説明

作業車両

【課題】排気ガス浄化装置の着脱を容易にできる作業車両を提供すること。
【解決手段】作業車両は、動力室内に収容されたエンジン20と、動力室内に収容されるとともに、エンジン20に供給される吸気を浄化するエアクリーナ21と、動力室内でエンジン20に搭載されるとともに、エンジン20から排気される排気ガスを浄化する排気ガス浄化装置22と、排気ガス浄化装置22をエンジン20に取り付ける取付ブラケットと、エアクリーナ21と排気ガス浄化装置22との間に配置されて、排気ガス浄化装置22からの熱を遮る第1の遮熱板25Aとを備え、第1の遮熱板25Aが取付ブラケットに取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両に係り、例えばホイールローダ等の作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンからの排気ガスを浄化する排気ガス浄化装置を搭載したホイールローダが知られている(例えば、特許文献1参照)。排気ガス浄化装置の内部には、排気ガス中の粒子状物質を捕集するスーツフィルタが収容されている。
【0003】
このような排気ガス浄化装置においては、使用期間に基づきスーツフィルタを洗浄または交換等する等の整備が必要であり、整備にあたっては、大重量である排気ガス浄化装置をエンジンルームからクレーンで吊り上げ、車両の外部にて分解作業を行う。
【0004】
ところで、このようなホイールローダの動力室には、エンジンへ供給される吸気を浄化するためのエアクリーナが収容されている。そして、エアクリーナと排気ガス浄化装置との間には、排気ガス浄化装置からの輻射熱を遮断する遮熱板が設けられている。遮熱板は、エンジンにブラケットを介して取り付けられており、エアクリーナを構成する樹脂部品等が高温により劣化することを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−59749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、そのような遮熱板は、排気ガス浄化装置からの輻射熱を確実に遮断するために、排気ガス浄化装置を広い範囲で覆っており、整備のために排気ガス浄化装置を動力室から取り出す場合には先ず、遮熱板をエンジンから外し、この後に排気ガス浄化装置をエンジンから外して吊り上げる必要があり、作業に手間がかかるという問題がある。
また、遮熱板もエアクリーナと排気ガス浄化装置との間の狭いスペースに配置されているので、遮熱板自体を取り外すことも容易ではなく、その解決が望まれていた。
【0007】
本発明の目的は、排気ガス浄化装置の着脱を容易にできる作業車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1発明に係る作業車両は、動力室内に収容されたエンジンと、前記動力室内に収容されるとともに、前記エンジンに供給される吸気を浄化するエアクリーナと、前記動力室内で前記エンジンに搭載されるとともに、前記エンジンから排気される排気ガスを浄化する排気ガス浄化装置と、前記排気ガス浄化装置を前記エンジンに取り付ける取付ブラケットと、前記エアクリーナと前記排気ガス浄化装置との間に配置されて、前記排気ガス浄化装置からの熱を遮る第1の遮熱板とを備え、前記第1の遮熱板が前記取付ブラケットに取り付けられていることを特徴とする。
【0009】
第2発明に係る作業車両では、前記取付ブラケットの前記エアクリーナと対向する側とは反対側には、前記エンジンを冷却する冷却装置を収容する冷却室が設けられているとともに、前記動力室および前記冷却室は、前記取付ブラケットから所定間隔離れた位置に配置された隔壁で仕切られていることを特徴とする。
【0010】
第3発明に係る作業車両では、前記動力室の上方を覆う天井カバーが設けられているとともに、前記排気ガス浄化装置は、排気ガス中の粒子状物質を捕集するスーツフィルタを収容する本体部と、前記スーツフィルタを通過した排気ガスを外部に導く出口チューブとを備え、前記出口チューブは、前記本体部と前記天井カバーとの間に配置され、前記出口チューブと前記天井カバーとの間には、前記出口チューブからの熱を遮る第2の遮熱板が設けられていることを特徴とする。
【0011】
第4発明に係る作業車両では、前記出口チューブおよび前記第2の遮熱板は、前記取付ブラケットに取り付けられた支持ブラケットで支持されていることを特徴とする。
【0012】
