説明

作物整列装置

【課題】作物を搬送した後に整列させることが出来る作物整列装置を提供すること。
【解決手段】振分部材21の機体前側で且つ突出部21aに作物を整列搬送装置Cの左右いずれか一方に送る分離部材22を設け、整列搬送装置Cに直接載らなかった作物が整列搬送装置Cの搬送始端部近傍に載せられるため、作物を整列搬送装置Cの搬送区間全域を使って整列搬送させることができ、作物の向きが一定方向に揃えられると共に複数の作物が重なり合うことが防止されて左右選別装置Dの誤選別が減少する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収穫した人参や大根等の作物を搬送装置で搬送した後に整列させる作物整列装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記の技術分野に関して、例えば特開2005−238165号公報には、洗浄した作物を一旦貯留タンクに溜めておき、その後搬送装置で搬送し、さらに整列装置で整列させながら選別装置に送り、選別装置で搬送しながら作物を重量毎に選別し、選別装置の搬送方向左右一側に回収する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2005−238165号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1の選別装置は、該選別装置で選別された後の作物を回収する作業者にとって、より回収しやすい場所に配置できる装置である。この選別装置は、作物を選別作業するまでの工程が長く、また、搬送中に作物の整列が上手く行われないで、貯留タンクに逆戻りすることが頻繁にあった。
そこで、本発明の課題は作物を搬送した後に整列させることが出来る作物整列装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記課題を解決するために次の技術的手段を用いる。
すなわち、請求項1記載の発明は、作物を投入する貯留部(A)と、貯留部(A)から作物を搬送体(10)で機体後方へと搬送する汲上搬送装置(B)と、汲上搬送装置(B)から作物を排出する排出部材(11)と、排出部材(11)で排出された作物を受けて整列させながら搬送する左右整列搬送装置(C)と、排出部材(11)から左右整列搬送装置(C)に直接載らなかった作物を受けて左右整列搬送装置(C)の左右いずれか一方に送る振分部材(21)と、左右整列搬送装置(C)に載らなかった作物を受けて貯留部(A)に送る左右移送部材(34)と、左右整列搬送装置(C)から作物を受けて選別する左右選別装置(D)とを備えた作物整列装置において、振分部材(21)の頂部を形成する山型の突出部(21a)の前端部又は排出部材(11)の終端下部に排出部材(11)から排出された作物を左右整列搬送装置(C)の左右いずれか一方に送る分離部材(22)を設けた作物整列装置である。
【0005】
請求項2記載の発明は、前記分離部材(22)を振分部材(21)に対して水平姿勢又は機体後側ほど上方に位置する傾斜姿勢に配置すると共に、分離部材(22)の後端部を振分部材(21)の上端部よりも上方に配置した請求項1記載の作物整列装置である。
【0006】
請求項3記載の発明は、前記分離部材(22)を円筒形にした請求項1記載の作物整列装置である。
【0007】
請求項4記載の発明は、前記分離部材(22)を機体前後方向に移動可能に設けた請求項1記載の作物整列装置である。
【0008】
請求項5記載の発明は、前記左右整列搬送装置(C)を機体前側の左右一対の第一整列搬送装置(C1)と機体後側の左右一対の第二整列搬送装置(C2)とから構成し、左右第一整列搬送装置(C1)の前後方向の長さ(L1)を左右第二整列搬送装置(C2)の前後方向の長さ(L2)よりも長く構成(L1>L2)すると共に、左右第二整列搬送装置(C2)の搬送速度(S2)が左右第一整列搬送装置(C1)の搬送速度(S1)よりも速くなるかまたは同速となるような構成した(S1≦S2)請求項1記載の作物整列装置である。
【0009】
請求項1の発明によれば、振分部材21の頂部の突出部21aの前端部に作物を左右整列搬送装置Cの左右いずれか一方に送る分離部材22を設けた場合には、左右整列装置Cに直接載らなかった作物が分離部材22によって左右整列搬送装置Cの左右どちらか一方の搬送始端部近傍に送られて該搬送始端部に載せられる。または排出部材11の終端下部に作物を左右整列搬送装置Cの左右いずれか一方に送る分離部材22を設けた場合には、作物が左右整列搬送装置Cの左右どちらか一方の搬送始端部近傍に排出される。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、作物を左右整列搬送装置Cの搬送区間全域を使って整列搬送することができるので、作物の向きが一定方向に揃えられると共に複数の作物が重なり合うことが防止されて左右選別装置Dの作物の誤選別が減少し、人手で誤選別された作物を選別し直すことが防止されるので、作業者の労力が軽減される。また、作物が左右整列搬送装置Cの搬送始端部近傍に載せられることによって、左右移送部材34から貯留部Aに送り返される作物を減らすことができるので、作業能率が向上する。
