説明

作業装置の駆動操作機構およびその駆動操作機構を用いた乗用型作業機

【課題】 複数種の作業装置の操作状態を精度良く検出するための構成を簡単な構造で得るとともに、作業装置の作業形態の多様化にも対応し易くする。
【解決手段】
複数種の作業装置を対とした複数組の作業装置ユニットを各組毎に選択する各別操作手段43による操作量を、全部の組に作用する全部操作手段47による操作量よりも大きく設定して、全部操作手段47が停止操作されたときには、総ての組の各別操作手段43に連係された複数種の作業装置ユニットのうちの一部の作業装置の駆動が停止され、残りの作業装置の駆動が継続されるように構成し、各別操作手段43が停止操作されたときには、その選択された各別操作手段43に連係する組の総ての作業装置の駆動が停止されるように構成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種の作業装置を対とした複数組の作業装置ユニットと、その作業装置ユニットを操作するための操作手段とを備えた作業装置の駆動操作機構、および、その駆動操作機構を用いて肥薬供給装置と播種または苗植付けを行う植播系作業装置の駆動を操作するように構成した乗用型作業機に関する。
尚、本明細書では、肥料または薬剤を供給するための装置を「肥薬供給装置」と称し、圃場での播種あるいは苗植付の作業を行うための作業装置を総称して「植播系作業装置」と称する。
【背景技術】
【0002】
上記のように、複数種の作業装置を対とした複数組の作業装置ユニットと、その作業装置ユニットを操作するための操作手段とを備えた作業装置の駆動操作機構、あるいは、自走機体に対して、肥薬供給装置や植播系作業装置を装備させた乗用型作業機としては、従来より下記[1]および[2]に記載のものが知られている。
[1] 肥料を貯留する貯留容器と、その貯留容器からの肥料供給状態を制御する繰り出し機構とで構成される肥薬供給装置を自走機体側に搭載するとともに、圃場に設定した条列に沿って植付作業を行う植播系作業装置を自走機体の後方に装備した乗用型作業機において、各条クラッチの切り操作を、走行機体上の切換レバーの操作で各条毎に行うように構成するとともに、圃場端などでの植播系作業装置の上昇にともなって、切り状態の各条クラッチを自動的に入り状態に復帰させるように構成してある(たとえば特許文献1参照)。
[2] 肥料を貯留する貯留容器と、その貯留容器からの肥料供給状態を制御する繰り出し機構とで構成される肥薬供給装置を自走機体側に搭載するとともに、圃場に設定した条列に沿って植付作業を行う植播系作業装置を自走機体の後方に装備した乗用型作業機において、各条クラッチの切り操作を、走行機体上の切換レバーの操作で各条毎に行うように構成するとともに、全条のクラッチを一度に切り操作するための一括切り操作レバーを備えている。また、各条のクラッチの切り操作に基づいて、所定条に対する肥料供給作動を停止させるようにしてある(たとえば特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2002−262624号公報(段落「0054」〜「0058」、図8,10,11,12,13)
【特許文献2】特開2004−298122号公報(段落「0049」〜「0052」、「0057」、図1,2,10,11,12,13)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記[1]に記載の従来技術では、各条クラッチの切り操作に連係して、施肥装置の繰り出し機構を制御し、所定条列への肥料供給を停止することができるので、各条クラッチの操作に伴う施肥装置側での操作忘れや誤操作を回避し易い点で有利なものである。
そして、この構造のものでは、走行機体が圃場端に達して機体旋回を行うにあたって植播系作業装置を上昇操作すると、その上昇操作にともなって、切り状態にあった各条クラッチを入り状態に自動復帰させるように構成しているので、各条クラッチ切り後の全条植えに際して、各条クラッチの戻し忘れがない点でも有利なものである。
しかしながら、乗用型作業機の使用の仕方としては、必ずしもこのような使い方だけではなく、例えば所定の各条クラッチを切り状態にして植付作業を行っている途中で、苗補給のためや何らかの要因で一時的に作業装置を上昇させた場合、全条が自動的にクラッチ入り状態にされるのであるが、そのまま作業装置を下降させると、所定の各条クラッチが切り操作されないまままで全条植えが行われてしまう。これを避けるために、各条植えの途中で作業装置が上昇され、その後に下降された場合には、再び所定の各条クラッチを切り操作する必要があり、このことを忘れないようにしなければならない煩わしさがある。
前記[2]に記載の従来技術では、各条クラッチの切り操作に連係して、施肥装置の繰り出し機構を制御し、所定条列への肥料供給を停止することができるとともに、全条のクラッチを人為的に一度に切り操作するための一括操作用の操作レバーを備えている。また、各条クラッチの切り操作に基づいて、所定条に対する肥料供給作動を停止させるようにしてある。
したがって、各条クラッチを切り状態にした作業途中で作業装置を上昇させた場合にも、一括操作用の操作レバーを操作しなければ、そのまま各条クラッチ切りでの作業を再開できる点で有用であるが、圃場端で全条入りに変更操作する際に、一括操作用の操作レバーを全条入り状態に変更操作することを忘れないようにしなければならない煩わしさがある。
また、この構造のものでは、何れの各条クラッチが切り操作されているかを表示する手段については特に設けられていないので、この点でも各条クラッチの切り忘れや戻し忘れが生じる虞がある。
【0005】
このような不具合を解消するために、本発明の出願人は、先に提出した出願(特願2006−54841号)において、図21に示すように、各条クラッチレバーによって操作されるクラッチアームの動きを検出して各条クラッチの入り切りを検出するようにした構造を提案した。
このようにクラッチアームの動きを検出するように構成すると、圃場端での作業装置の上昇操作で切り状態の各条クラッチが入り状態に戻されても、そのことが表示されるため、各条クラッチの切り忘れや入り忘れを回避し易いものである。
ところが、施肥クラッチのみを切って植付作業を行いたい場合には、この先の出願の構造では、次のような不具合がある。つまり、この先の出願では施肥クラッチを切ると植付クラッチが入り状態のままであるにも拘わらず切り状態であると表示することになるため、実際の作業状態と、表示状態とが異なることになり、操縦者が違和感を感じてとまどう不具合がある。
【0006】
本発明の目的は、複数種の作業装置の操作状態を精度良く検出するための構成を簡単な構造で得るとともに、作業装置の作業形態の多様化にも対応することのできる作業装置の駆動操作機構およびその駆動操作機構を用いた乗用型作業機を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために講じた本発明による作業装置の駆動操作機構では、下記の技術手段を講じたものである。
〔解決手段1〕
複数種の作業装置を対とした複数組の作業装置ユニットと、それらの各作業装置ユニットを各組毎に選択して作動状態と作動停止状態とに切換操作可能な各別操作手段と、前記各作業装置の全部の組に作用して、同時的に作動状態と作動停止状態とに切換操作可能な全部操作手段とを備え、
前記各別操作手段には、各別操作手段の夫々が操作されたことを各別に検出する各別操作検出手段を備えるとともに、前記全部操作手段は、全部操作手段が操作されたことを検出する全部操作検出手段を備え、
前記各別操作手段による操作量を全部操作手段による操作量よりも大きく設定して、全部操作手段が停止操作されたときには、総ての組の各別操作手段に連係された複数種の作業装置ユニットのうちの一部の作業装置の駆動が停止され、残りの作業装置の駆動が継続されるように構成し、各別操作手段が停止操作されたときには、その選択された各別操作手段に連係する組の総ての作業装置の駆動が停止されるように構成してある。
【0008】
〔解決手段1にかかる発明の作用及び効果〕
上記のように、各別操作手段には各別操作手段の夫々が操作されたことを各別に検出する各別操作検出手段を備えるとともに、全部操作手段には、全部操作手段が操作されたことを検出する全部操作検出手段を備えたことにより、各別操作手段で個別に操作された作業装置を、例えば作業装置の上昇などに伴って自動的にもとの状態に復帰させるように構成したとしても、その作業装置の状態変化に追随して、現在の状態を各別操作検出手段で確実に検出することができるので、各別操作手段によるその後の操作を、とまどうことなく的確に行い易いという利点がある。
そして、各別操作手段による操作量を全部操作手段による操作量よりも大きく設定して、全部操作手段が停止操作されたときには、総ての組の各別操作手段に連係された複数種の作業装置ユニットのうちの一部の作業装置の駆動が停止され、残りの作業装置の駆動は継続されるように構成してあるので、全部の作業装置ユニットのうちの一部の作業装置の駆動のみを停止して、残りの作業装置による作業を継続したい場合に、全部操作手段を用いて簡単に駆動状態を切換操作できる利点がある。しかも、このように構成すると、前述の各別操作検出手段での検出機能との相乗で、全部の作業装置ユニットのうちの一部の作業装置が停止し、残りの作業装置だけが駆動しているときに、停止している一部の作業装置の駆動が駆動されていることを検出してしまうような、違和感を生じることなく作業を行うことができる。
また、一部の作業装置ユニットのうちの全部の作業装置の作動を停止して作業を行いたい場合には、選択された各別操作手段に連係する組の総ての作業装置の駆動が停止されるように構成してあるので、一部の作業装置ユニットの作動を停止した作業状態への切換も簡単に行うことができる。
【0009】
〔解決手段2〕
解決手段2にかかる発明では、上記解決手段1に記載の作業装置の駆動操作機構において、各別操作手段と全部操作手段とは、夫々異なる人為操作具に連係されていて、全部操作手段による停止操作方向への操作領域の端部が、各別操作手段による停止操作側への操作領域の端部よりも操作方向での手前側に設定されている点に構成上の特徴がある。
【0010】
〔解決手段2にかかる発明の作用及び効果〕
上記解決手段1に記載の作業装置の駆動操作機構と同様な作用効果を有するとともに、各別操作手段と全部操作手段とを、夫々異なる人為操作具で任意に行うことができる。
【0011】
〔解決手段3〕
解決手段3にかかる発明では、肥料または薬剤を貯留する貯留容器と、その貯留容器からの肥料または薬剤の供給状態を制御する繰出し器とで構成される肥薬供給装置を自走機体側に搭載するとともに、作物育成予定箇所として圃場に設定した条列に沿って播種または植付作業を行う植播系作業装置を自走機体の後方に装備した乗用型作業機において、
前記植播系作業装置に、作業対象となる所定の条列毎に作業開始及び作業停止を選択するための各条クラッチを備え、前記各条クラッチの夫々を個別にまたは所定単位毎に入り切り操作するための条選択操作機構の人為操作部を自走機体側に装備し、
前記条選択操作機構を、前記肥薬供給装置と植播系作業装置とを対とした複数組の作業装置ユニットを各別に選択して作動状態と作動停止状態とに切換操作可能な各別操作手段と、前記各作業装置の全部の組に同時的に作用して作動状態を切換操作可能な全部操作手段とで構成するとともに、前記条選択操作機構中に、作業停止が選択された所定条列に対する肥薬供給装置からの肥薬供給を停止するように、肥薬供給装置の作動を制御する連係機構を設け、
前記各別操作手段による操作量を全部操作手段による操作量よりも大きく設定して、全部操作手段が停止操作されたときには、総ての組の各別操作手段に連係された複数種の作業装置のうちの肥薬供給装置の駆動が停止され、残りの植播系作業装置の駆動が継続されるように構成し、各別操作手段が停止操作されたときには、その選択された各別操作手段に連係する肥薬供給装置と植播系作業装置の駆動が停止されるように構成した駆動操作機構を備えてあることを特徴とする。
【0012】
〔解決手段3にかかる発明の作用及び効果〕
解決手段3にかかる発明では、作業対象となる所定の条列毎に作業開始及び作業停止を選択するための各条クラッチを備えた植播系作業装置側における特定の条列に対する各条クラッチが入り切り操作されたことを検出するにあたり、植播系作業装置側ではなく、自走機体側の装備を有効利用して検出している。したがって、植播系作業装置側における検出誤差の精度や、条選択操作機構中での誤差などの影響を排除して、簡単な構造で精度良く検出し得る点で有利である。
上記のように、各別操作手段には各別操作手段の夫々が操作されたことを各別に検出する各別操作検出手段を備えるとともに、全部操作手段には、全部操作手段が操作されたことを検出する全部操作検出手段を備えたことにより、圃場端での作業装置の上昇操作で切り状態の各条クラッチが入り状態に戻されても、そのことが表示されるため、各条クラッチの切り忘れや入り忘れを回避し易いものである。
そして、各別操作手段による操作量を全部操作手段による操作量よりも大きく設定して、全部操作手段が停止操作されたときには、総ての組の各別操作手段に連係された複数種の作業装置ユニットのうちの一部の作業装置の駆動が停止され、残りの作業装置の駆動が継続されるように構成し、各別操作手段が停止操作されたときには、その選択された各別操作手段に連係する組の総ての作業装置の駆動が停止されるように構成してあるので、施肥クラッチのみを切って植付作業を行いたい場合には、全部操作手段を停止操作することで複数種の作業装置ユニットのうちの一部の作業装置の駆動が停止され、残りの作業装置の駆動が継続される。このように構成すると、施肥装置が停止し、植付装置だけが駆動しているときに、各条クラッチの検出手段がクラッチ入りを検出してしまうような、違和感を生じることなく作業を行うことができる。
また、少数条植え作業に際して、各別操作手段が停止操作されたときには、その選択された各別操作手段に連係する組の総ての作業装置の駆動が停止されるように構成してあるので、各条クラッチの切りとともに関連する縦送り機構や施肥装置の駆動も停止させて、少数条植え作業への切換を簡単に行うことができる。
【0013】
以下、本発明の実施形態の一例を図面の記載に基づいて説明する。
図1、図2に示すように、操向操作自在な左右一対の駆動前輪5及び左右一対の駆動後輪6を備えた自走機体1の後部に、リフトシリンダ4により昇降作動自在に構成されたリンク機構3を装備し、このリンク機構3の後端部に植播系作業装置の一例である苗植付け装置2を装着している。さらに自走機体1には、その後部において前記リンク機構3が連結される機体後部側箇所の上部に肥薬供給装置としての施肥装置23を搭載して乗用型作業機の一例である乗用型田植機を構成してある。
【0014】
前記自走機体1は、操向用の左右一対の駆動前輪5と左右一対の駆動後輪6とを備えた機体フレーム7に、エンジン8、前記駆動前輪5を操向操作するためのステアリングハンドル9、運転座席10などを組み付けて構成されている。
【0015】
苗植付け装置2は、図2及び3に示すように、6つの苗のせ部12を左右に並置形成していて左右に設定ストロークで往復移動する苗のせ台11と、植付け走行に伴って圃場面を滑走することで植付け予定箇所を整地する左右複数のフロート13と、前記苗のせ台11の移動に連動して、苗のせ台11に形成されている苗取出し口と整地圃場面との間で上下に循環作動することにより、各苗のせ部12の載置苗を植付け単位量ずつ取り出して圃場面に植え付ける植付け機構14と設けた基本構造に構成されている。
【0016】
各苗のせ部12のそれぞれには、苗のせ台11が移動端に位置する毎に作動して載置苗を下方の苗取出し口側に送り出す縦送り機構の一例である縦送りベルト15が一対ずつ設けられている。
前記縦送りベルト15を駆動する手段は、図10にも示すように、左右向き軸芯周りに常時回転する駆動アーム16を左右位置固定状態に設け、前記苗のせ台11が移動端に位置する毎に前記駆動アーム16に蹴られて左右向き軸芯x周り一方向にスプリング17による付勢力に抗して揺動する受動アーム18を設け、この受動アーム18に一方向クラッチ19を介して連動していて受動アーム18の一方向への揺動により前記左右向き軸芯x周りで一方向に設定量回転する駆動軸20を設け、この駆動軸20から前記縦送りベルト15の駆動ローラ15Aへの伝動を断続する縦送りクラッチ21を設けて構成されている。つまり、縦送りクラッチ21を入り作動させておくことにより、苗のせ台11が移動端に位置する毎に縦送りベルト15が定量送り出し回動し、縦送りクラッチ21を切り作動させておくことにより、苗のせ台11が移動端に位置して駆動軸20が回転しても縦送りベルト15を停止保持するようになっている。縦送りクラッチ21は、左右に隣り合う二つの苗のせ部12の駆動ローラ(縦送りベルト15)15A群を一組として駆動するものである。つまり、縦送りクラッチ21は3つ設けられている。
【0017】
前記植付け機構14は、左右に隣り合う2つが一組の状態で駆動されるようになっており、植付け機構14の各組への伝動系のそれぞれには、植付け機構14への伝動を各別に断続する各条クラッチ22が介装されている。
【0018】
この苗植付け装置2では、全部の各条クラッチ22を入り作動させるとともに全部の縦送りクラッチ21を入り作動させることにより、6条(全条)植えを行い、左側と左右中央との2つの各条クラッチ22及び、左側と左右中央との2つの縦送りクラッチ21をそれぞれ入り作動させる一方、右側1つの各条クラッチ22及び、右側1つの縦送りクラッチ21をそれぞれ切り作動させることにより、左側2条中央2条の計4条の植付け(少数条植えの一例)を行うように構成されている。
また、左側1つの各条クラッチ22及び、左側1つの縦送りクラッチ21をそれぞれ入り作動させる一方、左右中央と右側との2つの各条クラッチ22及び、左右中央と右側との2つの縦送りクラッチ21をそれぞれ切り作動させることにより、左側2条の植付け(少数条植えの一例)を行い、右側と左右中央との2つの各条クラッチ22及び、右側と左右中央との2つの縦送りクラッチ21をそれぞれ入り作動させる一方、左側1つの各条クラッチ22及び、左側1つの縦送りクラッチ21をそれぞれ切り作動させることにより、右側2条中央2条の計4条の植付け(少数条植えの一例)を行うように構成されている。
さらに、右側1つの各条クラッチ22及び、右側1つの縦送りクラッチ21をそれぞれ入り作動させる一方、左右中央と左側との2つの各条クラッチ22及び、左右中央と左側との2つの縦送りクラッチ21をそれぞれ切り作動させることにより、右側2条の植付け(少数条植えの一例)を行うようになっている。
【0019】
肥薬供給装置の一例としての施肥装置は、図4〜図6に示すように、粉粒状の肥料を供給するための施肥装置23を自走機体上に搭載し、機体走行(植付け走行)に伴い圃場に6つの施肥用溝を植付け条の横脇に形成するとともに搬送されてくる肥料をその形成した施肥用溝に投入する左右6つの作溝器24を、各植付け条の横脇に位置する状態で施肥するように配置して、前記苗植付け装置2に装着し、施肥装置23から繰り出された肥料を作溝器24に搬送する搬送手段を設けて構成されている。
【0020】
前記施肥装置23は、底部に4つのロート状排出部25が左右に間隔を隔てて形成された肥料貯溜用のホッパー26(貯留容器の一例)を設け、このホッパー26の各ロート状排出部25の下部それぞれにロート状排出部25内から2条分の肥料を分けて繰り出す繰出し器27を接続連結して構成されている。
【0021】
前記搬送手段は、電動遠心式の送風機28で発生させた気流で前記施肥装置23から繰り出された肥料を搬送する気流搬送手段であって、前記送風機28と、この送風機28で発生した気流を施肥装置23に案内するダクト29と、施肥装置23から各作溝器24に気流、つまり、肥料を案内する供給管30とから構成されている。
【0022】
前記繰出し器27は全部が同一構造のものであって、図7〜図9に示すように、前記ロート状排出部25への連通接続部と、前記ダクト29に差し込み接続して送風機28から送られてきた気流を受け入れる筒状の左右一対の気流受入れ口31と、前記供給管30に差し込み接続して肥料混入気流を供給管30に送り出す筒状の左右一対の排出口32とを備えた繰出しケース33を設け、この繰出しケース33に、左右向き軸芯x2周りに回転することでロート状排出部25から肥料を繰出す繰出しロール34を内装するとともに、繰出しロール34への1条分ずつの肥料供給路のそれぞれを開閉するシャッター機構を組み付けて構成されている。
前記繰出しロール34の駆動手段は、図10にも示すように、前記苗植付け装置2への伝動系にクランク機構35を介して連動する繰出し駆動軸36を設け、この繰出し駆動軸36と各繰出しロール34とを連動させるギヤ列37を設け、前記繰出し駆動軸36とギヤ列37との間に施肥クラッチ38を介装して構成されている。
前記シャッター機構は、肥料供給路の半分を開閉する第1シャッター39aと、肥料供給路の残りの半分を開閉する第2シャッター39bとを備えている。
【0023】
そして、左側外の繰出し器27の排出口32のそれぞれに左側外の2つの作溝器24への供給管30を接続させ、左側内の繰出し器27の一方の排出口32に左側内の1つの作溝器24への供給管30を接続させ、右側外の繰出し器27の排出口32のそれぞれに右側外の2つの作溝器24への供給管30を接続させ、右側内の繰出し器27の一方の排出口32に右側内の1つの作溝器24への供給管30を接続させるのであって、左側内の繰出し器27の他方の排出口32及び右側内の繰出し器27の他方の排出口32はそれぞれ栓41で閉塞されており、それら他方の排出口32に対応する肥料供給路を開閉するシャッター機構は閉塞されて使用されない。
【0024】
もちろん、第1シャッター39aび第2シャッター39bをともに開放することにより全量施肥を行い、第1シャッター39a又は第2シャッター39bのいずれか一方のみを開放することにより半量施肥を行うようになっている。
なお、各条クラッチ22と縦送りクラッチ21と施肥クラッチ38の全ては、図示しないが、スプリングにより入り付勢されている。
【0025】
前記施肥クラッチ38のうち中央2つのもののクラッチレバー38a同士は一括操作されるようにロッド42を介して連動連結されており、以下、これら中央2つの施肥クラッチ38を1つの中央の施肥クラッチ38として扱い、左側外の施肥クラッチ38を左側の施肥クラッチ38として扱い、右側外の施肥クラッチ38と右側の施肥クラッチ38として扱う。
【0026】
そして、図10〜図12にも示すように、入り位置から切り位置に左右向き軸芯周りに揺動操作されることにより左側の施肥クラッチ38のクラッチレバー38aにロッド44で連動する中継リンク45を付勢に抗してワイヤyLにより入り状態から切り状態に切り換える左クラッチ操作レバー43Lと、入り位置から切り位置に左右向き軸芯周りに揺動操作されることにより右側の施肥クラッチ38のクラッチレバー38aを付勢に抗して入り状態から切り状態にワイヤyRにより切り換える右クラッチ操作レバー43Rと、入り位置から切り位置に左右向き軸芯周りに揺動操作されることにより中央の施肥クラッチ38の一方のクラッチレバー38aを付勢に抗して入り状態から切り状態にワイヤyCにより切り換える中央クラッチ操作レバー43Cとが設けられている。
【0027】
加えて、前記左側のワイヤyLのレバー接続側とは反対側の端部をワイヤL1,L2からなる二股状に構成し、右側のワイヤyRのレバー接続側とは反対側の端部をワイヤR1,R2からなる二股状に構成し、中央のワイヤyCのレバー接続側とは反対側の端部をワイヤC1,C2からなる二股状に構成する。
【0028】
前記左クラッチ操作レバー43Lは、入り位置から切り位置に左右向き軸芯周りに揺動操作されることにより、左側の各条クラッチ22・左側の縦送りクラッチ21のそれぞれを付勢に抗して前記ワイヤL1,L2で一括的に切り作動させるものであり、右クラッチ操作レバー43Rは、入り位置から切り位置に揺動操作されることにより、右側の各条クラッチ22・右側の縦送りクラッチ21のそれぞれを付勢に抗して前記ワイヤR1,R2で一括的に切り作動させるものであり、中央クラッチ操作レバー43Cは、入り位置から切り位置に揺動操作されることにより、左右中央の各条クラッチ22・左右中央の縦送りクラッチ21のそれぞれを付勢に抗して前記ワイヤC1,C2で一括的に切り作動させるものである。これら左クラッチ操作レバー43L、右クラッチ操作レバー43R、中央クラッチ操作レバー43Cは前記施肥装置23の近くに設けられている。
【0029】
また、前記中継リンク45と、中央の施肥クラッチ38のクラッチレバー38aと、右側の施肥クラッチ38のクラッチレバー38aとのそれぞれに折り曲げ片aで片あたりする状態で左右一方側にスライドすることにより、中継リンク45と、中央のクラッチレバー38aと、右側のクラッチレバー38aとの独立した切り位置への揺動は許容する状態で入り位置に揺動位置するものを切り位置に接当押圧揺動させる一括切り操作バー46と、これを操作するための全部操作レバー47とが設けられている。もちろん、一括切り操作バー46が切り位置にスライド位置する状態では、左クラッチ操作レバー43L・右クラッチ操作レバー43R・中央クラッチ操作レバー43Cの独立した入り切り操作は許容される。なお、以下において左右・中央の区別を要しないときには、クラッチ操作レバー43と称する。
【0030】
前記クラッチ操作レバー43は、各条クラッチ22とこれに対応する縦送りクラッチ21とを、各条クラッチ22が切り状態のときに縦送りクラッチ21も切り状態にあり、かつ各条クラッチ22が入り状態のとき縦送りクラッチ21も入り状態にあるように関連操作する操作レバーであり、同時に、施肥装置23における肥料繰り出し状態をも、各条クラッチ22や縦送りクラッチ21と対応させて、稼働中の植付箇所に対する肥料供給を行い、植付作動停止中の箇所への肥料供給を停止するための操作レバーでもある。
【0031】
つまり、上述のように、各縦送りクラッチ21及び各条クラッチ22を選択的に入り切り操作するための機構が本発明でいう条選択操作機構Aであり、その条選択操作機構Aでの操作に伴って施肥装置23の作動を制御するための機構が本発明でいう連係機構Bに相当し、クラッチ操作レバー43は各条クラッチ22等を選択的に入り切り操作して作業対象条列を選択するための人為操作部に相当する。
具体的には、左クラッチ操作レバー43L、右クラッチ操作レバー43R、中央クラッチ操作レバー43Cの夫々が条選択操作機構Aの人為操作部を構成し、これらの各クラッチ操作レバー43に対して一端側を連結された各ワイヤyL,yR,yCと、それらの各ワイヤyL,yR,yCの他端側と前記各条クラッチ22ならびに縦送りクラッチ21との間を繋ぐワイヤL1,L2、R1,R2、C1,C2とによって条選択操作機構Aが構成されている。
【0032】
上記の苗植付装置2における植付け機構14、および縦送りベルト15と、施肥装置23の繰り出し器27とが、本発明でいう複数種の作業装置であり、これらを対とする作業装置ユニット(植付け機構14、縦送りベルト15、および繰り出し器27)が複数組備えられている。
そして、これらの作業装置ユニットを、各組毎に選択して作動状態と作動停止状態とに切換操作可能な各別操作手段として前記クラッチ操作レバー43が機能し、全部の組に作用して同時的に作動状態と作動停止状態とに切換操作するための全部操作手段として、前記一括切り操作バー46を操作する全部操作レバー47が備えられている。
【0033】
前記条選択操作機構Aを構成するクラッチ操作レバー43に連結される側の各ワイヤyL,yR,yCと、前記各条クラッチ22ならびに縦送りクラッチ21に連結される側の各ワイヤL1,L2、R1,R2、C1,C2とは、夫々の対向端部側が前記施肥クラッチ38のクラッチレバー38a、あるいはクラッチレバー38aにロッド44で連動する中継リンク45に連結されており、このクラッチレバー38a及び中継リンク45が、前記人為操作部となるクラッチ操作レバー43での操作に基づいて、作動停止すべき肥薬供給装置23を選択する連係機構Bを構成している。つまり、このクラッチレバー38a及び中継リンク45は、前記連係機構Bを構成するものであるとともに、前述の各ワイヤyL,yR,yC、L1,L2、R1,R2、C1,C2に対するワイヤ受け部材を兼用している。
【0034】
前記クラッチレバー38a及び中継リンク45は、図12及び図15に示すように、施肥装置23の搭載枠40に対して上下軸芯y周りで回動自在に枢着されており、このクラッチレバー38a及び中継リンク45に一体に設けた接触子61が、施肥装置搭載枠40に装備したリミットスイッチ62に接触する状態と接触解除状態とに切り換え自在に構成されており、前記搭載枠40に形成されている切り欠き部40aに突入した状態に設けられている前記接触子61と、断面コの字状の搭載枠40に設けられている前記リミットスイッチ62との接触状態の有無で、連係機構Bの作動状態を検出する検出部60を構成している。
したがって、前記クラッチ操作レバー43の操作に基づいて切り状態を選択された条列に対する施肥クラッチ38の切り状態が、その施肥クラッチ38を入り切り操作するクラッチレバー38aの切り側への操作によって、前記連係機構Bの検出部としてのノーマルオープンのリミットスイッチ62で検出される。そして、この検出結果が制御装置51の選択条列検出手段63に伝えられ、操縦部のメータパネル64に、前記施肥クラッチ38が切り状態であることを示す表示が出力される。
【0035】
前記一括切り操作バー46は、リンク部材46aを介して全部操作レバー47に連結されており、全部操作レバー47の全条入り位置Pnと全条切り位置PsとにわたるデッドポイントDPを越えての揺動操作に伴って、クラッチレバー38a、および中継リンク45を、ノーマル位置(全条入り位置)P1と、施肥全条停止位置P2との二位置に切換操作する。
クラッチレバー38aは、図13に示すノーマル位置(全条入り位置)P1では、全条に対して施肥装置23からの肥料を供給するように施肥装置23を制御するとともに、全条の植付け機構14および縦送りベルト15を駆動し、図14に示す施肥全条停止位置P2では、全条に対する施肥装置23からの肥料供給を停止するように施肥装置23を制御するとともに、全条の植付機構14および縦送りベルト15の駆動は維持する。
そして、前記クラッチレバー38aおよび中継リンク45は、前記各クラッチ操作レバー43と連係されているので、各条操作用のクラッチ操作レバー43を切り操作することで、一括切り操作バー46の操作位置を変更することなく、各クラッチレバー38aおよび中継リンク45が個別にクラッチ切り側へ操作される。
このようにクラッチ操作レバー43の操作で操作される各クラッチ操作レバー38a、および中継リンク45は、上記のノーマル位置(全条入り位置)P1と、施肥全条停止位置P2の他に、各ワイヤyL,yR,yC、L1,L2、R1,R2、C1,C2を介して各条クラッチ22とこれに対応する縦送りクラッチ21とを切り操作する植付切り位置P3にも操作することができる(図15参照)。
【0036】
上記のようにクラッチ操作レバー43の操作によれば、全条操作レバー47が全条入り位置Pnに操作されている状態であるときには、各クラッチ操作レバー38a、および中継リンク45を、ノーマル位置P1と、施肥全条停止位置P2と、植付切り位置P3との任意の各位置に操作することができる。
また、全条操作レバー47が全条切り位置Psに操作されている状態では、クラッチ操作レバー43のノーマル位置P1への操作は一括切り操作バー46の突起aで制限されるが、施肥全条停止位置P2と、植付切り位置P3とに操作できるように構成されている。
これらの、ノーマル位置P1と、施肥全条停止位置P2と、植付切り位置P3との各位置は、全条操作レバー47の操作位置を検出する施肥センサ48と、各クラッチ操作レバー38a、および中継リンク45の操作位置を検出するリミットスイッチ62とで検出されるように、前記全条操作レバー47による一括切り操作バー46の操作量、ならびにクラッチ操作レバー43による各クラッチ操作レバー38a、および中継リンク45の操作量を設定してある。
上記リミットスイッチ62はノーマルオープンタイプであり、各クラッチ操作レバー38a、および中継リンク45がノーマル位置P1、および施肥全条停止位置P2では、その操作を検出せず、各クラッチ操作レバー38a、および中継リンク45が植付切り位置P3に操作されたとき、そのことを検出して制御装置51に、各条クラッチ22ならびに縦送りクラッチ21が切り操作されたことの信号を出力する。
【0037】
前記制御装置51には、図16に示すように、前記施肥装置23が駆動されているか否かを検出する施肥センサ48と、施肥装置23の状態を検出する施肥関連センサ49と、施肥関連装置50とが設けられている。
前記施肥センサ48は、図10及び図11に示す前記全部操作レバー47が切り位置に操作されたとき、その全部操作レバー47に押圧されてオフすることで施肥装置23の否駆動を検出するとともに、全部操作レバー47が入り位置に操作されたときその全部操作レバー47による押圧を解除してオンすることで施肥装置23の駆動を検出するスイッチである。
前記施肥関連センサ49は、前記作溝器24での肥料詰まりのあるなしを検出する詰まりセンサであって、この施肥関連センサ49の検出情報が施肥関連センサ情報である。つまり、施肥関連センサ情報は、施肥不都合事態情報である。
【0038】
前記施肥関連装置50は、施肥不都合警報装置であって、これには、聴覚刺激による警報装置50aと、視覚刺激による警報装置50bとがある。前記聴覚刺激による警報装置50aは、音声やブザー音などの音を発することにより報知するものであり、視覚刺激による警報装置50bは、ランプの点灯や点滅、或いは、モニターによる表示で報知するものである。
【0039】
前記制御装置51は、前記施肥センサ48の否駆動検出に基づいて前記送風機28の駆動モータ28mを自動停止させるとともに施肥センサ48の駆動検出に基づいて前記駆動モータ28mを自動作動させる送風機制御部52と、前記施肥センサ48の否駆動検出に基づいて前記施肥関連センサ49の検出情報に基づく施肥関連装置50の作動を自動停止するとともに前記施肥センサ48の駆動検出に基づいて前記施肥関連センサ49の検出情報に基づく施肥関連装置50の作動を行わせる、つまり、施肥関連装置50を停止前の作動状態に戻す施肥関連装置制御部53とを備えている。
【0040】
従って、施肥装置23の全体が駆動されていないことの施肥センサ48による否駆動検出により、つまり、施肥を行わないことにより、送風機28が自動停止するから、無駄な送風機28の駆動をなくして、騒音問題発生の時間を短くできるとともに消費電力を節約することができる。
【0041】
この乗用型作業機には、所定のクラッチ操作レバー43を切り操作して少数条植を行ったのち、枕地での次回植付け予定箇所への移行に連動して自動的に入り作動させるクラッチ復帰機構70を設けてある。
前記クラッチ復帰機構70は、図17及び図18に示すように、前記苗植付け装置2の設定高さ以上への上昇動作を、枕地での次回植付け予定箇所への移行動作として検出し、切り操作されていた各条クラッチ22を入り側へ復帰操作する機構である。
図18(イ)に示すように、設定高さよりも下方で作業姿勢にあったリンク機構3が、図18(ロ)中に示すように設定高さよりも上方の位置にまで上昇揺動すると、このリンク機構3で接当押圧されて上方に持ち上げられる第1ロッド56を設け、この第1ロッド56に中継軸57を介して連動連結していて第1ロッド56の持ち上げ移動に伴い前方に移動することで切り位置に位置していたクラッチ操作レバー43の付け根近くの当たり部43aを入り位置側へ接当押圧移動させる第2ロッド58を設けてある。
前記第2ロッド58は、図17に示すように、中央位置のクラッチ操作レバー43Cに対する押圧部分を、右位置のクラッチ操作レバー43Rの一部から分岐させた状態で連設してある。
このように、リンク機構3の上昇動作を利用したクラッチ復帰機構70を構成するにあたり、各クラッチ操作レバー43毎に第1ロッド56および第2ロッド58を設けるのではなく、中継軸57を利用して第1ロッド56を一本で済ませることができるとともに、第2ロッドを、中央箇所のものをそれに近い側のロッド58(この図17の実施形態では左側のロッド58)から分岐させた構成とすることで、より一層の軽量化を図っている。
【0042】
また、この乗用型作業機では、前記中継軸57の位置を、後輪フェンダーの後端近く位置という、ホッパーやクラッチ操作レバー43の回転軸芯から離れた後方下方近くに配設して、リンク機構3が設定高さに達した時点での第1ロッド56と、第2ロッド58との軸芯の方向が、ほぼ直線に近い状態となるように位置設定したことにより、各ロッド56,58の長さを極力短く、かつ、リンク機構3の上昇に伴うクラッチ操作レバー43に対する押圧動作がスムースに作用するように構成してある。
【0043】
〔他の実施の形態1〕
図19に示すように、クラッチ復帰機構70としては次のように構成してもよい。
すなわち、図17および図18に示すクラッチ復帰機構70では、第1ロッド56および第2ロッド58による押し操作でクラッチ操作レバー43の入り復帰操作を行っているのに対して、この図19に示すクラッチ復帰機構70では、中継軸57とクラッチ操作レバー43の一部とをワイヤ59で連結して、ワイヤ59の引き操作を伝達するように構成してある点で相違する。
これによって、リンク機構3の上昇作動に連動して、中継軸57に設けたブラケット57aの時計回りの回転でワイヤ59を引き操作することにより、クラッチ操作レバー43をクラッチ入り姿勢へ強制変更するように構成されている。
【0044】
〔他の実施の形態2〕
図20(イ)〜(ハ)に示すように、クラッチ復帰機構70としてはさらに次のように構成してもよい。
すなわち、図19に示すクラッチ復帰機構70におけるブラケット57を、ロッドに連結して横軸周りに回転する第1部材57Aと、中間位置を横軸周りで回動自在に支持された第2部材57Bとで構成した構造であり、第2部材57Bの一端がワイヤ59でクラッチ操作レバー43に連結してあるとともに、その第2部材57Bと第1部材57Aとは直接には連結されていず、第1材57Aが矢印方向に動作したとき、第2部材57Bを蹴り上げてクラッチ操作レバー43を入り側に復帰操作するように構成されている。
このように構成すると、リンク機構3が最上位置にあるとき、第1材57Aが第2部材57Bの作動軌跡から外れた状態となるので、クラッチ操作レバー43を直接操作して各条クラッチ22を操作することができる。
したがって、リンク機構3が最上位置にある状態のままでもレバー操作が可能で、操作タイミングを気にせずに自由にクラッチ操作レバー43を操作を操作して各条クラッチ22の切り操作を行うことができる。
【0045】
〔他の実施の形態3〕
上記実施の形態では、送風機28として電動モータで駆動される形式のものを示したが、送風機28としては、機械駆動式のものであっても良い。
また、上記実施形態では、肥薬供給装置で供給する対象物として風力搬送される粒状肥料を例示したが、このような粉粒状の肥料に限らず、粉粒状の除草剤などの薬剤を用いてもよく、あるいは、液状の肥料、もしくは薬剤を用いても良い。そのように液状の肥料や薬剤を使用する場合は貯留容器としては液状体を収容するタンクを用い、繰り出し機構としてはプランジャーポンプを採用するなどの適宜手段を採用すればよい。
【0046】
〔その他〕
本発明でいう作業装置ユニットとしては、実施形態で示した、植付け機構14、縦送りベルト15、および繰り出し器27の組み合わせに限らず、植付け機構14と繰り出し器27の組み合わせであってもよく、要は、互いに関連動作をさせたり、その関連動作を解除させたりするような関係の、複数種の作業装置の組み合わせて構成されるものであればよい。
また、乗用型田植機に適用した場合に、実施の形態で示したような6条植えのものに限らず、8条植えや5条植えなど、偶数条や奇数条植えの各種のものに適用できることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】全体側面図
【図2】全体平面図
【図3】苗植付け装置の側面図
【図4】施肥装置部分の背面図
【図5】施肥装置部分の縦断側面図
【図6】施肥装置部分の縦断正面図
【図7】繰り出し器部分の縦断側面図
【図8】繰り出し器部分の縦断正面図
【図9】繰出し器の平面図
【図10】操作系統を示す説明図
【図11】条選択操作機構及び連係機構部分を示す操作伝達系統の説明図
【図12】条選択操作機構及び連係機構部分の人為操作部を示す縦断側面図
【図13】条選択操作機構及び連係機構部分の平面図
【図14】条選択操作機構及び連係機構部分の平面図
【図15】条選択操作機構及び連係機構部分の平面図
【図16】制御ブロック図
【図17】クラッチ復帰機構部分を示す背面図
【図18】クラッチ復帰機構部分を示す側面図
【図19】クラッチ復帰機構部分の他の実施形態を示す側面図
【図20】クラッチ復帰機構部分の他の実施形態を示す側面図
【図21】先願発明の条選択操作機構及び連係機構部分を示す平面図
【符号の説明】
【0048】
1 自走機体、
2 苗植付け装置(播植系作業装置)
3 リンク機構
11 苗のせ台
12 苗のせ部
14 植付け機構
15 縦送り機構
21 縦送りクラッチ
22 各条クラッチ
23 肥薬供給装置
24 作溝器
26 貯留容器
27 繰出し器
38a クラッチレバー
43 クラッチ操作レバー(各別操作手段)
45 中継リンク
47 全条操作レバー(全部操作手段)
60 検出部
63 検出手段
70 クラッチ復帰機構
A 条選択操作機構
B 連係機構
yL,yR,yC ワイヤ
L1,L2 ワイヤ
R1,R2 ワイヤ
C1,C2 ワイヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種の作業装置を対とした複数組の作業装置ユニットと、それらの各作業装置ユニットを各組毎に選択して作動状態と作動停止状態とに切換操作可能な各別操作手段と、前記各作業装置の全部の組に作用して、同時的に作動状態と作動停止状態とに切換操作可能な全部操作手段とを備え、
前記各別操作手段には、各別操作手段の夫々が操作されたことを各別に検出する各別操作検出手段を備えるとともに、前記全部操作手段は、全部操作手段が操作されたことを検出する全部操作検出手段を備え、
前記各別操作手段による操作量を全部操作手段による操作量よりも大きく設定して、全部操作手段が停止操作されたときには、総ての組の各別操作手段に連係された複数種の作業装置ユニットのうちの一部の作業装置の駆動が停止され、残りの作業装置の駆動が継続されるように構成し、各別操作手段が停止操作されたときには、その選択された各別操作手段に連係する組の総ての作業装置の駆動が停止されるように構成してある作業装置の駆動操作機構。
【請求項2】
各別操作手段と全部操作手段とは、夫々異なる人為操作具に連係されていて、全部操作手段による停止操作方向への操作領域の端部が、各別操作手段による停止操作側への操作領域の端部よりも操作方向での手前側に設定されている請求項1記載の作業装置の駆動操作機構。
【請求項3】
肥料または薬剤を貯留する貯留容器と、その貯留容器からの肥料または薬剤の供給状態を制御する繰出し器とで構成される肥薬供給装置を自走機体側に搭載するとともに、作物育成予定箇所として圃場に設定した条列に沿って播種または植付作業を行う植播系作業装置を自走機体の後方に装備した乗用型作業機であって、
前記植播系作業装置に、作業対象となる所定の条列毎に作業開始及び作業停止を選択するための各条クラッチを備え、前記各条クラッチの夫々を個別にまたは所定単位毎に入り切り操作するための条選択操作機構の人為操作部を自走機体側に装備し、
前記条選択操作機構を、前記肥薬供給装置と植播系作業装置とを対とした複数組の作業装置ユニットを各別に選択して作動状態と作動停止状態とに切換操作可能な各別操作手段と、前記各作業装置の全部の組に同時的に作用して作動状態を切換操作可能な全部操作手段とで構成するとともに、前記条選択操作機構中に、作業停止が選択された所定条列に対する肥薬供給装置からの肥薬供給を停止するように、肥薬供給装置の作動を制御する連係機構を設け、
前記各別操作手段による操作量を全部操作手段による操作量よりも大きく設定して、全部操作手段が停止操作されたときには、総ての組の各別操作手段に連係された複数種の作業装置のうちの肥薬供給装置の駆動が停止され、残りの植播系作業装置の駆動が継続されるように構成し、各別操作手段が停止操作されたときには、その選択された各別操作手段に連係する肥薬供給装置と植播系作業装置の駆動が停止されるように構成した駆動操作機構を備えてあることを特徴とする乗用型作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2008−67608(P2008−67608A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−246825(P2006−246825)
【出願日】平成18年9月12日(2006.9.12)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】