作業機のパイプ状保持具
【課題】動力付き作業機の左右方向及び上下方向の振動抑制効果を維持しつつ、前後方向の振動を抑制する。
【解決手段】パイプ状保持具100の保持具本体102は前方突起110と後端突起112とを有し、この間に防振ゴム104が固着されている。前方突起110と後端突起112とは長手方向に伸びる畝114によって連結され、この畝114は周方向に複数形成されて、畝114と前方突起110と後端突起112とで保持具本体102の周面に複数の凹所116が形成されている。操作桿130の相対的な前後振動は、前方突起110及び後端突起112によって防振ゴム104に対して圧縮力として作用する。
【解決手段】パイプ状保持具100の保持具本体102は前方突起110と後端突起112とを有し、この間に防振ゴム104が固着されている。前方突起110と後端突起112とは長手方向に伸びる畝114によって連結され、この畝114は周方向に複数形成されて、畝114と前方突起110と後端突起112とで保持具本体102の周面に複数の凹所116が形成されている。操作桿130の相対的な前後振動は、前方突起110及び後端突起112によって防振ゴム104に対して圧縮力として作用する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動源を備えた作業機に関し、より詳しくは、駆動源と動力伝達部材との間の脱着機構を備えた作業機において、動力伝達部材を包囲する外桿をハウジングに脱着可能に固定するパイプ状保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
駆動源を備えた作業機の典型例として刈り払い機が知られている。刈り払い機は、典型的には2サイクル空冷エンジンを備え、このエンジンの出力は長尺の操作桿内の動力伝達部材を介して刃物に伝達され、この刃物が軸回転することにより草刈りが実行される。
【0003】
特許文献1に開示のように、操作桿は駆動源のハウジング(カバー部材)に脱着可能に連結されている。具体的に説明すると、エンジンの動力は遠心クラッチを介して出力される。この遠心クラッチを包囲するハウジングに操作桿が脱着自在に連結される。この連結部の構造について説明すると、ハウジングは前方に向けて突出し且つ開放した取付筒部を有し、この取付筒部に固定されているパイプ状保持具に対して操作桿の後端部を挿入すると共に、パイプ状保持具で操作桿の後端部を固定することで、操作桿がハウジングに固定される。もちろん、操作桿の中に位置している動力伝達部材つまり回転軸は、操作桿とハウジングに固定することで、遠心クラッチの出力軸に機械的に連結された状態になる。
【0004】
特許文献1に開示の連結構造を、この明細書に添付の図8に示す。図中参照符号1はハウジングを示し、参照符号2は、動力伝達部材を包囲する外桿つまり操作桿を示す。操作桿2とハウジング1との間には防振ゴム3が介装されている。この防振ゴム3はパイプ状保持具4の一部を構成している。
【0005】
パイプ状保持具4は、筒状の保持具本体5を有し、この保持具本体5の先端部のネジ孔6に螺合したボルト(図示せず)を締め付けることによりパイプ状保持具4の直径を狭め、これにより操作桿2の後端部が固定される。防振ゴム3は保持具本体5に固着されている。具体的には、保持具本体5を成形型の中に入れて、この成形型に溶融したゴムを充填することで防振ゴム3が成形される。
【0006】
図9、図10は従来のパイプ状保持具4の保持具本体5と防振ゴム3を示す。この図9、図10を参照して、防振ゴム3は、保持具本体5の前端部を除く部分に位置しており、保持具本体5の後端面を覆う大きさを有している。図8〜図10の参照符号7は抜け止め円周リブを示し、この抜け止め円周リブ7は保持具本体5の長手方向中間部分に形成されている。
【0007】
図8に戻って、ハウジング1は前方に向けて突出した取付筒部8を有し、この取付筒部8は前方に向けて開放されている。上述したパイプ状保持具4は取付筒部8に挿入される。取付筒部8はその内周面が後方つまり深部に向けて縮径したテーパ面で構成されており、上述したパイプ状保持具4の防振ゴム3は、取付筒部8の内周面と相補的な大きさの先細りの形状を有している。パイプ状保持具4を取付筒部8に装着したときに、防振ゴム3の外周面は取付筒部8の内周面と密接した状態になる。
【0008】
取付筒部8の先端部にはその内周面に周方向に延びる溝9が形成されている。ハウジング1の取付筒部8にパイプ状保持具4を装着した後に止め輪10を円周溝9に取り付けることでパイプ状保持具4が取付筒部8に固定され、この止め輪10によってパイプ状保持具4が取付筒部8から抜け出すのが規制される。
【0009】