また、排出部材11の終端下部に分離部材22を設け場合は、排出部材11の取付位置や傾斜を変更しても、排出部材11と分離部材22との位置関係が変わらないので、作物の左右整列搬送装置Cへの送り作業を確実に行うことができる。
【0011】
請求項2の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、分離部材22を振分部材21に対して水平姿勢又は機体後側ほど上方に位置する傾斜姿勢に配置したことによって、分離部材22が分離部材22上を滑る作物を減速させることができるので、作物は分離部材22によって左右整列搬送装置Cの左右いずれか一方に振り分けられて搬送始端部近傍に載るようになり左右移送部材34から貯留部Aに送り返される作物が減少するため、作業能率が向上する。また、分離部材22の後端部を振分部材21の上端部よりも上方に配置すると、作物は分離部材22と振分部材21との落差によって落下し、左右整列搬送装置Cの左右いずれか一方に振り分けられるので、左右移送部材34から貯留部Aに送り返される作物が減少して作業能率が向上する。
【0012】
請求項3の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、分離部材22を円筒形に構成したことによって、作物が分離部材22から左右整列搬送装置Cの左右いずれか一方に振り分けられやすくなるので、作物の向きが一定方向に揃えられると共に複数の作物が重なり合うことが無くなって左右選別装置の誤選別が減少し、人手で誤選別された作物を選別し直すことが防止されるので、作業者の労力が軽減される。
【0013】
また、作物が左右整列搬送装置Cの搬送始端部近傍に載せられることによって、左右移送部材34から貯留部に送り返される作物を減らすことができるので、作業能率が向上する。そして、分離部材22の表面が曲面となるため、作物が分離部材22に落下した衝撃で傷付くことが防止されるので、作物の品質が向上する。なお、分離部材を弾性体で構成すると、傷付き防止効果がいっそう向上する。
【0014】
請求項4の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、分離部材22を前後位置調節自在に構成したことによって、作物の径や長さに応じて排出部材11と分離部材22との間隔を調節することができるので、間隔が広すぎて分離部材22の上を作物が移動し、左右整列搬送装置の途中又は搬送終端部に落下して分離部材22を設けた効果がなくなることが防止されると共に、間隔が狭すぎて排出部材11と分離部材22との間に作物が詰まってしまうことが防止されるので、作業能率が向上する。
【0015】
請求項5の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、左右第一整列搬送装置C1の前後方向の長さ(L1)を左右第二整列搬送装置C2の前後方向の長さ(L2)よりも長く構成したことによって、分離部材22又は振分部材21から振り分けられる作物が左右第一整列搬送装置C1に載っている時間を長くすることができるので、作物の搬送姿勢が整いやすくなり、左右選別装置Dに作物が一本ずつ同じ姿勢で投入されて作物の選別精度が向上する。
【0016】
また、左右第二整列搬送装置C2の搬送速度(S2)を左右第一整列搬送装置C1の搬送速度(S1)よりも速くしたことによって、左右第一整列搬送装置C1から左右第二整列搬送装置C2に作物が引き継がれる際に作物同士の間隔を広げることができるので、左右整列装置Cに作物が一本ずつ移送されて誤選別が防止され、選別精度が向上する。
なお、左右選別装置Dの搬送速度を左右第二整列装置C2の選別速度よりも速くすると、左右第二整列装置C2から左右選別装置Dに作物が引き継がれる際にも作物同士の間隔が広がるので、いっそう誤選別が防止されて選別精度が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施例を図面と共に説明する。
本実施例の作物搬送装置の側面図を図1に示し、図2には平面図を示し、図3には作物搬送装置の動力伝達系統図を示す。
