説明

低VOCウレタン系樹脂組成物及びその用途

【課題】環境に対する負荷が小さく、施行性及び塗膜物性の高い低VOCウレタン系樹脂組成物を提供する。
【解決手段】ポリオール成分(A)、ポリイソシアネート成分(B)及び希釈剤(C)で構成され、かつVOCが低減された組成物であって、前記希釈剤(C)が、エポキシ基を有する低分子量化合物で構成された低VOCウレタン系樹脂組成物を調製する。エポキシ基を有する低分子量化合物は、複数のエポキシ基を有する化合物及び/又はエポキシ基を有するシランカップリング剤であってもよい。ポリオール成分(A)は、少なくともポリマーポリオール(特に有機溶剤を実質的に含まない希釈剤(C)の存在下、重合して得られたアクリル系ポリマーポリオール)であってもよい。このような低VOCウレタン系樹脂組成物は、コーティング剤や接着剤などに適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境に対する負荷が少なく、施工性にも優れた低VOCウレタン系樹脂組成物及びその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタン系樹脂は、耐摩耗性、耐薬品性、柔軟性などが高いため、建造物、建築部材、各種車両、機械器具、プラスチック製品、繊維製品などのコーティング組成物又は塗料として広く利用されている。一方、近年、塗料分野では、大気中へのVOC(揮発性有機化合物)の放出に対する規制が厳しくなっており、ウレタン塗料においても、従来から汎用されてきた溶剤系塗料に代わる塗料が望まれている。溶剤系塗料に代わる低VOC塗料としては、水性塗料や粉体塗料などが開発されている。しかし、水性塗料は、乳化剤や分散剤を含み、樹脂が親水化されるため、塗膜の耐水性が充分でなく、塗膜の乾燥にも長時間を要する。また、粉体塗料の場合は、厚塗りが困難であり、塗膜の密着性も低い。そこで、これらの欠点を改善する非溶剤系塗料として、無溶剤型ウレタン塗料も開発されている。
【0003】
例えば、特開平10−292150号公報(特許文献1)には、無溶剤で塗工可能なポリウレタン塗料であって、耐水性、塩水遮蔽性及び追随性に優れる塗膜を形成できる塗料として、(a)ダイマージオールの含有割合が50〜100重量%で、25℃における粘度が2000mPa・s(cps)以下の多価アルコール、及び(b)25℃における粘度が200〜2000mPa・sの脂肪族又は脂環式イソシアネートからなる2液型ポリウレタン塗料が開示されている。この文献の実施例では、多価アルコール(a)として、ダイマージオールと3−メチルペンタンジオールとからなる粘度1200mPa・sの混合物が使用されている。しかし、このウレタン塗料では、塗工性が低いとともに、塗膜の硬度も低い。
【0004】
さらに、特開平9−221627号公報(特許文献2)には、水酸基を1分子当り2個以上有するポリオールと、水酸基を有するガラス転移温度0〜90℃のアクリル樹脂とからなるポリオール変性アクリル樹脂に、ポリイソシアネート化合物を含有させたコンクリート塗装型枠合板用無溶剤型ウレタン塗料組成物が開示されている。この文献には、ポリオール変性アクリル樹脂に関し、ポリオール成分の存在下にアクリル樹脂成分を構成する不飽和単量体をラジカル共重合することによって調製されることが記載され、ポリオール成分としては、具体的には、ポリエーテルポリオールが使用されている。しかし、このウレタン塗料組成物でも、粘度が高く、塗工性や取扱い性が低い。
【特許文献1】特開平10−292150号公報(請求項1、段落番号[0014][0015])
【特許文献2】特開平9−221627号公報(請求項1、段落番号[0024][0032])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、環境に対する負荷が小さく、施工性も高い低VOCウレタン系樹脂組成物及びその用途を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、硬度や耐摩耗性などの塗膜物性と、基材に対する密着性や塗布性などの塗装性とを両立できる低VOCウレタン系樹脂組成物及びその用途を提供することにある。
【0007】
本発明のさらに他の目的は、ポットライフと乾燥性(又は硬化性)とのバランスに優れる低VOCウレタン系樹脂組成物及びその用途を提供することにある。
【0008】
本発明の別の目的は、塗膜外観(意匠性、高光沢性、発色性など)に優れるとともに、各種耐性(非汚染性、耐火性、耐水性、耐候性、耐薬品性など)にも優れる低VOCウレタン系樹脂組成物及びその用途を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、塗料や接着剤などの低VOCウレタン系樹脂組成物において、エポキシ基を有する低分子量化合物を希釈剤として用いると、VOC含有量の極めて少ない組成物であっても低粘度化でき、塗装性及び施工性を向上でき、環境に対する負荷が小さく、ポットライフと乾燥性(又は硬化性)とのバランスも調整できることを見いだし、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明の低VOCウレタン系樹脂組成物は、ポリオール成分(A)、ポリイソシアネート成分(B)及び希釈剤(C)で構成され、かつVOCが低減された組成物であって、前記希釈剤(C)が、エポキシ基を有する低分子量化合物で構成されている。エポキシ基を有する低分子量化合物としては、複数のエポキシ基を有する化合物及び/又はエポキシ基を有するシランカップリング剤が挙げられる。特に、エポキシ基を有する低分子量化合物は、ポリグリシジルエーテル系化合物とグリシジル基を有するシランカップリング剤とで構成されていてもよい。ポリオール成分(A)は、少なくともポリマーポリオール(特にポリカーボネートポリオール及び/又はアクリル系ポリマーポリオール)で構成されていてもよい。特に、生産性の点から、ポリマーポリオールは、有機溶剤を実質的に含まない希釈剤(C)の存在下、重合して得られたポリマーポリオール(特にアクリル系ポリマーポリオール)であってもよい。このような希釈剤(C)を用いて得られたポリマーポリオールにおいて、希釈剤(C)の割合は、ポリマーポリオール100重量部に対して、5〜100重量部程度であってもよい。ポリイソシアネート成分(B)は、例えば、ポリイソシアネートの誘導体又は変性体などであってもよい。
【0011】
本発明のポリウレタン系樹脂組成物において、ポリイソシアネート成分(B)のイソシアネート基の割合は、ポリオール成分(A)のヒドロキシル基及び希釈剤(C)のエポキシ基の合計1モルに対して、0.5〜3モル程度であってもよく、希釈剤(C)の割合は、ポリオール成分(A)100重量部に対して、10〜300重量部程度であってもよい。このような低VOCウレタン系樹脂組成物は、コーティング剤や接着剤などに適している。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、エポキシ基を有する低分子量化合物を希釈剤として利用するため、ポリマーポリオールとポリイソシアネート成分とを組み合わせた低VOCウレタン系樹脂組成物であっても、粘度を低減でき、塗装性及び施工性を向上でき、環境に対する負荷も低減できる。すなわち、VOC成分が極限近くまで低減可能であり、塗装膜のやせが殆ど認められず、下地調整工程を別とすれば、ワンコートフィニッシングが可能となり、施工工程が大幅に短縮できる。また、希釈剤としての低分子量化合物及びポリオール成分の種類や量的割合を調整することにより、硬度や耐摩耗性などの塗膜物性と、基材に対する密着性や塗布性などの塗装性とを両立できる。また、ポットライフと乾燥性(硬化性)とのバランスに優れる。さらに、塗膜外観(意匠性、高光沢性、発色性など)に加えて、各種耐性(非汚染性、耐火性、耐水性、耐候性、耐薬品性など)も向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の低VOCウレタン系樹脂組成物は、ポリオール成分(A)、ポリイソシアネート成分(B)及び希釈剤(C)で構成されている。本発明の組成物は、有機溶剤を実質的に含んでおらず、VOCの含有量が極めて少ないため、VOCの発生や引火性が低い。具体的には、少量(例えば、0.01〜5重量%、好ましくは0.1〜2重量%程度)であれば、有機溶剤を含んでいてもよい。
