説明

体形分析方法およびそれを用いた心肺蘇生装置

本発明は、体形分析方法およびそれを用いた心肺蘇生装置に関し、施術対象者の胸部を圧迫する圧迫手段が胸部を圧迫する時に胸郭を引き締めて収縮させる胸郭帯、前記胸郭帯を収納するギアによって噛み合って同期する両側ボビンの正/逆回転によって胸郭帯の長さを調節する長さ調節手段、および人工呼吸を施す呼吸手段を含む心肺蘇生装置において、前記長さ調節手段による胸郭帯の長さ変動値に基づいて施術対象者の胸囲を測定する胸囲測定手段;外部からの施術対象者に対する特性情報に基づいて相応する逆算数式を選別し、前記逆算数式に胸囲を代入して施術対象者に対する体形情報を分析する体形分析手段;前記体形分析手段による体形情報を相応する換算数式に代入して施術対象者に好適な圧迫深さおよび人工呼吸量を算出する制御演算手段;および前記圧迫深さおよび呼吸量に基づいて前記圧迫手段および呼吸手段を制御するマイクロコンピュータ;を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体形分析方法およびそれを用いた心肺蘇生装置に関し、より詳しくは、施術対象者の身体の体形情報を分析する体形分析方法、およびそれを利用し、施術対象者に対する胸部圧迫深さおよび呼吸量を体形に応じて精密に調節できるようにした心肺蘇生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、心肺蘇生術は心拍動が停止した施術対象者に心臓と肺の機能に代わって全身に酸素化された血流を供給するものであって、胸部圧迫をして血流を誘発する人工循環と呼吸を補助する人工呼吸に分けることができる。
【0003】
心肺蘇生術を施す間に自発的に血流の循環を誘発するためには、冠状動脈のかん流圧が少なくとも12mmHg以上に維持されなければならない。
【0004】
しかし、従来の胸骨だけを繰り返し圧迫する方法によれば、正常な心臓血流量の約17〜23%程度だけが誘発されるので自発的な血流の循環を引き起こすには力不足であった。そのため、血流量を増加させるために様々な心肺蘇生装置が提案されている。
【0005】
本出願人は、胸部を圧迫すると同時に胸郭を収縮させることによって脳と心臓により多い量の血流を供給できるようにする心肺蘇生装置を、1998年7月2日付で韓国で特許出願し、2000年8月3日付で登録を受けた(特許文献1)のである。
【0006】
また、本出願人は、 特許文献1の心肺蘇生装置をより改良した心肺蘇生装置、すなわち、施術対象者の体格に応じて胸郭帯の長さを容易に調節できるようにした心肺蘇生装置を、2001年9月21日および2002年3月28日付で各々 韓国で特許出願し、特許登録を受けた(特許文献2、特許文献3)のである。
【0007】
また、本出願人は、患者を移送するのに容易であり、患者の移送時にも速い時間内に心肺蘇生術を施し、患者の移送中にも心肺蘇生術を持続的に施すことができるようにした装置を、2003年2月20日付で韓国で特許出願し、特許登録を受けた(特許文献4)のである。
【0008】
また、本出願人は、空気圧を利用して心肺蘇生装置における胸郭圧迫および呼吸動作が容易に制御されるようにした心肺蘇生装置の駆動制御回路および音響を利用し、心肺蘇生装置における胸部圧迫の程度を簡便で正確に制御する制御部を有する心肺蘇生装置を、2005年4月28日および2006年4月25日付で各々韓国で特許出願し、特許登録を受けた(特許文献5、特許文献6)のである。
【0009】
一方、特許文献5、特許文献6の心肺蘇生装置は、施術対象者に加えられる胸部圧迫深さおよび呼吸量を使用者が任意に調節するようになっており、この心肺蘇生装置は、施術対象者の身体特性よりは使用者の判断によって既に設定された胸部圧迫深さおよび呼吸量に合わせて心肺蘇生術を施したものである。
【0010】
したがって、使用者の判断だけによって操作される従来の心肺蘇生装置は、施術対象者の性別、年齢などの身体特性によって胸部圧迫深さおよび呼吸量が変わるため、生命を助けるための緊急時に適切な措置が取れないという問題が発生する恐れがあった。
【0011】
また、このような身体特性を施術対象者に直接確認できない状況であるため、自動で身体の体形特性を推定し、適切な心肺蘇生術を施すようにするということが必要な現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】韓国公告特許第10−0270596号明細書
【特許文献2】韓国登録特許第10−0413009号明細書
【特許文献3】韓国登録特許第10−0448449号明細書
【特許文献4】韓国登録特許第10−0517298号明細書
【特許文献5】韓国登録特許第10−0633799号明細書
【特許文献6】韓国登録特許第10−0706701号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、前記従来の問題点を解決するために導き出されたものであり、施術対象者に対する特性情報および身体寸法から体形情報を分析する体形分析方法を提供することをその目的とする。
【0014】
また、本発明は、施術対象者の身体特性に応じ、胸部圧迫および呼吸量を最適化して自動で調節するようにし、心肺蘇生術を正確に施すようにした心肺蘇生装置を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記のような目的を達成するために、本発明の好ましい実施形態による体形分析方法は、人体の体形情報を分析しようとする対象者に対する特性情報および身体寸法を受信する情報受信ステップ;前記特性情報に応じて対象者の体形を分類する体形分類ステップ;前記分類した体形に相応する逆算数式を選別する数式選別ステップ;前記受信した身体寸法を前記選別した逆算数式に代入し、前記対象者に対する体形情報を算出する体形情報算出ステップ;および前記算出した体形情報に基づいて対象者の体形を分析する体形分析ステップ;を含むことを特徴とする。
【0016】
本発明の一実施形態による心肺蘇生装置は、施術対象者の胸郭を引き締めて収縮させる胸郭帯と、前記胸郭帯を収納するギアによって噛み合って同期する両側ボビンの正/逆回転によって胸郭帯の長さを調節する長さ調節手段とを含む心肺蘇生装置において、前記長さ調節手段による胸郭帯の長さ変動値に基づいて施術対象者の胸囲を測定する胸囲測定手段を備えており、前記胸囲測定手段は、前記長さ調節手段の一側ギアと結合して連動する変動ギア部;前記変動ギア部の正/逆回転を検知して胸郭帯の長さに対する変動値を測定する長さ変動値測定部;および前記長さ変動値測定部によって測定される胸郭帯の長さ変動値に基づいて施術対象者の胸囲を演算する胸囲演算部;を含むことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の好ましい実施形態による心肺蘇生装置は、施術対象者の胸部を圧迫する圧迫手段が胸部を圧迫する時に胸郭を引き締めて収縮させる胸郭帯、前記胸郭帯を収納するギアによって噛み合って同期する両側ボビンの正/逆回転によって胸郭帯の長さを調節する長さ調節手段、および人工呼吸を施す呼吸手段を含む心肺蘇生装置において、前記長さ調節手段による胸郭帯の長さ変動値に基づいて施術対象者の胸囲を測定する胸囲測定手段;外部からの施術対象者に対する特性情報を基準にして相応する逆算数式を選別し、前記逆算数式に胸囲を代入して施術対象者に対する体形情報を分析する体形分析手段;前記体形分析手段による体形情報を相応する換算数式に代入して施術対象者に好適な圧迫深さおよび人工呼吸量を算出する制御演算手段;および前記圧迫深さおよび呼吸量に基づいて前記圧迫手段および呼吸手段を制御するマイクロコンピュータ;を含むことを特徴とする。
【0018】
本発明の好ましい実施形態による心肺蘇生装置を用いる心肺蘇生方法は、前記長さ調節手段による胸郭帯の長さ変動値に基づいて施術対象者の胸囲を測定する胸囲測定ステップ;前記施術対象者に対する特性情報を受信する特性情報受信ステップ;前記特性情報を基準にして相応する逆算数式を選別し、前記逆算数式に胸囲を代入して施術対象者に対する体形情報を分析する体形分析ステップと;前記体形分析手段による体形情報を相応する換算数式に代入して施術対象者に好適な圧迫深さおよび人工呼吸量を算出する制御演算ステップ;および前記圧迫深さおよび呼吸量に基づいて前記圧迫手段および呼吸手段を制御して施術対象者に心肺蘇生術を施す心肺蘇生ステップ;を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、施術対象者の特性情報および身体寸法から施術対象者の体形情報を導出できる体形分析方法を提供するため、施術対象者の身体寸法を一々把握しなくても施術対象者の体形情報を把握できる効果がある。
【0020】
また、本発明は、施術対象者の体形情報に応じて胸部圧迫および呼吸量を最適化し自動で調節することができるため、心肺蘇生術をより正確で迅速に行うことができる効果がある。
【0021】
また、本発明は、心肺蘇生装置の駆動状態を検出する最適化されたセンサを備えており、従来に比べ、胸部圧迫および人工呼吸の効率の面で相当な性能向上を図ることができる。
【0022】
一方、本発明は、上述した実施形態だけに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱いない範囲内で修正および変形して実施することができ、このような修正および変形が加えられた技術思想も以下の特許請求の範囲に属するとみなすべきである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態による心肺蘇生装置を示す構図である。
【図2】本発明の実施形態による心肺蘇生装置の使用一例を示す実施図である。
【図3】本発明の好ましい実施形態による心肺蘇生装置の構成ブロック図である。
【図4】本発明の実施形態による長さ調節手段、胸郭帯、および胸囲測定手段を抜粋して示す斜視図である。
【図5】本発明の実施形態による長さ調節手段、胸郭帯、および胸囲測定手段を簡略に示すブロック構成図である。
【図6】本発明の実施形態による圧迫手段を抜粋して示す説明図である。
【図7】本発明の実施形態による圧迫手段を簡略に示すブロック構成図である。
【図8】本発明の実施形態による呼吸手段を抜粋して示す分解図である。
【図9】本発明の実施形態による圧迫駆動部を簡略に示すブロック構成図である。
【図10】本発明の実施形態による心肺蘇生方法を示すフローチャートである。
【図11】本発明の好ましい実施形態による人体の体形分析方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態による心肺蘇生装置を説明すれば次の通りである。
【0025】
本発明の実施形態による心肺蘇生装置は、特許文献4、特許文献5または特許文献6に例示しているように、アンビュランスのような救急車両または別途の運送装備などに固定式または着脱式で設けられ、施術対象者に加えられる胸部圧迫および呼吸量を制御部によって自動制御することができる。
【0026】
図1は本発明の好ましい実施形態による心肺蘇生装置の構成ブロック図である。
【0027】
図1に示すように、本発明の好ましい実施形態による心肺蘇生装置は、胸郭帯340の長さを調節する長さ調節手段300、長さ調節手段300による胸郭帯340の長さ変動値から胸囲を測定する胸囲測定手段40、特性情報および各種の作動指示が入力されるキー入力手段50、動作状態などを表示する表示部59、施術対象者の体形情報を分析する体形分析手段60、体形情報に基づいて心肺蘇生術動作のための制御情報を算出する制御演算手段70、DB80、マイクロコンピュータ90、施術対象者の胸部を一定回数繰り返し圧迫する圧迫手段100、および施術対象者に人工呼吸を提供する呼吸手段200で構成される。
【0028】
図2は本発明の実施形態による長さ調節手段、胸郭帯、および胸囲測定手段を抜粋して示す斜視図であり、図3は本発明の実施形態による長さ調節手段、胸郭帯、および胸囲測定手段を簡略に示すブロック構成図である。
【0029】
長さ調節手段300は、施術対象者の胸郭を囲む胸郭帯340の長さを調節する役割を果たす。例えば、施術対象者の胸部を囲む胸郭帯340が緩んだりきつかったりすると、下記圧迫手段100の胸郭圧迫がろくになされないため、施術対象者の胸囲に一致するように胸郭帯340の長さを調節することができる。
【0030】
すなわち、図2に示すように、長さ調節手段300は、前記左/右側の胸郭帯(340a、340b)が常に同一長さで引き込まれたり引き出されたりして巻かれたり解けられたりするようにギア(320a、320b)によって噛み合って同期する1対のボビン(310a、310b)、および前記1対のボビン(310a、310b)を駆動する駆動部(図示せず)で構成される。駆動部は、特許文献4に例示しているように、1対のボビン(310a、310b)を正/逆方向に駆動できるように構成することができる。
【0031】
胸郭帯340は、長さ調節手段300に連結され、施術対象者の胸部を囲んで着脱可能であり、圧迫手段100によって施術対象者の胸郭が圧迫される時に共に胸部位を圧迫することができる。
【0032】
図2および図3に示すように、胸囲測定手段40は、長さ調節手段300による胸郭帯(340a、340b)の長さ変動値に基づいて施術対象者の胸囲を測定する。胸囲測定手段40は、長さ調節手段300のギアと噛み合って連動する変動ギア部41、変動ギア部41の変動を検知して胸郭帯(340a、340b)の長さに対する変動値を測定する長さ変動値測定部42、および長さ変動値測定部42によって測定される胸郭帯(340a、340b)の長さ変動値に基づいて施術対象者の胸囲を演算する胸囲演算部43で構成される。
【0033】
変動ギア部41は、長さ調節手段300の一側ボビン410bのギア320bの末端に結合される第1ギア41a、第1ギア41aと噛み合って連動する第2ギア41b、および第2ギアと噛み合って正/逆回転量を長さ変動値測定部に伝達する第3ギア41c;で構成される。すなわち、長さ調節手段300が左/右側の胸郭帯(340a、340b)を引き込んだり引き出したりする時、駆動部(図示せず)の駆動力によって1対のボビン(310a、310b)が駆動される。この時、1対のボビン(310a、310b)と同期し噛み合って巻かれたり解かれたりするギア(320a、320b)の正/逆回転と共に変動ギア部41の第1、2、3ギアが噛み合って連動する。
【0034】
長さ変動値測定部42はポテンショメータ(Potentiometer)などのような検知センサである。長さ変動値測定部42は変動ギア部41の第3ギア41cと連動するように結合され、長さ調節手段300が胸郭帯(340a、340b)を収納する時、長さ調節手段300のボビン310bに対する順逆回転量が変動ギア部41を介して伝達を受けて検知する。すなわち、長さ変動値測定部42は、その検知量に応じて一定検知量(DC Resistance)を出力するが、この出力される測定値が胸郭帯(340a、340b)の長さ変動値である。
【0035】
また、長さ変動値測定部42は、ボビン310bの巻かれや解ける回転数を演算して胸郭帯(340a、340b)収納長さ変化量を測定できる回転エンコーダ(図示せず)などの色々な検知手段が使用可能である。
【0036】
胸囲演算部43は、長さ変動値測定部42によって測定される胸郭帯(340a、340b)収納時の長さ変動値に基づき、長さ変動値数式を用いて施術対象者の胸囲を算出する。すなわち、胸囲演算部42は、胸郭帯340の長さ変動値(DC Resistance)から対応する施術対象者の胸囲を演算して算出する。
【0037】
長さ変動値数式:
Y=aX+bX+c
(ここで、a、b、c:定数、XはDC抵抗値、Yは胸囲、範囲は67<=Y<=157、1500<=X<=4300であり、前記胸囲の単位はcmである。)。
【0038】
この長さ変動値数式によって算出される胸囲は下記表1のように表わすことができる。
【0039】
【表1】

【0040】
表1は、胸囲測定手段40から算出される胸郭帯長さ変動値(DC Resistance)と胸囲との比率を示す。
【0041】
また、本発明の胸囲測定手段40は、胸郭帯(340a、340b)の長さ変動値を測定できる方式であれば、先に例示したポテンショメータ以外の他のセンサを採用してもよい。
【0042】
このように、本発明は、施術対象者の胸囲を別途に測定したり確認したりしなくても自動で測定できるので時間を節約することができ、施術対象者の胸囲数値に対する正確性を期することができる。
【0043】
キー入力手段50には、本発明に係る心肺蘇生装置の動作に必要な命令または施術対象者に対する特性情報などが入力される。例えば、施術対象者に対する特性情報(例えば、性別、年齢、胸平坦度など)の必要な値が入力されたり、心肺蘇生装置1の電源のオン/オフ、各種動作の命令などが入力されたりする。
【0044】
また、キー入力手段50は、胸郭帯340を引き締めたり解いたりするように命令するボタン(図示省略)、様々な動作様式中から所望の動作モードを選択できるモード選択ボタン(図示省略)、および施術対象者に応じて胸部圧迫深さ(より詳しくは、胸骨圧迫深さ)を多段階で選択できるボタン(図示省略)などを備える。前記胸郭帯340を引き締めたり解いたりするように命令するボタンは、タクトスイッチ(tact s/w)のように一度押せばオン(ON)になり、オンの状態で再び一度押せば引き締めが選択され、引き締め状態で再び一度押せばオフ(OFF)になって引き締めが解除されるボタンである。また、前記モード選択ボタンおよび胸部圧迫深さを選択できるボタンは、各々、ロータリースイッチに代替してもよい。
【0045】
前記様々な動作モードとしては、施術対象者に対する基本心肺蘇生術である胸部圧迫と人工呼吸を予め設定した比率(例えば、胸部圧迫(30回):人工呼吸(2回)など)で行わせる心肺蘇生モード、施術対象者に対し胸部圧迫だけを連続して実施するようにする連続胸部圧迫モード、および施術対象者に対する胸部圧迫と人工呼吸を予め設定した比率で連続して実施する動作において、胸部圧迫は休止し、人工呼吸だけを実施するようにする呼吸モードなどが可能である。
【0046】
また、キー入力手段50は、使用者の便宜性を確保するためにリモートコントローラーで構成される。したがって、前記ボタンはリモートコントローラーに設けられる。
【0047】
体形分析手段60は、キー入力手段50に入力される施術対象者の特性情報(例えば、性別、年齢など)に応じて体形を分類する。体形分析手段60は、分類された体形に応じ、一般人の体形に対する統計値から既に算定された逆算数式を選別する。体形分析手段60は、胸囲測定手段40から算出された施術対象者の胸囲値を選別された逆算数式に代入して施術対象者の他の体形情報(身体寸法)を算出する。
【0048】
すなわち、体形分析手段60は、施術対象者に対する胸囲値に施術対象者の性別、年齢に応じて既に算定された逆算数式を適用し、施術対象者の胸囲、体重、身長などを算出する。
【0049】
体形分析手段60は、施術対象者に対する胸囲に基づいて胸厚さを算出する胸厚さ換算手段61、および前記施術対象者に対する胸囲に基づいて体重を算出する体重換算手段62で構成される。
【0050】
【表2】

【0051】
表2は、施術対象者の特性情報(性別、年齢別など)に応じて身体特性を分類した体形を示す。例示の体形分類は特性情報に応じて異に表わすことができる。
【0052】
逆算数式:
胸厚さ=k+l*胸囲、
体重=m+n*胸囲、
(ここで、k、l、m、nは性別、年齢に応じて算定される定数(例えば、表2)の体形(A、A’、B、B’、C、C’、D、D’)に応じて異に表わされる。)、前記胸厚さはmm、体重はKgの単位を用い、他の体形情報の単位は国際単位(SI)である)。
【0053】
この逆算数式は、産業資源部技術標準院の「国民人体測定調査」中、C−9(胸厚さ)、F−10(胸囲)、A−6(身長)、H−4(体重)の指標により、胸囲と各指標間の関数関係から導き出された。この逆算数式は、心肺蘇生術に必要な身体指数を、胸囲などのように一部の身体情報だけで推定することが可能である。
【0054】
心肺蘇生演算手段70は、体形分析手段60によって算出される施術対象者に対する各種の体形情報を、一般人の体形と心肺蘇生術間の連関関係に対する統計値から既に算出された換算数式に代入し、本発明の心肺蘇生装置の作動に必要な基準値(例えば、圧迫深さ、呼吸量、呼吸圧力など)を算出する。心肺蘇生演算手段70は、胸厚さに基づいて圧迫深さを算出する圧迫深さ換算手段71、および前記体重に基づいて呼吸量を算出する呼吸量算出手段72で構成される。
【0055】
換算数式:
圧迫深さ=胸厚さ*0.25、
呼吸量=体重*6.5、
(ここで、前記圧迫深さおよび呼吸量の単位は国際単位(SI)である。)。
【0056】
この換算数式は、技術統計学(Descriptive Statistics)の平均値に基づき、胸厚さと体重を圧迫深さ(胸厚さ*0.25)と人工呼吸量(体重*6.5)に換算することができる。
【0057】
この時、平均的に圧迫深さは男性に比べて女性が約5mm少なく、人工呼吸量は男性に比べて女性が約65ml少なくなっており、男女別の差が明確であると推定することができる。
【0058】
それと共に、年齢別では男女の皆が10代と20代以後が明確に区分され、圧迫深さ(胸囲)は20代以後は大きな変動はないが、人工呼吸量(体重)は20代以後は少し増加し、再び減少すると推定することができる。
【0059】
ここで、対象者に対する胸の平たいまたは厚い体形の圧迫深さの差は男女の皆が約5mm程度であり、人工呼吸量の差は男性の場合は約9.75ml、女性の場合は約8.125mlであって、平たいものと厚さの差は大きくないと推定することができる。
【0060】
【表3】

【0061】
【表4】

【0062】
表3および表4では、本発明の換算数式から導き出される男女/年齢代別の圧迫深さおよび人工呼吸量を例示する。
【0063】
また、本発明の逆算数式および換算数式は必要時に施術対象者の胸平坦度に応じて補正して用いてもよい。
【0064】
このように、本発明は、施術対象者の特性情報(性別、年齢別)に応じ、心肺蘇生術に適用される圧迫深さおよび人工呼吸量を適切な量で適用することができるので正確で効率が倍加する。
【0065】
DB80は、マイクロコンピュータ90の制御に必要な各種情報を格納するデータベースである。DB80は、格納された各種データの削除、更新、入力ができるようにデータを分類して格納することができる。DB80は、演算数式を格納する演算数式格納部81、換算数式を格納する換算数式格納部82、およびマイクロコンピュータの制御に必要なデータを格納する制御情報格納部83で構成される。
【0066】
マイクロコンピュータ90は、心肺蘇生装置1の各種動作を制御するマイクロコントローラーユニット(MCU)である。マイクロコンピュータ90は、制御演算手段70によって算出される施術対象者に対する各種体形情報に応じ、圧迫手段100、呼吸手段200、または長さ調節手段300などの動作を制御する役割を果たす。
【0067】
また、マイクロコンピュータ90は、従来の心肺蘇生装置の胸部圧迫、呼吸量などを制御する制御部の役割を含む。すなわち、マイクロコンピュータ90は、表示部59の表示動作を制御するだけでなく、前記キー入力手段50においてキー入力されたモード選択信号に応じ、それに相応する動作が行われるように制御する。
【0068】
図4は本発明の実施形態による圧迫手段を抜粋して示す説明図であり、図5は本発明の実施形態による圧迫手段を簡略に示すブロック構成図である。
【0069】
図4および図5に示すように、圧迫手段100は、空気の圧力を利用して所定周期に施術対象者の胸郭を圧迫する役割を果たす。例えば、施術対象者が心臓停止状態、すなわち、頭脳と身体の他の部分に血液を循環させる心臓の作用が停止した状態である時、圧迫手段100が施術対象者の心臓部位である胸郭を圧迫して血液循環が行われるようにすることができる。
【0070】
圧迫手段100は、施術対象者の胸郭を圧迫する圧迫部130、この圧迫部130を駆動する圧迫駆動部120、および前記圧迫駆動部120に設けられ、施術対象者の胸郭を圧迫する圧迫深さを測定する圧迫深さ検出部110で構成される。
【0071】
圧迫部130は、施術対象者の胸郭に位置させ、圧迫駆動部120の駆動力によって対象部位を圧迫するように構成される。
【0072】
圧迫駆動部120は、圧迫部130に供給される駆動力(例えば、酸素空気などのガス圧力、モータなどのポンピング圧力など)を調節して圧迫部130の圧迫動作を駆動する。
【0073】
ここで、圧迫駆動部120は、マイクロコンピュータ90から送出される制御信号に応じて圧力酸素を制御することができるものであれば、圧迫駆動力を生じさせる圧迫ピストン(図示せず)と、圧迫ピストンの圧迫と復帰を制御する方向制御バルブ(図示せず)、およびこの圧迫ピストンに印加される酸素流量を加減する自動制御バルブであるFCV(Flow Contril Valve)(図示せず)で構成されてもよく、この時、FCVのノブ(Knob)をステッピングモーター(Stepper Motor)などによって開閉して圧迫を調節するように構成することができる。
【0074】
圧迫深さ検出部110は、圧迫部130に設けられ、圧迫部130の圧迫と復帰の程度を検知するセンサであり、圧迫部130の圧迫と復帰の程度を検知して施術対象者の胸部圧迫深さの程度を測定する。
【0075】
ここで、圧迫深さ検出部110は、非接触方式センサによって胸部圧迫深さを検知することができる。この圧迫深さ検出部110は、圧迫部130の駆動力を生じさせる圧迫ピストン(図示せず)に永久磁石を埋め込み、前記圧迫ピストンが内蔵される圧迫シリンダーチューブ(図示せず)の外面にホールセンサ(Hole sensor)(図示せず)と表示LEDを一定単位(例えば、01cm〜1cm範囲など)で設け、施術対象者の胸部圧迫時に圧迫シリンダー内の圧迫ピストンの行程距離を検出するように構成することができ、これによって胸部の圧迫深さを検出することができる。
【0076】
この時、圧迫深さ検出部110の非接触方式センサは、分当たり数百回の圧迫頻度である時のピストン速度である0.166m/secの速度に対しても安定した検出能力を示すようにし、これと共に圧迫手段100の圧迫ピストンを回転防止型に製作することができる。
【0077】
図6は本発明の実施形態による呼吸手段を抜粋して示す分解図であり、図7は本発明の実施形態による圧迫駆動部を簡略に示すブロック構成図である。
【0078】
図6および図7に示すように、呼吸手段200は、施術対象者に人工呼吸(例えば、酸素または酸素を含む空気など)を提供する役割を果たす。例えば、施術対象者が呼吸停止状態、すなわち、自然呼吸が止まった場合であっても血液循環はしばらくは続き、脈打つ状態である時、呼吸手段200が施術対象者の呼吸口(鼻、口)を通し人工的に呼吸酸素を供給して自然呼吸を戻らせるための人工呼吸を行うことができる。
【0079】
呼吸手段200は、呼吸酸素を排出させる人工呼吸部210、この人工呼吸部210に設けられ、排出される呼吸酸素の量を測定する呼吸量検出部220、この人工呼吸部210を介して排出される呼吸酸素の圧力を測定する呼吸圧力検出部230、およびこの呼吸圧力検出部230によって測定される呼吸酸素の圧力が一定限度を超える前に呼吸酸素の供給を遮断する呼吸供給遮断部240で構成される。
【0080】
人工呼吸部210は、施術対象者に適正な圧力で呼吸量を調節して呼吸酸素を供給する役割を果たす。すなわち、人工呼吸部210は、下記マイクロコンピュータ90の制御信号に応じて算出される呼吸量に到達する時までに施術対象者に呼吸酸素を供給する。
【0081】
呼吸量検出部220は、人工呼吸部210を介して供給される呼吸酸素の供給量を検知するセンサである。
【0082】
ここで、マイクロコンピュータ90は、前記呼吸量検出部220において検知される、供給される呼吸量と供給しようとする呼吸量とを比較し、一定範囲(±5%)を超過すれば人工呼吸部210に呼吸供給を停止するように制御信号を送って、施術対象者に供給される呼吸量が維持されるようにする。
【0083】
呼吸圧力検出部230は、人工呼吸部210から供給される呼吸酸素の呼吸圧力を検出するセンサである。呼吸圧力検出部230は、人工呼吸部210上の呼吸圧力を持続的に検知して下記マイクロコンピュータ90に送出するか、既に設定された最高圧力(通算、55cmH2O)以上になれば警告信号を送出することができる。
【0084】
呼吸供給遮断部240は、呼吸圧力検出部230によって検知される呼吸圧力が既に設定された最高圧力(通算55cmH2O)以上になる時、人工呼吸部210を介して供給される呼吸酸素を直ちに放出させる。呼吸供給遮断部240は、呼吸圧力検出部230によって検知される呼吸圧力が最高圧力である時、下記マイクロコンピュータ90から制御信号を受けて呼吸酸素を放出させるか、マイクロコンピュータ90の制御信号なしで、呼吸圧力検出部230の警告信号に応じて直ちに呼吸酸素を放出させるようにすることができる。
【0085】
これにより、本発明の心肺蘇生装置は、施術対象者に供給される呼吸に対する呼吸圧力を持続的にチェックし、過度な呼吸圧力が肺に印加されることを防止する。
【0086】
このように、本発明の実施形態による心肺蘇生装置は、各構成手段にその駆動状態を検出するセンサを置き、その駆動動作時にリアルタイムでフィードバック情報をマイクロコンピュータに提供することにより、より正確で効率的な動作が可能である。また、本発明は、従来に比べ、胸部圧迫および人工呼吸の効率の面で相当な性能向上を図ることができる。
【0087】
上述した本発明の構成説明ではより細かい機構的な構成要素および付加的な構成要素については説明しなかったが、施術対象者に心肺蘇生術を施すためには、上述した本発明の構成要素だけでなく、周辺の機構的な構成要素および付加的な構成要素を共に備えていなければならないことは当然である。このような内容は当業界の者であれば誰もが容易に分かるはずである。例えば、特許文献4、特許文献5、または特許文献6に開示された機構的な構成要素および付加的な構成要素を採用すればよい。
【0088】
次に、本発明の実施形態による心肺蘇生装置の動作について説明すれば次の通りである。説明するにおいて、上述した図面と同一な参照符号を付したものは同一な機能を遂行するということを示す。本発明の実施形態による心肺蘇生装置は、特許文献4に示されたボードのような患者移送用装備に設けられていると仮定して説明する。また、以下で説明しない周辺的な構成要素および付加的な構成要素は、その特許文献5または特許文献6において該当する構成要素または十分知られている他の構成要素を採用したものとする。
【0089】
図8は本発明の実施形態による心肺蘇生装置を示す構図であり、図9は本発明の実施形態による心肺蘇生装置の使用一例を示す実施図である。
【0090】
図8および図9に示すように、本発明の心肺蘇生装置1が取り付けられたボード上に施術対象者を位置させ、施術対象者の胸囲に胸郭帯340を巻いて圧迫手段100を胸郭に位置させる。
【0091】
次に、施術対象者に胸郭帯340を引き締めるために、キー入力部50のボタン(すなわち、引き締めボタン)を押せば、それに相応する信号がマイクロコンピュータ90に印加され、マイクロコンピュータ90は、長さ調節手段300に該当制御信号を介して動作させ、胸郭帯340を適切に引き締める。すなわち、長さ調節手段300は、内部の駆動部(図示せず)を介して駆動力が1対のボビン(310a、310b)に伝達され、1対のボビン(310a、320b)と噛み合って動作する両側ギア(320a、320b)によって一定の長さで連動して左/右側胸郭帯(340a、340b)が引き込みまたは引き出され、適切な長さに調節される。
【0092】
次に、使用者がキー入力手段50上のボタン操作によって心肺蘇生術を施すための適正モードを選択し、施術対象者に対する特性情報を入力して心肺蘇生術を開始するように開始ボタンを操作すれば、マイクロコンピュータ90は、胸囲測定手段40に該当制御信号を送出し、上記で長さ調節手段300によって胸郭帯340の長さを調節する時に発生する長さ変動値によって施術対象者の胸囲を測定した後、DB80に格納する。すなわち、長さ調節手段300が駆動部(図示せず)を介して1対のボビン(310a、310b)を駆動すれば、これと噛み合って動作するギア(320a、320b)の正/逆回転が胸囲測定手段40の変動ギア部41と連動し、長さ変動値測定部42に伝達される。長さ変動値測定部42はこれを検知し、胸郭帯340の長さ変動値を測定した後、DB80内に格納する。
【0093】
この時、体形分析手段60は、キー入力手段50を介して受信した特性情報に基づいて施術対象者の体形特性を分類し、DB80に格納されているそれに相応する逆算数式を読み出す。体形分析手段60は、その逆算数式により、施術対象者の胸囲から胸厚さおよび体重を換算してDB80に格納する。
【0094】
すなわち、体形分析手段60の胸厚さ換算部61は、施術対象者の体形特性に応じてDB80の逆算数式格納部81内に既に分類され算定されている胸厚さを計算する逆算数式を読み出し、その該当逆算数式により、胸厚さ換算部61は、施術対象者の胸囲から胸厚さを演算してDB80に格納する。体重換算部62も同じ方式で施術対象者の胸囲から体重を演算し、DB80に格納する。
【0095】
次に、制御演算手段70は、体形分析手段60によって換算された施術対象者の胸厚さおよび体重を基準にして、DB80に格納されている換算数式を利用して圧迫深さおよび呼吸量を演算し、DB80に格納する。
【0096】
すなわち、制御演算手段70の圧迫深さ換算部71は、DB80の換算数式格納部82内に既に算定されている圧迫深さを計算する換算数式を読み出し、その該当逆算数式により、胸厚さ換算部61を介して導き出された施術対象者の胸厚さから圧迫深さを演算し、DB80の制御情報格納部83に格納する。呼吸量算出部72も同じ方式で体重換算部62によって導き出された施術対象者の体重から呼吸量を演算し、DB80に格納する。
【0097】
次に、マイクロコンピュータ90は、DB80に格納された施術対象者の各種情報を表示部59を介して表示し、その各種情報に応じて圧迫手段100および呼吸手段200を該当制御信号を送出し、適切な胸部圧迫および呼吸量を維持しつつ心肺蘇生術が自動で施されるようにする。すなわち、マイクロコンピュータ80は、DB80の制御情報格納部83に格納されている胸部圧迫深さを読み出し、それに応じて圧迫手段100を制御し、施術対象者に対する胸部圧迫深さを調節し、これと共にDB80の制御情報格納部83に格納されている呼吸量を読み出し、それに応じて呼吸手段200を制御し、施術対象者に供給される人工呼吸量を維持させる。
【0098】
最後に、使用者がキー入力手段50のボタン操作によって動作停止命令を入力すれば、マイクロコンピュータ90は全ての作動を停止させる。
【0099】
また、本発明の心肺蘇生装置1は、使用者がキー入力手段50上のボタン操作によって心肺蘇生モードを選択すれば、それに相応する信号がマイクロコンピュータ90に入力され、そのマイクロコンピュータ90では、施術対象者に対する基本心肺蘇生術である胸部圧迫と人工呼吸を予め設定した比率(例えば、胸部圧迫(30回):人工呼吸(2回)など)で施す心肺蘇生術動作を制御することができる。
【0100】
また、本発明の心肺蘇生装置1は、使用者がキー入力手段50上のボタン操作によって連続胸部圧迫モードを選択すれば、それに相応する信号がマイクロコンピュータ90に入力され、そのマイクロコンピュータ90では、施術対象者に対して胸部圧迫だけを連続して実施するようにする連続胸部圧迫動作を制御することができる。
【0101】
また、本発明の心肺蘇生装置1は、使用者がキー入力手段50上のボタン操作によって呼吸モードを選択すれば、それに相応する信号がマイクロコンピュータ90に入力され、そのマイクロコンピュータ90では、施術対象者に対する胸部圧迫と人工呼吸を予め設定した比率で連続して実施する動作において、胸部圧迫は休止し、人工呼吸だけを施す呼吸動作を制御する。
【0102】
したがって、本発明は、一部の身体情報だけによっても施術対象者の任意の身体の体形情報を分析することができ、この施術対象者の体形情報に応じて胸部圧迫深さおよび呼吸量を最適化して自動で調節することができるため、心肺蘇生術をより正確で迅速に行うことができる。
【0103】
以下、図面を参照して本発明の実施形態による心肺蘇生方法を説明する。
【0104】
図10は本発明の実施形態による心肺蘇生方法を示すフローチャートである。
【0105】
図示したように、先ず、心肺蘇生装置1は、キー入力手段50を介して施術対象者に対する特性情報の入力を受け、マイクロコンピュータ90に相応する情報を送出する(S100)。例えば、使用者がキー入力手段50を介し、施術対象者が10代で男性であるという特性情報を入力する。
【0106】
次に、心肺蘇生装置1のマイクロコンピュータ90は制御信号を長さ調節手段300に送出して胸郭帯340の長さを調節し、胸囲測定手段40はこの胸郭帯340の長さ変動値から施術対象者の胸囲を測定してマイクロコンピュータ90に送出し、DB80に格納させる(S110)。
【0107】
次に、体形分析手段60は前記特性情報に応じて対象者の体形を分類し(S120)、その分類した体形に基づき、体形分析手段60は既に算定された逆算数式を選別する(S130)。例えば、体形分析手段60は、施術対象者が男で10代である場合、表2に示すように、体形分類のうちのA体形に分類し、それに相応する逆算数式を選択する。
【0108】
次に、体形分析手段60は、算出された胸囲を選別した逆算数式に代入し、施術対象者に対するそれぞれの任意の体形情報を推定して、マイクロコンピュータ90を介してDB80に格納する(S140)。すなわち、体形分析手段60の胸厚さ換算部61は、施術対象者に対する胸囲値をA体形に対応する逆算数式に代入して胸厚さを算出する。体形分析手段60の体重換算部62は、胸囲値をA体形に対応する逆算数式に代入して体重を算出する。例えば、体形分析手段60は、胸囲値をA体形に相応する逆算数式に代入して、胸厚さ、体重を算出する。
【0109】
次に、制御演算手段70は、推定されたそれぞれの体形情報(胸厚さ、体重)を既に算定された換算数式に代入して施術対象者に好適な圧迫深さまたは人工呼吸量を算出し、DB80に格納する(S150)。すなわち、制御演算手段70の圧迫深さ換算部71は、胸厚さ換算部61によって算出された胸厚さ値を換算数式に代入して圧迫深さを算出する。制御演算手段70の呼吸量算出部72は、体重換算部62によって算出された体重値を換算数式に代入して呼吸量を算出する。例えば、制御演算手段70は、10代男性であるA体形の施術対象者の胸厚さが186mmであり、体重が57kgである場合、圧迫深さ換算部71によって圧迫深さ46.5mmを算出し、呼吸量算出部72によって呼吸量318.5mHgを算出する。
【0110】
最後に、マイクロコンピュータ90は、DB80に格納されているそれぞれの制御情報(圧迫深さ、呼吸量)に基づき、圧迫手段100と呼吸手段200を制御して施術対象者に心肺蘇生術を施す(S160)。
【0111】
このように、本発明の心肺蘇生方法は、意識のない施術対象者の身体情報を自動で算出し、それに応じて適切な胸部圧迫深さおよび呼吸量を提供することができるため、より正確で迅速に心肺蘇生術を施すことができる。
【0112】
以下、図面を参照して本発明の実施形態による体形分析方法を説明する。
【0113】
図11は本発明の好ましい実施形態による体形分析方法を示すフローチャートである。
【0114】
先ず、体形情報を推定するための対象者を選別し、その特定対象者に対する特性情報および一部の身体寸法を直間接的な受信方式や通信手段などを介して入力を受ける(S200)。
【0115】
ここで、対象者に対する特性情報は、一般的に体形を区分できる情報である性別、年齢などであってもよい。例えば、この特性情報は、男性/女性、10代〜70代、平たい/中間/厚いなどであってもよい。
【0116】
また、対象者に対する一部の身体寸法は、胸囲、胸厚さ、体重、および身長などの既に知っている一つ以上の身体寸法であってもよい。
【0117】
次に、対象者に対する特性情報に基づいて対象者の体形を分類し(S210)、それにより、一般人の体形を分類した統計値から既に算定された所定の逆算数式のうちの一つを選別する(S220)。
【0118】
次に、対象者に対する入力された身体寸法を前記選別した逆算数式に代入して演算した後、前記対象者に対するそれぞれの任意の体形情報を算出する(S230)。
【0119】
ここで、逆算数式は
胸厚さ=k+l*胸囲、
体重=m+n*胸囲、
(ここで、k、l、m、nは性別、年齢に応じて算定される定数、前記胸厚さはmm、体重はKgの単位を用い、他の体形情報の単位は国際単位(SI)である)。
【0120】
ここで、この逆算数式は、産業資源部技術標準院の「国民人体測定調査」中、C−9(胸厚さ)、F−10(胸囲)、A−6(身長)、H−4(体重)の指標により、胸囲と各指標間の関数関係から導き出すことができる。
【0121】
この時、前記任意の体形情報は胸囲、胸厚さ、体重、および身長であってもよい。
【0122】
次に、S230で算出された施術対象者に対するそれぞれの体形情報に基づいて対象者の体形を分析する(S240)。
【0123】
最後に、前記対象者に対する全体推定された体形情報を収録してデータベース化し、外部からの要請時にその体形情報を選別して提供するようにする(S250)。
【0124】
このように、本発明の体形分析方法は、対象者に対する身体の一部情報だけによってもその対象者に対する他の身体寸法を推定することによって対象者に対する全体体形情報を算出することができる。
【0125】
また、本発明の体形分析方法は、一部の身体寸法から全体の体形情報(身体寸法)を必要とするところに活用することができる。例えば、衣類、保健、3次元モデルなどに利用することができる。
【0126】
また、本発明の一実施形態による心肺蘇生術に必要な体形情報(例えば、胸厚さ、胸囲、体重、胸平坦度など)を提供することができる。
【0127】
本発明は、上述した実施形態だけに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で修正および変形して実施することができ、このような修正および変形が加えられた技術思想も以下の特許請求の範囲に属するとみなすべきである。
【符号の説明】
【0128】
1 心肺蘇生装置
40 胸囲測定手段
41 変動ギア部
42 長さ変動値測定部
42 胸囲演算部
50 キー入力手段
59 表示部
60 体形分析手段
61 胸厚さ換算部
62 体重換算部
70 制御演算手段
71 圧迫深さ換算部
72 呼吸量算出部
80 DB
81 演算数式格納部
82 換算数式格納部
83 制御情報格納部
100 圧迫手段
200 呼吸手段
300 長さ調節手段
310a、310b ボビン
320a、320b ギア
340 胸郭帯


【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の体形情報を分析しようとする対象者に対する特性情報および身体寸法を受信する情報受信ステップ;
前記特性情報に応じて対象者の体形を分類する体形分類ステップ;
前記分類した体形に相応する逆算数式を選別する数式選別ステップ;
前記受信した身体寸法を前記選別した逆算数式に代入し、前記対象者に対する体形情報を算出する体形情報算出ステップ;および
前記算出した体形情報に基づいて対象者の体形を分析する体形分析ステップ;を含むことを特徴とする体形分析方法。
【請求項2】
前記特性情報は、性別、年齢のうちの少なくともいずれか一つ以上を含むことを特徴とする、請求項1に記載の体形分析方法。
【請求項3】
前記逆算数式は、
胸厚さ=k+l*胸囲、
体重=m+n*胸囲、
(ここで、k、l、m、nは性別、年齢に応じて算定される定数、単位は国際単位(SI)である。)であることを特徴とする、請求項1に記載の体形分析方法。
【請求項4】
前記対象者に対する体形情報をデータベース化し、外部からの要請時にその体形情報を選別して提供する体形情報提供ステップ;をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の体形分析方法。
【請求項5】
施術対象者の胸郭を引き締めて収縮させる胸郭帯と、前記胸郭帯を収納するギアによって噛み合って同期する両側ボビンの正/逆回転によって胸郭帯の長さを調節する長さ調節手段とを含む心肺蘇生装置において、
前記長さ調節手段による胸郭帯の長さ変動値に基づいて施術対象者の胸囲を測定する胸囲測定手段を備えており、
前記胸囲測定手段は、
前記長さ調節手段の一側ギアと結合して連動する変動ギア部;
前記変動ギア部の正/逆回転を検知して胸郭帯の長さに対する変動値を測定する長さ変動値測定部;および
前記長さ変動値測定部によって測定される胸郭帯の長さ変動値に基づいて施術対象者の胸囲を演算する胸囲演算部;を含むことを特徴とする心肺蘇生装置。
【請求項6】
施術対象者の胸部を圧迫する圧迫手段が胸部を圧迫する時に胸郭を引き締めて収縮させる胸郭帯、前記胸郭帯を収納するギアによって噛み合って同期する両側ボビンの正/逆回転によって胸郭帯の長さを調節する長さ調節手段、および人工呼吸を施す呼吸手段を含む心肺蘇生装置において、
前記長さ調節手段による胸郭帯の長さ変動値に基づいて施術対象者の胸囲を測定する胸囲測定手段;
外部からの施術対象者に対する特性情報を基準にして相応する逆算数式を選別し、前記逆算数式に胸囲を代入して施術対象者に対する体形情報を分析する体形分析手段;
前記体形分析手段による体形情報を相応する換算数式に代入して施術対象者に好適な圧迫深さおよび人工呼吸量を算出する制御演算手段;および
前記圧迫深さおよび呼吸量に基づいて前記圧迫手段および呼吸手段を制御するマイクロコンピュータ;を含むことを特徴とする心肺蘇生装置。
【請求項7】
前記体形分析手段は、
前記施術対象者に対する胸囲を該当逆算数式に代入して胸厚さを算出する胸厚さ算出手段;をさらに含むことを特徴とする、請求項6に記載の心肺蘇生装置。
【請求項8】
前記体形分析手段は、
前記施術対象者に対する胸囲を該当逆算数式に代入して体重を算出する体重算出手段;をさらに含むことを特徴とする、請求項6に記載の心肺蘇生装置。
【請求項9】
制御演算手段は、
前記施術対象者に対する胸厚さを該当換算数式に代入して適正圧迫深さを算出する圧迫深さ算出手段;をさらに含むことを特徴とする、請求項6に記載の心肺蘇生装置。
【請求項10】
制御演算手段は、
前記施術対象者に対する体重を該当換算数式に代入して適正呼吸量を算出する呼吸量算出手段;をさらに含むことを特徴とする、請求項6に記載の心肺蘇生装置。
【請求項11】
前記逆算数式は、
胸厚さ=k+l*胸囲、
体重=m+n*胸囲、
(ここで、k、l、m、nは性別、年齢に応じて算定される定数、単位は国際単位(SI)である。)であることを特徴とする、請求項6に記載の心肺蘇生装置。
【請求項12】
前記換算数式は、
圧迫深さ=胸厚さ*0.25、
呼吸量=体重*6.5、
(ここで、単位は国際単位(SI)である。)であることを特徴とする、請求項8に記載の心肺蘇生装置。
【請求項13】
前記胸囲測定手段は、
下記数式:
Y=aX+bX+c、
(ここで、a、b、c:測定定数であり、XはDC抵抗値、Yは胸囲、範囲は67<=Y<=157、1500<=X<=4300であり、単位は国際単位(SI)である。)を利用して胸囲を測定することを特徴とする、請求項6に記載の心肺蘇生装置。
【請求項14】
前記胸囲測定手段は、
前記長さ調節手段の一側ギアと結合して連動する変動ギア部;
前記変動ギア部の正/逆回転を検知して胸郭帯の長さに対する変動値を測定する長さ変動値測定部;および
前記長さ変動値測定部によって測定される胸郭帯の長さ変動値に基づいて施術対象者の胸囲を演算する胸囲演算部;を含むことを特徴とする、請求項6に記載の心肺蘇生装置。
【請求項15】
前記長さ変動値測定部は、ポテンショメータ(Potentiometer)であることを特徴とする、請求項14に記載の心肺蘇生装置。
【請求項16】
前記圧迫手段は、
前記施術対象者の胸郭を圧迫する圧迫部と;
前記圧迫部を駆動する圧迫駆動部と;
前記圧迫駆動部に設けられ、施術対象者の胸郭を圧迫する圧迫深さを測定する圧迫深さ検出部;とをさらに含み
前記圧迫深さ検出部は間接測定センサであることを特徴とする、請求項6に記載の心肺蘇生装置。
【請求項17】
前記呼吸手段は、
呼吸酸素を排出させる人工呼吸部と;
前記人工呼吸部に設けられ、排出される呼吸酸素の量を測定する呼吸量検出部;とをさらに含むことを特徴とする、請求項6に記載の心肺蘇生装置。
【請求項18】
前記呼吸手段は、
前記人工呼吸部を介して排出される呼吸酸素の圧力を測定する呼吸圧力検出部と;
前記呼吸圧力検出部によって測定される呼吸酸素の圧力が一定限度を超える前に呼吸酸素の供給を遮断する呼吸供給遮断部;とをさらに含むことを特徴とする、請求項17に記載の心肺蘇生装置。
【請求項19】
請求項6による心肺蘇生装置を用いる心肺蘇生方法において、
前記長さ調節手段による胸郭帯の長さ変動値に基づいて施術対象者の胸囲を測定する胸囲測定ステップ;
前記施術対象者に対する特性情報を受信する特性情報受信ステップ;
前記特性情報を基準にして相応する逆算数式を選別し、前記逆算数式に胸囲を代入して施術対象者に対する体形情報を分析する体形分析ステップ;
前記体形分析手段による体形情報を相応する換算数式に代入して施術対象者に好適な圧迫深さおよび人工呼吸量を算出する制御演算ステップ;および
前記圧迫深さおよび呼吸量に基づいて前記圧迫手段および呼吸手段を制御して施術対象者に心肺蘇生術を施す心肺蘇生ステップ;を含むことを特徴とする心肺蘇生方法。
【請求項20】
前記体形分析ステップは、
前記特性情報に応じて対象者の体形を分類する体形分類ステップ;および
前記分類した体形に基づいて相応する逆算数式を選別する数式選別ステップ;をさらに含むことを特徴とする、請求項19に記載の心肺蘇生方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公表番号】特表2010−538734(P2010−538734A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−524775(P2010−524775)
【出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【国際出願番号】PCT/KR2008/005261
【国際公開番号】WO2009/035235
【国際公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(510068138)
【出願人】(510068149)フーメッド カンパニー リミテッド (1)
【Fターム(参考)】