作業札、電源制御装置、発電プラント
【課題】停電箇所に対応する電源ユニットを誤解を生じることなく表示し、かつ、迅速に取り付けることが可能な作業札等を提供すること。
【解決手段】発電プラントにおける電気工事の作業対象箇所への電力供給を制御する電源ユニットに配置するための作業札10は、作業中であることを表示する本体12と、本体12を電源ユニットに取り付けるための輪状の紐14とを有する。作業札10は、さらに、紐14を輪状のまま摺動させつつ貫通させるための貫通孔が形成されており、貫通孔によって任意の位置で紐14を固定することができる円筒部材16を有する。
【解決手段】発電プラントにおける電気工事の作業対象箇所への電力供給を制御する電源ユニットに配置するための作業札10は、作業中であることを表示する本体12と、本体12を電源ユニットに取り付けるための輪状の紐14とを有する。作業札10は、さらに、紐14を輪状のまま摺動させつつ貫通させるための貫通孔が形成されており、貫通孔によって任意の位置で紐14を固定することができる円筒部材16を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電プラントで使用される作業札、電源制御装置及び発電プラントに関する。
【背景技術】
【0002】
火力発電所等の発電プラントにおいては、プラント内の電気工事をする必要が頻繁にある。そして、電気工事を実施している区間については、停電の措置(「縁切り」と呼ぶ)をする必要がある。
【0003】
そして、停電している区間について誤って加圧(送電)すると、作業者が感電する事故が発生する可能性があるため、停電箇所に対応する電源ユニットの部分に、図13に示すような作業札100が配置される。作業札100は、作業札本体100a(以下、「本体100a」と呼ぶ)と、取り付け用紐100b(以下、「紐100b」と呼ぶ)とから構成される。
【0004】
紐100bは、本体100aに形成された孔100aaに通された状態で、輪になっている。
【0005】
図14に示すように、棒状部材130に紐100bが巻きつくことによって、作業札100が棒状部材130に固定される。このとき、棒状部材130と本体100aは、距離d1だけ乖離する。
【0006】
ところが、紐100bの長さは一定であるから、図15に示すように、棒状部材130よりも直径が小さい棒状部材132の場合には、棒状部材132と本体100aとの乖離距離d2は、距離d1よりも大きくなる。この結果、図16に示すように、多数の電源ユニット152A乃至152Lが集合した電源制御装置150において、例えば、電源ユニット152Aの取り付け部に取り付けた作業札100の本体100aが、停電箇所に対応しない電源ユニット152Bの位置に垂れ下がる場合がある。ここで、電源ユニット152Aの取り付け部は棒状部材132で形成されている。
【0007】
なお、作業札100を取り付ける棒状部材の直径ごとに、対応する長さの紐100bを用意しておくことは煩雑である。また、そのような長さの異なる紐100bを用意したとしても、長さごとに作業札100を格納しておくスペースがない場合もあるし、棒状部材と合致した長さの紐100bを有する作業札100を選択することは、迅速性が求められる作業現場においては実用性を欠く。
【0008】
図16のような状態においては、電源制御装置150の作業者が、作業札100が電源ユニット152Bに配置されたものと誤解して、本来作業札100が配置されている電源ユニット152Aの電源を入れてしまうおそれがある。
【0009】
これに対して、作業を行っている設備や変電所について、鎖錠制御を自動的に行い、対応する設備や変電所に対してCRT画面上で作業札を表示する技術が提案されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2002−32101号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、既存の発電設備においては、鎖錠制御を自動的に行うための改造を行うことができない場合もあり、手動で停電及び加圧を行う必要が生じる。そして、安全確保のために、作業中の区間と隣接する区間において停電を行う場合には、作業札100を複数配置する必要がある。しかも、事故を回避するために、迅速に作業札100を配置する必要がある。
【0011】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、停電箇所に対応する電源ユニットを誤解を生じることなく表示し、かつ、迅速に取り付けることが可能な作業札、電源制御装置及び電源プラントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
具体的には、本発明は以下のものを提供する。
【0013】
(1) 発電プラントにおける電気工事の作業対象箇所への電力供給を制御する電源ユニットに配置するための作業札であって、作業中であることを表示する本体と、前記本体を前記電源ユニットに取り付けるための輪状の紐と、前記紐を輪状のまま摺動させつつ貫通させるための貫通孔が形成されており、前記貫通孔によって任意の位置で前記紐を固定することができる円筒部材と、を有することを特徴とする作業札である。
