説明

作動アクセスを有する生物学的試料容器キャップ

【課題】
【解決手段】
キャップを開けることなく、キャップ(110)を有する生物学的試料容器(100)にアクセスする装置及び方法を提供する。ドア(116)は、生物学的試料容器のキャップの開口部(114)を覆っている。このドアは、バイアスされて、開口部を閉じており、キャップ上のシールで実質的に液密を形成している。アクチュエータを作動させて、ドアを開き、生物学的試料容器の内部は、生物学的試料容器の外側又はキャップを汚染することなく、開口部を通ってアクセスすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、一般的に、生物学的試料の保存及び処理装置及び方法に関し、より具体的には、キャップを有する生物学的試料容器へのアクセスデバイス及び方法に関する。
【0002】
関連技術の説明
生物学的試料、特に液体性試料の保存には、様々なカップ状容器が用いられている。生物学的試料は、病原菌を含むことがあり、生物学的試料の交差汚染が誤った試験結果を導くことがあるので、生物学的試料カップを閉じるには、取り外しができるキャップが用いられている。これらのキャップは、スナップ嵌めやねじ式メカニズムを含めて、様々な液密メカニズムを有する。
【0003】
試料を収集する場合、ユーザは、この容器からキャップを取り外し、容器内に収集した生物学的試料を入れる。次いで、このキャップを元に戻し、容器を密閉して試料の汚染を防ぐ。この試料を試験用に調製する場合、ユーザは、容器からキャップを取り外し、試料の全て、又は一部を取り出す。このキャップはもう一度元に戻される。しかし、生物学的試料を保持している容器のキャップを毎回取り外すと、ユーザによる試料の汚染、又は試料によるユーザの汚染の危険性が増加する。
【0004】
生物学的試料はしばしば、自動の、又は半自動の生物学的試料収集及び移送システムによって試験用に調製される。例えば、スライドは、米国特許第6,572,824号、第6,318,190号、第5,772,818号、第5,364,597号、第5,143,627号に開示されているような自動フィルタ移送技術を用いて、液体細胞懸濁液から調製することができる。自動フィルタ移送デバイスは、生物学的試料容器に蓋をしたり外したりするように構成されている。しかしながら、このようなデバイスの蓋をする、及び外す機構は複雑であり、システムの費用及び潜在的な信頼性の問題が増し、同様に、容器の内容物が自動フィルタ移送デバイスによって汚染される危険性が高くなる。
【0005】
本発明の概要
一の実施例では、生物学的試料収集及び移送システムが、生物学的試料スライドプロセッサと、このスライドプロセッサ用に構成されている生物学的試料容器と、この生物学的試料容器用に構成されているキャップとを具え、このキャップは、生物学的容器の内部にアクセスするための開口部と、この開口部を閉じるドアを規定している。
【0006】
別の実施例によれば、生物学的試料容器用に構成されているキャップは、底面及びこの底面から延在する周壁を有するキャップ本体とを具え、この底面は、開口部と、この底面に連結したドアとを規定し、このドアを閉じると、このドアが生物学的試料容器を密封し、このドアを開くと、生物学的試料容器の内部へのアクセスが可能になる。
【0007】
様々な実施例で、このドアは、開口部を閉じるようにバイアスされており、このシステムは、シールを更に具えていてもよい。このシールは、ドアとキャップとの間で液密を形成する。様々な実施例では、このシステムは、アクチュエータを更に具えていてもよく、このアクチュエータが、ドアを開けるように作動する。様々な実施例では、生物学的試料は、生物学的試料容器に保持されており、生物学的試料容器の内部へは、生物学的試料容器の外側及びキャップを汚染することなく、開口部を通ってアクセスすることができる。
【0008】
別の実施例では、キャップを取り外すことなく、生物学的試料容器内の流体にアクセスする方法が、キャップのドアを開くステップと、開いたドアを通って生物学的試料容器内部の流体にアクセスするステップと、ドアを閉じるステップとを具える。この方法は、生物学的試料容器の外側、及びキャップを汚染することなく、開いたドアを通って、流体にアクセスするステップを更に具えてもよい。
【0009】
例示の実施例の詳細な説明
キャップを開かずにキャップを有する生物学的試料容器にアクセスする生物学的試料容器及びキャップが開示されている。このキャップは、この容器にアクセスする開口部を規定している。このキャップは、前記開口部を閉じるようにバイアスされたドアと、キャップとドアの間に液密コネクションを形成するシールを具える。また、このキャップは、キャップを開けることなくこの容器にアクセス可能であるドアを開くアクチュエータを具える。この容器、及びキャップの構成部品、及びこれらの動作に関する更なる詳細は、以下の通りである。
