説明

作像装置、画像形成装置及びプロセスカートリッジ

【課題】潜像担持体表面の損傷を抑えつつ、潜像担持体表面付近にある飛散トナーを回収することができる作像装置、画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供する。
【解決手段】回転可能に設けられ潜像を担持する潜像担持体と、潜像担持体の潜像を少なくともトナーを含む現像剤で現像する現像手段と、現像手段よりも潜像担持体回転方向下流側に設けられ潜像担持体回転方向に沿って壁面に上流側吸引口及び下流側吸引口が形成された、気流の通路となるダクトと、上流側吸引口及び下流側吸引口からダクト内に気体が吸い込まれるような吸い込み気流を発生させる気流発生手段とを備えた作像装置において、潜像担持体回転方向で上流側吸引口と下流側吸引口との間に、潜像担持体表面とダクト壁面とによって気流の流路が形成されており、前記流路での潜像担持体表面とダクト壁面との間隔が、潜像担持体回転方向上流側よりも潜像担持体回転方向下流側のほうが広い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタなどの画像形成装置に用いられる感光体や現像装置などからなる作像装置、並びに、その作像装置を備えた画像形成装置及びプロセスカートリッジに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置では潜像担持体である感光体上に形成された潜像を、現像装置のケーシングの感光体と対向する部分に形成された開口部から一部が露出された現像剤担持体である現像ローラ上に担持した粉体のトナーを用いて現像が行なわれる。そのため、これが機内外に飛散し、周囲を汚染することがある。このトナー飛散による汚染を抑制する手段の一つとして気流でトナーを回収する方法がある。特に、トナー飛散が多い現像ローラ周りに、吸引口が形成されたダクトを配して集中的にトナーを回収する方法が知られている。
【0003】
特許文献1に記載の画像形成装置には、現像装置の現像ローラと感光体との対向箇所である現像領域よりも感光体回転方向下流側に、吸い込み気流を生じさせて飛散トナーを回収する気流ユニットが設けられている。この気流ユニットは、現像ローラ長手方向に長尺な気流の通路となるダクトと、ダクトの長手方向一端側に設けられダクト内に気流を発生させるポンプとを備えている。ダクトの壁面には感光体ドラム回転方向に沿って、開口面が感光体表面に対向し近接した第一吸引口と、前記第一吸引口よりも感光体回転方向上流側で感光体表面から離れた位置にあり開口面が前記現像領域に向いた第二吸引口とが形成されている。そして、ポンプにより吸い込み気流をダクト内に発生させることで、感光体周りの飛散トナーを第一吸引口と第二吸引口とからダクト内に吸引し回収している。また、第一吸引口は第二吸引口よりも開口面積が小さくなっており、第一吸引口の開口面積を第二吸引口の開口面積よりも小さくすることで、第二吸引口よりも強い吸引力で第一吸引口から飛散トナーの吸引を行うことができる。これにより、まず感光体ドラム表面から離れた位置にある少量の飛散トナーを吸引力の小さい第二吸引口で吸引し、その後、感光体表面付近にある多量の飛散トナーを感光体表面に近接させた吸引力の大きい第一吸引口で吸引して、各吸引口の吸引力を適切に配分して効率的な吸引を行っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、感光体表面付近にある多量の飛散トナーを第一吸引口で吸引するために、第一吸引口を感光体表面に近接させて設けるので両者間のギャップ管理が難しい。感光体表面に第一吸引口を近接させ過ぎると、感光体回転時に生じる振動などによって感光体表面に第一吸引口を形成するダクト壁面が接してしまい、感光体表面が損傷してしまうといった問題が生じる。
【0005】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、潜像担持体表面の損傷を抑えつつ、潜像担持体表面付近にある飛散トナーを回収することができる作像装置、並びに、その作像装置を備えた画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、回転可能に設けられ潜像を担持する潜像担持体と、前記潜像担持体の潜像を現像剤で現像する現像手段と、前記現像手段よりも潜像担持体回転方向下流側に設けられ潜像担持体回転方向に沿って壁面に上流側吸引口及び下流側吸引口が形成された、気流の通路となるダクトと、前記上流側吸引口及び前記下流側吸引口から前記ダクト内に気体が吸い込まれるような吸い込み気流を発生させる気流発生手段とを備えた作像装置において、潜像担持体回転方向で前記上流側吸引口と前記下流側吸引口との間に、潜像担持体表面とダクト壁面とによって気流の流路が形成されており、前記流路での潜像担持体表面とダクト壁面との間隔が、潜像担持体回転方向上流側よりも潜像担持体回転方向下流側のほうが広いことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の作像装置において、上記ダクトは潜像担持体軸方向に長尺であり、上記上流側吸引口と上記下流側吸引口とで前記ダクトを共用しており、前記ダクトの長手方向に直交する方向の断面で、前記上流側吸引口の開口幅が前記下流側吸引口の開口幅よりも小さいことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2の作像装置において、上記上流側吸引口のほうが上記下流側吸引口よりも潜像担持体表面に近い位置にあることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1、2または3の作像装置において、上記下流側吸引口の下方にトナーを受けるトナー受け部を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項4の作像装置において、上記トナー受け部の潜像担持体側端部が、前記流路を形成するダクト壁面の延長線よりも潜像担持体側に位置していることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項4または5の作像装置において、上記トナー受け部の潜像担持体側端部を潜像担持体表面から1[mm]〜3[mm]の位置まで近接させたことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項4、5または6の作像装置において、上記トナー受け