説明

作業用車両のバッテリー監視装置

【課題】バッテリーを電源とするショベルやクレーン等の作業用車両は、バッテリーへの依存度が高い。バッテリーの異常や劣化の作業中の把握は困難である。更に、バッテリーの異常/劣化/正常の区別や、バッテリー交換の必要性、などを適格に判断できることが好ましい。
【解決手段】本発明のバッテリー監視装置は、ショベルやクレーン等の作業用車両のバッテリーの状態監視を目的とする。この監視装置は、OFF/ACC/ON/STARTの電源モードの切替をマニュアルで行う選択手段4がOFFからON、ONからOFFのときに、コントローラ100内の検出部8にてバッテリー電圧を検出する。この検出電圧は記録部10に記録する。この記録は、起動時及び終了時に行う。更に、起動時及び終了時にその検出電圧に基づき処理手段200にてバッテリー状態を判断する。この判断結果を記録部10に記録する。起動時及び終了時に、その判断結果を報告手段14にてユーザに報告する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械などの作業用車両の制御系電源としてのバッテリー異常等を監視する監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ショベル、クレーン等の建設機械を含む作業用車両は、内燃機関(エンジン)及びバッテリーを搭載する。
作業用車両は、一般の乗用車と異なり、使用法、使用環境が過酷でバッテリーの消耗度が激しい。バッテリーの日常的な監視が必要である。
また、作業用車両全体に共通して、オーディオ系の他に各種計器類などアクセサリ(ACC)系の機能拡大、操作系の制御機能増大がはかられ、バッテリーの監視の必要性は高い。
従来の作業車両でのバッテリーの監視例には下記の特許文献がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−329040号公報
【特許文献2】特開2007−170050号公報 特許文献1は、建設機械ではないがゴルフカートや草刈り機等の内燃機関使用の作業機械でのバッテリー監視に関し、バッテリーの接続を維持した状態でバッテリー電圧監視を行うと共に、規定値より低下のときにその接続を切り離してバッテリー電圧の検出を行うとしたものである。 特許文献2は、電動式建設機械、例えばバッテリー式電動油圧ショベルに関し、作業中にバッテリー充電量残量を監視し、バッテリーのランニングコストの向上をはかったものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、2共に基本的にバッテリー接続した状態で、バッテリー電圧を監視する。特許文献2は、作業中にバッテリーの監視を行う。
バッテリーの監視は、接続した状態で監視できることが望ましいが、電力供給する負荷に応じて電圧変動があり、正確な電圧の検出は困難である。
また、バッテリーの監視は作業中に困難としても、作業中以外の時期に日常的に可能であることが好ましい。
更に、得られたバッテリーの監視結果を運転者や操作者などのユーザに、いかに時期的に効率の良いタイミングで伝えるかも重要である。
本発明の目的は、こうした課題を解決する作業車両のバッテリー監視装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、主電源と、バッテリーと、主電源とバッテリーとの切替を含む電源モードとしてのOFF/ACC/ON/STARTの選択手段と、を有する作業車両において、
起動時及び終了時の電源モードが、OFFからONへの選択時、ONからOFFへの選択時に、上記バッテリー電圧を検出する検出部と、
この起動時及び終了時の検出部で検出したバッテリー電圧及び、バッテリー交換情報を上記記録部に記憶させると共に、起動時及び終了時に、この記録したバッテリー電圧が異常か否か、バッテリー交換情報に基づいてのバッテリー交換要か、を示す判断結果データを作成し、上記記録部に記録させる処理手段と、
この作成した判断結果データを出力する出力手段と、
を備える作業車両のバッテリー監視装置を開示する。
更に本発明は、上記検出部での検出バッテリー電圧は、作業車両のセンサ等の負荷の印加又は通過電圧から得た値とする作業車両のバッテリー監視装置を開示する。
更に本発明は、上記検出部での検出バッテリー電圧は、バッテリーの出力電圧とする作業車両のバッテリー監視装置を開示する。
更に本発明は、主電源と、バッテリーと、主電源とバッテリーとの切替を含む電源モードとしてのOFF/ACC/ON/STARTの各電源モードの選択手段を有する作業車両において、
バッテリー電圧の検出部と、
起動時及び終了時にバッテリーの異常/劣化/正常/バッテリーの交換要、のいずれかを示すバッテリー状態判断結果を得る処理部と、
出力手段と、
起動時及び終了時に、電源モードが、上記検出部で検出した検出バッテリー電圧と、起動時及び終了時に上記処理部で得たバッテリー状態判断結果と、バッテリー交換情報と、を記録する記録部と、
上記処理部は、起動時にあっては、上記記録部に記録した、その時検出した検出バッテリー電圧とこの起動前の終了時のバッテリー判断結果とに基づいてバッテリー状態判断結果を得るものとし、終了時にあっては、上記記録部に記録した、その時検出した検出バッテリー電圧とこの終了前の起動時のバッテリー判断結果とに基づいてバッテリー状態判断結果を得るものとし、
上記出力手段は、この起動時及び終了時のバッテリー状態判断結果を報告するものとした、
作業車両の監視装置を開示する。
【0006】
