてのエポキシ基がポリヒドロキシ化合物と反応してエポキシ開環体の生成が確認できる。ここで、片末端反応物とは、多官能エポキシ化合物の全てのエポキシ基が未開環である反応物をいい、例えば一般式(7a)及び(8a)で示される化合物においては、1つのエポキシ基のみが開環した化合物であり、また一般式(9a)で示される化合物においては、1つ又は2つのエポキシ基のみが開環した化合物をいう。
【0043】
本発明において、金属触媒は、全反応混合物の重量に対して、10〜1,000ppm、好ましくは、20〜200ppmである。
【0044】
工程(1A)における反応温度は、特に制限されないが、50℃〜130℃、好ましくは、70℃〜120℃である。工程(1A)における反応は、有機溶媒の存在下又は非存在下で行うことができる。用いることができる有機溶媒として、ベンゼン及びトルエンのような芳香族炭化水素:例えばシクロヘキサノンのような環式脂肪族ケトン;並びに出発物質のジヒドロキシ化合物が挙げられる。
【0045】
工程(1B)
工程(1B)により、工程(1A)で得られる多官能エポキシ化合物のエポキシ開環体のヒドロキシ基がエポキシ化される。工程(1B)において、多官能エポキシ化合物のエポキシ開環体におけるヒドロキシ基の一部又は全部がエポキシ化される。本発明において、多官能エポキシ化合物のエポキシ開環体のヒドロキシ基の50%〜100%がエポキシ化されるのが好ましく、75%〜100%がエポキシ化されるのがより好ましい。
【0046】
多官能エポキシ化合物のエポキシ開環体は、工程(1B)における原料化合物であり、前述の多官能エポキシ化合物のエポキシ基が全て開環した化合物が挙げられる。好ましくは、一般式(7a)〜一般式(9a)で示されるエポキシ化合物のエポキシ開環体である、下記一般式(7b):
【化19】


一般式(8b):
【化20】


又は、一般式(9b):
【化21】


〔式中、X、Y及びR21は、前記に定義されたとおりである〕
で示される、多官能エポキシ化合物のエポキシ開環体である。
【0047】
工程(1B)において、エポキシ化は、公知のヒドロキシ基をエポキシ化する反応を用いることができ、例えば、エピクロロヒドリン法及び酸化法が挙げられ、好ましくはエピクロロヒドリン法である。
【0048】
エピクロロヒドリン法は、工程(1A)で得られる多官能エポキシ化合物のエポキシ開環体を、相関移動触媒の存在下、エピクロロヒドリン又はメチルエピクロロヒドリンと反応させることにより、多官能エポキシ化合物のエポキシ開環体のヒドロキシ基をエポキシ化する方法である。
【0049】
エピクロロヒドリン法では、エピクロロヒドリン又はメチルエピクロロヒドリンを、所望のエポキシ基の数となるモル数で反応させることができる。多官能エポキシ化合物のエポキシ開環体のヒドロキシ基1モルに対して、エピクロロヒドリン又はメチルエピクロロヒドリンの量は0.5〜5モル、好ましくは0.5〜2.5モルである。例えば、分子中に4個のヒドロキシ基を有する一般式(7b)及び一般式(8b)で示される化合物1モルに対して、エピクロロヒドリン又はメチルエピクロロヒドリンの量は、2〜20モル、好ましくは2〜10モルである。分子中に6個のヒドロキシ基を有する一般式(9b)で示される化合物1モルに対して、エピクロロヒドリン又はメチルエピクロロヒドリンの量は、3〜30モル、好ましくは3〜15モルである。
【0050】
相間移動触媒は、塩化メチルトリオクチルアンモニウム、塩化メチルトリデシルアンモニウム及び塩化テトラメチルアンモニウムのような塩化テトラアルキルアンモニウム、及び塩化ベンジルトリメチルアンモニウムのような塩化アラルキルトリアルキルアンモニウム等の第四級アンモニウム塩が挙げられ、塩化ベンジルトリメチルアンモニウムが好ましい。相間移動触媒の使用量は、反応体の全重量に基づいて、0.1〜5重量%であり、0.5〜2.0重量%がより好ましい。
【0051】
反応は、ヘキサン及びペンタン等の炭化水素;ジエチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル及びジイソプロピルエーテル等のエーテル;またはアセトン及びメチルエチルケトン等のケトンのような溶媒の存在下で行うことができるが、溶媒として過剰のエピクロロヒドリン及びメチルエピクロロヒドリンを使用することもできる。反応温度は、30〜90℃、好ましくは40〜65℃、そして最も好ましくは約50ないし約55℃の範囲の温度で反応できる。
【0052】
酸化法は、工程(1A)で得られる多官能エポキシ化合物のエポキシ開環体のヒドロキシ基をアリル化して、ジアリルエーテル化合物を得る工程と、ジアリルエーテル化合物のアリル基又は2−メチル−2−プロペニル基を酸化する工程とを含む方法である。本発明において、ヒドロキシ基のアリル化には、ヒドロキシ基をアリル基又は2−メチル−2−プロペニル基とすることが含まれる。
【0053】
本発明において、ジアリルエーテル化合物を得る工程は、多官能エポキシ化合物のエポキシ開環体と、アリルハライド又は2−メチル−2−プロペニルハライドとを反応させることにより、多官能エポキシ化合物のエポキシ開環体のヒドロキシ基を、アリル基又は2−メチル−2−プロペニル基に変換する工程である。具体的には、多官能エポキシ化合物のエポキシ開環体及びアリルハライドをジメチルスルホキシドに溶解後、第四級アンモニウム塩を添加し、反応温度を40℃以下に保ちながらアルカリ水溶液を滴下し、滴下終了後、30〜40℃で約6時間反応を行う。
【0054】
アリルハライド及び2−メチル−2−プロペニルハライドにおけるハライドとして、塩素及び臭素が挙げられる。アリルハライド及び2−メチル−2−プロペニルハライドの添加量は、多官能エポキシ化合物のエポキシ開環体のヒドロキシ基1モルに対して3〜30モルが好ましい。
【0055】
第四級アンモニウム塩としては、例えばテトラブチルアンモニウムブロミド等のテトラアルキルアンモニウムハライド又はテトラフェニルアンモニウムクロリド等のテトラアリールアンモニウムハライドが挙げられる。第四級アンモニウム塩の添加量は、多官能エポキシ化合物のエポキシ開環体1モルに対して0.001モル〜0.1モルが好ましい。
【0056】
アルカリ水溶液としては、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、及び水酸化ナトリウムが挙げられる。用いられるアルカリ金属の使用量は、多官能エポキシ化合物のエポキシ開環体のヒドロキシ基1当量に対して2〜8当量が好ましい。
【0057】
ジアリルエーテル化合物のアリル基又は2−メチル−2−プロペニル基を酸化する工程は、ジアリルエーテル化合物を、炭酸カリウムの存在下、過酸化水素水と反応させる工程である。具体的には、多官能エポキシ化合物のエポキシ開環体のヒドロキシ基をアリル化したジアリルエーテル化合物を、メタノール、エタノール等のアルコール、又はアセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル等の溶剤と、炭酸カリウムを加え、撹拌下、5〜40%、好ましくは30〜35%の過酸化水素水を滴下し、滴下終了後、0.5〜10時間、好ましくは1〜6時間、酸化反応を行う。
【0058】
過酸化水素水の添加量は、多官能エポキシ化合物のエポキシ開環体のヒドロキシ基をアリル化したジアリルエーテル化合物1モルに対して、5〜15モルになるよう加えることが好ましい。反応温度は、例えば45℃以下、好ましくは20〜40℃である。
【0059】
本発明のエポキシ樹脂の製造方法は、好ましくは、本発明の一般式(1)〜一般式(3)で示されるエポキシ樹脂の製造方法であって、下記工程(2A)〜(2B):
(2A)一般式(7a):
【化22】