部材の少なくとも潜像担持体側端部をゴム部材で形成したことを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項1、2、3、4、5、6または7の作像装置において、上記上流側吸引口と潜像担持体表面との間隔を1[mm]〜3[mm]としたことを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7または8の作像装置において、上記現像手段は、表面に現像剤を担持した状態で、上記潜像担持体に対向しながら該潜像担持体の回転に対して連れ回り方向に回転する現像剤担持体と、内部に現像剤を収容するための内部空間を形成し現像剤担持体回転方向における現像剤担持体表面の一部を前記潜像担持体に対向させるための開口部が設けられたケーシングとを有し、現像剤担持体回転方向下流側に位置する前記開口部の縁部と前記現像剤担持体表面との間に形成される流入空隙を通じて、前記現像剤担持体の回転に伴って外気が該ケーシングの内部空間に向かって流入し得るように前記現像手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、少なくとも潜像担持体と現像手段とからなる作像手段を備えた画像形成装置において、前記作像手段として請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9の作像装置を用いたことを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、少なくとも潜像担持体と現像手段とを一体で支持し画像形成装置本体に対して着脱可能な作像手段であるプロセスカートリッジにおいて、前記作像手段として、請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9の作像装置を用いたことを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、少なくとも潜像担持体と現像手段とを一体で支持し画像形成装置本体に対して着脱可能な作像手段であるプロセスカートリッジを備えた画像形成装置において、前記プロセスカートリッジとして、請求項11のプロセスカートリッジを用いたことを特徴とするものである。
【0007】
本発明においては、流路の間隔が潜像担持体回転方向上流側よりも潜像担持体回転方向下流側で広くなっているので、流路の潜像担持体回転方向下流側で気流が潜像担持体表面から離れる方向に広がる。そして、このように気流が広がることで、上流側吸引口で吸引されたかった潜像担持体表面付近にある飛散トナーを潜像担持体表面から離れる方向に拡散させることができる。これにより、下流側吸引口を潜像担持体表面に近接させて設けることなく、潜像担持体表面にある飛散トナーを潜像担持体表面から離れる方向に拡散させて下流側吸引口で吸引することができる。よって、潜像担持体表面に下流側吸引口を近接させ過ぎて、潜像担持体回転時に生じる振動などにより下流側吸引口を形成するダクト壁面が潜像担持体表面に接してしまい、潜像担持体表面が損傷してしまうのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0008】
以上、本発明によれば、潜像担持体表面の損傷を抑えつつ、潜像担持体表面付近にある飛散トナーを回収することができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】現像ローラとケーシングとのギャップ近傍の拡大図。
【図2】本実施形態に係る複写機の概略構成図。
【図3】現像装置の断面図。
【図4】現像装置の斜視図。
【図5】上流側吸引口と下流側吸引口それぞれに別個でダクトを用いた場合の現像装置の断面図。
【図6】上流側吸引口における気流の風量とトナー回収率との関係を示すグラフ。
【図7】流路間隙の大きさの説明に用いる図。
【図8】現像ローラとケーシングとのギャップ近傍の拡大図。
【図9】流路間隙や吸引口開口幅の大きさの説明に用いる図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施形態1]
以下、本発明を適用した画像形成装置として、複数の潜像担持体である感光体ドラムが並行配設されたタンデム型のカラーレーザー複写機(以下、単に「複写機」という)の第一の実施形態について説明する。
【0011】
図2は、本実施形態に係る複写機の概略構成図である。この複写機はプリンタ部100、これを載せる給紙装置150、プリンタ部100の上に固定されたスキャナ300などを備えている。また、このスキャナ300の上に固定された原稿自動搬送装置400なども備えている。
【0012】
プリンタ部100は、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像を形成するための4組のプロセスカートリッジ18Y,M,C,Kからなる画像形成ユニット20を備えている。各符号の数字の後に付されたY,M,C,Kは、イエロー、シアン、マゼンダ、黒用の部材であることを示している(以下同様)。
【0013】
プロセスカートリッジ18Y,M,C,Kは、ドラム状の感光体である感光体ドラム2、帯電器、現像装置200、ドラムクリーニング装置、除電器などを一体化させ、画像形成装置本体に対して着脱可能に構成した作像装置である。
【0014】
なお、感光体ドラム2、帯電器、現像装置200、ドラムクリーニング装置、除電器などをプロセスカートリッジ18として一体化させずに、それぞれ別個で画像形成装置本体に組み付けて作像装置を構成してもよい。
【0015】
プロセスカートリッジ18Y,M,C,Kの他には、光書込ユニット21、中間転写ユニット17、二次転写装置22、レジストローラ対49、ベルト定着方式の定着装置25などが配設されている。
【0016】
光書込ユニット21は、図示しない光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラーなどを有し、画像データに基づいて後述の感光体ドラムの表面にレーザ光を照射する。
【0017】
以下、イエロー用のプロセスカートリッジ18について説明する。
帯電手段たる帯電器によって、感光体ドラム2Yの表面は一様帯電される。帯電処理が施された感光体ドラム2Yの表面には、光書込ユニット21によって変調及び偏向されたレーザ光が照射される。すると、照射部(露光部)の電位が減衰する。この減衰により、感光体ドラム2Y表面にY用の静電潜像が形成される。形成されたY用の静電潜像は現像手段たる現像装置200Yによって現像されてYトナー像となる。