更に本発明は、主電源と、バッテリーと、主電源とバッテリーとの切替を含む電源モードとしてのOFF/ACC/ON/STARTの選択手段と、を有する作業車両において、
記録部と、上記選択手段によって上記主電源モードがOFFからONへの選択時、ONからOFFへの選択時に、上記バッテリーの出力電圧Vを検出する検出部と、
この検出部で検出したバッテリーの出力電圧Vを、上記記録部に記憶させると共に、この記録した検出バッテリー電圧Vを、異常判断閾値Vth3と比較し、検出バッテリー電圧Vが、異常判断閾値Vth3以下のときに異常の旨の判断結果データ、異常判断閾値Vth3よりも大きく且つ劣化判断閾値Vth2以下のときに劣化の旨の判断結果データ、劣化判断閾値Vth2よりも大きいときに正常の旨の判断結果データを作成し、上記記録部に記録させる処理手段と、
この作成した判断結果データを出力する出力手段と、
を備える作業車両のバッテリー監視装置を開示する。
【0007】
更に本発明は、上記記録部には、バッテリー変換情報を記録しておき、上記処理手段は、上記判定結果データの作成の他に、上記記録部に記録したバッテリー交換情報を読出してバッテリー交換指示の報知データを作成し、上記記録部にバッテリー交換情報の一部として記録し、上記報告手段は、このバッテリー交換指示のデータをも報知させるものとした作業車両のバッテリー監視装置を開示する。
【0008】
更に本発明は、主電源と、バッテリーと、主電源とバッテリーとの切替を含む電源モードとしての選択手段と、を有する作業車両において、
上記選択手段の電源モードに従って主電源とバッテリーとの電源の切替を行う切替手段と、
この切替手段からの出力を電源として、作業車両のアクチュエータ及びセンサ類の制御・監視を行うと共に、バッテリーの監視手段を有するコントローラと、
を備え、
上記バッテリー監視手段は、
起動時及び終了時の電源モードが、OFFからONへの選択時、ONからOFFへの選択時に、上記バッテリー電圧を検出する検出部と、
この起動時及び終了時の検出部で検出したバッテリー電圧及び、バッテリー交換情報を上記記録部に記憶させると共に、起動時及び終了時に、この記録したバッテリー電圧が異常か否か、バッテリー交換情報に基づいてのバッテリー交換要か、を示す判断結果データを作成し、上記記録部に記録させる処理手段と、
この作成した判断結果データを出力する出力手段と、
を備える作業車両のバッテリー監視装置を開示する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、選択手段による電源モードが、OFFからON、ONからOFFへの選択時にバッテリー電圧を検出することで正確なバッテリー電圧を検出できた。更に、バッテリー状態として、その選択時に、異常/劣化/正常/バッテリー交換を判断できることになり、バッテリー異常のもとでの車両の操作をなくすることができた。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明のバッテリー監視機能を持つコントローラの実施例図である。
【図2】本発明の作業車両として、油圧ショベル例を示す図である。
【図3】油圧ショベルでの運転室内でのレイアウト例図である。
【図4】本発明の作業車両としてバッテリーショベル例を示す図である。
【図5】バッテリーショベルの上部旋回体の構成例図である。
【図6】本発明のバッテリー監視の全体処理フロー例図である。
【図7】図6の処理フローの一部の詳細処理フロー例図である。
【図8】図6の処理フローの他の一部の詳細処理フロー例図である。
【図9】図6の処理フローの他の一部の詳細処理フロー例図である。
【図10】図6の処理フローの他の一部の詳細処理フロー例図である。
【図11】図6の処理フローの他の一部の詳細処理フロー例図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。本発明の作業車両としての油圧ショベルについて説明する。図2に建設機械の一例としての油圧ショベルの全体構成を示す。同図において、11はクローラ式の下部走行体、12は上部旋回体、13は上部旋回体12に設けた掘削作業手段等からなるフロント作業機である。また、上部旋回体12にはオペレータが搭乗して、機械の操作を行うための運転室(キャブ)14が設置されており、この運転室14内には、下部走行体11による走行、上部旋回体12の旋回、土砂の掘削等といった作業を行うためのフロント作業機13を構成するブーム13a、アーム13b、バケット13cの作動等といった操作を行う操作レバーを含む操作手段が設けられている。
【0012】
油圧ショベルの駆動は例えばエンジンにより油圧ポンプを作動させて、油圧モータや油圧シリンダといった油圧アクチュエータを駆動する油圧駆動式、又は主電源からの電力により作動する電磁アクチュエータ方式による。
【0013】
運転室14内には、図3に示したように、モニタ15が設置されており、このモニタ15に各種の情報を表示することによって、機械の操作を行うオペレータにこれらの情報を認識させることができるようになっている。モニタ15は、従って、オペレータが機械の操作を行っている間でも見ることができ、しかも作業中において、前方視野をできるだけ妨げないようにする必要がある。このために、モニタ15は比較的小型の画面を有するものであり、運転室14内において、運転席16の斜め前方に配置されており、例えばピラー17に取り付けられている。
【0014】
電力系を説明する。
電力系は、電力を提供する側を指し、油圧ショベルのエンジンの起動、運転、各種電気系統、アクチュエータなどの操作、センサの駆動源等の、役割を果たす。
