作業車
【課題】作業を行うための適正な準備ができていない状態で、運転者が誤って車体を走行させて作業を開始させることを回避させることが可能な作業車を提供する。
【解決手段】エンジンの回転数を検出するエンジン回転数センサ53と、エンジンの出力が作業装置に伝達されている駆動状態であるか否かを検出する操作体位置検出用センサ43と、運転者に対する報知作動を行う表示ランプ54と、表示ランプ54の作動を制御する制御部42とが備えられ、制御部42が、エンジン回転数センサ53にて検出されるエンジン回転数が定格回転数であり且つ操作体位置検出用センサ43にて駆動状態であることが検出されると、報知作動を実行するように表示ランプ54を制御するように構成されている。
【解決手段】エンジンの回転数を検出するエンジン回転数センサ53と、エンジンの出力が作業装置に伝達されている駆動状態であるか否かを検出する操作体位置検出用センサ43と、運転者に対する報知作動を行う表示ランプ54と、表示ランプ54の作動を制御する制御部42とが備えられ、制御部42が、エンジン回転数センサ53にて検出されるエンジン回転数が定格回転数であり且つ操作体位置検出用センサ43にて駆動状態であることが検出されると、報知作動を実行するように表示ランプ54を制御するように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンにて駆動される走行装置と、前記エンジンにて駆動される作業装置と、前記エンジンの出力を前記作業装置に伝達する入り状態と伝達を遮断する切り状態とに切り換え自在な作業クラッチと、前記エンジンの出力を変更調整自在なアクセル手段とが備えられ、前記走行装置にて車体を走行させながら前記作業装置にて作業を実行するように構成されている作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
上記作業車の一例としてのコンバインにおいて、従来では、次のように構成されたものがあった。
すなわち、前記作業装置としての脱穀装置を備えており、前記作業クラッチとしてエンジンの出力を脱穀装置に伝達する入り状態と伝達を遮断する切り状態とに切り換え自在な脱穀クラッチを備え、且つ、作業指令手段としての作業開始指令スイッチの操作に基づいて、脱穀クラッチの入り状態と切り状態との切換操作、及び、アクセル手段の定格回転状態とアイドリング状態との切換操作を1つの電動モータにて行うようになっており、ランプ付きロック無しスイッチにて構成される作業開始指令スイッチがオン操作されると、その作業開始指令スイッチに備えられたランプを点灯し、アクセル手段を定格回転状態に切り換え且つ脱穀クラッチを入り状態に切り換えるように電動モータを作動させるようになっている(例えば、特許文献1参照。)(以下、第1の従来例という)。
【0003】
上記構成は、コンバインにて刈取作業を行う場合に、運転者が作業開始指令スイッチを操作するだけで、エンジンが定格回転数にて回転する状態となり、しかも、脱穀クラッチ(作業クラッチ)が入り状態に切り換えられるので、手動操作にてエンジン回転数を変更調整したり、脱穀クラッチを入り操作する等の操作が不要となり、操作の煩わしさを解消することができるようにしたものである。
尚、エンジンが定格回転数にて回転する状態となり、脱穀クラッチが入り状態に切り換えられた後、刈取作業を開始するときは、刈取クラッチを入り状態にして車体の前部に設けられた刈取処理装置を作動させて走行装置にて車体を走行させながら刈取作業を実行することになる。
【0004】
従来の作業車としては、上記したような構成の他、作業クラッチの入り状態と切り状態との切換操作、及び、アクセル手段の定格回転状態とアイドリング状態との切換操作を夫々各別に手動操作にて行うようにしたものもある(以下、第2の従来例という)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−252347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記第1の従来例では、作業開始指令スイッチがオンすると、アクセル手段を定格回転状態に切り換え且つ脱穀クラッチ(作業クラッチ)を入り状態に切り換えるように電動モータ(切換操作用駆動手段)を作動させるものであるが、作業開始指令スイッチがオンしてから電動モータによる切り換え操作が終了するまで、つまり、作業開始指令スイッチがオン操作されてから、実際にエンジン回転数が定格回転数になり且つ脱穀クラッチが入り状態に切り換わるまでの間には、電動モータによる動作を実行するために時間がかかる(例えば数秒間程度)。
【0007】
しかしながら、運転者は、作業開始指令スイッチを操作すると、その作業開始指令スイッチに備えられたランプが点灯するので、そのランプの点灯により作業開始指令スイッチの指令に伴う作動が適切に行われたものと勘違いして、車体を走行させて刈取作業を開始する場合がある。
【0008】
その結果、電動モータによる切り換え操作が終了する前に、つまり、エンジン回転数が定格回転数になっており且つ脱穀クラッチが完全に入り状態に切り換わっている状態になる前に、言い換えると、刈取作業を行うための適正な準備ができていない状態で、車体を走行させて刈取作業を開始してしまうことになり、車体走行に伴って発生する走行負荷により定格回転数よりも低い回転数で回転しているエンジンに対して過大な負荷がかかってエンストしたり、脱穀装置(作業装置)での脱穀作業が良好に行えないまま刈取作業が行われる等のおそれがあった。
【0009】
又、上記第2の従来例においても、脱穀クラッチの入り状態と切り状態との切換操作、及び、アクセル手段の定格回転状態とアイドリング状態との切換操作を夫々各別に手動操作にて行う構成であるから、運転者が誤って脱穀クラッチの入り状態への切り換え操作やアクセル手段の定格回転状態への切り換え操作を行わないまま、言い換えると、刈取作業を行うための適正な準備ができていない状態で、そのことに気づかずに車体を走行させて刈取作業を開始するおそれがあり、同様な不利な面があった。
【0010】
本発明の目的は、作業を行うための適正な準備ができていない状態で、運転者が誤って車体を走行させて作業を開始させることを回避させることが可能な作業車を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る作業車は、エンジンにて駆動される走行装置と、前記エンジンにて駆動される作業装置と、前記エンジンの出力を前記作業装置に伝達する入り状態と伝達を遮断する切り状態とに切り換え自在な作業クラッチと、前記エンジンの出力を変更調整自在なアクセル手段とが備えられ、前記走行装置にて車体を走行させながら前記作業装置にて作業を実行するように構成されているものであって、その第1特徴構成は、前記作業クラッチが手動又は自動で操作されることにより、前記エンジンの出力が前記作業装置に伝達されている駆動状態に切り換わるように構成され、且つ、前記アクセル手段が手動又は自動で操作されることにより、エンジン回転数が定格回転数になるように前記エンジンの出力を変更調整されるように構成され、前記エンジンの回転数を検出する回転数検出手段と、前記エンジンの出力が前記作業装置に伝達されている駆動状態であるか否かを検出する駆動状態検出手段と、運転者に対する報知作動を行う報知手段と、前記報知手段の作動を制御する制御手段とが備えられ、前記制御手段が、前記回転数検出手段にて検出されるエンジン回転数が定格回転数であり且つ前記駆動状態検出手段にて前記駆動状態であることが検出されると、報知作動を実行するように前記報知手段を制御するように構成されている点にある。
【0012】
第1特徴構成によれば、作業クラッチが手動又は自動にて操作されることによりエンジンの出力が作業装置に伝達されている駆動状態に切り換わり、アクセル手段が手動又は自動にて操作されることにより、エンジン回転数が定格回転数になるようにエンジンの出力を変更調整されることになるが、制御手段は、回転数検出手段にて検出されるエンジン回転数が定格回転数であり、且つ、駆動状態検出手段によりエンジンの出力が作業装置に伝達されている駆動状態であることが検出されると、報知作動を実行するように報知手段を制御する。
【0013】
つまり、報知手段により報知作動が行われることによって、運転者は、エンジンが定格回転数で駆動されており、しかも、作業クラッチが入り状態に切り換えられてエンジンの出力が作業装置に伝達している状態、すなわち、作業を行うための適正な準備ができている状態であることを確認することができる。
言い換えると、報知手段により報知作動が行われていなければ、作業を行うための適正な準備ができていない状態であることを確認できるものとなる。
【0014】
従って、作業を行うための適正な準備ができていない状態で、運転者が誤って車体を走行させて作業を開始させることを回避させることが可能な作業車を提供できるに至った。
【0015】
本発明の第2特徴構成は、第1特徴構成に加えて、前記作業クラッチ及び前記アクセル手段を自動で切り換え操作する切換操作用駆動手段と、作業開始指令を指令する手動操作式の作業指令手段とが備えられ、前記制御手段が、前記作業指令手段にて前記作業開始指令が指令されると、前記アクセル手段を定格回転状態にし且つ前記作業クラッチを前記入り状態にすべく前記切換操作用駆動手段の作動を制御するように構成され、且つ、前記作業指令手段にて前記作業開始指令が指令されたのち、前記回転数検出手段にて検出されるエンジン回転数が定格回転数であり且つ前記駆動状態検出手段にて前記駆動状態であることが検出されると、報知作動を実行するように前記報知手段を制御するように構成されている点にある。
【0016】
第2特徴構成によれば、報知手段は、回転数検出手段にて検出されるエンジン回転数が定格回転数であるという条件、及び、駆動状態検出手段にて前記駆動状態であることが検出されているという条件の2つの条件が夫々成立していると点灯するが、作業指令手段にて作業開始指令が指令された場合であっても、前記2つの条件のうちの少なくともいずれか一方の条件が成立していなければ、作動しないのである。
【0017】
つまり、運転者は、報知手段の作動によって、エンジン回転数が定格回転数になっており、しかも、作業クラッチが入り状態になっているか否かを確認することができるのであり、運転者が、作業指令手段にて作業開始指令が指令したのちに、報知手段の作動状態を確認してから、車体を走行させて作業を開始させるようにすると、そのときは、エンジン回転数が定格回転数になっており且つ作業クラッチが入り状態に切り換わっていることになる。
【0018】
従って、作業指令手段にて作業開始指令が指令されたときから、エンジン回転数が定格回転数になり且つ作業クラッチが入り状態になるまでの間に、言い換えると、作業を行うための適正な準備ができていない状態で、運転者が誤って車体を走行させて作業を開始させることを回避させることが可能となる。
【0019】
本発明の第3特徴構成は、第2特徴構成に加えて、前記制御手段が、前記報知手段にて報知作動を実行している状態において、前記エンジン回転数が設定回転数以下になると前記報知手段の作動形態を変更するように構成されている点にある。
【0020】
第3特徴構成によれば、前記報知手段を作動させている状態、すなわち、エンジン回転数が定格回転数であり、しかも、エンジンの出力が作業装置に伝達している駆動状態であるときに、エンジン回転数が設定回転数以下になると、報知手段の作動形態が変更されることになる。
【0021】
このように報知手段の作動形態が変更されることにより、運転者は、エンジン回転数が設定回転数以下になっており、エンジンに掛かる負荷が大きくなっていることを認識することができる。従って、運転者は、例えば車速を低下させてエンジンに掛かる負荷を低減させる等の対策を取ることが可能となる。
【0022】
本発明の第4特徴構成は、第3特徴構成に加えて、前記制御手段が、前記エンジン回転数が前記設定回転数よりも低く設定されている下限回転数以下になると前記報知手段の報知作動を停止させるように構成されている点にある。
【0023】
第4特徴構成によれば、エンジン回転数が下限回転数以下になると、報知手段の作動が停止することになるので、運転者は、例えば車速を低下させる等の対策を取ったにもかかわらず、作業装置にて異常が発生する等により、エンジンに掛かる負荷が過大になっている緊急状態であることを認識することができる。
作業装置の異常としては、例えば作業車の一例としてコンバインの場合であれば、作業装置としての脱穀装置にて排ワラが搬送経路中で詰まる等の異常が発生することがある。
【0024】
従って、運転者は、報知手段の作動が停止することにより、エンジンに掛かる負荷が過大になっている緊急状態であることを認識することができ、例えば車体の走行を停止させて異常状態を解消する等、緊急時における対策を取ることが可能となる。
【0025】
本発明の第5特徴構成は、第4特徴構成に加えて、前記エンジンの負荷が過大であることを報知する過負荷状態報知手段が備えられ、前記制御手段が、前記エンジン回転数が前記下限回転数を下回ることにより前記報知手段の報知作動を停止させるときに、前記過負荷状態報知手段を作動させるように構成されている点にある。
【0026】
第5特徴構成によれば、エンジン回転数が下限回転数以下になることにより報知手段の作動を停止させるときに、過負荷状態報報知手段を作動させてエンジンの負荷が過大であることを報知するので、運転者が、例えば作業装置にて異常が発生する等の何らかの異常によりエンジンに掛かる負荷が過大になっていることを的確に認識することができる。
【0027】
本発明の第6特徴構成は、第2特徴構成〜第5特徴構成のいずれかに加えて、前記制御手段が、前記作業指令手段にて作業停止指令が指令されると、前記作業クラッチを前記切り状態に操作すべく前記切換操作用駆動手段の作動を制御し、且つ、前記報知手段の報知作動を停止させるように構成されている点にある。
【0028】
第6特徴構成によれば、作業指令手段にて作業停止指令が指令されると、切換操作用駆動手段の作動により作業クラッチが切り状態に操作され、且つ、報知手段の作動が停止することになるので、運転者は、作業クラッチが切り状態であることを確認することができる。尚、エンジン回転数については、作業指令手段にて作業停止指令が指令されると、アイドリング回転数にまで低下させるようにしてもよく、又、定格回転数に維持するようにしてもよい。
【0029】
本発明の第7特徴構成は、第2特徴構成〜第6特徴構成のいずれかに加えて、前記作業装置が脱穀装置であり、前記作業クラッチが、前記エンジンの出力を前記脱穀装置に伝達する入り状態と伝達を遮断する切り状態とに切り換え自在な脱穀クラッチであり、刈取処理装置と、前記エンジンの出力をその刈取処理装置に伝達する入り状態と伝達を遮断する切り状態とに切り換え自在な刈取クラッチと、刈取作業開始条件が満たされているか否かを判別するための運転操作状態を検出する運転操作状態検出手段とが備えられ、前記切換操作用駆動手段が刈取クラッチを切り換え操作するように構成され、前記制御手段が、前記作業指令手段にて前記作業開始指令が指令されて、前記アクセル手段が定格回転状態であり且つ前記脱穀クラッチが前記入り状態であるときに、前記運転操作状態検出手段の検出情報に基づいて、前記刈取作業開始条件が満たされていることを判別すると前記刈取クラッチを入り状態にし、かつ、前記刈取作業開始条件が満たされていないことを判別すると前記刈取クラッチを切り状態にすべく、前記切換操作用駆動手段の作動を制御するように構成されている点にある。
【0030】
脱穀装置と刈取処理装置とを備えた作業車の一例としてのコンバインでは、例えばエンジンを始動させて作業を行なうときには、先ず、脱穀クラッチが切り状態で且つアクセル手段がアイドリング状態となる状態にてエンジンを始動させ、次に、そのエンジンの始動状態において、アクセル手段を定格回転状態に操作し且つ脱穀クラッチを入り状態に操作することになるが、第7特徴構成によれば、エンジンの始動状態において、アクセル手段を定格回転状態に操作し且つ脱穀クラッチを入り状態に操作することを、作業指令手段にて作業開始指令を指令するという簡単な操作にて行なえるものとなる。
【0031】
そして、作業指令手段にて作業開始指令が指令されて、アクセル手段が定格回転状態であり且つ脱穀クラッチが入り状態であるときに、運転操作状態検出手段にて刈取作業開始条件が満たされていることを判別すると刈取クラッチを入り状態にし、かつ、刈取作業開始条件が満たされていないことを判別すると刈取クラッチを切り状態にすべく、切換操作用駆動手段の作動を制御するのである。刈取作業開始条件としては、例えば、走行変速操作具がニュートラル位置以外の位置に操作されること、言い換えると、前進又は後進で走行する状態に操作されることや昇降自在に設けられる刈取処理装置が作業用の低位置にまで下降したこと、あるいは、刈取指令用のスイッチにて刈取作業が指令されること等の種々の条件がある。
【0032】
つまり、脱穀クラッチとアクセル手段の切換操作だけでなく、刈取クラッチの切換操作も合せて切換操作用駆動手段にて行うようにしたので、コンバインにおける操作の簡略化を図ることができる。
【0033】
本発明の第8特徴構成は、第7特徴構成に加えて、前記運転操作状態検出手段が、走行変速操作具の変速操作位置を検出する操作位置検出手段を備えて構成され、前記制御手段が、前記走行変速操作具が前進走行用操作位置でかつ設定速度以上の高速側に操作されると、前記刈取作業開始条件が満たされたと判別するように構成されている点にある。
【0034】
第8特徴構成によれば、走行変速操作具が前進走行用操作位置でかつ設定速度以上の高速側に操作されると、言い換えると、車体を前進側に走行させると、刈取作業開始条件が満たされたと判別することにより、刈取クラッチを入り状態にするのであり、運転者は走行を開始させる操作を行うだけで刈取クラッチを入り状態に切り換えて刈取作業を開始することができる。又、走行停止中には、刈取クラッチが切り状態に維持されるので刈取処理装置を不測に駆動させるといった不都合が無い。
【0035】
本発明の第9特徴構成は、第1特徴構成に加えて、前記作業クラッチが、手動操作に基づいて前記入り状態と前記切り状態とに切り換え自在に構成され、且つ、前記アクセル手段が、手動操作に基づいて前記エンジンの出力を変更調整自在に構成されている点にある。
【0036】
第9特徴構成によれば、作業を開始するときには、アクセル手段を手動操作してエンジン回転数が定格回転数になるようにエンジンの出力を変更調整し、作業クラッチを手動操作して入り状態に切り換えることになる。そして、アクセル手段及び作業クラッチの操作が適正に行われると、回転数検出手段にて検出されるエンジン回転数が定格回転数であり、且つ、駆動状態検出手段によりエンジンの出力が作業装置に伝達されている駆動状態であることが検出され、報知手段が報知作動を実行する。これに対して、アクセル手段及び作業クラッチの操作が適正に行われていなければ、報知手段が報知作動を実行しないのである。
【0037】
従って、作業クラッチの入り状態と切り状態との切換操作、及び、アクセル手段の定格回転状態とアイドリング状態との切換操作を夫々各別に手動操作にて行うようにした場合であっても、作業を行うための適正な準備ができていない状態で、運転者が誤って車体を走行させて作業を開始させることを回避させることが可能となる。
【0038】