【0018】
Y用の感光体ドラム2Y上に形成されたYトナー像は、後述の中間転写ベルト60に一次転写される。一次転写後の感光体ドラム2Yの表面は、ドラムクリーニング装置によって転写残トナーがクリーニングされる。
【0019】
Y用のプロセスカートリッジ18Yにおいて、ドラムクリーニング装置によってクリーニングされた感光体ドラム2Yは、除電器によって除電される。そして、帯電器によって一様帯電せしめられて、初期状態に戻る。以上のような一連のプロセスは、他のプロセスカートリッジ18M,C,Kについても同様である。
【0020】
次に、中間転写ユニット17について説明する。
中間転写ユニット17は、中間転写ベルト60やベルトクリーニング装置90などを有している。また、張架ローラ64、駆動ローラ65、二次転写バックアップローラ66、4つの一次転写バイアスローラ62Y,M,C,Kなども有している。
【0021】
中間転写ベルト60は、張架ローラ64を含む複数のローラによってテンション張架されている。そして、図示しないベルト駆動モータによって駆動される駆動ローラ65の回転によって図中時計回りに無端移動せしめられる。
【0022】
4つの一次転写バイアスローラ62Y,M,C,Kは、それぞれ中間転写ベルト60の内周面側に接触するように配設され、図示しない電源から一次転写バイアスの印加を受ける。また、中間転写ベルト60をその内周面側から感光体ドラム2Y,M,C,Kに向けて押圧してそれぞれ一次転写ニップを形成する。各一次転写ニップには、一次転写バイアスの影響により、感光体ドラム2Y,M,C,Kと一次転写バイアスローラ62Y,M,C,Kとの間に一次転写電界が形成される。
【0023】
Y用の感光体ドラム2Y上に形成された上述のYトナー像は、この一次転写電界やニップ圧の影響によって中間転写ベルト60上に一次転写される。このYトナー像の上には、M,C,K用の感光体ドラム2M,C,K上に形成されたM,C,Kトナー像が順次重ね合わせて一次転写される。この重ね合わせの一次転写により、中間転写ベルト60上には多重トナー像たる4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
【0024】
中間転写ベルト60上に重ね合わせ転写された4色トナー像は、後述の二次転写ニップで図示しない記録体たる転写紙に二次転写される。二次転写ニップ通過後の中間転写ベルト60の表面に残留する転写残トナーは、図中左側の駆動ローラ65との間にベルトを挟み込むベルトクリーニング装置90によってクリーニングされる。
【0025】
次に、二次転写装置22について説明する。
中間転写ユニット17の図中下方には、2本の張架ローラ23a,23bによって紙搬送ベルト24を張架している二次転写装置22が配設されている。紙搬送ベルト24は、少なくとも何れか一方の張架ローラ23の回転駆動に伴って、図中反時計回りに無端移動せしめられる。張架ローラ23aは、中間転写ユニット17の二次転写バックアップローラ66との間に、中間転写ベルト60及び紙搬送ベルト24を挟み込んでいる。この挟み込みにより、中間転写ユニット17の中間転写ベルト60と、二次転写装置22の紙搬送ベルト24とが接触する二次転写ニップが形成されている。そして、この張架ローラ23aには、トナーと逆極性の二次転写バイアスが図示しない電源によって印加される。この二次転写バイアスの印加により、二次転写ニップには中間転写ユニット17の中間転写ベルト60上の4色トナー像を中間転写ベルト60側から張架ローラ23a側に向けて静電移動させる二次転写電界が形成される。後述のレジストローラ対49によって中間転写ベルト60上の4色トナー像に同期するように二次転写ニップに送り込まれた転写紙には、この二次転写電界やニップ圧の影響を受けた4色トナー像が二次転写せしめられる。なお、このように張架ローラ23aに二次転写バイアスを印加する二次転写方式に代えて、転写紙を非接触でチャージさせるチャージャを設けてもよい。
【0026】
複写機本体の下部に設けられた給紙装置150には、内部に複数の転写紙を紙束の状態で複数枚重ねて収容可能な給紙カセット44が、鉛直方向に複数重なるように配設されている。それぞれの給紙カセット44は、紙束の一番上の転写紙に給紙ローラ42を押し当てている。そして、給紙ローラ42を回転させることにより、一番上の転写紙を給紙路46に向けて送り出される。
【0027】
給紙カセット44から送り出された転写紙を受け入れる給紙路46は、複数の搬送ローラ対47と、その路内の末端付近に設けられたレジストローラ対49とを有している。そして、転写紙をレジストローラ対49に向けて搬送する。レジストローラ対49に向けて搬送された転写紙は、レジストローラ対49のローラ間に挟まれる。一方、中間転写ユニット17において、中間転写ベルト60上に形成された4色トナー像は、ベルトの無端移動に伴って上記二次転写ニップに進入する。レジストローラ対49は、ローラ間に挟み込んだ転写紙を二次転写ニップにて4色トナー像に密着させ得るタイミングで送り出す。これにより、二次転写ニップでは、中間転写ベルト60上の4色トナー像が転写紙に密着する。そして、転写紙上に二次転写されて、白色の転写紙上でフルカラー画像となる。このようにしてフルカラー画像が形成された転写紙は、紙搬送ベルト24の無端移動に伴って二次転写ニップを出た後、紙搬送ベルト24上から定着装置25に送られる。
【0028】
定着装置25は、定着ベルト26を2本のローラによって張架しながら無端移動せしめるベルトユニットと、このベルトユニットの一方のローラに向けて押圧される加圧ローラ27とを備えている。これら定着ベルト26と加圧ローラ27とは互いに当接して定着ニップを形成しており、紙搬送ベルト24から受け取った転写紙をここに挟み込む。ベルトユニットにおける2本のローラのうち、加圧ローラ27から押圧される方のローラは、内部に図示しない熱源を有しており、これの発熱によって定着ベルト26を加圧する。加圧された定着ベルト26は、定着ニップに挟み込まれた転写紙を加熱する。この加熱やニップ圧の影響により、フルカラー画像が転写紙に定着せしめられる。
【0029】
定着装置25内で定着処理が施された転写紙は、プリンタ筐体の図中左側板の外側に設けたスタック部57上にスタックされるか、もう一方の面にもトナー像を形成するために上述の二次転写ニップに戻されるかする。
【0030】
