説明

低VOC溶剤型印刷用インク

顔料分散液用スチレン−アクリル分散剤は、その他では等しい条件の下で調製された、ニトロセルロース、ダイマー酸ベースポリアミド、及び熱可塑性ポリウレタンなどの標準的な配合よりも低い粘度を有する。(a)低い溶媒濃度では、あるいは溶剤濃度が維持される場合は、(b)高い顔料及び固形分添加においては、粘度が低いことで、従来の分散剤と比較した場合にスチレン−アクリルを含む同様の粘度の分散液及びインクを調製できる。

【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0001】
溶媒型印刷用途で使用される典型的なインクは高濃度の溶剤を含む(すなわち、50〜70%以上)。しかし、溶媒の蒸発によりインクが乾燥すると、環境及び健康に好ましくない影響を及ぼすことは周知である。そのため、インクからの溶剤の削減または排除はインク業界の継続的目標である。
【課題を解決するための手段】
【0002】
本願明細書中で具現されるスチレン−アクリル分散液、その調製の方法、及びその使用は、低揮発性有機成分(VOC)溶剤型印刷用インクの調製に使用できる高固体色素分散液の調製を提供する。一般に、ニトロセルロースなどの標準的な分散剤に必要な溶剤の量と比較した場合、スチレン−アクリル分散液に使用される溶剤及びインクの量は大幅に削減される。前記のスチレン−アクリル分散剤による溶媒の削減によって、分散液やインクの性能を犠牲にすることなく、大幅な費用削減及び環境保護を行うことができる。
【0003】
一態様において、スチレン−アクリル共重合体、高分子バインダー、着色剤、及び溶剤を含む溶剤型印刷用インクの低VOC高固体組成物が提供される。
【0004】
別の態様において、15〜50重量%のスチレン系単量体、10〜35重量%の官能性単量体、10〜30重量%の炭素数1〜4のアルキル(メタ)アクリレート、20〜55重量%の炭素数5〜12のアルキル(メタ)アクリレート、及び0〜20重量%のエチレン系単量体を含む反応混合物から重合されるスチレン−アクリル共重合体を含む組成物が提供され、前記炭素数1〜4のアルキル(メタ)アクリレートと前記炭素数5〜12のアルキル(メタ)アクリレートの合計重量%は、前記スチレン系単量体、前記官能性単量体、前記炭素数1〜4のアルキル(メタ)アクリレート、前記炭素数5〜12のアルキル(メタ)アクリレート、及び前記エチレン系単量体、高分子バインダー、着色剤、溶剤の合計重量%の60%合計重量%よりも少ない。一部の実施形態では、前記組成物は低VOC高固体溶剤型印刷用インクである。
【0005】
一部の実施形態では、前記官能性単量体はカルボン酸またはヒドロキシル官能基を有する単量体である。一部の実施形態では、前記高分子バインダーがポリアミド、ポリウレタン、ニトロセルロース、アクリル樹脂、マレイン酸樹脂、ロジン、改質ロジン、またはそれらの2つ以上の混合物である。一部の実施形態では、前記着色剤は無機顔料、有機顔料、染料、またはそれらの2つ以上の混合物である。一部の実施形態では、前記スチレン−アクリル共重合体は高温連続重合プロセスで製造される。一部の実施形態では、前記溶剤はアルコール、酢酸塩、グリコールエーテル、またはそれらの2つ以上の混合物である。
【0006】
一部の実施形態では、少なくとも60重量%の固形物含有量において前記組成物は100cps未満の粘度を有する。他の実施形態では、前記組成物は、前記分散剤、着色剤、及び溶剤からなる第二組成物よりも約10〜30%多い固形物含有量を有し、かつ前記組成物及び前記第二組成物はおよそ同じ粘度を有する。しかし、他の実施形態では、前記組成物は、前記分散剤、着色剤、及び溶剤からなる第二組成物よりも約10〜30%少ない溶剤を有し、かつ前記組成物及び前記第二組成物はおよそ同じ粘度を有する。
【0007】
一部の実施形態では、前記印刷用インクは、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、配向ポリプロピレン、及びポリエチレンフィルムからなる群から選択される基板に少なくとも90%の接着評価(adhesion rating)を有する。
【0008】
一部の実施形態では、前記組成物は共分散剤を含む。一部の実施形態では、前記共分散剤は、第三アミン官能基を有するブロックAと、スチレン系単量体及びアクリル系単量体を含むブロックBとを含む高分子量A−Bブロック共重合体;19,000未満の分子量及び25未満の親水性−親油性バランスを有するTectronic(登録商標);8,000未満の分子量及び26未満の親水性−親油性バランスを有するPluronic(登録商標);エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから成り、約7,000未満の分子量を有するアルコキシル化アミン;または改質ポリウレタンである。本願明細書で使用される場合、Tetronic(登録商標)はエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドに基づく4官能性ブロック共重合体である。本願明細書で使用される場合、Pluronic(登録商標)はエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドに基づくブロック共重合体である。
【0009】
別の態様において、プリント基板が提供され、前記プリント基板は15〜50重量%のスチレン系単量体、10〜35重量%の官能性単量体、10〜30重量%の炭素数1〜4のアルキル(メタ)アクリレート、20〜55重量%の炭素数5〜12アルキル(メタ)アクリレート、及び0〜20重量%のエチレン系単量体を含む反応混合物から重合されるスチレン−アクリル共重合体を含むインクを含み、前記炭素数1〜4のアルキル(メタ)アクリレートと前記炭素数5〜12のアルキル(メタ)アクリレートの合計重量%は、前記スチレン系単量体、前記官能性単量体、前記炭素数1〜4のアルキル(メタ)アクリレート、前記炭素数5〜12のアルキル(メタ)アクリレート、及び前記エチレン系単量体、高分子バインダー、着色剤の合計重量%の60%合計重量%よりも少なく、また、前記インクは、前記高分子バインダー及び前記着色剤を含むインクよりも約5%〜20%高い光沢を有する。一部の実施形態では、前記インクは、前記高分子バインダー及び前記着色剤を含む第2インクよりも約10%高い光沢を有する。一部の実施形態では、前記インクのコントラスト比は、前記高分子バインダー及び前記着色剤を含むインクの比よりも5%〜20%高い。他の実施形態では、印刷画像は20°の光沢度(gloss reading)が少なくとも70で、コントラスト比が少なくとも65である。
【0010】
別の態様において、組成物は、15〜50重量%のスチレン系単量体、10〜35重量%の官能性単量体、10〜30重量%の炭素数1〜4のアルキル(メタ)アクリレート、20〜55重量%の炭素数5〜12アルキル(メタ)アクリレート、及び0〜20重量%のエチレン系単量体を含む反応混合物から重合されるスチレン−アクリル共重合体を含み、前記炭素数1〜4のアルキル(メタ)アクリレートと前記炭素数5〜12のアルキル(メタ)アクリレートの合計重量%は、前記スチレン系単量体、前記官能性単量体、前記炭素数1〜4のアルキル(メタ)アクリレート、前記炭素数5〜12のアルキル(メタ)アクリレート、及び前記エチレン系単量体;高分子バインダー;着色剤;高分子量A−Bブロック共重合体である共分散剤、19,000未満の分子量及び25未満の親水性−親油性バランスを有するTectronic(登録商標)、8,000未満の分子量及び26未満の親水性−親油性バランスを有するPluronic(登録商標)、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドを含み、約7,000未満の分子量を有するアルコキシル化アミン、または改質ポリウレタンである共分散剤;及び溶剤の合計重量%の60%合計重量%よりも少ない。一部の実施形態では、前記組成物は低VOC高固体溶剤型印刷用インクである。他の実施形態では、前記組成物は、少なくとも60重量%の固形物含有量において100cps未満の粘度を有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、一実施例に従って、ニトロセルロース(NC)またはスチレン−アクリル分散剤(Acrylic #1)を含むニトロセルロースのいずれかでの二酸化チタン分散液に関する顔料対バインダーの比(P/B)に対する分散液粘度のグラフである。P/Bを4:1〜12:1の間で変えた。
