低硫黄ディーゼル燃料及び航空機タービン燃料
体積比1:2〜5:4の軽質ケロシン留分及び重質ディーゼル留分への、低温フィッシャー−トロプシュ原料の精留による、低温フィッシャー−トロプシュ(LTFT)原料からの合成低硫黄ディーゼル燃料及び低煤煙放出航空機燃料の製造方法並びに上記方法によって製造された航空機燃料及びディーゼル燃料。
【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、低硫黄ディーゼル燃料及び航空機燃料及び航空機燃料のブレンドストックに関する。
【発明の背景】
【0002】
本明細書において、低温フィッシャー−トロプシュ(LTFT)法を参照する。このLTFT法は、一酸化炭素及び水素を、鉄、コバルト、ニッケル又はルテニウム含有触媒上で反応させて、メタンからワックスまでの範囲の直鎖及び分枝鎖炭化水素並びに少量の酸素化物の混合物を製造する、周知の方法である。この炭化水素合成法は、フィッシャー−トロプシュ反応:
2H2 + CO → 〜[CH2]〜 + H2O
(式中、〜[CH2]〜は、炭化水素生成物分子の基本的構成ブロックである)
を基にしている。
【0003】
LTFT法は、石炭、天然ガス、バイオマス又は重油流から誘導することができる合成ガスを、メタンから1400以上の分子質量を有する種までの範囲の炭化水素に転化させるために、工業的に使用されている。用語「ガス・ツー・リキッド(Gas−to−Liquid)(GTL)法」は、合成ガスを得るための、天然ガス、即ちメタンをベースにするスキームを指し、合成生成物の品質は、合成条件及び生成物生産が定義されたときと本質的に同じものである。
【0004】
主生成物は直鎖パラフィン物質であるけれども、分枝鎖パラフィン、オレフィン及び酸素化成分のような他の種が、生成物スレート(slate)の一部を生成することができる。正確な生成物スレートは、Catal.Rev.−Sci.Eng.、第23巻(1及び2)、第265−278頁(1981年)又はHydroc.Proc.、第8巻、第121−124頁(1982年)のような文献から明らかであるように、使用する反応器形状、運転条件及び触媒に依存する。
【0005】
より重い炭化水素の製造のための好ましい反応器は、スラリー床又は管状固定床反応器であり、その場合の運転条件は、好ましくは、160〜280℃、場合によって210〜260℃範囲及び18〜50バール、場合によって好ましくは20〜30バールの範囲内である。
【0006】
触媒には、鉄、コバルト、ニッケル又はルテニウムのような活性金属が含まれてもよい。それぞれの触媒は、それ自体の独特の生成物スレートを与えるが、全ての場合に、生成物スレートには、いくつかのワックス状の高級パラフィン系物質が含有されており、この物質は、使用できる製品に更に品質向上させる必要がある。LTFT製品は、中間留分、ナフサ、溶剤、潤滑油ベースなどのような、ある範囲の最終製品に水素化転化させることができる。このような水素化転化は、通常、ある範囲のプロセス、例えば、水素化分解、水素化処理及び蒸留からなり、LTFT製品ワークアップ(LTFT Products Work−up)法と命名することができる。典型的に、この方法は、通常、2種の液体製品のみが貯蔵に移されるような方式で配置されている。殆どの例において、少量の、4個以下の炭素原子を含有する軽い炭化水素も、共生産される。LTFT液体製品の典型的な特性を、表1に示す。
【0007】
【表1】
【0008】
本発明者らは、GTL燃料を含むLTFT燃料を、分解したストック(stock)とブレンドすることなく、従来のディーゼル燃料と互換性のある燃料として直接利用する必要性を確認した。
【0009】
半合成航空機燃料は、英国航空機タービン燃料防御規格(British Aviation Turbine Fuel Defence Standard)91−91(DEF STAN91−91)規格に基づいて1999年に承認された。
【0010】
従って、上記の規格に適合するか又はこの規格を超える、そしてGTL製品又は燃料として及び/若しくは燃料用のブレンドストックとしての航空機産業におけるそれらの成分を含むLTFT製品の使用を許容する、合成系燃料についての要求が確認された。
【発明の概要】
【0011】
本発明の第1の態様に従って、低温フィッシャー−トロプシュ(LTFT)原料からの合成低硫黄ディーゼル燃料及び航空機燃料の製造方法であって、航空機燃料及び/又は航空機燃料ブレンドストックとして使用することができる軽質ケロシン留分並びに合成低硫黄ディーゼル燃料及び/又はディーゼル燃料ブレンドストックとして使用することができる重質ディーゼル留分への、低温フィッシャー−トロプシュ原料の精留を含み、上記留分が、ディーゼル燃料及び航空機燃料規格を実質的に満たす方法が提供される。
【0012】
驚くべきことに、このディーゼル燃料は、高度に水素化されているけれども、添加物を使用することなく、潤滑性規格に適合している。通常、当業者は、高度に水素化された燃料は、潤滑性改良剤を必要とすると予想する。
【0013】
これは、原油誘導ブレンドストックとブレンドして半合成航空機燃料を製造するための又は合成航空機燃料として直接使用できる軽質ケロシン留分を製造しながら、LTFT燃料のエネルギー密度を増加させるための、そしてまた低温流れ特性(CFPP−軽油濾過器目詰まり点試験)及び潤滑性規格に適合する一つの方法として確認された。
【0014】
この方法は、LTFT原料の少なくとも33体積%を精留及び除去して、約270℃の最終沸点を有する上記航空機燃料又はブレンドストックを生成することを含む。
【0015】
典型的に、この方法には、原料の45体積%又は55体積%の精留及び除去が含まれる。
【0016】
軽質ケロシン留分は、270℃のカット点で、ジェットA−1の−47℃析出点に適当するようにカットすることができる。再び、ケロシン留分のボール・オン・シリンダー(ball on cylinder)潤滑性評価器(BOCLE)で測定された潤滑性特性は、上記の予想であった。
【0017】
本発明の第2の態様に従って、合成低硫黄燃料又は低硫黄燃料用のブレンドストックであって、下記の特性、即ち、
13質量%〜17質量%の水素、
2〜5のイソ:n−パラフィン質量比、
0.1%m/m未満の芳香族化合物、
−5℃よりも低いIP309に従ったCFPP、
少なくとも0.780kg/Lの20℃での密度及び
80ppm未満の全酸素含有量
を有する燃料又はブレンドストックが提供される。
【0018】
典型的にイソ:n パラフィン質量比は3〜4である。
【0019】
イソ:n パラフィン質量比は3.7であってもよい。
【0020】
水素は、燃料又はブレンドストックの約15質量%であってもよい。
【0021】
典型的にCFPPは−9℃よりも低い。
【0022】
驚くべきことに、この燃料は、高度に水素化されているけれども、添加物を使用することなく、潤滑性規格に適合している。
【0023】
有利には、そのより軽い端部が除去されているけれども、原油誘導低硫黄燃料に比較したとき、排出性能は悪影響を受けなかった。
【0024】
この燃料又はブレンドストックはLTFTディーゼル留分であってもよい。
【0025】
このブレンドストックは、2cStよりも高い40℃での粘度を有していてもよい。
【0026】
この燃料又はブレンドストックは、330℃よりも高い、典型的に約340℃よりも高い最終沸点を有していてもよい。
【0027】
この燃料又はブレンドストックは、200℃よりも高い、典型的に250℃よりも高い、ある実施形態においては265℃を超えるIBPを有していてもよい。
【0028】
本発明の第3の態様に従って、合成航空機燃料又は半合成航空機燃料用の燃料ブレンドストックであって、下記の特性、即ち、
13質量%〜17質量%の水素、
0.5〜3のイソ:n−パラフィン質量比、
0.85mm未満のBOCLE潤滑性摩耗傷痕、
50ppm未満の酸素化物としての酸素(但し、第一級C7〜C12アルコールとしての酸素は50ppm未満であり、そして第一級C12〜C24アルコールとしての酸素は50ppm未満である)
を有するブレンドストックが提供される。
【0029】
酸素化物としての酸素は約10ppm未満であってもよい。
【0030】
第一級C7〜C12アルコールとしての酸素は約10ppm未満であってもよい。
【0031】
