体液溢出防止シース
図示のデバイスおよび方法は、関節内視鏡手術の際、体液溢出の最小化を実現する。この体液溢出防止シースによって、外科医は、関節内視鏡手術処置の間、術野を囲む軟部組織からの過剰な液体を排出することが可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、関節内視鏡手術の分野に関し、さらに詳細には、肩の関節内視鏡手術の際の体液管理が可能な体液溢出防止シース関する。
【背景技術】
【0002】
最小侵襲手術の際、手術器具、例えば、トロカール、カニューレ、および、医用光学装置、例えば、内視鏡、膀胱鏡、関節内視鏡、腹腔鏡などを含む光学装置は、小さな切開創または入口を通じて患者の体または体腔に挿入され、患者の体内において手術処置を実行するよう操作される。最小侵襲外科処置は、開放手術よりも安全であり、より速やかな患者の回復、より短い入院滞在期間、およびより低い健康管理コストをもたらす。したがって、侵襲度を最小に留めることは常に重要であり、この目標を実現する装置および方法は常に求められている。最小侵襲外科技術が利点とされる一つの領域は、肩の手術である。肩の手術は、ここ数年で、開放的外科処置から関節内視鏡による術処置へと進化している。この進化は、装置、器具、およびインプラントにおける技術的進歩の結果である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
手術時、関節を広げ、出血をコントロールするために、流体が手術部位に導入される。肩の内視鏡手術に関わる大きな不安は、体液の溢出である。体液の溢出とは、細胞間液、例えば、血液、還流液、または薬剤などの、注液部位周囲の組織における集積である。肩および肩甲骨周辺領域の軟部組織へ漏れ出た液は、患者に対し有害な作用をもたらす可能性がある。このような作用のいくつかとして、気管圧迫、関節部における血液または凝固塊の蓄積(関節血症)、静脈における血液凝固塊の形成(血栓静脈炎)、動脈損傷、神経損傷、関節周囲の血管および神経の圧迫(仕切り症候群)、および感染が挙げられる。これらの作用は、患者に苦痛および不快をもたらし、より長い回復期間の原因となる。手術の際に起こる体液溢出はさらに、手術がまだ終わらない内に術野の閉塞をもたらすことがあり、このため、外科医は無理に処置を急がされることがある。
【0004】
体液溢出によって引き起こされるこれらの作用があるため、肩の内視鏡手術時において体液溢出を抑えるための装置および方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
【0006】
請求項1記載の発明は、体内手術部位において関節内視鏡手術を実行するための、関節内視鏡器具と共に使用される体液溢出防止シースであって、遠位部分、近位部分、外面、内面、内径、および外径によって特徴づけられるチューブを備え、前記チューブの内面から内側に延び、前記チューブに沿って長軸方向に走る複数のリブを有し、前記関節内視鏡器具が前記シースに挿入されると、前記関節内視鏡器具と前記リブの間にシールを形成し、前記リブの少なくとも一つの内部に配され、前記少なくとも一つのリブの中を長軸方向に走る複数の排出腔を有し、該排出腔は、前記チューブの外部と連通しており、前記チューブの遠位部分に少なくとも一つの流入又は流出口が設けられ、前記排出腔と前記流入又は流出口は液的に連通し、前記流入又は流出口から近位側に隔てられて配されるように排出口を少なくとも1つ以上設け、該排出口は、前記チューブの外部と連通しており、手術部位で使用されるとき、前記流入又は流出口が手術部位内に配され、前記排出口が手術部位を被う生体組織内に配されるように設けることを特徴とする体液溢出防止シースである。
【0007】
請求項2記載の発明は、前記リブが、フランジをさらに含み、前記フランジが、関節内視鏡器具が前記シース内に配置された場合、前記リブと前記関節内視鏡器具の外面との間にシールを形成することを特徴とする請求項1記載の体液溢出防止シースである。
【0008】
請求項3記載の発明は、前記リブが、さらに突起を含み、前記突起が、関節内視鏡器具が前記シース内に配置された場合、前記リブと前記関節内視鏡器具の外面との間にシールを形成することを特徴とする請求項1記載の体液溢出防止シースである。
【0009】
請求項4記載の発明は、前記関節内視鏡器具が前記シースの内部に配置されたとき、前記関節内視鏡器具の外面と前記チューブの内面との間に定められる少なくとも一つの外方腔を形成し、該外方腔は前記排出口と液的に連通することを特徴とする請求項1記載の体液溢出防止シースである。
【0010】
請求項5記載の発明は、前記少なくとも一つの排出腔と、前記少なくとも一つの排出口は、液的に連通することを特徴とする請求項1記載の体液溢出防止シースである。
【0011】
請求項6記載の発明は、その近位部分に配置されるハブをさらに含むことを特徴とする請求項1記載の体液溢出防止シースである。
【0012】
請求項7記載の発明は、体内手術部位において関節内視鏡手術を実行するためのシステムであって、関節内視鏡手術処置を実行するのに好適な関節内視鏡器具と、
前記体液溢出防止シースとを備え、該シースが、該シースの内部に配される前記関節内視鏡器具の外面と該シース内面との間に、液が流通することを可能とする大きさおよび形状を持つ内径を有し、該シース内面から内側に延び、前記シースにそって長軸方向に走る少なくとも一つのリブの内部に配される排出腔を有し、前記リブは、前記関節内視鏡器具の外面と、前記シースの内面との間に、少なくとも一つの外方腔を定め、前記シースが、前記関節内視鏡器具の上に取り外し可能に配されることを特徴とする関節内視鏡手術システムである。
【0013】
請求項8記載の発明は、前記排出腔と液的に連通し、前記シースの中央部分に配される少なくとも一つの排出口をさらに含み、該排出口は、該排出腔から該シースの外部まで連通し、手術部位で使用されるとき、チューブ遠位に設けられる流入又は流出口が手術部位内に配され、前記排出口が手術部位を被う生体組織内に配されるように設けることを特徴とする請求項7記載のシステムである。
【0014】
請求項9記載の発明は、前記関節内視鏡が前記シースの内部に配置されたとき、前記関節内視鏡器具の外面と前記チューブの内面との間に定められる少なくとも一つの外方腔と、前記少なくとも一つの流入又は流出口は、液的に連通することを特徴とする請求項7記載のシステムである。
【0015】
請求項10記載の発明は、前記排出腔と液的に連通する真空源をさらに含むことを特徴とする請求項7記載のシステムである。
【0016】
請求項11記載の発明は、関節内視鏡手術を実行するためのシステムであって、
関節内視鏡手術処置を実行するのに好適な関節内視鏡手術器具と、体液溢出防止シースとを備え、該関節内視鏡手術器具の外面に、少なくとも一つの長軸チャンネルを設け、該シースの内面と該シースの内部に配される前記関節内視鏡器具の外面との間に、液が流通することを可能とする大きさおよび形状を持つ内径、および、前記シースに少なくとも一つの排出口、及び/又は流入又は流出口を設け、該シースが、前記チャンネルと前記シースの内面との間に排出腔、又は外方腔を定め、かつ、前記関節内視鏡器具の上に取り外し可能に配置されることを特徴とする前記システムである。
【0017】
請求項12記載の発明は、前記シースの中央部分に配される前記少なくとも一つの排出口が、外方腔と同軸に整列されるとき、該外方腔と液的に連通するように設置されることを特徴とする請求項11記載のシステムである。
【0018】
請求項13記載の発明は、関節内視鏡手術を実行するための方法であって、関節内視鏡手術処置を実行するのに好適な前記関節内視鏡器具を準備すること、前記シースの中央部分に少なくとも一つの排出口を設けた体液溢出防止シースを準備すること、前記シースの中に前記関節内視鏡器具を配置すること、前記少なくとも一つの排出口を、関節内視鏡手術野を取り囲む組織と液的に連通するように設置すること、 前記関節内視鏡器具によって関節内視鏡手術処置を実行すること、および、前記関節内視鏡手術処置の際、前記関節内視鏡手術野を取り囲む組織から前記排出口を通じて液を排出することを含む前記方法である。
【0019】
請求項14記載の発明は、前記関節内視鏡手術野に向かう流体の流入速度を上回る、前記術野を取り囲む組織からの流体の流出速度を実現する工程をさらに含むことを特徴とする請求項13記載の方法である。
【0020】
請求項15記載の発明は、流出速度が流入速度を約10%〜15%上回ることを特徴とする請求項14記載の方法である。
【0021】
請求項16記載の発明は、前記関節内視鏡手術処置が、肩の関節内視鏡手術であることを特徴とする請求項13に記載の方法である。
【0022】
請求項17記載の発明は、体液溢出防止シースであって、関節内視鏡器具の外径の周囲に緊密に合致する大きさおよび形状を持つ内径によって特徴づけられる内部チューブと、前記内部チューブの周囲に配される外部チューブと、前記内部および外部チューブの間に延び、かつ、前記シースの長さにそって走る複数のリブを含み、前記内部チューブ、前記外部チューブ、および前記複数のリブは、前記内部および外部チューブの間に延び、かつ、前記シースの長さにそって走る、複数の外方腔の境界を定め、関節内視鏡手術処置の際、前記外部チューブの中央部分に配される複数の排出口が前記排出腔と液的に連通し、関節内視鏡手術野を取り囲む組織から液体を排出することを特徴とする体液溢出防止シースである。
【0023】