図示しない原稿のコピーがとられる際には、例えばシート原稿の束が原稿自動搬送装置400の原稿台30上セットされる。但し、その原稿が本状に閉じられている片綴じ原稿である場合には、コンタクトガラス32上にセットされる。このセットに先立ち、複写機本体に対して原稿自動搬送装置400が開かれ、スキャナ300のコンタクトガラス32が露出される。この後、閉じられた原稿自動搬送装置400によって片綴じ原稿が押さえられる。
【0031】
本複写機は、複写機内の各機器の制御を司るCPU等から構成される図示しない制御部と、液晶ディスプレイや各種キーボタン等などから構成される図示しない操作表示部とを備えている。
【0032】
上述したように原稿がセットされた後、図示しない操作表示部のコピースタートスイッチが押下されると、スキャナ300による原稿読取動作がスタートする。但し、原稿自動搬送装置400にシート原稿がセットされた場合には、この原稿読取動作に先立って、原稿自動搬送装置400がシート原稿をコンタクトガラス32まで自動移動させる。原稿読取動作では、まず、第一走行体33と第二走行体34とがともに走行を開始し、第一走行体33に設けられた光源から光が発射される。そして、原稿面からの反射光が第二走行体34内に設けられたミラーによって反射せしめられ、結像レンズ35を通過した後、読取センサ36に入射される。読取センサ36は、入射光に基づいて画像情報を構築する。
【0033】
このような原稿読取動作と並行して、各プロセスカートリッジ18Y,M,C,K内の各機器や、中間転写ユニット17、二次転写装置22、定着装置25がそれぞれ駆動を開始する。そして、読取センサ36によって構築された画像情報に基づいて、光書込ユニット21が駆動制御されて、各感光体ドラム2Y,M,C,K上に、Y,M,C,Kトナー像が形成される。これらトナー像は、中間転写ベルト60上に重ね合わせ転写された4色トナー像となる。
【0034】
また、原稿読取動作の開始とほぼ同時に、給紙装置150内では給紙動作が開始される。この給紙動作では、給紙ローラ42の1つが選択回転せしめられ、ペーパーバンク43内に多段に収容される給紙カセット44の1つから転写紙が送り出される。送り出された転写紙は、分離ローラ45で1枚ずつ分離されて給紙路46に進入した後、搬送ローラ対47によって二次転写ニップに向けて搬送される。このような給紙カセット44からの給紙に代えて、手差しトレイ51からの給紙が行われる場合もある。この場合、手差し給紙ローラ50が選択回転せしめられて手差しトレイ51上の転写紙を送り出した後、分離ローラ52が転写紙を1枚ずつ分離してプリンタ部100の手差し給紙路53に給紙する。
【0035】
本複写機は、2色以上のトナーからなる多色画像を形成する場合には、中間転写ベルト60をその上部張架面がほぼ水平になる姿勢で張架して、上部張架面に全ての感光体ドラム2Y,M,C,Kを接触させる。これに対し、Kトナーのみからなるモノクロ画像を形成する場合には、図示しない機構により、中間転写ベルト60を図中左下に傾けるような姿勢にして、その上部張架面をY,M,C用の感光体ドラム2Y,M,Cから離間させる。そして、4つの感光体ドラム2Y,M,C,Kのうち、K用の感光体ドラム2Kだけを図中反時計回りに回転させて、Kトナー像だけを作像する。この際、Y,M,Cについては、感光体ドラム2だけでなく、現像器も駆動を停止させて、感光体や現像剤の不要な消耗を防止する。
【0036】
図3は現像装置200の断面図を示したものであり、図4は現像装置200の斜視図である。
この現像装置200では、内部に現像剤を収容するための内部空間が形成され、現像ローラ表面の一部を感光体ドラム2に対向させるための開口部が設けられたケーシング3内で現像剤が一方向に循環するOD現像方式を採用している。現像剤は攪拌スクリュ5によって図面奥方向へ向かって搬送され、突き当りで持ち上げられて供給スクリュ6によって手前へと搬送される。現像ローラ1は供給スクリュ6によって搬送されてきた現像剤を汲み上げて潜像担持体である感光体ドラム2へとトナーを現像する。現像に使用された後の現像剤は回収スクリュ4によって回収されてまた攪拌スクリュ5へと循環する。
【0037】
一連の現像剤の流れの中でトナー飛散が問題となるのは現像ローラ周りの現像ローラ1と感光体ドラム2とのニップ部15の現像ローラ回転方向下流の領域である。飛散トナーが現像装置外部へと漏れた場合には機械内部、外部の汚染や異常画像の原因となるためこれを抑制する必要がある。
【0038】
図3の構成の中で、ニップ部15の現像ローラ回転方向下流の領域で生じた飛散トナーを回収は、ケーシング3の現像ローラ回転方向下流側に位置する前記開口部の縁部と現像ローラ1の表面との間に形成される流入空隙である流路105を通じて、現像ローラ1の回転に伴って外気がケーシング3内(現像装置内)の内部空間に向かって流入する吸い込み気流や、ニップ部15よりも現像ローラ1の回転方向下流側に設けられた感光体ドラム軸方向(現像ローラ長手方向)に長尺なダクト7に形成された上流側吸引口111及び下流側吸引口112から、ダクト7内に気体が吸い込まれるような図示しないポンプによって発生させた吸い込み気流Iで行なわれる。
【0039】
なお、本実施形態においては、上流側吸引口111と下流側吸引口112とでダクト7を共通で使用しているが、図5に示すように上流側吸引口111と下流側吸引口112とで別々にダクト7a及びダクト7bを設けても良い。この場合、ダクト7aとダクト7bとで吸い込み気流Iを発生させるポンプを別個で設けることによって、各ダクトごとに吸い込み気流Iの風量などを調整し、上流側吸引口111からダクト7a内に吸い込まれる気流や、下流側吸引口112からダクト7b内に吸い込まれる気流の風量を容易に調整することができる。一方、ダクト7aとダクト7bとで吸い込み気流Iを発生させるポンプを共用することで、ポンプの数を減らすことができ、装置内の省スペース化や低コスト化を図ることができる。
【0040】
次に、現像ローラ1から飛散したトナーの経路や、現像ローラ1とケーシング3との流路105での吸い込み気流や、ダクト7に設けられた上流側吸引口111及び下流側吸引口112での吸い込み気流について説明する。図中矢印IIは、現像ローラ1とケーシング3との流路105から現像装置内へと吸い込まれる気流IIである。また、図中矢印IIIが、ダクト7の図中奥側の端部に取付けられる図示しないポンプにより発生させた、ダクト7の上流側吸引口111からダクト7内に気体が吸い込まれる気流IIIである。また、図中矢印VIは、ダクト7の下流側吸引口112からダクト7内に気体が吸い込まれる気流VIである。
