説明

作業台装置

【課題】省スペースでの作業を可能にすると共に、作業員の移動距離を低減して作業効率を向上させるようにした作業台装置を提供する。
【解決手段】作業台装置10において、一端12bから他端12cの間に作業員Pが並列して作業可能な作業台12と、作業台12の下方に設けられ、作業台12の裏面に搬送面14aを対向させると共に、搬送方向Bが作業台12の他端12cから一端12bに向かうように構成されるコンベア14とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は作業台装置に関し、より具体的には製品や部品等に、塗装、マーキングまたは接着等を行うための作業台装置に関する。
【背景技術】
【0002】
部品組付け用の作業台装置としては、例えば下記の特許文献1に記載された技術を挙げることができる。特許文献1記載の技術はコンベアを備えた作業台装置に関するものであり、作業員は部品等の組付け時には被組付体と同速かつ同方向に移動するコンベア上で組付け作業を行うと共に、作業員の移動と同速で同方向に移動する部品移動台車から部品を受け取れるように構成される。
【0003】
また、製品や部品等(以下「部品等」という)に塗装やマーキングまたは接着等(以下「塗装」という)を行う作業台装置として、例えば図6に示すような構成のものが考えられる。
【0004】
図示の作業台装置30は、部品等36の塗装を行う作業台32と、作業台32の横方向に設置され、塗装された部品等36を乾燥させるためのコンベア34を有する。また、作業台32の近傍には塗装前の部品等36を収容するための塗装前部品収容箱40が設置されると共に、コンベア34の近傍には塗装が完了し、乾燥した部品等36を収容するための完成品収容箱44が設置される。
【0005】
図中矢印Aで示すように、塗装される前の部品等36は作業員Pによって塗装前部品収容箱40から取り出され、作業台32で塗装された後にコンベア34に載せられる。コンベア34に載せられた部品等36は搬送面34aを矢印Cに沿って移動している間に乾燥し、乾燥し終わった頃にコンベア34から完成品収容箱44に送られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−47818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1記載の作業台装置はコンベアを備えるものの、このコンベアは必ずしも塗装された部品等を乾燥させるものではない。
【0008】
一方、図6に示した作業台装置30は塗装された部品等36をコンベア34上で乾燥させるものであるが、コンベア34が作業台32の横方向に設置されることから、当該横方向に大きなスペースを必要とする不都合がある。また、コンベア34で搬送された部品等36が、作業員Pから見てコンベア34の先の遠方にある完成品収容箱44に収容されるため、作業員Pは完成品収容箱44に収容された部品等36を取りに行くためにコンベア34の長さ以上の距離を移動しなければならず、作業効率の点で必ずしも十分ではなかった。
【0009】
この発明の目的は上記した課題を解決し、省スペースでの作業を可能にすると共に、作業員の移動距離を低減して作業効率を向上させるようにした作業台装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した課題を解決するために、請求項1に係る作業台装置にあっては、一端から他端の間に複数の作業員が並列して作業可能な作業台と、前記作業台の下方に設けられ、前記作業台の裏面に搬送面を対向させると共に、搬送方向が前記作業台の前記他端から前記一端に向かうように構成されるコンベアとを備える如く構成した。
【0011】
請求項2に係る作業台装置にあっては、前記コンベアの搬送方向の上流端が、前記作業台の前記他端よりも外側に突出するように構成される如く構成した。
【0012】
請求項3に係る作業台装置にあっては、前記コンベアの搬送方向の下流端が、前記作業台の前記一端の近傍になるように構成される如く構成した。
【0013】
請求項4に係る作業台装置にあっては、前記コンベアの搬送面にエアを吹き付けるエア吹付手段を備える如く構成した。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る作業台装置にあっては、一端から他端の間に複数の作業員が並列して作業可能な作業台と、作業台の下方に設けられ、作業台の裏面に搬送面を対向させると共に、搬送方向が作業台の他端から一端に向かうように構成されるコンベアとを備える如く構成したので、コンベアが作業台の下方に設置されることとなり、よって横方向のスペースを減少させることができる。
【0015】
また、コンベアで搬送されてきた部品等が、作業台の一端側、即ち、作業員の近くに戻るように構成されるので、乾燥後の部品等を取りに行くための作業員の移動距離を低減でき、作業効率を向上させることができる。
【0016】
請求項2に係る作業台装置にあっては、コンベアの搬送方向の上流端が、作業台の他端よりも外側に突出するように構成される如く構成したので、上記した効果に加え、作業台に対してコンベアの突出した部分に塗装後の部品等を一時的に収容することができ、よって作業効率を一層向上させることができる。
【0017】
請求項3に係る作業台装置にあっては、コンベアの搬送方向の下流端が作業台の一端の近傍になるように構成される如く構成したので、上記した効果に加え、コンベアで搬送されてきた部品等が作業員のより近くに戻るように構成されるので、乾燥後の部品等を取りに行くための作業員の移動距離を一層低減でき、作業効率を向上させることができる。
【0018】