【0014】
(1)の発明によれば、円筒部材は、貫通孔によって任意の位置で紐を固定することができる。
【0015】
このため、本体と前記電源ユニットの間に生じた距離は、円筒部材を移動させることによって、短縮することができる。このため、停電箇所に対応する電源ユニットを誤解を生じることなく表示することができる。
【0016】
また、円筒部材を移動させるだけで、本体と電源ユニットの間に生じた距離を短縮することができるから、作業札を電源ユニットに対して迅速に取り付けることができる。
【0017】
(2) 前記円筒部材は、軟質ゴムで形成されていることを特徴とする(1)に記載の作業札である。
【0018】
(2)の発明によれば、円筒部材は軟質ゴムで形成されているから、紐を摺動させつつ貫通させることができ、かつ、任意の位置で固定することができる。
【0019】
(3) 前記円筒部材には、前記紐が抜けることを防止するために前記貫通孔を仕切る仕切り部が形成されていることを特徴とする(1)又は(2)のいずれかに記載の作業札である。
【0020】
(3)の発明によれば、紐が円筒部材から抜けることによって、円筒部材が本体から分離することを防止することができる。
【0021】
(4) (1)乃至(3)のいずれかに記載の作業札が複数配置された電源制御装置である。
【0022】
(4)の発明によれば、電源制御装置に多数の電源ユニットが格納されていて、そのうちの一部が停電箇所に対応している場合において、停電箇所に対応する電源ユニットを誤って認識することを防止することができる。
【0023】
(5) (4)に記載の電源制御装置を有する発電プラントである。
【0024】
(4)の発明によれば、発電プラントの電源制御装置において、作業札の本体と電源ユニットの間に生じた距離は、円筒部材を移動させることによって、短縮することができる。このため、停電箇所に対応する電源ユニットを誤解を生じることなく表示することができる。
【0025】
また、円筒部材を移動させるだけで、本体と電源ユニットの間に生じた距離を短縮することができるから、複数の作業札を電源ユニットに対して迅速に取り付けることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、停電箇所に対応する電源ユニットを誤解を生じることなく表示し、かつ、迅速に取り付けることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態の一例について、添付した図面を参照しながら、具体的に説明する。
【0028】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の作業札10を示す概略斜視図である。なお、本実施形態以降の説明では、同じ部材の場合には同じ符号を付すとともに、すでに説明した部材の説明は省略する。
【0029】
作業札10は、発電プラント内において電気工事を行う場合において、作業において停電させた停電部分に対応する電源ユニットに配置するための札である。電源ユニットは複数存在し、電源制御装置に格納されている。
【0030】
図1に示すように、作業札10は、本体12と、輪状の紐14と、円筒部材16によって構成されている。
【0031】
本体12は、作業中であることを表示するための表示板である。本体12は、例えば、プラスチック樹脂で形成されている。
【0032】
紐14は、本体12を電源ユニットに取り付けるための構成である。紐14は、本体12に形成された孔12aを通ることによって、本体12と連結している。紐14の材質は、例えば、綿である。
【0033】
図2は、円筒部材16を示す概略斜視図である。図2に示すように、円筒部材16は、貫通孔16aを有する。貫通孔16aは、紐14を輪状のまま摺動させつつ貫通させるための孔である。貫通孔16aの直径L1は、紐14の断面の直径のほぼ2倍である。言い換えると、紐14は図1に示すように、二重になった状態で、貫通孔16aを摺動しつつ貫通する。
【0034】
そして、円筒部材16は、軟質ゴムで形成されている。軟質ゴムは、紐14に対する摩擦係数が大きい。このため、紐14と円筒部材16は、任意の位置で位置決めすると、重力や風というような、自然の力ではその位置が変動しない程度に固定される。
【0035】
軟質ゴムは、例えば、天然軟質ゴム、クロロプレン系合成ゴム、ブチル系合成ゴム、EPDM系合成ゴムであるが、これらに限らない。
【0036】
以上が、作業札10の構成である。以下、主に図3乃至図8を使用して、作業札10の使用方法を説明する。
【0037】
図3乃至図8は、作業札10の使用方法の一例を示す概略図である。作業者は、図3乃至図8の紙面手前側に位置するものとして、以下の説明をする。また、図3の矢印Y1方向を上とし、矢印Y1と反対方向を下とする。
【0038】
まず、棒状部材132で形成されている取り付け部材に対して紙面手前側に作業札10を配置する。このとき、円筒部材16は、紐14の上端部14aに近い位置に配置しておく。これにより、円筒部材16と取り付け部材を形成する棒状部材132との距離L2を、本体12の長さL3とほぼ等しい長さに確保することができるようになっている。
【0039】
続いて、図4に示すように、本体12を棒状部材132を支点として紙面奥側に折り曲げる。
