作業機の整地ロータ
【課題】 横方向に幅広いロータを回転させて作業土壌面を代掻、乃至整地する整地ロータにあっては、このロータ軸方向に沿う幅方向の中間部を軸受けすることによって、軸受ホルダ(又はメタル)の左右両側部に、ロータの横幅方向の中間部にロータ回転側端縁が位置するため、このロータ回転側端縁によるわら屑の係合、掻き回しが行われ易く、軸受ホルダ部や、ロータ軸等おけるわら屑等の巻付が行われ易く、円滑な整地作用を維持し難い。
【解決手段】 回転して土壌面を掻き均すロータ1のロータ軸2を軸受けする軸受ホルダ3の下側に、前縁4をこの軸受ホルダ3の前側上部に位置させ、後縁5をこの軸受ホルダ3の後側下部に位置させ、かつ左右両側縁6をロータ1の回転側端縁7に接近させて、この軸受ホルダ3の下周部を覆って接地滑走するソリ板8を設ける。
【解決手段】 回転して土壌面を掻き均すロータ1のロータ軸2を軸受けする軸受ホルダ3の下側に、前縁4をこの軸受ホルダ3の前側上部に位置させ、後縁5をこの軸受ホルダ3の後側下部に位置させ、かつ左右両側縁6をロータ1の回転側端縁7に接近させて、この軸受ホルダ3の下周部を覆って接地滑走するソリ板8を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、作業地土壌面を均平整地する作業機の整地ロータに関し、苗植機の苗植付土壌面を代掻、乃至均平整地するために、苗植機等の作業機に整地ロータを装着する形態として利用できる。
【背景技術】
【0002】
車体のクローラ轍跡と、この後側に装着の苗植装置のフロートとの間に、該クローラ轍跡を均平する整地板を設け、又は耕耘爪ロータを設け、更にはこの耕耘爪ロータの前側にレーキを設ける等の技術(例えば、特許文献立1参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10ー52106号公報(第4頁、図3)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
横方向に幅広いロータを回転させて作業土壌面を代掻、乃至整地する整地ロータにあっては、このロータ軸方向に沿う幅方向の中間部を軸受けすることによって、簡単な軸受形態で、安定した整地性能を発揮させることが多い。このような構成では、軸受ホルダ(又はメタル)の左右両側部に、ロータの横幅方向の中間部にロータ回転側端縁が位置するため、このロータ回転側端縁によるわら屑の係合、掻き回しが行われ易く、軸受ホルダ部や、ロータ軸等おけるわら屑等の巻付が行われ易く、円滑な整地作用を維持し難いものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、回転して土壌面を掻き均すロータ1のロータ軸2を軸受けする軸受ホルダ3の下側に、前縁4をこの軸受ホルダ3の前側上部に位置させ、後縁5をこの軸受ホルダ3の後側下部に位置させ、かつ左右両側縁6をロータ1の回転側端縁7に接近させて、この軸受ホルダ3の下周部を覆って接地滑走するソリ板8を設けたことを特徴とする整地ロータの構成とする。ロータ1は、ロータ軸2を軸受ホルダ3に軸受けした状態で回転駆動して、このロータ1の回転接地する土壌面を代掻均平する。又、この軸受ホルダ3の直下に位置する土壌面は、この軸受ホルダ3の下側部を覆うソリ板8の滑走によって均平される。このソリ板8の前縁4は、軸受ホルダ3の前側面を覆うように上方傾斜に形成され、後縁5が、軸受ホルダ3お下周部を覆うように後方へ延出されて、しかも、このソリ板8の左右両側縁6が両側のロータ1の回転側端縁7に接近するように広く形成されて、この軸受ホルダ3の下周部を広く覆って、ロータ1の回転周面による土壌均平面と同一面に均平する。
【0006】
請求項2に記載の発明は、前記ロータ軸2には、前記軸受ホルダ3の外側周端縁9を覆う皿形状の湾曲縁10を形成した巻付防止板11を取付けて一体回転する。ロータ軸2周りのロータ1の回転による土壌面の均平作用と、軸受ホルダ3下周部のソリ板8による均平作用とによって、土壌面が広幅にわたって同平坦面に整地され、わら屑があると、この整地土壌面下に埋込む。このロータ1の回転外周面や、ソリ板8等に接するわら屑等は、これらロータ1の回転側端縁7と、ソリ板8の左右両側縁6との間隙が狭いため、ロータ軸2や、軸受ホルダ3等への浸入を防止される。又、例えばこの浸入するわら屑等があっても、軸受ホルダ3の外側周端縁9の外周部を巻付防止板11の湾曲縁10部で覆うため、わら屑等のロータ軸2への巻込を防止する。
【0007】
請求項3に記載の発明は、前記ソリ板8で覆った軸受ホルダ3、及びロータ1を、車体12の走行車輪13の轍跡部と、この轍跡部の土壌面を滑走して均平するフロート14の正面部との間に設ける。多条植形態の苗植機のように、車体12の走行車輪13の後方にフロート14を配置して、土壌面を均平しながら苗植付を行う形態にあっては、ソリ板8で覆った軸受ホルダ3、及びこの横側のロータ1を、この走行車輪13の轍跡に設けて、この走行車輪13によって踏荒す土壌面をロータ1の回転、及びソリ板8の滑走によって均平にして、フロート14による均平性をより向上させる。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明は、軸受ホルダ3は幅広いロータ軸2の中間部を軸受けして支持するため、ロータ1の整地抵抗を有効に支持して、安定したロータ1の整地性を維持することができ、支持形態を簡単化することができる。しかも、この軸受ホルダ3の下側に位置する土壌面は、この軸受ホルダ3の下周部を覆うソリ板8によって覆って均平するため、ロータ1全幅にわたって均平性を良好に維持することができ、ロータ1の回転側端縁7と、この間のソリ板8の左右両側縁6との間の間隙部を小さくして、わら屑等のロータ軸2や、軸受ホルダ3等への浸入や、巻込みを防止して、均平土壌面への埋込みを行わせて、均平性を高めることができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記のようにロータ1の回転による土壌面の整地作用において、軸受ホルダ3の外側周端縁9が、このロータ1と一体回転の巻付防止板11の湾曲縁10で覆われて、しかも、これらロータ1の回転側端縁7と、ソリ板8の左右両側縁6との接近による均平作用によって、わら屑等のロータ軸2や、軸受ホルダ3等への巻込みを有効に防止することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、多条植形態等の苗植機では、一部のロータ1を車体12の走行車輪13の轍跡に位置して配置し均平整地する形態となることが多いが、このとき前記のように軸受ホルダ3を、前部の走行車輪13の轍跡と、後側のフロート14の接地滑走部との間に配置しても、この轍跡の踏荒土壌面の均平作用を良好に行わせることができるため、この軸受ホルダ3の配置位置を制限しない。