上述した防振ゴム3を操作桿2とハウジング1との間に介装することによりエンジン(図示せず)の振動が、動力伝達部材を包囲する外桿つまり操作桿2に伝達するのを抑制し、また、操作桿2の振動がハウジング1に伝達するのを抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平9−303354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述した図9、図10の従来のパイプ状保持具4を採用した肩掛け式刈り払い機の振動特性を図11〜図13に示す。図11〜図13は、意図的に回転刈刃に1.3g(グラム)のアンバランス質量を装着して行ったときに操作桿2に取り付けられているグリップ部つまり作業者が手で把持して操作桿2を操作する部位で振動を計測したデータを示す。図11は「左右方向」の振動を示し、「左右方向」とは操作桿2を横方向に振る方向を意味する。図12は「上下方向」の振動を示し、「上下方向」とは作業者が草刈りを行うときの操作桿2の上下方向を意味する。図13は「前後方向」の振動を示し、「前後方向」とは操作桿2の長手方向を意味する。
【0012】
図11〜図13から分かることは、左右方向及び上下方向の振動に関してはエンジンの低回転領域から高回転領域まで良好な抑制結果が得られているが、前後方向の振動に関して高回転領域で大きくなっており、この点に関して改善の余地がある。
【0013】
前述した図9を参照して、防振ゴム3は、共に硬質の保持具本体5と取付筒部8(ハウジング1)との間に挟まれた状態にある。このことから防振ゴム3に径方向の圧縮力が作用する構造となっている。つまり操作桿2の上下方向及び左右方向の振動に対して防振ゴム3が有効に機能して振動を抑制することができる。
【0014】
他方、防振ゴム3の前後方向(長手方向)について検討してみると、操作桿2及び取付筒部8の前後方向の振動が防振ゴム3を剪断する方向に作用するため、この図9、図10の従来の構造では防振ゴム3の前後方向の固有振動数が低下する傾向になる。このことが上述した結果(図13)となっている。つまりエンジン高回転領域の振動周波数に対して防振ゴム3が共振現象を生じた結果が図13の実験例であると言うことができる。
【0015】
この問題に対して防振ゴム3の硬度を高める改善策を講じてみたところ、確かに前後方向の振動において共振の発生を抑えることができたが、左右方向及び上下方向の振動に対するバネ定数が最適値よりも高くなることに伴って防振ゴム3による振動抑制効果が悪化した。
【0016】
本発明の目的は、動力付き作業機の左右方向及び上下方向の振動抑制効果を維持しつつ、前後方向の振動を抑制することのできるパイプ状保持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の技術的課題は、本発明によれば、
ハウジングに形成された円筒状の取付筒部に装着され、作業機の外桿が脱着可能に取り付けられるパイプ状保持具であって、
前記外桿の後端部を受け入れて脱着可能に固定する保持具本体と、
該保持具本体の周囲に固着された防振ゴムと、
前記保持具本体を前記ハウジングの取付筒部に嵌挿した後に該取付筒部の円周溝にスナップ嵌めされる止め輪とを有し、
前記保持具本体には、前記防振ゴムの前端部に位置する前方突起と、前記防振ゴムの後端部に位置する後端突起と、前記前方突起と前記後端突起との間に亘って長手方向に伸びてこれら前方突起と後端突起とを連結する畝とを有することを特徴とする作業機のパイプ状保持具を提供することにより達成される。
【0018】
本発明によれば、ハウジングの取付筒部と外桿との相対的な前後方向の振動に関して、前方突起と後端突起とで防振ゴムに前後方向に圧縮力を作用させることができる。そして、これにより防振ゴムの固有振動数の低下を抑制することができるため、硬質の防振ゴムを採用することなく前後方向の振動に関する共振の発生を抑制することができる。なお、左右、上下方向の振動に関しては従来と同様に圧縮力が作用するため防振ゴムの振動抑制効果を発揮させることができる。したがって、本発明によれば、左右、上下、前後の各方向の振動を防振ゴムによって抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施例のパイプ状保持具を斜め後方から見た斜視図である。
【図2】図1のパイプ状保持具に含まれる防振ゴムの一部を切り欠いた図である。
【図3】実施例のパイプ状保持具を採用した肩掛け式刈り払い機の遠心クラッチを包囲するハウジングと、このハウジングの取付筒部に組み込まれる保持具本体、スペーサリング、止め輪の分解斜視図である。
【図4】実施例のパイプ状保持具を使って刈り払い機の操作桿をハウジングに連結した状態の断面図である。
【図5】実施例のパイプ状保持具を採用した刈り払い機のグリップ部での左右方向の振動特性を示す図である。
【図6】実施例のパイプ状保持具を採用した刈り払い機のグリップ部での上下方向の振動特性を示す図である。
【図7】実施例のパイプ状保持具を採用した刈り払い機のグリップ部での前後方向の振動特性を示す図である。
【図8】従来のパイプ状保持具を採用した肩掛け式刈り払い機の遠心クラッチを包囲するハウジングと、このハウジングの取付筒部に組み込まれる保持具本体、止め輪の分解斜視図である。
【図9】従来のパイプ状保持具に含まれる防振ゴムの一部を切り欠いた図である。
【図10】図9のパイプ状保持具を斜め後方から見た斜視図である。
【図11】従来のパイプ状保持具を採用した刈り払い機のグリップ部での左右方向の振動特性を示す図である。
【図12】従来のパイプ状保持具を採用した刈り払い機のグリップ部での上下方向の振動特性を示す図である。
【図13】従来のパイプ状保持具を採用した刈り払い機のグリップ部での前後方向の振動特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0020】
以下に、添付の図面に基づいて本発明の好ましい実施例を説明する。
【0021】
図1は実施例のパイプ状保持具100を示す。パイプ状保持具100は従来と同様に、保持具本体102と防振ゴム104とで構成され、防振ゴム104は保持具本体102の周囲に固着されている。すなわち、防振ゴム104は保持具本体102を入れた成形型(図示せず)の中に溶融した合成ゴム材料を充填することで成形されている。保持具本体102はアルミニウム合金の成型品である。
【0022】
図2は、防振ゴム104の一部を切り欠いて図示したパイプ状保持具100を示す。保持具本体102は、従来と同様に長手方向の中間部分に抜け止め円周リブ106を有しているが、この抜け止め円周リブ106は必ずしも必須ではなく省いても良い。保持具本体102は、従来と同様に、その先端部に締め付けネジ部108を有し、また、この先端部を除く部分に上述した防振ゴム104が配置されている。
【0023】
保持具本体102は、防振ゴム104の前端つまり刈刃(図示せず)と後端つまりエンジン(図示せず)とに径方向外方に向けて突出した突起110、112を有し、この突起110、112は円周方向に連続して延びている。また、保持具本体102はその外周面に隆起し且つ長手方向に延びる畝114を有し、この畝114は周方向に複数形成され、各畝114は前方突起110と後端突起112に連結されている。
【0024】
実施例のパイプ状保持具100は、前方突起110は半径方向に大きく突出して防振ゴム104の外周面の近くまで延びる円周フランジで構成され、他方、後端突起112は畝114と同じ高さの円周リブで構成され、この後端突起112と畝114と抜け止め円周リブ106とで平面視矩形の凹所116が形成されている。この凹所116は周方向に複数存在していると理解されたい。もちろん、防振ゴム104は凹所116を満たしているのは言うまでもない。
【0025】
図3は、肩掛け式刈り払い機の遠心クラッチを包囲するハウジング120と、ハウジング120の取付筒部122に組み付けられる実施例のパイプ状保持具100との分解斜視図である。図3を参照して、ハウジング120はマグネシウム合金製であり、このハウジング120は、従来と同様に、前方に向けて開放した取付筒部122を有する。従来と同様に、パイプ保持具100は取付筒部122に嵌挿され、そして取付筒部122の先端部の円周溝125(図4)にスナップ嵌めされる止め輪124を設置することによりパイプ保持具100が固定される。好ましくは、止め輪124とパイプ保持具100との間に脱着可能なスペーサリング126が介装され、このスペーサリング126によってパイプ保持具100は長手方向つまり前後方向に若干加圧した状態で変位不能に位置固定される。スペーサリング126を止め輪124とパイプ保持具100との間に介装させることにより上述した前方突起110つまり前方円周フランジと止め輪124が直接的に接した状態となるのを回避し、前方円周フランジ110が止め輪124と擦れ合うことによる摩耗を防止することができる。
【0026】
図4はハウジング120にパイプ状保持具100を組み付けた状態を示し、従来例を示す図8に対応する図である。実施例に含まれる防振ゴム104は、好ましくは、前方円周フランジ110の前方に、防振ゴム104の前後方向の固有振動数に影響を及ぼさない程度の僅かな厚みで存在しているのがよい。すなわち、防振ゴム104は前方円周フランジ110を包囲した状態であるのがよい。前方円周フランジ110の前方に薄くゴム材料を位置させることにより前方円周フランジ110が止め輪124及びスペーサリング126と擦れ合うのを回避し、これにより前方円周フランジ110が摩耗するのを防止することができる。変形例として、前方円周フランジ110の前面に耐摩耗性又は摩擦係数の小さな保護膜をコーティングしてもよい。
【0027】
後端突起112についても同様に、ハウジング120との擦れ合いを抑制するために、後端突起112の後方に薄くゴム材料を位置させるのが好ましい(図1、図2)。変形例として、後端突起112を露出させ、この後端突起112をハウジング120と当接させると共に、防振ゴム104の後端面をハウジング120の壁面から離間させるようにしてもよい。この場合に、後端突起112の後面に耐摩耗性又は摩擦係数の小さな保護膜をコーティングしてもよい。
【0028】
前述したハウジング120の取付筒部122は従来と同様に、その内周面が後方つまり深部に向けて縮径したテーパ面で構成されており、上述した防振ゴム104は、取付筒部122の内周面と相補的な大きさの先細りの形状を有している。パイプ状保持具100を取付筒部122に装着したときに、防振ゴム104の外周面は取付筒部122の内周面と密接した状態になる。
【0029】
実施例のパイプ状保持具100は従来と同様に、保持具本体102の先端部のネジ孔128に螺合したボルト(図示せず)を締め付けることにより外桿つまり操作桿130の後端部が固定される。
【0030】
実施例のパイプ状保持具100によれば、操作桿130の相対的な前後振動は、この振動方向に対して鉛直方向に延びる前方突起110及び後端突起112によって防振ゴム104に対して圧縮力として作用する。したがって、外桿つまり操作桿130の相対的な前後振動に対して防振ゴム104の固有振動数の低下を阻止することができる。なお、操作桿130の相対的な上下、左右の振動に対して防振ゴム104の特性は従来と同じである。
【0031】
この効果を確認するために、先に図11〜図13を参照して説明した従来例の試験と同じ条件つまり実施例のパイプ状保持具100を装着した刈り払い機の回転刈刃に1.3g(グラム)のアンバランス質量を装着して操作桿130のグリップ部の振動を計測した。その計測データ(実線)を図5〜図7に示す。この図5〜図7には、対比のために先の図11〜図13の従来例の計測データを破線で示してある。この図5〜図7から分かることは、左右方向及び上下方向の振動(図5、図6)に関しては従来と同様の低回転領域から高回転領域まで良好な抑制結果が得られている。前後方向の振動(図7)に関して高回転領域でも良好な抑制結果が得られていることに注目されたい。このことは、実施例のパイプ状保持具100の保持具本体102に前方突起110と後方突起112を設けることで、前後方向振動に対して共振を発生させることなく防振ゴム104が効果的に振動抑制機能を発揮していることの証である。
【0032】
したがって、実施例のパイプ状保持具100によれば、外桿つまり操作桿130の上下方向及び左右方向の相対的な振動だけでなく前後方向の操作桿130の相対的な振動に対しても防振ゴム104の本来の振動吸収能力によって、この前後振動を効果的に抑制することができる。
【0033】
以上、本発明の実施例を説明したが、保持具本体102の後端に関し、上記の実施例では、後端突起112が防振ゴム104で包囲されているが、この後端突起112を露出させてハウジング120と当接させると共に、防振ゴム104の後端面をハウジング120の壁面から離間させるようにしてもよい。
【0034】
また、後端突起112の高さ寸法も前方円周フランジ110のように防振ゴム104の外周面に近い部分まで半径方向に延びるフランジで構成してもよい。この場合には、前述した凹所116を省いてもよいが、このフランジで構成される後端突起112と前方突起110とを畝114のような長手方向に延びる隆起部で連結するのがよい。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は肩掛け式の刈り払い機や特開2009−235900号公報に見られる溝切り機つまり水田に溝を形成するための作業機に好適に適用される。
【符号の説明】
【0036】
100 パイプ状保持具
102 保持具本体
104 防振ゴム
106 抜け止め円周リブ
110 前方突起(前方円周フランジ)
112 後端突起
114 畝
116 凹所
120 ハウジング(遠心クラッチ)
122 取付筒部
124 止め輪(スナップリング)
126 スペーサリング
130 操作桿(外桿)
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動源を備えた作業機に関し、より詳しくは、駆動源と動力伝達部材との間の脱着機構を備えた作業機において、動力伝達部材を包囲する外桿をハウジングに脱着可能に固定するパイプ状保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
駆動源を備えた作業機の典型例として刈り払い機が知られている。刈り払い機は、典型的には2サイクル空冷エンジンを備え、このエンジンの出力は長尺の操作桿内の動力伝達部材を介して刃物に伝達され、この刃物が軸回転することにより草刈りが実行される。
【0003】
