説明

作業足場支持装置

【課題】安定した作業足場を形成することができるとともに、作業効率を向上させることができる作業足場支持装置を提供する。
【解決手段】保持部材5により2以上の展開部材6を保持し、各展開部材6を保持部材5に対して放射状に展開可能とする。開口部3から中空状構造体2の内部へ保持部材5を挿入して展開部材6を展開することにより、保持部材5に対して放射状に展開された展開部材6によって足場板を支持し、当該足場板上で作業者が作業を行う。したがって、展開部材6により支持された足場板によって安定した作業足場を形成することができるとともに、中空状構造体2の内部に作業足場を容易に設置することができるので、作業効率が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空状構造体の内部に設置される作業足場支持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
塔槽類や炉などの中空状構造体のメンテナンスを行う際などに、当該中空状構造体の内部に作業足場を設置し、その作業足場上に作業者が立って作業を行う場合がある。例えば特許文献1には、中空状構造体の一例である冷却塔内に組み上げた作業足場上に作業者が立ち、冷却塔の内面を形成している耐火物の損傷に対するメンテナンスを行う方法が、従来技術として開示されている(段落[0003]〜[0005]、図2及び図3)。
【0003】
しかし、上記のような従来技術では、損傷した耐火物などが冷却塔の内面から剥がれ落ちる場合があり、そのような落下物に対して下方の作業足場上で作業している作業者が危険に晒されるという問題があった。そこで、上記特許文献1では、冷却塔内に存在するコークスを冷却しながら冷却塔から排出することにより冷却塔内のコークス層のレベルを下げた後、既に冷却されたコークスを冷却塔内に投入することにより目的とするコークス層レベルとし、そのコークス層の位置で作業を行うといった方法が提案されている。
【特許文献1】特開2006−131793号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示されているような方法では、冷却塔内のコークス上に足場板を置くことにより作業足場を形成するため、安定した作業足場を形成することが困難である。
【0005】
また、上記特許文献1に開示されているような方法では、コークス層の各レベルにおいて作業が終了する度に、冷却塔からコークスを排出してコークス層のレベルを下げ、再び作業を行うといった工程を繰り返さなければならない。すなわち、コークス層の各レベルでしか作業を行うことができないため、高さの異なる位置において同時に作業を行うことができず、作業効率が悪いといった問題がある。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、安定した作業足場を形成することができるとともに、作業効率を向上させることができる作業足場支持装置を提供することを目的とする。また、本発明は、落下物に対する安全性を向上させることができる作業足場支持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の本発明に係る作業足場支持装置は、開口部を有する中空状構造体の内部に設置される作業足場支持装置であって、上記開口部から上記中空状構造体の内部へ挿入される保持部材と、上記保持部材によって展開可能に保持され、上記保持部材に対して放射状に展開された状態で足場板を支持する2以上の展開部材とを備えたことを特徴とする。
【0008】
このような構成によれば、開口部から中空状構造体の内部へ保持部材を挿入して展開部材を展開することにより、保持部材に対して放射状に展開された展開部材によって足場板を支持し、当該足場板上で作業者が作業を行うことができる。すなわち、展開部材を閉じたコンパクトな状態で作業足場支持装置を中空状構造体の内部へ挿入することができるとともに、挿入後に展開部材を展開させて足場板を容易に配置することができる。
【0009】
したがって、展開部材により支持された足場板によって安定した作業足場を形成することができるとともに、中空状構造体の内部に作業足場を容易に設置することができるので、作業効率が向上する。特に、保持部材に対して放射状に展開された展開部材によって足場板を支持することにより、保持部材の周囲におけるより広い範囲に足場板を配置することができる。これにより、中空状構造体の内部におけるより広い範囲で作業を行うことが可能になるので、作業効率がより向上する。
【0010】
第2の本発明に係る作業足場支持装置は、上記2以上の展開部材が、上記保持部材に対して回動可能に取り付けられていることを特徴とする。
【0011】
このような構成によれば、展開部材を閉じた状態で中空状構造体の内部へ保持部材を挿入し、当該中空状構造体の内部で展開部材を回動させて展開することができる。すなわち、展開部材を閉じたコンパクトな状態で作業足場支持装置を中空状構造体の内部へ挿入することができるとともに、挿入後に展開部材を回動させるだけで簡単に展開部材を展開させることができるので、作業効率がより向上する。
【0012】
第3の本発明に係る作業足場支持装置は、上記2以上の展開部材には、展開した状態で同一の第1面内に延びる2以上の第1展開部材と、展開した状態で上記第1面に対して平行な第2面内に延びる2以上の第2展開部材とが含まれることを特徴とする。
【0013】
このような構成によれば、第1面内に延びる第1展開部材により支持された足場板上と、第2面内に延びる第2展開部材により支持された足場板上とにおいて作業を行うことができる。すなわち、高さの異なる位置において同時に作業を行うことができるので、作業効率がさらに向上する。
【0014】
また、第1面及び第2面のうち位置が高い面内に延びる展開部材により足場板を支持した状態では、下方の面内に延びる展開部材により支持された足場板上で作業する際に、上方に位置する足場板によって落下物を阻止することができる。したがって、落下物に対する安全性を向上させることができる。
【0015】
特に、保持部材に対して放射状に展開された展開部材によって、中空状構造体の内部におけるより広い範囲に足場板を配置することができるので、その足場板の下方における落下物に対する安全性をより向上させることができる。
【0016】
第4の本発明に係る作業足場支持装置は、上記2以上の展開部材が、伸縮可能に形成されていることを特徴とする。
【0017】
このような構成によれば、展開部材を伸縮させて適度な長さとすることにより、中空状構造体の内部におけるできるだけ広い範囲に足場板を配置することができるので、作業効率がさらに向上する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、展開部材により支持された足場板によって安定した作業足場を形成することができるとともに、中空状構造体の内部に作業足場を容易に設置することができるので、作業効率が向上する。また、本発明によれば、保持部材に対して放射状に展開された展開部材によって足場板を支持することにより、保持部材の周囲におけるより広い範囲に足場板を配置することができるので、作業効率がより向上するとともに、足場板の下方において落下物に対する安全性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係る作業足場支持装置1の一構成例を示した断面図であり、作業足場支持装置1が中空状構造体2の内部に設置された状態を示している。図2は、図1におけるA−A断面図である。この作業足場支持装置1は、中空状構造体2に形成されている開口部3から中空状構造体2の内部へ挿入され、当該中空状構造体2の内部で展開されて使用される。
【0020】
この作業足場支持装置1は、タンクなどの塔槽類や、高炉やコークス炉といった炉などの各種中空状構造体2に適用することができる。この例における中空状構造体2は、鉛直方向に延びる円筒部2Aと、当該円筒部2Aの上端から上方に向かって延びる円錐部2Bとが一体的に形成されることにより構成された筒状の構造体である。
【0021】
円錐部2Bは、その外径及び内径が上方に向かって徐々に小さくなるように形成されており、当該円錐部2Bの上端面に直径3m程度の上記開口部3が形成されている。このような構成により、中空状構造体2の内部に形成されている内部空間4は、円錐部2B内において開口部3から下方に向かうにつれて徐々に大きくなり、円筒部2A内においては鉛直方向に均一となっている。
【0022】
作業足場支持装置1は、開口部3から下方に向かって中空状構造体2の内部へ挿入される保持部材5と、保持部材5により保持された複数の展開部材6と、保持部材5を中空状構造体2に対して固定するための固定部材7とを備えている。保持部材5は、鉛直方向に延びる複数の縦枠5Aと、水平方向に延びる複数の横枠5Bとが互いに連結されることにより形成された枠状構造体であり、縦枠5Aが延びる方向である鉛直方向に沿って、開口部3から中空状構造体2内に挿入可能な形状に形成されている。
【0023】
各展開部材6は、展開した状態で水平方向に延びる梁であって、図2に示すように、水平面内において互いに隣接する展開部材6間に足場板8を適宜に架け渡すことにより、敷き詰められた複数の足場板8の上面によって水平な作業足場を形成することができる。各展開部材6は、保持部材5に対して回動可能に取り付けられている。より具体的には、各展開部材6は、水平方向に延びる回動軸を中心に上下方向へ回動可能に構成されており、水平面内において展開された状態で、それよりも下方に回動しないようにストッパ(図示せず)によって規制されるようになっている。また、この展開した状態から各展開部材6を上方へ回動させることにより、各展開部材6を閉じることができるようになっている。
【0024】