一般式(8a):
【化23】


又は、一般式(9a):
【化24】


〔式中、
X及びR21は、一般式(1)で定義されたとおりである〕
で示されるエポキシ化合物を、金属触媒の存在下、下記一般式(10):
HO−Y−OH (10)
〔式中、Yは、一般式(1)で定義されたとおりである〕
で示されるジヒドロキシ化合物と反応させることにより、
下記一般式(7b):
【化25】


一般式(8b):
【化26】


又は一般式(9b):
【化27】


〔式中、
X、Y及びR21は、前記に定義されたとおりである〕
で示されるエポキシ開環体を得る工程と、
(2B)工程(2A)で得られた一般式(7b)〜一般式(9b)で示されるエポキシ開環体のヒドロキシ基をエポキシ化して、一般式(1)〜一般式(3)で示されるエポキシ樹脂を得る工程と
を含む、エポキシ樹脂の製造方法である。
【0060】
部分エステル化エポキシ樹脂の製造方法
次に本発明の部分エステル化エポキシ樹脂の製造方法について説明する。本発明の部分エステル化エポキシ樹脂の製造方法は、工程(1C):
(1C)前記工程(1A)〜(1B)を含む製造方法により得られるエポキシ樹脂を、塩基性触媒の存在下、(メタ)アクリル酸と反応させる工程
を含む。
【0061】
工程(1C)
工程(1C)において、前記工程(1A)〜(1B)を含む製造方法により得られるエポキシ樹脂のグリシジル基及びメチルグリシジル基が(メタ)アクリロイル化される。工程(1A)〜(1B)を含む製造方法により得られるエポキシ樹脂として、好ましくは、一般式(1)〜一般式(3)で示されるエポキシ樹脂である。
【0062】
(メタ)アクリル酸としては、特に限定されず、例えば市販のアクリル酸又はメタクリル酸を使用することができる。
【0063】
本発明において、工程(1A)〜(1B)を含む製造方法により得られるエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを反応させる工程において、工程(1A)〜(1B)を含む製造方法により得られるエポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して反応させる(メタ)アクリル酸は、好ましくは10〜90当量%であり、より好ましくは20〜80当量%であり、さらに好ましくは30〜70当量%であり、特に好ましくは40〜60当量%である。部分エステル化エポキシ樹脂の製造方法において、グリシジル基及びメチルグリシジル基と(メタ)アクリル酸との反応は定量的に進むため、得られた部分エステル化エポキシ樹脂のエステル化率は、エポキシ当量より推定することもできる。
【0064】
工程(1A)〜(1B)を含む製造方法により得られるエポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して、(メタ)アクリル酸を上記範囲内で反応させると、不飽和基のみを反応させる一次重合の際に、仮固定に良好な樹脂特性が得られ、二次重合の際に相分離等を生じることなく均質な重合物を形成することが可能な部分エステル化エポキシ樹脂を得ることができる。
【0065】
塩基性触媒として、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応により用いられる公知の塩基性触媒を使用することができる。また塩基性触媒をポリマーに担持させた、ポリマー担持塩基性触媒を使用することもできる。
塩基性触媒としては、3価の有機リン化合物及び/又はアミン化合物であることが好ましい。塩基性触媒の塩基性原子は、リン及び/又は窒素である。
【0066】
3価の有機リン化合物としては、トリエチルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィンのようなアルキルホスフィン類及びその塩、トリフェニルホスフィン、トリ−m−トリルホスフィン、トリス−(2,6−ジメトキシフェニル)ホスフィン等のアリールホスフィン類及びその塩、トリフェニルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト等の亜リン酸トリエステル類及びその塩等が挙げられる。3価の有機リン化合物の塩としては、トリフェニルホスフィン・エチルブロミド、トリフェニルホスフィン・ブチルブロミド、トリフェニルホスフィン・オクチルブロミド、トリフェニルホスフィン・デシルブロミド、トリフェニルホスフィン・イソブチルブロミド、トリフェニルホスフィン・プロピルクロリド、トリフェニルホスフィン・ペンチルクロリド、トリフェニルホスフィン・ヘキシルブロミド等が挙げられる。中でも、トリフェニルホスフィンが好ましい。
【0067】
アミン化合物としては、ジエタノールアミン等の第二級アミン、トリエタノールアミン、ジメチルベンジルアミン、トリスジメチルアミノメチルフェノール、トリスジエチルアミノメチルフェノール等の第3級アミン、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(TBD)、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(Me−TBD)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)、6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン(DBN)、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン等の強塩基性アミン及びその塩が挙げられる。中でも、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(TBD)が好ましい。アミン化合物の塩としては、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム、塩化ベンジルトリエチルアンモニウムが挙げられる。
【0068】
塩基性触媒を担持させるポリマーとしては、特に限定されず、ポリスチレンをジビニルベンゼンで架橋させたポリマーやアクリル樹脂をジビニルベンゼンで架橋させたポリマー等が用いられる。これらのポリマーは、工程(1A)〜(1B)を含む製造方法により得られるエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応に用いられる溶媒(例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン等)及び原料、生成物に不溶である。
【0069】
ポリマー担持塩基性触媒は、塩基性触媒を不溶性ポリマーに化学結合させるか、塩基性触媒をモノマーに導入した後、モノマーを重合し、その後、ジビニルベンゼン等の架橋モノマーで3次元的に架橋することによって、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン等の溶媒に不溶なポリマー担持塩基性触媒を製造することができる。
【0070】
ポリマー担持塩基性触媒として、具体的には、ジフェニルホスフィノポリスチレン、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エンポリスチレン、N,N−(ジイソプロピル)アミノメチルポリスチレン、N−(メチルポリスチレン)−4−(メチルアミノ)ピリジン等が挙げられる。これらのポリマー担持塩基性触媒は、単独でも、2種以上を併用してもよい。
【0071】
ポリマー担持塩基性触媒は、市販のものを用いてもよい。市販のポリマー担持塩基性触媒としては、例えばPS−PPh(ジフェニルホスフィノポリスチレン、バイオタージ社製)、PS−TBD(1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エンポリスチレン、バイオタージ社製)が挙げられる。