図1と図2に示す作物搬送装置は作物を投入する貯留部Aと該貯留部Aから作物を複数の搬送ローラ10で搬送する汲上搬送装置Bと引継シュータ11と該汲上搬送装置Bの終端部から作物を受け取り、整列させる整列搬送装置Cと振分部材21と分離部材22と左右移送部材34などからなる。なお、本実施例の作物搬送装置の作物搬送方向に直交する方向を左右方向ということがあり、貯留部A側を作物搬送方向の前側、整列搬送装置C側を作物搬送方向の後側ということにする。
【0018】
まず、貯留部Aの構成について説明する。
フレーム1の上部にホッパ2を載置し、該ホッパ2の機体前側に水切り用のスノコ部3aを有する傾斜板4aを下り傾斜姿勢に取り付けると共に、ホッパ2の左右両側に水切り用の左右スノコ部3bを有する左右傾斜板4b,4bを下り傾斜姿勢に取り付ける。そして、ホッパ2の機体後側に中央部を切り欠いた傾斜板4cを取り付けることによって、貯留部Aが構成される。
【0019】
上記構成のように、ホッパ2の機体前側に傾斜板4aを下り傾斜姿勢に取り付けると共に、左右両側に左右傾斜板4bを下り傾斜姿勢に取り付けることによって、機体前側及び左右両側のどこからでも人参等の作物を投入してもホッパ2内に入れることができる。ホッパ2に人手により、もしくはホッパ2の近傍に配置される洗浄装置(図示せず)から自動的に作物が投入され、傾斜板4aと左右傾斜板4b,4bとがスノコ部3aとスノコ部3bとを有することによって、作物に付着した水分や泥土をおとすことができるので、作物の整列搬送や選別搬送が適正に行われるので、作業能率が向上する。
【0020】
次に、汲上搬送装置Bと引継シュータ11の構成について説明する。
前記ホッパ2の左右方向(作物搬送方向に直交する方向)外側にホッパ2の底部に基部を有する前後方向に長く、側面視で水平部5aと傾斜部5bを有する左右一対のフレーム5,5を取り付け、該左右フレーム5,5の水平部5aの前端部の左右方向に従動シャフト6aを回転自在に装着すると共に、該従動シャフト6aに従動ローラ7aを軸着する。
【0021】
また、前記左右フレーム5,5の傾斜部5bの後端部の左右方向に駆動シャフト6bを回転自在に装着し、該駆動シャフト6bに駆動ローラ7bを軸着すると共に、傾斜板4cの切り欠き部の下方で且つ左右フレーム5,5間に左右方向に中間シャフト6cを回転自在に装着し、該中間シャフト6cにテンションローラ7cを軸着する。そして、駆動シャフト6bの左右端に左右駆動スプロケット8b,8bを軸着し、従動シャフト6aの左右端に左右従動スプロケット8a,8aを軸着すると共に、中間シャフト6cの左右端に左右テンションスプロケット8c,8cを軸着する。さらに、該左右駆動スプロケット8b,8bと従動スプロケット8a,8aと左右テンションスプロケット8c,8cとの間に左右チェーン9,9を無端状に巻き掛ける。
【0022】
そして、該左右チェーン9,9の左右方向の間に複数の搬送ローラ10…を等間隔に回転自在に取り付けて汲上搬送装置Bを構成すると共に、左右フレーム5,5の終端部の左右の幅方向に亘り、引継シュータ11を引継始端部が前記駆動ローラ7bよりも機体前側に位置するように取り付ける。
なお、図1においてスプロケット8および搬送ローラ10は分かりやすいように実線で示した。
また、汲上搬送装置Bの出口には整列搬送装置Cへ作物を引き継ぐための板状の引継シュータ11を配置している。
【0023】
前記板状の引継シュータ11に代えて他の実施例の引継シュータ11の例を図4に示す。図4(a)に要部背面図、図4(b)に要部側面図、図4(c)に要部平面図を示す。図4に示す引継シュータ11は、汲上搬送装置Bの出口に取り付けられ、該シュータ11の中央部を背面視で断面凸型の突出形状部11aとし、シュータ11で左右に作物が分離できるような機能を持たせるようにしている。また、前記断面凸型の突出形状部11aで作物が傷付かないように、シュータ11の表面全体を弾性体で覆っても良い。
【0024】
なお、この図4に示す実施例では、上述のように突出形状部11aが作物を左右に分離するため、分離部材22を設ける必要は無いが、引継シュータ11の終端下部もしくは後述する振分部材21の機体前側の山形突出部21aに分離部材22を設けると、作物をより確実に第一整列搬送コンベアC1の搬送始端側に落下させることができるので、左右選別装置Dで誤選別される作物が減少し、人手で誤選別された作物を選別し直すことが防止されて作業者の労力が軽減される。
【0025】
次に、整列搬送装置Cと振分部材21と分離部材22の構成について説明する。
