説明

余寿命診断方法および余寿命診断システム

【課題】電動機からの動力を用いて走行する自動車に搭載されたまたは自動車への搭載用のバッテリの余寿命をより適正に診断する。
【解決手段】寿命バッテリの使用状態と寿命実績(寿命バッテリの充電特性など)とを関連付けて寿命情報としてデータベース化して準備しておき、診断用バッテリの余寿命を診断する際には、データベースのうち診断用バッテリの使用状態に対応する対応領域から寿命充電電圧バラツキΔVmcli取得し(S140)、充電シーケンスにより診断用バッテリが充電されたときの診断充電電圧バラツキΔVmccuを取得し(S170,S180)、取得した診断充電電圧バラツキΔVmccuと寿命充電電圧バラツキΔVmcliとの関係から診断用バッテリの余寿命距離Rdや余寿命時間Rtを計算する(S190)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、余寿命診断方法および余寿命診断システムに関し、詳しくは、電動機からの動力を用いて走行する自動車に搭載されたまたはその自動車への搭載用のバッテリである診断用バッテリの余寿命を診断する余寿命診断方法および余寿命診断システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、サービスセンターと、センターに登録した各車両と、ディーラーと、の間のデータの送受信を利用して実行される車両診断システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この車両診断システムでは、各車両において、車両の消耗品の劣化度合いや消費度合いを算出するために要するデータ(整備情報データや部品の不調データ,部品故障を推定するデータ,メンテナンスデータなど)とドライバーの運転挙動とを検出してセンターに送信し、センター側において、消耗品の劣化度合いや消費度合いを求めるための関数パラメータとそれに影響を及ぼす要因割合を算出するための関数パラメータを算出して各車両に送信し、各車両において、自車の消耗品の劣化度合いや消費度合い,その要因割合を算出してディスプレイに表示している。例えば、消耗品の診断対象をバッテリとした場合には、バッテリの劣化度や、ドライバー挙動(低充電度,エンジン回転数,充電回数など)を加味した劣化要因などを表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−227141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
こうしたシステムでは、車両として、走行用のモータとこのモータと電力をやりとりするバッテリとを備える電気自動車や、走行用のモータとバッテリとに加えてエンジンも備えるシリーズ型やパラレル型のハイブリッド自動車などを想定した場合には、バッテリの性能が走行に影響することがあるため、バッテリの余寿命をより適正に診断することが重要な課題の一つとされる。このため、バッテリの余寿命を診断するための手法として、上述した手法とは異なる手法の構築が望まれている。
【0005】
本発明の余寿命診断方法および余寿命診断システムは、電動機からの動力を用いて走行する自動車に搭載されたまたは自動車への搭載用のバッテリの余寿命をより適正に診断することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の余寿命診断方法および余寿命診断システムは、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の第1の余寿命診断方法は、
電動機からの動力を用いて走行する自動車に搭載されたまたは該自動車への搭載用のバッテリである診断用バッテリの余寿命を診断する余寿命診断方法であって、
(a)情報を記憶する情報記憶手段に、寿命に到達したバッテリである寿命バッテリの使用状態と予め定められた所定の充電シーケンスにより前記寿命バッテリが充電されたときの該寿命バッテリの充電特性である寿命充電特性とを関連付けて記憶させて準備し、
(b)前記診断用バッテリの使用状態と、前記所定の充電シーケンスにより前記診断用バッテリが充電されたときの該診断用バッテリの充電特性である診断充電特性と、を取得し、
(c)前記取得された診断充電特性と、前記情報記憶手段に記憶されている情報のうち前記取得された診断用バッテリの使用状態に対応する前記寿命バッテリの使用状態に関連付けられた前記寿命充電特性である対応寿命充電特性と、の関係から前記診断用バッテリの余寿命を診断する、
ことを要旨とする。
【0008】
この本発明の第1の余寿命診断方法では、情報を記憶する情報記憶手段に、寿命に到達したバッテリである寿命バッテリの使用状態と予め定められた所定の充電シーケンスにより寿命バッテリが充電されたときの寿命バッテリの充電特性である寿命充電特性とを関連付けて記憶させて準備しておき、診断用バッテリの使用状態と所定の充電シーケンスにより診断用バッテリが充電されたときの診断用バッテリの充電特性である診断充電特性とを取得し、取得した診断充電特性と情報記憶手段に記憶されている情報のうち診断用バッテリの使用状態に対応する寿命バッテリの使用状態に関連付けられた寿命充電特性である対応寿命充電特性と、の関係から診断用バッテリの余寿命を診断する。一般に、バッテリの充電特性は、バッテリの経年変化などに依存するため、診断充電特性と対応寿命充電特性とを比較することにより、診断用バッテリの余寿命をより適正に診断することができる。
【0009】
こうした本発明の第1の余寿命診断方法において、前記診断用バッテリおよび前記寿命バッテリは、複数のモジュールにより構成されており、前記ステップ(a)は、前記所定の充電シーケンスにより前記寿命バッテリが充電されたときの該寿命バッテリの各モジュールの電圧のバラツキを前記寿命充電特性として前記寿命バッテリの使用状態と関連付けて前記情報記憶手段に記憶させるステップであり、前記ステップ(b)は、前記所定の充電シーケンスにより前記診断用バッテリが充電されたときの該診断用バッテリの各モジュールの電圧のバラツキを前記診断充電特性として取得するステップである、ものとすることもできる。
【0010】
また、本発明の第1の余寿命診断方法において、前記ステップ(a)は、前記所定の充電シーケンスにより前記寿命バッテリが充電されたときの該寿命バッテリの電圧である寿命充電電圧の挙動を前記寿命充電特性として前記寿命バッテリの使用状態と関連付けて前記情報記憶手段に記憶させると共に前記所定の充電シーケンスにより新品のバッテリである新品バッテリが充電されたときの該新品バッテリの電圧である新品充電電圧の挙動を前記新品バッテリの充電特性である新品充電特性として前記情報記憶手段に記憶させるステップであり、前記ステップ(b)は、前記所定の充電シーケンスにより前記診断用バッテリが充電されたときの該診断用バッテリの電圧である診断充電電圧の挙動を前記診断充電特性として取得するステップであり、前記ステップ(c)は、前記取得された診断充電電圧の挙動と前記情報記憶手段に記憶されている新品充電電圧の挙動とのズレである診断ズレと、前記情報記憶手段に記憶されている対応寿命充電特性としての寿命充電電圧の挙動と前記情報記憶手段に記憶されている新品充電電圧の挙動とのズレである寿命ズレと、の関係から前記診断用バッテリの余寿命を診断するステップである、ものとすることもできる。この態様の本発明の第1の余寿命診断方法において、前記ステップ(c)は、前記所定の充電シーケンスの所定のタイミングにおける前記診断充電電圧と前記新品充電電圧との差を前記診断ズレとすると共に前記所定のタイミングにおける前記寿命充電電圧と前記新品充電電圧との差を前記寿命ズレとして前記診断用バッテリの余寿命を診断するステップである、ものとすることもできるし、前記所定の充電シーケンスの開始から前記診断充電電圧が所定電圧に至るまでに要する時間と前記所定の充電シーケンスの開始から前記新品充電電圧が前記所定電圧に至るまでに要する時間との差を前記診断ズレとすると共に前記所定の充電シーケンスの開始から前記寿命充電電圧が前記所定電圧に至るまでに要する時間と前記所定の充電シーケンスの開始から前記新品充電電圧が前記所定電圧に至るまでに要する時間との差を前記寿命ズレとして前記診断用バッテリの余寿命を診断するステップである、ものとすることもできる。
【0011】
さらに、本発明の第1の余寿命診断方法において、前記ステップ(a)は、前記所定の充電シーケンスにより前記寿命バッテリが充電されたときの該寿命バッテリの電流と電圧との関係である寿命充電電流電圧特性を前記寿命充電特性として前記寿命バッテリの使用状態と関連付けて前記情報記憶手段に記憶させると共に前記所定の充電シーケンスにより新品のバッテリである新品バッテリが充電されたときの該新品バッテリの電流と電圧との関係である新品充電電流電圧特性を前記新品バッテリの充電特性である新品充電特性として前記情報記憶手段に記憶させるステップであり、前記ステップ(b)は、前記所定の充電シーケンスにより前記診断用バッテリが充電されたときの該診断用バッテリの電流と電圧との関係である診断充電電流電圧特性を前記寿命充電特性として取得するステップであり、前記ステップ(c)は、前記取得された診断充電電流電圧特性と前記情報記憶手段に記憶されている新品充電電流電圧特性とのズレである診断ズレと、前記情報記憶手段に記憶されている対応寿命充電特性としての寿命充電電流電圧特性と前記情報記憶手段に記憶されている新品充電電流電圧特性とのズレである寿命ズレと、の関係から前記診断用バッテリの余寿命を診断するステップである、ものとすることもできる。
【0012】
あるいは、本発明の第1の余寿命診断方法において、前記所定の充電シーケンスは、所定の高電力によるバッテリの充電を含む充電シーケンスである、ものとすることもできる。こうすれば、診断用バッテリの余寿命の診断を比較的迅速に行なうことができる。
【0013】
本発明の第2の余寿命診断方法は、
電動機からの動力を用いて走行する自動車に搭載されたまたは該自動車への搭載用のバッテリである診断用バッテリの余寿命を診断する余寿命診断方法であって、
(a)情報を記憶する情報記憶手段に、寿命に到達したバッテリである寿命バッテリの使用状態と予め定められた所定の放電シーケンスにより前記寿命バッテリが放電されたときの該寿命バッテリの放電特性である寿命放電特性とを関連付けて記憶させて準備し、