【0072】
ポリマー担持塩基性触媒の使用割合は、工程(1A)〜(1B)を含む製造方法により得られるエポキシ樹脂のエポキシ1当量に対して、ポリマー担持製塩基触媒が0.5〜5.0ミリ当量であることが好ましく、1.0〜3.0ミリ当量であることがより好ましい。ポリマー担持塩基性触媒の使用割合が、上記範囲内であると反応率、反応時間及び触媒コストの観点から好ましい。
【0073】
本発明の製造方法において、工程(1A)〜(1B)を含む製造方法により得られるエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応工程における温度は、好ましくは60〜120℃、より好ましくは80〜120℃、さらに好ましくは90〜110℃である。
【0074】
触媒存在下で、工程(1A)〜(1B)を含む製造方法により得られるエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを反応させる場合、ゲル化を防止するために反応系内及び反応系上の気相の酸素濃度を適正に保つ必要がある。例えば、積極的に反応系内に空気を吹き込む場合は、触媒の酸化を引き起こし、活性の低下を招く場合があるので注意が必要である。
【0075】
工程(1A)〜(1B)を含む製造方法により得られるエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応は、この反応によって得られる部分エステル化エポキシ樹脂が紫外線等の活性エネルギー線によって硬化することから、紫外線を遮光する容器内で反応を行うことが望ましい。また、工程(1A)〜(1B)を含む製造方法により得られるエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応は、気相重合を防止するために、エポキシ樹脂に対して良溶媒性を示す還流溶剤存在下で行なってもよいが、この場合は、反応終了後に溶媒を除去する必要があるため、無溶剤で行うことが好ましい。還流溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。
【0076】
本発明の製造方法において、工程(1A)〜(1B)を含む製造方法により得られるエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを反応させた後、部分エステル化エポキシ樹脂は、ポリマー担持塩基性触媒を除去することにより得られる。ポリマー担持塩基性触媒を除去する方法としては、濾過又は遠心分離を用いることが好ましい。
【0077】
ポリマー担持塩基性触媒を濾過する方法としては、例えば目開き10μmのナイロンメッシュNY-10HC(スイスSefar社製)を用いてポリマー担持塩基性触媒を濾取する方法が挙げられる。
【0078】
ポリマー担持塩基性触媒を遠心分離する方法としては、遠心分離機を用いて固液分離することにより、ポリマー担持塩基性触媒を除去する方法が挙げられる。
【0079】
以上より、本発明の部分エステル化エポキシ樹脂の製造方法は、好ましくは、一般式(4)〜一般式(6)で示される部分エステル化エポキシ樹脂を製造するための、前記に記載の部分エステル化エポキシ樹脂の製造方法であって、工程(2C):
(2C)工程(2A)〜(2B)の工程を含む製造方法により得られる、一般式(1)、一般式(2)又は、一般式(3)で示されるエポキシ樹脂を、塩基性触媒の存在下、(メタ)アクリル酸と反応させて、一般式(4)〜一般式(6)で示される部分エステル化エポキシ樹脂を得る工程
を含む、部分エステル化エポキシ樹脂の製造方法である。
【0080】
硬化性組成物
本発明の(a)一般式(1)、一般式(2)及び一般式(3)で示されるエポキシ樹脂、(b)一般式(4)、一般式(5)及び一般式(6)で示される部分エステル化エポキシ樹脂、(c)工程(1A)〜(1B)を含む製造方法により得られるエポキシ樹脂、並びに(d)工程(1C)を含む製造方法により得られる部分エステル化エポキシ樹脂からなる群より選択される1種以上の樹脂を含む硬化性組成物について説明する。本発明において、硬化性樹脂に含まれるベースオリゴマー成分となる樹脂は、本発明のエポキシ樹脂及び本発明の部分エステル化エポキシ樹脂からなる群より選択される1種以上の樹脂である。例えば、一般式(1)、一般式(2)若しくは一般式(3)で示されるエポキシ樹脂、又は一般式(4)、一般式(5)若しくは一般式(6)で示される部分エステル化エポキシ樹脂を単独で用いてもよく、あるいは一般式(1)、一般式(2)若しくは一般式(3)で示されるエポキシ樹脂、又は一般式(4)、一般式(5)若しくは一般式(6)で示される部分エステル化エポキシ樹脂の2種以上を混合して用いてもよい。
【0081】
本発明の硬化性組成物に含まれる成分として、本発明のエポキシ樹脂及び部分エステル化エポキシ樹脂の他に、硬化剤、重合開始剤、フィラー、カップリング剤が挙げられる。
【0082】
硬化剤としては特に限定されず、硬化剤として公知の化合物を用いることができる。硬化剤として、アミン系硬化剤、例えば有機酸ジヒドラジド化合物、イミダゾール及びその誘導体、ジシアンジアミド、芳香族アミン、エポキシ変性ポリアミン、およびポリアミノウレア等が挙げられ、特に有機酸ジヒドラジドであるVDH(1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントイン)、ADH(アジピン酸ジヒドラジド)、UDH(7,11−オクタデカジエン−1,18−ジカルボヒドラジド)及びLDH(オクタデカン−1,18−ジカルボン酸ジヒドラジド)が好ましい。これらの硬化剤は、単独で用いても、複数で用いてもよい。開始剤の配合量は、エポキシ樹脂及び部分エステル化エポキシ樹脂100重量部に対して、1〜25重量部であることが好ましく、5〜15重量部であることがより好ましい。
【0083】
重合開始剤は、光のエネルギーを吸収することによって活性化し、ラジカルを発生する化合物を意味する。重合開始剤は特に限定されず、重合開始剤として公知の化合物が使用できる。重合開始剤として、ベンゾイン類、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサトン類、α−アシロキシムエステル類、フェニルグリオキシレート類、ベンジル類、アゾ系化合物、ジフェニルスルフィド系化合物、アシルホスフィンオキシド系化合物、ベンゾイン類、ベンゾインエーテル類及びアントラキノン類の重合開始剤が挙げられ、好ましくは、液晶への溶解性が低く、また、それ自身で光照射時に分解物がガス化しないような反応性基を有するものが好ましい。本発明の好ましい重合開始剤として、例えばEYレジンKR−2(ケイエスエム社製)等が挙げられる。重合開始剤の配合量は、エポキシ樹脂及び部分エステル化エポキシ樹脂100重量部に対して、0.1〜5重量部であることが好ましく、1〜5重量部であることがより好ましい。
【0084】
フィラーは、硬化性組成物の粘度制御や硬化性組成物を硬化させた硬化物の強度向上、または線膨張性を抑えることによって硬化性組成物の接着信頼性を向上させる等の目的で添加される。フィラーは、エポキシ樹脂を含む組成物に対して用いられる公知の無機フィラー及び有機フィラーが使用できる。無機フィラーとして、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、酸化チタン、アルミナ、酸化亜鉛、二酸化ケイ素、カオリン、タルク、ガラスビーズ、セリサイト活性白土、ベントナイト、窒化アルミニウム、及び窒化ケイ素が挙げられる。有機フィラーとして、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、これらを構成するモノマーと他のモノマーとを共重合させて得られる共重合体、ポリエステル微粒子、ポリウレタン微粒子、及びゴム微粒子が挙げられる。本発明において、特に無機フィラー、例えば二酸化ケイ素及びタルクが好ましい。フィラーの配合量は、エポキシ樹脂及び部分エステル化エポキシ樹脂100重量部に対して、2〜40重量部であることが好ましく、5〜30重量部であることがより好ましい。