【0012】
【図2】図2は、一実施例に従って、ニトロセルロース(NC)またはスチレン−アクリル分散剤(Acrylic #1)を含むニトロセルロースのいずれかでの二酸化チタン分散液の顔料固形物含有量に対する分散液粘度のグラフである。分散液の顔料固形物含有量は60〜75%の間で変えた。
【0013】
【図3】図3は、一実施例に従って、二酸化チタン分散液にニトロセルロース(NC)及びスチレン−アクリル分散剤(Acrylic #1)を用いて調製したポリアミドインクの固形物含有量に対するインクの粘度のグラフである。
【0014】
【図4】図4は、一部の実施形態に従って、組成図として溶剤中のスチレン−アクリルのグラフ表示である。溶剤は、非極性、極性非プロトン性、及び極性プロトン性で特徴付けられる。領域Aは、エタノールに不溶である組成物(黒色星形)を示す。領域B及びCは、不安定(黒色プラス形)、ある程度安定(黒色四角形)、またはニトロセルロースまたはポリウレタンに不親和性(黒色Y字形)である組成物を示す。領域Dは、ダイマー酸ポリアミドに混ぜると相が分離し(黒色z)、インク処理を通じて安定性を維持する(黒色丸形)安定した分散液を示す。
【0015】
【図5】図5は、一部の実施形態に従って、溶剤−ポリアミド(PA)相溶性に対する分散剤親水性−親油性バランス(HLB)のグラフ表示である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
一態様に従って、スチレン−アクリル分散剤を含む組成物は、その他の点では同一の条件で使用される場合に、ニトリルセルロース、ダイマー酸ベース重合体、及び熱可塑性ポリウレタンなどの工業用の標準的な分散剤と比較して、顔料分散液として多数の利点をもたらす。例えば、顔料分散液を調製する際、スチレン−アクリル分散剤は、その他の点では同一の条件で調製される標準的な配合よりも低い粘度を示す。スチレン−アクリル分散剤を使用して、低粘度で等しい顔料添加量または等粘度で高い顔料添加量のいずれかの組成物を調製できる。
【0017】
本願明細書で使用される場合、用語「分散剤」は、懸濁粒子の凝集を防止または削減し、かつ沈殿を防止または削減するために懸濁液に添加される、非界面活性重合体または界面活性重合体を意味する。インクに関して、分散剤はインクの着色に使用される顔料の懸濁を促す。
【0018】
本願明細書で使用される場合、一般に「置換基」は、それに含まれる水素原子との1個以上の結合が水素以外または炭素以外の原子で置き換えられる下記で定義されるような有機基(例えば、アルキル基)のことをいう。置換基には、炭素または水素原子との1個以上の結合が、二重または三重結合を含むヘテロ原子との1個以上の結合によって置き換えられる基も含む。従って、特に定めのない限り、置換基は1個以上の置換成分によって置換されることになる。一部の実施形態では、置換基は1、2、3、4、5、または6個の置換成分によって置換される。置換基の例としては以下のものが含まれる:ハロゲン(すなわち、F、Cl、Br、またはI);水酸基;アルコキシ、アルケノキシ、アルキノキシ、アリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロシクリルオキシ、及びヘテロシクリルアルコキシ基;カルボニル(oxo);カルボキシル;エステル;エーテル;ウレタン;ヒドロキシルアミン;アルコキシアミン;アラルコキシアミン;チオール;硫化物;スルホキシド;スルホン;スルホニル;スルホンアミド;アミン;N−オキサイド;ヒドラジン;ヒドラジド;ヒドラゾン;アジド;アミド;尿素;エナミン;イミド;イソシアネート;イソチオシアネート;シアネート;チオシアネート;イミン;ニトロ基;ニトリル(すなわち、CN);及び同類のもの。
【0019】
本願明細書で使用される場合、アルキル基には、1〜20個の炭素原子、典型的には1〜12個の炭素、あるいは一部の実施形態では1〜8個、1〜6個、または1〜4個の炭素原子を有する直鎖及び分岐アルキル基を含む。アルキル基にはさらに、3〜8個の環員を有するシクロアルキル基を含む。直鎖アルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、及びn−オクチル基などの1〜8個の炭素原子を有するものを含む。分岐アルキル基の例としては、イソプロピル、iso−ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ネオペンチル、イソペンチル、及び2,2−ジメチルプロピル基を含むが、これらに限定されるものではない。本願明細書で使用される場合、シクロアルキル基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチル基などの環状アルキル基であるが、これらに限定されるものではなく、架橋シクロアルキル基も含む。典型的な置換アルキル基を置換しないこと、または置換することができる。
【0020】
一部の実施形態では、シクロアルキル基は3〜8個の環員を有し、一方で他の実施形態では、環員炭素原子の数が3〜5個、3〜6個、または3〜7個の範囲に及ぶ。シクロアルキル基にはさらに、例えば後述のような架橋シクロアルキル基、及びデカリニル及び同類のものなどであるが、縮合環などの単環系、二環系、及び多環系を含むが、これらに限定されるものではない。一部の実施形態では、多環シクロアルキル基は3個の環を有する。置換シクロアルキル基は、上記で定義されるように水素以外及び炭素以外の基で1回以上置換することができる。しかし、置換シクロアルキル基は、上記で定義されるように直鎖または分岐アルキル基で置換される環も有する。典型的な置換シクロアルキル基は、単置換になる、または2,2−、2,3−、2,4−、2,5−、または2,6−二置換シクロヘキシル基などであるが、これらに限定されるものではない二置換以上になることがあり、これは上記のものなどの置換成分で置換できる。シクロアルキル基は、2個以上の水素原子がアルキレン架橋に置き換えられる架橋シクロアルキル基になることもあり、2個の水素原子が同じ炭素原子に位置する場合は、前記架橋が2〜6個の炭素原子を、2個の水素原子が隣の炭素原子に位置する場合は1〜5個の炭素原子を、2個の水素原子が1または2個の炭素原子を隔てた炭素原子に位置する場合は2〜4個の炭素原子を含むことができる。架橋シクロアルキル基は、例えばビシクロ[2.1.1]ヘキサンなどの二環、または例えばアダマンチルなどの三環になることがある。典型的な架橋シクロアルキル基には、ビシクロ[2.1.1]ヘキシル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[3.2.1]オクチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[3.2.2]ノニル、ビシクロ[3.3.1]ノニル、ビシクロ[3.3.2]デカニル、アダマンチル、ノルアダマンチル、ボルニル、またはノルボルニル基を含む。置換架橋シクロアルキル基は、置換しないこと、または上記で定義されるように水素以外または炭素以外の基で1回以上置換することができる。典型的な置換架橋シクロアルキル基は、単置換になる、または単置換、二置換または三置換アダマンチル基などであるが、これらに限定されるものでない二置換以上になることがあり、これは上記のものなどの置換成分で置換できる。
【0021】
本願明細書で使用される場合、アルケニル基には、少なくとも1個の二重結合が2個の炭素原子間にあることを除いて、上記で定義されるような直鎖及び分岐シクロアルキル基を含む。従って、アルケニル基は、2〜約20個の炭素原子、典型的には2〜12個の炭素、あるいは一部の実施形態では2〜8個、2〜6個、または2〜4個の炭素原子を有する。一部の実施形態では、アルケニル基は、4〜20個の炭素原子、5〜20個の炭素原子、5〜10個の炭素原子、または5、6、7、8個の炭素原子を含む。例としては、数ある中でもビニル、アリル、−CH=CH(CH)、CH=C(CH、−C(CH)=CH、−C(CH)=CH(CH)、CH=CHCH=CH、C(CHCH)=CH、シクロヘキセニル、シクロペンテニル、シクロヘキサジエニル、ブタジエニル、ペンタジエニル、及びヘキサジジエニルを含むが、これらに限定されるものではない。アルケニル基は置換される、または置換されない場合がある。典型的な置換アルケニル基は、単置換になる、または上記のものなどの置換成分で単置換、二置換または三置換などであるが、これらに限定されるものでは二置換以上になることがある。