【0041】
図1は、現像ローラ1とケーシング3との流路105近傍の拡大図である。流路105での気流IIは、現像ローラ1の回転に伴って現像ローラ表面に沿う気流が発生したものである。つまり、現像ローラ1が図中時計回りに回転して現像剤11を搬送する際に、現像ローラ1上で現像剤11の穂立ち部12がケーシング3と接触していることで、現像ローラ1の回転により穂立ち部12によって空気を現像装置内へかき込まれるために発生するものである。
【0042】
この気流IIの強さは流路105の広さによって調整できるものであるが、あまり強い気流を設定することはできない。これは、多量の空気をケーシング3内(現像装置200内)に吸い込んでしまうとケーシング3内(現像装置200内)の内圧が上がってしまうからである。これにより、流路105の現像ローラ長手方向のどこかで気流IIとケーシング3内(現像装置200内)の内圧とが均衡してしまったり、気流IIよりもケーシング3内(現像装置200内)の内圧が勝ってケーシング3内(現像装置200内)の気体が外へ噴出してしまったりといった不具合が起きるためである。このため、流路105で設定できる気流IIの強さには限界がある。
【0043】
次に、感光体ドラム2周りの飛散トナーを回収するためのダクト7の上流側吸引口111からダクト7内に吸い込まれる気流IIIについて説明する。前述したように、気流IIの強さには限界があるため、気流IIだけでは飛散トナーを回収するのに不十分である場合がある。そのため、漏れてしまった飛散トナーをダクト7の上流側吸引口111からダクト7内に気流IIIによって吸い込み回収する。
【0044】
ここで、図6に示すように、上流側吸引口111における気流IIIの風量とトナー吸引量の関係はある程度まで線形に推移し、気流IIIの風量が多くなるほどトナー吸引量も増加するが、気流IIIの風量が一定以上になるとトナー吸引量はほぼ横ばいとなる。これは感光体ドラム2の回転による気流に引きずられるトナーがあるためだが、このようなトナーを少しでも多く上流側吸引口111から吸引し回収しようとして気流IIIの風量を多くし過ぎると、現像ローラ周りの気流が乱され気流IIが崩れてしまい、回収すべきでない余計なトナーまでもが吸引されてしまう。そのため、気流IIIの風量を図6でトナー吸引量が7割程度となるような強さに抑えるのが望ましい。
【0045】
また、流路113のダクト壁面110と感光体ドラム表面2aとの隙間l1(図7参照)をなるべく狭く設定することで効率よくトナーの回収を行うことができる。なお、隙間l1が狭すぎる感光体ドラム2上の現像された画像のトナーまでも引きつけてしまうため、隙間l1は1[mm]〜3[mm]程度の距離に設定するのが望ましく、本実施形態では隙間l1を2[mm]としている。
【0046】
本実施形態においては、図7に示すように、ダクト壁面110と感光体ドラム表面2aとの隙間l1が2[mm]である流路113の最下流側と繋がった流路114の間隙が、流路114の最上流側から最下流側に至るまで徐々に大きくなっていき、最終的に流路114の最下流側でダクト壁面110と感光体ドラム表面2aとの隙間l2が4[mm]となっている。また、本実施形態においては、流路113の最下流側(流路114の最上流側)と流路114の最下流側との距離l3を6[mm]としている。
【0047】
流路114の間隔が感光体ドラム回転方向上流側よりも感光体ドラム回転方向下流側で広くなっているので、流路114の感光体ドラム回転方向下流側で気流が感光体ドラム表面2aから離れる方向に広がる気流Vが発生する。そして、このように感光体ドラム表面2aから離れる方向に広がる気流Vが発生することで、上流側吸引口111で吸引されなかった感光体ドラム表面2a付近にある飛散トナーを感光体ドラム表面2aから離れる方向に拡散させることができる。このように拡散された飛散トナーは、気流VIに乗って下流側吸引口112で吸引されダクト7内に回収される。
【0048】
これにより、感光体ドラム表面2a付近にある飛散トナーを下流側吸引口112で吸引するために、下流側吸引口112を感光体ドラム表面2aに近接させて設けることなく、感光体ドラム表面2aから前記空間にトナーを拡散させて下流側吸引口112で吸引できる。よって、感光体ドラム表面2aに下流側吸引口112を近接させ過ぎて、感光体ドラム回転時に生じる振動などによって感光体ドラム表面2aに下流側吸引口112が接してしまい、感光体ドラム表面2aが損傷してしまうのを抑制することができる。
【0049】
また、気流IIIの風量を多くしすぎて現像ローラ周りの気流を乱し、ダクト7内に回収すべきでない余計なトナーを上流側吸引口111で吸引してしまうことなく、確実に飛散トナーを上流側吸引口111や下流側吸引口112でダクト7内に回収することができる。
【0050】
本実施形態では、下流側吸引口112は下方に向かって開口しており、流路114の最下流側よりも感光体ドラム回転方向下流側で下流側吸引口112と対向した位置に、トナーを受けるトナー受け部であるゴム製のトナー受け120を設けている。また、トナー受け120の先端120aは、流路113のダクト壁面110の延長線よりも感光体ドラム表面2aに近い側に位置している。これにより、気流で搬送できないトナーの塊が勢い良く滑落した場合でも、トナー受け120の先端120aが感光体ドラム表面2a側にせり出している分だけ落下したトナーを受け止め易くなり、画像上へのトナー落ちを低減させることが可能となる。また、気流VIIによって運ばれるトナーの一部をトナー受け120によって捕獲することが可能となるので、機外へのトナー飛散を最小限に抑えることができる。
【0051】
ここで、トナー受け120の先端120aを感光体ドラム表面2aに近接させ過ぎると、感光体ドラム2上の現像された画像のトナーまでも引きつけてしまったり、感光体ドラム回転時の振動などによってトナー受け120の先端120aが感光体ドラム表面2aに接して感光体ドラム表面2aが損傷したりする虞がある。
【0052】
そのため、トナー受け120の先端120aと感光体ドラム表面2aとの間隔l4(図7参照)は、1[mm]〜3[mm]程度の距離とすることが望ましい。これにより、感光体ドラム2上の現像された画像のトナーを引きつけてしまったり、感光体ドラム回転時の振動などによってトナー受け120の先端120aが感光体ドラム表面2aに接して感光体ドラム表面2aが損傷したりするのを抑制することができる。
【0053】
[実施形態2]
以下、本発明を適用した画像形成装置として、複数の感光体ドラムが並行配設されたタンデム型のカラーレーザー複写機(以下、単に「複写機」という)の第二の実施形態について説明する。なお、実施形態2に係る複写機の基本的な構成は、実施形態1に係る複写機と同じなので説明を省略する。
【0054】
図8は、現像ローラ1とケーシング3との流路105近傍の拡大図である。
本実施形態においても、図8に示すように、ニップ部15の現像ローラ回転方向下流の領域で生じた飛散トナーを回収は、ケーシング3の現像ローラ回転方向下流側に位置する開口部の縁部と現像ローラ1の表面との間に形成される流入空隙である流路105を通じて、現像ローラ1の回転に伴って外気がケーシング3内(現像装置内)の内部空間に向かって流入する気流IIや、ニップ部15よりも現像ローラ1の回転方向下流側に設けられた現像ローラ長手方向に長尺なダクト7に形成された上流側吸引口111及び下流側吸引口112から、ダクト7内に気体が吸い込まれるような図示しないポンプによって発生させた吸い込み気流Iで行なわれる。
【0055】
なお、本実施形態においては、上流側吸引口111と下流側吸引口112とでダクト7を共通で使用する。これにより、上流側吸引口111と下流側吸引口112それぞれでダクト7や前記ポンプを別個で設ける場合よりも、ダクト7や前記ポンプの数を減らすことができ、装置内の省スペース化や低コスト化を図ることができる。
【0056】
また、流路113のダクト壁面110と感光体ドラム表面2aとの隙間l1(図9参照)をなるべく狭く設定することで効率よくトナーの回収を行うことができる。なお、隙間l1が狭すぎる感光体ドラム2上の現像された画像のトナーまでも引きつけてしまうため、隙間l1は1[mm]〜3[mm]程度の距離に設定するのが望ましく、本実施形態では隙間l1を2[mm]としている。
【0057】
本実施形態においては、図9に示すように、ダクト壁面110と感光体ドラム表面2aとの隙間l1が2[mm]である流路113の最下流側と繋がった流路114の間隙が、流路114の最上流側から最下流側に至るまで徐々に大きくなっていき、最終的に流路114の最下流側でダクト壁面110と感光体ドラム表面2aとの隙間l2が4[mm]となっている。また、本実施形態においては、流路113の最下流側(流路114の最上流側)と流路114の最下流側側との距離を6[mm]としている。
【0058】
流路114の間隔が感光体ドラム回転方向上流側よりも感光体ドラム回転方向下流側で広くなっているので、流路114の感光体ドラム回転方向下流側で気流が感光体ドラム表面2aから離れる方向に広がる気流Vが発生する。そして、このように感光体ドラム表面2aから離れる方向に広がる気流Vが発生することで、上流側吸引口111で吸引されなかった感光体ドラム表面2a付近にある飛散トナーを感光体ドラム表面2aから離れる方向に拡散させることができる。このように拡散された飛散トナーは、気流VIに乗って下流側吸引口112で吸引されダクト7内に回収される。
【0059】
また、実施形態1で説明したように、上流側吸引口111から飛散トナーを吸引し回収するために気流IIIの風量を多くし過ぎると、現像ローラ周りの気流が乱され気流IIが崩れてしまい、ダクト7内に回収すべきでない余計なトナーまでもが吸引されてしまう。そのため、気流IIIの風量を図6でトナー吸引量が7割程度となるような強さに抑えるのが望ましい。
【0060】
そのため本実施形態においては、図9に示すように、ダクト7の長手方向に直交する方向の断面で、上流側吸引口111の開口幅L1が下流側吸引口112の開口幅L2よりも狭くなっている。これにより、上流側吸引口111と下流側吸引口112とでダクト7を共通で使用した場合に、下流側吸引口112に対して上流側吸引口111での気流IIIの風量を低減させるとともに流速が速められ、感光体ドラム表面2aから離れた位置にある飛散トナーを確実に吸引することが可能となる。
【0061】
なお、このように気流IIIの風量を低減させる場合には、上流側吸引口111と感光体ドラム表面2aとの間隔l5(図9参照)を1[mm]〜3[mm]とするのが望ましい。これにより、上流側吸引口111が感光体ドラム表面2a近傍に設置されるので、気流IIIの風量を多くしすぎて現像ローラ周りの気流を乱し、ダクト7内に回収すべきでない余計なトナーを上流側吸引口111で吸引してしまうことを抑えつつ、極力少ない風量で多くの飛散トナーを上流側吸引口111で吸引し回収することが可能となる。
【0062】
本実施形態では、下流側吸引口112を感光体ドラム表面2aに近接させて設けることなく、感光体ドラム表面2a付近にある飛散トナーを感光体ドラム表面2aから離れる方向に拡散させて下流側吸引口112で吸引することができる。よって、感光体ドラム表面2aに下流側吸引口112を近接させ過ぎて、感光体ドラム回転時に生じる振動などにより、下流側吸引口112を形成するダクト壁面110が感光体ドラム表面2aに接してしまい、感光体ドラム表面2aが損傷してしまうのを抑制することができる。
【0063】
また、図8に示すように、流路114の最下流側よりも感光体ドラム回転方向下流側で下流側吸引口112と対向した位置に、トナーを受けるトナー受け部であるゴム製のトナー受け120を設けている。これにより、気流で搬送できない大粒のトナー塊が勢い良く滑落した場合でも、トナー受け120で受け止めることができる。
【0064】
特に、トナー受け120の先端120aが、流路113のダクト壁面110の延長線よりも感光体ドラム表面2aに近い側に位置させることで、トナー受け120の先端120aが感光体ドラム表面2a側にせり出している分だけ落下したトナーをより受け止め易くなり、画像上へのトナー落ちを低減させることが可能となる。さらに、気流VIIによって運ばれるトナーの一部をトナー受け120によって捕獲することが可能となるので、機外へのトナー飛散を最小限に抑えることができる。
【0065】
なお、トナー受け120の先端120aを感光体ドラム表面2aに近接させ過ぎると、感光体ドラム2上の現像された画像のトナーまでも引きつけてしまったり、感光体ドラム回転時の振動などによってトナー受け120の先端120aが感光体ドラム表面2aに接して感光体ドラム表面2aが損傷したりする虞がある。そのため、トナー受け120の先端120aと感光体ドラム表面2aとの間隔l4(図9参照)は、1[mm]〜3[mm]程度の距離とすることが望ましい。これにより、感光体ドラム2上の現像された画像のトナーを引きつけてしまったり、感光体ドラム回転時の振動などによってトナー受け120の先端120aが感光体ドラム表面2aに接して感光体ドラム表面2aが損傷したりするのを抑制することができる。
【0066】
以上、本実施形態によれば、回転可能に設けられ潜像を担持する潜像担持体である感光体ドラム2と、感光体ドラム2の潜像を少なくともトナーを含む現像剤で現像する現像手段である現像装置200と、現像装置200よりも感光体ドラム回転方向下流側に設けられ感光体ドラム回転方向に沿って壁面であるダクト壁面110に上流側吸引口111及び下流側吸引口112が形成された、気流の通路となるダクト7と、上流側吸引口111及び下流側吸引口112からダクト7内に気体が吸い込まれるような吸い込み気流を発生させる気流発生手段であるポンプとを備えた作像装置において、感光体ドラム回転方向で上流側吸引口111と下流側吸引口112との間に、感光体ドラム表面2aとダクト壁面110とによって気流の流路113,114が形成されており、流路113,114での感光体ドラム表面2aとダクト壁面110との間隔が、感光体ドラム回転方向上流側よりも感光体ドラム回転方向下流側のほうが広い。このように、流路113,114の間隔が感光体ドラム回転方向上流側よりも感光体ドラム回転方向下流側で広くなっているので、流路114の感光体ドラム回転方向下流側で気流が感光体ドラム表面2aから離れる方向に広がる。そして、このように気流が広がることで、上流側吸引口111で吸引されなかった感光体ドラム表面2a付近にある飛散トナーを感光体ドラム表面2aから離れる方向に拡散させることができる。これにより、下流側吸引口112を感光体ドラム表面2aに近接させて設けることなく、感光体ドラム表面2a付近にある飛散トナーを感光体ドラム表面2aから離れる方向に拡散させて下流側吸引口112で吸引することができる。よって、感光体ドラム表面2aに下流側吸引口112を近接させ過ぎて、感光体ドラム回転時に生じる振動などにより下流側吸引口112を形成するダクト壁面110が感光体ドラム表面2aに接してしまい、感光体ドラム表面2aが損傷してしまうのを抑制することができる。
また、本実施形態によれば、ダクト7は感光体ドラム軸方向に長尺であり、上流側吸引口111と下流側吸引口112とでダクト7を共用しており、ダクト7の長手方向に直交する方向の断面で、上流側吸引口111の開口幅が下流側吸引口112の開口幅よりも小さいことで、下流側吸引口112よりも開口幅が小さい上流側吸引口111での気流IIIの流速を速めて感光体ドラム表面2aから離れた位置にある飛散トナーを確実に吸引することが可能となる。
また、本実施形態によれば、上流側吸引口111のほうが下流側吸引口112よりも感光体ドラム表面2aに近い位置にあることで、下流側吸引口112よりも上流側吸引口111の開口幅が狭い分、気流IIIの流量は得られないが局部的な流速は速められるので確実にトナーを吸引できる。
また、本実施形態によれば、下流側吸引口112の下方にトナーを受けるトナー受け部であるトナー受け120を設けたことで、気流による飛散トナーの回収では対応できないような大粒のトナー塊を、トナー受け120で受けることができるため、画像上へトナー塊が落ちるのを抑制することができる。
また、本実施形態によれば、トナー受け120の感光体ドラム側端部である先端120aが、流路113を形成するダクト壁面110の延長線よりも感光体ドラム2側に位置していることで、気流で搬送できないトナーの塊が勢い良く滑落した場合でも、トナー受け120の先端120aが感光体ドラム表面2a側にせり出している分だけ落下したトナーを受け止め易くなり、画像上へのトナー落ちを低減させることが可能となる。また、気流VIIによって運ばれるトナーの一部をトナー受け120によって捕獲することが可能となるので、機外へのトナー飛散を最小限に抑えることができる。
また、本実施形態によれば、トナー受け120の先端120aを感光体ドラム表面2aから1[mm]〜3[mm]の位置まで近接させたことで、感光体ドラム2上の現像された画像のトナーを引きつけてしまったり、感光体ドラム回転時の振動などによってトナー受け120の先端120aが感光体ドラム表面2aに接して感光体ドラム表面2aが損傷したりするのを抑制することができる。
また、本実施形態によれば、トナー受け120の少なくとも感光体ドラム側端部である先端120aをゴム部材で形成したことで、トナー受け120の先端120aをやわらかいゴムで作成されるので、組み付け時などにトナー受け120の先端120aが感光体ドラム表面2aに接触してもキズをつき難くすることができる。
また、本実施形態によれば、上流側吸引口111と感光体ドラム表面2aとの間隔を1[mm]〜3[mm]としたことで、上流側吸引口111が感光体ドラム表面2a近傍に設置されるので、極力少ない風量で多くのトナーを上流側吸引口111で吸引し回収することが可能となる。
また、本実施形態によれば、現像装置200は、表面に現像剤を担持した状態で、感光体ドラム2に対向しながら感光体ドラム2の回転に対して連れ回り方向に回転する現像剤担持体である現像ローラ1と、内部に現像剤を収容するための内部空間を形成し現像ローラ回転方向における現像ローラ表面の一部を感光体ドラム2に対向させるための開口部が設けられたケーシング3とを有し、現像ローラ回転方向下流側に位置する開口部の縁部と現像ローラ表面との間に形成される流入空隙である流路105を通じて、現像ローラ1の回転に伴って外気がケーシング3の内部空間に向かって流入し得るように現像装置200を構成した。これにより、ニップ部15の現像ローラ回転方向下流の領域で生じた飛散トナーを、ケーシング3の現像ローラ回転方向下流側に位置する開口部の縁部と現像ローラ1の表面との間に形成される流路105を通じて、現像ローラ1の回転に伴って外気がケーシング3内(現像装置200内)の内部空間に向かって流入する気流IIによって回収することができる。また、本実施形態では気流IIIの風量を多くしすぎて現像ローラ周りの気流を乱し、ダクト7内に回収すべきでない余計なトナーを上流側吸引口111で吸引してしまうことなく、確実に飛散トナーを上流側吸引口111や下流側吸引口112でダクト7内に回収することができる。
また、本実施形態によれば、少なくとも感光体ドラムと現像装置とからなる作像手段を備えた画像形成装置において、前記作像手段として本発明の感光体ドラム2と現像装置200とからなる作像装置を用いたことで、トナー汚染の少ない画像形成装置を提供することができる。
また、本実施形態によれば、少なくとも感光体ドラムと現像装置とを一体で支持し画像形成装置本体に対して着脱可能な作像手段であるプロセスカートリッジにおいて、前記作像手段として、本発明の感光体ドラム2と現像装置200とからなる作像装置を用いたことで、トナー汚染の少ないプロセスカートリッジを提供することができる。
また、本実施形態によれば、少なくとも感光体ドラムと現像装置とを一体で支持し画像形成装置本体に対して着脱可能な作像装置であるプロセスカートリッジを備えた画像形成装置において、前記プロセスカートリッジとして、本発明の感光体ドラム2と現像装置200とを一体で支持したプロセスカートリッジを用いたことで、トナー汚染の少ない画像形成装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0067】
1 現像ローラ
2 感光体ドラム
2a 感光体ドラム2a
3 ケーシング
4 回収スクリュ
5 攪拌スクリュ
6 供給スクリュ
7 ダクト
11 現像剤
12 穂立ち部
15 ニップ部
17 中間転写ユニット
18 プロセスカートリッジ
20 画像形成ユニット
21 光書込ユニット
22 二次転写装置
23 張架ローラ
23a 張架ローラ
23b 張架ローラ
24 紙搬送ベルト
25 定着装置
26 定着ベルト
27 加圧ローラ
30 原稿台
32 コンタクトガラス
33 第一走行体
34 第二走行体
35 結像レンズ
36 読取センサ
42 給紙ローラ
43 ペーパーバンク
44 給紙カセット
45 分離ローラ
46 給紙路
47 搬送ローラ対
49 レジストローラ対
50 給紙ローラ
51 トレイ
52 分離ローラ
53 給紙路
57 スタック部
60 中間転写ベルト
62 一次転写バイアスローラ
64 張架ローラ
65 駆動ローラ
66 二次転写バックアップローラ
90 ベルトクリーニング装置
100 プリンタ部
105 流路
110 ダクト壁面
111 上流側吸引口
112 下流側吸引口
113 流路
114 流路
120 トナー受け
120a 先端
150 給紙装置
200 現像装置
300 スキャナ
400 原稿自動搬送装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0068】
【特許文献1】特開平6−59565号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能に設けられ潜像を担持する潜像担持体と、
前記潜像担持体の潜像を少なくともトナーを含む現像剤で現像する現像手段と、
前記現像手段よりも潜像担持体回転方向下流側に設けられ潜像担持体回転方向に沿って壁面に上流側吸引口及び下流側吸引口が形成された、気流の通路となるダクトと、
前記上流側吸引口及び前記下流側吸引口から前記ダクト内に気体が吸い込まれるような吸い込み気流を発生させる気流発生手段とを備えた作像装置において、
潜像担持体回転方向で前記上流側吸引口と前記下流側吸引口との間に、潜像担持体表面とダクト壁面とによって気流の流路が形成されており、
前記流路での潜像担持体表面とダクト壁面との間隔が、潜像担持体回転方向上流側よりも潜像担持体回転方向下流側のほうが広いことを特徴とする作像装置。
【請求項2】
請求項1の作像装置において、
上記ダクトは潜像担持体軸方向に長尺であり、上記上流側吸引口と上記下流側吸引口とで前記ダクトを共用しており、前記ダクトの長手方向に直交する方向の断面で、前記上流側吸引口の開口幅が前記下流側吸引口の開口幅よりも小さいことを特徴とする作像装置。
【請求項3】
請求項2の作像装置において、
上記上流側吸引口のほうが上記下流側吸引口よりも潜像担持体表面に近い位置にあることを特徴とする作像装置。
【請求項4】
請求項1、2または3の作像装置において、
上記下流側吸引口の下方にトナーを受けるトナー受け部を設けたことを特徴とする作像装置。
【請求項5】
請求項4の作像装置において、
上記トナー受け部の潜像担持体側端部が、前記流路を形成するダクト壁面の延長線よりも潜像担持体側に位置していることを特徴とする作像装置。
【請求項6】
請求項4または5の作像装置において、
上記トナー受け部の潜像担持体側端部を潜像担持体表面から1[mm]〜3[mm]の位置まで近接させたことを特徴とする作像装置。
【請求項7】
請求項4、5または6の作像装置において、
上記トナー受け部材の少なくとも潜像担持体側端部をゴム部材で形成したことを特徴とする作像装置。
【請求項8】
請求項1、2、3、4、5、6または7の作像装置において、
上記上流側吸引口と潜像担持体表面との間隔を1[mm]〜3[mm]としたことを特徴とする作像装置。
【請求項9】
請求項1、2、3、4、5、6、7または8の作像装置において、
上記現像手段は、表面に現像剤を担持した状態で、上記潜像担持体に対向しながら該潜像担持体の回転に対して連れ回り方向に回転する現像剤担持体と、内部に現像剤を収容するための内部空間を形成し現像剤担持体回転方向における現像剤担持体表面の一部を前記潜像担持体に対向させるための開口部が設けられたケーシングとを有し、
現像剤担持体回転方向下流側に位置する前記開口部の縁部と前記現像剤担持体表面との間に形成される流入空隙を通じて、前記現像剤担持体の回転に伴って外気が該ケーシングの内部空間に向かって流入し得るように前記現像手段を構成したことを特徴とする作像装置。
【請求項10】
少なくとも潜像担持体と現像手段とからなる作像手段を備えた画像形成装置において、
前記作像手段として請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9の作像装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
少なくとも潜像担持体と現像手段とを一体で支持し画像形成装置本体に対して着脱可能な作像手段であるプロセスカートリッジにおいて、
前記作像手段として、請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9の作像装置を用いたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項12】
少なくとも潜像担持体と現像手段とを一体で支持し画像形成装置本体に対して着脱可能な作像手段であるプロセスカートリッジを備えた画像形成装置において、
前記プロセスカートリッジとして、請求項11のプロセスカートリッジを用いたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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