【0040】
続いて、図5に示すように、本体12を紐14が形成する輪の中Sを通して、手前側に持ってくる。上述のように、円筒部材16と棒状部材132との距離L2を、本体12の長さL3とほぼ等しい長さにしているから、本体12を容易に輪の中Sを通すことができる。
【0041】
図5の状態において、紐14の上端部14aを片手で固定して、円筒部材16を下に摺動させると、図6に示すように、本体12の上端部12bは棒状部材132にほぼ接触する。
【0042】
図6の状態で、紐14の上端部14aから手を離すと、図7に示すような状態となり、作業札10の取り付けが完了する。
【0043】
このように、作業札10を棒状部材132に取り付けることは容易であり、迅速に取り付けが可能である。しかも、本体12の上端部12bは、棒状部材132で形成された取り付け部材にほぼ接触する。
【0044】
図8は、電源制御装置150を含む制御盤160を示す概略図である。図8に示すように、制御盤160において、作業者は、様々な機器の制御を行う作業をする必要がある。この作業の一つが、電源制御装置150による電源ユニットの操作である。
【0045】
図9に示すように、多数の電源ユニット152A等を有する電源制御装置150において、電源ユニット152Aに取り付けた作業札10は、確実に電源ユニット152Aに取り付けられたものであることが認識できる。
【0046】
このため、作業者が、誤って、例えば、電源ユニット152Aの電源を入れることを防止することができる。
【0047】
なお、作業札10の取り付け部材からの取り外しは、上述した取り付けとは逆の操作をすればよいから、取り外しも容易である。
【0048】
[第2実施形態]
図10及び図11を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。図10は、第2実施形態の作業札10Aを示す概略図である。図11は、円筒部材16Aの概略斜視図である。図12は、円筒部材16Aと、紐14の一部を示す概略図である。
【0049】
図10及び図11等に示すように、円筒部材16Aには、貫通孔16aを仕切る仕切り部16bが円筒部材16Aと一体に形成されている。
【0050】
このため、図10の状態から円筒部材16Aを紐14の上方に移動させても、図12に示すように、仕切り部16bが紐14の上端部14aの下に位置するから、円筒部材16Aが紐14と分離することはない。
【0051】
なお、本実施形態とは異なり、仕切り部16bは、円筒部材16Aの貫通孔16aの上端部又は下端部の一部に形成するようにしてもよい。
【0052】
本実施の形態によれば、作業札を、停電箇所に対応する電源ユニットを誤解を生じることなく表示し、かつ、迅速に取り付けることが可能である。
【0053】
なお、上述の各実施形態とは異なり、作業札10及び10Aは、電源ユニットだけではなくて、発電プラントにおける他の作業をしている箇所にも使用することができる。例えば、作業札10等を、蒸気等が通過する配管工事の際に、縁切りをしている箇所のバルブ等に配置することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】第1実施形態の作業札を示す概略斜視図である。
【図2】円筒部材の概略斜視図である。
【図3】作業札の使用方法の一例を示す概略図である。
【図4】作業札の使用方法の一例を示す概略図である。
【図5】作業札の使用方法の一例を示す概略図である。
【図6】作業札の使用方法の一例を示す概略図である。
【図7】作業札の使用方法の一例を示す概略図である。
【図8】電源制御装置を含む制御盤を示す概略図である。
【図9】作業札の使用方法の一例を示す概略図である。
【図10】第2実施形態の作業札を示す概略斜視図である。
【図11】円筒部材の概略斜視図である。
【図12】円筒部材と、紐の一部を示す概略図である。
【図13】従来例を示す図である。
【図14】従来例を示す図である。
【図15】従来例を示す図である。
【図16】従来例を示す図である。
【符号の説明】
【0055】
10,10A・・・作業札、12・・・本体、14・・・紐、16,16A・・・円筒部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電プラントで使用される作業札、電源制御装置及び発電プラントに関する。
【背景技術】
【0002】
火力発電所等の発電プラントにおいては、プラント内の電気工事をする必要が頻繁にある。そして、電気工事を実施している区間については、停電の措置(「縁切り」と呼ぶ)をする必要がある。
【0003】
そして、停電している区間について誤って加圧(送電)すると、作業者が感電する事故が発生する可能性があるため、停電箇所に対応する電源ユニットの部分に、図13に示すような作業札100が配置される。作業札100は、作業札本体100a(以下、「本体100a」と呼ぶ)と、取り付け用紐100b(以下、「紐100b」と呼ぶ)とから構成される。
【0004】
紐100bは、本体100aに形成された孔100aaに通された状態で、輪になっている。
【0005】