(b)前記診断用バッテリの使用状態と、前記所定の放電シーケンスにより前記診断用バッテリが放電されたときの該診断用バッテリの放電特性である診断放電特性と、を取得し、
(c)前記取得された診断放電特性と、前記情報記憶手段に記憶されている情報のうち前記取得された診断用バッテリの使用状態に対応する前記寿命バッテリの使用状態に関連付けられた前記寿命放電特性である対応寿命放電特性と、の関係から前記診断用バッテリの余寿命を診断する、
ことを要旨とする。
【0014】
この本発明の第2の余寿命診断方法では、情報を記憶する情報記憶手段に、寿命に到達したバッテリである寿命バッテリの使用状態と予め定められた所定の放電シーケンスにより寿命バッテリが放電されたときの寿命バッテリの放電特性である寿命放電特性とを関連付けて記憶させて準備しておき、診断用バッテリの使用状態と、所定の放電シーケンスにより診断用バッテリが放電されたときの診断用バッテリの放電特性である診断放電特性と、を取得し、取得した診断放電特性と情報記憶手段に記憶されている情報のうち診断用バッテリの使用状態に対応する寿命バッテリの使用状態に関連付けられた寿命放電特性である対応寿命放電特性との関係から診断用バッテリの余寿命を診断する。一般に、バッテリの放電特性は、バッテリの経年変化などに依存するため、診断放電特性と対応寿命放電特性とを比較することにより、診断用バッテリの余寿命をより適正に診断することができる。
【0015】
こうした本発明の第2の余寿命診断方法において、前記診断用バッテリおよび前記寿命バッテリは、複数のモジュールにより構成されており、前記ステップ(a)は、前記所定の放電シーケンスにより前記寿命バッテリが放電されたときの該寿命バッテリの各モジュールの電圧のバラツキを前記寿命放電特性として前記寿命バッテリの使用状態と関連付けて前記情報記憶手段に記憶させるステップであり、前記ステップ(b)は、前記所定の放電シーケンスにより前記診断用バッテリが放電されたときの該診断用バッテリの各モジュールの電圧のバラツキを前記診断放電特性として取得するステップである、ものとすることもできる。
【0016】
また、本発明の第2の余寿命診断方法において、前記ステップ(a)は、前記所定の放電シーケンスにより前記寿命バッテリが放電されたときの該寿命バッテリの電圧である寿命放電電圧の挙動を前記寿命放電特性として前記寿命バッテリの使用状態と関連付けて前記情報記憶手段に記憶させると共に前記所定の放電シーケンスにより新品のバッテリである新品バッテリが放電されたときの該新品バッテリの電圧である新品放電電圧の挙動を前記新品バッテリの放電特性である新品放電特性として前記情報記憶手段に記憶させるステップであり、前記ステップ(b)は、前記所定の放電シーケンスにより前記診断用バッテリが放電されたときの該診断用バッテリの電圧である診断放電電圧の挙動を前記診断放電特性として取得するステップであり、前記ステップ(c)は、前記取得された診断放電電圧の挙動と前記情報記憶手段に記憶されている新品放電電圧の挙動とのズレである診断ズレと、前記情報記憶手段に記憶されている対応寿命放電特性としての寿命放電電圧の挙動と前記情報記憶手段に記憶されている新品放電電圧の挙動とのズレである寿命ズレと、の関係から前記診断用バッテリの余寿命を診断するステップである、ものとすることもできる。この態様の本発明の第2の余寿命診断方法において、前記ステップ(c)は、前記所定の放電シーケンスの所定のタイミングにおける前記診断放電電圧と前記新品放電電圧との差を前記診断ズレとすると共に前記所定のタイミングにおける前記寿命放電電圧と前記新品放電電圧との差を前記寿命ズレとして前記診断用バッテリの余寿命を診断するステップである、ものとすることもできるし、前記所定の放電シーケンスの開始から前記診断放電電圧が所定電圧に至るまでに要する時間と前記所定の放電シーケンスの開始から前記新品放電電圧が前記所定電圧に至るまでに要する時間との差を前記診断ズレとすると共に前記所定の放電シーケンスの開始から前記寿命放電電圧が前記所定電圧に至るまでに要する時間と前記所定の放電シーケンスの開始から前記新品放電電圧が前記所定電圧に至るまでに要する時間との差を前記寿命ズレとして前記診断用バッテリの余寿命を診断するステップである、ものとすることもできる。
【0017】
さらに、本発明の第2の余寿命診断方法において、前記ステップ(a)は、前記所定の放電シーケンスにより前記寿命バッテリが放電されたときの該寿命バッテリの電流と電圧との関係である寿命放電電流電圧特性を前記寿命放電特性として前記寿命バッテリの使用状態と関連付けて前記情報記憶手段に記憶させると共に前記所定の放電シーケンスにより新品のバッテリである新品バッテリが放電されたときの該新品バッテリの電流と電圧との関係である新品放電電流電圧特性を前記新品バッテリの放電特性である新品放電特性として前記情報記憶手段に記憶させるステップであり、前記ステップ(b)は、前記所定の放電シーケンスにより前記診断用バッテリが放電されたときの該診断用バッテリの電流と電圧との関係である診断放電電流電圧特性を前記寿命放電特性として取得するステップであり、前記ステップ(c)は、前記取得された診断放電電流電圧特性と前記情報記憶手段に記憶されている新品放電電流電圧特性とのズレである診断ズレと、前記情報記憶手段に記憶されている対応寿命放電特性としての寿命放電電流電圧特性と前記情報記憶手段に記憶されている新品放電電流電圧特性とのズレである寿命ズレと、の関係から前記診断用バッテリの余寿命を診断するステップである、ものとすることもできる。
【0018】
あるいは、本発明の第2の余寿命診断方法において、前記所定の放電シーケンスは、所定の高電力によるバッテリの放電を含む放電シーケンスである、ものとすることもできる。こうすれば、診断用バッテリの余寿命の診断を比較的迅速に行なうことができる。
【0019】
本発明の第1の余寿命診断システムは、
電動機からの動力を用いて走行する自動車に搭載されたまたは該自動車への搭載用のバッテリである診断用バッテリの余寿命を診断する余寿命診断システムであって、
寿命に到達したバッテリである寿命バッテリの使用状態と予め定められた所定の充電シーケンスにより前記寿命バッテリが充電されたときの該寿命バッテリの充電特性である寿命充電特性とを関連付けて記憶する情報記憶手段と、
前記診断用バッテリの使用状態と、前記所定の充電シーケンスにより前記診断用バッテリが充電されたときの該診断用バッテリの充電特性である診断充電特性と、を取得する情報取得手段と、
前記取得された診断充電特性と、前記情報記憶手段に記憶されている情報のうち前記取得された診断用バッテリの使用状態に対応する前記寿命バッテリの使用状態に関連付けられた前記寿命充電特性である対応寿命充電特性と、の関係から前記診断用バッテリの余寿命を診断する診断手段と、
を備えることを要旨とする。
【0020】
この本発明の第1の余寿命診断システムでは、寿命に到達したバッテリである寿命バッテリの使用状態と予め定められた所定の充電シーケンスにより寿命バッテリが充電されたときの寿命バッテリの充電特性である寿命充電特性とを関連付けて情報記憶手段に記憶させて準備しておき、診断用バッテリの使用状態と所定の充電シーケンスにより診断用バッテリが充電されたときの診断用バッテリの充電特性である診断充電特性とを取得し、取得した診断充電特性と情報記憶手段に記憶されている情報のうち診断用バッテリの使用状態に対応する寿命バッテリの使用状態に関連付けられた寿命充電特性である対応寿命充電特性と、の関係から診断用バッテリの余寿命を診断する。一般に、バッテリの充電特性は、バッテリの経年変化などに依存するため、診断充電特性と対応寿命充電特性とを比較することにより、診断用バッテリの余寿命をより適正に診断することができる。
【0021】
本発明の第2の余寿命診断システムは、
電動機からの動力を用いて走行する自動車に搭載されたまたは該自動車への搭載用のバッテリである診断用バッテリの余寿命を診断する余寿命診断システムであって、
寿命に到達したバッテリである寿命バッテリの使用状態と予め定められた所定の放電シーケンスにより前記寿命バッテリが放電されたときの該寿命バッテリの放電特性である寿命放電特性とを関連付けて記憶する情報記憶手段と、
前記診断用バッテリの使用状態と、前記所定の放電シーケンスにより前記診断用バッテリが放電されたときの該診断用バッテリの放電特性である診断放電特性と、を取得する情報取得手段と、
前記取得された診断放電特性と、前記情報記憶手段に記憶されている情報のうち前記取得された診断用バッテリの使用状態に対応する前記寿命バッテリの使用状態に関連付けられた前記寿命放電特性である対応寿命放電特性と、の関係から前記診断用バッテリの余寿命を診断する診断手段と、
を備えることを要旨とする。
【0022】
この本発明の第2の余寿命診断システムでは、寿命に到達したバッテリである寿命バッテリの使用状態と予め定められた所定の放電シーケンスにより寿命バッテリが放電されたときの寿命バッテリの放電特性である寿命放電特性とを関連付けて情報記憶手段に記憶させて準備しておき、診断用バッテリの使用状態と、所定の放電シーケンスにより診断用バッテリが放電されたときの診断用バッテリの放電特性である診断放電特性と、を取得し、取得した診断放電特性と情報記憶手段に記憶されている情報のうち診断用バッテリの使用状態に対応する寿命バッテリの使用状態に関連付けられた寿命放電特性である対応寿命放電特性との関係から診断用バッテリの余寿命を診断する。一般に、バッテリの放電特性は、バッテリの経年変化などに依存するため、診断放電特性と対応寿命放電特性とを比較することにより、診断用バッテリの余寿命をより適正に診断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】自動車10に搭載されたバッテリとしてのバッテリ12の余寿命を診断する余寿命診断システム20の構成の概略を示す構成図である。
【図2】バッテリ12の構成の概略を示す構成図である。
【図3】寿命情報や新品情報を含むデータベースの一例を示す説明図である。
【図4】寿命充電電圧バラツキΔVmcliおよび新品充電電圧バラツキΔVmcnewの一例を示す説明図である。
【図5】第2寿命充電電圧Vbcli2および第2新品充電電圧Vbcnew2の挙動の一例を示す説明図である。