本発明の第10特徴構成は、第9特徴構成に加えて、前記作業装置が脱穀装置であり、前記作業クラッチが、前記エンジンの出力を前記脱穀装置に伝達する入り状態と伝達を遮断する切り状態とに切り換え自在な脱穀クラッチであり、刈取処理装置と、手動操作に基づいて前記エンジンの出力を前記刈取処理装置に伝達する入り状態と伝達を遮断する切り状態とに切り換え自在な刈取クラッチとが備えられ、前記駆動状態検出手段が、前記エンジンの出力が前記脱穀装置及び前記刈取処理装置に伝達されている状態を前記駆動状態として検出するように構成されている点にある。
【0039】
脱穀装置と刈取処理装置とを備えた作業車の一例としてのコンバインでは、例えばエンジンを始動させて作業を行なうときには、先ず、脱穀クラッチが切り状態で且つアクセル手段がアイドリング状態となる状態にてエンジンを始動させ、次に、そのエンジンの始動状態において、アクセル手段を定格回転状態に操作し且つ脱穀クラッチを入り状態に操作し、さらに、刈取クラッチを入り状態に操作することにより、刈取作業が可能な状態になるが、第10特徴構成によれば、駆動状態検出手段が、エンジンの出力が脱穀装置及び刈取処理装置に伝達されている状態を駆動状態として検出するので、脱穀クラッチ及び刈取部クラッチが夫々入り状態になっていることを適切に検出することができる。
【0040】
従って、脱穀クラッチ及び刈取クラッチが夫々入り状態に切り換わっており、エンジン回転数が定格回転数になっている状態、すなわち、刈取作業を行うための適正な準備ができている状態であることを、報知手段の報知作動により確認することができる。
【0041】
本発明の第11特徴構成は、第1特徴構成〜第10特徴構成のいずれかに加えて、車体操縦部の運転座席の横側部に設けられた側部パネルの前端部に位置するパネル部に、前記報知手段としての表示ランプが設けられている点にある。
【0042】
第11特徴構成によれば、運転座席の横側部に設けられた側部パネルの前端部に位置するパネル部に報知手段としての表示ランプが設けられているから、運転座席に着座している運転者に対して車体前方側の下方側に位置する箇所に表示ランプが位置することになる。
【0043】
その結果、運転座席に着座して前方を目視しながら運転操作している運転者が表示ランプの表示状態を見易いものとなり、実際に、エンジン回転数が定格回転数であり且つ作業クラッチが入り状態になっているか否かを確認し易いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】コンバインの全体側面図である。
【図2】伝動装置の概略図である。
【図3】制御構成を示すブロック図である。
【図4】車体操縦部の平面図である。
【図5】表示装置の平面図である。
【図6】側部パネルの斜視図である。
【図7】クラッチ切り換え部の脱穀クラッチと刈取クラッチとを切り操作した状態での側面図である。
【図8】クラッチ切り換え部の脱穀クラッチを入り操作し、刈取クラッチを切り操作した状態での側面図である。
【図9】クラッチ切り換え部の脱穀クラッチと刈取クラッチとを入り操作した状態での側面図である。
【図10】脱穀クラッチ操作体と刈取クラッチ操作体の操作域を示す説明図である。
【図11】アクセル操作部のアクセル操作具が設定低速位置に操作された状態での側面図である。
【図12】アクセル操作部の縦断正面図である。
【図13】アクセル操作部の分解斜視図である。
【図14】アクセル操作部の揺動操作体の操作過程での側面図である。
【図15】制御作動を示すフローチャート図である。
【図16】制御作動を示すフローチャート図である。
【図17】別実施形態の制御構成を示すブロック図である。
【図18】別実施形態の側部パネルの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、作業車の一例としてのコンバインは、左右一対のクローラ式走行装置1、及び、運転座席2を備える車体操縦部Aを装備した走行機体Bの前部に昇降操作自在に刈取処理装置4が連結され、機体フレーム3の後部側箇所に機体横幅方向に並べる状態で脱穀装置5と穀粒タンク6とを備えて、圃場を走行しながら、稲、麦などの穀稈を刈取り、その刈取穀稈を脱穀処理するように構成されている。
【0046】
説明を加えると、刈取処理装置4は、刈取り部フレーム4aが昇降用の油圧シリンダ7によって機体フレーム3に対して上下に揺動操作されることにより、刈取処理装置4の前端部に位置する複数の分草具4bが地面付近に下降した下降作業状態と、分草具4bが地面から上昇した上昇非作業状態とに昇降するように構成されている。そして、刈取処理装置4を下降作業状態にして走行機体Bを走行させると、刈取処理装置4が、刈り取り対象の複数の植付け条に位置する植立穀稈を対応する分草具4bによって隣接する植付け条の植立穀稈と分草し、各分草具4bからの植立穀稈を対応した引起し装置4cによって引起し処理するとともに一つのバリカン形の刈取装置4dによって刈取り処理し、刈取り装置4dからの刈取穀稈を搬送装置4eによって後方に搬送して脱穀装置5の脱穀フィードチェーン5aの始端部に供給するように構成されている。
刈取処理装置4の機体フレーム3に対する揺動支点位置には、刈取処理装置4の走行機体Bに対する高さを検出する高さ検出用センサ51が設けられている。
【0047】
脱穀装置5は、脱穀フィードチェーン5aによって刈取穀稈の株元側を挟持して後方に搬送しながら穂先側を扱室(図示せず)に供給し、刈取穀稈を回動する扱胴(図示せず)によって脱穀処理するように構成されている。又、脱穀装置5から搬送された脱穀粒を穀粒タンク6にて回収して貯留するように構成され、穀粒タンク6にて貯留する脱穀粒はスクリューコンベア式の穀粒排出装置8により外部に排出するように構成されている。
【0048】
尚、詳述はしないが、搬送装置4eの刈取穀稈の株元側の挟持位置を稈長方向に変更することにより、扱室における刈取穀稈の扱深さを変更調整自在な扱深さ調節装置(図示せず)が設けられ、扱深さが設定値になるように刈取穀稈の扱深さを自動調節する扱深さ調節を行うことができるように構成されている。又、左右のローリング用の油圧シリンダ(図示せず)の操作により、左右のクローラ式走行装置1の接地部の走行機体Bに対する高さを各別に変更調節自在に構成され、後述する制御部42が、走行機体Bの水平基準面からの左右傾斜角が設定値になるようにローリング用の油圧シリンダを制御するローリング制御を実行するように構成されている。
【0049】
図2に示すように、運転座席2の下方に設けたエンジン10の出力が、作業クラッチとしての脱穀クラッチ14を介して作業装置としての脱穀装置5に伝達され、また、エンジン10の出力が、ベルトテンション式の伝動装置11を介してミッションケース12の入力軸13に伝達され、入力軸13の動力が刈取変速装置15を介して刈取用出力軸16及び刈取クラッチ17を介して刈取処理装置4に伝達される。尚、刈取変速装置15は刈取変速レバー44(図4参照)にて標準速度と低速状態とに切り換え可能に構成されている。
【0050】
入力軸13に伝達される動力は、静油圧式の無段変速装置M及び副変速装置19にて変速したのち、左右の多板摩擦式のクラッチブレーキ26R,26Lを介して左右のクローラ式走行装置1の駆動スプロケット1aに伝達されるように構成されている。無段変速装置Mは、前進走行速度及び後進走行速度を無段階に変速する走行変速装置として機能するものであり、中立位置から前進操作域及び後進操作域の夫々に操作自在な走行変速操作具としての主変速レバー24(図4参照)にて操作されるように構成されている。又、副変速装置19は、副変速レバー20にて作業用変速状態、移動用変速状態、中立状態に切り換え操作可能に構成されている。
【0051】
左右のクラッチブレーキ26R,26Lは夫々油圧ピストン27R,27Lにて操作され、左右のクローラ式走行装置1に対して各別に走行用動力を断続し且つ動力遮断状態でブレーキとして機能するように構成されている。
【0052】
図4に示すように、車体操縦部Aにおける運転座席2の前方に位置する前方パネル35には、前後方向並びに左右方向に揺動操作自在な操縦レバー18、警報ホーンを作動させるホーンスイッチ28、刈取クラッチ17に対する自動操作(以下、刈取オートクラッチ操作という場合がある)を行なう自動操作指令と自動操作を行なわない自動停止指令を指令する自動操作スイッチ52、キーKを挿入されて操作されるメインスイッチJが備えられている。
【0053】
運転座席2の横側に位置する側部パネル36には、主変速レバー24、副変速レバー20、アクセル手段としての調速装置(ガバナ)63を操作するためのアクセル操作具60、刈取変速レバー44が備えられ、又、ローリング制御の入り切り等を指令するローリング制御用操作部45、扱深さ制御の入り切り等を指令する扱深さ制御用操作部46、前照灯(図示せず)の入切及び方向指示ランプの入切を指令するコンビネーションスイッチ47、刈取クラッチ17の入り操作指令及び切り操作指令を指令する手動操作式のクラッチ操作指令手段としての掻込み指令スイッチ50が備えられている。
【0054】
図6に示すように、側部パネル36には、ローリング制御用操作部45、扱深さ制御用操作部46、コンビネーションスイッチ47、掻込み指令スイッチ50が備えられる箇所は、主変速レバー24や副変速レバー20等の各レバーが備えられる箇所よりも運転座席側に向けて立ち上がる斜め姿勢に形成され、操作し易いように構成されている。
【0055】
又、側部パネル36の前部に位置する縦向きパネル部36Aには、種々の情報を表示するための表示装置F、作業開始指令および作業停止指令を指令する手動操作式の作業指令手段としての作業指令スイッチ25、刈取作業を実行することが可能な状態であることを報知する報知手段(表示部)としての点灯式の表示ランプ54が備えられている。
図6に示すように、作業指令スイッチ25は表示装置Fの下方側に位置する状態で設けられ、表示ランプ54が表示装置Fの上方側における縦向きパネル36Aの前端部に位置する状態で設けられている。このようにして、刈取作業に伴って機体前方を目視する運転者が表示ランプ54の点灯状態を目視し易くなるように構成されている。
【0056】
図5に示すように、表示装置Fは、エンジン回転数及びエンジン10の稼動時間を累積した累積稼動時間を表示する液晶表示式の情報表示部80と、各種の異常状態を報知する報知表示部81とを備えて構成されている。
つまり、情報表示部80は、左側に図示しない燃料タンク内の燃料貯留量を表示する燃料表示部82が備えられ、右側にエンジン10の冷却水の温度を表示する水温表示部83が備えられ、左右中央部にエンジン回転数及び累積稼動時間を表示する数値表示部84が備えられている。又、数値表示部84の上側には、数値表示部84にて表示しているのが累積稼動時間であることを模様で示す時間表示識別部85と、数値表示部84にて表示しているのがエンジン回転数であることを模様で示す回転数表示識別部86とを備えて構成されている。数値表示部84は、4桁の数字を表示する4つの数字と小数点を表示するように構成されている。
【0057】
前記報知表示部81には、エンジン10の負荷が過大であることを報知する報知手段としての負荷異常ランプ87、穀粒タンク6の穀粒の貯留量が満杯になっていることを表示する貯留量満杯ランプ88、排ワラ搬送経路中にて排ワラ詰まりが発生していることを表示する排ワラ異常ランプ89、脱穀装置5内の2番回収部にて搬送詰まりが発生していることを表示する2番回収部異常ランプ90、エンジン10の潤滑用に供給されるオイルの圧力が低下している状態であることを表示する油圧異常ランプ91、バッテリーV(図3参照)の充電量が少ない状態であることを表示するバッテリー異常ランプ92、前照灯(図示しない)の点灯作動が指令されていることを表示する前照灯表示ランプ93、図示しない方向指示器にて左右いずれかの方向指示ランプの点灯が指令されていることを表示する方向指示表示ランプ94が備えられている。
【0058】
図2及び図7に示すように、脱穀クラッチ14は、エンジン10の出力軸10aと脱穀装置5の入力軸5bとにわたって巻回された伝動ベルト14aと、テンションアーム14bとを備えて構成されている。刈取クラッチ17は、刈取用出力軸16と刈取処理装置4の入力軸4fとにわたって巻回された伝動ベルト17aと、テンションアーム17bとを備えて構成されている。
【0059】
そして、脱穀クラッチ14と刈取クラッチ17とは、テンションアーム14b,17bがクラッチ入り姿勢に揺動操作されると、このテンションアーム14b,17bがこれの遊端部に設けてあるテンション輪体14c,17cによって伝動ベルト14a,17aを緊張状態に押圧操作することによって入り状態に切り換わり、テンションアーム14b,17bがクラッチ切り姿勢に揺動操作されると、このテンションアーム14b,17bが伝動ベルト14a,17aの緊張操作を解除することによって切り状態に切り換わる、いわゆる、ベルトテンションクラッチになっている。
【0060】
図7〜図12に示すように、刈取クラッチ17及び脱穀クラッチ14の切り換え操作及び調速装置63の切り換え操作を行う切換操作用駆動手段としての切換操作用の電動モータ22が設けられている。つまり、単一の電動モータ22にて、脱穀クラッチ14、刈取クラッチ17、及び、調速装置63を自動で切り換え操作するように構成されている。
【0061】
説明を加えると、切換操作用の電動モータ22の回動操作に伴って、調速装置63の速度調整レバー64、刈取クラッチ17、脱穀クラッチ14の夫々を連動操作すべく、電動モータ22と脱穀クラッチ14及び刈取クラッチ17とを連動連係するクラッチ切り換え部23、及び、電動モータ22と調速装置63とを連動連係するアクセル操作部Gを備えて構成されている。
【0062】
次に、クラッチ切り換え部23について説明する。
図7〜図10に示すように、クラッチ切り換え部23は、電動モータ22を取り付けた支持枠30が備えるボス部30a(図12参照)に回転自在に支持されたアーム形の脱穀クラッチ操作体31と、この脱穀クラッチ操作体31を脱穀クラッチ14のテンションアーム14bに連動させている脱穀クラッチ連動機構32と、前記ボス部30aに回転自在に支持されたアーム形の刈取クラッチ操作体33と、この刈取クラッチ操作体33を刈取クラッチ17のテンションアーム17bに連動させている刈取クラッチ連動機構34とを備えている。脱穀クラッチ操作体31と刈取クラッチ操作体33とは、前記ボス部30aに回転自在に支持された一本の回転支軸37に一体回転自在に連結されている。支持枠30は、側部パネル36の下方に配置した操縦部フレーム(図示せず)に取り付けられている。
【0063】
電動モータ22は、電動モータ本体22aと、この電動モータ本体22aに連結された減速出力ケース22bと、この減速出力ケース22bに回転自在に支持された出力ギヤ22cとを備えている。減速出力ケース22bは、電動モータ本体22aの出力をケース内のギヤ減速機構(図示せず)によって出力ギヤ22cに伝達する。
【0064】
脱穀クラッチ操作体31と刈取クラッチ操作体33とを備えた回転支軸37は、これの一端部に一体回転自在に設けた扇形ギヤ38を備えている。扇形ギヤ38は、出力ギヤ22cに噛み合っており、電動モータ22によって正回転方向に回転駆動されて回転支軸37を回転操作することにより、脱穀クラッチ操作体31と刈取クラッチ操作体33とを回転支軸37の軸芯まわりに一体に正回転方向に回転操作する。扇形ギヤ38は、電動モータ22によって逆回転方向に回転駆動されて回転支軸37を回転操作することにより、脱穀クラッチ操作体31と刈取クラッチ操作体33とを回転支軸37の軸芯まわりに一体に逆回転方向に回転操作する。
【0065】
脱穀クラッチ連動機構32は、脱穀クラッチ操作体31の遊端部に一端側が連結された連動杆32aと、この連動杆32aの他端側をテンションアーム14aに一体成形して設けた操作用アーム部14dに連結する連動スプリング32bとを備えて構成されている。前記連動杆32aと脱穀クラッチ操作体31とは、連結ピン31aを介して相対回転自在に連結している。
【0066】
刈取クラッチ連動機構34は、刈取クラッチ操作体33の遊端部に一端側が連結された連動杆34aと、この連動杆34aの他端側を前記テンションアーム17bに連結している連動スプリング34bとを備えて構成されている。前記連動杆34aと刈取クラッチ操作体33とは、連結ピン33aを介して相対回転自在に連結している。
また、この刈取クラッチ連動機構34は、前記連動スプリング34bとテンションアーム17bとにわたって設けた融通付き連動部39を備えている。この融通付き連動部39は、連動スプリング34bの端部34cをフック形に形成することによって連動スプリング34bに設けた長溝34dと、この長溝34dに摺動自在に係入した状態でテンションアーム17bに設けた連動ピン40とを備えて構成してあり、そして、刈取クラッチ操作体33の操作位置により、連動ピン40が長溝34dの内部を移動して連動スプリング34bと連動ピン40とを相対移動させる融通状態と、連動ピン40が長溝34d内の端部に位置して連動スプリング34bに当接することによって連動スプリング34bと連動ピン40とを一体移動させる融通解除状態とに切り換わるようになっている。
【0067】
図7は、クラッチ切り換え部23の脱穀クラッチ14と刈取クラッチ17とを切り操作した状態での側面図であり、図8は、クラッチ切り換え部23の脱穀クラッチ14を入り操作し、刈取クラッチ17を切り操作した状態での側面図であり、図9は、クラッチ切り換え部23の脱穀クラッチ14と刈取クラッチ17とを入り操作した状態での側面図であり、図10は、脱穀クラッチ操作体31と刈取クラッチ操作体33との操作域を示す説明図である。
【0068】
これらの図に示すように、脱穀クラッチ操作体31と刈取クラッチ操作体33とは、電動モータ22によって扇形ギヤ38が回転操作されることにより、正回転方向Xと逆回転方向Yとに回転支軸37の軸心周りに一体的に回転操作されることになり、この回転操作により、脱穀クラッチ14と刈取クラッチ17とがともに切り状態となるクラッチ切り位置U1、脱穀クラッチ14が入り状態となり且つ刈取クラッチ17が切り状態となる脱穀クラッチ入り位置U2、及び、脱穀クラッチ14と刈取クラッチ17とがともに入り状態となる刈取クラッチ入り位置U3に回転されることになる。
【0069】
説明を加えると、脱穀クラッチ入り位置U2は、脱穀クラッチ操作体31のデッドポイントDに対して、クラッチ切り位置U1が存在する側に寄った位置にある。脱穀クラッチ操作体31のデッドポイントDは、脱穀クラッチ操作体31の操作位置のうち、脱穀クラッチ操作体31による脱穀クラッチ連動機構32の引っ張り操作ストロークが最大となる操作位置に対応する。
【0070】
脱穀クラッチ操作体31がクラッチ切り位置U1に操作されると、脱穀クラッチ連動機構32は、脱穀クラッチ操作体31による引張り操作が解除されてテンションアーム14bをクラッチ切り姿勢に操作する(図7参照。)。このとき、刈取クラッチ操作体33もクラッチ切り位置U1に位置し、刈取クラッチ連動機構34は、刈取クラッチ操作体33による引張り操作が解除されてテンションアーム17bをクラッチ切り姿勢に操作する。
【0071】
脱穀クラッチ操作体31がクラッチ切り位置U1から正回転方向Xに回転操作されると、これに伴って脱穀クラッチ操作体31は、デッドポイントDの手前の脱穀クラッチ入り位置U2に位置する(図8参照。)。このとき、脱穀クラッチ連動機構32は、脱穀クラッチ操作体31による引張り操作のためにテンションアーム14bをクラッチ入り姿勢に操作し、刈取クラッチ連動機構34は、テンションアーム17bをクラッチ切り姿勢に操作している。
