説明

余熱利用によるアロマ芳香器

【課題】 本発明は、家電・AV機器・パソコン機器などの電子回路の筐体背後に、油性芳香剤(アロマオイル)を染み込ませた不燃性及び油脂による劣化がなく保水性を維持できる多孔質火山岩(多孔質鉱物)を収納できる箱状ケースと上蓋枠を設けることで、別途芳香のための電気エネルギーを使用せず、電子回路の発熱による余熱を利用して芳香させることができる。
【解決手段】 本発明は液晶ディスプレイモニター本体の筐体1の背面に熱伝導率の高いアルミニウム製箱状ケース2を設け、その中に油性芳香剤(アロマオイル)を染み込ませた不燃性及び油脂による劣化がなく保水性を維持できる多孔質火山岩(多孔質鉱物)4を入れて、上蓋枠3及びネット5で4を固定することにより、液晶ディスプレイパネルの発熱による余熱を多孔質火山岩(多孔質鉱物)4に伝導させ、電気エネルギーなどを使わずに油性芳香剤(アロマオイル)の揮発により芳香をさせることができる余熱利用によるアロマ芳香器とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム製のケースで製作されたアロマ芳香器で、AV機器やパソコン機器などの電子回路の筐体背後に接触固定配置をさせ、当該電子回路の発熱による余熱を利用することにより、他に超音波振動や電球点灯の電気エネルギー、またはロウソクの点灯による熱エネルギーを必要とせずに、精油などの揮発性芳香油脂の芳香を機能させる余熱利用によるアロマ芳香器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ランプ等の電球の発熱を利用した従来のアロマ芳香器は、ランプ点灯のための電気エネルギーを必要とし、結果的に芳香のために電気エネルギーを消費する芳香器であった。また、近年では、電気エネルギーにより超音波振動を発生させることにより芳香をさせるディフィーザー(超音波芳香器)なるものがある。しかし、これも芳香を機能させるために電気エネルギーを必要としていた。
【0003】
従来の電気エネルギーによるアロマ芳香器は、高温を加えて芳香器に持つ皿の中に精油と水との混合液体を熱し芳香させるため、芳香器自体の温度を上昇させる必要があった。結果として芳香器自体の温度が上がり使用者が誤って器具に接触した場合、人体の皮膚に軽度の火傷や、火災への誘発の危険性が考えられる。また、5〜10mlの混合液体を扱うことにより高齢者が利用する場合に操作を間違え、熱湯となった混合液体をこぼしてしまい、同様に軽度の火傷などを被災する人体への影響の可能性があった。
【0004】
また、ディフィーザー(超音波芳香器)でも人体の皮膚に刺激を与える場合がある精油を液体状で保有するので、ディフィーザーを誤って倒してしまった際、精油が流れ出し人体の皮膚や衣服などに付着した場合に損傷を与える可能性があった。
【0005】
従来の熱利用アロマ芳香器およびディフィーザー(超音波芳香器)は、精油と水を加水し混合液体として利用しなければならなかった。水を使用するため、揮発性の高い精油は、早期に揮発し混合液体は精油の含有量が少なくなり水だけが残ることが多かった。これを未使用で長期放置すると残された水により器具の内部にカビなどの発生を誘発し衛生的なものでなかった。また、頻繁に器具の内部の清掃を要するためメンテナンスに手間を要した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】 登録特許第3086670号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】 実用新案登録第3157385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の電球を用いたアロマ芳香器またはディフィーザー(超音波芳香器)では、芳香させるために必要なエネルギーを確保するために電球を点灯させる電気エネルギー、または超音波を生成する電気エネルギーを使用する必要があるという課題があった。また、精油(アロマオイル)と水の混合液体を使用し高温で加熱するため、火傷や火災を誘発する可能性があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の余熱利用によるアロマ芳香器は、「エネルギー保存の法則」から導いた。AV機器や液晶薄型テレビまたはパソコンの液晶ディスプレイモニター及びデジタルフォトフレームなどに内蔵される液晶ディスプレイパネルなどの電子回路は、供給される電気エネルギー(w)を利用し、映像出力エネルギー(p)と音声出力エネルギー(s)に変換され仕事エネルギーとなったが、AV機器や液晶薄型テレビまたはパソコンの液晶ディスプレイモニター及びデジタルフォトフレームなどに内蔵される液晶ディスプレイパネルなどの電子回路は、電源投入時に電子回路自体が発熱する熱エネルギー(f)を余熱として存在する。この余熱は、従来は余熱を抑えることを思考してきたが余分なものとしての扱いしかなかった。しかし、総エネルギーは、「エネルギー保存の法則」に基づき、下記の等式が成り立ち、この余熱の発生は否定できない。
w=p+s+f