【0014】
[ポリオール成分(A)]
本発明において、ポリオール成分(A)は、少なくともポリマーポリオールで構成されているのが好ましい。ポリマーポリオールは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリル系ポリマーポリオールなどが挙げられる。これらのポリマーポリオールは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0015】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、アルキレンオキシドの単独又は共重合体[ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリトリメチレンエーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどのポリ(C2−4アルキレングリコール)]、ビスフェノールA又は水添ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加体などが挙げられる。これらのポリエーテルポリオールは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0016】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、低分子量ジオールと、ジカルボン酸又はその反応性誘導体(低級アルキルエステル、酸無水物)との反応生成物や、ラクトン(ブチロラクトン、バレロラクトン、カプロラクトン、ラウロラクトンなどのC3−12ラクトンなど)からの誘導体(開環重合体)などが挙げられる。
【0017】
低分子量ジオールとしては、例えば、脂肪族ジオール(エチレングリコール、1,2−又は1,3−プロピレングリコール、1,4−、1,3−又は1,2−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ウンデカンジオールなどのC2−12アルカンジオール)、ポリアルキレングリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ジトリメチレンエーテルグリコール、ジテトラメチレンエーテルグリコールなどのジ又はトリC2−4アルキレングリコールなど)、脂肪族ポリオール(グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトールなどのC3−12脂肪族ポリオールなど)、脂環族ジオール(シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、水添キシリレンジオールなどのシクロアルカンジオール、これらのシクロアルカンジオールのC2−4アルキレンオキシド付加物など)、芳香族ジオール(キシリレンジオール、ビスフェノールA、ビスフェノールS、カテコール、レゾルシン、ハイドロキノンなどの芳香族ジオール、これらの芳香族ジオールのC2−4アルキレンオキシド付加物など)などが挙げられる。これらのポリオール成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0018】
ジカルボン酸としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸(例えば、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸などの脂肪族C4−14脂肪族ジカルボン酸など)、脂環族ジカルボン酸(例えば、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロイソフタル酸、テトラヒドロテレフタル酸など)、芳香族ジカルボン酸(例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸など)などが例示できる。これらのジカルボン酸は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。ジカルボン酸は、必要により、トリメリット酸、ピロメリット酸などの多価カルボン酸と併用してもよい。
【0019】
これらのポリエステルポリオールは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0020】
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、前記低分子量ジオールと、ジアルキルカーボネート(ジメチルカーボネートなどのジC1−4アルキルカーボネートなど)やジアリールカーボネート(ジフェニルカーボネートなどのジC6−12アリールカーボネートなど)との反応生成物などが挙げられる。これらのポリカーボネートポリオールは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0021】
アクリル系ポリマーポリオールは、アクリル系ポリマーを変性してヒドロキシル基を導入したアクリル系ポリマーポリオールであってもよいが、通常、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル系単量体を重合してヒドロキシル基を導入した(メタ)アクリル系ポリマーポリオールである。
【0022】
ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシC2−4アルキルエステル、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどのポリC2−4アルキレングリコール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらのヒドロキシル基含有(メタ)アクリル系単量体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのヒドロキシル基含有(メタ)アクリル系単量体のうち、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシC2−4アルキルエステルが好ましい。
【0023】
ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル系単量体は、他の共重合性単量体と共重合させてもよい。他の共重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル[(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシルなどの(メタ)アクリル酸C1−20アルキルエステル、(メタ)アクリル酸シクロへキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸グリシジルなど]、アクリロニトリルなどのシアン化ビニル系モノマー、α−オレフィン(エチレンやプロピレンなどのα−C2−10オレフィンなど)、芳香族ビニル(スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなど)、カルボン酸ビニルエステル(酢酸ビニルなど)などが挙げられる。他の共重合性単量体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これら他の共重合性単量体のうち、(メタ)アクリル酸アルキルエステルや(メタ)アクリル酸グリシジルエステルなどの(メタ)アクリル酸エステル、スチレンなどの芳香族ビニル、特に、(メタ)アクリル酸メチルや(メタ)アクリル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸C1−4アルキルエステルが好ましい。
【0024】
ヒドロキシル基含有アクリル系単量体と、他の共重合性単量体との割合(重量比)は、アクリル系ポリマーポリオールの水酸基価に応じて適宜選択でき、例えば、前者/後者=100/0〜1/99、好ましくは80/20〜3/97、さらに好ましくは50/50〜5/95(特に30/70〜10/90)程度である。
【0025】