【0085】
カップリング剤は、液晶表示基板との接着性をさらに良好とすることを目的として添加される。カップリング剤としては特に限定されず、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン及び3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらのシランカップリング剤は、単独で用いられてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。シランカップリング剤の配合量は、エポキシ樹脂及び部分エステル化エポキシ樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部であることが好ましく、0.5〜2重量部であることがより好ましい。
【0086】
本発明の硬化性組成物は、紫外線等のエネルギー線の照射により、熱を加えることにより、又は紫外線等のエネルギー線の照射の後に熱を加えることにより硬化する。これにより、本発明の硬化性組成物の硬化物が得られる。よって、本発明のエポキシ樹脂及び部分エステル化エポキシ樹脂を含む硬化性組成物を硬化させる方法は、本発明のエポキシ樹脂及び部分エステル化エポキシ樹脂を含む硬化性組成物に紫外線等のエネルギー線を照射するか、熱を加えるか、又は紫外線等のエネルギー線の照射の後に熱を加える工程を含む。
【0087】
本発明のエポキシ樹脂及び部分エステル化エポキシ樹脂は、液晶に対する溶出性が極めて低い。また本発明のエポキシ樹脂及び部分エステル化エポキシ樹脂を含む硬化性組成物を用いた液晶表示素子は、UV照射量が低いときであっても、液晶の配向性が良好であり、表示不良が発生しないので、液晶用シール剤として有用である。
【実施例】
【0088】
次に実施例により本発明の具体的態様を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
【0089】
[合成例1] 化合物1cの製造
(1−1)化合物1a(ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエチレングリコール開環体、一般式(7b)において、Xがイソプロピリデンであり、Xの結合位置が4,4’−位であり、R21がいずれも水素であり、Yがエチレンである化合物)の合成
エチレングリコール(東京化成社製)500g、45%ホウフッ化錫(II)水溶液(森田化学工業社製)1.0gをナスフラスコに入れた。ビスフェノールA型エポキシ樹脂(EXA850CRP、DIC株式会社製)340gを攪拌しながら80℃に保ち1時間にわたり徐々に加え、添加終了より80℃で1時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、ジクロロメタンを1L加え、水1Lで6回洗浄した。得られた有機相の溶媒を減圧留去により除去し、無色透明粘稠物の開環体(化合物1a)410gを得た。なお、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により、原料のエポキシ樹脂および1つのエポキシ基のみが開環した化合物のピークの消失により、全てのエポキシ基が開環されていることを確認した。
【0090】
(1−2)化合物1b(一般式(1)において、Xがイソプロピリデンであり、Xの結合位置が4,4’−位であり、R21がいずれも水素であり、Yがエチレンであり、R、R、R及びRのうち、3.8個がグリシジルである化合物)の合成
化合物1a(EXA850CRP−エチレングリコール開環体)232g、エピクロロヒドリン(和光純薬社製)590g、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド(東京化成社製)50gを、機械攪拌機、温度計、温度調節器、凝縮器、ディーン−スターク・トラップおよび滴下ロートを付した2リットルの三口丸底フラスコに入れた。次いで、混合物を70トール(torr)の高真空下攪拌しながら約50ないし55℃に加熱してエピクロロヒドリンを激しく還流した。160gの48%溶液NaOH(関東化学社製)を2時間にわたり混合物にゆっくりと添加した。共沸物が生成次第、水/エピクロロヒドリン混合物のうち、エピクロロヒドリンを反応系に戻しながら攪拌を続けた。添加終了後、3時間にわたり攪拌を継続した。次いで、反応混合物を室温に冷却しジクロロメタン1Lを加え1Lの水で6回洗浄した。得られた有機相の溶媒を減圧留去により除去し、淡黄色透明粘稠物のグリシジルエーテル体(化合物1b)245gを得た。HPLCより、分子中のエポキシ基は3.8個であった。
【0091】
(1−3)化合物1c(一般式(4)において、Xがイソプロピリデンであり、Xの結合位置が4,4’−位であり、R21がいずれも水素であり、Yがエチレンであり、R11、R12、R14及びR15のうち、1.9個がグリシジル及びメタクリロイルであり、グリシジルとメタクリロイルの割合が50:50である化合物)の合成
化合物1bを210g、メタクリル酸(東京化成社製)88.7g、PS−PPh(バイオタージ社製)4.7g、PS−TBD(バイオタージ社製)10.3g、BHT100mgを混合し100℃で6時間撹拌した。反応終了後、濾過により触媒を除去し部分メタクリレート化エポキシ樹脂を得た。
【0092】
[合成例2] 化合物2cの製造
(2−1)化合物2a(ビスフェノールA型エポキシ樹脂の2−(4−ヒドロキシフェニル)エタノール開環体、一般式(7b)において、Xがイソプロピリデンであり、Xの結合位置が4,4’−位であり、R21が水素であり、Yがメチレン−フェニレンである化合物)の合成
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(EXA850CRP、DIC株式会社製)170g、2−(4−ヒドロキシフェニル)エタノール(東京化成社製)138g、PS−PPh(バイオタージ社製)2.3g、PS−TBD(バイオタージ社製)4.2g、トルエン500mlをナスフラスコに入れ100℃で24時間攪拌した。反応液を室温に冷却し、濾過により触媒を除去した。得られた混合物の溶媒を減圧留去により除去し、淡黄色透明粘稠物の開環体285gを得た。
【0093】
(2−2)化合物2b(一般式(1)において、Xがイソプロピリデンであり、Xの結合位置が4,4’−位であり、R21がいずれも水素であり、Yがメチレン−フェニレン基であり、R、R、R及びRのうち、3.6個がグリシジル基である化合物)の合成
化合物2a(EXA850CRP−2−(4−ヒドロキシフェニル)エタノール開環体)185g、エピクロロヒドリン(和光純薬社製)590g、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド(東京化成社製)22gを、機械撹拌機、温度計、温度調節器、凝縮器、ディーン−スターク・トラップおよび滴下ロートを付した2リットルの三口丸底フラスコに入れた。次いで、混合物を70トール(torr)の高真空下攪拌しながら約50ないし55℃に加熱してエピクロロヒドリンを激しく還流した。185gの48%溶液NaOH(関東化学社製)を2時間にわたり混合物にゆっくりと添加した。共沸物が生成次第、水/エピクロロヒドリン混合物のうち、エピクロロヒドリンを反応系に戻しながら攪拌を続けた。添加終了後、4時間にわたり攪拌を継続した。次いで、反応混合物を室温に冷却しジクロロメタン1Lを加え1Lの水で6回洗浄した。得られた有機相の溶媒を減圧留去により除去し、黄色透明粘稠物のグリシジルエーテル体(化合物2b)233gを得た。HPLCより、分子中のエポキシ基は3.6個であった。