前記フレーム1の後上部に左右に一対の整列フレーム16,16を取り付け、該整列フレーム16,16の前側に左右方向に亘り、第1駆動シャフト17aを回転自在に取り付けると共に、該駆動シャフト17aに左右に一対の第1駆動プーリ18a,18aを軸着する。また、前記整列フレーム16の中央部の左右方向に亘り、第1従動シャフト17bを回転自在に装着し、該第1従動シャフト17bに左右に一対の第1従動プーリ18b,18bを軸着する。そして、該左右一対の第1従動プーリ18b,18bと左右一対の第1駆動プーリ18a,18aとの間に作物搬送方向に対する横断面が凹字型の第1整列ベルト19,19をそれぞれ無端状に巻き掛け、これらを第一整列搬送装置(第一整列搬送コンベアということがある)C1とする。
【0026】
また、前記第1従動プーリ18b,18bの後方において左右方向に亘り第2駆動シャフト24aを整列フレーム16,16に回転自在に装着し、該第2駆動シャフト24aに左右第2駆動プーリ25a,25aを軸着する。そして、整列フレーム16の後部に第2従動シャフト24b,24bを回転自在に取り付けると共に、該従動シャフト24b,24bに左右第2従動プーリ25b,25bを軸着する。さらに、該左右第2従動プーリ25b,25bと左右第2駆動プーリ25a,25aとの間に横断面が凹字型の左右第2整列ベルト26,26をそれぞれ無端状に巻き掛け、これらを第二整列搬送装置(第二整列搬送コンベアということがある)C2とする。
【0027】
上記左右一対の第1整列ベルト19,19の内側に作物搬送方向に稜線を有し、左右方向に下り傾斜面を有する背面視で山形の振分部材21を設ける。さらに、図1の左上丸枠内に記載したように振分部材21の作物搬送方向の中央の稜線部分に横断面が山型の突出部21aを設け、該突出部21aの前方上部に分離部材22を配置し、引継シュータ11から振分部材21に向けて落下する作物が振分部材21上の分離部材22により振分部材21の左右いずれかの下り傾斜面上に振り分けられて落下し、落下作物が左右の第1整列ベルト19,19に引き継がれる。
【0028】
分離部材22は振分部材21に対して水平姿勢又は機体後側ほど上方に位置する傾斜姿勢に配置し、分離部材22の後端部の高さは振分部材21の上端部よりも上方に位置して振分部材21上に配置されている。そして分離部材22の搬送方向の長さをにんじん等の根菜の1本分程度(約50mm)としている。分離部材22の長さがそれ以上に長いと分離部材22上に作物が載ったまま止まってしまうおそれがあり、逆にそれより短いと作物が分離部材22により左右に振り分けられる前に分離部材22から振分部材21に移動してしまい、該振分部材21の中央の突出部21aを滑っていくものが多くなる不具合がある。また、分離部材22の上面は、床等の水平面に対してなす傾斜角を本実施例の作物整列装置の側面視において、床等の水平面に対して水平もしくはやや後方上向きの仰角(1〜2°)を付けた傾斜面とすると、分離部材22が作物の移動速度を減速させることができるため、作物が第一整列搬送コンベアC1の左右どちらか一方の搬送コンベア側に落下しやすくなり、作物の分離効果が向上する。
【0029】
また、前記分離部材22は弾性体から構成し、作物が汲上搬送装置Bから落下する際の衝撃を前記弾性体で吸収し、作物が損傷しないようにすることが望ましい。なお、分離部材22を金属板や硬質プラスチック板等で構成し、その表面にゴムや軟質樹脂等の弾性体を装着する構成としてもよい。
【0030】
さらに、振分部材21に左右スライド溝(図示せず)を前後方向に切り欠き、該左右スライド溝に分離部材22の左右下端部を引っ掛けて、機体前後方向に移動自在に設ける構成としてもよい。
上記左右スライド溝を有する振分部材21の構成によって、分離部材22の前後位置を調節することができるので、作業条件に柔軟に対応することができ、作業能率が向上すると共に、分離部材22をワンタッチで振分部材21から取り外し可能にすることができ、振分部材21の交換や作業条件に合わせての着脱を容易に行うことができる。
【0031】
図1の左上の丸枠内に整列搬送装置Cの要部背面図を示すように、第一整列搬送コンベア19,19と第二整列搬送コンベア26,26には分離部材22と振分部材21により左右に振り分けられた作物が供給されて、後方の整列装置Dで整列される。
【0032】
また、前記駆動ローラ7bの下部から引継シュータ11の下方であって前記フレーム1上に外側駆動軸13aにスプロケット14a,14bを取り付けたモータ13を載置し、シャフト6bと一体のスプロケット15と前記スプロケット14bとの間にチェーン23を無端状に巻き掛け、該シャフト6bを介してチェーン9,9の駆動源とする。
【0033】