【0010】
図3及び4を参照すると、一の実施例による生物学的試料容器100は、その開口部上端104に配置され、環状キャップ110の底部端108上に配置した第2のねじ式リング106に合致するように構成した第1のねじ式リング102を含む。第1及び第2のねじ式リング102及び106は、図5に示されるように、この容器100とキャップ110との間の液密シール112を形成する。容器100とキャップ110の双方共プラスチックで成型されている。
【0011】
図1、2及び5を参照すると、キャップ110は、キャップ110の中央に、同心に円形開口部114を規定している。成型中にキャップ110に形成した開口部114によって、容器100は、キャップ110を開くことなく上方からアクセスすることが可能である。また、キャップ110は、開口部114を閉じるようにバイアスされたドア116を具えている。
【0012】
このドア116は、円120の形状の剛性プラスチックから作られた平面部材118を具え、円120の一方の側から延在する突出部122を有する。円120は、開口部114よりも僅かに大きく、従って、開口部114を閉じることができる。ドア116は、キャップ110の底部に形成されているリング形状の溝120の位置にあり、ドア116が閉じた位置にある場合に、ドア116の底部が、キャップ110の底部とほぼ同一平面になる。ドア116が閉じた位置にある場合に、ドア116の上部は、開口部114の周囲において、キャップ110の底面上に配置されているO−リング124に隣接して、ドア116とキャップ110の間に液密を形成している。
【0013】
ドア116は、突出部122の端部に形成したヒンジ126を有する。ヒンジ126は、また、図6に示すように、キャップ110に取り付けられている軸128に取り付けられている。このヒンジは、軸128に取り付けられ、閉じた位置でドア116をバイアスしているコイルスプリング130に取り付けられている。また、このヒンジは、図7に示すように、垂直ギア132に取り付けられている。この垂直ギアは、水平ギア134に並置されている。これらのギアのこの配置は、水平ギア134の回転をドア116を開くヒンジ126の回転に移行させる。水平ギア134の上面は、その中心において十字型凹部136を規定しており、図8に示すように自動生物学的試料収集及び移送システム140に設けたPhillips社製スクリュードライバチップ138によって水平ギア134の回転を容易にしている。
【0014】
図1、5、及び9を参照すると、ドア116は、キャップ110をオーバラップする円120の上部の部分に配置された係止フック142も具える。ドアを閉じる場合に、係止フック142が、キャップ110によって規定されるホール144を通り、キャップ110の上部から突出する。係止フック142が、キャップ110の上部を通過するとき、ラッチ146がフック142によって規定されるノッチ148の隣に位置するまで、ホール144の近くに配置した、くさび型スプリングで負荷をかけたラッチ146を圧縮する。次いで、ラッチ148は、ノッチ148内に跳ね返り、閉じた位置で連結されるフック142とドア116をロックする。
【0015】
操作に際しては、生物学的試料収集及び移送システム140は、キャップ110の上方から十字型凹部136の付近にPhillips社製スクリュードライバチップ138を位置させる。次いで、このシステム140は、スプリングで負荷をかけたラッチ146を圧縮し、スクリュードライバチップ138を時計方向に回転させ、ギア132及び134を介してドア116を開けてコイルスプリング130を引っ張る。システム140の一部分である生物学的試料プロセッサ150が、生物学的試料容器100にアクセスする。最後に、システム140が、反時計回りにスクリュードライバチップ138を回転させ、コイルスプリング130からの張力で、ドア116を閉じる。このような方法で、システム140は、キャップ110を取り外すことなく、容器100にアクセスする。
【0016】
当業者には、他のメカニズムを用いてドア116を開くことは自明である。例えば、図10及び11は、ドア116を有するキャップ110の別の実施例を示す。このドア116は、軸128に取り付けられている。この軸128は、コイルスプリング130に取り付けられており、このコイルスプリングは、キャップ110にも取り付けられている。軸128の一端には、ボタン152が取り付けられており、このボタン152は、キャップ110のスロット154に適合しており、ボタン152は、キャップ110の外側からアクセスでき、キャップ110の側面と同一平面にある。ボタン152の外側面は、十字型凹部136を規定しており、これは、自動生物学的試料収集及び移送システム140に取り付けられたPhillips社製スクリュードライバチップ138によって、軸128の回転と、取り付けられたヒンジ126と、コイルスプリング130の回転を容易にしている。また、このキャップ110は、上記のロックメカニズムを含む。