【0094】
(2−3)化合物2c(一般式(4)において、Xがイソプロピリデンであり、Xの結合位置が4,4’−位であり、R21がいずれも水素であり、Yがメチレン−フェニレンであり、R、R、R及びRのうち、1.8個がグリシジル基及びメタクリロイル基であり、グリシジル基とメタクリロイル基の割合が50:50である化合物)の合成
化合物2bを180g、メタクリル酸(東京化成社製)36g、PS−PPh(バイオタージ社製)1.9g、PS−TBD(バイオタージ社製)8.3g、BHT(和光純薬社製)85mgを混合し100℃で6時間撹拌した。反応終了後、濾過により触媒を除去し部分メタクリレート化エポキシ樹脂を得た。
【0095】
[合成例3] 化合物3cの製造
(3−1)化合物3a(ナフタレン型エポキシ樹脂のエチレングリコール開環体、一般式(8b)において、R21が水素であり、Yがエチレンであり、ナフタレン環の結合位置が1,6−位である化合物)の合成
エチレングリコール(東京化成社製)500g、45%ホウフッ化錫(II)水溶液(森田化学工業社製)1.0gをナスフラスコに入れた。ナフタレン型エポキシ樹脂(HP−4032D、DIC株式会社製)282gを攪拌しながら100℃に保ち1時間にわたり徐々に加え、添加終了より3時間100℃で撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、ジクロロメタンを1L加え、水1Lで6回洗浄した。得られた有機相の溶媒を減圧留去により除去し、黄色透明粘稠物の開環体(化合物3a)390gを得た。
【0096】
(3−2)化合物3b(一般式(2)において、R21がいずれも水素であり、Yがエチレンであり、ナフタレン環の結合位置が1,6−位であり、R、R、R及びRのうち、3.9個がグリシジル基である化合物)の合成
化合物3a(HP4032D−エチレングリコール開環体)112g、エピクロロヒドリン(和光純薬社製)590g、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド(東京化成社製)21gを、機械撹拌機、温度計、温度調節器、凝縮器、ディーン−スターク・トラップおよび滴下ロートを付した2リットルの三口丸底フラスコに入れた。次いで、混合物を70トール(torr)の高真空下攪拌しながら約50ないし55℃に加熱してエピクロロヒドリンを激しく還流した。188gの48%溶液NaOH(関東化学社製)を2時間にわたり混合物にゆっくりと添加した。共沸物が生成次第、水/エピクロロヒドリン混合物のうち、エピクロロヒドリンを反応系に戻しながら撹拌を続けた。添加終了後、4時間にわたり撹拌を継続した。次いで、反応混合物を室温に冷却しジクロロメタン1Lを加え1Lの水で6回洗浄した。得られた有機相の溶媒を減圧留去により除去し、淡黄色透明粘稠物のグリシジルエーテル体(化合物3b)179gを得た。HPLCより、分子中のエポキシ基は3.9個であった。
【0097】
(3−3)化合物3c(一般式(5)において、R21がいずれも水素であり、Yがエチレンであり、ナフタレン環の結合位置が1,6−位であり、R11、R12、R14及びR15のうち、1.9個がグリシジル基及びメタクリロイル基であり、グリシジル基とメタクリロイル基の割合が50:50である化合物)の合成
50gの化合物3b、メタクリル酸(東京化成社製)11.8g、PS−PPh(バイオタージ社製)154mg、PS−TBD(バイオタージ社製)341mg、BHT12mgを混合し100℃で6時間撹拌した。反応終了後、濾過により触媒を除去し部分メタクリレート化エポキシ樹脂(化合物3c)を得た。
【0098】
[合成例4]化合物4cの製造
(4−1)化合物4a(VG3101Lのトリメチレングリコール開環体、一般式(9b)において、R21がいずれも水素であり、Yがトリメチレンである化合物)の合成
テクモアVG3101L(プリンテック社製)148g、トリメチレングリコール(関東化学社製)456g、45%ホウフッ化錫(II)水溶液(森田化学工業社製)130mgをナスフラスコに入れ、100℃で20時間攪拌した。反応混合物を室温に冷却し、ジクロロメタンを1L加え、水1Lで6回洗浄した。得られた有機相の溶媒を減圧留去により除去し、黄色粘稠物の開環体190gを得た。
【0099】
(4−2)化合物4b(一般式(3)において、R21がいずれも水素であり、Yがトリメチレンであり、R〜Rのうち、5.8個がグリシジル基である化合物)の合成
化合物4a(VG3101L−トリメチレングリコール開環体)160g、エピクロロヒドリン(和光純薬社製)590g、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド(東京化成社製)22gを、機械攪拌機、温度計、温度調節器、凝縮器、ディーン−スターク・トラップおよび滴下ロートを付した2リットルの三口丸底フラスコに入れる。次いで、混合物を70トール(torr)の高真空下攪拌しながら約50ないし55℃に加熱してエピクロロヒドリンを激しく還流した。117gの48%溶液NaOH(関東化学社製)を2時間にわたり混合物にゆっくりと添加した。共沸物が生成次第、水/エピクロロヒドリン混合物のうち、エピクロロヒドリンを反応系に戻しながら攪拌を続けた。添加終了後、4時間にわたり攪拌を継続した。次いで、反応混合物を室温に冷却しジクロロメタン1Lを加え1Lの水で6回洗浄した。得られた有機相の溶媒を減圧留去により除去し、黄色粘稠物のグリシジルエーテル体(化合物4b)207gを得た。HPLCより、分子中のエポキシ基は5.8個であった。
【0100】
(4−3)化合物4c(一般式(6)において、R21がいずれも水素であり、Yがトリメチレンであり、R11〜R16のうち、5.8個がグリシジル基及びメタクリロイル基であり、グリシジル基とメタクリロイル基の割合が75:25である化合物)の合成
化合物4bを34g、メタクリル酸(東京化成社製)3.2g、PS−PPh(バイオタージ社製)41mg、PS−TBD(バイオタージ社製)75mg、BHT10mgを混合し100℃で6時間撹拌した。反応終了後、濾過により触媒を除去し部分メタクリレート化エポキシ樹脂を得た。
【0101】
[比較合成例1]
(5−1)比較化合物5c(合成例1で用いたビスフェノールA型エポキシ樹脂の部分メタクリレート化エポキシ樹脂)の合成
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(EXA850CRP、DIC株式会社製)320.2gを、メタクリル酸(東京化成社製)90.4g、PS−PPh(バイオタージ社製)1.5g、BHT100mgを混合し100℃で6時間撹拌した。反応終了後、濾過により触媒を除去し部分メタクリレート化エポキシ樹脂(比較化合物5c)を得た。
【0102】
合成例1〜4で得られた、エポキシ開環体、エポキシ樹脂及び部分(メタ)アクリレート化エポキシ樹脂における、E型粘度計(東機産業社製 RE105U)を用いて、コーンロータの回転速度2.5rpmで粘度を測定した粘度、JISK7236:2001により測定したエポキシ当量及びアクリル化率を表1に示す。ここで、アクリル化率は、用いたエポキシ及びメタクリル酸の当量比から算出した。
【0103】
【表1】

