体液サンプリング装置およびこのような装置とともに使用される試験媒体カセット
【課題】装置が不正確な試験結果をもたらす可能性を軽減するかまたは排除する毛管設計を提供する体液をサンプリングするためのシステムおよび方法を提供すること。
【解決手段】汚染されていない部分が巻回される供給リールを含む供給部と、試験媒体テープのうちの体液により汚染された部分を格納する保存部であって、試験媒体テープの汚染された部分が巻回される巻き取りリールを含む保存部と、供給部と保存部との間に設けられ、試験媒体テープの一部を体液に露出する露出部とを含む試験カセットと、カセットの露出部で試験媒体テープにおいて採取された体液の少なくとも1つの特性を検知するために、供給部と保存部との間に設けられたセンサとからなり、巻き取りリールが、試験媒体テープが除去されずに保存部内に供給され得るように、巻き取りリールを回転させる、付勢されたカセット爪と係合する歯が刻設された部分を有している。
【解決手段】汚染されていない部分が巻回される供給リールを含む供給部と、試験媒体テープのうちの体液により汚染された部分を格納する保存部であって、試験媒体テープの汚染された部分が巻回される巻き取りリールを含む保存部と、供給部と保存部との間に設けられ、試験媒体テープの一部を体液に露出する露出部とを含む試験カセットと、カセットの露出部で試験媒体テープにおいて採取された体液の少なくとも1つの特性を検知するために、供給部と保存部との間に設けられたセンサとからなり、巻き取りリールが、試験媒体テープが除去されずに保存部内に供給され得るように、巻き取りリールを回転させる、付勢されたカセット爪と係合する歯が刻設された部分を有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は体液サンプリング装置およびこのような装置とともに使用される試験媒体カセットに関する。本願は、2001年6月8日に出願された米国特許仮出願第60/296,989号の権利を主張するものであり、その全体を本願において参照文献として援用する。
【背景技術】
【0002】
本発明は体液サンプリング装置に関し、より詳細には、ただし排他的な意味ではないが、体液を試験するのに使用される試験媒体を含んでいる試験媒体カセットを内蔵している体液サンプリング装置に関する。
【0003】
一般的な流体試験
体液の採取および試験は多くの目的に有用であり、医療診断および処置のためおよびその他のさまざまな用途のために重要性が増し続けている。試験はさまざまな体液について実行することができ、ある一定の用途については特に血液および/または組織間液の試験に関している。医療状態を特定し、治療に対する反応を決定し、処置の進み具合を評価するために、このような流体は流体のさまざまな特徴、または流体に含まれている検体について試験することができる。
【0004】
一般的な試験工程
体液の試験は基本的に流体サンプルを取得する工程、サンプルを試験装置に転送する工程、流体サンプルに試験を行う工程、および結果を表示する工程を伴う。これらの工程は一般に複数の別々の機器または装置によって実行される。
【0005】
採取−血管
流体サンプルを採取するための方法の1つとして、血液サンプルを引き抜くために中空の針または注射器を静脈または動脈に挿入することが挙げられる。しかしながら、このような直接的な血管血液サンプリングには痛み、感染、血腫およびその他の出血問題といったいくつかの制約がある可能性がある。さらに、直接的な血管血液サンプリングは定期的に繰り返すには適しておらず、非常に困難となり得、患者に自分自身に対して実行するように勧められるものではない。
【0006】
採取−切り込み
体液サンプルを収集するための他の一般的な技術として皮膚に切り込みを形成して皮膚表面に流体をもたらすことが挙げられる。ランセット、ナイフまたはその他の切断機器を使って皮膚に切り込みを形成する。得られた血液または組織間液標本は次に小型チューブまたはその他の容器内に収集されるか、または直接試験片に接触して配置される。流体供給源として指先が頻繁に使用される、なぜなら指先は高度に血管化されているため大量の血液を生み出すからである。しかしながら指先はまた神経末端も大量に集中しているため痛みを伴う可能性がある。手のひら、前腕、耳たぶなどといった別のサンプリング部位をサンプリングに利用することができ、これらは痛みが少ない。しかしながら、これらはまた生成する血液の量がより少ない。したがってこれらの別の部位は一般に、比較的少量の流体を必要とする試験システムについてだけの使用、または切り込み部位からの体液の圧出を容易にするための工程が行われる場合に適している。
【0007】
皮膚を切り込むためのさまざまな方法およびシステムが当該分野において公知である。例示的な切り込み装置がたとえば、特許文献1〜7に示されている。代表的な市販の切り込み装置はアキュ−チェック ソフトクリックス(Accu-Chek Softclix)(商品名)ランセットである。
【0008】
圧出
患者は切り込みを取り巻く領域に対して圧力をかけるなどして流体を切り込み部位へと促し切り込みから流体を搾り出すまたは噴出させるよう頻繁に指示される。切り込みからの体液の圧出を容易にするための機械的な装置もまた公知である。このような装置は、たとえば特許文献3〜5および特許文献7〜10に示されている。切り込みから体液の圧出を促進する代表的な市販の製品はアミラ アトラスト ブラッド グルコース システム(Amira AtLast blood glucose system)(商品名)である。
【0009】
サンプリング
生成された流体の採取は、これ以後は流体の「サンプリング」と称するが、さまざまな形態をとり得る。一旦流体標本が切り込みにおいて皮膚表面にやってくると、サンプリング装置は流体に接触して配置される。このような装置は、たとえば、チューブまたは試験片が切り込みを形成する前に切り込み部位の隣に配置されるか、または切り込みが形成されたあと直ちに切り込みへと移動されるシステムを備え得る。サンプリングチューブは吸引によるかまたは毛管現象により流体を採取し得る。このようなサンプリングシステムには、たとえば特許文献6、11および12に示されているシステムが挙げられる。市販のサンプリング装置の例としてはロッシュ コンパクト(Roche Compact)(商品名)、アミラ アトラスト(Amira AtLast)(商品名)、グルコミター エリート(Glucometer Elite)(商品名)およびセラセンス フリースタイル(Therasense FreeStyle)試験片(商品名)が挙げられる。
【0010】
試験一般
体液サンプルは、当該分野において公知であるようにさまざまな特性または構成要素について分析され得る。たとえば、このような分析は赤血球容積、血糖、凝結、鉛、鉄などに向けられる。試験システムはサンプリングされた流体を分析するための光学的(たとえば反射率、吸収、蛍光、ラマンなど)、電気化学的、および磁気手段といった手段を備えている。このような試験システムの例としては、特許文献13〜15のものが挙げられる。
【0011】
典型的には、試験システムは試験される体液と試験システムに存在する試薬とのあいだの反応を利用する。たとえば、光学的試験片は一般に色の変化、すなわち、使用されている試薬システムによって形成される色素によって吸収されるまたは反射される波長の変化に依存している。たとえば、特許文献16〜18を参照のこと。
【0012】
血糖
一般的な医療試験は血糖値の測定である。血糖値は血液を分析することによって直接、または組織間液といった他の流体を分析することによって間接的に決定することができる。糖尿病患者は一般に、彼らの糖尿病の性質および深刻さにしたがって一日に数回自分の血糖値を測定するよう指示される。測定された血糖値において観察されたパターンに基づいて、また食事制限、運動、およびその他の要因といった問題点も考慮して患者および医師は投与すべきインシュリンの適切なレベルを決定する。
【0013】
体液中の糖といった検体の存在を試験する場合、オキシダーゼ/ペロキシダーゼ検出化学を使って起こる酸化/還元反応を利用する試験システムが一般に使用される。試験試薬は適切な時間体液のサンプルに露出され、もし検体(糖)が存在すれば色の変化がある。典型的には、この変化の強度はサンプル中の検体の濃度に比例する。そして試薬の色が、サンプルに存在する検体の量を決定できるようにする公知の基準と比較される。このような決定は、たとえば目視検査によるかまたは選択された波長における反射率光電分光光度計、または血糖メータといった機器によって行うことができる。構成要素の特性について体液を試験するための電気化学的およびその他のシステムもまた公知である。
【0014】
本発明では切り込みから受け取られる体液のサンプリングの向上に対する対応がなされている。適切な量の流体を得て目的とする試験を達成することを確実にすることが望ましい。流体が採取されたこと、そしてその量が十分であることを表示する手段を備えることも望ましい。従来の技術は試験領域につながっている均一な内径を持つ毛管チューブを使用してきた。これらの装置は流体の供給量が十分であれば適切に機能する。しかしながら試験領域までの全域を充填するのに十分な量に満たなければ、試験領域は流体を受け取らず試験結果は得られない。あるいは、もし試験領域に到達するのに十分な流体はあるが試験を行うには不十分な量である場合は、装置は不正確な試験結果をもたらす可能性があり、ユーザーは結果が間違っていることに気づかない場合がある。本発明はこれらの問題点を軽減するかまたは排除する毛管設計を提供するものである。
【0015】
試験媒体
上述のように、糖尿病患者は典型的には自分の血糖値を一日中モニタして自分の血糖が許容範囲内にあることを確認しなければならない。いくつかのタイプのサンプリング装置は血液などの体液を吸収しおよび/または試験するための媒体を含んでいる試験片の使用を必要とする。試験後、血液で汚染された試験媒体は生物学的危険物質であると考えられるので汚染された試験片に他の人々がさらされることを避けるため簡単に廃棄される必要がある。このことは特にこの人物がレストランなど家から離れたところにいる場合に不都合である。さらに、個々の試験片は有効期限の異なる他の試験片と簡単に混ざりあってしまう。有効期限の切れた試験片を使用すると間違った読み取りを行う場合があり、その結果、糖尿病患者に対する不適切なインシュリン供与量など患者に不適切な処置が施される可能性がある。
【0016】
【特許文献1】米国再発行特許第35803号明細書
【特許文献2】米国特許第4924879号明細書
【特許文献3】米国特許第5879311号明細書
【特許文献4】米国特許第5857983号明細書
【特許文献5】米国特許第6183489号明細書
【特許文献6】米国特許第6332871号明細書
【特許文献7】米国特許第5964718号明細書
【特許文献8】米国特許第5951492号明細書
【特許文献9】米国特許第5951493号明細書
【特許文献10】米国特許第6086545号明細書
【特許文献11】米国特許第6048352号明細書
【特許文献12】米国特許第6099484号明細書
【特許文献13】米国特許第5824491号明細書
【特許文献14】米国特許第5962215号明細書
【特許文献15】米国特許第5776719号明細書
【特許文献16】米国特許第3802842号明細書
【特許文献17】米国特許第4061468号明細書
【特許文献18】米国特許第4490465号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は、試験領域に到達するのに十分な流体はあるが試験を行うには不十分な量である場合でも、装置が不正確な試験結果をもたらす可能性を軽減するかまたは排除する毛管設計を提供する体液をサンプリングするためのさまざまなシステムおよび方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の1つの側面によると、体液を分析するための体液サンプリング装置が提供されている。このサンプリング装置は、体液を収集するようにされている試験媒体テープを備えた試験媒体カセットを備えている。このカセットは、体液によって汚染されていない、試験媒体テープの非汚染セクションを保存する供給部を備えている。保存部は、体液によって汚染されている試験媒体テープの汚染セクションを保存する。供給部と保存部とのあいだには露出が配置されている。この露出部は試験媒体テープの1つのセクションを体液にさらすようにされている。センサが供給部と前記保存部とのあいだに配置され、カセットの露出部において試験媒体テープに収集された体液の少なくとも1つの特性を検知する。
【0019】
本発明の他の側面は、体液サンプルを収集するための試験カセットに関している。このカセットは、過去の体液サンプルによって汚染されている汚染セクションと非汚染セクションとを持つ試験媒体テープを備えている。カセットは、試験媒体テープの非汚染セクションが封入されている供給部を持つハウジングを備えている。このハウジングは、試験媒体テープの汚染セクションが封入されている保存部を備えている。ハウジングは試験媒体テープが体液にさらされる露出開口部を試験媒体テープに沿って画定している。供給リールがハウジングの供給部に配置され周りに試験媒体テープの非汚染セクションが巻かれる。保存リールがハウジングの保存部に配置され周りに試験媒体テープの汚染セクションが巻かれる。
【0020】
本発明の他の形態、実施態様、目的、特徴、利点、恩恵、および側面は本願に含まれている詳細な図面および説明から明らかとなるはずである。
【発明の効果】
【0021】
試験領域に到達するのに十分な流体はあるが試験を行うには不十分な量である場合でも、装置が不正確な試験結果をもたらす可能性を軽減するかまたは排除する毛管設計を提供する体液をサンプリングするためのさまざまなシステムおよび方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の原理の理解を促すために、ここで図面に図示されている実施態様を参照しこれを説明するために特定の言語を使用する。とはいえこれにより本発明の範囲を制限することを目的とするものではなく、例示される装置におけるこのような変更およびさらなる改変、および本願で例示されるように発明の原理をさらに応用することは、本発明が関連する分野の当業者であれば当然のことながら想達するであろうと考えられることが理解されるであろう。本発明の1つの実施態様を詳細に示すが、明確さを期すために本発明には関係のない特徴のいくつかは示されない場合があることが当業者に理解されるであろう。
【0023】
本発明は試験カセットを内蔵している体液サンプリング装置に関している。カセットは、サンプリング装置内のセンサによって分析される体液サンプルを収集するのに使用される試験媒体を収容している。カセット内の試験媒体はそれぞれの試験の前または後に牽引されて、使用済の試験媒体を廃棄する必要なく連続的に試験を行えるようになっている。試験媒体は手動でまたは自動的に牽引することができる。本発明の1つの側面において、試験媒体は試験前の試験媒体を保護するカバーテープを備えている。他の側面では、試験媒体は1つ以上の通路を画定しており、穿孔装置はユーザーの皮膚を穿孔するためにそこを通ることができる。本発明の他の側面においてカセットは、中に体液サンプルが真空によって試験媒体へと引き込まれる真空型サンプリング装置とともに使用される設計とされている。
【0024】
本発明の1つの実施態様による体液サンプリング装置30を図1から図5に例示する。図1および図4に示すように、サンプリング装置30は穿孔端部34および反対側の、サンプリング端部36を有するハウジング32を備えている。ハウジング32の穿孔部34はサンプリング部36に対してスライド可能である。図4に示すように、穿孔部34は穿孔装置開口部40を有する穿孔装置キャビティ38を画定している。穿孔キャビティ38内には、皮膚を突き刺すのに使用される穿孔装置または部材42がハウジング32の穿孔部34によって覆われており、誤って皮膚を穿孔することがないようになっている。穿孔装置42は皮膚の切り込みを切断して血液などの体液が皮膚の表面に溜まるようにする。1つの実施態様では、穿孔装置42は皮膚の皮膚層(cutaneous layer)を突き刺すのに適したランセットを備えている。当然理解されるごとく、少し例を挙げてみると針、刃など他のタイプの穿孔装置42もまた使用することができる。
【0025】
図4に例示されるように、ハウジング32の穿孔部34はハウジング32のサンプリング部36から延びているスライド部材44にスライド可能に受容されている。穿孔装置42はスライド部材44に取り外し可能に接合されている。スライド部材44のばね46がハウジング32の穿孔部34をサンプリング部36から離れるように付勢し、スライド部材44の停止部材48は穿孔部34がスライド部材44から滑り落ちるのを防止している。通常、ハウジング32の穿孔部34は穿孔装置42を覆っている。一旦穿孔装置34が皮膚に対して押し付けられると、穿孔部34はハウジング32のサンプリング部36に向かって後退し、開口部40を介して穿孔装置42を露出させる。例示されている実施態様では、ハウジング32の穿孔部34は体液を皮膚の表面に引き込むために開口部40の周りに圧縮リング50を持っている。1つの形態では、圧縮リング50は透明でユーザーが体液の溜まるのを見ることができるようになっている。
【0026】
図1を参照すると、体液サンプリング装置30は引き込まれた体液をサンプリングし試験するためのサンプリングシステム52を備えている。図示されるように、サンプリングシステム52は試験カセット54およびセンサ56を備えている。1つの実施態様において、センサ56は光源および収集されたサンプルから反射された光の量を決定するための検出器を備える光学的センサである。しかしながら、体液の検体レベルをモニタするのに他のタイプのセンサ56を使用できることが当然理解されるであろう。たとえば、センサ56はサンプルの電気的および/または電気化学的特性を測定する電気タイプのセンサを備えていてよい。ハウジング32のサンプリング部36は体液採取開口部58を画定しており、ここを通って体液はカセット54に供給される。1つの実施態様において、カセット54はサンプリング装置30に取り外し可能に接合されてカセット54を新しい物と交換できるようになっている。回動カバー60がハウジング32に回動可能に取り付けられている。カバー60はカセット54の廃棄および交換ができるよう開放することができる。
【0027】
図2および図3により詳細に示されているように、カセット54は試験媒体64を取り囲んでいる外側ケーシング62を持っている。例示されている実施態様において、試験媒体64は連続的な片またはテープの形状である。理解されるであろうごとく、試験媒体64は別個の試験セクションにさらに区分することができる。カセット54のケーシング62は、未使用の試験媒体を保存する未露出試験媒体供給部66および使用済みの試験媒体64を保存する露出試験媒体保存部68を画定している。未露出媒体部66および露出媒体部68を一緒に接続することで、露出/試験部70が構成され体液が収集され試験媒体64で試験できるようになる。図示されるように、試験部70は外側側壁72および反対側の内側側壁74を持っている。カセット54の外側側壁72では、ケーシング62が露出開口部76を画定しておりここで試験媒体64が体液にさらされる。露出開口部76の反対側では、ケーシング62の内側側壁74が試験開口部78を画定しておりここでセンサ56は試験媒体64に収集された体液を分析することができる。例示される実施態様では、露出76および試験開口部78は互いに位置あわせされている。他の実施態様では、かわって露出76および試験開口部78は互いにずれていてよい。たとえば、試験開口部78は露出開口部76と比較して露出媒体保存部68により近く配置することができる。
【0028】
カセット54の未露出媒体保存部66では、供給リール80が回転可能に取り付けられており、未使用の試験媒体64が供給リール80の周りに巻かれている。効用に、露出媒体保存部68は内部に回転可能に取り付けられている巻き取りリール82を持っている。露出開口部76において体液にさらされた試験媒体64は巻き取りリール82に巻かれる。他の実施態様では、リール80、82はいずれか一方または両方をカセット54から省略できることが理解されるはずである。リール80および82は両方とも、サンプリング装置30のサンプリング端部36において駆動部材86と係合することのできる駆動キャビティ84を画定している(図4)。図2および図4に示されるように、駆動キャビティ84は駆動部材86のフランジ90とかみ合う切欠き88を持っていて、駆動部材が86がリール80および82を回転できるようにしている。使用済み試験媒体54がカセット54の露出媒体保存部68から絶対に除去されないようにするために、巻き取りリール82は、巻き取りリール82が一方向だけに回転できるようにしている付勢されたカセットつめ94と係合する歯車部92を持っている。これにより、試験媒体64は絶対に露出媒体保存部68だけに供給でき除去されないようになっている。
【0029】
図4および図5に示されるように、サンプリング装置30は試験媒体64をカセット54内で前進させて体液が採取されるたびに新しい試験媒体54が得られるようにする前進または牽引装置96をさらに内蔵している。例示される実施態様において、機械式前進装置96を使って試験媒体64が前進されている。しかしながら、電気的または電気機械組み合わせ式前進装置96もまた使用してよいことが当然理解されるであろう。図4において、前進装置96はハウジング32の穿孔部34に取り付けられているラック部材98を備えている。ラック部材98は穿孔部34から延び巻き取り駆動部材100の近位で終わっている。巻き取り駆動部材100はカセット54内の巻き取りリール82と係合しこれを回転させるように構成されている。ラック部材98は巻き取り駆動部材100の巻き取り駆動歯104と係合するラック歯102をもっている。巻き取り駆動部材100が絶対に一方向だけにしか回転しないようにするために、前進装置96はハウジング32に取り付けられ巻き取り駆動歯104に対して付勢されている前進つめ106を持っている。図5に示されているように、歯102および104は両方とも巻き取り駆動部材100が反時計回りに回転したときにだけ互いにしっかりと係合するように角度がつけられている。例示されている実施態様では、巻き取り駆動部材100に電力が与えられ、そのあいだ供給駆動部材108が自由に回転できる。他の実施態様では、駆動部材100および108は両方とも個々にまたは一緒に電力が与えられてよい。たとえば、電気機械式前進装置96が使用される場合は、駆動部材100および108は両方とも別個の電気モータによって個々に電力が与えられる。
【0030】
再び図1を参照すると、体液サンプリング装置30は試験表示器110、ディスプレイ112、少なくとも1つの制御ボタン114、および握り部116をさらに備えている。例示される実施態様では、握り部116はユーザーがサンプリング装置30をしっかりと握ることを確実なものとするのに役立つ隆起を持っている。試験表示器110は実行された試験の数または現在のカセット54に残っている試験の数のいずれかを表示することができる。ハウジング32は表示窓118を持っておりここを介して表示器110を見ることができる。ディスプレイ112はセンサ56に操作可能に接合されており、センサ56からの読み取り内容を表示する。ボタン114は情報を制御し情報を体液サンプリング装置30に入力するのに使用される。例示される実施態様において、表示器110およびディスプレイ112は別々の構成部材である。しかしながら、表示器110はディスプレイ112に組み込んで単一のユニットを形成できることが当然理解されるであろう。
【0031】
本発明の1つの実施態様による、表示器110を移動させる試験表示器アセンブリ120の詳細な図面を図5に示す。図示されるように、巻き取り駆動部材110は中間歯車124と係合する歯車122を持っている。中間歯車124は表示器110に取り付けられている表示器歯車126に係合する。表示器110は数字128、または他のタイプの文字を持っており、これらはカセット54に採取されたサンプルの数またはカセット54に残っている試験の数を表している。巻き取り駆動部材100がラック部材98によって回転されるにつれて、中間歯車124が回転し、これにより今度は表示器が回転される。例示される実施態様では試験表示器アセンブリ120は機械的に駆動されているが、表示器110は電子的な方法など他の方法で作動できることが当然理解されるであろう。
【0032】
動作時には、ユーザーは穿孔部34の開口部40を皮膚に対して押し付ける。ハウジング32の穿孔部34はサンプリング部36に向かって後退して穿孔装置42を露出させ、皮膚を穿孔する。穿孔部34が後退するにつれて、ラック部材98がカセット54内の試験媒体を前進させるために巻き取り駆動100を回転させ、未使用の試験媒体64が試験に利用できるようにする。一旦ユーザーが穿孔装置42によって体液サンプルを作成すると、ユーザーは体液サンプルの上に開口部58を配置する。体液サンプルの一部は直接または毛管現象によりカセット54の露出開口部76において露出されている未使用の試験媒体64へと移動する。体液サンプルの一部が試験媒体64に付着すると、センサ56がサンプル内の検体材の量を決定する。センサ56からの読み取り内容はディスプレイ112上に示される。次の試験の最中、カセット54はサンプリング装置30が皮膚に押し付けられるのに応じて牽引され、試験媒体64の汚染部分をカセット54の保存部68へと移動させる。当然理解されるように、かわってサンプリング装置30は体液サンプルが収集されるかまたは分析された後に試験媒体64を前進させるように構成することができる。
【0033】
当然理解されるように、カセット54によりユーザーは試験媒体64を取り替えることなく多数の試験を実行できるようになる。一旦試験媒体64が完全に使い切られると、カセット54内の汚染された試験媒体64を安全に廃棄することができる。1つの実施態様において、カセット54によりユーザーは5回から500回の範囲の多数の試験を実行できるようになる。他の実施態様では、カセット54は交換する前に5回から50回の試験を実行するようにされており、さらなる実施態様では、カセット54は約25回の試験を実行するよう設計されている。上述の構成により、本発明によるカセット54はそれぞれの試験の後に発生する生物学的危険物質の量を最小限に抑える、なぜなら試験片をそれぞれの試験の後に廃棄しなくてもよいからである。さらに、試験片はそれぞれの試験中個々に挿入しまた除去しなくてもよいため、本発明によるカセット54により使いやすさおよび便利さが改善される。さらに、カセット54はユーザーが試験片を含んでいる汚物(vile)を携帯する必要がないようにする。
【0034】
本発明の他の実施態様によるカセット54aを図6に示す。図示されるように、カセット54aは未露出媒体供給部66aおよび露出媒体保存部68aを持つ外側カバー60aを持っている。カバー60aの露出部68aは巻き取りリール82aを収容しており、一方未露出部66aは、供給リール80aを収容している。試験媒体64aは供給リール80aおよび巻き取りリール82aのあいだを延びておりかつこれら両方に巻かれている。例示される実施態様において、試験媒体64aは試験テープ132を覆っているカバーテープ130を持っている。カバーテープ130はサンプリング装置130が使用されていないあいだは試験テープ132上の試験薬品を保護するために試験テープ132に対して気密封止を提供している。例示されるように、カセット54aは剥離タブ134、カバーリール136および試験媒体64aをリール80aおよび82aのあいだに案内するためのガイド138をさらに備えている。剥離タブ134はカバーリール136とともに試験テープ132からカバーテープ130を剥離するよう構成されている。供給リール80aおよびカバーリール136の回転を同期させるために、供給リール80aおよびカバーリール136は互いに噛み合っている供給歯車140およびカバー歯車142をそれぞれ持っている。他の実施態様では、カバーリール136の回転は巻き取りリール82aと同期されている。
【0035】
使用中、巻き取りリール82aがサンプリング装置30によって牽引されるにつれて、供給リール80aおよびカバーリール136は両方とも歯車140および142を介して調和して回転する。カバーリール136が回転するにつれて、カバーリール136と剥離タブ134とのあいだでカバーテープ130上に形成される張力によりカバーテープ130が剥離タブ134において試験テープ132から引っ張られる。剥離されたカバーテープ130はカバーリール136に巻かれて保存される。カバーテープ130が除去された後、カバー60aに形成されている露出開口部76aにおいて試験片132が体液サンプルにさらされる。ここで露出された試験テープ132は露出開口部76aに組み込まれている試験開口部78aにおいて試験できる。カセット54aを次に牽引している最中、使用済みの試験片132は巻き取りリール82aに巻かれて保存される。
【0036】
本発明の他の実施態様による体液サンプリング装置144を図7に示す。サンプリング装置144はカセット54b、およびカセット54bに回動可能に取り付けられている回動端148を持つ回動アーム146を備えている。回動端148の反対側には、自由端150において、回動アーム146が穿孔装置42に接合されている。カセット54bと回動アームとのあいだに取り付けられているばね152が回動アーム146の自由端150を付勢し図7の矢印で表されている方向に沿ってカセット54bに向かって移動させる。穿孔装置42をカセット54bから離すように付勢するための解放機構154が回動アーム146の自由端150に接合されている。カセット54bは供給リール80、巻き取りリール82、および両方のリール80、82間に延びておりこれらに巻かれている試験媒体64bを備えている。例示されるように、サンプリング装置144のハウジング156はそこを通って体液サンプルが収集されるサンプル開口部158を画定している。カセット54の試験媒体64bは開口部158と穿孔装置42とのあいだにサンプル開口部158上に配置されている。
【0037】
図8、図9、および図10にさらに詳細に示されるように、本実施態様の試験媒体64bは試験媒体64bに沿って互いに間隔があけられている多数の試験パッド160を備えている。1つの実施態様では、試験パッド160は体液に含まれている特定の構成要素に反応する薬品を含んでいる。1つの形態において、試験パッド160はカリフォルニアのスコットバレーを所在地とするアミラ メディカル(Amira Medical)社製アト・ラスト(AT LAST)(登録商標)血糖システムで利用できる化学パッドを備えている。他の実施態様では、体液サンプルは試験パッド160に収集されて電気的および/または光学的分析にかけられる。それぞれの試験パッド160に対して、試験媒体64bは毛管現象によって体液を試験パッド160へと引き込むのに使用されるブリスターパック162を持っている。試験媒体64bの牽引中、スリットまたは穴などの毛管開口部163(図8)が流体サンプリング装置144のレーザーなどの切断装置によってブリスターパック162に切り込まれるまたは穿孔される。例示される実施態様では、開口部163はスリットの形態をとっている。毛管スリット163は毛管現象によって体液をブリスターパック162内へと引き込むのに使用される。例示される実施態様において、ブリスターパック162は矩形に形成されている試験パッド160の内部に適合する円形の形状を持っており、試験パッド160の部分がブリスターパック164を越えて延びるようになっている。1つの形態では、ブリスターパック164は試験パッド160を覆っており接着材および/または熱封止により試験媒体64bに取り付けられているプラスチックフィルムである。さらに、1つの実施態様では、試験媒体64bは透明または半透明であり体液を光学的に分析できるようにしている。図9および図10に示されるように、それぞれのブリスターパック162は毛管現象によりスリット163を通って流体が試験パッド160まで引き上げられる手助けをする凸型表面164を持っている。体液を収集するために皮膚の近くとなるよう、試験パッド160およびブリスターパック162は両方とも試験媒体64bの外側170に配置される。他の実施態様ではブリスターパック162が省略されており、体液の収集中体液が直接試験パッド160に接触するようになっている。それぞれの試験パッド160間に、試験媒体64bは穿孔装置穴または通路166を画定している。穿孔装置通路166は試験媒体64bの内側168から外側170へと延びている。通路166は穿孔装置42が皮膚を穿孔するために試験媒体64bを通って延びることができる寸法とされている。他の実施態様では、試験媒体64bは穿孔装置42によって穿孔されるように設計されており通路166が必要でないようになっている。
【0038】
試験中、ユーザーはサンプリング装置144のサンプル開口部158を自分の皮膚172に対して配置する(図7および図10)。次に、ユーザーはリリース154をはずして回動アーム146の穿孔装置42が試験媒体64bに向かって移動するようにする。回動アーム146が回転するにつれて、穿孔装置42は通路166を通って延び皮膚172を穿孔する(図10)。皮膚172を穿孔した後、穿孔装置42は皮膚172から後退して離れ通路166から出る。1つの実施態様では、穿孔装置42は、穿孔装置42を最初に前進させて皮膚172を切開するのに使用される発射ばねの反動によって後退される。皮膚172が穿孔された部位では、体液が集まり毛管現象によってブリスターパック162のスリット162により試験パッド160へと引き上げられる。使用済みの試験媒体64bを巻き取りリール82に保存するために、カセット54bの試験媒体64bは試験が行われる前または後に機械的にまたは手動で前進させることができる。1つの実施態様では、カセットの試験媒体64bは回動アーム146がカセット54bに向かって揺動すると自動的に前進する。他の実施態様では、試験媒体64bはサンプルが収集されて試験された後に手動で前進される。
【0039】
本発明の他の実施態様による体液サンプリング装置174を図11に示す。サンプリング装置174は、トリガ機構176に回動可能に接合されている回動アーム146に接合された穿孔装置42を持っている。サンプリング装置174の回動アーム146およびトリガ機構176は両方とも回動可能にハウジング178に接合されている。ハウジング178はサンプル開口部158を画定している。回動アーム146および穿孔装置42は、穿孔装置42が開口部158を通って揺動し皮膚を穿孔することができるようにハウジング178内に配置されている。サンプリング装置174はさらに、揺動アーム182を介してハウジング178に回動可能に取り付けられているカセット−センサアセンブリ180を備えている。図示されているように、カセット−センサアセンブリ180はカセット54およびセンサ56を備えている。センサ56は取り付けアーム184を介してカセット54の近位にそしてカセット54に固定された状態で取り付けられている。カセット−センサアセンブリ180の揺動アーム182は多数の方法で動かすことができる。1つの実施態様では、揺動アーム182がトリガ機構176との機械的連結によって起動され、他の実施態様では、揺動アーム182は電気モータによって動かされる。
【0040】
体液サンプルを採取し試験するために、ユーザーはサンプル開口部158をユーザーの皮膚に対して押し付ける。そしてユーザーはサンプル開口部158を介して穿孔装置42を揺動させてユーザーの皮膚を穿孔するためにトリガ機構176を起こしトリガ機構176を解放する。その後、穿孔装置42は血液などの体液のサンプルが皮膚に集まるにつれてハウジング178内へと後退して戻る。1つの形態では、穿孔装置42は皮膚を切開するのに最初に使用される発射ばねの反動によって後退される。体液サンプルを収集し試験するために、揺動アーム182はカセットセンサアセンブリ180を開口部158の上で揺動させる。サンプルがカセット54内の試験媒体64に付着した後、センサ56は収集されたサンプルを分析する。1つの形態では、センサ56はサンプルの光学的特性を分析する光学式センサである。他の形態では、センサ56はサンプルの電気的特性を分析する。
【0041】
上述のように、センサ56は多数の技術を使って体液サンプルを分析することができる。1つの実施態様では、センサ56はサンプルの電気化学的特性を分析する。図12に示されている他の実施態様では、センサ56はサンプリングされた体液の光学的特性を遠隔的に検出する光学的センサシステム186を備えている。光学的センサシステム186は遠隔に配置されている光源/検出器188を備えており、これは体液サンプリング装置の内部または外部に配置することができるものである。光源/検出器188は光を照射し反射された光の量および/または周波数を決定するのに適した構成部材を採用している。限定的でない例として、光源/検出器188は発光ダイオード(LED)、フォトダイオードなどを備えることができる。このような構成により、本発明による光学的センサシステム186はよりコンパクトなサンプリング装置およびカセット設計を見込んでいる。図示されるように、一対の光ファイバケーブル190が光源/検出器188に接合されている。光ファイバケーブル190は伝送ケーブル192および検出ケーブル194を備えている。光ファイバケーブル190は光源/検出器188から試験媒体64の近位にある試験領域196へと延びている。試験領域196において、伝送ケーブル192は光を照射するようにされているエミッタ196に接合されており、そして検出ケーブル194は光を受光するようにされている検出器200に接合されている。
【0042】
試験中、体液サンプルが試験媒体64に配置された後、光源/検出器188は伝送ケーブル192を介してエミッタ198から光を照射する。エミッタ198から商社された光は試験媒体64上の体液サンプルで反射され、反射光が検出器200を介して光源/検出器188によって検出される。光源/検出器188はサンプルの検体量を決定するために、体液サンプルから反射された光の量および/または周波数を分析する。本願で使用されまた従来の方法で使用されているように、体液の分析について言及する場合、選択された試薬と体液との反応結果の分析も含んでいる。
【0043】
本発明によるサンプリング装置に一体化することができる体液試験システム202を図13に示す。試験システム202は真空アセンブリ204、穿孔アセンブリ206、センサ56、および試験媒体64cを備えている。例示される実施態様において、試験媒体64cはカセットケースに収容されていない。かわりに、試験媒体64cは供給リール80と巻き取りリール82に巻かれそれらのあいだに延びている。試験媒体64cをカセットケース内に入れることができることは当然理解されるであろう。図示されるように、試験媒体64cは内側208および反対の外側210を持っている。真空アセンブリ204、穿孔アセンブリ206、およびセンサ56は試験媒体64cに沿って供給リール80と巻き取りリール82とのあいだに配置されている。特に、真空アセンブリ204およびセンサ56は両方とも、センサ56が巻き取りリール82と真空アセンブリ204とのあいだに配置された状態で内側208に配置されている。穿孔アセンブリ206は試験媒体64cの外側210に真空アセンブリ204と反対側に配置されている。
【0044】
真空アセンブリ204は、体液サンプルを試験媒体64c上および/または内に引き込むために真空を生成するようにされている。真空アセンブリ204は、それらに限られるわけではないが、少し例を挙げてみると事前充填真空装置、電磁駆動絞り真空装置および/または機械的真空装置を備えることができる。例示される実施態様では、真空アセンブリ204は真空キャビティ214を画定している本体212を持っている。試験媒体64cの近くで、本体212は真空キャビティ214内に開口している真空口216を画定している。ピストン218が真空キャビティ214内にスライド可能に受容されている。真空キャビティ214内に真空を形成するためにソレノイド220を使ってピストン218が起動される。
【0045】
図13に示されるように、穿孔アセンブリ206は穿孔装置42a、穿孔装置42aを保持するホルダ222、および保護カバー224を備えている。例示される実施態様では、穿孔装置42aはユーザーの皮膚を穿孔するようにされている遠位先端部226および近位先端部228を持っている。図15に描かれているように、穿孔装置42aは遠位先端部226から近位先端部228へと延びているキャビティ227を画定している。キャビティ227はユーザーから試験媒体64cへと体液を輸送する。再び図13を参照すると、保護カバー224は穿孔装置42aの遠位先端部226を覆って人物が誤って穿孔装置42aで切断されないようにしている。ホルダ222は穿孔装置42aに巻かれたコイルばね230を備えており、穿孔装置42aを取り外して他の穿孔装置42aと交換することができるようになっている。図示されるように、ホルダ222は外側ホルダ部材234によって取り囲まれている中空の、内側ホルダ部材232を持っている。穿孔装置42aはコイルばね230とともに内側ホルダ部材232内に受容されている。試験中、穿孔装置42aの近位先端部228が試験媒体64cを穿孔しすぎてしまうことを防止するために、内側ホルダ部材232は穿孔装置42aと係合する停止段つき部236を持っている。ホルダ222はさらに、通常穿孔装置42aを試験媒体64cから離すように付勢する折りたたみ可能な付勢部材238を備えている。穿孔中ホルダ222が皮膚に対して押し付けられると、付勢部材238が折りたたまれて穿孔装置42aの近位先端部228が試験媒体64cを穿孔できるようになる。
【0046】
図14および図15に示されているように、試験媒体64cは別々の体液サンプルを収集するようにされた多数の試験セクション240を持っている。それぞれの試験セクション240は、封止膜244と試験媒体64cに画定されている真空通路246とのあいだに配置されている試験パッド242を持っている。1つの実施態様では、試験パッド242には試験の目的で特定の体液構成要素と反応する薬品が埋め込まれている。他の実施態様では、試験パッド242は体液サンプルを収集し吸収してセンサ56によって分析するようにされている。試験媒体64cの外側210には、封止膜244が試験膜242を封止している。内側208には、真空アセンブリ204の真空口216と位置あわせされるように真空通路246が適合されて、真空アセンブリ204が真空通路246内および試験パッド242の周りに真空(低圧領域)を形成できるようになっている。封止244は真空を試験パッド242の周りに維持できると同時に穿孔装置42aによって突き刺されることのできる適切な素材でできている(図15)。封止244は、少し例を挙げてみるとゴムおよび/またはシリコンなどさまざまなタイプの封止素材で形成できる。
【0047】
上述のように、体液サンプルを試験するため、穿孔装置42aで皮膚を切開するためにユーザーは皮膚に対してホルダ222を押し付ける。穿孔装置42aが皮膚を穿孔するにつれて、付勢部材238が折りたたまれて近位先端部228で試験媒体64cを突き刺す。図15に示すように、封止244が近位先端部228によって突き刺されその周りを封止する。真空アセンブリ204は試験パッド242上に流体サンプルを引き込むために真空通路内に真空を形成する。一旦試験パッド242上にサンプルが収集されると、ホルダ22が皮膚から取り外され真空アセンブリ204が動作を止める。そして試験パッド242がセンサ56の近位に牽引されて分析される。
【0048】
本発明を図面および上述の説明で詳細に例示し説明してきたが、これらは例示的なものに過ぎず特徴を制限するものではなく、単に好ましい実施態様が示され説明されたのであり、本発明の精神の範囲内で行われるすべての変更および改変は保護されることが望まれることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の1つの実施態様による体液サンプリング装置の部分断面図である。
【図2】図1のサンプリング装置に使用される試験カセットおよびセンサの断面図である。
【図3】図2のカセットの部分側面図である。
【図4】図1のサンプリング装置の断面図である。
【図5】図1のサンプリング装置の牽引機構の正面図である。
【図6】本発明の他の実施態様による試験カセットの断面図である。
【図7】本発明の他の実施態様による体液サンプリング装置の断面図である。
【図8】図7のサンプリング装置に使用される試験媒体の正面図である。
【図9】図8の試験媒体の側面図である。
【図10】図7のサンプリング装置からの穿孔装置を伴う図8の試験媒体の側面図である。
【図11】本発明の他の実施態様による流体サンプリング装置の断面図である。
【図12】本発明の他の実施態様によるセンサシステムの線図である。
【図13】本発明の他の実施態様による体液試験システムの断面図である。
【図14】図13のサンプリング装置に使用される試験媒体の断面図である。
【図15】図14の試験媒体の一部の拡大断面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は体液サンプリング装置およびこのような装置とともに使用される試験媒体カセットに関する。本願は、2001年6月8日に出願された米国特許仮出願第60/296,989号の権利を主張するものであり、その全体を本願において参照文献として援用する。
【背景技術】
【0002】
本発明は体液サンプリング装置に関し、より詳細には、ただし排他的な意味ではないが、体液を試験するのに使用される試験媒体を含んでいる試験媒体カセットを内蔵している体液サンプリング装置に関する。
【0003】
一般的な流体試験
体液の採取および試験は多くの目的に有用であり、医療診断および処置のためおよびその他のさまざまな用途のために重要性が増し続けている。試験はさまざまな体液について実行することができ、ある一定の用途については特に血液および/または組織間液の試験に関している。医療状態を特定し、治療に対する反応を決定し、処置の進み具合を評価するために、このような流体は流体のさまざまな特徴、または流体に含まれている検体について試験することができる。
【0004】
一般的な試験工程
体液の試験は基本的に流体サンプルを取得する工程、サンプルを試験装置に転送する工程、流体サンプルに試験を行う工程、および結果を表示する工程を伴う。これらの工程は一般に複数の別々の機器または装置によって実行される。
【0005】
採取−血管
流体サンプルを採取するための方法の1つとして、血液サンプルを引き抜くために中空の針または注射器を静脈または動脈に挿入することが挙げられる。しかしながら、このような直接的な血管血液サンプリングには痛み、感染、血腫およびその他の出血問題といったいくつかの制約がある可能性がある。さらに、直接的な血管血液サンプリングは定期的に繰り返すには適しておらず、非常に困難となり得、患者に自分自身に対して実行するように勧められるものではない。
【0006】
採取−切り込み
体液サンプルを収集するための他の一般的な技術として皮膚に切り込みを形成して皮膚表面に流体をもたらすことが挙げられる。ランセット、ナイフまたはその他の切断機器を使って皮膚に切り込みを形成する。得られた血液または組織間液標本は次に小型チューブまたはその他の容器内に収集されるか、または直接試験片に接触して配置される。流体供給源として指先が頻繁に使用される、なぜなら指先は高度に血管化されているため大量の血液を生み出すからである。しかしながら指先はまた神経末端も大量に集中しているため痛みを伴う可能性がある。手のひら、前腕、耳たぶなどといった別のサンプリング部位をサンプリングに利用することができ、これらは痛みが少ない。しかしながら、これらはまた生成する血液の量がより少ない。したがってこれらの別の部位は一般に、比較的少量の流体を必要とする試験システムについてだけの使用、または切り込み部位からの体液の圧出を容易にするための工程が行われる場合に適している。
【0007】
皮膚を切り込むためのさまざまな方法およびシステムが当該分野において公知である。例示的な切り込み装置がたとえば、特許文献1〜7に示されている。代表的な市販の切り込み装置はアキュ−チェック ソフトクリックス(Accu-Chek Softclix)(商品名)ランセットである。
【0008】
圧出
患者は切り込みを取り巻く領域に対して圧力をかけるなどして流体を切り込み部位へと促し切り込みから流体を搾り出すまたは噴出させるよう頻繁に指示される。切り込みからの体液の圧出を容易にするための機械的な装置もまた公知である。このような装置は、たとえば特許文献3〜5および特許文献7〜10に示されている。切り込みから体液の圧出を促進する代表的な市販の製品はアミラ アトラスト ブラッド グルコース システム(Amira AtLast blood glucose system)(商品名)である。
【0009】
サンプリング
生成された流体の採取は、これ以後は流体の「サンプリング」と称するが、さまざまな形態をとり得る。一旦流体標本が切り込みにおいて皮膚表面にやってくると、サンプリング装置は流体に接触して配置される。このような装置は、たとえば、チューブまたは試験片が切り込みを形成する前に切り込み部位の隣に配置されるか、または切り込みが形成されたあと直ちに切り込みへと移動されるシステムを備え得る。サンプリングチューブは吸引によるかまたは毛管現象により流体を採取し得る。このようなサンプリングシステムには、たとえば特許文献6、11および12に示されているシステムが挙げられる。市販のサンプリング装置の例としてはロッシュ コンパクト(Roche Compact)(商品名)、アミラ アトラスト(Amira AtLast)(商品名)、グルコミター エリート(Glucometer Elite)(商品名)およびセラセンス フリースタイル(Therasense FreeStyle)試験片(商品名)が挙げられる。
【0010】
試験一般
体液サンプルは、当該分野において公知であるようにさまざまな特性または構成要素について分析され得る。たとえば、このような分析は赤血球容積、血糖、凝結、鉛、鉄などに向けられる。試験システムはサンプリングされた流体を分析するための光学的(たとえば反射率、吸収、蛍光、ラマンなど)、電気化学的、および磁気手段といった手段を備えている。このような試験システムの例としては、特許文献13〜15のものが挙げられる。
【0011】
典型的には、試験システムは試験される体液と試験システムに存在する試薬とのあいだの反応を利用する。たとえば、光学的試験片は一般に色の変化、すなわち、使用されている試薬システムによって形成される色素によって吸収されるまたは反射される波長の変化に依存している。たとえば、特許文献16〜18を参照のこと。
【0012】
血糖
一般的な医療試験は血糖値の測定である。血糖値は血液を分析することによって直接、または組織間液といった他の流体を分析することによって間接的に決定することができる。糖尿病患者は一般に、彼らの糖尿病の性質および深刻さにしたがって一日に数回自分の血糖値を測定するよう指示される。測定された血糖値において観察されたパターンに基づいて、また食事制限、運動、およびその他の要因といった問題点も考慮して患者および医師は投与すべきインシュリンの適切なレベルを決定する。
【0013】
体液中の糖といった検体の存在を試験する場合、オキシダーゼ/ペロキシダーゼ検出化学を使って起こる酸化/還元反応を利用する試験システムが一般に使用される。試験試薬は適切な時間体液のサンプルに露出され、もし検体(糖)が存在すれば色の変化がある。典型的には、この変化の強度はサンプル中の検体の濃度に比例する。そして試薬の色が、サンプルに存在する検体の量を決定できるようにする公知の基準と比較される。このような決定は、たとえば目視検査によるかまたは選択された波長における反射率光電分光光度計、または血糖メータといった機器によって行うことができる。構成要素の特性について体液を試験するための電気化学的およびその他のシステムもまた公知である。
【0014】
本発明では切り込みから受け取られる体液のサンプリングの向上に対する対応がなされている。適切な量の流体を得て目的とする試験を達成することを確実にすることが望ましい。流体が採取されたこと、そしてその量が十分であることを表示する手段を備えることも望ましい。従来の技術は試験領域につながっている均一な内径を持つ毛管チューブを使用してきた。これらの装置は流体の供給量が十分であれば適切に機能する。しかしながら試験領域までの全域を充填するのに十分な量に満たなければ、試験領域は流体を受け取らず試験結果は得られない。あるいは、もし試験領域に到達するのに十分な流体はあるが試験を行うには不十分な量である場合は、装置は不正確な試験結果をもたらす可能性があり、ユーザーは結果が間違っていることに気づかない場合がある。本発明はこれらの問題点を軽減するかまたは排除する毛管設計を提供するものである。
【0015】
試験媒体
上述のように、糖尿病患者は典型的には自分の血糖値を一日中モニタして自分の血糖が許容範囲内にあることを確認しなければならない。いくつかのタイプのサンプリング装置は血液などの体液を吸収しおよび/または試験するための媒体を含んでいる試験片の使用を必要とする。試験後、血液で汚染された試験媒体は生物学的危険物質であると考えられるので汚染された試験片に他の人々がさらされることを避けるため簡単に廃棄される必要がある。このことは特にこの人物がレストランなど家から離れたところにいる場合に不都合である。さらに、個々の試験片は有効期限の異なる他の試験片と簡単に混ざりあってしまう。有効期限の切れた試験片を使用すると間違った読み取りを行う場合があり、その結果、糖尿病患者に対する不適切なインシュリン供与量など患者に不適切な処置が施される可能性がある。
【0016】
【特許文献1】米国再発行特許第35803号明細書
【特許文献2】米国特許第4924879号明細書
【特許文献3】米国特許第5879311号明細書
【特許文献4】米国特許第5857983号明細書
【特許文献5】米国特許第6183489号明細書
【特許文献6】米国特許第6332871号明細書
【特許文献7】米国特許第5964718号明細書
【特許文献8】米国特許第5951492号明細書
【特許文献9】米国特許第5951493号明細書
【特許文献10】米国特許第6086545号明細書
【特許文献11】米国特許第6048352号明細書
【特許文献12】米国特許第6099484号明細書
【特許文献13】米国特許第5824491号明細書
【特許文献14】米国特許第5962215号明細書
【特許文献15】米国特許第5776719号明細書
【特許文献16】米国特許第3802842号明細書
【特許文献17】米国特許第4061468号明細書
【特許文献18】米国特許第4490465号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は、試験領域に到達するのに十分な流体はあるが試験を行うには不十分な量である場合でも、装置が不正確な試験結果をもたらす可能性を軽減するかまたは排除する毛管設計を提供する体液をサンプリングするためのさまざまなシステムおよび方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の1つの側面によると、体液を分析するための体液サンプリング装置が提供されている。このサンプリング装置は、体液を収集するようにされている試験媒体テープを備えた試験媒体カセットを備えている。このカセットは、体液によって汚染されていない、試験媒体テープの非汚染セクションを保存する供給部を備えている。保存部は、体液によって汚染されている試験媒体テープの汚染セクションを保存する。供給部と保存部とのあいだには露出が配置されている。この露出部は試験媒体テープの1つのセクションを体液にさらすようにされている。センサが供給部と前記保存部とのあいだに配置され、カセットの露出部において試験媒体テープに収集された体液の少なくとも1つの特性を検知する。
【0019】
本発明の他の側面は、体液サンプルを収集するための試験カセットに関している。このカセットは、過去の体液サンプルによって汚染されている汚染セクションと非汚染セクションとを持つ試験媒体テープを備えている。カセットは、試験媒体テープの非汚染セクションが封入されている供給部を持つハウジングを備えている。このハウジングは、試験媒体テープの汚染セクションが封入されている保存部を備えている。ハウジングは試験媒体テープが体液にさらされる露出開口部を試験媒体テープに沿って画定している。供給リールがハウジングの供給部に配置され周りに試験媒体テープの非汚染セクションが巻かれる。保存リールがハウジングの保存部に配置され周りに試験媒体テープの汚染セクションが巻かれる。
【0020】
本発明の他の形態、実施態様、目的、特徴、利点、恩恵、および側面は本願に含まれている詳細な図面および説明から明らかとなるはずである。
【発明の効果】
【0021】
試験領域に到達するのに十分な流体はあるが試験を行うには不十分な量である場合でも、装置が不正確な試験結果をもたらす可能性を軽減するかまたは排除する毛管設計を提供する体液をサンプリングするためのさまざまなシステムおよび方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の原理の理解を促すために、ここで図面に図示されている実施態様を参照しこれを説明するために特定の言語を使用する。とはいえこれにより本発明の範囲を制限することを目的とするものではなく、例示される装置におけるこのような変更およびさらなる改変、および本願で例示されるように発明の原理をさらに応用することは、本発明が関連する分野の当業者であれば当然のことながら想達するであろうと考えられることが理解されるであろう。本発明の1つの実施態様を詳細に示すが、明確さを期すために本発明には関係のない特徴のいくつかは示されない場合があることが当業者に理解されるであろう。
【0023】
本発明は試験カセットを内蔵している体液サンプリング装置に関している。カセットは、サンプリング装置内のセンサによって分析される体液サンプルを収集するのに使用される試験媒体を収容している。カセット内の試験媒体はそれぞれの試験の前または後に牽引されて、使用済の試験媒体を廃棄する必要なく連続的に試験を行えるようになっている。試験媒体は手動でまたは自動的に牽引することができる。本発明の1つの側面において、試験媒体は試験前の試験媒体を保護するカバーテープを備えている。他の側面では、試験媒体は1つ以上の通路を画定しており、穿孔装置はユーザーの皮膚を穿孔するためにそこを通ることができる。本発明の他の側面においてカセットは、中に体液サンプルが真空によって試験媒体へと引き込まれる真空型サンプリング装置とともに使用される設計とされている。
【0024】
本発明の1つの実施態様による体液サンプリング装置30を図1から図5に例示する。図1および図4に示すように、サンプリング装置30は穿孔端部34および反対側の、サンプリング端部36を有するハウジング32を備えている。ハウジング32の穿孔部34はサンプリング部36に対してスライド可能である。図4に示すように、穿孔部34は穿孔装置開口部40を有する穿孔装置キャビティ38を画定している。穿孔キャビティ38内には、皮膚を突き刺すのに使用される穿孔装置または部材42がハウジング32の穿孔部34によって覆われており、誤って皮膚を穿孔することがないようになっている。穿孔装置42は皮膚の切り込みを切断して血液などの体液が皮膚の表面に溜まるようにする。1つの実施態様では、穿孔装置42は皮膚の皮膚層(cutaneous layer)を突き刺すのに適したランセットを備えている。当然理解されるごとく、少し例を挙げてみると針、刃など他のタイプの穿孔装置42もまた使用することができる。
【0025】
図4に例示されるように、ハウジング32の穿孔部34はハウジング32のサンプリング部36から延びているスライド部材44にスライド可能に受容されている。穿孔装置42はスライド部材44に取り外し可能に接合されている。スライド部材44のばね46がハウジング32の穿孔部34をサンプリング部36から離れるように付勢し、スライド部材44の停止部材48は穿孔部34がスライド部材44から滑り落ちるのを防止している。通常、ハウジング32の穿孔部34は穿孔装置42を覆っている。一旦穿孔装置34が皮膚に対して押し付けられると、穿孔部34はハウジング32のサンプリング部36に向かって後退し、開口部40を介して穿孔装置42を露出させる。例示されている実施態様では、ハウジング32の穿孔部34は体液を皮膚の表面に引き込むために開口部40の周りに圧縮リング50を持っている。1つの形態では、圧縮リング50は透明でユーザーが体液の溜まるのを見ることができるようになっている。
【0026】
図1を参照すると、体液サンプリング装置30は引き込まれた体液をサンプリングし試験するためのサンプリングシステム52を備えている。図示されるように、サンプリングシステム52は試験カセット54およびセンサ56を備えている。1つの実施態様において、センサ56は光源および収集されたサンプルから反射された光の量を決定するための検出器を備える光学的センサである。しかしながら、体液の検体レベルをモニタするのに他のタイプのセンサ56を使用できることが当然理解されるであろう。たとえば、センサ56はサンプルの電気的および/または電気化学的特性を測定する電気タイプのセンサを備えていてよい。ハウジング32のサンプリング部36は体液採取開口部58を画定しており、ここを通って体液はカセット54に供給される。1つの実施態様において、カセット54はサンプリング装置30に取り外し可能に接合されてカセット54を新しい物と交換できるようになっている。回動カバー60がハウジング32に回動可能に取り付けられている。カバー60はカセット54の廃棄および交換ができるよう開放することができる。
【0027】
図2および図3により詳細に示されているように、カセット54は試験媒体64を取り囲んでいる外側ケーシング62を持っている。例示されている実施態様において、試験媒体64は連続的な片またはテープの形状である。理解されるであろうごとく、試験媒体64は別個の試験セクションにさらに区分することができる。カセット54のケーシング62は、未使用の試験媒体を保存する未露出試験媒体供給部66および使用済みの試験媒体64を保存する露出試験媒体保存部68を画定している。未露出媒体部66および露出媒体部68を一緒に接続することで、露出/試験部70が構成され体液が収集され試験媒体64で試験できるようになる。図示されるように、試験部70は外側側壁72および反対側の内側側壁74を持っている。カセット54の外側側壁72では、ケーシング62が露出開口部76を画定しておりここで試験媒体64が体液にさらされる。露出開口部76の反対側では、ケーシング62の内側側壁74が試験開口部78を画定しておりここでセンサ56は試験媒体64に収集された体液を分析することができる。例示される実施態様では、露出76および試験開口部78は互いに位置あわせされている。他の実施態様では、かわって露出76および試験開口部78は互いにずれていてよい。たとえば、試験開口部78は露出開口部76と比較して露出媒体保存部68により近く配置することができる。
【0028】
カセット54の未露出媒体保存部66では、供給リール80が回転可能に取り付けられており、未使用の試験媒体64が供給リール80の周りに巻かれている。効用に、露出媒体保存部68は内部に回転可能に取り付けられている巻き取りリール82を持っている。露出開口部76において体液にさらされた試験媒体64は巻き取りリール82に巻かれる。他の実施態様では、リール80、82はいずれか一方または両方をカセット54から省略できることが理解されるはずである。リール80および82は両方とも、サンプリング装置30のサンプリング端部36において駆動部材86と係合することのできる駆動キャビティ84を画定している(図4)。図2および図4に示されるように、駆動キャビティ84は駆動部材86のフランジ90とかみ合う切欠き88を持っていて、駆動部材が86がリール80および82を回転できるようにしている。使用済み試験媒体54がカセット54の露出媒体保存部68から絶対に除去されないようにするために、巻き取りリール82は、巻き取りリール82が一方向だけに回転できるようにしている付勢されたカセットつめ94と係合する歯車部92を持っている。これにより、試験媒体64は絶対に露出媒体保存部68だけに供給でき除去されないようになっている。
【0029】
図4および図5に示されるように、サンプリング装置30は試験媒体64をカセット54内で前進させて体液が採取されるたびに新しい試験媒体54が得られるようにする前進または牽引装置96をさらに内蔵している。例示される実施態様において、機械式前進装置96を使って試験媒体64が前進されている。しかしながら、電気的または電気機械組み合わせ式前進装置96もまた使用してよいことが当然理解されるであろう。図4において、前進装置96はハウジング32の穿孔部34に取り付けられているラック部材98を備えている。ラック部材98は穿孔部34から延び巻き取り駆動部材100の近位で終わっている。巻き取り駆動部材100はカセット54内の巻き取りリール82と係合しこれを回転させるように構成されている。ラック部材98は巻き取り駆動部材100の巻き取り駆動歯104と係合するラック歯102をもっている。巻き取り駆動部材100が絶対に一方向だけにしか回転しないようにするために、前進装置96はハウジング32に取り付けられ巻き取り駆動歯104に対して付勢されている前進つめ106を持っている。図5に示されているように、歯102および104は両方とも巻き取り駆動部材100が反時計回りに回転したときにだけ互いにしっかりと係合するように角度がつけられている。例示されている実施態様では、巻き取り駆動部材100に電力が与えられ、そのあいだ供給駆動部材108が自由に回転できる。他の実施態様では、駆動部材100および108は両方とも個々にまたは一緒に電力が与えられてよい。たとえば、電気機械式前進装置96が使用される場合は、駆動部材100および108は両方とも別個の電気モータによって個々に電力が与えられる。
【0030】
再び図1を参照すると、体液サンプリング装置30は試験表示器110、ディスプレイ112、少なくとも1つの制御ボタン114、および握り部116をさらに備えている。例示される実施態様では、握り部116はユーザーがサンプリング装置30をしっかりと握ることを確実なものとするのに役立つ隆起を持っている。試験表示器110は実行された試験の数または現在のカセット54に残っている試験の数のいずれかを表示することができる。ハウジング32は表示窓118を持っておりここを介して表示器110を見ることができる。ディスプレイ112はセンサ56に操作可能に接合されており、センサ56からの読み取り内容を表示する。ボタン114は情報を制御し情報を体液サンプリング装置30に入力するのに使用される。例示される実施態様において、表示器110およびディスプレイ112は別々の構成部材である。しかしながら、表示器110はディスプレイ112に組み込んで単一のユニットを形成できることが当然理解されるであろう。
【0031】
本発明の1つの実施態様による、表示器110を移動させる試験表示器アセンブリ120の詳細な図面を図5に示す。図示されるように、巻き取り駆動部材110は中間歯車124と係合する歯車122を持っている。中間歯車124は表示器110に取り付けられている表示器歯車126に係合する。表示器110は数字128、または他のタイプの文字を持っており、これらはカセット54に採取されたサンプルの数またはカセット54に残っている試験の数を表している。巻き取り駆動部材100がラック部材98によって回転されるにつれて、中間歯車124が回転し、これにより今度は表示器が回転される。例示される実施態様では試験表示器アセンブリ120は機械的に駆動されているが、表示器110は電子的な方法など他の方法で作動できることが当然理解されるであろう。
【0032】
動作時には、ユーザーは穿孔部34の開口部40を皮膚に対して押し付ける。ハウジング32の穿孔部34はサンプリング部36に向かって後退して穿孔装置42を露出させ、皮膚を穿孔する。穿孔部34が後退するにつれて、ラック部材98がカセット54内の試験媒体を前進させるために巻き取り駆動100を回転させ、未使用の試験媒体64が試験に利用できるようにする。一旦ユーザーが穿孔装置42によって体液サンプルを作成すると、ユーザーは体液サンプルの上に開口部58を配置する。体液サンプルの一部は直接または毛管現象によりカセット54の露出開口部76において露出されている未使用の試験媒体64へと移動する。体液サンプルの一部が試験媒体64に付着すると、センサ56がサンプル内の検体材の量を決定する。センサ56からの読み取り内容はディスプレイ112上に示される。次の試験の最中、カセット54はサンプリング装置30が皮膚に押し付けられるのに応じて牽引され、試験媒体64の汚染部分をカセット54の保存部68へと移動させる。当然理解されるように、かわってサンプリング装置30は体液サンプルが収集されるかまたは分析された後に試験媒体64を前進させるように構成することができる。
【0033】
当然理解されるように、カセット54によりユーザーは試験媒体64を取り替えることなく多数の試験を実行できるようになる。一旦試験媒体64が完全に使い切られると、カセット54内の汚染された試験媒体64を安全に廃棄することができる。1つの実施態様において、カセット54によりユーザーは5回から500回の範囲の多数の試験を実行できるようになる。他の実施態様では、カセット54は交換する前に5回から50回の試験を実行するようにされており、さらなる実施態様では、カセット54は約25回の試験を実行するよう設計されている。上述の構成により、本発明によるカセット54はそれぞれの試験の後に発生する生物学的危険物質の量を最小限に抑える、なぜなら試験片をそれぞれの試験の後に廃棄しなくてもよいからである。さらに、試験片はそれぞれの試験中個々に挿入しまた除去しなくてもよいため、本発明によるカセット54により使いやすさおよび便利さが改善される。さらに、カセット54はユーザーが試験片を含んでいる汚物(vile)を携帯する必要がないようにする。
【0034】
本発明の他の実施態様によるカセット54aを図6に示す。図示されるように、カセット54aは未露出媒体供給部66aおよび露出媒体保存部68aを持つ外側カバー60aを持っている。カバー60aの露出部68aは巻き取りリール82aを収容しており、一方未露出部66aは、供給リール80aを収容している。試験媒体64aは供給リール80aおよび巻き取りリール82aのあいだを延びておりかつこれら両方に巻かれている。例示される実施態様において、試験媒体64aは試験テープ132を覆っているカバーテープ130を持っている。カバーテープ130はサンプリング装置130が使用されていないあいだは試験テープ132上の試験薬品を保護するために試験テープ132に対して気密封止を提供している。例示されるように、カセット54aは剥離タブ134、カバーリール136および試験媒体64aをリール80aおよび82aのあいだに案内するためのガイド138をさらに備えている。剥離タブ134はカバーリール136とともに試験テープ132からカバーテープ130を剥離するよう構成されている。供給リール80aおよびカバーリール136の回転を同期させるために、供給リール80aおよびカバーリール136は互いに噛み合っている供給歯車140およびカバー歯車142をそれぞれ持っている。他の実施態様では、カバーリール136の回転は巻き取りリール82aと同期されている。
【0035】
使用中、巻き取りリール82aがサンプリング装置30によって牽引されるにつれて、供給リール80aおよびカバーリール136は両方とも歯車140および142を介して調和して回転する。カバーリール136が回転するにつれて、カバーリール136と剥離タブ134とのあいだでカバーテープ130上に形成される張力によりカバーテープ130が剥離タブ134において試験テープ132から引っ張られる。剥離されたカバーテープ130はカバーリール136に巻かれて保存される。カバーテープ130が除去された後、カバー60aに形成されている露出開口部76aにおいて試験片132が体液サンプルにさらされる。ここで露出された試験テープ132は露出開口部76aに組み込まれている試験開口部78aにおいて試験できる。カセット54aを次に牽引している最中、使用済みの試験片132は巻き取りリール82aに巻かれて保存される。
【0036】
本発明の他の実施態様による体液サンプリング装置144を図7に示す。サンプリング装置144はカセット54b、およびカセット54bに回動可能に取り付けられている回動端148を持つ回動アーム146を備えている。回動端148の反対側には、自由端150において、回動アーム146が穿孔装置42に接合されている。カセット54bと回動アームとのあいだに取り付けられているばね152が回動アーム146の自由端150を付勢し図7の矢印で表されている方向に沿ってカセット54bに向かって移動させる。穿孔装置42をカセット54bから離すように付勢するための解放機構154が回動アーム146の自由端150に接合されている。カセット54bは供給リール80、巻き取りリール82、および両方のリール80、82間に延びておりこれらに巻かれている試験媒体64bを備えている。例示されるように、サンプリング装置144のハウジング156はそこを通って体液サンプルが収集されるサンプル開口部158を画定している。カセット54の試験媒体64bは開口部158と穿孔装置42とのあいだにサンプル開口部158上に配置されている。
【0037】
図8、図9、および図10にさらに詳細に示されるように、本実施態様の試験媒体64bは試験媒体64bに沿って互いに間隔があけられている多数の試験パッド160を備えている。1つの実施態様では、試験パッド160は体液に含まれている特定の構成要素に反応する薬品を含んでいる。1つの形態において、試験パッド160はカリフォルニアのスコットバレーを所在地とするアミラ メディカル(Amira Medical)社製アト・ラスト(AT LAST)(登録商標)血糖システムで利用できる化学パッドを備えている。他の実施態様では、体液サンプルは試験パッド160に収集されて電気的および/または光学的分析にかけられる。それぞれの試験パッド160に対して、試験媒体64bは毛管現象によって体液を試験パッド160へと引き込むのに使用されるブリスターパック162を持っている。試験媒体64bの牽引中、スリットまたは穴などの毛管開口部163(図8)が流体サンプリング装置144のレーザーなどの切断装置によってブリスターパック162に切り込まれるまたは穿孔される。例示される実施態様では、開口部163はスリットの形態をとっている。毛管スリット163は毛管現象によって体液をブリスターパック162内へと引き込むのに使用される。例示される実施態様において、ブリスターパック162は矩形に形成されている試験パッド160の内部に適合する円形の形状を持っており、試験パッド160の部分がブリスターパック164を越えて延びるようになっている。1つの形態では、ブリスターパック164は試験パッド160を覆っており接着材および/または熱封止により試験媒体64bに取り付けられているプラスチックフィルムである。さらに、1つの実施態様では、試験媒体64bは透明または半透明であり体液を光学的に分析できるようにしている。図9および図10に示されるように、それぞれのブリスターパック162は毛管現象によりスリット163を通って流体が試験パッド160まで引き上げられる手助けをする凸型表面164を持っている。体液を収集するために皮膚の近くとなるよう、試験パッド160およびブリスターパック162は両方とも試験媒体64bの外側170に配置される。他の実施態様ではブリスターパック162が省略されており、体液の収集中体液が直接試験パッド160に接触するようになっている。それぞれの試験パッド160間に、試験媒体64bは穿孔装置穴または通路166を画定している。穿孔装置通路166は試験媒体64bの内側168から外側170へと延びている。通路166は穿孔装置42が皮膚を穿孔するために試験媒体64bを通って延びることができる寸法とされている。他の実施態様では、試験媒体64bは穿孔装置42によって穿孔されるように設計されており通路166が必要でないようになっている。
【0038】
試験中、ユーザーはサンプリング装置144のサンプル開口部158を自分の皮膚172に対して配置する(図7および図10)。次に、ユーザーはリリース154をはずして回動アーム146の穿孔装置42が試験媒体64bに向かって移動するようにする。回動アーム146が回転するにつれて、穿孔装置42は通路166を通って延び皮膚172を穿孔する(図10)。皮膚172を穿孔した後、穿孔装置42は皮膚172から後退して離れ通路166から出る。1つの実施態様では、穿孔装置42は、穿孔装置42を最初に前進させて皮膚172を切開するのに使用される発射ばねの反動によって後退される。皮膚172が穿孔された部位では、体液が集まり毛管現象によってブリスターパック162のスリット162により試験パッド160へと引き上げられる。使用済みの試験媒体64bを巻き取りリール82に保存するために、カセット54bの試験媒体64bは試験が行われる前または後に機械的にまたは手動で前進させることができる。1つの実施態様では、カセットの試験媒体64bは回動アーム146がカセット54bに向かって揺動すると自動的に前進する。他の実施態様では、試験媒体64bはサンプルが収集されて試験された後に手動で前進される。
【0039】
本発明の他の実施態様による体液サンプリング装置174を図11に示す。サンプリング装置174は、トリガ機構176に回動可能に接合されている回動アーム146に接合された穿孔装置42を持っている。サンプリング装置174の回動アーム146およびトリガ機構176は両方とも回動可能にハウジング178に接合されている。ハウジング178はサンプル開口部158を画定している。回動アーム146および穿孔装置42は、穿孔装置42が開口部158を通って揺動し皮膚を穿孔することができるようにハウジング178内に配置されている。サンプリング装置174はさらに、揺動アーム182を介してハウジング178に回動可能に取り付けられているカセット−センサアセンブリ180を備えている。図示されているように、カセット−センサアセンブリ180はカセット54およびセンサ56を備えている。センサ56は取り付けアーム184を介してカセット54の近位にそしてカセット54に固定された状態で取り付けられている。カセット−センサアセンブリ180の揺動アーム182は多数の方法で動かすことができる。1つの実施態様では、揺動アーム182がトリガ機構176との機械的連結によって起動され、他の実施態様では、揺動アーム182は電気モータによって動かされる。
【0040】
体液サンプルを採取し試験するために、ユーザーはサンプル開口部158をユーザーの皮膚に対して押し付ける。そしてユーザーはサンプル開口部158を介して穿孔装置42を揺動させてユーザーの皮膚を穿孔するためにトリガ機構176を起こしトリガ機構176を解放する。その後、穿孔装置42は血液などの体液のサンプルが皮膚に集まるにつれてハウジング178内へと後退して戻る。1つの形態では、穿孔装置42は皮膚を切開するのに最初に使用される発射ばねの反動によって後退される。体液サンプルを収集し試験するために、揺動アーム182はカセットセンサアセンブリ180を開口部158の上で揺動させる。サンプルがカセット54内の試験媒体64に付着した後、センサ56は収集されたサンプルを分析する。1つの形態では、センサ56はサンプルの光学的特性を分析する光学式センサである。他の形態では、センサ56はサンプルの電気的特性を分析する。
【0041】
上述のように、センサ56は多数の技術を使って体液サンプルを分析することができる。1つの実施態様では、センサ56はサンプルの電気化学的特性を分析する。図12に示されている他の実施態様では、センサ56はサンプリングされた体液の光学的特性を遠隔的に検出する光学的センサシステム186を備えている。光学的センサシステム186は遠隔に配置されている光源/検出器188を備えており、これは体液サンプリング装置の内部または外部に配置することができるものである。光源/検出器188は光を照射し反射された光の量および/または周波数を決定するのに適した構成部材を採用している。限定的でない例として、光源/検出器188は発光ダイオード(LED)、フォトダイオードなどを備えることができる。このような構成により、本発明による光学的センサシステム186はよりコンパクトなサンプリング装置およびカセット設計を見込んでいる。図示されるように、一対の光ファイバケーブル190が光源/検出器188に接合されている。光ファイバケーブル190は伝送ケーブル192および検出ケーブル194を備えている。光ファイバケーブル190は光源/検出器188から試験媒体64の近位にある試験領域196へと延びている。試験領域196において、伝送ケーブル192は光を照射するようにされているエミッタ196に接合されており、そして検出ケーブル194は光を受光するようにされている検出器200に接合されている。
【0042】
試験中、体液サンプルが試験媒体64に配置された後、光源/検出器188は伝送ケーブル192を介してエミッタ198から光を照射する。エミッタ198から商社された光は試験媒体64上の体液サンプルで反射され、反射光が検出器200を介して光源/検出器188によって検出される。光源/検出器188はサンプルの検体量を決定するために、体液サンプルから反射された光の量および/または周波数を分析する。本願で使用されまた従来の方法で使用されているように、体液の分析について言及する場合、選択された試薬と体液との反応結果の分析も含んでいる。
【0043】
本発明によるサンプリング装置に一体化することができる体液試験システム202を図13に示す。試験システム202は真空アセンブリ204、穿孔アセンブリ206、センサ56、および試験媒体64cを備えている。例示される実施態様において、試験媒体64cはカセットケースに収容されていない。かわりに、試験媒体64cは供給リール80と巻き取りリール82に巻かれそれらのあいだに延びている。試験媒体64cをカセットケース内に入れることができることは当然理解されるであろう。図示されるように、試験媒体64cは内側208および反対の外側210を持っている。真空アセンブリ204、穿孔アセンブリ206、およびセンサ56は試験媒体64cに沿って供給リール80と巻き取りリール82とのあいだに配置されている。特に、真空アセンブリ204およびセンサ56は両方とも、センサ56が巻き取りリール82と真空アセンブリ204とのあいだに配置された状態で内側208に配置されている。穿孔アセンブリ206は試験媒体64cの外側210に真空アセンブリ204と反対側に配置されている。
【0044】
真空アセンブリ204は、体液サンプルを試験媒体64c上および/または内に引き込むために真空を生成するようにされている。真空アセンブリ204は、それらに限られるわけではないが、少し例を挙げてみると事前充填真空装置、電磁駆動絞り真空装置および/または機械的真空装置を備えることができる。例示される実施態様では、真空アセンブリ204は真空キャビティ214を画定している本体212を持っている。試験媒体64cの近くで、本体212は真空キャビティ214内に開口している真空口216を画定している。ピストン218が真空キャビティ214内にスライド可能に受容されている。真空キャビティ214内に真空を形成するためにソレノイド220を使ってピストン218が起動される。
【0045】
図13に示されるように、穿孔アセンブリ206は穿孔装置42a、穿孔装置42aを保持するホルダ222、および保護カバー224を備えている。例示される実施態様では、穿孔装置42aはユーザーの皮膚を穿孔するようにされている遠位先端部226および近位先端部228を持っている。図15に描かれているように、穿孔装置42aは遠位先端部226から近位先端部228へと延びているキャビティ227を画定している。キャビティ227はユーザーから試験媒体64cへと体液を輸送する。再び図13を参照すると、保護カバー224は穿孔装置42aの遠位先端部226を覆って人物が誤って穿孔装置42aで切断されないようにしている。ホルダ222は穿孔装置42aに巻かれたコイルばね230を備えており、穿孔装置42aを取り外して他の穿孔装置42aと交換することができるようになっている。図示されるように、ホルダ222は外側ホルダ部材234によって取り囲まれている中空の、内側ホルダ部材232を持っている。穿孔装置42aはコイルばね230とともに内側ホルダ部材232内に受容されている。試験中、穿孔装置42aの近位先端部228が試験媒体64cを穿孔しすぎてしまうことを防止するために、内側ホルダ部材232は穿孔装置42aと係合する停止段つき部236を持っている。ホルダ222はさらに、通常穿孔装置42aを試験媒体64cから離すように付勢する折りたたみ可能な付勢部材238を備えている。穿孔中ホルダ222が皮膚に対して押し付けられると、付勢部材238が折りたたまれて穿孔装置42aの近位先端部228が試験媒体64cを穿孔できるようになる。
【0046】
図14および図15に示されているように、試験媒体64cは別々の体液サンプルを収集するようにされた多数の試験セクション240を持っている。それぞれの試験セクション240は、封止膜244と試験媒体64cに画定されている真空通路246とのあいだに配置されている試験パッド242を持っている。1つの実施態様では、試験パッド242には試験の目的で特定の体液構成要素と反応する薬品が埋め込まれている。他の実施態様では、試験パッド242は体液サンプルを収集し吸収してセンサ56によって分析するようにされている。試験媒体64cの外側210には、封止膜244が試験膜242を封止している。内側208には、真空アセンブリ204の真空口216と位置あわせされるように真空通路246が適合されて、真空アセンブリ204が真空通路246内および試験パッド242の周りに真空(低圧領域)を形成できるようになっている。封止244は真空を試験パッド242の周りに維持できると同時に穿孔装置42aによって突き刺されることのできる適切な素材でできている(図15)。封止244は、少し例を挙げてみるとゴムおよび/またはシリコンなどさまざまなタイプの封止素材で形成できる。
【0047】
上述のように、体液サンプルを試験するため、穿孔装置42aで皮膚を切開するためにユーザーは皮膚に対してホルダ222を押し付ける。穿孔装置42aが皮膚を穿孔するにつれて、付勢部材238が折りたたまれて近位先端部228で試験媒体64cを突き刺す。図15に示すように、封止244が近位先端部228によって突き刺されその周りを封止する。真空アセンブリ204は試験パッド242上に流体サンプルを引き込むために真空通路内に真空を形成する。一旦試験パッド242上にサンプルが収集されると、ホルダ22が皮膚から取り外され真空アセンブリ204が動作を止める。そして試験パッド242がセンサ56の近位に牽引されて分析される。
【0048】
本発明を図面および上述の説明で詳細に例示し説明してきたが、これらは例示的なものに過ぎず特徴を制限するものではなく、単に好ましい実施態様が示され説明されたのであり、本発明の精神の範囲内で行われるすべての変更および改変は保護されることが望まれることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の1つの実施態様による体液サンプリング装置の部分断面図である。
【図2】図1のサンプリング装置に使用される試験カセットおよびセンサの断面図である。
【図3】図2のカセットの部分側面図である。
【図4】図1のサンプリング装置の断面図である。
【図5】図1のサンプリング装置の牽引機構の正面図である。
【図6】本発明の他の実施態様による試験カセットの断面図である。
【図7】本発明の他の実施態様による体液サンプリング装置の断面図である。
【図8】図7のサンプリング装置に使用される試験媒体の正面図である。
【図9】図8の試験媒体の側面図である。
【図10】図7のサンプリング装置からの穿孔装置を伴う図8の試験媒体の側面図である。
【図11】本発明の他の実施態様による流体サンプリング装置の断面図である。
【図12】本発明の他の実施態様によるセンサシステムの線図である。
【図13】本発明の他の実施態様による体液試験システムの断面図である。
【図14】図13のサンプリング装置に使用される試験媒体の断面図である。
【図15】図14の試験媒体の一部の拡大断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体液を採取するための試験媒体テープ(64)と、
該試験媒体テープ(64)のうちの体液により汚染されていない部分を格納する供給部(66)であって、当該汚染されていない部分が巻回される供給リール(80)を含む供給部(66)と、
前記試験媒体テープ(64)のうちの体液により汚染された部分を格納する保存部(68)であって、前記試験媒体テープ(64)の汚染された部分が巻回される巻き取りリール(82)を含む保存部(68)と、
前記供給部(66)と保存部(68)との間に設けられ、前記試験媒体テープ(64)の一部を体液に露出する露出部(70)と
を含む試験カセット(54)と、
前記カセット(54)の露出部(70)で前記試験媒体テープ(64)において採取された体液の少なくとも1つの特性を検知するために、前記供給部(66)と保存部(68)との間に設けられたセンサと
からなり、前記巻き取りリール(82)が、前記試験媒体テープ(64)が除去されずに保存部(68)内に供給され得るように、前記巻き取りリール(82)を一方向だけに回転させる、付勢されたカセット爪(94)と係合する歯が刻設された部分を有してなることを特徴する体液を分析するための体液サンプリング装置。
【請求項2】
前記試験媒体テープ(64)が、当該試験媒体テープ(64)を保護するためのカバーテープ(130)と、体液に対して露出する前に前記試験媒体テープ(64)から前記カバーテープ(130)を剥離するようにされて、前記カバーテープ(130)に取り付けられたカバーリール(136)とを含んでなる請求項1記載の体液サンプリング装置。
【請求項3】
皮膚に孔をあける窄孔装置(42)を備え、前記試験媒体テープ(64)が、窄孔中に前記試験媒体テープ(64、64a、64b、64c)を貫く前記窄孔装置(42)の通過を可能にする通路を画定している請求項1または2記載の体液サンプリング装置。
【請求項4】
皮膚に孔をあける窄孔装置(42)と、該窄孔装置(42)による皮膚の窄孔に応答して前記試験媒体テープ(64)を前進させる前進装置(96)とをさらに備えてなる体液サンプリング装置。
【請求項5】
前記カセット(54)内に残留している複数の利用可能な試験を表示するための試験表示器(110)を備えてなる請求項1記載の体液サンプリング装置。
【請求項6】
前記センサ(56)が、前記カセット(54)から離間して設けられた光源/検出器(188)と、
前記光源/検出器(188)に接合された光伝送手段(190、192)であって、前記試験媒体テープ(64)に前記光源/検出器(188)からの光を伝送する光伝送手段(190、192)と、
前記光源/検出器(188)に接合され、前記試験媒体テープ(64)からの反射光を受光し、当該反射光を分析のために前記光源/検出器(188)へ伝送する光検出手段(190、194)と
を含んでなる請求項1記載の体液サンプリング装置。
【請求項7】
前記カセット内で試験媒体テープ(64)を前進させる前進装置(96)を備えてなる請求項1記載の体液サンプリング装置。
【請求項8】
前記前進装置(96)が機械式から手動式に操作される請求項7記載の体液サンプリング装置。
【請求項9】
前記前進装置(96)が電気式または電気−機械式の前進装置である請求項7記載の体液サンプリング装置。
【請求項10】
体液を採取するための試験媒体テープ(64)と、
当該体液に汚染されていない試験媒体テープ(64)の汚染されていない部分を格納する供給部(66)であって、前記試験媒体テープ(64)の汚染されていない部分が巻回される供給リール(80、80a)を含む供給部と、
当該体液によって汚染されている試験媒体テープ(64)の汚染された部分を格納する保存部(68)であって、前記試験媒体テープ(64)の汚染された部分が巻回される巻き取りリール(82)を含む保存部(68)と、
前記供給部(66)と保存部(68)との間に設けられ、当該体液に対して前記試験媒体テープ(64)の一部を露出する露出部(70)と
を備え、前記巻き取りリール(82)が、除去されずに前記保存部(68)に試験媒体テープ(64)が供給され得るように当該巻き取りリール(82)を一方向のみに回転させる、付勢カセット爪を係合する歯が刻設された部分を有してなることを特徴とする体液サンプリング装置。
【請求項1】
体液を採取するための試験媒体テープ(64)と、
該試験媒体テープ(64)のうちの体液により汚染されていない部分を格納する供給部(66)であって、当該汚染されていない部分が巻回される供給リール(80)を含む供給部(66)と、
前記試験媒体テープ(64)のうちの体液により汚染された部分を格納する保存部(68)であって、前記試験媒体テープ(64)の汚染された部分が巻回される巻き取りリール(82)を含む保存部(68)と、
前記供給部(66)と保存部(68)との間に設けられ、前記試験媒体テープ(64)の一部を体液に露出する露出部(70)と
を含む試験カセット(54)と、
前記カセット(54)の露出部(70)で前記試験媒体テープ(64)において採取された体液の少なくとも1つの特性を検知するために、前記供給部(66)と保存部(68)との間に設けられたセンサと
からなり、前記巻き取りリール(82)が、前記試験媒体テープ(64)が除去されずに保存部(68)内に供給され得るように、前記巻き取りリール(82)を一方向だけに回転させる、付勢されたカセット爪(94)と係合する歯が刻設された部分を有してなることを特徴する体液を分析するための体液サンプリング装置。
【請求項2】
前記試験媒体テープ(64)が、当該試験媒体テープ(64)を保護するためのカバーテープ(130)と、体液に対して露出する前に前記試験媒体テープ(64)から前記カバーテープ(130)を剥離するようにされて、前記カバーテープ(130)に取り付けられたカバーリール(136)とを含んでなる請求項1記載の体液サンプリング装置。
【請求項3】
皮膚に孔をあける窄孔装置(42)を備え、前記試験媒体テープ(64)が、窄孔中に前記試験媒体テープ(64、64a、64b、64c)を貫く前記窄孔装置(42)の通過を可能にする通路を画定している請求項1または2記載の体液サンプリング装置。
【請求項4】
皮膚に孔をあける窄孔装置(42)と、該窄孔装置(42)による皮膚の窄孔に応答して前記試験媒体テープ(64)を前進させる前進装置(96)とをさらに備えてなる体液サンプリング装置。
【請求項5】
前記カセット(54)内に残留している複数の利用可能な試験を表示するための試験表示器(110)を備えてなる請求項1記載の体液サンプリング装置。
【請求項6】
前記センサ(56)が、前記カセット(54)から離間して設けられた光源/検出器(188)と、
前記光源/検出器(188)に接合された光伝送手段(190、192)であって、前記試験媒体テープ(64)に前記光源/検出器(188)からの光を伝送する光伝送手段(190、192)と、
前記光源/検出器(188)に接合され、前記試験媒体テープ(64)からの反射光を受光し、当該反射光を分析のために前記光源/検出器(188)へ伝送する光検出手段(190、194)と
を含んでなる請求項1記載の体液サンプリング装置。
【請求項7】
前記カセット内で試験媒体テープ(64)を前進させる前進装置(96)を備えてなる請求項1記載の体液サンプリング装置。
【請求項8】
前記前進装置(96)が機械式から手動式に操作される請求項7記載の体液サンプリング装置。
【請求項9】
前記前進装置(96)が電気式または電気−機械式の前進装置である請求項7記載の体液サンプリング装置。
【請求項10】
体液を採取するための試験媒体テープ(64)と、
当該体液に汚染されていない試験媒体テープ(64)の汚染されていない部分を格納する供給部(66)であって、前記試験媒体テープ(64)の汚染されていない部分が巻回される供給リール(80、80a)を含む供給部と、
当該体液によって汚染されている試験媒体テープ(64)の汚染された部分を格納する保存部(68)であって、前記試験媒体テープ(64)の汚染された部分が巻回される巻き取りリール(82)を含む保存部(68)と、
前記供給部(66)と保存部(68)との間に設けられ、当該体液に対して前記試験媒体テープ(64)の一部を露出する露出部(70)と
を備え、前記巻き取りリール(82)が、除去されずに前記保存部(68)に試験媒体テープ(64)が供給され得るように当該巻き取りリール(82)を一方向のみに回転させる、付勢カセット爪を係合する歯が刻設された部分を有してなることを特徴とする体液サンプリング装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−22775(P2009−22775A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−236503(P2008−236503)
【出願日】平成20年9月16日(2008.9.16)
【分割の表示】特願2006−183538(P2006−183538)の分割
【原出願日】平成14年6月7日(2002.6.7)
【出願人】(501205108)エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト (285)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月16日(2008.9.16)
【分割の表示】特願2006−183538(P2006−183538)の分割
【原出願日】平成14年6月7日(2002.6.7)
【出願人】(501205108)エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト (285)
【Fターム(参考)】
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