請求項18記載の発明は、前記外部チューブの上に配される滑走可能スリーブをさらに含むことを特徴とする請求項17記載のシースである。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、関節内視鏡手術の際、体液溢出の最小化を実現する。この体液溢出防止シースによって、外科医は、一方で術野に対する液体の流入および流出を実現しながら、同時に術野周囲の軟部組織から液体を排出することが可能となる。このシースは、その中に、関節内視鏡などの関節内視鏡手術器具が挿入される、多腔性チューブである。このシースの近位部分には、液体ポート、マニフォールド、および、該シース内部の液体流を調節する、他の手段が設けられる。このシースの遠位部分には、複数の流入又は流出口が設けられる。シースの本体または中央部分には、複数の排出口が設けられる。各流入又は流出口は、チューブ内部の腔の内の一つ以上と連通し、それによって、流体が、術野と、患者の体外に設置される湧き出し部または吸い込み部との間を流れることが可能となる。各排出口は、チューブ内部の排出腔の内の一つ以上と連通し、それによって、流体が、手術部周辺組織から、患者の体外に設置される吸い込み部に排出されることが可能となる。このシースによって、外科医は、一方では、周辺組織に生じた流体溢出量を抑えながら、同時に澄明な術野を確保し、かつ、第3の還流用具の必要を免れることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。
【0026】
図1は、体液溢出防止シース2を用いて患者の肩1に対して関節内視鏡手術を実行する方法を示す。体液溢出防止シース2は、患者の肩の関節包3の中に挿入されるところが示される。様々な解剖学的目印、例えば、患者の鎖骨4、肩甲骨5、および上腕骨6を含む目印が描かれる。関節内視鏡などの関節内視器具7が、体液溢出防止シースの内部に配置される。
【0027】
肩の関節内視鏡手術の際、外科医は、術野を可視化するために第1ポートを通じて肩に関節内視鏡を挿入する。外科医が、取り除くべきである、または整形すべきであると判断した組織を取り除くか、または整形するために、第2ポートを通じてトリミング器具が挿入される。澄明な視界が維持されるよう、関節を広げるか、および/または術野を還流するために、任意に第3ポートを通じて還流器具が導入されてもよい。関節内視鏡手術において使用される、他の関節内視用器具としては、内視鏡、ゾンデ、鉗子、またはシェイバー(shaver)が挙げられる。
【0028】
図2は、体液溢出防止シースであって、該シースの遠位セクションに流入又は流出口または口を配置させた体液溢出防止シースを示す。この体液溢出防止シースは、強靭な材料、例えば、ナイロン、ポリカーボネートウレタン、ポリウレタン、ポリジメチルシロキサン、およびポリエチレングリコール、またはゴムでできたチューブ8であり、中心腔によって特徴づけられる。この非傷害性シースの内径は、関節内視鏡器具の外径に緊密に合致する大きさ、および形状を持つ。チューブ8は、遠位端10を持つ遠位セクション9、および近位セクション11によって特徴づけられる。
【0029】
チューブの遠位端10は、円錐台形、および、関節内視鏡、および/または剛性カニューレまたはその他の手術器具の遠位端の外径よりも、その直径がやや小さい開口12を備える。それとは別に、先端10は、弓状断面を持っていてもよい。この開口12は、外科医が、該開口12を通じて内視鏡、またはその他の手術器具を手術スペースに挿入することが可能となるように、シースの中に設けられる。
【0030】
シースの遠位セクション9はさらに、患者の体外に置かれる液体供給源または真空源と液的に連通して設置される、流入又は流出口13、開口または口を含む。この流入又は流出口13は、関節包または術野から流出する、またはそれらへ流入する液体流を実現する。
【0031】
チューブの本体または中央部分14には、排出口15が設けられる。この排出口15は、シースが使用される際、関節包3または術野を取り囲む組織と液的に連通するように配置される。この排出口は、意図される手術において、流入又は流出口が関節包内に配置され、排出口が、関節包を覆い、かつ取り囲む生体組織の中に配置されるように選ばれた距離において、流入又は流出口の近位に配される。
【0032】
各排出口15は、チューブの内部に配される、一つ以上の排出腔と連通し、それによって、液体が、関節包3周辺の組織から、患者の体外に設置される吸い込み口へ排出されることが可能となる。
【0033】
シースの近位セクションには、エラストマーから製造されるハブ16が設けられる。これによって、医療担当者が、剛性カニューレ、関節内視鏡、および/または関節内視鏡器具の上に、非傷害性シースを引き上げること、および、それらに対し該シースを確保することが簡単に可能となる。ハブは、液体供給源17、真空源18、または人間工学的ハンドルに結合されるよう適応させることが可能である。体液溢出防止シースの近位セクションにはさらに、取りつけ器具、例えば、ロック型ハブまたはスナップ型ラッチなど、シース2を固定するよう関節内視鏡またはその他の器具の上に配置される取りつけ具または開口に付着する取りつけ器具を設けてもよい。
【0034】
体液溢出防止シース2の外面には、関節内視鏡および剛性カニューレがより容易に手術部位内を移動することを可能とするように、滑らかなコーティングを設けてもよい。例えば、シース2には、テフロン(登録商標)(PTFE、または拡張型ポリテトラフルオロエチレン)コーティングを設けてもよいし、または、水活性化潤滑剤で被覆してもよい。一方、シース2の内面(チューブの腔を定める壁)には、非滑走性コーティング、またはその他の高摩擦係数コーティングを設けてもよい。例えば、シース2の内面を、共に射出成形される、粘性の高い、熱可塑性エラストマー(TPE;Thermoplastic Elastomers)によってコートしてもよい。この非滑走性コーティングによって、シースは、剛性カニューレまたは関節内視鏡の外面の上を楽に滑ることが阻止されるので、この非傷害性シースは、捩れたり、関節内視鏡の周囲を滑走することがなくなる。
【0035】
関節内視鏡7は、遠位において、開口12、および観察される手術スペースから延びる。シースの遠位部分には、流入又は流出口13または口が設けられる。この流入又は流出口13は、シースの中の、一つ以上の、流入/流出外方腔と連通する。外方の、単一または複数腔は、真空源18、液体供給源17、治療薬剤供給源、または、それらの供給源の組み合わせと連通する。このようにして、流入又は流出口は、手術処置の間、術野に対する液体の流入および流出を実現する。
【0036】
シースのチューブおよび遠位端は、同じ、屈曲性の、滅菌消毒が可能なポリマーから製造される。それとは別に、非傷害性、流入/流出シースの遠位端は、シースの近位部分の材料の弾性係数よりも高い弾性係数を持つ弾性材料から製造することが可能である。シースの遠位端は、大抵の関節内視鏡の外径よりもやや小さい内径を有する。
【0037】
シース2を使用する場合、ユーザーは、関節内視鏡7をシース2に挿入する。遠位端は、関節内視鏡の遠位端が滑走してシースの遠位端を通過すると、拡大する。先端の内径は、関節内視鏡の外径よりも小さいので、先端は、関節内視鏡の外面と共にシールを形成する。
【0038】
図3は、体液溢出防止シース2の放射断面図を示し、一方、図4は、シース2の中に関節内視鏡を配置させた、体液溢出防止シース2の放射断面図を示す。シース2は、チューブの壁の内面19を、関節内視鏡の外面20と共に用いて、流入および流出外方腔を形成する。外壁の内面から放射方向に延び、シースにそって長軸方向に走る、別に陸地とも呼ばれる、明瞭な突起経路、または比較的堅固なリブ21は、関節内視鏡の外面20と共にシールを形成し、そうすることによって、四つの外方腔22、23、24、および25を創出する。一つ以上の排出口15が、チューブ本体または中央部分の外面に配置される。この排出口15は、リブ21内部に配される一つ以上の排出腔26と液的に連通する。排出腔26は、シースにそって長軸方向に走り、関節包または術野を囲む組織からの液の流出を収容するのに十分なサイズおよび形状を持つ。シースの別の実施態様では、排出口はまた、一つ以上の外方腔と液的に連通するように設置されてもよい。排出口のサイズは、シースのろ過速度を調節するために使用することも可能である。リブの両端には、リブと関節内視鏡の間に形成されるシールを強化するために、弾性フランジまたは突起を設けてもよい。
【0039】
図4に描かれるように、関節内視鏡は、シースの中央腔27を通じてシースの中に挿入される。関節内視鏡は、挿入前に、二次的保護シースによって覆われていてもよいし、いなくともよい。一旦挿入されると、関節内視鏡の外面はリブ21と接触する。外方腔22、23、24、および25が、リブ、内視鏡の外面、および体液溢出防止シース外壁の内面によって創出される。リブは、圧迫下のシースを支えるので、シースが潰れないようにする長軸支柱として働く。リブは、横断軸における、薄い外壁の、未支持の長さを減らすことになるから、さらにシースの潰れるのを阻止する。リブと関節内視鏡の外面との間の接触によって形成されるシールは、流体が、外方腔22、23、24、および25の間を流れるのを阻止する。外方腔22、23、24、および25は、シースの遠位セクションの流入又は流出口を通る、関節包または術野へ向かう、またはそれらか出る流体の、事実上連続的な流入または流出を促進する。さらに、流出液が、術野の方に戻るのを防ぐために、かつ、流入液が、シースの近位端から流出するのを阻止するために、チェックバルブまたはゲートを、外方腔22、23、24、および25内の流入/流出シースの内面に結合させてもよい。これらの排出腔は、関節包を取り囲む組織からの細胞間液の流出を促進する。
【0040】
関節内視鏡手術処置の際、流入又は流出口を通じて流れる加圧流体を用いて、関節を広げ、関節包、術野または術部位を還流し、組織の出血を阻止する。この加圧流体、血液、および組織破片は、術部位を取り囲む肩組織から、シースの排出口又は孔を通じて排出される。流体、血液、および破片を除去することによって、肩の関節内視鏡手術の際、肩の組織に残される液体の量が抑えられ、それによって体液の溢出は最小化される。体液の溢出を最小とするために、体液溢出最小化デバイスのろ過速度は、周辺組織のろ過速度よりも高くされる。ろ過速度の差は、手術中関節内の圧の維持を助けるために、約10%〜約15%であることが好ましい。