【0072】
脱穀クラッチ操作体31が更に正回転方向に回転操作されると、脱穀クラッチ操作体31は、デッドポイントDを超える(図9参照。)。このとき、脱穀クラッチ連動機構32は、脱穀クラッチ操作体31による引張り操作のためにテンションアーム14bをクラッチ入り姿勢に維持し、刈取クラッチ連動機構34は、刈取クラッチ操作体33による引張り操作のためにテンションアーム17bをクラッチ入り姿勢に操作する。
【0073】
脱穀クラッチ操作体31と刈取クラッチ操作体33とがクラッチ切り位置U1から脱穀クラッチ入り位置U2に向けて正回転方向Xに回転操作される際、融通付き連動部39が融通状態にあり、脱穀クラッチ操作体31と刈取クラッチ操作体33とが脱穀クラッチ入り位置U2から刈取クラッチ入り位置U3に回転操作される際に、融通付き連動部39が融通解除状態に切り換わる。
【0074】
図11に示すように、アクセル操作部Gは、側部パネル36に配置されたアクセル操作具60及び電動モータ22によって調速装置63を操作して、エンジン10の回転速度を調速するように構成されている。
【0075】
説明を加えると、図12にも示すように、アクセル操作具60の基部が、支持枠30に支持された支軸61に回転自在に外嵌支持され、その支軸61に摩擦板68aが外嵌され、回転支軸37の一端側に揺動操作体69が支持され、支軸61の一端部に操作部70が設けられている。
アクセル操作具60は、支軸61の軸芯まわりに揺動操作するように支持されており、その基部には一体形成した出力アーム部60aを備えている。この出力アーム部60aは、スプリング66とアクセルケーブル62とを介して、エンジン10に設けられた調速装置63の調速アーム64に連動されている。
摩擦板68aは、取り付けネジ71による締め付けと皿バネ68bによってアクセル操作具60の基部に圧接されて、アクセル操作具60に摩擦抵抗を付与する。
【0076】
揺動操作体69は、回転支軸37に設けた小判形部37aに取り付け筒部69aによって一体回動自在に連結されている。つまり、揺動操作体69は、回転支軸37を介して脱穀クラッチ操作体31に一体揺動自在に連動している。
【0077】
操作部70は、アクセル操作具60及び揺動操作体69とは別体に構成して支軸61に遊転自在に支持された板体によって構成されており、支軸61の軸芯まわりにアクセル操作具60と相対揺動する。この操作部70は、これの遊端部に支軸72を介して遊転自在に取り付けたローラ73によって形成された受動部70aと伝動部70bとを備えている。ローラ73は、支持枠30に設けた円弧形の長孔74に沿って移動するよう長孔74を挿通している。
【0078】
前記受動部70aは、前記揺動操作体69の端部69bに当接して前記揺動操作体69による操作力を受け、操作部70を支軸61の軸芯まわりに揺動させる。前記伝動部70bは、前記アクセル操作具60の前記出力アーム部60aに当接し、操作部70によるアクセル操作具60の増速方向への押圧揺動操作を可能にする。
【0079】
図13にも示すように、前記操作部70は、これの基部に一体成形されたバネ受け部70cを備えている。操作部70は、バネ受け部70cに作用する巻きバネ75によって、図14(c),(d)に示す待機位置Tに揺動付勢される。
すなわち、図12に示すように、前記巻きバネ75は、前記支軸61に装着されている。そして、前記巻きバネ75の一対の端部75a,75aは、前記バネ受け部70cと、前記支持枠30に設けられた軸状のバネストッパ76とを挟むように配置されている。図14(c),(d)は、前述の如く、前記操作部70が前記待機位置Tに位置した状態を示しているが、図14(b)は、操作部70が待機位置Tから作用方向a1に揺動操作された状態を示している。
【0080】
これらの図に示すように、操作部70が待機位置Tから作用方向a1に揺動操作されると、これに伴い、操作部70のバネ受け部70cが巻きバネ75の一方の端部75aを押圧するように移動する。このとき、巻きバネ75の他方の端部75aがバネストッパ76によって受け止め支持される。操作部70が待機位置Tから解除方向b1に揺動操作されると、これに伴い、操作部70のバネ受け部70cが巻きバネ75の他方の端部75aを押圧するように移動する。このとき、巻きバネ75の一方の端部75aがバネストッパ76によって受け止め支持される。これにより、巻きバネ75は、操作部70が作用方向a1と解除方向b1とのいずれの方向に揺動操作された場合も、操作部70の回転に伴って弾性変形され、操作部70を待機位置Tに復帰させるように付勢する。
【0081】
すなわち、前記アクセル操作部Gは、人為操作によるアクセル操作具60の操作によっても、電動モータ22によるアクセル操作具60の操作によってもエンジン10の回転速度を調節するように構成されている。
説明を加えると、アクセル操作具60が人為操作されると、出力アーム部60aが支軸61の軸芯まわりに揺動してアクセルケーブル62を引っ張り操作したり緩め操作したりする。引っ張り操作されたアクセルケーブル62は、調速アーム64をこれの復元力に抗して揺動操作し、エンジン10を回転数が増加するよう調速する。緩め操作されたアクセルケーブル62は、調速アーム64をこれの前記復元力によって揺動操作し、エンジン10を回転速度が減少するよう調速する。このようにエンジン10の調速操作が行われた場合、アクセル操作具60は、摩擦板68aと皿バネ68bによる摩擦保持力によって調速アーム64の復元力に抗して任意の操作位置に保持され、エンジン10の回転数を調速された回転数に維持する。
【0082】
図11は、アクセル操作部Gのアクセル操作具60がエンジン10のアイドリング回転数に対応する設定低速位置Lに操作され、揺動操作体69がクラッチ切り位置U1に対応する位置に操作された状態での側面図である。図14(a),(b)は、揺動操作体69がクラッチ入り位置U1に対応する位置から脱穀クラッチ入り位置U2に対応する位置に操作される過程での側面図であり、図14(c)は、アクセル操作部Gの揺動操作体69が刈取クラッチ入り位置U3に対応する位置に操作された状態での側面図であり、さらに、図14(d)は、アクセル操作部Gの揺動操作体69がクラッチ切り位置U1に対応する位置に戻し操作された状態での側面図である。
【0083】
これらの図に示すように、電動モータ22が脱穀クラッチ14を入り状態に切り換えるよう脱穀クラッチ操作体31を揺動操作すると、この脱穀クラッチ操作体31が回転支軸37を介して揺動操作体69をクラッチ切り位置U1に対応する位置から正回転方向a2に揺動操作する。揺動操作体69の揺動に伴い、揺動操作体69の端部69bが待機位置Tに位置している操作部70の受動部70aに当接する。すると、受動部70aが揺動操作体69の操作力を受け、操作部70が待機位置Tから作用方向a1に揺動する。このとき、アクセル操作具60が定格回転状態に対応する設定高速位置H以外の位置にあると、例えば、エンジン10の回転数がアイドリンク回転数になっていると、操作部70の伝動部70bがアクセル操作具60の出力アーム部60aに当接する。すると、操作部70が伝動部70bによってアクセル操作具60を押圧して移動操作する。これにより、アクセル操作部Gが作動してエンジン10を増速側に調速する。
【0084】
揺動操作体69が脱穀クラッチ入り位置U2に対応する位置に至るに伴って、操作部70がアクセル操作具60をエンジン10が定格回転数で回転する定格回転状態に対応する設定高速位置Hに操作する。アクセル操作具60が設定高速位置Hに至った後、操作部70の受動部70aが揺動操作体69の端部69bから離間し、電動モータ22が刈取クラッチ17を入り操作するために更に回動して揺動操作体69が刈取クラッチ入り位置U3に対応する位置に揺動しても、操作部70によるアクセル操作具60の移動操作が行われず、アクセル操作具60は、設定高速位置Hに摩擦板68によって保持され、エンジン10は、アクセル操作具60の設定高速位置Hに対応した定格回転数で回転する。
【0085】
エンジン10が定格回転数で回転する状態になった後、揺動操作体69の端部69bが操作部70の受動部70aから外れ、操作部70が巻きバネ75による揺動付勢によって待機位置Tに復帰する。すると、アクセル操作具60は、操作部70と揺動操作体69とによる揺動規制を受けない状態になる。
【0086】
エンジン10が定格回転数で回転する状態に調速された後、電動モータ22が刈取クラッチ17を切り状態に操作するよう刈取クラッチ操作体33を揺動操作すると、揺動操作体69が脱穀クラッチ操作体31と共に逆回転方向b2に揺動する。すると、揺動操作体69の端部69bが操作部70の受動部70aから外れ、操作部70は、巻きバネ75による揺動付勢によって待機位置Tに復帰し、次に揺動操作体69が正回転方向a2に揺動操作された際、揺動操作体69の端部69bと操作部70の受動部70aとが当接するようになる。すなわち、操作部70が揺動操作体69によって作用方向a1に揺動操作されるようになる。
【0087】
電動モータ22が脱穀クラッチ14を切り状態に切り換えるよう脱穀クラッチ操作体31を揺動操作すると、揺動操作体69が逆回転方向b2にさらに揺動する。このとき、揺動操作体69の端部69bが待機位置Tに位置している操作部70の受動部70aに当接し、操作部70が待機位置Tから解除方向b1に揺動しても、操作部70がアクセル操作具60に押圧作用しない。これにより、アクセル操作具60は、設定高速位置Hに維持され、エンジン10は定格回転数で回転する状態を維持する。
【0088】
図3に示すように、制御部42には、上記したような、作業指令スイッチ25、掻込み指令スイッチ50、高さ検出用センサ51、自動操作スイッチ52の他、主変速レバー24の操作位置を検出する操作位置検出手段としての変速検出用センサ41、脱穀クラッチ操作体31の位置を検出する駆動状態検出手段としての操作体位置検出用センサ43、エンジン回転数を検出する回転数検出手段としてのエンジン回転数センサ53、及び、表示ランプ54が接続されている。
【0089】
制御部42は、キーKにて操作されるメインスイッチJが、ON位置やエンジン10のスターター55を作動させるST位置に操作されると、バッテリーVの電源が投入されて起動され、メインスイッチJがOFF位置に操作されると、電源の供給が停止されるようになっている。そして、メインスイッチJがON位置に操作されて電源が供給されたときには、後述する各種の制御を実行し、また、メインスイッチJがST位置に操作されたときには、スターター起動用スイッチ55aを入り操作して、スターター55を作動させることになる。また、制御部42は、後述の如く、表示ランプ54の作動を制御するように構成されている。
【0090】
また、制御部42には、車体操縦部Aに装備された駐車ブレーキペダル56がブレーキ作動状態に踏み込まれたことを検出するブレーキ検出センサ57が接続されており、メインスイッチJがST位置に操作されたときに、ブレーキ検出センサ57にてブレーキ作動状態であることが検出されている場合には、スターター起動用スイッチ55aを入り操作し、且つ、ブレーキ検出センサ57にてブレーキ作動状態であることが検出されない場合には、スターター起動用スイッチ55aを入り操作しないように構成されている。
【0091】
尚、詳述はしないが、駐車ブレーキペダル56は、ミッションケース12内に装備した駐車ブレーキにリンク機構を介して連係されるものであって、上述の如く、踏み込まれることにより駐車ブレーキを作動状態に操作するように構成され、且つ、主変速レバー24を中立位置Nに操作する操作機構に連係されて、踏み込まれることにより主変速レバー24を中立位置Nに操作するように構成されている。さらに、この駐車ブレーキペダル56は、踏み込み解除側に復帰付勢されるとともに、踏み込み位置を保持する保持具にて踏み込み位置に保持されるように構成されている。
【0092】
さらに、制御部42には、刈取昇降指令用センサ95、及び、操向指令用センサ96が接続されている。これら刈取昇降指令用サンサ95及び操向指令用センサ96は、車体操縦部Aの運転座席2の前方に設けた操縦レバー18にて操作される、つまり、操縦レバー18の操作位置を検出するようになっている。
【0093】
説明を加えると、操縦レバー18が前後方向並びに左右方向に揺動操作されるようになっており、操縦レバー18が中立操作位置nから前方に揺動されると刈取昇降指令用センサ95が下降指令を指令し、操縦レバー18が中立操作位置nから後方前方に揺動されると刈取昇降指令用センサ95が上昇指令を指令するように構成され、そして、操縦レバー18が中立操作位置nから左方に揺動されると操向指令用センサ96が左旋回指令を指令し、操縦レバー18が中立操作位置nから右方に揺動されると操向指令用センサ96が右旋回指令を指令するように構成されている。
そして、制御部42は、刈取昇降指令用センサ95からの上昇指令及び下降指令に基づいて油圧シリンダ7の制御弁7Aを操作して油圧シリンダ7を作動させることにより、刈取処理装置4を昇降させることになり、また、操向指令用センサ18Bの左旋回指令及び右旋回指令に基づいて制御弁97R,97Lを操作して油圧ピストン27R,27Lを作動させることにより、左旋回や右旋回を行わせるようになっている。
【0094】
制御部42は、作業指令スイッチ25の指令、掻込み指令スイッチ50の指令、自動操作スイッチ52の指令、高さ検出用センサ51の検出情報、変速検出用センサ41の検出情報、操作体位置検出用センサ43の検出情報、エンジン回転数センサ53の検出情報に基づいて、後述する制御作動を実行すべく、電動モータ22の駆動回路22Aに正転指令及び逆転指令を指令して電動モータ22を作動させ、油圧シリンダ7の制御弁7Aに上昇指令及び下降指令を指令して油圧シリンダ7を作動させ、さらに、表示ランプ54の点灯駆動回路54Aに点灯指令及び消灯指令を指令して表示ランプ54を作動させるように構成されている。
【0095】
前記作業指令スイッチ25の指令について説明を加えると、この作業指令スイッチ25は、ランプ付きロック無しスイッチにて構成され、スイッチランプ25Aを内装しており、押し操作される毎に作業開始を指令するON状態と作業停止を指令するOFF状態とに切り換わり、且つ、ON状態に切り換わっているときは、内装するスイッチランプ25Aが点灯し、OFF状態に切り換わっているときは、内装するスイッチランプ25Aが消灯するように、制御部42にて作動が制御される。
【0096】
そして、制御部42は、作業指令スイッチ25にて作業開始指令が指令されたのち、エンジン回転数センサ53にて検出されるエンジン回転数が定格回転数であり且つ操作体位置検出用センサ43にて脱穀装置5がエンジン10の出力にて駆動されている駆動状態すなわち、脱穀クラッチ14が入り状態に操作されている状態であることが検出されると、表示ランプ54を点灯作動させるように構成されている。
【0097】
又、制御部42は、表示ランプ54を点灯作動させている状態において、エンジン回転数が設定回転数を下回ると表示ランプ54を点滅作動させるように構成され、エンジン回転数が設定回転数よりも低く設定されている下限回転数を下回ると表示ランプ54を消灯させるように構成され、且つ、エンジン回転数が下限回転数を下回ることにより表示ランプ54を消灯させるときに、報知表示部24におけるエンジン10の負荷異常を表示する負荷異常ランプ87を点滅作動させるように構成されている。
【0098】
さらに、制御部42は、作業指令スイッチ25にて作業開始指令が指令されて、エンジン10が定格回転状態であり且つ脱穀クラッチ14が入り状態であるときに、運転操作状態検出手段に相当する変速検出用センサ41の検出情報に基づいて、主変速レバー24が前進走行用操作位置でかつ設定速度以上の高速側に操作されると、刈取作業開始条件が満たされたと判別して、刈取クラッチ17を入り状態にし、かつ、上記刈取作業開始条件が満たされていないことを判別すると刈取クラッチ17を切り状態にすべく、電動モータ22の作動を制御するように構成されている。
【0099】
次に、制御部42の制御作動についてフローチャートに基づいて説明する。
図15及び図16に示すように、メインスイッチJにより電源が投入されて起動されると、操作体位置検出用センサ43の検出情報に基づいて、脱穀クラッチ14が入り状態であるか否かが判断され(♯1)、入り状態であるときには、「脱穀クラッチ切り」の制御を実行する(♯2)。
この「脱穀クラッチ切り」の制御は、操作体位置検出用センサ43の検出情報に基づいて、電動モータ22が脱穀クラッチ操作体31をクラッチ切り位置U1に操作し、脱穀クラッチ連動機構32を介して脱穀クラッチ14を切り状態に操作することになり、これと同時、電動モータ22が刈取クラッチ操作体33をクラッチ切り位置U1に操作し、刈取クラッチ連動機構34を介して刈取クラッチ17を切り状態に操作することになる。
【0100】
次に、エンジン10が始動された否かが判断され(#3)、始動されていないときにはメインスイッチJがOFF位置に操作された否かが判断される(#4)。
ちなみに、エンジン10の始動は、上述した如く、メインスイッチJがST位置に操作されたときに、ブレーキ検出センサ57にてブレーキ作動状態であることが検出されている場合に、制御部42がスターター起動用スイッチ55aを入り操作することにより行なわれることになり、エンジン回転数センサ53にて検出される設定回転数以上になることにより、エンジン10が始動したと判断される。
【0101】
エンジン10が始動され、作業指令スイッチ25がON状態に切り換わり作業開始指令が指令されると(#5)、スイッチランプ25Aを点灯して(#6)、「脱穀クラッチ入り」の制御を実行する(#7)。この「脱穀クラッチ入り」の制御は、操作体位置検出用センサ43の検出情報に基づいて、脱穀クラッチ14を入り状態に切り換えるように、脱穀クラッチ操作体31を脱穀クラッチ入り位置U2に揺動操作すべく電動モータ22を作動させる。
【0102】
ところで、このような脱穀クラッチ入り操作と同時に、電動モータ22が刈取クラッチ操作体33を操作し、刈取クラッチ連動機構34を介して刈取クラッチ17を切り状態ではあるものの入り状態に近くなる状態に操作することになる。
【0103】
さらに、脱穀クラッチ操作体31が脱穀クラッチ入り位置U2に揺動操作される際、アクセル操作具60が設定低速位置Lに位置していると、アクセル操作部Gの操作によってエンジン10が定格回転数に操作されることになる。つまり、脱穀クラッチ操作体31と共に揺動する揺動操作体69の端部69bが、待機位置Tに位置する操作部70の受動部70aに当接し、揺動操作体69が操作部70を作用方向a1に揺動操作する。すると、操作部70の伝動部70bがアクセル操作具60の出力アーム部60aに当接し、操作部70がアクセル操作具60を揺動操作する。これにより、アクセル操作部Gが作動して調速装置63を増速側に操作する。アクセル操作具60が設定高速位置Hになると、揺動操作体69が操作部70から外れ、摩擦板68がアクセル操作具60を設定高速位置Hに保持する。これにより、エンジン10がアクセル操作具60の設定高速位置Hに対応した定格回転数になる。
【0104】
そして、操作体位置検出用センサ43にて、脱穀クラッチ操作体31が脱穀クラッチ入り位置U2に揺動操作されたことが検出され、且つ、エンジン回転数センサ53にて検出されるエンジン回転数が定格回転数になっていることが検出されると、「脱穀クラッチ入り」の制御を終了して表示ランプ54を点灯状態に切り換える(#8,#9,#10)。尚、脱穀クラッチ入り操作が終了するまでに作業指令スイッチ25がOFF状態に切り換えられると(♯11)、スイッチランプ25Aを消灯して(#28)、「脱穀クラッチ切り」の制御を実行し(#29)、表示ランプ54を消灯する(#30)。
【0105】
ちなみに、操作部70がアクセル操作具60を設定高速位置Hに操作した後、揺動操作体69の端部69bが操作部70の受動部70aから外れ、操作部70が待機位置Tに復帰してアクセル操作具60の出力アーム部60aと離間し、また、揺動操作体69が操作部70と離間することになる。したがって、アクセル操作具60は、操作部70と揺動操作体69とによる揺動規制を受けず、設定高速位置Hから減速側に人為操作できる状態になる。
【0106】
加えて、エンジン10が定格回転数に操作された後、脱穀装置5を停止させても、エンジン回転数は定格回転数に維持されることになる。つまり、アクセル操作具60が設定高速位置Hに位置している状態で、電動モータ22が脱穀クラッチ操作体31及び刈取クラッチ操作体33をクラッチ切り位置U1に操作すると、揺動操作体69が脱穀クラッチ操作体31と共に揺動して解除方向b2に揺動する。これに伴って揺動操作体69の端部69bが待機位置Tに位置している操作部70の受動部70aに当接して揺動操作体69が操作部70を揺動操作しても、操作部70は、解除方向b1に揺動してアクセル操作具60に押圧作用しない。これにより、アクセル操作具60が摩擦板68によって設定高速位置Hに保持され、エンジン10は、アクセル操作具60の設定高速位置Hに対応した定格回転数を維持する。
【0107】
次に、変速検出用センサ41の検出情報に基づいて、前進操作域Fにおけるクラッチ入り判別用設定位置P1よりも高速側に主変速レバー24が位置する前進走行状態であるか否か(主変速レバー24が前進側でかつ設定速度以上の高速側の範囲にあるか否か)、つまり、刈取クラッチ入り操作域に操作されているか否かが判断され(#12)、主変速レバー24が刈取クラッチ入り操作域でないときには、前進操作域Fにおけるクラッチ入り判別用設定位置P1よりも低速側に定めたクラッチ切り判別用設定位置P2に対して前記主変速レバー24が低速側に位置する走行中立状態であるか及び後進操作域Rに主変速レバー24が位置するか、つまり、主変速レバー24が刈取クラッチ切り操作域に操作されているか否かが判断される(#17)。
【0108】
主変速レバー24が刈取クラッチ入り操作域に操作されている場合、自動操作スイッチ52にて自動操作指令(刈取オートクラッチの入り)が指令されていなければ、直ちに、「刈取クラッチ入り」の制御が行われる(#13,#14)。つまり、操作体位置検出用センサ43の検出情報に基づいて、電動モータ22により脱穀クラッチ操作体31を刈取クラッチ入り位置U3に操作し、脱穀クラッチ連動機構32を介して脱穀クラッチ14を入り状態に継続して操作することになり、これと同時、電動モータ22により刈取クラッチ操作体33を刈取クラッチ入り位置U3に操作し、刈取クラッチ連動機構34を介して刈取クラッチ17を入り状態操作することになる。
【0109】
自動操作スイッチ52にて自動操作指令(刈取オートクラッチの入り)が指令されているときは、高さ検出用センサ51の検出情報に基づいて、刈取処理装置4の高さが設定高さよりも低いと判断されると、前記「刈取クラッチ入り」の制御を実行し、刈取処理装置4の高さが設定高さ以上であると、「刈取クラッチ切り」の制御を実行する(#13,♯15,#16)。
【0110】
この「刈取クラッチ切り」の制御は、操作体位置検出用センサ43の検出情報に基づいて、電動モータ22が脱穀クラッチ操作体31を脱穀クラッチ入り位置U2に操作し、脱穀クラッチ連動機構32を介して脱穀クラッチ14を入り状態に維持する状態に操作することになり、これと同時、電動モータ22が刈取クラッチ操作体33を脱穀クラッチ入り位置U2に操作し、刈取クラッチ連動機構34を介して刈取クラッチ17を切り状態に操作することになる。
【0111】
主変速レバー24が刈取クラッチ切り操作域に操作されているときは、変速検出用センサ41の検出情報に基づいて主変速レバー24が中立位置Nでないことが判別される(#18)ときや、主変速レバー24が中立位置Nであっても、掻込み指令スイッチ50が刈取クラッチ17の入り操作指令を指令するON状態でないときは(#19)、「刈取クラッチ切り」の制御が実行され(#20)、主変速レバー24が中立位置Nであり、掻込み指令スイッチ50がON状態であれば、「刈取クラッチ入り」の制御を実行する(#18,#19,#14)。
【0112】
「刈取クラッチ入り」の制御が行われて、刈取作業が行われているときに、エンジン回転数検出センサ53にて検出されるエンジン回転数が予め設定されている設定回転数以下に低下しているが、その設定回転数よりも低く設定された下限回転数までは低下していないときには、表示ランプ54を点滅作動させる(#21〜23)。
【0113】
前記設定回転数について説明を加えると、脱穀装置5内に刈取穀稈が存在しない状態で脱穀装置5を駆動しながら走行している状態、具体的には、刈取処理装置4に備えられた株元センサ(図示せず)にて刈取穀稈が検出され始めたときのエンジン回転数を無負荷回転数として設定しておき、その無負荷回転数から第1設定量低い回転数が前記設定回転数として設定される。
【0114】
前記下限回転数は、無負荷回転数から第1設定量よりも大きい第2設定量低い回転数が設定されるが、エンジン回転数が下限回転数にまで低下する状態では、エンジン10に掛かる負荷が過大であり、このまま刈取作業を継続するとエンストを起すおそれがある。
そこで、エンジン回転数が下限回転数以下にまで低下しているときには、表示ランプ54を消灯して、報知表示部81における負荷異常ランプ87を点滅作動させて異常を報知する(#25,#26)。そして、このような状態が設定時間以上継続すると、これ以上作業を継続できないので処理を終了して異常報知状態を維持する(#27)。
【0115】
作業指令スイッチ25がOFF状態に切り換えられると、スイッチランプ25Aを消灯して、「脱穀クラッチ切り」の制御を実行する(#24、#28、#29)。すなわち、電動モータ22が脱穀クラッチ操作体31をクラッチ切り位置U1に操作して、脱穀クラッチ連動機構32を介して脱穀クラッチ14を切り状態に操作すると同時、電動モータ22が刈取クラッチ操作体33をクラッチ切り位置U1に操作し、刈取クラッチ連動機構34を介して刈取クラッチ17を切り状態に操作する。
そして、表示ランプ54を消灯させ(#30)、メインスイッチJがOFF位置に操作されると処理を終了する(#31)。
【0116】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、刈取クラッチ17及び脱穀クラッチ14(作業クラッチ)の切り換え操作に加えて調速装置63(アクセル装置)の切り換え操作をも切換操作用駆動手段としての1つの切換操作用モータ22にて行うようにしたが、刈取クラッチ17、脱穀クラッチ14、調速装置63(アクセル装置)の切り換え操作を夫々各別にアクチュエータ(例えば電動モータ等)により行うように構成してもよい。
【0117】
(2)前記切換操作用駆動手段としての切換操作用モータ22を設けないで、図17に示すように、刈取クラッチ17、脱穀クラッチ14(作業クラッチ)、調速装置63(アクセル装置)を手動で切り換えるように構成するものでもよい。
【0118】
すなわち、刈取クラッチ17及び脱穀クラッチ14(作業クラッチ)が、手動操作に基づいて前記入り状態と前記切り状態とに切り換え自在に構成され、且つ、調速装置63(アクセル装置)が、手動操作に基づいてエンジンの出力を変更調整自在に構成される。つまり、手動操作式の刈取クラッチレバー17Aの操作により刈取クラッチ17が入り切り操作され、手動操作式の脱穀クラッチレバー14Aの操作により脱穀クラッチ14が入り切り操作され、手動操作式のアクセル操作具60の操作により調速装置63にてエンジン10の出力を変更調整自在に構成されるものである。
【0119】
又、エンジン10の出力が脱穀装置5に伝達されている駆動状態であるか否かを検出する駆動状態検出手段43として、刈取クラッチレバー14Aがクラッチ入り位置に操作されたことを検出する刈取レバーセンサS1と、脱穀クラッチレバー17Aがクラッチ入り位置に操作されたことを検出する脱穀レバーセンサS2とを備え、且つ、制御部42が、エンジン回転数検センサ53にて検出されるエンジン回転数が定格回転数であり且つ刈取レバーセンサS1と脱穀レバーセンサS2とが夫々クラッチ入り位置を検出すると、表示ランプ54(報知手段)を作動させる。
すなわち、駆動状態検出手段43が、エンジン10の出力が脱穀装置5及び刈取処理装置4に伝達されている状態を駆動状態として検出する構成である。
【0120】
さらに、別の実施形態として、刈取クラッチ17、脱穀クラッチ14(作業クラッチ)、調速装置63(アクセル装置)を手動で切り換えるものにおいて、駆動状態検出手段43が、脱穀装置5に対する動力伝達だけを検出する構成として、脱穀クラッチ14が入り状態でありエンジン回転数が定格回転数であれば、表示ランプ54(報知手段)が報知作動するように構成するものでもよい。
このような構成は、例えば、圃場の枕地で手作業で刈取った穀稈を、コンバインを走行停止させ、且つ、刈取処理部4の作動を停止させている状態で、脱穀フィードチェーン5aの始端部に手作業で刈取穀稈を投入して脱穀処理を行う枕扱き作業を行うような場合に好適に用いることができる。
【0121】
(3)上記実施形態では、表示ランプ54の作動形態の変更として、点灯作動から点滅作動に変更する例を示したが、点滅作動から点灯作動に変更するものであってもよく、点滅作動の点滅時間の間隔を変更するもの等、様々のものを採用できる。
【0122】
(4)上記実施形態では、表示ランプ54を点灯作動させている状態において、エンジン回転数が設定回転数以下になると表示ランプ54を点滅作動させるようにしたが、エンジン回転数が設定回転数以下になっても表示ランプ54を点灯させる構成としてもよい。
【0123】
(5)上記実施形態では、エンジン回転数が下限回転数以下になると、表示ランプ54を消灯させるとともに、過負荷状態報知手段としての負荷異常ランプ87を点滅作動させるようにしたが、エンジン回転数が下限回転数以下になっても表示ランプ54を点灯させるか又は点滅させる構成としてもよく、又、過負荷状態報知手段として、負荷異常ランプ87に代えて、あるいは、負荷異常ランプ87に加えてブザーで報知させる構成としてもよい。この場合においても、表示ランプ54と同様に、この場合、過負荷状態報知手段の作動形態として、音を連続的に鳴らしたり、間欠的に鳴らしたり、音声の内容(例えば、「エンジン負荷が過大です。」)を変更したりするもの等様々のものを採用できる。
【0124】
(6)上記実施形態では、作業指令スイッチ25が表示装置Fの下方側に位置する状態で設けられ、表示ランプ54が表示装置Fの上方側に位置する状態で設けられる構成としたが、このような構成に代えて、例えば、図18に示すように、作業指令スイッチ25と表示ランプ54とを共に表示装置Fの上方側に位置する状態で且つ左右両側に並ぶ状態で設けるようにしてもよく、その配置構成は種々変更して実施してもよい。
【0125】
(7)上記実施形態では、報知手段として表示ランプを採用した例を示したが、報知手段として、液晶表示などに文字情報や画像情報等を用いて表示するものや、音や音声によって報知するものでもよい。この場合、報知手段の作動形態として、音を連続的に鳴らしたり、間欠的に鳴らしたり、音声の内容(例えば、「作業開始可能です。」)を変更したりするもの等様々のものを採用できる。
【0126】
(8)上記実施形態では、操作体位置検出用センサ43の検出情報に基づいて、エンジン10の出力が脱穀装置5に伝達している駆動状態であるか否かを検出するようにしたが、このような構成に代えて、脱穀装置5における2番物回収用スクリューコンベア(図示せず)の回転速度を検出する2番回転センサの検出情報に基づいて、エンジン10の出力が脱穀装置5に伝達している駆動状態であるか否かを検出する構成としてもよく、又、クラッチアーム17aの位置を直接検出するセンサを用いる等、種々の検出手段を用いることができる。
【0127】
(9)上記実施形態では、刈取作業開始条件として、主変速レバー24が前進走行用操作位置でかつ設定速度以上の高速側に操作されると、刈取作業開始条件が満たされたと判別するようにしたが、このような条件に代えて、主変速レバー24の位置にかかわらず、掻込み指令スイッチ50が操作されると刈取作業開始条件が満たされたと判別する構成としてもよい。又、主変速レバー24の位置にかかわらず、刈取処理装置4の対機体高さが設定高さ未満であれば刈取作業開始条件が満たされたと判別する構成としてもよい。
【0128】
(10)上記実施形態では、作業車としてのコンバインにおいて脱穀クラッチ14を作業車の作業クラッチとして操作する場合に本発明を適用する場合を例示したが、例えば、耕耘ロータを備えたトラクタを作業車として、耕耘ロータの駆動を断続する駆動クラッチを作業クラッチとして操作するのに適用する等、本発明は種々の作業車の作業クラッチを操作するのに適用できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0129】
本発明は、コンバインやトラクタ等、走行装置にて車体を走行させながら作業装置にて作業を実行するように構成されている作業車に適用できる。
【符号の説明】
【0130】
1 走行装置
2 運転座席
4 刈取処理装置
5 作業装置(脱穀装置)
10 エンジン
14 作業クラッチ(脱穀クラッチ)
17 刈取クラッチ
22 切換操作用駆動手段
24 走行変速操作具
25 作業指令手段
36 側部パネル
36A パネル部
41 運転操作状態検出手段
42 制御手段
43 駆動状態検出手段
53 回転数検出手段
54 報知手段(表示ランプ)
63 アクセル手段
87 過負荷状態報知手段
A 車体操縦部
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンにて駆動される走行装置と、前記エンジンにて駆動される作業装置と、前記エンジンの出力を前記作業装置に伝達する入り状態と伝達を遮断する切り状態とに切り換え自在な作業クラッチと、前記エンジンの出力を変更調整自在なアクセル手段とが備えられ、前記走行装置にて車体を走行させながら前記作業装置にて作業を実行するように構成されている作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
上記作業車の一例としてのコンバインにおいて、従来では、次のように構成されたものがあった。
すなわち、前記作業装置としての脱穀装置を備えており、前記作業クラッチとしてエンジンの出力を脱穀装置に伝達する入り状態と伝達を遮断する切り状態とに切り換え自在な脱穀クラッチを備え、且つ、作業指令手段としての作業開始指令スイッチの操作に基づいて、脱穀クラッチの入り状態と切り状態との切換操作、及び、アクセル手段の定格回転状態とアイドリング状態との切換操作を1つの電動モータにて行うようになっており、ランプ付きロック無しスイッチにて構成される作業開始指令スイッチがオン操作されると、その作業開始指令スイッチに備えられたランプを点灯し、アクセル手段を定格回転状態に切り換え且つ脱穀クラッチを入り状態に切り換えるように電動モータを作動させるようになっている(例えば、特許文献1参照。)(以下、第1の従来例という)。
【0003】
上記構成は、コンバインにて刈取作業を行う場合に、運転者が作業開始指令スイッチを操作するだけで、エンジンが定格回転数にて回転する状態となり、しかも、脱穀クラッチ(作業クラッチ)が入り状態に切り換えられるので、手動操作にてエンジン回転数を変更調整したり、脱穀クラッチを入り操作する等の操作が不要となり、操作の煩わしさを解消することができるようにしたものである。
尚、エンジンが定格回転数にて回転する状態となり、脱穀クラッチが入り状態に切り換えられた後、刈取作業を開始するときは、刈取クラッチを入り状態にして車体の前部に設けられた刈取処理装置を作動させて走行装置にて車体を走行させながら刈取作業を実行することになる。
【0004】
従来の作業車としては、上記したような構成の他、作業クラッチの入り状態と切り状態との切換操作、及び、アクセル手段の定格回転状態とアイドリング状態との切換操作を夫々各別に手動操作にて行うようにしたものもある(以下、第2の従来例という)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−252347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記第1の従来例では、作業開始指令スイッチがオンすると、アクセル手段を定格回転状態に切り換え且つ脱穀クラッチ(作業クラッチ)を入り状態に切り換えるように電動モータ(切換操作用駆動手段)を作動させるものであるが、作業開始指令スイッチがオンしてから電動モータによる切り換え操作が終了するまで、つまり、作業開始指令スイッチがオン操作されてから、実際にエンジン回転数が定格回転数になり且つ脱穀クラッチが入り状態に切り換わるまでの間には、電動モータによる動作を実行するために時間がかかる(例えば数秒間程度)。
【0007】
しかしながら、運転者は、作業開始指令スイッチを操作すると、その作業開始指令スイッチに備えられたランプが点灯するので、そのランプの点灯により作業開始指令スイッチの指令に伴う作動が適切に行われたものと勘違いして、車体を走行させて刈取作業を開始する場合がある。
【0008】
その結果、電動モータによる切り換え操作が終了する前に、つまり、エンジン回転数が定格回転数になっており且つ脱穀クラッチが完全に入り状態に切り換わっている状態になる前に、言い換えると、刈取作業を行うための適正な準備ができていない状態で、車体を走行させて刈取作業を開始してしまうことになり、車体走行に伴って発生する走行負荷により定格回転数よりも低い回転数で回転しているエンジンに対して過大な負荷がかかってエンストしたり、脱穀装置(作業装置)での脱穀作業が良好に行えないまま刈取作業が行われる等のおそれがあった。
【0009】
又、上記第2の従来例においても、脱穀クラッチの入り状態と切り状態との切換操作、及び、アクセル手段の定格回転状態とアイドリング状態との切換操作を夫々各別に手動操作にて行う構成であるから、運転者が誤って脱穀クラッチの入り状態への切り換え操作やアクセル手段の定格回転状態への切り換え操作を行わないまま、言い換えると、刈取作業を行うための適正な準備ができていない状態で、そのことに気づかずに車体を走行させて刈取作業を開始するおそれがあり、同様な不利な面があった。
【0010】
本発明の目的は、作業を行うための適正な準備ができていない状態で、運転者が誤って車体を走行させて作業を開始させることを回避させることが可能な作業車を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る作業車は、エンジンにて駆動される走行装置と、前記エンジンにて駆動される作業装置と、前記エンジンの出力を前記作業装置に伝達する入り状態と伝達を遮断する切り状態とに切り換え自在な作業クラッチと、前記エンジンの出力を変更調整自在なアクセル手段とが備えられ、前記走行装置にて車体を走行させながら前記作業装置にて作業を実行するように構成されているものであって、その第1特徴構成は、前記作業クラッチが手動又は自動で操作されることにより、前記エンジンの出力が前記作業装置に伝達されている駆動状態に切り換わるように構成され、且つ、前記アクセル手段が手動又は自動で操作されることにより、エンジン回転数が定格回転数になるように前記エンジンの出力を変更調整されるように構成され、前記エンジンの回転数を検出する回転数検出手段と、前記エンジンの出力が前記作業装置に伝達されている駆動状態であるか否かを検出する駆動状態検出手段と、運転者に対する報知作動を行う報知手段と、前記報知手段の作動を制御する制御手段とが備えられ、前記制御手段が、前記回転数検出手段にて検出されるエンジン回転数が定格回転数であり且つ前記駆動状態検出手段にて前記駆動状態であることが検出されると、報知作動を実行するように前記報知手段を制御するように構成されている点にある。
【0012】
第1特徴構成によれば、作業クラッチが手動又は自動にて操作されることによりエンジンの出力が作業装置に伝達されている駆動状態に切り換わり、アクセル手段が手動又は自動にて操作されることにより、エンジン回転数が定格回転数になるようにエンジンの出力を変更調整されることになるが、制御手段は、回転数検出手段にて検出されるエンジン回転数が定格回転数であり、且つ、駆動状態検出手段によりエンジンの出力が作業装置に伝達されている駆動状態であることが検出されると、報知作動を実行するように報知手段を制御する。
【0013】
つまり、報知手段により報知作動が行われることによって、運転者は、エンジンが定格回転数で駆動されており、しかも、作業クラッチが入り状態に切り換えられてエンジンの出力が作業装置に伝達している状態、すなわち、作業を行うための適正な準備ができている状態であることを確認することができる。
言い換えると、報知手段により報知作動が行われていなければ、作業を行うための適正な準備ができていない状態であることを確認できるものとなる。
【0014】
従って、作業を行うための適正な準備ができていない状態で、運転者が誤って車体を走行させて作業を開始させることを回避させることが可能な作業車を提供できるに至った。
【0015】
本発明の第2特徴構成は、第1特徴構成に加えて、前記作業クラッチ及び前記アクセル手段を自動で切り換え操作する切換操作用駆動手段と、作業開始指令を指令する手動操作式の作業指令手段とが備えられ、前記制御手段が、前記作業指令手段にて前記作業開始指令が指令されると、前記アクセル手段を定格回転状態にし且つ前記作業クラッチを前記入り状態にすべく前記切換操作用駆動手段の作動を制御するように構成され、且つ、前記作業指令手段にて前記作業開始指令が指令されたのち、前記回転数検出手段にて検出されるエンジン回転数が定格回転数であり且つ前記駆動状態検出手段にて前記駆動状態であることが検出されると、報知作動を実行するように前記報知手段を制御するように構成されている点にある。
【0016】
第2特徴構成によれば、報知手段は、回転数検出手段にて検出されるエンジン回転数が定格回転数であるという条件、及び、駆動状態検出手段にて前記駆動状態であることが検出されているという条件の2つの条件が夫々成立していると点灯するが、作業指令手段にて作業開始指令が指令された場合であっても、前記2つの条件のうちの少なくともいずれか一方の条件が成立していなければ、作動しないのである。
【0017】
つまり、運転者は、報知手段の作動によって、エンジン回転数が定格回転数になっており、しかも、作業クラッチが入り状態になっているか否かを確認することができるのであり、運転者が、作業指令手段にて作業開始指令が指令したのちに、報知手段の作動状態を確認してから、車体を走行させて作業を開始させるようにすると、そのときは、エンジン回転数が定格回転数になっており且つ作業クラッチが入り状態に切り換わっていることになる。
【0018】
従って、作業指令手段にて作業開始指令が指令されたときから、エンジン回転数が定格回転数になり且つ作業クラッチが入り状態になるまでの間に、言い換えると、作業を行うための適正な準備ができていない状態で、運転者が誤って車体を走行させて作業を開始させることを回避させることが可能となる。
【0019】
本発明の第3特徴構成は、第2特徴構成に加えて、前記制御手段が、前記報知手段にて報知作動を実行している状態において、前記エンジン回転数が設定回転数以下になると前記報知手段の作動形態を変更するように構成されている点にある。
【0020】
第3特徴構成によれば、前記報知手段を作動させている状態、すなわち、エンジン回転数が定格回転数であり、しかも、エンジンの出力が作業装置に伝達している駆動状態であるときに、エンジン回転数が設定回転数以下になると、報知手段の作動形態が変更されることになる。
【0021】
このように報知手段の作動形態が変更されることにより、運転者は、エンジン回転数が設定回転数以下になっており、エンジンに掛かる負荷が大きくなっていることを認識することができる。従って、運転者は、例えば車速を低下させてエンジンに掛かる負荷を低減させる等の対策を取ることが可能となる。
【0022】
本発明の第4特徴構成は、第3特徴構成に加えて、前記制御手段が、前記エンジン回転数が前記設定回転数よりも低く設定されている下限回転数以下になると前記報知手段の報知作動を停止させるように構成されている点にある。
【0023】
第4特徴構成によれば、エンジン回転数が下限回転数以下になると、報知手段の作動が停止することになるので、運転者は、例えば車速を低下させる等の対策を取ったにもかかわらず、作業装置にて異常が発生する等により、エンジンに掛かる負荷が過大になっている緊急状態であることを認識することができる。
作業装置の異常としては、例えば作業車の一例としてコンバインの場合であれば、作業装置としての脱穀装置にて排ワラが搬送経路中で詰まる等の異常が発生することがある。
【0024】
従って、運転者は、報知手段の作動が停止することにより、エンジンに掛かる負荷が過大になっている緊急状態であることを認識することができ、例えば車体の走行を停止させて異常状態を解消する等、緊急時における対策を取ることが可能となる。
【0025】
本発明の第5特徴構成は、第4特徴構成に加えて、前記エンジンの負荷が過大であることを報知する過負荷状態報知手段が備えられ、前記制御手段が、前記エンジン回転数が前記下限回転数を下回ることにより前記報知手段の報知作動を停止させるときに、前記過負荷状態報知手段を作動させるように構成されている点にある。
【0026】
第5特徴構成によれば、エンジン回転数が下限回転数以下になることにより報知手段の作動を停止させるときに、過負荷状態報報知手段を作動させてエンジンの負荷が過大であることを報知するので、運転者が、例えば作業装置にて異常が発生する等の何らかの異常によりエンジンに掛かる負荷が過大になっていることを的確に認識することができる。
【0027】
本発明の第6特徴構成は、第2特徴構成〜第5特徴構成のいずれかに加えて、前記制御手段が、前記作業指令手段にて作業停止指令が指令されると、前記作業クラッチを前記切り状態に操作すべく前記切換操作用駆動手段の作動を制御し、且つ、前記報知手段の報知作動を停止させるように構成されている点にある。
【0028】
第6特徴構成によれば、作業指令手段にて作業停止指令が指令されると、切換操作用駆動手段の作動により作業クラッチが切り状態に操作され、且つ、報知手段の作動が停止することになるので、運転者は、作業クラッチが切り状態であることを確認することができる。尚、エンジン回転数については、作業指令手段にて作業停止指令が指令されると、アイドリング回転数にまで低下させるようにしてもよく、又、定格回転数に維持するようにしてもよい。
【0029】
本発明の第7特徴構成は、第2特徴構成〜第6特徴構成のいずれかに加えて、前記作業装置が脱穀装置であり、前記作業クラッチが、前記エンジンの出力を前記脱穀装置に伝達する入り状態と伝達を遮断する切り状態とに切り換え自在な脱穀クラッチであり、刈取処理装置と、前記エンジンの出力をその刈取処理装置に伝達する入り状態と伝達を遮断する切り状態とに切り換え自在な刈取クラッチと、刈取作業開始条件が満たされているか否かを判別するための運転操作状態を検出する運転操作状態検出手段とが備えられ、前記切換操作用駆動手段が刈取クラッチを切り換え操作するように構成され、前記制御手段が、前記作業指令手段にて前記作業開始指令が指令されて、前記アクセル手段が定格回転状態であり且つ前記脱穀クラッチが前記入り状態であるときに、前記運転操作状態検出手段の検出情報に基づいて、前記刈取作業開始条件が満たされていることを判別すると前記刈取クラッチを入り状態にし、かつ、前記刈取作業開始条件が満たされていないことを判別すると前記刈取クラッチを切り状態にすべく、前記切換操作用駆動手段の作動を制御するように構成されている点にある。
【0030】
脱穀装置と刈取処理装置とを備えた作業車の一例としてのコンバインでは、例えばエンジンを始動させて作業を行なうときには、先ず、脱穀クラッチが切り状態で且つアクセル手段がアイドリング状態となる状態にてエンジンを始動させ、次に、そのエンジンの始動状態において、アクセル手段を定格回転状態に操作し且つ脱穀クラッチを入り状態に操作することになるが、第7特徴構成によれば、エンジンの始動状態において、アクセル手段を定格回転状態に操作し且つ脱穀クラッチを入り状態に操作することを、作業指令手段にて作業開始指令を指令するという簡単な操作にて行なえるものとなる。
【0031】
そして、作業指令手段にて作業開始指令が指令されて、アクセル手段が定格回転状態であり且つ脱穀クラッチが入り状態であるときに、運転操作状態検出手段にて刈取作業開始条件が満たされていることを判別すると刈取クラッチを入り状態にし、かつ、刈取作業開始条件が満たされていないことを判別すると刈取クラッチを切り状態にすべく、切換操作用駆動手段の作動を制御するのである。刈取作業開始条件としては、例えば、走行変速操作具がニュートラル位置以外の位置に操作されること、言い換えると、前進又は後進で走行する状態に操作されることや昇降自在に設けられる刈取処理装置が作業用の低位置にまで下降したこと、あるいは、刈取指令用のスイッチにて刈取作業が指令されること等の種々の条件がある。
【0032】
つまり、脱穀クラッチとアクセル手段の切換操作だけでなく、刈取クラッチの切換操作も合せて切換操作用駆動手段にて行うようにしたので、コンバインにおける操作の簡略化を図ることができる。
【0033】
本発明の第8特徴構成は、第7特徴構成に加えて、前記運転操作状態検出手段が、走行変速操作具の変速操作位置を検出する操作位置検出手段を備えて構成され、前記制御手段が、前記走行変速操作具が前進走行用操作位置でかつ設定速度以上の高速側に操作されると、前記刈取作業開始条件が満たされたと判別するように構成されている点にある。
【0034】
第8特徴構成によれば、走行変速操作具が前進走行用操作位置でかつ設定速度以上の高速側に操作されると、言い換えると、車体を前進側に走行させると、刈取作業開始条件が満たされたと判別することにより、刈取クラッチを入り状態にするのであり、運転者は走行を開始させる操作を行うだけで刈取クラッチを入り状態に切り換えて刈取作業を開始することができる。又、走行停止中には、刈取クラッチが切り状態に維持されるので刈取処理装置を不測に駆動させるといった不都合が無い。
【0035】
本発明の第9特徴構成は、第1特徴構成に加えて、前記作業クラッチが、手動操作に基づいて前記入り状態と前記切り状態とに切り換え自在に構成され、且つ、前記アクセル手段が、手動操作に基づいて前記エンジンの出力を変更調整自在に構成されている点にある。
【0036】
第9特徴構成によれば、作業を開始するときには、アクセル手段を手動操作してエンジン回転数が定格回転数になるようにエンジンの出力を変更調整し、作業クラッチを手動操作して入り状態に切り換えることになる。そして、アクセル手段及び作業クラッチの操作が適正に行われると、回転数検出手段にて検出されるエンジン回転数が定格回転数であり、且つ、駆動状態検出手段によりエンジンの出力が作業装置に伝達されている駆動状態であることが検出され、報知手段が報知作動を実行する。これに対して、アクセル手段及び作業クラッチの操作が適正に行われていなければ、報知手段が報知作動を実行しないのである。
【0037】
従って、作業クラッチの入り状態と切り状態との切換操作、及び、アクセル手段の定格回転状態とアイドリング状態との切換操作を夫々各別に手動操作にて行うようにした場合であっても、作業を行うための適正な準備ができていない状態で、運転者が誤って車体を走行させて作業を開始させることを回避させることが可能となる。
【0038】
本発明の第10特徴構成は、第9特徴構成に加えて、前記作業装置が脱穀装置であり、前記作業クラッチが、前記エンジンの出力を前記脱穀装置に伝達する入り状態と伝達を遮断する切り状態とに切り換え自在な脱穀クラッチであり、刈取処理装置と、手動操作に基づいて前記エンジンの出力を前記刈取処理装置に伝達する入り状態と伝達を遮断する切り状態とに切り換え自在な刈取クラッチとが備えられ、前記駆動状態検出手段が、前記エンジンの出力が前記脱穀装置及び前記刈取処理装置に伝達されている状態を前記駆動状態として検出するように構成されている点にある。
【0039】
脱穀装置と刈取処理装置とを備えた作業車の一例としてのコンバインでは、例えばエンジンを始動させて作業を行なうときには、先ず、脱穀クラッチが切り状態で且つアクセル手段がアイドリング状態となる状態にてエンジンを始動させ、次に、そのエンジンの始動状態において、アクセル手段を定格回転状態に操作し且つ脱穀クラッチを入り状態に操作し、さらに、刈取クラッチを入り状態に操作することにより、刈取作業が可能な状態になるが、第10特徴構成によれば、駆動状態検出手段が、エンジンの出力が脱穀装置及び刈取処理装置に伝達されている状態を駆動状態として検出するので、脱穀クラッチ及び刈取部クラッチが夫々入り状態になっていることを適切に検出することができる。
【0040】
従って、脱穀クラッチ及び刈取クラッチが夫々入り状態に切り換わっており、エンジン回転数が定格回転数になっている状態、すなわち、刈取作業を行うための適正な準備ができている状態であることを、報知手段の報知作動により確認することができる。
【0041】
本発明の第11特徴構成は、第1特徴構成〜第10特徴構成のいずれかに加えて、車体操縦部の運転座席の横側部に設けられた側部パネルの前端部に位置するパネル部に、前記報知手段としての表示ランプが設けられている点にある。
【0042】
第11特徴構成によれば、運転座席の横側部に設けられた側部パネルの前端部に位置するパネル部に報知手段としての表示ランプが設けられているから、運転座席に着座している運転者に対して車体前方側の下方側に位置する箇所に表示ランプが位置することになる。
【0043】
その結果、運転座席に着座して前方を目視しながら運転操作している運転者が表示ランプの表示状態を見易いものとなり、実際に、エンジン回転数が定格回転数であり且つ作業クラッチが入り状態になっているか否かを確認し易いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】コンバインの全体側面図である。
【図2】伝動装置の概略図である。
【図3】制御構成を示すブロック図である。
【図4】車体操縦部の平面図である。
【図5】表示装置の平面図である。
【図6】側部パネルの斜視図である。
【図7】クラッチ切り換え部の脱穀クラッチと刈取クラッチとを切り操作した状態での側面図である。
【図8】クラッチ切り換え部の脱穀クラッチを入り操作し、刈取クラッチを切り操作した状態での側面図である。
【図9】クラッチ切り換え部の脱穀クラッチと刈取クラッチとを入り操作した状態での側面図である。
【図10】脱穀クラッチ操作体と刈取クラッチ操作体の操作域を示す説明図である。
【図11】アクセル操作部のアクセル操作具が設定低速位置に操作された状態での側面図である。
【図12】アクセル操作部の縦断正面図である。
【図13】アクセル操作部の分解斜視図である。
【図14】アクセル操作部の揺動操作体の操作過程での側面図である。
【図15】制御作動を示すフローチャート図である。
【図16】制御作動を示すフローチャート図である。
【図17】別実施形態の制御構成を示すブロック図である。
【図18】別実施形態の側部パネルの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、作業車の一例としてのコンバインは、左右一対のクローラ式走行装置1、及び、運転座席2を備える車体操縦部Aを装備した走行機体Bの前部に昇降操作自在に刈取処理装置4が連結され、機体フレーム3の後部側箇所に機体横幅方向に並べる状態で脱穀装置5と穀粒タンク6とを備えて、圃場を走行しながら、稲、麦などの穀稈を刈取り、その刈取穀稈を脱穀処理するように構成されている。
【0046】
説明を加えると、刈取処理装置4は、刈取り部フレーム4aが昇降用の油圧シリンダ7によって機体フレーム3に対して上下に揺動操作されることにより、刈取処理装置4の前端部に位置する複数の分草具4bが地面付近に下降した下降作業状態と、分草具4bが地面から上昇した上昇非作業状態とに昇降するように構成されている。そして、刈取処理装置4を下降作業状態にして走行機体Bを走行させると、刈取処理装置4が、刈り取り対象の複数の植付け条に位置する植立穀稈を対応する分草具4bによって隣接する植付け条の植立穀稈と分草し、各分草具4bからの植立穀稈を対応した引起し装置4cによって引起し処理するとともに一つのバリカン形の刈取装置4dによって刈取り処理し、刈取り装置4dからの刈取穀稈を搬送装置4eによって後方に搬送して脱穀装置5の脱穀フィードチェーン5aの始端部に供給するように構成されている。
刈取処理装置4の機体フレーム3に対する揺動支点位置には、刈取処理装置4の走行機体Bに対する高さを検出する高さ検出用センサ51が設けられている。
【0047】
脱穀装置5は、脱穀フィードチェーン5aによって刈取穀稈の株元側を挟持して後方に搬送しながら穂先側を扱室(図示せず)に供給し、刈取穀稈を回動する扱胴(図示せず)によって脱穀処理するように構成されている。又、脱穀装置5から搬送された脱穀粒を穀粒タンク6にて回収して貯留するように構成され、穀粒タンク6にて貯留する脱穀粒はスクリューコンベア式の穀粒排出装置8により外部に排出するように構成されている。
【0048】
尚、詳述はしないが、搬送装置4eの刈取穀稈の株元側の挟持位置を稈長方向に変更することにより、扱室における刈取穀稈の扱深さを変更調整自在な扱深さ調節装置(図示せず)が設けられ、扱深さが設定値になるように刈取穀稈の扱深さを自動調節する扱深さ調節を行うことができるように構成されている。又、左右のローリング用の油圧シリンダ(図示せず)の操作により、左右のクローラ式走行装置1の接地部の走行機体Bに対する高さを各別に変更調節自在に構成され、後述する制御部42が、走行機体Bの水平基準面からの左右傾斜角が設定値になるようにローリング用の油圧シリンダを制御するローリング制御を実行するように構成されている。
【0049】