アクリル系ポリマーポリオールは、用途に応じて、フッ素で変性されていてもよい。フッ素による変性方法は、特に限定されないが、通常、フッ素含有ビニル系モノマーを共重合性単量体として重合して、変性フッ素共重合体を調製する方法である。フッ素含有ビニル系モノマーとしては、例えば、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、ジクロロジフルオロエチレン、ビニルフルオライド、ヘキサフルオロプロピレンなどのフッ素含有C2−6オレフィン系モノマー、トリフルオロメチルビニルエーテルなどのパーフルオロC1−4アルキルビニルエーテルなどが挙げられる。これらのフッ素含有ビニル系モノマーは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのモノマーのうち、テトラフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、ビニルフルオライド、ヘキサフルオロプロピレンなどのフッ素含有C2−4オレフィンが好ましい。
【0026】
フッ素含有ビニル系モノマーの割合は、全単量体中、例えば、1〜80重量%、好ましくは3〜60重量%、さらに好ましくは5〜50重量%(特に10〜40重量%)程度である。
【0027】
これらのポリマーポリオールのうち、後述する希釈剤(C)を用いた重合が可能な点から、ポリカーボネートポリオール及び/又はアクリル系ポリマーポリオールが好ましい。ポリマーポリオールの重合において、エポキシ基を有する化合物で構成された希釈剤(C)を用いると、ポリマーポリオールを精製する必要がなく、希釈剤(C)を含有したまま、本発明の組成物として使用可能となる。従って、ポリマーポリオールとしては、希釈剤(C)を用いて得られたポリマーポリオールが好ましい。例えば、アクリル系ポリマーポリオールの場合、前述の(メタ)アクリル系単量体及び/又はビニル系単量体を、希釈剤(C)を溶媒として重合することにより得られたアクリル系ポリマーポリオールが好ましい。
【0028】
ポリマーポリオールの重合に用いる希釈剤(C)の割合は、ポリマーポリオール100重量部に対して、例えば、5〜100重量部、好ましくは10〜50重量部、さらに好ましくは15〜40重量部程度である。
【0029】
ポリマーポリオールの重合においては、慣用の開始剤などを添加してもよく、例えば、アクリル系ポリマーポリオールの場合、アゾ系化合物(アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、ジメチルアゾイソブチレート、ベンゼンジアゾニウムクロライドなど)や、過酸化物(過酸化ベンゾイル、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルパーベンゾエート、過酸化水素等)などのラジカル重合開始剤を添加してもよい。ラジカル重合開始剤の割合は、単量体100重量部に対して、例えば、1〜20重量部、好ましくは3〜15重量部、さらに好ましくは5〜15重量部程度である。
【0030】
このようにして得られた希釈剤(C)を含有するポリマーポリオールの粘度は、例えば、100℃において、例えば、100〜3000mPa・s以下、好ましくは200〜2000mPa・s、さらに好ましくは300〜1000mPa・s(特に400〜800mPa・s)程度である。
【0031】
さらに、これらのポリマーポリオールのうち、用途に応じて各種機能を付与し易い点からも、アクリル系ポリマーポリオールが特に好ましい。
【0032】
これらのポリマーポリオールは、耐光性などの耐候性を向上させるための機能性基を有していてもよい。例えば、アクリル系ポリマーポリオールは、光安定性基を有するアクリル系単量体[例えば、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジンなどの(メタ)アクリロイルオキシ−アルキルピペリジンや、4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどの(メタ)アクリロイルアミノ−アルキルピペリジンなど]、紫外線吸収性基を有するアクリル系単量体[2−(2′−ヒドロキシ−5′−(メタ)アクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールなどのヒドロキシ−(メタ)アクリロキシアルキル−フェニルベンゾトリアゾールなど]との共重合体であってもよい。機能性基を有する単量体の割合は、全単量体に対して、例えば、0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜20重量%、さらに好ましくは1〜10重量%程度である。このように、ポリマーポリオール中に紫外線吸収性基を組み込むことにより、紫外線吸収剤を添加した場合に比べて、ブリードアウトを抑制できるとともに、耐光性の効果も長期間に亘り持続できる。
【0033】
ポリマーポリオールの水酸基価は、例えば、10〜400KOHmg/g、好ましくは20〜300KOHmg/g、さらに好ましくは30〜250KOHmg/g(特に50〜200KOHmg/g)程度であり、通常、20〜200KOHmg/g程度である。
【0034】
ポリオール成分は、さらに低分子量ポリオールを含んでいてもよい。低分子量ポリオールの数平均分子量は、例えば、50〜330、好ましくは62〜300、さらに好ましくは76〜200程度である。さらに、その粘度も、25℃において、500mPa・s以下、好ましくは3〜300mPa・s、さらに好ましくは5〜100mPa・s(特に10〜100mPa・s)程度である。従って、このような低分子量ポリオールは、通常、室温(15〜25℃)で液体であるため、希釈剤として、後述するエポキシ基を有する低分子量化合物(C)と併用してもよい。
【0035】
低分子量ポリオールとしては、例えば、前述の低分子量ジオールが使用でき、特に、脂肪族ジオール(例えば、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオールなどのC2−6アルキレングリコール)、脂肪族ポリオール(例えば、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなど)、(ポリ)C2−4アルキレングリコール(ジプロピレングリコールなどのジC2−3アルキレングリコールなど)などが好ましく使用できる。
【0036】
低分子量ポリオールとの割合は、ポリマーポリオール100重量部に対して、例えば、0〜500重量部程度の範囲から選択でき、例えば、10〜300重量部、好ましくは30〜250重量部、さらに好ましくは50〜200重量部程度である。
【0037】
[ポリイソシアネート成分(B)]
ポリイソシアネート成分(B)としては、例えば、脂肪族ポリイソシアネート[プロピレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、リジンジイソシアネート(LDI)などの脂肪族ジイソシアネートや、1,6,11−ウンデカントリイソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネートなどの脂肪族トリイソシアネート]、脂環族ポリイソシアネート[シクロヘキサン1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添キシリレンジイソシアネート、水添ビス(イソシアナトフェニル)メタンなどの脂環族ジイソシアネートや、ビシクロヘプタントリイソシアネートなどの脂環族トリイソシアネートなど]、芳香族ポリイソシアネート[フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、ビス(イソシアナトフェニル)メタン(MDI)、トルイジンジイソシアネート(TODI)、1,3−ビス(イソシアナトフェニル)プロパンなどの芳香族ジイソシアネートなど]などが挙げられる。
【0038】
これらのポリイソシアネート成分は、多量体(二量体や三量体、四量体など)、アダクト体、変性体(ビュレット変性体、アロハネート変性体、ウレア変性体など)などの誘導体や、複数のイソシアネート基を有するウレタンオリゴマーなどであってもよい。
【0039】