【0041】
図2から4に描かれる体液溢出防止シースは、該シースが、比較的大きな関節において関節内視鏡器具と共に使用されるように製造される場合、通常約5〜8mmの外径を持つ。ただし、このサイズは、関節内視鏡器具の直径に応じて変動してよい。この流入/流出シースが、比較的小さな関節において関節内視鏡器具と共に使用されるように製造される場合、シースは、約2〜5mmの外径を持つ。流入/流出シースの壁の全体厚は、通常、射出成形およびチューブを構成する材料に応じて1mm以下である。流入/流出シースは、シースの指定の直径に対し±10%範囲の関節内視鏡に適合することが可能である。リブは、体液溢出防止シースの内壁から内側に延び、関節内視鏡が挿入された場合、緊密な合致を形成するが、シース内に関節内視鏡を同心円的に保持してもよい。
【0042】
体液溢出防止シース2および関節内視鏡7は、図5、6、および7に描かれるような、人間工学的設計のハンドル32と組み合わせて使用してもよい。図5は、人間工学的ハンドルおよび関節内視鏡と共に使用される体液溢出防止シースを示し、一方、図6は、体液溢出防止シース、関節内視鏡、および人間工学的ハンドルの分解図を示す。ハンドルは、アダプター35を有する剛性カニューレ34を備える関節内視鏡7の近位端を受容するための受容部33を含む。ハンドルおよびシースは、スナップ適合または摩擦適合を介して、取り外し可能的に、シースの近位セクションにおいてハブ16によって結合される。ハンドルには、ユーザーインターフェイス、および、関節内視鏡、および関節内視鏡流体ポンプなどの流体管理システムに対し動作可能的に接続される制御システム36が設けられる。この制御システムは、シースがハンドルに結合されたときに、シースに流入する、およびシースから流出する液体を調節するのに使用してよい。この制御システム36はさらに、関節内視鏡7が動作可能的にハンドル32に接続された場合、該関節内視鏡の焦点を調節するのに使用されてもよい。光ファイバーケーブル37および電気ケーブルが、光学的および電気的結合38を介して、ハンドルの近位部分に動作可能的に結合される。
【0043】
図7は、人間工学的ハンドルおよび関節内視鏡と共に使用される体液溢出防止シースの底面図を示す。ハンドル32はさらに、基底部分40に配される長軸チャンネル39を含む。この長軸チャンネルは、シースに動作可能的に接続される流入/流出チューブ41を収容するのに十分な大きさおよび形状を持つ。チューブ41は、チャンネル39に摺動可能に設ける。このチャンネルは、チューブが、事実上、ユーザーの手首の下を経由することを実現し、従来のシースおよび関節内視鏡に見られるように、ユーザーの手首側を経由させることはない。
【0044】
図8は、図9に示す塞栓子42の上に配置される、体液溢出防止シースまたはカニューレを示す。この体液溢出防止シースは、強靭な材料、例えば、ナイロン、ポリカーボネートウレタン、ポリウレタン、ポリジメチルシロキサン、および、ポリエチレングリコールまたはゴムでできたポリマー製チューブ8であり、中心腔によって特徴づけられる。この非傷害性シースの内径は、塞栓子の外径の上に緊密に合致する大きさ、および形状を持つ。チューブは、遠位端10を持つ遠位セクション9、および近位セクション11によって特徴づけられる。非傷害性シースの遠位端には、円錐台形、および、関節内視鏡、および/または剛性カニューレまたはその他の手術器具の遠位端の外径よりも、その直径がやや小さい開口12を備える。それとは別に、先端は、弓状断面を持っていてもよい。この開口12は、外科医が、該開口を通じて塞栓子を挿入することができるように、シースに設けられる。チューブの本体または中央部分14には、複数の排出口15が一条の直線的配列として設けられる。各排出口は、チューブの内部に配される一つ以上の排出腔と連通し、それによって、液体が、手術部位周辺の組織から、患者の体外に設置される吸い込み口へ排出されることが可能となる。シースの近位セクション11には、エラストマーから製造されるハブ16が設けられ、これによって、医療担当者が、塞栓子、関節内視鏡、および/または関節内視鏡器具の上に、この非傷害性シースを引き上げること、および、それらに対し該シースを確保することが簡単に可能となる。さらに、ハブは、液体供給源、真空源、または人間工学的ハンドルに結合されるよう適応させることが可能である。体液溢出防止シースの近位セクションにはさらに、取りつけ器具、例えば、ロック型ハブまたはスナップ型ラッチなど、シースを固定するために関節内視鏡またはその他の器具の上に配置される取りつけ具または開口に付着する取りつけ器具を設けてもよい。
【0045】
図9は、体液溢出防止シースと組み合わせて使用される塞栓子42を示す。この塞栓子は、該塞栓子の外面にそって長軸方向に配される1本以上の溝、チャンネル、または細溝44を有する円筒形シャフト43を含む。塞栓子には、その近位端にハンドル45が設けられる。このハンドルは、塞栓子がシースに配置される際、該塞栓子を回転させるのに用いてもよい。塞栓子にはさらに、該塞栓子が、ロッドまたはガイドワイヤーの上を滑走することが可能となるように、中心腔を設けてもよい。
【0046】
図10は、体液溢出防止シースであって、塞栓子42の外面と共にチューブ壁の内面を用いて外方排出腔を形成する、体液溢出防止シースの放射断面図を示す。チューブの壁19の内面、および塞栓子の外面46はシールを形成し、細溝の側壁47および48、および基底壁49、およびチューブの壁は、長軸方向に延びる外方排出腔50、51、52、および53を創出する。シースの本体または中心部分の外面には、一つ以上の排出口15が配される。この排出口15は、一つ以上の排出腔50、51、52、および53と液的に連通する。排出腔50、51、52、および53は、シースにそって長軸方向に走り、手術部位周辺組織からの液体流出を収容するのに十分な大きさおよび形状を持つ。排出口15の大きさを用いて、シースのろ過速度を調節することが可能である。
【0047】
このシースを使用する場合、ユーザーは、シースに塞栓子を挿入する。関節内視鏡の遠位端が滑走して、シースの遠位端を通過するにつれて、該遠位端は拡大する。該先端の内径は、関節内視鏡の外径よりも小さいために、該先端は、関節内視鏡の外面と共にシールを形成する。チャンネルは、液開口の列とほぼ同軸に整列される。ユーザーが、術野周辺組織から来てシース2を通過する液体の流出を停止または減らしたい場合には、ユーザーは塞栓子42を回転させ、図11に示すように、細溝44を、液開口15の列との同軸整列から外すことが可能である。
【0048】
長軸溝44を有する塞栓子42、または他の関節内視鏡用手術器具が、中央腔を通じてシースの中に挿入される。塞栓子42は、挿入前に、二次的保護シースによって被覆されてもよいし、されなくともよい。一旦挿入されると、塞栓子46の外面はシース19の内面と接触する。塞栓子の外面46の力が、シース19の内面に押しつけられる。外方排出腔50、51、52、および53が、細溝44、および、体液溢出防止シースの外壁の内面19によって創出される。シースと塞栓子の外面との間の接触によって形成されるシールは、流体が、外方排出腔50、51、52、および53の間を流れるのを阻止する。外方排出腔50、51、52、および53は、手術部位の周辺組織から来て、シースの中央部分の排出口15を経由する液体の流出を促進する。
【0049】
図12および図13は、内方チューブ58、外方チューブ59を有し、該内方チューブと外方チューブの間に一つ以上の排出腔60、61、62、および63を配する抗・体液溢出最小化シース2を示す。複数の排出口15が、外方チューブの中央部分14または本体に配される。この排出口は、シースが使用されるとき、術野周辺の組織と液的に連通するように設置される。各排出口は、シースの内部に配される一つ以上の排出腔と連通し、それによって、液体が、手術部位周辺の組織から、患者の体外に配置される吸い込み口へ排出されることが可能となる。シースの近位セクション11には、ハブ16またはマニフォールドが設けられ、これによって、医療担当者が、剛性カニューレ、関節内視鏡、および/または関節内視鏡器具の上にシースを引き上げること、および、それらに対し該シースを確保することが簡単に可能となる。さらに、ハブ16は、真空源、または吸い込み口と液的に連通する排出チューブに結合するよう適応される。体液溢出防止シースの近位セクション11にはさらに、取りつけ器具、例えば、ロック型ハブまたはスナップ型ラッチなど、シースを固定するために関節内視鏡またはその他の器具の上に配置される取りつけ具または開口に付着する取りつけ器具を設けてもよい。術野周辺組織に対して暴露される排出口の数を調節するため、および、様々な厚みを持つ肩を受容するために、シース2の外径の上に、滑走可能なスリーブ64が配される。
【0050】
図13は、内方チューブ58、外方チューブ59を有し、該内方チューブと外方チューブの間に一つ以上の排出腔60、61、62、および63を配する抗・体液溢出最小化シース2を示す。この体液溢出防止シースは、外方チューブ、中心腔65によって特徴づけられる内方チューブ、および、該シースの中を長軸方向に走る排出腔60、61、62、および63を特徴づける複数のリブ66を含む。内方チューブの内径は、関節内視鏡器具の外径に緊密に合致する大きさと形状を持つ。シースは、壁を持つ内方チューブによって境界を定められる中心腔を有し、該腔を通じて、関節内視鏡、またはその他の関節内視手術器具が挿入される。このシースは、内方チューブ58の壁、外方チューブ59の壁、および、内方チューブと外方チューブの間に延び、かつ、シースの全長にそって走る、四つの比較的堅固なリブ66によって境界を定められる、4本の外方腔60、61、62、および63を有する。外方腔60、61、62、および63の領域におけるシースの遠位端9は、密封閉鎖され(中心腔は、関節内視鏡器具を収容するため開放したままである)、患者に対する傷害の防止を助けるため形状は面取りされる。シースの外壁に配される排出口15は、細胞間液が、関節内視鏡手術野または関節包から流れ出して、外方排出腔に入るのを可能とする。