【0104】
合成例1〜4で製造されたエポキシ樹脂(化合物1b、2b、3b及び4b)及び部分エステル化エポキシ樹脂(化合物1c、2c、3c及び4c)、並びに合成例1で用いた原料化合物であるビスフェノールA型エポキシ樹脂(比較化合物1a)、合成例3で用いた原料化合物であるナフタレン型エポキシ樹脂(比較化合物3a)、合成例4で用いた原料化合物である3官能型エポキシ樹脂(テクモアVG3101L(プリンテック社製)、比較化合物4a)及び比較合成例1で製造されたビスフェノールA型エポキシ樹脂の部分メタクリレート化エポキシ樹脂(比較化合物5c)の各オリゴマーについて、次のように溶出性試験を行った。
【0105】
[溶出性試験]
液晶への溶出性の評価は液晶の相転移温度であるNi点(Nematic-Isotropic point)の変化およびHPLC(高速液体クロマトグラフィー)による液晶への溶出量の直接定量により行った。液晶のNi点は液晶の各成分の混合組成により決定され、各配合で固有の値となる。一般的に、これら液晶に何らかの不純物(他成分)が混入することによりNi点は低下することが知られており、不純物混入具合をNi点より評価することが出来る。
【0106】
[測定用試料の作製]
アンプル瓶にオリゴマー0.1gを入れ、液晶(MLC-11900-080、メルク社製)1gを加える。この瓶を120℃オーブンに1時間投入し、その後室温で静置して室温(25℃)に戻ってから液晶部分を取り出し0.2μmフィルターによりろ過し、評価用の液晶サンプルとした。
【0107】
[Ni点の測定]
Ni点の測定には示差走査型熱量計(DSC、パーキンエルマー社製、Pyris6)を使用した。評価用の液晶サンプル10mgをアルミサンプルパンに封入し、昇温速度5℃/分の条件で測定を行った。
【0108】
[溶出量の算出]
液晶中のオリゴマーの溶解量はHPLCを用いて行った。HPLC測定用のサンプルは、取り出した液晶をアセトニトリルで100倍に希釈したものを使用した。また、溶出量の定量は各化合物のピーク面積の検量線から算出した。各試験のために用いた化合物の粘度及び各試験の結果を表2及び表3に示す。
【0109】
【表2】