また、これらのポリイソシアネート成分は、通常、疎水性ポリイソシアネートであるが、親水性基[例えば、ノニオン性基(ヒドロキシル基、(ポリ)オキシエチレン基、アルキルフェニル(ポリ)オキシエチレン基など)、アニオン性基(カルボキシル基、スルホン酸基など)、カチオン性基(3級アミノ基など)など]が導入された親水性ポリイソシアネートであってもよい。親水性ポリイソシアネートは、例えば、日本ポリウレタン工業(株)から、商品名「アクアネート100(AQ−100)」、「AQ−110」、「AQ−120」、「AQ−200」、「AQ−210」として入手できる。このような親水性(又は水分散性)ポリイソシアネートを用いることにより、本発明の樹脂組成物は容易に水系化が可能である。
【0040】
これらのポリイソシアネート成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0041】
これらのポリイソシアネート成分のうち、ポリイソシアネートの変性体又は誘導体、複数のイソシアネート基を有するウレタンオリゴマーなどが好ましい。中でも、耐候性の点から、無黄変性ポリイソシアネート(例えば、脂肪族ポリイソシアネートや脂環族ポリイソシアネートなどのポリイソシアネートの変性体又は誘導体)、特に、脂肪族ポリイソシアネート又はその誘導体(例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート又はその三量体など)が好ましい。
【0042】
ポリイソシアネートの変性体又は誘導体としては、例えば、ポリイソシアネート(ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネートなど)と多価アルコール(トリメチロールプロパンやペンタエリスリトールなど)とのアダクト体、前記ポリイソシアネートのビュレット体、前記ポリイソシアネートの多量体などを好ましく使用できる。外観や強度などの塗膜特性の点から、ポリイソシアネート(例えば、脂肪族ポリイソシアネート)の多量体(例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体などのイソシアヌレート環を有するポリイソシアネートなど)が特に好ましい。このようなポリイソシアネートは、例えば、三井武田ケミカル(株)から、商品名「タケネートD−170N」、「タケネートD−170HN」、「タケネートD−177N」として入手できる。
【0043】
ポリイソシアネート成分の数平均分子量は150〜3000程度の範囲から選択でき、好ましくは250〜2000、さらに好ましくは300〜1500(特に、300〜1000)程度である。
【0044】
ポリイソシアネート成分の粘度(25℃における粘度)は、前記ポリオール成分や後述するエポキシ基含有化合物の粘度に応じて100〜5000mPa・s程度の範囲から選択でき、例えば、150〜3000mPa・s、好ましくは200〜3000mPa・s、さらに好ましくは250〜2500mPa・s(特に500〜2500mPa・s)程度である。
【0045】
[希釈剤(C)]
希釈剤(C)は、エポキシ基を有する低分子量化合物(エポキシ基含有化合物)で構成されており、通常、有機溶剤を実質的に含んでいない。本発明では、このような希釈剤を用いることにより、VOCの含有量が極めて少量であるにも拘わらず、エポキシ含有化合物が溶媒(反応性の希釈剤)として作用し、低粘度化できるとともに、ポットライフが長くなり、施工性や塗装性を向上できる。また、エポキシ基含有化合物の割合を増加させることによって、硬度や耐摩耗性が高い塗膜を形成できるとともに、厚塗りしても塗膜の発泡や乾燥による厚みの減少(肉やせ)を抑制できる。従って、塗膜におけるクラックなどの発生を抑制でき、平滑な表面を有する塗膜を形成できる。また、エポキシ基含有化合物を用いることにより、高湿度下で塗膜が白濁や発泡したり、透明性や平滑性が低下するのも抑制できる。さらに、塗膜表面の外観特性、耐汚染性(耐ダートコレクション性)、耐火性などを向上できる。
【0046】
エポキシ基含有化合物の数平均分子量は、組成物の粘度を低下させるため、1000以下程度であり、例えば、110〜1000、好ましくは120〜700、さらに好ましくは150〜500(特に150〜300)程度である。
【0047】
エポキシ基含有化合物には、グリシジル基を有する化合物や脂環式エポキシ化合物などが含まれるが、通常、グリシジル基を有する化合物が使用される。グリシジル基を有する化合物としては、例えば、グリシジルエーテル系化合物、グリシジルエステル系化合物、グリシジルアミン系化合物、グリシジル基を有するシランカップリング剤などが挙げられる。これらのエポキシ基含有化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0048】
グリシジルエーテル系化合物としては、例えば、脂肪族ジオールグリシジルエーテル(例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,5−ペンタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、1,7−ヘプタンジオールジグリシジルエーテル、2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオールジグリシジルエーテル、1,8−オクタンジオールジグリシジルエーテル、1,10−デカンジオールジグリシジルエーテルなどのC2−20アルカンジオールモノ又はジグリシジルエーテル)、ポリエーテルジオールグリシジルエーテル(ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテルなどのジ又はトリC2−4アルキレングリコールモノ又はジグリシジルエーテルなど)、脂肪族ポリオールグリシジルエーテル(例えば、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテルなどのC3−12脂肪族ポリオールモノ乃至テトラグリシジルエーテルなど)、脂環族ジオールグリシジルエーテル(例えば、シクロヘキサンジオールグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールグリシジルエーテルなど)、芳香族ジオールグリシジルエーテル(例えば、レゾルシングリシジルエーテルなど)、複素環式ポリオールグリシジルエーテル[例えば、(イソ)シアヌール酸グリシジルエーテルなど]などが挙げられる。これらのグリシジルエーテル系化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0049】
グリシジルエステル系化合物としては、例えば、脂肪族飽和カルボン酸グリシジルエステル(酢酸グリシジル、プロピオン酸グリシジル、酪酸グリシジル、カプリン酸グリシジル、ラウリン酸グリシジルなどのC4−20脂肪族カルボン酸グリシジル)、脂肪族不飽和カルボン酸グリシジルエステル[(メタ)アクリル酸グリシジルなど]、脂肪族ジカルボン酸グリシジルエステル(コハク酸グリシジル、グルタル酸グリシジル、アジピン酸グリシジル、セバシン酸グリシジルなどのC5−20脂肪族ジカルボン酸モノ又はジグリシジルエステルなど)などが挙げられる。これらのグリシジルエステル系化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0050】
グリシジルアミン系化合物としては、例えば、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルアミノフェノール、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルトルイジン、テトラグリシジルキシリレンジアミン、ジグリシジルトリブロモアニリン、テトラグリシジルビスアミノメチルシクロヘキサンなどが挙げられる。これらのグリシジルアミン系化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0051】
エポキシ基含有化合物は、シランカップリング剤であってもよい。エポキシ基含有化合物として、シランカップリング剤を用いることにより、塗膜の耐水性及び密着性を向上できる。エポキシ基を有するシランカップリング剤は、エポキシ基の他に、架橋または重合性基(加水分解縮合性基など)を有しており、加水分解縮合性基としては、例えば、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、t−ブトキシ基などのC1-4アルコキシ基)、塩素原子などが挙げられる。シランカップリング剤は、このような加水分解縮合性基を1分子中に1〜3個程度有していてもよい。