【0022】
本願明細書で使用される場合、アリール基はヘテロ原子を含まない環状芳香族炭化水素である。アリール基は単環系、二環系、及び多環系を含む。従って、アリール基は、シクロペンタジエニル、フェニル、アズレニル、ヘプタレニル、ビフェニレニル、インダセニル、フルオレニル、フェナントレニル、トリフェニレニル、ピレニル、ナフタセニル、クリセニル、ビフェニル、アントラセニル、インデニル、インダニル、ペンタレニル、及びナフチル基を含むが、これらに限定されるものではない。一部の実施形態では、アリール基は基の環部に5〜14個の炭素、他の実施形態では5〜12の炭素原子、または6〜10個の炭素原子を含む。語句「アリール基」は、縮合芳香族−脂肪族環系(例えば、インダニル、テトラヒドロナフチル及び同類のもの)などの縮合環を含むが、環員の1個に結合されたアルキルまたはハロ基などの他の基を有するアリール基は含まない。正しくは、トリルなどの基は置換アリール基と呼ばれる。アリール基は置換されることも、置換されないこともある。典型的な置換アリール基は単置換になる、または二置換以上になることがある。例えば、単置換アリール基は、2−、3−、4−、5−、または6−置換フェニルまたはナフチル基を含むが、これらに限定されるものではなく、上記のものなどの置換成分で置換できる。
【0023】
本願明細書で使用される場合、アルコキシ基は、水素原子との結合が上記で定義されるような置換または非置換アルキル基の炭素原子との結合に置き換えられた水酸基(−OH)である。直鎖アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ、及び同類のものを含むが、これらに限定されるものではない。分岐アルコキシ基の例としては、イソプロポキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、イソペントキシ、イソヘキソキシ、及び同類のものを含むが、これらに限定されるものではない。シクロアルコキシ基の例としては、シクロプロピロキシ、シクロブチロキシ、シクロペンチロキシ、シクロヘキシロキシ、及び同類のものを含むが、これらに限定されるものではない。本願明細書で使用される場合、アルコキシ基の一部として「アリールオキシ」と「アリールアルコキシ」の2つがあり、それぞれ、酸素原子に結合される置換または非置換アリール基と、アルキルの酸素原子に結合された置換または非置換アラルキルのことを言う。アルコキシ基は置換されることも、置換されないこともある。典型的な置換アルコキシ基は、上記のものなどの置換成分で1回以上置換できる。
【0024】
一態様に従って、前記組成物は前記スチレン−アクリル共重合体、高分子バインダー、着色剤、及び溶剤を含む。前記スチレン−アクリル共重合体は、少なくともスチレン系単量体、官能性単量体、炭素数1〜4のアルキル(メタ)アクリレート、炭素数5〜12のアルキル(メタ)アクリレート、及び任意に、エチレン系単量体の単量体混合物から調製される。当該組成物は、低いVOCを有し、かつ高い固形物含有量を有する分散液またはインクになることがある。
【0025】
本願明細書で使用される場合、低VOCは、従来法で調製された組成物と比較して、少量の揮発性有機化合物を有する組成物のことを言う相対的な用語である。一部の実施形態では、低VOC組成物は、分散液中の揮発性有機物含有量が35%以下であり、及び調製したインク中の揮発性有機物含有量が50%以下である。
【0026】
スチレン−アクリル共単量体用の適切なスチレン系単量体には、エチレン部分に結合された置換または非置換フェニル基を有するものを含む。スチレン系単量体には、スチレン、α−メチルスチレン、及びその組み合わせを含むが、これらに限定されるものではない。適切なスチレン系単量体には、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、o−クロロスチレン、ビニルピリジン、及びこれらの種の混合物を含むが、これらに限定されるものではない。一部の実施形態では、スチレン系単量体はスチレン及びα−メチルスチレンを含む。スチレン−アクリル共重合体の単量体総含有量に基づき約15〜50重量%、スチレン系単量体がスチレン−アクリル共重合体に含まれることがある。
【0027】
一部の実施形態に従って、スチレン−アクリル共重合体は官能性単量体を含む。本願明細書で使用される場合、「官能性単量体」は、重合プロセスに耐え抜き、共重合体に当該官能性を保持させる、または当該官能基の反応生成物を保持させることになる官能性を有する単量体である。例えば、官能性は、極性−プロトン性、極性−非プロトン性、または非極性によって単量体に付与することができる。極性−プロトン性基には、アルコール、第一級アミン、第二級アミン、酸、チオール、硫酸塩、及びリン酸塩を含むが、これらに限定されるものではない。極性−非プロトン性基には、エステル、酸化物、エーテル、第三級アミン、ケトン、アルデヒド、カーボネート、ニトリル、ニトロ、スルホキシド、及びホスフィンを含むが、これらに限定されるものではない。極性−非プロトン性基は、(メタ)アクリレートによってスチレン−アクリル分散剤に付与されるものを含む。非極性基には、スチレンの単量体、メチルスチレン、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ステアリル、及びアクリル酸ビフェニルにより、スチレン−アクリル分散剤に付与されるものを含むアルキル及びアリール基を含むが、これらに限定されるものではない。スチレン−アクリル分散剤を溶解した状態に保つためには、極性−プロトン性基に対する非極性基の適切な比を維持する必要がある。極性−プロトン性基が高濃度であれば、溶解度は向上する。非極性基の量が増えれば、極性−プロトン性基を増やす必要がある。一部の実施形態では、官能性単量体はカルボン酸基または水酸基を有する単量体である。スチレン−アクリル共重合体の単量体総含有量に基づき、約10〜35重量%、官能性単量体がスチレン−アクリル共重合体に含まれることがある。
【0028】
一部の実施形態に従って、スチレン−アクリル共重合体は高温連続重合プロセスで製造される。スチレン−アクリル共重合体は、バッチ、連続、または半自動エマルジョン重合を用いて製造できる。重合は一段階または多段階の重合になることがある。例えば、連続重合プロセスは米国特許第4,546,160号、4,414,370号及び4,529,787号で説明され、その全体の開示を参照することにより本書に組み込まれる。
【0029】
ペンダント、末端、または主鎖の極性−プロトン性または極性−非プロトン性官能性を含む非極性または極性−非プロトン性可溶化剤も、溶解度に影響を与えるために使用できる。例えば、エトキシレート、プロポキシレート、アルキル、またはアルキルフェノール基を含む第二級及び第三級アミン;アルキルフェノール;脂肪アルコール;ポリプロピレン、ポリエチレンオキサイド、及びこれらの共重合体;アルキルアミド及びエステルを溶媒系で使用できる。 しかし、溶液が不安定になることを防ぐためには、分散剤に含まれる極性−プロトン性官能基と、可溶化剤との間の相互作用を最低限に抑える必要がある。そのような不安定性は、例えばカルボン酸官能基とアミン可溶化剤とによる塩形成から生じる可能性がある。
【0030】
