説明

作業機械

【課題】微粒子除去装置を備えた作業機械に好適な排気管の水抜き構造を実現する。
【解決手段】下部走行体2の上に機械本体3が設置された作業機械1である。機械本体3は、周囲がカバー20で覆われたエンジンルーム10を備える。その内部には、エンジン12や排気管25、排気管25内に設けられた微粒子除去装置28、排気管25の水抜き構造30が設置されている。水抜き構造30は、排気管25における、微粒子除去装置28よりも下流側の部位に開口する排水孔31と、カバー10の側面に開口する開口部24と、開口部24から斜め上向きに延びるドレンガイド32とを有している。ドレンガイド32の上端部は、排水孔31の鉛直方向下側に位置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DPF(Diesel Particulate Filter)等の微粒子除去装置を搭載した、油圧ショベル等の作業機械に関し、その中でも特に、マフラーの水抜き構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンから排出される排気ガス中には煤等の微粒子が含まれている。環境問題の高まりとともに、これら微粒子を除去して排気ガスを浄化する、微粒子除去装置を搭載した作業機械が増加しつつある。
【0003】
この種の微粒子除去装置は、エンジンルーム内に設置されたマフラーに組み込まれているのが一般的である。捕捉した微粒子を除去するために、微粒子除去装置では、適時、再生処理が行われる。再生処理時には、マフラーの温度は600℃近くにまで達する。
【0004】
作業機械では、マフラーがエンジンルームの上部に配置されている機種が多数存在する。そのような機種では、通常、排気管の末端は排気口を後方に向けた状態でエンジンルームの上に突き出すように設けられている。そのため、排気口を通じて排気管内に雨水等が入り込む場合がある。
【0005】
そこで、排気管内に雨水が入り込んでも排水できるように、マフラーに水抜き構造を設けた作業機械が提案されている(特許文献1,2)。
【0006】
具体的には、特許文献1では、マフラーにドレン抜き用ホースが取り付けられている。マフラーに入り込んだ雨水は煤で汚れて真っ黒なドレン水になるため、美観を損ねることがないように、このホースを通じて機械室の下側からドレン水を放出している。
【0007】
特許文献2の第2実施形態では、マフラーの下部に、貫通孔からなる排水口が設けられ、その下方にロート状の受け皿部を配置した水抜き装置が提案されている。受け皿部の最深部には、下方向に突出した管状突出部が形成されていて、この管状突出部が、下端部分がエンジンルームの床面の下方に突き出たドレン配管の上端部に挿入されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開平2−40926号公報
【特許文献2】特開2010−163881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1のような、マフラーにホースを取り付けただけの水抜き構造であれば、簡単に、しかも安価に実現できる。しかし、微粒子除去装置が搭載された機種の場合には、再生処理時にマフラーが高温になるため、普通のホースでは溶けて外れる虞がある。
【0010】
その点、特許文献2の水抜き装置の場合、ドレン配管がマフラーに直接接していないため、マフラーの振動が伝わらないし、ドレン配管に普通のホースを用いることも可能である。
【0011】
しかし、特許文献2の水抜き装置では、ドレン水をエンジンルームの下方へ排水するために、各種装置が密集したエンジンルーム内を上下方向に横切るようにドレン配管が配置されている。その結果、ドレン配管が長くなるうえに、装置等を避けるためにドレン配管を湾曲させなければならず、ホースの潰れや捩れによって流路が狭まり、ホースが詰まってしまう虞がある。
【0012】
ドレン配管を鋼管で形成すれば、流路の狭まりは防止できるが、構造が複雑になって設置が困難になるし、コストアップを招く。
【0013】
そこで、本発明の目的は、微粒子除去装置を備えた作業機械でも、安定して水抜きできる水抜き構造を簡素な構造でもって実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明では、微粒子除去装置の特性を利用して、エンジンルームの側面からドレン水を排水するようにした。
【0015】
具体的には、本発明は、下部走行体の上に機械本体が設置された作業機械であって、前記機械本体は、周囲がカバーで覆われたエンジンルームを備えている。前記エンジンルームの内部には、エンジンと、前記エンジンが排出する排気ガスを前記エンジンルームの外に導く排気管と、前記排気管の途中に設けられ、排気ガス中の微粒子を捕捉する微粒子除去装置と、前記排気管内の水を前記エンジンルームの外に導く水抜き構造とが設置されている。
【0016】
前記水抜き構造は、前記排気管における、前記微粒子除去装置よりも下流側の部位に開口する排水孔と、前記カバーの側面における、前記排水孔よりも下方の部位に開口する開口部と、前記開口部から斜め上向きに延びるドレンガイドとを有している。そして、前記ドレンガイドの上端部が、前記排水孔の鉛直方向下側に位置し、前記排水孔から流出する水を受け止める。
【0017】
このように構成された作業機械によれば、まず、微粒子除去装置が排気管の途中に設けられているので、微粒子除去装置の下流側の排気管内は煤汚れのない状態となっている。そして、排水孔がその微粒子除去装置よりも下流側の部位に開口しているので、排気管の末端に開口する排気口から雨水が排気管内に入り込んでも、そのドレン水は煤で汚れずに排水孔から排水される。排水孔の鉛直方向下側には、ドレンガイドの上端部が位置し、排水孔から流出するドレン水はドレンガイドに受け止められるので、エンジンルーム内に散乱させることなく、ドレン水をエンジンルームの外に導くことができる。
【0018】
ドレンガイドは、エンジンルームを覆うカバーの側面に開口する開口部から斜め上向きに延びているので、ドレンガイドに受け止められたドレン水は、滞ることなく開口部に導かれ、カバーの側面からエンジンルームの外に排出される。排出されるドレン水は煤で汚れていないので、エンジンルームの側面から排出しても美観は損なわれない。
【0019】
カバーの側面に開口部が設けられているので、排気管がエンジンルーム内の上方に配置されている場合であっても、ドレンガイドの長さを短くでき、簡素な構造にできる。排気管の下方に装置が配置されていても支障なく設置できる。
【0020】
より具体的には、前記排気管は、前記エンジンルームの上部に配置されたマフラーと、前記マフラーに連なって、先端部分が前記エンジンルームの外に突出した排気口部とを有し、前記排水孔が、前記マフラーに設けられ、前記排気口部の下側に位置しているようにすることができる。
【0021】
この場合、排気口部から入り込む雨水は、容量の大きなマフラーに流れ落ちるので、マフラーよりも上流側に流れ込むのを防止できる。しかも、排水孔がマフラーに設けられ、排気口部の下側に位置しているので、速やかにマフラーから排水できる。
【0022】
例えば、前記ドレンガイドは、筒形状や、上側部分が開放された樋形状にすることができる。
【0023】
前記ドレンガイドが樋形状をしており、前記エンジンルームの内部に、風向きが一定の気流を生じる冷却装置が設定されている場合には、前記開口部は、気流に対して前記エンジンの下流側となる位置に配置するのが好ましい。
【0024】
そうすれば、熱交換器等の熱を吸収した熱気は開口部に向かって流れる。そして、開口部に連なるドレンガイドの上側部分は開放されているので、開口部から熱気を効率よく放出させることができる。すなわち、開口部は、雨水を排出するだけでなく熱気の排出口としても機能させることができる。
【0025】
また、前記ドレンガイドは、前記エンジン側に向かって延びており、水平方向から前記ドレンガイドを前記カバーの側面に投影したとき、前記開口部がその投影像の内側に位置して重なるように、前記ドレンガイドを配置するのが好ましい。
【0026】
そうすれば、開口部に向かうエンジンの騒音は、ドレンガイドによって遮られるため、直接エンジンルームの外に漏れ出難くなる。従って、開口部がエンジンルーム内に開放されていても、エンジンの騒音を抑制することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、微粒子除去装置を備えた作業機械でも、安定した水抜きができる水抜き構造を簡素な構造で実現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明を適用した油圧ショベルを側方から見た概略図である。
【図2】エンジンルーム内の構造を示す概略図である。
【図3】水抜き構造の部分を斜め方向から見た概略図である。
【図4】水抜き構造の部分を後方から見た概略図である。
【図5】図4において、矢印で示す方向から見たドレンガイド等の概略図である。
【図6】水抜き構造の変形例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。ただし、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物あるいはその用途を制限するものではない。
【0030】
図1に、本発明を適用した油圧ショベル1(作業機械)を示す。この油圧ショベル1では、クローラ式の下部走行体2の上に、上部旋回体3(機械本体)が旋回自在に設置されている。上部旋回体3には、アタッチメント4やキャブ5、機械室6などが備えられている。なお、説明で用いる前後や上下左右、鉛直や水平等の方向は、同図に示す常態の油圧ショベル1を基準とする。
【0031】
アタッチメント4は、ブームやアーム、バケットなどで構成され、上部旋回体3の前側に配置されている。アタッチメント4は、油圧制御により、様々な状態に変位操作できる。キャブ5は、略矩形箱状の操作室であり、上部旋回体3の左前側の部分に配置されている。キャブの内部には、下部走行体2やアタッチメント4等を操作するための各種操作機器や、オペレータが着座するシートなどが配置されている(図示せず)。機械室6は、上部旋回体3の右側の部分と後側の部分とに配置されている。
【0032】
図2に示すように、機械室6の後側の部分はエンジンルーム10となっており、その内部には、冷却装置11やエンジン12、油圧ポンプ13などが設置されている。
【0033】
エンジンルーム10の周囲は、カバー20で覆われている。具体的には、カバー20は、側壁部20aと、上壁部20bとを有し、側壁部20aがエンジンルーム10の左右両側及び後側の側面を覆い、上壁部20bがエンジンルーム10の上面を覆っている。上壁部20bの右端の部分には、外気をエンジンルーム10内に取り込む吸気口21が開口している。上壁部の左端の部分には、挿通口22が小さく開口している。そして、側壁部20aの左側面には、ドレン水排出用のドレン開口24(開口部)が開口している。ドレン開口24の詳細については、別途後述する。
【0034】
冷却装置11は、ファン11aや熱交換器11bなどで構成され、主にエンジン12を循環する冷媒を冷却するために設けられている。冷却装置11はエンジンルーム10の右端の部分に配置されている。エンジン12は、その駆動軸を左右方向(幅方向)に向けた状態でエンジンルーム10の中央の部分に配置されている。油圧ポンプ13は、エンジン12と横並びに連結された状態で、エンジンルーム10の左端寄りの部分の下側に配置されている。
【0035】
冷却装置11は、吸気口21から外気を取り込んでエンジンルーム10の内部に一定の風向きの風を発生させ、熱交換により熱交換器11bを流れる冷媒を冷却する。具体的には、同図に矢印で示すように、冷却装置11は、エンジンルーム10の内部に、右から左に向かって流れる気流を形成する。そうして、熱交換器11bやエンジン12等を通過する際に吸熱して温った空気(熱気)は、エンジンルーム10の左端寄りの床面等に形成された開口(図示せず)を通じて外部に放出される。
【0036】
エンジン12での燃焼によって排出される排気ガスは、排気管25に導かれてエンジンルーム10の外に放出される。排気管25には、マフラー26や排気口部27が設けられている。マフラー26は、排気管25よりも大径の、両端が閉じられた円筒状の部材であり、エンジンルーム10の左端の上側に、両端部を前後方向に向けた状態で配置されている。マフラー26の下側には、油圧ポンプ13が位置している(図3,図4参照)。
【0037】
マフラー26の前端部分には、エンジン側に連なる上流側の排気管25(25a)が接続されている。マフラー26の後端部分の上側には、排気管25の末端部分である排気口部27が接続されている。排気口部27は、マフラー26から上方に延び、その先端部分は挿通口22を通ってエンジンルーム10の外に突き出している。排気口部27の先端には排気口27aが開口している。排気口27aが横向くように、排気口部27の先端部分は湾曲している。
【0038】
マフラー26の内部には、排気ガスを浄化するために、セラミック等の素材を用いて形成されたフィルタ28(微粒子除去装置)が設置されている。フィルタ28は、マフラー26の前端側(排気ガスの上流側)の部分に配置されている。フィルタ28の通過時に煤等の微粒子はフィルタ28に捕捉されるため、排気ガスは浄化される。
【0039】
フィルタ28は、目詰まりしないように、適時、加熱することによって再生処理される。具体的には、高温の排気ガスを一定時間流すなどして、フィルタ28は600℃近くまで加熱される。そうすることで、捕捉された微粒子が燃焼し、フィルタ28は微粒子の無い初期の状態に復帰する。
【0040】
排気口27aを通じて雨水が排気管25内に入り込む場合がある。そのため、この油圧ショベル1では、エンジンルーム10の内部に、排気管25内に入り込んだ雨水をエンジンルーム10の外に導く水抜き構造30が設置されている。
【0041】
図3や図4に詳しく示すように、水抜き構造30は、排水孔31やドレンガイド32、上述したドレン開口24などで構成されている。
【0042】
排水孔31は、マフラー26に設けられ、フィルタ28の下流側の部位に開口している。具体的には、マフラー26の後端寄りの部分に、小さな管状の排水ノズル33が設けられている。排水ノズル33は、マフラー26の最も下側の部位から下向きに突出している。そして、その排水ノズル33の先端に排水孔31が開口している。
【0043】
排水孔31は、排気口部27が接続された部位の下側に位置している。従って、排気口27aから雨水がマフラー26の内部に入り込んでも、その下側に排水孔31が位置しているので、円滑に雨水を排出させることができる。
【0044】
なお、マフラー26は、その前端側を後端側よりも相対的に上方に位置させ、後方に向かって下向きに傾いた状態にしておくのが好ましい。そうすれば、仮に雨水がマフラー26内に大量に入り込むようなことがあっても、フィルタ28が雨水に浸かり難くできる。
【0045】
また、排水孔31は、ドレン開口24よりも上方に位置している。詳しくは、右斜め上方に位置している。
【0046】
本実施形態のドレンガイド32は、金属板や合成樹脂等を用いて樋形状に形成されている。具体的には、ドレンガイド32は、帯板状の底板部32aと、底板部32aの各側縁に連なって互いに対向した一対の側板部32bとを有し、上側部分が開放された断面コ字状に形成されている。
【0047】
ドレンガイド32の一方の端部(下端部)は、ドレン開口24の位置及び形状に対応して側壁部20aの左側内面に固定されている。具体的には、ドレン開口24は横に長い矩形形状をしており、その下側の縁に沿って底板部32aが固定され、その両側の縁に沿って側板部32bが固定されている。
【0048】
ドレンガイド32は、ドレン開口24から右方向へ斜め上向きに延びている。そして、ドレンガイド32の他方の端部(上端部)は、排水孔31の鉛直方向下側に位置している。詳しくは、ドレンガイド32の幅寸法は、排水孔31の口径よりも充分大きく設定されている。そして、排水ノズル33は、底板部32aから上方に僅かに離れて位置し、底板部32aの長さ方向における端よりも内側であって、幅方向の略中央の部分に指向している。
【0049】
従って、ドレンガイド32は、排水孔31から流出する雨水を安定して受け止めることができ、ドレン開口24へ滞ることなく導くことができる。雨水は、排気管25の内部を通過する際、煤汚れの無いフィルタ28の下流側の部分を通るため、煤で汚れることなく流出する。従って、雨水をカバー20の側面に形成されたドレン開口24から排出しても、カバー20が煤で汚れないため、美観は損なわれない。
【0050】
しかも、マフラー26の近くに位置するカバー20の側面にドレン開口24を設けたことで、従来のようにエンジンルーム10の下側から排出するのに比べて、ドレンガイド32の長さを短くできる。マフラー26の下方に油圧ポンプ13が配置されていても支障なく設置できる。
【0051】
加えて、本実施形態の水抜き構造30は、熱気の排出口としても機能する。
【0052】
具体的には、エンジンルーム10の内部には、上述したように、右から左に向かって流れる気流が形成されている。それに対し、ドレン開口24は、その気流に対してエンジン12よりも下流側で、気流と対向する位置に配置されている。従って、熱気はドレン開口24に向かって流れるため、ドレン開口24から熱気を効率よく放出させることができる。従って、ドレン開口24は、雨水を排出するだけでなく熱気の排出口としても機能する。熱気の排出に伴い、雨水の排出も促進される点で有利である。
【0053】
更に、本実施形態の水抜き構造30は、エンジン12の騒音が抑制できるようにも工夫されている。
【0054】
具体的には、ドレンガイド32は、側壁部20aの左側面からエンジン12の側(右側)に向かって延びるように配置されている。そして、図4において矢印で示すように、エンジン12側の水平方向からドレンガイド32をカバー20の側面に投影したとき、図5に示すように、ドレン開口24(同図にて網線で示す)がその投影像の内側に位置して重なるように、ドレンガイド32の傾きが設定されている。
【0055】
すなわち、ドレン開口24に向かうエンジン12の騒音は、ドレンガイド32によって遮られ、直接エンジンルーム10の外に漏れ出にくくなる。その結果、エンジン12の騒音を抑制することができる。
【0056】
(変形例)
図6に、水抜き構造30の変形例を示す。本変形例では、ドレンガイド32が筒形状をしている点で、上述した実施形態と相違している(ドレンガイド32Aと称する)。具体的には、ドレン開口24は、円形に形成されている。ドレンガイド32Aは、ドレン開口24と略同径のパイプを用いて形成されており、その一方の端部(下端部)がドレン開口24の縁に沿って固定されている。なお、冷却装置11やマフラー26など、その他の構成や配置等は、上述した実施形態と同様である。
【0057】
ドレンガイド32Aは、ドレン開口24から右方向へ斜め上向きに延びて、ドレンガイド32Aの他方の端部(上端部)の開口(受け口35ともいう)は、排水孔31の鉛直方向下側に位置している。ドレンガイド32Aの直径は排水ノズル33の直径よりも充分大きく設定されている。
【0058】
排水孔31から流出する水を受け止め易くするために、ドレンガイド32Aはその途中で上向きに曲げられていて、受け口35の面積が、鉛直方向から見て大きくなるように設定されている。また、ドレンガイド32Aを途中で曲げずに、排水孔31の下側まで直線状に延ばし、ドレンガイド32Aの上端を水平方向から斜めに切断してもよい。そうすれば、受け口35の断面形状が長円状になり、鉛直方向から見た受け口35の面積を大きくすることができる。
【0059】
なお、本発明にかかる作業機械は、上述した実施形態に限定されず、それ以外の種々の構成をも包含する。
【0060】
例えば、下部走行体はホイール式でもよく、作業機械も油圧ショベルに限らない。排水孔31は、排気管25におけるフィルタ28の下流側に位置していればよく、必ずしもマフラー26に設ける必要はない。冷却装置11やエンジン12、ドレン開口24、マフラー26等、エンジンルーム10の内部での各装置の配置は、左右逆であってもよい。
【0061】
カバー20の側面に熱気の排出口が設けられている機種の場合、その排出口をドレン開口24に利用してもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 油圧ショベル(作業機械)
2 下部走行体
3 上部旋回体(機械本体)
10 エンジンルーム
11 冷却装置
12 エンジン
13 油圧ポンプ
20 カバー
24 ドレン開口(開口部)
25 排気管
26 マフラー
28 フィルタ(微粒子除去装置)
30 水抜き構造
31 排水孔
32 ドレンガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体の上に機械本体が設置された作業機械であって、
前記機械本体は、周囲がカバーで覆われたエンジンルームを備え、
前記エンジンルームの内部には、
エンジンと、
前記エンジンが排出する排気ガスを前記エンジンルームの外に導く排気管と、
前記排気管の途中に設けられ、排気ガス中の微粒子を捕捉する微粒子除去装置と、
前記排気管内の水を前記エンジンルームの外に導く水抜き構造と、
が設置され、
前記水抜き構造は、
前記排気管における、前記微粒子除去装置よりも下流側の部位に開口する排水孔と、
前記カバーの側面における、前記排水孔よりも下方の部位に開口する開口部と、
前記開口部から斜め上向きに延びるドレンガイドと、
を有し、
前記ドレンガイドの上端部が、前記排水孔の鉛直方向下側に位置し、前記排水孔から流出する水を受け止める作業機械。
【請求項2】
請求項1に記載の作業機械において、
前記排気管は、
前記エンジンルームの上部に配置されたマフラーと、
前記マフラーに連なって、先端部分が前記エンジンルームの外に突出した排気口部と、
を有し、
前記排水孔が、前記マフラーに設けられ、前記排気口部の下側に位置している作業機械。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の作業機械において、
前記ドレンガイドが筒形状をしている作業機械。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の作業機械において、
前記ドレンガイドが、上側部分が開放された樋形状をしている作業機械。
【請求項5】
請求項4に記載の作業機械において、
前記エンジンルームの内部に、風向きが一定の気流を生じる冷却装置が設定され、
前記開口部が、気流に対して前記エンジンの下流側となる位置に配置されている作業機械。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の作業機械において、
前記ドレンガイドは、前記エンジン側に向かって延びており、
水平方向から前記ドレンガイドを前記カバーの側面に投影したとき、前記開口部がその投影像の内側に位置して重なるように、前記ドレンガイドが配置されている作業機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−214989(P2012−214989A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79577(P2011−79577)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000246273)コベルコ建機株式会社 (644)
【Fターム(参考)】