走行車輪13による踏荒された轍跡土壌面を、ロータ1、及びソリ板8によって均平して、わら屑等は、このソリ板8等によって均平土壌面下へ埋込んで、フロート14による整地を円滑に行わせ、苗植作用等を整然と行わせることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】ロータの軸受ホルダ部の側面図と、背面図。
【図2】一部別例を示す巻付防止板を設ける場合の軸受けホルダ部の分解平面図。
【図3】苗植機の側面図。
【図4】その平面図。
【図5】そのロータ部の平面配置図。
【図6】その伝動部の側面図。
【図7】その伝動部の平面図。
【図8】その掻落板を取付る軸受アーム部の分解斜視図。
【図9】副変速シフター部の分解斜視図と、断面図。
【図10】補助苗受枠の別例を示す苗植機の側面図。
【図11】その平面図。
【図12】施肥装置一部の正断面図。
【図13】その繰出ロール部の側断面図。
【図14】その繰出ロール伝動機構一部の分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面に基づいて、前記整ロータを苗植機の苗植装置に装着する形態である。苗植機は、ステアリングポスト上のハンドル20によって操向する前輪23と、運転席21下に搭載のエンジン22によって駆動される走行車輪(後輪)13を配置する四輪走行形態のトラクタ車体12を有し、この車体12の後側に平行リンク形態のリフトリンク25を介して苗植装置24を昇降可能に装着する。又、車体12の後部には施肥装置38を搭載して連動する。車体12のサイドフロア36の前部外側部には補助苗受枠37を設けて、マット苗を育苗した苗トレイを載置する。車体12前部の前輪23間には、ミッションケース42、及び油圧無段変速装置41を設けて、エンジン22から油圧無段変速装置41を駆動し、この油圧無段変速装置41からミッションケース42内の副変速装置等を介して、前記前輪23、及び後輪連動軸43を伝動して、この走行車輪(後輪)13を軸装の後車軸50等を伝動する。又、このミッションケース42からPTO軸を介して、苗植装置24の苗植入力軸26や、施肥装置38等を伝動する構成としている。前記リフトリンク25は、車体12後部のリフトシリンダ32の油圧伸縮により昇降される。
【0013】
苗植装置24は、マット苗の供給を受けて左右横方向へ往復移動しながら、繰出ベルト28の間歇的駆動によって後下端の苗分離口31へ向けて繰出す多条植形態の苗タンク27と、苗植伝動ケース30の後方において側面視楕円形状の苗植軌跡線Dを描いて苗植付作動する苗植爪29とから構成して、この苗植伝動ケース30の下面を支持するフロート14が、この下側中央部のセンタフロート14Aと、この左右両側部のサイドフロート14Bとして配置されて、各後部のフロート軸44の周りに上下揺動自在に支持している。このセンタフロート14Aの上下揺動によって滑走土壌面の深さを検出して、前記リフトシリンダ32の油圧回路の制御弁を作動させて、苗植装置24を上下動して植付深さを一定に維持するように昇降制御することができる。苗植爪29は、各フロート14の左右両側の均平部に対応して作動する多条植形態として、前記苗植軌跡線Dの上端作動位置で苗タンク27の苗分離口31に介入して苗分離しながら、保持した苗を前記フロート14で均平した土壌面に下降して適宜深さに植付ける。
【0014】
このような各フロート14の前側には、整地ロータ1として代掻ロータを配置して、前記後車軸50を軸受する後車軸伝動ケース51の伝動機構部からロータ連動軸52を介して駆動する。センタフロート14Aは、サイドフロート14Bに対して前方へ長く突出した形態にあるため、これらの前側に配置のロータ1においても、センタフロート14Aの前側に対向するセンタロータ1Aを、サイドフロート14Bの前側に対向するサイドロータ1Bよりも前方に位置させて配置し、これらセンタフロート14A、及びセンタロータ1Aを、左、右両側の走行車輪13間の中央部で、車体12のセンターラインL上沿って設け、サイドフロート14B、及びサイドロータ1Bを、このセンターラインLに対して左右対称状に配置する形態にして、しかも左右走行車輪13の踏跡後側部に対向させて設ける。
【0015】
前記苗植伝動ケース30等の前側に沿って設ける苗植フレーム35に対して、上下一対のリンクアーム36を介して、ロータフレーム34を昇降揺動可能に設ける。このロータフレーム34の下部に各ロータ1を配置している。このロータフレーム34の下端部には、前記サイドロータ1Bのロータ軸2を軸受けする軸受ホルダ3の軸受アーム15を取付ける。このロータフレーム34の下端部に装着される整地ロータは、左右一対のロータ伝動ケース45の前端間に、センタロータ1Aのロータ軸2の左右両端部を軸受し、この各ロータ伝動ケース45の後端部に、サイドロータ1Bのロータ軸2の苗端部を軸受する。これらロータ伝動ケース45の前、後端部に軸受けする前、後ロータ軸2間には、チエン47を掛け渡して連動回転する。このうち左側のサイドロータ1Bのロータ軸2の内端部には、前方から伸縮自在のスプライン軸からなるロータ連動軸52を介して連動される入力軸40を、ベベルギヤ39を介して噛合連動する。このロータ連動軸52は、前記後車軸伝動ケース51のロータ取出軸48に連結して、このロータ取出軸48に設けられるクラッチ49の操作によって伝動することができる。このロータ取出軸48から左側のサイドロータ1Bを伝動回転すると、ロータ伝動ケース45内のチエン47を介してセンタロータ1Aを回転し、更には右側のロータ伝動ケース45内のチエン47を介して、右側のサイドロータ1Bを回転する。又、前記リフトシリンダ32の伸縮によって、リフトリンク25を介して連結される苗植装置24と共に、整地ロータ1をも昇降することができ、この苗植装置24の苗植フレーム35に対して、レバー33の操作によってリンクアーム36を回動することによって、整地ロータ1を昇降、乃至昇降調節することができる。前記ロータフレーム34の上端部と、ロータ伝動ケース45の前部との間には、バランススプリング53を設けて、センタロータ1Aの重量を軽減している。54は各ロータ1の上周部を覆うロータカバーである。