図2に示すように、運転座席2の下方に設けたエンジン10の出力が、作業クラッチとしての脱穀クラッチ14を介して作業装置としての脱穀装置5に伝達され、また、エンジン10の出力が、ベルトテンション式の伝動装置11を介してミッションケース12の入力軸13に伝達され、入力軸13の動力が刈取変速装置15を介して刈取用出力軸16及び刈取クラッチ17を介して刈取処理装置4に伝達される。尚、刈取変速装置15は刈取変速レバー44(図4参照)にて標準速度と低速状態とに切り換え可能に構成されている。
【0050】
入力軸13に伝達される動力は、静油圧式の無段変速装置M及び副変速装置19にて変速したのち、左右の多板摩擦式のクラッチブレーキ26R,26Lを介して左右のクローラ式走行装置1の駆動スプロケット1aに伝達されるように構成されている。無段変速装置Mは、前進走行速度及び後進走行速度を無段階に変速する走行変速装置として機能するものであり、中立位置から前進操作域及び後進操作域の夫々に操作自在な走行変速操作具としての主変速レバー24(図4参照)にて操作されるように構成されている。又、副変速装置19は、副変速レバー20にて作業用変速状態、移動用変速状態、中立状態に切り換え操作可能に構成されている。
【0051】
左右のクラッチブレーキ26R,26Lは夫々油圧ピストン27R,27Lにて操作され、左右のクローラ式走行装置1に対して各別に走行用動力を断続し且つ動力遮断状態でブレーキとして機能するように構成されている。
【0052】
図4に示すように、車体操縦部Aにおける運転座席2の前方に位置する前方パネル35には、前後方向並びに左右方向に揺動操作自在な操縦レバー18、警報ホーンを作動させるホーンスイッチ28、刈取クラッチ17に対する自動操作(以下、刈取オートクラッチ操作という場合がある)を行なう自動操作指令と自動操作を行なわない自動停止指令を指令する自動操作スイッチ52、キーKを挿入されて操作されるメインスイッチJが備えられている。
【0053】
運転座席2の横側に位置する側部パネル36には、主変速レバー24、副変速レバー20、アクセル手段としての調速装置(ガバナ)63を操作するためのアクセル操作具60、刈取変速レバー44が備えられ、又、ローリング制御の入り切り等を指令するローリング制御用操作部45、扱深さ制御の入り切り等を指令する扱深さ制御用操作部46、前照灯(図示せず)の入切及び方向指示ランプの入切を指令するコンビネーションスイッチ47、刈取クラッチ17の入り操作指令及び切り操作指令を指令する手動操作式のクラッチ操作指令手段としての掻込み指令スイッチ50が備えられている。
【0054】
図6に示すように、側部パネル36には、ローリング制御用操作部45、扱深さ制御用操作部46、コンビネーションスイッチ47、掻込み指令スイッチ50が備えられる箇所は、主変速レバー24や副変速レバー20等の各レバーが備えられる箇所よりも運転座席側に向けて立ち上がる斜め姿勢に形成され、操作し易いように構成されている。
【0055】
又、側部パネル36の前部に位置する縦向きパネル部36Aには、種々の情報を表示するための表示装置F、作業開始指令および作業停止指令を指令する手動操作式の作業指令手段としての作業指令スイッチ25、刈取作業を実行することが可能な状態であることを報知する報知手段(表示部)としての点灯式の表示ランプ54が備えられている。
図6に示すように、作業指令スイッチ25は表示装置Fの下方側に位置する状態で設けられ、表示ランプ54が表示装置Fの上方側における縦向きパネル36Aの前端部に位置する状態で設けられている。このようにして、刈取作業に伴って機体前方を目視する運転者が表示ランプ54の点灯状態を目視し易くなるように構成されている。
【0056】
図5に示すように、表示装置Fは、エンジン回転数及びエンジン10の稼動時間を累積した累積稼動時間を表示する液晶表示式の情報表示部80と、各種の異常状態を報知する報知表示部81とを備えて構成されている。
つまり、情報表示部80は、左側に図示しない燃料タンク内の燃料貯留量を表示する燃料表示部82が備えられ、右側にエンジン10の冷却水の温度を表示する水温表示部83が備えられ、左右中央部にエンジン回転数及び累積稼動時間を表示する数値表示部84が備えられている。又、数値表示部84の上側には、数値表示部84にて表示しているのが累積稼動時間であることを模様で示す時間表示識別部85と、数値表示部84にて表示しているのがエンジン回転数であることを模様で示す回転数表示識別部86とを備えて構成されている。数値表示部84は、4桁の数字を表示する4つの数字と小数点を表示するように構成されている。
【0057】
前記報知表示部81には、エンジン10の負荷が過大であることを報知する報知手段としての負荷異常ランプ87、穀粒タンク6の穀粒の貯留量が満杯になっていることを表示する貯留量満杯ランプ88、排ワラ搬送経路中にて排ワラ詰まりが発生していることを表示する排ワラ異常ランプ89、脱穀装置5内の2番回収部にて搬送詰まりが発生していることを表示する2番回収部異常ランプ90、エンジン10の潤滑用に供給されるオイルの圧力が低下している状態であることを表示する油圧異常ランプ91、バッテリーV(図3参照)の充電量が少ない状態であることを表示するバッテリー異常ランプ92、前照灯(図示しない)の点灯作動が指令されていることを表示する前照灯表示ランプ93、図示しない方向指示器にて左右いずれかの方向指示ランプの点灯が指令されていることを表示する方向指示表示ランプ94が備えられている。
【0058】
図2及び図7に示すように、脱穀クラッチ14は、エンジン10の出力軸10aと脱穀装置5の入力軸5bとにわたって巻回された伝動ベルト14aと、テンションアーム14bとを備えて構成されている。刈取クラッチ17は、刈取用出力軸16と刈取処理装置4の入力軸4fとにわたって巻回された伝動ベルト17aと、テンションアーム17bとを備えて構成されている。
【0059】
そして、脱穀クラッチ14と刈取クラッチ17とは、テンションアーム14b,17bがクラッチ入り姿勢に揺動操作されると、このテンションアーム14b,17bがこれの遊端部に設けてあるテンション輪体14c,17cによって伝動ベルト14a,17aを緊張状態に押圧操作することによって入り状態に切り換わり、テンションアーム14b,17bがクラッチ切り姿勢に揺動操作されると、このテンションアーム14b,17bが伝動ベルト14a,17aの緊張操作を解除することによって切り状態に切り換わる、いわゆる、ベルトテンションクラッチになっている。
【0060】
図7〜図12に示すように、刈取クラッチ17及び脱穀クラッチ14の切り換え操作及び調速装置63の切り換え操作を行う切換操作用駆動手段としての切換操作用の電動モータ22が設けられている。つまり、単一の電動モータ22にて、脱穀クラッチ14、刈取クラッチ17、及び、調速装置63を自動で切り換え操作するように構成されている。
【0061】
説明を加えると、切換操作用の電動モータ22の回動操作に伴って、調速装置63の速度調整レバー64、刈取クラッチ17、脱穀クラッチ14の夫々を連動操作すべく、電動モータ22と脱穀クラッチ14及び刈取クラッチ17とを連動連係するクラッチ切り換え部23、及び、電動モータ22と調速装置63とを連動連係するアクセル操作部Gを備えて構成されている。
【0062】
次に、クラッチ切り換え部23について説明する。
図7〜図10に示すように、クラッチ切り換え部23は、電動モータ22を取り付けた支持枠30が備えるボス部30a(図12参照)に回転自在に支持されたアーム形の脱穀クラッチ操作体31と、この脱穀クラッチ操作体31を脱穀クラッチ14のテンションアーム14bに連動させている脱穀クラッチ連動機構32と、前記ボス部30aに回転自在に支持されたアーム形の刈取クラッチ操作体33と、この刈取クラッチ操作体33を刈取クラッチ17のテンションアーム17bに連動させている刈取クラッチ連動機構34とを備えている。脱穀クラッチ操作体31と刈取クラッチ操作体33とは、前記ボス部30aに回転自在に支持された一本の回転支軸37に一体回転自在に連結されている。支持枠30は、側部パネル36の下方に配置した操縦部フレーム(図示せず)に取り付けられている。
【0063】
電動モータ22は、電動モータ本体22aと、この電動モータ本体22aに連結された減速出力ケース22bと、この減速出力ケース22bに回転自在に支持された出力ギヤ22cとを備えている。減速出力ケース22bは、電動モータ本体22aの出力をケース内のギヤ減速機構(図示せず)によって出力ギヤ22cに伝達する。
【0064】
脱穀クラッチ操作体31と刈取クラッチ操作体33とを備えた回転支軸37は、これの一端部に一体回転自在に設けた扇形ギヤ38を備えている。扇形ギヤ38は、出力ギヤ22cに噛み合っており、電動モータ22によって正回転方向に回転駆動されて回転支軸37を回転操作することにより、脱穀クラッチ操作体31と刈取クラッチ操作体33とを回転支軸37の軸芯まわりに一体に正回転方向に回転操作する。扇形ギヤ38は、電動モータ22によって逆回転方向に回転駆動されて回転支軸37を回転操作することにより、脱穀クラッチ操作体31と刈取クラッチ操作体33とを回転支軸37の軸芯まわりに一体に逆回転方向に回転操作する。
【0065】
脱穀クラッチ連動機構32は、脱穀クラッチ操作体31の遊端部に一端側が連結された連動杆32aと、この連動杆32aの他端側をテンションアーム14aに一体成形して設けた操作用アーム部14dに連結する連動スプリング32bとを備えて構成されている。前記連動杆32aと脱穀クラッチ操作体31とは、連結ピン31aを介して相対回転自在に連結している。
【0066】
刈取クラッチ連動機構34は、刈取クラッチ操作体33の遊端部に一端側が連結された連動杆34aと、この連動杆34aの他端側を前記テンションアーム17bに連結している連動スプリング34bとを備えて構成されている。前記連動杆34aと刈取クラッチ操作体33とは、連結ピン33aを介して相対回転自在に連結している。
また、この刈取クラッチ連動機構34は、前記連動スプリング34bとテンションアーム17bとにわたって設けた融通付き連動部39を備えている。この融通付き連動部39は、連動スプリング34bの端部34cをフック形に形成することによって連動スプリング34bに設けた長溝34dと、この長溝34dに摺動自在に係入した状態でテンションアーム17bに設けた連動ピン40とを備えて構成してあり、そして、刈取クラッチ操作体33の操作位置により、連動ピン40が長溝34dの内部を移動して連動スプリング34bと連動ピン40とを相対移動させる融通状態と、連動ピン40が長溝34d内の端部に位置して連動スプリング34bに当接することによって連動スプリング34bと連動ピン40とを一体移動させる融通解除状態とに切り換わるようになっている。
【0067】
図7は、クラッチ切り換え部23の脱穀クラッチ14と刈取クラッチ17とを切り操作した状態での側面図であり、図8は、クラッチ切り換え部23の脱穀クラッチ14を入り操作し、刈取クラッチ17を切り操作した状態での側面図であり、図9は、クラッチ切り換え部23の脱穀クラッチ14と刈取クラッチ17とを入り操作した状態での側面図であり、図10は、脱穀クラッチ操作体31と刈取クラッチ操作体33との操作域を示す説明図である。
【0068】
これらの図に示すように、脱穀クラッチ操作体31と刈取クラッチ操作体33とは、電動モータ22によって扇形ギヤ38が回転操作されることにより、正回転方向Xと逆回転方向Yとに回転支軸37の軸心周りに一体的に回転操作されることになり、この回転操作により、脱穀クラッチ14と刈取クラッチ17とがともに切り状態となるクラッチ切り位置U1、脱穀クラッチ14が入り状態となり且つ刈取クラッチ17が切り状態となる脱穀クラッチ入り位置U2、及び、脱穀クラッチ14と刈取クラッチ17とがともに入り状態となる刈取クラッチ入り位置U3に回転されることになる。
【0069】
説明を加えると、脱穀クラッチ入り位置U2は、脱穀クラッチ操作体31のデッドポイントDに対して、クラッチ切り位置U1が存在する側に寄った位置にある。脱穀クラッチ操作体31のデッドポイントDは、脱穀クラッチ操作体31の操作位置のうち、脱穀クラッチ操作体31による脱穀クラッチ連動機構32の引っ張り操作ストロークが最大となる操作位置に対応する。
【0070】
脱穀クラッチ操作体31がクラッチ切り位置U1に操作されると、脱穀クラッチ連動機構32は、脱穀クラッチ操作体31による引張り操作が解除されてテンションアーム14bをクラッチ切り姿勢に操作する(図7参照。)。このとき、刈取クラッチ操作体33もクラッチ切り位置U1に位置し、刈取クラッチ連動機構34は、刈取クラッチ操作体33による引張り操作が解除されてテンションアーム17bをクラッチ切り姿勢に操作する。
【0071】
脱穀クラッチ操作体31がクラッチ切り位置U1から正回転方向Xに回転操作されると、これに伴って脱穀クラッチ操作体31は、デッドポイントDの手前の脱穀クラッチ入り位置U2に位置する(図8参照。)。このとき、脱穀クラッチ連動機構32は、脱穀クラッチ操作体31による引張り操作のためにテンションアーム14bをクラッチ入り姿勢に操作し、刈取クラッチ連動機構34は、テンションアーム17bをクラッチ切り姿勢に操作している。
【0072】
脱穀クラッチ操作体31が更に正回転方向に回転操作されると、脱穀クラッチ操作体31は、デッドポイントDを超える(図9参照。)。このとき、脱穀クラッチ連動機構32は、脱穀クラッチ操作体31による引張り操作のためにテンションアーム14bをクラッチ入り姿勢に維持し、刈取クラッチ連動機構34は、刈取クラッチ操作体33による引張り操作のためにテンションアーム17bをクラッチ入り姿勢に操作する。
【0073】
脱穀クラッチ操作体31と刈取クラッチ操作体33とがクラッチ切り位置U1から脱穀クラッチ入り位置U2に向けて正回転方向Xに回転操作される際、融通付き連動部39が融通状態にあり、脱穀クラッチ操作体31と刈取クラッチ操作体33とが脱穀クラッチ入り位置U2から刈取クラッチ入り位置U3に回転操作される際に、融通付き連動部39が融通解除状態に切り換わる。
【0074】
図11に示すように、アクセル操作部Gは、側部パネル36に配置されたアクセル操作具60及び電動モータ22によって調速装置63を操作して、エンジン10の回転速度を調速するように構成されている。
【0075】
説明を加えると、図12にも示すように、アクセル操作具60の基部が、支持枠30に支持された支軸61に回転自在に外嵌支持され、その支軸61に摩擦板68aが外嵌され、回転支軸37の一端側に揺動操作体69が支持され、支軸61の一端部に操作部70が設けられている。
アクセル操作具60は、支軸61の軸芯まわりに揺動操作するように支持されており、その基部には一体形成した出力アーム部60aを備えている。この出力アーム部60aは、スプリング66とアクセルケーブル62とを介して、エンジン10に設けられた調速装置63の調速アーム64に連動されている。
摩擦板68aは、取り付けネジ71による締め付けと皿バネ68bによってアクセル操作具60の基部に圧接されて、アクセル操作具60に摩擦抵抗を付与する。
【0076】
揺動操作体69は、回転支軸37に設けた小判形部37aに取り付け筒部69aによって一体回動自在に連結されている。つまり、揺動操作体69は、回転支軸37を介して脱穀クラッチ操作体31に一体揺動自在に連動している。
【0077】
操作部70は、アクセル操作具60及び揺動操作体69とは別体に構成して支軸61に遊転自在に支持された板体によって構成されており、支軸61の軸芯まわりにアクセル操作具60と相対揺動する。この操作部70は、これの遊端部に支軸72を介して遊転自在に取り付けたローラ73によって形成された受動部70aと伝動部70bとを備えている。ローラ73は、支持枠30に設けた円弧形の長孔74に沿って移動するよう長孔74を挿通している。
【0078】
前記受動部70aは、前記揺動操作体69の端部69bに当接して前記揺動操作体69による操作力を受け、操作部70を支軸61の軸芯まわりに揺動させる。前記伝動部70bは、前記アクセル操作具60の前記出力アーム部60aに当接し、操作部70によるアクセル操作具60の増速方向への押圧揺動操作を可能にする。
【0079】
図13にも示すように、前記操作部70は、これの基部に一体成形されたバネ受け部70cを備えている。操作部70は、バネ受け部70cに作用する巻きバネ75によって、図14(c),(d)に示す待機位置Tに揺動付勢される。
すなわち、図12に示すように、前記巻きバネ75は、前記支軸61に装着されている。そして、前記巻きバネ75の一対の端部75a,75aは、前記バネ受け部70cと、前記支持枠30に設けられた軸状のバネストッパ76とを挟むように配置されている。図14(c),(d)は、前述の如く、前記操作部70が前記待機位置Tに位置した状態を示しているが、図14(b)は、操作部70が待機位置Tから作用方向a1に揺動操作された状態を示している。
【0080】
これらの図に示すように、操作部70が待機位置Tから作用方向a1に揺動操作されると、これに伴い、操作部70のバネ受け部70cが巻きバネ75の一方の端部75aを押圧するように移動する。このとき、巻きバネ75の他方の端部75aがバネストッパ76によって受け止め支持される。操作部70が待機位置Tから解除方向b1に揺動操作されると、これに伴い、操作部70のバネ受け部70cが巻きバネ75の他方の端部75aを押圧するように移動する。このとき、巻きバネ75の一方の端部75aがバネストッパ76によって受け止め支持される。これにより、巻きバネ75は、操作部70が作用方向a1と解除方向b1とのいずれの方向に揺動操作された場合も、操作部70の回転に伴って弾性変形され、操作部70を待機位置Tに復帰させるように付勢する。
【0081】
すなわち、前記アクセル操作部Gは、人為操作によるアクセル操作具60の操作によっても、電動モータ22によるアクセル操作具60の操作によってもエンジン10の回転速度を調節するように構成されている。
説明を加えると、アクセル操作具60が人為操作されると、出力アーム部60aが支軸61の軸芯まわりに揺動してアクセルケーブル62を引っ張り操作したり緩め操作したりする。引っ張り操作されたアクセルケーブル62は、調速アーム64をこれの復元力に抗して揺動操作し、エンジン10を回転数が増加するよう調速する。緩め操作されたアクセルケーブル62は、調速アーム64をこれの前記復元力によって揺動操作し、エンジン10を回転速度が減少するよう調速する。このようにエンジン10の調速操作が行われた場合、アクセル操作具60は、摩擦板68aと皿バネ68bによる摩擦保持力によって調速アーム64の復元力に抗して任意の操作位置に保持され、エンジン10の回転数を調速された回転数に維持する。
【0082】
図11は、アクセル操作部Gのアクセル操作具60がエンジン10のアイドリング回転数に対応する設定低速位置Lに操作され、揺動操作体69がクラッチ切り位置U1に対応する位置に操作された状態での側面図である。図14(a),(b)は、揺動操作体69がクラッチ入り位置U1に対応する位置から脱穀クラッチ入り位置U2に対応する位置に操作される過程での側面図であり、図14(c)は、アクセル操作部Gの揺動操作体69が刈取クラッチ入り位置U3に対応する位置に操作された状態での側面図であり、さらに、図14(d)は、アクセル操作部Gの揺動操作体69がクラッチ切り位置U1に対応する位置に戻し操作された状態での側面図である。
【0083】