請求項4に係る作業台装置にあっては、コンベアの搬送面にエアを吹き付けるエア吹付手段を備える如く構成したので、上記した効果に加え、塗装した部品等をより早く乾燥させることで作業効率を向上させることができると共に、コンベアの全長をさらに短くすることも可能なため、一層省スペース化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明の第1実施例に係る作業台装置の上面図である。
【図2】図1に示す作業台装置の斜視図である。
【図3】図1に示す作業台、コンベアおよび完成品収容箱の位置関係を示す説明図である。
【図4】この発明の第2実施例に係る作業台装置の正面図である。
【図5】図1などに示す作業台、コンベアおよび完成品収容箱の位置関係の変形例を示す説明図である。
【図6】従来の作業台装置の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面に即してこの発明に係る作業台装置を実施するための形態について説明する。
【実施例1】
【0021】
図1はこの発明の第1実施例に係る作業台装置の上面図、図2は作業台装置の斜視図、図3は作業台、コンベアおよび完成品収容箱の位置関係を示す説明図である。
【0022】
図1および図2において符号10は作業台装置を示す。作業台装置10は部品等36を塗装するための作業台12と、塗装後の部品等36を搬送し、乾燥させるためのコンベア14を有する。作業台12の一端12b近くには塗装前の部品等36を収容するための塗装前部品収容箱22と、乾燥後の部品等36を収容するための完成品収容箱24が設置される。
【0023】
作業台12は、図1に示す如く、作業台12の一端12bから他端12cの間に作業員Pが並列して作業可能なように、長方形の板状部材として形成される。また、作業台12の上面には部品等36の塗装が行われる作業面12aが形成されると共に、作業台12の裏面には複数の脚部(図示せず)が形成される。
【0024】
コンベア14は塗装が完了した部品等36を完成品収容箱24に搬送するためのものであるが、それだけでなく部品等36を乾燥させる役割も有する。即ち、部品等36がコンベア14に搬送されている間に乾燥するように構成される。
【0025】
コンベア14は、図3に示す如く、ベルト16と、ベルト16が掛け回されるプーリ18と、プーリ18に接続されて、プーリ18を回転駆動させるモータ(図示せず)を備える。
【0026】
コンベア14は、図2に示す如く、作業台12の下方に設けられ、コンベア固定具20により作業台12に固定される。作業台12の裏面12dと搬送面14aとの間はコンベア固定具20によって部品等36が搬送されるに十分な間隔が空けられる。
【0027】
コンベア14は搬送面14aを作業台12の裏面12dに対向させ、搬送方向(図1の破線で示す矢印B)が作業台12の他端12cから一端12bに向かうように構成される。即ち、コンベア14の搬送方向が、作業員Pが作業を行う方向(図1の実線で示す矢印A)とは反対方向になる。従って、コンベア14に載せられた部品等36は作業台12の他端12c側から作業台12の下側を通って一端12b側に戻ってくる。
【0028】
図3に示す如く、コンベア14の搬送方向Bの上流端14cは作業台12の他端12cよりも外側に突出するように構成される。これは、塗装が完了した部品等36をコンベア14の搬送面14aに載せることができるようにするためである。従って、作業員Pはこの突出している部分(突出部)14dに塗装が完了した部品等36を一時的に収容することができる。
【0029】
コンベア14の搬送方向Bの下流端14bは作業台12の一端12bの近傍になるように構成される。即ち、図示の如く、コンベア14の搬送方向Bの下流端14bが作業台12の一端12bとほぼ同じ位置となるように構成される。従って、コンベア14で搬送されてきた部品等36が作業員Pの近くに設置された完成品収容箱24に収容されるため、完成品収容箱24に収容された部品等36を取りに行くための作業員Pの移動距離を低減でき、作業効率を向上させることができる。
【0030】
図1の説明に戻ると、塗装前部品収容箱22は塗装前の部品等を収容するための箱体であり、上部に部品等36を取り出すための開口を有する。塗装前部品収容箱22は図1に示す如く作業開始にあたって部品等がすばやく取り出せるように作業台12の一端12b近傍に設置される。
【0031】
完成品収容箱24はコンベア14によって搬送されてきた部品等36を収容するための箱体であり、塗装前部品収容箱22と同じく上部に開口を有する。完成品収容箱24は図3に示す如くコンベア14の下流端14bの下方に設置され、コンベア14で搬送されてきた部品等36が収容される。
【0032】
次いで、この実施例に係る作業台装置10の動作について説明する。
【0033】
作業員Pによって塗装前部品収容箱22から取り出された部品等36は作業台12の作業面12aで塗装され、塗装が完了した後、コンベア14、より具体的には作業台12の他端12cから突出しているコンベア14の突出部14dに載せられる。部品等36は搬送面14aを搬送される間に乾燥し、その後コンベア14から完成品収容箱24に収容される。
【0034】
以上のように、第1実施例にあっては、作業台12で塗装された部品等36がコンベア14に載って作業台12の下側を通る構成としたため、横方向のスペースを削減することができる。また、コンベア14で搬送されてきた部品等36が作業員Pの近くに戻ってくるので、完成品収容箱24に収容された部品等36を取りにいくための作業員Pの移動距離を低減することができ、作業効率を低減させることができる。
【実施例2】
【0035】
図4はこの発明の第2実施例に係る作業台装置の正面図である。
【0036】
第1実施例との相違点を中心に説明すると、第2実施例にあっては、エア吹付装置26を設置するように構成した。エア吹付装置26は複数のエアノズル26aを備えると共に、作業台12の裏面12dに設置され、コンベア14によって搬送されてきた部品等36にエアを吹き付け、乾燥を促進する。
【0037】
第2実施例では上記の如く、コンベア14によって搬送されてきた部品等36にエアを吹き付ける構成としたため、塗装が完了した部品等36をより早く乾燥させることができ、作業効率を向上させることができると共に、コンベア14の全長をさらに短くすることも可能となるため、一層省スペース化を図ることができる。
【0038】
尚、搬送面14aにエアを吹き付けるという目的を達成できるものであれば、エア吹付装置の形態や設置場所については図示の構成に限定されるものではない。また、第2実施例の残余の構成および効果は第1実施例と同一であるので説明を省略する。
【0039】
次に、図5を参照して第1、第2実施例に係る作業台装置12の変形例について説明する。
【0040】
図5は作業台12、コンベア14および完成品収容箱24の位置関係の変形例を示す説明図、より具体的には同図(a)はコンベア14の搬送方向Bの下流端14bが作業台12の一端12bよりも内側(図面右方向)に位置し、完成品収容箱24が作業台12の下側に設置される場合、同図(b)はコンベア14の搬送方向Bの下流端14bが作業台12の一端12bよりも外側(図面左方向)に位置し、完成品収容箱24は作業台12の外側に設置される場合を示す説明図である。
【0041】
即ち、第1実施例(図3)においてはコンベア14の搬送方向Bの下流端14bが作業台12の一端12bとほぼ同じ位置となるように構成したが、図5(a)および(b)に示す如く、コンベア14の搬送方向Bの下流端14bが作業台12の一端12bよりも内側または外側になるように構成しても良い。
【0042】
上記の如く、第1、第2実施例にあっては、一端12bから他端12cの間に作業員Pが並列して作業可能な作業台12と、作業台12の下方に設けられ、作業台12の裏面12dに搬送面14aを対向させると共に、搬送方向Bが作業台12の他端12cから一端12b(矢印Aの反対方向)に向かうように構成されるコンベア14とを備える如く構成したので、コンベア14が作業台12の下方に設置されることとなり、よって横方向のスペースを減少させることができる。
【0043】
また、コンベア14で搬送されてきた部品等36が、作業台12の一端12b側、即ち、作業員Pの近くに戻るように構成されるので、完成品収容箱24に収容された部品等36を取りに行くための作業員Pの移動距離を低減でき、作業効率を向上させることができる。
【0044】
また、コンベア14の搬送方向Bの上流端14cが、作業台12の他端12cよりも外側に突出するように構成される如く構成したので、上記した効果に加え、作業台12に対してコンベア14の突出部14dに塗装後の部品等36を一時的に収容することができ、よって作業効率を向上させることができる。
【0045】
また、コンベア14の搬送方向Bの下流端14bが、作業台12の一端12bの近傍になるように設置される如く構成したので、上記した効果に加え、コンベア14で搬送されてきた部品等36が作業員Pのより近くに戻るように構成されるため、完成品収容箱24に収容された部品等36を取りに行くための作業員Pの移動距離を一層低減でき、それによっても作業効率を向上させることができる。
【0046】
また、コンベア14の搬送面14aにエアを吹き付けるエア吹付手段(エア吹付装置)26を備える如く構成したので、上記した効果に加え、塗装した部品等36をより早く乾燥させることで作業効率を向上させることができると共に、コンベア14の全長をさらに短くすることも可能なため、一層省スペース化を図ることができる。
【0047】
10 作業台装置、12 作業台、12a 作業面、12b 作業台の一端、12c 作業台の他端、14 コンベア、14a 搬送面、14b コンベアの搬送方向の下流端、 14c コンベアの搬送方向の上流端、14d 突出部、22 塗装前部品収容箱、24 完成品収容箱、26 エア吹付装置(エア吹付手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端から他端の間に複数の作業員が並列して作業可能な作業台と、前記作業台の下方に設けられ、前記作業台の裏面に搬送面を対向させると共に、搬送方向が前記作業台の前記他端から前記一端に向かうように構成されるコンベアとを備えることを特徴とする作業台装置。
【請求項2】
前記コンベアの搬送方向の上流端が、前記作業台の前記他端よりも外側に突出するように構成されることを特徴とする請求項1記載の作業台装置。
【請求項3】
前記コンベアの搬送方向の下流端が、前記作業台の前記一端の近傍になるように構成されることを特徴とする請求項1または2記載の作業台装置。
【請求項4】
前記コンベアの搬送面にエアを吹き付けるエア吹付手段を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の作業台装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−18092(P2013−18092A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154483(P2011−154483)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(507369936)ホンダ太陽株式会社 (17)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】