【0017】
操作に際して、生物学的試料収集及び移送システム140は、キャップ110の側部から十字型凹部136の付近にPhillips社製スクリュードライバチップ138を配置する。次いで、このシステム140は、スプリングで負荷をかけたラッチ146を押して、スクリュードライバチップ138を反時計回りに回転させ、軸128を回転させて、ドア116を開き、コイルスプリング130を引っ張る。生物学的試料スライドプロセッサ142が、生物学的試料容器100にアクセスする。最後に、システム140が、スクリュードライバ138を時計回りに回転させ、コイルスプリング130からの張力が、ドア116を閉じる。このような方法で、システム140は、キャップ110を取り外すことなく、容器100にアクセスする。
【0018】
図12及び13を参照すると、キャップ110の別の実施例は開口部114を規定しており、この開口部は、キャップ110の中央からずれている。このキャップ110も、ドア116を具え、このドアは、円120の形状の剛性プラスチックでできている平面部材118を具える。円120は、開口部114よりも僅かに大きいため、ドア116が開口部114の上に位置すると、この開口部114が閉じる。平面部材118は、ハブ156に取り付けられている。このハブは、キャップ110の中央を貫通しており、回転する。また、平面部材118は、スプリング158に取り付けられており、このスプリングは、キャップ110の底部に取り付けられて、ドア116を閉じた位置でバイアスしている。ハブ156は、その上面に十字型凹部136を規定しており、Phillips社製スクリュードライバチップ138でハブ156の回転を容易にしている。
【0019】
キャップ110は、その底面上に配置した2つのストップ160を具え、ハブ156の回転、従って、ドア116の動きを制限している。また、キャップ110は、くさび型のスプリングで部分的に負荷をかけたボルト162を具える。このボルトは、開口部114に対向する地点でハブ156からキャップ110を貫通している。スプリングで負荷をかけたボルト162は、キャップ110の底部から突出した位置でバイアスされている。また、このドア116は、ドアを閉じたときに、スプリングで負荷をかけたボルト120と重なる開口部164を具える。この位置で、スプリングで負荷をかけたボルト162が、開口164を通過し、図14に示すように、ドア116を閉じた位置にロックする。
【0020】
操作に際しては、生物学的試料収集及び移送システム140は、キャップ110の上方から十字型凹部136の付近にPhillips社製スクリュードライバチップ138を配置する。次いで、このシステム140は、開口部164からスプリングで負荷をかけたボルト162を上に引いて、ストップ160に当たるまで、時計回りにスクリュードライバ138を回転させ、これによって、ドア116を開き、スプリング158を圧縮する。次いで、システム140の一部分である生物学的試料スライドプロセッサ150が、生物学的試料容器100にアクセスする。最後に、このシステム140は、反時計回りにスクリュードライバ138を回転させ、スプリング158からの張力で、もう1つのストップ160に当たるまでドア116を閉じる。このような方法で、このシステム140は、キャップ110を取り外すことなく、容器100にアクセスする。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明をより良く理解し、正しく評価するために、これらの例示の実施例を示す添付の図面を参照すべきである。図中、同一の要素には、共通の符号が付されている。
【0022】
【図1】図1は、キャップを開くことなく容器にアクセスする生物学的試料容器及びキャップの斜視図である。
【図2】図2は、図1の生物学的試料容器及びキャップの正面図である。
【図3】図3は、図1の生物学的試料容器の斜視図である。
【図4】図4は、図1のキャップの底面から見た斜視図である。
【図5】図5は、図2のx−x線を通る断面図である。
【図6】図6は、図1のキャップのヒンジと、垂直ギアと、軸の詳細な斜視図である。
【図7】図7は、図1のキャップの垂直及び水平ギアの詳細な斜視図であり、Phillips社製のスクリュードライバチップの相対位置を示す。
【図8】図8は、自動生物学的試料収集及び移送システムの概略図であり、このシステムは、図1の生物学的試料容器を用いるように構成されている。
【図9】図9は、図1のキャップの上面の詳細な斜視図であり、係止フックと、くさび形状のスプリングで負荷をかけたラッチ間の相互作用を示す。
【図10】図10は、キャップを開くことなく容器にアクセスする別の実施例による生物学的試料容器及びキャップの斜視図である。
【図11】図11は、図10のキャップのヒンジ及び軸の詳細な斜視図であり、目に付かないところに示されている。
【図12】図12は、キャップを開くことなく容器にアクセスする別の実施例による生物学的試料容器及びキャップの斜視図である。
【図13】図13は、目に付かないところに示されている開口部、O−リング、及びハブを有する図12のキャップの底面である。
【図14】図14は、図12のキャップの底面から見た詳細な斜視図であり、閉じた位置でドアをロックするくさび型スプリングで部分的に負荷をかけたボルトと、開口部と、ストップとの相互作用を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的試料収集及び移送システムにおいて:
生物学的試料スライドプロセッサと;
前記スライドプロセッサ用に構成されている生物学的試料容器と;
前記生物学的試料容器用に構成され、前記生物学的試料容器の内部にアクセスするための開口部を規定しているキャップと;
前記開口部を閉じるために前記キャップに動作可能に連結したドアと;
を具えることを特徴とする生物学的試料収集及び移送システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記ドアが、動作時に前記開口部を閉じるようにバイアスされていることを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のシステムが、前記ドアと前記キャップとの間に実質的な液密を形成するシールを具えることを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のシステムが、ドアを開くためのアクチュエータを更に具えることを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項4に記載のシステムにおいて、動作時に前記ドアを開くように前記アクチュエータがバイアスされていることを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のシステムにおいて、前記生物学的試料容器内部が、前記生物学的試料容器の外側、又は前記キャップを汚染することなく、前記開口部を通ってアクセスできることを特徴とするシステム。
【請求項7】
生物学的試料容器用に構成されたキャップであって、前記キャップが:
底面と、当該底面から延在する周壁を有するキャップ本体と;
前記底面に動作可能に連結したドアと;
を具え、前記底面が開口を規定しており、
前記ドアが、閉じたときに生物学的試料容器を実質的に密閉し、開いたときに前記生物学的試料容器の内部へのアクセスを可能にする;
ことを特徴とするキャップ。
【請求項8】
請求項7に記載のキャップにおいて、前記ドアが閉じた位置でバイアスされていることを特徴とするキャップ。
【請求項9】
請求項7又は8に記載のキャップが、前記ドアと前記キャップとの間に実質的に液密を形成するシールを更に具えることを特徴とするキャップ。
【請求項10】
請求項7から9のいずれか1項に記載のキャップが、前記ドアを開けるためのアクチュエータを具えることを特徴とするキャップ。
【請求項11】
請求項7から10のいずれか1項に記載のキャップにおいて、前記生物学的試料容器の内部が、前記生物学的試料容器の外側又は前記キャップを汚染することなく、前記開口部を通ってアクセスできることを特徴とするキャップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2008−531995(P2008−531995A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−556422(P2007−556422)
【出願日】平成18年2月22日(2006.2.22)
【国際出願番号】PCT/US2006/006337
【国際公開番号】WO2006/091696
【国際公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(507130015)サイテック コーポレイション (18)
【Fターム(参考)】