また、スプロケット14a,14bの上方には整列フレーム16,16の前端部に支持されたシャフト30に回動自在に軸支された第1カウンタースプロケット31が設けられ、スプロケット14aを経由するモータ13の駆動力がチェーン29と第1カウンタースプロケット31とチェーン32を経由してシャフト17aと一体のスプロケット28を駆動させ、同時に第1駆動プーリ18a,18aを駆動させる、また、第1従動プーリ18b,18bを軸着したシャフト17bの中央部に第1伝動スプロケット33を軸着し、また第2駆動プーリ25a,25aを軸着した駆動シャフト24aの中央部に第2伝動スプロケット35を軸着すると共に、前記第1伝動スプロケット33と第2伝動スプロケット35の間に設けられたチェーン36により第2駆動プーリ25a,25aが駆動する。このとき、左右第2整列ベルト26,26の搬送速度Bm/秒を、左右第1整列ベルト19,19の搬送速度Am/秒よりも速く設定する。
【0034】
図1、図2に示すように、振分部材21より下側であって、横断面が凹字型の左右第1整列ベルト19,19の後側及び左右第2整列ベルト26,26の間に左右外側に向けて下向きに傾斜した一対の作物落下ガイド40,40を配置している。
【0035】
また一対の作物落下ガイド40,40の下端部の下方には左右リターンシュータ34,34の作物搬送始端部側をそれぞれ配置し、該リターンシュータ34,34の作物搬送終端部側は貯留部Aのホッパ2の上方開放部壁面に支持されている。このように整列搬送装置Cは分離部材22、振分部材21、第1整列ベルト19,19(左右第1整列コンベアC1)、第2整列ベルト26,26(左右第2整列コンベアC2)、作物落下ガイド40,40及び左右リターンシュータ34,34から構成されている。
【0036】
前記振分部材21を整列搬送装置Cに設置したことによって、整列搬送装置Cに引き継がれた作物のうち、整列搬送装置Cの中央部付近に搬送された作物が左右方向に分離されずに左右作物落下ガイド40,40まで移動し、該左右作物落下ガイド40,40から左右リターンシュータ34,34に落下したり、第1整列ベルト19,19(左右第一整列コンベアC1)の搬送方向後端側や第2整列ベルト26,26(左右第二整列コンベアC2)に作物が落下し、該左右第一整列コンベアC1及び左右第二整列コンベアC2にそれぞれ一列に並んでいる作物を弾き飛ばしたり整列状態を乱したりすることが防止されるので、作物同士の衝突によって作物が傷付くことが防止されて作物の品質が向上すると共に、左右リターンシュータ34,34から貯留部Aに戻る作物が減少して作物の搬送作業能率が向上する。また、作物の整列姿勢が安定することによって左右一対の選別装置Dに作物が一本ずつ整った姿勢で引き継がれるので、左右選別装置Dで誤選別される作物が減少し、人手で誤選別された作物を選別し直すことが防止されて作業者の労力が軽減される。
【0037】
そして図1の丸枠内の背面図に示すように、整列搬送装置Cの左右両側に左右リターンシュータ34,34を取り付けたことによって、左右第一整列コンベアC1及び左右第二整列コンベアC2に乗らなかった、もしくは整列搬送の途中で第一及び第二整列コンベアC1,C2から落下した作物をリターンシュータ34,34が作物落下ガイド40,40から引き継いで貯留部Aに迅速に戻すことができるので、作業能率が向上すると共に、整列作業及び選別作業の自動化を図ることができる。
【0038】
また、左右第1整列ベルト19,19及び左右第2整列ベルト26,26の搬送方向に直交する方向の幅は作物の平均的な径と同程度もしくは作物の平均的な径よりも小さいので、左右第1整列ベルト19,19及び左右第2整列ベルト26,26の中央部以外に載った作物は搬送無端帯の左右側方に落下するため、作物は左右選別装置Dに一本ずつ整った姿勢で引き継がれるので、左右選別装置Dで誤選別される作物が減少し、人手で誤選別された作物を選別し直すことが防止されて作業者の労力が軽減される。
【0039】
また、第二整列搬送コンベアC2の搬送速度を第一整列搬送コンベアC1の搬送速度よりも速く設定すると、作物が第一整列搬送コンベアC1から第二整列搬送コンベアC2に引き継がれる際、速度差によって作物間に一定の前後間隔が生じるため、作物は左右選別装置Dに一本ずつ整った姿勢で前後方向に一定の間隔を有した状態で引き継がれるので、左右選別装置Dで誤選別される作物が減少し、人手で誤選別された作物を選別し直すことが防止されて作業者の労力が軽減される。
【0040】
また、第一整列搬送コンベアC1の搬送方向の長さを第二整列搬送コンベアC2の搬送方向の長さよりも長くすることによって、汲上装置10から搬送されてきた作物が第一整列搬送コンベアC1上を搬送される時間が長くなり、作物の搬送姿勢が第二整列搬送コンベアC2に引き継がれるまでの間に整うので、作物が第一整列搬送コンベアC1から第二整列搬送コンベアC2に引き継がれ易く、また引き継がれる際に生じる作物同士の前後間隔も略均等になるため、左右選別装置Dで誤選別される作物が減少し、人手で誤選別された作物を選別し直すことが防止されて作業者の労力が軽減される。