【0052】
エポキシ基を有するシランカップリング剤としては、例えば、2−グリシジルオキシエチルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシランなどのグリシジルオキシC2-4アルキルトリC1-4アルコキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどの脂環式エポキシ基を有するシランカップリング剤などが挙げられる。これらのシランカップリング剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0053】
これらのエポキシ基含有化合物は、低VOC特性及び塗膜特性などの点から、複数のエポキシ基を有する化合物及び/又はエポキシ基を有するシランカップリング剤、特に、複数のグリシジル基を有する化合物(特にポリグリシジルエーテル系化合物)及び/又はグリシジル基を有するシランカップリング剤で構成されているのが好ましい。さらに、塗膜の機械的物性及び耐水性の双方を向上できる点から、複数のグリシジル基を有する化合物(特にポリグリシジルエーテル系化合物)と、グリシジル基を有するシランカップリング剤(特にグリシジルオキシC2-4アルキルトリC1-4アルコキシシラン)とを組み合わせてもよい。
【0054】
ポリグリシジルエーテル系化合物としては、前述のグリシジルエーテル系化合物のうち、複数のグリシジル基を有するグリシジルエーテル系化合物などが挙げられるが、特に、複数のグリシジル基を有する脂肪族グリシジルエーテル系化合物、例えば、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルなどのC2−12アルカンジオールジグリシジルエーテル、C2−3アルキレングリコールジグリシジルエーテルが好ましい。さらに、エポキシ基含有化合物は、塗膜の外観や物性を向上させる点から、ヒドロキシル基を有していてもよい。ヒドロキシル基を有するエポキシ基含有化合物(又は複数のグリシジル基及びヒドロキシル基を有する化合物)としては、例えば、グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、トリメチロールエタンジグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールジ又はトリグリシジルエーテルなどの脂肪族ポリオールグリシジルエーテルなどが好ましい。さらに、ヒドロキシル基を有さないエポキシ基含有化合物とヒドロキシル基を有するエポキシ基含有化合物とを組み合わせて用いてもよい。
【0055】
エポキシ基含有化合物のエポキシ当量は、特に限定されないが、例えば、50〜1000g/eq、好ましくは70〜500g/eq、さらに好ましくは100〜300g/eq(特に、100〜250g/eq)程度である。
【0056】
エポキシ基含有化合物の粘度は、塗布作業性の点から、低粘度であるのが好ましく、例えば、25℃において200mPa・s以下(例えば、1〜200mPa・s)、好ましくは1〜100mPa・s(例えば、2〜100mPa・s)、さらに好ましくは3〜50mPa・s(特に5〜30mPa・s)程度である。
【0057】
エポキシ基含有化合物で構成された希釈剤(C)の割合は、ポリオール成分(A)100重量部に対して、10〜300重量部程度の範囲から選択でき、例えば、20〜200重量部、好ましくは30〜250重量部、さらに好ましくは40〜200重量部(特に50〜150重量部)程度である。
【0058】
特に、複数のエポキシ基を有する化合物(例えば、ポリグリシジルエーテル系化合物)の割合は、ポリオール成分(A)100重量部に対して、例えば、10〜100重量部、好ましくは15〜80重量部、さらに好ましくは17〜70重量部(特に20〜60重量部)程度であってもよい。エポキシ基を有するシランカップリング剤の割合も、ポリオール成分(A)100重量部に対して、例えば、10〜100重量部、好ましくは15〜80重量部、さらに好ましくは17〜70重量部(特に20〜60重量部)程度であってもよい。
【0059】
複数のエポキシ基を有する化合物とシランカップリング剤とを組み合わせる場合、シランカップリング剤の割合は、複数のエポキシ基を有する化合物100重量部に対して、例えば、5〜200重量部、好ましくは10〜150重量部、さらに好ましくは20〜100重量部(特に30〜70重量部)程度である。
【0060】
ポリオール成分(A)とポリイソシアネート成分(B)と希釈剤(C)との割合については、ポリイソシアネート成分(B)のイソシアネート基の割合が、ポリオール成分(A)のヒドロキシル基及び希釈剤(C)のエポキシ基の合計1モルに対して、例えば、0.5〜3モル、好ましくは0.7〜2.4モル、さらに好ましくは0.8〜2モル(特に1〜1.6モル)程度となる範囲であってもよい。
【0061】
本発明のウレタン系樹脂組成物は、接着性改良剤を含有してもよい。接着性改良剤としては、カップリング剤(他のシランカップリング剤や、チタン酸テトライソプロピル、チタン酸テトラブチルなどのチタンアルコキシド又はその重合物などのチタンカップリング剤など)、リンの酸素酸(オルトリン酸、メタリン酸、ポリリン酸等)又はその誘導体、エポキシ樹脂等が例示できる。これらのうち、接着性改良剤としては、他のシランカップリング剤、例えば、メルカプト基含有シランカップリング剤(2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプトC2-4アルキルトリC1-4アルコキシシランなど)、アミノ基含有シランカップリング剤(2−アミノエチルトリメトキシシラン、2−アミノエチルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノC2-4アルキルトリC1-4アルコキシシランなど)、カルボキシル基含有シランカップリング剤(2−カルボキシエチルトリメトキシシラン、3−カルボキシプロピルトリメトキシシラン、3−カルボキシプロピルトリエトキシシランなどのカルボキシC2-4アルキルトリC1-4アルコキシシランなど)などが汎用される。これらの接着性改良剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0062】
本発明のウレタン系樹脂組成物は、ウレタン化反応を促進するために、ウレタン化触媒を添加してもよい。ウレタン化触媒としては、慣用の有機金属触媒、例えば、ジブチルチンジラウレート(DBTDL)、ジブチルチンマーカプチド、ジオクチルチンマーカプチド、ジブチルチンジマレエート、ジブチルチンチオカルボキシレートなどのスズ系触媒などが使用できる。これらのウレタン化触媒は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。ウレタン化触媒の割合は、ポリオール成分(A)、ポリイソシアネート成分(B)及び希釈剤(C)の合計100重量部に対して5重量部以下(0〜5重量部)の範囲で使用でき、例えば、0.001〜1重量部、好ましくは0.005〜0.1重量部、さらに好ましくは0.005〜0.05重量部程度である。ウレタン化触媒の割合が多すぎると、泡が発生したり、可使時間が短くなる。
【0063】
本発明のウレタン系樹脂組成物には、さらに慣用の顔料成分、例えば、無機質顔料(酸化チタンなどの白色顔料、チタニウムイエローなどの黄色顔料、酸化鉄赤などの赤色顔料、クロムグリーンなどの緑色顔料、コバルトブルーなどの青色顔料、カーボンブラックなどの黒色顔料など)、有機質着色剤(アゾ染顔料、フタロシアニン染顔料、レーキ染顔料など)、体質顔料(炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、マイカ、タルク、アルミナ、ベントナイト、酸化マグネシウムなど)、光沢顔料(ステンレスフレークなどの金属箔、アルミニウム、亜鉛、銅などの金属粉末、ガラス粉末、ガラス球、ガラスフレーク、ガラス繊維、グラファイトなど)を添加してもよい。また、顔料成分は、防錆顔料(例えば、アルミニウム粉、亜鉛粉、縮合燐酸アルミニウムなどのアルミニウム含有化合物など)であってもよい。これらの顔料成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0064】
これらの顔料成分の割合は、用途に応じて割合を調整でき、例えば、ポリオール成分(A)、ポリイソシアネート成分(B)及び希釈剤(C)の合計100重量部に対して、1〜1000重量部程度の範囲から選択でき、例えば、3〜500重量部、好ましくは5〜300重量部、さらに好ましくは10〜100重量部程度である。
【0065】
本発明のウレタン系樹脂組成物には、さらに、慣用の添加剤、例えば、充填剤、チクソトロピー性賦与剤、粘度調整剤、分散剤、湿潤剤、可塑剤、脱泡剤、架橋剤、硬化促進剤、レベリング剤、滑剤、難燃剤、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤)、帯電防止剤などを添加してもよい。特に、充填剤として、木粉、コルク粉、プラスチック粉などの有機系粉粒状廃棄物を用いると、保温性やクッション性を向上できるとともに、資源の有効利用が可能となる。これらの添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0066】
特に、耐光性を必要とする用途に使用する場合であって、ポリオール成分(A)が紫外線吸収性基を有していない場合には、ベンゾトリゾール系紫外線吸収剤[2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールなどのヒドロキシル基及びアルキル基置換アリールベンゾトリアゾールなど]、シアノアクリレート系紫外線吸収剤[2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3′−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3′−ジフェニルアクリレートなどのシアノ基含有ジアリールアクリレートなど]、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤[2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなどのヒドロキシ及び/又はアルコキシ置換ベンゾフェノンなど]、サリチル酸系紫外線吸収剤[フェニルサリシレート、p−t−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレートなどのアリールサリシレートなど]などを添加してもよい。これらの紫外線吸収剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0067】
本発明のウレタン系樹脂組成物の調製方法は、特に制限されず、各成分を混合する慣用の方法で調製できる。組成物の調製において、各成分は一括して添加してもよいし、任意の順序で添加してもよい。例えば、各成分を一括して添加せずに、ポリオール成分(A)、ポリイソシアネート成分(B)及び希釈剤(C)のいずれかの成分を塗装前に添加してもよい。
【0068】
さらに、前述の用に、ポリオール成分(A)は、予め希釈剤(C)を溶媒として用いた重合したポリマーポリオール組成物を用いてもよい。なお、ポリオール成分(A)が、有機溶媒を含有する溶液として市販されている場合には、ポリオール成分の有機溶媒溶液に、この有機溶媒よりも沸点の高い希釈剤(C)や低分子量ポリオールなどを加えた後、有機溶媒の沸点以上であって希釈剤(C)や低分子量ポリオールの沸点以下の温度で加熱(好ましくは減圧下で加熱)して前記有機溶媒を除去させることにより、溶媒を希釈剤(C)又は低分子量ポリオールに置換(交換)し、両者の混合物を調製してもよい。
【0069】
本発明のウレタン系樹脂組成物は、接着剤やコーティング剤(塗料)などの種々の用途に使用できる。本発明のウレタン系樹脂組成物を、被塗装物や被接着物などの基材に適用する方法としては、慣用の方法、例えば、刷毛、ロールコーティング、スプレーコーティング、エアスプレー、エアレススプレー、ディッピングなどの方法を用いることができる。塗装厚み(乾燥後)は、特に限定されず、用途に応じて5μm〜50mm程度の範囲から選択でき、例えば、10〜5000μm、好ましくは30〜3000μm、さらに好ましくは50〜1000μm(特に100〜500μm)程度である。本発明では、厚塗りしても、泡の発生を抑制できるとともに、乾燥による塗膜厚みの減少(肉やせ)を抑制できる。そのため、膜厚が大きく、表面平滑性の高い塗膜を形成するのに有用である。
【0070】
本発明のウレタン系樹脂組成物は、基材に塗装した後、常温もしくは加温(例えば、50〜100℃程度で加温)することにより、硬化させ、塗膜を形成できる。なお、本発明では、常温(例えば、15〜25℃程度)でも迅速に硬化できる。本発明のウレタン系樹脂組成物は、充分なポットライフが確保できるとともに、乾燥又は硬化時間が早く、施工性が高い。
【0071】
本発明のウレタン系樹脂組成物は、基材に対する密着力や様々な塗膜特性に優れるため、各種基材のコーティングや接着に使用することができる。基材としては、例えば、金属、セラミックス、ガラス、モルタル、コンクリートなどの無機質材料や、合成樹脂や天然素材(木材など)などの有機質材料で構成された基材を挙げることができる。さらに、ポリオール成分が紫外線吸収性基を有する場合には、塗膜の耐光性に優れるため、屋外の用途などに適している。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明のウレタン系樹脂組成物は、種々の用途、例えば、建造物や構造物などの表面仕上げ用、機械及び機具などの表面仕上げ用、下水道やガスなどの各種配管の表面及び内面用、家電製品や家具、日用品などの表面仕上げ用、繊維製品などの表面仕上用、コンテナや容器などの表面及び内面用、各種車両外板塗装膜の保護仕上用、各種天然石の粗粒や人工着色粗粒を配合したコンクリート床の多彩仕上げ用、発泡ウレタンなどの細片を配合した保温及び断熱仕上げ用、又はこれらの製品同士又はこれらの製品と他の製品との接着用として使用することができる。
【0073】
さらに、本発明のウレタン系樹脂組成物は、屋外用塗料が排出するVOC量39万t(環境省資料2000年度による)の大幅削減に寄与できるため、橋梁、タンクなどの屋外構造物又は建造物にも好適である。
【実施例】
【0074】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0075】
実施例及び比較例で用いた成分の内容、及び組成物や塗膜の特性の評価方法を以下に示す。
【0076】
(1)各成分の内容
[ポリオール成分(A)]
低分子量ジオール:1,4−ブタンジオール、試薬特級和光純薬工業(株)製
ポリマーポリオールA−1〜A−3は以下のようにして調製した。
【0077】
(ポリマーポリオールA−1の調製例)
ヘキサメチレングリコールジグリシジルエーテル(商品名「デナコールEX212」、ナガセケムテックス(株)製)200重量部を2リットル4つ口フラスコに仕込み、窒素置換しながら、内温を150℃に昇温し、次いで、メタクリル酸メチル700重量部、アクリル酸ブチル120重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート180重量部に、ジ−t−ブチルパーオキサイド60重量部を混合した混合物を8時間かけて滴下し、滴下後4時間保温して重合を完結させた。得られた溶液(ポリマーポリオールA−1)の水酸基価は73KOHmg/gであり、粘度は100℃において740mPa・sであった。
【0078】
(ポリマーポリオールA−2の調製例)
ヘキサメチレングリコールジグリシジルエーテル(商品名「デナコールEX212」、ナガセケムテックス(株)製)200重量部を2リットル4つ口フラスコに仕込み、窒素置換しながら、内温を150℃に昇温し、次いで、メタクリル酸メチル440重量部、アクリル酸ブチル360重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート200重量部に、ジ−t−ブチルパーオキサイド60重量部を混合した混合物を8時間かけて滴下し、滴下後4時間保温して重合を完結させた。得られた溶液(ポリマーポリオールA−2)の水酸基価は72KOHmg/gであり、粘度は100℃において295mPa・sであった。
【0079】
(ポリマーポリオールA−3の調製例)
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名「KBM403」、信越化学工業(株)製)200重量部を2リットル4つ口フラスコに仕込み、窒素置換しながら、内温を150℃に昇温し、次いで、メタクリル酸メチル700重量部、アクリル酸ブチル110重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート180重量部、メタクリル酸10重量部に、ジ−t−ブチルパーオキサイド60重量部を混合した混合物を8時間かけて滴下し、滴下後4時間保温して重合を完結させた。得られた溶液(ポリマーポリオールA−3)の水酸基価は70KOHmg/g、酸価は5mgKOH/gであり、粘度は100℃において690mPa・sであった。
【0080】
[ポリイソシアネート成分(B)]
ポリイソシアネートB−1:商品名「タケネートD−170N」、三井武田ケミカル(株)製、ヘキサメチレンジイソシアネート三量体、イソシアネート基含量20.7重量%、固形分100%、比重(25℃)1.16、粘度(25℃)2000mPa・s
ポリイソシアネートB−2:商品名「タケネートD−170HN」、三井武田ケミカル(株)製、ヘキサメチレンジイソシアネート三量体、イソシアネート基含量22.7重量%、固形分100%、比重(25℃)1.14、粘度(25℃)600mPa・s
水性ポリイソシアネートB−3:商品名「アクアネートAQ−200」、日本ポリウレタン工業(株)製、水分散タイプ、イソシアネート基含量11〜13重量%、固形分100%、粘度(25℃)Y〜Z(ガードナー)。
【0081】
[希釈剤(C)]
ポリグリシジルエーテルC−1:ヘキサメチレングリコールジグリシジルエーテル、商品名「デナコールEX212」、ナガセケムテックス(株)製、エポキシ当量150g/eq、比重(25℃)1.06、粘度(25℃)20mPa・s
シランカップリング剤C−2:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、商品名「KBM403」、信越化学工業(株)製、比重(25℃)1.07、沸点290℃、引火点135℃
シランカップリング剤C−3:3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、商品名「KBM402」、信越化学工業(株)製、比重(25℃)0.98、沸点259℃、引火点128℃。
【0082】
[その他の添加剤]
DBTDL:ジブチルチンジラウレート(商品名「L101−V」、東京ファインケミカル(株)製)の2重量%キシレン溶液
水系増粘剤:商品名「シュベゴプア8050」、ベルントシュベックマン社製、トリエチレングリコールモノブチルエーテルと水との混合液(固形分40%)。
【0083】
(2)各特性の評価方法
実施例1〜5及び7〜8については、得られたウレタン系樹脂組成物を、サンドペーパー#240で軽く研磨し、トルエンで洗浄したブリキ板(JIS−K−5410 2−(3)、SPTE 1505003)の片面に刷毛で塗装し、室内で5日間養生後、それらの塗装物を以下の特性評価試験に供試した。実施例6及び9については、得られたウレタン系樹脂組成物を、トルエンで洗浄したガラス板(JIS−K−5410 4、5、GF15070−2)の片面に刷毛で塗装し、室内で5日間養生後、塗装物を以下の特性評価試験に供試した。なお、耐水性、耐酸性及び耐アルカリ性試験の場合、塗装しない面は、全て市販されている電気絶縁テープ(黒色)を貼着して、シールした後、各試験に供した。
【0084】
[混合液の状態]
ウレタン系樹脂組成物を調製後、混合液の状態を目視で観察した。
【0085】
[粘度]
B型粘度計を用いて温度25℃でウレタン系樹脂組成物の粘度を測定した。
【0086】
[可使時間]
ウレタン系樹脂組成物を調製後、25℃で塗装可能な時間を測定した。
【0087】
[乾燥時間]
JIS−K−5400 6.5に準じて、25℃での乾燥時間を測定した。
【0088】
[混合液の経日減量]
市販のアルミニウムカップ9号に試料を約300〜500mg採取し、キムワイプS200でカバーして室温に放置し、経日減量を測定した。
【0089】
[VOC]
配合成分の組成から計算により求めた。
【0090】
[刷毛塗り作業性]
得られたウレタン系樹脂組成物を、フレキシブル石綿板(縦70mm×横150mm×厚み3mm)の片面に、縦、横の各方向について、それぞれ5回交互に刷毛を返して塗装し、刷毛さばきの難易の程度を以下の基準で評価した。
【0091】
◎:良好
○:やや重い
△:かなり重い。
【0092】
[塗膜の状態]
乾燥塗膜の光沢、鮮映度、レベリングの程度を肉眼で観察し、以下の基準で評価した。
【0093】
◎:光沢、鮮映度、レベリングの程度が高い
○:光沢、鮮映度、レベリングの程度が通常である
×:光沢、鮮映度、レベリングの程度が低い。
【0094】
[膜厚]
マイクロメーターで5箇所の膜厚を計測し、その平均値を求めた。
【0095】
[光沢]
JIS−K−5400 7.1に準じて、光沢について以下の基準に従って評価した。
【0096】
◎:良好
○:半光沢
△:3分艶以下。
【0097】
[鉛筆硬度]
JIS−K−5400 8.4.2に準じて測定した。
【0098】
[付着性]
JIS−K−5400 8.5.2に準じてクロスカット試験を行い、10段階で評価した。数値が大きいほど付着性が強いことを示す。
【0099】
[耐屈曲性]
直径3mmの心棒を用い、JIS−K−5400 8.1に準じて、以下の基準に従って評価した。
【0100】
◎:異常なし
○:浅いひびが発生
×:剥離。
【0101】
[耐水性]
20℃の水中に塗膜を10日間浸漬した後、塗膜表面の状態を目視で観察し、以下の基準で評価した。
【0102】
◎:塗膜表面に変化なし
○:塗膜がやや失透し、若干膨れ発生
×:塗膜表面の大部分が溶出又は剥離。
【0103】
[耐アルカリ性]
飽和石灰水中に室温で10日間浸漬した後、塗膜表面の状態を目視で観察し、以下の基準で評価した。
【0104】
◎:塗膜表面に変化なし
○:塗膜表面に若干膨れ発生
×:塗膜表面の大部分に膨れ発生。
【0105】
[耐酸性]
10重量%硫酸中に室温で10日間浸漬した後、塗膜表面の状態を目視で観察し、以下の基準で評価した。
【0106】
◎:塗膜表面に変化なし
○:塗膜表面に若干膨れ発生
×:塗膜表面の大部分に膨れ発生。
【0107】
[耐アルコール性]
イソプロピルアルコール中に室温で7日間浸漬した後、塗膜表面の状態を目視で観察し、以下の基準で評価した。
【0108】
◎:塗膜表面に変化なし
○:塗膜表面に若干膨れ発生
×:塗膜表面の大部分に膨れ発生。
【0109】
[耐沸騰水性]
沸騰水中に塗膜を3時間浸漬した後、塗膜表面の状態を目視で観察し、以下の基準で評価した。
【0110】
◎:塗膜表面に変化なし
○:塗膜がやや失透し、若干膨れ発生
×:塗膜表面の大部分が溶出又は剥離。
【0111】
[クリーニング性]
塗膜の表面に市販の油性マジックペン(黒色)で○印のマークを入れ、24時間経過後にトルエンで濡らしたキムワイプS200((株)クレシア製)で拭き取り、クリーニングの程度を以下の基準で評価した。
【0112】
◎:○印マークが完全に消失
○:○印マークのほとんど消失
×:○印マークが消失せず。
【0113】
実施例1
プラスチック製ビーカーに、ポリマーポリオールA−1を1000重量部、DBTDL(2重量%溶液)を20重量部加えて、ステンレス製スパチュラ(長さ240mm)で予め混合した。次いで、この溶液に、ポリイソシアネートB−2を980重量部加えて、卓上攪拌機を使用して均一に攪拌して目的の組成物(混合溶液)を得た。この組成物について、その組成及び混合溶液の特性を表1に示すとともに、塗膜の各種特性を評価した結果を表2に示す。
【0114】
実施例2