この当該電子回路に発生する熱エネルギー(f)を利用し、効率よく余熱を芳香機能に利用するために、熱伝導率の高い(236W/mK)アルミニウム製のケースをアロマ芳香器として設けた。また、当該アルミニウム製ケースの中に精油(アロマオイル)等の油性芳香剤を染み込ませるために不燃性及び油脂による物質劣化がなく保水性を維持できる多孔質火山岩(多孔質鉱物)を設けた。多孔質火山岩(多孔質鉱物)を設けることで、精油を微小な気孔に留めさせることにより乾式(水・湯を使用しない)利用を可能とし、火山岩の気孔内の精油がアルミニウム製ケースから受ける高い熱伝導によって香気成分を揮発させ芳香することを可能とした。他に自器具のための電気エネルギーまたは熱エネルギーを必要とせず余熱を利用したことで、使用者に火傷や火事などの危険性を回避した安全なアロマ芳香器としたことが最も主要な特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の余熱利用によるアロマ芳香器では、電気エネルギーを使用しないため、省エネルギーでエコなアロマ芳香器である。また、余熱を利用するため、器具自体が高温に発熱することがないため、高齢者にも安心して使用できる安全なアロマ芳香器である。水や湯を使用しないため、カビなどの発生もなく、揮発性の高い精油(アロマオイル)1滴少量(約0.05ml)を直接注ぐだけで使用できるため、メンテナンスの必要もなく簡単に使用できる。添付の図の例として本発明のアロマ芳香器付き液晶ディスプレイモニターは、映像または画像を視聴できることは勿論、同時に当該アロマ芳香器を設置した室内に芳香効果を与えることができ、アロマテラピー(芳香療法:神経の鎮静やストレスの軽減を図り、心身の健康を保たせようとする療法)効果を付与できる。電気エネルギーを必要とせず省エネルギーで提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のアロマ芳香器の実施例を示すデジタルフォトフレーム筐体背面の見取図である。
【図2】本発明のアロマ芳香器の取り付け実施例を示す一部欠断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
液晶ディスプレイパネルを内蔵する液晶ディスプレイモニターの筐体背面に、油性芳香剤を染み込ませた多孔質火山岩(多孔質鉱物)を入れることができるアルミニウム製の箱状ケースを、効率良く熱伝導させるために筐体背面とアルミニウム製ケースを接着固定する。また、そのケースの中の多孔質火山岩(多孔質鉱物)を固定する上蓋枠を箱状ケースの上に接着固定する。その上蓋枠は、多孔質火山岩(多孔質鉱物)に染み込ませた油性芳香剤が液晶ディスプレイモニターから発熱による余熱によって揮発し芳香するために上部を抜きアルミニウム製のネットで被いアロマ芳香器として形成とする。
【実施例】
【0013】
以下、添付図面に従ってデジタルフォトフレームの実施例を説明する。油性芳香剤を染み込ませた4の多孔質火山岩(多孔質鉱物)を入れることができる箱状のケース2は、耐久性と耐油性があり熱伝導率の高い(236W/mK)アルミニウム製素材にて形成され、1のデジタルフォトフレームの筐体背面に接着固定する。
【0014】
2の箱状ケースの底面に液晶表示装置が発熱する余熱を、4の多孔質火山岩(多孔質鉱物)などに効率良く伝導させるために1の筐体背面に2を接着固定し取り付ける。
【0015】
4の多孔質火山岩(多孔質鉱物)を固定することができる3の上蓋枠は、同様の耐久性と耐油性があり熱伝導率の高い(236W/mK)アルミニウム製を適宜素材にて形成され、2の箱状ケースのト部に接着固定する。3の上蓋枠は、揮発する芳香成分を蒸散させやすくするために上部を抜き同様にアルミニウム製のネット5で4を囲った。
【産業上の利用可能性】
【0016】
現存する家電やAV機器・液晶薄型テレビまたはパソコンの液晶ディスプレイモニター及びデジタルフォトフレームなどに内蔵される電子回路を持つ筐体に、本発明のアロマ芳香器を簡単に接着固定するだけで、これらを設置した室内空間にアロマ芳香をし、心地よい空間として演出する用途に適用できる。
【符号の説明】
【0017】
1 デジタルフォトフレームの筐体
2 熱伝導率の高い(236W/mK)アルミニウム製箱状ケース
3 アルミニウム製の上蓋枠
4 不燃性及び油脂による劣化がなく保水性を維持できる多孔質火山岩(多孔質鉱物)
5 アルミニウム製のネット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
AV機器や液晶薄型テレビまたはパソコンの液晶ディスプレイモニター及びデジタルフォトフレームなどに内蔵される液晶ディスプレイパネルなどの電子回路の電源投入時の発熱による余熱を利用して、当該AV機器や液晶薄型テレビまたはパソコンの液晶ディスプレイモニター及びデジタルフォトフレームなどに内蔵される液晶ディスプレイパネルなどの電子回路の筐体背面に、熱伝導率の高いアルミニウム(236W/mK)製のケースを設け、当該アルミニウム製ケースの中に精油(アロマオイル)等の油性芳香剤を染み込ませた不燃性及び油脂による物質劣化がなく保水性を維持できる多孔質火山岩(多孔質鉱物)を設けることにより、他に自器具のための電気エネルギーまたは熱エネルギーを必要とせずに余熱だけで継続芳香することを特徴とするアロマ芳香器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2011−167478(P2011−167478A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−51046(P2010−51046)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(503137414)メディアアート株式会社 (1)
【Fターム(参考)】