第5発明に係る作業車両では、前記出口チューブは、排気ガスの流出側が水平に延びる水平部から垂直上方に延びる垂直部に曲がる曲り部を有し、前記曲り部の側方を覆い、前記出口チューブから前記エアクリーナへの熱を遮る第3の遮熱板が設けられていることを特徴とする。
【0013】
第6発明に係る作業車両では、前記出口チューブおよび前記第3の遮熱板は、前記取付ブラケットに取り付けられた支持ブラケットで支持されていることを特徴とする。
【0014】
第7発明に係る作業車両では、前記支持ブラケットおよび前記第1の遮熱板は並設されていることを特徴とする。
【0015】
第8発明に係る作業車両では、オペレータ用の運転席が設けられており、前記出口チューブは、前記排気ガス浄化装置の本体部の車両前後方向における中央よりも前記運転席側に寄った位置に配置されていることを特徴とする。
【0016】
第9発明に係る作業車両では、前記出口チューブの排気ガス流出端部は垂直上方に開口しており、この開口した部分は、車両左右方向における略中央の位置に配置されていることを特徴とする。
【0017】
第10発明に係る作業車両では、作動油を貯留する作動油タンクが設けられ、前記エアクリーナは、前記作動油タンクと前記排気ガス浄化装置との間に配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
第1発明によれば、第1の遮熱板が排気ガス浄化装置をエンジンに取り付けるための取付ブラケットに設けられているため、エンジンに対して排気ガス浄化装置を取付ブラケットごと着脱させる際に、第1の遮熱板をも同時に着脱でき、そのような遮熱板を狭い作業スペースで個別に着脱させていた従来に比して、着脱作業を容易にできる。
【0019】
第2発明によれば、動力室と冷却室とを仕切る隔壁が取付ブラケットから所定間隔離れた位置に設けられているので、取付ブラケットと隔壁との間に生じたスペースを利用して
排気ガス浄化装置のエンジンとの着脱作業を行え、作業性をより良好にできる。
【0020】
第3発明によれば、天井カバーの直下に配置されることになる出口チューブからの熱が第2の遮熱板で遮られるので、天井カバーへの熱影響を抑制でき、天井カバー表面に塗布された塗装の焼け等を確実に軽減できる。
【0021】
第4発明によれば、出口チューブおよび第2の遮熱板が支持ブラケットを介して取付ブラケットに取り付けられているので、それらの部材を支持ブラケットで確実に支持できるうえ、エンジンからの着脱作業を排気ガス浄化装置の本体部等から分離することなく容易にできる。
【0022】
第5発明によれば、第3の遮熱板が設けられているので、出口チューブからの熱がエアクリーナへ伝わることを遮ることができ、エアクリーナの動作が出口チューブからの熱で影響されることを抑制できる。
【0023】
第6発明によれば、出口チューブおよび第3の遮熱板が支持ブラケットを介して取付ブラケットに取り付けられているので、それらの部材を支持ブラケットで確実に支持できるうえ、エンジンからの着脱作業を排気ガス浄化装置の本体部等から分離することなく容易にできる。
【0024】
第7発明によれば、支持ブラケットと第1の遮熱板とが互いに並設された位置にあるので、この支持ブラケットによっても輻射熱の遮熱効果をえることができ、エアクリーナへの熱影響を一層軽減できる。
【0025】
第8発明によれば、第2の遮熱板および出口チューブが運転席寄りに設けられていることから、車両の後端(場合によっては前端)に近くにつれて動力室等の高さを低くでき、オペレータの視界性を向上させることができる。
【0026】
第9発明によれば、出口チューブの排気ガス流出端部の開口した部分は、車両左右方向における略中央の位置に配置されているため、オペレータの視界性を向上させることができる。
【0027】
第10発明によれば、排気ガス浄化装置22の横に配置されたエアクリーナ21の存在によって、排気ガス浄化装置22からの熱が作動油タンク12へ伝わることが抑制され、作動油タンク12外周から作動油への熱の伝導が少なくなり、作動油がオーバヒートすることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施形態に係るホイールローダの全体を示す側面図。
【図2】図1に示すホイールローダの車両後方側を示す側面図で、動力室の内部と冷却室の内部とを示す拡大図。
【図3】排気ガス浄化装置を示す斜視図。