電力源は、エンジンのクランクシャフトにつながってエンジンの動力により発電を行う発電機(交流発電機の事例多い)と、バッテリーと、である。発電機は、主電源と呼ばれ、バッテリーは補助電源と呼ばれる。
発電機は、バッテリーの充電機能を持つと共に、バッテリーと共働して電力源となっている。
上記電力源の切替は、手動切替スイッチによって行う。手動切替スイッチは、OFF/ACC/ON/STARTの4つの電源モードの切替を可能にする。
OFFとは、電力の供給停止、ACCとはバッテリーからの電力の供給、ONとは発電機たる主電源からの電力の供給、主としてバッテリーによるSTARTとはエンジンの始動(始動モータの駆動)、を指す。
【0015】
図1は、作業車両の制御及び監視機能を持つコントローラ100及びその周辺を含むブロック図である。
コントローラ100での上記制御とは、作業車両の各種アクチュエータの駆動の制御であり、具体的には電磁アクチュエータ、電磁比例弁、ON/OFF弁の制御がある。
コントローラ100での上記監視とは、センサ類による監視であり、例えば角度、油圧、温度の監視センサがある。角度には、アームやブーム、本体の姿勢(ピッチング、ローリング、旋回)等の操作に伴う各種の角度センサがある。更に、レバーの操作量及びレバーの操作圧の各種センサ、異常の警告手段(ランプやブザー)も含む。
コントローラ100は、上記制御と監視の他に、本実施例の特徴としてのバッテリー2の監視機能を持つ。これについては、後述する。
【0016】
図1は、コントローラ100の他に、主電源1、バッテリー2、電源選択手段3、停止手段4、電源切替手段5、負荷13、報告手段14,記録手段15、設定手段16、を開示した。
【0017】
主電源1は、前述した、エンジンのクランクシャフトにつながってエンジンによって発電を行う発電機である。発電機が交流発電機(オルタネータ)であれば、その交流出力を直流化する整流器を含む。
【0018】
バッテリー2は、エンジンの起動用の起動モータの駆動、エンジンの点火制御、等を行うものである。バッテリー2の充電は、上記主電源1である発電機によって行う。
主電源1とバッテリー2とは共働して電力源となり得るが、コントローラ100に対しては電源モードによって選択的に働く。本実施例では、主電源1とバッテリー2とは、コントローラ100の電源であり、且つバッテリー2の電圧の監視を、電源選択手段3の選択した電源モードに応じて行う。
【0019】
電源選択手段(手動切替スイッチ)3は、運転者又は操作者の手動によって電源モードの選択を行う手動切替スイッチである。電源モードには、OFF/ACC/ON/STARTがあり、手動によって以下の遷移をする。
立上げ時
OFF→ACC→ON1→START→ON2
終了時(エンジン始動後)
ON2→ACC→OFF
終了時(エンジン始動前)
ON1→ACC→OFF
ON1はエンジン停止状態で、ON2はエンジン始動状態を示す。エンジン始動後に、運転者又は操作者が手を離すと、選択状態がSTARTからON状態に戻る。メンテナンス時には、エンジン始動前に電源モードをOFFにする場合もある。
ここで、OFFとは電力の供給停止、ACCとはバッテリー2からの電力の供給、ONとは主電源1からの電力の供給、STARTとはエンジンの始動(モータの駆動開始)、を指す。STARTはバッテリー2によって始動モータを駆動することで行う。
停止手段4は、コントローラ100自体を停止させるものであり、この停止はコントローラ100への電源供給を停止させることで実現させている。
【0020】
切替手段5は、コントローラ100へ供給すべき電力を主電源1からのものか停止手段を介して得られるバッテリー2からのものかの、切替を行う。この切替は、選択手段3で選択した電源モードに基づく。
負荷13は、制御・監視対象としての負荷であり、前述した操作駆動対象、各種センサ等である。
【0021】
報告手段14は、コントローラ100によるバッテリー判断結果のユーザ(運転者又は操作者)への報告手段である。記録手段15は、このバッテリー判断結果の外部記録手段である。設定手段16はユーザ(運転者又は操作者)へのバッテリー判断結果の報告時間の設定手段である。
【0022】
コントローラ100は、前述したように作業車両の監視と制御を行っているが、図1にはそれらを省略して、バッテリー2の状態監視機能のみを示してある。
コントローラ100は、電源切替状態判断部7、バッテリー電圧検出部8、記録呼出し部9、記録部10、記録・報告の終了判断部11、負荷通過後の電圧検出部12、処理・制御手段200を備える。コントローラ100には、センサ、アクチュエータ等の負荷13、報告手段14、外部記録手段15、設定手段16、切替手段3、停止手段4、選択手段5、がそれぞれつながる。
コントローラ100には、切替手段3により選択された電源状態A、停止手段4により選択された電源状態(電圧)Bが入力する。
【0023】
判定部7は、切替手段5の出力Aを受けて電源切替手段5の切替状態の判定を行う。検出部8は、停止手段4からのバッテリー電圧Bの検出を行う。記録部10はバッテリー電圧8を含む検出結果、各種の設定内容、処理結果、判断結果などの各種の記録を行う。呼出し部9は、この記録部10からの記録内容の読出を行う。判断部11は、記録・報告の終了の判断を行う。検出部12は負荷通過後の電圧の検出を行う。出力部6は、負荷への電圧の出力を行う。処理・制御手段(処理手段と呼んでもよい)200は、全体の管理と制御、各種判断処理を行う。
【0024】
コントローラ100につながる負荷13は、センサ、アクチュエータ等の負荷に相当する。コントローラ100は、負荷13へ出力部6を通して電圧を供給し、負荷13の動作電圧(例えばセンサ検出値)の取込みを行って検出部12で検出させる。これにより間接的にバッテリー電圧の状態を検出する。
【0025】
コントローラ100につながる報告手段14(出力手段)は、コントローラ100の判断結果、対策指令などを、画面、音声などを通じてユーザへ報告する。コントローラ100につながる記録手段15はコントローラ100で得た、バッテリー状態の判断結果を受取り記録する。設定手段は16は、コントローラ100からのユーザへの報告時間(間隔を含む)を設定する。これは報告手段14の報告の時間となる。
【0026】
尚、記録部10は、コントローラ100内の内部記録手段であり、記録手段15は、外部記録手段である。記録部10は、コントローラ100内での処理に必要な諸データ及び処理や判断結果を記憶する。記録手段15は、記録部10の内容の外部記録手段として利用する。
【0027】
記録手段15は、検出部8で検出したバッテリー電圧の記録、バッテリー状態の判断結果(データ)の記録、等の各種の記録を行う不揮発性のメモリ手段である。検出バッテリー電圧及びバッテリー状態の判断結果は、検出時点の日時を含む時刻、判断結果を出した時点の日時を含む時刻、を含めて記憶する。記録手段15はバッテリー交換日付を含む交換用データも記録する。記録手段15は、ユーザへのバッテリー状態警告データ/報告済データも記録する。記録手段15は、バッテリー状態判断のための、初期設定値、各種作業・管理データも記録する。
【0028】
報告手段14は、作業車両操作者や運転者などのユーザへバッテリー状態の監視結果を報告する部位である。報知は、モニタ画面の表示、及び又は音声にて、更には印字によって行う例もある。状態監視結果とは、記録部8に記録したバッテリー状態の判断結果としての、正常/劣化/異常/バッテリーの交換指示(時期を含む)、のいずれかである。
処理・制御手段200は、全体の処理制御並びにバッテリー監視処理を行う。
【0029】
図1のコントローラ100内の要素7〜13、外部の要素1〜5、13〜16は、図6以降のフローチャートの処理でその機能を果す。
【0030】
図6は、バッテリー状態の監視の全体処理フローを示す。図7〜図10は、その処理フローの一部の詳細処理フローである。
図6で起動(ステップSやSなど)とは、電源の選択手段3による電源モードでの起動であって、OFFから、OFF以外のモードに切替った状態(ACCとかONとかSTARTとか)を指す。図6での終了(ステップS11、S18など)とは、電源の選択手段3による電源モードが他のモード(ACCとかONとかSTARTとか)からOFFに切替った状態を指す。
ステップS…コントローラ100内の内部状態の初期化を行う。ここの初期化は、コントローラ100の立上げ時に行う。
初期化の内容は以下の通り。
「バッテリーの状態」を示すデータを“正常”に設定(状態フラグを、正常を示すフラグに設定)。
起動時のユーザへの報告時間の設定。
「起動時のユーザへの報告」を示すデータを実行待ちに設定。
「起動時のバッテリー状態の判断」を示すデータを実行待ちに設定。
「終了時のユーザへの報告」を示すデータを実行待ちに設定。
終了時のユーザへの報告時間の設定。
「終了時のバッテリー状態の判断」を示すデータを実行待ちに設定。
「終了時のバッテリー状態の記録」を示すデータを実行待ちに設定。
ここで、示すデータを実行待ちとは、図6のステップS以降の処理実行待ちとのことであり、当該データをデータ処理的にはゼロなどの初期値にクリア状態にすることと同義である。即ち、処理実行によって、カギカッコ書きのデータがその実行結果として得られるとの意味である。
【0031】
ステップS…起動時のバッテリー状態の判断処理が完了しているか否かをチェックする。この判断処理とは、バッテリー状態をデータ的に確認することであり、起動の立上げ時点では未確認の故に、起動されると必ずステップSに移り、更にS〜Sへと移る。ステップS〜Sがバッテリー状態の確認判断のための一連の処理フローであり、ステップSに移った後でステップS〜Sの処理を実行すると、起動時のバッテリー状態の確認判断がなされ、バッテリー判断状態を示すデータが得られ記録部10に記録されたことになる。そして、それ以降は、ステップSに移ることはなく、必ずステップS以降へと進む。
【0032】
ステップS…記録部10に記録されている、終了時のバッテリー状態を示すデータを読出す処理を行う。終了時とは、今回の起動以前であって、作業車両の最新の作業終了(動作終了)でのその終了時点を指す。終了時点の電源モードのOFF時に必ずバッテリー電圧を検出し、この検出電圧をもとにバッテリー状態の判断を行っており、その結果が記録部10にデータとして記録されている。これを、読出すとしたのがステップSである。かかる読出したバッテリー状態を示すデータは、後述する図8、図9で使用する。上記バッテリーの状態を示すデータは、検出バッテリー電圧の他に、バッテリーの正常/異常/劣化の判断結果、並びにバッテリー交換データ、を含む。
【0033】
ステップS…このステップSは、起動時にバッテリー状態を検出する判断処理であり、その詳細は図7により後述する。ここでのバッテリー状態とは、起動時に行われるバッテリーに対する判断結果である。図6のステップS12も同じバッテリー状態の検出処理であるが、ステップS12が終了時の処理である点で異なる。図7の処理内容は後述するが、その処理結果は、起動時のバッテリー状態が正常/劣化/異常のいずれかの判断、並びにバッテリー交換推奨等の指示、である。この判断処理にはそれ以前の終了時のバッテリー状態の判断結果も考慮される。この処理結果は記録部10に記録する。
ステップS…ステップSで判断結果がでたことで、「起動時の判断」のフラグを“1”にし、判断完了とする。
【0034】
ステップS…起動時の、ユーザへ報告するバッテリー状態を選択する処理である。起動時のバッテリー状態はステップS(即ち図7の処理)で得られるが、ステップSで記録部10から読出した終了時のバッテリー状態を示すデータを加味して最終状態判断を行わせることを目的としたのが、このステップSである。この最終判断したバッテリー状態(正常/劣化/異常/交換推奨のいずれか)が報告データとして選択される。この選択したバッテリー状態データは図11に示す処理にて報告手段14を介してユーザに提供されるが、このステップSでは報告データの作成で処理を終る。
【0035】
ステップS、S…起動時にあっては、必ずステップS〜Sの処理を行うが、この処理完了後、即ち起動時でのバッテリー状態の判断処理完了後にあっては、必ずステップSに移る。ステップSでは、起動時のバッテリー状態の報告即ちステップSによる報告が終了かをチェックする。この最初は完了していない故に、必ず、起動時のバッテリー状態の報告処理を行うステップSに移る。そして報告を行う。この報告後にあっては報告完了したことによってステップSへと移る。尚、ステップSの詳細は図8であり、後述する。
【0036】
ステップS、 S10…このステップSは、ユーザへの起動時のバッテリー状態の報告が完了(ステップS)していることを前提にした処理であり、電源モードがOFF以外かをチェックする。OFF以外とは、ACC/ON/STARTのいずれかを指す。OFFであれば、ステップS11に移る。ACC/ON/STARTのいずれかであればステップS10へと移り、バッテリーの交換情報の更新を行う。ステップS10での交換情報は記録部10へ記録させる。
【0037】
ステップS11…電源モードがOFF時に働くステップであり、終了時のバッテリー状態の判断処理が完了(ステップS12〜S14の処理完了)しているか否かをチェックする。バッテリー状態の判断処理が完了してない段階では必ずステップS12へと移り、完了していればステップS15へ移る。
【0038】
ステップS12〜S14…終了時にバッテリー状態の判断処理が未だ終了していない段階で必ず動作する処理であり、起動時のステップS〜Sのステップに相当する。ステップS12でバッテリー状態を検出し、ステップS13で「終了時の判断」データを“完了”にし、ステップS14で終了時の報告するバッテリー状態を選択(決定)する。ステップS12の詳細が図7、ステップS14の詳細が図9である。ステップSでの起動時が図8、ステップS14での終了時が図9と区別している。図7、図9の詳細動作は後述する。
【0039】
ステップS15…終了時にステップS12〜S14の処理が終了した後にあっては、ステップS15へ移る。このステップS15は、バッテリーの状態の記録が記録部10に記録され完了しているか否かをチェックする。ステップSと同様な処理である。完了していなければステップS16、S17の処理を行い、この終了後にあってはステップS17の記録の完了を受けてステップS18へ移る。
【0040】
ステップS16、S17…ステップS16で終了時のバッテリー状態を記録部10に記録し、ステップS17で記録を完了とする。
【0041】
ステップS18…終了時のユーザへの報告が完了しているか否かをチェックする。この時点では報告されていないことから、必ずステップS19へと移り、終了時のバッテリー状態を報告手段14を介して報告する。報告終了後にあっては必ずステップS20へと移る。ステップS19の詳細は図11であり、後述する。
【0042】
ステップS20…ステップS19の終了後にあっては、必ずステップS20へと移り、コントローラ100自体の停止を行う。これは、停止手段4によって、コントローラ100への入力電源を遮断することで達成する。
【0043】
図6のステップS、S12の詳細処理となる図7の動作を説明する。図7はバッテリー状態の検出処理である。この検出処理では、3つの基準閾値Vth1、Vth2、Vth3を使う。
th1が負荷13の動作電圧判定用基準閾値である。例えば、操作レバーの駆動電圧やセンサの検出電圧等を含む動作電圧Vが判定対象となる。この検出を行うのが検出部12であり、この検出電圧Vはコントローラ100内に取り込まれてVth1と大小比較される。Vth2、Vth3はバッテリー2の電圧判定用であり、判定対象は、検出部8によって検出されたバッテリー電圧Vである。Vth3<Vth2の関係にあり、Vth3が異常判定用閾値、Vth2が劣化判定用閾値である。Vth3は明かな異常であることの電圧値、Vth2が明かな異常値ではないが動作が安定しないとみられるレベルの電圧値、である。
【0044】
ステップS30…このステップS30は、検出部12で検出した負荷の動作電圧Vと第1の異常判定用閾値Vth1との大小比較を行う。V>Vth1であればステップS33へと移りV≦Vth1であればステップS31へ移る。動作電圧Vは、例えば数Vの値である。検出部12での検出目的は、負荷の動作電圧が正常かを知るためである。これにより、バッテリー2の異常を間接的に検出している。検出対象は負荷への供給電圧か、負荷通過後の電圧かのどちらでもよいが、図1の検出部12では後者の例を示してある。
【0045】
ステップS31、S32…ステップ31は、ステップS30でのV<Vth1の条件のもとで、その時の電源モードがACCであるか否かをチェックする。ACCとは、主電源1からの供電がなくバッテリー2からの給電がある状態である。ACCであるときにバッテリーの状態判断を行うものとしており、ACCであればステップS32へ移り、バッテリー状態を負荷側からみての“異常”とするとのデータにする。これは記録部10へ記録する。
【0046】
ステップS29、S33…ステップS33は、ステップS30でV>Vth1であるとき、又は、ステップS31でACCでないとき即ちOFF/ON/STARTのいずれかであるとき、のどちらかの条件でステップS29での検出部8での検出電圧Vの判定の動作をする。ステップS29の検出部8は、切替手段3の出力電圧がバッテリーからのものであるとき、又は停止手段4の出力であるバッテリー電圧、のいずれかで、バッテリー電圧Vを検出する。判定では、第2の異常判定用閾値Vth3とVとの大小比較を行う。V>Vth3であればステップS34へと移り、V≦Vth3であればステップS32へと移り、バッテリー状態を“異常”とするとのデータにする。これは記録部10へと記録する。尚、バッテリー電圧は例えば24Vであり、これに対応してVth2、Vth3が経験的に設定される。
【0047】
ステップS34、S35…ステップS34は、バッテリー検出電圧Vと劣化判定用閾値Vth2との大小比較を行う。V>Vth2であればステップS36へ移り、V≦Vth2であれば、ステップS35へと移り、バッテリー状態を“劣化”とするとのデータにする。
【0048】
ステップS36…ステップS36は、V>Vth2であるときに、バッテリーの使用期間が交換を推奨する日数を経過したか否かをチェックする。この日数及び使用期間が記録部10に記録されており、呼出し部9によって読出してチェックを行う。
このステップS36はあくまで念のためのチェックであるが、必ず日常時にその都度行う。
【0049】
ステップS37、S38…ステップS36のチェックの結果、日数経過していれば、ステップS37でバッテリー状態を“交換推奨”とのデータにする。経過していなければステップS38で、バッテリー状態を“正常”とのデータにする。
【0050】
図6のステップSの、詳細処理である図8の動作を説明する。図8では、現地点でのバッテリー状態の判断結果と、図6のステップSにて記録部10から読出した終了時のバッテリー状態の判断結果と、を用いてバッテリー状態を選択しながら判断する。
【0051】
ステップS40、S41…ステップS40はステップSで検出したバッテリー状態は“異常”を示すデータか否かチェックする。“異常”を示すデータであれば、ステップS41へと移り、警告すべきバッテリー状態を“異常”とする報告データを作る。
【0052】
ステップS42…ステップS42は、ステップS40の“異常”でない旨のデータのときに動作し、図6のステップSで記録部10から読出した終了時のバッテリー状態の判断結果が“異常”であるか否かをチェックする。“異常”であればステップS41へ移り、“異常”でなければステップS43へ移る。
【0053】
ステップS43、S44…ステップSで検出したバッテリー状態が“劣化”か否かをチェックする。“劣化”であればステップS44へ移り、“劣化”の旨の報告データを作る。
【0054】
ステップS45…ステップS45はステップSで検出したバッテリー状態が“劣化”か否かチェックする。“劣化”であればステップS44へ移り、“劣化”でなければステップS46へと移る。
【0055】
ステップS46、S47…バッテリー状態が“変換推奨”か否かをチェックする。これも図6のステップS(図7)の処理結果を受けての処理となる。“変換推奨”であればステップS47へと移り、報告データとして“変換推奨”なるデータを作る。“変換推奨”でなければ、読出したバッテリー状態が“変換推奨”か否かをチェックし、“変換推奨”であればステップS47へと移る。そうでなければステップS49へと移り、報告するバッテリー状態を“正常”とするデータを作る。
【0056】
図6のステップS14の、詳細処理である図9の動作を説明する。図9でも、図8と同様、図6のステップSでの検出結果と、図6のステップSで読出した検出結果と、を利用する。
【0057】
ステップS50、S51…図6のステップS(図7)のバッテリー状態の検出を受けて、“異常”を示すデータであるか否かをチェックし、“異常”を示すデータであればステップS11へ移り、報告すべきデータとして、“異常”の旨のデータを作る。“異常”を示すデータでなければステップS52へ移る。
【0058】
ステップS52…読出したバッテリー状態の検出結果が“異常”を示すデータであるか否かチェックし、“異常”を示すデータであればステップS51へ移り、そうでなければ、ステップS53へ移る。
【0059】
ステップS53、S54…図6のステップSで検出したバッテリー状態が“劣化”を示すデータであるかをチェックし、そうであればステップS54へ移り、報告すべきデータとして、“劣化”を示すデータを作る。そうでなければステップS55へ移る。
【0060】
ステップS55…図6のステップSで読出したバッテリー状態が“劣化”を示すデータか否かをチェックし、そうであればステップS54へ、そうでなければステップS55へ移る。
【0061】
ステップS56、S57…図6のステップSで検出したバッテリー状態が“正常”を示すデータか否かをチェックし、そうであればステップS57へと移り、“正常”の旨のデータを報告データとして作り、そうでなければステップS58へと移り、“交換推奨”の旨の報告データを作る。
【0062】
図10、図11を併せて説明する。これは図6のステップS、S19の詳細処理である。
【0063】
ステップS60、S70…起動時、終了時にバッテリー状態を報告手段14を介してユーザへ報告する。この報告データは、図8、図9で作成した報告データである。
報告の仕方は画面、音声によるガイダンス、ランプの点滅、ブザーの鳴動、操作装置やシートの振動などによる。
ステップS61、S71…ユーザへの報告時間を更新する。何時報告したかの報告時間の記録の他、複数回報告すべき設定であれば、その回数の記録等である。この報告時間は設定手段16によって設定されたものである。
【0064】
ステップS62、S72…更新した時間は、定めた回数(閾値)に達したか否かをチェックする。
ステップS63、S73…定めた回数に達したならばユーザーの報告状態を“完了”にする。
【0065】
以上の各処理フローは一例であって、それ以外の処理フローを否定するものではない。また、図1のコントローラ6は、コンピュータシステムによっても実現できることは云うまでもない。更に、車両としたが、固定型の作業機械にも適用可能である。
【0066】
次ぎにバッテリーショベルについて説明する。
バッテリーショベルは、排気ガスがなく、騒音振動の少ないことの利点の機械であり、商用電源やバッテリーを含む主電源から電力を供給し、電動モータの制御、アクチュエータの駆動を行うものである。バッテリーを電力供給源としたショベルは、バッテリーからの電力はインバータを介し、複数の電動モータへ供給される。アクチュエータ駆動用の電動モータは、掘削作業等を行うリンク機構を駆動する各アクチュエータのシリングへ圧油を供給する油圧ポンプを、駆動する旋回用の電動モータは、上部旋回体を下部走行体に相対的に回動する旋回機構を直接駆動し、走行用の電動モータは走行機構を直接駆動する。
【0067】
作業車両として、掘削等の作業行うリンク機構を油圧システムで駆動し、旋回及び走行を電動モータで直動で動かすバッテリー式電動油圧ショベルを例として説明する。
【0068】
最初に、本実施形態による作業車両である電動ショベルの全体構成について説明する。
図3は、本発明の一実施形態による作業車両である電動ショベルの全体構成を示す側面図である。
【0069】
バッテリーショベル11Aは、上部旋回体12Aと、リンク機構13Aと、下部走行体14Aとからなる。また、このシステムでは、リンク機構を油圧で駆動し、上部旋回体12Aの旋回及び下部走行体14Aの走行は電動モータにより駆動する。
【0070】
リンク機構13Aの構成は、ブーム31と、アーム32と、バケット33と、ブーム31、アーム32、バケット33にそれぞれ駆動力を与える油圧シリンダ34a、34b、34cとからなる。
【0071】
下部走行体14Aは、主に、トラックフレーム41と、上部旋回体を回動させる旋回輪ベアリング42と、走行機構43L、43Rと無限軌道覆帯44L、44Rとからなる。
【0072】
次ぎに、作業車両である電動ショベルの上部旋回体12Aの構成について説明する。
図5は、電動ショベルの上部旋回体の構成を示す上面図である。
【0073】
上部旋回体12Aは、メインフレーム20の上に、主にスリップリング21と、コンダクタ制御盤22と、インバータ収納部23と、バッテリー収納部24と、作動油タンク25と、油圧制御弁部26と、油圧ポンプ収納部27と、旋回機構28と、運転室29とが搭載されている。他、オイルクーラ等の補機類があるが、ここでは省略する。
【0074】
スリップリング21は、駆動用バッテリー241の電力を上部旋回体12Aの回動に妨げられる事なく、走行機構43に伝達する機構である。
【0075】
インバータ収納部23は、複数のインバータ231a、…、231e及びインバータ231a、…、231eを覆うカバー232からなる。本例では、インバータ231a、を油圧ポンプ駆動用、インバータ231bが旋回用、231c、231dが走行用、インバータ231eがパイロット油圧ポンプ駆動用としている。
【0076】
バッテリー収納部24は、高電圧で複数の動力用バッテリー241と低電圧で複数の制御系電力用バッテリー242と、動力用バッテリー241及び制御系電力用バッテリー242を覆うカバー243とからなる。
【0077】
コンダクタ制御盤22には図示しないが、動力用バッテリー241からの電力のスイッチングを行うコンダクタや、ブレーカが設置してある他、バッテリーを管理するバッテリーコントローラがある。
【0078】
油圧制御弁部26は、リンク機構に油圧を供給する油圧制御弁261と、油圧制御弁261を制御するパイロット弁262とからなる。
【0079】
油圧ポンプ収納部27は、油圧ポンプ用電動モータ271と、油圧ポンプ272と、電動モータ271及び油圧ポンプ272の軸を連結するカップリング273と、パイロット油圧ポンプ用電動モータ274と、パイロット油圧ポンプ275と、電動モータ274及びパイロット油圧ポンプ275の軸を連結するカップリング276と、これらを覆うカバーとからなる。電動モータ271、274は、3相交流とし、バッテリーからの直流/交流変換にインバータを用いている。
【0080】
以上のバッテリーショベルにあっても、コンピュータシステムを含む、制御処理手段としてのコントローラを持つ。このコントローラの専用電源としてコントローラ用バッテリーがある。このコントローラ用バッテリーは、前記主電源と区別される。制御処理手段としてのコントローラは、操作レバーを含む各種アクチュエータの制御、各種センサ類の駆動、並びにそれらの制御に必要な処理、アクセサリ系の制御、モニタ画面の制御、及びこの制御のための各種の処理を行う。
コントローラはその内部に図1等で示したコントローラ用バッテリーの監視機能を備える。
【符号の説明】
【0081】
1 主電源
2 バッテリー
3 選択手段
4 停止手段
5 切替手段
8 バッテリー電圧検出部
10 記録部
14 報告手段
100 コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主電源と、バッテリーと、主電源とバッテリーとの切替を含む電源モードとしてのOFF/ACC/ON/STARTの選択手段と、を有する作業車両において、
起動時及び終了時の電源モードが、OFFからONへの選択時、ONからOFFへの選択時に、上記バッテリー電圧を検出する検出部と、
この起動時及び終了時の検出部で検出したバッテリー電圧及び、バッテリー交換情報を上記記録部に記憶させると共に、起動時及び終了時に、この記録したバッテリー電圧が異常か否か、バッテリー交換情報に基づいてのバッテリー交換要か、を示す判断結果データを作成し、上記記録部に記録させる処理手段と、
この作成した判断結果データを出力する出力手段と、
を備える作業車両のバッテリー監視装置。
【請求項2】
上記検出部での検出バッテリー電圧は、作業車両のセンサ等の負荷の印加又は通過電圧から得た値とする請求項1の作業車両のバッテリー監視装置。
【請求項3】
上記検出部での検出バッテリー電圧は、バッテリーの出力電圧とする請求項1の作業車両のバッテリー監視装置。
【請求項4】
主電源と、バッテリーと、主電源とバッテリーとの切替を含む電源モードとしてのOFF/ACC/ON/STARTの各電源モードの選択手段を有する作業車両において、
バッテリー電圧の検出部と、
起動時及び終了時にバッテリーの異常/劣化/正常/バッテリーの交換要、のいずれかを示すバッテリー状態判断結果を得る処理部と、
出力手段と、
起動時及び終了時に、電源モードが、上記検出部で検出した検出バッテリー電圧と、起動時及び終了時に上記処理部で得たバッテリー状態判断結果と、バッテリー交換情報と、を記録する記録部と、
上記処理部は、起動時にあっては、上記記録部に記録した、その時検出した検出バッテリー電圧とこの起動前の終了時のバッテリー判断結果とに基づいてバッテリー状態判断結果を得るものとし、終了時にあっては、上記記録部に記録した、その時検出した検出バッテリー電圧とこの終了前の起動時のバッテリー判断結果とに基づいてバッテリー状態判断結果を得るものとし、
上記出力手段は、この起動時及び終了時のバッテリー状態判断結果を報告するものとした、
作業車両の監視装置。
【請求項5】
主電源と、バッテリーと、主電源とバッテリーとの切替を含む電源モードとしてのOFF/ACC/ON/STARTの選択手段と、を有する作業車両において、
記録部と、上記選択手段によって上記主電源モードがOFFからONへの選択時、ONからOFFへの選択時に、上記バッテリーの出力電圧Vを検出する検出部と、
この検出部で検出したバッテリーの出力電圧Vを、上記記録部に記憶させると共に、この記録した検出バッテリー電圧Vを、異常判断閾値Vth3と比較し、検出バッテリー電圧Vが、異常判断閾値Vth3以下のときに異常の旨の判断結果データ、異常判断閾値Vth3よりも大きく且つ劣化判断閾値Vth2以下のときに劣化の旨の判断結果データ、劣化判断閾値Vth2よりも大きいときに正常の旨の判断結果データを作成し、上記記録部に記録させる処理手段と、
この作成した判断結果データを出力する出力手段と、
を備える作業車両のバッテリー監視装置。
【請求項6】
上記記録部には、バッテリー変換情報を記録しておき、上記処理手段は、上記判定結果データの作成の他に、上記記録部に記録したバッテリー交換情報を読出してバッテリー交換指示の報知データを作成し、上記記録部にバッテリー交換情報の一部として記録し、上記報告手段は、このバッテリー交換指示のデータをも報知させるものとした請求項1記載の作業車両のバッテリー監視装置。
【請求項7】
主電源と、バッテリーと、主電源とバッテリーとの切替を含む電源モードとしての選択手段と、を有する作業車両において、
上記選択手段の電源モードに従って主電源とバッテリーとの電源の切替を行う切替手段と、
この切替手段からの出力を電源として、作業車両のアクチュエータ及びセンサ類の制御・監視を行うと共に、バッテリーの監視手段を有するコントローラと、
を備え、
上記バッテリー監視手段は、
起動時及び終了時の電源モードが、OFFからONへの選択時、ONからOFFへの選択時に、上記バッテリー電圧を検出する検出部と、
この起動時及び終了時の検出部で検出したバッテリー電圧及び、バッテリー交換情報を上記記録部に記憶させると共に、起動時及び終了時に、この記録したバッテリー電圧が異常か否か、バッテリー交換情報に基づいてのバッテリー交換要か、を示す判断結果データを作成し、上記記録部に記録させる処理手段と、
この作成した判断結果データを出力する出力手段と、
を備える作業車両のバッテリー監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−62661(P2012−62661A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−206648(P2010−206648)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】