この例では、保持部材5における鉛直方向の異なる位置、すなわち高さの異なる位置にそれぞれ複数の展開部材6が取り付けられている。より具体的には、各展開部材6が展開された状態で、それぞれ高さの異なる水平面からなる上段面9A、中段面9B及び下段面9Cに沿って、それぞれ複数の展開部材6が放射状に延びるようになっている。なお、放射状とは、複数の展開部材6が保持部材5を中心に外方へ異なる角度で延びていることを意味している。水平面内において互いに隣接する展開部材6間の角度θは、図2に示すように等角度であってもよいし、互いに異なる角度で隣接するような構成であってもよい。
【0025】
複数の展開部材6は、上段面9Aに沿って延びる複数の上段展開部材6Aと、中段面9Bに沿って延びる複数の中段展開部材6Bと、下段面9Cに沿って延びる複数の下段展開部材6Cとからなる。上段展開部材6A、中段展開部材6B及び下段展開部材6Cは、それぞれ異なる長さに形成されており、上段展開部材6Aよりも中段展開部材6Bの方が長く、中段展開部材6Bよりも下段展開部材6Cの方が長い。これらの展開部材6の長さは、中空状構造体2の内面形状に対応している。すなわち、保持部材5を中空状構造体2に対して固定部材7により固定し、各展開部材6を展開した状態では、各展開部材6の先端部が、中空状構造体2の内面における対応する位置に接近した状態で対向するようになっている。
【0026】
この例では、上段展開部材6A、中段展開部材6B及び下段展開部材6Cがそれぞれ異なる長さに形成されているが、このような構成に限らず、それぞれ同じ長さに形成されていてもよい。すなわち、各展開部材6は、中空状構造体2の内面形状に対応する長さであれば、任意の長さに形成することができ、例えば上段展開部材6Aよりも中段展開部材6Bの方が短く、中段展開部材6Bよりも下段展開部材6Cの方が短いような構成であってもよい。
【0027】
固定部材7は、中空状構造体2の上面における開口部3の周縁部に対して、上方から取り付けられる。中空状構造体2の上面には、開口部3の周縁部に緩衝部材10が配置され、当該緩衝部材10上に、開口部3よりも大きい形状を有する固定部材7が配置される。これにより、保持部材5が固定部材7を介して中空状構造体2に固定され、中空状構造体2の内部に保持部材5が吊り下げられた状態となる。
【0028】
図3は、作業足場支持装置1を中空状構造体2の内部へ挿入する際の態様を示した断面図である。この図3に示すように、作業足場支持装置1を中空状構造体2の内部へ挿入する際には、各展開部材6が閉じた状態とされる。このとき、各展開部材6は水平方向に対して交差方向に延びるように閉じられ、各展開部材6の先端部が保持部材5に接近した状態となる。この例では、図3に示すように、各展開部材6が閉じられた状態で鉛直方向に延びるような構成となっている。
【0029】
このようにして各展開部材6が閉じられた状態では、作業足場支持装置1における中空状構造体2の内部に挿入される部分の最大の外径D1が、開口部3の内径D2よりも小さくなっている。したがって、図3において矢印で示すように、開口部3を介して中空状構造体2の外部から内部へ、各展開部材6が閉じられた状態の作業足場支持装置1を良好に挿入することができる。
【0030】
この図3の例では、各展開部材6が閉じられた状態で鉛直方向に延びるような構成が示されているが、このような構成に限らず、開口部3から挿入可能な程度に閉じることができるような構成であれば、各展開部材6が閉じられた状態で鉛直方向に対して交差方向に延びるような構成であってもよい。また、各展開部材6は、閉じられた状態で上方に向かって延びるような構成に限らず、下方に向かって延びるような構成であってもよい。
【0031】
本実施形態では、開口部3から中空状構造体2の内部へ保持部材5を挿入して展開部材6を展開することにより、保持部材5に対して放射状に展開された展開部材6によって足場板8を支持し、当該足場板8上で作業者が作業を行うことができる。すなわち、展開部材6を閉じたコンパクトな状態で作業足場支持装置1を中空状構造体2の内部へ挿入することができるとともに、挿入後に展開部材6を展開させて足場板8を容易に配置することができる。
【0032】
したがって、展開部材6により支持された足場板8によって安定した作業足場を形成することができるとともに、中空状構造体2の内部に作業足場を容易に設置することができるので、作業効率が向上する。特に、保持部材5に対して放射状に展開された展開部材6によって足場板8を支持することにより、保持部材5の周囲におけるより広い範囲に足場板8を配置することができる。これにより、中空状構造体2の内部におけるより広い範囲で作業を行うことが可能になるので、作業効率がより向上する。
【0033】
また、本実施形態では、展開部材6を閉じた状態で中空状構造体2の内部へ保持部材5を挿入し、当該中空状構造体2の内部で展開部材6を回動させて展開することができる。すなわち、展開部材6を閉じたコンパクトな状態で作業足場支持装置1を中空状構造体2の内部へ挿入することができるとともに、挿入後に展開部材6を回動させるだけで簡単に展開部材6を展開させることができるので、作業効率がより向上する。
【0034】
さらに、本実施形態では、上段面9A内に延びる上段展開部材6Aにより支持された足場板8上と、中段面9B内に延びる中段展開部材6Bにより支持された足場板8上と、下段面9C内に延びる下段展開部材6Cにより支持された足場板8上とにおいて作業を行うことができる。すなわち、高さの異なる位置において同時に作業を行うことができるので、作業効率がさらに向上する。
【0035】
また、上段面9A、中段面9B及び下段面9Cのうち位置が高い面内に延びる展開部材6により足場板8を支持した状態では、下方の面内に延びる展開部材6により支持された足場板8上で作業する際に、上方に位置する足場板8によって落下物を阻止することができる。すなわち、中段展開部材6Bにより支持された足場板8上で作業する際には、上段展開部材6Aにより支持された足場板8によって落下物を阻止することができ、下段展開部材6Cにより支持された足場板8上で作業する際には、上段展開部材6A及び中段展開部材6Bにより支持された足場板8によって落下物を阻止することができる。したがって、落下物に対する安全性を向上させることができる。
【0036】
特に、保持部材5に対して放射状に展開された展開部材6によって、中空状構造体2の内部におけるより広い範囲に足場板8を配置することができるので、その足場板8の下方における落下物に対する安全性をより向上させることができる。
【0037】
図4は、中空状構造体2の内部に作業足場を設置する工程を示したフローチャートである。この図4に示すように、作業足場を設置する工程には、中空状構造体2の内部に作業足場支持装置1を挿入する挿入行程(ステップS101)と、固定部材7を取り付ける固定行程(ステップS102)と、展開部材6を展開する展開行程(ステップS103〜S105)と、足場板8を配置する足場形成行程(ステップS106〜S108)とが含まれている。
【0038】
作業足場を形成する際には、まず、各展開部材6を閉じた状態の作業足場支持装置1が、開口部3から鉛直下方に向かって中空状構造体2の内部へ挿入される(ステップS101)。その後、保持部材5における縦枠5Aの上部が、中空状構造体2の上面における開口部3の周縁部に対して固定部材7で固定されることにより(ステップS102)、保持部材5が中空状構造体2の内部に吊り下げられた状態とされる。
【0039】
展開行程(ステップS103〜S105)は、各水平面9A〜9Cに対応する展開部材6を展開する複数の工程からなり、この例では、下方から上方に向かって順次に展開部材6が展開されるようになっている。すなわち、下段面9Cに対応する下段展開部材6Cが展開された後(ステップS103)、中段面9Bに対応する中段展開部材6Bが展開され(ステップS104)、最後に上段面9Aに対応する上段展開部材6Aが展開されるようになっている(ステップS105)。この展開行程は、滑車やウインチを使用することにより、中空状構造体2の内部から行うことができる。
【0040】
足場形成行程(ステップS106〜S108)は、各水平面9A〜9Cに対応する展開部材6上に足場板8を配置する複数の工程からなり、この例では、展開部材6を展開するときとは逆方向である上方から下方に向かって、順次に足場板8が配置されるようになっている。すなわち、上段面9Aに対応する上段展開部材6A上に足場板8が配置された後(ステップS106)、中段面9Bに対応する中段展開部材6B上に足場板8が配置され(ステップS107)、最後に下段面9Cに対応する下段展開部材6C上に足場板8が配置されるようになっている(ステップS108)。
【0041】
このように、上方から下方に向かって順次に足場板8を配置することにより、既に配置した足場板8の下方で次の足場板8を配置する作業を行うことができるので、落下物に対する安全性をより向上させることができる。
【0042】
図5は、展開部材6の変形例を示した図であり、(a)は一部平面図、(b)は(a)におけるB−B断面図を示している。この例では、各展開部材6が、互いにスライド可能に連結された複数の梁により形成されている。より具体的には、各展開部材6は、保持部材5側に位置する第1梁61と、当該第1梁61に対して外方側へ突出するようにスライド可能な第2梁62とを備え、第1梁61に対する第2梁62の突出量を調整することにより、各展開部材6を任意の長さに伸縮させることができるようになっている。
【0043】
第1梁61は、断面略コ字状の本体部61Aと、当該本体部61Aの開口部を覆うように取り付けられた蓋部61Bとが結合されることにより、断面略矩形状の中空状の梁として形成されている。第2梁62は、第1梁61よりも細い断面略コ字状に形成され、第1梁61の内部空間に挿入されることにより、当該第1梁61に対してスライド可能に取り付けられている。ただし、2つの梁61,62が連結された構成に限らず、3つ以上の梁が互いに同一方向にスライド可能に連結されることにより展開部材6が形成されていてもよい。
【0044】
図6は、図5に示した展開部材6が適用された作業足場支持装置1を中空状構造体2の内部に設置した状態を示す断面図である。この図6の例では、図1の例とは異なり、中空状構造体2の内部空間4における円筒部2Aに対応する位置に上段面9A、中段面9B及び下段面9Cが設定され、これらの各水平面内において上段展開部材6A、中段展開部材6B及び下段展開部材6Cがそれぞれ展開されるようになっている。
【0045】
この例のように、中空状構造体2の円筒部2A内における高さの異なる位置に展開部材6を展開する場合には、各水平面9A〜9Cに対応する展開部材6A〜6Cの長さをそれぞれ同じ長さに調整することにより、円筒部2Aの内面形状に対応する長さにすることができる。このように、展開部材6を伸縮させて適度な長さとすることにより、中空状構造体2の内部におけるできるだけ広い範囲に足場板8を配置することができるので、作業効率がさらに向上する。
【0046】
上記実施形態では、高さの異なる互いに平行な3つの水平面9A〜9C内に、それぞれ展開部材6A〜6Cが展開されるような構成について説明したが、このような構成に限らず、1つ又は2つの水平面内に展開部材6が展開されるような構成であってもよいし、4つ以上の水平面内に展開部材6が展開されるような構成であってもよい。また、展開部材6が水平面9A〜9C内に展開されるような構成に限らず、円錐面などの他の形状の面内に展開されるような構成であってもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、中空状構造体2の上端面に形成された開口部3から作業足場支持装置1を挿入するような構成について説明したが、このような構成に限らず、中空状構造体2の上部における上端面以外の位置に形成された上部開口から中空状構造体2の内部へ作業足場支持装置1を挿入するような構成であってもよいし、中空状構造体2の下部、例えば下端面に形成された下部開口から中空状構造体2の内部へ作業足場支持装置1を挿入するような構成であってもよい。この場合、作業足場支持装置1を鉛直下方に向かって挿入するような構成に限らず、鉛直上方に向かって挿入するような構成であってもよいし、鉛直方向に対して傾斜した方向に挿入するような構成であってもよい。
【0048】
さらに、上記実施形態では、中空状構造体2の内部に作業足場支持装置1が吊り下げられるような構成について説明したが、このような構成に限らず、中空状構造体2の内部に受け梁を設けるなどして、下方から作業足場支持装置1を支持することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施形態に係る作業足場支持装置の一構成例を示した断面図であり、作業足場支持装置が中空状構造体の内部に設置された状態を示している。
【図2】図1におけるA−A断面図である。
【図3】作業足場支持装置を中空状構造体の内部へ挿入する際の態様を示した断面図である。
【図4】中空状構造体の内部に作業足場を設置する工程を示したフローチャートである。
【図5】展開部材の変形例を示した図であり、(a)は一部平面図、(b)は(a)におけるB−B断面図を示している。
【図6】図5に示した展開部材が適用された作業足場支持装置を中空状構造体の内部に設置した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0050】
1 作業足場支持装置
2 中空状構造体
3 開口部
4 内部空間
5 保持部材
6 展開部材
6A 上段展開部材
6B 中段展開部材
6C 下段展開部材
8 足場板
9A 上段面
9B 中段面
9C 下段面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する中空状構造体の内部に設置される作業足場支持装置であって、
上記開口部から上記中空状構造体の内部へ挿入される保持部材と、
上記保持部材によって展開可能に保持され、上記保持部材に対して放射状に展開された状態で足場板を支持する2以上の展開部材とを備えたことを特徴とする作業足場支持装置。
【請求項2】
上記2以上の展開部材が、上記保持部材に対して回動可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の作業足場支持装置。
【請求項3】
上記2以上の展開部材には、展開した状態で同一の第1面内に延びる2以上の第1展開部材と、展開した状態で上記第1面に対して平行な第2面内に延びる2以上の第2展開部材とが含まれることを特徴とする請求項1又は2に記載の作業足場支持装置。
【請求項4】
上記2以上の展開部材が、伸縮可能に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の作業足場支持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−24448(P2009−24448A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−190905(P2007−190905)
【出願日】平成19年7月23日(2007.7.23)
【出願人】(000156961)関西熱化学株式会社 (117)
【Fターム(参考)】