【図4】排気ガス浄化装置がエンジン上に配設された状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、以下の説明において、前後左右方向とは、オペレータが図1に示すキャブ11内の運転席に着座した状態における前後左右方向と同一方向をいう。また、上流側および下流側とは、排気ガスの流れ方向の上流側および下流側をいう。
図1に示す作業車両としてのホイールローダ1は、前部車体2Aと後部車体2Bとを有する車体2を備え、前部車体2Aの前方には、掘削・積込用のバケット3がブーム4、ベルクランク5、および連結リンク6等を介して取り付けられている。
【0030】
後部車体2Bの骨組を構成する後部車体フレーム10には、車両前方(図1中左方向)から順にキャブ11および作動油タンク12が搭載され、作動油タンク12の後方には、動力室13および冷却室14がそれぞれ設けられている。
キャブ11は、オペレータが着座する図示しない運転席や操作機器等を収容する。
作動油タンク12は、ブーム4を回動させる図示しないブームシリンダや、ベルクランク5を回動させるバケットシリンダ7などに対し給排される作動油を貯留する。
【0031】
動力室13は、キャブ11よりも車両後方側(図1中右側)に位置し、その天井面が天井カバー131によって構成され、その左右両側の側面が一対のサイドカバー132によって構成されている。
天井カバー131は、周囲の外装カバーにボルトによって取り付けられており、着脱可能である。左右のサイドカバー132は、上部側を支点として跳ね上げ式に回動する構成である。
【0032】
図2に示すように、動力室13には、エンジン20と、エンジン20に供給される吸気を浄化するエアクリーナ21と、エンジン20から排気される排気ガスを浄化する排気ガス浄化装置22とが収容されている。エンジン20は後部車体フレーム10上に搭載され、エアクリーナ21は天井カバー131に取り付けられている。
天井カバー131の上面からは、外気吸込み口21Aが突出して設けられている。外気吸込み口21Aは、オペレータの後方視界を考慮して車両左右方向の略中央に位置している。
【0033】
図1に示すように、冷却室14は、上方および左右を覆うカバー本体141と、カバー本体141の後端部に装着されるグリル142とからなる後部外装カバー140により覆われている。冷却室14には、図2に示すように、冷却装置としてのクーリングユニット30が収容されている。クーリングユニット30は、図示を省略するが、電動モータあるいは油圧モータによって駆動される冷却ファン、冷却ファンによる冷却空気で冷却されるラジエータ、オイルクーラ、アフタークーラ、エアコンコンデンサ等を備えている。
図2に示すような冷却室14と前述した動力室13とは、隔壁40によって仕切られている。
【0034】
図3および図4に示すように、排気ガス浄化装置22は、取付ブラケット31を介してエンジン20上に取り付けられ、エアクリーナ21に隣接してエアクリーナ21よりも車両後方側に配設される。
取付ブラケット31は、排気ガス浄化装置22側に取り付く中間ブラケット23と、エンジン20側に取り付くマウントブラケット24を備えている。取付ブラケット31が中間ブラケット23とマウントブラケット24とに分割可能になっているのは、後述するように、過給機に対する排気ガス浄化装置22の接続位置の高さ調整を可能にするためである。また、取付ブラケット31と隔壁40との間は所定間隔離れている。
排気ガス浄化装置22は、排気ガス導入部220と、本体部221と、排気ガス導出部222と、出口チューブ223とを備える。
排気ガス導入部220は、図示しない排気タービン過給機の排出管に接続され、該過給機を通して排出されるエンジン20からの排気ガスを本体部221内に導入する。
本体部221は、円筒状に形成されたケース内部に粒子状物質捕集用のスーツフィルタを収容した構造であり、スーツフィルタの上流側には、ドージング燃料を活性化して排気ガスの温度を上昇させる酸化触媒が配置される。
キャブ11と動力室13間には作動油タンク12が配置されている。動力室13には排気ガス浄化装置22があり、排気ガス浄化装置22では排気ガスの温度を上昇させていることから、発熱量が多い。一方、作動油はオイルクーラで冷却する必要がある程度の所定の温度であるので、少しでも排気ガス浄化装置22からの熱が作動油タンク12に伝わり、作動油タンク12外周から作動油への熱の伝導を少なくさせたい。
