説明

作物栽培ハウス

【課題】 作物栽培用のハウスは、天井部に遮光カーテンを設けて、この遮光カーテンの開閉によって日射量の調節等を行うが、この遮光カーテンの開閉によってカーテン継目等に間隙部を生じ易く、このカーテン間隙部から、昆虫蜂の逃出を防止したり、害虫の浸入防止する必要がある。
【解決手段】 屋根1部に開閉可能の天窓2を有したハウス3の天井部に沿って、前後対向端縁を連結部4とした遮光カーテン5と防虫ネット6を、この連結部4を前後に移動して切替可能に敷設したことを特徴とする作物栽培ハウスの遮光装置の構成とする。これら遮光カーテン5と防虫ネット6との連結部は常に連結状態にあって連結間隙を生じ難い形態を維持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ハウス天井部に遮光用等のカーテン、及び防虫ネットを設ける作物栽培ハウスに関するもので、構成を簡単にして、耐久性を高めるものである。
【背景技術】
【0002】
ハウス天井部に巻き取り形態の遮光カーテンを設ける技術(例えば、特許文献1参照)や、天窓形態の開閉網窓等を設ける技術(例えば、特許文献2参照)が知られている。
【特許文献1】特開2004ー57150号公報(第3頁、図1)。
【特許文献2】実用新案登録第3081599号公報(第1頁、図1)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
作物栽培用のハウスは、天井部にカーテンを設けて、このカーテンの開閉によって日射量の調節等を行うが、このカーテンの開閉によってカーテン継目等に間隙部を生じ易く、このカーテン間隙部から、昆虫蜂の逃出を防止したり、害虫の浸入防止する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に記載の発明は、屋根1部に開閉可能の天窓2を有したハウス3の天井部に沿って、前後対向端縁を連結部4としたカーテン5と防虫ネット6を、この連結部4を前後に移動して切替可能に敷設したことを特徴とする作物栽培ハウスとする。ハウス3の天井部に沿って敷設するカーテン5と防虫ネット6とは前後に一体的に連結されていて、カーテン5を引き出して張るときは防虫ネット6が同時に巻取等により収納され、又、カーテン5を収納すると同時に防虫ネット6が引き出されて張出される。これらカーテン5と防虫ネット6との連結部は常に連結状態にあって連結間隙を生じ難い形態を維持する。
【発明の効果】
【0005】
請求項1に記載の発明は、このようにカーテン5と防虫ネット6との張出と収納とは互いに齟齬する形態に行われて、前後端縁部は常に一体的に連結されていて連結間隙を生じ難い形態にあり、共にハウス内部に敷設して構成を簡単にし耐久性を高めることができると共に、前後方向の巻取り、巻戻し等による形態の開閉操作を簡単にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図例に基づいて、作物栽培ハウス3は、側壁7及び屋根1をガラス張りにして温室形態に構成する。コンクリート製の基礎8上には前後支柱9、10を配置し、これらハウス3の前後方向のの中間部には中間支柱11を配置している。遮光カーテン5及び防虫ネット6は、このハウス3内の天井部である屋根裏下部に沿って略水平状に設ける。側壁7内面の天井部にはカーテンレール12を設け、このカーテンレール12に遮光カーテン5、及び防虫ネット6の左右横端部をスライド可能にして案内させる。これらカーテンレール12と、遮光カーテン5、又は防虫ネット6等によって、ハウス3内の床14側の栽培室15と、屋根1側の天井裏13が仕切られる。この天井裏13は防虫ネット6を介して栽培室15と連通し、天窓2を介して屋外と連通することができる。
【0007】
ここにおいて、この発明に係る栽培ハウスは、屋根1部に開閉可能の天窓2を有したハウス3の天井部に沿って、前後対向端縁を連結部4とした遮光カーテン5と防虫ネット6を、この連結部4を前後に移動して切替可能に敷設したことを特徴とする作物栽培ハウスの遮光装置の構成とする。ハウス3の天井部に沿って敷設する遮光カーテン5と防虫ネット6とは前後に一体的に連結されていて、遮光カーテン5を引き出して張るときは防虫ネット6が同時に巻取等により収納され、又、遮光カーテン5を収納すると同時に防虫ネット6が引き出されて張出される。これら遮光カーテン5と防虫ネット6との連結部は常に連結状態にあって連結間隙を生じ難い形態を維持する。
【0008】