【0051】
体液溢出防止シース2は、液体供給源、真空源、関節内視鏡手術用ポンプ、および制御システムを含む、完全な流体管理システムの一部となることも可能である。過剰圧バルブを、体液溢出防止シースに動作可能的に結合し、そうすることによって、関節内視鏡用ポンプによって関節が過剰に加圧された場合、デバイスの排出腔が開放されて、該関節の排水が可能となるようにすることも可能である。
【0052】
デバイスおよび方法の好ましい実施態様が、それらが開発された環境を参照しながら説明されたわけであるが、これらのデバイスおよび方法は、本発明の原理を単に具体的に例示するものであるにすぎない。その他の実施態様および構成も、本発明の精神、および付属の特許請求の範囲から逸脱することなく工夫することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】体液溢出防止シースを用いて患者に対し関節内視鏡手術を実行する方法を示す図
【図2】その遠位セクションに流入又は流出口または口を配置させる体液溢出防止シースを示す図
【図3】体液溢出防止シースの放射断面図
【図4】その内部に関節内視鏡を配置させた、体液溢出防止シースの放射断面図
【図5】人間工学的ハンドルおよび関節内視鏡と共に使用される体液溢出防止シースを示す図
【図6】体液溢出防止シース、関節内視鏡、および人間工学的ハンドルの分解図
【図7】人間工学的ハンドルおよび関節内視鏡と共に使用される体液溢出防止シースの底面図
【図8】塞栓子の上に配置される、体液溢出防止シースを示す図
【図9】体液溢出防止シースと組み合わせて使用される塞栓子を示す図
【図10】塞栓子の外面と共にチューブ壁の内面を用いて外方排出腔を形成する、体液溢出防止シースの放射断面図
【図11】塞栓子の上に配され、塞栓子が回転された状態の、体液溢出防止シースを示す図
【図12】内方チューブ、外方チューブを有し、該内方チューブと外方チューブの間に一つ以上の排出腔を配する体液溢出防止シースを示す図
【図13】内方チューブ、外方チューブを有し、該内方チューブと外方チューブの間に1本以上の排出腔を配する体液溢出防止シースの放射断面図
【符号の説明】
【0054】
2:体液溢出防止シース
7:関節内視鏡器具
8:チューブ
9:遠位セクション
12:開口
13:流入又は流出口
15:排出口
16:ハブ
21、66:複数のリブ
22、23、24、25:外方腔
26:排出腔
【技術分野】
【0001】
本発明は、関節内視鏡手術の分野に関し、さらに詳細には、肩の関節内視鏡手術の際の体液管理が可能な体液溢出防止シース関する。
【背景技術】
【0002】
最小侵襲手術の際、手術器具、例えば、トロカール、カニューレ、および、医用光学装置、例えば、内視鏡、膀胱鏡、関節内視鏡、腹腔鏡などを含む光学装置は、小さな切開創または入口を通じて患者の体または体腔に挿入され、患者の体内において手術処置を実行するよう操作される。最小侵襲外科処置は、開放手術よりも安全であり、より速やかな患者の回復、より短い入院滞在期間、およびより低い健康管理コストをもたらす。したがって、侵襲度を最小に留めることは常に重要であり、この目標を実現する装置および方法は常に求められている。最小侵襲外科技術が利点とされる一つの領域は、肩の手術である。肩の手術は、ここ数年で、開放的外科処置から関節内視鏡による術処置へと進化している。この進化は、装置、器具、およびインプラントにおける技術的進歩の結果である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
手術時、関節を広げ、出血をコントロールするために、流体が手術部位に導入される。肩の内視鏡手術に関わる大きな不安は、体液の溢出である。体液の溢出とは、細胞間液、例えば、血液、還流液、または薬剤などの、注液部位周囲の組織における集積である。肩および肩甲骨周辺領域の軟部組織へ漏れ出た液は、患者に対し有害な作用をもたらす可能性がある。このような作用のいくつかとして、気管圧迫、関節部における血液または凝固塊の蓄積(関節血症)、静脈における血液凝固塊の形成(血栓静脈炎)、動脈損傷、神経損傷、関節周囲の血管および神経の圧迫(仕切り症候群)、および感染が挙げられる。これらの作用は、患者に苦痛および不快をもたらし、より長い回復期間の原因となる。手術の際に起こる体液溢出はさらに、手術がまだ終わらない内に術野の閉塞をもたらすことがあり、このため、外科医は無理に処置を急がされることがある。
【0004】
体液溢出によって引き起こされるこれらの作用があるため、肩の内視鏡手術時において体液溢出を抑えるための装置および方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
【0006】
請求項1記載の発明は、体内手術部位において関節内視鏡手術を実行するための、関節内視鏡器具と共に使用される体液溢出防止シースであって、遠位部分、近位部分、外面、内面、内径、および外径によって特徴づけられるチューブを備え、前記チューブの内面から内側に延び、前記チューブに沿って長軸方向に走る複数のリブを有し、前記関節内視鏡器具が前記シースに挿入されると、前記関節内視鏡器具と前記リブの間にシールを形成し、前記リブの少なくとも一つの内部に配され、前記少なくとも一つのリブの中を長軸方向に走る複数の排出腔を有し、該排出腔は、前記チューブの外部と連通しており、前記チューブの遠位部分に少なくとも一つの流入又は流出口が設けられ、前記排出腔と前記流入又は流出口は液的に連通し、前記流入又は流出口から近位側に隔てられて配されるように排出口を少なくとも1つ以上設け、該排出口は、前記チューブの外部と連通しており、手術部位で使用されるとき、前記流入又は流出口が手術部位内に配され、前記排出口が手術部位を被う生体組織内に配されるように設けることを特徴とする体液溢出防止シースである。
【0007】
請求項2記載の発明は、前記リブが、フランジをさらに含み、前記フランジが、関節内視鏡器具が前記シース内に配置された場合、前記リブと前記関節内視鏡器具の外面との間にシールを形成することを特徴とする請求項1記載の体液溢出防止シースである。
【0008】
請求項3記載の発明は、前記リブが、さらに突起を含み、前記突起が、関節内視鏡器具が前記シース内に配置された場合、前記リブと前記関節内視鏡器具の外面との間にシールを形成することを特徴とする請求項1記載の体液溢出防止シースである。
【0009】
請求項4記載の発明は、前記関節内視鏡器具が前記シースの内部に配置されたとき、前記関節内視鏡器具の外面と前記チューブの内面との間に定められる少なくとも一つの外方腔を形成し、該外方腔は前記排出口と液的に連通することを特徴とする請求項1記載の体液溢出防止シースである。
【0010】
請求項5記載の発明は、前記少なくとも一つの排出腔と、前記少なくとも一つの排出口は、液的に連通することを特徴とする請求項1記載の体液溢出防止シースである。
【0011】
請求項6記載の発明は、その近位部分に配置されるハブをさらに含むことを特徴とする請求項1記載の体液溢出防止シースである。
【0012】
請求項7記載の発明は、体内手術部位において関節内視鏡手術を実行するためのシステムであって、関節内視鏡手術処置を実行するのに好適な関節内視鏡器具と、
前記体液溢出防止シースとを備え、該シースが、該シースの内部に配される前記関節内視鏡器具の外面と該シース内面との間に、液が流通することを可能とする大きさおよび形状を持つ内径を有し、該シース内面から内側に延び、前記シースにそって長軸方向に走る少なくとも一つのリブの内部に配される排出腔を有し、前記リブは、前記関節内視鏡器具の外面と、前記シースの内面との間に、少なくとも一つの外方腔を定め、前記シースが、前記関節内視鏡器具の上に取り外し可能に配されることを特徴とする関節内視鏡手術システムである。
【0013】
請求項8記載の発明は、前記排出腔と液的に連通し、前記シースの中央部分に配される少なくとも一つの排出口をさらに含み、該排出口は、該排出腔から該シースの外部まで連通し、手術部位で使用されるとき、チューブ遠位に設けられる流入又は流出口が手術部位内に配され、前記排出口が手術部位を被う生体組織内に配されるように設けることを特徴とする請求項7記載のシステムである。
【0014】
請求項9記載の発明は、前記関節内視鏡が前記シースの内部に配置されたとき、前記関節内視鏡器具の外面と前記チューブの内面との間に定められる少なくとも一つの外方腔と、前記少なくとも一つの流入又は流出口は、液的に連通することを特徴とする請求項7記載のシステムである。
【0015】
請求項10記載の発明は、前記排出腔と液的に連通する真空源をさらに含むことを特徴とする請求項7記載のシステムである。
【0016】
請求項11記載の発明は、関節内視鏡手術を実行するためのシステムであって、
関節内視鏡手術処置を実行するのに好適な関節内視鏡手術器具と、体液溢出防止シースとを備え、該関節内視鏡手術器具の外面に、少なくとも一つの長軸チャンネルを設け、該シースの内面と該シースの内部に配される前記関節内視鏡器具の外面との間に、液が流通することを可能とする大きさおよび形状を持つ内径、および、前記シースに少なくとも一つの排出口、及び/又は流入又は流出口を設け、該シースが、前記チャンネルと前記シースの内面との間に排出腔、又は外方腔を定め、かつ、前記関節内視鏡器具の上に取り外し可能に配置されることを特徴とする前記システムである。
【0017】
請求項12記載の発明は、前記シースの中央部分に配される前記少なくとも一つの排出口が、外方腔と同軸に整列されるとき、該外方腔と液的に連通するように設置されることを特徴とする請求項11記載のシステムである。
【0018】
請求項13記載の発明は、関節内視鏡手術を実行するための方法であって、関節内視鏡手術処置を実行するのに好適な前記関節内視鏡器具を準備すること、前記シースの中央部分に少なくとも一つの排出口を設けた体液溢出防止シースを準備すること、前記シースの中に前記関節内視鏡器具を配置すること、前記少なくとも一つの排出口を、関節内視鏡手術野を取り囲む組織と液的に連通するように設置すること、 前記関節内視鏡器具によって関節内視鏡手術処置を実行すること、および、前記関節内視鏡手術処置の際、前記関節内視鏡手術野を取り囲む組織から前記排出口を通じて液を排出することを含む前記方法である。
【0019】
請求項14記載の発明は、前記関節内視鏡手術野に向かう流体の流入速度を上回る、前記術野を取り囲む組織からの流体の流出速度を実現する工程をさらに含むことを特徴とする請求項13記載の方法である。
【0020】
請求項15記載の発明は、流出速度が流入速度を約10%〜15%上回ることを特徴とする請求項14記載の方法である。
【0021】
請求項16記載の発明は、前記関節内視鏡手術処置が、肩の関節内視鏡手術であることを特徴とする請求項13に記載の方法である。
【0022】
請求項17記載の発明は、体液溢出防止シースであって、関節内視鏡器具の外径の周囲に緊密に合致する大きさおよび形状を持つ内径によって特徴づけられる内部チューブと、前記内部チューブの周囲に配される外部チューブと、前記内部および外部チューブの間に延び、かつ、前記シースの長さにそって走る複数のリブを含み、前記内部チューブ、前記外部チューブ、および前記複数のリブは、前記内部および外部チューブの間に延び、かつ、前記シースの長さにそって走る、複数の外方腔の境界を定め、関節内視鏡手術処置の際、前記外部チューブの中央部分に配される複数の排出口が前記排出腔と液的に連通し、関節内視鏡手術野を取り囲む組織から液体を排出することを特徴とする体液溢出防止シースである。
【0023】
請求項18記載の発明は、前記外部チューブの上に配される滑走可能スリーブをさらに含むことを特徴とする請求項17記載のシースである。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、関節内視鏡手術の際、体液溢出の最小化を実現する。この体液溢出防止シースによって、外科医は、一方で術野に対する液体の流入および流出を実現しながら、同時に術野周囲の軟部組織から液体を排出することが可能となる。このシースは、その中に、関節内視鏡などの関節内視鏡手術器具が挿入される、多腔性チューブである。このシースの近位部分には、液体ポート、マニフォールド、および、該シース内部の液体流を調節する、他の手段が設けられる。このシースの遠位部分には、複数の流入又は流出口が設けられる。シースの本体または中央部分には、複数の排出口が設けられる。各流入又は流出口は、チューブ内部の腔の内の一つ以上と連通し、それによって、流体が、術野と、患者の体外に設置される湧き出し部または吸い込み部との間を流れることが可能となる。各排出口は、チューブ内部の排出腔の内の一つ以上と連通し、それによって、流体が、手術部周辺組織から、患者の体外に設置される吸い込み部に排出されることが可能となる。このシースによって、外科医は、一方では、周辺組織に生じた流体溢出量を抑えながら、同時に澄明な術野を確保し、かつ、第3の還流用具の必要を免れることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。
【0026】
図1は、体液溢出防止シース2を用いて患者の肩1に対して関節内視鏡手術を実行する方法を示す。体液溢出防止シース2は、患者の肩の関節包3の中に挿入されるところが示される。様々な解剖学的目印、例えば、患者の鎖骨4、肩甲骨5、および上腕骨6を含む目印が描かれる。関節内視鏡などの関節内視器具7が、体液溢出防止シースの内部に配置される。
【0027】
肩の関節内視鏡手術の際、外科医は、術野を可視化するために第1ポートを通じて肩に関節内視鏡を挿入する。外科医が、取り除くべきである、または整形すべきであると判断した組織を取り除くか、または整形するために、第2ポートを通じてトリミング器具が挿入される。澄明な視界が維持されるよう、関節を広げるか、および/または術野を還流するために、任意に第3ポートを通じて還流器具が導入されてもよい。関節内視鏡手術において使用される、他の関節内視用器具としては、内視鏡、ゾンデ、鉗子、またはシェイバー(shaver)が挙げられる。
【0028】
図2は、体液溢出防止シースであって、該シースの遠位セクションに流入又は流出口または口を配置させた体液溢出防止シースを示す。この体液溢出防止シースは、強靭な材料、例えば、ナイロン、ポリカーボネートウレタン、ポリウレタン、ポリジメチルシロキサン、およびポリエチレングリコール、またはゴムでできたチューブ8であり、中心腔によって特徴づけられる。この非傷害性シースの内径は、関節内視鏡器具の外径に緊密に合致する大きさ、および形状を持つ。チューブ8は、遠位端10を持つ遠位セクション9、および近位セクション11によって特徴づけられる。
【0029】
チューブの遠位端10は、円錐台形、および、関節内視鏡、および/または剛性カニューレまたはその他の手術器具の遠位端の外径よりも、その直径がやや小さい開口12を備える。それとは別に、先端10は、弓状断面を持っていてもよい。この開口12は、外科医が、該開口12を通じて内視鏡、またはその他の手術器具を手術スペースに挿入することが可能となるように、シースの中に設けられる。
【0030】
シースの遠位セクション9はさらに、患者の体外に置かれる液体供給源または真空源と液的に連通して設置される、流入又は流出口13、開口または口を含む。この流入又は流出口13は、関節包または術野から流出する、またはそれらへ流入する液体流を実現する。
【0031】
チューブの本体または中央部分14には、排出口15が設けられる。この排出口15は、シースが使用される際、関節包3または術野を取り囲む組織と液的に連通するように配置される。この排出口は、意図される手術において、流入又は流出口が関節包内に配置され、排出口が、関節包を覆い、かつ取り囲む生体組織の中に配置されるように選ばれた距離において、流入又は流出口の近位に配される。
【0032】
各排出口15は、チューブの内部に配される、一つ以上の排出腔と連通し、それによって、液体が、関節包3周辺の組織から、患者の体外に設置される吸い込み口へ排出されることが可能となる。
【0033】
シースの近位セクションには、エラストマーから製造されるハブ16が設けられる。これによって、医療担当者が、剛性カニューレ、関節内視鏡、および/または関節内視鏡器具の上に、非傷害性シースを引き上げること、および、それらに対し該シースを確保することが簡単に可能となる。ハブは、液体供給源17、真空源18、または人間工学的ハンドルに結合されるよう適応させることが可能である。体液溢出防止シースの近位セクションにはさらに、取りつけ器具、例えば、ロック型ハブまたはスナップ型ラッチなど、シース2を固定するよう関節内視鏡またはその他の器具の上に配置される取りつけ具または開口に付着する取りつけ器具を設けてもよい。
【0034】
体液溢出防止シース2の外面には、関節内視鏡および剛性カニューレがより容易に手術部位内を移動することを可能とするように、滑らかなコーティングを設けてもよい。例えば、シース2には、テフロン(登録商標)(PTFE、または拡張型ポリテトラフルオロエチレン)コーティングを設けてもよいし、または、水活性化潤滑剤で被覆してもよい。一方、シース2の内面(チューブの腔を定める壁)には、非滑走性コーティング、またはその他の高摩擦係数コーティングを設けてもよい。例えば、シース2の内面を、共に射出成形される、粘性の高い、熱可塑性エラストマー(TPE;Thermoplastic Elastomers)によってコートしてもよい。この非滑走性コーティングによって、シースは、剛性カニューレまたは関節内視鏡の外面の上を楽に滑ることが阻止されるので、この非傷害性シースは、捩れたり、関節内視鏡の周囲を滑走することがなくなる。
【0035】
関節内視鏡7は、遠位において、開口12、および観察される手術スペースから延びる。シースの遠位部分には、流入又は流出口13または口が設けられる。この流入又は流出口13は、シースの中の、一つ以上の、流入/流出外方腔と連通する。外方の、単一または複数腔は、真空源18、液体供給源17、治療薬剤供給源、または、それらの供給源の組み合わせと連通する。このようにして、流入又は流出口は、手術処置の間、術野に対する液体の流入および流出を実現する。
【0036】
シースのチューブおよび遠位端は、同じ、屈曲性の、滅菌消毒が可能なポリマーから製造される。それとは別に、非傷害性、流入/流出シースの遠位端は、シースの近位部分の材料の弾性係数よりも高い弾性係数を持つ弾性材料から製造することが可能である。シースの遠位端は、大抵の関節内視鏡の外径よりもやや小さい内径を有する。
【0037】
シース2を使用する場合、ユーザーは、関節内視鏡7をシース2に挿入する。遠位端は、関節内視鏡の遠位端が滑走してシースの遠位端を通過すると、拡大する。先端の内径は、関節内視鏡の外径よりも小さいので、先端は、関節内視鏡の外面と共にシールを形成する。
【0038】
図3は、体液溢出防止シース2の放射断面図を示し、一方、図4は、シース2の中に関節内視鏡を配置させた、体液溢出防止シース2の放射断面図を示す。シース2は、チューブの壁の内面19を、関節内視鏡の外面20と共に用いて、流入および流出外方腔を形成する。外壁の内面から放射方向に延び、シースにそって長軸方向に走る、別に陸地とも呼ばれる、明瞭な突起経路、または比較的堅固なリブ21は、関節内視鏡の外面20と共にシールを形成し、そうすることによって、四つの外方腔22、23、24、および25を創出する。一つ以上の排出口15が、チューブ本体または中央部分の外面に配置される。この排出口15は、リブ21内部に配される一つ以上の排出腔26と液的に連通する。排出腔26は、シースにそって長軸方向に走り、関節包または術野を囲む組織からの液の流出を収容するのに十分なサイズおよび形状を持つ。シースの別の実施態様では、排出口はまた、一つ以上の外方腔と液的に連通するように設置されてもよい。排出口のサイズは、シースのろ過速度を調節するために使用することも可能である。リブの両端には、リブと関節内視鏡の間に形成されるシールを強化するために、弾性フランジまたは突起を設けてもよい。