【図6】第3寿命充電電圧Vbcli3および第3新品充電電圧Vbcnew3の挙動の一例を示す説明図である。
【図7】寿命充電電流電圧特性IVcliおよび新品充電電流電圧特性IVcnewの一例を示す説明図である。
【図8】寿命放電電圧バラツキΔVmdliおよび新品放電電圧バラツキΔVmdnewの一例を示す説明図である。
【図9】第2寿命放電電圧Vbdli2および第2新品放電電圧Vbdnew2の挙動の一例を図9に示し、示す説明図である。
【図10】第3寿命放電電圧Vbdli3および第3新品放電電圧Vbdnew3の挙動の一例を示す説明図である。
【図11】寿命放電電流電圧特性IVcliおよび新品放電電流電圧特性の一例を示す説明図である。
【図12】端末30により実行される余寿命診断ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図13】サーバ50により実行されるデータ検索ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図14】診断充電電圧バラツキΔVmccuの一例を示す説明図である。
【図15】第2新品充電電圧Vbcnew2の挙動と第2診断充電電圧Vbccu2の挙動と第2寿命充電電圧Vbcli2の挙動との一例を示す説明図である。
【図16】第3新品充電電圧Vbcnew3の挙動と第3診断充電電圧Vbccu3の挙動と第3寿命充電電圧Vbcli3の挙動との一例を示す説明図である。
【図17】新品充電電流電圧特性IVcnewと診断充電電流電圧特性IVccuと寿命充電電流電圧特性IVcliとの一例を示す説明図である。
【図18】診断充電電圧バラツキΔVmdcuと寿命放電電圧バラツキΔVmdliとの一例を示す説明図である。
【図19】第2新品放電電圧Vbdnew2の挙動と第2診断放電電圧Vbdcu2の挙動と第2寿命放電電圧Vbdli2の挙動との一例を示す説明図である。
【図20】第3新品放電電圧Vbdnew3の挙動と第3診断放電電圧Vbdcu3の挙動と第3寿命放電電圧Vbdli3の挙動との一例を示す説明図である。
【図21】新品放電電流電圧特性IVdnewと診断放電電流電圧特性IVdcuと寿命放電電流電圧特性IVdliとの一例を示す説明図である。
【図22】自動車110と余寿命診断システム120との構成の概略を示す構成図の一例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0025】
図1は、本発明の実施例として、自動車10に搭載されたバッテリ12の余寿命を診断する余寿命診断システム20の構成の概略を示す構成図であり、図2は、バッテリ12の構成の概略を示す構成図である。以下、まず、自動車10について説明し、その後、余寿命診断システム20について説明する。
【0026】
自動車10は、図1に例示するように、例えば同期発電電動機として構成されたモータ11からの動力を用いて走行する電気自動車やモータ11の他に図示しないエンジンも備えるハイブリッド自動車として構成されており、モータ11と電力をやりとりするバッテリ12や、バッテリ12と車外の電力機器とを接続するための車両側コネクタ14,バッテリ12の管理やモータ11の制御など車両全体をコントロールする電子制御ユニット16などを備える。バッテリ12は、図2に例示するように、ニッケル水素二次電池やリチウムイオン二次電池として構成された複数のセルを直列接続してなるk(kは2以上の整数)個の電池モジュールM1〜Mkが直列に接続されたものとして構成されている。以下、説明の都合上、バッテリ12を診断用バッテリ12という。また、診断用バッテリ12や後述の寿命バッテリ,新品バッテリをまとめて単にバッテリということがある。電子制御ユニット16には、図2に例示するように、診断用バッテリ12の端子間に取り付けられた電圧センサ13aからの電圧Vbや、診断用バッテリ12の各電池モジュールM1〜Mkの端子間にそれぞれ取り付けられた電圧センサS1〜Skからのモジュール電圧Vm1〜Vmk,診断用バッテリ12の正極端子に取り付けられた電流センサ13bからのバッテリ電流Ibなどが入力されており、入力された電圧Vbやモジュール電圧Vm1〜Vmk,電流Ib,診断用バッテリ12の使用地域や使用用途,走行履歴などを含む診断用バッテリ12の使用状態などが記憶されている。ここで、使用地域としては、例えば、寒冷地域,熱帯地域,多湿地域,常温地域などがあり、使用用途としては、例えば、通勤,買い物,旅行などの各用途の使用比率などがあり、走行履歴としては、システム起動からシステム停止までの1トリップの走行距離の平均や、システム停止の継続時間の平均などがある。なお、使用地域は、例えば、図示しないカーナビゲーションシステムなどにより取得するものとしたり、外気温度や湿度,地形などの環境に基づいて判定して取得するものとしたりすることができる。また、使用用途は、例えば、自動車11の走行時刻の履歴や1トリップの走行時間の履歴などから判定して取得するものとすることができる。
【0027】
余寿命診断システム20は、販売店や家庭などの任意の場所に設置されて自動車10の電子制御ユニット16と通信可能な端末30と、販売店や家庭などの任意の場所に設置されて車両側コネクタ14と装置側コネクタ42とが接続された状態で診断用バッテリ12を充放電させるために用いられ且つ端末30や電子制御ユニット16と通信可能な充放電装置40と、インターネットなどのネットワーク22を介して端末30と通信可能なサーバ50と、を備える。
【0028】
端末30は、CPU31やROM32,RAM33,ハードディスクドライブ34などを有する汎用のコンピュータとして構成されており、ディスプレイ35や、入力装置としてのキーボード36やマウス37なども備える。
【0029】
サーバ50は、CPU51やRAM52,ROM53,ハードディスクドライブ54などを有する汎用のコンピュータとして構成されている。ハードディスクドライブ54には、寿命に到達したバッテリである寿命バッテリの使用状態と、寿命バッテリの充電特性や放電特性と、寿命バッテリの搭載車の走行距離である寿命距離Rdmaxや寿命バッテリの使用期間である寿命時間Rtmaxと、が関連付けられて寿命情報としてデータベース化されて記憶されていると共に、新品のバッテリである新品バッテリの充電特性や放電特性が新品情報としてデータベース化されて記憶されている。以下、寿命バッテリの充電特性や放電特性,寿命距離Rdmaxや寿命時間Rtmaxをまとめて寿命実績という。寿命情報や新品情報を含むデータベースの一例を図3に示す。図3の例では、搭載車種によってバッテリの仕様が異なることを考慮して、寿命バッテリの搭載車種と使用状態と寿命実績とを関連付けて寿命情報としてデータベース化すると共に新品バッテリの搭載車種と充電特性や放電特性とを関連付けて新品情報としてデータベース化するものとした。以下、寿命バッテリや新品バッテリの充電特性や放電特性について説明する。
【0030】
寿命バッテリの充電特性として、実施例では、短時間の高電力(例えば、バッテリを充電してもよい最大許容電力やそれよりも若干低い電力など)によるバッテリの充電(以下、高速充電という)である短時間高速充電を複数回に亘って行なう第1充電シーケンスにより第1所定状態のバッテリを充電する第1充電シーケンス処理を寿命バッテリに対して行なったときの寿命バッテリの各電池モジュールのモジュール電圧の最大値と最小値との差(以下、寿命充電電圧バラツキという)ΔVmcliや、短時間高速充電を複数回に亘って行なう第2充電シーケンスにより第2所定状態のバッテリを充電する第2充電シーケンス処理を寿命バッテリに対して行なったときの寿命バッテリの電圧(以下、第2寿命充電電圧という)Vbcli2の挙動,短時間高速充電より長い時間の高速充電を行なう第3充電シーケンスにより第3所定状態のバッテリを充電する第3充電シーケンス処理を寿命バッテリに対して行なったときの寿命バッテリの電圧(以下、第3寿命充電電圧という)Vbcli3の挙動,各々に電流値が異なるパルス電流によるバッテリの充電を複数回に亘って行なう第4充電シーケンスにより第4所定状態のバッテリを充電する第4シーケンス処理を寿命バッテリに対して行なったときの寿命バッテリの電流と電圧との関係(以下、寿命充電電流電圧特性という)IVcliを用いるものとした。ここで、第1〜第4所定状態は、例えば、バッテリの電圧が所定電圧である状態や、バッテリの各電池モジュールのモジュール電圧のうち最小のものが所定電圧である状態,バッテリの残容量が所定残容量である状態などである。この第1〜第4所定状態は、同一の状態であるものとしてもよいし、異なる状態であるものとしてもよい。
【0031】
また、新品バッテリの充電特性として、実施例では、第1充電シーケンス処理を新品バッテリに対して行なったときの新品バッテリの各電池モジュールのモジュール電圧の最大値と最小値との差(以下、新品充電電圧バラツキという)ΔVmcnewや、第2充電シーケンス処理を新品バッテリに対して行なったときの新品バッテリの電圧(以下、第2新品充電電圧という)Vbcnew2の挙動,第3充電シーケンス処理を新品バッテリiに対して行なったときの新品バッテリの電圧(以下、第3新品充電電圧という)Vbcnew3の挙動,第4シーケンス処理を新品バッテリに対して行なったときの新品バッテリの電流と電圧との関係(以下、新品充電電流電圧特性という)IVcnewを用いるものとした。寿命充電電圧バラツキΔVmcliおよび新品充電電圧バラツキΔVmcnewの一例を図4に示し、第2寿命充電電圧Vbcli2および第2新品充電電圧Vbcnew2の挙動の一例を図5に示し、第3寿命充電電圧Vbcli3および第3新品充電電圧Vbcnew3の挙動の一例を図6に示し、寿命充電電流電圧特性IVcliおよび新品充電電流電圧特性Ivcnewの一例を図7に示す。図4〜図7では、搭載車種が同一である即ち仕様が同一である寿命バッテリや新品バッテリの充電特性を示した。図4の例では、新品充電電圧バラツキΔVmcnewは、各セルや各電池モジュールの製造誤差などによるものであると考えられ、寿命充電電圧バラツキΔVmcliは、各セルや各電池モジュールの製造誤差に使用による経年変化などが加味されたものであると考えられる。また、図5〜図7の例では、新品バッテリの充電特性と寿命バッテリの充電特性とのズレは、各セルや各電池モジュールの経年変化を含むバッテリ全体としての経年変化などによるものであると考えられる。
