説明

作業量モニタリングシステム

【課題】作業機械から運搬車輌への荷の過投入を確実に防止できる作業量モニタリングシステムを提供する。
【解決手段】システム端末機器および運搬車輌Bのいずれか一方より、無線通信システムCにより、作業機械Aのコントローラ6に対して運搬車輌Bへの荷の投入可能荷重値を送信して、作業機械Aの目標荷重値として設定する。コントローラ6は、作業機械Aの作業装置2の姿勢および作業装置2を支えるブームシリンダ3aに作用する圧力を検出することにより、作業装置2から運搬車輌Bに投入する荷の現在荷重値Wを演算する。コントローラ6は、運搬車輌Bに投入した荷の現在荷重値Wを積算することで積算荷重値を演算し、この積算荷重値が目標荷重値に達するときは表示装置13を通じてその状態を報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペイロードモニタリングシステムなどに適用される作業量モニタリングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベルのブームを上下方向に回動するブームシリンダのロッド圧センサ、ヘッド圧センサ、ブーム角度センサ、アーム角度センサによりバケットの中にある鉱物などの運搬物の重さを計測して表示する作業量モニタ装置がある(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−285589号公報(第4頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記モニタ装置によれば、油圧ショベルのオペレータが運搬車輌に投入された運搬物重量の積算荷重値を確認できるが、目標値の設定は正確に行なうことができない。例えば空の運搬車輌に対する目標値の設定は容易にできるものの、既に運搬物が投入されている運搬車輌に余裕分の運搬物を投入する場合は、油圧ショベルのオペレータの勘に頼らざるえず、運搬車輌の過投入を防止できない場合がある。
【0004】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、作業機械から荷受け体への荷の過投入を確実に防止できる作業量モニタリングシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載された発明は、システム端末機器および荷受け体のいずれか一方より無線通信システムにより作業機械のコントローラに対して荷受け体への荷の投入可能荷重値を送信して作業機械の目標荷重値として設定し、作業機械の作業装置の姿勢および作業装置を支える流体圧シリンダに作用する圧力を検出することによりコントローラは作業装置から荷受け体に投入される荷の現在荷重値を演算し、コントローラは荷受け体に投入した荷の現在荷重値を積算することで積算荷重値を演算し、コントローラは積算荷重値が目標荷重値に達するときは報知手段を通じてその状態を報知する作業量モニタリングシステムである。
【0006】
請求項2に記載された発明は、請求項1記載の作業量モニタリングシステムにおけるコントローラが、現在荷重値が一定以上ある状態で、作業機械のオペレータが操作レバーの先端に設けられたスイッチを操作するスイッチ操作を検知することで、現在荷重値を積算するものである。
【0007】
請求項3に記載された発明は、請求項1記載の作業量モニタリングシステムにおける作業機械が、作業装置の先端部にバケットを備えた油圧ショベルであり、コントローラは、バケットを外方へ操作するバケットアウト操作信号を検知して、一定時間以上のバケットアウト操作信号下で積込荷重値が減少した場合は、バケットから荷受け体への荷の積込操作があったと認識して、バケットアウト操作直前の積込荷重値とバケットアウト操作後の最軽量荷重値との差を、現在荷重値として取込むものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載された発明によれば、システム端末機器および荷受け体のいずれか一方より無線通信システムにより作業機械のコントローラに送信された投入可能荷重値を目標荷重値として、コントローラは作業装置の姿勢および圧力を検出することにより、作業装置から荷受け体に投入する荷の現在荷重値を演算し、荷受け体に投入した荷の積算荷重値を演算し、この積算荷重値が目標荷重値に達するときは、報知手段を通じてその状態を報知するので、荷受け体への過投入を確実に防止できる。特に、既にある程度の荷が投入されている荷受け体に余裕分の荷を投入する場合でも、システム端末機器および荷受け体のいずれか一方より指示された投入可能荷重値に基づいて、積算荷重値が目標荷重値を超えないように適切に投入できる。
【0009】
請求項2に記載された発明によれば、現在荷重値が一定以上ある状態という条件付けをして、作業機械のオペレータが操作レバーの先端に設けられたスイッチを操作するスイッチ操作を検知することで、コントローラが現在荷重値を積算するので、作業機械のオペレータが操作しやすい他用途のスイッチを有効利用して、作業機械から荷受け体に荷を投入操作しながら、容易に積算操作をすることができる。
【0010】
請求項3に記載された発明によれば、コントローラが、油圧ショベルのバケットを外方へ操作するバケットアウト操作信号を検知して、一定時間以上のバケットアウト操作信号下で積込荷重値が減少した場合に、バケットから荷受け体への積込操作を自動的に認識できるとともに、バケットアウト操作直前の積込荷重値とバケットアウト操作後の最軽量荷重値との差を、現在荷重値として自動的に積算することができ、油圧ショベルのオペレータによる手動積算操作ミスを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明をペイロードモニタリングシステムに適用した例を、図1乃至図4に示された一実施の形態、図5に示された他の実施の形態を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
図1に示されるように、作業機械Aは油圧ショベルを示し、機体1としての下部走行体1aに上部旋回体1bが水平旋回自在に設けられ、この上部旋回体1bに作業装置2が上下方向揺動自在に取付けられている。
【0013】
作業装置2は、上部旋回体1bの図示されないブラケットにブーム3の基端フート部が、基端回動支軸としてのブームフートピンfにより上下方向回動自在に連結され、このブーム3の先端部にスティック4が回動自在に取付けられ、このスティック4の先端部にバケット5が回動自在に連結されている。
【0014】
ブーム3は、流体圧シリンダとしてのブームシリンダ3aにより上下方向に回動され、スティック4は、スティックシリンダ4aにより回動され、バケット5は、バケットシリンダ5aにより回動される。
【0015】
この作業機械Aには機体制御コントローラ(以下、単にコントローラという)6が搭載され、バケット5により掘削した鉱石または土砂などの荷の現在荷重値Wをこのコントローラ6により演算しながら、ダンプトラックなどの荷受け体としての運搬車輌Bへ荷を投入積載する機能を備えている。このコントローラ6は、中央演算処理装置(CPU)6aおよび記憶部(各種メモリ)6bを備えている。
【0016】
ブーム3の基端フート部を軸支するブームフートピンfには、上部旋回体1bに対するブーム3の関節角としてのブーム角αを検出するブーム角度センサ7が取付けられ、また、ブーム3の先端部でスティック4を軸支するブーム先端ピンeには、ブーム3に対するスティック4の関節角としてのスティック角βを検出するスティック角度センサ8が取付けられている。これらの角度センサ7,8は、ポテンショメータを用いる。
【0017】
ブームシリンダ3aのヘッド側には、そのヘッド圧を検出する圧力センサ3hpが取付けられ、ブームシリンダ3aのロッド側には、そのロッド圧を検出する圧力センサ3rpが取付けられている。
【0018】
作業装置2の各関節部に設けられたブーム角αおよびスティック角βを検出する各角度センサ7,8、ブームシリンダ3aのヘッド圧およびロッド圧を検出する各圧力センサ3hp,3rpは、コントローラ6の入力側に接続され、これらの各センサ7,8,3hp,3rpの検出信号は、コントローラ6に入力される。また、コントローラ6には、外部と無線通信信号を送受信するための無線通信装置9が接続されている。
【0019】
このコントローラ6は、上記検出信号および作業装置2の各部材の寸法および質量などに関するデータからブームフートピンf回りの各モーメントを演算することで、作業装置Aから運搬車輌Bに投入積載する荷の現在荷重値Wを演算処理する機能を有する。
【0020】
すなわち、バケット5内の荷の現在荷重値W(未知数)によるモーメントは分からないが、バケット5の自重(既知数)とブーム角αおよびスティック角βとからバケット5の自重中心のモーメントが分かり、スティック4の自重(既知数)とブーム角αおよびスティック角βとからスティック4の自重中心のモーメントが分かり、ブーム3の自重(既知数)とブーム角αとからブーム3の自重中心のモーメントが分かり、ブームシリンダ3aのピストンのロッド側面積(既知数)に作用するロッド圧(検出値)による押下力(演算値)とブーム角αとからロッド圧に起因するモーメントが分かり、ブームシリンダ3aのピストンのヘッド側面積(既知数)に作用するヘッド圧(検出値)による押上力(演算値)とブーム角αとからヘッド圧に起因するモーメントが分かるので、これらのブームフートピンfを中心とするモーメントの平衡式から、バケット5内の荷の現在荷重値Wを演算することができる。
【0021】
このコントローラ6の入力側には、現在投入積載中の荷の現在荷重値Wを積算するトリガー機能を働かせるためのスイッチとしてのワンタッチ・ローアイドル・スイッチ11が接続され、油圧回路をロックする油圧ロックスイッチ12が接続され、また、このコントローラ6の入出力側には、演算して求めた荷重などを表示するとともに積算荷重値が目標荷重値に達するときはその状態を視覚的または聴覚的に報知する報知手段としての表示装置13が接続されている。
【0022】
ワンタッチ・ローアイドル・スイッチ11は、操作レバーの上端面に設けられて操作レバーを握った手の親指で押動操作可能なボタン形スイッチであり、本来はエンジン回転速度を所定のローアイドル回転に落としたり元の回転速度に復帰させるためのスイッチであるが、作業機械Aから運搬車輌Bに荷を投入積載する状態の条件下で、このワンタッチ・ローアイドル・スイッチ11を操作することで、現在投入積載中の荷の現在荷重値Wを積算するトリガー機能を働かせることができる。
【0023】
油圧ロックスイッチ12は、作業機械Aのパイロット圧通路中に設けられた油圧ロック電磁弁10をオン/オフ操作するスイッチであり、オペレータの運席席の昇降口側に遮断機のように上下方向回動可能に設けられた油圧ロックレバーによりオン/オフ操作され、このレバーが運席席の昇降口側を開放した状態は油圧ロック状態であり、このレバーが運転席の昇降口側を遮断した状態は、ロック解除状態であり、作業機械Aの各油圧アクチュエータを動かすことができる。
【0024】
表示装置13は、作業機械Aの運転室内に設置され、作業機械Aの稼働情報(稼働時間、燃料残量など)、機械情報(エンジン回転数、油圧機器状態など)、警告情報(未承認キー挿入、異常検出など)、メンテナンス情報(オイル交換時期、フィルタ交換時期など)の稼働データを表示するモニタであるが、簡単な入力キーを備えた入力手段でもあり、これらの情報を引出したり、送信操作することができる。
【0025】
ブームシリンダ3a、スティックシリンダ4aおよびバケットシリンダ5aなどの油圧アクチュエータは、それぞれのスプール弁14により、メインポンプ15から供給された作動油を方向制御および流量制御して、シリンダ動作を制御する。これらのスプール弁14は、パイロットポンプ16から油圧ロック電磁弁10を経て供給されるパイロット1次圧を操作レバー17Lの操作量に応じてパイロット操作弁(いわゆるリモコン弁)17Vにより制御したパイロット2次圧によって、パイロット操作する。
【0026】
特に、バケットシリンダ5aを縮み方向に作動させることでバケット5を2点鎖線から実線で示されるように外方へ操作するときにパイロット圧が発生するスプール弁14のパイロット通路18には、外方操作信号としての外方操作パイロット圧信号を検知する圧力センサ19が設けられ、この圧力センサ19がコントローラ6に接続されている。