アルキル(メタ)アクリレート単量体もスチレン−アクリル共重合体で使用される。炭素数1〜4のアルキル(メタ)アクリレートと炭素数5〜12のアルキル(メタ)アクリレートとの混合物が使用される場合がある。炭素数1〜4のアルキル(メタ)アクリレートは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソ−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、及びこれら2個以上の混合物などの化合物を含む。炭素数5〜12のアルキル(メタ)アクリレートは、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデカ(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、前記化合物など2個以上の混合物、及びそれらのさまざまなアルキル異性体のいずれかなどの化合物を含む。例えば、「ペンチル」(メタ)アクリル酸のアルキル異性体には、n−ペンチル、iso−ペンチル、neo−ペンチル、sec−ペンチルなどを含む。
【0031】
前記炭素数1〜4のアルキル(メタ)アクリレート単量体が、スチレン−アクリル共重合体の単量体総含有量に基づき、約10〜30重量%、スチレン−アクリル共重合体に含まれることがある。前記炭素数5〜12のアルキル(メタ)アクリレート単量体が、スチレン−アクリル共重合体の単量体総含有量に基づき、約20〜55重量%、スチレン−アクリル共重合体に含まれることがある。しかし、前記炭素数1〜4のアルキル(メタ)アクリレート単量体及び前記炭素数5〜12のアルキル(メタ)アクリレート単量体の総含有量は、前記スチレン−アクリル共重合体の単量体総含有量の約60重量%未満である。
【0032】
一部の実施形態に従って、スチレン−アクリル共重合体は任意にエチレン系単量体を含む。本願明細書で使用される場合、用語「エチレン系」には、炭素−炭素二重結合を含む単量体を含む。エチレン系の例としては、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニル、無水マレイン酸、フマル酸、アクリルニトリル、メタクリロニトリル、αオレフィン、または前記化合物2個以上の混合物を含むが、これらに限定されるものではない。前記エチレン系単量体は、前記スチレン−アクリル共重合体の単量体総含有量に基づき、0〜20重量%、スチレン−アクリル共重合体に含まれることがある。
【0033】
組成物用に適した高分子バインダーには、インクや塗料の技術分野で周知の高分子バインダーを含む。例えば、一部の高分子バインダーには、アクリル樹脂、ビニル(スチレン系、ポリビニルアルコール、及び酢酸ポリビニルを含むが、これらに限定されるものではない)、アクリル/ビニル、ダイマー酸ベース重合体、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレングリコール、スチレン−ブタジエン−ゴム(SBR)重合体、ニトロセルロース、ロジン、ロジンエステル、マレイン酸ロジンエステル、フマル酸ロジンエステル、前記物質のハイブリッド、または前記物質の混合物を含むが、これらに限定されるものではない。一部の実施形態では、前記高分子バインダーはポリアミド、ダイマー酸ベースポリアミド、ポリウレタン、ニトロセルロース、アクリル樹脂、マレイン酸樹脂、ロジン、改質ロジン、または前記化合物2個以上の混合物である。ハイブリッド重合体は1種以上の重合体を含む組成物であり、別の重合体の存在での1つの重合体の逐次重合によって作られる。ハイブリッド重合体は、第1重合体の存在で第2重合体を調製すると共重合体を形成することになる共重合体を含むことがある。他の適切な高分子バインダーには、タンパク質、(ヒドロキシエチル)セルロース、綿、澱粉、及び同類のものを含む天然高分子を含むが、これらに限定されない。
【0034】
さまざまな実施形態に従って、着色剤または顔料が組成物に添加される。一部の実施形態では、前記着色剤は無機顔料、有機顔料、染料、または前記化合物2個以上の混合物である。他の適切な着色剤または顔料は、アルミニウム粉末、銅粉末、ニッケル粉末、ステンレス鋼粉末、クロム粉末、雲母状酸化鉄、二酸化チタン塗装雲母粉末、酸化鉄塗装雲母粉末、及び光沢のある黒鉛などの光沢のある顔料;ピンクEB、アゾ−、及びキナクドリン−誘導体顔料などの有機赤色顔料;シアニンブルー及びシアニングリーンなどの有機青色顔料;ベンゾイミダゾロン−、イソインドリン−、及びキノフタロン−誘導体顔料などの有機黄色顔料;二酸化チタン(白色)、チタニウムイエロー、アイアンレッド、カーボンブラック、クロムイエロー、酸化鉄、及びさまざまな焼成顔料などの無機着色顔料を含むが、これらに限定されるものではない。さらに、体質顔料も含まれる場合がある。他の適切な顔料の例として、Raven 7000、Raven 5750、Raven 5250、Raven 5000 ULTRAII、Raven 3500、Raven 2000、Raven 1500、Raven 1250、Raven 1200、Raven 1190 ULTRAII、Raven 1170、Raven 1255、Raven 1080、及びRaven 1060(Columbian Carbon Co.から市販);Regal400R、Regal330R、Regal660R、Mogul L、Black Pearls L、Monarch 700、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1100、Monarch 1300、及びMonarch 1400(Cabot Co.から市販);Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black 18、Color Black FW200、Color Black S150、Color Black S160、Color Black S170、Printex35、PrintexU、PrintexV、Printex140U、Printexl40V、Special Black 6、Special Black 5、Special Black 4A、及びSpecial Black 4(Degussa Co.から市販);No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、No.2300、MCF−88、MA600、MA7、MA8、及びMA100(三菱化学株式会社から市販);C.I. Pigment Blue−1、C.I. Pigment Blue−2、C.I. Pigment Blue−3、C.I. Pigment Blue−15、C.I. Pigment Blue−15:l、C.I. Pigment Blue−15:3、C.I. Pigment Blue−15:34、Pigment Blue 15:4、C.I. Pigment Blue−16、C.I. Pigment Blue−22、及びC.I. Pigment Blue−60のような青色着色顔料;C.I. Pigment Red−5、C.I. Pigment Red−7、C.I. Pigment Red−12、C.I. Pigment Red−48、C.I. Pigment Red−48:1、C.I. Pigment Red−57、Pigment Red−57:1、C.I. Pigment Red−112、C.I. Pigment Red−122、C.I. Pigment Red−123、C.I. Pigment Red−146、C.I. Pigment Red−168、C.I. Pigment Red−184、及びC.I. Pigment Red−202のようなマゼンタ着色顔料;及びC.I. Pigment Yellow−1、C.I. Pigment Yellow−2、C.I. Pigment Yellow−3、C.I. Pigment Yellow−12、C.I. Pigment Yellow−13、C.I. Pigment Yellow−14、C.I. Pigment Yellow−16、C.I. Pigment Yellow−17、C.I. Pigment Yellow−73、C.I. Pigment Yellow−74、C.I. Pigment Yellow−75、C.I. Pigment Yellow−83、C.I. Pigment Yellow−93、C.I. Pigment Yellow−95、C.I. Pigment Yellow−97、C.I. Pigment Yellow−98、C.I. Pigment Yellow−114、C.I. Pigment Yellow−128、C.I. Pigment Yellow−129、C.I. Pigment Yellow−151、及びC.I. Pigment Yellow−154のような黄色着色顔料を含むが、これらに限定されるものではない。 適切な顔料には、多種多様のカーボンブラック、青色、赤色、黄色、緑色、紫色、及びオレンジ色顔料を含む。