【0032】
寿命バッテリの放電特性として、実施例では、短時間の高電力(例えば、バッテリを放電してもよい最大許容電力やそれよりも若干低い電力など)によるバッテリの放電(以下、高速放電という)である短時間高速放電を複数回に亘って行なう第1放電シーケンスにより第5所定状態のバッテリを放電する第1放電シーケンス処理を寿命バッテリに対して行なったときの寿命バッテリの各電池モジュールのモジュール電圧の最大値と最小値との差(以下、寿命放電電圧バラツキという)ΔVmdliや、短時間高速放電を複数回に亘って行なう第2放電シーケンスにより第6所定状態のバッテリを放電する第2放電シーケンス処理を寿命バッテリに対して行なったときの寿命バッテリの電圧(以下、第2寿命放電電圧という)Vbdli2の挙動,短時間高速放電より長い時間の高速放電を行なう第3放電シーケンスにより第7所定状態のバッテリを放電する第3放電シーケンス処理を寿命バッテリに対して行なったときの寿命バッテリの電圧(以下、第3寿命放電電圧という)Vbdli3の挙動,各々に電流値が異なるパルス電流によるバッテリの放電を複数回に亘って行なう第4放電シーケンスにより第8所定状態のバッテリを放電する第4シーケンス処理を寿命バッテリに対して行なったときの寿命バッテリの電流と電圧との関係(以下、寿命放電電流電圧特性という)IVdliを用いるものとした。ここで、第5〜第8所定状態は、前述の第1〜第4所定状態のいずれかと同一の状態であるものとしてもよいし、異なる状態であるものとしてもよい。
【0033】
また、新品バッテリの放電特性として、実施例では、第1放電シーケンス処理を新品バッテリに対して行なったときの新品バッテリの各電池モジュールのモジュール電圧の最大値と最小値との差(以下、新品放電電圧バラツキという)ΔVmdnewや、第2放電シーケンス処理を新品バッテリに対して行なったときの新品バッテリの電圧(以下、第2新品放電電圧という)Vbdnew2の挙動,第3放電シーケンス処理を新品バッテリiに対して行なったときの新品バッテリの電圧(以下、第3新品放電電圧という)Vbdnew3の挙動,第4シーケンス処理を新品バッテリに対して行なったときの新品バッテリの電流と電圧との関係(以下、新品放電電流電圧特性という)IVdnewを用いるものとした。寿命放電電圧バラツキΔVmdliおよび新品放電電圧バラツキΔVmdnewの一例を図8に示し、第2寿命放電電圧Vbdli2および第2新品放電電圧Vbdnew2の挙動の一例を図9に示し、第3寿命放電電圧Vbdli3および第3新品放電電圧Vbdnew3の挙動の一例を図10に示し、寿命放電電流電圧特性IVdliおよび新品放電電流電圧特性の一例を図11に示す。図8〜図11では、搭載車種が同一である即ち仕様が同一である寿命バッテリや新品バッテリの放電特性を示した。図8の例では、新品放電電圧バラツキΔVmdnewは、各セルや各電池モジュールの製造誤差などによるものであると考えられ、寿命放電電圧バラツキΔVmdliは、各セルや各電池モジュールの製造誤差に使用による経年変化などが加味されたものであると考えられる。また、図9〜図11の例では、新品バッテリの放電特性と寿命バッテリの放電特性とのズレは、各セルや各電池モジュールの経年変化を含むバッテリ全体としての経年変化などによるものであると考えられる。
【0034】
次に、こうして構成された実施例の余寿命診断システム20の動作について説明する。図12は、端末30や充放電装置40が設置された場所(販売店など)に自動車10が持ち込まれて車両側コネクタ14と装置側コネクタ42とが接続された状態で診断用バッテリ12の余寿命を診断する際に端末30により実行される余寿命診断ルーチンの一例を示すフローチャートである。なお、実施例では、ユーザによる選択または端末30による任意の選択によって第1充電シーケンス処理を用いて診断用バッテリ12の余寿命を診断する場合について説明する。
【0035】
余寿命診断ルーチンが実行されると、端末30のCPU31は、自動車10の車種や診断用バッテリ12の使用状態(使用地域や使用用途,走行履歴など)など診断用バッテリ12に関する情報(以下、診断用バッテリ情報という)を自動車10の電子制御ユニット16に要求し(ステップS100)、電子制御ユニット16から診断用バッテリ情報を受信すると(ステップS110)、受診した診断用バッテリ情報をサーバ50に送信する(ステップS120)。診断用バッテリ情報を受信したサーバ50のCPU51は、図13のデータ検索ルーチンに例示するように、ハードディスクドライブ54に記憶されているデータベースから診断用バッテリ情報に対応する寿命バッテリの搭載車種と使用状態とに関連付けられた領域(以下、対応領域という)を検索し(ステップS300)、検索した対応領域に寿命実績(実施例では、充電特性としての寿命充電電圧バラツキΔVmcli,寿命距離Rdmax,寿命時間Rtmax)があるときには寿命実績と新品バッテリの充電特性(実施例では、新品充電電圧バラツキΔVmcnew)とを端末30を送信し(ステップS310,S320)、検索した対応領域に寿命実績がないときにはその旨を示す情報である空情報を端末30に送信する(ステップS310,S330)。
【0036】
端末30のCPU31は、サーバ50からデータを受信すると(ステップS130)、そのデータが寿命実績であるか空情報であるかを判定し(ステップS140)、受信したデータが空情報であるときには、診断用バッテリ12の余寿命を計算できない旨(以下、余寿命計算不可情報という)をディスプレイ35に出力して(ステップS200)、本ルーチンを終了する。
【0037】
一方、受信したデータが寿命実績であるときには、診断用バッテリ12の状態を第1所定状態にする準備処理を行なわせるための指示を充放電装置40と電子制御ユニット16とに送信する(ステップS150)。この指示を受信した充放電装置40と電子制御ユニット16とは、互いに通信を行ないながら診断用バッテリ12の状態が第1所定状態になるよう準備処理を行ない、準備処理が完了したときに準備処理完了信号を端末30に送信する。なお、準備処理を行なうのは、寿命充電電圧バラツキΔVmcliと後述の診断充電電圧バラツキΔVmccuとの取得条件を揃えるためである。
【0038】
端末30のCPU31は、準備処理完了信号を受信すると(ステップS160)、第1充電シーケンス処理を診断用バッテリ12に対して行なわせるための指示を充放電装置40に送信すると共に第1充電シーケンス処理の実行時の診断用バッテリ12のモジュール電圧Vm1〜Vmkの最大値と最小値との差としての診断充電電圧バラツキΔVmccuを取得させるための指示を電子制御ユニット16に送信する(ステップS170)。指示を受信した充放電装置40は、第1充電シーケンス処理を実行する。また、指示を受信した電子制御ユニット16は、第1充電シーケンスの実行中に電圧センサS1〜Skにより検出される診断用バッテリ12のモジュール電圧Vm1〜Vmkを用いて診断充電電圧バラツキΔVmccuを求めて端末30に送信する。診断充電電圧バラツキΔVmccuの一例を図14に示す。図14では、参考のために、サーバ50から受信した新品充電電圧バラツキΔVmcnewや寿命充電電圧バラツキΔVmcliについても図示した。なお、新品充電電圧バラツキΔVmcnewは、各セルや各電池モジュールの製造誤差によるものであると考えられ、診断充電電圧バラツキΔVmccuや寿命充電電圧バラツキΔVmcliは、各セルや各電池モジュールの製造誤差に使用による経年変化が加味されたものであると考えられる。
【0039】
そして、端末30のCPU31は、電子制御ユニット16から診断充電電圧バラツキΔVmccuを受信すると(ステップS180)、電子制御ユニット16から受診した診断充電電圧バラツキΔVmccuと、サーバ50から受信した寿命充電電圧バラツキΔVmcliや寿命距離Rdmax,寿命時間Rtmax,新品充電電圧バラツキΔVmcnewと、を用いて、次式(1)により診断用バッテリ12が寿命に到達するまでに自動車10が走行可能な距離としての余寿命距離Rdを計算すると共に式(2)により診断用バッテリ12が寿命に到達するまでの時間としての余寿命時間Rtを計算してこれらをディスプレイ35に出力して(ステップS190)、本ルーチンを終了する。このように診断用バッテリ12の余寿命距離Rdや余寿命時間Rtを計算することにより、各セルや各電池モジュールの製造誤差や使用による経年変化などを考慮して、診断用バッテリ12の余寿命距離Rdや余寿命時間Rtをより適正に計算することができる。なお、バッテリの製造誤差などを考慮しない場合(バッテリが新品のときには各電池モジュールのモジュール電圧が同一であるとみなす場合)には、サーバ50から新品充電電圧バラツキΔVmcnewを受信する必要はなく、式(1)および式(2)において、新品充電電圧バラツキΔVmcnewを値0とすればよい。
【0040】
Rd=Rdmax-Rdmax・(ΔVmccu-ΔVmnew)/(ΔVmcli-ΔVmcnew) (1)
Rt=Rtmax-Rtmax・(ΔVmccu-ΔVmnew)/(ΔVmcli-ΔVmcnew) (2)
【0041】
以上説明した実施例の余寿命診断システム20によれば、寿命バッテリの使用状態と寿命実績(充電特性や放電特性,寿命距離Rdmax,寿命時間Rtmax)とを関連付けて寿命情報としてデータベース化して準備しておき、診断用バッテリ12の余寿命を診断する際には、データベースのうち診断用バッテリ情報に対応する対応領域から寿命実績(寿命充電電圧バラツキΔVmcliなど)を取得し、第1充電シーケンス処理を診断用バッテリ12に対して行なったときの診断充電電圧バラツキΔVmccuを取得し、取得した診断充電電圧バラツキΔVmccuと寿命充電電圧バラツキΔVmcliとの関係から診断用バッテリ12の余寿命距離Rdや余寿命時間Rtを計算するから、診断用バッテリ12の余寿命の診断をより適正に行なうことができる。しかも、短時間高速充電を複数回に亘って行なう第1充電シーケンスにより第1所定状態のバッテリを充電する第1充電シーケンス処理を診断用バッテリ12に対して行なったときの診断充電電圧バラツキΔVmccuを用いて診断用バッテリ12の余寿命距離Rdや余寿命時間Rtを計算するから、診断用バッテリ12の余寿命の診断を比較的迅速に行なうことができる。