そこで、作動油タンク12と排気ガス浄化装置22との間にエアクリーナ21を配置している。エアクリーナ21は熱に弱いが、エアクリーナ21自体は動力室13内に配置される装置であり、排気ガス浄化装置22との間に、後述する第1の遮熱板25Aを介在させて熱対応を施している。このようにして、排気ガス浄化装置22の横に配置されたエアクリーナ21の存在によって、作動油タンク12への熱の伝導が少なくなり、作動油がオーバヒートすることを抑制している。
【0035】
排気ガス導出部222は、上端側が車両前方側に傾斜しており、スーツフィルタを通過した排気ガスを導出する。
出口チューブ223は、排気ガスの流出側(下流側)に、水平に延びる水平部223Aと、垂直上方に延びる垂直部223Bと、水平部223Aから垂直部223Bに曲がる曲り部223Cを有し、全体形状が略L字形状に形成され、後述する支持ブラケット26で支持されている。出口チューブ223の上流側の端部は排気ガス導出部222に接続され、下流側の排気ガス流出端部は図1に示す鉛直なテールパイプ15に接続され、排気ガスを動力室13の外部に向かって排気する。出口チューブ223の排気ガス流出端部は垂直上方に開口しており、この開口した部分は、車両左右方向における略中央の位置に配置されている。出口チューブ223は、排気ガス導出部222の上端が車両前方側に傾倒していることで、本体部221の直上位置よりも車両前方側に寄った位置に配置される。このような配置によって、出口チューブ223の水平部223Aの設置高さを下げることができる。これに伴い、天井カバー131の設置高さも下げることができ、キャブ11内からのオペレータの後方視界が良好になる。また、出口チューブ223の全体形状がL字状とされているのも、テールパイプ15がオペレータの後方視界を考慮して車両左右方向の略中央に位置しているからであり、このようなテールパイプ15と車両の右側に位置した排気ガス導出部222とを接続するためである。さらに、テールパイプ15と外気吸込み口21Aとを共に車体左右方向の略中央に位置させていることも、オペレータの後方視界を良好にするためである。
【0036】
中間ブラケット23は、排気ガス浄化装置22を支持するとともに、排気ガス浄化装置22をマウントブラケット24を介してエンジン20に取り付けるものであり、底部231と、左支持部232と、右支持部233と、調整固定板234とを備える。
底部231のエアクリーナ21と対向する側(車両前方側)には、略平板状の第1の遮熱板25Aが取り付けられている。
第1の遮熱板25Aには、エアクリーナ21側に折曲した折曲部25A1,25A2が上縁および右側縁に沿って形成されており、第1の遮熱板25Aの上部の高さ位置は、排気ガス浄化装置22の本体部221の上部の高さ位置とほぼ同じか、あるいは高くなっている。このような構成の第1の遮熱板25Aによって、本体部221からの輻射熱が遮蔽されてエアクリーナ21に伝わることが遮られる。そして、第1の遮熱板25Aが中間ブラケット23に取り付けられていることで、この取付ブラケット31を介してエンジン20に対して着脱される本実施形態の排気ガス浄化装置22では、排気ガス浄化装置22を取付ブラケット31ごとエンジン20から外すことで同時に第1の遮熱板25Aを外すことができる。
【0037】
また、底部231には、第1の遮熱板25Aの側方に位置するように支持ブラケット26が取り付けられている。支持ブラケット26は、底部231に取り付けられて上下方向に延びる基部261と、基部261に溶接等された略L字形状の支持部262とを備える。
支持部262には支持板263が取り付けられている。この支持板263の右側には、上方に蓋部25B1を有する箱形状の第2の遮熱板25Bが取り付けられ、支持板263の左側には、略コの字形状の第3の遮熱板25Cとが取り付けられる。
第2の遮熱板25Bは、本体部221から所定距離離れた位置で、出口チューブ223の水平部223Aの上部に沿って設けられ、水平部223Aを上方から覆っている。このような構成の第2の遮熱板25Bによって、排気ガス浄化装置22の特に出口チューブ223からの輻射熱が天井カバー131に伝わるのを遮蔽している。
第3の遮熱板25Cは、第2の遮熱板25Bと連結され、出口チューブ223の曲り部223Cの側方を覆うとともに、その前面側の部分により、出口チューブ223からの輻射熱がエアクリーナ21に伝わるのを遮蔽している。
【0038】
中間ブラケット23において、左支持部232は、底部231から立設され、本体部221の上流側の端部を支持する。左支持部232には、上部に丸孔を有した左立上片232Aが設けられている。右支持部233は、底部231から立設され、本体部221の下流側の基部を支持する。右支持部233にも同様な右立上片233Aが設けられている。左右の立上片232A,233Aの丸孔には、排気ガス浄化装置22をクレーンにて吊る際のフックが掛けられる。
調整固定板234は、底部231から下方(図4中下方向)に向かって延出されている。調整固定板234の左右両側(図4中左右方向)のそれぞれには、底部231の第1の遮熱板25Aが取り付けられる側とは反対側から、すなわち車両後方側からボルト29を挿入するための上下方向に長い4つの長孔234A1が形成されている。これらの長孔234A1により、過給機に対する排気ガス浄化装置22の接続位置の高さ調整等が行われる。
【0039】
マウントブラケット24は、エンジン20と中間ブラケット23との間に介在して排気ガス浄化装置22をエンジン20に固定するものである。マウントブラケット24は左右に1対配置されている。各マウントブラケット24は、平板形状の固定部24Aと、固定部24Aから立設された支持部24Bとを有する。固定部24Aは、上方からの3つのボルト28によってエンジン20に固定される。3つのボルト28のうち、2つは隔壁40側に配置され、1つはエアクリーナ21側に配置されている。支持部24Bには、調整固定板234の各長孔234A1,234A2に挿通されたボルト29が螺合する図示しない4つのボルト孔が形成され、これらのボルト29によって中間ブラケット23が固定される。
【0040】
次に、排気ガス浄化装置22の整備に伴う脱着作業について説明する。
まず、天井カバー131を引き上げ、サイドカバー132を開く。排気ガス導入部220と、エンジン20に形成された排出口20Aとの接続を解除する。なお、天井カバー131を引き上げることで、出口チューブ223とテールパイプ15との接続は解除される。
次いで、排気ガス浄化装置22と隔壁40との間に作業者が手などを差し入れ、マウントブラケット24をエンジン20へ固定している6つのボルト28のうち、隔壁40側の4つを外す。エアクリーナ21および排気ガス清浄装置22は、ともに断面が円形であるうえ、エアクリーナ21の方が排気ガス清浄装置22と比べて上方に設置されていることから、エアクリーナ21側の、マウントブラケット24の固定部24A周辺には、作業スペースが存在する。したがって、マウントブラケット24をエンジン20へ固定している6つのボルト28のうち、エアクリーナ21側の2つは、車体左右側方から作業者が手などを差し入れて外すことができる。なお、第1の遮熱板25Aおよび支持ブラケット26があることにより、エアクリーナ21側の2つのボルト28の位置は、取付ブラケット31の左右端寄りに設けられている。
そして、中間ブラケット23に設けられた左立上片232Aおよび右立上片233Aを利用して、図示しないクレーン等を用いて中間ブラケット23を介して取付ブラケット31全体を吊り上げる。これにより、取付ブラケット31とともに、中間ブラケット23に取り付けられた第1の遮熱板25A、第2の遮熱板25B、第3の遮熱板25Cおよび支持板263を排気ガス浄化装置22ごとエンジン20から取り外すことができる。
この後、外段取りにて排気ガス浄化装置22を整備する。すなわち、Uボルトを緩めて排気ガス浄化装置22を取付ブラケット31から外し、Vクランプ等の固定手段を外して分解し、本体部221内からスーツフィルタを取り出して洗浄あるいは交換する。
【0041】
そして、今述べた取り外しの手順とは略逆の手順にしたがって、整備された排気ガス浄化装置22をエンジン20へ取り付ける。これにより、排気ガス浄化装置22の整備および脱着作業が完了する。
【0042】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記実施形態では、排気ガス浄化装置22はエアクリーナ21よりも車両後方側に配設されていたが、両者の配置が前後逆で、排気ガス浄化装置22がエアクリーナ21よりも車両前方側に配設されていてもよい。
【0043】
また、前記実施形態では、遮熱板としては、第1の遮熱板25A、第2の遮熱板25B、第3の遮熱板25C、支持板263が個別に設けられていたが、これらが一体となった1つの遮熱板であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、ホイールローダの他、ブルドーザや油圧ショベル等の作業車両に利用することができる。
【符号の説明】
【0045】
1…作業車両であるホイールローダ、12…作動油タンク、13…動力室、14…冷却室、20…エンジン、21…エアクリーナ、22…排気ガス浄化装置、25A…第1の遮熱板、25B…第2の遮熱板、25C…第3の遮熱板、26…支持ブラケット、30…冷却装置であるクーリングユニット、31…取付ブラケット、40…隔壁、131…天井カバー、221…本体部、223…出口チューブ、223A…水平部、223B…垂直部、223C…曲り部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力室内に収容されたエンジンと、
前記動力室内に収容されるとともに、前記エンジンに供給される吸気を浄化するエアクリーナと、
前記動力室内で前記エンジンに搭載されるとともに、前記エンジンから排気される排気ガスを浄化する排気ガス浄化装置と、
前記排気ガス浄化装置を前記エンジンに取り付ける取付ブラケットと、
前記エアクリーナと前記排気ガス浄化装置との間に配置されて、前記排気ガス浄化装置からの熱を遮る第1の遮熱板とを備え、
前記第1の遮熱板が前記取付ブラケットに取り付けられている
ことを特徴とする作業車両。
【請求項2】
請求項1に記載の作業車両において、
前記取付ブラケットの前記エアクリーナと対向する側とは反対側には、前記エンジンを冷却する冷却装置を収容する冷却室が設けられているとともに、
前記動力室および前記冷却室は、前記取付ブラケットから所定間隔離れた位置に配置された隔壁で仕切られている
ことを特徴とする作業車両。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の作業車両において、
前記動力室の上方を覆う天井カバーが設けられているとともに、
前記排気ガス浄化装置は、排気ガス中の粒子状物質を捕集するスーツフィルタを収容する本体部と、前記スーツフィルタを通過した排気ガスを外部に導く出口チューブとを備え、
前記出口チューブは、前記本体部と前記天井カバーとの間に配置され、
前記出口チューブと前記天井カバーとの間には、前記出口チューブからの熱を遮る第2の遮熱板が設けられている
ことを特徴とする作業車両。
【請求項4】
請求項3に記載の作業車両において、
前記出口チューブおよび前記第2の遮熱板は、前記取付ブラケットに取り付けられた支持ブラケットで支持されている
ことを特徴とする作業車両。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の作業車両において、
前記出口チューブは、排気ガスの流出側が水平に延びる水平部から垂直上方に延びる垂直部に曲がる曲り部を有し、
前記曲り部の側方を覆い、前記出口チューブから前記エアクリーナへの熱を遮る第3の遮熱板が設けられている
ことを特徴とする作業車両。
【請求項6】
請求項5に記載の作業車両において、
前記出口チューブおよび前記第3の遮熱板は、前記取付ブラケットに取り付けられた支持ブラケットで支持されている
ことを特徴とする作業車両。
【請求項7】
請求項4または請求項6に記載の作業車両において、
前記支持ブラケットおよび前記第1の遮熱板は並設されている
ことを特徴とする作業車両。
【請求項8】
請求項4、請求項6または請求項7に記載の作業車両において、
オペレータ用の運転席が設けられており、
前記出口チューブは、前記排気ガス浄化装置の本体部の車両前後方向における中央よりも前記運転席側に寄った位置に配置されている
ことを特徴とする作業車両。
【請求項9】
請求項8に記載の作業車両において、
前記出口チューブの排気ガス流出端部は垂直上方に開口しており、
この開口した部分は、車両左右方向における略中央の位置に配置されている
ことを特徴とする作業車両。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の作業車両において、
作動油を貯留する作動油タンクが設けられ、
前記エアクリーナは、前記作動油タンクと前記排気ガス浄化装置との間に配置される
ことを特徴とする作業車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−136845(P2012−136845A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−288816(P2010−288816)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【Fターム(参考)】