これらの図に示すように、電動モータ22が脱穀クラッチ14を入り状態に切り換えるよう脱穀クラッチ操作体31を揺動操作すると、この脱穀クラッチ操作体31が回転支軸37を介して揺動操作体69をクラッチ切り位置U1に対応する位置から正回転方向a2に揺動操作する。揺動操作体69の揺動に伴い、揺動操作体69の端部69bが待機位置Tに位置している操作部70の受動部70aに当接する。すると、受動部70aが揺動操作体69の操作力を受け、操作部70が待機位置Tから作用方向a1に揺動する。このとき、アクセル操作具60が定格回転状態に対応する設定高速位置H以外の位置にあると、例えば、エンジン10の回転数がアイドリンク回転数になっていると、操作部70の伝動部70bがアクセル操作具60の出力アーム部60aに当接する。すると、操作部70が伝動部70bによってアクセル操作具60を押圧して移動操作する。これにより、アクセル操作部Gが作動してエンジン10を増速側に調速する。
【0084】
揺動操作体69が脱穀クラッチ入り位置U2に対応する位置に至るに伴って、操作部70がアクセル操作具60をエンジン10が定格回転数で回転する定格回転状態に対応する設定高速位置Hに操作する。アクセル操作具60が設定高速位置Hに至った後、操作部70の受動部70aが揺動操作体69の端部69bから離間し、電動モータ22が刈取クラッチ17を入り操作するために更に回動して揺動操作体69が刈取クラッチ入り位置U3に対応する位置に揺動しても、操作部70によるアクセル操作具60の移動操作が行われず、アクセル操作具60は、設定高速位置Hに摩擦板68によって保持され、エンジン10は、アクセル操作具60の設定高速位置Hに対応した定格回転数で回転する。
【0085】
エンジン10が定格回転数で回転する状態になった後、揺動操作体69の端部69bが操作部70の受動部70aから外れ、操作部70が巻きバネ75による揺動付勢によって待機位置Tに復帰する。すると、アクセル操作具60は、操作部70と揺動操作体69とによる揺動規制を受けない状態になる。
【0086】
エンジン10が定格回転数で回転する状態に調速された後、電動モータ22が刈取クラッチ17を切り状態に操作するよう刈取クラッチ操作体33を揺動操作すると、揺動操作体69が脱穀クラッチ操作体31と共に逆回転方向b2に揺動する。すると、揺動操作体69の端部69bが操作部70の受動部70aから外れ、操作部70は、巻きバネ75による揺動付勢によって待機位置Tに復帰し、次に揺動操作体69が正回転方向a2に揺動操作された際、揺動操作体69の端部69bと操作部70の受動部70aとが当接するようになる。すなわち、操作部70が揺動操作体69によって作用方向a1に揺動操作されるようになる。
【0087】
電動モータ22が脱穀クラッチ14を切り状態に切り換えるよう脱穀クラッチ操作体31を揺動操作すると、揺動操作体69が逆回転方向b2にさらに揺動する。このとき、揺動操作体69の端部69bが待機位置Tに位置している操作部70の受動部70aに当接し、操作部70が待機位置Tから解除方向b1に揺動しても、操作部70がアクセル操作具60に押圧作用しない。これにより、アクセル操作具60は、設定高速位置Hに維持され、エンジン10は定格回転数で回転する状態を維持する。
【0088】
図3に示すように、制御部42には、上記したような、作業指令スイッチ25、掻込み指令スイッチ50、高さ検出用センサ51、自動操作スイッチ52の他、主変速レバー24の操作位置を検出する操作位置検出手段としての変速検出用センサ41、脱穀クラッチ操作体31の位置を検出する駆動状態検出手段としての操作体位置検出用センサ43、エンジン回転数を検出する回転数検出手段としてのエンジン回転数センサ53、及び、表示ランプ54が接続されている。
【0089】
制御部42は、キーKにて操作されるメインスイッチJが、ON位置やエンジン10のスターター55を作動させるST位置に操作されると、バッテリーVの電源が投入されて起動され、メインスイッチJがOFF位置に操作されると、電源の供給が停止されるようになっている。そして、メインスイッチJがON位置に操作されて電源が供給されたときには、後述する各種の制御を実行し、また、メインスイッチJがST位置に操作されたときには、スターター起動用スイッチ55aを入り操作して、スターター55を作動させることになる。また、制御部42は、後述の如く、表示ランプ54の作動を制御するように構成されている。
【0090】
また、制御部42には、車体操縦部Aに装備された駐車ブレーキペダル56がブレーキ作動状態に踏み込まれたことを検出するブレーキ検出センサ57が接続されており、メインスイッチJがST位置に操作されたときに、ブレーキ検出センサ57にてブレーキ作動状態であることが検出されている場合には、スターター起動用スイッチ55aを入り操作し、且つ、ブレーキ検出センサ57にてブレーキ作動状態であることが検出されない場合には、スターター起動用スイッチ55aを入り操作しないように構成されている。
【0091】
尚、詳述はしないが、駐車ブレーキペダル56は、ミッションケース12内に装備した駐車ブレーキにリンク機構を介して連係されるものであって、上述の如く、踏み込まれることにより駐車ブレーキを作動状態に操作するように構成され、且つ、主変速レバー24を中立位置Nに操作する操作機構に連係されて、踏み込まれることにより主変速レバー24を中立位置Nに操作するように構成されている。さらに、この駐車ブレーキペダル56は、踏み込み解除側に復帰付勢されるとともに、踏み込み位置を保持する保持具にて踏み込み位置に保持されるように構成されている。
【0092】
さらに、制御部42には、刈取昇降指令用センサ95、及び、操向指令用センサ96が接続されている。これら刈取昇降指令用サンサ95及び操向指令用センサ96は、車体操縦部Aの運転座席2の前方に設けた操縦レバー18にて操作される、つまり、操縦レバー18の操作位置を検出するようになっている。
【0093】
説明を加えると、操縦レバー18が前後方向並びに左右方向に揺動操作されるようになっており、操縦レバー18が中立操作位置nから前方に揺動されると刈取昇降指令用センサ95が下降指令を指令し、操縦レバー18が中立操作位置nから後方前方に揺動されると刈取昇降指令用センサ95が上昇指令を指令するように構成され、そして、操縦レバー18が中立操作位置nから左方に揺動されると操向指令用センサ96が左旋回指令を指令し、操縦レバー18が中立操作位置nから右方に揺動されると操向指令用センサ96が右旋回指令を指令するように構成されている。
そして、制御部42は、刈取昇降指令用センサ95からの上昇指令及び下降指令に基づいて油圧シリンダ7の制御弁7Aを操作して油圧シリンダ7を作動させることにより、刈取処理装置4を昇降させることになり、また、操向指令用センサ18Bの左旋回指令及び右旋回指令に基づいて制御弁97R,97Lを操作して油圧ピストン27R,27Lを作動させることにより、左旋回や右旋回を行わせるようになっている。
【0094】
制御部42は、作業指令スイッチ25の指令、掻込み指令スイッチ50の指令、自動操作スイッチ52の指令、高さ検出用センサ51の検出情報、変速検出用センサ41の検出情報、操作体位置検出用センサ43の検出情報、エンジン回転数センサ53の検出情報に基づいて、後述する制御作動を実行すべく、電動モータ22の駆動回路22Aに正転指令及び逆転指令を指令して電動モータ22を作動させ、油圧シリンダ7の制御弁7Aに上昇指令及び下降指令を指令して油圧シリンダ7を作動させ、さらに、表示ランプ54の点灯駆動回路54Aに点灯指令及び消灯指令を指令して表示ランプ54を作動させるように構成されている。
【0095】
前記作業指令スイッチ25の指令について説明を加えると、この作業指令スイッチ25は、ランプ付きロック無しスイッチにて構成され、スイッチランプ25Aを内装しており、押し操作される毎に作業開始を指令するON状態と作業停止を指令するOFF状態とに切り換わり、且つ、ON状態に切り換わっているときは、内装するスイッチランプ25Aが点灯し、OFF状態に切り換わっているときは、内装するスイッチランプ25Aが消灯するように、制御部42にて作動が制御される。
【0096】
そして、制御部42は、作業指令スイッチ25にて作業開始指令が指令されたのち、エンジン回転数センサ53にて検出されるエンジン回転数が定格回転数であり且つ操作体位置検出用センサ43にて脱穀装置5がエンジン10の出力にて駆動されている駆動状態すなわち、脱穀クラッチ14が入り状態に操作されている状態であることが検出されると、表示ランプ54を点灯作動させるように構成されている。
【0097】
又、制御部42は、表示ランプ54を点灯作動させている状態において、エンジン回転数が設定回転数を下回ると表示ランプ54を点滅作動させるように構成され、エンジン回転数が設定回転数よりも低く設定されている下限回転数を下回ると表示ランプ54を消灯させるように構成され、且つ、エンジン回転数が下限回転数を下回ることにより表示ランプ54を消灯させるときに、報知表示部24におけるエンジン10の負荷異常を表示する負荷異常ランプ87を点滅作動させるように構成されている。
【0098】
さらに、制御部42は、作業指令スイッチ25にて作業開始指令が指令されて、エンジン10が定格回転状態であり且つ脱穀クラッチ14が入り状態であるときに、運転操作状態検出手段に相当する変速検出用センサ41の検出情報に基づいて、主変速レバー24が前進走行用操作位置でかつ設定速度以上の高速側に操作されると、刈取作業開始条件が満たされたと判別して、刈取クラッチ17を入り状態にし、かつ、上記刈取作業開始条件が満たされていないことを判別すると刈取クラッチ17を切り状態にすべく、電動モータ22の作動を制御するように構成されている。
【0099】
次に、制御部42の制御作動についてフローチャートに基づいて説明する。
図15及び図16に示すように、メインスイッチJにより電源が投入されて起動されると、操作体位置検出用センサ43の検出情報に基づいて、脱穀クラッチ14が入り状態であるか否かが判断され(♯1)、入り状態であるときには、「脱穀クラッチ切り」の制御を実行する(♯2)。
この「脱穀クラッチ切り」の制御は、操作体位置検出用センサ43の検出情報に基づいて、電動モータ22が脱穀クラッチ操作体31をクラッチ切り位置U1に操作し、脱穀クラッチ連動機構32を介して脱穀クラッチ14を切り状態に操作することになり、これと同時、電動モータ22が刈取クラッチ操作体33をクラッチ切り位置U1に操作し、刈取クラッチ連動機構34を介して刈取クラッチ17を切り状態に操作することになる。
【0100】
次に、エンジン10が始動された否かが判断され(#3)、始動されていないときにはメインスイッチJがOFF位置に操作された否かが判断される(#4)。
ちなみに、エンジン10の始動は、上述した如く、メインスイッチJがST位置に操作されたときに、ブレーキ検出センサ57にてブレーキ作動状態であることが検出されている場合に、制御部42がスターター起動用スイッチ55aを入り操作することにより行なわれることになり、エンジン回転数センサ53にて検出される設定回転数以上になることにより、エンジン10が始動したと判断される。
【0101】
エンジン10が始動され、作業指令スイッチ25がON状態に切り換わり作業開始指令が指令されると(#5)、スイッチランプ25Aを点灯して(#6)、「脱穀クラッチ入り」の制御を実行する(#7)。この「脱穀クラッチ入り」の制御は、操作体位置検出用センサ43の検出情報に基づいて、脱穀クラッチ14を入り状態に切り換えるように、脱穀クラッチ操作体31を脱穀クラッチ入り位置U2に揺動操作すべく電動モータ22を作動させる。
【0102】
ところで、このような脱穀クラッチ入り操作と同時に、電動モータ22が刈取クラッチ操作体33を操作し、刈取クラッチ連動機構34を介して刈取クラッチ17を切り状態ではあるものの入り状態に近くなる状態に操作することになる。
【0103】
さらに、脱穀クラッチ操作体31が脱穀クラッチ入り位置U2に揺動操作される際、アクセル操作具60が設定低速位置Lに位置していると、アクセル操作部Gの操作によってエンジン10が定格回転数に操作されることになる。つまり、脱穀クラッチ操作体31と共に揺動する揺動操作体69の端部69bが、待機位置Tに位置する操作部70の受動部70aに当接し、揺動操作体69が操作部70を作用方向a1に揺動操作する。すると、操作部70の伝動部70bがアクセル操作具60の出力アーム部60aに当接し、操作部70がアクセル操作具60を揺動操作する。これにより、アクセル操作部Gが作動して調速装置63を増速側に操作する。アクセル操作具60が設定高速位置Hになると、揺動操作体69が操作部70から外れ、摩擦板68がアクセル操作具60を設定高速位置Hに保持する。これにより、エンジン10がアクセル操作具60の設定高速位置Hに対応した定格回転数になる。
【0104】
そして、操作体位置検出用センサ43にて、脱穀クラッチ操作体31が脱穀クラッチ入り位置U2に揺動操作されたことが検出され、且つ、エンジン回転数センサ53にて検出されるエンジン回転数が定格回転数になっていることが検出されると、「脱穀クラッチ入り」の制御を終了して表示ランプ54を点灯状態に切り換える(#8,#9,#10)。尚、脱穀クラッチ入り操作が終了するまでに作業指令スイッチ25がOFF状態に切り換えられると(♯11)、スイッチランプ25Aを消灯して(#28)、「脱穀クラッチ切り」の制御を実行し(#29)、表示ランプ54を消灯する(#30)。
【0105】
ちなみに、操作部70がアクセル操作具60を設定高速位置Hに操作した後、揺動操作体69の端部69bが操作部70の受動部70aから外れ、操作部70が待機位置Tに復帰してアクセル操作具60の出力アーム部60aと離間し、また、揺動操作体69が操作部70と離間することになる。したがって、アクセル操作具60は、操作部70と揺動操作体69とによる揺動規制を受けず、設定高速位置Hから減速側に人為操作できる状態になる。
【0106】
加えて、エンジン10が定格回転数に操作された後、脱穀装置5を停止させても、エンジン回転数は定格回転数に維持されることになる。つまり、アクセル操作具60が設定高速位置Hに位置している状態で、電動モータ22が脱穀クラッチ操作体31及び刈取クラッチ操作体33をクラッチ切り位置U1に操作すると、揺動操作体69が脱穀クラッチ操作体31と共に揺動して解除方向b2に揺動する。これに伴って揺動操作体69の端部69bが待機位置Tに位置している操作部70の受動部70aに当接して揺動操作体69が操作部70を揺動操作しても、操作部70は、解除方向b1に揺動してアクセル操作具60に押圧作用しない。これにより、アクセル操作具60が摩擦板68によって設定高速位置Hに保持され、エンジン10は、アクセル操作具60の設定高速位置Hに対応した定格回転数を維持する。
【0107】
次に、変速検出用センサ41の検出情報に基づいて、前進操作域Fにおけるクラッチ入り判別用設定位置P1よりも高速側に主変速レバー24が位置する前進走行状態であるか否か(主変速レバー24が前進側でかつ設定速度以上の高速側の範囲にあるか否か)、つまり、刈取クラッチ入り操作域に操作されているか否かが判断され(#12)、主変速レバー24が刈取クラッチ入り操作域でないときには、前進操作域Fにおけるクラッチ入り判別用設定位置P1よりも低速側に定めたクラッチ切り判別用設定位置P2に対して前記主変速レバー24が低速側に位置する走行中立状態であるか及び後進操作域Rに主変速レバー24が位置するか、つまり、主変速レバー24が刈取クラッチ切り操作域に操作されているか否かが判断される(#17)。
【0108】
主変速レバー24が刈取クラッチ入り操作域に操作されている場合、自動操作スイッチ52にて自動操作指令(刈取オートクラッチの入り)が指令されていなければ、直ちに、「刈取クラッチ入り」の制御が行われる(#13,#14)。つまり、操作体位置検出用センサ43の検出情報に基づいて、電動モータ22により脱穀クラッチ操作体31を刈取クラッチ入り位置U3に操作し、脱穀クラッチ連動機構32を介して脱穀クラッチ14を入り状態に継続して操作することになり、これと同時、電動モータ22により刈取クラッチ操作体33を刈取クラッチ入り位置U3に操作し、刈取クラッチ連動機構34を介して刈取クラッチ17を入り状態操作することになる。
【0109】
自動操作スイッチ52にて自動操作指令(刈取オートクラッチの入り)が指令されているときは、高さ検出用センサ51の検出情報に基づいて、刈取処理装置4の高さが設定高さよりも低いと判断されると、前記「刈取クラッチ入り」の制御を実行し、刈取処理装置4の高さが設定高さ以上であると、「刈取クラッチ切り」の制御を実行する(#13,♯15,#16)。
【0110】
この「刈取クラッチ切り」の制御は、操作体位置検出用センサ43の検出情報に基づいて、電動モータ22が脱穀クラッチ操作体31を脱穀クラッチ入り位置U2に操作し、脱穀クラッチ連動機構32を介して脱穀クラッチ14を入り状態に維持する状態に操作することになり、これと同時、電動モータ22が刈取クラッチ操作体33を脱穀クラッチ入り位置U2に操作し、刈取クラッチ連動機構34を介して刈取クラッチ17を切り状態に操作することになる。
【0111】
主変速レバー24が刈取クラッチ切り操作域に操作されているときは、変速検出用センサ41の検出情報に基づいて主変速レバー24が中立位置Nでないことが判別される(#18)ときや、主変速レバー24が中立位置Nであっても、掻込み指令スイッチ50が刈取クラッチ17の入り操作指令を指令するON状態でないときは(#19)、「刈取クラッチ切り」の制御が実行され(#20)、主変速レバー24が中立位置Nであり、掻込み指令スイッチ50がON状態であれば、「刈取クラッチ入り」の制御を実行する(#18,#19,#14)。
【0112】
「刈取クラッチ入り」の制御が行われて、刈取作業が行われているときに、エンジン回転数検出センサ53にて検出されるエンジン回転数が予め設定されている設定回転数以下に低下しているが、その設定回転数よりも低く設定された下限回転数までは低下していないときには、表示ランプ54を点滅作動させる(#21〜23)。
【0113】
前記設定回転数について説明を加えると、脱穀装置5内に刈取穀稈が存在しない状態で脱穀装置5を駆動しながら走行している状態、具体的には、刈取処理装置4に備えられた株元センサ(図示せず)にて刈取穀稈が検出され始めたときのエンジン回転数を無負荷回転数として設定しておき、その無負荷回転数から第1設定量低い回転数が前記設定回転数として設定される。
【0114】
前記下限回転数は、無負荷回転数から第1設定量よりも大きい第2設定量低い回転数が設定されるが、エンジン回転数が下限回転数にまで低下する状態では、エンジン10に掛かる負荷が過大であり、このまま刈取作業を継続するとエンストを起すおそれがある。
そこで、エンジン回転数が下限回転数以下にまで低下しているときには、表示ランプ54を消灯して、報知表示部81における負荷異常ランプ87を点滅作動させて異常を報知する(#25,#26)。そして、このような状態が設定時間以上継続すると、これ以上作業を継続できないので処理を終了して異常報知状態を維持する(#27)。
【0115】
作業指令スイッチ25がOFF状態に切り換えられると、スイッチランプ25Aを消灯して、「脱穀クラッチ切り」の制御を実行する(#24、#28、#29)。すなわち、電動モータ22が脱穀クラッチ操作体31をクラッチ切り位置U1に操作して、脱穀クラッチ連動機構32を介して脱穀クラッチ14を切り状態に操作すると同時、電動モータ22が刈取クラッチ操作体33をクラッチ切り位置U1に操作し、刈取クラッチ連動機構34を介して刈取クラッチ17を切り状態に操作する。
そして、表示ランプ54を消灯させ(#30)、メインスイッチJがOFF位置に操作されると処理を終了する(#31)。
【0116】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、刈取クラッチ17及び脱穀クラッチ14(作業クラッチ)の切り換え操作に加えて調速装置63(アクセル装置)の切り換え操作をも切換操作用駆動手段としての1つの切換操作用モータ22にて行うようにしたが、刈取クラッチ17、脱穀クラッチ14、調速装置63(アクセル装置)の切り換え操作を夫々各別にアクチュエータ(例えば電動モータ等)により行うように構成してもよい。
【0117】
(2)前記切換操作用駆動手段としての切換操作用モータ22を設けないで、図17に示すように、刈取クラッチ17、脱穀クラッチ14(作業クラッチ)、調速装置63(アクセル装置)を手動で切り換えるように構成するものでもよい。
【0118】
すなわち、刈取クラッチ17及び脱穀クラッチ14(作業クラッチ)が、手動操作に基づいて前記入り状態と前記切り状態とに切り換え自在に構成され、且つ、調速装置63(アクセル装置)が、手動操作に基づいてエンジンの出力を変更調整自在に構成される。つまり、手動操作式の刈取クラッチレバー17Aの操作により刈取クラッチ17が入り切り操作され、手動操作式の脱穀クラッチレバー14Aの操作により脱穀クラッチ14が入り切り操作され、手動操作式のアクセル操作具60の操作により調速装置63にてエンジン10の出力を変更調整自在に構成されるものである。
【0119】
又、エンジン10の出力が脱穀装置5に伝達されている駆動状態であるか否かを検出する駆動状態検出手段43として、刈取クラッチレバー14Aがクラッチ入り位置に操作されたことを検出する刈取レバーセンサS1と、脱穀クラッチレバー17Aがクラッチ入り位置に操作されたことを検出する脱穀レバーセンサS2とを備え、且つ、制御部42が、エンジン回転数検センサ53にて検出されるエンジン回転数が定格回転数であり且つ刈取レバーセンサS1と脱穀レバーセンサS2とが夫々クラッチ入り位置を検出すると、表示ランプ54(報知手段)を作動させる。
すなわち、駆動状態検出手段43が、エンジン10の出力が脱穀装置5及び刈取処理装置4に伝達されている状態を駆動状態として検出する構成である。
【0120】
さらに、別の実施形態として、刈取クラッチ17、脱穀クラッチ14(作業クラッチ)、調速装置63(アクセル装置)を手動で切り換えるものにおいて、駆動状態検出手段43が、脱穀装置5に対する動力伝達だけを検出する構成として、脱穀クラッチ14が入り状態でありエンジン回転数が定格回転数であれば、表示ランプ54(報知手段)が報知作動するように構成するものでもよい。
このような構成は、例えば、圃場の枕地で手作業で刈取った穀稈を、コンバインを走行停止させ、且つ、刈取処理部4の作動を停止させている状態で、脱穀フィードチェーン5aの始端部に手作業で刈取穀稈を投入して脱穀処理を行う枕扱き作業を行うような場合に好適に用いることができる。
【0121】
(3)上記実施形態では、表示ランプ54の作動形態の変更として、点灯作動から点滅作動に変更する例を示したが、点滅作動から点灯作動に変更するものであってもよく、点滅作動の点滅時間の間隔を変更するもの等、様々のものを採用できる。
【0122】
(4)上記実施形態では、表示ランプ54を点灯作動させている状態において、エンジン回転数が設定回転数以下になると表示ランプ54を点滅作動させるようにしたが、エンジン回転数が設定回転数以下になっても表示ランプ54を点灯させる構成としてもよい。
【0123】
(5)上記実施形態では、エンジン回転数が下限回転数以下になると、表示ランプ54を消灯させるとともに、過負荷状態報知手段としての負荷異常ランプ87を点滅作動させるようにしたが、エンジン回転数が下限回転数以下になっても表示ランプ54を点灯させるか又は点滅させる構成としてもよく、又、過負荷状態報知手段として、負荷異常ランプ87に代えて、あるいは、負荷異常ランプ87に加えてブザーで報知させる構成としてもよい。この場合においても、表示ランプ54と同様に、この場合、過負荷状態報知手段の作動形態として、音を連続的に鳴らしたり、間欠的に鳴らしたり、音声の内容(例えば、「エンジン負荷が過大です。」)を変更したりするもの等様々のものを採用できる。
【0124】
(6)上記実施形態では、作業指令スイッチ25が表示装置Fの下方側に位置する状態で設けられ、表示ランプ54が表示装置Fの上方側に位置する状態で設けられる構成としたが、このような構成に代えて、例えば、図18に示すように、作業指令スイッチ25と表示ランプ54とを共に表示装置Fの上方側に位置する状態で且つ左右両側に並ぶ状態で設けるようにしてもよく、その配置構成は種々変更して実施してもよい。
【0125】
(7)上記実施形態では、報知手段として表示ランプを採用した例を示したが、報知手段として、液晶表示などに文字情報や画像情報等を用いて表示するものや、音や音声によって報知するものでもよい。この場合、報知手段の作動形態として、音を連続的に鳴らしたり、間欠的に鳴らしたり、音声の内容(例えば、「作業開始可能です。」)を変更したりするもの等様々のものを採用できる。
【0126】
(8)上記実施形態では、操作体位置検出用センサ43の検出情報に基づいて、エンジン10の出力が脱穀装置5に伝達している駆動状態であるか否かを検出するようにしたが、このような構成に代えて、脱穀装置5における2番物回収用スクリューコンベア(図示せず)の回転速度を検出する2番回転センサの検出情報に基づいて、エンジン10の出力が脱穀装置5に伝達している駆動状態であるか否かを検出する構成としてもよく、又、クラッチアーム17aの位置を直接検出するセンサを用いる等、種々の検出手段を用いることができる。
【0127】
(9)上記実施形態では、刈取作業開始条件として、主変速レバー24が前進走行用操作位置でかつ設定速度以上の高速側に操作されると、刈取作業開始条件が満たされたと判別するようにしたが、このような条件に代えて、主変速レバー24の位置にかかわらず、掻込み指令スイッチ50が操作されると刈取作業開始条件が満たされたと判別する構成としてもよい。又、主変速レバー24の位置にかかわらず、刈取処理装置4の対機体高さが設定高さ未満であれば刈取作業開始条件が満たされたと判別する構成としてもよい。
【0128】
(10)上記実施形態では、作業車としてのコンバインにおいて脱穀クラッチ14を作業車の作業クラッチとして操作する場合に本発明を適用する場合を例示したが、例えば、耕耘ロータを備えたトラクタを作業車として、耕耘ロータの駆動を断続する駆動クラッチを作業クラッチとして操作するのに適用する等、本発明は種々の作業車の作業クラッチを操作するのに適用できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0129】
本発明は、コンバインやトラクタ等、走行装置にて車体を走行させながら作業装置にて作業を実行するように構成されている作業車に適用できる。
【符号の説明】
【0130】
1 走行装置
2 運転座席
4 刈取処理装置
5 作業装置(脱穀装置)
10 エンジン
14 作業クラッチ(脱穀クラッチ)
17 刈取クラッチ
22 切換操作用駆動手段
24 走行変速操作具
25 作業指令手段
36 側部パネル
36A パネル部
41 運転操作状態検出手段
42 制御手段
43 駆動状態検出手段
53 回転数検出手段
54 報知手段(表示ランプ)
63 アクセル手段
87 過負荷状態報知手段
A 車体操縦部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンにて駆動される走行装置と、前記エンジンにて駆動される作業装置と、前記エンジンの出力を前記作業装置に伝達する入り状態と伝達を遮断する切り状態とに切り換え自在な作業クラッチと、前記エンジンの出力を変更調整自在なアクセル手段とが備えられ、前記走行装置にて車体を走行させながら前記作業装置にて作業を実行するように構成されている作業車であって、
前記作業クラッチが手動又は自動で操作されることにより、前記エンジンの出力が前記作業装置に伝達されている駆動状態に切り換わるように構成され、且つ、前記アクセル手段が手動又は自動で操作されることにより、エンジン回転数が定格回転数になるように前記エンジンの出力を変更調整されるように構成され、
前記エンジンの回転数を検出する回転数検出手段と、前記エンジンの出力が前記作業装置に伝達されている駆動状態であるか否かを検出する駆動状態検出手段と、運転者に対する報知作動を行う報知手段と、前記報知手段の作動を制御する制御手段とが備えられ、
前記制御手段が、前記回転数検出手段にて検出されるエンジン回転数が定格回転数であり且つ前記駆動状態検出手段にて前記駆動状態であることが検出されると、報知作動を実行するように前記報知手段を制御するように構成されている作業車。
【請求項2】
前記作業クラッチ及び前記アクセル手段を自動で切り換え操作する切換操作用駆動手段と、作業開始指令を指令する手動操作式の作業指令手段とが備えられ、
前記制御手段が、前記作業指令手段にて前記作業開始指令が指令されると、前記アクセル手段を定格回転状態にし且つ前記作業クラッチを前記入り状態にすべく前記切換操作用駆動手段の作動を制御するように構成され、且つ、前記作業指令手段にて前記作業開始指令が指令されたのち、前記回転数検出手段にて検出されるエンジン回転数が定格回転数であり且つ前記駆動状態検出手段にて前記駆動状態であることが検出されると、報知作動を実行するように前記報知手段を制御するように構成されている請求項1記載の作業車。
【請求項3】
前記制御手段が、前記報知手段にて報知作動を実行している状態において、前記エンジン回転数が設定回転数以下になると前記報知手段の作動形態を変更するように構成されている請求項2記載の作業車。
【請求項4】
前記制御手段が、前記エンジン回転数が前記設定回転数よりも低く設定されている下限回転数以下になると前記報知手段の報知作動を停止させるように構成されている請求項3記載の作業車。
【請求項5】
前記エンジンの負荷が過大であることを報知する過負荷状態報知手段が備えられ、
前記制御手段が、前記エンジン回転数が前記下限回転数を下回ることにより前記報知手段の報知作動を停止させるときに、前記過負荷状態報知手段を作動させるように構成されている請求項4記載の作業車。
【請求項6】
前記制御手段が、前記作業指令手段にて作業停止指令が指令されると、前記作業クラッチを前記切り状態に操作すべく前記切換操作用駆動手段の作動を制御し、且つ、前記報知手段の報知作動を停止させるように構成されている請求項2〜5のいずれか1項に記載の作業車。
【請求項7】
前記作業装置が脱穀装置であり、
前記作業クラッチが、前記エンジンの出力を前記脱穀装置に伝達する入り状態と伝達を遮断する切り状態とに切り換え自在な脱穀クラッチであり、
刈取処理装置と、前記エンジンの出力をその刈取処理装置に伝達する入り状態と伝達を遮断する切り状態とに切り換え自在な刈取クラッチと、刈取作業開始条件が満たされているか否かを判別するための運転操作状態を検出する運転操作状態検出手段とが備えられ、
前記切換操作用駆動手段が刈取クラッチを切り換え操作するように構成され、
前記制御手段が、前記作業指令手段にて前記作業開始指令が指令されて、前記アクセル手段が定格回転状態であり且つ前記脱穀クラッチが前記入り状態であるときに、前記運転操作状態検出手段の検出情報に基づいて、前記刈取作業開始条件が満たされていることを判別すると前記刈取クラッチを入り状態にし、かつ、前記刈取作業開始条件が満たされていないことを判別すると前記刈取クラッチを切り状態にすべく、前記切換操作用駆動手段の作動を制御するように構成されている請求項2〜6のいずれか1項に記載の作業車。
【請求項8】
前記運転操作状態検出手段が、走行変速操作具の変速操作位置を検出する操作位置検出手段を備えて構成され、
前記制御手段が、前記走行変速操作具が前進走行用操作位置でかつ設定速度以上の高速側に操作されると、前記刈取作業開始条件が満たされたと判別するように構成されている請求項7記載の作業車。
【請求項9】
前記作業クラッチが、手動操作に基づいて前記入り状態と前記切り状態とに切り換え自在に構成され、且つ、前記アクセル手段が、手動操作に基づいて前記エンジンの出力を変更調整自在に構成されている請求項1記載の作業車。
【請求項10】
前記作業装置が脱穀装置であり、
前記作業クラッチが、前記エンジンの出力を前記脱穀装置に伝達する入り状態と伝達を遮断する切り状態とに切り換え自在な脱穀クラッチであり、
刈取処理装置と、手動操作に基づいて前記エンジンの出力を前記刈取処理装置に伝達する入り状態と伝達を遮断する切り状態とに切り換え自在な刈取クラッチとが備えられ、
前記駆動状態検出手段が、前記エンジンの出力が前記脱穀装置及び前記刈取処理装置に伝達されている状態を前記駆動状態として検出するように構成されている請求項9記載の作業車。
【請求項11】
車体操縦部の運転座席の横側部に設けられた側部パネルの前端部に位置するパネル部に、前記報知手段としての表示ランプが設けられている請求項1〜10のいずれか1項に記載の作業車。
【請求項1】
エンジンにて駆動される走行装置と、前記エンジンにて駆動される作業装置と、前記エンジンの出力を前記作業装置に伝達する入り状態と伝達を遮断する切り状態とに切り換え自在な作業クラッチと、前記エンジンの出力を変更調整自在なアクセル手段とが備えられ、前記走行装置にて車体を走行させながら前記作業装置にて作業を実行するように構成されている作業車であって、
前記作業クラッチが手動又は自動で操作されることにより、前記エンジンの出力が前記作業装置に伝達されている駆動状態に切り換わるように構成され、且つ、前記アクセル手段が手動又は自動で操作されることにより、エンジン回転数が定格回転数になるように前記エンジンの出力を変更調整されるように構成され、
前記エンジンの回転数を検出する回転数検出手段と、前記エンジンの出力が前記作業装置に伝達されている駆動状態であるか否かを検出する駆動状態検出手段と、運転者に対する報知作動を行う報知手段と、前記報知手段の作動を制御する制御手段とが備えられ、
前記制御手段が、前記回転数検出手段にて検出されるエンジン回転数が定格回転数であり且つ前記駆動状態検出手段にて前記駆動状態であることが検出されると、報知作動を実行するように前記報知手段を制御するように構成されている作業車。
【請求項2】
前記作業クラッチ及び前記アクセル手段を自動で切り換え操作する切換操作用駆動手段と、作業開始指令を指令する手動操作式の作業指令手段とが備えられ、
前記制御手段が、前記作業指令手段にて前記作業開始指令が指令されると、前記アクセル手段を定格回転状態にし且つ前記作業クラッチを前記入り状態にすべく前記切換操作用駆動手段の作動を制御するように構成され、且つ、前記作業指令手段にて前記作業開始指令が指令されたのち、前記回転数検出手段にて検出されるエンジン回転数が定格回転数であり且つ前記駆動状態検出手段にて前記駆動状態であることが検出されると、報知作動を実行するように前記報知手段を制御するように構成されている請求項1記載の作業車。
【請求項3】
前記制御手段が、前記報知手段にて報知作動を実行している状態において、前記エンジン回転数が設定回転数以下になると前記報知手段の作動形態を変更するように構成されている請求項2記載の作業車。
【請求項4】
前記制御手段が、前記エンジン回転数が前記設定回転数よりも低く設定されている下限回転数以下になると前記報知手段の報知作動を停止させるように構成されている請求項3記載の作業車。
【請求項5】
前記エンジンの負荷が過大であることを報知する過負荷状態報知手段が備えられ、
前記制御手段が、前記エンジン回転数が前記下限回転数を下回ることにより前記報知手段の報知作動を停止させるときに、前記過負荷状態報知手段を作動させるように構成されている請求項4記載の作業車。
【請求項6】
前記制御手段が、前記作業指令手段にて作業停止指令が指令されると、前記作業クラッチを前記切り状態に操作すべく前記切換操作用駆動手段の作動を制御し、且つ、前記報知手段の報知作動を停止させるように構成されている請求項2〜5のいずれか1項に記載の作業車。
【請求項7】
前記作業装置が脱穀装置であり、
前記作業クラッチが、前記エンジンの出力を前記脱穀装置に伝達する入り状態と伝達を遮断する切り状態とに切り換え自在な脱穀クラッチであり、
刈取処理装置と、前記エンジンの出力をその刈取処理装置に伝達する入り状態と伝達を遮断する切り状態とに切り換え自在な刈取クラッチと、刈取作業開始条件が満たされているか否かを判別するための運転操作状態を検出する運転操作状態検出手段とが備えられ、
前記切換操作用駆動手段が刈取クラッチを切り換え操作するように構成され、
前記制御手段が、前記作業指令手段にて前記作業開始指令が指令されて、前記アクセル手段が定格回転状態であり且つ前記脱穀クラッチが前記入り状態であるときに、前記運転操作状態検出手段の検出情報に基づいて、前記刈取作業開始条件が満たされていることを判別すると前記刈取クラッチを入り状態にし、かつ、前記刈取作業開始条件が満たされていないことを判別すると前記刈取クラッチを切り状態にすべく、前記切換操作用駆動手段の作動を制御するように構成されている請求項2〜6のいずれか1項に記載の作業車。
【請求項8】
前記運転操作状態検出手段が、走行変速操作具の変速操作位置を検出する操作位置検出手段を備えて構成され、
前記制御手段が、前記走行変速操作具が前進走行用操作位置でかつ設定速度以上の高速側に操作されると、前記刈取作業開始条件が満たされたと判別するように構成されている請求項7記載の作業車。
【請求項9】
前記作業クラッチが、手動操作に基づいて前記入り状態と前記切り状態とに切り換え自在に構成され、且つ、前記アクセル手段が、手動操作に基づいて前記エンジンの出力を変更調整自在に構成されている請求項1記載の作業車。
【請求項10】
前記作業装置が脱穀装置であり、
前記作業クラッチが、前記エンジンの出力を前記脱穀装置に伝達する入り状態と伝達を遮断する切り状態とに切り換え自在な脱穀クラッチであり、
刈取処理装置と、手動操作に基づいて前記エンジンの出力を前記刈取処理装置に伝達する入り状態と伝達を遮断する切り状態とに切り換え自在な刈取クラッチとが備えられ、
前記駆動状態検出手段が、前記エンジンの出力が前記脱穀装置及び前記刈取処理装置に伝達されている状態を前記駆動状態として検出するように構成されている請求項9記載の作業車。
【請求項11】
車体操縦部の運転座席の横側部に設けられた側部パネルの前端部に位置するパネル部に、前記報知手段としての表示ランプが設けられている請求項1〜10のいずれか1項に記載の作業車。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2011−244808(P2011−244808A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−241120(P2010−241120)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
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