【0042】
実施例の余寿命診断システム20では、診断用バッテリ12の余寿命距離Rdや余寿命時間Rtを計算する際に、サーバ50のハードディスクドライブ54に記憶されているデータベースのうち対応領域のデータとして寿命充電電圧バラツキΔVmcliおよび新品充電電圧バラツキΔVmcnewを用いるものとしたが、第2寿命充電電圧Vbcli2および第2新品充電電圧Vbcnew2の挙動を用いるものとしてもよいし、第3寿命充電電圧Vbcli3および第3新品充電電圧Vbcnew3の挙動を用いるものとしてもよいし、寿命充電電流電圧特性IVcliおよび新品充電電流電圧特性IVcnewを用いるものとしてもよいし、寿命放電電圧バラツキΔVmdliおよび新品放電電圧バラツキΔVmdnewを用いるものとしてもよいし、第2寿命放電電圧Vbdli2および第2新品放電電圧Vbdnew2の挙動を用いるものとしてもよいし、第3寿命放電電圧Vbdli3および第3新品放電電圧Vbdnew3の挙動を用いるものとしてもよいし、寿命放電電流電圧特性IVdliおよび新品放電電流電圧特性IVdnewを用いるものとしてもよい。以下、順に説明する。
【0043】
第2寿命充電電圧Vbcli2および第2新品充電電圧Vbcnew2の挙動を用いる場合、端末30のCPU31は、サーバ50から第2寿命充電電圧Vbcli2の挙動や第2新品充電電圧Vbcnew2の挙動,寿命距離Rdmax,寿命時間Rtmaxを受信し且つ準備処理が完了すると、第2充電シーケンス処理を診断用バッテリ12に対して行なわせるための指示を充放電装置40に送信すると共に第2充電シーケンス処理の実行時の診断用バッテリ12の電圧(以下、第2診断充電電圧という)Vbccu2の挙動を取得させるための指示を電子制御ユニット16に送信し、電子制御ユニット16から第2診断充電電圧Vbccu2を受信すると、第2新品充電電圧Vbcnew2の挙動と第2診断充電電圧Vbccu2の挙動と第2寿命充電電圧Vbcli2の挙動と寿命距離Rdmaxと寿命時間Rtmaxとを用いて診断用バッテリ12の余寿命距離Rdや余寿命時間Rtを計算する。第2新品充電電圧Vbcnew2の挙動と第2診断充電電圧Vbccu2の挙動と第2寿命充電電圧Vbcli2の挙動との一例を図15に示す。この場合、例えば、所定回数目(例えば、2回目など)の高速充電の終了時間tcrefの診断充電電圧Vbccu2と新品充電電圧Vbcnew2との差としての診断充電電圧差ΔVbccu(図15参照)と、そのときの第2寿命充電電圧Vbcli2と新品充電電圧Vbcnewとの差としての寿命充電電圧差ΔVbcli(図15参照)と、寿命距離Rdmaxと、寿命時間Rtmaxと、を用いて次式(3)により診断用バッテリ12の余寿命距離Rdを計算すると共に式(4)により診断用バッテリ12の余寿命時間Rtを計算することができる。
【0044】
Rd=Rdmax-Rdmax・ΔVbccu/ΔVbcli (3)
Rt=Rtmax-Rtmax・ΔVbccu/ΔVbcli (4)
【0045】
第3寿命充電電圧Vbcli3および第3新品充電電圧Vbcnew3の挙動を用いる場合、端末30のCPU31は、サーバ50から第3寿命充電電圧Vbcli3の挙動や第3新品充電電圧Vbcnew3の挙動,寿命距離Rdmax,寿命時間Rtmaxを受信し且つ準備処理が完了すると、第3充電シーケンス処理を診断用バッテリ12に対して行なわせるための指示を充放電装置40に送信すると共に第3充電シーケンス処理の実行時の診断用バッテリ12の電圧(以下、第3診断充電電圧という)Vbccu3の挙動を取得させるための指示を電子制御ユニット16に送信し、電子制御ユニット16から第3診断充電電圧Vbccu3を受信すると、第3新品充電電圧Vbcnew3の挙動と第3診断充電電圧Vbccu3の挙動と第3寿命充電電圧Vbcli3の挙動と寿命距離Rdmaxと寿命時間Rtmaxとを用いて診断用バッテリ12の余寿命距離Rdや余寿命時間Rtを計算する。第3新品充電電圧Vbcnew3の挙動と第3診断充電電圧Vbccu3の挙動と第3寿命充電電圧Vbcli3の挙動との一例を図16に示す。この場合、例えば、第3充電シーケンス処理の開始から第3診断充電電圧Vbccu3が所定電圧Vbcrefに至るまでに要する時間と第3充電シーケンス処理の開始から第3新品充電電圧Vbcnew3が所定電圧Vbcrefに至るまでに要する時間との差としての診断時刻差Δtccu(図16参照)と、第3充電シーケンス処理の開始から第3寿命充電電圧Vbcli3が所定電圧Vbcrefに至るまでに要する時間と第3充電シーケンス処理の開始から新品充電電圧Vbcnewが所定電圧Vbcrefに至るまでに要する時間との差としての寿命時間差Δtcli(図16参照)と、寿命距離Rdmaxと、寿命時間Rtmaxと、を用いて次式(5)により診断用バッテリ12の余寿命距離Rdを計算すると共に式(6)により診断用バッテリ12の余寿命時間Rtを計算することができる。
【0046】
Rd=Rdmax-Rdmax・Δtccu/Δtcli (5)
Rt=Rtmax-Rtmax・Δtccu/Δtcli (6)
【0047】
寿命充電電流電圧特性IVcliおよび新品充電電流電圧特性IVcnewを用いる場合、端末30のCPU31は、サーバ50から寿命充電電流電圧特性IVcliや新品充電電流電圧特性IVcnew,寿命距離Rdmax,寿命時間Rtmaxを受信し且つ準備処理が完了すると、第4充電シーケンス処理を診断用バッテリ12に対して行なわせるための指示を充放電装置40に送信すると共に第4充電シーケンス処理の実行時の診断用バッテリ12の電流と電圧との関係(以下、診断充電電流電圧特性という)IVccuの挙動を取得させるための指示を電子制御ユニット16に送信し、電子制御ユニット16から診断充電電流電圧特性IVccuを受信すると、新品充電電流電圧特性IVcnewと診断充電電流電圧特性IVccuと寿命充電電流電圧特性IVcliと寿命距離Rdmaxと寿命時間Rtmaxとを用いて診断用バッテリ12の余寿命距離Rdや余寿命時間Rtを計算する。新品充電電流電圧特性IVcnewと診断充電電流電圧特性IVccuと寿命充電電流電圧特性IVcliとの一例を図17に示す。この場合、例えば、診断充電電流電圧特性IVccuと新品充電電流電圧特性IVcnewとの傾向(例えば、電流の変化量に対する電圧の変化量)の差としての診断傾向差Δaccu(図17参照)と、寿命充電電流電圧特性IVcliと新品充電電流電圧特性IVcnewとの傾向の差としての寿命傾向差Δacli(図17参照)と、寿命距離Rdmaxと、寿命時間Rtmaxと、を用いて次式(7)により診断用バッテリ12の余寿命距離Rdを計算すると共に式(8)により診断用バッテリ12の余寿命時間Rtを計算することができる。
【0048】
Rd=Rdmax-Rdmax・Δaccu/Δacli (7)
Rt=Rtmax-Rtmax・Δaccu/Δacli (8)
【0049】
寿命放電電圧バラツキΔVmdliおよび新品放電電圧バラツキΔVmdnewを用いる場合、端末30のCPU31は、サーバ50から寿命放電電圧バラツキΔVmdliや新品放電電圧バラツキΔVmdnew,寿命距離Rdmax,寿命時間Rtmaxを受信し且つ準備処理が完了すると、第1放電シーケンス処理を診断用バッテリ12に対して行なわせるための指示を充放電装置40に送信すると共に第1放電シーケンス処理の実行時の診断用バッテリ12のモジュール電圧Vm1〜Vmkの最大値と最小値との差としての診断放電電圧バラツキΔVmdcuを取得させるための指示を電子制御ユニット16に送信し、電子制御ユニット16から診断放電電圧バラツキΔVmdcuを受信すると、寿命放電電圧バラツキΔVmdliと新品放電電圧バラツキΔVmdnewと寿命距離Rdmaxと寿命時間Rtmaxとを用いて、次式(9)により診断用バッテリ12の余寿命距離Rdを計算すると共に式(10)により診断用バッテリ12の余寿命時間Rtを計算する。診断充電電圧バラツキΔVmdcuと寿命放電電圧バラツキΔVmdliとの一例を図18に示す。なお、バッテリの製造誤差などを考慮しない場合(バッテリが新品のときには各電池モジュールのモジュール電圧が同一であるとみなす場合)には、サーバ50から新品放電電圧バラツキΔVmdnewを受信する必要はなく、式(9)および式(10)において、新品放電電圧バラツキΔVmdnewを値0とすればよい。
【0050】
Rd=Rdmax-Rdmax・(ΔVmdcu-ΔVmdnew)/(ΔVmdli-ΔVmdnew) (9)
Rt=Rtmax-Rtmax・(ΔVmdcu-ΔVmdnew)/(ΔVmdli-ΔVmdnew) (10)
【0051】
第2寿命放電電圧Vbdli2および第2新品放電電圧Vbdnew2の挙動を用いる場合、端末30のCPU31は、サーバ50から第2寿命放電電圧Vbdli2の挙動や第2新品放電電圧Vbdnew2の挙動,寿命距離Rdmax,寿命時間Rtmaxを受信し且つ準備処理が完了すると、第2放電シーケンス処理を診断用バッテリ12に対して行なわせるための指示を充放電装置40に送信すると共に第2放電シーケンス処理の実行時の診断用バッテリ12の電圧(以下、第2診断放電電圧という)Vbccu2の挙動を取得させるための指示を電子制御ユニット16に送信し、電子制御ユニット16から第2診断放電電圧Vbdcu2を受信すると、第2新品放電電圧Vbdnew2の挙動と第2診断放電電圧Vbdcu2の挙動と第2寿命放電電圧Vbdli2の挙動と寿命距離Rdmaxと寿命時間Rtmaxとを用いて診断用バッテリ12の余寿命距離Rdや余寿命時間Rtを計算する。第2新品放電電圧Vbdnew2の挙動と第2診断放電電圧Vbdcu2の挙動と第2寿命放電電圧Vbdli2の挙動との一例を図19に示す。この場合、例えば、所定回数目(例えば、2回目など)の高速放電の終了時間tdrefの診断放電電圧Vbdcuと新品放電電圧Vbdnewとの差としての診断放電電圧差ΔVbdcu(図19参照)と、そのときの寿命放電電圧Vbdliと新品放電電圧Vbdnewとの差としての寿命放電電圧差ΔVbdli(図19参照)と、寿命距離Rdmaxと、寿命時間Rtmaxと、を用いて次式(11)により診断用バッテリ12の余寿命距離Rdを計算すると共に式(12)により診断用バッテリ12の余寿命時間Rtを計算することができる。
【0052】
Rd=Rdmax-Rdmax・ΔVbdcu/ΔVbdli (11)
Rt=Rtmax-Rtmax・ΔVbdcu/ΔVbdli (12)
【0053】
第3寿命放電電圧Vbdli3および第3新品放電電圧Vbdnew3の挙動を用いる場合、端末30のCPU31は、サーバ50から第3寿命放電電圧Vbdli3の挙動や第3新品放電電圧Vbdnew3の挙動,寿命距離Rdmax,寿命時間Rtmaxを受信し且つ準備処理が完了すると、第3放電シーケンス処理を診断用バッテリ12に対して行なわせるための指示を充放電装置40に送信すると共に第3放電シーケンス処理の実行時の診断用バッテリ12の電圧(以下、第3診断放電電圧という)Vbdcu3の挙動を取得させるための指示を電子制御ユニット16に送信し、電子制御ユニット16から第3診断放電電圧Vbdcu3を受信すると、第3新品放電電圧Vbdnew3の挙動と第3診断放電電圧Vbdcu3の挙動と第3寿命放電電圧Vbdli3の挙動と寿命距離Rdmaxと寿命時間Rtmaxとを用いて診断用バッテリ12の余寿命距離Rdや余寿命時間Rtを計算する。第3新品放電電圧Vbdnew3の挙動と第3診断放電電圧Vbdcu3の挙動と第3寿命放電電圧Vbdli3の挙動との一例を図20に示す。この場合、例えば、第3放電シーケンス処理の開始から第3診断放電電圧Vbdcu3が所定電圧Vbdrefに至るまでに要する時間と第3放電シーケンス処理の開始から第3新品放電電圧Vbdnew3が所定電圧Vbdrefに至るまでに要する時間との差としての診断時刻差Δtdcu(図20参照)と、第3放電シーケンス処理の開始から第3寿命放電電圧Vbdli3が所定電圧Vbdrefに至るまでに要する時間と第3放電シーケンス処理の開始から新品放電電圧Vbdnewが所定電圧Vbdrefに至るまでに要する時間との差としての寿命時間差Δtdli(図20参照)と、寿命距離Rdmaxと、寿命時間Rtmaxと、を用いて次式(13)により診断用バッテリ12の余寿命距離Rdを計算すると共に式(14)により診断用バッテリ12の余寿命時間Rtを計算することができる。
【0054】
Rd=Rdmax-Rdmax・Δtdcu/Δtdli (13)
Rt=Rtmax-Rtmax・Δtdcu/Δtdli (14)
【0055】
寿命放電電流電圧特性IVdliおよび新品放電電流電圧特性IVdnewを用いる場合、端末30のCPU31は、サーバ50から寿命放電電流電圧特性IVdliや新品放電電流電圧特性IVdnew,寿命距離Rdmax,寿命時間Rtmaxを受信し且つ準備処理が完了すると、第4放電シーケンス処理を診断用バッテリ12に対して行なわせるための指示を充放電装置40に送信すると共に第4放電シーケンス処理の実行時の診断用バッテリ12の電流と電圧との関係(以下、診断放電電流電圧特性という)IVdcuの挙動を取得させるための指示を電子制御ユニット16に送信し、電子制御ユニット16から診断放電電流電圧特性IVdcuを受信すると、新品放電電流電圧特性IVdnewと診断放電電流電圧特性IVdcuと寿命放電電流電圧特性IVdliと寿命距離Rdmaxと寿命時間Rtmaxとを用いて診断用バッテリ12の余寿命距離Rdや余寿命時間Rtを計算する。新品放電電流電圧特性IVdnewと診断放電電流電圧特性IVdcuと寿命放電電流電圧特性IVdliとの一例を図21に示す。この場合、例えば、診断放電電流電圧特性IVdcuと新品放電電流電圧特性IVdnewとの傾向(例えば、電流の変化量に対する電圧の変化量)の差としての診断傾向差Δadcu(図21参照)と、寿命放電電流電圧特性IVdliと新品放電電流電圧特性IVdnewとの傾向の差としての寿命傾向差Δadli(図21参照)と、寿命距離Rdmaxと、寿命時間Rtmaxと、を用いて次式(15)により診断用バッテリ12の余寿命距離Rdを計算すると共に式(16)により診断用バッテリ12の余寿命時間Rtを計算することができる。
【0056】
Rd=Rdmax-Rdmax・Δadcu/Δadli (15)
Rt=Rtmax-Rtmax・Δadcu/Δadli (16)
【0057】
以上、第2寿命充電電圧Vbcli2および第2新品充電電圧Vbcnew2の挙動を用いて診断用バッテリ12の余寿命距離Rdや余寿命時間Rtを計算する場合、第3寿命充電電圧Vbcli3および第3新品充電電圧Vbcnew3の挙動を用いて診断用バッテリ12の余寿命距離Rdや余寿命時間Rtを計算する場合、寿命充電電流電圧特性IVcliおよび新品充電電流電圧特性IVcnewを用いて診断用バッテリ12の余寿命距離Rdや余寿命時間Rtを計算する場合、寿命放電電圧バラツキΔVmdliおよび新品放電電圧バラツキΔVmdnewを用いて診断用バッテリ12の余寿命距離Rdや余寿命時間Rtを計算する場合、第2寿命放電電圧Vbdli2および第2新品放電電圧Vbdnew2の挙動を用いて診断用バッテリ12の余寿命距離Rdや余寿命時間Rtを計算する場合、第3寿命放電電圧Vbdli3および第3新品放電電圧Vbdnew3の挙動を用いて診断用バッテリ12の余寿命距離Rdや余寿命時間Rtを計算する場合、寿命放電電流電圧特性IVdliおよび新品放電電流電圧特性IVdnewを用いて診断用バッテリ12の余寿命距離Rdや余寿命時間Rtを計算する場合について、順に説明したが、これらの場合でも、実施例と同様に、各セルや各電池モジュールの製造誤差や使用による経年変化,これらの経年変化を含むバッテリ全体としての経年変化などを考慮して、診断用バッテリ12の余寿命距離Rdや余寿命時間Rtをより適正に計算することができる。
【0058】
実施例の余寿命診断システム20では、サーバ50は、検索した対応領域に寿命実績がないときには、空情報を端末30に送信するものとしたが、検索した対応領域に寿命実績がないときでも、対応領域の周辺の領域である周辺領域(例えば、使用用途および走行履歴が同一であり使用地域が隣接する地域である領域など)に寿命実績があるときには、その周辺領域の寿命実績を端末30に送信するものとしてもよい。こうすれば、診断用バッテリ12の余寿命を計算可能な機会より確保することができる。
【0059】
実施例の余寿命診断システム20では、サーバ50は、検索した対応領域に寿命実績がないときには、空情報を端末30に送信するものとしたが、データベースの全ての領域の寿命実績を予め実験や解析などにより作成して記憶させておくものとしてもよい。こうすれば、サーバ50から端末30に空情報を送信することがなくなるから、診断用バッテリ12の余寿命を計算可能な機会より確保することができる。
【0060】
実施例の余寿命診断システム20では、データベースの寿命バッテリや新品バッテリの充電特性や放電特性として、寿命充電電圧バラツキΔVmcliや、第2寿命充電電圧Vbcli2の挙動,第3寿命充電電圧Vbcli3の挙動,寿命充電電流電圧特性IVcli,新品充電電圧バラツキΔVmcnew,第2新品充電電圧Vbcnew2の挙動,第3新品充電電圧Vbcnew3の挙動,新品充電電流電圧特性IVcnew,寿命放電電圧バラツキΔVmdli,第2寿命放電電圧Vbdli2の挙動,第3寿命放電電圧Vbdli3の挙動,寿命放電電流電圧特性IVdli,新品放電電圧バラツキΔVmdnew,第2新品放電電圧Vbdnew2の挙動,第3新品放電電圧Vbdnew3の挙動,新品放電電流電圧特性IVdnewがサーバ50のハードディスクドライブ54に記憶されるものとしたが、これらの一部が記憶されないものとしてもよいし、これらに代えてまたは加えて、寿命バッテリや新品バッテリの他の充電特性や放電特性(例えば、寿命バッテリや新品バッテリの電圧(バッテリ全体としての電圧)の挙動に代えて寿命バッテリや新品バッテリの各電池モジュールのモジュール電圧や各セルのセル電圧の挙動など)がハードディスクドライブ54に記憶されるものとしてもよい。なお、ハードディスクドライブ54に記憶される診断用バッテリ12の充電特性や放電特性の内容が実施例と異なる場合でも、ハードディスクドライブ54に記憶されている寿命バッテリや新品バッテリの充電特性や放電特性に応じた充電シーケンス処理や放電シーケンス処理を選択して実行することにより、診断用バッテリ12の充電特性や放電特性を取得することができ、診断用バッテリ12の余寿命を診断することができる。
【0061】
実施例の余寿命診断システム20では、診断用バッテリ12の余寿命距離Rdと余寿命時間Rtとを計算するものとしたが、いずれか一方だけを計算するものとしてもよい。
【0062】
実施例の余寿命診断システム20では、計算した診断用バッテリ12の余寿命距離Rdや余寿命時間Rtをディスプレイ35に出力するものとしたが、これに代えてまたは加えて、端末30のハードディスクドライブ34やサーバ50のハードディスクドライブ54などに記憶させるものとしてもよい。この場合、車種や使用状態などと関連付けてハードディスクドライブ34やハードディスクドライブ54に記憶させることが好ましい。
【0063】
実施例の余寿命診断システム20では、自動車10に搭載された診断用バッテリ12は、k(kは2以上の整数)個の電池モジュールM1〜Mkが直列に接続されたものとしたが、1個のモジュールにより構成されるものとしてもよい。この場合、余寿命距離Rdや余寿命時間Rtを計算する際には、バッテリの充電特性や放電特性のうちモジュール電圧のバラツキ(寿命充電電圧バラツキΔVmcliなど)以外の特性を用いればよい。
【0064】
実施例の余寿命診断システム20では、自動車10に搭載されたバッテリ12の余寿命を診断するものとしたが、過去に電気自動車やハイブリッド自動車などに搭載され現在は取り外されているバッテリ(以下、車載用バッテリという)などの余寿命を診断するものとしてもよい。こうすれば、新品でないが寿命には到達していない車載用バッテリを再利用することができる。
【0065】
実施例の余寿命診断システム20では、バッテリ12を充放電させるために用いられる充放電装置40を備えるものとしたが、これに代えて、バッテリ12を充電させるために用いられる充電装置や、バッテリ12を放電させるために用いられる放電装置などを備えるものとしてもよい。また、実施例では、自動車10の外部に充放電装置40を備えるものとしたが、自動車10に搭載される機器、例えば、モータ11や図示しない補機,自動車10がエンジンやエンジンからの動力を用いて発電する発電機を有する場合におけるエンジンと発電機とを組み合わせたものなど、を充放電装置40として機能させるものとしてもよい。