特許文献1に開示のように、操作桿は駆動源のハウジング(カバー部材)に脱着可能に連結されている。具体的に説明すると、エンジンの動力は遠心クラッチを介して出力される。この遠心クラッチを包囲するハウジングに操作桿が脱着自在に連結される。この連結部の構造について説明すると、ハウジングは前方に向けて突出し且つ開放した取付筒部を有し、この取付筒部に固定されているパイプ状保持具に対して操作桿の後端部を挿入すると共に、パイプ状保持具で操作桿の後端部を固定することで、操作桿がハウジングに固定される。もちろん、操作桿の中に位置している動力伝達部材つまり回転軸は、操作桿とハウジングに固定することで、遠心クラッチの出力軸に機械的に連結された状態になる。
【0004】
特許文献1に開示の連結構造を、この明細書に添付の図8に示す。図中参照符号1はハウジングを示し、参照符号2は、動力伝達部材を包囲する外桿つまり操作桿を示す。操作桿2とハウジング1との間には防振ゴム3が介装されている。この防振ゴム3はパイプ状保持具4の一部を構成している。
【0005】
パイプ状保持具4は、筒状の保持具本体5を有し、この保持具本体5の先端部のネジ孔6に螺合したボルト(図示せず)を締め付けることによりパイプ状保持具4の直径を狭め、これにより操作桿2の後端部が固定される。防振ゴム3は保持具本体5に固着されている。具体的には、保持具本体5を成形型の中に入れて、この成形型に溶融したゴムを充填することで防振ゴム3が成形される。
【0006】
図9、図10は従来のパイプ状保持具4の保持具本体5と防振ゴム3を示す。この図9、図10を参照して、防振ゴム3は、保持具本体5の前端部を除く部分に位置しており、保持具本体5の後端面を覆う大きさを有している。図8〜図10の参照符号7は抜け止め円周リブを示し、この抜け止め円周リブ7は保持具本体5の長手方向中間部分に形成されている。
【0007】
図8に戻って、ハウジング1は前方に向けて突出した取付筒部8を有し、この取付筒部8は前方に向けて開放されている。上述したパイプ状保持具4は取付筒部8に挿入される。取付筒部8はその内周面が後方つまり深部に向けて縮径したテーパ面で構成されており、上述したパイプ状保持具4の防振ゴム3は、取付筒部8の内周面と相補的な大きさの先細りの形状を有している。パイプ状保持具4を取付筒部8に装着したときに、防振ゴム3の外周面は取付筒部8の内周面と密接した状態になる。
【0008】
取付筒部8の先端部にはその内周面に周方向に延びる溝9が形成されている。ハウジング1の取付筒部8にパイプ状保持具4を装着した後に止め輪10を円周溝9に取り付けることでパイプ状保持具4が取付筒部8に固定され、この止め輪10によってパイプ状保持具4が取付筒部8から抜け出すのが規制される。
【0009】
上述した防振ゴム3を操作桿2とハウジング1との間に介装することによりエンジン(図示せず)の振動が、動力伝達部材を包囲する外桿つまり操作桿2に伝達するのを抑制し、また、操作桿2の振動がハウジング1に伝達するのを抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平9−303354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述した図9、図10の従来のパイプ状保持具4を採用した肩掛け式刈り払い機の振動特性を図11〜図13に示す。図11〜図13は、意図的に回転刈刃に1.3g(グラム)のアンバランス質量を装着して行ったときに操作桿2に取り付けられているグリップ部つまり作業者が手で把持して操作桿2を操作する部位で振動を計測したデータを示す。図11は「左右方向」の振動を示し、「左右方向」とは操作桿2を横方向に振る方向を意味する。図12は「上下方向」の振動を示し、「上下方向」とは作業者が草刈りを行うときの操作桿2の上下方向を意味する。図13は「前後方向」の振動を示し、「前後方向」とは操作桿2の長手方向を意味する。
【0012】
図11〜図13から分かることは、左右方向及び上下方向の振動に関してはエンジンの低回転領域から高回転領域まで良好な抑制結果が得られているが、前後方向の振動に関して高回転領域で大きくなっており、この点に関して改善の余地がある。
【0013】
前述した図9を参照して、防振ゴム3は、共に硬質の保持具本体5と取付筒部8(ハウジング1)との間に挟まれた状態にある。このことから防振ゴム3に径方向の圧縮力が作用する構造となっている。つまり操作桿2の上下方向及び左右方向の振動に対して防振ゴム3が有効に機能して振動を抑制することができる。
【0014】
他方、防振ゴム3の前後方向(長手方向)について検討してみると、操作桿2及び取付筒部8の前後方向の振動が防振ゴム3を剪断する方向に作用するため、この図9、図10の従来の構造では防振ゴム3の前後方向の固有振動数が低下する傾向になる。このことが上述した結果(図13)となっている。つまりエンジン高回転領域の振動周波数に対して防振ゴム3が共振現象を生じた結果が図13の実験例であると言うことができる。
【0015】
この問題に対して防振ゴム3の硬度を高める改善策を講じてみたところ、確かに前後方向の振動において共振の発生を抑えることができたが、左右方向及び上下方向の振動に対するバネ定数が最適値よりも高くなることに伴って防振ゴム3による振動抑制効果が悪化した。
【0016】
本発明の目的は、動力付き作業機の左右方向及び上下方向の振動抑制効果を維持しつつ、前後方向の振動を抑制することのできるパイプ状保持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の技術的課題は、本発明によれば、
ハウジングに形成された円筒状の取付筒部に装着され、作業機の外桿が脱着可能に取り付けられるパイプ状保持具であって、
前記外桿の後端部を受け入れて脱着可能に固定する保持具本体と、
該保持具本体の周囲に固着された防振ゴムと、
前記保持具本体を前記ハウジングの取付筒部に嵌挿した後に該取付筒部の円周溝にスナップ嵌めされる止め輪とを有し、
前記保持具本体には、前記防振ゴムの前端部に位置する前方突起と、前記防振ゴムの後端部に位置する後端突起と、前記前方突起と前記後端突起との間に亘って長手方向に伸びてこれら前方突起と後端突起とを連結する畝とを有することを特徴とする作業機のパイプ状保持具を提供することにより達成される。
【0018】
本発明によれば、ハウジングの取付筒部と外桿との相対的な前後方向の振動に関して、前方突起と後端突起とで防振ゴムに前後方向に圧縮力を作用させることができる。そして、これにより防振ゴムの固有振動数の低下を抑制することができるため、硬質の防振ゴムを採用することなく前後方向の振動に関する共振の発生を抑制することができる。なお、左右、上下方向の振動に関しては従来と同様に圧縮力が作用するため防振ゴムの振動抑制効果を発揮させることができる。したがって、本発明によれば、左右、上下、前後の各方向の振動を防振ゴムによって抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施例のパイプ状保持具を斜め後方から見た斜視図である。
【図2】図1のパイプ状保持具に含まれる防振ゴムの一部を切り欠いた図である。
【図3】実施例のパイプ状保持具を採用した肩掛け式刈り払い機の遠心クラッチを包囲するハウジングと、このハウジングの取付筒部に組み込まれる保持具本体、スペーサリング、止め輪の分解斜視図である。
【図4】実施例のパイプ状保持具を使って刈り払い機の操作桿をハウジングに連結した状態の断面図である。
【図5】実施例のパイプ状保持具を採用した刈り払い機のグリップ部での左右方向の振動特性を示す図である。
【図6】実施例のパイプ状保持具を採用した刈り払い機のグリップ部での上下方向の振動特性を示す図である。
【図7】実施例のパイプ状保持具を採用した刈り払い機のグリップ部での前後方向の振動特性を示す図である。
【図8】従来のパイプ状保持具を採用した肩掛け式刈り払い機の遠心クラッチを包囲するハウジングと、このハウジングの取付筒部に組み込まれる保持具本体、止め輪の分解斜視図である。
【図9】従来のパイプ状保持具に含まれる防振ゴムの一部を切り欠いた図である。
【図10】図9のパイプ状保持具を斜め後方から見た斜視図である。
【図11】従来のパイプ状保持具を採用した刈り払い機のグリップ部での左右方向の振動特性を示す図である。
【図12】従来のパイプ状保持具を採用した刈り払い機のグリップ部での上下方向の振動特性を示す図である。
【図13】従来のパイプ状保持具を採用した刈り払い機のグリップ部での前後方向の振動特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0020】
以下に、添付の図面に基づいて本発明の好ましい実施例を説明する。
【0021】
図1は実施例のパイプ状保持具100を示す。パイプ状保持具100は従来と同様に、保持具本体102と防振ゴム104とで構成され、防振ゴム104は保持具本体102の周囲に固着されている。すなわち、防振ゴム104は保持具本体102を入れた成形型(図示せず)の中に溶融した合成ゴム材料を充填することで成形されている。保持具本体102はアルミニウム合金の成型品である。
【0022】
図2は、防振ゴム104の一部を切り欠いて図示したパイプ状保持具100を示す。保持具本体102は、従来と同様に長手方向の中間部分に抜け止め円周リブ106を有しているが、この抜け止め円周リブ106は必ずしも必須ではなく省いても良い。保持具本体102は、従来と同様に、その先端部に締め付けネジ部108を有し、また、この先端部を除く部分に上述した防振ゴム104が配置されている。
【0023】
保持具本体102は、防振ゴム104の前端つまり刈刃(図示せず)と後端つまりエンジン(図示せず)とに径方向外方に向けて突出した突起110、112を有し、この突起110、112は円周方向に連続して延びている。また、保持具本体102はその外周面に隆起し且つ長手方向に延びる畝114を有し、この畝114は周方向に複数形成され、各畝114は前方突起110と後端突起112に連結されている。
【0024】
実施例のパイプ状保持具100は、前方突起110は半径方向に大きく突出して防振ゴム104の外周面の近くまで延びる円周フランジで構成され、他方、後端突起112は畝114と同じ高さの円周リブで構成され、この後端突起112と畝114と抜け止め円周リブ106とで平面視矩形の凹所116が形成されている。この凹所116は周方向に複数存在していると理解されたい。もちろん、防振ゴム104は凹所116を満たしているのは言うまでもない。
【0025】
図3は、肩掛け式刈り払い機の遠心クラッチを包囲するハウジング120と、ハウジング120の取付筒部122に組み付けられる実施例のパイプ状保持具100との分解斜視図である。図3を参照して、ハウジング120はマグネシウム合金製であり、このハウジング120は、従来と同様に、前方に向けて開放した取付筒部122を有する。従来と同様に、パイプ保持具100は取付筒部122に嵌挿され、そして取付筒部122の先端部の円周溝125(図4)にスナップ嵌めされる止め輪124を設置することによりパイプ保持具100が固定される。好ましくは、止め輪124とパイプ保持具100との間に脱着可能なスペーサリング126が介装され、このスペーサリング126によってパイプ保持具100は長手方向つまり前後方向に若干加圧した状態で変位不能に位置固定される。スペーサリング126を止め輪124とパイプ保持具100との間に介装させることにより上述した前方突起110つまり前方円周フランジと止め輪124が直接的に接した状態となるのを回避し、前方円周フランジ110が止め輪124と擦れ合うことによる摩耗を防止することができる。
【0026】
図4はハウジング120にパイプ状保持具100を組み付けた状態を示し、従来例を示す図8に対応する図である。実施例に含まれる防振ゴム104は、好ましくは、前方円周フランジ110の前方に、防振ゴム104の前後方向の固有振動数に影響を及ぼさない程度の僅かな厚みで存在しているのがよい。すなわち、防振ゴム104は前方円周フランジ110を包囲した状態であるのがよい。前方円周フランジ110の前方に薄くゴム材料を位置させることにより前方円周フランジ110が止め輪124及びスペーサリング126と擦れ合うのを回避し、これにより前方円周フランジ110が摩耗するのを防止することができる。変形例として、前方円周フランジ110の前面に耐摩耗性又は摩擦係数の小さな保護膜をコーティングしてもよい。
【0027】
後端突起112についても同様に、ハウジング120との擦れ合いを抑制するために、後端突起112の後方に薄くゴム材料を位置させるのが好ましい(図1、図2)。変形例として、後端突起112を露出させ、この後端突起112をハウジング120と当接させると共に、防振ゴム104の後端面をハウジング120の壁面から離間させるようにしてもよい。この場合に、後端突起112の後面に耐摩耗性又は摩擦係数の小さな保護膜をコーティングしてもよい。
【0028】
前述したハウジング120の取付筒部122は従来と同様に、その内周面が後方つまり深部に向けて縮径したテーパ面で構成されており、上述した防振ゴム104は、取付筒部122の内周面と相補的な大きさの先細りの形状を有している。パイプ状保持具100を取付筒部122に装着したときに、防振ゴム104の外周面は取付筒部122の内周面と密接した状態になる。
【0029】
実施例のパイプ状保持具100は従来と同様に、保持具本体102の先端部のネジ孔128に螺合したボルト(図示せず)を締め付けることにより外桿つまり操作桿130の後端部が固定される。
【0030】
実施例のパイプ状保持具100によれば、操作桿130の相対的な前後振動は、この振動方向に対して鉛直方向に延びる前方突起110及び後端突起112によって防振ゴム104に対して圧縮力として作用する。したがって、外桿つまり操作桿130の相対的な前後振動に対して防振ゴム104の固有振動数の低下を阻止することができる。なお、操作桿130の相対的な上下、左右の振動に対して防振ゴム104の特性は従来と同じである。
【0031】
この効果を確認するために、先に図11〜図13を参照して説明した従来例の試験と同じ条件つまり実施例のパイプ状保持具100を装着した刈り払い機の回転刈刃に1.3g(グラム)のアンバランス質量を装着して操作桿130のグリップ部の振動を計測した。その計測データ(実線)を図5〜図7に示す。この図5〜図7には、対比のために先の図11〜図13の従来例の計測データを破線で示してある。この図5〜図7から分かることは、左右方向及び上下方向の振動(図5、図6)に関しては従来と同様の低回転領域から高回転領域まで良好な抑制結果が得られている。前後方向の振動(図7)に関して高回転領域でも良好な抑制結果が得られていることに注目されたい。このことは、実施例のパイプ状保持具100の保持具本体102に前方突起110と後方突起112を設けることで、前後方向振動に対して共振を発生させることなく防振ゴム104が効果的に振動抑制機能を発揮していることの証である。
【0032】
したがって、実施例のパイプ状保持具100によれば、外桿つまり操作桿130の上下方向及び左右方向の相対的な振動だけでなく前後方向の操作桿130の相対的な振動に対しても防振ゴム104の本来の振動吸収能力によって、この前後振動を効果的に抑制することができる。
【0033】
以上、本発明の実施例を説明したが、保持具本体102の後端に関し、上記の実施例では、後端突起112が防振ゴム104で包囲されているが、この後端突起112を露出させてハウジング120と当接させると共に、防振ゴム104の後端面をハウジング120の壁面から離間させるようにしてもよい。
【0034】
また、後端突起112の高さ寸法も前方円周フランジ110のように防振ゴム104の外周面に近い部分まで半径方向に延びるフランジで構成してもよい。この場合には、前述した凹所116を省いてもよいが、このフランジで構成される後端突起112と前方突起110とを畝114のような長手方向に延びる隆起部で連結するのがよい。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は肩掛け式の刈り払い機や特開2009−235900号公報に見られる溝切り機つまり水田に溝を形成するための作業機に好適に適用される。
【符号の説明】
【0036】
100 パイプ状保持具
102 保持具本体
104 防振ゴム
106 抜け止め円周リブ
110 前方突起(前方円周フランジ)
112 後端突起
114 畝
116 凹所
120 ハウジング(遠心クラッチ)
122 取付筒部
124 止め輪(スナップリング)
126 スペーサリング
130 操作桿(外桿)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングに形成された円筒状の取付筒部に装着され、作業機の外桿が脱着可能に取り付けられるパイプ状保持具であって、
前記外桿の後端部を受け入れて脱着可能に固定する保持具本体と、
該保持具本体の周囲に固着された防振ゴムと、
前記保持具本体を前記ハウジングの取付筒部に嵌挿した後に該取付筒部の円周溝にスナップ嵌めされる止め輪とを有し、
前記保持具本体には、前記防振ゴムの前端部に位置する前方突起と、前記防振ゴムの後端部に位置する後端突起と、前記前方突起と前記後端突起との間に亘って長手方向に伸びてこれら前方突起と後端突起とを連結する畝とを有することを特徴とする作業機のパイプ状保持具。
【請求項2】
前記前方突起が半径方向に且つ円周方向に延びる円周フランジで構成されている、請求項1に記載の作業機のパイプ状保持具。
【請求項3】
前記前方突起と前記止め輪との間にスペーサリングが介装されている、請求項1又は2に記載の作業機のパイプ状保持具。
【請求項1】
ハウジングに形成された円筒状の取付筒部に装着され、作業機の外桿が脱着可能に取り付けられるパイプ状保持具であって、
前記外桿の後端部を受け入れて脱着可能に固定する保持具本体と、
該保持具本体の周囲に固着された防振ゴムと、
前記保持具本体を前記ハウジングの取付筒部に嵌挿した後に該取付筒部の円周溝にスナップ嵌めされる止め輪とを有し、
前記保持具本体には、前記防振ゴムの前端部に位置する前方突起と、前記防振ゴムの後端部に位置する後端突起と、前記前方突起と前記後端突起との間に亘って長手方向に伸びてこれら前方突起と後端突起とを連結する畝とを有することを特徴とする作業機のパイプ状保持具。
【請求項2】
前記前方突起が半径方向に且つ円周方向に延びる円周フランジで構成されている、請求項1に記載の作業機のパイプ状保持具。
【請求項3】
前記前方突起と前記止め輪との間にスペーサリングが介装されている、請求項1又は2に記載の作業機のパイプ状保持具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−102734(P2013−102734A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249465(P2011−249465)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(509264132)株式会社やまびこ (65)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(509264132)株式会社やまびこ (65)
【Fターム(参考)】
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