ハウス3の床14には栽培ベッドを配置して、この栽培ベッドの上において作物を水耕栽培等で栽培する。遮光カーテン5と防虫ネット6との間を角チューブ材等からなる連結部材4を介して連結して、この連結部材4の左右両端部を前記カーテンレール12上にラックピニオン形態等によって支持させて前後方向へ移動可能に構成している。このとき遮光カーテン5を張出すときは、前記連結部材4を防虫ネット6の側へ移動することによって、この遮光カーテン5の連結部材4端部が引き出されると共に、この防虫ネット6が縮小されて、栽培室15の天井部が遮光カーテン5で覆われて遮光形態になる。又、遮光カーテン5を格納して防虫ネット6を張り出すときは、該連結部材4を遮光カーテン5の側へ移動することによって行われ、栽培室16上を防虫ネット6で覆うことができる。このように、遮光カーテン5と防虫ネット6とを連結する連結部材4を前後に移動することによって、遮光カーテン5と防虫ネット6との張出と収納とは互いに齟齬する形態に行われて、前後端縁部は常に一体的に連結されていて連結間隙を生じ難い形態にあり、共にハウス内部に敷設して構成を簡単にし耐久性を高めることができると共に、前後方向の巻取り、巻戻し等による形態の開閉操作を簡単にすることができる。又、遮光カーテン5、及び防虫ネット6の連結部材4に対する連結部とは反対側は、ハウス3の前後支柱9、10部に各チューブ材からなる固定部材16、17に連結固定している。
【0009】
次に、主として図3、〜図5に基づいて、前記栽培ハウス3において、防虫ネット18を天窓2部に設ける形態では、この防虫ネット18をテンマド2の開閉によって風圧を受けていても正確に折り畳みできるように防虫ネット18の前面部19と側面部20との各折目部21、22、23に沿って折目縫24を形成するものである。防虫ネット18は、これら前面部19とこの横端部の側面部20とから形成されて、財布や、バッグ等の底布材の如き折畳底形態となるように構成している。前面部19の上下端縁部25、26を開閉ヒンジ29周りに上下開閉回動する天窓2の先端部と屋根1部とに連結し、左右両側面部20の上下両端縁部27、28を天窓2の横端部と屋根1部に連結している。そして、この天窓2をヒンジ29の周りに回動して開閉することによって、この天窓2の開閉面部を覆う防虫ネット18をこの天窓2の内側に向けて前記折目部21、22に沿って折り畳むものである。このため各折目部21、22、23には折り畳み上下ネット地部を縫い合わせる折目縫24を形成する。この天窓2を開閉するための開閉アーム30が、ラチス部材31上に設ける開閉パイプ32の移動操作で左右に移動可能に設けられている。
【0010】
次に、主として図6、図7に基づいて、前記防虫ネット18の形態をハウス3の屋根1の形態のあわせた箱形状ネットの形態にして、天窓2を含む屋根1上部に嵌合させるように構成することによって、防虫ネット18の箱形カバー形態、構成を簡単にし、取付けを容易化するものである。
【0011】
次に、主として図8に基づいて、栽培ハウス3の天窓2を千鳥状に配置したものである。この天窓2の開口は左右選択可能に構成して、風の方向にかかわらず左、右一側から吹く風を天窓2からハウス3内部に吹き込ませると共に、隣接の天窓2から吹き出させるように風流案内することによって、大間口形態の栽培ハウスの換気性を効果的に行わせる。
【0012】
次に、主として図9に基づいて、栽培ハウス3に配置する灌水、乃至栽培溶液を供給する配管において、この配管機構を利用して冬場の消雪を行わせるものである。ハウス3の灌水パイプ35には給水ポンプ36を有して、井戸水37を汲み上げて、灌水ポンプ38や、逆止弁39、フィルター40、圧力調整弁41等を有する給水パイプ42から、電動弁43を有する給水パイプ44を経て、前記灌水パイプ35へ給水するように構成している。井戸水を利用して通常の灌水作用時や、消雪作用時にはこのような経路を経て給水する。又、肥料を供給するときは、該給水パイプ42から、ボールバルブ45や、電磁弁46、肥料混入器47、水量計48、及び逆止弁49等を有する肥料供給パイプ50を介して、灌水パイプ35へ給水するように構成している。該肥料混入器47は液肥タンク51から液肥を汲出しながら肥料供給パイプ50へ供給混合するものである。このような灌水パイプ35に対する消雪用水と、肥料水との切り替えは前記電磁弁46の切り替え操作によって行われる。
【0013】
図10に基づいて、各ハウス3に給水する給水パイプ52を配置すると共に、液肥を供給可能な液肥パイプ53とを配置して、この給水パイプ52にはハウス3の側壁7部に沿って設けるノズル54を配置する。これら給水パイプ52と、灌水パイプ35に連通する液肥パイプ53とに対する供給切替えによって、ハウス3外周部の消雪を行うことができる。
【0014】
次に、主として図11、〜図13に基づいて、前記栽培ハウス3の内部で、所定の作業を行う作業台車55の操作盤58に、この作業台車55の走行時間T1を調節可能な可変タイマー56を設けると共に、この作業台車55の走行を停止て作業者が作業を行うための作業時間T2を調節可能な可変タイマー57を設ける。作業台車55は走行モータ59の駆動によって走行するが、この走行時間T1と走行停止の作業時間T2がタイマー56、57によって適宜に設定されるために、作業内容に応じて効率のよい作業を行うことができる。60は作業対象である作物であり、栽培床61上に一定間隔毎に植付けられ、茎先を保持ワイヤー62に吊している。作業者63の立つ台64がクロスリンク65の伸縮シリンダによる拡縮によって、この作業台車55に対して適宜高さ位置に支持されて、所定の作業を行うことができる。このクロスリンク65には台64の高さを検出する高さセンサー66が設けられ、この高さセンサー66の検出値がコントローラ67に設定した設定高さ以内であるときは通常の走行速度に維持されるが、この検出値が設定高さを越えて高いときは、走行速度を減速して走行の安全を図るものである。
【0015】
又、台64上にはフットスイッチ68を設け、このフットスイッチ68を踏んでON、OFFすることによって走行を発進、又は停止するように構成している。図13のフローチャートにおいて、電源スイッチをONして、前、後進スイッチを切り替え、フットスイッチ68をONすると、タイマーT3の設定時間経過後にスタートされる。フットスイッチ68をOFFにしたときは即座に走行停止する。ここで、フットスイッチ68をONしたとき、タイマーT3が設定時間内であるときはこのフットスイッチ68のON後に即座にスタートされる。
【0016】
又、前記クロスリンク65を拡縮する伸縮シリンダ69の排油出口に内径を細くしたニップルを取り付けることによって、作業台車55に対する作業台64の急激な落下を阻止することができる。又、図14のように前記伸縮シリンダ69の油圧ホース72の抜けや破れ等による作業台64の急落下を防止するために、シリンダ69の出口70にスピードコントローラ71を設置することで、油圧ホースが抜けたり、破れたりしても、この出口70から排出される油量がコントローラ71によって抑制される。73は油圧ポンプである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】栽培ハウスの側面図。
【図2】その正面図。
【図3】一部別例を示す防虫ネット部の側面図。
【図4】その作用を示す側面図。
【図5】その防虫ネット部の折畳状態を示す平面図。
【図6】一部別実施例を示す栽培ハウスの正面図。
【図7】その防虫ネット部の斜視図。
【図8】一部別実施例を示す栽培ハウスの天窓配置平面図と、正面図。
【図9】一部別実施例を示す栽培ハウスの灌水配管図。
【図10】一部別実施例を示す栽培ハウスの灌水配管図。
【図11】一部別実施例を示す栽培ハウスでの作業状態図。
【図12】その作業台車の側面図と、その一部作業のフローチャート。
【図13】作業台車の車速制御を示すフローチャート。
【図14】シリンダの油圧回路図。
【符号の説明】
【0018】
1 屋根
2 天窓
3 ハウス
4 連結部材
5 遮光カーテン
6 防虫ネット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根(1)部に開閉可能の天窓(2)を有したハウス(3)の天井部に沿って、前後対向端縁を連結部(4)としたカーテン(5)と防虫ネット(6)を、この連結部(4)を前後に移動して切替可能に敷設したことを特徴とする作物栽培ハウス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−283938(P2008−283938A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−134477(P2007−134477)
【出願日】平成19年5月21日(2007.5.21)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】