説明

作溝装置

【課題】作溝具で圃場に溝を切った後で、苗を植え付ける前に溝が土で埋め戻されることがない構成を備えた作溝装置を提供すること。
【解決手段】苗を植え付ける溝部を土壌に形成する作溝体36と該作溝体36で形成された溝部に苗を植え付けるための苗植付装置4aと苗植付装置4aで植え付けた苗の側方近傍の土を作用時には鎮圧できる左右一対の鎮圧輪38,38とを設けたので、作溝体36の側方で土壌の溝の側方の土壌面に接地しているので、土壌面の作溝後の鎮圧が効果的に行える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、畑用の苗移植機の技術分野に属する作溝装置に関する。
【背景技術】
【0002】
機体の進行に伴って土中に潜った状態で移動することにより表土部に苗移植用の溝を形成する作溝具を備えた苗移植機が知られている。
【特許文献1】特開平7−170810号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記作溝具を備えた苗移植機では作溝具で圃場に溝を切って、その溝に苗を植え付けるが、苗を植え付ける前に溝が土で埋め戻されて、苗の植え付けが難しいことがあった。
【0004】
本発明の課題は、作溝具で圃場に溝を切った後で、苗を植え付ける前に溝が土で埋め戻されることがない構成を備えた作溝装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の上記課題は、次の解決手段により解決される。
請求項1記載の発明は、苗を植え付ける溝部を土壌に形成する作溝体(36)と、該作溝体(36)で形成された溝部に苗を植え付けるための苗植付装置(4a)と、該苗植付装置(4a)で植え付けた苗の側方近傍の土に接地可能にした左右一対の鎮圧輪(38,38)を設けた作溝措置において、作溝体(36)の下端部に設けた上下動するフレーム(34)と、作溝体(36)の側方で、かつ形成された溝の側方の土壌面に接地する位置で前記フレーム(34)に取り付けた鎮圧輪(38)とを設けた作溝装置である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明によれば、作溝体(36)の側方で、かつ形成された溝の側方の土壌面に接地できるように鎮圧輪(38)をフレーム(34)に設けたので、鎮圧輪(38)を作用させるときに作溝体(36)の側方で土壌の溝の側方の土壌面に接地させて土壌面の作溝後の鎮圧が効果的に行え、溝が崩れるのを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の実施例の苗移植機を図面と共に説明する。
図1と図2に本発明の作溝装置が設けられた実施例1の苗移植機の側面図と平面図を示す。本実施例の苗移植機は、走行装置1と操縦ハンドル2を備えた機体に、昇降駆動するリンク機構3と連結して昇降動作する開閉可能なくちばし状の苗植付装置4aを備えた構成としている。
【0008】
なお、以下の各実施例についての説明で前又は後というときは、操縦ハンドル2を配置した側を後とし、その反対側、即ちエンジン5を配置した側を前とする。そして、右又は左というときは、機体後部において機体前部側を前側として立つ作業者から見て右手側を右とし、左手側を左としていう。
【0009】
苗移植機は走行装置1と操縦ハンドル2を備えた機体に昇降駆動するリンク機構3と連結して昇降動作する開閉可能なくちばし状の苗植付具4aを備えた苗植付装置4を設けた構成としている。
走行装置1は図示例では、エンジン5と該エンジン5の動力が伝達されて駆動回転する左右一対の後輪7,7と転動自在に支持した左右一対の前輪6,6とを備えたものとしている。
【0010】
エンジン5の後部には、ミッションケース8を配置し、そのミッションケース8は、その左側部からエンジン5の左側方に延びるケース部分を有し、これがエンジン5の左側部と連結している。このケース部分にエンジン5の出力軸が入り込んでミッションケース8内の伝動機構に動力が伝達する構成となっている。ミッションケース8の左右両側部に伝動ケース9,9を回動自在に取り付け、この伝動ケース9,9の回動中心にミッションケース8から左右両外側方に延出させた車輪駆動軸9Aの先端が入り込んで伝動ケース9,9内の伝動機構に走行用の動力を伝達している。そして、走行用の動力は伝動ケース9,9内の伝動機構を介して、機体後方側に延びてその後端側側方に突出する後輪駆動軸10,10に伝動され、後輪7,7が駆動回転するようになっている。
【0011】
また、伝動ケース9,9のミッションケース8への取付部には、上方に延びるアーム9B,9Bを一体的に取り付けていて、該アーム9B,9Bに各々昇降用油圧シリンダ15が回動自在に連結している。昇降用油圧シリンダ15のピストンロッド15a(図2)の先端には機体に固着された横杆13が取り付けられている。
また、機体の水平制御をハンドル2に設けた手動レバー23により操作して機体の自動水平制御時に生じやすいハンチングを防止する。
【0012】
また、昇降用油圧シリンダ15が作動してそのピストンロッド15aが収縮すると、これに伴い伝動ケース9,9が下方に回動して、機体が上昇する。
反対に、昇降用油圧シリンダ15のピストンロッド15aが突出すると、左右の前記アーム9B,9Bは前方に回動し、これに伴い伝動ケース9,9が上方に回動して、機体が下降する。この昇降用油圧シリンダ15は、機体に対する圃場面高さを検出するセンサS0の検出結果に基づいて機体を圃場面に対して設定高さになるよう作動するよう構成しており、また、操縦ハンドル2近傍に配置した操作具の人為操作によって機体を上昇或は下降させるよう作動する構成ともしている。
【0013】
さらに、前輪面がフラットになっている前輪6が溝の床面と接して溝の床面を平らにする。平らになった後の溝床面高さをセンサS0がセンシングするので、センサS0が適切に溝床面高さを検出するので、該検出結果に基づいて機体を溝の床面高さに対して設定高さになるよう作動させることができる。従って、苗の植付深さの制御にも用いることができる。なお、溝床面に植付溝を作るための突起S0aをセンサS0の底面の中央部に設けた。このため苗の植付位置での苗植付具4aの先端の溝床面に対する差し込みが容易になる。
【0014】
また、機体の左右水平制御ができる前記油圧シリンダ15が互いに異なる位置に伸縮作動すると、左右の伝動ケース9,9を互い違いに上下動させ機体を左右に傾斜させる。この左右水平制御用油圧シリンダ15は、手動レバー23の操作に基づいて機体を所望の左右傾斜姿勢になるように作動する構成にしている。
一対の前輪6,6は、車体に支持された左右一対の前輪支持フレーム16に取り付けられ前輪駆動軸17に回転自在に取り付けられている。
【0015】
操縦ハンドル2は、ミッションケース8に前端部を固定した機体フレーム14の後端部に取り付けられている。機体フレーム14は、機体の左右中央から右側に偏った位置に配置されて後方に延び、また、前後中間部から斜め後上方に延びている。操縦ハンドル2は、機体フレーム14の後端部から左右に後方に延びてその各後端部を操縦ハンドル2のグリップ部2a,2aとしている。操縦ハンドル2の左右のグリップ部2a,2aは、作業者がそのグリップ部2a,2aを楽に手で握れるように適宜高さに設定する。なお、図例ではグリップ部2a,2aを左右に分かれた構成としているが、操縦ハンドル2の左右の後端部を互いに左右に連結してその連結部分をグリップ部2a,2aとしても良い。
【0016】
リンク機構3は、ミッションケース8内から苗植付具駆動用の動力を受けて伝動する伝動機構を内装する植付伝動ケース18に装着している。図例のように植付伝動ケース18は、その前部がミッションケース8の後部に連結し、そこから後斜め上方に延びる第一ケース部18aと、この第一ケース部18aの上部左側部に固定され、左側方に延びる第二ケース部18bと、その第二ケース部18bの左端部に固定され、後斜め下方に伸びる第三ケース部18cと、その第三ケース部18cの下端部外側部に固定され、左側方に伸びる第四ケース部18dと、その第四ケース部18dの左端部に固定され後方水平状に伸びる第五ケース部18eを有するものとしている。これら第一ケース部18a〜第五ケース部18e内にリンク機構3を昇降駆動するための動力を伝達する伝動機構を内装している。
【0017】
なお、第一ケース部18a内に内装した伝動機構には、リンク機構3及び苗植付装置4をその昇降動最上位の位置で、又はその近傍位置で設定時間停止させる間欠駆動機構と、リンク機構3及び苗植付装置4の昇降動を停止させるクラッチ機構とを備えている。間欠駆動機構によって停止する時間は、該間欠駆動機構が備える変速機構によって調節され、この調節によって苗植付装置4による苗植付株間が変更調節されるようになっている。
【0018】
そして、リンク機構3は、苗植付装置4の前側に設けた左右方向の軸19の左右中間部に回動自在に連結する第一昇降アーム20と、苗植付装置4の後側に設けた左右方向の軸21の左側部に回動自在に連結する第二昇降アーム22とを備えている。
詳細は省略するが、第一昇降アーム20と第二昇降アーム22とが揺動しながら昇降動し、その結果、苗植付装置4の下端部が側面視で上下に長い略楕円形状の圃場に苗を植え付けるような軌跡で昇降動する。
【0019】
図4(a)の苗植付装置4の左右くちばし部4aL,4aRの背面図と図4(b)の左側面図と図4(c)の図4(b)のA−A線矢視断面図に示すように、苗植付装置4には、中央に設けた仕切板4aCを挟んで下方に向かって伸びる左側くちばし部4aLと右側くちばし部4aRを設けている。そして、苗供給装置40から落下してくる苗をそれぞれ仕切板4aCと左側くちばし部4aLの間及び仕切板4aCと右側くちばし部4aRの間に収納した苗植付装置4aはリンク機構3によって、側面視で上下に長い略楕円形状の軌跡Tに従って下降して圃場内に挿入され、左側くちばし部4aLと右側くちばし部4aRが機体左右方向に開放すると苗が圃場に植え付けられ、その後に苗植付装置4aが上昇する。
【0020】
苗植付装置4の下端部が左側方から見て反時計回りに略楕円形状の圃場に苗を植え付けるような軌跡Tで昇降回動する。従って、作業走行しながら苗植付装置4が上記回転方向で前記軌跡を描くように昇降回動すると、その軌跡の下端部で苗植付装置4の下端部が圃場の土壌中に苗を植付け、くちばし状の苗植付具4aを備えた苗植付装置4は、機体左右方向に開いて苗植付装置4内の苗を土壌に放出する。そのため、苗植付装置4で苗の左右方向の土が再度苗の周辺に流入し易くなり、より鎮圧輪38,38で覆土し易くなる。また、機体左右方向に開くことで、苗を溝部の土壌中に植え付けて挿して上昇するときに植え付けた苗に苗植付装置4が当たって苗の植付姿勢を乱すことを防止することができる。
【0021】
また、左側くちばし部4aLと右側くちばし部4aRの一部外周に泥寄せ部4bL、4bRを設け、該泥寄せ部4bL、4bRを多少柔軟性のある材料で構成すると、その外周部に設けた締め付け部材4cにより左右のくちばし部4aL,4aRへの取り付け上下方向に高さ位置が調節可能となり、さらに取外し可能にしている。
【0022】
泥寄せ部4bL、4bRの高さ位置の調節は植え付ける苗丈(首元の長さ)に応じて行い、また泥寄せ部4bL、4bRの取り付けと取り外しの切替は、通常、植付時には取り外し、溝切り時には取り付けるためである。
【0023】
また、左右のくちばし部4aL,4aRに取り付ける泥寄せ部4bL、4bRの形状を変えることで、それぞれの形成される溝の形状を変えることができる。このように泥寄せ部4bL、4bRの形状を変えることで、溝の幅や深さを変えることができる。また、泥寄せ部4bL、4bRの前後方向の幅を植え付ける苗の隣接間隔(株間)より長くなる構成にすると、土壌に溝が形成されていない部分が無くなるので好都合である。
【0024】
また、図4(b)と図4(c)に示すように泥寄せ部部4bL、4bRは、側面視において左右のくちばし部4aL,4aRより既に植え付けた苗から離れた位置で作溝することになるように前方側にずらしているので既に植え付けた苗を乱すことがない。
【0025】
鎮圧輪38は支持部材34の先端に回動軸38aを持ち、該支持部材34の他端がフレーム33(第一フレーム33a,第二フレーム33b)に支持され、該第二フレーム33bの前端部は後輪駆動軸10に揺動自在に支持され、その後端部は機体フレーム14の操縦ハンドル2との接続部付近から垂下したスプリング35付きの第一フレーム33aと回動自在に接続している。また、第二フレーム33bの鎮圧輪38の支持部の近傍に作溝体36が支持ロッド37を介して支持されている。
【0026】
スプリング35で鎮圧輪38と作溝体36はフレーム33等を介して常に土壌面を押圧しているので、それぞれ土壌面に対して鎮圧効果と作溝効果が得られる。また、作溝体36は支持ロッドのフレーム33の取り付け位置を変更可能になっているので、作溝体36の圃場面からの高さを変えることができ、作物に応じて作溝深さを変更調節できる。
【0027】
図3(a)に苗移植機の鎮圧輪38と作溝体36の設置部分の背面図を、図3(b)に作溝体36の平面図に示す。
図3(a)に示すように鎮圧作業時には、鎮圧輪38は機体に支柱37で支持された作溝体36の圃場への侵入する側壁の傾斜角度の延長線上に同様の傾斜角度で作溝体が配置され、作溝体36の側方で土壌の溝の側方の土壌面に接地しているので、土壌面の溝後の鎮圧が効果的に行える。
【0028】
また、図1に示すスプリング35付きの第一フレーム33aの機体フレーム14側の接続部も上下に揺動自在である。
従って、支持部材34が矢印A方向に揺動することで第一フレーム33aが収縮し、同時に鎮圧輪38と作溝体36が上昇する。最上昇位置に上げた鎮圧輪38と作溝体36は第一フレーム33aによりロック可能である。
【0029】
なお、本実施例の苗植付機では苗植付具4aより機体後方に作溝体36が配置されているので、作溝体36による作溝は苗を植え付けないときに行う。また、図1で作溝体36の対地高さを高くするために作溝体36を上昇させたときには点線で示すように天地逆にに付け替える。
【0030】
また図5(a)には作溝体36’と鎮圧輪38’の機体への取り付け構造の他の実施例の要部側面図を示し、図5(b)には図5(a)の作溝体36と鎮圧輪38’の接続構造を示す平面図であり、図5(c)は別の実施例の作溝体36”と鎮圧輪38”の接続関係を示す平面図である。
【0031】
図5(a)と図5(b)に示す構成は、作溝体36に鎮圧輪38’を設け、土壌面をセンシングしながら溝切りを行うことができる。機体フレーム14に支持された支持フレーム50に上下方向に長いロッド33’を設け、該ロッド33’に接地輪38’が支持されている。該ロッド33’が遊嵌した支持フレーム55と一体の筒部55aに上端を支持されたスプリング35’がロッド33’を貫通して設けられ、該ロッド33’の下端に接地輪38’が支持されている。そのため接地輪38’が土壌面に凹凸に対応して上下してもスプリング33’でその上下動を吸収し、作溝体36’は接地輪38’に連動しながら土壌が凹凸状態であっても、確実に接地して溝を形成する。
【0032】
また、図5(b)と図5(c)の平面図に示すように接地輪38’、38”の回転軸に作溝体36’、36”の支持ロッド33’、33”を取り付け、該ロッド33’、33”に作溝体36’、36”を高さ位置調節可能に取り付けているので、苗丈に応じて作溝体36’、36”の高さが調節可能となるので、溝深さの調節ができる。
【0033】
図5(b)に示す構成では2つの接地輪38’に共通する回転軸38a’の中央部に作溝体36’を取り付けているので2輪の接地輪38’で土壌への沈み込みを防ぐことができる。また、図5(c)に示す構成では1つの幅広の接地輪38”の後方に作溝体36’を取り付けているので接地輪38”が一つですみコストダウン効果がある。
【0034】
次に苗供給装置40関係の説明をする。
スプロケット51,51の一方の回転軸51aと第一ケース部18aとを伝動軸53を介して連結することでエンジン5からの動力を伝動して左右のスプロケット51,51を回転駆動させて苗供給カップ41を周回移動させる構成としている。
【0035】
苗供給装置40の上方には、多数の苗供給カップ41が等間隔で連結され、苗供給カップ41の周回移動軌跡に沿う移動を案内するガイド体42,42を苗供給カップ41…の周回移動軌跡の内側と外側とにそれぞれ設けている。これにより、苗供給カップ41…の周回移動が適確且つ円滑に行われる。
【0036】
そして苗植付装置4は左右一対の前輪6,6の接地箇所より機体左右方向内側、すなわち、前輪6,6で走行していない土壌の部分に苗を植え付ける。
このような構成にすることで、一対の前輪6,6で踏み固められていない箇所に苗を植え付けることができる。
【0037】
また、肥料、薬剤、土及び水などの副資材を貯留した副資材タンク44が植付伝動ケース18上に取り付けられており、該副資材タンク44から苗植付体4a内に所定量の副資材が繰り出し部44aにより供給される。
【0038】
図6(a)に苗供給装置40と苗植付装置4との背面図に示すように苗供給カップ41から苗植付装置4の上端部にあるガイドパイプ4a1への苗引き継ぎの確実性向上のため、苗供給装置40に苗供給カップ41の苗外れ防止材43を設けた。該苗外れ防止材43として塩化ビニール樹脂などの弾性材を用いると、ガイドパイプ4a1と干渉しても変形しない。、また図6(b)に図6(a)の矢印A方向からの矢視図に示すように苗外れ防止材43はガイドパイプ4a1より外側に有り、ガイドパイプ4a1の切欠き部4a1a(苗植付装置4が上昇時に苗外れ防止材43と干渉しないようにするための空間部)より大きな面積を有する構成とする。
【0039】
また図6(c)に図6(a)の変形例の一部背面図を示すように苗外れ防止材43をガイドパイプ4a1の内側に収まる形状とすることもできる。
図7に苗供給装置40の平面図と図8(a)に苗供給装置40の苗供給カップ41部分の側面図と図8(b)に図8(a)のA−A線断面矢視図に示すように、苗供給装置40は、上下に開口する苗供給カップ41…と該苗供給カップ41…の下側の開口部…を開閉する底蓋41a…とを有し互いにループ状に連結する複数の苗供給カップ41…と、該苗供給カップ41…を前記苗植付装置4…の上方近傍を通過する状態で機体平面視前後に長い長円形状のループ状の軌跡で周回動させる移動機構(図示せず)と、前記苗供給カップ41…の底蓋41a…を苗植付装置4…の上方位置で開放する開放プレート57を設けた構成である。また移動機構の周回動軌跡のほぼ中央部に沿った形状で、一部前記底蓋41aの開放領域となる部分を除いてループ状のアーム58が設けられ、該アーム58が底蓋41aを開放しないように常時底蓋41aを下側から支持している。
【0040】
苗供給装置40は、前記苗供給カップ41…の外周に円筒外周部を形成し、該円筒外周部に外側から回動自在に係合する係合部(丸孔)を有して二つの苗供給カップ41,41を連結する連結体49を複数設け、該連結体49…の係合部を苗供給カップ41…の円筒外周部に回動自在に係合し該円筒外周部を回動軸として隣の苗供給カップ41…が回動自在に連結する状態として複数の苗供給カップ41…を互いに連結した構成としている。即ち、苗供給カップ41…と連結体49…とで無端チェーンのように連結した構成である。これにより、苗供給カップ41…は、直線的に移動する部分でも円弧状に移動する部分でも隣接する苗供給カップ41…との間隔が変わらないので、苗供給カップ41から苗植付装置4に苗を供給する個所で苗供給カップ41が苗植付装置4に対して位置ズレが生じにくくなり苗供給が適正に行われて、この苗移植機は適確な苗の移植ができる。
【0041】
上記苗供給装置40の苗供給カップ41の底蓋41aは該底蓋41aの下側に苗供給カップ41の移動する長い長円形状のループ状の軌跡に沿った形状のアーム58が配置されていて底蓋41aは開かないが、苗供給カップ41内の苗を苗植付装置4に落下させる領域ではアーム58がないので底蓋41aが開くようになっている。しかも、前記苗を苗植付装置4に苗を落下させる領域の微調整を開放プレート57で行うことができる。すなわち、開放プレート57のロッド57aに底蓋41aの突起部41a1が接当している状態では底蓋41aは開かないが、開放プレート57をスライド調整して、開放プレート57の閉じ用のロッド57aに底蓋41aの突起部41a1が接当しないようにすることで底蓋41aが開く構造である。
【0042】
すなわち、底蓋41aの突起部41a1がアーム58と開放プレート57ののロッド57aから外れるとヒンジ41bを中心に底蓋41aが下方に開き、カップ41内の苗が苗植付装置4に落下する。次いで、その苗供給カップ41が移動してループ状アーム58に当たると再び底蓋41aが閉じる。
【0043】
しかし、底蓋41aが開いた後に、該蓋41aがアーム58に当たる前に隣接する底蓋41aの上側に入って、当該底蓋41aを挟んで隣接の底蓋41aを閉じることがある。そこで底蓋41aのヒンジ41bの端部に底蓋41aの平面に対して直交する方向に隣接する苗供給カップ41の突起片41cに接触する位置に面ファスナーなどを貼り付けた接触片41b1を一体的に取り付けておき、一旦、開いた底蓋41aが不用意に回動しないように、面ファスナーなどを貼り付けた接触片41b1を隣接する苗供給カップ41の突起片41a1に密着させて底蓋41aを、その開いた位置に保持させる。
【0044】
また、図7に示すように前記底蓋41aの開放プレート57に設けた底蓋閉じ用のロッド57a、57aを一体化しておき、しかもこの開放プレート57をスライド可能にしておくと、底蓋41aの開放位置を調整可能となり、当該底蓋41aを挟んで隣接の底蓋41aが閉じるのを防ぐことができる。
【0045】
チェン式の苗供給カップ41と同軸上に該カップ41を移動されるためにスプロケット51,51(図2)間に張った駆動チェン(図示していない)を設けているが、チェン式の苗供給カップ41の軸間よりも駆動チェンの軸間の方が長くなるような構成にするとチェン式の苗供給カップ41にたるみが出ない。したがってカップ41が傾くおそれもなくなる。このとき駆動チェンにできる弛みはチェンを張る適宜のテンションを設けて吸収することができる。さらに底蓋41aの突起部41a1に接当させる開放プレート57の形状を根元は幅広く、先端の底蓋41aの突起部41a1が当接する部分を幅狭くすると、底蓋41aが開放してはいけない位置で、開放プレート57の幅広部分が底蓋41aに接当せず、底蓋41aが開くおそれが無くなる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の作溝装置を備えた走行車両は、野菜などの苗を圃場に植え付ける苗移植機として利用可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施例の苗移植機の側面図である。
【図2】図1の苗移植機の平面図である。
【図3】図1の苗移植機の鎮圧輪と作溝体の設置部分の背面図(図3(a))、作溝体の平面図(図3(b))である。
【図4】図1の苗移植機の左右のくちばし部の背面図(図4(a))、くちばし部の側面図(図4(b))、くちばし部の平面図(図4(c))である。
【図5】図1の苗移植機の別実施例の作溝体と鎮圧輪の機体への取り付け構造の要部側面図(図5(a))、図5(a)の作溝体と接地輪の接続構造を示す平面図(図5(b))と別実施例の作溝体と接地輪の接続構造を示す平面図(図5(c))である。
【図6】図1の苗移植機の苗供給装置と苗植付装置との背面図(図6(a))、図6(a)の矢印A方向からの矢視図(図6(b)、図6(c))である。
【図7】図1の苗移植機の苗供給装置平面図である。
【図8】図1の苗移植機の苗供給カップ部分の側面図(図8(a))と苗供給カップ部分の平面図(図8(b))である。
【符号の説明】
【0048】
1 走行装置 2 操縦ハンドル
2a グリップ部 3 リンク機構
4 苗植付装置 4a 苗植付具
4aC 仕切板 4aL 左側くちばし部
4aR 右側くちばし部 4bL、4bR 泥寄せ部
4a1 ガイドパイプ 4c 締め付け部材
5 エンジン 5a エンジン出力軸
6 前輪 7 後輪
8 ミッションケース 9 伝動ケース
9A 後輪駆動軸 9B 連結アーム
9Ba ピン
10 後輪駆動軸(伝動ケースの出力軸)
12 メイン油圧ケーブル 13 横杆
15 油圧シリンダ 15a ピストンロッド
15b 長穴 16 前輪支持フレーム
17 前輪駆動軸 18 植付伝動ケース
19 左右方向軸 20 第一昇降アーム
21 左右方向軸 22 第二昇降アーム
23 手動レバー 27 主クラッチレバー
28 植付・昇降(サブクラッチ)レバー
29 操作パネル 30 サイドクラッチレバー
31 移植伝動軸 33’ ロッド
33a 第一フレーム 33b 第二フレーム
34 支持部材 35、35’ スプリング
36、36’ 作溝体 38 鎮圧輪
38’、38” 接地輪 40 苗供給装置
41 苗供給カップ 41a 底蓋
41a1 苗供給カップ突起部 41b 底蓋ヒンジ
41b1 底蓋の接触片 41c 苗供給カップの突起片
42 ガイド体 43 苗外れ防止材
44 副資材タンク 44a 繰り出し部
49 連結体 51 スプロケット
51a スプロケット回転軸 55 支持フレーム
55a 筒部 57 開放プレート
57a ロッド 58 ループ状のアーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
苗を植え付ける溝部を土壌に形成する作溝体(36)と、該作溝体(36)で形成された溝部に苗を植え付けるための苗植付装置(4)を設けた作溝措置において、
作溝体(36)の下端部に設けた上下動するフレーム(34)と、作溝体(36)の側方で、かつ形成された溝の側方の土壌面に接地する位置で前記フレーム(34)に取り付けた鎮圧輪(38)とを設けたことを特徴とする作溝装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate