作業車の部品検索システム及び作業車の部品検索方法
【課題】部品を簡単に検索できる作業車の部品検索システムSを提供する。
【解決手段】部品記憶手段10、選択手段11、抽出手段12、表示手段13などを有する作業車の部品検索システムSである。
加えて、メンテナンスの際に参照される修理要領書80に記載された部品配置図80aと同一の画像データ30を記憶する画像記憶手段14を備え、画像データ30は部品配置図80aと同一の階層構造C2に分類されて記憶されるとともに、画像データ30内の部品のそれぞれには部品データ20が関連付けられている。
そして、抽出手段12は画像データ30内において選択された部品に対応する部品データ20を抽出して表示する。
【解決手段】部品記憶手段10、選択手段11、抽出手段12、表示手段13などを有する作業車の部品検索システムSである。
加えて、メンテナンスの際に参照される修理要領書80に記載された部品配置図80aと同一の画像データ30を記憶する画像記憶手段14を備え、画像データ30は部品配置図80aと同一の階層構造C2に分類されて記憶されるとともに、画像データ30内の部品のそれぞれには部品データ20が関連付けられている。
そして、抽出手段12は画像データ30内において選択された部品に対応する部品データ20を抽出して表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車のメンテナンスの際に用いる作業車の部品検索システム及び作業車の部品検索方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、クレーンなどの作業車は、油圧回路や電気回路が複雑に関連して構成されているため、メンテナンスの際に不具合箇所を特定することが困難である。
【0003】
このため、作業車をメンテナンスする際には、修理要領書に記載された部品配置図等を見ながら不具合箇所を特定したうえで、パーツカタログで対応する交換すべき部品を検索している。
【0004】
ここで、パーツカタログの中から交換すべき部品を検索する場合には、交換部品がいずれの区分に属しているかを大項目から小項目へと階層構造のインデックスを順に追って特定していく必要がある。
【0005】
しかし、交換部品がいずれの項目に属しているかは、インデックスの名称からは判断しにくいため、熟練した修理担当者でなければ交換部品を迅速に検索できない場合があった。
【0006】
そこで、例えば特許文献1では、サーバにパーツリストのデータとサービスマニュアルの図面データの両方を保有し、この図面データを実際の車両構成に合わせた階層構造に構成したイラストインデックスを用いて自動二輪車等の部品を検索する発明が開示されている。
【0007】
この構成によれば、イラストインデックスの階層を順に追っていくことで目的の部品を検索した後に、部品ごとの修理手順にたどり着くことができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−99550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前記特許文献1の構成は、クレーン等の作業車などに適用した場合には、部品点数が多いうえに回路や階層が多岐に渡るため、どの階層のどの項目に目的とする部品が属するか判断しにくい、という問題があった。
【0010】
そこで、本発明は、部品を簡単に検索できる作業車の部品検索システムSと、作業車の部品検索方法と、を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、本発明の作業車の部品検索システムは、作業車の部品データを記憶する部品記憶手段と、検索対象となる部品の属性を選択する選択手段と、選択された属性に適合する部品データを抽出する抽出手段と、抽出結果を表示する表示手段と、を有する作業車の部品検索システムであって、メンテナンスの際に参照される修理要領書に記載された配置図と同一の画像データを記憶する画像記憶手段を備え、前記画像データは前記配置図と同一の階層構造に分類されて記憶されるとともに、前記画像データ内の部品のそれぞれには前記部品データが関連付けられており、ユーザが前記修理要領書の前記配置図を見ながら不具合箇所を特定して、前記画像データ内において交換すべき部品を選択すると、前記抽出手段は選択された部品に対応する部品データを抽出して表示することを特徴とする。
【0012】
ここにおいて、本発明における配置図とは、油圧回路図、電気回路図、部品配置図を含むものであり、修理要領書に記載されて不具合原因等の推定・特定のために用いられる図をいうものとする。
【発明の効果】
【0013】
このように、本発明の作業車の部品検索システムは、部品記憶手段と選択手段と抽出手段と表示手段とを有する作業車の部品検索システムであって、修理要領書に記載された配置図と同一の画像データを記憶する画像記憶手段を備え、画像データは配置図と同一の階層構造に分類されて記憶されるとともに、画像データ内の部品のそれぞれには部品データが関連付けられており、ユーザが修理要領書の配置図を見ながら不具合箇所を特定して、画像データ内において交換すべき部品を選択すると、抽出手段は画像データ内において選択された部品に対応する部品データを抽出して表示する。
【0014】
このため、ユーザは、修理要領書の配置図を見ながら不具合箇所を特定すると、この配置図と同一の階層構造に分類された画像データ内において交換すべき部品を選択することができるため、熟練したユーザでなくても容易に交換すべき部品を探し出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の作業車の部品検索システムの構成を説明する機能ブロック図である。
【図2】サーバとクライアント端末の関係を説明する説明図である。
【図3】サーバのハードウェア構成を説明する説明図である。
【図4】本発明の作業車の部品検索システムの処理手順を説明するフローチャートである。
【図5】モデル型式の選択画面である。
【図6】スペックの選択画面である。
【図7】システムインデックスに配置図システムを付加した選択画面である。
【図8】画像データの大分類の選択画面である。
【図9】画像データの小分類の選択画面である。
【図10】選択された画像データである。
【図11】部品の位置を表示する位置図である。
【図12】位置図内の部品の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0017】
まず、図2を用いて本実施例の作業車の部品検索システムSの全体構成を説明する。本実施例では、作業車を構成する部品を検索するシステムについて説明する。ここで、作業車には、オールテレーンクレーン、カーゴクレーン、トラッククレーン、ラフテレーンクレーンなどのクレーンや、高所作業車などの油圧で駆動する作業機を有する作業車が含まれる。
【0018】
本実施例の部品検索システムSは、いわゆるクライアント−サーバ型のシステムであり、図2に示すように、データを記憶するとともに各種の処理を実行するデータサーバであるサーバ42と、インターネットやイントラネットなどの通信網であるネットワークNと、修理担当者などのユーザが閲覧や選択を実行する複数のクライアント端末41,・・・と、を備えて構成される。
【0019】
このサーバ42のハードウェア構成は、図3に示すように、マウス51やキーボード52などの入力手段と、CD−ROMやDVD−ROMなどを読み込み可能な光学式ドライブ53と、モニタ54などの表示手段と、中央演算処理装置であるCPU55と、主記憶装置であるメモリ56と、OS57aやメインプログラム57bや部品データ20や画像データ30を記憶するハードディスク57と、通信ポート58と、を備えている。なお、遠隔操作する場合にはサーバ42は入力手段や表示手段を備えなくてもよい。
【0020】
また、ユーザ側の端末であるクライアント端末41は、上記サーバ42と略同様の構成を備えるものであり、1つのサーバ42に対して複数のクライアント端末41が配置されている。
【0021】
さらに、このクライアント端末41には、インターネットを通じてホームページなどを閲覧するためのWebブラウザソフトがインストールされており、サーバ42が提供する各サービスをブラウザを介して利用できるようになっている。
【0022】
そして、本実施例の作業車の部品検索システムSは、図1に示すように、これらクライアント端末41及びサーバ42のハードウェア構成を用いて、作業車の部品データ20を記憶する部品記憶手段10と、検索対象となる部品の属性を選択する選択手段11と、選択された属性に適合する部品データ20を抽出する抽出手段12と、抽出された結果を表示する表示手段13と、画像データ30を記憶する画像記憶手段14と、を備えている。
【0023】
この部品記憶手段10は、作業車を構成する部品データ20を記憶するもので、サーバ42のハードディスク57によって構成される。
【0024】
部品データ20は、作業車における部品の位置を表示する位置図21と、位置図21内のそれぞれの部品の詳細図22と、を有して構成されている。なお、この部品データ20や部品カタログは、修理要領書80と異なり部品を最適化していく要請から頻繁に更新されるものである。
【0025】
位置図21は、部品カタログ(紙媒体)内の図面を電子化したもので、全体に対する個々の部品の位置を容易に把握するために、実際の作業車における部品配置に対応して平面的又は立体的に図面化されている。
【0026】
詳細図22は、部品カタログ(紙媒体)内の図面を電子化したもので、個々の部品の形状等を実際の部品と対比するために、平面図や立体図などによって構成されている。
【0027】
なお、部品記憶手段10は、位置図21や詳細図22の他に、従来と略同様に車両構成のまとまりごとに位置図21を分類した階層構造のシステムインデックス(目次)を有しているため、従来と同様にシステムインデックスによる検索も可能である。
【0028】
また、選択手段11は、修理担当者によって特定された交換すべき部品の属性を選択するもので、クライアント端末41が備える入力手段としてのマウス51又はキーボード52を用いることができる。
【0029】
さらに、抽出手段12は、選択手段11によって選択された交換すべき部品の属性に適合する部品データ20を部品記憶手段10の中から抽出するもので、サーバ42が備えるCPU55とメモリ56によって実行される。
【0030】
そして、表示手段13は、抽出手段12によって抽出された抽出結果である部品データ20及び画像データ30を表示してユーザに知らせるもので、クライアント端末41が備えるモニタ54などを用いることができる。
【0031】
また、画像記憶手段14は、メンテナンスの際に参照される修理要領書80に記載された配置図としての部品配置図80aと同一の図面を電子化した画像データ30を記憶するもので、サーバ42のハードディスク57によって構成されている。
【0032】
加えて、この画像データ30は、修理要領書80に記載された部品配置図80aと同一の階層構造に分類されている。
【0033】
すなわち、修理要領書80では、本発明の配置図としての油圧回路図、電気回路図又は部品配置図80aは、不具合箇所を迅速に特定して修理・交換する観点から、大分類から小分類へとツリー状の階層構造C1に分類されている。
【0034】
そして、画像データ30の階層構造C2も、この修理要領書80の配置図としての部品配置図80aの階層構造C1と同一の大分類から同一の小分類へとツリー状に構成されている。
【0035】
さらに、画像データ30内に表示されたそれぞれの部品には、部品データ20の位置図21が関連付けられている。つまり、画像データ30内には各部品に指示番号が付されて表記されているが、この指示番号にそれぞれの部品データ20を含む位置図21がリンクされている。
【0036】
上記したように、部品検索システムSのうち、部品記憶手段10、抽出手段12及び画像記憶手段14はサーバ42で実行される手段であり、選択手段11及び表示手段13はクライアント端末41で実行される手段である。
【0037】
ただし、部品記憶手段10、抽出手段12及び画像記憶手段14は、クライアント端末41側のハードウェアにおいて実行されるスタンドアローン型のシステムであってもよい。
【0038】
次に、本実施例の作業車の部品検索システムSについて、部品「チェックバルブ」を探索する場合を例として、通常検索と配置図検索の処理手順を図4のフローチャートと図5〜図12の表示画面に基づいて説明する。
【0039】
なお、検索の前提として、記憶ステップにおいて、上記したように部品記憶手段10に部品データ20を記憶させるとともに、画像記憶手段14に画像データ30を記憶させ、画像データ30内の部品のそれぞれに部品データ20を関連付けておく。
【0040】
はじめに、修理担当者がシステムインデックスを用いておこなう通常検索の処理手順について説明する。
【0041】
まず、ユーザとしての修理担当者は、あらかじめ修理要領書80の配置図としての部品配置図80aを参照しながら、不具合箇所を特定して交換すべき部品を特定する。具体的には、例えば、大分類「油圧部品配置図(下部)」中の小分類「油圧部品(ステアリング)」に含まれる「チェックバルブ」が不具合であると特定する。
【0042】
次に、ユーザはクライアント端末41を起動して、作業車の部品検索システムSを実行するソフトウェアであるWebパーツカタログ検索システムを開く。なお、このWebパーツカタログ検索システムはWebブラウザを介して動作する。
【0043】
そして、修理担当者は、選択手段11としてのマウス51やキーボード52を操作して、オールテレーンクレーン、カーゴクレーン、トラッククレーン、ラフテレーンクレーンそれぞれのモデル型式の中から修理対象のモデル型式であるラフテレーンクレーンの「GR−300XL−1」を選択する(ステップS1,図5)。選択されたことを受信したサーバ42は、クライアント端末41のブラウザ画面に「GR−300XL−1」のスペック選択画面を表示する。
【0044】
次に、修理担当者は、スペックの中から「GR−300−1−00211(4段ブーム+2段ジブ、2M2D)」を選択する(ステップS2,図6)。選択されたことを受信したサーバ42は、図7に示すように、クライアント端末41で開かれているブラウザ画面に、油圧発生システム、アウトリガシステム、旋回システム、起伏システム、・・・等のシステムインデックスを表示し、その下に「配置図システム」を表示する。
【0045】
なお、従来の通常検索の場合には、システムインデックスの下に「配置図システム」の表示はなく、配置図システムの表示を行い、後述の配置図検索を行えるようにしたことが本発明の特徴となる。
【0046】
そして、通常検索の場合には、修理担当者は上段のシステムインデックスの大項目の中から経験に基づいてチェックバルブが属すると予想される「ステアリングシステム」を選択する(ステップS3)。選択されたことを受信したサーバ42は、クライアント端末41のブラウザ画面に「ステアリングシステム」に含まれる中項目を表示する。
【0047】
さらに、修理担当者は、中項目の中から経験に基づいてチェックバルブが属すると予想される「パイピングステアリング(ロア)」を選択する(ステップS4)。選択されたことを受信したサーバ42は、図11に示すように、クライアント端末41のブラウザ画面に「パイピングステアリング(ロア)」の位置図21を表示する。
【0048】
つづいて、修理担当者はこの位置図21の中から交換すべき部品であるチェックバルブを探し出して選択する(ステップS5)。選択されたことを受信したサーバ42は、図12に示すように、クライアント端末41のブラウザ画面に位置図21内のチェックバルブの詳細図22を表示して、通常検索の処理が終了する(ステップS6)。この後、修理担当者は、チェックバルブを発注して交換することになる。
【0049】
次に、修理担当者等がシステムインデックスを用いずに、配置図としての部品配置図80aと同一の画像データ30を見ながらおこなう配置図検索の処理手順について説明する。
【0050】
まず、通常検索と同様に、修理担当者は修理要領書80に記載された配置図としての部品配置図80aを参照しながら、大分類「油圧部品配置図(下部)」中の小分類「油圧部品(ステアリング)」に含まれる「チェックバルブ」が不具合であると特定する。以後、ステップS11,S12については、通常検索の処理手順のステップS1,S2と同様である。
【0051】
そうすると、サーバ42は、図7に示すように、クライアント端末41のブラウザ画面に、油圧発生システム、アウトリガシステム、旋回システム、起伏システム、・・・等のシステムインデックスを表示し、その下に「配置図システム」を表示する。
【0052】
そして、配置図検索の場合には、修理担当者は下段の「配置図システム」を選択する(ステップS13)。選択されたことを受信したサーバ42は、図8に示すように、クライアント端末41のブラウザ画面に、修理要領書80の部品配置図80aの大分類と同一の大分類を表示する。
【0053】
つづいて、修理担当者は、大分類の中から修理要領書80の「油圧部品配置図(下部)」と同じ「ユアツブヒンハイチズ(ロワー)」を選択する(ステップS14の1/2)。選択されたことを受信したサーバ42は、図9に示すように、クライアント端末41のブラウザ画面に「ユアツブヒンハイチズ(ロワー)」に含まれる小分類を表示する。
【0054】
次に、修理担当者は、小分類の中から修理要領書80の「油圧部品(ステアリング)」と同じ「ユアツブヒン(ステアリング)」を選択する(ステップS14の2/2)。選択されたことを受信したサーバ42は、図10に示すように、クライアント端末41のブラウザ画面に画像データ30を表示する。なお、この画像データ30は、修理要領書80の部品配置図80aと同一である。
【0055】
そして、修理担当者は、画像データ30の中から指示番号8のチェックバルブを選択する(ステップS15)。選択されたことを受信したサーバ42は、図11に示すように、クライアント端末41のブラウザ画面に「パイピングステアリング(ロア)」の位置図21を表示する。ここで、指示番号8のチェックバルブに該当する部品は赤字などでハイライト表示されている。
【0056】
つづいて、修理担当者はこの位置図21の中からハイライト表示されているチェックバルブを選択する(ステップS5)。選択されたことを受信したサーバ42は、図12に示すように、クライアント端末41のブラウザ画面に位置図21内のチェックバルブの詳細図22を表示して、配置図検索の処理が終了する(ステップS6)。この後、修理担当者は、チェックバルブを発注して交換することになる。
【0057】
次に、本実施例の作業車の部品検索システムSの効果を列挙して説明する。
【0058】
(1)本発明の作業車の部品検索システムSは、作業車の部品データ20を記憶する部品記憶手段10と、検索対象となる部品の属性を選択する選択手段11と、選択された属性に適合する部品データ20を抽出する抽出手段12と、抽出結果を表示する表示手段13と、を有する作業車の部品検索システムSである。
【0059】
さらに、メンテナンスの際に参照される修理要領書80に記載された配置図としての部品配置図80aの階層構造C1と同一の画像データ30を記憶する画像記憶手段14を備え、画像データ30は部品配置図80aの階層構造C1と同一の階層構造C2に分類されて記憶されるとともに、画像データ30内の部品のそれぞれには部品データ20が関連付けられている。
【0060】
そして、ユーザが修理要領書80の配置図としての部品配置図80aを見ながら不具合箇所を特定して、画像データ30内において交換すべき部品を選択すると、抽出手段12は選択された部品に対応する部品データ20を抽出して表示する。
【0061】
このため、ユーザは、修理要領書80の配置図としての部品配置図80aを見ながら不具合箇所を特定すると、この部品配置図80aの階層構造C1と同一の階層構造C2に分類された画像データ30内において交換すべき部品を選択することができるため、熟練したユーザでなくても、容易に交換すべき部品を探し出すことができる。
【0062】
つまり、パーツカタログの構成を、クレーンの構成で階層別に分類するのではなく、修理要領書80に記載されている部品配置図80aに基づいて分類しているため、修理担当者は現場で修理要領書80の冊子を見ながらチェックした交換部品を、Webサイトを開いて同じ絵で検索できる。
【0063】
特に、自動車や自動二輪車等とは異なり、部品点数が多いうえに回路や階層が多岐に渡るクレーンや高所作業車などの作業車では、構成のまとまりごとに検索しにくいため、修理要領書80に従って検索できることの効果は大きいといえる。
【0064】
このように、交換すべき部品を検索した後に修理手順を特定する流れではなく、修理要領書80を見ながら不具合の原因を特定した後に交換すべき部品を検索する流れになることで、実際の修理順序と同様の流れとなるため、修理工程に手戻りがなく、かつわかりやすいといえる。
【0065】
(2)また、部品データ20は、作業車における部品の位置を表示する位置図21と、位置図21内の部品の詳細図22と、を有して構成されるとともに、画像データ30内の部品には位置図21が関連付けられており、抽出手段12は、画像データ30内において選択された部品を含む位置図21を抽出して表示手段13に表示し、位置図21内において選択された部品の詳細図22を表示する。
【0066】
すなわち、画像データ30内の部品が詳細図22に直接に関連付けられている場合には、詳細図22に表示されている部品が交換すべき部品であるかどうか判断しにくくなり、確認作業が必要となる。
【0067】
そこで、詳細図22の一段階上の位置図21に関連付けられることによって、現車に近い表示を見て部品の位置を把握できるため、部品の取り違いを防止できる。
【0068】
(3)さらに、表示手段13は、画像データ30内において選択された部品を、抽出して表示された位置図21内において強調表示する。
【0069】
つまり、位置図21内においてハイライト表示するなどの強調表示をすることで、位置図21内で該当する部品を探し出しやすく、全体における位置把握も容易となる。
【0070】
(4)そして、部品データ20は、作業車における部品の位置を表示する位置図21と、位置図21内の部品の詳細図22と、位置図21を分類したインデックスと、を有して階層構造に構成されており、抽出手段12は、選択されたインデックスを抽出して表示し、インデックス内において選択された位置図21を抽出して表示し、位置図21内において選択された部品の詳細図22を表示する。
【0071】
したがって、熟練した修理担当者であれば、従来と同様に、経験に基づいてインデックスを用いて目的とする部品を迅速に探し出すことができる。
【0072】
さらに、画像データ30を用いる配置図検索とインデックスを用いる通常検索の両方が可能であれば、用途に応じて2つの検索方法を使い分けることで、ユーザの熟練度によらずに部品検索できる。
【0073】
(5)また、本発明の作業車の部品検索方法は、部品記憶手段10が作業車の部品データ20を記憶するとともに、画像記憶手段14がメンテナンスの際に参照される修理要領書80に記載された配置図としての部品配置図80aと同一の画像データ30を記憶し、画像データ30を修理要領書80と同一の階層構造C2に分類して記憶し、画像データ30内の部品のそれぞれに部品データ20を関連付ける記憶ステップと、ユーザが修理要領書80の部品配置図80aを見ながら不具合箇所を特定して画像データ30内において交換すべき部品を選択手段11によって選択する選択ステップと、抽出手段12が選択された部品に関連付けられた部品データ20を抽出して表示する抽出ステップと、を備えている。
【0074】
このため、ユーザは、選択ステップにおいて、修理要領書80の配置図としての部品配置図80aを見ながら不具合箇所を特定すると、この部品配置図80aの階層構造C1と同一の階層構造C2に分類された画像データ30内において交換すべき部品を選択することができるため、熟練したユーザでなくても、容易に修理対象となる部品を探し出すことができる。
【0075】
(6)さらに、記憶ステップでは、部品記憶手段10が作業車における部品の位置を表示する位置図21と位置図21内の部品の詳細図22とを記憶し、画像データ30内の部品に位置図21を関連付け、抽出ステップでは、抽出手段12が画像データ30内において選択された部品を含む位置図21を抽出して表示し、位置図21内において選択された部品の詳細図22を表示する。
【0076】
すなわち、記憶ステップにおいて詳細図22に直接に関連付けられている場合には、抽出ステップでは詳細図22に表示されている部品が交換すべき部品であるかどうか判断しにくくなり、確認作業が必要となる。
【0077】
そこで、記憶ステップにおいて詳細図22の一段上の位置図21に関連付けられることによって、抽出ステップでは現車に近い表示を見て部品の位置を把握できるため、部品の取り違いを防止できる。
【0078】
以上、図面を参照して、本発明の実施例を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0079】
例えば、前記実施例では、修理要領書80が紙媒体の冊子として構成される場合について説明したが、これに限定されるものではなく、修理要領書80をサーバ42側又はクライアント端末41側でデータとして記憶しておいてWebブラウザ上に表示して、部品配置図80aの部品をパーツカタログにリンクするようにしてもよい。
【0080】
また、前記実施例では、抽出処理をサーバ42側で実行するシステムについて説明したが、これに限定されるものではなく、抽出処理をクライアント端末41側でおこなうものであってもよい。
【0081】
さらに、前記実施例では、配置図として部品配置図80aを用いる場合について説明したが、これに限定されるものではなく、配置図として油圧回路図や電気回路図などの回路図を用いる場合にも本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0082】
S 作業車の部品検索システム
C1,C2 階層構造
R1 関連付け
10 部品記憶手段
11 選択手段
12 抽出手段
13 表示手段
14 画像記憶手段
20 部品データ
21 位置図
22 詳細図
30 画像データ
80 修理要領書
80a 部品配置図(配置図)
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車のメンテナンスの際に用いる作業車の部品検索システム及び作業車の部品検索方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、クレーンなどの作業車は、油圧回路や電気回路が複雑に関連して構成されているため、メンテナンスの際に不具合箇所を特定することが困難である。
【0003】
このため、作業車をメンテナンスする際には、修理要領書に記載された部品配置図等を見ながら不具合箇所を特定したうえで、パーツカタログで対応する交換すべき部品を検索している。
【0004】
ここで、パーツカタログの中から交換すべき部品を検索する場合には、交換部品がいずれの区分に属しているかを大項目から小項目へと階層構造のインデックスを順に追って特定していく必要がある。
【0005】
しかし、交換部品がいずれの項目に属しているかは、インデックスの名称からは判断しにくいため、熟練した修理担当者でなければ交換部品を迅速に検索できない場合があった。
【0006】
そこで、例えば特許文献1では、サーバにパーツリストのデータとサービスマニュアルの図面データの両方を保有し、この図面データを実際の車両構成に合わせた階層構造に構成したイラストインデックスを用いて自動二輪車等の部品を検索する発明が開示されている。
【0007】
この構成によれば、イラストインデックスの階層を順に追っていくことで目的の部品を検索した後に、部品ごとの修理手順にたどり着くことができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−99550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前記特許文献1の構成は、クレーン等の作業車などに適用した場合には、部品点数が多いうえに回路や階層が多岐に渡るため、どの階層のどの項目に目的とする部品が属するか判断しにくい、という問題があった。
【0010】
そこで、本発明は、部品を簡単に検索できる作業車の部品検索システムSと、作業車の部品検索方法と、を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、本発明の作業車の部品検索システムは、作業車の部品データを記憶する部品記憶手段と、検索対象となる部品の属性を選択する選択手段と、選択された属性に適合する部品データを抽出する抽出手段と、抽出結果を表示する表示手段と、を有する作業車の部品検索システムであって、メンテナンスの際に参照される修理要領書に記載された配置図と同一の画像データを記憶する画像記憶手段を備え、前記画像データは前記配置図と同一の階層構造に分類されて記憶されるとともに、前記画像データ内の部品のそれぞれには前記部品データが関連付けられており、ユーザが前記修理要領書の前記配置図を見ながら不具合箇所を特定して、前記画像データ内において交換すべき部品を選択すると、前記抽出手段は選択された部品に対応する部品データを抽出して表示することを特徴とする。
【0012】
ここにおいて、本発明における配置図とは、油圧回路図、電気回路図、部品配置図を含むものであり、修理要領書に記載されて不具合原因等の推定・特定のために用いられる図をいうものとする。
【発明の効果】
【0013】
このように、本発明の作業車の部品検索システムは、部品記憶手段と選択手段と抽出手段と表示手段とを有する作業車の部品検索システムであって、修理要領書に記載された配置図と同一の画像データを記憶する画像記憶手段を備え、画像データは配置図と同一の階層構造に分類されて記憶されるとともに、画像データ内の部品のそれぞれには部品データが関連付けられており、ユーザが修理要領書の配置図を見ながら不具合箇所を特定して、画像データ内において交換すべき部品を選択すると、抽出手段は画像データ内において選択された部品に対応する部品データを抽出して表示する。
【0014】
このため、ユーザは、修理要領書の配置図を見ながら不具合箇所を特定すると、この配置図と同一の階層構造に分類された画像データ内において交換すべき部品を選択することができるため、熟練したユーザでなくても容易に交換すべき部品を探し出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の作業車の部品検索システムの構成を説明する機能ブロック図である。
【図2】サーバとクライアント端末の関係を説明する説明図である。
【図3】サーバのハードウェア構成を説明する説明図である。
【図4】本発明の作業車の部品検索システムの処理手順を説明するフローチャートである。
【図5】モデル型式の選択画面である。
【図6】スペックの選択画面である。
【図7】システムインデックスに配置図システムを付加した選択画面である。
【図8】画像データの大分類の選択画面である。
【図9】画像データの小分類の選択画面である。
【図10】選択された画像データである。
【図11】部品の位置を表示する位置図である。
【図12】位置図内の部品の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0017】
まず、図2を用いて本実施例の作業車の部品検索システムSの全体構成を説明する。本実施例では、作業車を構成する部品を検索するシステムについて説明する。ここで、作業車には、オールテレーンクレーン、カーゴクレーン、トラッククレーン、ラフテレーンクレーンなどのクレーンや、高所作業車などの油圧で駆動する作業機を有する作業車が含まれる。
【0018】
本実施例の部品検索システムSは、いわゆるクライアント−サーバ型のシステムであり、図2に示すように、データを記憶するとともに各種の処理を実行するデータサーバであるサーバ42と、インターネットやイントラネットなどの通信網であるネットワークNと、修理担当者などのユーザが閲覧や選択を実行する複数のクライアント端末41,・・・と、を備えて構成される。
【0019】
このサーバ42のハードウェア構成は、図3に示すように、マウス51やキーボード52などの入力手段と、CD−ROMやDVD−ROMなどを読み込み可能な光学式ドライブ53と、モニタ54などの表示手段と、中央演算処理装置であるCPU55と、主記憶装置であるメモリ56と、OS57aやメインプログラム57bや部品データ20や画像データ30を記憶するハードディスク57と、通信ポート58と、を備えている。なお、遠隔操作する場合にはサーバ42は入力手段や表示手段を備えなくてもよい。
【0020】
また、ユーザ側の端末であるクライアント端末41は、上記サーバ42と略同様の構成を備えるものであり、1つのサーバ42に対して複数のクライアント端末41が配置されている。
【0021】
さらに、このクライアント端末41には、インターネットを通じてホームページなどを閲覧するためのWebブラウザソフトがインストールされており、サーバ42が提供する各サービスをブラウザを介して利用できるようになっている。
【0022】
そして、本実施例の作業車の部品検索システムSは、図1に示すように、これらクライアント端末41及びサーバ42のハードウェア構成を用いて、作業車の部品データ20を記憶する部品記憶手段10と、検索対象となる部品の属性を選択する選択手段11と、選択された属性に適合する部品データ20を抽出する抽出手段12と、抽出された結果を表示する表示手段13と、画像データ30を記憶する画像記憶手段14と、を備えている。
【0023】
この部品記憶手段10は、作業車を構成する部品データ20を記憶するもので、サーバ42のハードディスク57によって構成される。
【0024】
部品データ20は、作業車における部品の位置を表示する位置図21と、位置図21内のそれぞれの部品の詳細図22と、を有して構成されている。なお、この部品データ20や部品カタログは、修理要領書80と異なり部品を最適化していく要請から頻繁に更新されるものである。
【0025】
位置図21は、部品カタログ(紙媒体)内の図面を電子化したもので、全体に対する個々の部品の位置を容易に把握するために、実際の作業車における部品配置に対応して平面的又は立体的に図面化されている。
【0026】
詳細図22は、部品カタログ(紙媒体)内の図面を電子化したもので、個々の部品の形状等を実際の部品と対比するために、平面図や立体図などによって構成されている。
【0027】
なお、部品記憶手段10は、位置図21や詳細図22の他に、従来と略同様に車両構成のまとまりごとに位置図21を分類した階層構造のシステムインデックス(目次)を有しているため、従来と同様にシステムインデックスによる検索も可能である。
【0028】
また、選択手段11は、修理担当者によって特定された交換すべき部品の属性を選択するもので、クライアント端末41が備える入力手段としてのマウス51又はキーボード52を用いることができる。
【0029】
さらに、抽出手段12は、選択手段11によって選択された交換すべき部品の属性に適合する部品データ20を部品記憶手段10の中から抽出するもので、サーバ42が備えるCPU55とメモリ56によって実行される。
【0030】
そして、表示手段13は、抽出手段12によって抽出された抽出結果である部品データ20及び画像データ30を表示してユーザに知らせるもので、クライアント端末41が備えるモニタ54などを用いることができる。
【0031】
また、画像記憶手段14は、メンテナンスの際に参照される修理要領書80に記載された配置図としての部品配置図80aと同一の図面を電子化した画像データ30を記憶するもので、サーバ42のハードディスク57によって構成されている。
【0032】
加えて、この画像データ30は、修理要領書80に記載された部品配置図80aと同一の階層構造に分類されている。
【0033】
すなわち、修理要領書80では、本発明の配置図としての油圧回路図、電気回路図又は部品配置図80aは、不具合箇所を迅速に特定して修理・交換する観点から、大分類から小分類へとツリー状の階層構造C1に分類されている。
【0034】
そして、画像データ30の階層構造C2も、この修理要領書80の配置図としての部品配置図80aの階層構造C1と同一の大分類から同一の小分類へとツリー状に構成されている。
【0035】
さらに、画像データ30内に表示されたそれぞれの部品には、部品データ20の位置図21が関連付けられている。つまり、画像データ30内には各部品に指示番号が付されて表記されているが、この指示番号にそれぞれの部品データ20を含む位置図21がリンクされている。
【0036】
上記したように、部品検索システムSのうち、部品記憶手段10、抽出手段12及び画像記憶手段14はサーバ42で実行される手段であり、選択手段11及び表示手段13はクライアント端末41で実行される手段である。
【0037】
ただし、部品記憶手段10、抽出手段12及び画像記憶手段14は、クライアント端末41側のハードウェアにおいて実行されるスタンドアローン型のシステムであってもよい。
【0038】
次に、本実施例の作業車の部品検索システムSについて、部品「チェックバルブ」を探索する場合を例として、通常検索と配置図検索の処理手順を図4のフローチャートと図5〜図12の表示画面に基づいて説明する。
【0039】
なお、検索の前提として、記憶ステップにおいて、上記したように部品記憶手段10に部品データ20を記憶させるとともに、画像記憶手段14に画像データ30を記憶させ、画像データ30内の部品のそれぞれに部品データ20を関連付けておく。
【0040】
はじめに、修理担当者がシステムインデックスを用いておこなう通常検索の処理手順について説明する。
【0041】
まず、ユーザとしての修理担当者は、あらかじめ修理要領書80の配置図としての部品配置図80aを参照しながら、不具合箇所を特定して交換すべき部品を特定する。具体的には、例えば、大分類「油圧部品配置図(下部)」中の小分類「油圧部品(ステアリング)」に含まれる「チェックバルブ」が不具合であると特定する。
【0042】
次に、ユーザはクライアント端末41を起動して、作業車の部品検索システムSを実行するソフトウェアであるWebパーツカタログ検索システムを開く。なお、このWebパーツカタログ検索システムはWebブラウザを介して動作する。
【0043】
そして、修理担当者は、選択手段11としてのマウス51やキーボード52を操作して、オールテレーンクレーン、カーゴクレーン、トラッククレーン、ラフテレーンクレーンそれぞれのモデル型式の中から修理対象のモデル型式であるラフテレーンクレーンの「GR−300XL−1」を選択する(ステップS1,図5)。選択されたことを受信したサーバ42は、クライアント端末41のブラウザ画面に「GR−300XL−1」のスペック選択画面を表示する。
【0044】
次に、修理担当者は、スペックの中から「GR−300−1−00211(4段ブーム+2段ジブ、2M2D)」を選択する(ステップS2,図6)。選択されたことを受信したサーバ42は、図7に示すように、クライアント端末41で開かれているブラウザ画面に、油圧発生システム、アウトリガシステム、旋回システム、起伏システム、・・・等のシステムインデックスを表示し、その下に「配置図システム」を表示する。
【0045】
なお、従来の通常検索の場合には、システムインデックスの下に「配置図システム」の表示はなく、配置図システムの表示を行い、後述の配置図検索を行えるようにしたことが本発明の特徴となる。
【0046】
そして、通常検索の場合には、修理担当者は上段のシステムインデックスの大項目の中から経験に基づいてチェックバルブが属すると予想される「ステアリングシステム」を選択する(ステップS3)。選択されたことを受信したサーバ42は、クライアント端末41のブラウザ画面に「ステアリングシステム」に含まれる中項目を表示する。
【0047】
さらに、修理担当者は、中項目の中から経験に基づいてチェックバルブが属すると予想される「パイピングステアリング(ロア)」を選択する(ステップS4)。選択されたことを受信したサーバ42は、図11に示すように、クライアント端末41のブラウザ画面に「パイピングステアリング(ロア)」の位置図21を表示する。
【0048】
つづいて、修理担当者はこの位置図21の中から交換すべき部品であるチェックバルブを探し出して選択する(ステップS5)。選択されたことを受信したサーバ42は、図12に示すように、クライアント端末41のブラウザ画面に位置図21内のチェックバルブの詳細図22を表示して、通常検索の処理が終了する(ステップS6)。この後、修理担当者は、チェックバルブを発注して交換することになる。
【0049】
次に、修理担当者等がシステムインデックスを用いずに、配置図としての部品配置図80aと同一の画像データ30を見ながらおこなう配置図検索の処理手順について説明する。
【0050】
まず、通常検索と同様に、修理担当者は修理要領書80に記載された配置図としての部品配置図80aを参照しながら、大分類「油圧部品配置図(下部)」中の小分類「油圧部品(ステアリング)」に含まれる「チェックバルブ」が不具合であると特定する。以後、ステップS11,S12については、通常検索の処理手順のステップS1,S2と同様である。
【0051】
そうすると、サーバ42は、図7に示すように、クライアント端末41のブラウザ画面に、油圧発生システム、アウトリガシステム、旋回システム、起伏システム、・・・等のシステムインデックスを表示し、その下に「配置図システム」を表示する。
【0052】
そして、配置図検索の場合には、修理担当者は下段の「配置図システム」を選択する(ステップS13)。選択されたことを受信したサーバ42は、図8に示すように、クライアント端末41のブラウザ画面に、修理要領書80の部品配置図80aの大分類と同一の大分類を表示する。
【0053】
つづいて、修理担当者は、大分類の中から修理要領書80の「油圧部品配置図(下部)」と同じ「ユアツブヒンハイチズ(ロワー)」を選択する(ステップS14の1/2)。選択されたことを受信したサーバ42は、図9に示すように、クライアント端末41のブラウザ画面に「ユアツブヒンハイチズ(ロワー)」に含まれる小分類を表示する。
【0054】
次に、修理担当者は、小分類の中から修理要領書80の「油圧部品(ステアリング)」と同じ「ユアツブヒン(ステアリング)」を選択する(ステップS14の2/2)。選択されたことを受信したサーバ42は、図10に示すように、クライアント端末41のブラウザ画面に画像データ30を表示する。なお、この画像データ30は、修理要領書80の部品配置図80aと同一である。
【0055】
そして、修理担当者は、画像データ30の中から指示番号8のチェックバルブを選択する(ステップS15)。選択されたことを受信したサーバ42は、図11に示すように、クライアント端末41のブラウザ画面に「パイピングステアリング(ロア)」の位置図21を表示する。ここで、指示番号8のチェックバルブに該当する部品は赤字などでハイライト表示されている。
【0056】
つづいて、修理担当者はこの位置図21の中からハイライト表示されているチェックバルブを選択する(ステップS5)。選択されたことを受信したサーバ42は、図12に示すように、クライアント端末41のブラウザ画面に位置図21内のチェックバルブの詳細図22を表示して、配置図検索の処理が終了する(ステップS6)。この後、修理担当者は、チェックバルブを発注して交換することになる。
【0057】
次に、本実施例の作業車の部品検索システムSの効果を列挙して説明する。
【0058】
(1)本発明の作業車の部品検索システムSは、作業車の部品データ20を記憶する部品記憶手段10と、検索対象となる部品の属性を選択する選択手段11と、選択された属性に適合する部品データ20を抽出する抽出手段12と、抽出結果を表示する表示手段13と、を有する作業車の部品検索システムSである。
【0059】
さらに、メンテナンスの際に参照される修理要領書80に記載された配置図としての部品配置図80aの階層構造C1と同一の画像データ30を記憶する画像記憶手段14を備え、画像データ30は部品配置図80aの階層構造C1と同一の階層構造C2に分類されて記憶されるとともに、画像データ30内の部品のそれぞれには部品データ20が関連付けられている。
【0060】
そして、ユーザが修理要領書80の配置図としての部品配置図80aを見ながら不具合箇所を特定して、画像データ30内において交換すべき部品を選択すると、抽出手段12は選択された部品に対応する部品データ20を抽出して表示する。
【0061】
このため、ユーザは、修理要領書80の配置図としての部品配置図80aを見ながら不具合箇所を特定すると、この部品配置図80aの階層構造C1と同一の階層構造C2に分類された画像データ30内において交換すべき部品を選択することができるため、熟練したユーザでなくても、容易に交換すべき部品を探し出すことができる。
【0062】
つまり、パーツカタログの構成を、クレーンの構成で階層別に分類するのではなく、修理要領書80に記載されている部品配置図80aに基づいて分類しているため、修理担当者は現場で修理要領書80の冊子を見ながらチェックした交換部品を、Webサイトを開いて同じ絵で検索できる。
【0063】
特に、自動車や自動二輪車等とは異なり、部品点数が多いうえに回路や階層が多岐に渡るクレーンや高所作業車などの作業車では、構成のまとまりごとに検索しにくいため、修理要領書80に従って検索できることの効果は大きいといえる。
【0064】
このように、交換すべき部品を検索した後に修理手順を特定する流れではなく、修理要領書80を見ながら不具合の原因を特定した後に交換すべき部品を検索する流れになることで、実際の修理順序と同様の流れとなるため、修理工程に手戻りがなく、かつわかりやすいといえる。
【0065】
(2)また、部品データ20は、作業車における部品の位置を表示する位置図21と、位置図21内の部品の詳細図22と、を有して構成されるとともに、画像データ30内の部品には位置図21が関連付けられており、抽出手段12は、画像データ30内において選択された部品を含む位置図21を抽出して表示手段13に表示し、位置図21内において選択された部品の詳細図22を表示する。
【0066】
すなわち、画像データ30内の部品が詳細図22に直接に関連付けられている場合には、詳細図22に表示されている部品が交換すべき部品であるかどうか判断しにくくなり、確認作業が必要となる。
【0067】
そこで、詳細図22の一段階上の位置図21に関連付けられることによって、現車に近い表示を見て部品の位置を把握できるため、部品の取り違いを防止できる。
【0068】
(3)さらに、表示手段13は、画像データ30内において選択された部品を、抽出して表示された位置図21内において強調表示する。
【0069】
つまり、位置図21内においてハイライト表示するなどの強調表示をすることで、位置図21内で該当する部品を探し出しやすく、全体における位置把握も容易となる。
【0070】
(4)そして、部品データ20は、作業車における部品の位置を表示する位置図21と、位置図21内の部品の詳細図22と、位置図21を分類したインデックスと、を有して階層構造に構成されており、抽出手段12は、選択されたインデックスを抽出して表示し、インデックス内において選択された位置図21を抽出して表示し、位置図21内において選択された部品の詳細図22を表示する。
【0071】
したがって、熟練した修理担当者であれば、従来と同様に、経験に基づいてインデックスを用いて目的とする部品を迅速に探し出すことができる。
【0072】
さらに、画像データ30を用いる配置図検索とインデックスを用いる通常検索の両方が可能であれば、用途に応じて2つの検索方法を使い分けることで、ユーザの熟練度によらずに部品検索できる。
【0073】
(5)また、本発明の作業車の部品検索方法は、部品記憶手段10が作業車の部品データ20を記憶するとともに、画像記憶手段14がメンテナンスの際に参照される修理要領書80に記載された配置図としての部品配置図80aと同一の画像データ30を記憶し、画像データ30を修理要領書80と同一の階層構造C2に分類して記憶し、画像データ30内の部品のそれぞれに部品データ20を関連付ける記憶ステップと、ユーザが修理要領書80の部品配置図80aを見ながら不具合箇所を特定して画像データ30内において交換すべき部品を選択手段11によって選択する選択ステップと、抽出手段12が選択された部品に関連付けられた部品データ20を抽出して表示する抽出ステップと、を備えている。
【0074】
このため、ユーザは、選択ステップにおいて、修理要領書80の配置図としての部品配置図80aを見ながら不具合箇所を特定すると、この部品配置図80aの階層構造C1と同一の階層構造C2に分類された画像データ30内において交換すべき部品を選択することができるため、熟練したユーザでなくても、容易に修理対象となる部品を探し出すことができる。
【0075】
(6)さらに、記憶ステップでは、部品記憶手段10が作業車における部品の位置を表示する位置図21と位置図21内の部品の詳細図22とを記憶し、画像データ30内の部品に位置図21を関連付け、抽出ステップでは、抽出手段12が画像データ30内において選択された部品を含む位置図21を抽出して表示し、位置図21内において選択された部品の詳細図22を表示する。
【0076】
すなわち、記憶ステップにおいて詳細図22に直接に関連付けられている場合には、抽出ステップでは詳細図22に表示されている部品が交換すべき部品であるかどうか判断しにくくなり、確認作業が必要となる。
【0077】
そこで、記憶ステップにおいて詳細図22の一段上の位置図21に関連付けられることによって、抽出ステップでは現車に近い表示を見て部品の位置を把握できるため、部品の取り違いを防止できる。
【0078】
以上、図面を参照して、本発明の実施例を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0079】
例えば、前記実施例では、修理要領書80が紙媒体の冊子として構成される場合について説明したが、これに限定されるものではなく、修理要領書80をサーバ42側又はクライアント端末41側でデータとして記憶しておいてWebブラウザ上に表示して、部品配置図80aの部品をパーツカタログにリンクするようにしてもよい。
【0080】
また、前記実施例では、抽出処理をサーバ42側で実行するシステムについて説明したが、これに限定されるものではなく、抽出処理をクライアント端末41側でおこなうものであってもよい。
【0081】
さらに、前記実施例では、配置図として部品配置図80aを用いる場合について説明したが、これに限定されるものではなく、配置図として油圧回路図や電気回路図などの回路図を用いる場合にも本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0082】
S 作業車の部品検索システム
C1,C2 階層構造
R1 関連付け
10 部品記憶手段
11 選択手段
12 抽出手段
13 表示手段
14 画像記憶手段
20 部品データ
21 位置図
22 詳細図
30 画像データ
80 修理要領書
80a 部品配置図(配置図)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業車の部品データを記憶する部品記憶手段と、検索対象となる部品の属性を選択する選択手段と、選択された属性に適合する部品データを抽出する抽出手段と、抽出結果を表示する表示手段と、を有する作業車の部品検索システムであって、
メンテナンスの際に参照される修理要領書に記載された配置図と同一の画像データを記憶する画像記憶手段を備え、前記画像データは前記配置図と同一の階層構造に分類されて記憶されるとともに、前記画像データ内の部品のそれぞれには前記部品データが関連付けられており、
ユーザが前記修理要領書の前記配置図を見ながら不具合箇所を特定して、前記画像データ内において交換すべき部品を選択すると、前記抽出手段は選択された部品に対応する部品データを抽出して表示することを特徴とする作業車の部品検索システム。
【請求項2】
前記部品データは、作業車における部品の位置を表示する位置図と、前記位置図内の部品の詳細図と、を有して構成されるとともに、前記画像データ内の部品には前記位置図が関連付けられており、
前記抽出手段は、前記画像データ内において選択された部品を含む前記位置図を抽出して表示し、前記位置図内において選択された部品の前記詳細図を表示することを特徴とする請求項1に記載の作業車の部品検索システム。
【請求項3】
前記表示手段は、前記画像データ内において選択された部品を、抽出して表示された前記位置図内において強調表示することを特徴とする請求項2に記載の作業車の部品検索システム。
【請求項4】
前記部品データは、作業車における部品の位置を表示する位置図と、前記位置図内の部品の詳細図と、前記位置図を分類したインデックスと、を有して階層構造に構成されており、
前記抽出手段は、選択された前記インデックスを抽出して表示し、前記インデックス内において選択された前記位置図を抽出して表示し、前記位置図内において選択された部品の前記詳細図を表示することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の作業車の部品検索システム。
【請求項5】
部品記憶手段が作業車の部品データを記憶するとともに、画像記憶手段がメンテナンスの際に参照される修理要領書に記載された配置図と同一の画像データを記憶し、前記画像データを前記修理要領書と同一の階層構造に分類して記憶し、前記画像データ内の部品のそれぞれに前記部品データを関連付ける記憶ステップと、
ユーザが前記修理要領書の前記配置図を見ながら不具合箇所を特定して、前記画像データ内において交換すべき部品を選択手段によって選択する選択ステップと、
抽出手段が選択された部品に関連付けられた前記部品データを抽出して表示する抽出ステップと、を備える作業車の部品検索方法。
【請求項6】
前記記憶ステップでは、前記部品記憶手段が作業車における部品の位置を表示する位置図と前記位置図内の部品の詳細図とを記憶し、前記画像データ内の部品に位置図を関連付け、
前記抽出ステップでは、前記抽出手段が前記画像データ内において選択された部品を含む前記位置図を抽出して表示し、前記位置図内において選択された部品の前記詳細図を表示することを特徴とする請求項5に記載の作業車の部品検索方法。
【請求項1】
作業車の部品データを記憶する部品記憶手段と、検索対象となる部品の属性を選択する選択手段と、選択された属性に適合する部品データを抽出する抽出手段と、抽出結果を表示する表示手段と、を有する作業車の部品検索システムであって、
メンテナンスの際に参照される修理要領書に記載された配置図と同一の画像データを記憶する画像記憶手段を備え、前記画像データは前記配置図と同一の階層構造に分類されて記憶されるとともに、前記画像データ内の部品のそれぞれには前記部品データが関連付けられており、
ユーザが前記修理要領書の前記配置図を見ながら不具合箇所を特定して、前記画像データ内において交換すべき部品を選択すると、前記抽出手段は選択された部品に対応する部品データを抽出して表示することを特徴とする作業車の部品検索システム。
【請求項2】
前記部品データは、作業車における部品の位置を表示する位置図と、前記位置図内の部品の詳細図と、を有して構成されるとともに、前記画像データ内の部品には前記位置図が関連付けられており、
前記抽出手段は、前記画像データ内において選択された部品を含む前記位置図を抽出して表示し、前記位置図内において選択された部品の前記詳細図を表示することを特徴とする請求項1に記載の作業車の部品検索システム。
【請求項3】
前記表示手段は、前記画像データ内において選択された部品を、抽出して表示された前記位置図内において強調表示することを特徴とする請求項2に記載の作業車の部品検索システム。
【請求項4】
前記部品データは、作業車における部品の位置を表示する位置図と、前記位置図内の部品の詳細図と、前記位置図を分類したインデックスと、を有して階層構造に構成されており、
前記抽出手段は、選択された前記インデックスを抽出して表示し、前記インデックス内において選択された前記位置図を抽出して表示し、前記位置図内において選択された部品の前記詳細図を表示することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の作業車の部品検索システム。
【請求項5】
部品記憶手段が作業車の部品データを記憶するとともに、画像記憶手段がメンテナンスの際に参照される修理要領書に記載された配置図と同一の画像データを記憶し、前記画像データを前記修理要領書と同一の階層構造に分類して記憶し、前記画像データ内の部品のそれぞれに前記部品データを関連付ける記憶ステップと、
ユーザが前記修理要領書の前記配置図を見ながら不具合箇所を特定して、前記画像データ内において交換すべき部品を選択手段によって選択する選択ステップと、
抽出手段が選択された部品に関連付けられた前記部品データを抽出して表示する抽出ステップと、を備える作業車の部品検索方法。
【請求項6】
前記記憶ステップでは、前記部品記憶手段が作業車における部品の位置を表示する位置図と前記位置図内の部品の詳細図とを記憶し、前記画像データ内の部品に位置図を関連付け、
前記抽出ステップでは、前記抽出手段が前記画像データ内において選択された部品を含む前記位置図を抽出して表示し、前記位置図内において選択された部品の前記詳細図を表示することを特徴とする請求項5に記載の作業車の部品検索方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−43867(P2011−43867A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−189668(P2009−189668)
【出願日】平成21年8月19日(2009.8.19)
【出願人】(000148759)株式会社タダノ (419)
【出願人】(393008360)株式会社タダノエンジニアリング (15)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月19日(2009.8.19)
【出願人】(000148759)株式会社タダノ (419)
【出願人】(393008360)株式会社タダノエンジニアリング (15)
【Fターム(参考)】
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