【0035】
分散剤及びインク組成物は、溶剤を含むことがある。多くの適切な溶剤がさまざまなインクに使用でき、インクを使用する予定の印刷方法のみによって制限される。一般的に、適切な溶剤はアルコール、酢酸塩、グリコールエーテル、またはその2個以上の混合物を含む。例えば、フレキソ印刷用インクは、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、またはiso−プロピルアルコールなどのアルコール;酢酸エチル、酢酸プロピル、または酢酸ブチルなどの酢酸塩;エチレングリコール、またはプロピレングリコールなどのグリコールエーテル;またはその2個以上の混合物を一般的に利用する。しかし、さまざまな印刷方法用のさまざまなインクで用いる分散剤を調製する場合、極性−プロトン性及び極性−非プロトン性溶剤を使用できる。
【0036】
一部の実施形態では、分散剤−溶媒;分散剤−顔料表面;及び分散剤−インクバインダーの相互作用を最適化できる。該当する最適化パラメータに関する情報を評価及び提供するために、次の3つの主な方法を使用できる。1)Dragoのアクセプタ−ドナー相互作用;2)Hansenの三次元溶解度パラメータ;及び3)親水性−親油性バランス。
【0037】
Hansen溶解度パラメータは、溶剤と溶質の凝縮エネルギー密度(E/V)に対する溶解度に関連する、Hildebrandの早期の溶液理論に基づく(方程式1)。強い分子間相互作用を有する化合物は高い凝縮エネルギーを示し、これらの相互作用を克服できる溶剤のみに溶解するため、溶媒と溶質が同様のE/Vを有することが必要になる。分かりやすく表現すると、「似た物同士は溶けやすい」ということがHildbrandの研究の要点を明確に示している。例えば、ペンタンと水は凝縮エネルギー密度と溶解度パラメータが非常に異なり、そのため、お互いに溶けない。



Ev/Vの平方根はHildebrand溶解度パラメータ(δ)と名付けられた。この公式は、溶解度を支配する重要な相互作用のすべてを説明しているわけではなかった。そのため、分散(D)、極性(P)、溶剤と溶質の間の水素結合(HB)力からの寄与を含めることで、大幅な手直しを実現した(方程式2)。分散力はすべての分子接触に存在し、隣接した分子の電子領域の相互作用によるものである。極性及び水素結合の相互作用は、分子の質量中心についての電子密度の不均質な分布の結果である。電子分布が不均等だと化学結合を分極させ、高い電子密度が生じる場所に部分的に負の電荷を帯びさせ、電子密度の低い場所に部分的に正の電荷を帯びさせることになる。高い電子密度の例としては水分子中の酸素原子になり、低い電子密度は2つの水素原子になるだろう。水素結合(HB)及び極性(P)の力は、部分的に正の電荷の中心と負の電荷の中心の間で発生する相互作用の結果である。これら2種類の相互作用の例は、2個の水分子と双極子の間の水素結合、極性カルボニル基の間の双極子相互作用である。



方程式3は、溶解度、親和性、及び重合体−顔料表面相互作用を予測及び理解するためによく使用される。一般的に、計算による差が小さいほど、溶解度、親和性、及び表面における相互作用は大きくなる。


【0038】
Dragoのモデルはルイス酸と塩基との間の相互作用を説明している。ルイス酸は電子を受け入れる化合物であり、塩基は電子を供与する。ルイス酸及び塩基が相互に作用すると、付加物を形成する。Dragoのモデルは、酸、塩基付加物生成熱(ΔHab、方程式4)を計算するために4個のパラメータを使用し、生成熱が高くなるほど酸、塩基の相互作用にはより有利である。酸及び塩基は、静電気的(E)または共有結合的(C)に相互に作用するその傾向を特徴とし、それぞれ、帯電状態及び分極率に関連している。対が同様の静電気及び共有結合特性を有する場合に、付加物の生成は有利になる。溶媒−顔料及び重合体−顔料の相互作用、及び表面湿潤及び付着を予測及び理解するために、この方法が使用されてきた。



方程式4は、溶解度、親和性、及び重合体−顔料表面相互作用を予測及び理解するためによく使用される。一般的に、計算した相互作用の熱が高いほど、溶解度、親和性、及び表面における相互作用は大きくなる。
【0039】
疎水性−親油性バランス(HLB)は方程式4を用いて計算され、簡単に言うと疎水性部分の含有量に対する親水性含有量の比である。顔料及び表面湿潤、表面張力、及び接触角度を理解及び予測するために、これらの値を適用できる。


【0040】
スチレン−アクリルの官能性と溶剤とのバランスを取ることが、安定した分散液及びインクを調製する上での1つの検討事項である。スチレン−アクリル分散剤を溶解した状態に保つためには、極性−プロトン性基に対する非極性基の適切な比を維持する必要がある。極性−プロトン性基が高濃度であれば、溶解度が向上する。非極性基の量が増えれば、極性−プロトン性基を増やす必要がある。溶液が不安定になることを防ぐためには、分散剤に含まれる極性−プロトン性官能基と、可溶化剤との間の相互作用を維持する必要がある。例えば、そのような不安定は、カルボン酸官能基とアミン可溶化剤とによる塩形成から生じることがある。
【0041】
前記組成物は、任意に共分散剤も含むことがある。塗料配合中でのスチレン−アクリル分散剤の安定効果を高めるために、共分散剤が一般的に使用される。共分散剤は、19,000未満の分子量及び25未満の親水性−親油性バランスを有するTectronic(登録商標)、8,000未満の分子量及び26未満の親水性−親油性バランスを有するPluronic(登録商標)、アルコキシル化アミン、脂肪酸改質ポリエステル、改質ポリウレタン、または高分子量A−Bブロック重合体、または前記物質2個以上の混合物を含むことがあるが、これらに限定されるものではない。具体的な例としては、Tetronic(登録商標) 1107、1301、1304、1307、150R1、701、904、908、及び90R4としてBASF Corporationから市販されている化合物を含むが、これらに限定されるものではない。Pluronic(登録商標)化合物は、8,000未満の分子量及び26未満の親水性−親油性バランスを有するエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドに基づくブロック共重合体である。具体的な例としては、Pluronic(登録商標) 10R5、17R2、25R2、31R1、F108、F127、F38、F68、F77、F87、F88、F98、L10、L101、L121、L31、L35、L43、L44、L61、L62、L64、L81、L92、L44、P3、P103、P104、P105、P123、P65、P84、及びP85としてBASF Corporationから市販されている化合物を含む。適切なアルコキシル化アミンには、エチレン及びプロピレンオキサイドを含み、約7,000の分子量を有するものを含む。Jeffamine(登録商標)M2070(Huntsman Corporationから市販)は約2,000の分子量を有し、約70重量%のエチレンオキサイド及び30重量%のプロピレンオキサイドから調製され、適切なアルコキシル化アミンの一例である。適切な脂肪酸改質ポリエステルにはEFKAR(登録商標) 6225(Ciba Specialty Chemicals(現在はBASF)から市販)を含むが、これらに限定されるものではない。適切な改質ポリウレタンにはEFKAR(登録商標) 4046および4047(Ciba Specialty Chemicals(現在はBASF)から市販)を含むが、これらに限定されるものではない。適切な高分子量A−B共重合体には、ブロックAが第三級アミン官能基を有し、ブロックBがスチレン及びアクリル単量体から調製される化合物を含む。例えば、改質A−B共重合体にはEFKAR(登録商標) 4330または4340(Ciba Specialty Chemicalsから市販)を含むが、これらに限定されるものではない。
【0042】
上記のように、スチレン−アクリル共重合体を有する分散液の組成物は、従来法で調製された分散液よりも粘度が低い。一部の実施形態では、組成物の固形分含有量が少なくとも60重量%である場合、粘度は100cps(センチポイズ)未満である。この粘度減少のため、従来法で調製された配合とおよそ同じ粘度を達成しながら、固形分含有量の高い物質を調製できる。例えば、一部の実施形態では、組成物は、高分子バインダー、着色剤、及び溶剤を有する相当する組成物あるいは第二組成物よりも約10%〜30%高い固形分含有量を有する。
【0043】
この補足としては、従来法で調製された分散液と比較した場合におおよそ同じ粘度を達成するように、組成物の溶剤含有量を減らすことである。例えば、一部の実施形態では、前記組成物は、高分子バインダー、着色剤、及び溶剤からなる第二組成物よりも約10〜30%少量の溶剤を有するが、前記組成物及び前記第二組成物はおよそ同じ粘度を有する。
【0044】
インクの他のさまざまな性質も、前記スチレン−アクリル共重合体分散剤を使用することによる影響を受けることがある。例えば、一部の実施形態に従って、前記スチレン−アクリル共重合体分散剤を用いて調製された印刷用インクは、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、配向ポリプロピレン、及びポリエチレンのフィルムからなる群から選択される基板に少なくとも90%の接着評価を有する。さらに、テープ粘着性、耐ブロック性、及び耐水性が維持される。
【0045】
別の態様では、前記インクが基板に塗装され、硬化された後、プリント基板も提供される。別の実施形態では、印刷画像は、スチレン系単量体15〜50重量%、官能性単量体10〜35重量%、炭素数1〜4のアルキル(メタ)アクリレート10〜30重量%、炭素数5〜12のアルキル(メタ)アクリレート20〜55重量%、及びエチレン系単量体0〜20重量%から調製されたインクを含む。一部の実施形態では、前記炭素数1〜4のアルキル(メタ)アクリレート単量体及び前記炭素数5〜12のアルキル(メタ)アクリレート単量体の総重量%は、前記スチレン系単量体、前記官能性単量体、前記炭素数1〜4のアクリル(メタ)アクリレート、前記炭素数5〜12のアルキル(メタ)アクリレート、及び前記エチレン系単量体の総重量%の60重量%未満である。前記インクには高分子バインダー及び着色剤も含むことがある。
【0046】
一部の実施形態に従って、前記硬化されたインクは、前記スチレン−アクリル共重合体を含まず、前記高分子バインダー及び前記着色剤を含むインクよりも約5%〜20%高い光沢を有する。例えば、前記インクは約10%高い光沢を有することがある。光沢及び他の性質のそのような変化には、高分子バインダー及び着色剤を含む第二インクと比較して不透明度の5%〜20%の増加も含む。他の実施形態では、前記インク組成物から調製される印刷フィルムは20°の光沢度が少なくとも70で、コントラスト比が少なくとも65である。
【0047】
別の態様において、組成物は、15〜50重量%のスチレン系単量体、10〜35重量%の官能性単量体、10〜30重量%の炭素数1〜4のアルキル(メタ)アクリレート、20〜55重量%の炭素数5〜12アルキル(メタ)アクリレート、及び0〜20重量%のエチレン系単量体を含むスチレン−アクリル共重合体を含み、前記炭素数1〜4のアルキル(メタ)アクリレートと前記炭素数5〜12のアルキル(メタ)アクリレートの合計重量%は、前記スチレン系単量体、前記官能性単量体、前記炭素数1〜4のアルキル(メタ)アクリレート、前記炭素数5〜12のアルキル(メタ)アクリレート、及び前記エチレン系単量体;高分子バインダー;着色剤;第三級アミン官能基を含むブロックA、及びスチレン系及びアクリル系単量体を含むブロックBを含む高分子量A−Bブロック共重合体である共分散剤、19,000未満の分子量及び25未満の親水性−親油性バランスを有するTectronic(登録商標)、8,000未満の分子量及び26未満の親水性−親油性バランスを有するPluronic(登録商標)、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドを含み、約7,000未満の分子量を有するアルコキシル化アミン、または改質ポリウレタン;及び溶剤の合計重量%の60%重量%よりも少ない。一部の実施形態に従って、少なくとも60重量%の固形分含有量の場合に前記組成物は100cps未満の粘度を有する。
【0048】
すべての出版、特許出願、発行済み特許、及び本明細書で言及される他の文書は、あたかも個々の出版、特許出願、発行済み特許、または他の文書が全体として参照することにより援用されると明確及び個別に示されるように、参照することにより本書に援用される。参照することにより援用される文書に記載される定義は、本開示での定義を否定する場合を除く。
【0049】
こうして一般的に記述される本実施形態は、以下の実施例を参照することによってより容易に理解される。実施例は例示を目的として提供されるものであって、本発明を制限することを意図するものではない。
【実施例】
【0050】
[実施例1]
インクを、二酸化チタン分散液をニトロセルロース、ダイマー酸誘導体ポリアミド、または熱可塑性ポリウレタンに混ぜ、適切な溶剤で標準塗布粘度(Zahn 2 cupを用いて25秒で測定して100cps)に希釈することで、調製した。前記二酸化チタン分散液を、標準のニトロセルロース分散剤及び多数のスチレン−アクリル分散剤を用いて調製した。その後、前記インクを、巻線ロッドまたはアニロックスプルーファーを備えたK−コーターを用いて、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、配向ポリプロピレン、またはポリエチレンフィルムに塗布し、50°Fのオーブンで30〜60秒間乾燥させた。その後、テープ粘着性、耐水性、防しわ性、光沢、色の濃さ、及び不透明度などの前記インクの物理的及び光学的性質を測定した。
【0051】
一般的に、前記スチレン−アクリル分散液では、標準的なインクと比較してインクの光沢及び色の性質が向上した。表1は、スチレン−アクリル(AC #1)インク及びニトロセルロース(NC)インクの光沢と不透明度の測定値の比較である。AC #1は、スチレン、メタクリル酸メチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸、及びアクリル酸から調製される重合体組成物である。単量体、溶剤、及び開始剤の反応混合物を、一定温度に保たれた連続攪拌槽反応器(CSTR)に連続的に供給した。CSTR内での平均滞留時間を一般的に10〜15分の望ましい範囲内で一定にするため、反応ゾーン物質及び供給物質流量を制御した。CSTRの反応温度を、一般的に175〜232℃の範囲内のさまざまな設定値で、一定に保った。反応生成物を、液化ゾーンに連続的に送液し、液化ゾーンからの重合生成物を連続的に収集した。

表1:スチレン−アクリル重合体の比較


AMS = α−メチルスチレン; AA = アクリル酸; MAA = メタクリル酸; MMA = メチルメタクリレート; 2−EHA = 2−エチルヘキシルアクリレート; BMA = n−ブチルメタクリレート。
【0052】
表2から、細線アニロックスプルーファーを用いて、高固体スチレン−アクリルベースインクにより同じ乾燥フィルム厚み(DFT)及び不透明度が達成されることが分かる。前記スチレン−アクリルベースインクの光沢は約10〜25%増加した。

表2:ニトロセルロース[NC]及びスチレン、アクリル[AC#1]ベース二酸化チタン分散液を用いて調製されたポリアミドインクのコントラスト比及び光沢。


【0053】
図1及び2は、使用される溶剤の量を分散段階で約10〜30%ほど、スチレン−アクリル分散剤がニトロセルロース分散剤の代わりに使用した場合に、最高約12%減らすことができることを示している。図1に示すように、ニトロセルロースインクは、約4:1〜約12:1の範囲の顔料対バインダー比にわたり、10,000cps超〜1,000cps未満の分散液濃度を示す。その一方、Acrylic #1サンプルは、同じ固形物含有量(すなわち、約60重量%)での同じ範囲にわたり、大幅に低い分散液粘度を示すが、さらに高い固形物含有量(すなわち、約74重量%)では同じ分散液粘度を示す。図2に示すように、ニトロセルロースベースインクは、顔料(例えば、TiO)の重量%が約60〜65%の範囲に及ぶ場合に800〜10,000cps超の範囲に及ぶ分散液濃度を有する。その一方、Acrylic #1及び#2サンプルは、顔料添加濃度が高いときのみ、ニトロセルロースインクと同様の粘度を達成するとともに、同じサンプル添加濃度で大幅に低い粘度を示す。図3は、図1及び2に示すような分散剤粘度に関しては、ニトロセルロース分散剤及びスチレン−アクリル分散剤でポリアミドベースインクを調製する場合に、インク粘度が同様に減少することが示される。前記傾向は、従来のニトロセルロース分散剤インク配合と比較した場合、スチレン−アクリル分散剤によって、おおよそ同じ粘度に保ちながら揮発性溶剤を減らすことができることを示す。
【0054】
表面印刷及び積層用途に関してテストした場合に、層間密着及び積層強度は、ニトロセルロースまたはポリアミド分散剤をスチレン−アクリル分散剤に置き換えることによる悪影響を受けなかった。
【0055】
分散剤組成物は、図4の図表で非極性、極性−非プロトン性、及び極性−プロトン性のバランスに関して要約されている。図4で、領域A(黒色星形)は、エタノールでの分散剤の不溶性を示す。領域Bの黒色プラス形は安定した二酸化チタン分散液を提供しないスチレン、アクリル組成物を示し、領域B及びCの黒色四角形は、安定した分散液を提供するが、ニトロセルロースと比較した場合に粒子サイズが大きく、そのため性能が良くいないと分類された組成物を示す。領域C及びDにおいて、組成物は、分散剤中の非極性、極性−非プロトン性、及び極性−プロトン性官能基のバランスが悪いことにより、それぞれ熱可塑性ポリウレタン、ニトロセルロース、及びダイマー酸ポリアミドと混合したときに相が分離した安定した分散液に関して示されている。
【0056】
図4に示されるデータは、分散剤中の極性−プロトン性基の量が、分散剤と二酸化チタン顔料の官能化表面の間の相互作用に影響を及ぼすことを示す。データに基づき、顔料との適切な相互作用に関して、分散剤中に適切な量の極性−プロトン性基がある。さらに、ペンダント、末端、または主鎖の極性−プロトン性または極性−非プロトン性官能性を含む非極性または極性−非プロトン性可溶化剤も、分散液粘度及び安定性を向上させるために用いることができる。例えば、エトキシレート、プロポキシレート、アルキル、またはアルキルフェノール基を含む第二級及び第三級アミン;アルキルフェノール;脂肪アルコール;ポリプロピレン、ポリエチレンオキサイド、及びこれらの共重合体;アルキルアミド、エステル、ウレタン、及び尿素を分散剤に添加できる。
【0057】
図5は、これらの種類の官能基間の適切なバランスを示す。ポリアミドインクバインダーの存在で維持されるべき安定性については、HLBが5〜6である必要がある。分散剤HLBが約5〜約6より高い場合、重合体は連続相によく適合すると予想され、それによって、バインダーを顔料から洗い流すことができ、顔料不安定化につながる[白色丸形]。HLB値が低い場合は、その逆である。HLBが約5未満の場合、重合体の安定性は、分散液の安定性を維持するために顔料表面に溶媒和重合体相を維持するには低すぎる。顔料表面及びよく溶媒和された分散剤層に強い駆動力を与えるための最適な性能は5〜6で見られる。ポリアミドを添加すると、この領域で安定した分散液と不安定な分散液の両方が見られた[5〜6の白色及び黒色丸形]。不溶性を示した物質には、ポリアミドとの溶媒溶解度及び親和性の悪化につながると思われる大量の非極性単量体が含まれていた。
【0058】
本開示は、本願で述べられる特定の実施形態に関して限定されるものではない。当事者には明白なように、その精神及び範囲から逸脱することなく多くの変更及び変形を行うことができる。本書に列挙される内容に加えて、開示範囲内の機能的に同等の方法、配合、及び機器は、前述の説明から当事者には明白である。前記変更及び変形は追加請求項の範囲に入れることを目的とする。本開示は、前記請求項が権利を与えられる同等物の全範囲とともに、追加請求項のみに関して限定されるものである。当然のことながら、本開示が特定の方法、試薬、化合物、組成物、または生物系に限定されるものではなく、もちろん変わる可能性がある。また当然のことながら、本願明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためだけのものであり、限定するためのものではない。
【0059】
さらに、開示の特徴または側面がマーカッシュグループの観点から記述される場合、それによって、当事者はマーカッシュグループのメンバーの個々のメンバーまたはサブグルーブの観点からも開示が記述されることを認識する。
【0060】
当事者には明らかなように、ありとあらゆる目的のため、特に書面による明細の提供に関して、本願明細書で開示されるすべての範囲は、そのありとあらゆる考え得る部分的な範囲及び部分的な範囲の組み合わせを包含する。少なくとも同等半分、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1などに分けられている同じ範囲を十分に説明及び可能にしているので、いずれの記載される範囲も簡単に認識できる。限定されない例として、本願明細書にて開示される各範囲は下部3分の1、中央3分の1、上部3分の1などに簡単に分けることができる。また、当事者には明らかなように、「最高」、「少なくとも」、「より大きい」、「より小さい」などのすべての言葉は列挙される数字を含み、その後に上述のように部分的な範囲に分けることができる範囲である。最後に、当事者には明らかなように、範囲には個々の数字を含む。したがって、例えば1〜3個のセルを有する群は、1個、2個、または3個のセルを有する群のことを言う。同様に、1〜5個のセルを有する群は、1個、2個、3個、4個、または5個のセルを有する群のことなどを言う。
【0061】
発明(特に以下の請求項との関連で)の説明との関連で不定冠詞、定冠詞、及び同様の指示対象の使用は、他に指定されるか、文脈によって明確に否定されない限り、単数と複数両方を対象にすると解釈すべきである。用語「具備する」、「有する」、「含む」、及び「含有する」は、非制限的用語(すなわち、「含むが、これらに限定されるものではない」を意味する)と解釈すべきである。本願明細書における値の範囲の記述は、本願明細書にて他に指定のない限り、範囲内に入る個々の値に個別に言及することの簡単な方法とすることを単に目的とし、まるで本願明細書にて個別に記述されるように、個々の値は明細書に組み込まれる。本願明細書で述べられるすべて方法は、本願明細書にて他に指定されるか、文脈によって明確に否定されない限り、適切な順番で行うことができる。本願明細書にて提供されるありとあらゆる実施例、または例示的な言葉(例えば、「など」)の使用は、発明を上手く明らかにすることを単に目的とし、特に指定のない限り発明の範囲に制限を設けるものではない。明細書における言葉は一切、発明の実施に不可欠であるとして非請求の要素を示していると解釈するべきではない。
【0062】
本願明細書で使用される場合、「約」は当事者には明らかであり、使用される文脈に応じてある程度変わることがある。当事者にとって明確ではない用語が使用される場合、使用される文脈かに判断して、「約」は特定の用語の最高プラスマイナス10%を意味することがある。
【0063】
本願明細書ではさまざまな態様及び実施形態を開示したが、他の態様及び実施形態は当事者には明白である。本願明細書で開示されるさまざまな態様及び実施形態は説明のためのもので、以下の請求項で示されている範囲及び精神で、限定するためのものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物であって、
以下のものを含む反応混合物から重合されるスチレン−アクリル共重合体分散剤と:
スチレン系単量体15〜50重量%;
官能性単量体10〜35重量%;
炭素数1〜4のアルキル(メタ)アクリレート10〜30重量%;
炭素数5〜12のアルキル(メタ)アクリレート20〜55重量%;
エチレン系単量体0〜20重量%;
ここで、前記炭素数1〜4のアルキル(メタ)アクリレート及び前記炭素数5〜12のアルキル(メタ)アクリレート単量体の総重量%は、前記スチレン系単量体、前記官能性単量体、前記炭素数1〜4のアクリル(メタ)アクリレート、前記炭素数5〜12のアルキル(メタ)アクリレート、及び前記エチレン系単量体の総重量%の60重量%未満である;
高分子バインダーと;
着色剤と;
溶剤と;
からなる、組成物。
【請求項2】
前記組成物が低VOC溶剤型印刷用インクである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記官能性単量体が、カルボン酸またはヒドロキシル官能基を有する単量体である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記高分子バインダーが、ポリアミド、ポリウレタン、ニトロセルロース、アクリル樹脂、マレイン酸樹脂、ロジン、改質ロジン、またはそれらの2つ以上の混合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記着色剤が、無機顔料、有機顔料、染料、またはそれらの2つ以上の混合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記スチレン−アクリル共重合体が連続重合プロセスで製造される、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物が、少なくとも60重量%の固形物含有量において100cps未満の粘度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が、前記スチレン−アクリル分散剤を含まず、前記高分子バインダー、前記着色剤、及び前記溶剤を含む第二組成物よりも約10%〜30%多い固形物含有量を有し、かつ、前記組成物及び前記第二生成物はおよそ同じ粘度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、前記スチレン−アクリル共重合体分散剤を含まず、高分子バインダー、着色剤、及び溶剤を含む第二組成物よりも約10〜30%少ない溶剤を有し、かつ、前記組成物及び前記第二組成物はおよそ同じ粘度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記印刷用インクは、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、配向ポリプロピレン、及びポリエチレンフィルムから成る群から選択される基板に少なくとも90%の接着評価を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記溶剤が、アルコール、酢酸塩、グリコールエーテル、またはそれらの2つ以上の混合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
さらに共分散剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記共分散剤が、
第三級アミン官能基を有するブロックA、及びスチレン及びアクリル単量体を有するブロックBを含む高分子量A−Bブロック共重合体;
19,000未満の分子量及び25未満の親水性−親油性バランスを有するTetronic(登録商標);
8,000未満の分子量及び26未満の親水性−親油性バランスを有するPluronic(登録商標);
エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドを含み、約7,000未満の分子量を有するアルコキシル化アミン;または
改質ポリウレタン;
である、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
証印塗装基板であって、
証印がインクを含み、該インクが、
以下のものを含む反応混合物から重合されるスチレン−アクリル共重合体分散剤と:
スチレン系単量体15〜50重量%;
官能性単量体10〜35重量%;
炭素数1〜4のアルキル(メタ)アクリレート10〜30重量%;
炭素数5〜12のアルキル(メタ)アクリレート20〜55重量%;及び
エチレン系単量体0〜20重量%を含み、
ここで、前記炭素数1〜4のアルキル(メタ)アクリレート及び前記炭素数5〜12のアルキル(メタ)アクリレートの総重量%は、前記スチレン系単量体、前記官能性単量体、前記炭素数1〜4のアクリルの(メタ)アクリレート、前記炭素数5〜12のアルキル(メタ)アクリレート、及び前記エチレン系単量体の総重量%の60重量%未満である;
高分子バインダーと;
着色剤と;
からなるインクを含み、
前記インクが、スチレン−アクリル共重合体分散剤を含まず、高分子バインダー及び着色剤を含むインクよりも約5%〜20%高い光沢を有する、証印塗装基板。
【請求項15】
前記高分子バインダーが、ニトロセルロース、ダイマー酸ベースポリアミド、またはポリウレタンである、請求項14に記載の証印塗装基板。
【請求項16】
前記基板が、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、配向ポリプロピレン、またはポリエチレンである、請求項15に記載の証印塗装基板。
【請求項17】
前記インクが、スチレン−アクリル共重合体分散剤を含まず、高分子バインダー及び着色剤を含むインクよりも約10%高い光沢を有する、請求項14に記載の証印塗装基板。
【請求項18】
前記インクのコントラスト比が、スチレン−アクリル共重合体分散剤を含まず、高分子バインダー及び着色剤を含むインクの比とおおよそ等しい、請求項14に記載の証印塗装基板。
【請求項19】
前記証印が、20°の光沢度が少なくとも70で、コントラスト比が少なくとも65である、請求項14に記載の証印塗装基板。
【請求項20】
組成物であって、
以下のものを含む反応混合物から重合されるスチレン−アクリル共重合体分散剤と:
スチレン系単量体15〜50重量%;
官能性単量体10〜35重量%;
炭素数1〜4のアルキル(メタ)アクリレート10〜30重量%;
炭素数5〜12のアルキル(メタ)アクリレート20〜55重量%;及び
エチレン系単量体0〜20重量%;
ここで、前記炭素数1〜4のアルキル(メタ)アクリレート及び前記炭素数5〜12のアルキル(メタ)アクリレートの総重量%は、前記スチレン系単量体、 前記官能性単量体、前記炭素数1〜4のアクリル(メタ)アクリレート、前記炭素数5〜12のアルキル(メタ)アクリレート、及び前記エチレン系単量体の総重量%の60重量%未満である;
高分子バインダーと;
着色剤と;
以下のいずれかである共分散剤と;
第三級アミン官能基を有するブロックA、及びスチレン及びアクリル単量体を有するブロックBを含む高分子量A−Bブロック共重合体、
19,000未満の分子量及び25未満の親水性−親油性バランスを有する Tetronic(登録商標)、
8,000未満の分子量及び26未満の親水性−親油性バランスを有する Pluronic(登録商標)、
エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドを含み、約7,000未満の分子量を有するアルコキシル化アミン、または
改質ポリウレタン、
溶剤と;
を含む組成物。
【請求項21】
前記組成物が、低VOC、高固体、溶剤型印刷用インクである、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記組成物が、少なくとも60重量%の固形物含有量において100cps未満の粘度を有する、請求項20に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−533650(P2012−533650A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−520733(P2012−520733)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【国際出願番号】PCT/US2010/041902
【国際公開番号】WO2011/008808
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(510021029)バスフ コーポレーション (5)
【氏名又は名称原語表記】BASF CORPORATION
【Fターム(参考)】