【0016】
ここにおいて、この整地ロータは、回転して土壌面を掻き均すロータ1のロータ軸2を軸受けする軸受ホルダ3の下側に、前縁4をこの軸受ホルダ3の前側上部に位置させ、後縁5をこの軸受ホルダ3の後側下部に位置させ、かつ左右両側縁6をロータ1の回転側端縁7に接近させて、この軸受ホルダ3の下周部を覆って接地滑走するソリ板8を設けたことを特徴とする整地ロータの構成とする。ロータ1は、ロータ軸2を軸受ホルダ3に軸受けした状態で回転駆動して、このロータ1の回転接地土壌面を代掻均平する。又、この軸受ホルダ3の直下に位置する土壌面は、この軸受ホルダ3の下側部を覆うソリ板8の滑走によって均平される。このソリ板8の前縁4は、軸受ホルダ3の前側面を覆うように上方傾斜に形成され、後縁5が、軸受ホルダ3お下周部を覆うように後方へ延出されて、しかも、このソリ板8の左右両側縁6が両側のロータ1の回転側端縁7に接近するように広く形成されて、この軸受ホルダ3の下周部を広く覆って、ロータ1の回転周面による土壌均平面と同一面に均平する。
【0017】
又、前記ロータ軸2には、前記軸受ホルダ3の外側周端縁9を覆う四形状の湾曲縁10を形成した巻付防止板11を取付けて一体回転する。ロータ軸2周りのロータ1の回転による土壌面の均平作用と、軸受ホルダ3下周部のソリ板8による均平作用とによって、土壌面が広幅にわたって同平坦面に整地され、わら屑があると、この整地土壌面下に埋込まれる。このロータ1の回転外周面や、ソリ板8等に接するわら屑等は、これらロータ1の回転側端縁7と、ソリ板8の左右両側縁6との間隙が狭いため、ロータ軸2や、軸受ホルダ3等への浸入を防止される。又、例えばこの浸入するわら屑等があっても、軸受ホルダ3の外側周端縁9の外周部を巻付防止板11の湾曲縁10部で覆うため、わら屑等のロータ軸2への巻込を防止する。
【0018】
更に、前記ソリ板8で覆った軸受ホルダ3、及びロータ1を、車体12の走行車輪13の轍跡部と、この轍跡部の土壌面を滑走して均平するフロート14の正面部との間に設ける。多条植形態の苗植機のように、車体12の走行車輪13の後方にフロート14を配置して、土壌面を均平しながら苗植付を行う形態にあっては、ソリ板8で覆った軸受ホルダ3、及びロータ1をこの走行車輪13の轍跡に設けて、この走行車輪13によって踏荒す土壌面をロータ1の回転、及びソリ板8の滑走によって均平にして、フロート14による均平性をより向上させる。
【0019】
前記軸受ホルダ3は、サイドロータ1Bの内端寄りのロータ軸2を回転自在に軸受する。このロータ軸2は、前記ベベルギヤ39の設けられる内端部側と、この外側に連結する外端側部とから構成されて、外周部にカラー16を嵌合させて、連結ボルト17を挿通して、一体回転するように連結している。このカラー16の外周ベアリング18を嵌合して、前記軸受アーム15のリングメタルからなる軸受ホルダ3に嵌合支持させている。サイドロータ1Bは、この軸受ホルダ3の位置する軸方向幅域にわたって、ロータ1の回転部を構成できないため、この軸受ホルダ3の左右両側部に分離される形態となり、従って、このロータ1の左右分離された回転側端縁7間隔部に、ソリ板8を位置させて、この間隔部分からわら屑類が内側へ浸入しようとするのを防止する。このソリ板8は、前記軸受ホルダ3の下周部に、支持ブラケット55を固定して、この支持ブラケット55にソリ板8内周部の取付ブラケット56を重合させて、ピン57を差込んで固定し、又、着脱可能の構成としている。このソリ板8の軸方向幅は、軸受ホルダ3よりも広く形成して、わら屑等が直接軸受ホルダ3に対して巻付き難い形態に構成している。
【0020】
前記サイドロータ1Bのロータカバー54は、前側の走行車輪(後輪)13の回転後周面に接近して、この走行車輪13によって巻き上げられて落下される泥土の降りかかりを受け易いため、このロータカバー54の前側に、走行車輪13の回転後周部に接近して、この走行車輪13によって持ち上げられる泥土を掻落す平面視凹形状の掻落板55を設ける。これによってロータカバー54上面の泥土堆積を防止する。この掻落板55は、図8のようにロータカバー54を取付ける軸受アーム15を利用するもので、走行車輪13の位置や、幅等に一致させるように、長穴、ボルト等によって前後取付位置や、左右取付幅位置等を変更、調節可能の形態としている。掻落板55は、アングル形態に形成した左右一対のプレート56、57から成り、軸受アーム15の取付ブラケット58に対して、ボルト59締めによって着脱できる。このうち一側のI字状形態のプレート56のアングルには横方向の長穴60が形成されていて、この長穴60をボルト59に対して左右横方向へ移動することによって、掻落板55の取付位置を左右へ移動調節できる。又、このプレート56には前後方向の長穴61を形成し、このプレート56の上面に重合する他側のL字状形態のプレート57には左右横方向の長穴62を形成して、これら重合状態では両長穴61、62が十字状に交差するため、この長穴61、62の交差部にボルト63を挿通して締付固定する。これらI字状形態のプレート56と、L字状形態のプレート57を長穴60、及び長穴61、62の交差部で締付固定することによって、左右の走行車輪13に対する掻落作用位置を選択して設定することができ、走行車輪13の位置や、車輪幅、車輪回転径等に適合設定させることができる。
【0021】
前記ハンドル20の基部に副変速レバー65を設けて、ミッションケース42の走行変速ギヤを高速(走行移動速)、中速、低速(苗植付移動速)等にシフトする形態にしている。この副変速レバー65によって操作されるシフター66に、位置決め用の位置決溝67を形成したプレート69と、これに係合する係合突部68を形成のプレート70を設けたもので(図9)、構成を簡単化して、コストダウンを図るものである。これらプレート69は、シフター66上の角軸部71に嵌合して一体回動される。又、プレート70はミッションケース42側に一体的にビス72止めする。又、シフター66の周面にはOリング溝を形成して、Oリング73を嵌合し、防水形態としている。
【0022】
次に、主として図10、図11に基づいて、前記補助苗受枠37の構成を、前後方向に長く形成して、折畳収納できる形態としたものである。車体12の左右外側部の支持フレーム75上に、前後に長い補助苗受枠37を、前後三つ折りの折畳形態にして取付支持する。この補助苗受枠37のうち、中央部の中枠37Nの底部を支持フレーム75に対して固定、又は支持フレーム75周りに前後に旋回可能に設け、この中枠37Nの前端部の折畳ヒンジ76周りに前枠37Fを起伏回動して折畳可能に設ける。又、中枠37Nの後端部の折畳ヒンジ77周りに後枠37Rを起伏回動して折畳可能に設ける。この折畳状態では、中枠37Nの上側に後枠37R、前枠37Fが折畳重合して、前後長さを略1/3に短縮することができる。又、前後に伸張した形態では、最後端の後枠37Rの後端部が施肥装置38の施肥ホッパー上面にのぞむように設定している。又、後下りの傾斜面に設定している。このように補助苗受枠37を前後に長く設けることによって、前端部等からこの補助苗受枠37上への苗トレイの積込作業や、この後端部への苗トレイの移動、及び、この後端部から苗タンク27へのマット苗の供給等の作業等が行い易い。このため、各中枠37N、前枠37F、後枠37Rを伸張したときは、各枠底面が同一平面状に揃う形態にしている。又、この形態では一連の樋状形態として、粉、粒剤等から肥料を案内して施肥装置38へ供給することができる。又、この各前枠37F、後枠37Rを折畳んだ状態で、各枠37N、37F、37Rの折畳重合間に適宜の間隔部を形成することによって、これらの各間隔部に空の苗トレイや、苗トレイからマット苗を掬い取るための苗取板等を収納させることができる。
【0023】
次に、主として図12、図13、図14に基づいて、前記苗植機の車体12後部に搭載した施肥装置38において、繰出ロール78の回転による繰出量の増量化、及び標準量と半量の切替を簡単な操作で行わせるものである。多条施肥形態の各繰出ロール78は、原動機(エンジン)の駆動によって、駆動軸79、クラッチレバー81によるクラッチ80、及び伝動ギヤ82等を介して、ロール軸83、及び繰出ロール78が回転されることにより、上側の施肥ホッパ84に供給している粉粒剤からなる肥料を繰出口85へ繰出すものである。86はシャッター、87は取出弁で、作業後に施肥ホッパー84等に残留している肥料を取出すことができる。
【0024】
ここで、前記駆動軸79は、原動機(エンジン)からの伝動によって出力ロッド88を介して、ワンウエイクラッチ89の往復回動等を経て回転され、繰出ロール78を回動させて所定量の肥料を繰出す。この駆動軸79を駆動する連動機構は、施肥フレーム上のボス90に軸受けした駆動軸79の周りに、ワンウエイクラッチ89を有するベルクランクアーム91と、回動アーム92を設ける。又、前記ボス90の側部に突出するボスアーム93には、ピン94周りに回動自在で上下方向の回動アーム95を支持する。ベルクランクアームの一端には、前記出力ロッド88を連結し、この他端部と回動アーム95の上端部との間に、リンクロッド96で連結する。この回動アーム95の下端側には、前記ピン94、及びこのピン94の挿通支持されるピン穴97を中心とする円弧状の案内溝98と、この案内溝98の中間部にリンクロッド100の嵌挿しうるリンク穴99を形成する。従って、出力ロッド88から回動アーム95及びリンクロッド100を介して回動アーム92へ伝動され、標準量の繰出量(標準施肥)で駆動軸79が駆動する。この回動アーム95の回動側部には、施肥フレームに対して取付けたブラケット101を設けて、前記回動アーム95の案内溝98や、リンク穴99の揺動回動軌跡に対向してリンク穴102を形成する。繰出量を半量にするとき(半量施肥)は、このブラケット101のリンク穴102と、前記駆動軸79周りの回動アーム92のリンク穴103とに、リンクロッド100の両端部を嵌合させて連結する形態としている。このリンクロッド100の回動アーム92側にはスプリング104を設けて、このリンクロッド100の先端部をリンク穴102に嵌合するように付勢している。
【0025】
このような連動構成において、リンクロッド100を引くことにより、回動アーム95のリンク穴99から外れて、繰出ロール78による繰出量を半量にすることができる。このリンクロッド100を引かないで、スプリング104力によって付勢させて、回動アーム95のリンク穴99に嵌合して接続される状態では、標準量の繰出が行われる。又、前記のようにこのリンクロッド100を引いて、案内溝に案内させて半量施肥を行った後に、標準施肥するときは、このリンクロッド100の先端は、回動アーム95の回動によって自動的にリンク穴99に挿入される。
【符号の説明】
【0026】
1 ロータ
2 ロータ軸
3 軸受ホルダ
4 前縁
5 後縁
6 左右両側縁
7 回転側端縁
8 ソリ板
9 外側周端縁
10 湾曲縁
11 巻付防止板
12 車体
13 走行車輪
14 フロート
【技術分野】
【0001】
この発明は、作業地土壌面を均平整地する作業機の整地ロータに関し、苗植機の苗植付土壌面を代掻、乃至均平整地するために、苗植機等の作業機に整地ロータを装着する形態として利用できる。
【背景技術】
【0002】
車体のクローラ轍跡と、この後側に装着の苗植装置のフロートとの間に、該クローラ轍跡を均平する整地板を設け、又は耕耘爪ロータを設け、更にはこの耕耘爪ロータの前側にレーキを設ける等の技術(例えば、特許文献立1参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10ー52106号公報(第4頁、図3)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
横方向に幅広いロータを回転させて作業土壌面を代掻、乃至整地する整地ロータにあっては、このロータ軸方向に沿う幅方向の中間部を軸受けすることによって、簡単な軸受形態で、安定した整地性能を発揮させることが多い。このような構成では、軸受ホルダ(又はメタル)の左右両側部に、ロータの横幅方向の中間部にロータ回転側端縁が位置するため、このロータ回転側端縁によるわら屑の係合、掻き回しが行われ易く、軸受ホルダ部や、ロータ軸等おけるわら屑等の巻付が行われ易く、円滑な整地作用を維持し難いものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、回転して土壌面を掻き均すロータ1のロータ軸2を軸受けする軸受ホルダ3の下側に、前縁4をこの軸受ホルダ3の前側上部に位置させ、後縁5をこの軸受ホルダ3の後側下部に位置させ、かつ左右両側縁6をロータ1の回転側端縁7に接近させて、この軸受ホルダ3の下周部を覆って接地滑走するソリ板8を設けたことを特徴とする整地ロータの構成とする。ロータ1は、ロータ軸2を軸受ホルダ3に軸受けした状態で回転駆動して、このロータ1の回転接地する土壌面を代掻均平する。又、この軸受ホルダ3の直下に位置する土壌面は、この軸受ホルダ3の下側部を覆うソリ板8の滑走によって均平される。このソリ板8の前縁4は、軸受ホルダ3の前側面を覆うように上方傾斜に形成され、後縁5が、軸受ホルダ3お下周部を覆うように後方へ延出されて、しかも、このソリ板8の左右両側縁6が両側のロータ1の回転側端縁7に接近するように広く形成されて、この軸受ホルダ3の下周部を広く覆って、ロータ1の回転周面による土壌均平面と同一面に均平する。
【0006】
請求項2に記載の発明は、前記ロータ軸2には、前記軸受ホルダ3の外側周端縁9を覆う皿形状の湾曲縁10を形成した巻付防止板11を取付けて一体回転する。ロータ軸2周りのロータ1の回転による土壌面の均平作用と、軸受ホルダ3下周部のソリ板8による均平作用とによって、土壌面が広幅にわたって同平坦面に整地され、わら屑があると、この整地土壌面下に埋込む。このロータ1の回転外周面や、ソリ板8等に接するわら屑等は、これらロータ1の回転側端縁7と、ソリ板8の左右両側縁6との間隙が狭いため、ロータ軸2や、軸受ホルダ3等への浸入を防止される。又、例えばこの浸入するわら屑等があっても、軸受ホルダ3の外側周端縁9の外周部を巻付防止板11の湾曲縁10部で覆うため、わら屑等のロータ軸2への巻込を防止する。
【0007】
請求項3に記載の発明は、前記ソリ板8で覆った軸受ホルダ3、及びロータ1を、車体12の走行車輪13の轍跡部と、この轍跡部の土壌面を滑走して均平するフロート14の正面部との間に設ける。多条植形態の苗植機のように、車体12の走行車輪13の後方にフロート14を配置して、土壌面を均平しながら苗植付を行う形態にあっては、ソリ板8で覆った軸受ホルダ3、及びこの横側のロータ1を、この走行車輪13の轍跡に設けて、この走行車輪13によって踏荒す土壌面をロータ1の回転、及びソリ板8の滑走によって均平にして、フロート14による均平性をより向上させる。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明は、軸受ホルダ3は幅広いロータ軸2の中間部を軸受けして支持するため、ロータ1の整地抵抗を有効に支持して、安定したロータ1の整地性を維持することができ、支持形態を簡単化することができる。しかも、この軸受ホルダ3の下側に位置する土壌面は、この軸受ホルダ3の下周部を覆うソリ板8によって覆って均平するため、ロータ1全幅にわたって均平性を良好に維持することができ、ロータ1の回転側端縁7と、この間のソリ板8の左右両側縁6との間の間隙部を小さくして、わら屑等のロータ軸2や、軸受ホルダ3等への浸入や、巻込みを防止して、均平土壌面への埋込みを行わせて、均平性を高めることができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記のようにロータ1の回転による土壌面の整地作用において、軸受ホルダ3の外側周端縁9が、このロータ1と一体回転の巻付防止板11の湾曲縁10で覆われて、しかも、これらロータ1の回転側端縁7と、ソリ板8の左右両側縁6との接近による均平作用によって、わら屑等のロータ軸2や、軸受ホルダ3等への巻込みを有効に防止することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、多条植形態等の苗植機では、一部のロータ1を車体12の走行車輪13の轍跡に位置して配置し均平整地する形態となることが多いが、このとき前記のように軸受ホルダ3を、前部の走行車輪13の轍跡と、後側のフロート14の接地滑走部との間に配置しても、この轍跡の踏荒土壌面の均平作用を良好に行わせることができるため、この軸受ホルダ3の配置位置を制限しない。走行車輪13による踏荒された轍跡土壌面を、ロータ1、及びソリ板8によって均平して、わら屑等は、このソリ板8等によって均平土壌面下へ埋込んで、フロート14による整地を円滑に行わせ、苗植作用等を整然と行わせることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】ロータの軸受ホルダ部の側面図と、背面図。
【図2】一部別例を示す巻付防止板を設ける場合の軸受けホルダ部の分解平面図。
【図3】苗植機の側面図。
【図4】その平面図。
【図5】そのロータ部の平面配置図。
【図6】その伝動部の側面図。
【図7】その伝動部の平面図。
【図8】その掻落板を取付る軸受アーム部の分解斜視図。
【図9】副変速シフター部の分解斜視図と、断面図。
【図10】補助苗受枠の別例を示す苗植機の側面図。
【図11】その平面図。
【図12】施肥装置一部の正断面図。
【図13】その繰出ロール部の側断面図。
【図14】その繰出ロール伝動機構一部の分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面に基づいて、前記整ロータを苗植機の苗植装置に装着する形態である。苗植機は、ステアリングポスト上のハンドル20によって操向する前輪23と、運転席21下に搭載のエンジン22によって駆動される走行車輪(後輪)13を配置する四輪走行形態のトラクタ車体12を有し、この車体12の後側に平行リンク形態のリフトリンク25を介して苗植装置24を昇降可能に装着する。又、車体12の後部には施肥装置38を搭載して連動する。車体12のサイドフロア36の前部外側部には補助苗受枠37を設けて、マット苗を育苗した苗トレイを載置する。車体12前部の前輪23間には、ミッションケース42、及び油圧無段変速装置41を設けて、エンジン22から油圧無段変速装置41を駆動し、この油圧無段変速装置41からミッションケース42内の副変速装置等を介して、前記前輪23、及び後輪連動軸43を伝動して、この走行車輪(後輪)13を軸装の後車軸50等を伝動する。又、このミッションケース42からPTO軸を介して、苗植装置24の苗植入力軸26や、施肥装置38等を伝動する構成としている。前記リフトリンク25は、車体12後部のリフトシリンダ32の油圧伸縮により昇降される。
【0013】
苗植装置24は、マット苗の供給を受けて左右横方向へ往復移動しながら、繰出ベルト28の間歇的駆動によって後下端の苗分離口31へ向けて繰出す多条植形態の苗タンク27と、苗植伝動ケース30の後方において側面視楕円形状の苗植軌跡線Dを描いて苗植付作動する苗植爪29とから構成して、この苗植伝動ケース30の下面を支持するフロート14が、この下側中央部のセンタフロート14Aと、この左右両側部のサイドフロート14Bとして配置されて、各後部のフロート軸44の周りに上下揺動自在に支持している。このセンタフロート14Aの上下揺動によって滑走土壌面の深さを検出して、前記リフトシリンダ32の油圧回路の制御弁を作動させて、苗植装置24を上下動して植付深さを一定に維持するように昇降制御することができる。苗植爪29は、各フロート14の左右両側の均平部に対応して作動する多条植形態として、前記苗植軌跡線Dの上端作動位置で苗タンク27の苗分離口31に介入して苗分離しながら、保持した苗を前記フロート14で均平した土壌面に下降して適宜深さに植付ける。
【0014】
このような各フロート14の前側には、整地ロータ1として代掻ロータを配置して、前記後車軸50を軸受する後車軸伝動ケース51の伝動機構部からロータ連動軸52を介して駆動する。センタフロート14Aは、サイドフロート14Bに対して前方へ長く突出した形態にあるため、これらの前側に配置のロータ1においても、センタフロート14Aの前側に対向するセンタロータ1Aを、サイドフロート14Bの前側に対向するサイドロータ1Bよりも前方に位置させて配置し、これらセンタフロート14A、及びセンタロータ1Aを、左、右両側の走行車輪13間の中央部で、車体12のセンターラインL上沿って設け、サイドフロート14B、及びサイドロータ1Bを、このセンターラインLに対して左右対称状に配置する形態にして、しかも左右走行車輪13の踏跡後側部に対向させて設ける。
【0015】
前記苗植伝動ケース30等の前側に沿って設ける苗植フレーム35に対して、上下一対のリンクアーム36を介して、ロータフレーム34を昇降揺動可能に設ける。このロータフレーム34の下部に各ロータ1を配置している。このロータフレーム34の下端部には、前記サイドロータ1Bのロータ軸2を軸受けする軸受ホルダ3の軸受アーム15を取付ける。このロータフレーム34の下端部に装着される整地ロータは、左右一対のロータ伝動ケース45の前端間に、センタロータ1Aのロータ軸2の左右両端部を軸受し、この各ロータ伝動ケース45の後端部に、サイドロータ1Bのロータ軸2の苗端部を軸受する。これらロータ伝動ケース45の前、後端部に軸受けする前、後ロータ軸2間には、チエン47を掛け渡して連動回転する。このうち左側のサイドロータ1Bのロータ軸2の内端部には、前方から伸縮自在のスプライン軸からなるロータ連動軸52を介して連動される入力軸40を、ベベルギヤ39を介して噛合連動する。このロータ連動軸52は、前記後車軸伝動ケース51のロータ取出軸48に連結して、このロータ取出軸48に設けられるクラッチ49の操作によって伝動することができる。このロータ取出軸48から左側のサイドロータ1Bを伝動回転すると、ロータ伝動ケース45内のチエン47を介してセンタロータ1Aを回転し、更には右側のロータ伝動ケース45内のチエン47を介して、右側のサイドロータ1Bを回転する。又、前記リフトシリンダ32の伸縮によって、リフトリンク25を介して連結される苗植装置24と共に、整地ロータ1をも昇降することができ、この苗植装置24の苗植フレーム35に対して、レバー33の操作によってリンクアーム36を回動することによって、整地ロータ1を昇降、乃至昇降調節することができる。前記ロータフレーム34の上端部と、ロータ伝動ケース45の前部との間には、バランススプリング53を設けて、センタロータ1Aの重量を軽減している。54は各ロータ1の上周部を覆うロータカバーである。
【0016】
ここにおいて、この整地ロータは、回転して土壌面を掻き均すロータ1のロータ軸2を軸受けする軸受ホルダ3の下側に、前縁4をこの軸受ホルダ3の前側上部に位置させ、後縁5をこの軸受ホルダ3の後側下部に位置させ、かつ左右両側縁6をロータ1の回転側端縁7に接近させて、この軸受ホルダ3の下周部を覆って接地滑走するソリ板8を設けたことを特徴とする整地ロータの構成とする。ロータ1は、ロータ軸2を軸受ホルダ3に軸受けした状態で回転駆動して、このロータ1の回転接地土壌面を代掻均平する。又、この軸受ホルダ3の直下に位置する土壌面は、この軸受ホルダ3の下側部を覆うソリ板8の滑走によって均平される。このソリ板8の前縁4は、軸受ホルダ3の前側面を覆うように上方傾斜に形成され、後縁5が、軸受ホルダ3お下周部を覆うように後方へ延出されて、しかも、このソリ板8の左右両側縁6が両側のロータ1の回転側端縁7に接近するように広く形成されて、この軸受ホルダ3の下周部を広く覆って、ロータ1の回転周面による土壌均平面と同一面に均平する。
【0017】
又、前記ロータ軸2には、前記軸受ホルダ3の外側周端縁9を覆う四形状の湾曲縁10を形成した巻付防止板11を取付けて一体回転する。ロータ軸2周りのロータ1の回転による土壌面の均平作用と、軸受ホルダ3下周部のソリ板8による均平作用とによって、土壌面が広幅にわたって同平坦面に整地され、わら屑があると、この整地土壌面下に埋込まれる。このロータ1の回転外周面や、ソリ板8等に接するわら屑等は、これらロータ1の回転側端縁7と、ソリ板8の左右両側縁6との間隙が狭いため、ロータ軸2や、軸受ホルダ3等への浸入を防止される。又、例えばこの浸入するわら屑等があっても、軸受ホルダ3の外側周端縁9の外周部を巻付防止板11の湾曲縁10部で覆うため、わら屑等のロータ軸2への巻込を防止する。
【0018】
更に、前記ソリ板8で覆った軸受ホルダ3、及びロータ1を、車体12の走行車輪13の轍跡部と、この轍跡部の土壌面を滑走して均平するフロート14の正面部との間に設ける。多条植形態の苗植機のように、車体12の走行車輪13の後方にフロート14を配置して、土壌面を均平しながら苗植付を行う形態にあっては、ソリ板8で覆った軸受ホルダ3、及びロータ1をこの走行車輪13の轍跡に設けて、この走行車輪13によって踏荒す土壌面をロータ1の回転、及びソリ板8の滑走によって均平にして、フロート14による均平性をより向上させる。
【0019】
前記軸受ホルダ3は、サイドロータ1Bの内端寄りのロータ軸2を回転自在に軸受する。このロータ軸2は、前記ベベルギヤ39の設けられる内端部側と、この外側に連結する外端側部とから構成されて、外周部にカラー16を嵌合させて、連結ボルト17を挿通して、一体回転するように連結している。このカラー16の外周ベアリング18を嵌合して、前記軸受アーム15のリングメタルからなる軸受ホルダ3に嵌合支持させている。サイドロータ1Bは、この軸受ホルダ3の位置する軸方向幅域にわたって、ロータ1の回転部を構成できないため、この軸受ホルダ3の左右両側部に分離される形態となり、従って、このロータ1の左右分離された回転側端縁7間隔部に、ソリ板8を位置させて、この間隔部分からわら屑類が内側へ浸入しようとするのを防止する。このソリ板8は、前記軸受ホルダ3の下周部に、支持ブラケット55を固定して、この支持ブラケット55にソリ板8内周部の取付ブラケット56を重合させて、ピン57を差込んで固定し、又、着脱可能の構成としている。このソリ板8の軸方向幅は、軸受ホルダ3よりも広く形成して、わら屑等が直接軸受ホルダ3に対して巻付き難い形態に構成している。
【0020】
前記サイドロータ1Bのロータカバー54は、前側の走行車輪(後輪)13の回転後周面に接近して、この走行車輪13によって巻き上げられて落下される泥土の降りかかりを受け易いため、このロータカバー54の前側に、走行車輪13の回転後周部に接近して、この走行車輪13によって持ち上げられる泥土を掻落す平面視凹形状の掻落板55を設ける。これによってロータカバー54上面の泥土堆積を防止する。この掻落板55は、図8のようにロータカバー54を取付ける軸受アーム15を利用するもので、走行車輪13の位置や、幅等に一致させるように、長穴、ボルト等によって前後取付位置や、左右取付幅位置等を変更、調節可能の形態としている。掻落板55は、アングル形態に形成した左右一対のプレート56、57から成り、軸受アーム15の取付ブラケット58に対して、ボルト59締めによって着脱できる。このうち一側のI字状形態のプレート56のアングルには横方向の長穴60が形成されていて、この長穴60をボルト59に対して左右横方向へ移動することによって、掻落板55の取付位置を左右へ移動調節できる。又、このプレート56には前後方向の長穴61を形成し、このプレート56の上面に重合する他側のL字状形態のプレート57には左右横方向の長穴62を形成して、これら重合状態では両長穴61、62が十字状に交差するため、この長穴61、62の交差部にボルト63を挿通して締付固定する。これらI字状形態のプレート56と、L字状形態のプレート57を長穴60、及び長穴61、62の交差部で締付固定することによって、左右の走行車輪13に対する掻落作用位置を選択して設定することができ、走行車輪13の位置や、車輪幅、車輪回転径等に適合設定させることができる。
【0021】
前記ハンドル20の基部に副変速レバー65を設けて、ミッションケース42の走行変速ギヤを高速(走行移動速)、中速、低速(苗植付移動速)等にシフトする形態にしている。この副変速レバー65によって操作されるシフター66に、位置決め用の位置決溝67を形成したプレート69と、これに係合する係合突部68を形成のプレート70を設けたもので(図9)、構成を簡単化して、コストダウンを図るものである。これらプレート69は、シフター66上の角軸部71に嵌合して一体回動される。又、プレート70はミッションケース42側に一体的にビス72止めする。又、シフター66の周面にはOリング溝を形成して、Oリング73を嵌合し、防水形態としている。
【0022】
次に、主として図10、図11に基づいて、前記補助苗受枠37の構成を、前後方向に長く形成して、折畳収納できる形態としたものである。車体12の左右外側部の支持フレーム75上に、前後に長い補助苗受枠37を、前後三つ折りの折畳形態にして取付支持する。この補助苗受枠37のうち、中央部の中枠37Nの底部を支持フレーム75に対して固定、又は支持フレーム75周りに前後に旋回可能に設け、この中枠37Nの前端部の折畳ヒンジ76周りに前枠37Fを起伏回動して折畳可能に設ける。又、中枠37Nの後端部の折畳ヒンジ77周りに後枠37Rを起伏回動して折畳可能に設ける。この折畳状態では、中枠37Nの上側に後枠37R、前枠37Fが折畳重合して、前後長さを略1/3に短縮することができる。又、前後に伸張した形態では、最後端の後枠37Rの後端部が施肥装置38の施肥ホッパー上面にのぞむように設定している。又、後下りの傾斜面に設定している。このように補助苗受枠37を前後に長く設けることによって、前端部等からこの補助苗受枠37上への苗トレイの積込作業や、この後端部への苗トレイの移動、及び、この後端部から苗タンク27へのマット苗の供給等の作業等が行い易い。このため、各中枠37N、前枠37F、後枠37Rを伸張したときは、各枠底面が同一平面状に揃う形態にしている。又、この形態では一連の樋状形態として、粉、粒剤等から肥料を案内して施肥装置38へ供給することができる。又、この各前枠37F、後枠37Rを折畳んだ状態で、各枠37N、37F、37Rの折畳重合間に適宜の間隔部を形成することによって、これらの各間隔部に空の苗トレイや、苗トレイからマット苗を掬い取るための苗取板等を収納させることができる。
【0023】
次に、主として図12、図13、図14に基づいて、前記苗植機の車体12後部に搭載した施肥装置38において、繰出ロール78の回転による繰出量の増量化、及び標準量と半量の切替を簡単な操作で行わせるものである。多条施肥形態の各繰出ロール78は、原動機(エンジン)の駆動によって、駆動軸79、クラッチレバー81によるクラッチ80、及び伝動ギヤ82等を介して、ロール軸83、及び繰出ロール78が回転されることにより、上側の施肥ホッパ84に供給している粉粒剤からなる肥料を繰出口85へ繰出すものである。86はシャッター、87は取出弁で、作業後に施肥ホッパー84等に残留している肥料を取出すことができる。
【0024】
ここで、前記駆動軸79は、原動機(エンジン)からの伝動によって出力ロッド88を介して、ワンウエイクラッチ89の往復回動等を経て回転され、繰出ロール78を回動させて所定量の肥料を繰出す。この駆動軸79を駆動する連動機構は、施肥フレーム上のボス90に軸受けした駆動軸79の周りに、ワンウエイクラッチ89を有するベルクランクアーム91と、回動アーム92を設ける。又、前記ボス90の側部に突出するボスアーム93には、ピン94周りに回動自在で上下方向の回動アーム95を支持する。ベルクランクアームの一端には、前記出力ロッド88を連結し、この他端部と回動アーム95の上端部との間に、リンクロッド96で連結する。この回動アーム95の下端側には、前記ピン94、及びこのピン94の挿通支持されるピン穴97を中心とする円弧状の案内溝98と、この案内溝98の中間部にリンクロッド100の嵌挿しうるリンク穴99を形成する。従って、出力ロッド88から回動アーム95及びリンクロッド100を介して回動アーム92へ伝動され、標準量の繰出量(標準施肥)で駆動軸79が駆動する。この回動アーム95の回動側部には、施肥フレームに対して取付けたブラケット101を設けて、前記回動アーム95の案内溝98や、リンク穴99の揺動回動軌跡に対向してリンク穴102を形成する。繰出量を半量にするとき(半量施肥)は、このブラケット101のリンク穴102と、前記駆動軸79周りの回動アーム92のリンク穴103とに、リンクロッド100の両端部を嵌合させて連結する形態としている。このリンクロッド100の回動アーム92側にはスプリング104を設けて、このリンクロッド100の先端部をリンク穴102に嵌合するように付勢している。
【0025】
このような連動構成において、リンクロッド100を引くことにより、回動アーム95のリンク穴99から外れて、繰出ロール78による繰出量を半量にすることができる。このリンクロッド100を引かないで、スプリング104力によって付勢させて、回動アーム95のリンク穴99に嵌合して接続される状態では、標準量の繰出が行われる。又、前記のようにこのリンクロッド100を引いて、案内溝に案内させて半量施肥を行った後に、標準施肥するときは、このリンクロッド100の先端は、回動アーム95の回動によって自動的にリンク穴99に挿入される。
【符号の説明】
【0026】
1 ロータ
2 ロータ軸
3 軸受ホルダ
4 前縁
5 後縁
6 左右両側縁
7 回転側端縁
8 ソリ板
9 外側周端縁
10 湾曲縁
11 巻付防止板
12 車体
13 走行車輪
14 フロート
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転して土壌面を掻き均すロータ(1)のロータ軸(2)を軸受けする軸受ホルダ(3)の下側に、前縁(4)をこの軸受ホルダ(3)の前側上部に位置させ、後縁(5)をこの軸受ホルダ(3)の後側下部に位置させ、かつ左右両側縁(6)をロータ(1)の回転側端縁(7)に接近させて、この軸受ホルダ(3)の下周部を覆って接地滑走するソリ板(8)を設けたことを特徴とする作業機の整地ロータ。
【請求項2】
前記ロータ軸(2)には、前記軸受ホルダ(3)の外側周端縁(9)を覆う皿形状の湾曲縁(10)を形成した巻付防止板(11)を取付けて一体回転することを特徴とする請求項1に記載の作業機の整地ロータ。
【請求項3】
前記ソリ板(8)で覆った軸受ホルダ(3)及びロータ(1)を、車体(12)の走行車輪(13)の轍跡部と、この轍跡部の土壌面を滑走して均平するフロート(14)の正面部との間に設けることを特徴とする請求項1、又は2に記載の作業機の整地ロータ。
【請求項1】
回転して土壌面を掻き均すロータ(1)のロータ軸(2)を軸受けする軸受ホルダ(3)の下側に、前縁(4)をこの軸受ホルダ(3)の前側上部に位置させ、後縁(5)をこの軸受ホルダ(3)の後側下部に位置させ、かつ左右両側縁(6)をロータ(1)の回転側端縁(7)に接近させて、この軸受ホルダ(3)の下周部を覆って接地滑走するソリ板(8)を設けたことを特徴とする作業機の整地ロータ。
【請求項2】
前記ロータ軸(2)には、前記軸受ホルダ(3)の外側周端縁(9)を覆う皿形状の湾曲縁(10)を形成した巻付防止板(11)を取付けて一体回転することを特徴とする請求項1に記載の作業機の整地ロータ。
【請求項3】
前記ソリ板(8)で覆った軸受ホルダ(3)及びロータ(1)を、車体(12)の走行車輪(13)の轍跡部と、この轍跡部の土壌面を滑走して均平するフロート(14)の正面部との間に設けることを特徴とする請求項1、又は2に記載の作業機の整地ロータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−273602(P2010−273602A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−129292(P2009−129292)
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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