【0110】
【表3】

【0111】
次に、合成例1及び2で製造された部分エステル化エポキシ樹脂(化合物1c及び2c)及び比較合成例1で製造された部分エステル化エポキシ樹脂(比較化合物5c、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の部分メタクリレート化エポキシ樹脂)を用いて、表4に示される配合比で樹脂組成物を作製し、テストセルでの液晶配向性の評価を行った。
【0112】
[配向性評価]
合成例1及び3、並びに比較合成例1で得られた化合物(化合物1c、3c及び5c)それぞれを、EYレジン、KR−2(ケイエスエム社製)、シーホスターKE−C50HG(日本触媒社製)、アジピン酸ジヒドラジド(大塚化学社製)、及びKBM−403(シランカップリング剤:信越化学工業製)と、表4に示す配合量にて混合後、3本ロールを用いて充分に混練して各樹脂組成物(実施例9、実施例10、及び比較例5)を得た。こうして得られた樹脂組成物を、シールディスペンサーを用いて断面積4000μmで、ラビング処理した配向膜(サンエバーSE−7492、日産化学工業社製)付きITOガラス基板上(60mm×70mm×0.7mmt)にディスペンス塗布した。その後、基板上に液晶(TN液晶、MLC−11900−080、メルク社製)を滴下し、上下基板を液晶滴下工法(ODF工法)により貼り合わせ、紫外線(UV照射装置:UVX−01224S1、ウシオ電機社製、照度および照射時間:1000mJの場合、100mW/cm/365nmで10秒、50mJの場合は50mW/cm/365nmで1秒)を照射して硬化させ、その後120℃の熱風オーブンで1時間熱硬化を行い、配向性試験のためのテストセルを作製した。また、照度0mJの場合は、貼り合わせ後に遮光マスクで、液晶及びシール剤には紫外線が照射されない状態として、120℃の熱風オーブンで1時間熱硬化を行い、配向性試験のためのテストセルを作製した。
【0113】
得られたパネルについて、シール際の液晶の配向状態の確認を行った。確認は光学顕微鏡で行い、偏光板をクロスニコルの状態でテストセルを挟み透過で観察を行った。照度1000mJ、50mJ及び0mJにおける、液晶のコーナー部及び直線部の配向状態を示す顕微鏡写真を図1〜図6に示す。なお、図1〜図6は、いずれも縦900μm×横1200μmのスケールである。液晶の配向性の評価基準はシール際の配向乱れの有無により判断した。シール際に配向乱れが50μm以下の場合を「○」、それ以上の配向乱れがある場合を「×」とした。結果を表4に示す。なお、表4における含有量はいずれも重量部である。
【0114】
【表4】


開始剤:EYレジン、KR−2(ケイエスエム社製)
硬化剤:アジピン酸ジヒドラジド(大塚化学社製)
フィラー:二酸化ケイ素球状微粒子、シーホスターKE−C50HG(日本触媒社製)
カップリング剤:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、KBM−403(信越化学工業社製)
【0115】
表2及び表4に示す結果から、本発明のエポキシ樹脂及び部分エステル化エポキシ樹脂は、液晶への溶解性が大きく低減していることが確認できた。また、表4及び図1〜図6に示す配向性試験の結果から、本発明のエポキシ樹脂を用いた部分エステル化エポキシ樹脂は、UV照射量が低照射量の場合においても、表示不良の原因となる液晶の配向乱れが発生しないことが示されており、滴下工法用の液晶シール剤のオリゴマー成分として有用性が高いことがわかる。一方、比較例5の組成物を用いた場合、50mJの照度ではコーナー部に、硬化性組成物の溶出によって液晶の配向乱れが約200μm発生しており、さらに0mJの照度ではコーナー部及び直線部のいずれにも、硬化性組成物の溶出によって液晶の配向乱れが500〜800μm発生していた。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明のエポキシ樹脂及び部分エステル化エポキシ樹脂は、液晶に対する溶解性・溶出性が低いことから、紫外線等の活性エネルギー線及び熱のいずれによっても、高い信頼性を維持できるシール剤の原料として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1):
【化28】


一般式(2):
【化29】


又は、一般式(3):
【化30】


〔式中、
Xは、−O−、炭素原子数1〜4のアルキレン、又は炭素原子数2〜4のアルキリデンであり、
Yは、炭素原子数1〜4のアルキレン−炭素原子数6〜20のアリーレン−炭素原子数1〜4のアルキレン、炭素原子数1〜4のアルキレン−炭素原子数6〜20のアリーレン、又は基:
−R−(O−R
(式中、
は、炭素原子数1〜4のアルキレンであり、
nは、0又は1〜6の整数である)であり、
、R、R、R、R及びRは、互いに独立に、水素、グリシジル、又はメチルグリシジルであり、
各R21は、それぞれ互いに独立に、水素又はメチルであり、
、R、R、R、R及びRの少なくとも2つは、グリシジル又はメチルグリシジルである〕
で示される、エポキシ樹脂。
【請求項2】
一般式(4):
【化31】


一般式(5):
【化32】


又は、一般式(6):
【化33】


〔式中、
X、Y及びR21は、請求項1で定義されたとおりであり、
11、R12、R13、R14、R15及びR16は、水素、グリシジル、メチルグリシジル、又は基:−Z−R
(式中、
Zは、2−ヒドロキシプロピレン又は2−メチル−2−ヒドロキシプロピレンであり、
は、アクリロイル又はメタクリロイルである)
であり、
11、R12、R13、R14、R15及びR16の少なくとも2つは、グリシジル、メチルグリシジル、又は基:−Z−Rであり、
グリシジル及びメチルグリシジルとアクリロイル及びメタクリロイルとの割合が、10:90〜90:10である〕
で示される、部分エステル化エポキシ樹脂。
【請求項3】
エポキシ樹脂の製造方法であって、工程(1A)〜(1B):
(1A)分子中に2以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物を、金属触媒の存在下、分子中に2以上のヒドロキシ基を有するポリヒドロキシ化合物と反応させて、多官能エポキシ化合物のエポキシ開環体を得る工程と、
(1B)工程(1A)で得られた多官能エポキシ化合物のエポキシ開環体のヒドロキシ基をエポキシ化する工程と
を含む、エポキシ樹脂の製造方法。
【請求項4】
請求項1記載の一般式(1)〜一般式(3)で示されるエポキシ樹脂を製造するための、請求項3記載のエポキシ樹脂の製造方法であって、下記工程(2A)〜(2B):
(2A)一般式(7a):
【化34】


一般式(8a):
【化35】


又は、一般式(9a):
【化36】


〔式中、
X及びR21は、請求項1で定義されたとおりである〕
で示されるエポキシ化合物を、金属触媒の存在下、下記一般式(10):
HO−Y−OH (10)
(式中、Yは、請求項1で定義されたとおりである)
で示されるジヒドロキシ化合物と反応させて、一般式(7b):
【化37】


一般式(8b):
【化38】


又は、一般式(9b):
【化39】


〔式中、X、Y及びR21は、請求項1で定義されたとおりである〕
で示されるエポキシ開環体を得る工程と、
(2B)工程(2A)で得られた一般式(7b)〜一般式(9b)で示されるエポキシ開環体のヒドロキシ基をエポキシ化して、一般式(1)〜一般式(3)で示されるエポキシ樹脂を得る工程と
を含む、エポキシ樹脂の製造方法。
【請求項5】
部分エステル化エポキシ樹脂の製造方法であって、工程(1C):
(1C)請求項3記載の製造方法により得られるエポキシ樹脂を、塩基性触媒の存在下で、(メタ)アクリル酸と反応させる工程
を含む、部分エステル化エポキシ樹脂の製造方法。
【請求項6】
請求項2記載の一般式(4)〜一般式(6)で示される部分エステル化エポキシ樹脂を製造するための、請求項5記載の部分エステル化エポキシ樹脂の製造方法であって、工程(2C):
(2C)請求項4記載の製造方法により得られる、一般式(1):
【化40】


一般式(2):
【化41】


又は、一般式(3):
【化42】


〔式中、
X、Y、R、R、R、R、R、R、R21は、請求項1で定義されたとおりであり、
、R、R、R、R及びRの少なくとも2つは、グリシジル又はメチルグリシジルである〕
で示されるエポキシ樹脂を、塩基性触媒の存在下、(メタ)アクリル酸と反応させて、一般式(4)〜一般式(6)で示される部分エステル化エポキシ樹脂を得る工程
を含む、部分エステル化エポキシ樹脂の製造方法。
【請求項7】
(a)請求項1記載の一般式(1)、一般式(2)及び一般式(3)で示されるエポキシ樹脂、(b)請求項2記載の一般式(4)、一般式(5)及び一般式(6)で示される部分エステル化エポキシ樹脂、(c)請求項3記載の製造方法により得られるエポキシ樹脂、並びに(d)請求項5記載の製造方法により得られる部分エステル化エポキシ樹脂からなる群より選択される1種以上の樹脂を含む、硬化性組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−77202(P2012−77202A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−223842(P2010−223842)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【出願人】(000162434)協立化学産業株式会社 (73)
【Fターム(参考)】