【0066】
実施例の余寿命診断システム20では、自動車10の外部の端末30により診断用バッテリ12の余寿命を診断するものとしたが、自動車10に搭載された電子制御ユニット16を端末30として機能させるものとしてもよい。電子制御ユニット16を端末30として機能させると共にモータ11を充放電装置40として機能させる場合の自動車110と余寿命診断システム120との構成の概略を示す構成図を図22に示す。
【0067】
実施例では、端末30とサーバ50と充放電装置40とを備える余寿命診断システム20について説明したが、端末30とサーバ50とが一つの装置として構成されるものとしてもよいし、端末30と充放電装置40とが一つの装置として構成されるものとしてもよいし、端末30とサーバ50と充放電装置40とが一つの装置として構成されるものとしてもよい。
【0068】
また、実施例では、余寿命診断システム20として説明したが、診断用バッテリ12の余寿命を診断する余寿命診断方法として用いるものとしてもよい。
【0069】
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。本発明の第1の余寿命診断システムについては、実施例では、寿命バッテリの使用状態と寿命実績(充電特性や放電特性,寿命距離Rdmax,寿命時間Rtmax)とを関連付けた寿命情報や新品バッテリの充電特性や放電特性である新品情報をデータベースとして記憶するサーバ50のハードディスクドライブ54が「情報記憶手段」に相当し、電子制御ユニット16から診断用バッテリ情報を取得する図12の余寿命診断ルーチンのステップS110,S120の処理を実行すると共に電子制御ユニット16から診断充電電圧バラツキΔVmccuを取得する図12の余寿命診断ルーチンのステップS170,S180の処理を実行する端末30が「情報取得手段」に相当し、サーバ50からの寿命充電電圧バラツキΔVmcliや新品充電電圧バラツキΔVmcnewと電子制御ユニット16からの診断充電電圧バラツキΔVmccuとを用いて診断用バッテリ12の余寿命距離Rdや余寿命時間Rtを計算する図12の余寿命診断ルーチンのステップS190の処理を実行する端末30が「診断手段」に相当する。本発明の第2の余寿命診断システムについては、実施例では、寿命バッテリの使用状態と寿命実績とを関連付けた寿命情報や新品バッテリの充電特性や放電特性である新品情報をデータベースとして記憶するサーバ50のハードディスクドライブ54が「情報記憶手段」に相当し、電子制御ユニット16から診断用バッテリ情報を取得すると共に電子制御ユニット16から診断放電電圧バラツキΔVmccuを取得する端末30が「情報取得手段」に相当し、サーバ50からの寿命放電電圧バラツキΔVmdliや新品放電電圧バラツキΔVmdnewと電子制御ユニット16からの診断放電電圧バラツキΔVmdcuとを用いて診断用バッテリ12の余寿命距離Rdや余寿命時間Rtを計算する端末30が「診断手段」に相当する。
【0070】
ここで、第1の余寿命診断システムにおいて、「情報記憶手段」としては、寿命バッテリの使用状態と寿命実績とを関連付けた寿命情報や新品バッテリの充電特性や放電特性である新品情報をデータベースとして記憶するサーバ50のハードディスクドライブ54に限定されるものではなく、寿命に到達したバッテリである寿命バッテリの使用状態と予め定められた所定の充電シーケンスにより寿命バッテリが充電されたときの寿命バッテリの充電特性である寿命充電特性とを関連付けて記憶するものであれば如何なるものとしても構わない。「情報取得手段」としては、電子制御ユニット16から診断用バッテリ情報を取得すると共に電子制御ユニット16から診断充電電圧バラツキΔVmccuを取得する端末30に限定されるものではなく、診断用バッテリの使用状態と、所定の充電シーケンスにより診断用バッテリが充電されたときの診断用バッテリの充電特性である診断充電特性と、を取得するものであれば如何なるものとしても構わない。「診断手段」としては、サーバ50からの寿命充電電圧バラツキΔVmcliや新品充電電圧バラツキΔVmcnewと電子制御ユニット16からの診断充電電圧バラツキΔVmccuとを用いて診断用バッテリ12の余寿命距離Rdや余寿命時間Rtを計算する端末30に限定されるものではなく、取得した診断充電特性と、情報記憶手段に記憶されている情報のうち診断用バッテリの使用状態に対応する寿命バッテリの使用状態に関連付けられた寿命充電特性である対応寿命充電特性と、の関係から診断用バッテリの余寿命を診断するものであれば如何なるものとしても構わない。
【0071】
第2の余寿命診断システムにおいて、「情報記憶手段」としては、寿命バッテリの使用状態と寿命実績とを関連付けた寿命情報や新品バッテリの放電特性や放電特性である新品情報をデータベースとして記憶するサーバ50のハードディスクドライブ54に限定されるものではなく、寿命に到達したバッテリである寿命バッテリの使用状態と予め定められた所定の放電シーケンスにより寿命バッテリが放電されたときの寿命バッテリの放電特性である寿命放電特性とを関連付けて記憶するものであれば如何なるものとしても構わない。「情報取得手段」としては、電子制御ユニット16から診断用バッテリ情報を取得すると共に電子制御ユニット16から診断放電電圧バラツキΔVmdcuを取得する端末30に限定されるものではなく、診断用バッテリの使用状態と、所定の放電シーケンスにより診断用バッテリが放電されたときの診断用バッテリの放電特性である診断放電特性と、を取得するものであれば如何なるものとしても構わない。「診断手段」としては、サーバ50からの寿命放電電圧バラツキΔVmdliや新品放電電圧バラツキΔVmdnewと電子制御ユニット16からの診断放電電圧バラツキΔVmdcuとを用いて診断用バッテリ12の余寿命距離Rdや余寿命時間Rtを計算する端末30に限定されるものではなく、取得した診断放電特性と、情報記憶手段に記憶されている情報のうち診断用バッテリの使用状態に対応する寿命バッテリの使用状態に関連付けられた寿命放電特性である対応寿命放電特性と、の関係から診断用バッテリの余寿命を診断するものであれば如何なるものとしても構わない。
【0072】
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0073】
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、自動車産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0075】
10,110 自動車、11 モータ、12 バッテリ(診断用バッテリ)、13a 電圧センサ、13b 電流センサ、14 車両側コネクタ、16 電子制御ユニット、20,120 余寿命診断システム、22 ネットワーク、30 端末、31 CPU、32 ROM、33 RAM、34 ハードディスクドライブ、35 ディスプレイ、36 キーボード、37 マウス、40 充放電装置、42 装置側コネクタ、50 サーバ、51 CPU、52 RAM、53 ROM、54 ハードディスクドライブ、M1〜Mk 電池モジュール、S1〜Sk 電圧センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動機からの動力を用いて走行する自動車に搭載されたまたは該自動車への搭載用のバッテリである診断用バッテリの余寿命を診断する余寿命診断方法であって、
(a)情報を記憶する情報記憶手段に、寿命に到達したバッテリである寿命バッテリの使用状態と予め定められた所定の充電シーケンスにより前記寿命バッテリが充電されたときの該寿命バッテリの充電特性である寿命充電特性とを関連付けて記憶させて準備し、
(b)前記診断用バッテリの使用状態と、前記所定の充電シーケンスにより前記診断用バッテリが充電されたときの該診断用バッテリの充電特性である診断充電特性と、を取得し、
(c)前記取得された診断充電特性と、前記情報記憶手段に記憶されている情報のうち前記取得された診断用バッテリの使用状態に対応する前記寿命バッテリの使用状態に関連付けられた前記寿命充電特性である対応寿命充電特性と、の関係から前記診断用バッテリの余寿命を診断する、
余寿命診断方法。
【請求項2】
請求項1記載の余寿命診断方法であって、
前記診断用バッテリおよび前記寿命バッテリは、複数のモジュールにより構成されており、
前記ステップ(a)は、前記所定の充電シーケンスにより前記寿命バッテリが充電されたときの該寿命バッテリの各モジュールの電圧のバラツキを前記寿命充電特性として前記寿命バッテリの使用状態と関連付けて前記情報記憶手段に記憶させるステップであり、
前記ステップ(b)は、前記所定の充電シーケンスにより前記診断用バッテリが充電されたときの該診断用バッテリの各モジュールの電圧のバラツキを前記診断充電特性として取得するステップである、
余寿命診断方法。
【請求項3】
請求項1記載の余寿命診断方法であって、
前記ステップ(a)は、前記所定の充電シーケンスにより前記寿命バッテリが充電されたときの該寿命バッテリの電圧である寿命充電電圧の挙動を前記寿命充電特性として前記寿命バッテリの使用状態と関連付けて前記情報記憶手段に記憶させると共に前記所定の充電シーケンスにより新品のバッテリである新品バッテリが充電されたときの該新品バッテリの電圧である新品充電電圧の挙動を前記新品バッテリの充電特性である新品充電特性として前記情報記憶手段に記憶させるステップであり、
前記ステップ(b)は、前記所定の充電シーケンスにより前記診断用バッテリが充電されたときの該診断用バッテリの電圧である診断充電電圧の挙動を前記診断充電特性として取得するステップであり、
前記ステップ(c)は、前記取得された診断充電電圧の挙動と前記情報記憶手段に記憶されている新品充電電圧の挙動とのズレである診断ズレと、前記情報記憶手段に記憶されている対応寿命充電特性としての寿命充電電圧の挙動と前記情報記憶手段に記憶されている新品充電電圧の挙動とのズレである寿命ズレと、の関係から前記診断用バッテリの余寿命を診断するステップである、
余寿命診断方法。
【請求項4】
請求項3記載の余寿命診断方法であって、
前記ステップ(c)は、前記所定の充電シーケンスの所定のタイミングにおける前記診断充電電圧と前記新品充電電圧との差を前記診断ズレとすると共に前記所定のタイミングにおける前記寿命充電電圧と前記新品充電電圧との差を前記寿命ズレとして前記診断用バッテリの余寿命を診断するステップである、
余寿命診断方法。
【請求項5】
請求項3記載の余寿命診断方法であって、
前記ステップ(c)は、前記所定の充電シーケンスの開始から前記診断充電電圧が所定電圧に至るまでに要する時間と前記所定の充電シーケンスの開始から前記新品充電電圧が前記所定電圧に至るまでに要する時間との差を前記診断ズレとすると共に前記所定の充電シーケンスの開始から前記寿命充電電圧が前記所定電圧に至るまでに要する時間と前記所定の充電シーケンスの開始から前記新品充電電圧が前記所定電圧に至るまでに要する時間との差を前記寿命ズレとして前記診断用バッテリの余寿命を診断するステップである、
余寿命診断方法。
【請求項6】
請求項1記載の余寿命診断方法であって、
前記ステップ(a)は、前記所定の充電シーケンスにより前記寿命バッテリが充電されたときの該寿命バッテリの電流と電圧との関係である寿命充電電流電圧特性を前記寿命充電特性として前記寿命バッテリの使用状態と関連付けて前記情報記憶手段に記憶させると共に前記所定の充電シーケンスにより新品のバッテリである新品バッテリが充電されたときの該新品バッテリの電流と電圧との関係である新品充電電流電圧特性を前記新品バッテリの充電特性である新品充電特性として前記情報記憶手段に記憶させるステップであり、
前記ステップ(b)は、前記所定の充電シーケンスにより前記診断用バッテリが充電されたときの該診断用バッテリの電流と電圧との関係である診断充電電流電圧特性を前記寿命充電特性として取得するステップであり、
前記ステップ(c)は、前記取得された診断充電電流電圧特性と前記情報記憶手段に記憶されている新品充電電流電圧特性とのズレである診断ズレと、前記情報記憶手段に記憶されている対応寿命充電特性としての寿命充電電流電圧特性と前記情報記憶手段に記憶されている新品充電電流電圧特性とのズレである寿命ズレと、の関係から前記診断用バッテリの余寿命を診断するステップである、
余寿命診断方法。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1つの請求項に記載の余寿命診断方法であって、
前記所定の充電シーケンスは、所定の高電力によるバッテリの充電を含む充電シーケンスである、
余寿命診断方法。
【請求項8】
電動機からの動力を用いて走行する自動車に搭載されたまたは該自動車への搭載用のバッテリである診断用バッテリの余寿命を診断する余寿命診断方法であって、
(a)情報を記憶する情報記憶手段に、寿命に到達したバッテリである寿命バッテリの使用状態と予め定められた所定の放電シーケンスにより前記寿命バッテリが放電されたときの該寿命バッテリの放電特性である寿命放電特性とを関連付けて記憶させて準備し、
(b)前記診断用バッテリの使用状態と、前記所定の放電シーケンスにより前記診断用バッテリが放電されたときの該診断用バッテリの放電特性である診断放電特性と、を取得し、
(c)前記取得された診断放電特性と、前記情報記憶手段に記憶されている情報のうち前記取得された診断用バッテリの使用状態に対応する前記寿命バッテリの使用状態に関連付けられた前記寿命放電特性である対応寿命放電特性と、の関係から前記診断用バッテリの余寿命を診断する、
余寿命診断方法。
【請求項9】
請求項8記載の余寿命診断方法であって、
前記診断用バッテリおよび前記寿命バッテリは、複数のモジュールにより構成されており、
前記ステップ(a)は、前記所定の放電シーケンスにより前記寿命バッテリが放電されたときの該寿命バッテリの各モジュールの電圧のバラツキを前記寿命放電特性として前記寿命バッテリの使用状態と関連付けて前記情報記憶手段に記憶させるステップであり、
前記ステップ(b)は、前記所定の放電シーケンスにより前記診断用バッテリが放電されたときの該診断用バッテリの各モジュールの電圧のバラツキを前記診断放電特性として取得するステップである、
余寿命診断方法。
【請求項10】
請求項8記載の余寿命診断方法であって、
前記ステップ(a)は、前記所定の放電シーケンスにより前記寿命バッテリが放電されたときの該寿命バッテリの電圧である寿命放電電圧の挙動を前記寿命放電特性として前記寿命バッテリの使用状態と関連付けて前記情報記憶手段に記憶させると共に前記所定の放電シーケンスにより新品のバッテリである新品バッテリが放電されたときの該新品バッテリの電圧である新品放電電圧の挙動を前記新品バッテリの放電特性である新品放電特性として前記情報記憶手段に記憶させるステップであり、
前記ステップ(b)は、前記所定の放電シーケンスにより前記診断用バッテリが放電されたときの該診断用バッテリの電圧である診断放電電圧の挙動を前記診断放電特性として取得するステップであり、
前記ステップ(c)は、前記取得された診断放電電圧の挙動と前記情報記憶手段に記憶されている新品放電電圧の挙動とのズレである診断ズレと、前記情報記憶手段に記憶されている対応寿命放電特性としての寿命放電電圧の挙動と前記情報記憶手段に記憶されている新品放電電圧の挙動とのズレである寿命ズレと、の関係から前記診断用バッテリの余寿命を診断するステップである、
余寿命診断方法。
【請求項11】
請求項10記載の余寿命診断方法であって、
前記ステップ(c)は、前記所定の放電シーケンスの所定のタイミングにおける前記診断放電電圧と前記新品放電電圧との差を前記診断ズレとすると共に前記所定のタイミングにおける前記寿命放電電圧と前記新品放電電圧との差を前記寿命ズレとして前記診断用バッテリの余寿命を診断するステップである、
余寿命診断方法。
【請求項12】
請求項10記載の余寿命診断方法であって、
前記ステップ(c)は、前記所定の放電シーケンスの開始から前記診断放電電圧が所定電圧に至るまでに要する時間と前記所定の放電シーケンスの開始から前記新品放電電圧が前記所定電圧に至るまでに要する時間との差を前記診断ズレとすると共に前記所定の放電シーケンスの開始から前記寿命放電電圧が前記所定電圧に至るまでに要する時間と前記所定の放電シーケンスの開始から前記新品放電電圧が前記所定電圧に至るまでに要する時間との差を前記寿命ズレとして前記診断用バッテリの余寿命を診断するステップである、
余寿命診断方法。
【請求項13】
請求項8記載の余寿命診断方法であって、
前記ステップ(a)は、前記所定の放電シーケンスにより前記寿命バッテリが放電されたときの該寿命バッテリの電流と電圧との関係である寿命放電電流電圧特性を前記寿命放電特性として前記寿命バッテリの使用状態と関連付けて前記情報記憶手段に記憶させると共に前記所定の放電シーケンスにより新品のバッテリである新品バッテリが放電されたときの該新品バッテリの電流と電圧との関係である新品放電電流電圧特性を前記新品バッテリの放電特性である新品放電特性として前記情報記憶手段に記憶させるステップであり、
前記ステップ(b)は、前記所定の放電シーケンスにより前記診断用バッテリが放電されたときの該診断用バッテリの電流と電圧との関係である診断放電電流電圧特性を前記寿命放電特性として取得するステップであり、
前記ステップ(c)は、前記取得された診断放電電流電圧特性と前記情報記憶手段に記憶されている新品放電電流電圧特性とのズレである診断ズレと、前記情報記憶手段に記憶されている対応寿命放電特性としての寿命放電電流電圧特性と前記情報記憶手段に記憶されている新品放電電流電圧特性とのズレである寿命ズレと、の関係から前記診断用バッテリの余寿命を診断するステップである、
余寿命診断方法。
【請求項14】
請求項8ないし13のいずれか1つの請求項に記載の余寿命診断方法であって、
前記所定の放電シーケンスは、所定の高電力によるバッテリの放電を含む放電シーケンスである、
余寿命診断方法。
【請求項15】
電動機からの動力を用いて走行する自動車に搭載されたまたは該自動車への搭載用のバッテリである診断用バッテリの余寿命を診断する余寿命診断システムであって、
寿命に到達したバッテリである寿命バッテリの使用状態と予め定められた所定の充電シーケンスにより前記寿命バッテリが充電されたときの該寿命バッテリの充電特性である寿命充電特性とを関連付けて記憶する情報記憶手段と、
前記診断用バッテリの使用状態と、前記所定の充電シーケンスにより前記診断用バッテリが充電されたときの該診断用バッテリの充電特性である診断充電特性と、を取得する情報取得手段と、
前記取得された診断充電特性と、前記情報記憶手段に記憶されている情報のうち前記取得された診断用バッテリの使用状態に対応する前記寿命バッテリの使用状態に関連付けられた前記寿命充電特性である対応寿命充電特性と、の関係から前記診断用バッテリの余寿命を診断する診断手段と、
を備える余寿命診断システム。
【請求項16】
電動機からの動力を用いて走行する自動車に搭載されたまたは該自動車への搭載用のバッテリである診断用バッテリの余寿命を診断する余寿命診断システムであって、
寿命に到達したバッテリである寿命バッテリの使用状態と予め定められた所定の放電シーケンスにより前記寿命バッテリが放電されたときの該寿命バッテリの放電特性である寿命放電特性とを関連付けて記憶する情報記憶手段と、
前記診断用バッテリの使用状態と、前記所定の放電シーケンスにより前記診断用バッテリが放電されたときの該診断用バッテリの放電特性である診断放電特性と、を取得する情報取得手段と、
前記取得された診断放電特性と、前記情報記憶手段に記憶されている情報のうち前記取得された診断用バッテリの使用状態に対応する前記寿命バッテリの使用状態に関連付けられた前記寿命放電特性である対応寿命放電特性と、の関係から前記診断用バッテリの余寿命を診断する診断手段と、
を備える余寿命診断システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−64571(P2011−64571A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−215507(P2009−215507)
【出願日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】