【0039】
図4に描かれるように、関節内視鏡は、シースの中央腔27を通じてシースの中に挿入される。関節内視鏡は、挿入前に、二次的保護シースによって覆われていてもよいし、いなくともよい。一旦挿入されると、関節内視鏡の外面はリブ21と接触する。外方腔22、23、24、および25が、リブ、内視鏡の外面、および体液溢出防止シース外壁の内面によって創出される。リブは、圧迫下のシースを支えるので、シースが潰れないようにする長軸支柱として働く。リブは、横断軸における、薄い外壁の、未支持の長さを減らすことになるから、さらにシースの潰れるのを阻止する。リブと関節内視鏡の外面との間の接触によって形成されるシールは、流体が、外方腔22、23、24、および25の間を流れるのを阻止する。外方腔22、23、24、および25は、シースの遠位セクションの流入又は流出口を通る、関節包または術野へ向かう、またはそれらか出る流体の、事実上連続的な流入または流出を促進する。さらに、流出液が、術野の方に戻るのを防ぐために、かつ、流入液が、シースの近位端から流出するのを阻止するために、チェックバルブまたはゲートを、外方腔22、23、24、および25内の流入/流出シースの内面に結合させてもよい。これらの排出腔は、関節包を取り囲む組織からの細胞間液の流出を促進する。
【0040】
関節内視鏡手術処置の際、流入又は流出口を通じて流れる加圧流体を用いて、関節を広げ、関節包、術野または術部位を還流し、組織の出血を阻止する。この加圧流体、血液、および組織破片は、術部位を取り囲む肩組織から、シースの排出口又は孔を通じて排出される。流体、血液、および破片を除去することによって、肩の関節内視鏡手術の際、肩の組織に残される液体の量が抑えられ、それによって体液の溢出は最小化される。体液の溢出を最小とするために、体液溢出最小化デバイスのろ過速度は、周辺組織のろ過速度よりも高くされる。ろ過速度の差は、手術中関節内の圧の維持を助けるために、約10%〜約15%であることが好ましい。
【0041】
図2から4に描かれる体液溢出防止シースは、該シースが、比較的大きな関節において関節内視鏡器具と共に使用されるように製造される場合、通常約5〜8mmの外径を持つ。ただし、このサイズは、関節内視鏡器具の直径に応じて変動してよい。この流入/流出シースが、比較的小さな関節において関節内視鏡器具と共に使用されるように製造される場合、シースは、約2〜5mmの外径を持つ。流入/流出シースの壁の全体厚は、通常、射出成形およびチューブを構成する材料に応じて1mm以下である。流入/流出シースは、シースの指定の直径に対し±10%範囲の関節内視鏡に適合することが可能である。リブは、体液溢出防止シースの内壁から内側に延び、関節内視鏡が挿入された場合、緊密な合致を形成するが、シース内に関節内視鏡を同心円的に保持してもよい。
【0042】
体液溢出防止シース2および関節内視鏡7は、図5、6、および7に描かれるような、人間工学的設計のハンドル32と組み合わせて使用してもよい。図5は、人間工学的ハンドルおよび関節内視鏡と共に使用される体液溢出防止シースを示し、一方、図6は、体液溢出防止シース、関節内視鏡、および人間工学的ハンドルの分解図を示す。ハンドルは、アダプター35を有する剛性カニューレ34を備える関節内視鏡7の近位端を受容するための受容部33を含む。ハンドルおよびシースは、スナップ適合または摩擦適合を介して、取り外し可能的に、シースの近位セクションにおいてハブ16によって結合される。ハンドルには、ユーザーインターフェイス、および、関節内視鏡、および関節内視鏡流体ポンプなどの流体管理システムに対し動作可能的に接続される制御システム36が設けられる。この制御システムは、シースがハンドルに結合されたときに、シースに流入する、およびシースから流出する液体を調節するのに使用してよい。この制御システム36はさらに、関節内視鏡7が動作可能的にハンドル32に接続された場合、該関節内視鏡の焦点を調節するのに使用されてもよい。光ファイバーケーブル37および電気ケーブルが、光学的および電気的結合38を介して、ハンドルの近位部分に動作可能的に結合される。
【0043】
図7は、人間工学的ハンドルおよび関節内視鏡と共に使用される体液溢出防止シースの底面図を示す。ハンドル32はさらに、基底部分40に配される長軸チャンネル39を含む。この長軸チャンネルは、シースに動作可能的に接続される流入/流出チューブ41を収容するのに十分な大きさおよび形状を持つ。チューブ41は、チャンネル39に摺動可能に設ける。このチャンネルは、チューブが、事実上、ユーザーの手首の下を経由することを実現し、従来のシースおよび関節内視鏡に見られるように、ユーザーの手首側を経由させることはない。
【0044】
図8は、図9に示す塞栓子42の上に配置される、体液溢出防止シースまたはカニューレを示す。この体液溢出防止シースは、強靭な材料、例えば、ナイロン、ポリカーボネートウレタン、ポリウレタン、ポリジメチルシロキサン、および、ポリエチレングリコールまたはゴムでできたポリマー製チューブ8であり、中心腔によって特徴づけられる。この非傷害性シースの内径は、塞栓子の外径の上に緊密に合致する大きさ、および形状を持つ。チューブは、遠位端10を持つ遠位セクション9、および近位セクション11によって特徴づけられる。非傷害性シースの遠位端には、円錐台形、および、関節内視鏡、および/または剛性カニューレまたはその他の手術器具の遠位端の外径よりも、その直径がやや小さい開口12を備える。それとは別に、先端は、弓状断面を持っていてもよい。この開口12は、外科医が、該開口を通じて塞栓子を挿入することができるように、シースに設けられる。チューブの本体または中央部分14には、複数の排出口15が一条の直線的配列として設けられる。各排出口は、チューブの内部に配される一つ以上の排出腔と連通し、それによって、液体が、手術部位周辺の組織から、患者の体外に設置される吸い込み口へ排出されることが可能となる。シースの近位セクション11には、エラストマーから製造されるハブ16が設けられ、これによって、医療担当者が、塞栓子、関節内視鏡、および/または関節内視鏡器具の上に、この非傷害性シースを引き上げること、および、それらに対し該シースを確保することが簡単に可能となる。さらに、ハブは、液体供給源、真空源、または人間工学的ハンドルに結合されるよう適応させることが可能である。体液溢出防止シースの近位セクションにはさらに、取りつけ器具、例えば、ロック型ハブまたはスナップ型ラッチなど、シースを固定するために関節内視鏡またはその他の器具の上に配置される取りつけ具または開口に付着する取りつけ器具を設けてもよい。
【0045】
図9は、体液溢出防止シースと組み合わせて使用される塞栓子42を示す。この塞栓子は、該塞栓子の外面にそって長軸方向に配される1本以上の溝、チャンネル、または細溝44を有する円筒形シャフト43を含む。塞栓子には、その近位端にハンドル45が設けられる。このハンドルは、塞栓子がシースに配置される際、該塞栓子を回転させるのに用いてもよい。塞栓子にはさらに、該塞栓子が、ロッドまたはガイドワイヤーの上を滑走することが可能となるように、中心腔を設けてもよい。
【0046】
図10は、体液溢出防止シースであって、塞栓子42の外面と共にチューブ壁の内面を用いて外方排出腔を形成する、体液溢出防止シースの放射断面図を示す。チューブの壁19の内面、および塞栓子の外面46はシールを形成し、細溝の側壁47および48、および基底壁49、およびチューブの壁は、長軸方向に延びる外方排出腔50、51、52、および53を創出する。シースの本体または中心部分の外面には、一つ以上の排出口15が配される。この排出口15は、一つ以上の排出腔50、51、52、および53と液的に連通する。排出腔50、51、52、および53は、シースにそって長軸方向に走り、手術部位周辺組織からの液体流出を収容するのに十分な大きさおよび形状を持つ。排出口15の大きさを用いて、シースのろ過速度を調節することが可能である。
【0047】
このシースを使用する場合、ユーザーは、シースに塞栓子を挿入する。関節内視鏡の遠位端が滑走して、シースの遠位端を通過するにつれて、該遠位端は拡大する。該先端の内径は、関節内視鏡の外径よりも小さいために、該先端は、関節内視鏡の外面と共にシールを形成する。チャンネルは、液開口の列とほぼ同軸に整列される。ユーザーが、術野周辺組織から来てシース2を通過する液体の流出を停止または減らしたい場合には、ユーザーは塞栓子42を回転させ、図11に示すように、細溝44を、液開口15の列との同軸整列から外すことが可能である。
【0048】
長軸溝44を有する塞栓子42、または他の関節内視鏡用手術器具が、中央腔を通じてシースの中に挿入される。塞栓子42は、挿入前に、二次的保護シースによって被覆されてもよいし、されなくともよい。一旦挿入されると、塞栓子46の外面はシース19の内面と接触する。塞栓子の外面46の力が、シース19の内面に押しつけられる。外方排出腔50、51、52、および53が、細溝44、および、体液溢出防止シースの外壁の内面19によって創出される。シースと塞栓子の外面との間の接触によって形成されるシールは、流体が、外方排出腔50、51、52、および53の間を流れるのを阻止する。外方排出腔50、51、52、および53は、手術部位の周辺組織から来て、シースの中央部分の排出口15を経由する液体の流出を促進する。
【0049】
図12および図13は、内方チューブ58、外方チューブ59を有し、該内方チューブと外方チューブの間に一つ以上の排出腔60、61、62、および63を配する抗・体液溢出最小化シース2を示す。複数の排出口15が、外方チューブの中央部分14または本体に配される。この排出口は、シースが使用されるとき、術野周辺の組織と液的に連通するように設置される。各排出口は、シースの内部に配される一つ以上の排出腔と連通し、それによって、液体が、手術部位周辺の組織から、患者の体外に配置される吸い込み口へ排出されることが可能となる。シースの近位セクション11には、ハブ16またはマニフォールドが設けられ、これによって、医療担当者が、剛性カニューレ、関節内視鏡、および/または関節内視鏡器具の上にシースを引き上げること、および、それらに対し該シースを確保することが簡単に可能となる。さらに、ハブ16は、真空源、または吸い込み口と液的に連通する排出チューブに結合するよう適応される。体液溢出防止シースの近位セクション11にはさらに、取りつけ器具、例えば、ロック型ハブまたはスナップ型ラッチなど、シースを固定するために関節内視鏡またはその他の器具の上に配置される取りつけ具または開口に付着する取りつけ器具を設けてもよい。術野周辺組織に対して暴露される排出口の数を調節するため、および、様々な厚みを持つ肩を受容するために、シース2の外径の上に、滑走可能なスリーブ64が配される。
【0050】
図13は、内方チューブ58、外方チューブ59を有し、該内方チューブと外方チューブの間に一つ以上の排出腔60、61、62、および63を配する抗・体液溢出最小化シース2を示す。この体液溢出防止シースは、外方チューブ、中心腔65によって特徴づけられる内方チューブ、および、該シースの中を長軸方向に走る排出腔60、61、62、および63を特徴づける複数のリブ66を含む。内方チューブの内径は、関節内視鏡器具の外径に緊密に合致する大きさと形状を持つ。シースは、壁を持つ内方チューブによって境界を定められる中心腔を有し、該腔を通じて、関節内視鏡、またはその他の関節内視手術器具が挿入される。このシースは、内方チューブ58の壁、外方チューブ59の壁、および、内方チューブと外方チューブの間に延び、かつ、シースの全長にそって走る、四つの比較的堅固なリブ66によって境界を定められる、4本の外方腔60、61、62、および63を有する。外方腔60、61、62、および63の領域におけるシースの遠位端9は、密封閉鎖され(中心腔は、関節内視鏡器具を収容するため開放したままである)、患者に対する傷害の防止を助けるため形状は面取りされる。シースの外壁に配される排出口15は、細胞間液が、関節内視鏡手術野または関節包から流れ出して、外方排出腔に入るのを可能とする。
【0051】
体液溢出防止シース2は、液体供給源、真空源、関節内視鏡手術用ポンプ、および制御システムを含む、完全な流体管理システムの一部となることも可能である。過剰圧バルブを、体液溢出防止シースに動作可能的に結合し、そうすることによって、関節内視鏡用ポンプによって関節が過剰に加圧された場合、デバイスの排出腔が開放されて、該関節の排水が可能となるようにすることも可能である。
【0052】
デバイスおよび方法の好ましい実施態様が、それらが開発された環境を参照しながら説明されたわけであるが、これらのデバイスおよび方法は、本発明の原理を単に具体的に例示するものであるにすぎない。その他の実施態様および構成も、本発明の精神、および付属の特許請求の範囲から逸脱することなく工夫することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】体液溢出防止シースを用いて患者に対し関節内視鏡手術を実行する方法を示す図
【図2】その遠位セクションに流入又は流出口または口を配置させる体液溢出防止シースを示す図
【図3】体液溢出防止シースの放射断面図
【図4】その内部に関節内視鏡を配置させた、体液溢出防止シースの放射断面図
【図5】人間工学的ハンドルおよび関節内視鏡と共に使用される体液溢出防止シースを示す図
【図6】体液溢出防止シース、関節内視鏡、および人間工学的ハンドルの分解図
【図7】人間工学的ハンドルおよび関節内視鏡と共に使用される体液溢出防止シースの底面図
【図8】塞栓子の上に配置される、体液溢出防止シースを示す図
【図9】体液溢出防止シースと組み合わせて使用される塞栓子を示す図
【図10】塞栓子の外面と共にチューブ壁の内面を用いて外方排出腔を形成する、体液溢出防止シースの放射断面図
【図11】塞栓子の上に配され、塞栓子が回転された状態の、体液溢出防止シースを示す図
【図12】内方チューブ、外方チューブを有し、該内方チューブと外方チューブの間に一つ以上の排出腔を配する体液溢出防止シースを示す図
【図13】内方チューブ、外方チューブを有し、該内方チューブと外方チューブの間に1本以上の排出腔を配する体液溢出防止シースの放射断面図
【符号の説明】
【0054】
2:体液溢出防止シース
7:関節内視鏡器具
8:チューブ
9:遠位セクション
12:開口
13:流入又は流出口
15:排出口
16:ハブ
21、66:複数のリブ
22、23、24、25:外方腔
26:排出腔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体内手術部位において関節内視鏡手術を実行するための、関節内視鏡器具と共に使用される体液溢出防止シースであって、
遠位部分、近位部分、外面、内面、内径、および外径によって特徴づけられるチューブを備え、
前記チューブの内面から内側に延び、前記チューブに沿って長軸方向に走る複数のリブを有し、前記関節内視鏡器具が前記シースに挿入されると、前記関節内視鏡器具と前記リブの間にシールを形成し、
前記リブの少なくとも一つの内部に配され、前記少なくとも一つのリブの中を長軸方向に走る複数の排出腔を有し、
該排出腔は、前記チューブの外部と連通しており、
前記チューブの遠位部分に少なくとも一つの流入又は流出口が設けられ、
前記排出腔と前記流入又は流出口は液的に連通し、
前記流入又は流出口から近位側に隔てられて配されるように排出口を少なくとも1つ以上設け、
該排出口は、前記チューブの外部と連通しており、
手術部位で使用されるとき、前記流入又は流出口が手術部位内に配され、前記排出口が手術部位を被う生体組織内に配されるように設けることを特徴とする体液溢出防止シース。
【請求項2】
前記リブが、フランジをさらに含み、前記フランジが、関節内視鏡器具が前記シース内に配置された場合、前記リブと前記関節内視鏡器具の外面との間にシールを形成することを特徴とする請求項1記載の体液溢出防止シース。
【請求項3】
前記リブが、さらに突起を含み、前記突起が、関節内視鏡器具が前記シース内に配置された場合、前記リブと前記関節内視鏡器具の外面との間にシールを形成することを特徴とする請求項1記載の体液溢出防止シース。
【請求項4】
前記関節内視鏡器具が前記シースの内部に配置されたとき、前記関節内視鏡器具の外面と前記チューブの内面との間に定められる少なくとも一つの外方腔を形成し、該外方腔は前記排出口と液的に連通することを特徴とする請求項1記載の体液溢出防止シース。
【請求項5】
前記少なくとも一つの排出腔と、前記少なくとも一つの排出口は、液的に連通することを特徴とする請求項1記載の体液溢出防止シース。
【請求項6】
その近位部分に配置されるハブをさらに含むことを特徴とする請求項1記載の体液溢出防止シース。
【請求項7】
体内手術部位において関節内視鏡手術を実行するためのシステムであって、
関節内視鏡手術処置を実行するのに好適な関節内視鏡器具と、
前記体液溢出防止シースとを備え、
該シースが、該シースの内部に配される前記関節内視鏡器具の外面と該シース内面との間に、液が流通することを可能とする大きさおよび形状を持つ内径を有し、
該シース内面から内側に延び、前記シースにそって長軸方向に走る少なくとも一つのリブの内部に配される排出腔を有し、
前記リブは、前記関節内視鏡器具の外面と、前記シースの内面との間に、少なくとも一つの外方腔を定め、
前記シースが、前記関節内視鏡器具の上に取り外し可能に配されることを特徴とする関節内視鏡手術システム。
【請求項8】
前記排出腔と液的に連通し、前記シースの中央部分に配される少なくとも一つの排出口をさらに含み、該排出口は、該排出腔から該シースの外部まで連通し、
手術部位で使用されるとき、チューブ遠位に設けられる流入又は流出口が手術部位内に配され、前記排出口が手術部位を被う生体組織内に配されるように設けることを特徴とする請求項7記載のシステム。
【請求項9】
前記関節内視鏡が前記シースの内部に配置されたとき、前記関節内視鏡器具の外面と前記チューブの内面との間に定められる少なくとも一つの外方腔と、前記少なくとも一つの流入又は流出口は、液的に連通することを特徴とする請求項7記載のシステム。
【請求項10】
前記排出腔と液的に連通する真空源をさらに含むことを特徴とする請求項7記載のシステム。
【請求項11】
関節内視鏡手術を実行するためのシステムであって、
関節内視鏡手術処置を実行するのに好適な関節内視鏡手術器具と、
体液溢出防止シースとを備え、
該関節内視鏡手術器具の外面に、少なくとも一つの長軸チャンネルを設け、
該シースの内面と該シースの内部に配される前記関節内視鏡器具の外面との間に、液が流通することを可能とする大きさおよび形状を持つ内径、および、前記シースに少なくとも一つの排出口、及び/又は流入又は流出口を設け、
該シースが、前記チャンネルと前記シースの内面との間に排出腔、又は外方腔を定め、かつ、前記関節内視鏡器具の上に取り外し可能に配置されることを特徴とする前記システム。
【請求項12】
前記シースの中央部分に配される前記少なくとも一つの排出口が、外方腔と同軸に整列されるとき、該外方腔と液的に連通するように設置されることを特徴とする請求項11記載のシステム。
【請求項13】
関節内視鏡手術を実行するための方法であって、
関節内視鏡手術処置を実行するのに好適な前記関節内視鏡器具を準備すること、
前記シースの中央部分に少なくとも一つの排出口を設けた体液溢出防止シースを準備すること、
前記シースの中に前記関節内視鏡器具を配置すること、
前記少なくとも一つの排出口を、関節内視鏡手術野を取り囲む組織と液的に連通するように設置すること、
前記関節内視鏡器具によって関節内視鏡手術処置を実行すること、および、
前記関節内視鏡手術処置の際、前記関節内視鏡手術野を取り囲む組織から前記排出口を通じて液を排出することを含む前記方法。
【請求項14】
前記関節内視鏡手術野に向かう流体の流入速度を上回る、前記術野を取り囲む組織からの流体の流出速度を実現する工程をさらに含むことを特徴とする請求項13記載の方法。
【請求項15】
流出速度が流入速度を約10%〜15%上回ることを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記関節内視鏡手術処置が、肩の関節内視鏡手術であることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項17】
体液溢出防止シースであって、
関節内視鏡器具の外径の周囲に緊密に合致する大きさおよび形状を持つ内径によって特徴づけられる内部チューブと、
前記内部チューブの周囲に配される外部チューブと、
前記内部および外部チューブの間に延び、かつ、前記シースの長さにそって走る複数のリブを含み、
前記内部チューブ、前記外部チューブ、および前記複数のリブは、前記内部および外部チューブの間に延び、かつ、前記シースの長さにそって走る、複数の外方腔の境界を定め、
関節内視鏡手術処置の際、前記外部チューブの中央部分に配される複数の排出口が前記排出腔と液的に連通し、関節内視鏡手術野を取り囲む組織から液体を排出することを特徴とする体液溢出防止シース。
【請求項18】
前記外部チューブの上に配される滑走可能スリーブをさらに含むことを特徴とする請求項17記載のシース。
【請求項1】
体内手術部位において関節内視鏡手術を実行するための、関節内視鏡器具と共に使用される体液溢出防止シースであって、
遠位部分、近位部分、外面、内面、内径、および外径によって特徴づけられるチューブを備え、
前記チューブの内面から内側に延び、前記チューブに沿って長軸方向に走る複数のリブを有し、前記関節内視鏡器具が前記シースに挿入されると、前記関節内視鏡器具と前記リブの間にシールを形成し、
前記リブの少なくとも一つの内部に配され、前記少なくとも一つのリブの中を長軸方向に走る複数の排出腔を有し、
該排出腔は、前記チューブの外部と連通しており、
前記チューブの遠位部分に少なくとも一つの流入又は流出口が設けられ、
前記排出腔と前記流入又は流出口は液的に連通し、
前記流入又は流出口から近位側に隔てられて配されるように排出口を少なくとも1つ以上設け、
該排出口は、前記チューブの外部と連通しており、
手術部位で使用されるとき、前記流入又は流出口が手術部位内に配され、前記排出口が手術部位を被う生体組織内に配されるように設けることを特徴とする体液溢出防止シース。
【請求項2】
前記リブが、フランジをさらに含み、前記フランジが、関節内視鏡器具が前記シース内に配置された場合、前記リブと前記関節内視鏡器具の外面との間にシールを形成することを特徴とする請求項1記載の体液溢出防止シース。
【請求項3】
前記リブが、さらに突起を含み、前記突起が、関節内視鏡器具が前記シース内に配置された場合、前記リブと前記関節内視鏡器具の外面との間にシールを形成することを特徴とする請求項1記載の体液溢出防止シース。
【請求項4】
前記関節内視鏡器具が前記シースの内部に配置されたとき、前記関節内視鏡器具の外面と前記チューブの内面との間に定められる少なくとも一つの外方腔を形成し、該外方腔は前記排出口と液的に連通することを特徴とする請求項1記載の体液溢出防止シース。
【請求項5】
前記少なくとも一つの排出腔と、前記少なくとも一つの排出口は、液的に連通することを特徴とする請求項1記載の体液溢出防止シース。
【請求項6】
その近位部分に配置されるハブをさらに含むことを特徴とする請求項1記載の体液溢出防止シース。
【請求項7】
体内手術部位において関節内視鏡手術を実行するためのシステムであって、
関節内視鏡手術処置を実行するのに好適な関節内視鏡器具と、
前記体液溢出防止シースとを備え、
該シースが、該シースの内部に配される前記関節内視鏡器具の外面と該シース内面との間に、液が流通することを可能とする大きさおよび形状を持つ内径を有し、
該シース内面から内側に延び、前記シースにそって長軸方向に走る少なくとも一つのリブの内部に配される排出腔を有し、
前記リブは、前記関節内視鏡器具の外面と、前記シースの内面との間に、少なくとも一つの外方腔を定め、
前記シースが、前記関節内視鏡器具の上に取り外し可能に配されることを特徴とする関節内視鏡手術システム。
【請求項8】
前記排出腔と液的に連通し、前記シースの中央部分に配される少なくとも一つの排出口をさらに含み、該排出口は、該排出腔から該シースの外部まで連通し、
手術部位で使用されるとき、チューブ遠位に設けられる流入又は流出口が手術部位内に配され、前記排出口が手術部位を被う生体組織内に配されるように設けることを特徴とする請求項7記載のシステム。
【請求項9】
前記関節内視鏡が前記シースの内部に配置されたとき、前記関節内視鏡器具の外面と前記チューブの内面との間に定められる少なくとも一つの外方腔と、前記少なくとも一つの流入又は流出口は、液的に連通することを特徴とする請求項7記載のシステム。
【請求項10】
前記排出腔と液的に連通する真空源をさらに含むことを特徴とする請求項7記載のシステム。
【請求項11】
関節内視鏡手術を実行するためのシステムであって、
関節内視鏡手術処置を実行するのに好適な関節内視鏡手術器具と、
体液溢出防止シースとを備え、
該関節内視鏡手術器具の外面に、少なくとも一つの長軸チャンネルを設け、
該シースの内面と該シースの内部に配される前記関節内視鏡器具の外面との間に、液が流通することを可能とする大きさおよび形状を持つ内径、および、前記シースに少なくとも一つの排出口、及び/又は流入又は流出口を設け、
該シースが、前記チャンネルと前記シースの内面との間に排出腔、又は外方腔を定め、かつ、前記関節内視鏡器具の上に取り外し可能に配置されることを特徴とする前記システム。
【請求項12】
前記シースの中央部分に配される前記少なくとも一つの排出口が、外方腔と同軸に整列されるとき、該外方腔と液的に連通するように設置されることを特徴とする請求項11記載のシステム。
【請求項13】
関節内視鏡手術を実行するための方法であって、
関節内視鏡手術処置を実行するのに好適な前記関節内視鏡器具を準備すること、
前記シースの中央部分に少なくとも一つの排出口を設けた体液溢出防止シースを準備すること、
前記シースの中に前記関節内視鏡器具を配置すること、
前記少なくとも一つの排出口を、関節内視鏡手術野を取り囲む組織と液的に連通するように設置すること、
前記関節内視鏡器具によって関節内視鏡手術処置を実行すること、および、
前記関節内視鏡手術処置の際、前記関節内視鏡手術野を取り囲む組織から前記排出口を通じて液を排出することを含む前記方法。
【請求項14】
前記関節内視鏡手術野に向かう流体の流入速度を上回る、前記術野を取り囲む組織からの流体の流出速度を実現する工程をさらに含むことを特徴とする請求項13記載の方法。
【請求項15】
流出速度が流入速度を約10%〜15%上回ることを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記関節内視鏡手術処置が、肩の関節内視鏡手術であることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項17】
体液溢出防止シースであって、
関節内視鏡器具の外径の周囲に緊密に合致する大きさおよび形状を持つ内径によって特徴づけられる内部チューブと、
前記内部チューブの周囲に配される外部チューブと、
前記内部および外部チューブの間に延び、かつ、前記シースの長さにそって走る複数のリブを含み、
前記内部チューブ、前記外部チューブ、および前記複数のリブは、前記内部および外部チューブの間に延び、かつ、前記シースの長さにそって走る、複数の外方腔の境界を定め、
関節内視鏡手術処置の際、前記外部チューブの中央部分に配される複数の排出口が前記排出腔と液的に連通し、関節内視鏡手術野を取り囲む組織から液体を排出することを特徴とする体液溢出防止シース。
【請求項18】
前記外部チューブの上に配される滑走可能スリーブをさらに含むことを特徴とする請求項17記載のシース。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2009−525149(P2009−525149A)
【公表日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−553440(P2008−553440)
【出願日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際出願番号】PCT/US2007/060725
【国際公開番号】WO2007/092662
【国際公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【出願人】(508002737)カンヌフロウ インコーポレイテッド (9)
【氏名又は名称原語表記】Cannuflow, Inc.
【住所又は居所原語表記】1190 Coleman Road #250, San Jose, CA 95110
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際出願番号】PCT/US2007/060725
【国際公開番号】WO2007/092662
【国際公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【出願人】(508002737)カンヌフロウ インコーポレイテッド (9)
【氏名又は名称原語表記】Cannuflow, Inc.
【住所又は居所原語表記】1190 Coleman Road #250, San Jose, CA 95110
【Fターム(参考)】
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