図14に示すように、棒状部材130に紐100bが巻きつくことによって、作業札100が棒状部材130に固定される。このとき、棒状部材130と本体100aは、距離d1だけ乖離する。
【0006】
ところが、紐100bの長さは一定であるから、図15に示すように、棒状部材130よりも直径が小さい棒状部材132の場合には、棒状部材132と本体100aとの乖離距離d2は、距離d1よりも大きくなる。この結果、図16に示すように、多数の電源ユニット152A乃至152Lが集合した電源制御装置150において、例えば、電源ユニット152Aの取り付け部に取り付けた作業札100の本体100aが、停電箇所に対応しない電源ユニット152Bの位置に垂れ下がる場合がある。ここで、電源ユニット152Aの取り付け部は棒状部材132で形成されている。
【0007】
なお、作業札100を取り付ける棒状部材の直径ごとに、対応する長さの紐100bを用意しておくことは煩雑である。また、そのような長さの異なる紐100bを用意したとしても、長さごとに作業札100を格納しておくスペースがない場合もあるし、棒状部材と合致した長さの紐100bを有する作業札100を選択することは、迅速性が求められる作業現場においては実用性を欠く。
【0008】
図16のような状態においては、電源制御装置150の作業者が、作業札100が電源ユニット152Bに配置されたものと誤解して、本来作業札100が配置されている電源ユニット152Aの電源を入れてしまうおそれがある。
【0009】
これに対して、作業を行っている設備や変電所について、鎖錠制御を自動的に行い、対応する設備や変電所に対してCRT画面上で作業札を表示する技術が提案されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2002−32101号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、既存の発電設備においては、鎖錠制御を自動的に行うための改造を行うことができない場合もあり、手動で停電及び加圧を行う必要が生じる。そして、安全確保のために、作業中の区間と隣接する区間において停電を行う場合には、作業札100を複数配置する必要がある。しかも、事故を回避するために、迅速に作業札100を配置する必要がある。
【0011】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、停電箇所に対応する電源ユニットを誤解を生じることなく表示し、かつ、迅速に取り付けることが可能な作業札、電源制御装置及び電源プラントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
具体的には、本発明は以下のものを提供する。
【0013】
(1) 発電プラントにおける電気工事の作業対象箇所への電力供給を制御する電源ユニットに配置するための作業札であって、作業中であることを表示する本体と、前記本体を前記電源ユニットに取り付けるための輪状の紐と、前記紐を輪状のまま摺動させつつ貫通させるための貫通孔が形成されており、前記貫通孔によって任意の位置で前記紐を固定することができる円筒部材と、を有することを特徴とする作業札である。
【0014】
(1)の発明によれば、円筒部材は、貫通孔によって任意の位置で紐を固定することができる。
【0015】
このため、本体と前記電源ユニットの間に生じた距離は、円筒部材を移動させることによって、短縮することができる。このため、停電箇所に対応する電源ユニットを誤解を生じることなく表示することができる。
【0016】
また、円筒部材を移動させるだけで、本体と電源ユニットの間に生じた距離を短縮することができるから、作業札を電源ユニットに対して迅速に取り付けることができる。
【0017】
(2) 前記円筒部材は、軟質ゴムで形成されていることを特徴とする(1)に記載の作業札である。
【0018】
(2)の発明によれば、円筒部材は軟質ゴムで形成されているから、紐を摺動させつつ貫通させることができ、かつ、任意の位置で固定することができる。
【0019】
(3) 前記円筒部材には、前記紐が抜けることを防止するために前記貫通孔を仕切る仕切り部が形成されていることを特徴とする(1)又は(2)のいずれかに記載の作業札である。
【0020】
(3)の発明によれば、紐が円筒部材から抜けることによって、円筒部材が本体から分離することを防止することができる。
【0021】
(4) (1)乃至(3)のいずれかに記載の作業札が複数配置された電源制御装置である。
【0022】
(4)の発明によれば、電源制御装置に多数の電源ユニットが格納されていて、そのうちの一部が停電箇所に対応している場合において、停電箇所に対応する電源ユニットを誤って認識することを防止することができる。
【0023】
(5) (4)に記載の電源制御装置を有する発電プラントである。
【0024】
(4)の発明によれば、発電プラントの電源制御装置において、作業札の本体と電源ユニットの間に生じた距離は、円筒部材を移動させることによって、短縮することができる。このため、停電箇所に対応する電源ユニットを誤解を生じることなく表示することができる。
【0025】