【0027】
図2および図3は、作業機械Aが、作業機械Aのユーザが保有するパーソナルコンピュータ(パソコン)などのシステム端末機器21や、無線通信機能を備えた運搬車輌Bと相互に情報を送受信する無線通信システムCを示す。
【0028】
この無線通信システムCは、システム端末機器21より、インターネット回線網などの通信回線網22を経てウェブサーバ23と双方向通信可能であり、さらに、ウェブサーバ23は、携帯電話通信と衛星通信とを併用した携帯電話回路網である無線キャリアネットワーク24および中継局25を経て、作業機械Aの無線通信装置9を介し、作業機械Aに搭載されたコントローラ6と双方向通信可能である。さらに、作業機械Aと同様の無線通信機能を有する運搬車輌Bは、中継局25を経て作業機械Aと双方向通信可能であるとともに、ウェブサーバ23などを介してシステム端末機器21と双方向通信可能である。
【0029】
したがって、ウェブサーバ23は、図2に示されるようにシステム端末機器21より入力された荷の投入積載可能荷重値を作業機械Aのコントローラ6に送信して目標荷重値として設定させることができるとともに、図3に示されるように作業機械Aのコントローラ6から無線通信装置9を経て送信された車両情報、動態データ(すなわち機体内各稼働部に設置されたセンサにより検出された稼働データ、作業装置Aから運搬車輌Bに投入積載した荷の積算荷重値およびGPS受信機で取得された位置情報など)を受信して保存するとともに、ウェブサイトに反映させ、システム端末機器21に対してウェブまたはメーラにて情報提供を行なうので、ユーザは、ウェブサーバ23から、自分の所有または担当する作業機械Aの稼働情報(稼働時間、燃料残量、累積作業量など)、機械情報(エンジン回転数、油圧機器状態など)、警告情報(未承認キー挿入、異常検出など)、メンテナンス情報(オイル交換時期、フィルタ交換時期など)の稼働データなどを閲覧することができる。
【0030】
同様に、運搬車輌Bの車両情報、動態データも、ウェブサーバ23などを介してシステム端末機器21により閲覧することができるとともに、作業機械Aに送信して表示装置13に表示させることができる。
【0031】
次に、この実施の形態の作用を説明する。
【0032】
無線通信装置9を搭載した作業機械Aのコントローラ6に対して、同じく無線通信装置を搭載した運搬車輌Bから、無線通信システムCにより、運搬車輌Bへの荷の投入可能荷重値が送信され、作業機械Aの表示装置13において、目標荷重値として設定されるとともに表示される。
【0033】
この目標荷重値は、システム端末機器21からも無線通信システムCを経て作業機械Aのコントローラ6に設定するとともに、表示装置13に表示させることができる。
【0034】
作業機械Aにおいては、作業装置2を支えるブームシリンダ3aのヘッド側およびロッド側に取付けられた圧力センサ3hp,3rpにより検出されたヘッド圧およびロッド圧と、ブーム角度センサ7およびスティック角度センサ8により検出された作業装置2の姿勢とから、コントローラ6は、作業装置2から運搬車輌Bに投入積載される荷の現在荷重値Wを常時計算し、表示装置13に表示する。
【0035】
作業機械Aのオペレータが、バケット5内に土砂などの荷を抱え込んだ状態で操作レバーの先端上に取付けられたワンタッチ・ローアイドル・スイッチ11を押すと、そのスイッチ操作を検知したコントローラ6は、現在荷重値Wが一定以上ある状態で、それまでの積算荷重値に、運搬車輌Bに投入される荷の現在荷重値Wを加えて、新たな積算荷重値を順次演算していく。
【0036】
コントローラ6は、積算荷重値が目標荷重値に達するとき、例えば目標荷重値に対して積算荷重値が90%を超えた場合は、コントローラ6から表示装置13を通じてその状態を報知し、文字または音声による警告を表示または出力する。
【0037】
コントローラ6は、作業機械Aのオペレータが油圧回路の油圧ロックスイッチ12をロック状態にしたときに、ペイロードモニタリングシステムは積込作業終了と判断し、表示装置13上に、積算荷重値をリセットするか、または積算荷重値を無線通信システムCによりシステム端末機器21および運搬車輌Bのいずれか一方に送信するかの選択肢を表示する。
【0038】
オペレータが表示装置13を操作することにより、選択された処理が実行される。
【0039】
次に、図4に示された荷重値積算方法の制御フローを説明する。なお、図4のフローチャート中の丸数字は、ステップ番号を示す。
【0040】
先ず、エンジンキースイッチをオンにすることで、ペイロードモニタリングシステムが作動開始する。
【0041】
(ステップ1)
表示装置13などからの入力操作によって、荷重積算モードを開始することができるので、荷重積算モードが開始されたか否かを判断し、荷重積算モードが開始されたときはステップ2に進む。
【0042】
(ステップ2)
バケット5により積込作業中の荷の現在荷重値Wを算出する。その算出システムは、既に説明したようにブーム角度センサ7およびスティック角度センサ8により検出された作業装置2の姿勢(ブーム角αおよびスティック角β)と、ブームシリンダ3aのヘッド側およびロッド側に取付けられた圧力センサ3hp,3rpの検出値とから、モーメントの釣合を計算して、バケット5内の荷の現在荷重値Wを演算する。
【0043】
(ステップ3)
作業機械Aが、無線通信システムCを使って運搬車輌Bまたはシステム端末機器21から目標荷重値を受信したか否かを判断する。
【0044】
(ステップ4)
目標荷重値を受信したら、その目標荷重値を作業機械Aのコントローラ6は、記憶部6bに設定する。
【0045】
(ステップ5)
操作レバー先端に設けられたワンタッチ・ローアイドル・スイッチ11が作業機械Aのオペレータにより押下操作された否かを判断する。
【0046】
(ステップ6)
ワンタッチ・ローアイドル・スイッチ11が作業機械Aのオペレータにより押下操作された場合は、ステップ2で得られたバケット5内の荷の現在荷重値Wが一定値XX以上であるか否かを判断する。
【0047】
(ステップ7)
ワンタッチ・ローアイドル・スイッチ11が押下操作され、かつ、現在荷重値Wが一定値XX以上である場合は、すなわち所定量の土砂などの荷がバケット5内に入っていると判断された場合は、ワンタッチ・ローアイドル・スイッチ11がエンジン回転速度をローアイドル状態に低下させる本来の機能を発揮することなく、現在検知されている現在荷重値Wを、それまでの積算値に加算するトリガースイッチとして機能する。
【0048】
(ステップ8)
積算した積算荷重値が目標荷重値に達するか否かを判断する。例えば、積算荷重値が目標荷重値の90%を超えるか否かを判断する。
【0049】
(ステップ9)
積算荷重値が目標荷重値の90%を超える場合は、その時点で表示装置13上に90%超の警告を表示して、その状態を報知する。
【0050】
(ステップ10)
作業機械Aの運席席の昇降口側に遮断機のように設けられた油圧ロックレバーが昇降口を開放する位置に操作されることで、油圧ロック電磁弁10をオン/オフ操作する油圧ロックスイッチ12が油圧ロック位置に切換わるので、この油圧ロックスイッチ12が油圧ロック位置に切換わったか否かを判断する。
【0051】
(ステップ11)
油圧ロックスイッチ12が油圧ロック位置に切換わった時点で、一連の積込作業が完了したものと判断し、表示装置13上に、積算荷重値をリセットするか、または積算荷重値を無線通信システムCによりシステム端末機器21および運搬車輌Bのいずれか一方にデータ送信するかの動作選択メニューを表示させる。
【0052】
(ステップ12)
積算荷重値のデータ送信が選択されたか否かを判断する。
【0053】
(ステップ13)
積算荷重値のデータ送信が選択された場合は、無線通信システムCを使って、作業機械Aの無線通信装置9から積算荷重値を、運搬車輌Bまたはウェブサーバ23を通じてシステム端末機器21などにデータ送信する。
【0054】
(ステップ14)
積算荷重値のリセットが選択されたか否かを判断する。
【0055】
(ステップ15)
積算荷重値のリセットが選択された場合は、積算荷重値をリセットし、運搬車輌Bまたはシステム端末機器21にデータを送信しない。
【0056】
(ステップ16)
荷重積算モードが終了したか否か、またはエンジンキースイッチがオフとなったか否かを判断し、荷重積算モードが終了しておらず、かつエンジンキースイッチがオフに操作されていない場合は、ステップ2に戻り、荷重積算モードが終了されたか、またはエンジンキースイッチがオフに操作された場合は、本ペイロードモニタリングシステムの作動を終了させる。
【0057】
次に、この実施の形態の効果を説明する。
【0058】
インターネット回線網などの通信回線網22を介してウェブサーバ23に接続されたパソコンなどのシステム端末機器21により、簡単に目標荷重値を作業機械Aに伝えることができ、またその作業結果を管理することができる。また、作業機械Aと運搬車輌Bとの車車間通信により、作業機械Aの相手となる運搬車輌Bの積載可能荷重値を簡単に把握できるため、過積載などの問題の発生も抑えることができる。
【0059】
すなわち、システム端末機器21および運搬車輌Bのいずれか一方より無線通信システムCにより作業機械Aのコントローラ6に送信された投入可能荷重値を目標荷重値として、コントローラ6は作業装置2の姿勢および圧力を検出することにより、作業装置2から運搬車輌Bに投入する荷の現在荷重値Wを演算し、運搬車輌Bに投入した荷の積算荷重値を演算し、この積算荷重値が目標荷重値に達するときは、表示装置13を通じてその状態を報知するので、運搬車輌Bへの過積載を確実に防止できる。
【0060】
特に、既にある程度の荷が投入されている運搬車輌Bに余裕分の荷を投入する場合でも、システム端末機器21および運搬車輌Bのいずれか一方より指示された投入可能荷重値に基づいて、積算荷重値が目標荷重値を超えないように適切に投入できる。
【0061】
また、現在荷重値Wが一定以上ある状態という条件付けをして、作業機械Aのオペレータが操作レバーの先端に設けられたワンタッチ・ローアイドル・スイッチ11を操作したことを検知することで、コントローラ6が現在荷重値Wを積算するので、作業機械Aのオペレータが操作しやすい他用途のスイッチを有効利用して、作業機械Aから運搬車輌Bに荷を投入操作しながら、容易に積算操作をすることができる。
【0062】
さらに、ユーザは、無線通信システムCを通じてシステム端末機器21により、作業機械Aと同様に、個々の運搬車輌Bの積載状態および余裕状態を正確に把握できるので、無線通信システムCを通じて作業機械Aに正確な積載可能荷重値を送信でき、運搬車輌Bに対する作業機械Aの過積載を防止できる。
【0063】
なお、表示装置13で積算荷重値が目標荷重値に達する状態を報知する報知荷重値は、目標荷重値よりやや小さい値が望ましいが、目標荷重値をやや超えた場合も含むものである。
【0064】
また、現在荷重値Wを積算するトリガー機能を働かせるためのスイッチとしては、操作性の点で操作レバー上端面のワンタッチ・ローアイドル・スイッチ11が望ましいものの、足で操作されるフットスイッチなどに替えても良い。
【0065】
次に、図5は、トリガー操作を自動化した自動判定モードの実施形態を示すフローチャートである。この場合は、図1に示されたバケットシリンダ5aを縮み方向に作動させる際にパイロット圧が発生するパイロット通路18の圧力センサ19が必要になる。
【0066】
コントローラ6は、この圧力センサ19によって、バケット5を外方へ操作するバケットアウト操作信号としてのバケットアウト側パイロット圧が生じているか否かを判断し(ステップ17)、バケットアウト側パイロット圧が生じている場合は、その状態が一定時間以上継続しているか否かを判断し(ステップ18)、一定時間以上のバケットアウト側パイロット圧発生下で積込荷重値が減少したか否かを判断し(ステップ19)、このステップ19の判断でYESのときは、バケット5から運搬車輌Bへの積込操作があったと認識して、バケットアウト操作直前の積込荷重値とバケットアウト操作後の最軽量荷重値との差を、現在荷重値として演算し(ステップ20)、オペレータがワンタッチ・ローアイドル・スイッチ11をトリガー操作しなくても、この現在荷重値を自動的に取込み、それまでの積算荷重値に加算する(ステップ21)。
【0067】
この実施の形態によれば、コントローラ6が、油圧ショベルのバケット5を外方へ操作するバケットアウト操作信号を検知して、一定時間以上のバケットアウト操作信号下で積込荷重値が減少した場合に、バケット5から運搬車輌Bへの積込操作を自動的に認識できるとともに、バケットアウト操作直前の積込荷重値とバケットアウト操作後の最軽量荷重値との差を、現在荷重値として自動的に積算することができ、油圧ショベルのオペレータによる手動積算操作ミスを防止できる。また、バケット5から荷を放出する前後の荷重値差を検出して積算することで、バケット5に荷の一部が残っている場合でも、正確な積載量を積算できる。
【0068】
なお、本発明は、作業機械Aとしては、油圧ショベルの他に、非旋回型のローダなどにも適用でき、また、荷受け体としては、ダンプトラック型の運搬車輌Bの他に、貨車、荷役船にも適用できるし、さらに、荷としては、バケット5内の荷だけでなく、バケット5やフックに引掛けて吊り下げる吊り荷も含まれる。
【0069】
また、本発明は、荷受け体に対する積載量を作業量としてモニタリングするペイロードモニタリングシステムだけでなく、例えば、コンクリート塊や木片などの廃材を破砕する破砕機などを荷受け体とすることで、破砕機に投入された廃材の積算荷重値を作業量としてモニタリングすることができるので、ペイロードモニタリングシステム以外の作業量モニタリングシステムとしても適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明に係る作業量モニタリングシステムの一実施の形態を示すシステム構成図である。
【図2】同上システムの目標荷重値の設定を示すシステム構成図である。
【図3】同上システムの積算荷重値の送信を示すシステム構成図である。
【図4】同上システムの荷重値積算方法の制御フローを示すフローチャートである。
【図5】同上システムの自動判定モードの制御フローを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0071】
A 作業機械
B 荷受け体としての運搬車輌
C 無線通信システム
W 現在荷重値
2 作業装置
3a 流体圧シリンダとしてのブームシリンダ
5 バケット
6 コントローラ
11 スイッチとしてのワンタッチ・ローアイドル・スイッチ
13 報知手段としての表示装置
21 システム端末機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
システム端末機器および荷受け体のいずれか一方より無線通信システムにより作業機械のコントローラに対して荷受け体への荷の投入可能荷重値を送信して作業機械の目標荷重値として設定し、
作業機械の作業装置の姿勢および作業装置を支える流体圧シリンダに作用する圧力を検出することによりコントローラは作業装置から荷受け体に投入する荷の現在荷重値を演算し、
コントローラは荷受け体に投入される荷の現在荷重値を積算することで積算荷重値を演算し、
コントローラは積算荷重値が目標荷重値に達するときは報知手段を通じてその状態を報知する
ことを特徴とする作業量モニタリングシステム。
【請求項2】
コントローラは、現在荷重値が一定以上ある状態で、作業機械のオペレータが操作レバーの先端に設けられたスイッチを操作するスイッチ操作を検知することで、現在荷重値を積算する
ことを特徴とする請求項1記載の作業量モニタリングシステム。
【請求項3】
作業機械は、作業装置の先端部にバケットを備えた油圧ショベルであり、
コントローラは、バケットを外方へ操作するバケットアウト操作信号を検知して、一定時間以上のバケットアウト操作信号下で積込荷重値が減少した場合は、バケットから荷受け体への荷の積込操作があったと認識して、バケットアウト操作直前の積込荷重値とバケットアウト操作後の最軽量荷重値との差を、現在荷重値として取込む
ことを特徴とする請求項1記載の作業量モニタリングシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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