プラスチック製ビーカーに、ポリマーポリオールA−1を1000重量部、ポリグリシジルエーテルC−1を320重量部、DBTDL(2重量%溶液)を30重量部加えて、ステンレス製スパチュラ(長さ240mm)で予め混合した。次いで、この溶液に、ポリイソシアネートB−1を1550重量部加えて、卓上攪拌機を使用して均一に攪拌して目的の組成物(混合溶液)を得た。この組成物について、その組成及び混合溶液の特性を表1に示すとともに、塗膜の各種特性を評価した結果を表2に示す。
【0115】
実施例3
プラスチック製ビーカーに、ポリマーポリオールA−1を1000重量部、ポリグリシジルエーテルC−1を320重量部、シランカップリング剤C−2を260重量部、DBTDL(2重量%溶液)を40重量部加えて、ステンレス製スパチュラ(長さ240mm)で予め混合した。次いで、この溶液に、ポリイソシアネートB−1を2640重量部加えて、卓上攪拌機を使用して均一に攪拌して目的の組成物(混合溶液)を得た。この組成物について、その組成及び混合溶液の特性を表1に示すとともに、塗膜の各種特性を評価した結果を表2に示す。
【0116】
実施例4
プラスチック製ビーカーに、ポリマーポリオールA−1を1000重量部、低分子量ジオールを320重量部、DBTDL(2重量%溶液)を30重量部加えて、ステンレス製スパチュラ(長さ240mm)で予め混合した。次いで、この溶液に、ポリイソシアネートB−1を1730重量部加えて、卓上攪拌機を使用して均一に攪拌して目的の組成物(混合溶液)を得た。この組成物について、その組成及び混合溶液の特性を表1に示すとともに、塗膜の各種特性を評価した結果を表2に示す。
【0117】
実施例5
プラスチック製ビーカーに、ポリマーポリオールA−1を1000重量部、ポリグリシジルエーテルC−1を320重量部、シランカップリング剤C−3を260重量部、DBTDL(2重量%溶液)を40重量部加えて、ステンレス製スパチュラ(長さ240mm)で予め混合した。次いで、この溶液に、ポリイソシアネートB−1を2340重量部加えて、卓上攪拌機を使用して均一に攪拌して目的の組成物(混合溶液)を得た。この組成物について、その組成及び混合溶液の特性を表1に示すとともに、塗膜の各種特性を評価した結果を表2に示す。
【0118】
実施例6
予め、清水2770重量部、水系増粘剤30重量部を加えて、卓上攪拌機を使用して均一に攪拌し、水系増粘液2800重量部を調製した。一方、プラスチック製ビーカーに、ポリマーポリオールA−1を1000重量部、ポリグリシジルエーテルC−1を160重量部、シランカップリング剤C−3を260重量部、DBTDL(2重量%溶液)を35重量部加え、卓上攪拌機を使用して均一に攪拌した後、この溶液に、水性ポリイソシアネートB−3を1640重量部加えて、さらに攪拌を続けて均一な溶液を得た。この溶液に、前記水系増粘液2800重量部を徐々に加えながら攪拌し、乳状組成物を調製した。この乳状組成物について、その組成及び特性を表1に示すとともに、塗膜の各種特性を評価した結果を表2に示す。
【0119】
実施例7
プラスチック製ビーカーに、ポリマーポリオールA−2を1000重量部、ポリグリシジルエーテルC−1を320重量部、DBTDL(2重量%溶液)を25重量部加えて、ステンレス製スパチュラ(長さ240mm)で予め混合した。次いで、この溶液に、ポリイソシアネートB−1を1100重量部加えて、卓上攪拌機を使用して均一に攪拌して目的の組成物(混合溶液)を得た。この組成物について、その組成及び混合溶液の特性を表1に示すとともに、塗膜の各種特性を評価した結果を表2に示す。
【0120】
実施例8
プラスチック製ビーカーに、ポリマーポリオールA−3を1000重量部、シランカップリング剤C−2を90重量部、DBTDL(2重量%溶液)を20重量部加えて、ステンレス製スパチュラ(長さ240mm)で予め混合した。次いで、この溶液に、水性ポリイソシアネートB−1を1100重量部加えて、卓上攪拌機を使用して均一に攪拌して目的の組成物(混合溶液)を得た。この組成物について、その組成及び混合溶液の特性を表1に示すとともに、塗膜の各種特性を評価した結果を表2に示す。
【0121】
実施例9
予め、清水4030重量部、水系増粘剤40重量部を加えて、卓上攪拌機を使用して均一に攪拌し、水系増粘液4070重量部を調製した。一方、プラスチック製ビーカーに、ポリマーポリオールA−3を1000重量部、シランカップリング剤C−2を160重量部、DBTDL(2重量%溶液)を35重量部加え、卓上攪拌機を使用して均一に攪拌した後、この溶液に、水性ポリイソシアネートB−3を2880重量部加えて、さらに攪拌を続けて均一な溶液を得た。この溶液に、前記水系増粘液4070重量部を徐々に加えながら攪拌し、乳状の組成物を調製した。この乳状組成物について、その組成及び特性を表1に示すとともに、塗膜の各種特性を評価した結果を表2に示す。
【0122】
【表1】

【0123】
【表2】

表1及び表2の結果から明らかなように、実施例のウレタン系樹脂組成物では、作業性や塗膜物性などが良好である。
【0124】
実施例10
サンドペーパー#240で表面を研磨した桧板(縦300mm×横150mm×厚み8mm、芯材使用)の片面に、実施例2で得られたウレタン系樹脂組成物を、1m当たり約130gの割合で、刷毛によって2回塗装し、室内で5日間養生後、7ヶ月間屋外に曝露した。曝露後においても、塗装物に殆ど異状はなかった。
【0125】
実施例11
実施例8で得られたウレタン系樹脂組成物を塗装する以外は、実施例10と同様にして、塗装物を曝露した。この塗装物にも殆ど異状はなかった。
【0126】
比較例1
サンドペーパー#240で表面を研磨した桧板(縦300mm×横150mm×厚み8mm、芯材使用)の片面に、市販のアクリルウレタンクリア塗料(商品名「ポリデュール9−1507」、ミクニペイント(株)製)を、1m当たり約120gの割合で、刷毛いよって3回塗装し、室内で5日間養生後、7ヶ月間屋外に曝露した。曝露後の塗装物の表面には、ひびや割れが発生するとともに、剥がれも発生していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール成分(A)、ポリイソシアネート成分(B)及び希釈剤(C)で構成され、かつVOCが低減された組成物であって、前記希釈剤(C)が、エポキシ基を有する低分子量化合物で構成されている低VOCウレタン系樹脂組成物。
【請求項2】
エポキシ基を有する低分子量化合物が、複数のエポキシ基を有する化合物及びエポキシ基を有するシランカップリング剤から選択された少なくとも一種で、かつ分子量が1000以下である請求項1記載のウレタン系樹脂組成物。
【請求項3】
エポキシ基を有する低分子量化合物が、ポリグリシジルエーテル系化合物とグリシジル基を有するシランカップリング剤とで構成されている請求項1記載のウレタン系樹脂組成物。
【請求項4】
ポリオール成分(A)が、少なくともポリマーポリオールで構成されている請求項1記載のウレタン系樹脂組成物。
【請求項5】
ポリマーポリオールが、ポリカーボネートポリオール及びアクリル系ポリマーポリオールから選択された少なくとも一種のポリマーポリオールである請求項4記載のウレタン系樹脂組成物。
【請求項6】
ポリマーポリオールが、有機溶剤を実質的に含まない希釈剤(C)の存在下、重合して得られたアクリル系ポリマーポリオールである請求項4記載のウレタン系樹脂組成物。
【請求項7】
希釈剤(C)の割合が、ポリマーポリオール100重量部に対して、5〜100重量部である請求項6記載のウレタン系樹脂組成物。
【請求項8】
ポリイソシアネート成分(B)が、ポリイソシアネートの誘導体又は変性体である請求項1記載のウレタン系樹脂組成物。
【請求項9】
ポリイソシアネート成分(B)のイソシアネート基の割合が、ポリオール成分(A)のヒドロキシル基及び希釈剤(C)のエポキシ基の合計1モルに対して、0.5〜3モルであり、希釈剤(C)の割合が、ポリオール成分(A)100重量部に対して、10〜300重量部である請求項1記載のウレタン系樹脂組成物。
【請求項10】
コーティング剤又は接着剤である請求項1記載のウレタン系樹脂組成物。

【公開番号】特開2007−291234(P2007−291234A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−120689(P2006−120689)
【出願日】平成18年4月25日(2006.4.25)
【出願人】(394017631)セラスター塗料株式会社 (3)
【Fターム(参考)】