また、円筒部材を移動させるだけで、本体と電源ユニットの間に生じた距離を短縮することができるから、複数の作業札を電源ユニットに対して迅速に取り付けることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、停電箇所に対応する電源ユニットを誤解を生じることなく表示し、かつ、迅速に取り付けることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態の一例について、添付した図面を参照しながら、具体的に説明する。
【0028】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の作業札10を示す概略斜視図である。なお、本実施形態以降の説明では、同じ部材の場合には同じ符号を付すとともに、すでに説明した部材の説明は省略する。
【0029】
作業札10は、発電プラント内において電気工事を行う場合において、作業において停電させた停電部分に対応する電源ユニットに配置するための札である。電源ユニットは複数存在し、電源制御装置に格納されている。
【0030】
図1に示すように、作業札10は、本体12と、輪状の紐14と、円筒部材16によって構成されている。
【0031】
本体12は、作業中であることを表示するための表示板である。本体12は、例えば、プラスチック樹脂で形成されている。
【0032】
紐14は、本体12を電源ユニットに取り付けるための構成である。紐14は、本体12に形成された孔12aを通ることによって、本体12と連結している。紐14の材質は、例えば、綿である。
【0033】
図2は、円筒部材16を示す概略斜視図である。図2に示すように、円筒部材16は、貫通孔16aを有する。貫通孔16aは、紐14を輪状のまま摺動させつつ貫通させるための孔である。貫通孔16aの直径L1は、紐14の断面の直径のほぼ2倍である。言い換えると、紐14は図1に示すように、二重になった状態で、貫通孔16aを摺動しつつ貫通する。
【0034】
そして、円筒部材16は、軟質ゴムで形成されている。軟質ゴムは、紐14に対する摩擦係数が大きい。このため、紐14と円筒部材16は、任意の位置で位置決めすると、重力や風というような、自然の力ではその位置が変動しない程度に固定される。
【0035】
軟質ゴムは、例えば、天然軟質ゴム、クロロプレン系合成ゴム、ブチル系合成ゴム、EPDM系合成ゴムであるが、これらに限らない。
【0036】
以上が、作業札10の構成である。以下、主に図3乃至図8を使用して、作業札10の使用方法を説明する。
【0037】
図3乃至図8は、作業札10の使用方法の一例を示す概略図である。作業者は、図3乃至図8の紙面手前側に位置するものとして、以下の説明をする。また、図3の矢印Y1方向を上とし、矢印Y1と反対方向を下とする。
【0038】
まず、棒状部材132で形成されている取り付け部材に対して紙面手前側に作業札10を配置する。このとき、円筒部材16は、紐14の上端部14aに近い位置に配置しておく。これにより、円筒部材16と取り付け部材を形成する棒状部材132との距離L2を、本体12の長さL3とほぼ等しい長さに確保することができるようになっている。
【0039】
続いて、図4に示すように、本体12を棒状部材132を支点として紙面奥側に折り曲げる。
【0040】
続いて、図5に示すように、本体12を紐14が形成する輪の中Sを通して、手前側に持ってくる。上述のように、円筒部材16と棒状部材132との距離L2を、本体12の長さL3とほぼ等しい長さにしているから、本体12を容易に輪の中Sを通すことができる。
【0041】
図5の状態において、紐14の上端部14aを片手で固定して、円筒部材16を下に摺動させると、図6に示すように、本体12の上端部12bは棒状部材132にほぼ接触する。
【0042】
図6の状態で、紐14の上端部14aから手を離すと、図7に示すような状態となり、作業札10の取り付けが完了する。
【0043】
このように、作業札10を棒状部材132に取り付けることは容易であり、迅速に取り付けが可能である。しかも、本体12の上端部12bは、棒状部材132で形成された取り付け部材にほぼ接触する。
【0044】
図8は、電源制御装置150を含む制御盤160を示す概略図である。図8に示すように、制御盤160において、作業者は、様々な機器の制御を行う作業をする必要がある。この作業の一つが、電源制御装置150による電源ユニットの操作である。
【0045】
図9に示すように、多数の電源ユニット152A等を有する電源制御装置150において、電源ユニット152Aに取り付けた作業札10は、確実に電源ユニット152Aに取り付けられたものであることが認識できる。
【0046】
このため、作業者が、誤って、例えば、電源ユニット152Aの電源を入れることを防止することができる。
【0047】
なお、作業札10の取り付け部材からの取り外しは、上述した取り付けとは逆の操作をすればよいから、取り外しも容易である。
【0048】
[第2実施形態]
図10及び図11を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。図10は、第2実施形態の作業札10Aを示す概略図である。図11は、円筒部材16Aの概略斜視図である。図12は、円筒部材16Aと、紐14の一部を示す概略図である。
【0049】