第一級C12〜C24アルコールとしての酸素は約10ppm未満であってもよい。
【0032】
この合成航空機燃料又は燃料ブレンドストックは、HPLCに従った0.1%m/m未満の芳香族化合物を有していてもよい。
【0033】
この合成航空機燃料又は燃料ブレンドストックは、50mmよりも大きい煙点を有していてもよい。
【0034】
この合成航空機燃料又は燃料ブレンドストックは、約0.75kg/Lの20℃での密度を有していてもよい。
【0035】
この合成航空機燃料又は燃料ブレンドストックは、−47℃よりも低い析出点を有していてもよい。
【0036】
典型的にイソ:n パラフィン質量比は1〜2である。
【0037】
イソ:n パラフィン質量比は1.2又は1.16であってもよい。
【0038】
水素は約15質量%であってもよい。
【0039】
このブレンドストックは、原油誘導燃料成分とブレンドすることなく、全合成航空機燃料として直接使用することができる。
【0040】
このブレンドストックは、LTFTケロシン留分であってもよい。
【0041】
このブレンドストックは、8cSt、典型的に4cStよりも低い−20℃での粘度を有していてもよい。
【0042】
このブレンドストックは、200℃よりも高い、典型的に約270℃の最終沸点を有していてもよい。
【0043】
本発明の第4の態様に従って、下記の特性、即ち、
0.5〜3のイソ:n−パラフィン比、
35mmよりも大きい煙点及び
少なくとも8%m/mの芳香族化合物
を有する、上記のようなブレンドストックを含有する半合成航空機燃料が提供される。
【0044】
この半合成航空機燃料は、少なくとも0.775kg/Lの15℃での密度を有していてもよい。
【0045】
この半合成航空機燃料は、50mmよりも大きい煙点を有していてもよい。
【0046】
この半合成航空機燃料は、−47℃未満の析出点を有していてもよい。
【0047】
典型的にイソ:n パラフィン質量比は1〜2である。
【0048】
イソ:n パラフィン質量比は1.8であってもよい。
【0049】
このブレンドストックは、8cStよりも低い又は4cStよりも低い−20℃での粘度を有していてもよい。
【0050】
LTFTケロシンと原油誘導スイートニングし激しく水素処理したケロシンとの50体積%ブレンドで、ジェットA−1についての米国材料試験協会(ASTM D1655)及び英国航空機タービン燃料防御規格91−91に従った最低の密度及び芳香族含有量必要条件が適合された。
【0051】
LTFT燃料は、殆どノルマル及びイソパラフィンから構成されているので、LTFTケロシン留分は、航空機タービン燃料ブレンド成分として利用することができる。LTFTケロシンからの芳香族化合物及びナフテンの実質的不存在は、非常に良好な煙点数を有するそれを与えることができる(即ち、それは非常に少ない煤煙を作る)。
【0052】
本発明の第5の態様に従って、燃焼したとき低い析出傾向を有する熱安定性航空機燃料であって、上記説明したような、全合成航空機燃料、半合成航空機燃料及び合成航空機燃料ブレンドストックから選択された1種以上の燃料を含有する燃料が提供される。
【0053】
典型的に、この航空機燃料及びブレンドストックは、1よりも小さい260℃での熱安定性チューブ析出物等級を有する。
【0054】
典型的に、この航空機燃料は、3μg/cm2よりも少ない水晶微量天秤(QCM)析出物を有する。
【0055】
更に典型的に、この航空機燃料は、酸化防止剤の添加無しに、140℃での15h QCM試験について、2μg/cm2よりも少ないQCM析出物を有する。
【0056】
本発明の第6の態様に従って、低煤煙放出航空機燃料であって、上記説明したような、全合成航空機燃料、半合成航空機燃料及び合成航空機燃料ブレンドストックから選択された1種以上の燃料を含有する燃料が提供される。
【0057】
典型的に、この航空機燃料ブレンドストックは、典型的な従来の航空機燃料に比較して、巡航条件下で正規化微粒子数密度における33%低下、更に典型的に巡航条件下で60%低下及びアイドリング条件下で正規化微粒子数密度における67%低下、更に典型的にアイドリング条件下で83%低下を有する。
【発明の実施形態の説明】
【0058】
本発明を、本発明を例示する特別の実施形態を参照して説明するが、その応用を限定することを意図しない。
【実施例】
【0059】
低硫黄ディーゼル燃料
Sasol Slurry Phase Distillate(商標)ディーゼル又はSasol SPD(商標)ディーゼルを、270℃の最終沸点で、−47℃のジェットA−1についての析出点必要条件を目標にして精留した。得られたディーゼル燃料特性及びケロシン特性を表2に示し、これには、密度、粘度、高周波往復装置(HFRR)及びボール・オン・シリンダー評価器(BOCLE)潤滑性試験並びにディーゼルの軽油濾過器目詰まり点(CFPP)及びケロシンの析出点が含まれる。
【0060】
【表2】
【0061】
表2において、
Sasol SPD(商標)ディーゼルは、全蒸留範囲LTFTディーゼルである。
Sasol SPD(商標)ディーゼル1は、45%重端部LTFTディーゼルである。
Sasol SPD(商標)ディーゼル2は、55%重端部LTFTディーゼルである。
Sasol SPD(商標)ケロシン1は、55%軽端部LTFTケロシン留分である。
Sasol SPD(商標)ケロシン2は、45%軽端部LTFTケロシン留分である。
【0062】
【表3】
【0063】
ディーゼル留分
45体積%重端部ディーゼル留分は、添加物を使用しない生のSasol SPD(商標)ディーゼルとして使用するための優れた特性を有している。
【0064】
460μmの最大摩耗傷痕直径(WSD)が、EN590:1999ディーゼル燃料規格に従って許容される。80ppmよりも低い全酸素含有量を有するSasol SPD(商標)ディーゼル留分の潤滑性は、著しく増加し、このディーゼル留分のより高い粘度のために現在の規格必要条件に適合し、これは潤滑性改良剤を使用することなく流体潤滑を改良する。
【0065】
Sasol SPD(商標)ディーゼル留分の引火点は、ディーゼル留分の常温流れ特性が良好なままでありながら、そのより高い初期沸点のために高い。
【0066】
ガスクロマトグラフ質量分析法(GC MS)及びガスクロマトグラフフレームイオン化検出(GC−FID)結果に従って、ケロシン及びディーゼルに精留する前のSasol SPD(商標)ディーゼルは、2.2:1のイソパラフィン対ノルマルパラフィン比を有する(図1参照)。55%重端部ディーゼル留分は、3.71のイソパラフィン対ノルマルパラフィン比を有する。
【0067】
Sasol SPD(商標)ディーゼルの精留は、より良い燃料経済性又はより大きいパワーになる、より高い密度(図2参照)及びエネルギー密度を有するディーゼルになる。これによって、また、精留後の、その潤滑性における改良、一層高い粘度及び引火点を含む他の変化が明らかになった。良好な常温流れ特性は、劇的に低下しなかったけれども、ディーゼル留分は一層重い。
【0068】
重質留分ディーゼルの排気放出性能
Sasol SPD(商標)ディーゼル燃料の重質留分の排気放出を、全沸騰範囲Sasol SPD(商標)ディーゼル及び欧州参照ディーゼル燃料のものと比較した。この試験は、最新型の欧州乗用車を使用して実施した。放出性能は、現在のEN590燃料規格に適合する従来のディーゼルに対して比較したとき悪影響を受けなかったけれども、未燃焼炭化水素、一酸化炭素及び微粒子物質放出は、全沸騰範囲Sasol SPD(商標)ディーゼルと比較したとき悪化したことが見出された。重質留分Sasol SPD(商標)ディーゼルのより高い体積エネルギー含有量は、全沸騰範囲Sasol SPD(商標)ディーゼルに対して比較したとき、測定された燃料消費において2%の改良になった。
【0069】
試験車
型式:2002BMW320dセダン
試験質量:1474kg
エンジン排気量:1995cm3
内径/行程:84/90mm
圧縮比:17:1
出力:4000回転/分で110kW
最大トルク:2000回転/分で330Nm
燃料噴射システム:ボッシュコモンレール
排気後処理:二重酸化触媒
放出証明:EU3(2000)
【0070】
試験燃料
比較のために3種の燃料を試験した。
【0071】
EN590:欧州EN590規格に適合し、そして<10mg/kgの硫黄含有量を有する、従来のディーゼル燃料。
【0072】
全沸騰範囲Sasol SPD(商標)ディーゼル:150℃のIBP及び335℃のFBPを有する、Sasol SPD(商標)ディーゼル。
【0073】
55体積%重質Sasol SPD(商標)ディーゼル留分:45体積%のケロシン留分が精留によって除去された後の残留物を含有するSasol SPD(商標)ディーゼルの重質留分。
【0074】
関連する燃料規格は、上記の表2に示されている。
【0075】
放出試験は、欧州EC/ECE試験方法に従って、NEDC試験サイクルを使用して実施した。それぞれの試験のための準備の際に、2回の前コンディショニング運転を実施した。EN590及び全沸騰範囲Sasol SPD(商標)ディーゼルのそれぞれで3回の試験を実施し、そして55体積%重質Sasol SPD(商標)ディーゼル留分で2回の試験を実施した。燃料を連続的に試験し、車両を、それぞれの燃料を変更した後5分間、120km/時の速度でウォーミングアップし、運転した。
【0076】
ECE R15都市サイクル、EUDCハイウエイサイクル及び組み合わせたECE R15+EUDCサイクルについての結果を、下記の表4、5及び6に示す。
【0077】
【表4】
【0078】
【表5】
【0079】
【表6】
【0080】
これらの結果を図3〜8にグラフで示す。
【0081】
下記のことを、実施した放出試験から結論することができる。
【0082】
Sasol SPD(商標)ディーゼル燃料の重質留分の使用は、欧州EN590参照ディーゼル燃料に対して比較したとき、試験車両の排気放出に悪影響を与えなかった。HC及びCO放出は、NOx及び微粒子放出が同様でありながら、EN590燃料よりも低かった。全ての調節された放出は、十分に、試験車両が証明される欧州3限界内であった。
【0083】
このディーゼルの軽い45%を除去すると、全沸騰範囲ディーゼルに対して比較したとき、HC、CO及びPM放出における増加になる。HC及びCO放出はEN590参照燃料でのものよりもなお低いけれども、PM放出はEN590燃料と同様であり、全沸騰範囲ディーゼルよりも30%程度高かった。
【0084】
Sasol SPD(商標)ディーゼルの重質留分の増加した密度は、全沸騰範囲ディーゼルに対して比較したとき、2%の体積燃料消費における改良になる。しかしながら、燃料消費は、EN590ディーゼル燃料でのものよりも3%程度なお高い。
【0085】
航空機燃料
低硫黄ディーゼル燃料に関する上記の表及び検討を参照する。
【0086】
粘度及び析出点は、航空機燃料流動性を定量的に特徴付けるために使用される物理的特性であり、従って、全合成Sasol SPD(商標)ケロシン留分が一致する粘度上限のみが航空機燃料のために特定される。軽質45体積%Sasol SPD(商標)全合成ケロシン留分は、−48℃の析出点(表2参照)で、DEF STAN91−91に従ったジェットA−1についての−47℃の必要析出点に適合する。自動化ASTM5901試験方法に従って決定された低い析出点は、全範囲Sasol SPD(商標)ディーゼル中に存在する60質量%よりも多いイソパラフィン及び全合成Sasol SPD(商標)ケロシン留分中に存在する50質量%よりも多いイソパラフィンに起因すると信じられる。
【0087】
与えられた量の燃料中に含有されるエネルギーの量は、空間が航空機におけるプレミアムになるので重要である。高い体積エネルギー含有量を有する燃料は、固定された体積内に貯蔵できるエネルギーを最大にし、従って最長の飛行範囲を与える。Sasol SPD(商標)ケロシン留分の特定された正味重量エネルギー含有量は、特定された42.8MJ/kgよりも大きい(表3参照)。
【0088】
ボール・オン・シリンダー評価器(BOCLE)(ASTM D5001試験方法)で評価された、全合成Sasol SPD(商標)ケロシン留分の潤滑性は、ジェットA−1について特定された最大摩耗傷痕直径よりも小さい、予想外の摩耗傷痕直径を有する。
【0089】
Sasol SPD(商標)ケロシンとのスイートニングした原油誘導ケロシンブレンド
ジェットA−1としての半合成ジェット燃料の特別の承認に従って、その芳香族含有量は、8体積%よりも少なくてはならない。芳香族化合物を含有しない(<0.001質量%)Sasol SPD(商標)ディーゼルと共に、45体積%Sasol SPD(商標)ケロシン留分を、Merox(商標)からのスイートニングした原油誘導ケロシンと50/50比でブレンドした。ブレンドストックとしての全合成Sasol SPD(商標)ケロシン(表3参照)及びスイートニングしたケロシンであるKero Merox(商標)の例並びにこれらのブレンドの特性も、表3に要約する。
【0090】
このブレンドのために使用したスイートニングしたMerox処理原油誘導ケロシンは、15℃での0.809kg/Lの密度を有し、そして半合成ブレンドは、15℃で0.776kg/Lの境界特定化密度を有していた。このブレンドの芳香族含有量は、8体積%限界を越えていた(表3参照)。
【0091】
半合成ジェット燃料についての、組成、揮発性、流動性、水分離特性、潤滑性及び熱安定性(JFTOT)必要条件は、50体積%以下のスイートニングした原油誘導ケロシン流−Sasol SPD(商標)ケロシンブレンドで満たされていた。このブレンドの蒸留プロフィールを、図11に示す。
【0092】
原油誘導ジェット燃料との合成ケロシンブレンドは、既に、一定の限界で承認されている。これらには、合成芳香族化合物を含有させることなく、フィッシャー−トロプシュ法から単独で誘導された合成ケロシンが含まれる。270℃の最終沸点を有する軽いSasol SPD(商標)ケロシンは、これらの制限及びまた−47℃のジェットA−1についての析出点必要条件に一致している。ブレンドとして、その密度及び芳香族含有量も、15℃での0.775kg/L及び8体積%芳香族含有量の最低必要条件に一致する。
【0093】
Sasol SPD(商標)ケロシンとの激しく水素化処理した原油誘導ケロシンブレンド
Sasol SPD(商標)ディーゼルの激しく水素化処理した原油誘導ケロシンとの50体積%以下のブレンドを、また、析出点、密度及び潤滑性のようなジェットA−1必要条件に一致する、熱安定性半合成ジェット燃料を例示するために製造した。例として、激しく水素化処理したケロシン、留出油水素化分解したケロシンとの50体積%ブレンドの特性を、表3に示す。
【0094】
熱安定性
全合成航空機燃料及び半合成航空機燃料(軽質Sasol SPD(商標)ケロシン留分とスイートニングし、激しく水素化処理した原油誘導ケロシンとのブレンド)の熱酸化安定性を、ジェット燃料熱酸化試験器(JFTOT)ASTM D3241試験方法に従って決定した。全合成航空機燃料及び半合成航空機燃料についての目視チューブ析出物等級は、フィルターを横切る圧力低下なしに1未満であった。
【0095】
水晶微量天秤(QCM)での熱安定性結果は、酸化防止剤の存在なしに140℃での15時間の試験の後に観察された僅か2μg/cm2でのJFTOT結果を立証した。
【0096】
JP−8+100熱安定性改良添加物での試験は、燃料がこのような低析出物質であるので、合成航空機燃料及びそれらのブレンドの安定性を改良しなかった。
【0097】
煤煙放出
アイドリング及び巡航条件下での全合成航空機燃料及びそれらのブレンドの微粒子(煤煙)でのガスタービンエンジン試験結果を、典型的な従来の航空機燃料のそれらと比較した。全合成Sasol SPD(商標)軽質ケロシン留分は、巡航条件下で、従来のJP−8航空機燃料よりも40%少ない煤煙を生成し、一方、それらのブレンドは、巡航条件下で33%少ない煤煙を生成した。
【0098】
アイドリング条件下で、Sasol SPD(商標)ケロセンブレンドストックは、典型的な従来の航空機燃料に比較して83%少ない煤煙を生成し、一方、それらのブレンドは67%少ない煤煙を生成した。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】Sasol SPD(商標)ディーゼルの炭素分布
【図2】精留の種々の程度でのSasol SPD(商標)ディーゼル密度のグラフ
【図3】複合HC放出
【図4】複合CO放出
【図5】複合NOx放出
【図6】複合PM放出
【図7】複合CO2放出
【図8】燃料消費
【図9】55体積%重質留分Sasol SPD(商標)ディーゼル放出対EN590
【図10】55体積%重質留分Sasol SPD(商標)ディーゼル放出対全範囲Sasol SPD(商標)ディーゼル
【図11】スイートニングしたKero Merox(商標)ケロシン、45%Sasol SPD(商標)ケロシン留分及びこれらの50%ブレンドの蒸留プロフィール
【発明の分野】
【0001】
本発明は、低硫黄ディーゼル燃料及び航空機燃料及び航空機燃料のブレンドストックに関する。
【発明の背景】
【0002】
本明細書において、低温フィッシャー−トロプシュ(LTFT)法を参照する。このLTFT法は、一酸化炭素及び水素を、鉄、コバルト、ニッケル又はルテニウム含有触媒上で反応させて、メタンからワックスまでの範囲の直鎖及び分枝鎖炭化水素並びに少量の酸素化物の混合物を製造する、周知の方法である。この炭化水素合成法は、フィッシャー−トロプシュ反応:
2H2 + CO → 〜[CH2]〜 + H2O
(式中、〜[CH2]〜は、炭化水素生成物分子の基本的構成ブロックである)
を基にしている。
【0003】
LTFT法は、石炭、天然ガス、バイオマス又は重油流から誘導することができる合成ガスを、メタンから1400以上の分子質量を有する種までの範囲の炭化水素に転化させるために、工業的に使用されている。用語「ガス・ツー・リキッド(Gas−to−Liquid)(GTL)法」は、合成ガスを得るための、天然ガス、即ちメタンをベースにするスキームを指し、合成生成物の品質は、合成条件及び生成物生産が定義されたときと本質的に同じものである。
【0004】
主生成物は直鎖パラフィン物質であるけれども、分枝鎖パラフィン、オレフィン及び酸素化成分のような他の種が、生成物スレート(slate)の一部を生成することができる。正確な生成物スレートは、Catal.Rev.−Sci.Eng.、第23巻(1及び2)、第265−278頁(1981年)又はHydroc.Proc.、第8巻、第121−124頁(1982年)のような文献から明らかであるように、使用する反応器形状、運転条件及び触媒に依存する。
【0005】
より重い炭化水素の製造のための好ましい反応器は、スラリー床又は管状固定床反応器であり、その場合の運転条件は、好ましくは、160〜280℃、場合によって210〜260℃範囲及び18〜50バール、場合によって好ましくは20〜30バールの範囲内である。
【0006】
触媒には、鉄、コバルト、ニッケル又はルテニウムのような活性金属が含まれてもよい。それぞれの触媒は、それ自体の独特の生成物スレートを与えるが、全ての場合に、生成物スレートには、いくつかのワックス状の高級パラフィン系物質が含有されており、この物質は、使用できる製品に更に品質向上させる必要がある。LTFT製品は、中間留分、ナフサ、溶剤、潤滑油ベースなどのような、ある範囲の最終製品に水素化転化させることができる。このような水素化転化は、通常、ある範囲のプロセス、例えば、水素化分解、水素化処理及び蒸留からなり、LTFT製品ワークアップ(LTFT Products Work−up)法と命名することができる。典型的に、この方法は、通常、2種の液体製品のみが貯蔵に移されるような方式で配置されている。殆どの例において、少量の、4個以下の炭素原子を含有する軽い炭化水素も、共生産される。LTFT液体製品の典型的な特性を、表1に示す。
【0007】
【表1】
【0008】
本発明者らは、GTL燃料を含むLTFT燃料を、分解したストック(stock)とブレンドすることなく、従来のディーゼル燃料と互換性のある燃料として直接利用する必要性を確認した。
【0009】
半合成航空機燃料は、英国航空機タービン燃料防御規格(British Aviation Turbine Fuel Defence Standard)91−91(DEF STAN91−91)規格に基づいて1999年に承認された。
【0010】
従って、上記の規格に適合するか又はこの規格を超える、そしてGTL製品又は燃料として及び/若しくは燃料用のブレンドストックとしての航空機産業におけるそれらの成分を含むLTFT製品の使用を許容する、合成系燃料についての要求が確認された。
【発明の概要】
【0011】
本発明の第1の態様に従って、低温フィッシャー−トロプシュ(LTFT)原料からの合成低硫黄ディーゼル燃料及び航空機燃料の製造方法であって、航空機燃料及び/又は航空機燃料ブレンドストックとして使用することができる軽質ケロシン留分並びに合成低硫黄ディーゼル燃料及び/又はディーゼル燃料ブレンドストックとして使用することができる重質ディーゼル留分への、低温フィッシャー−トロプシュ原料の精留を含み、上記留分が、ディーゼル燃料及び航空機燃料規格を実質的に満たす方法が提供される。
【0012】
驚くべきことに、このディーゼル燃料は、高度に水素化されているけれども、添加物を使用することなく、潤滑性規格に適合している。通常、当業者は、高度に水素化された燃料は、潤滑性改良剤を必要とすると予想する。
【0013】
これは、原油誘導ブレンドストックとブレンドして半合成航空機燃料を製造するための又は合成航空機燃料として直接使用できる軽質ケロシン留分を製造しながら、LTFT燃料のエネルギー密度を増加させるための、そしてまた低温流れ特性(CFPP−軽油濾過器目詰まり点試験)及び潤滑性規格に適合する一つの方法として確認された。
【0014】
この方法は、LTFT原料の少なくとも33体積%を精留及び除去して、約270℃の最終沸点を有する上記航空機燃料又はブレンドストックを生成することを含む。
【0015】
典型的に、この方法には、原料の45体積%又は55体積%の精留及び除去が含まれる。
【0016】
軽質ケロシン留分は、270℃のカット点で、ジェットA−1の−47℃析出点に適当するようにカットすることができる。再び、ケロシン留分のボール・オン・シリンダー(ball on cylinder)潤滑性評価器(BOCLE)で測定された潤滑性特性は、上記の予想であった。
【0017】
本発明の第2の態様に従って、合成低硫黄燃料又は低硫黄燃料用のブレンドストックであって、下記の特性、即ち、
13質量%〜17質量%の水素、
2〜5のイソ:n−パラフィン質量比、
0.1%m/m未満の芳香族化合物、
−5℃よりも低いIP309に従ったCFPP、
少なくとも0.780kg/Lの20℃での密度及び
80ppm未満の全酸素含有量
を有する燃料又はブレンドストックが提供される。
【0018】
典型的にイソ:n パラフィン質量比は3〜4である。
【0019】
イソ:n パラフィン質量比は3.7であってもよい。
【0020】
水素は、燃料又はブレンドストックの約15質量%であってもよい。
【0021】
典型的にCFPPは−9℃よりも低い。
【0022】
驚くべきことに、この燃料は、高度に水素化されているけれども、添加物を使用することなく、潤滑性規格に適合している。
【0023】
有利には、そのより軽い端部が除去されているけれども、原油誘導低硫黄燃料に比較したとき、排出性能は悪影響を受けなかった。
【0024】
この燃料又はブレンドストックはLTFTディーゼル留分であってもよい。
【0025】
このブレンドストックは、2cStよりも高い40℃での粘度を有していてもよい。
【0026】
この燃料又はブレンドストックは、330℃よりも高い、典型的に約340℃よりも高い最終沸点を有していてもよい。
【0027】
この燃料又はブレンドストックは、200℃よりも高い、典型的に250℃よりも高い、ある実施形態においては265℃を超えるIBPを有していてもよい。
【0028】
本発明の第3の態様に従って、合成航空機燃料又は半合成航空機燃料用の燃料ブレンドストックであって、下記の特性、即ち、
13質量%〜17質量%の水素、
0.5〜3のイソ:n−パラフィン質量比、
0.85mm未満のBOCLE潤滑性摩耗傷痕、
50ppm未満の酸素化物としての酸素(但し、第一級C7〜C12アルコールとしての酸素は50ppm未満であり、そして第一級C12〜C24アルコールとしての酸素は50ppm未満である)
を有するブレンドストックが提供される。
【0029】
酸素化物としての酸素は約10ppm未満であってもよい。
【0030】
第一級C7〜C12アルコールとしての酸素は約10ppm未満であってもよい。
【0031】
第一級C12〜C24アルコールとしての酸素は約10ppm未満であってもよい。
【0032】
この合成航空機燃料又は燃料ブレンドストックは、HPLCに従った0.1%m/m未満の芳香族化合物を有していてもよい。
【0033】
この合成航空機燃料又は燃料ブレンドストックは、50mmよりも大きい煙点を有していてもよい。
【0034】
この合成航空機燃料又は燃料ブレンドストックは、約0.75kg/Lの20℃での密度を有していてもよい。
【0035】
この合成航空機燃料又は燃料ブレンドストックは、−47℃よりも低い析出点を有していてもよい。
【0036】
典型的にイソ:n パラフィン質量比は1〜2である。
【0037】
イソ:n パラフィン質量比は1.2又は1.16であってもよい。
【0038】
水素は約15質量%であってもよい。
【0039】
このブレンドストックは、原油誘導燃料成分とブレンドすることなく、全合成航空機燃料として直接使用することができる。
【0040】
このブレンドストックは、LTFTケロシン留分であってもよい。
【0041】
このブレンドストックは、8cSt、典型的に4cStよりも低い−20℃での粘度を有していてもよい。
【0042】
このブレンドストックは、200℃よりも高い、典型的に約270℃の最終沸点を有していてもよい。
【0043】
本発明の第4の態様に従って、下記の特性、即ち、
0.5〜3のイソ:n−パラフィン比、
35mmよりも大きい煙点及び
少なくとも8%m/mの芳香族化合物
を有する、上記のようなブレンドストックを含有する半合成航空機燃料が提供される。
【0044】
この半合成航空機燃料は、少なくとも0.775kg/Lの15℃での密度を有していてもよい。
【0045】
この半合成航空機燃料は、50mmよりも大きい煙点を有していてもよい。
【0046】
この半合成航空機燃料は、−47℃未満の析出点を有していてもよい。
【0047】
典型的にイソ:n パラフィン質量比は1〜2である。
【0048】
イソ:n パラフィン質量比は1.8であってもよい。
【0049】
このブレンドストックは、8cStよりも低い又は4cStよりも低い−20℃での粘度を有していてもよい。
【0050】
LTFTケロシンと原油誘導スイートニングし激しく水素処理したケロシンとの50体積%ブレンドで、ジェットA−1についての米国材料試験協会(ASTM D1655)及び英国航空機タービン燃料防御規格91−91に従った最低の密度及び芳香族含有量必要条件が適合された。
【0051】
LTFT燃料は、殆どノルマル及びイソパラフィンから構成されているので、LTFTケロシン留分は、航空機タービン燃料ブレンド成分として利用することができる。LTFTケロシンからの芳香族化合物及びナフテンの実質的不存在は、非常に良好な煙点数を有するそれを与えることができる(即ち、それは非常に少ない煤煙を作る)。
【0052】
本発明の第5の態様に従って、燃焼したとき低い析出傾向を有する熱安定性航空機燃料であって、上記説明したような、全合成航空機燃料、半合成航空機燃料及び合成航空機燃料ブレンドストックから選択された1種以上の燃料を含有する燃料が提供される。
【0053】
典型的に、この航空機燃料及びブレンドストックは、1よりも小さい260℃での熱安定性チューブ析出物等級を有する。
【0054】
典型的に、この航空機燃料は、3μg/cm2よりも少ない水晶微量天秤(QCM)析出物を有する。
【0055】
更に典型的に、この航空機燃料は、酸化防止剤の添加無しに、140℃での15h QCM試験について、2μg/cm2よりも少ないQCM析出物を有する。
【0056】
本発明の第6の態様に従って、低煤煙放出航空機燃料であって、上記説明したような、全合成航空機燃料、半合成航空機燃料及び合成航空機燃料ブレンドストックから選択された1種以上の燃料を含有する燃料が提供される。
【0057】
典型的に、この航空機燃料ブレンドストックは、典型的な従来の航空機燃料に比較して、巡航条件下で正規化微粒子数密度における33%低下、更に典型的に巡航条件下で60%低下及びアイドリング条件下で正規化微粒子数密度における67%低下、更に典型的にアイドリング条件下で83%低下を有する。
【発明の実施形態の説明】
【0058】
本発明を、本発明を例示する特別の実施形態を参照して説明するが、その応用を限定することを意図しない。
【実施例】
【0059】
低硫黄ディーゼル燃料
Sasol Slurry Phase Distillate(商標)ディーゼル又はSasol SPD(商標)ディーゼルを、270℃の最終沸点で、−47℃のジェットA−1についての析出点必要条件を目標にして精留した。得られたディーゼル燃料特性及びケロシン特性を表2に示し、これには、密度、粘度、高周波往復装置(HFRR)及びボール・オン・シリンダー評価器(BOCLE)潤滑性試験並びにディーゼルの軽油濾過器目詰まり点(CFPP)及びケロシンの析出点が含まれる。
【0060】
【表2】
【0061】
表2において、
Sasol SPD(商標)ディーゼルは、全蒸留範囲LTFTディーゼルである。
Sasol SPD(商標)ディーゼル1は、45%重端部LTFTディーゼルである。
Sasol SPD(商標)ディーゼル2は、55%重端部LTFTディーゼルである。
Sasol SPD(商標)ケロシン1は、55%軽端部LTFTケロシン留分である。
Sasol SPD(商標)ケロシン2は、45%軽端部LTFTケロシン留分である。
【0062】
【表3】
【0063】
ディーゼル留分
45体積%重端部ディーゼル留分は、添加物を使用しない生のSasol SPD(商標)ディーゼルとして使用するための優れた特性を有している。
【0064】
460μmの最大摩耗傷痕直径(WSD)が、EN590:1999ディーゼル燃料規格に従って許容される。80ppmよりも低い全酸素含有量を有するSasol SPD(商標)ディーゼル留分の潤滑性は、著しく増加し、このディーゼル留分のより高い粘度のために現在の規格必要条件に適合し、これは潤滑性改良剤を使用することなく流体潤滑を改良する。
【0065】
Sasol SPD(商標)ディーゼル留分の引火点は、ディーゼル留分の常温流れ特性が良好なままでありながら、そのより高い初期沸点のために高い。
【0066】
ガスクロマトグラフ質量分析法(GC MS)及びガスクロマトグラフフレームイオン化検出(GC−FID)結果に従って、ケロシン及びディーゼルに精留する前のSasol SPD(商標)ディーゼルは、2.2:1のイソパラフィン対ノルマルパラフィン比を有する(図1参照)。55%重端部ディーゼル留分は、3.71のイソパラフィン対ノルマルパラフィン比を有する。
【0067】
Sasol SPD(商標)ディーゼルの精留は、より良い燃料経済性又はより大きいパワーになる、より高い密度(図2参照)及びエネルギー密度を有するディーゼルになる。これによって、また、精留後の、その潤滑性における改良、一層高い粘度及び引火点を含む他の変化が明らかになった。良好な常温流れ特性は、劇的に低下しなかったけれども、ディーゼル留分は一層重い。
【0068】
重質留分ディーゼルの排気放出性能
Sasol SPD(商標)ディーゼル燃料の重質留分の排気放出を、全沸騰範囲Sasol SPD(商標)ディーゼル及び欧州参照ディーゼル燃料のものと比較した。この試験は、最新型の欧州乗用車を使用して実施した。放出性能は、現在のEN590燃料規格に適合する従来のディーゼルに対して比較したとき悪影響を受けなかったけれども、未燃焼炭化水素、一酸化炭素及び微粒子物質放出は、全沸騰範囲Sasol SPD(商標)ディーゼルと比較したとき悪化したことが見出された。重質留分Sasol SPD(商標)ディーゼルのより高い体積エネルギー含有量は、全沸騰範囲Sasol SPD(商標)ディーゼルに対して比較したとき、測定された燃料消費において2%の改良になった。
【0069】
試験車
型式:2002BMW320dセダン
試験質量:1474kg
エンジン排気量:1995cm3
内径/行程:84/90mm
圧縮比:17:1
出力:4000回転/分で110kW
最大トルク:2000回転/分で330Nm
燃料噴射システム:ボッシュコモンレール
排気後処理:二重酸化触媒
放出証明:EU3(2000)
【0070】
試験燃料
比較のために3種の燃料を試験した。
【0071】
EN590:欧州EN590規格に適合し、そして<10mg/kgの硫黄含有量を有する、従来のディーゼル燃料。
【0072】
全沸騰範囲Sasol SPD(商標)ディーゼル:150℃のIBP及び335℃のFBPを有する、Sasol SPD(商標)ディーゼル。