【0041】
そして、第1整列ベルト19,19と第2整列ベルト26,26から落下した作物を誘導する作物落下ガイド40,40を左右に取り付けると共に、左右作物落下ガイド40,40の下方に左右リターンシュータ34,35を取り付けたことによって、整列搬送装置Cから落下した作物は自動的に貯留部Aに送り返されるので、作業能率が向上する。
【0042】
図5に作物搬送装置の全体側面図を示すように左右に作物を分離する分離部材22を断面山型の振分部材21の頂部でなく、汲上搬送装置Bの終端部(出口)に配置した引継シュータ11の下方に直接取り付けるようにしても良い。この場合は前記汲上搬送装置Bの出口の引継シュータ11の配置位置や傾斜角度を変更しても、該引継シュータ11と分離部材22との位置関係が変わらないので、様々な作業条件に柔軟に対応することができる。
【0043】
分離部材22は、基部22aを引継シュータ11の終端下部に取り付けると共に、該基部22aの搬送方向後側に円筒形の棒体22bを取り付け、かつ円筒形の棒体22bの先端部が振分部材21の前側とオーバーラップするように取り付けた構成とする。
【0044】
図6(a)は引継シュータ11と分離部材22の配置関係を示す背面図であり、図6(b)は整列搬送装置Cの要部背面図を示す。
基部22aと棒体22bとからなる分離部材22は、基部22aに螺子孔を設けると共に、棒体22bの取付側端部表面に螺子溝を刻んで構成することによって、分離部材22の前後位置を調節することができるので、作業条件に柔軟に対応することができる。
なお、分離部材22はボルト等によって引継シュータ11に取り付ける等して、汲上搬送装置Bの引継シュータ11からワンタッチで取り外し可能とすることが望ましい。
【0045】
また、分離装置22を構成する棒体22bの表面は弾性体で覆うと作物が棒体22bに当たっても衝撃が少なく、損傷を与えない。前記弾性体は、例えば塩化ビニル樹脂またはゴム製などの軟質弾性体とする。また棒体22bを剛体で構成し、前記弾性体の環状物に挿入する構成とすると簡単に取り付け又は交換ができる。
【0046】
図7と図8に他の実施例の作物整列装置の側面図と平面図をそれぞれ示し、図7の丸枠内に要部側面図を示すように汲上搬送装置Bから搬送されてきた作物が第2整列ベルト26,26(左右第二整列コンベアC2)まで直接滑っていかないように、第1整列ベルト19,19(左右第一整列コンベアC1)の間の振分部材21の一区画に上下動可能な分離板43を配置しても良い。
【0047】
分離板43は、その前後両側に設けられたガイドフレーム44の内部を上下する構成であり、分離板43の下部には分離板43と一体のスライドフレーム45が上下方向に延びている。該スライドフレーム45の下端部には水平方向に延びるシャフト47の先端部に設けたカムローラ48に当接している。該カムローラ48のスライドフレーム45への当接面側は楕円形状であり、シャフト47の他端部に設けたベベルギア49とモータ13の駆動軸に設けたベベルギア50とが噛合しているのでモータ13によりカムローラ48が回転すると、該カムローラ48が当接するスライドフレーム45が前記カムローラ48のカム面に当接しながら上下動することで分離板43が上下動する。またガイドフレーム44の頂部は振分部材21の上面より下方に配置されているので、ガイドフレーム44が振分部材21上での作物の搬送の妨げにはならない。
【0048】
前記分離板43は平面視で「く」の字状をしており、搬送上流側が「く」の字の折れ曲がり部が配置されるように振分部材21に取り付け、作物の搬送抵抗が少なくなるようにし、さらに「く」の字の両端部は丸めた円弧状にして作物が傷付かないようにしている。
【0049】
また、分離板43の上面はシボ加工しており、分離板43の上面を乗り越えようとする作物に抵抗を与えることでブレーキをかけ、滑らないようにしている。またシボ加工した分離板43の上面部分の長さは作物の長さの半本分程度とし、作物が分離板43の上面に載っても前記シボ加工部分で止まらずに第1整列ベルト19,19に向けて振分部材21上を落下する。さらに、前記シボ加工は分離板43の上面の前半部分のみとして、分離板43の上面の後半部分は作物の搬送抵抗にならないようにシボ加工をしなくても良い。
【0050】
また作物が搬送中に良く当たる部分である分離板43の側面は軟質材で構成するか軟質被膜を表面に設けた部材で構成している。
分離板43の上下位置をモータ13の回転で設定すると分離板43の高さが設定され、作物が第2整列ベルト26,26まで直接滑っていかないで第1整列ベルト19,19に向けて振分部材21上を落下する。