図10及び図11等に示すように、円筒部材16Aには、貫通孔16aを仕切る仕切り部16bが円筒部材16Aと一体に形成されている。
【0050】
このため、図10の状態から円筒部材16Aを紐14の上方に移動させても、図12に示すように、仕切り部16bが紐14の上端部14aの下に位置するから、円筒部材16Aが紐14と分離することはない。
【0051】
なお、本実施形態とは異なり、仕切り部16bは、円筒部材16Aの貫通孔16aの上端部又は下端部の一部に形成するようにしてもよい。
【0052】
本実施の形態によれば、作業札を、停電箇所に対応する電源ユニットを誤解を生じることなく表示し、かつ、迅速に取り付けることが可能である。
【0053】
なお、上述の各実施形態とは異なり、作業札10及び10Aは、電源ユニットだけではなくて、発電プラントにおける他の作業をしている箇所にも使用することができる。例えば、作業札10等を、蒸気等が通過する配管工事の際に、縁切りをしている箇所のバルブ等に配置することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】第1実施形態の作業札を示す概略斜視図である。
【図2】円筒部材の概略斜視図である。
【図3】作業札の使用方法の一例を示す概略図である。
【図4】作業札の使用方法の一例を示す概略図である。
【図5】作業札の使用方法の一例を示す概略図である。
【図6】作業札の使用方法の一例を示す概略図である。
【図7】作業札の使用方法の一例を示す概略図である。
【図8】電源制御装置を含む制御盤を示す概略図である。
【図9】作業札の使用方法の一例を示す概略図である。
【図10】第2実施形態の作業札を示す概略斜視図である。
【図11】円筒部材の概略斜視図である。
【図12】円筒部材と、紐の一部を示す概略図である。
【図13】従来例を示す図である。
【図14】従来例を示す図である。
【図15】従来例を示す図である。
【図16】従来例を示す図である。
【符号の説明】
【0055】
10,10A・・・作業札、12・・・本体、14・・・紐、16,16A・・・円筒部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電プラントにおける電気工事の作業対象箇所への電力供給を制御する電源ユニットに配置するための作業札であって、
作業中であることを表示する本体と、
前記本体を前記電源ユニットに取り付けるための輪状の紐と、
前記紐を輪状のまま摺動させつつ貫通させるための貫通孔が形成されており、前記貫通孔によって任意の位置で前記紐を固定することができる円筒部材と、を有することを特徴とする作業札。
【請求項2】
前記円筒部材は、軟質ゴムで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の作業札。
【請求項3】
前記円筒部材には、前記紐が抜けることを防止するために前記貫通孔を仕切る仕切り部が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の作業札。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の作業札が複数配置された電源制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の電源制御装置を有する発電プラント。
【請求項1】
発電プラントにおける電気工事の作業対象箇所への電力供給を制御する電源ユニットに配置するための作業札であって、
作業中であることを表示する本体と、
前記本体を前記電源ユニットに取り付けるための輪状の紐と、
前記紐を輪状のまま摺動させつつ貫通させるための貫通孔が形成されており、前記貫通孔によって任意の位置で前記紐を固定することができる円筒部材と、を有することを特徴とする作業札。
【請求項2】
前記円筒部材は、軟質ゴムで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の作業札。
【請求項3】
前記円筒部材には、前記紐が抜けることを防止するために前記貫通孔を仕切る仕切り部が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の作業札。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の作業札が複数配置された電源制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の電源制御装置を有する発電プラント。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2009−26002(P2009−26002A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−187494(P2007−187494)
【出願日】平成19年7月18日(2007.7.18)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月18日(2007.7.18)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]