【0073】
55体積%重質Sasol SPD(商標)ディーゼル留分:45体積%のケロシン留分が精留によって除去された後の残留物を含有するSasol SPD(商標)ディーゼルの重質留分。
【0074】
関連する燃料規格は、上記の表2に示されている。
【0075】
放出試験は、欧州EC/ECE試験方法に従って、NEDC試験サイクルを使用して実施した。それぞれの試験のための準備の際に、2回の前コンディショニング運転を実施した。EN590及び全沸騰範囲Sasol SPD(商標)ディーゼルのそれぞれで3回の試験を実施し、そして55体積%重質Sasol SPD(商標)ディーゼル留分で2回の試験を実施した。燃料を連続的に試験し、車両を、それぞれの燃料を変更した後5分間、120km/時の速度でウォーミングアップし、運転した。
【0076】
ECE R15都市サイクル、EUDCハイウエイサイクル及び組み合わせたECE R15+EUDCサイクルについての結果を、下記の表4、5及び6に示す。
【0077】
【表4】
【0078】
【表5】
【0079】
【表6】
【0080】
これらの結果を図3〜8にグラフで示す。
【0081】
下記のことを、実施した放出試験から結論することができる。
【0082】
Sasol SPD(商標)ディーゼル燃料の重質留分の使用は、欧州EN590参照ディーゼル燃料に対して比較したとき、試験車両の排気放出に悪影響を与えなかった。HC及びCO放出は、NOx及び微粒子放出が同様でありながら、EN590燃料よりも低かった。全ての調節された放出は、十分に、試験車両が証明される欧州3限界内であった。
【0083】
このディーゼルの軽い45%を除去すると、全沸騰範囲ディーゼルに対して比較したとき、HC、CO及びPM放出における増加になる。HC及びCO放出はEN590参照燃料でのものよりもなお低いけれども、PM放出はEN590燃料と同様であり、全沸騰範囲ディーゼルよりも30%程度高かった。
【0084】
Sasol SPD(商標)ディーゼルの重質留分の増加した密度は、全沸騰範囲ディーゼルに対して比較したとき、2%の体積燃料消費における改良になる。しかしながら、燃料消費は、EN590ディーゼル燃料でのものよりも3%程度なお高い。
【0085】
航空機燃料
低硫黄ディーゼル燃料に関する上記の表及び検討を参照する。
【0086】
粘度及び析出点は、航空機燃料流動性を定量的に特徴付けるために使用される物理的特性であり、従って、全合成Sasol SPD(商標)ケロシン留分が一致する粘度上限のみが航空機燃料のために特定される。軽質45体積%Sasol SPD(商標)全合成ケロシン留分は、−48℃の析出点(表2参照)で、DEF STAN91−91に従ったジェットA−1についての−47℃の必要析出点に適合する。自動化ASTM5901試験方法に従って決定された低い析出点は、全範囲Sasol SPD(商標)ディーゼル中に存在する60質量%よりも多いイソパラフィン及び全合成Sasol SPD(商標)ケロシン留分中に存在する50質量%よりも多いイソパラフィンに起因すると信じられる。
【0087】
与えられた量の燃料中に含有されるエネルギーの量は、空間が航空機におけるプレミアムになるので重要である。高い体積エネルギー含有量を有する燃料は、固定された体積内に貯蔵できるエネルギーを最大にし、従って最長の飛行範囲を与える。Sasol SPD(商標)ケロシン留分の特定された正味重量エネルギー含有量は、特定された42.8MJ/kgよりも大きい(表3参照)。
【0088】
ボール・オン・シリンダー評価器(BOCLE)(ASTM D5001試験方法)で評価された、全合成Sasol SPD(商標)ケロシン留分の潤滑性は、ジェットA−1について特定された最大摩耗傷痕直径よりも小さい、予想外の摩耗傷痕直径を有する。
【0089】
Sasol SPD(商標)ケロシンとのスイートニングした原油誘導ケロシンブレンド
ジェットA−1としての半合成ジェット燃料の特別の承認に従って、その芳香族含有量は、8体積%よりも少なくてはならない。芳香族化合物を含有しない(<0.001質量%)Sasol SPD(商標)ディーゼルと共に、45体積%Sasol SPD(商標)ケロシン留分を、Merox(商標)からのスイートニングした原油誘導ケロシンと50/50比でブレンドした。ブレンドストックとしての全合成Sasol SPD(商標)ケロシン(表3参照)及びスイートニングしたケロシンであるKero Merox(商標)の例並びにこれらのブレンドの特性も、表3に要約する。
【0090】
このブレンドのために使用したスイートニングしたMerox処理原油誘導ケロシンは、15℃での0.809kg/Lの密度を有し、そして半合成ブレンドは、15℃で0.776kg/Lの境界特定化密度を有していた。このブレンドの芳香族含有量は、8体積%限界を越えていた(表3参照)。
【0091】
半合成ジェット燃料についての、組成、揮発性、流動性、水分離特性、潤滑性及び熱安定性(JFTOT)必要条件は、50体積%以下のスイートニングした原油誘導ケロシン流−Sasol SPD(商標)ケロシンブレンドで満たされていた。このブレンドの蒸留プロフィールを、図11に示す。
【0092】
原油誘導ジェット燃料との合成ケロシンブレンドは、既に、一定の限界で承認されている。これらには、合成芳香族化合物を含有させることなく、フィッシャー−トロプシュ法から単独で誘導された合成ケロシンが含まれる。270℃の最終沸点を有する軽いSasol SPD(商標)ケロシンは、これらの制限及びまた−47℃のジェットA−1についての析出点必要条件に一致している。ブレンドとして、その密度及び芳香族含有量も、15℃での0.775kg/L及び8体積%芳香族含有量の最低必要条件に一致する。
【0093】
Sasol SPD(商標)ケロシンとの激しく水素化処理した原油誘導ケロシンブレンド
Sasol SPD(商標)ディーゼルの激しく水素化処理した原油誘導ケロシンとの50体積%以下のブレンドを、また、析出点、密度及び潤滑性のようなジェットA−1必要条件に一致する、熱安定性半合成ジェット燃料を例示するために製造した。例として、激しく水素化処理したケロシン、留出油水素化分解したケロシンとの50体積%ブレンドの特性を、表3に示す。
【0094】
熱安定性
全合成航空機燃料及び半合成航空機燃料(軽質Sasol SPD(商標)ケロシン留分とスイートニングし、激しく水素化処理した原油誘導ケロシンとのブレンド)の熱酸化安定性を、ジェット燃料熱酸化試験器(JFTOT)ASTM D3241試験方法に従って決定した。全合成航空機燃料及び半合成航空機燃料についての目視チューブ析出物等級は、フィルターを横切る圧力低下なしに1未満であった。
【0095】
水晶微量天秤(QCM)での熱安定性結果は、酸化防止剤の存在なしに140℃での15時間の試験の後に観察された僅か2μg/cm2でのJFTOT結果を立証した。
【0096】
JP−8+100熱安定性改良添加物での試験は、燃料がこのような低析出物質であるので、合成航空機燃料及びそれらのブレンドの安定性を改良しなかった。
【0097】
煤煙放出
アイドリング及び巡航条件下での全合成航空機燃料及びそれらのブレンドの微粒子(煤煙)でのガスタービンエンジン試験結果を、典型的な従来の航空機燃料のそれらと比較した。全合成Sasol SPD(商標)軽質ケロシン留分は、巡航条件下で、従来のJP−8航空機燃料よりも40%少ない煤煙を生成し、一方、それらのブレンドは、巡航条件下で33%少ない煤煙を生成した。
【0098】
アイドリング条件下で、Sasol SPD(商標)ケロセンブレンドストックは、典型的な従来の航空機燃料に比較して83%少ない煤煙を生成し、一方、それらのブレンドは67%少ない煤煙を生成した。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】Sasol SPD(商標)ディーゼルの炭素分布
【図2】精留の種々の程度でのSasol SPD(商標)ディーゼル密度のグラフ
【図3】複合HC放出
【図4】複合CO放出
【図5】複合NOx放出
【図6】複合PM放出
【図7】複合CO2放出
【図8】燃料消費
【図9】55体積%重質留分Sasol SPD(商標)ディーゼル放出対EN590
【図10】55体積%重質留分Sasol SPD(商標)ディーゼル放出対全範囲Sasol SPD(商標)ディーゼル
【図11】スイートニングしたKero Merox(商標)ケロシン、45%Sasol SPD(商標)ケロシン留分及びこれらの50%ブレンドの蒸留プロフィール
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低温フィッシャー−トロプシュ(LTFT)原料からの合成低硫黄ディーゼル燃料及び低煤煙放出航空機燃料の製造方法であって、低煤煙放出航空機燃料及び/又は航空機燃料ブレンドストックとして使用することができる軽質ケロシン留分並びに合成低硫黄ディーゼル燃料及び/又はディーゼル燃料ブレンドストックとして使用することができる重質ディーゼル留分を生成するための、体積比1:2〜5:4の軽質ケロシン留分及び重質ディーゼル留分への、低温フィッシャー−トロプシュ原料の精留を含み、前記留分が、ディーゼル燃料及び航空機燃料規格を実質的に満たす方法。
【請求項2】
前記LTFT原料の少なくとも33体積%を分離して、約270℃の最終沸点を有する前記航空機燃料又はブレンドストックを生成する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記方法が、前記航空機燃料又はブレンドストックを生成するための、原料の45体積%又は55体積%の精留及び除去を含む、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
合成航空機燃料又は半合成航空機燃料用の燃料ブレンドストックであって、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法によって製造され、そして下記の特性、即ち、
13質量%〜17質量%の水素、
0.5〜3のイソ:n−パラフィン質量比、
0.85mm未満のBOCLE潤滑性摩耗傷痕及び
50ppm未満、典型的に約10ppm未満の酸素化物としての酸素(但し、第一級C7〜C12アルコールとしての酸素が50ppm未満、典型的に約10ppm未満であり、そして第一級C12〜C24アルコールとしての酸素が50ppm未満、典型的に約10ppm未満である)
を有する航空機燃料又はブレンドストック。
【請求項5】
0.1%m/m未満の芳香族化合物を有する、請求項4記載の合成航空機燃料又は燃料ブレンドストック。
【請求項6】
50mmよりも大きい煙点を有する、請求項4又は5記載の合成航空機燃料又は燃料ブレンドストック。
【請求項7】
約0.75kg/Lの20℃での密度を有する、請求項4〜6のいずれか一項記載の合成航空機燃料又は燃料ブレンドストック。
【請求項8】
−47℃よりも低い析出点を有する、請求項4〜7いずれか一項記載の合成航空機燃料又は燃料ブレンドストック。
【請求項9】
イソ:n パラフィン質量比が1〜2である、請求項4〜8のいずれか一項記載の合成航空機燃料又は燃料ブレンドストック。
【請求項10】
イソ:n パラフィン質量比が1.16〜1.2である、請求項4〜8のいずれか一項記載の合成航空機燃料又は燃料ブレンドストック。
【請求項11】
水素が約15質量%である、請求項4〜10のいずれか一項記載の合成航空機燃料又は燃料ブレンドストック。
【請求項12】
LTFTケロシン留分である、請求項4〜11のいずれか一項記載の合成航空機燃料又は燃料ブレンドストック。
【請求項13】
ブレンドストックが、8cStよりも低い−20℃での粘度を有する、請求項4〜12のいずれか一項記載の合成航空機燃料又は燃料ブレンドストック。
【請求項14】
200℃よりも高い、典型的に約270℃の最終沸点を有する、請求項4〜13のいずれか一項記載の合成航空機燃料又は燃料ブレンドストック。
【請求項15】
0.1質量%〜99.9質量%の、請求項4〜14のいずれか一項記載のブレンドストックを含有する半合成航空機燃料であって、
0.5〜3のイソ:n−パラフィン比、
35mmよりも大きい煙点及び
少なくとも8%m/mの芳香族化合物
を有する半合成航空機燃料。
【請求項16】
少なくとも0.775kg/Lの15℃での密度を有する、請求項15記載の半合成航空機燃料。
【請求項17】
35mmよりも大きい煙点を有する、請求項15又は16記載の半合成航空機燃料。
【請求項18】
−47℃未満の析出点を有する、請求項15〜17のいずれか一項記載の半合成航空機燃料。
【請求項19】
1〜2のイソ:n パラフィン質量比を有する、請求項15〜18のいずれか一項記載の半合成航空機燃料。
【請求項20】
イソ:n パラフィン質量比が1.8である、請求項19記載の半合成航空機燃料。
【請求項21】
50体積%のブレンドストック(但し、このブレンドストックがLTFTケロシンである)及び50体積%の原油誘導スイートニングし激しく水素処理したケロシンを含有する、請求項15〜20のいずれか一項記載の半合成航空機燃料。
【請求項22】
燃焼したとき低い析出傾向を有する熱安定性航空機燃料であって、請求項4〜14のいずれか一項記載の合成航空機燃料及び合成航空機燃料ブレンドストック並びに請求項15〜21のいずれか一項記載の半合成航空機燃料から選択された1種以上の燃料を含有し、前記熱安定性航空機燃料が、1よりも小さい260℃での熱安定性チューブ析出物等級を有する熱安定性航空機燃料。
【請求項23】
3μg/cm2よりも少ない水晶微量天秤(QCM)析出物を有する、請求項22記載の熱安定性航空機燃料。
【請求項24】
酸化防止剤の添加無しに、140℃での15h QCM試験について、2μg/cm2よりも少ないQCM析出物を有する、請求項22又は23記載の熱安定性航空機燃料。
【請求項25】
請求項1〜3のいずれか一項記載の方法によって製造された、合成低硫黄燃料又は低硫黄燃料用のブレンドストックであって、下記の特性、即ち、
13質量%〜17質量%の水素、
2〜5のイソ:n−パラフィン質量比、
0.1%m/m未満の芳香族化合物、
−5℃よりも低いIP309に従ったCFPP、
少なくとも0.780kg/Lの20℃での密度及び
80ppm未満の全酸素含有量
を有する燃料又はブレンドストック。
【請求項26】
イソ:n パラフィン質量比が3〜4である、請求項25記載の合成低硫黄燃料又は低硫黄燃料用のブレンドストック。
【請求項27】
イソ:n パラフィン質量比が3.7である、請求項26記載の合成低硫黄燃料又は低硫黄燃料用のブレンドストック。
【請求項28】
水素が約15質量%である、請求項25〜27のいずれか一項記載の合成低硫黄燃料又は低硫黄燃料用のブレンドストック。
【請求項29】
CFPPが−9℃よりも低い、請求項25〜28のいずれか一項記載の合成低硫黄燃料又は低硫黄燃料用のブレンドストック。
【請求項30】
燃料又はブレンドストックがLTFTディーゼル留分である、請求項25〜29のいずれか一項記載の合成低硫黄燃料又は低硫黄燃料用のブレンドストック。
【請求項31】
2cStよりも高い40℃での粘度を有する、請求項25〜30のいずれか一項記載の合成低硫黄燃料又は低硫黄燃料用のブレンドストック。
【請求項32】
330℃よりも高い最終沸点を有する、請求項25〜31のいずれか一項記載の合成低硫黄燃料又は低硫黄燃料用のブレンドストック。
【請求項33】
200℃よりも高いIBPを有する、請求項25〜32のいずれか一項記載の合成低硫黄燃料又は低硫黄燃料用のブレンドストック。
【請求項34】
250℃よりも高いIBPを有する、請求項25〜33のいずれか一項記載の合成低硫黄燃料又は低硫黄燃料用のブレンドストック。
【請求項35】
265℃よりも高いIBPを有する、請求項25〜33のいずれか一項記載の合成低硫黄燃料又は低硫黄燃料用のブレンドストック。
【請求項36】
圧縮点火機関内で燃焼したとき、同じ機関内で同じ条件下で燃焼したとき欧州EN590参照ディーゼル燃料と実質的に等量の粒子放出を作る、請求項33〜35のいずれか一項記載の合成低硫黄燃料又は低硫黄燃料用のブレンドストック。
【請求項1】
低温フィッシャー−トロプシュ(LTFT)原料からの合成低硫黄ディーゼル燃料及び低煤煙放出航空機燃料の製造方法であって、低煤煙放出航空機燃料及び/又は航空機燃料ブレンドストックとして使用することができる軽質ケロシン留分並びに合成低硫黄ディーゼル燃料及び/又はディーゼル燃料ブレンドストックとして使用することができる重質ディーゼル留分を生成するための、体積比1:2〜5:4の軽質ケロシン留分及び重質ディーゼル留分への、低温フィッシャー−トロプシュ原料の精留を含み、前記留分が、ディーゼル燃料及び航空機燃料規格を実質的に満たす方法。
【請求項2】
前記LTFT原料の少なくとも33体積%を分離して、約270℃の最終沸点を有する前記航空機燃料又はブレンドストックを生成する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記方法が、前記航空機燃料又はブレンドストックを生成するための、原料の45体積%又は55体積%の精留及び除去を含む、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
合成航空機燃料又は半合成航空機燃料用の燃料ブレンドストックであって、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法によって製造され、そして下記の特性、即ち、
13質量%〜17質量%の水素、
0.5〜3のイソ:n−パラフィン質量比、
0.85mm未満のBOCLE潤滑性摩耗傷痕及び
50ppm未満、典型的に約10ppm未満の酸素化物としての酸素(但し、第一級C7〜C12アルコールとしての酸素が50ppm未満、典型的に約10ppm未満であり、そして第一級C12〜C24アルコールとしての酸素が50ppm未満、典型的に約10ppm未満である)
を有する航空機燃料又はブレンドストック。
【請求項5】
0.1%m/m未満の芳香族化合物を有する、請求項4記載の合成航空機燃料又は燃料ブレンドストック。
【請求項6】
50mmよりも大きい煙点を有する、請求項4又は5記載の合成航空機燃料又は燃料ブレンドストック。
【請求項7】
約0.75kg/Lの20℃での密度を有する、請求項4〜6のいずれか一項記載の合成航空機燃料又は燃料ブレンドストック。
【請求項8】
−47℃よりも低い析出点を有する、請求項4〜7いずれか一項記載の合成航空機燃料又は燃料ブレンドストック。
【請求項9】
イソ:n パラフィン質量比が1〜2である、請求項4〜8のいずれか一項記載の合成航空機燃料又は燃料ブレンドストック。
【請求項10】
イソ:n パラフィン質量比が1.16〜1.2である、請求項4〜8のいずれか一項記載の合成航空機燃料又は燃料ブレンドストック。
【請求項11】
水素が約15質量%である、請求項4〜10のいずれか一項記載の合成航空機燃料又は燃料ブレンドストック。
【請求項12】
LTFTケロシン留分である、請求項4〜11のいずれか一項記載の合成航空機燃料又は燃料ブレンドストック。
【請求項13】
ブレンドストックが、8cStよりも低い−20℃での粘度を有する、請求項4〜12のいずれか一項記載の合成航空機燃料又は燃料ブレンドストック。
【請求項14】
200℃よりも高い、典型的に約270℃の最終沸点を有する、請求項4〜13のいずれか一項記載の合成航空機燃料又は燃料ブレンドストック。
【請求項15】
0.1質量%〜99.9質量%の、請求項4〜14のいずれか一項記載のブレンドストックを含有する半合成航空機燃料であって、
0.5〜3のイソ:n−パラフィン比、
35mmよりも大きい煙点及び
少なくとも8%m/mの芳香族化合物
を有する半合成航空機燃料。
【請求項16】
少なくとも0.775kg/Lの15℃での密度を有する、請求項15記載の半合成航空機燃料。
【請求項17】
35mmよりも大きい煙点を有する、請求項15又は16記載の半合成航空機燃料。
【請求項18】
−47℃未満の析出点を有する、請求項15〜17のいずれか一項記載の半合成航空機燃料。
【請求項19】
1〜2のイソ:n パラフィン質量比を有する、請求項15〜18のいずれか一項記載の半合成航空機燃料。
【請求項20】
イソ:n パラフィン質量比が1.8である、請求項19記載の半合成航空機燃料。
【請求項21】
50体積%のブレンドストック(但し、このブレンドストックがLTFTケロシンである)及び50体積%の原油誘導スイートニングし激しく水素処理したケロシンを含有する、請求項15〜20のいずれか一項記載の半合成航空機燃料。
【請求項22】
燃焼したとき低い析出傾向を有する熱安定性航空機燃料であって、請求項4〜14のいずれか一項記載の合成航空機燃料及び合成航空機燃料ブレンドストック並びに請求項15〜21のいずれか一項記載の半合成航空機燃料から選択された1種以上の燃料を含有し、前記熱安定性航空機燃料が、1よりも小さい260℃での熱安定性チューブ析出物等級を有する熱安定性航空機燃料。
【請求項23】
3μg/cm2よりも少ない水晶微量天秤(QCM)析出物を有する、請求項22記載の熱安定性航空機燃料。
【請求項24】
酸化防止剤の添加無しに、140℃での15h QCM試験について、2μg/cm2よりも少ないQCM析出物を有する、請求項22又は23記載の熱安定性航空機燃料。
【請求項25】
請求項1〜3のいずれか一項記載の方法によって製造された、合成低硫黄燃料又は低硫黄燃料用のブレンドストックであって、下記の特性、即ち、
13質量%〜17質量%の水素、
2〜5のイソ:n−パラフィン質量比、
0.1%m/m未満の芳香族化合物、
−5℃よりも低いIP309に従ったCFPP、
少なくとも0.780kg/Lの20℃での密度及び
80ppm未満の全酸素含有量
を有する燃料又はブレンドストック。
【請求項26】
イソ:n パラフィン質量比が3〜4である、請求項25記載の合成低硫黄燃料又は低硫黄燃料用のブレンドストック。
【請求項27】
イソ:n パラフィン質量比が3.7である、請求項26記載の合成低硫黄燃料又は低硫黄燃料用のブレンドストック。
【請求項28】
水素が約15質量%である、請求項25〜27のいずれか一項記載の合成低硫黄燃料又は低硫黄燃料用のブレンドストック。
【請求項29】
CFPPが−9℃よりも低い、請求項25〜28のいずれか一項記載の合成低硫黄燃料又は低硫黄燃料用のブレンドストック。
【請求項30】
燃料又はブレンドストックがLTFTディーゼル留分である、請求項25〜29のいずれか一項記載の合成低硫黄燃料又は低硫黄燃料用のブレンドストック。
【請求項31】
2cStよりも高い40℃での粘度を有する、請求項25〜30のいずれか一項記載の合成低硫黄燃料又は低硫黄燃料用のブレンドストック。
【請求項32】
330℃よりも高い最終沸点を有する、請求項25〜31のいずれか一項記載の合成低硫黄燃料又は低硫黄燃料用のブレンドストック。
【請求項33】
200℃よりも高いIBPを有する、請求項25〜32のいずれか一項記載の合成低硫黄燃料又は低硫黄燃料用のブレンドストック。
【請求項34】
250℃よりも高いIBPを有する、請求項25〜33のいずれか一項記載の合成低硫黄燃料又は低硫黄燃料用のブレンドストック。
【請求項35】
265℃よりも高いIBPを有する、請求項25〜33のいずれか一項記載の合成低硫黄燃料又は低硫黄燃料用のブレンドストック。
【請求項36】
圧縮点火機関内で燃焼したとき、同じ機関内で同じ条件下で燃焼したとき欧州EN590参照ディーゼル燃料と実質的に等量の粒子放出を作る、請求項33〜35のいずれか一項記載の合成低硫黄燃料又は低硫黄燃料用のブレンドストック。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2006−522859(P2006−522859A)
【公表日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509119(P2006−509119)
【出願日】平成16年4月7日(2004.4.7)
【国際出願番号】PCT/ZA2004/000041
【国際公開番号】WO2004/090078
【国際公開日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(502001558)サソル テクノロジー (ピーティーワイ)リミテッド (5)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年4月7日(2004.4.7)
【国際出願番号】PCT/ZA2004/000041
【国際公開番号】WO2004/090078
【国際公開日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(502001558)サソル テクノロジー (ピーティーワイ)リミテッド (5)
【Fターム(参考)】
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