【0051】
また、図9には図7、図8に示す作物整列装置のコンベアの駆動系と分離板43の駆動系統図を示す。分離板43が振分部材21の上面より上側に飛び出すタイミングは汲上搬送装置Bの搬送速度に連動するようにして、分離板43でも作物の左右方向への振り分け機能を高める構成になっている。
【0052】
さらに、分離板43の始端側を終端部側及び中央部に比べて低くして分離板43の上面が後上り傾斜姿勢になるように設定することによって、分離板43に乗り上げた作物の移動速度を減速させることができるので、作物が第一整列搬送コンベアC1の左右どちらか一方の搬送始端側に落下しやすくなり、作物の分離効果が向上する。
【0053】
図10と図11に本発明の他の実施例の作物整列装置の側面図と平面図をそれぞれ示す。これらの図に示すように本実施例の振分部材21を前部振分部材21bと後部振分部材21cに半分に分け、後部振分部材21cを前部振分部材21bより高くし、後部振分部材21cの前側に分離部材22を載せている。
【0054】
作物が汲上搬送装置Bから落下する位置にある前部振分部材21bが後部振分部材21cより低いので、落下後の作物が後部振分部材21cへ乗り上げ難くなり、第1整列ベルト19,19(左右第一整列コンベアC1)に確実に戻される。また、後部振分部材21cの前側に分離部材22を載せているため、分離部材22が作物を確実に第1整列ベルト19,19に確実に戻す。これらの構成で左右リターンシュータ34,34から貯留部Aに戻される作物が減り、作業能率が従来より良くなる。
【0055】
また、前部振分部材21bの長さは50〜80mm程度が適切である。これ以上長くなると振分部材21の上を人参などの作物が移動して左右第一整列搬送装置Cの途中又は搬送終端部に落下して振分部材21を設けた効果がなくなる。また、前部振分部材21bの長さをこれよりも短くすると、平均的な径(約50mm)以上の作物が搬送方向に対して略垂直に投入されると、引継シュータ11と前部振分部材21bとの間に作物が詰まってしまうおそれがある。さらに、作物の平均的な長さは約200mmであるが、作物が搬送方向に対して略平行位置に入ってきた場合は、引継シュータ11と前部振分部材21bとの間に作物が詰まる前に振分部材21によって左右いずれかに振り分けられる。
【0056】
図12と図13に作物整列装置の側面図と平面図をそれぞれ示し、振分部材21上の両側の傾斜面にそれぞれ回転軸50a,50aを前記傾斜面に垂直方向(鉛直線に対して0°〜5°の傾斜角度)に立てた回転自在の円筒状の分離ローラ50,50を配置し、さらに望ましくは一対の分離ローラ50,50の間には隙間がないように配置した構成である。また、図14には分離ローラ50,50をモータ13により回動させるための駆動系統図を示す。
【0057】
汲上搬送装置Bの終端部から分離ローラ50,50の側面まで約120〜150mmの隙間をあけて一対の分離ローラ50,50を配置しているので、作物が分離ローラ50,50の周辺で詰まることが防止でき、汲上搬送装置Bの終端部から落下する作物は分離ローラ50,50に触れても該分離ローラ50,50の側壁面が回転しているので損傷されることなく第1整列ベルト19,19(左右第一整列コンベアC1)に向けて落下する。また、分離ローラ50,50の上面はシボ加工を施して作物の落下に抵抗を与え、また側面は作物が滑り易い軟質材で構成する。
【0058】
分離ローラ50,50はモータ13からベベルギア機構を経由して作動され、分離ローラ50,50の回転のタイミングは汲上搬送装置Bのローラ10aのピッチ1つ分だけ進むと1回転するようにし、分離ローラ50,50の回転と汲上搬送装置Bのローラ10aとは連動させることでスムーズに作物が搬送できる。また、分離ローラ50,50の回転軸50a,50aにバイブレータを設けると、分離ローラ50,50が振動して作物の引っかかりが無くなる。
【0059】
また分離ローラ50,50の下面と振分部材21の上面との間に作物の平均的な径と略同じである50mm程度の隙間を空けていることによって、第一整列搬送コンベアC1で整列搬送される作物が分離ローラ50,50に接触して第一整列搬送コンベアC1から落下してしまうことが防止されるので、整列搬送が安定して行われると共に左右リターンシュータ34,34から貯留部Aに戻される作物が減少するため、作業能率が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の作物整列装置によれは、搬送方向に直交する左右両側の何れかに作物を回収できるよう選択することが出来ることで、屋内に作業者が所望する配置で、かつコンパクトな作物整列設備とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の作物整列装置の側面図である。
【図2】本発明の作物整列装置の平面図である。
【図3】図1の作物整列装置の動力伝達系統図である。
【図4】図1の作物整列装置のシュータの取り付け部の背面図(図4(a))、側面図(図4(b))、平面図(図4(c))である。
【図5】図1の変形例の分離部材を備えた作物整列装置の側面図である。
【図6】図5の作物整列装置のシュータと分離部材の配置関係を示す背面図(図6(a))と背面図(図6(b))である。
【図7】本発明の他の実施例の作物整列装置の側面図である。
【図8】図7の作物整列装置の平面図である。
【図9】図7、図8に示す作物整列装置のコンベアの駆動系と分離板の駆動系統図である。
【図10】本発明の他の実施例の作物整列装置の側面図である。
【図11】図10の作物整列装置の平面図である。
【図12】本発明の他の実施例の作物整列装置の側面図である。
【図13】図12の作物整列装置の平面図である。
【図14】図12の作物整列装置の分離ローラの駆動系統図である。
【符号の説明】
【0062】
A 貯留部 B 汲上搬送装置
C 整列搬送装置
C1 第一整列搬送装置(第一整列搬送コンベア)
C2 第二整列搬送装置(第二整列搬送コンベア)
D 整列装置
1 フレーム 2 ホッパ
3a スノコ部 3b 左右スノコ部
4a〜4c 傾斜板 5 フレーム
6a〜6c シャフト 7a〜7c ローラ
8a〜8c スプロケット 9 チェーン
10 搬送ローラ 11 引継シュータ
13 モータ 13a 外側駆動軸
14a,14b,15 スプロケット
16 整列フレーム
17a,17b シャフト
18a,18b プーリ
19 第1整列ベルト 21 振分部材
21a 振分部材の山型突出部
21b 前部振分部材
21c 後部振分部材
22 分離部材
22a 分離部材基部 22b 分離部材突出部
23 チェーン
24a,24b シャフト
25a,25b プーリ
26 第2整列ベルト
28,33,35 スプロケット
30 シャフト
31 第1カウンタースプロケット
29,32,36 チェーン
34 リターンシュータ 40 作物落下ガイド
43 分離板 44 ガイドフレーム
45 スライドフレーム 47 シャフト
48 カムローラ 49,50 ベベルギア
50a 回転軸 50 分離ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作物を投入する貯留部(A)と、
貯留部(A)から作物を搬送体(10)で機体後方へと搬送する汲上搬送装置(B)と、
汲上搬送装置(B)から作物を排出する排出部材(11)と、
排出部材(11)で排出された作物を受けて整列させながら搬送する左右整列搬送装置(C)と、
排出部材(11)から左右整列搬送装置(C)に直接載らなかった作物を受けて左右整列搬送装置(C)の左右いずれか一方に送る振分部材(21)と、
左右整列搬送装置(C)に載らなかった作物を受けて貯留部(A)に送る左右移送部材(34)と、
左右整列搬送装置(C)から作物を受けて選別する左右選別装置(D)と
を備えた作物整列装置において、
振分部材(21)の頂部を形成する山型の突出部(21a)の前端部又は排出部材(11)の終端下部に排出部材(11)から排出された作物を左右整列搬送装置(C)の左右いずれか一方に送る分離部材(22)を設けたことを特徴とする作物整列装置。
【請求項2】
前記分離部材(22)を振分部材(21)に対して水平姿勢又は機体後側ほど上方に位置する傾斜姿勢に配置すると共に、分離部材(22)の後端部を振分部材(21)の上端部よりも上方に配置したことを特徴とする請求項1記載の作物整列装置。
【請求項3】
前記分離部材(22)を円筒形にしたことを特徴とする請求項1記載の作物整列装置。
【請求項4】
前記分離部材(22)を機体前後方向に移動可能に設けたことを特徴とする請求項1記載の作物整列装置。
【請求項5】
前記左右整列搬送装置(C)を機体前側の左右一対の第一整列搬送装置(C1)と機体後側の左右一対の第二整列搬送装置(C2)とから構成し、左右第一整列搬送装置(C1)の前後方向の長さ(L1)を左右第二整列搬送装置(C2)の前後方向の長さ(L2)よりも長く構成(L1>L2)すると共に、左右第二整列搬送装置(C2)の搬送速度(S2)が左右第一整列搬送装置(C1)の搬送速度(S1)よりも速くなるかまたは同速となるように構成した(S1≦S2)ことを特徴とする請求項1記載の作物整列装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate